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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073403
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/58 20100101AFI20230518BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20230518BHJP
   H01L 33/54 20100101ALI20230518BHJP
   H01L 33/56 20100101ALI20230518BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20230518BHJP
【FI】
H01L33/58
H01L33/62
H01L33/54
H01L33/56
H01L33/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053230
(22)【出願日】2023-03-29
(62)【分割の表示】P 2021122543の分割
【原出願日】2021-07-27
(31)【優先権主張番号】P 2020141386
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020215488
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021036279
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100218981
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】市原 良男
(57)【要約】
【課題】高効率で光を取り出すことができ、かつ、表面実装の可能な多色の発光装置を提供する。
【解決手段】
発光装置は、複数のリードを含むパッケージであって、複数のリードのうち3つのリードは、主面に露出した第1凹部、第2凹部および第3凹部をそれぞれ有する、表面実装用のパッケージ100と、第1凹部、第2凹部および第3凹部にそれぞれ配置された、第1光を発する第1発光素子51、第2光を発する第2発光素子52および第3光を発する第3発光素子53と、第1凹部内に配置され、第1光と同系色に着色された第1着色樹脂部材161と、第2凹部内に配置され、第2光と同系色に着色された第2着色樹脂部材162と、第3凹部内に配置され、第3光と同系色に着色された第3着色樹脂部材163と、平面視において各リードの凹部とそれぞれ重なる第1レンズ部71、第2レンズ部72及び第3レンズ部73を含むモールド樹脂60とを備える。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリードと、前記複数のリードの少なくとも一部を固定する第1暗色系樹脂と、を含むパッケージであって、前記複数のリードのうち3つのリードは、それぞれ、前記パッケージの主面に前記第1暗色系樹脂から露出した露出領域を有しており、前記3つのリードの前記露出領域には、第1凹部、第2凹部および第3凹部が、それぞれ、配置されている、表面実装用のパッケージと、
前記第1凹部に配置され、第1光を発する第1発光素子と、前記第2凹部に配置され、前記第1光よりも短波長側の第2光を発する第2発光素子と、前記第3凹部に配置され、前記第2光よりも短波長側の第3光を発する第3発光素子と、を含む複数の発光素子と、
前記第1凹部内に配置され、かつ、前記第1光と同系色に着色された第1着色樹脂部材と、
前記第2凹部内に配置され、かつ、前記第2光と同系色に着色された第2着色樹脂部材と、
前記第3凹部内に配置され、かつ、前記第3光と同系色に着色された第3着色樹脂部材と、
透光性の母材を含み、前記複数の発光素子を封止するモールド樹脂と、を備え、
平面視において、前記第1着色樹脂部材の少なくとも一部は、前記第1凹部における前記第1発光素子の周辺に位置し、前記第2着色樹脂部材の少なくとも一部は、前記第2凹部における前記第2発光素子の周辺に位置し、前記第3着色樹脂部材の少なくとも一部は、前記第3凹部における前記第3発光素子の周辺に位置しており、
前記モールド樹脂は、
前記パッケージの前記主面および前記複数の発光素子を覆うベース部と、
前記ベース部と一体的に形成された複数のレンズ部と、を有し、
前記複数のレンズ部のそれぞれは、前記ベース部から上方に突出した凸形状を有し、
前記複数のレンズ部は、平面視において、前記第1凹部、前記第1発光素子および前記第1着色樹脂部材と重なる第1レンズ部と、前記第2凹部、前記第2発光素子および前記第2着色樹脂部材と重なる第2レンズ部と、前記第3凹部、前記第3発光素子および前記第3着色樹脂部材と重なる第3レンズ部と、を含む、発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)をはじめとする発光装置として、砲弾型(ランプタイプ)の発光装置、表面実装型(SMDタイプ)の発光装置などが知られている。ランプタイプの発光装置は、正面方向に高い指向性を有するので、LEDディスプレイのように、発光装置が画素としてマトリクス状に配置された大型の表示装置に好適に使用されている。
【0003】
ランプタイプの発光装置は、典型的には、フローはんだによってプリント基板等に実装される。このため、ランプタイプの発光装置を用いると、リフローはんだによって表面実装されるSMDタイプの発光装置よりも、実装にかかるコストや工数が増加する。
【0004】
このため、例えば、特許文献1は、リフローはんだによる実装可能な発光装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-211937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の限定的ではない例示的なある一実施形態は、正面方向に高効率で光を取り出すことができ、かつ、表面実装の可能な多色の発光装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態の発光装置は、複数のリードと、前記複数のリードの少なくとも一部を固定する第1暗色系樹脂と、を含むパッケージであって、前記複数のリードのうち3つのリードは、それぞれ、前記パッケージの主面に前記第1暗色系樹脂から露出した露出領域を有しており、前記3つのリードの前記露出領域には、第1凹部、第2凹部および第3凹部が、それぞれ、配置されている、表面実装用のパッケージと、前記第1凹部に配置され、第1光を発する第1発光素子と、前記第2凹部に配置され、前記第1光よりも短波長側の第2光を発する第2発光素子と、前記第3凹部に配置され、前記第2光よりも短波長側の第3光を発する第3発光素子と、を含む複数の発光素子と、前記第1凹部内に配置され、かつ、前記第1光と同系色に着色された第1着色樹脂部材と、前記第2凹部内に配置され、かつ、前記第2光と同系色に着色された第2着色樹脂部材と、前記第3凹部内に配置され、かつ、前記第3光と同系色に着色された第3着色樹脂部材と、透光性の母材を含み、前記複数の発光素子を封止するモールド樹脂と、を備え、平面視において、前記第1着色樹脂部材の少なくとも一部は、前記第1凹部における前記第1発光素子の周辺に位置し、前記第2着色樹脂部材の少なくとも一部は、前記第2凹部における前記第2発光素子の周辺に位置し、前記第3着色樹脂部材の少なくとも一部は、前記第3凹部における前記第3発光素子の周辺に位置しており、前記モールド樹脂は、前記パッケージの前記主面および前記複数の発光素子を覆うベース部と、前記ベース部と一体的に形成された複数のレンズ部と、を有し、前記複数のレンズ部のそれぞれは、前記ベース部から上方に突出した凸形状を有し、前記複数のレンズ部は、平面視において、前記第1凹部、前記第1発光素子および前記第1着色樹脂部材と重なる第1レンズ部と、前記第2凹部、前記第2発光素子および前記第2着色樹脂部材と重なる第2レンズ部と、前記第3凹部、前記第3発光
素子および前記第3着色樹脂部材と重なる第3レンズ部と、を含む。
【0008】
本開示の一実施形態の発光装置は、複数のリードと、前記複数のリードの少なくとも一部を固定する第1暗色系樹脂と、を含むパッケージであって、前記複数のリードのそれぞれは、前記パッケージの主面に前記第1暗色系樹脂から露出した露出領域を有しており、前記複数のリードのうちの1つのリードの前記露出領域に、第1凹部、第2凹部および第3凹部のうちの2つの凹部が配置され、前記複数のリードのうちの前記1つのリードと同じまたは異なるリードの前記露出領域に、前記第1凹部、前記第2凹部および前記第3凹部のうちの前記2つの凹部以外の1つの凹部が配置されている、表面実装用のパッケージと、前記第1凹部に配置され、第1光を発する第1発光素子と、前記第2凹部に配置され、前記第1光よりも短波長側の第2光を発する第2発光素子と、前記第3凹部に配置され、前記第2光よりも短波長側の第3光を発する第3発光素子と、を含む複数の発光素子と、前記第1凹部内に配置され、かつ、前記第1光と同系色に着色された第1着色樹脂部材と、前記第2凹部内に配置され、かつ、前記第2光と同系色に着色された第2着色樹脂部材と、前記第3凹部内に配置され、かつ、前記第3光と同系色に着色された第3着色樹脂部材と、透光性の母材を含み、前記複数の発光素子を封止するモールド樹脂と、を備え、平面視において、前記第1着色樹脂部材の少なくとも一部は、前記第1凹部における前記第1発光素子の周辺に位置し、前記第2着色樹脂部材の少なくとも一部は、前記第2凹部における前記第2発光素子の周辺に位置し、前記第3着色樹脂部材の少なくとも一部は、前記第3凹部における前記第3発光素子の周辺に位置しており、前記モールド樹脂は、前記パッケージの前記主面および前記複数の発光素子を覆うベース部と、前記ベース部と一体的に形成された複数のレンズ部と、を有し、前記複数のレンズ部のそれぞれは、前記ベース部から上方に突出した凸形状を有し、前記複数のレンズ部は、平面視において、前記第1凹部、前記第1発光素子および前記第1着色樹脂部材と重なる第1レンズ部と、前記第2凹部、前記第2発光素子および前記第2着色樹脂部材と重なる第2レンズ部と、前記第3凹部、前記第3発光素子および前記第3着色樹脂部材と重なる第3レンズ部と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示の実施形態によれば、正面方向に高効率で光を取り出すことができ、かつ、表面実装の可能な多色の発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示による一実施形態の発光装置の概略斜視図である。
図2A図2Aは、図1に示す発光装置の概略上面透視図である。
図2B図2Bは、図2Aに示す2B-2B線における概略断面図である。
図2C図2Cは、パッケージの概略上面図である。
図3A図3Aは、図1に示す発光装置の製造工程を示す工程断面図である。
図3B図3Bは、図1に示す発光装置の製造工程を示す工程断面図である。
図3C図3Cは、図1に示す発光装置の製造工程を示す工程断面図である。
図3D図3Dは、図1に示す発光装置の製造工程を示す工程断面図である。
