(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073433
(43)【公開日】2023-05-25
(54)【発明の名称】外用乳化組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/68 20060101AFI20230518BHJP
A61K 8/35 20060101ALI20230518BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20230518BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20230518BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
A61K8/68
A61K8/35
A61K8/36
A61K8/39
A61Q19/00
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055242
(22)【出願日】2023-03-30
(62)【分割の表示】P 2018246716の分割
【原出願日】2018-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】浅田 尚紀
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、2重量%以上のセラミドを含み、析出や相分離が抑制されており、更に優れた保湿効果及び使用感(柔らかく肌に馴染ませ易い特性)を有する外用乳化組成物を提供することである。
【解決手段】2重量%以上のセラミドと共に、高級アルコール、高級脂肪酸、及び非イオン性界面活性剤を配合して、外用乳化組成物を調製することにより、析出や相分離が抑制され、優れた製剤安定性を備えることができ、しかも優れた保湿効果及び使用感(柔らかく肌に馴染ませ易い特性)を備えさせ得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)セラミド2重量%以上、(B)高級アルコール、(C)高級脂肪酸、及び(D)非イオン性界面活性剤を含有する、外用乳化組成物。
【請求項2】
前記(B)成分として、少なくとも炭素数10~24の直鎖状アルコールを含む、請求項1に記載の外用乳化組成物。
【請求項3】
前記(B)成分として、炭素数10~24の直鎖状アルコール及び炭素数10~24の分岐状アルコールを含む、請求項1又は2に記載の外用乳化組成物。
【請求項4】
前記(C)成分が、炭素数10~24の脂肪酸である、請求項1~3のいずれかに記載の外用乳化組成物。
【請求項5】
前記(D)成分として、少なくともポリグリセリン脂肪酸エステルを含む、請求項1~4のいずれかに記載の外用乳化組成物。
【請求項6】
前記(D)成分として、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルを含む、請求項1~5のいずれかに記載の外用乳化組成物。
【請求項7】
水中油型乳化形態である、請求項1~6のいずれかに記載の外用乳化組成物。
【請求項8】
前記(A)成分を2~10重量%、前記(B)成分を3~12.5重量%、前記(C)成分を0.5~5重量%、及び前記(D)成分を0.5~3重量%含む、請求項7に記載の外用乳化組成物。
【請求項9】
前記(A)成分1重量部当たり、前記(B)成分を0.3~6.25重量部、前記(C)成分を0.05~2.5重量部、及び前記(D)成分を0.05~1.5重量部の比率で含む、請求項7又は8に記載の外用乳化組成物。
【請求項10】
セラミドを2重量%以上含む外用乳化組成物において析出物の生成を抑制する方法であって、
外用乳化組成物において、(A)セラミド2重量%以上と共に、(B)高級アルコール、(C)高級脂肪酸、及び(D)非イオン性界面活性剤を配合する、析出物の生成抑制方法。
【請求項11】
セラミドを2重量%以上含む外用乳化組成物において相分離を抑制する方法であって、
外用乳化組成物において、(A)セラミド2重量%以上と共に、(B)高級アルコール、(C)高級脂肪酸、及び(D)非イオン性界面活性剤を配合する、相分離の抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2重量%以上のセラミドを含み、析出や相分離が抑制されており、更に優れた保湿効果及び使用感を有する外用乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、生体の最外層を覆い、外界との境界を形成して外界物質の浸入防止、水分を包含する体内成分の損失防止等の生命維持に必須なバリア機能を有している。角質細胞間には、セラミドを主成分とする脂質がラメラ構造を形成し、バリア機能を発揮する上で重要な役割を果たしている。
【0003】
セラミドが、加齢、紫外線暴露等の内的又は外的な要因によって減少すると、バリア機能が低下して、皺や皮膚乾燥等の皮膚老化を進行させたり、アトピー性皮膚炎、魚鱗癬、ニキビ、皮膚免疫異常、皮膚感染症等の皮膚障害を誘発させたりすることが知られている。
【0004】
セラミドが減少した皮膚には、セラミドを外部から補給することが有効であり、従来、セラミドを乳化させた外用乳化組成物が開発されている(例えば、特許文献1参照)。皮膚に対してセラミドを効果的に補給するには、高濃度のセラミドを含む外用乳化組成物を使用することが有効になるが、従来、外用乳化組成物にセラミドを2重量%以上もの高濃度で含有させると、析出物の生成や相分離が生じ易く、製剤安定性が損なわれるという問題があった。更に、セラミドを2重量%以上含む外用乳化組成物では、硬くなり過ぎて肌に馴染ませ難くなる傾向があり、使用感が劣るという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、2重量%以上のセラミドを含み、析出や相分離が抑制されており、更に優れた保湿効果及び使用感(柔らかく肌に馴染ませ易い特性)を有する外用乳化組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、2重量%以上のセラミドと共に、高級アルコール、高級脂肪酸、及び非イオン性界面活性剤を配合して、外用乳化組成物を調製することにより、析出や相分離が抑制され、優れた製剤安定性を備えることができ、しかも優れた保湿効果及び使用感(柔らかく肌に馴染ませ易い特性)を備えさせ得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0008】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)セラミド2重量%以上、(B)高級アルコール、(C)高級脂肪酸、及び(D)非イオン性界面活性剤を含有する、外用乳化組成物。
