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特開2023-73596異常発生箇所判定装置、異常発生箇所判定方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073596
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】異常発生箇所判定装置、異常発生箇所判定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/079 20130101AFI20230519BHJP
   H04B 10/071 20130101ALI20230519BHJP
【FI】
H04B10/079 110
H04B10/071
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186146
(22)【出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】800000068
【氏名又は名称】学校法人東京電機大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 貴章
(72)【発明者】
【氏名】河合 伸悟
(72)【発明者】
【氏名】乾 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】平野 章
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA43
5K102AD01
5K102LA02
5K102LA15
5K102LA22
5K102LA26
5K102LA35
5K102LA52
5K102MH15
(57)【要約】
【課題】光トランシーバが備えている信号品質の測定機能を用いて、光ファイバ通信システムの伝送路における異常発生箇所を判定すること。
【解決手段】異常発生箇所判定装置は、光ネットワークを構成する複数の光ノードから光トランシーバによって取得された伝送区間の伝送信号情報を収集する収集部と、前記伝送信号情報に基づいて前記伝送区間の正常性の診断を行う診断部と、前記診断部による複数の前記診断の結果に基づいて前記光ネットワークの異常箇所を判定する判定部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ネットワークを構成する複数の光ノードから光トランシーバによって取得された伝送区間の伝送信号情報を収集する収集部と、
前記伝送信号情報に基づいて前記伝送区間の正常性の診断を行う診断部と、
前記診断部による複数の前記診断の結果に基づいて前記光ネットワークの異常箇所を判定する判定部と、
を備える異常発生箇所判定装置。
【請求項2】
前記光ノード間の光リンクにおける異常の発生の有無を判定し、判定結果を示す光リンク状態情報を生成する光パルス試験器
をさらに備え、
前記判定部は、前記異常箇所が光リンク又は前記光トランシーバのうちいずれであるかを、前記診断の結果に基づいて識別できない場合には、前記光リンク状態情報に基づいて識別する
請求項1に記載の異常発生箇所判定装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記光リンク状態情報に基づいて前記光リンクにおける異常の発生の有無の判定を行った後、前記光リンクごとの前記判定の結果と前記診断の結果とに基づいて前記異常箇所を判定する
請求項2に記載の異常発生箇所判定装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記診断の結果に基づいて前記異常箇所の候補となる光リンクと光トランシーバとを抽出し、前記光リンク状態情報に基づいて前記異常箇所が前記光リンク又は前記光トランシーバのうちいずれであるかを識別する
請求項2に記載の異常発生箇所判定装置。
【請求項5】
前記診断部は、複数の前記光ノードの各々に備えられる
請求項1から4のうちいずれか一項に記載の異常発生箇所判定装置。
【請求項6】
前記伝送信号情報は、前記光トランシーバによって受信されたデジタル変調信号、受信パワーの値、又はビットエラー率の値を含む
請求項1から5のうちいずれか一項に記載の異常発生箇所判定装置。
【請求項7】
光ネットワークを構成する複数の光ノードから光トランシーバによって取得された伝送区間の伝送信号情報を収集する収集ステップと、
前記伝送信号情報に基づいて前記伝送区間の正常性の診断を行う診断ステップと、
前記診断ステップによる複数の前記診断の結果に基づいて前記光ネットワークの異常箇所を推定する推定ステップと、
を有する異常発生箇所判定方法。
【請求項8】
請求項1から6のうちいずれか一項に記載の異常発生箇所判定装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常発生箇所判定装置、異常発生箇所判定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ通信システムの伝送路における異常発生箇所の検出には、一般的に、OTDR(Optical Time Domain Reflectometer;光パルス試験器)が用いられる。OTDRは、光ファイバに対して送出された光パルスの反射光(後方散乱光)を観測することによって、光ファイバの損失を評価することができる測定器である。OTDRは、光ファイバの敷設工事及び保守作業における試験で用いられるほか、実際にデータ伝送が行われているアクティブな伝送路でも用いられることがある。OTDRは、光パルスの入射点からの距離に対する損失レベルを波形として表すことができる。OTDRが用いられることによって、波形の乱れが発生した地点と波形の形状とから、光ファイバの断線等の異常発生箇所を検出したり、例えばコネクタの接続損失等の損失を発生させている異常発生箇所を検出したりすることが可能になる。
【0003】
一方で、実際のデータ通信に用いられている光信号そのものを用いて、光ファイバ通信システムの伝送路に発生した異常を検出する試みも進められている。例えば、非特許文献1に記載の技術は、デジタルコヒーレント光トランシーバの受信器で得られたデジタル変調信号が実軸/虚軸の2次元画像として表されたコンスタレーションを、機械学習における学習パラメータとして用いる。そして、非特許文献1に記載の技術は、学習がなされたニューラルネットワークを用いて、コンスタレーションの歪みから光ファイバの曲げの有無を識別する。