図3E図3Eは、図1に示す発光装置の製造工程を示す工程断面図である。
図3F図3Fは、図1に示す発光装置の製造工程を示す工程断面図である。
図4図4は、本開示による他の発光装置の概略斜視図である。
図5A図5Aは、本開示による他の発光装置の概略上面透視図である。
図5B図5Bは、図4に示す発光装置をy軸方向から見たときの概略側面図である。
図5C図5Cは、図4に示す発光装置をx軸方向から見たときの概略側面図である。
図5D図5Dは、発光素子が実装されたパッケージの、図5Aに示す5D-5D線における概略断面図である。
図6図6は、図4に示す発光装置の他の例を示す概略上面透視図である。
図7A図7Aは、本開示による他の発光装置3000の概略上面透視図である。
図7B図7Bは、図7Aに示す7B-7B線における概略断面図である。
図8図8は、本開示による他の発光装置4000の概略上面透視図である。
図9図9は、本開示による他の発光装置5000の概略上面透視図である。
図10図10は、反射率および光沢度の測定方法を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明の実施形態について適宜図面を参照して説明する。但し、以下に説明する発光装置は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。また、一つの実施形態において説明する内容は、他の実施形態及び変形例にも適用可能である。さらに、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0012】
以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。あるいは、説明で参照しない構成要素に参照符号を付さない場合がある。以下の説明では、特定の方向または位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」およびそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向または位置をわかり易さのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向または位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品、製造装置等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。
【0013】
(実施形態)
図1は、本開示による実施形態の発光装置1000の概略斜視図である。
【0014】
図1には、互いに直交するx軸、y軸およびz軸を示す矢印があわせて示されている。本開示の他の図面においてもこれらの方向を示す矢印を図示することがある。図1に例示する構成において、発光装置1000の上面視における外形は、概ね矩形形状を有している。矩形形状の外形の各辺は、図中に示すx軸またはy軸に平行である。z軸は、x軸およびy軸に垂直である。なお、発光装置1000の上面視における外形は矩形状でなくてもよい。
【0015】
図2Aは、発光装置1000の概略上面透視図である。図2Bは、図2Aに示す2B-2B線における概略断面図である。
【0016】
図2Bに示すように、発光装置1000は、表面実装用のパッケージ100と、複数の発光素子50と、複数の発光素子50を封止するモールド樹脂60とを備える。
【0017】
パッケージ100は、複数のリード10および第1暗色系樹脂40を含む。複数のリード10のうち1つ以上のリードは、発光素子50を配置するための第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23(以下、「凹部20」と総称することがある)を有している。図2Aに示すように、複数のリード10のうちの3つのリードが、それぞれ、1つずつ凹部20を有していてもよい。あるいは、1つのリードが2以上の凹部20を有していてもよい。
【0018】
複数の発光素子50は、それぞれ、対応する1つの凹部20に配置されている。本実施形態では、複数の発光素子50は、第1光を発する第1発光素子51と、第1光よりも短波長側の第2光を発する第2発光素子52と、第2光よりも短波長側の第3光を発する第
3発光素子53とを含む。第1発光素子51は、第1凹部21に配置されている。第2発光素子52は第2凹部22に配置されている。第3発光素子53は第3凹部23に配置されている。
【0019】
各凹部20には、着色樹脂部材160が配置されている。着色樹脂部材160は、その凹部20内の発光素子50の発する色と同系色に着色されている。平面視において、着色樹脂部材160の少なくとも一部は、凹部20における発光素子50の周辺に位置している。つまり、平面視において、凹部20のうち発光素子50と重なっていない領域の少なくとも一部は、着色樹脂部材160で覆われている。
【0020】
モールド樹脂60は、ベース部61、および、ベース部61と一体的に形成された複数のレンズ部70を有する。複数のレンズ部70のそれぞれは、複数の発光素子50のうちの対応する1つに対応している。各レンズ部70は、対応する1つの発光素子50が配置された凹部20の上方(出射側)に、凹部20、発光素子50および着色樹脂部材160を覆うように配置されている。
【0021】
本実施形態によると、表面実装用のパッケージ100を備えた、リフローはんだによって実装可能な多色の発光装置1000が提供される。
【0022】
本実施形態では、各発光素子50は、リード10の凹部20に配置され、かつ、各発光素子50の出射側にはレンズ部70が設けられている。これにより、従来のSMDタイプの発光装置よりも高い効率で正面方向に光を取り出すことができる。詳細は後述する。
【0023】
さらに、各凹部20内には、発光素子50と、その発光素子50の発光色と同系色に着色された着色樹脂部材160とが配置されている。着色樹脂部材160の少なくとも一部は、平面視において、凹部20における発光素子50の周辺に位置している。これにより、発光素子50の点灯時には発光色を妨げることなく、発光素子50の消灯時に、リード10の凹部20で外光が反射することによるコントラストの低下を抑制できる。また、第1発光素子51、第2発光素子52および第3発光素子53が全て消灯している時には、3つの着色樹脂部材160の色の減法混色によって、着色樹脂部材160は、着色された色よりも暗い色、すなわち明度の低い色に見える。このような効果を「暗色効果」と呼ぶ。暗色効果によって、発光装置1000の出射面が暗く見えるので、表示コントラストをさらに向上できる。
【0024】
以下、各構成要素を詳細に説明する。
【0025】
[パッケージ100]
図2Bに示すように、パッケージ100は、主面100aと、主面100aの反対側の裏面100bとを有する。パッケージ100の裏面100bは、発光装置1000を実装基板に固定する際の、各リード10の実装面を含む。
【0026】
図2Cは、パッケージ100の概略上面図である。図2Bおよび図2Cに示すように、パッケージ100は、複数のリード10と、複数のリード10の少なくとも一部を固定する第1暗色系樹脂40とを含む。第1暗色系樹脂40は、複数のリード10と一体的に形成されている。パッケージ100は、トランスファーモールド成形、インサート成形などによって形成され得る。
【0027】
図2Cに例示する構成では、上面視におけるパッケージ100の主面100aの形状は四角形である。主面100aの四角形の各辺は、x軸またはy軸に平行である。なお、上面視における主面100aの形状は、四角形以外の形状を有していてもよく、例えば、略
三角形、略四角形、略五角形、略六角形又は他の多角形形状や円形形状や楕円形状等の曲線を有する形状を有していてもよい。
【0028】
[リード10]
複数のリード10は、それぞれ、導電性を有し、対応する発光素子50に給電するための電極として機能する。
【0029】
図2Bに例示した構成では、複数のリード10のそれぞれは、パッケージ100の主面100aに露出する部分を含む第1部分91と、パッケージ100の裏面100b側に位置する第3部分93と、第1部分91と第3部分93との間に位置し、かつ、発光装置1000の側面に沿って延びる第2部分92とを有するように折り曲げられている。第3部分93は、パッケージ100の側面から外側に延びてもよいし、内側に延びてもよい。第3部分93の裏面は、パッケージ100の裏面100bに露出しており、発光装置1000を実装基板に固定する際の実装面となる。
【0030】
複数のリード10のそれぞれは、パッケージ100の主面100aに第1暗色系樹脂40から露出した露出領域30を有している。露出領域30は、発光素子50と電気的に接続するためのワイヤボンディングに使用される。
【0031】
複数のリード10のうち1つ以上のリードは、第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23を有している。第1凹部21には第1発光素子51が実装される。同様に、第2凹部22には第2発光素子52、第3凹部23には第3発光素子53が実装される。
【0032】
第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23は、複数のリード10の露出領域30のいずれか1つ以上に配置されている。
【0033】
第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23は、それぞれ、3つの異なるリード10の露出領域30に配置されていてもよい。これにより、第1発光素子51、第2発光素子52および第3発光素子53の放熱経路を互いに分離できるので、各発光素子50で生じた熱を効率よく放熱できる。
【0034】
または、第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23のうちの少なくとも2つの凹部は、1つのリード10の露出領域30に配置されていてもよい。これにより、少なくとも2つの凹部20の間隔を狭くできるので、パッケージ100のサイズを小さくできる。例えば、第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23が、いずれも、1つのリード10に配置されていてもよい。第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23のうちの2つの凹部が1つのリード10に配置され、残りの1つの凹部が他のリード10に配置されていてもよい。言い換えると、複数のリード10のうちの1つのリードの露出領域30に、第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23のうちの2つの凹部が配置され、その1つのリードと同じまたは異なるリードの露出領域30に、第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23のうちの他の1つの凹部(すなわち上記2つの凹部以外の1つの凹部)が配置されていてもよい。
【0035】
凹部20の形状は、平面視において、円形または楕円形であってもよい。図2Aに示す例では、凹部20は円形である。なお、凹部20の平面視における形状は、円形および楕円形以外の形状であってもよい。
