(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073564
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】骨強化剤及び骨強化用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/352 20060101AFI20230519BHJP
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A23L 33/10 20160101ALI20230519BHJP
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【FI】
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A23L33/10
A23L2/00 F
A23L2/52
A23G1/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186099
(22)【出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】591082421
【氏名又は名称】丸善製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 弘恭
(72)【発明者】
【氏名】中村 冬馬
【テーマコード(参考)】
4B014
4B018
4B117
4C076
4C083
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4C088
4C206
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
【課題】優れた骨強化作用を有し、かつ安全性が高い骨強化剤及び骨強化用組成物の提供。
【解決手段】ポリメトキシフラボン類、コロソリン酸、プテリキシン、ジヒドロ-5,6-デヒドロカワイン、ブラックジンジャー抽出物、西洋ニンジン抽出物、長命草抽出物、ギムネマ抽出物、ハス胚芽抽出物、スターフルーツ葉抽出物、及び月桃葉抽出物、並びにこれらの2種以上の組合せからなる群から選択されるいずれかを含有する骨強化剤、及び前記骨強化剤を含有する骨強化用組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリメトキシフラボン類、コロソリン酸、プテリキシン、ジヒドロ-5,6-デヒドロカワイン、ブラックジンジャー抽出物、西洋ニンジン抽出物、長命草抽出物、ギムネマ抽出物、ハス胚芽抽出物、スターフルーツ葉抽出物、及び月桃葉抽出物、並びにこれらの2種以上の組合せからなる群から選択されるいずれかを含有することを特徴とする骨強化剤。
【請求項2】
骨芽細胞におけるI型コラーゲン産生促進作用及び骨芽細胞活性化作用の少なくともいずれかを有する請求項1に記載の骨強化剤。
【請求項3】
請求項1から2のいずれかに記載の骨強化剤を含有することを特徴とする骨強化用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨強化剤及び骨強化用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化などに伴い、骨粗鬆症などの骨に関連する疾患が増加しており、健康的な生活を送るために、骨を強化することが注目されている。
【0003】
骨を強化するためには、骨の強度を保つカルシウムの再石灰化が知られている。また、再石灰化以外にも、骨格となり、しなやかさを担うコラーゲン線維の増強も必要であることが知られている。
【0004】
また、若齢期から骨芽細胞による骨形成を促進して、体内の骨量をできるだけ増加させ、最大骨量などを高めることも有効であるとされている。即ち、骨の元となる骨芽細胞を活性化させることも重要である。
【0005】
これまでに、骨の強化に関する技術として、破骨細胞による骨吸収を抑制する作用を有するペプチドを含む骨強化用組成物(例えば、特許文献1参照)などの様々な技術が提案されている。
【0006】
しかしながら、骨強化作用を有し、かつ安全性が高く、そのため、飲食品、化粧料、研究用試薬などの成分として広く利用が可能な新たな素材に対する要望は依然として強く、その速やかな開発が求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れた骨強化作用を有し、かつ安全性が高い骨強化剤及び骨強化用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、ポリメトキシフラボン類、コロソリン酸、プテリキシン、ジヒドロ-5,6-デヒドロカワイン、ブラックジンジャー抽出物、西洋ニンジン抽出物、長命草抽出物、ギムネマ抽出物、ハス胚芽抽出物、スターフルーツ葉抽出物、及び月桃葉抽出物が、優れた骨強化作用を有し、かつ安全性が高く、骨強化に有用であることを知見し、本発明を完成したものである。
【0010】
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> ポリメトキシフラボン類、コロソリン酸、プテリキシン、ジヒドロ-5,6-デヒドロカワイン、ブラックジンジャー抽出物、西洋ニンジン抽出物、長命草抽出物、ギムネマ抽出物、ハス胚芽抽出物、スターフルーツ葉抽出物、及び月桃葉抽出物、並びにこれらの2種以上の組合せからなる群から選択されるいずれかを含有することを特徴とする骨強化剤である。
<2> 骨芽細胞におけるI型コラーゲン産生促進作用及び骨芽細胞活性化作用の少なくともいずれかを有する前記<1>に記載の骨強化剤である。
<3> 前記<1>から<2>のいずれかに記載の骨強化剤を含有することを特徴とする骨強化用組成物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の骨強化剤及び骨強化用組成物によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れた骨強化作用を有し、かつ安全性が高い骨強化剤及び骨強化用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(骨強化剤)