【0004】
例えば、光ファイバの曲げの有無を識別させる場合には、光ファイバが曲がっていない状態のコンスタレーションと曲がった状態のコンスタレーションとに対して、互いに異なるラベルが付与される。これらのコンスタレーションがニューラルネットワークに入力されることで、ニューラルネットワークは、コンスタレーションの形状の規則性を、ラベルごとに学習する。そして、学習がなされたニューラルネットワークに対して、ラベルが付与されてない未知のコンスタレーションが入力されると、ニューラルネットワークは、過去の規則性に基づいて最も適切なラベルを出力する。例えば光ファイバの曲げ等によるコンスタレーションの形状変化は、人間の視覚では識別できないほどの小さな変化であるが、ニューラルネットワーク等の機械学習技術等が用いられるようになったことで、昨今、検出することが可能になっている。
【0005】
また、一般的に、光トランシーバには、受信信号の品質劣化を検出するために、例えば受信パワー及びビットエラー率等を計測する機能が備えられている。光ネットワークの運用保守においては、上記のような機械学習を用いた異常発生箇所の検出手段を用いるだけでなく、光トランシーバに予め備えられた技術等も活用して、通信断が発生する前に、当該通信断の予兆となる異常の発生を早期に検出し、かつ、異常発生箇所を特定することが望まれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】T. Tanaka, S. Kuwabara, H. Nishizawa, T. Inui, S. Kobayashi and A. Hirano, “Field Demonstration of Real-time Optical Network Diagnosis Using Deep Neural Network and Telemetry”, Optical Fiber Communications Conference and Exhibition (OFC) 2019, Tu2E.5., February, 2019
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の通り、OTDRは、光ファイバ通信システムの伝送路における異常発生箇所をより高い精度で推定することが可能である。しかしながら、OTDRは、測定対象とする光トランシーバとは異なる光源を用いるため、例えばレーザ不調等の光トランシーバ自体に発生する異常を検出することが難しい。また、OTDRは、異常検出専用の測定装置であり、光ファイバ通信システムに対して付加的に導入されるものである。また、OTDRは、光トランシーバと比較してより高価な装置である。このように、機能及びコストの面で、OTDRは、光ネットワークのあらゆる地点で発生する異常を網羅的に検出することには適していない。
【0008】
一方、光トランシーバが予め備えている信号品質の測定機能を用いて、光ファイバ通信システムの伝送路における異常を検出する検出手段は、光トランシーバ自体の異常を検出することができる。また、この検出手段では、例えばOTDR等の異常検出専用の測定装置が必要とされないため、より経済的である。しかしながら、この検出手段では、例えば信号品質の劣化等の異常が発生した際に、当該異常が伝送路のどの区間で発生しているのかを判定することが難しいという課題があった。
【0009】
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、光トランシーバが備えている信号品質の測定機能を用いて、光ファイバ通信システムの伝送路における異常発生箇所を判定することができる異常発生箇所判定装置、異常発生箇所判定方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、光ネットワークを構成する複数の光ノードから光トランシーバによって取得された伝送区間の伝送信号情報を収集する収集部と、前記伝送信号情報に基づいて前記伝送区間の正常性の診断を行う診断部と、前記診断部による複数の前記診断の結果に基づいて前記光ネットワークの異常箇所を判定する判定部と、を備える異常発生箇所判定装置である。
【0011】
また、本発明の一態様は、光ネットワークを構成する複数の光ノードから光トランシーバによって取得された伝送区間の伝送信号情報を収集する収集ステップと、前記伝送信号情報に基づいて前記伝送区間の正常性の診断を行う診断ステップと、前記診断ステップによる複数の前記診断の結果に基づいて前記光ネットワークの異常箇所を推定する推定ステップと、を有する異常発生箇所判定方法である。
【0012】
また、本発明の一態様は、上記の異常発生箇所判定装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、光トランシーバが備えている信号品質の測定機能を用いて、光ファイバ通信システムの伝送路における異常発生箇所を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態における光ネットワークシステム1の全体構成図である。
図2】本発明の第1の実施形態における光ネットワーク状態推定装置20の動作を示すフローチャートである。
図3】光ネットワーク状態推定装置20の動作を説明するための光ネットワークの構成の一例を示す図である。
図4】異常発生箇所のパターンと信号状態診断部22によって異常が検出される光トランシーバとの対応の一例を示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態の第1の変形例における光ネットワークシステム1bの全体構成図である。
図6】本発明の第1の実施形態の第2の変形例における光ネットワークシステム1cの全体構成図である。
図7】本発明の第1の実施形態の第2の変形例における光ネットワークシステム1cのマルチコア光ファイバ30cの断面図である。
図8】本発明の第2の実施形態における光ネットワーク状態推定装置20dの動作を示すフローチャートである。
図9】光ネットワーク状態推定装置20dの動作を説明するための光ネットワークの構成の一例を示す図である。
図10】異常発生箇所のパターンと信号状態診断部22によって異常が検出される光トランシーバとの対応の一例を示す図である。