【0036】
複数のリード10のそれぞれは、ワイヤを介して、発光素子50の少なくとも1つに電気的に接続されている。本明細書では、リード10の露出領域30のうちワイヤが接続された部分を「ワイヤ接続部」と呼ぶ。各リード10は、露出領域30のうち第1凹部21
、第2凹部22および第3凹部23を除く領域に、ワイヤ接続部を少なくとも1つ有している。ワイヤ接続部は、各リード10の露出領域30のうちレンズ部70で覆われる部分に配置されてもよい。後述するように、ワイヤ接続部は、第2暗色系樹脂150で覆われていてもよい。
【0037】
複数のリード10の露出領域30のうち第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23を除く領域の表面粗さは、複数のリード10の露出領域30以外の領域の表面粗さよりも大きくてもよい。これにより、パッケージ100の主面100aに入射する外光等の光を散乱させることができる。この結果、外光反射が抑制されるので、外光反射に起因するコントラストの低下を抑制できる。
【0038】
複数のリード10は、表面にメッキ層などの金属層を有してもよい。リード10の光沢度(メッキ層などの金属層を有する場合には、金属層の光沢度)は特に限定されない。例えば、複数のリード10の露出領域30のうち、第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23の光沢度G1と、露出領域30のうち第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23を除く領域の光沢度G2と、複数のリード10の表面のうち露出領域30以外の領域、すなわち第1暗色系樹脂40に覆われている領域の光沢度G3とが、それぞれ、設定されていてもよい。リード10の各領域の光沢度を調整することで、発光装置1000の外光反射を抑制しつつ、明るさを向上させることができる。なお、各領域の光沢度は、例えば、その領域の表面粗さによって調整され得る。具体的には、リード10の表面のうち表面粗さの大きい領域の光沢度は、表面粗さの小さい領域の光沢度よりも低くなる。表面にメッキ層などの金属層を有している複数のリード10の場合、各領域の光沢度は、例えば、複数のリード10の素地(メッキ層の下地)の粗さや、メッキ液に添加する光沢剤の量により調整することができる。
【0039】
露出領域30のうち第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23の光沢度G1は、所望の指向特性に合わせて、0以上2.0以下の範囲から選択されることが好ましい。光沢度G1が低い場合は、リード10の各凹部20に配置された発光素子50から出射した光が、凹部20の表面で散乱するので、指向角を広くできる。指向角をより効果的に広げるためには、光沢度G1は、例えば0以上0.8未満であることが好ましい。一方、光沢度G1が高い場合は、各凹部20に配置された発光素子50から出射した光は、凹部20表面で散乱されにくいので、指向角を狭くできる。指向角を狭くすることで、正面方向への光の取り出し効率を向上できる。光の取り出し効率より効果的に高めるためには、光沢度G1は、例えば0.8以上であることが好ましい。
【0040】
露出領域30のうち第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23を除く領域の光沢度G2は、コントラストを向上させる観点から、低く設定されることが好ましい。光沢度G2を低く設定することで、太陽光などの外光をリード10の表面で散乱させることができるので、外光反射に起因するコントラストの低下を抑えることができる。光沢度G2は、例えば0以上0.2以下であることが好ましい。光沢度G2は、光沢度G1よりも低くてもよい。例えば、露出領域30のうち凹部20を除く領域の表面粗さを、各凹部20の表面粗さよりも大きくすることで、光沢度G2を光沢度G1よりも低くできる。リード10の表面粗さを部分的に異ならせる方法は特に限定しない。例えば、銅などの基材(以下、「リード基材」と呼ぶ。)に第1メッキ層を形成し、第1メッキ層の一部上のみに、第1メッキ層とは表面粗さの異なる第2メッキ層を形成してもよい。これにより、第1メッキ層が露出している部分と、第2メッキ層を形成した部分とで、表面粗さを異ならせることができる。詳細は後述する。
【0041】
複数のリード10の表面のうち暗色系樹脂40で覆われた領域は、粗面化されていることによって低い光沢度G3を有することが好ましい。リード10の表面のうち暗色系樹脂
40で覆われた領域を粗面化することで、暗色系樹脂40との密着性を高くできる。光沢度G3は、光沢度G1よりも低くてもよい。光沢度G3は、光沢度G2と同程度であってもよい。光沢度G3は、例えば0以上0.2以下であってもよい。
【0042】
光沢度は、各種光沢計を用いて測定することができる。本明細書では、JIS Z 8722条件aで規定される方法に準拠してリード10の表面の反射率Yを測定し、反射率Yから光沢度を算出する。反射率Yの測定には、日本電色工業製微小面積色差計VSR-300Aを用いる。
【0043】
図10は、反射率Yの測定方法を示す概略断面図である。図10に示すように、測定する試料181(ここではリード10)を設置し、試料181の表面の法線に対してプラス45度およびマイナス45度傾斜した方向に、それぞれ、光源183を配置する。また、試料181の法線方向(法線に対する角度:0度)に受光器185を配置する。光源183から試料181に光を入射させ、試料181で法線方向に反射した光を受光器185で受光することにより、反射率Yを測定する。反射率Yは、入射光に対する、試料181で法線方向に反射した光の割合(%)である。光沢度は、2-LogYにより求めることができる。
【0044】
本実施形態では、複数のリード10は、3対のリードを含む。各リード対の一方は、発光素子50を配置するための凹部20を有してもよい。
【0045】
図2Aおよび図2Cに示す例では、複数のリード10は、第1凹部21を有する第1リード11aと、第2凹部22を有する第2リード12aと、第3凹部23を有する第3リード13aとを含む。複数のリード10は、さらに、第4リード11bと、第5リード12bと、第6リード13bとを含む。
【0046】
第1リード11aおよび第4リード11bは第1リード対、第2リード12aおよび第5リード12bは第2リード対、第3リード13aおよび第6リード13bは第3リード対をそれぞれ構成している。第1リード対は、ワイヤ81、84を介して第1発光素子51に電気的に接続されている。第2リード対は、ワイヤ82、85を介して第2発光素子52に電気的に接続されている。第3リード対は、ワイヤ83、86を介して第3発光素子53に電気的に接続されている。
【0047】
第1リード11a、第2リード12a、第3リード13a、第4リード11b、第5リード12bおよび第6リード13bは、それぞれ、パッケージ100の主面100aに露出した露出領域30を有している。本明細書では、第1リード11a、第2リード12a、第3リード13a、第4リード11b、第5リード12bおよび第6リード13bにおける露出領域30を、それぞれ、第1領域31、第2領域32、第3領域33、第4領域34、第5領域35および第6領域36と呼ぶ。
【0048】
第1領域31は、第1凹部21と、第1凹部21の周辺に位置する周辺部31rとを含む。周辺部31rは、第1領域31のうち第1凹部21を除く領域を指す。同様に、第2領域32は、第2凹部22と、第2凹部22の周辺に位置する周辺部32rとを含み、第3領域33は、第3凹部23と、第3凹部23の周辺に位置する周辺部33rとを含む。
【0049】
第1リード11aの周辺部31rは、ワイヤ81が接続されたワイヤ接続部w1を有している。同様に、第2リード12aの周辺部32rおよび第3リード13aの周辺部33rは、それぞれ、ワイヤ82、83が接続されたワイヤ接続部w2、w3を有している。また、第4リード11b、第5リード12bおよび第6リード13bも、それぞれ、ワイヤ84、85、86が接続されたワイヤ接続部w4、w5、w6を有している。
【0050】
第1領域31の周辺部31rの表面粗さは、第1リード11aにおける第1領域31以外の領域の表面粗さよりも大きくてもよい。同様に、第2領域32の周辺部32rおよび第3領域33の周辺部33rの表面粗さは、それぞれ、第2リード12aにおける第2領域32以外の領域および第3リード13aにおける第3領域33以外の領域の表面粗さよりも大きくてもよい。これにより、前述したように、外光反射に起因するコントラストの低下を抑制できる。
【0051】
パッケージ100の主面100aにおいて、第4リード11bと、第5リード12bと、第6リード13bの端部におけるx軸方向に延びる側面には、凹部19が形成されていてもよい。これにより、パッケージ100を作製する際に、第1暗色系樹脂40とリードフレームとのより確実な係合を確保できる。
【0052】
第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23は、図2Aに例示するように、平面視において、第1の方向(ここではy軸方向)に配列されていてもよい。あるいは、第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23のうち、x軸方向またはy軸方向において中央に位置する凹部(ここでは第2凹部22)の中心が、他の2つの凹部の中心を結ぶ線上に位置しないように配置されていてもよい。これにより、第1発光素子51、第2発光素子52および第3発光素子53をより近接して配置することができる。また、パッケージ100の主面100aの面積を低減できる。
【0053】
図2Aに例示する構成では、パッケージ100の主面100aにおいて、第1リード対、第2リード対および第3リード対は、y軸方向に配列されている。主面100aにおいて、各リード対を構成する2つのリードの端部は、互いに離間して、対向して配置されている。
【0054】
リード10は、基材および基材の表面を被覆する金属層によって構成されていてもよい。基材は、例えば、銅、アルミニウム、金、銀、鉄、ニッケル、又はこれらの合金、燐青銅、鉄入り銅などの金属を含む。これらは単層であってもよいし、積層構造(例えば、クラッド材)であってもよい。基材には銅を用いてもよい。金属層は、例えばメッキ層である。金属層は、例えば、銀、アルミニウム、ニッケル、パラジウム、ロジウム、金、銅、又はこれらの合金などを含む。リード10がこのような金属層を有することにより、光反射性及び/又は後述する金属ワイヤ等との接合性を高めることができる。
【0055】
[第1暗色系樹脂40]
第1暗色系樹脂40は、発光素子50と外部とを電気的に遮断させるために絶縁性を有する。第1暗色系樹脂40のうち少なくともパッケージ100の主面100a側、すなわち発光観測面側に位置する部分は、黒、灰色などの暗色系に着色されている。第1暗色系樹脂40全体が暗色系に着色されていてもよい。これにより、パッケージ100の主面100aにおいて、外光等が反射することによるコントラストの低下を抑制できる。なお、本明細書における「暗色系」とはマンセル表色系(20色相)において、明度4.0以下の色を指す。色相については、特に限定されず、彩度は必要に応じて任意に決定することができる。