本発明の骨強化剤は、ポリメトキシフラボン類、コロソリン酸、プテリキシン、ジヒドロ-5,6-デヒドロカワイン、ブラックジンジャー抽出物、西洋ニンジン抽出物、長命草抽出物、ギムネマ抽出物、ハス胚芽抽出物、スターフルーツ葉抽出物、及び月桃葉抽出物、並びにこれらの2種以上の組合せからなる群から選択されるいずれかを有効成分として含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記有効成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0013】
前記ポリメトキシフラボン類、コロソリン酸、プテリキシン、ジヒドロ-5,6-デヒドロカワイン、ブラックジンジャー抽出物、西洋ニンジン抽出物、長命草抽出物、ギムネマ抽出物、ハス胚芽抽出物、スターフルーツ葉抽出物、及び月桃葉抽出物、並びにこれらの2種以上の組合せからなる群から選択されるいずれかがこのような優れた作用を有し、骨強化剤として有用であることは、従来は全く知られておらず、本発明者らによる新たな知見である。
【0014】
<ブラックジンジャー抽出物>
前記ブラックジンジャー(黒ショウガ)(学名:Kaempferia parviflora)は、ショウガ科バンウコン属に属する植物であり、東南アジアのタイ等に分布しており、これらの地域から容易に入手可能である。
【0015】
前記ブラックジンジャー抽出物は、抽出原料として使用する抽出部位から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0016】
-抽出部位-
前記ブラックジンジャーの抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、花、蕾、種子、種皮、茎、葉、枝、枝葉等の地上部;根、根茎等の地下部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、根、根茎等の地下部が好ましい。
前記ブラックジンジャーの抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0017】
-抽出部位の調製方法-
前記ブラックジンジャーの抽出部位の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、抽出部位を乾燥させた後、そのまま又は粗砕機を用い粉砕する方法などが挙げられる。前記乾燥させたものをそのまま又は粉砕したものを溶媒抽出に供することができる。前記乾燥は、天日で行ってもよいし、通常使用されている乾燥機を用いて行ってもよい。
【0018】
-抽出-
前記ブラックジンジャー抽出物は、植物の抽出に一般に用いられる方法により容易に得ることができる。前記ブラックジンジャー抽出物の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、抽出液そのもの、抽出液の希釈液、抽出液の濃縮液、これらの乾燥物、粗精製物、精製物などが挙げられる。
【0019】
前記抽出の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、室温又は還流加熱下で、任意の抽出装置を用いて抽出する方法などが挙げられ、より具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽に抽出原料である前記ブラックジンジャーの前記抽出部位を投入し、必要に応じて適宜撹拌しながら、例えば、30分間~4時間静置して可溶性成分を溶出した後、濾過して抽出残渣を除くことにより抽出液を得る方法などが挙げられる。前記抽出液は、更に、抽出溶媒を留去し、乾燥してもよい。
また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
【0020】
前記ブラックジンジャーの抽出における条件(抽出時間及び抽出温度)、抽出溶媒及び抽出溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0021】
前記抽出溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、親水性溶媒、又は水と親水性溶媒との混合溶媒などが挙げられる。
【0022】
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水などの他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。なお、前記抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水なども含まれる。前記水は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0023】
前記親水性溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2~5の多価アルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0024】
前記混合溶媒における前記水に対する前記親水性溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、低級アルコールを使用する場合は、水10容量部に対して1容量部~90容量部、低級脂肪族ケトンを使用する場合は、水10容量部に対して1容量部~40容量部、多価アルコールを使用する場合は、水10容量部に対して1容量部~90容量部添加することが好ましい。
【0025】
前記抽出溶媒の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、室温乃至溶媒の沸点以下の温度で用いることが好ましい。
【0026】
得られた前記ブラックジンジャー抽出物は、前記ブラックジンジャー抽出物の希釈物、濃縮物、乾燥物、粗精製物、精製物などを得るために、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製などの処理を施してもよい。
【0027】
前記ブラックジンジャー抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理などの精製方法が挙げられる。前記精製方法により精製することで、有効成分の濃度を高めたり、不要物を除去したりすることができる。
【0028】
得られた前記ブラックジンジャー抽出物は、そのままでも前記骨強化剤として使用することができるが、利用しやすい点で、前記濃縮液、前記乾燥物が好ましい。前記乾燥物を得るに当たって、吸湿性を改善するためにデキストリン、シクロデキストリンなどのキャリアーを加えてもよい。
【0029】
<西洋ニンジン抽出物>
前記西洋ニンジン(学名:Daucus carota subsp. sativus)は、セリ科ニンジン属の植物である。中央アジア原産で、日本全土に分布しており、これらの地域から容易に入手可能である。