項2. 前記(B)成分として、少なくとも炭素数10~24の直鎖状アルコールを含む、項1に記載の外用乳化組成物。
項3. 前記(B)成分として、炭素数10~24の直鎖状アルコール及び炭素数10~24の分岐状アルコールを含む、項1又は2に記載の外用乳化組成物。
項4. 前記(C)成分が、炭素数10~24の脂肪酸である、項1~3のいずれかに記載の外用乳化組成物。
項5. 前記(D)成分として、少なくともポリグリセリン脂肪酸エステルを含む、項1~4のいずれかに記載の外用乳化組成物。
項6. 前記(D)成分として、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルを含む、項1~5のいずれかに記載の外用乳化組成物。
項7. 水中油型乳化形態である、項1~6のいずれかに記載の外用乳化組成物。
項8. 前記(A)成分を2~10重量%、前記(B)成分を3~12.5重量%、前記(C)成分を0.5~5重量%、及び前記(D)成分を0.5~3重量%含む、項7に記載の外用乳化組成物。
項9. 前記(A)成分1重量部当たり、前記(B)成分を0.3~6.25重量部、前記(C)成分を0.05~2.5重量部、及び前記(D)成分を0.05~1.5重量部の比率で含む、項7又は8に記載の外用乳化組成物。
項10. セラミドを2重量%以上含む外用乳化組成物において析出物の生成を抑制する方法であって、
外用乳化組成物において、(A)セラミド2重量%以上と共に、(B)高級アルコール、(C)高級脂肪酸、及び(D)非イオン性界面活性剤を配合する、析出物の生成抑制方法。
項11. セラミドを2重量%以上含む外用乳化組成物において相分離を抑制する方法であって、
外用乳化組成物において、(A)セラミド2重量%以上と共に、(B)高級アルコール、(C)
高級脂肪酸、及び(D)非イオン性界面活性剤を配合する、相分離の抑制方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の外用乳化組成物は、2重量%以上のセラミドを含みながらも、析出や相分離が抑制されており、優れた製剤安定性を有している。また、本発明の外用乳化組成物は、2重量%以上のセラミドを含みながらも、塗布するのに適した柔らかさを有しており、塗布時に肌に馴染ませやすく、優れた使用感をも備えることができている。更に、本発明の外用乳化組成物は、2重量%以上という高濃度のセラミドを含んでいるので、セラミドを効率的に補充でき、優れた保湿効果を奏することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.外用乳化組成物
本発明の外用乳化組成物は、セラミド(以下、(A)成分と表記することもある)2重量%以上、高級アルコール(以下、(B)成分と表記することもある)、高級脂肪酸(以下、(C)成分と表記することもある)、及び非イオン性界面活性剤(以下、(D)成分と表記することもある)を含むことを特徴とする。以下、本発明の外用乳化組成物について詳述する。
【0011】
[(A)セラミド]
本発明の外用乳化組成物は、2重量%以上のセラミドを含む。本発明の外用乳化組成物において、セラミドは油相に含まれる。
【0012】
本発明で使用されるセラミドの種類については、特に制限されないが、例えば、セラミド1、セラミド2、セラミド3、セラミド4、セラミド5、セラミド6I、セラミド6II、セラミド7、セラミド8、セラミド9、セラミド10等が挙げられる。これらのセラミドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのセラミドの中でも、析出や相分離の抑制効果、保湿効果及び使用感をより一層向上させるという観点から、好ましくはセラミド1、セラミド2、セラミド3、更に好ましくはセラミド2が挙げられる。
【0013】
本発明で使用されるセラミドの由来については、特に制限されず、セラミドの種類等に応じて適宜設定すればよく、例えば、動植物から抽出したもの、微生物醗酵法によって得られたもの、化学的に合成したもの等のいずれであってもよい。
【0014】
本発明の外用乳化組成物において、セラミドの濃度は、水中油型又は油中水型の別を問わず、2重量%以上であればよいが、好ましくは2~10重量%、更に好ましくは2~8重量%が挙げられる。本発明の外用乳化組成物では、このようにセラミドを高濃度で含んでいても、後述する(B)~(D)成分を含むことにより、析出や相分離を抑制して製剤安定化を図ることができ、しかも優れた保湿効果及び使用感を備えさせることが可能になっている。
【0015】
[(B)高級アルコール]
本発明の外用乳化組成物は、高級アルコールを含む。本発明の外用乳化組成物において、高級アルコールは油相に含まれる。
【0016】
本発明で使用される高級アルコールとしては、薬学的又は香粧学的に許容される炭素数6以上の1価アルコールであればよいが、例えば、炭素数10~24の1価アルコール、好ましくは炭素数12~22の1価アルコール、更に好ましくは炭素数14~22の1価アルコールが挙げられる。
【0017】
本発明で使用される高級アルコールの炭素鎖は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。高級アルコールが分岐状である場合、分岐形状については、特に制限されないが、イソ型であることが好ましい。また、本発明で使用される高級アルコールの炭素鎖は、飽和型又は不飽和型のいずれであってもよい。
【0018】
本発明で使用される高級アルコールとして、具体的には、カプリンアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、リノグリセリルアルコール等の直鎖状高級アルコール;イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール等の分枝鎖状高級アルコールが挙げられる。これらの高級アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0019】
本発明で使用される高級アルコールとして、析出や相分離の抑制効果、保湿効果及び使用感をより一層向上させるという観点から、少なくとも直鎖状高級アルコールが含まれていることが好ましく、直鎖状高級アルコールと分岐状高級アルコールの組み合わせがより好ましく、炭素数10~24の直鎖状アルコールと炭素数10~24の分岐状アルコールの組み合わせがより好ましく、炭素数16~18の直鎖状アルコールと炭素数16~18の分岐状アルコールの組み合わせが更に好ましく、ステアリルアルコールとイソステアリルアルコールの組み合わせが特に好ましい。