【0056】
図2Bに示すように、第1暗色系樹脂40は、パッケージ100の裏面100bにおいて、第2の方向(ここではy軸方向)に延びる複数の溝140を有している。所定の方向に延びる溝140を形成することにより、トランスファー成形法によってモールド樹脂60を形成する際に、樹脂流れ特性を向上できる。また、モールド樹脂60と第1暗色系樹脂40との接触面積を増加させることができるので、これらの密着性を高めることができる。
【0057】
溝140の延びる第2の方向は、平面視において、2以上のリード10が配列されている方向と同じであってもよい。この例では、溝140の延びる第2方向は、第1リード11a、第2リード12aおよび第3リード13aが配列されている方向(y軸方向)と同じである。これにより、樹脂流れ特性をさらに高めることができる。
【0058】
第1暗色系樹脂40は、複数のリード10の少なくとも一部を保持することの可能な形状を有していればよく、図示した形状に限定されない。好ましくは、第1暗色系樹脂40は、第1リード11a、第2リード12aおよび、第3リード13aを一体的に固定する。より好ましくは、第1暗色系樹脂40は、複数のリード10(ここでは、第1リード11aを含む第1リード対、第2リード12aを含む第2リード対、および、第3リード13aを含む第3リード対)を一体的に固定する。第1暗色系樹脂40によって各リード10を強固に固定することで、トランスファー成形法によってモールド樹脂60を形成する際に、リード10の振動を抑制できる。
【0059】
第1暗色系樹脂40は、パッケージ100の主面100aにおいて、各リード10のうち、ワイヤボンディングに使用される部分を露出するように配置されている。この例では、図2Aおよび図2Cから分かるように、第1暗色系樹脂40は、パッケージ100の主面100aにおいて、第1リード11aの第1領域31、第2リード12aの第2領域32、第3リード13aの第3領域33、第4リード11bの第4領域34、第5リード12bの第5領域35および第6リード13bの第6領域36を露出するように配置されている。
【0060】
第1暗色系樹脂40の材料として、熱膨張率が小さく、かつ、モールド樹脂60との接着性に優れた材料を選択してもよい。第1暗色系樹脂40の熱膨張率は、モールド樹脂60の熱膨張率と略等しくてもよいし、発光素子50からの熱の影響を考慮して、モールド樹脂60の熱膨張率よりも小さくてもよい。
【0061】
第1暗色系樹脂40は、例えば、熱可塑性樹脂を用いて形成することができる。熱可塑性樹脂として、芳香族ポリアミド系樹脂、ポリフタルアミド樹脂(PPA)、サルホン系樹脂、ポリアミドイミド樹脂(PAI)、ポリケトン樹脂(PK)、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ABS樹脂、PBT樹脂等の熱可塑性樹脂などを用いることができる。なお、これらの熱可塑性樹脂にガラス繊維を含有させたものを熱可塑性材料として使用しても構わない。このようにガラス繊維を含有させることにより、高剛性を有し、高強度なパッケージを形成することが可能である。なお、本明細書において熱可塑性樹脂とは、加熱すると軟化さらには液状化し、冷却すると固化する線状の高分子構造を有する物質をいう。このような熱可塑性樹脂として、たとえばスチレン系、アクリル系、セルロース系、ポリエチレン系、ビニル系、ポリアミド系、フッ(弗)化炭素系の樹脂などがある。
【0062】
あるいは、第1暗色系樹脂40は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いて形成されたものでもよい。
【0063】
第1暗色系樹脂40の樹脂材料には、暗色系に着色させる着色剤が添加されていてもよい。着色剤として、種々の染料や顔料が好適に用いられる。具体的には、Cr、MnO、Fe、カーボンブラックなどが挙げられる。着色剤の添加量は、母材となる樹脂材料に対して、例えば、0.3%以上1.5%以下、好ましくは0.5%以上1.0%以下であってもよい。一例として、熱可塑性樹脂材料として、例えば、ポリフタルアミド(PPA)にカーボン等の暗色系の粒子を少量添加したものを用いてもよい。
【0064】
[発光素子50]
発光素子50は、半導体レーザー、発光ダイオード等の半導体発光素子である。各発光素子50の発光波長は任意に選択し得る。各発光素子50の発光波長は、複数の発光素子50の点灯時に、白色または電球色の混色光が得られるように選択されてもよい。例えば、第1発光素子51は、赤色を発する赤色発光素子であり、第2発光素子52は、緑を発する緑色発光素子であり、第3発光素子53は、青色を発する青色発光素子であってもよい。発光素子の数および発光色の組み合わせは一例であって、この例に限られない。
【0065】
青色、緑色の発光素子としては、ZnSeや窒化物系半導体(InAlGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を用いた発光素子を用いることができる。例えば、サファイア等の支持基板上に、GaNを含む半導体層が形成された発光素子を用いてもよい。赤色の発光素子としては、GaAs、AlInGaP、AlGaAs系の半導体などを用いることができる。例えば、シリコン、窒化アルミニウム、サファイア等の支持基板上に、AlInGaPを含む半導体層が形成された発光素子を用いてもよい。さらに、これ以外の材料からなる半導体発光素子を用いることもできる。発光素子の組成や発光色、大きさや、個数などは目的に応じて適宜選択することができる。
【0066】
また、窒化物系半導体等から構成される半導体チップの周囲に、半導体チップの発光を波長変換する蛍光体を配置することによって、任意の発光を得ることができる。本明細書では、「発光素子50」は、窒化物系半導体等から構成される半導体チップだけではなく、半導体チップおよび蛍光体から構成される素子を含む。蛍光体としては、具体的には、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット、ユウロピウムおよび/若しくはクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム(カルシウムの一部をストロンチウムで置換可)、ユウロピウムで賦活されたサイアロン、ユウロピウムで賦活されたシリケート、ユウロピウムで賦活されたアルミン酸ストロンチウム、マンガンで賦活されたフッ化珪酸カリウムなどを用いることができる。一例として、第1発光素子51、第2発光素子52および第3発光素子53は、いずれも、青色を発光する半導体チップを有してもよい。この場合、これらの発光素子のうちの少なくとも2つにおいて、半導体チップの周囲に蛍光体を配置することによって、第1発光素子51、第2発光素子52および第3発光素子53の発光色を互いに異ならせることができる。
【0067】
第1発光素子51、第2発光素子52および第3発光素子53は、それぞれ、樹脂、半田、導電性ペースト等の接合部材によって、複数のリード10のうちの1つ以上のリードにおける第1凹部21の底面、第2凹部22の底面、および第3凹部23の底面に接合されている。
【0068】
第1発光素子51の正負電極は、それぞれ、ワイヤ81、84によって、第1リード対における第1リード11aおよび第4リード11bに電気的に接続されている。例えば、ワイヤ81の一端は、第1リード11aの第1領域31のうち第1凹部21以外の領域(周辺部)31rに接続され、他端は、第1発光素子51の正負電極の一方に接続されている。また、ワイヤ84の一端は、第4リード11bの第4領域34に接続され、他端は、第1発光素子51の正負電極の他方に接続されている。同様に、第2発光素子52の正負電極は、それぞれ、ワイヤ82、85によって、第2リード対における第2リード12aの第2領域32の周辺部32rおよび第5リード12bの第5領域35に接続されている。第3発光素子53の正負電極は、それぞれ、ワイヤ83、86によって、第3リード対における第3リード13aの第3領域33の周辺部33rおよび第6リード13bの第6領域36に接続されている。
【0069】
ワイヤ81~86は、金、銀、銅、プラチナ、アルミニウム又はこれらの合金の金属線
を用いることができる。この中でも、優れた延性を備える金ワイヤや、金ワイヤよりも反射率が高い金銀合金ワイヤを用いることが好ましい。
【0070】
[着色樹脂部材]
着色樹脂部材160は、複数の発光素子50のそれぞれに対応付けて配置されている。本実施形態では、着色樹脂部材160は、第1リード11aの第1凹部21内に配置された第1着色樹脂部材161と、第2リード12aの第2凹部22内に配置された第2着色樹脂部材162と、第3凹部23内に配置された第3着色樹脂部材163とを含む。
【0071】
第1着色樹脂部材161は、第1発光素子51の発する第1光と同系色に着色されている。第2着色樹脂部材162は、第2発光素子52の発する第2光と同系色に着色されている。第3着色樹脂部材163は、第3発光素子53の発する第3光と同系色に着色されている。
【0072】
本明細書において、「同系色」とは、マンセル表色系(20色相)において、色相が色相環の3レンジ以内であり、且つ、明度が3レンジ以内であり、且つ、彩度が3レンジ以内であることを意味する。すなわち、マンセル表色系(20色相)の等色相面において、色相、明度、彩度とも両隣までが同系色とする。
【0073】
平面視において、第1着色樹脂部材161の少なくとも一部は、第1凹部21における第1発光素子51の周辺に位置している。つまり、平面視において、第1着色樹脂部材161は、第1凹部21における第1発光素子51と重ならない領域(以下、「素子周辺領域」)の少なくとも一部に配置されている。同様に、第2着色樹脂部材162の少なくとも一部は、第2凹部22における第2発光素子52の周辺に位置し、第3着色樹脂部材163の少なくとも一部は、第3凹部23における第3発光素子53の周辺に位置している。これにより、発光素子50の消灯時に、各凹部20の素子周辺領域で外光が反射することによる表示コントラストの低下を抑制できる。また、暗色効果により表示コントラストを向上できる。
【0074】
各着色樹脂部材160は、対応する発光素子50の側面の少なくとも一部を覆っていてもよい。これにより、表示コントラストをより効果的に高めることができる。
【0075】
各着色樹脂部材160は、対応する発光素子50を覆うように(すなわち発光素子50の上面および側面を覆うように)配置されてもよい。図示する例では、第1着色樹脂部材161は、第1凹部内21に、第1発光素子51を覆うように配置されている。同様に、第2着色樹脂部材162は、第2凹部22内に、第2発光素子52を覆うように配置され、第3着色樹脂部材163は、第3凹部23内に、第3発光素子53を覆うように配置されている。これにより、より高い暗色効果が得られるので、表示コントラストをさらに向上できる。
【0076】
着色樹脂部材160は、母材としての樹脂材料と、着色剤とを含む。着色樹脂部材160の母材は、例えば、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、シリコーン樹脂などの耐候性および透光性に優れた熱硬化性樹脂などが用いられる。なお、本明細書中における熱硬化性樹脂とは、加圧下で加熱すると硬化するプラスチックをいう。熱硬化性樹脂は、いったん硬化すると最初の性質を損うことなく再溶融、または再成形できない。このような熱硬化性樹脂として、たとえばエポキシ系、メラミン系、フェノール系、尿素系の樹脂が挙げられる。