図11】本発明の第2の実施形態の変形例における光ネットワーク状態推定装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
[光ネットワークシステムの構成]
以下、本実施形態における光ネットワークシステムの構成について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における光ネットワークシステム1の全体構成図である。光ネットワークシステム1は、光ファイバ通信システムである。図1に示されるように、本実施形態における光ネットワークシステム1は、4つの光ノード装置10と、光ネットワーク状態推定装置20とを含んで構成される。なお、本実施形態では、一例として、光ネットワークシステム1が有する光ノード装置10の個数を4つとしているが、これに限られるものではなく、任意の個数で構わない。
【0017】
4つの光ノード装置10は、光ファイバを用いた光リンクで互いに通信接続され、光ネットワークを構成する。図1に示されるように、光ノード装置10は、光信号入出力部11と、光クロスコネクト部12とを備える。
【0018】
光信号入出力部11は、光ノード装置10の間を接続する光リンクにて伝送される信号の入出力を行う。光信号入出力部11には、クライアント信号を伝達する光トランシーバ110(Tx/Rx(Transmitter/Receiver))が、実際の通信状況に応じて備わる。光トランシーバ110によって取得された、伝送区間の伝送信号情報は、光ネットワーク状態推定装置20へ送信される。伝送信号情報には、光リンクで伝送された信号の状態を推定するために必要となる、光通信に関わる情報が含まれている。例えば、伝送信号情報には、光トランシーバ110によって受信されたデジタル変調信号、受信パワーの値、及びビットエラー率の値等が含まれる。
【0019】
光クロスコネクト部12は、光信号の入出力方路を決定する。
【0020】
光ネットワーク状態推定装置20は、4つの光ノード装置10によって構成される光ネットワークの通信状態を評価する。図1に示されるように、光ネットワーク状態推定装置20は、伝送信号情報収集部21と、信号状態診断部22と、異常発生箇所推定部23とを備える。
【0021】
伝送信号情報収集部21は、光ネットワークの被監視区間の光ノード装置10の各々から伝送信号情報を受信する。伝送信号情報収集部21は、受信された伝送信号情報を信号状態診断部22へ出力する。
【0022】
信号状態診断部22は、伝送信号情報収集部21から出力された伝送信号情報を取得する。信号状態診断部22は、取得された伝送信号情報に基づいて伝送区間の正常性を診断する。なお、ここでいう正常性の診断とは、異常の有無の検出である。具体的には、信号状態診断部22は、各光トランシーバ110が通過する(利用する)伝送区間が正常であるか否か(異常が発生しているか否か)を判定する。例えば、信号状態診断部22は、受信パワーの値又はビットエラー率の値が予め定められた閾値を下回った場合に、伝送区間に異常が発生していると判定する。信号状態診断部22は、伝送区間の正常性の診断結果(異常の検出結果)を示す情報を異常発生箇所推定部23へ出力する。
【0023】
なお、信号状態診断部22は、例えば、デジタル変調信号等を用いてニューラルネットワーク等を用いた機械学習を行い、学習がなされたニューラルネットワーク等を用いることによって、伝送区間における異常の発生の有無を判定することができる構成であってもよい。
【0024】
異常発生箇所推定部23は、信号状態診断部22から出力された、伝送区間の正常性の診断結果を示す情報を取得する。異常発生箇所推定部23は、取得された診断結果を示す情報に基づいて、光ネットワークにおいて異常が発生している箇所(以下、「異常発生箇所」という。)を推定する。なお、本実施形態における異常発生箇所とは、異常が発生している光リンク、及び異常が発生している光トランシーバ110である。
【0025】
[光ネットワーク状態推定装置の動作]
以下、図2~4を参照しながら、光ネットワーク状態推定装置20の動作の一例について説明する。なお、本実施形態では、光ネットワークの構成、各光トランシーバ110の接続状況、及び信号状態診断部22による各光トランシーバ110の正常性の診断結果は、既知であるものとする。
【0026】
なお、本実施形態では、説明を簡易にするため、光ネットワークにおいて異常が発生している箇所は1箇所であるものとし、同時に複数の箇所で異常が発生していることはないものと仮定する。具体的には、本実施形態では、光ネットワークにおいて異常が発生している箇所は、光リンクのいずれか1箇所、又は光トランシーバ110のいずれか1箇所であるものとする。
【0027】
図2は、本発明の第1の実施形態における光ネットワーク状態推定装置20の動作を示すフローチャートである。図3は、光ネットワーク状態推定装置20の動作を説明するための光ネットワークの構成の一例を示す図である。図4は、図3に示される光ネットワークにおける異常発生のパターン及び正常性の診断結果を示す図である。
【0028】
図2のフローチャートが示す光ネットワーク状態推定装置20の動作は、例えば、信号状態診断部22によって光トランシーバ110の少なくとも1つが異常であると診断された際に開始される。
【0029】
まず、光ネットワーク状態推定装置20の異常発生箇所推定部23は、評価対象の光ネットワーク内の光リンクの各々について、光リンクを使用している全ての光トランシーバ110が異常であると診断されているか否かを特定する(ステップS001)。
【0030】
光リンクを使用している全ての光トランシーバ110が異常であると診断されている場合(ステップS001・YES)、異常発生箇所推定部23は、当該光リンクに対して異常発生フラグを設定する処理を行う(ステップS002)。異常発生箇所推定部23は、評価対象の光ネットワーク内の全ての光リンクについて上記の処理を繰り返した後、次のステップの動作に進む。
【0031】
次に、異常発生箇所推定部23は、信号状態診断部22によって異常であると診断された光トランシーバ110の各々について、光トランシーバ110が通過する全ての光リンクに異常発生フラグが(上記のステップS002の処理によって)設定されていないかどうかを特定する(ステップS003)。言い換えると、異常発生箇所推定部23は、光トランシーバ110が通過する少なくとも1つの光リンクに異常発生フラグが(上記のステップS002の処理によって)設定されているか否かを特定する。