【0020】
高級アルコールとして、直鎖状高級脂肪酸と分岐状高級脂肪酸を組み合わせて使用する場合、両者の比率については、特に制限されないが、例えば、直鎖状高級アルコール100重量部当たり、分岐状高級アルコールが1~100重量部、好ましくは5~80重量部、更に好ましくは5~40重量部が挙げられる。
【0021】
本発明の外用乳化組成物における高級アルコールの濃度については、使用する高級アルコールの種類、乳化形態に応じて適宜設定すればよいが、例えば、水中油型又は油中水型の別を問わず、3~12.5重量%、好ましくは3~12重量%、更に、好ましくは3~10重量%が挙げられる。
【0022】
本発明の外用乳化組成物において、セラミドと高級アルコールとの比率については、前述する各成分の濃度に応じて定めるが、具体的には、水中油型又は油中水型の別を問わず、セラミド1重量部当たり、高級アルコールが0.3~6.25重量部、好ましくは0.5~6.25重量部、更に好ましくは1~6重量部が挙げられる。
【0023】
[(C)高級脂肪酸]
本発明の外用乳化組成物は、高級脂肪酸を含む。本発明の外用乳化組成物において、高級脂肪酸は油相に含まれる。
【0024】
本発明で使用される高級脂肪酸としては、薬学的又は香粧学的に許容される炭素数6以上の脂肪酸であればよいが、例えば、炭素数10~24の脂肪酸、好ましくは炭素数12~22の脂肪酸、更に好ましくは炭素数14~22の脂肪酸が挙げられる。
【0025】
また、本発明で使用される高級脂肪酸の炭素鎖は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、また飽和型又は不飽和型のいずれであってもよい。
【0026】
本発明で使用される高級脂肪酸として、具体的には、カプリン酸、ラウリン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等の飽和高級脂肪酸;パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、アラキドン酸等の不飽和高級脂肪酸が挙げられる。これらの高級アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0027】
これらの高級脂肪酸の中でも、析出や相分離の抑制効果、保湿効果及び使用感をより一層向上させるという観点から、好ましくは飽和脂肪酸、更に好ましくは炭素数14~22の飽和脂肪酸、特に好ましくはステアリン酸が挙げられる。
【0028】
本発明の外用乳化組成物における高級脂肪酸の濃度については、使用する高級脂肪酸の種類、乳化形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、水中油型の場合であれば、0.1~5重量%、好ましくは0.2~4重量%、更に、好ましくは0.25~2.5重量%が挙げられ、油中水型の場合であれば、0.5~10重量%、好ましくは0.5~8重量%、更に、好ましくは0.5~5重量%が挙げられる。
【0029】
本発明の外用乳化組成物において、セラミドと高級脂肪酸との比率については、前述する各成分の濃度に応じて定めるが、具体的には、水中油型の場合であれば、セラミド1重量部当たり、高級脂肪酸が0.025~2.5重量部、好ましくは0.05~2.5重量部、更に好ましくは0.05~2重量部が挙げられ、油中水型の場合であれば、セラミド1重量部当たり、高級脂肪酸が0.025~5重量部、好ましくは0.05~5重量部、更に好ましくは0.05~2.5重量部が挙げられる。
【0030】
[(D)非イオン性界面活性剤]
本発明の外用乳化組成物は、非イオン性界面活性剤を含む。本発明の外用乳化組成物において、非イオン性界面活性剤は、乳化粒子を形成させ、乳化状態にする役割を果たす。
【0031】
本発明で使用される非イオン性界面活性剤としては、油相と水相とを乳化可能であり、薬学的又は香粧学的に許容されること限度として特に制限されないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、レシチン類等が挙げられる。
【0032】
グリセリン脂肪酸エステルとは、脂肪酸とグリセリンとのモノエステル、ジエステル、又はトリエステルである。グリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭素数としては、例えば、6~24、好ましくは12~22、更に好ましくは14~22が挙げられる。グリセリン脂肪酸エステルとして、具体的には、モノミリスチン酸グリセリル、物ステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル等が挙げられる。これらのグリセリン脂肪酸エステルの中でも、好ましくは、脂肪酸とグリセリンとのモノエステル、より好ましくはモノステアリン酸グリセリルが挙げられる。
【0033】
ポリグリセリン脂肪酸エステルとは、脂肪酸とポリグリセリンとのエステルである。ポリグリセリン脂肪酸エステルにおいて、エステル結合の数(ポリグリセリン1分子当たり、結合している脂肪酸の数)としては、例えば1~10、好ましくは1~5、更に好ましくは1が挙げられる。ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭素数としては、例えば、6~24、好ましくは8~22、更に好ましくは(10~14が挙げられる。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンの重合度は、例えば、2~10、好ましくは4~10、更に好ましくは6~10が挙げられる。ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、具体的には、ラウリン酸ポリグリセリル-2(ラウリン酸ジグリセリル)、ラウリン酸ポリグリセリル-5(ラウリン酸ペンタグリセリル)、ラウリン酸ポリグリセリル-6(ラウリン酸ヘキサグリセリル)、ラウリン酸ポリグリセリル-10(ラウリン酸デカグリセリル)、ステアリン酸ポリグリセリル-2(モノステアリン酸ジグリセリル)、オレイン酸ポリグリセリル-2(モノオレイン酸ジグリセリル)、オレイン酸ポリグリセリル-4(モノオレイン酸テトラグリセリル)、オレイン酸ポリグリセリル-10(モノオレイン酸デカグリセリル)、トリオレイン酸ポリグリセリル-5(トリオレイン酸ペンタグリセリル)、トリオレイン酸ポリグリセリル-10(トリオレイン酸デカグリセリル)、パルミチン酸ポリグリセリル-10(モノパルミチン酸デカグリセリル)、ミリスチン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ステアリン酸ポリグリセリル-4、トリステアリン酸ポリグリセリル-6、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-10等が挙げられる。これらのポリグリセリン脂肪酸エステルの中でも、好ましくは、ラウリン酸ポリグリセリル、ラウリン酸ポリグリセリル-10(ラウリン酸デカグリセリル)が挙げられる。