【0077】
樹脂材料に含有させる着色剤として、種々の染料、顔料などを用いることができる。着色剤は無機部材であってもよいし、有機部材であってもよい。具体的にはペリレン系レッド、縮合アゾ系レッド、キナクリドン系レッド、銅フタロシニアンブルー、銅フタロシニ
アングリーン、クルクミン、コールタール染料などが挙げられる。樹脂材料に着色剤を含有させることで、前述したような暗色効果が得られる。なお、着色剤の含有量が多くなると、光の取り出し効率が低下するおそれがある。このため、着色剤の含有量は、光の取り出し効率を確保しつつ、暗色効果によって高い表示コントラストを実現し得るように選択されることが好ましい。
【0078】
[第2の暗色系樹脂]
発光装置1000は、パッケージ100の主面100aとモールド樹脂60との間に、第2暗色系樹脂150をさらに備えていてもよい。第2暗色系樹脂150は、少なくとも1つのリード10におけるワイヤ接続部を覆うように配置されている。これにより、ワイヤ接続部に起因するコントラストの低下を抑制できる。また、リード10のうち、パッケージ100の主面100aに露出した部分による外光反射をさらに抑制できる。
【0079】
第2暗色系樹脂150は、第1暗色系樹脂40と同様の樹脂材料および着色剤を用いて形成されてもよい。第2暗色系樹脂150として、例えば、カーボンブラックを添加したシリコーン樹脂材料を用いることができる。
【0080】
図2Aに示す例では、第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23は第1の方向(ここではy軸方向)に配列されている。第2暗色系樹脂150は、2以上(ここでは3つ)のリード10のワイヤ接続部を覆うように、第1の方向(ここではy軸方向)に延びていてもよい。例えば、図示するように、第2暗色系樹脂150は、互いに離間して配置され、かつ、y軸方向に延びる2つの部分151、152を含んでもよい。第2暗色系樹脂150の部分151は、第1リード11a、第2リード12aおよび第3リード13aにおけるワイヤ接続部w1、w2、w3を覆うように延びている。部分152は、第4リード11b、第5リード12bおよび第6リード13bにおけるワイヤ接続部w4、w5、w6を覆うように延びている。部分152は、例えば、第4リード11bの第4領域34、第5リード12bの第5領域35および第6リード13bの第6領域36の全体を覆っていてもよい。
【0081】
パッケージ100の主面100aにおいて、リード10のうち凹部20およびその近傍の領域を除く領域全体が、第2暗色系樹脂150で覆われていてもよい。これにより、リード10による外光反射に起因する表示コントラストの低下をより効果的に抑制できる。
【0082】
なお、第2暗色系樹脂150の形状は、図示した形状に限定されない。例えば、第2暗色系樹脂150は、3以上の部分に分離されていてもよい。
【0083】
[モールド樹脂]
モールド樹脂60は、ベース部61と複数のレンズ部70とを含む。ベース部61とレンズ部70とは一体的に成形されている。後述するように、ベース部61およびレンズ部70は、例えば、トランスファー成形法によって一体的に形成されてもよい。第1暗色系樹脂40に複数の溝140が形成されている場合には、トランスファー成形時に、溝140の延びる方向に沿って樹脂を流すことにより、樹脂流れをより均一にできる。
【0084】
[ベース部61]
モールド樹脂60におけるベース部61は、パッケージ100の主面100aおよび複数の発光素子50を覆う。ベース部61は、発光素子50を封止するとともに、ベース部61に一体形成されたレンズ部70を所定の位置に保持する機能を有する。
【0085】
本実施形態では、ベース部61は、例えば、パッケージ100の主面100aの上方に位置する上面61aを有する。ベース部61は、パッケージ100の主面100aのみで
なく、裏面100bの少なくとも一部を覆っていてもよい。例えば、ベース部61の一部は、パッケージ100の裏面100bに形成されてもよい。ここでは、ベース部61の一部は、第1暗色系樹脂40の溝140の内部に位置している。このように、モールド樹脂60のベース部61を、パッケージ100の裏面100bにも配置することで、レンズ部70の剥がれ、ずれ等を抑制でき、レンズ部70をより安定的に保持できる。なお、ベース部61の形状、光透過率などは、特に限定されない。
【0086】
図示する例では、ベース部61は、パッケージ100の主面100a側に位置する上側部分61Uと、パッケージ100の裏面100b側に位置する下側部分61Lとを含む。上側部分61Uは、パッケージ100の第1暗色系樹脂40の上面よりも一回り大きい上
面61aと、上面61aから連続して形成される側面61bとを有する四角錘台形を有している。ベース部61の上側部分61Uの上面61aは、レンズ部70に接する部分と、
平面視において複数のレンズ部70に重ならない部分とを含む。
【0087】
ベース部61の上側部分61Uの表面粗さは、特に限定されないが、表示コントラストを向上させる観点から、大きい方が好ましい。例えばベース部61の上側部分61Uの表面の一部または全体は、粗面化されていてもよい。少なくとも、ベース部61の上側部分61Uの上面61aのうち平面視において複数のレンズ部70に重なっていない部分は、粗面化されていることが好ましい。ベース部61の上側部分61Uの側面61bも粗面化されていてもよい。上面61aの表面粗さと側面61bの表面粗さは、同じでもよいし異
なっていてもよい。加工のしやすさから、上面61aおよび側面61bの表面粗さは同じであることが好ましい。ベース部61の上側部分61Uの表面粗さが大きいことで、太陽光などの外光をベース部61の表面で散乱させることができ、反射強度を抑えることができる。これにより、外光反射に起因するコントラストの低下を抑制できる。なお、ベース部61の下側部分61Lの表面粗さは、特に限定されないが、上側部分61Uの表面粗さよりも小さくてもよい。
【0088】
ベース部61の上面61aのうち平面視において複数のレンズ部70に重なっていない部分の表面粗さは、例えばレンズ部70の表面粗さよりも大きくてもよい。このような構造は、例えば、ベース部61およびレンズ部70を含むモールド樹脂60を形成した後、ベース部61の表面の所定領域に、ブラスト加工などの粗面化加工を行うことで得られる。または、モールド樹脂60の形成に、内表面の一部が粗面化された金型(図3E参照)を用いてもよい。後で詳述するが、例えば、金型の内表面のうち、ベース部61の上側部分61Uの上面61aを形成する部分を粗面化しておくことで、ベース部61の上側部分61Uの上面61aのうち平面視において複数のレンズ部70に重なっていない部分の表面粗さを大きくできる。
【0089】
ベース部61の上側部分61Uの上面61aの算術平均粗さRaは、0.4μm以上5μm以下が好ましい。より好ましくは、Raは0.8μm以上3μm以下である。ベース部61の上側部分61Uの側面61bのRaも、上記と同様の範囲であってもよい。Raは、JIS B 0601-2001の表面粗さの測定方法に準拠して、測定することができる。具体的には、Raは、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸とし、粗さ曲線をy=f(x)としたとき次式で表される。

Raの測定には、接触式表面粗さ測定機、レーザー顕微鏡などを用いることができる。本明細書では、キーエンス製レーザー顕微鏡VK-250を用いる。
【0090】
[レンズ部70]
モールド樹脂60において、複数のレンズ部70は、それぞれ、ベース部61から上方に突出した凸形状を有する。
【0091】
複数のレンズ部70のそれぞれは、発光素子50の1つに対応付けて配置されている。本実施形態では、複数のレンズ部70は、平面視において、第1凹部21、第1発光素子51および第1着色樹脂部材161を覆う第1レンズ部71と、第2凹部22、第2発光素子52および第2着色樹脂部材162を覆う第2レンズ部72と、第3凹部23、第3発光素子53および第3着色樹脂部材163を覆う第3レンズ部73とを含む。このため、平面視において、第1レンズ部71は、第1凹部21、第1発光素子51および第1着色樹脂部材161と重なり、第2レンズ部72は、第2凹部22、第2発光素子52および第2着色樹脂部材162と重なり、第3レンズ部73は、第3凹部23、第3発光素子53および第3着色樹脂部材163と重なっている。各レンズ部70は、対応する発光素子50が配置された露出領域30のうち凹部20以外の少なくとも一部をさらに覆っていてもよい。
【0092】
第1レンズ部71は、第1領域31全体を覆い、第2レンズ部72は、第2領域32全体を覆い、第3レンズ部73は、第3領域33全体を覆っていてもよい。すなわち、平面視において、第1レンズ部71は、第1領域31全体と重なり、第2レンズ部72は、第2領域32全体と重なり、第3レンズ部73は、第3領域33全体と重なっていてもよい。第1レンズ部71は、さらに、第4リード11bの第4領域34の少なくとも一部を覆っていてもよい。同様に、第2レンズ部72は、第5リード12bの第5領域35の少なくとも一部を覆い、第3レンズ部73は、第6リード13bの第6領域36の少なくとも一部を覆っていてもよい。また、平面視において、第1レンズ部71、第2レンズ部72および第3レンズ部73は、それぞれ、第2暗色系樹脂150の一部を覆っていてもよい。すなわち、平面視において、第1レンズ部71は、さらに、第4リード11bの第4領域34の少なくとも一部と重なり、第2レンズ部72は、第5リード12bの第5領域35の少なくとも一部と重なり、第3レンズ部73は、第6リード13bの第6領域36の少なくとも一部と重なっていてもよい。
【0093】
第1発光素子51の発する第1光は、第1レンズ部71を透過して、発光装置1000の出射面から出射する。同様に、第2発光素子52の発する第2光は、第2レンズ部72を透過し、第3発光素子53の発する第3光は、第3レンズ部73を透過する。
【0094】
なお、第1着色樹脂部材161が第1発光素子51を覆っている場合には、第1発光素子51の発する第1光は、第1着色樹脂部材161および第1レンズ部71を透過して、発光装置1000の出射面から出射する。同様に、第2着色樹脂部材162が第2発光素子52を覆っている場合には、第2発光素子52の発する第2光は、第2着色樹脂部材162および第2レンズ部72を透過する。第3着色樹脂部材163が第3発光素子53を覆っている場合には、第3発光素子53の発する第3光は、第3着色樹脂部材163および第3レンズ部73を透過する。
【0095】
第1レンズ部71、第2レンズ部72および第3レンズ部73は、それぞれ、平面視において、楕円形状を有している。楕円形の長軸は、所定方向(ここではx軸方向)に沿った長軸を有する。なお、各レンズ部70の平面視における形状および配置は、光の配光性、集光性等を考慮して適宜選択され得る。
【0096】
本実施形態では、各発光素子50の上方(出射側)に配置されたレンズ部70によって、発光装置1000の指向特性を、水平方向に広く、かつ、垂直方向に狭くなるように制御できる。図示する例では、レンズ部70は、平面視において、x軸方向に長軸を有する