【0030】
前記西洋ニンジン抽出物は、抽出原料として使用する抽出部位から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0031】
-抽出部位-
前記西洋ニンジンの抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、花、蕾、種子、種皮、茎、葉、枝、枝葉等の地上部;根、根茎等の地下部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、茎、葉、枝、枝葉等の地上部が好ましい。
前記西洋ニンジンの抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0032】
-抽出部位の調製方法-
前記西洋ニンジンの抽出部位の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記したブラックジンジャー抽出物における抽出部位の調製方法の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0033】
-抽出-
前記西洋ニンジン抽出物の態様、抽出、抽出物の処理、及び抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記したブラックジンジャー抽出物における抽出の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0034】
<長命草抽出物>
前記長命草(ボタンボウフウ)(学名:Peucedanum japonicum Thunb.)は、セリ科カワラボウフウ属の植物であり、海岸に生える多年草で、関東以西、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国大陸、フィリピンなどに分布しており、これらの地域から容易に入手可能である。
【0035】
前記長命草抽出物は、抽出原料として使用する抽出部位から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0036】
-抽出部位-
前記長命草の抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、花、蕾、種子、種皮、茎、葉、枝、枝葉等の地上部、;根、根茎等の地下部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、根、根茎等の地下部が好ましい。
前記長命草の抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0037】
-抽出部位の調製方法-
前記長命草の抽出部位の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記したブラックジンジャー抽出物における抽出部位の調製方法の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0038】
-抽出-
前記長命草抽出物の態様、抽出、抽出物の処理、及び抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記したブラックジンジャー抽出物における抽出の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0039】
<ギムネマ抽出物>
前記ギムネマは、キョウチクトウ科に属する蔓性植物であり、例えば、ギムネマシルベスタ(Gymnema sylvestre)が挙げられる。前記ギムネマは、インドやスリランカを原産とし、これらの地域から容易に入手可能である。
【0040】
前記ギムネマ抽出物は、抽出原料として使用する抽出部位から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0041】
-抽出部位-
前記ギムネマの抽出部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、茎、葉などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ギムネマの抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0042】
-抽出部位の調製方法-
前記ギムネマの抽出部位の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記したブラックジンジャー抽出物における抽出部位の調製方法の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0043】
-抽出-
前記ギムネマ抽出物の態様、抽出、抽出物の処理、及び抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記したブラックジンジャー抽出物における抽出の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0044】
<ハス胚芽抽出物>
前記ハス(学名:Nelumbo nucifera Gaertn.)は、熱帯アジア原産のスイレン科ハス属に属する多年性水生植物である。ハスは、ヨーロッパ東南部、オーストラリア北部、アジア東部などに分布しており、また池や水田、堀等に栽培され、これらの地域から容易に入手することができる。
ハスは日本では地下茎の部分が蓮根として食されており、安全性の高い植物である。
【0045】
前記ハス胚芽抽出物は、抽出原料として使用する胚芽から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0046】
-抽出部位-
前記ハスの抽出部位は、胚芽である。ハスの胚芽とは、ハスの種子の中にある緑色で棒状の胚芽のことである。
前記ハスの抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0047】
-抽出部位の調製方法-
前記ハスの抽出原料の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記したブラックジンジャー抽出物における抽出部位の調製方法の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0048】
-抽出-