【0032】
光トランシーバ110が通過する全ての光リンクに異常発生フラグが設定されていない場合(ステップS003・YES)、異常発生箇所推定部23は、当該光トランシーバ110に対して異常発生フラグを設定する処理を行う(ステップS005)。
【0033】
一方、光トランシーバ110が通過する少なくとも1つの光リンクに異常発生フラグが(上記のステップS002の処理によって)設定されている場合(ステップS003・NO)、異常発生箇所推定部23は、異常発生フラグが設定されている光リンクのうち、当該光トランシーバ110のみが使用している(他の光トランシーバ110には使用されていない)光リンクが存在するか否かを特定する(ステップS004)。
【0034】
異常発生フラグが設定されている光リンクのうち、当該光トランシーバ110のみが使用している(他の光トランシーバ110には使用されていない)光リンクが存在する場合(ステップS004・YES)、異常発生箇所推定部23は、当該光トランシーバ110に対して異常発生フラグを設定する処理を行う(ステップS005)。
【0035】
異常発生箇所推定部23は、信号状態診断部22によって異常であると診断された全ての光トランシーバ110について、上記ステップS003以降の処理を繰り返した場合、図2のフローチャートが示す光ネットワーク状態推定装置20の動作が終了する。
【0036】
以下、図3及び4を参照しながら、上記の図2に示されるフローチャートの処理が行われた場合の具体例について説明する。
【0037】
図3には、以下に説明する具体例における光ネットワークシステム1aの全体構成及び光ネットワークの構成が示されている。図3に示されるように、以下に説明する具体例における光ネットワークシステム1aは、光ノード装置10Aと、光ノード装置10Bと、光ノード装置10Cと、光ノード装置10Dと、光ネットワーク状態推定装置20とを含んで構成される。
【0038】
光ノード装置10A、光ノード装置10B、光ノード装置10C、及び光ノード装置10Dは、シングルモード光ファイバ30を用いた光リンクで互いに通信接続され、光ネットワークを構成する。光ノード装置10A、光ノード装置10B、光ノード装置10C、及び光ノード装置10Dは、それぞれ、光信号入出力部11と、光クロスコネクト部12とを備える。また、光クロスコネクト部12は、波長多重部15を備える。
【0039】
以下、光ノード装置10Aと光ノード装置10Bとの間を接続する光リンクを「光リンクA-B」、光ノード装置10Bと光ノード装置10Cとの間を接続する光リンクを「光リンクB-C」、及び光ノード装置10Cと光ノード装置10Dとの間を接続する光リンクを「光リンクC-D」という。
【0040】
光信号入出力部11には、クライアント信号を伝達する光トランシーバ(Tx/Rx)が、実際の通信状況に応じて備わる。以下に説明する具体例においては、図3に示されるように、光トランシーバ110-1が光ノード装置10Aと光ノード装置10Cとの間で備わっており、光トランシーバ110-2が光ノード装置10Aと光ノード装置10Bとの間で備わっており、光トランシーバ110-3が光ノード装置10Bと光ノード装置10Dとの間で備わっているものと仮定する。
【0041】
よって、図3に示されるように、光トランシーバ110-1が通過する光リンクは光リンクA-B及び光リンクB-Cであり、光トランシーバ110-2が通過する光リンクは光リンクA-Bのみであり、光トランシーバ110-3が通過する光リンクは光リンクB-C及び光リンクC-Dである。上記のような構成により、光ノード装置10Aと光ノード装置10Cとの間、光ノード装置10Aと光ノード装置10Bとの間、及び光ノード装置10Bと光ノード装置10Dとの間で、それぞれ光トランシーバ110-1、光トランシーバ110-2、及び光トランシーバ110-3による波長多重通信が行われる。
【0042】
光ネットワーク状態推定装置20は、光ノード装置10A、光ノード装置10B、光ノード装置10C、及び光ノード装置10Dによって構成される光ネットワークの通信状態を評価する。図3に示されるように、光ネットワーク状態推定装置20は、伝送信号情報収集部21と、信号状態診断部22と、異常発生箇所推定部23とを備える。
【0043】
前述の通り、本実施形態では、光ネットワークにおいて異常が発生した場合に、異常発生箇所は1箇所であるものとし、同時に複数の箇所で異常が発生していることはないものと仮定している。そのため、本具体例においては、光ネットワークにおいて異常が発生している箇所は、光リンクA-B、光リンクB-C、及び光リンクC-Dのうちいずれか1箇所、又は光トランシーバ110-1、光トランシーバ110-2、及び光トランシーバ110-3のうちいずれか1箇所である。すなわち、本具体例の光ネットワークにおいて発生しうる異常発生箇所は6つである。
【0044】
なお、光リンクA-B、光リンクB-C、及び光リンクC-Dにおいて発生する異常とは、例えば、光ファイバの曲げによって生じる通信障害である。また、光トランシーバ110-1、光トランシーバ110-2、及び光トランシーバ110-3で発生する異常とは、例えば、光トランシーバそのものの不具合である。
【0045】
図4には、図3の光ネットワークにて発生しうる異常発生箇所の6つのパターンと、各異常発生箇所で異常が発生した場合に信号状態診断部22によって異常が検出される光トランシーバとの対応が示されている。
【0046】
図4に示されるように、異常発生箇所が光リンクA-Bであるならば、当該光リンクA-Bを通過する光トランシーバ(Tx/Rx)である、光トランシーバ110-1及び光トランシーバ110-2において異常が検出される。また、異常発生箇所が光リンクB-Cであるならば、当該光リンクB-Cを通過する光トランシーバである、光トランシーバ110-1及び光トランシーバ110-3において異常が検出される。また、異常発生箇所が光リンクC-Dであるならば、当該光リンクC-Dを通過する光トランシーバである、光トランシーバ110-3において異常が検出される。
【0047】
また、図4に示されるように、異常発生箇所が光トランシーバ110-1であるならば、光トランシーバ110-1において異常が検出され、異常発生箇所が光トランシーバ110-2であるならば、光トランシーバ110-2において異常が検出され、異常発生箇所が光トランシーバ110-3であるならば、光トランシーバ110-3において異常が検出される。上記のような異常発生箇所と異常検出される光トランシーバとの対応に基づいて、異常が検出された光トランシーバから、異常発生箇所を、絞り込んだり、特定したりすることが可能なる。