楕円形状を有するので、x軸方向に広く、y軸方向に狭い指向特性が得られる。このような指向特性を有する発光装置1000は、LEDディスプレイなどの表示装置に特に好適に使用され得る。
【0097】
第1レンズ部71、第2レンズ部72および第3レンズ部73の光軸は、それぞれ、円形または楕円形を有する第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23の中心と一致していてもよい。これにより、発光装置1000の指向特性の制御性をさらに向上できる。
【0098】
図2Aに例示するように、平面視において、第1レンズ部71、第2レンズ部72および第3レンズ部73は、一列に配置されてもよい。あるいは、第1レンズ部71、第2レンズ部72および第3レンズ部73は、一列に配置されていなくてもよい。例えば、図4を参照して後述するように、第1レンズ部71、第2レンズ部72および第3レンズ部73のうちx軸方向またはy軸方向において中央に位置するレンズ部の中心は、他の2つのレンズ部の中心を結ぶ線上に位置していなくてもよい。このように、レンズ部70をずらして配置することで、発光装置1000を小型化できる。また、第1レンズ部71、第2レンズ部72および第3レンズ部73をより近接して配置できるので、第1レンズ部71、第2レンズ部72および第3レンズ部73の3つの色の混合による暗色効果をさらに向上できる。
【0099】
レンズ部70の表面粗さは、特に限定されないが、正面方向への光の取り出し効率を確保するためには、小さい方が好ましい。レンズ部70の表面粗さは、ベース部61の上面61aの表面粗さよりも小さくてもよい。レンズ部70は粗面化されていないことが好ましい。レンズ部70のRaは、例えば0μm以上0.2μm以下であってもよい。
【0100】
[モールド樹脂60の材料]
モールド樹脂60は、透光性を有する母材を含む。モールド樹脂60は、複数の発光素子50のそれぞれのピーク波長において90%以上の光透過率を有することが好ましい。これにより、発光装置1000の光取り出し効率をさらに高めることができる。また、暗色効果によって表示コントラストをより効果的に向上できる。
【0101】
モールド樹脂60の母材として、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、シリコーン樹脂などの耐候性および透光性に優れた熱硬化性樹脂や硝子などが好適に用いられる。
【0102】
本実施形態におけるモールド樹脂60には、発光装置1000の光の質の均一性を向上させるために光拡散材を含有させることも可能である。モールド樹脂60に光拡散材を含有させることにより、発光素子50から放出される光を拡散させることで光の強度ムラを抑えることができる。このような光拡散材としては、酸化バリウム、チタン酸バリウム、酸化バリウム、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機部材やメラミン樹脂、CTUグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などの有機部材が好適に用いられる。
【0103】
モールド樹脂60に、樹脂の内部応力を緩和させる各種フィラーを含有させてもよい。具体的な材料は光拡散材と同様であるが、光拡散材とは中心粒径(D50)が異なる。本明細書においてフィラーとは、中心粒径が5μm以上100μm以下のものをいう。このような粒径のフィラーを透光性樹脂中に含有させると、光散乱作用により発光装置1000の色度バラツキが改善される他、透光性樹脂の耐熱衝撃性を高めることができる。
【0104】
[効果等]
本実施形態の発光装置1000は、リフローはんだによって表面実装可能な構造を有する。このため、フローはんだによって実装される従来のランプタイプの発光装置よりも、実装コストおよび実装工程数を低減できる。
【0105】
また、本実施形態によると、従来のSMDタイプの発光装置よりも高い効率で光を取り出すことができる。従来のSMDタイプの発光装置では、発光素子は、例えば樹脂パッケージに形成された凹部に配置される。凹部の底面および側面は白色樹脂で構成される。これに対し、本実施形態では、各発光素子50は、Ag等の金属で構成されるリード10の凹部20に配置される。金属で構成される凹部20は、白色樹脂からなる凹部よりも高い反射率を有する。このため、本実施形態によると、金属で構成される凹部20によって、発光素子50から出射される光を正面方向に反射させることができるので、白色樹脂からなる凹部に発光素子を配置した従来のSMDタイプの発光装置よりも、正面方向への光の取り出し効率を高めることができる。従って、高輝度の発光装置1000が得られる。また、従来のSMDタイプの発光装置に比べて、より小さい駆動電力で同程度の輝度を実現できるので、発光装置1000の寿命を延ばすことができる。
【0106】
さらに、本実施形態では、発光素子50の出射側に設けられたレンズ部70によって、指向特性を制御することができる。例えば、図2Aに示す構成では、平面視において、各レンズ部70は、x軸方向に長軸を有する楕円形状を有するので、x軸方向に広く、y軸方向に狭い指向特性が得られる。指向特性をこのように制御することで、発光装置1000の正面方向への光の取り出し効率をさらに向上できる。従って、本実施形態によると、LEDディスプレイなどの表示装置に適した指向特性を有し、かつ、正面方向への光の取り出し効率がさらに高められた(つまり輝度および寿命がさらに向上した)発光装置1000が得られる。なお、図2Aに示す構成では、レンズ部70の形状が楕円形であるが、凹部20およびレンズ部70のいずれか一方が楕円形状を有していれば、指向特性を制御することが可能である。
【0107】
従来の発光装置では、発光素子の消灯時に、発光装置に入射した外光等が、発光素子の周囲で反射することによって、表示コントラストを低下させることがある。この問題は、従来の発光装置を、ビルボードのような、屋外で使用される大型の表示装置に使用する場合に特に顕著である。これに対し、本実施形態によると、表示コントラストを向上できる。以下に理由を説明する。
【0108】
本実施形態では、第1凹部21には、第1発光素子51と、第1発光素子51の発光色の同系色に着色された第1着色樹脂部材161とが配置されている。これにより、第1発光素子51の点灯時には発光色を妨げることなく、第1発光素子51の消灯時に、第1凹部21における外光反射に起因する表示コントラストの低下を抑制できる。同様に、第2凹部22に、第2発光素子52と、第2発光素子52の同系色に着色された第2着色樹脂部材162とを配置することによって、第2発光素子52の消灯時に、第2凹部22における外光反射に起因する表示コントラストの低下を抑制できる。また、第3凹部23に、第3発光素子53と、第3発光素子53の発光色の同系色に着色された第3着色樹脂部材163とを配置することによって、第3発光素子53の消灯時に、第3凹部23における外光反射に起因する表示コントラストの低下を抑制できる。
【0109】
さらに、第1発光素子51、第2発光素子52および第3発光素子53の消灯時には、第1着色樹脂部材161、第2着色樹脂部材162および第3着色樹脂部材163の色の減法混色によって、第1着色樹脂部材161、第2着色樹脂部材162および第3着色樹脂部材163は、着色された色よりも暗い色、すなわち明度の低い色に見える。この結果、発光装置1000の出射面が暗く見えるので、表示コントラストをさらに高めることができる。
【0110】
発光装置1000では、第1発光素子51、第2発光素子52および第3発光素子53の点灯時において、第1レンズ部71、第2レンズ部72および第3レンズ部73を透過
した光を混合した光は、例えば、白色または電球色であってもよい。一方、第1発光素子51、第2発光素子52および第3発光素子53の消灯時には、第1着色樹脂部材161、第2着色樹脂部材162および第3着色樹脂部材163は、それぞれ、着色された色よりも明度の低い色、例えば灰色または黒色などの暗色系に見えてもよい。
【0111】
[発光装置1000の製造方法]
以下、発光装置1000の製造方法の一例を説明する。
【0112】
図3A図3Fは、それぞれ、発光装置1000の製造方法を説明するための工程断面図であり、図2Aに示す発光装置1000の上面図において、1つの発光素子50をx軸方向に横切る断面を示している。
【0113】
(第1工程:パッケージ100の準備)
第1工程では、第1暗色系樹脂40および複数のリード10を含むパッケージ100を準備する。ここでは、トランスファーモールド法によってパッケージ100を形成する方法を説明する。
【0114】
まず、図3Aに示すように、複数のリード10を含むリードフレームを準備する。ここでは、銅を基材(リード基材)とし、リード基材の表面に銀のメッキ層が形成されたリード10を用いる。複数のリード10は、例えば、1つのパッケージに対して3対のリードを含む。各リード対は、離間して配置されたリード10a、10bを含む。この例では、各リード対の一方のリード10aは、凹部20を有する。リードフレームは、また、モールド樹脂の材料を注入する際に、樹脂が通過する注入フレームと、ガスを排出するエアベントフレームとを有してもよい。注入フレームおよびエアベントフレームは、平面視において、各リード対とは異なる方向(例えばy軸方向)に延びていてもよい。
【0115】
前述したように、リード基材に、表面粗さの異なるメッキ層を順次形成することで、リード10を形成してもよい。これにより、リード10の表面粗さおよび光沢度を部分的に異ならせることができる。例えば、まず、凹部20を有するリード基材の表面(凹部の表面および凹部を除く領域の表面を含む)に、表面粗さの大きい第1メッキ層(例えば、粗面化メッキ層)を形成する。粗面化メッキ層とは、例えば、光沢度が0.2以下のメッキ層のことを指す。次いで、凹部20を除く領域の少なくとも一部をマスクで覆った状態で、第1メッキ層よりも平滑な表面を有する第2メッキ層(例えば、平滑メッキ層)を形成する。平滑メッキ層とは、例えば、光沢度が0.8以上のメッキ層のことを指す。これにより、各凹部20において、第1メッキ層の表面上に第2メッキ層が形成されるので、凹部20の表面粗さが小さくなる。一方、凹部20以外の、マスクで覆われた領域には、第2メッキ層が形成されないので、その表面粗さは第1メッキ層の表面粗さとなり、凹部20の表面粗さよりも大きくなる。この後、マスクを除去することで、リード10が得られる。なお、マスクの形成方法および除去方法は特に限定されない。また、マスクは、凹部20よりも表面粗さを大きくする領域を覆うように形成されていればよく、凹部20を除く領域全体を覆っていなくてもよい。さらに、第1メッキ層形成時に、第2メッキ層形成予定領域をマスクで覆い、第2メッキ層形成時には、第1メッキ層形成領域をマスクで覆うことで、表面粗さを異ならせることもできる。第1メッキ層および第2メッキ層の材料は同じ(例えば銀メッキ層)であってもよいし、異なっていてもよい。材料が異なる場合、例えば、粗面化メッキ層に反射率の低い金メッキ層を形成し、平滑メッキ層に反射率の高い銀メッキ層を形成してもよい。
【0116】