前記ハス胚芽抽出物の態様、抽出、抽出物の処理、及び抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記したブラックジンジャー抽出物における抽出の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0049】
<スターフルーツ葉抽出物>
前記スターフルーツ(学名:Averrhoa carambola)(和名:ゴレンシ)は、カタバミ科ゴレンシ属の常緑の木本である。原産地は東南アジア全域の他、中国南部、台湾、ブラジル、ガイアナ、トリニダード・トバゴ、フロリダ、ハワイ等の熱帯から亜熱帯地域であり、これらの地域から容易に入手可能である。
スターフルーツは、甘い実のなる甘味種と、酸味のある実のなる酸味種とがあり、生食の他、ジャムやゼリー、漬物などに利用されている。葉は、風熱感冒、急性胃腸炎、小便不利、産後浮腫等の予防乃至治療剤として利用されている。
【0050】
前記スターフルーツ葉抽出物は、抽出原料として使用する葉から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0051】
-抽出部位-
前記スターフルーツの抽出部位は、葉部である。
前記スターフルーツの抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0052】
-抽出部位の調製方法-
前記スターフルーツの抽出部位の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記したブラックジンジャー抽出物における抽出部位の調製方法の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0053】
-抽出-
前記スターフルーツ葉抽出物の態様、抽出、抽出物の処理、及び抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記したブラックジンジャー抽出物における抽出の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0054】
<月桃葉抽出物>
前記月桃(学名:Alpinia zerumbet又はAlpinia speciosa(Wendl.) K. Schum.)は、ショウガ科ハナミョウガ属に属する多年生常緑草本であり、九州南部からインドにまで分布しており、これらの地域から容易に入手可能である。
月桃は、沖縄ではサンニンと呼ばれ、琉球王朝以来の伝統菓子であるムーチーに利用されるほか、ハーブとしても利用されている。
【0055】
前記月桃葉抽出物は、抽出原料として使用する抽出部位から調製したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0056】
-抽出部位-
前記月桃の抽出部位は、葉部である。
前記月桃の抽出原料の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0057】
-抽出部位の調製方法-
前記月桃の抽出部位の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記したブラックジンジャー抽出物における抽出部位の調製方法の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0058】
-抽出-
前記月桃葉抽出物の態様、抽出、抽出物の処理、及び抽出物の精製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記したブラックジンジャー抽出物における抽出の項目に記載したものと同様にして行うことができる。
【0059】
<ポリメトキシフラボン類>
前記ポリメトキシフラボン類は、下記構造式(1)で表される化合物である。前記ポリメトキシフラボン類は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記ポリメトキシフラボン類は、塩の態様であってもよい。前記ポリメトキシフラボン類が、2種以上を併用するものである場合、各ポリメトキシフラボンの量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【化1】
前記構造式(1)中、R
1~R
6はそれぞれ水素(-H)、ヒドロキシル基(-OH)、及びメトキシ基(-OCH
3)のいずれかであり、かつR
1~R
6は2つ以上のメトキシ基を含む。
【0060】
前記ポリメトキシフラボン類は、植物から抽出したものや化学的に合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0061】
植物から抽出する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記したブラックジンジャーから抽出する方法などが挙げられる。前記ブラックジンジャーから抽出することができるポリメトキシフラボン類としては、5,7,3’,4’-テトラメトキシフラボン、3,5,7,3’,4’-ペンタメトキシフラボン、5,7-ジメトキシフラボン、5,7,4’-トリメトキシフラボン、3,5,7-トリメトキシフラボン、及び3,5,7,4’-テトラメトキシフラボンが挙げられる。前記メトキシフラボン類は、5,7-ジメトキシフラボン、3,5,7,3’,4’-ペンタメトキシフラボンを含むことが好ましい。
【0062】
前記ブラックジンジャーから前記ポリメトキシフラボン類を抽出する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、特開2016-193906号公報に記載の方法などが挙げられる。
【0063】
<コロソリン酸>
前記コロソリン酸は、植物などに含まれる下記構造式(2)で表される5環性トリテルペン酸である。前記コロソリン酸は、塩の態様であってもよい。
【化2】
【0064】
前記コロソリン酸は、植物から抽出したものや化学的に合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0065】
植物から抽出する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、バナバから抽出する方法などが挙げられる。
【0066】
前記バナバ(学名:Lagerstroemia speciose)は、ミソハギ料の植物であり、インド、東南アジアから北オーストラリアまでの熱帯地域に分布しており、これらの地域から容易に入手可能である。
前記バナバから前記コロソリン酸を抽出する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。