【0048】
[異常発生フラグ設定の具体例]
以下、図3の光ネットワークにて発生しうる異常発生箇所の6つのパターンのそれぞれについて、図2に示される光ネットワーク状態推定装置20の動作によって異常発生フラグが設定されるまでの流れを説明する。
【0049】
まず、1つめのパターンである、例えば光ファイバに曲げが生じることにより、光リンクA-Bにおいて異常が発生した場合について考える。この場合、前述の通り、光トランシーバ110-1及び光トランシーバ110-2において異常が検出される。光ネットワーク状態推定装置20の異常発生箇所推定部23は、光リンクA-B、光リンクB-C、及び光リンクC-Dの各々について、光リンクを使用している全ての光トランシーバが異常であると診断されているか否かを特定する(図2のステップS001)。
【0050】
図3に示されるように、光リンクA-Bを使用している光トランシーバは、光トランシーバ110-1及び光トランシーバ110-2である。前述の通り、光トランシーバ110-1及び光トランシーバ110-2にはいずれも異常であると診断されていることから(図2のステップS001・YES)、異常発生箇所推定部23は、光リンクA-Bに対して異常発生フラグを設定する(図2のステップS002)。
【0051】
また、図3に示されるように、光リンクB-Cを使用している光トランシーバは、光トランシーバ110-1及び光トランシーバ110-3である。前述の通り、光トランシーバ110-1は異常であると診断されているが、光トランシーバ110-3は異常であるとは診断されていないことから(図2のステップS001・NO)、異常発生箇所推定部23は、光リンクB-Cに対しては異常発生フラグを設定しない。
【0052】
また、図3に示されるように、光リンクC-Dを使用している光トランシーバは、光トランシーバ110-3である。光トランシーバ110-3は異常であるとは診断されていないことから(図2のステップS001・NO)、異常発生箇所推定部23は、光リンクC-Dに対しては異常発生フラグを設定しない。
【0053】
次に、異常発生箇所推定部23は、信号状態診断部22によって異常であると診断された光トランシーバ110-1及び光トランシーバ110-2の各々について、光トランシーバが通過する全ての光リンクに異常発生フラグが設定されていないかどうかを特定する(図2のステップS003)。
【0054】
図3に示されるように、光トランシーバ110-1が通過する光リンクは、光リンクA-B及び光リンクB-Cである。前述の通り、光リンクB-Cには異常発生フラグが設定されていないが、光リンクA-Bには異常発生フラグが設定されている。よって、光トランシーバ110-1が通過する光リンクのうち、異常発生フラグが設定されている光リンク(すなわち、光リンクA-B)がある。この場合(図2のステップS003・NO)、異常発生箇所推定部23は、異常発生フラグが設定されている光リンクA-Bが、光トランシーバ110-1のみによって使用されている(他の光トランシーバには使用されていない)光リンクであるか否かを特定する(図2のステップS004)。
【0055】
光リンクA-Bは、光トランシーバ110-1だけでなく光トランシーバ110-2にも使用されていることから(図2のステップS004・NO)、異常発生箇所推定部23は、光トランシーバ110-1に対しては異常発生フラグを設定しない。
【0056】
また、図3に示されるように、光トランシーバ110-2が通過する光リンクは、光リンクA-Bのみである。前述の通り、光リンクA-Bには異常発生フラグが設定されている。よって、光トランシーバ110-2が通過する光リンクのうち、異常発生フラグが設定されている光リンク(すなわち、光リンクA-B)がある。この場合(図2のステップS003・NO)、異常発生箇所推定部23は、異常発生フラグが設定されている光リンクA-Bが、光トランシーバ110-2のみによって使用されている(他の光トランシーバには使用されていない)光リンクであるか否かを特定する(図2のステップS004)。
【0057】
光リンクA-Bは、光トランシーバ110-2だけでなく光トランシーバ110-1にも使用されていることから(図2のステップS004・NO)、異常発生箇所推定部23は、光トランシーバ110-2に対しては異常発生フラグを設定しない。
【0058】
したがって、図3に示されるネットワーク構成において、光リンクA-Bに異常が発生したパターンでは、光リンクA-Bのみに対して異常発生フラグが設定される。すなわち、光リンクA-Bに異常が発生した場合、異常発生箇所推定部23は、光リンクA-Bに異常が発生したと正しく推定することができる。
【0059】
図4には、図3の光ネットワークにて発生しうる異常発生箇所の6つのパターンと、各異常発生箇所で異常が発生した場合に設定される異常発生フラグとの対応が示されている。
【0060】
次に、2つめのパターンである、例えば光ファイバに曲げが生じることにより、光リンクB-Cにおいて異常が発生した場合について考える。この場合、前述の通り、光トランシーバ110-1及び光トランシーバ110-3において異常が検出される。光ネットワーク状態推定装置20の異常発生箇所推定部23は、光リンクA-B、光リンクB-C、及び光リンクC-Dの各々について、光リンクを使用している全ての光トランシーバが異常であると診断されているか否かを特定する(図2のステップS001)。
【0061】
図3に示されるように、光リンクA-Bを使用している光トランシーバは、光トランシーバ110-1及び光トランシーバ110-2である。前述の通り、光トランシーバ110-1は異常であると診断されているが、光トランシーバ110-2は異常であるとは診断されていないことから(図2のステップS001・NO)、異常発生箇所推定部23は、光リンクA-Bに対しては異常発生フラグを設定しない。
【0062】
また、図3に示されるように、光リンクB-Cを使用している光トランシーバは、光トランシーバ110-1及び光トランシーバ110-3である。前述の通り、光トランシーバ110-1及び光トランシーバ110-3はいずれも異常であると診断されていることから(図2のステップS001・YES)、異常発生箇所推定部23は、光リンクB-Cに対して異常発生フラグを設定する(図2のステップS002)。