次に、金型を準備し、金型内にリードフレームを配置する。この後、暗色系に着色された熱可塑性樹脂材料を金型内に注入し、冷却することによって固化させる。これにより、図3Bに示すように、複数のリード10を保持する第1暗色系樹脂40が形成される。こ
のようにして、パッケージ100を得る。リード10a、10bは、それぞれ、パッケージ100の主面100aに露出した露出領域30a、30bを有する。凹部20は、各リード対におけるリード10aの露出領域30aに位置する。
【0117】
(第2工程:発光素子50の実装)
第2工程では、図3Cに示すように、パッケージ100に発光素子50を実装する。
【0118】
まず、パッケージ100の主面100aにおいて、各リード対において、一方のリード10aの凹部20に、例えば導電性ペーストを用いて発光素子50を接合する。
【0119】
次いで、ワイヤ80a、80bによって、各発光素子50の正負電極を、それぞれ、リード対における2つのリード10a、10bの露出領域30a、30bに電気的に接続する。
【0120】
本実施形態では、パッケージ100に、発光色の異なる3つの発光素子50が実装された第1構造体110を形成する。発光素子50は、第1光を発する第1発光素子と、第2光を発する第2発光素子と、第3光を発する第3発光素子とを含む。
【0121】
(第3工程:着色樹脂仮硬化体160aの形成)
続いて、図3Dに示すように、リード10aの凹部20内に着色樹脂仮硬化体160aを形成する。
【0122】
まず、各凹部20内に、発光素子50を覆うように、発光素子50の発光色と同系色に着色された第1樹脂を凹部20に注入する。本実施形態では、第1発光素子、第2発光素子および第3発光素子が配置された凹部に、それぞれ、第1光と同系色に着色された第1樹脂、第2光と同系色に着色された第1樹脂、および、第3光と同系色に着色された第1樹脂を滴下する。第1樹脂として、例えば、着色剤が添加されたエポキシ樹脂を用いる。
【0123】
次いで、第1樹脂を、硬化温度より低い温度で加熱して仮硬化させる。これにより、着色樹脂仮硬化体160aが形成される。
【0124】
また、本実施形態では、発光素子50の実装後、着色樹脂部材160を形成する前または後に、第2暗色系樹脂150を形成する。ここでは、リード10a、10bの露出領域30a、30bとワイヤ80a、80bとの接続部分を覆うように、暗色系に着色された第2樹脂を塗布し、仮硬化させることによって、暗色系樹脂仮硬化体150aを形成する。第2樹脂として、例えば、カーボンブラックを添加したシリコーン樹脂材料を用いる。なお、第1樹脂および第2樹脂の仮硬化を同じ加熱工程で行ってもよい。
【0125】
なお、本工程において、第1樹脂および/または第2樹脂を、硬化温度以上の温度で加熱して硬化させてもよい。
【0126】
(第4工程:モールド樹脂60の形成)
第4工程では、例えばトランスファー成形法を用いて、モールド樹脂60を形成する。モールド樹脂60は、例えば、本出願人による特開2003-332634号公報に記載されたようなプロセスで形成され得る。
【0127】
・金型の準備
まず、図3Eに示すように、上金型121および下金型122によって第1構造体110を挟み、加圧しながら固定する。上金型121および下金型122は、発光素子50を含む空間130を封止する。上金型121および下金型122は、レンズ部およびベース
部に対応する形状を有する凹部を有している。この例では、上金型121は、レンズ部と、ベース部の上側部分とに対応する形状を有する凹部を有し、下金型122は、ベース部の下側部分に対応する形状を有している。
【0128】
例えば、上金型121に、不図示の注入フレームの上面に沿って、樹脂材料を封止空間130に誘導するための溝と、不図示のエアベントフレームの上面に沿って、封止空間130で置換されたガスを外部まで誘導するための溝とが形成されていてもよい。これらの溝はy軸方向に延びていてもよい。
【0129】
金型の内表面の少なくとも一部を粗面化してもよい。例えば、上金型121の内表面のうち、ベース部の上側部分に対応する面を粗面化してもよい。この例では、上金型121の内表面は、ベース部の上面のうち平面視においてレンズ部と重ならない部分に対応する面121aと、ベース部の上側部分の側面に対応する面121bとを有している。これらの面121a、121bを粗面化してもよい。金型を粗面化する方法は、特に限定しない。例えば、放電加工等を行うことで粗面化することができる。
【0130】
・第3樹脂注入工程
次いで、封止空間130に、注入フレームに沿って、熱硬化性樹脂を母材とする第3樹脂をy軸方向に流すことにより、封止空間130を第3樹脂で密封する。封止空間130に存在していた空気は、第3樹脂に置換され、エアベントフレームに沿って、封止空間130の外部に排出される。
【0131】
・硬化工程
第3樹脂を注入した後、金型の温度を、第3樹脂の硬化温度以上の温度(ここでは150℃)で所定の時間保持する。これによって、第3樹脂を硬化させる。この後、金型を取り外すことにより、図3Fに示すように、ベース部61と、複数のレンズ部70とを含むモールド樹脂60が形成される。また、着色樹脂仮硬化体160aおよび暗色系樹脂仮硬化体150aが本硬化され、それぞれ、着色樹脂部材160および第2暗色系樹脂150となる。
【0132】
内表面の一部が粗面化された上金型121を用いた場合、上金型121の粗面化された表面形状を反映し、部分的に粗面化されたモールド樹脂60が得られる。一方、粗面化されていない金型を用いた場合には、金型からモールド樹脂60を取り出した後、モールド樹脂60におけるベース部61の表面の少なくとも一部に、粗面化加工を行ってもよい。例えば、レンズ部70をマスキングした状態で、ベース部61の上面61aのうち平面視において複数のレンズ部70に重なっていない部分と、ベース部61の上側部分61Uの側面61bとに、ブラスト加工などの粗面化加工を行ってもよい。
【0133】
(第5工程:リード10の切断)
続いて、リードフレームからリード10を切断し、個片化する。切断したリード10を、所望の形状に折り曲げることにより、発光装置1000を得る。
【0134】
本実施形態の製造方法によると、複数のレンズ部70とベース部61とを、同じ金型を用いて一体的に成形できる。従って、製造コストや製造工程数の増大を抑制できる。また、複数のレンズ部70を所定の位置に安定的に保持することができる。
【0135】
発光装置には種々の変形例が可能である。例えば、発光素子の構造・配置、パッケージの構造や形態、モールド樹脂の構成等については、上記実施形態で説明した形態に限定されない。実施形態で説明した形態以外の形態を本開示の発光装置に好適に用いることが可能である。
【0136】
以下、本開示の発光装置の変形例を説明する。以下では、発光装置1000と異なる点を主に説明し、発光装置1000と同様の構造については、説明を省略する。また、変形例を示す各図面において、分かりやすさのため、発光装置1000と同様の構成要素には、同じ参照符号を付している。
【0137】
(変形例1)
図4は、本実施形態の他の発光装置2000の概略斜視図である。図5Aは、発光装置2000の概略上面透視図である。図5Bおよび図5Cは、それぞれ、図4に示すy軸方向およびx軸方向から見たときの発光装置2000の概略側面図である。図5Dは、図5Aに示す5D-5D線における、パッケージ100および発光素子50を示す概略断面図である。
【0138】
発光装置2000では、パッケージ100の主面100aにおいて、第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23のうち、x軸方向またはy軸方向において中央に位置する凹部(ここでは第2凹部22)の中心が、他の2つの凹部の中心を結ぶ線上に位置しないように配置されている。これにより、第1発光素子51、第2発光素子52および第3発光素子53をより近接して配置することができるので、パッケージ100の主面100aの面積を低減できる。また、第1着色樹脂部材161、第2着色樹脂部材162および第3着色樹脂部材163をより近接して配置できるので、これらの3つの色の混合による暗色効果をより向上できる。
【0139】
図5Aに例示する構成では、第1リード対、第2リード対および第3リード対は、y軸方向に配列されている。主面100aにおいて、各リード対を構成する2つのリードの端部は、互いに離間して、対向して配置されている。例えば、主面100aにおいて、第1リード対では、第1凹部21を有する第1リード11aは、第4リード11bの左側(-x側)に位置している。第3リード対でも、同様に、第3凹部23を有する第3リード13aは、第6リード13bの左側(-x側)に位置している。一方、第2リード対では、第2凹部22を有する第2リード12aは、第5リード12bの右側(+x側)に位置している。このように、各リード対を構成する2つのリードの位置関係を、隣接する他のリード対と異ならせることで、発光素子50が実装される3つの凹部20をずらして配置することが可能である。
【0140】
さらに、発光装置2000では、各凹部20は、平面視において、x軸方向に長軸を有する楕円形状を有する。これにより、凹部20およびレンズ部70の形状によって、x軸方向とy軸方向とで指向特性を異ならせることができる。
【0141】
また、図5Dに例示する構成では、パッケージ100における第1暗色系樹脂40は、例えば、パッケージ100の主面100aに略平行な第1樹脂部40aと、主面100aから裏面100bに向かって延びる第2樹脂部40bとを有する。各リード10の第1部分91は第1樹脂部40aに保持され、第2部分92は第2樹脂部40bに保持されている。各リード10の第3部分93の少なくとも実装面は、第1暗色系樹脂40から露出している。第3部分93は、外側に折り曲げられている。各リード10の折り曲げられた部分は、裏面100bに露出し、実装面となる。
【0142】
パッケージ100の主面100aにおいて、第1暗色系樹脂40は、少なくとも一部のリード10を部分的に覆っていてもよい。図5A等に示す構成では、第1暗色系樹脂40は、第4リード11bの一部、第5リード12bの一部および第6リード13bの一部をそれぞれ覆う凸部41を有している。これにより、リード10の露出面積を低減できるので、外光反射をさらに抑制できる。代わりに、図示していないが、第1暗色系樹脂40は
、パッケージ100の主面100aにおいて、第1領域31、第2領域32、第3領域33、第4領域34、第5領域35および第6領域36をそれぞれ露出する開口を有していてもよい。
【0143】
なお、本変形例でも、第1暗色系樹脂40は、裏面100b側に、第2の方向(例えばy軸方向)に延びる複数の溝を有してもよい。これにより、トランスファー成形法でモールド樹脂60を形成する際に、樹脂流れ特性を向上できる。
【0144】
本変形例でも、例えば、図6に例示するように、パッケージ100の主面100aとモールド樹脂60との間に、第2暗色系樹脂150をさらに備えていてもよい。第2暗色系樹脂150は、複数のリード10のうちの少なくとも一部のリード10のワイヤ接続部を覆うように配置される。これにより、各リード10とワイヤとの接続部分に起因するコントラストの低下を抑制できる。
【0145】