【0067】
<プテリキシン>
前記プテリキシンは、下記構造式(3)で表される化合物である。前記プテリキシンは、塩の態様であってもよい。
【化3】
前記構造式(3)中、R
7は-O-COCH
3であり、R
8は-O-Agである。なお、前記「Ag」は下記構造式(3a)で表されるアンゲロイル基を表す。
【化4】
【0068】
前記プテリキシンは、植物から抽出したものや化学的に合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0069】
植物から抽出する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した長命草から抽出する方法などが挙げられる。
【0070】
前記長命草から前記プテリキシンを抽出する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、特開2021-107373号公報に記載の方法などが挙げられる。
【0071】
<ジヒドロ-5,6-デヒドロカワイン>
前記ジヒドロ-5,6-デヒドロカワインは、下記構造式(4)で表される化合物である。前記ジヒドロ-5,6-デヒドロカワインは、塩の態様であってもよい。
【化5】
【0072】
前記ジヒドロ-5,6-デヒドロカワインは、植物から抽出したものや化学的に合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0073】
植物から抽出する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した月桃から抽出する方法などが挙げられる。
【0074】
前記月桃から前記ジヒドロ-5,6-デヒドロカワインを抽出する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、国際公開第2016/103450号に記載の方法などが挙げられる。
【0075】
前記ポリメトキシフラボン類、コロソリン酸、プテリキシン、ジヒドロ-5,6-デヒドロカワイン、ブラックジンジャー抽出物、西洋ニンジン抽出物、長命草抽出物、ギムネマ抽出物、ハス胚芽抽出物、スターフルーツ葉抽出物、及び月桃葉抽出物、並びにこれらの2種以上の組合せからなる群から選択されるいずれかの前記骨強化剤における合計含有量としては、特に制限はなく、前記ポリメトキシフラボン類、コロソリン酸、プテリキシン、ジヒドロ-5,6-デヒドロカワイン、ブラックジンジャー抽出物、西洋ニンジン抽出物、長命草抽出物、ギムネマ抽出物、ハス胚芽抽出物、スターフルーツ葉抽出物、及び月桃葉抽出物、並びにこれらの2種以上の組合せからなる群から選択されるいずれかの生理活性等によって適宜調整することができる。前記骨強化剤は、前記ポリメトキシフラボン類、コロソリン酸、プテリキシン、ジヒドロ-5,6-デヒドロカワイン、ブラックジンジャー抽出物、西洋ニンジン抽出物、長命草抽出物、ギムネマ抽出物、ハス胚芽抽出物、スターフルーツ葉抽出物、及び月桃葉抽出物、並びにこれらの2種以上の組合せからなる群から選択されるいずれかのみからなるものであってもよい。
【0076】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、前記骨強化剤の利用形態に応じて適宜選択することができ、例えば、賦形剤、防湿剤、防腐剤、強化剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、甘味料、酸味料、調味料、着色料、香料、美白剤、保湿剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色剤、水性成分、水、皮膚栄養剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0077】
前記その他の成分の前記骨強化剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0078】
<用途>
前記骨強化剤の用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、医薬品、医薬部外品、飲食品、化粧品などが挙げられる。
前記骨強化剤は、優れた骨強化作用を有し、安全性が高いので、例えば、骨強化用組成物の有効成分として好適に用いることができる。
【0079】
本発明の骨強化剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、その作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サルなど)に対して適用することもできる。
【0080】
前記骨強化剤の用法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口、非経口、外用などの用法が挙げられる。
【0081】
前記骨強化剤の剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、錠剤、粉剤、カプセル剤、顆粒剤、エキス剤、シロップ剤等の経口投与剤;注射剤、点滴剤、坐剤等の非経口投与剤;化粧水、乳液、クリーム、軟膏、美容液、ローション、パック、ゼリー、リップクリーム、口紅、ファンデーション、入浴剤、石鹸、ボディーソープ、アストリンゼント、ヘアトニック、ヘアローション、ヘアクリーム、ヘアリキッド、ポマード、シャンプー、リンス、コンディショナー等の外用剤などが挙げられる。
前記各剤型の骨強化剤の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。
【0082】
前記骨強化剤の使用量、使用期間等の使用方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0083】
また、本発明の骨強化剤は、骨強化作用の作用機構に関する研究のための試薬としても用いることができる。
【0084】
前記ポリメトキシフラボン類、コロソリン酸、プテリキシン、ジヒドロ-5,6-デヒドロカワイン、ブラックジンジャー抽出物、西洋ニンジン抽出物、長命草抽出物、ギムネマ抽出物、ハス胚芽抽出物、スターフルーツ葉抽出物、及び月桃葉抽出物、並びにこれらの2種以上の組合せからなる群から選択されるいずれかが有する骨強化作用は、例えば、骨芽細胞におけるI型コラーゲン産生促進作用及び骨芽細胞活性化作用の少なくともいずれかによって発揮される。そのため、前記骨強化剤は、骨芽細胞におけるI型コラーゲン産生促進作用及び骨芽細胞活性化作用の少なくともいずれかを有することが好ましい。なお、前記ポリメトキシフラボン類、コロソリン酸、プテリキシン、ジヒドロ-5,6-デヒドロカワイン、ブラックジンジャー抽出物、西洋ニンジン抽出物、長命草抽出物、ギムネマ抽出物、ハス胚芽抽出物、スターフルーツ葉抽出物、及び月桃葉抽出物、並びにこれらの2種以上の組合せからなる群から選択されるいずれかが有する骨強化作用は、骨芽細胞におけるI型コラーゲン産生促進作用及び骨芽細胞活性化作用の少なくともいずれかに基づいて発揮される骨強化作用に限定されるものではない。