【0063】
また、図3に示されるように、光リンクC-Dを使用している光トランシーバは、光トランシーバ110-3のみである。光トランシーバ110-3は異常であると診断されていることから(図2のステップS001・YES)、異常発生箇所推定部23は、光リンクC-Dに対して本来ならば異常発生フラグを設定するところである。しかしながら、光リンクC-Dに異常が発生したならば、光リンクC-Dを使用していない光トランシーバ110-1が(前述の通り)異常であると診断されていることと矛盾する(異常は複数の箇所で同時に発生しないことを仮定しているため)。よって、異常発生箇所推定部23は、光リンクC-Dに対しては異常発生フラグを設定しない。
【0064】
次に、異常発生箇所推定部23は、信号状態診断部22によって異常であると診断された光トランシーバ110-1及び光トランシーバ110-3の各々について、光トランシーバが通過する全ての光リンクに異常発生フラグが設定されていないかどうかを特定する(図2のステップS003)。
【0065】
図3に示されるように、光トランシーバ110-1が通過する光リンクは、光リンクA-B及び光リンクB-Cである。前述の通り、光リンクA-Bには異常発生フラグが設定されていないが、光リンクB-Cには異常発生フラグが設定されている。よって、光トランシーバ110-1が通過する光リンクのうち、異常発生フラグが設定されている光リンク(すなわち、光リンクB-C)がある。この場合(図2のステップS003・NO)、異常発生箇所推定部23は、異常発生フラグが設定されている光リンクB-Cが、光トランシーバ110-1のみによって使用されている(他の光トランシーバには使用されていない)光リンクであるか否かを特定する(図2のステップS004)。
【0066】
光リンクA-Bは、光トランシーバ110-1だけでなく光トランシーバ110-2にも使用されていることから(図2のステップS004・NO)、異常発生箇所推定部23は、光トランシーバ110-1に対しては異常発生フラグを設定しない。
【0067】
また、図3に示されるように、光トランシーバ110-3が通過する光リンクは、光リンクB-C及び光リンクC-Dである。前述の通り、光リンクC-Dには異常発生フラグが設定されていないが、光リンクB-Cには異常発生フラグが設定されている。よって、光トランシーバ110-3が通過する光リンクのうち、異常発生フラグが設定されている光リンク(すなわち、光リンクB-C)がある。この場合(図2のステップS003・NO)、異常発生箇所推定部23は、異常発生フラグが設定されている光リンクB-Cが、光トランシーバ110-3のみによって使用されている(他の光トランシーバには使用されていない)光リンクであるか否かを特定する(図2のステップS004)。
【0068】
光リンクB-Cは、光トランシーバ110-3だけでなく光トランシーバ110-1にも使用されていることから(図2のステップS004・NO)、異常発生箇所推定部23は、光トランシーバ110-3に対しては異常発生フラグを設定しない。
【0069】
したがって、図3に示されるネットワーク構成において、光リンクB-Cに異常が発生したパターンでは、光リンクB-Cのみに対して異常発生フラグが設定される。すなわち、光リンクB-Cに異常が発生した場合、異常発生箇所推定部23は、光リンクB-Cに異常が発生したと正しく推定することができる。
【0070】
次に、3つめのパターンである、例えば光ファイバに曲げが生じることにより、光リンクC-Dにおいて異常が発生した場合について考える。この場合、前述の通り、光トランシーバ110-3において異常が検出される。光ネットワーク状態推定装置20の異常発生箇所推定部23は、光リンクA-B、光リンクB-C、及び光リンクC-Dの各々について、光リンクを使用している全ての光トランシーバが異常であると診断されているか否かを特定する(図2のステップS001)。
【0071】
図3に示されるように、光リンクA-Bを使用している光トランシーバは、光トランシーバ110-1及び光トランシーバ110-2である。前述の通り、光トランシーバ110-1及び光トランシーバ110-2はいずれも異常であるとは診断されていないことから(図2のステップS001・NO)、異常発生箇所推定部23は、光リンクA-Bに対しては異常発生フラグを設定しない。
【0072】
また、図3に示されるように、光リンクB-Cを使用している光トランシーバは、光トランシーバ110-1及び光トランシーバ110-3である。前述の通り、光トランシーバ110-3は異常であると診断されているが、光トランシーバ110-1は異常であるとは診断されていないことから(図2のステップS001・NO)、異常発生箇所推定部23は、光リンクB-Cに対しては異常発生フラグを設定しない。
【0073】
また、図3に示されるように、光リンクC-Dを使用している光トランシーバは、光トランシーバ110-3のみである。光トランシーバ110-3は異常であると診断されていることから(図2のステップS001・YES)、異常発生箇所推定部23は、光リンクC-Dに対して異常発生フラグを設定する(図2のステップS002)。
【0074】
次に、異常発生箇所推定部23は、信号状態診断部22によって異常であると診断された光トランシーバ110-3について、光トランシーバが通過する全ての光リンクに異常発生フラグが設定されていないかどうかを特定する(図2のステップS003)。
【0075】
図3に示されるように、光トランシーバ110-3が通過する光リンクは、光リンクB-C及び光リンクC-Dである。前述の通り、光リンクB-Cには異常発生フラグが設定されていないが、光リンクC-Dには異常発生フラグが設定されている。よって、光トランシーバ110-3が通過する光リンクのうち、異常発生フラグが設定されている光リンク(すなわち、光リンクC-D)がある。この場合(図2のステップS003・NO)、異常発生箇所推定部23は、異常発生フラグが設定されている光リンクC-Dが、光トランシーバ110-3のみによって使用されている(他の光トランシーバには使用されていない)光リンクであるか否かを特定する(図2のステップS004)。
【0076】