図6に示す例では、第2暗色系樹脂150は、例えば、互いに離間して配置された3つの部分153~155を含んでいる。第2暗色系樹脂150の部分153は、第4リード11bの第4領域34におけるワイヤ接続部を覆っている。同様に、部分154は、第5リード12bの第5領域35におけるワイヤ接続部を覆い、部分155は、第6リード13bの第6領域36におけるワイヤ接続部を覆っている。図示するように、第2暗色系樹脂150の部分153~155は、それぞれ、第4領域34、第5領域35および第6領域36の全体を覆っていてもよい。第2暗色系樹脂150の部分153~155は、それぞれ、各リード10の一部上に点塗布によって形成されてもよい。
【0146】
なお、第2暗色系樹脂150は、第1リード11a、第2リード12aおよび第3リード13aにおけるワイヤ接続部を覆う部分をさらに含んでいてもよい。
【0147】
発光装置2000は、図3A図3Fを参照しながら前述した発光装置1000の製造方法と同様の方法で製造され得る。
【0148】
(変形例2)
図7Aは、本実施形態の他の発光装置3000の概略上面透視図であり、図7Bは、図7Aに示す7B-7B線における概略断面図である。
【0149】
発光装置3000は、各凹部20内において、着色樹脂部材160が発光素子50を覆っていない点で、図2Aおよび図2Bに示す発光装置1000と異なっている。
【0150】
発光装置3000では、着色樹脂部材160は、平面視において、凹部20における発光素子50と重ならない領域(素子周辺領域)のみに配置されており、発光素子50の上面を覆っていない。着色樹脂部材160は、凹部20における素子周辺領域の少なくとも一部に配置されていればよい。
【0151】
図示するように、各凹部20内において、着色樹脂部材160は、平面視において、発光素子50の周辺のみに配置されている。着色樹脂部材160は、発光素子50の側面の少なくとも一部を覆っていてもよい。
【0152】
発光装置3000では、着色樹脂部材160が発光素子50の上面(発光面)を覆っていないので、発光素子50からの光は、着色樹脂部材160を透過せずに、レンズ部70に入射する。このため、発光素子50の発光の取り出し効率をさらに高めることが可能になる。
【0153】
発光装置3000は、図3A図3Fを参照しながら前述した発光装置1000の製造方法と同様の方法で製造され得る。ただし、図3Dを参照して前述した第3工程において、着色樹脂部材160を形成するための第1樹脂を、発光素子50を覆わないように凹部20内に配置する。例えば、発光素子50が形成された凹部20内に第1樹脂を注入した後、強制遠心沈降により、凹部20における発光素子50の周囲のみに第1樹脂を配置させてもよい。あるいは、比較的高い濃度で着色剤を含む第1樹脂を、凹部20における発光素子50の周囲のみに注入してもよい。この後、第1樹脂を硬化させることで、各凹部20において、発光素子50の周辺のみに着色樹脂部材160を形成できる。
【0154】
(変形例3)
図8は、本実施形態の他の発光装置4000の概略上面透視図である。
【0155】
発光装置4000は、第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23が1つのリード10に配置されている点で、図2Aおよび図2Bに示す発光装置1000と異なる。
【0156】
発光装置4000では、第2リード12aの第2領域32に、第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23が配置されている。図8に示すように、平面視において、第2領域32はy軸方向に延びており、第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23はy軸方向に配列されていてもよい。なお、前述したように、第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23は、一列に配列されていなくてもよい。
【0157】
図8に示す例では、パッケージ100の主面100aにおいて、第1リード11aの第1領域31と、第4リード11bの第4領域34とは、それぞれ、第2領域32における第1凹部21を挟んで、左側(-x側)および右側(x側)に配置されている。第5リード12bの第5領域35は、第2領域32における第2凹部22の右側(x側)に配置されている。第3リード13aの第3領域33と、第6リード13bの第6領域36とは、それぞれ、第2領域32における第3凹部23を挟んで、左側(-x側)および右側(x側)に配置されている。このように各リード10の露出領域30を、対応する発光素子50に近接して配置することで、リード10と発光素子50とをより容易に接続できる。
【0158】
発光装置4000におけるパッケージ100の主面100aには、ワイヤ接続部を覆うように第2暗色系樹脂が配置されていてもよい。第2暗色系樹脂は、図2Aに示した例と同様に、第1リード11a、第2リード12aおよび第3リード13aのワイヤ接続部を覆うようにy軸方向に延びる部分と、第4リード11b、第5リード12bおよび第6リード13bのワイヤ接続部を覆うようにy軸方向に延びる部分とを含んでもよい。
【0159】
図8に示す例では、1つのリード10(ここでは第2リード12a)に3つの凹部20が配置されているが、第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23のうちの2つの凹部が1つのリード10に配置され、残りの1つの凹部が他のリード10に配置されていてもよい。
【0160】
本変形例によると、1つのリード10の露出領域30に、2以上の凹部20を設けることで、凹部20間の距離を小さくできる。従って、パッケージ100をさらに小型化できる。
【0161】
(変形例4)
図9は、本実施形態の他の発光装置5000の概略上面透視図である。
【0162】
発光装置5000は、第1発光素子51、第2発光素子52および第3発光素子53に電気的に接続された共通リード14aを有する点、および、第1凹部21、第2凹部22
および第3凹部23が共通リード14aに配置されている点で、図2Aおよび図2Bに示す発光装置1000と異なる。
【0163】
発光装置5000では、複数のリード10は、共通リード14a、第4リード11b、第5リード12bおよび第6リード13bを含む。パッケージ100の裏面において、共通リード14a、第4リード11b、第5リード12bおよび第6リード13bの端部が露出する。パッケージ100の裏面に露出した部分は、発光装置5000を実装基板に固定する際の実装面となる(4端子)。
【0164】
共通リード14aは、パッケージ100の主面100aに露出した第7領域37を有している。第7領域37は、第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23と、周辺部37rとを含む。周辺部37rは、第7領域37における第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23を除く領域であり、ワイヤボンディングに使用される。
【0165】
図9に示すように、平面視において、第7領域37はy軸方向に延びており、第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23はy軸方向に配列されていてもよい。なお、前述したように、第1凹部21、第2凹部22および第3凹部23は、一列に配列されていなくてもよい。
【0166】
図9に示す例では、パッケージ100の主面100aにおいて、第4リード11bが共通リード14aの右側(x側)に位置している。第5リード12bおよび第6リード13bは、共通リード14aの第7領域37を挟んで、それぞれ、右側(x側)および左側(-x側)に位置している。
【0167】
第1発光素子51の正負電極は、それぞれ、ワイヤ81、84により、共通リード14aの第7領域37の周辺部37rおよび第4リード11bの第4領域34に電気的に接続されている。第2発光素子52の正負電極は、それぞれ、ワイヤ82、85により、共通リード14aの第7領域37の周辺部37rおよび第5リード12bの第5領域35に電気的に接続されている。第3発光素子53の正負電極は、それぞれ、ワイヤ83、86により、共通リード14aの第7領域37の周辺部37rおよび第6リード13bの第6領域36に電気的に接続されている。
【0168】
発光装置5000におけるパッケージ100の主面100aには、第2暗色系樹脂が配置されていてもよい。第2暗色系樹脂は、図2Aに示した例と同様の形状を有していてもよい。例えば、第2暗色系樹脂は、共通リード14aおよび第6リード13bのワイヤ接続部を覆うようにy軸方向に延びる部分と、第4リード11bおよび第5リード12bのワイヤ接続部を覆うようにy軸方向に延びる部分とを含んでもよい。
【0169】
図9に示す例では、共通リード14aに3つの凹部20が配置されているが、共通リード14aに2つの凹部20を配置し、他のリードに残りの1つの凹部20を配置してもよい。
【0170】
また、図9に示す例では、第1発光素子51、第2発光素子52および第3発光素子53に電気的に接続された共通リード14aを用いたが、代わりに、これらの発光素子のうち2つ(例えば第1発光素子51および第2発光素子52)のみに電気的に接続された共通リードを用いてもよい。
【0171】
本変形例によると、2以上の発光素子50に接続された共通リードを用いることで、リード10の数を減らすことができる。また、2以上の凹部20を1つのリード(ここでは共通リード14a)に設けることで、凹部20間の距離を小さくできる。従って、パッケ
ージ100をさらに小型化できる。
【産業上の利用可能性】
【0172】
本開示の発光装置は、種々の用途の発光装置に好適に使用され得る。特に、LEDディスプレイなどの表示装置に好適に使用される。LEDディスプレイは、例えば、ビルボード、大型テレビ、広告、交通情報、立体表示器、照明器具等に利用される。
【符号の説明】
【0173】
10、10a、10b リード
11a 第1リード
12a 第2リード
13a 第3リード
11b 第4リード
12b 第5リード
13b 第6リード
14a 共通リード
20 凹部
21 第1凹部
22 第2凹部
23 第3凹部
30 露出領域
31 第1領域
32 第2領域
33 第3領域
34 第4領域
35 第5領域
36 第6領域
37 第7領域
40 第1暗色系樹脂
40a 第1樹脂部
40b 第2樹脂部
50 発光素子
51 第1発光素子
52 第2発光素子
53 第3発光素子
60 モールド樹脂
61 ベース部
61a ベース部の上面
61b ベース部の上側部分の側面
61U ベース部の上側部分
61L ベース部の下側部分
70 レンズ部
71 第1レンズ部
72 第2レンズ部
73 第3レンズ部
80a、80b、81、82、83、84、85、86 ワイヤ
100 パッケージ
100a パッケージの主面
100b パッケージの裏面
110 第1構造体
121 上金型
122 下金型
130 封止空間
140 溝
150 第2暗色系樹脂
160 着色樹脂部材
161 第1着色樹脂部材
162 第2着色樹脂部材
163 第3着色樹脂部材
w1、w2、w3、w4、w5、w6 ワイヤ接続部
1000、2000、3000、4000、5000 発光装置
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10