また、本発明は、前記ポリメトキシフラボン類、コロソリン酸、プテリキシン、ジヒドロ-5,6-デヒドロカワイン、ブラックジンジャー抽出物、西洋ニンジン抽出物、長命草抽出物、ギムネマ抽出物、ハス胚芽抽出物、スターフルーツ葉抽出物、及び月桃葉抽出物、並びにこれらの2種以上の組合せからなる群から選択されるいずれかを含有する、骨芽細胞におけるI型コラーゲン産生促進剤又は骨芽細胞活性化剤にも関する。
【0085】
(骨強化用組成物)
本発明の骨強化用組成物は、本発明の骨強化剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0086】
<骨強化剤>
前記骨強化剤は、上述した本発明の骨強化剤である。
【0087】
前記骨強化用組成物における前記骨強化剤の含有量としては、特に制限はなく、前記骨強化用組成物の形態や前記ポリメトキシフラボン類、コロソリン酸、プテリキシン、ジヒドロ-5,6-デヒドロカワイン、ブラックジンジャー抽出物、西洋ニンジン抽出物、長命草抽出物、ギムネマ抽出物、ハス胚芽抽出物、スターフルーツ葉抽出物、及び月桃葉抽出物、並びにこれらの2種以上の組合せからなる群から選択されるいずれかの生理活性等によって適宜調整することができるが、前記ポリメトキシフラボン類、コロソリン酸、プテリキシン、ジヒドロ-5,6-デヒドロカワイン、ブラックジンジャー抽出物、西洋ニンジン抽出物、長命草抽出物、ギムネマ抽出物、ハス胚芽抽出物、スターフルーツ葉抽出物、及び月桃葉抽出物、並びにこれらの2種以上の組合せからなる群から選択されるいずれかの合計量に換算して、0.0001質量%~20質量%が好ましく、0.0001質量%~10質量%がより好ましい。前記骨強化用組成物は、前記骨強化剤のみからなるものであってもよい。
【0088】
<その他の成分>
前記骨強化用組成物におけるその他の成分としては、特に制限はなく、前記骨強化用組成物の利用形態に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した骨強化剤の項目に記載したその他の成分と同様のものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0089】
前記その他の成分の前記骨強化用組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0090】
<態様>
前記骨強化用組成物の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、医薬品、医薬部外品、飲食品、化粧品などが挙げられる。
本発明の骨強化用組成物は、日常的に使用することが可能であり、有効成分であるポリメトキシフラボン類、コロソリン酸、プテリキシン、ジヒドロ-5,6-デヒドロカワイン、ブラックジンジャー抽出物、西洋ニンジン抽出物、長命草抽出物、ギムネマ抽出物、ハス胚芽抽出物、スターフルーツ葉抽出物、及び月桃葉抽出物、並びにこれらの2種以上の組合せからなる群から選択されるいずれかの働きによって、骨強化作用をはじめとする様々な生理活性作用を極めて効果的に発揮させることができる。
【0091】
本発明の骨強化用組成物は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サルなど)に対して適用することもできる。
【0092】
前記本発明の骨強化用組成物の用法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、経口、非経口、外用などの用法が挙げられる。
【0093】
前記経口用の組成物としては、例えば、上述した経口投与剤や飲食品が挙げられる。ここで、飲食品とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口又は消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品などの区分に制限されるものではない。したがって、前記飲食品は、経口的に摂取される一般食品、健康食品(機能性飲食品)、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)、医薬部外品、医薬品等を構成する飲食品を幅広く含むものを意味する。
【0094】
前記経口用の組成物の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、茶飲料、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料、アルコール飲料、コーヒー飲料、コーヒー入り清涼飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子類;カニ、サケ、アサリ、マグロ、イワシ、エビ、カツオ、サバ、クジラ、カキ、サンマ、イカ、アカガイ、ホタテ、アワビ、ウニ、イクラ、トコブシ等の水産物;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;カレー、シチュー、親子丼、お粥、雑炊、中華丼、かつ丼、天丼、うな丼、ハヤシライス、おでん、マーボドーフ、牛丼、ミートソース、玉子スープ、オムライス、餃子、シューマイ、ハンバーグ、ミートボール等のレトルトパウチ食品;サラダ、漬物等の惣菜;種々の形態の健康・美容・栄養補助食品;錠剤、顆粒剤、カプセル剤、ドリンク剤、トローチ、うがい薬等の医薬品、医薬部外品;口中清涼剤、口臭防止剤等の口腔内で使用する口腔清涼剤、歯磨剤などが挙げられる。
【0095】
前記経口用以外の組成物としては、例えば、上述した非経口投与剤、外用剤が挙げられる。例えば、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、ファンデーションなどは皮膚化粧料として、ヘアトニック、ヘアクリーム、ヘアリキッド、シャンプー、ポマード、リンスなどは頭髪化粧料として用いることができる。
【0096】
前記骨強化用組成物の製造方法としては、特に制限はなく、前記骨強化用組成物の利用形態などに応じて適宜選択することができる。