【0034】
ソルビタン脂肪酸エステルとは、脂肪酸とソルビタンとのエステルである。ソルビタン脂肪酸エステルとしては、具体的には、ステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン等が挙げられる。
【0035】
プロピレングリコール脂肪酸エステルとは、脂肪酸とプロピレングリコールとのエステルである。プロピレングリコール脂肪酸としては、具体的には、ステアリン酸プロピレングリコール、イソステアリン酸プロピレングリコール、オレイン酸プロピレングリコール等が挙げられる。
【0036】
ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルとは、グリセリンに1~3個のポリオキシエチレン鎖がエーテル結合で結合し、且つ少なくとも1個のポリオキシエチレン鎖の末端に脂肪酸がエステル結合している化合物である。ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルとしては、具体的には、ステアリン酸PEG-5グリセリル、ステアリン酸PEG-15グリセリル、オレイン酸PEG-5グリセリル、オレイン酸PEG-15グリセリル等が挙げられる。
【0037】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とは、硬化ヒマシ油とポリエチレングリコールとのエーテルである。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、具体的には、PEG-5水添ヒマシ油、PEG-10水添ヒマシ油、PEG-20水添ヒマシ油、PEG-30水添ヒマシ油、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-50水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油、PEG-70水添ヒマシ油、PEG-80水添ヒマシ油、PEG-90水添ヒマシ油、PEG-100水添ヒマシ油等が挙げられる。
【0038】
ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルとは、ソルビトールに1~6個のポリオキシエチレン鎖がエーテル結合で結合し、且つ少なくとも1個のポリエチレングリコールの末端に脂肪酸がエステル結合している化合物である。ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルとしては、具体的には、ラウリン酸ソルベス-6、テトラソルビン酸ソルベス-6、テトラオレイン酸ソルベス-30、テトラオレイン酸ソルベス-60等が挙げられる。
【0039】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとは、ポリオキシエチレン鎖がアルキル基とエーテル結合で結合している化合物である。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、具体的には、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル等が挙げられる。
【0040】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとは、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン鎖がアルキル基とエーテル結合で結合している化合物である。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとしては、具体的には、PPG-4セテス-1等が挙げられる。
【0041】
レシチン類としては、レシチン、リゾレシチン、水添レシチン、水添リゾレシチン等が挙げられる。
【0042】
これらの非イオン性界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0043】
本発明で使用される非イオン性界面活性剤は、本発明の外用乳化組成物の乳化タイプに応じて適宜設定すればよい。具体的には、本発明の外用乳化組成物を水中油型にする場合であれば、主にHLB値が3~6程度の非イオン性界面活性剤を使用すればよく、また本発明の外用乳化組成物を油中水型にする場合であれば、主にHLB値が6~17程度の非イオン性界面活性剤を使用すればよい。
【0044】
本発明で使用される非イオン性界面活性剤として、析出や相分離の抑制効果、保湿効果及び使用感をより一層向上させるという観点から、少なくともポリグリセリン脂肪酸エステルが含まれていることが好ましく;ポリグリセリン脂肪酸エステルとグリセリン脂肪酸エステルとの組み合わせが更に好ましく;炭素数が10~14の脂肪酸と重合度が6~10のポリグリセリンとのエステルであるポリグリセリン脂肪酸エステルと、炭素数が16~22の脂肪酸とグリセリンとのエステルであるグリセリン脂肪酸エステルの組み合わせが特に好ましく;モノステアリン酸グリセリルとラウリン酸ポリグリセリル-10の組み合わせが最も好ましい。
【0045】
非イオン性界面活性剤として、グリセリン脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルとを組み合わせて使用する場合、両者の比率については、特に制限されないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル100重量部当たり、ポリグリセリン脂肪酸エステルが1~3000重量部、好ましくは1~2500重量部、更に好ましくは2~2500重量部が挙げられる。
【0046】