光リンクC-Dは光トランシーバ110-3のみによって使用されていることから(図2のステップS004・YES)、異常発生箇所推定部23は、光トランシーバ110-3に対して異常発生フラグを設定する(図2のステップS005)。
【0077】
したがって、図3に示されるネットワーク構成において、光リンクC-Dに異常が発生したパターンでは、光リンクC-D及び光トランシーバ110-3に対して異常発生フラグが設定される。すなわち、光リンクC-Dに異常が発生した場合、異常発生箇所推定部23は、異常発生箇所を一意に推定することはできないが、光リンクC-D又は光トランシーバ110-3のいずれかに異常が発生したと、異常発生箇所の絞り込みを行うことができる。
【0078】
次に、4つめのパターンである、例えば光トランシーバ110-1において異常が発生した場合について考える。この場合、前述の通り、光トランシーバ110-1のみにおいて異常が検出される。光ネットワーク状態推定装置20の異常発生箇所推定部23は、光リンクA-B、光リンクB-C、及び光リンクC-Dの各々について、光リンクを使用している全ての光トランシーバが異常であると診断されているか否かを特定する(図2のステップS001)。
【0079】
図3に示されるように、光リンクA-Bを使用している光トランシーバは、光トランシーバ110-1及び光トランシーバ110-2である。前述の通り、光トランシーバ110-1は異常であると診断されているが、光トランシーバ110-2は異常であるとは診断されていないことから(図2のステップS001・NO)、異常発生箇所推定部23は、光リンクA-Bに対して異常発生フラグを設定しない。
【0080】
また、図3に示されるように、光リンクB-Cを使用している光トランシーバは、光トランシーバ110-1及び光トランシーバ110-3である。前述の通り、光トランシーバ110-1は異常であると診断されているが、光トランシーバ110-3は異常であるとは診断されていないことから(図2のステップS001・NO)、異常発生箇所推定部23は、光リンクB-Cに対しては異常発生フラグを設定しない。
【0081】
また、図3に示されるように、光リンクC-Dを使用している光トランシーバは、光トランシーバ110-3である。光トランシーバ110-3は異常であるとは診断されていないことから(図2のステップS001・NO)、異常発生箇所推定部23は、光リンクC-Dに対しては異常発生フラグを設定しない。
【0082】
次に、異常発生箇所推定部23は、信号状態診断部22によって異常であると診断された光トランシーバ110-1について、光トランシーバが通過する全ての光リンクに異常発生フラグが設定されていないかどうかを特定する(図2のステップS003)。
【0083】
図3に示されるように、光トランシーバ110-1が通過する光リンクは、光リンクA-B及び光リンクB-Cである。そして、前述の通り、光リンクA-B及び光リンクB-Cには異常発生フラグが設定されていない。この場合(図2のステップS003・YES)、異常発生箇所推定部23は、光トランシーバ110-1に対して異常発生フラグを設定する(図2のステップS005)。
【0084】
したがって、図3に示されるネットワーク構成において、光トランシーバ110-1に異常が発生したパターンでは、光トランシーバ110-1のみに対して異常発生フラグが設定される。すなわち、光トランシーバ110-1に異常が発生した場合、異常発生箇所推定部23は、光トランシーバ110-1に異常が発生したと正しく推定することができる。
【0085】
次に、5つめのパターンである、例えば光トランシーバ110-2において異常が発生した場合について考える。この場合、前述の通り、光トランシーバ110-2のみにおいて異常が検出される。光ネットワーク状態推定装置20の異常発生箇所推定部23は、光リンクA-B、光リンクB-C、及び光リンクC-Dの各々について、光リンクを使用している全ての光トランシーバが異常であると診断されているか否かを特定する(図2のステップS001)。
【0086】
図3に示されるように、光リンクA-Bを使用している光トランシーバは、光トランシーバ110-1及び光トランシーバ110-2である。前述の通り、光トランシーバ110-2は異常であると診断されているが、光トランシーバ110-1は異常であるとは診断されていないことから(図2のステップS001・NO)、異常発生箇所推定部23は、光リンクA-Bに対して異常発生フラグを設定しない。
【0087】
また、図3に示されるように、光リンクB-Cを使用している光トランシーバは、光トランシーバ110-1及び光トランシーバ110-3である。前述の通り、光トランシーバ110-1及び光トランシーバ110-3は異常であるとは診断されていないことから(図2のステップS001・NO)、異常発生箇所推定部23は、光リンクB-Cに対しては異常発生フラグを設定しない。
【0088】
また、図3に示されるように、光リンクC-Dを使用している光トランシーバは、光トランシーバ110-3である。光トランシーバ110-3は異常であるとは診断されていないことから(図2のステップS001・NO)、異常発生箇所推定部23は、光リンクC-Dに対しては異常発生フラグを設定しない。
【0089】
次に、異常発生箇所推定部23は、信号状態診断部22によって異常であると診断された光トランシーバ110-2について、光トランシーバが通過する全ての光リンクに異常発生フラグが設定されていないかどうかを特定する(図2のステップS003)。
【0090】
図3に示されるように、光トランシーバ110-2が通過する光リンクは、光リンクA-Bのみである。そして、前述の通り、光リンクA-Bには異常発生フラグが設定されていない。この場合(図2のステップS003・YES)、異常発生箇所推定部23は、光トランシーバ110-2に対して異常発生フラグを設定する(図2のステップS005)。
【0091】
したがって、図3に示されるネットワーク構成において、光トランシーバ110-2に異常が発生したパターンでは、光トランシーバ110-2のみに対して異常発生フラグが設定される。すなわち、光トランシーバ110-2に異常が発生した場合、異常発生箇所推定部23は、光トランシーバ110-2に異常が発生したと正しく推定することができる。
【0092】
最後に、6つめのパターンである、例えば光トランシーバ110-3において異常が発生した場合について考える。この場合、前述の通り、光トランシーバ110-3のみにおいて異常が検出される。光ネットワーク状態推定装置20の異常発生箇所推定部23は、光リンクA-B、光リンクB-C、及び光リンクC-Dの各々について、光リンクを使用している全ての光トランシーバが異常であると診断されているか否かを特定する(図2のステップS001)。