【0097】
前記骨強化用組成物の使用量、使用期間等としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0098】
上述したように、本発明の骨強化剤及び骨強化用組成物は優れた骨強化作用を有する。
したがって、本発明は、個体に前記骨強化剤及び骨強化用組成物の少なくともいずれかを投与することを特徴とする骨強化方法にも関する。
【実施例0099】
以下、本発明の製造例、試験例、配合例を説明するが、本発明は、これらの製造例、試験例、配合例に何ら限定されるものではない。
【0100】
後述の試験例1及び2で用いる被験試料を下記のようにして製造又は用意した。
【0101】
(製造例1:ポリメトキシフラボン類)
ポリメトキシフラボン類を以下のようにして製造した。
ブラックジンジャーの根茎部100gに60容量%エタノール1,000mLを加え、還流冷却器を用いて、80℃にて2時間抽出を行った後、濾紙にて濾過し、抽出液を得た。
得られた抽出液を濃縮し、固形分濃度5%、エタノール濃度40容量%に調製し、調製液を樹脂体積に対して固形分5%程度通液してポリメトキシフラボン類を樹脂に吸着させ、40容量%エタノールで洗浄した後、75容量%エタノールで溶出させ、溶出液を得た。得られた溶出液を減圧下で濃縮、乾燥し、ポリメトキシフラボン類5.7g(5,7-ジメトキシフラボンを21.7質量%、3,5,7,3’,4’-ペンタメトキシフラボンを22.3質量%含有)を得た。
【0102】
(製造例2:ブラックジンジャー抽出物)
ブラックジンジャーの根茎部の60容量%エタノールによる抽出物を以下のようにして製造した。
ブラックジンジャーの根茎部100gに60容量%エタノール1,000mLを加え、還流冷却器を用いて、80℃にて2時間抽出を行った後、濾紙にて濾過し、抽出液を得た。
得られた抽出液を減圧下で濃縮、乾燥を行い、ブラックジンジャーの根茎部の60容量%エタノール抽出物(粉末)を23.9g得た。
【0103】
(製造例3:西洋ニンジン抽出物(30%エタノール抽出物))
西洋ニンジンの地上部の30容量%エタノールによる抽出物を以下のようにして製造した。
西洋ニンジンの地上部30gに30容量%エタノール360mLを加え、還流冷却器を用いて、80℃にて1時間抽出を2回行った後、濾紙にて濾過し、抽出液を得た。
得られた抽出液を減圧下で濃縮、乾燥を行い、西洋ニンジンの地上部の30容量%エタノール抽出物(粉末)を2.28g得た。
【0104】
(製造例4:西洋ニンジン抽出物(80%エタノール抽出物))
製造例3において、30容量%エタノールを80容量%エタノールに代えた以外は、製造例3と同様にして、西洋ニンジンの地上部の80容量%エタノール抽出物(粉末)を1.69g得た。
【0105】
(製造例5:長命草抽出物(30%エタノール抽出物))
長命草の根部の30容量%エタノールによる抽出物を以下のようにして製造した。
長命草の根部10gに30容量%エタノール200mLを加え、還流冷却器を用いて、80℃にて1時間抽出を行った後、濾紙にて濾過し、抽出液を得た。
得られた抽出液を減圧下で濃縮、乾燥を行い、長命草の根部の30容量%エタノール抽出物(粉末)を2.28g得た。
【0106】
(製造例6:長命草抽出物(80%エタノール抽出物))
製造例5において、30容量%エタノールを80容量%エタノールに代えた以外は、製造例5と同様にして、長命草の根部の80容量%エタノール抽出物(粉末)を1.90g得た。
【0107】
(製造例7:ハス胚芽抽出物)
ハスの胚芽の50容量%エタノールによる抽出物を以下のようにして製造した。
ハスの胚芽30gに50容量%エタノール270mLを加え、還流冷却器を用いて、80℃にて1時間抽出を2回行った後、濾紙にて濾過し、抽出液を得た。
得られた抽出液を減圧下で濃縮、乾燥を行い、ハスの胚芽の50容量%エタノール抽出物(粉末)を8.4g得た。
【0108】
(製造例8:スターフルーツ葉抽出物)
スターフルーツの葉部の30容量%エタノールによる抽出物を以下のようにして製造した。
スターフルーツの葉部100gに30容量%エタノール1,600mLを加え、還流冷却器を用いて、80℃にて1時間抽出を2回行った後、濾紙にて濾過し、抽出液を得た。
得られた抽出液を減圧下で濃縮、乾燥を行い、スターフルーツの葉部の30容量%エタノール抽出物(粉末)を32.9g得た。
【0109】
(製造例9:月桃葉抽出物)
月桃の葉部の50容量%エタノールによる抽出物を以下のようにして製造した。
月桃の葉部100gに50容量%エタノール1,000mLを加え、還流冷却器を用いて、80℃にて1時間抽出を2回行った後、濾紙にて濾過し、抽出液を得た。
得られた抽出液を減圧下で濃縮、乾燥を行い、月桃の葉部の50容量%エタノール抽出物(粉末)を13.3g得た。
【0110】
(製造例10~13)
下記の被験試料は、市販品を用意した。
・ 製造例10 : ギムネマエキス粉末FG(丸善製薬株式会社製)
・ 製造例11 : コロソリン酸(富士フイルム和光純薬株式会社)
・ 製造例12 : プテリキシン(Chem Faces社)
・ 製造例13 : ジヒドロ-5,6-デヒドロカワイン(Toronto Research Chemicals社)
【0111】
(試験例1:骨芽細胞を用いたI型コラーゲン産生促進作用試験)
上記製造例で製造又は用意したものを被験試料として用い、下記の試験方法により、骨芽細胞におけるI型コラーゲン産生促進作用を試験した。
【0112】
ヒト骨芽細胞(SaM-1)を、10%FBS含有DMEM(high glucose with 20mmol/L HEPES: High-DMEM)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を6×104細胞/mLの濃度になるように上記培地で希釈した後、96ウェルマイクロプレートに、1.2×104細胞/ウェルとなるよう1ウェル当たり200μLずつ播種し、3日間培養した。
培養終了後、100μL/ウェル PBS(-)で洗浄し、培地をFBS不含High-DMEM 100μL/ウェルへ置き換えた。24時間培養後、FBS不含High-DMEMに溶解した被験試料(試料濃度は下記表1-1~1-2を参照)又は被験試料無添加のFBS不含High-DMEM(コントロール)を各ウェルに100μL添加し、3日間培養した。培養終了後、各ウェルの培地中のI型コラーゲン量をELISA法により測定した。
得られた結果から、下記式によりI型コラーゲン産生促進率を算出した。結果を表1-1~1-2に示す。
I型コラーゲン産生促進率(%)=A/B×100