本発明の外用乳化組成物における非イオン性界面活性剤の濃度については、使用する非イオン性界面活性剤の種類、乳化形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、水中油型又は油中水型の別を問わず、0.5~4重量%、好ましくは0.5~3.5重量%、更に、好ましくは0.5~3重量%が挙げられる。
【0047】
本発明の外用乳化組成物において、セラミドと非イオン性界面活性剤との比率については、前述する各成分の濃度に応じて定めるが、具体的には、水中油型又は油中水型の別を問わず、セラミド1重量部当たり、非イオン性界面活性剤が0.05~2重量部、好ましくは0.05~1.5重量部、更に好ましくは0.1~1.5重量部が挙げられる。
【0048】
[液状油]
本発明の外用乳化組成物は、油相には、前記成分に加えて、更に液状油(前記(B)又は(C)成分に該当しない油分)を含んでいてもよい。液状油とは、25℃において液状の形態を保つ油である。
【0049】
本発明で使用される液状油(前記(B)及び(C)成分以外)としては、例えば、エステル油、植物油、炭化水素油、シリコン油等が挙げられる。
【0050】
エステル油としては、具体的には、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、アジピン酸イソプロピル、アジピン酸イソブチル、セバシン酸イソプロピル、エチルヘキサン酸セチル、エチルヘキサン酸パルミチル、ミリスチン酸ミリスチル、パルチミン酸イソプロピル、パルチミン酸セチル、オレイン酸エチル、ステアリン酸バチル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、リノール酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ステアリン酸ブチル、ラウリル酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、安息香酸(炭素数12~15)アルキル、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル等の脂肪酸1分子が1価又は多価アルコール1分子に結合したモノエステル油;ジカプリル酸プロピレングリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ジエチルヘキサン酸グリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジヘプチルウンデカン酸グリセリン、ジ(カプリル酸/カプリン酸)ブチレングリコール等の脂肪酸2分子が多価アルコール1分子に結合したジエステル油;トリエチルヘキサノイン(トリエチルヘキサン酸グリセリル)、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリン、トリ2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド等の脂肪酸3分子が3価以上の多価アルコール1分子に結合したトリエステル;テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル等の 脂肪酸4分子が4価以上の多価アルコール1分子に結合したテトラエステル油;セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ2-エチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ナフタリンジカルボン酸ジエチルヘキシル、アジピン酸ジ2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジ2-ヘプチルウンデシル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル等の1価アルコール2分子がジカルボン酸1分子に結合したジエステル油;ラノリン脂肪酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアナッツ脂肪酸コレステリル等の脂肪酸コレステリル等が挙げられる。
【0051】
植物油としては、具体的には、ヒマワリ種子油、ホホバ種子油、オリーブ油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、ヒマシ油、アボカド油、ゴマ油、茶油、月見草油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ククイナッツ油、ローズヒップ油、メドウフォーム油、パーシック油、ティートリー油、トウモロコシ油、ナタネ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、落花生油、コメヌカ油、ホホバ油等が挙げられる。
【0052】
炭化水素油としては、具体的には、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン等が挙げられる。
【0053】
シリコン油としては、具体的には、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジエンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。
【0054】
これらの液状油は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0055】
これらの液状油の中でも、好ましくはエステル油、更に好ましくは、脂肪酸1分子が1価又は多価アルコール1分子に結合したモノエステル油、脂肪酸3分子が3価以上の多価アルコール1分子に結合したトリエステル油、特に好ましくはミリスチン酸オクチルドデシル、トリエチルヘキサノインが挙げられる。
【0056】
本発明の外用乳化組成物に液状油(前記(B)及び(C)成分以外)を含有させる場合、その濃度については、特に制限されず、使用する液状油の種類、乳化形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、水中油型の場合であれば、液状油が総量で1~25重量%、好ましくは3~20重量%、更に、好ましくは5~15重量%が挙げられ、油中水型の場合であれば、10~70重量%、好ましくは12~50重量%、更に、好ましくは15~30重量%が挙げられる。
【0057】
[固形油]
本発明の外用乳化組成物は、油相には、前記成分に加えて、更に固形油(前記(B)又は(C)成分に該当しない油分)を含んでいてもよい。固形油とは、25℃において固形の形態を保つ油である。
【0058】