上記式中のA~Bは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料添加時のI型コラーゲン量
B : 被験試料無添加時(コントロール)のI型コラーゲン量
【0113】
【0114】
【0115】
表1-1~1-2の結果から、ポリメトキシフラボン類、コロソリン酸、プテリキシン、ジヒドロ-5,6-デヒドロカワイン、ブラックジンジャー抽出物、西洋ニンジン抽出物、長命草抽出物、ギムネマ抽出物、ハス胚芽抽出物、スターフルーツ葉抽出物、及び月桃葉抽出物は、骨芽細胞における優れたI型コラーゲン産生促進作用を有することが確認された。
【0116】
(試験例2:骨芽細胞活性化作用試験)
上記製造例で製造又は用意したものを被験試料として用い、下記の試験方法により、骨芽細胞活性化作用を試験した。
【0117】
ヒト骨芽細胞(SaM-1)を、10%FBS含有DMEM(high glucose with 20mmol/L HEPES: High-DMEM)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を6×104細胞/mLの濃度になるように上記培地で希釈した後、96ウェルマイクロプレートに、1.2×104細胞/ウェルとなるよう1ウェル当たり200μLずつ播種し、3日間培養した。
培養終了後、100μL/ウェル PBS(-)で洗浄し、培地をFBS不含High-DMEM 100μL/ウェルへ置き換えた。24時間培養後、FBS不含High-DMEMに溶解した被験試料(試料濃度は下記表2を参照)又は被験試料無添加のFBS不含High-DMEM(コントロール)を各ウェルに100μL添加し、3日間培養した。
骨芽細胞活性化作用は、細胞の還元酵素活性を指標にWST8アッセイを用いて測定した。具体的には、培養終了後、WST-8溶液(Cell Counting Kit-8、同仁化学研究所)を各ウェルに10μLずつ添加した。2時間培養後、細胞外に生成したホルマザンとして波長450nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってホルマザン生成量とした。
得られた結果から、下記式により骨芽細胞活性化率を算出した。結果を表2に示す。
骨芽細胞活性化率(%)=A/B×100
上記式中のA~Bは、それぞれ以下を表す。
A : 被験試料添加時のホルマザン生成量
B : 被験試料無添加時(コントロール)のホルマザン生成量
【0118】
【0119】
表2の結果から、プテリキシン及び長命草抽出物は、優れた骨芽細胞活性化作用を有することが確認された。
【0120】
(配合例1)
常法により、以下の組成を有する錠剤を製造した。
・ 製造例2のブラックジンジャー抽出物 5.0mg
・ ドロマイト 83.4mg
(カルシウム20%、マグネシウム10%含有)
・ カゼインホスホペプチド 16.7mg
・ ビタミンC 33.4mg
・ マルチトール 136.8mg
・ コラーゲン 12.7mg
・ ショ糖脂肪酸エステル 12.0mg
【0121】
(配合例2)
常法により、以下の組成を有する経口液状製剤を製造した。
<1アンプル(1本100mL)中の組成>
・ 製造例13のジヒドロ-5,6-デヒドロカワイン 0.3質量%
・ ソルビット 12.0質量%
・ 安息香酸ナトリウム 0.1質量%
・ 香料 1.0質量%
・ 硫酸カルシウム 0.5質量%
・ 精製水 残部
【0122】
(配合例3)
常法により、以下の組成を有する乳液を製造した。
・ 製造例3の西洋ニンジン抽出物 0.01g
・ ホホバオイル 4.00g
・ 1,3-ブチレングリコール 3.00g
・ アルブチン 3.00g
・ ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.50g
・ オリーブオイル 2.00g
・ スクワラン 2.00g
・ セタノール 2.00g
・ モノステアリン酸グリセリル 2.00g
・ オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 2.00g
・ パラオキシ安息香酸メチル 0.15g
・ グリチルリチン酸ステアリル 0.10g
・ 黄杞エキス 0.10g
・ グリチルリチン酸ジカリウム 0.10g
・ イチョウ葉エキス 0.10g
・ コンキオリン 0.10g
・ オウバクエキス 0.10g
・ カミツレエキス 0.10g
・ 香料 0.05g
・ 精製水 残部(全量を100gとする)
【0123】
(配合例4)
常法により、以下の組成を有する美容液を製造した。
・ 製造例6の長命草抽出物 0.01g
・ カミツレエキス 0.1g
・ キサンタンガム 0.3g
・ ヒドロキシエチルセルロース 0.1g
・ カルボキシビニルポリマー 0.1g
・ 1,3-ブチレングリコール 4.0g
・ グリチルリチン酸ジカリウム 0.1g
・ グリセリン 2.0g
・ 水酸化カリウム 0.25g
・ 香料 0.01g
・ 防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル) 0.15g
・ エタノール 2.0g
・ 精製水 残部(全量を100gとする)
【0124】
(配合例5)
常法により、以下の組成を有する顆粒を製造した。
・ 製造例10のギムネマ抽出物 150.0質量部
・ カルシウム 680.0質量部
・ 鉄 6.8質量部
・ ビートオリゴ糖 1000.0質量部
・ ステビア抽出物 10.0質量部
【0125】
(配合例6)
常法により、以下の組成を有するソフトカプセルを製造した。
・ 製造例7のハス胚芽抽出物 30質量部
・ オリーブ油 200質量部
・ グリセリン脂肪酸エステル 24質量部
・ ミツロウ 24質量部
【0126】
(配合例7)
常法により、以下の組成を有するチョコレートを製造した。
・ 製造例8のスターフルーツ葉抽出物 0.15質量部
・ チョコレート 45.0質量部
・ ショ糖 15.0質量部
・ カカオバター 20.0質量部
・ 全脂粉乳 25.0質量部
【0127】
(配合例8)
常法により、以下の組成を有する清涼飲料水を製造した。
・ 製造例11のコロソリン酸 0.3質量%
・ ローヤルゼリー 1.0質量%
・ 水溶性コラーゲン 10.0質量%
・ ハトムギエキス 1.0質量%
・ 高麗ニンジンエキス 1.0質量%
・ オリゴ糖 5.0質量%
・ ショ糖 10.0質量%
・ プルーン果汁 2.0質量%
・ ザクロ果汁 5.0質量%
・ グレープフルーツ果汁 10.0質量%
・ グレープフルーツフレーバー 0.7質量%
・ 水 残部
・ 合計 100.0質量%