本発明で使用される固形油(前記(B)及び(C)成分以外)としては、例えば、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、ミツロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ラノリン、セラックロウ、オゾケライト、セレシン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、ワセリン、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、パルミチン酸デキストリン、ステアリン酸イヌリン、水素添加ホホバ油、セレシンワックス、固形パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、シリコーンワックス等が挙げられる。
【0059】
これらの固形油は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0060】
本発明の外用乳化組成物に固形油(前記(B)及び(C)成分以外)を含有させる場合、その濃度については、特に制限されず、使用する固形油の種類、乳化形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、水中油型又は油中水型の別を問わず、0.01~10重量%、好ましくは0.01~5重量%、更に、好ましくは0.01~3重量%が挙げられる。
【0061】
[多価アルコール]
本発明の外用乳化組成物には、保湿性の向上等のために、必要に応じて多価アルコールが含まれていてもよい。本発明の外用乳化組成物において、多価アルコールは水相に含有される。
【0062】
多価アルコールとしては、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。これらの多価アルコールの中でも、好ましくは1,3-ブチレングリコール、グリセリンが挙げられる。
【0063】
これらの多価アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0064】
本発明の外用乳化組成物に、多価アルコールを含有させる場合、その濃度については、特に制限されないが、例えば、水中油型の場合であれば、1~40重量%、好ましくは3~20重量%、更に、好ましくは5~15重量%が挙げられ、油中水型の場合であれば、1~50重量%、好ましくは5~30重量%、更に、好ましくは10~25重量%が挙げられる。
【0065】
[増粘剤]
本発明の外用乳化組成物は、前述する成分の他に、粘性の調節等のために、必要に応じて、増粘剤が含まれていてもよい。本発明の外用乳化組成物において、増粘剤は水相に含有される。
【0066】
増粘剤としては、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、デキストラン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリル酸ナトリウムベントナイト、デキストリン脂肪酸エステル、ペクチン、パルミチン酸デキストリン等が挙げられる。これらの増粘剤の中でも、好ましくはキサンタンガム、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体が挙げられる。
【0067】
これらの増粘剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0068】
本発明の外用乳化組成物に、増粘剤を含有させる場合、その濃度については、特に制限されないが、例えば、水中油型又は油中水型の別を問わず、0.01~2重量%、好ましくは0.02~1重量%、更に、好ましくは0.05~0.4重量%が挙げられる。
【0069】
[(C)成分以外の界面活性剤]
本発明の外用乳化組成物には、必要に応じて、前記(C)成分以外の界面活性剤が含まれていてもよい。このような界面活性剤としては、具体的には、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
【0070】
陰イオン性界面活性剤としては、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、N-ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイル-N-メチル-β-アラニンナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-パルミトイルアスパラギン酸ジエタノールアミン等のN-アシルアミン酸塩;ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ヤシカリセッケン等の脂肪酸塩;POEラウリルエーテルカルボン酸塩、POP・POEエーテルミリスチン酸塩;高級アルキル硫酸エステル塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等)等のアルキルエーテルカルボン酸塩;POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩;N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、POEラウリルアミドエーテルスルホン酸ナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩;POEオレイルエーテルリン酸ナトリウム、POEステアリルエーテルリン酸、POEラウリルアミドエーテルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩;ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム、ロート油などの硫酸化油、α-オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、カゼインナトリウム等の高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、脂肪酸アミドエーテル硫酸エステル塩、アシルイセチオン酸塩、スルホコハク酸塩等の硫酸エステル塩型またはスルホン酸塩型界面活性剤;エーテルカルボン酸塩、脂肪酸アミドエーテルカルボン酸塩、N-アシルイミノジ酢酸、N-アシルアミノ酸塩等のカルボン酸型界面活性剤等が挙げられる。
【0071】
陽イオン性界面活性剤としては、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、ジデシルジメチルアンモニウムアジペート等の第4級アンモニウム塩型界面活性剤;ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミドグルタミン酸塩、ラノリン脂肪酸ジエチルアミノエチルアミドグルタミン酸塩等のアミドアミン塩型カチオン性界面活性剤;ラウリン酸アミドグアニジン塩酸塩等が挙げられる。
【0072】
両イオン性界面活性剤としては、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等のベタイン型両性界面活性剤;β-ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム等のアミノ酸型両性界面活性剤;デシルジメチルアミンオキシド、ラウリルジメチルアミンオキシド等のアミンオキシド型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0073】
これらの界面活性剤(前記(C)成分以外)は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0074】
これらの界面活性剤(前記(C)成分以外)の中でも、好ましくは陰イオン性界面活性剤、更に好ましくはN-アシルアミノ酸塩、アシルメチルタウリン塩、特に好ましくは、N-ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、N-ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウムが挙げられる。
【0075】
本発明の外用乳化組成物に、界面活性剤(前記(C)成分以外)を含有させる場合、その濃度については、特に制限されないが、例えば、水中油型又は油中水型を問わず、界面活性剤(前記(C)成分以外)の総量で0.01~5重量%、好ましくは0.01~2重量%、更に、好ましくは0.1~1重量%が挙げられる。
【0076】
[水]
本発明の外用乳化組成物は、乳化された状態で水相を形成するために、水を含有する。
【0077】
本発明の外用乳化組成物における水の含有量については、乳化形態に応じて適宜設定すればよいが、例えば、水中油型の場合であれば、30~90重量%、好ましくは35~80重量%、更に、好ましくは40~70重量%が挙げられ、油中水型の場合であれば、10~70重量%、好ましくは30~70重量%、更に、好ましくは40~60重量%が挙げられる。
【0078】
[その他の成分]
本発明の外用乳化組成物は、前述する成分の他に、薬学的又は香粧学的な生理機能を発揮できる薬効成分が、必要に応じて、含まれていてもよい。このような薬効成分としては、例えば、ステロイド剤(デキサメタゾン、塩酸デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、塩酸ヒドロコルチゾン、吉草酸プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン等)、抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン等)、局所麻酔剤(リドカイン、ジブカイン、プロカイン、テトラカイン、ブピパカイン、メピパカイン、クロロプロカイン、プロパラカイン、メプリルカイン又はこれらの塩、安息香酸アルキルエステル(例えばアミノ安息香酸エチル、塩酸パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル)、オルソカイン、オキセサゼイン、オキシポリエントキシデカン、ロートエキス、ペルカミンパーゼ、テシットデシチン等)、抗炎症剤(アラントイン、サリチル酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル、インドメタシン、フェルビナク、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム等)、殺菌剤(塩化ベンザルコニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、イソプロピルメチルフェノール、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、アンモニア水、スルファジアジン、乳酸、フェノール等)、鎮痒剤(クロタミトン、チアントール等)、皮膚保護剤(コロジオン、ヒマシ油等)、血行促進成分(ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、カプサイシン、トウガラシエキス等)、ビタミン類(ビタミンA,B,C,D等)、ムコ多糖類(コンドロイチン硫酸ナトリウム、グルコサミン、ヒアルロン酸等)等が挙げられる。これらの薬効成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、本発明の外用乳化組成物において、これらの薬効成分を含有させる場合、その濃度については、使用する薬効成分の種類、期待する効果等に応じて適宜設定すればよい。
【0079】
また、本発明の外用乳化組成物は、前述する成分の他に、必要に応じて、外用剤に通常使用される他の添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、例えば、緩衝剤、可溶化剤、キレート剤、防腐剤、保存剤、酸化防止剤、安定化剤、キレート剤、香料、着色料等が挙げられる。本発明の外用乳化組成物において、これらの添加剤を含有させる場合、その含有量については、使用する添加剤の種類等に応じて適宜設定すればよい。
【0080】
製剤形態・用途
本発明の外用乳化組成物は、水中油型又は油中水型のいずれの乳化形態であってもよいが、析出や相分離の抑制効果、保湿効果及び使用感をより一層向上させるという観点から、好ましくは水中油型が挙げられる。
【0081】
本発明の外用乳化組成物の製剤形態については特に制限されず、例えば、乳液状(乳化系ローション剤等)、クリーム状等が挙げられる。
【0082】
本発明の外用乳化組成物は、経皮適用される外用剤として好適に使用される。本発明の外用乳化組成物として、具体的には、外用医薬品、外用医薬部外品、化粧料、皮膚洗浄料等が挙げられる。これらの製剤形態の中でも、好ましくは外用医薬品及び外用医薬部外品が挙げられる。
【0083】
本発明の外用乳化組成物は、優れた保湿効果を有しているので、皮膚の保湿、皺改善等のスキンケア目的で使用することができる。また、本発明の外用乳化組成物は、セラミドを皮膚に補充することができるので、皮膚のバリア機能の改善又は正常化、肌の状態の改善又は正常化、肌荒れ改善、敏感肌の解消、皮膚老化の防止、乾燥による小じわの予防、しわの改善等のスキンケア目的でも使用することができる。
【0084】
製造方法
本発明の乳外用化組成物は、公知の乳化製剤の製造方法に従って製造することができる。本発明の外用乳化組成物の製造方法として、例えば、以下に示す方法が挙げられる。先ず、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び必要に応じて添加される他の油性成分を混合して油相用組成物を調製する。別途、水、及び必要に応じて添加される他の水溶性成分を混合して水相用組成物を調製する。なお、(D)成分は、前記水相用組成物又は油相用組成物のいずれか一方又は双方に配合していればよいが、水中油型の乳化形態の場合であれば前記油相用組成物に配合し、油中水型の乳化形態の場合であれば前記水相用組成物に配合しておくことが好ましい。次いで、得られた水相用組成物と油相用組成物を混合し、ホモジナイザー等の乳化手法によって乳化させることにより、本発明の外用乳化組成物が得られる。
【0085】
2.析出物の生成抑制方法・相分離の抑制方法
本発明の析出物の生成抑制方法は、セラミドを2重量%以上含む外用乳化組成物において析出物の生成を抑制する方法であって、外用乳化組成物において、(A)セラミド2重量%以上と共に、(B)高級アルコール、(C)高級脂肪酸、及び(D)非イオン性界面活性剤を配合することを特徴とする。
【0086】
また、本発明の相分離の抑制方法は、セラミドを2重量%以上含む外用乳化組成物において相分離を抑制する方法であって、外用乳化組成物において、(A)セラミド2重量%以上と共に、(B)高級アルコール、(C)高級脂肪酸、及び(D)非イオン性界面活性剤を配合することを特徴とする。
【0087】
これらの方法で使用される(A)~(C)成分の種類や配合量、その他に配合可能な成分の種類や配合量、外用乳化組成物の製剤形態や用途等については、前記「1.外用乳化組成物」の欄に記載の通りである。
【実施例0088】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0089】
試験例1
表1に示す組成の外用乳化組成物(水中油型)を以下の手順で製造した。先ず、表1に示す各油相成分及び(D)成分を混合し、85℃で加熱溶解することにより、油相用組成物を調製した。また、別途、表1に示す各水相成分を混合し、85℃で加熱溶解することにより、水相用組成物を調製した。85℃に加熱した水相用組成物に、85℃に加熱した油相用組成物を徐々に添加しホモミキサーを用いて乳化させ、水中油型の外用乳化組成物を得た。
【0090】
得られた各外用乳化組成物について、以下の方法で、保湿効果、使用感(柔らかさ)、析出抑制効果、及び保存安定性(相分離の程度)を評価した。
【0091】
<保湿効果・使用感(柔らかさ)>
専門家の評価パネラー5名によって各外用乳化組成物の保湿効果及び使用感(柔らかさ)について評価した。具体的には、各外用乳化組成物0.5gを全顔に塗布し、保湿効果及び使用感(柔らかさ)について評価した。保湿効果の評価は、「塗布後の保湿効果の総合的な評価」が「良い」を5点、「やや良い」を4点、「どちらでもない」を3点、「やや悪い」を2点、「悪い」を1点として、1~5点の5段階で評点化することにより行った。また、使用感(柔らかさ)の評価は、「外用乳化組成物の柔らかさと塗布時の肌に馴染ませ易さの総合的な評価」が「良い」を5点、「やや良い」を4点、「どちらでもない」を3点、「やや悪い」を2点、「悪い」を1点として、1~5点の5段階で評点化することにより行った。評価パネラー5名の各評点を合計し、以下の分類に従って判定した。
(保湿効果及び使用感(柔らかさ)の分類基準)
○:評点の合計が20以上
△:評点の合計が15以上20未満
×:評点の合計が15未満
【0092】
<析出抑制効果>
製造直後の各外用乳化組成物の外観を目視で観察し、以下の分類に従って判定した。
(析出抑制効果の分類基準)
○:析出物が全く認められない。
△:僅かにだけ析出物が認められる。
×:多くの析出物が認められる。
【0093】
<保存安定性(相分離の程度)の程度>
製造直後の各外用乳化組成物を、遮光条件下において40℃で60日間保存した。保存後の各外用乳化組成物の外観を目視で観察し、以下の分類に従って判定した。なお、以下の分類に示す「相分離」とは、外観上一様でなく複数の領域に分離して見えることをいう。
(保存安定性(相分離の程度)の分類基準)
○:相分離が認められず、製造直後と同じ乳化状態を維持している。
△:僅かにだけ相分離が認められるが、製造直後とほとんど同じ乳化状態を維持している。
×:著しい相分離が認められ、乳化状態を安定に維持できていない。
【0094】
得られた結果を表1に示す。セラミドを1重量%含む外用乳化組成物(参考例1~3)では、高級アルコール、高級脂肪酸、グリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルの有無にかかわらず、使用感(柔らかさ)、析出抑制効果、及び保存安定性(相分離の程度)が良好であったが、保湿効果が不十分であった。また、セラミドを2重量%以上含み、高級アルコール、高級脂肪酸、及び非イオン性界面活性剤のいずれか1つでも欠いている外用乳化組成物(比較例1~6)では、保湿効果、使用感(柔らかさ)、析出抑制効果、及び保存安定性(相分離の程度)の全てにおいて満足できるものではなかった。これに対して、セラミド2重量%以上と共に、高級アルコール、高級脂肪酸、及び非イオン性界面活性剤を含む外用乳化組成物(実施例1~5)では、保湿効果、使用感(柔らかさ)、析出抑制効果、及び保存安定性(相分離の程度)が優れていた。実施例1~5の中でも、高級アルコールとしてステアリルアルコール(直鎖状高級脂肪酸)とイソステアリルアルコール(分岐状高級脂肪酸)を組み合わせて使用した場合、及び非イオン性界面活性剤としてモノステアリン酸グリセリル(グリセリン脂肪酸エステル)とラウリン酸ポリグリセリル-10(ポリグリセリン脂肪酸エステル)を組み合わせて使用した場合には、保湿効果、使用感(柔らかさ)、析出抑制効果、及び保存安定性(相分離の程度)が、とりわけ優れていた。
【0095】
【0096】
処方例
表2に示す組成の外用乳化組成物(水中油型)を前記試験例1と同様の方法で調製した。得られた外用乳化組成物を前記試験例1と同様の方法で評価したところ、いずれも、優れた保湿効果、使用感(柔らかさ)、析出抑制効果、及び保存安定性(相分離の程度)を有していた。
【0097】