【0093】
図3に示されるように、光リンクA-Bを使用している光トランシーバは、光トランシーバ110-1及び光トランシーバ110-2である。前述の通り、光トランシーバ110-1及び光トランシーバ110-1は異常であるとは診断されていないことから(図2のステップS001・NO)、異常発生箇所推定部23は、光リンクA-Bに対して異常発生フラグを設定しない。
【0094】
また、図3に示されるように、光リンクB-Cを使用している光トランシーバは、光トランシーバ110-1及び光トランシーバ110-3である。前述の通り、光トランシーバ110-3は異常であると診断されているが、光トランシーバ110-1は異常であるとは診断されていないことから(図2のステップS001・NO)、異常発生箇所推定部23は、光リンクB-Cに対しては異常発生フラグを設定しない。
【0095】
また、図3に示されるように、光リンクC-Dを使用している光トランシーバは、光トランシーバ110-3のみである。光トランシーバ110-3は異常であると診断されていることから(図2のステップS001・YES)、異常発生箇所推定部23は、光リンクC-Dに対して異常発生フラグを設定する(図2のステップS002)。
【0096】
次に、異常発生箇所推定部23は、信号状態診断部22によって異常であると診断された光トランシーバ110-3について、光トランシーバが通過する全ての光リンクに異常発生フラグが設定されていないかどうかを特定する(図2のステップS003)。
【0097】
図3に示されるように、光トランシーバ110-3が通過する光リンクは、光リンクB-C及び光リンクC-Dである。そして、前述の通り、光リンクB-Cには異常発生フラグが設定されていないが、光リンクC-Dには異常発生フラグが設定されている(図2のステップS003・NO)。この場合、異常発生箇所推定部23は、異常発生フラグが設定されている光リンクC-Dが、光トランシーバ110-3のみによって使用されている(他の光トランシーバには使用されていない)光リンクであるか否かを特定する(図2のステップS004)。
【0098】
光リンクC-Dは光トランシーバ110-3のみによって使用されていることから(図2のステップS004・YES)、異常発生箇所推定部23は、光トランシーバ110-3に対して異常発生フラグを設定する(図2のステップS005)。
【0099】
したがって、図3に示されるネットワーク構成において、光トランシーバ110-3に異常が発生したパターンでは、光リンクC-D及び光トランシーバ110-3に対して異常発生フラグが設定される。すなわち、光トランシーバ110-3に異常が発生した場合、異常発生箇所推定部23は、異常発生箇所を一意に推定することはできないが、光リンクC-D又は光トランシーバ110-3のいずれかに異常が発生したと、異常発生箇所の絞り込みを行うことができる。
【0100】
以上説明した、異常発生箇所の6つのパターンのそれぞれの場合における異常発生フラグが設定された結果は、図4に示される通りである。図4に示されるように、異常発生箇所が光リンクB-Cである場合又は光トランシーバ110-3である場合を除き、異常発生箇所推定部23は、異常発生箇所を一意に正しく推定することができる。また、異常発生箇所が光リンクB-Cである場合又は光トランシーバ110-3である場合でも、異常発生箇所推定部23は、異常発生箇所が光リンクB-Cであるか又は光トランシーバ110-3であるかを判別することはできないが、異常発生箇所の候補をその2箇所に絞り込むことができる。
【0101】
以上説明したように、第1の実施形態における光ネットワークシステム1は、光ネットワークで発生した異常の発生箇所を判定することができる。光ネットワークの保守運用においては、通信断が発生する前に、故障の予兆となる異常を早期に発見し、かつ異常発生箇所を特定することが重要となる。本実施形態における光ネットワークシステム1は、光トランシーバ110によって取得された伝送区間の伝送信号情報を、光ネットワークを構成する複数の光ノード装置10から収集する伝送信号情報収集部21と、当該伝送信号情報に基づいて伝送区間の正常性を診断する信号状態診断部22と、信号状態診断部22による複数の診断結果から異常発生箇所を推定する異常発生箇所推定部23とを有することを特徴とする。
【0102】
このような構成を備えることで、本実施形態における光ネットワークシステム1によれば、複数の光トランシーバ110によって得られた伝送信号情報に基づいて伝送品質の劣化の発生した光リンク区間及び送受信器の推定が可能となる。これにより、本実施形態における光ネットワークシステム1は、異常発生箇所の速やかな把握によって光ネットワークの効率的な運用保守を実現することができる。
【0103】
(第1の実施形態の第1の変形例)
以下、本発明の第1の実施形態の第1の変形例について説明する。前述の第1の実施形態における光ネットワークシステム1では、光ネットワーク状態推定装置20が信号状態診断部22を備える構成であった。しかしながら、このような構成に限られるものではなく、例えば、各々の光ノード装置が信号状態診断部を備えている構成であってもよい。
【0104】
[光ネットワークシステムの構成]
以下、第1の実施形態の第1の変形例における光ネットワークシステムの構成について説明する。図5は、本発明の第1の実施形態の第1の変形例における光ネットワークシステム1bの全体構成図である。なお、図5の全体構成図において、前述の第1の実施形態における光ネットワークシステム1が備える機能部と同様の機能を有する機能部については、同一の符号を付し、当該機能についての説明を省略することがある。
【0105】
図5に示されるように、本変形例における光ネットワークシステム1bは、4つの光ノード装置10bと、光ネットワーク状態推定装置20bとを含んで構成される。なお、本変形例では、一例として、光ネットワークシステム1bが有する光ノード装置10bの個数を4つとしているが、これに限られるものではなく、任意の個数で構わない。
【0106】
図5に示されるように、光ノード装置10bは、光信号入出力部11と、光クロスコネクト部12と、信号状態診断部13とを備える。
【0107】
光信号入出力部11は、光ノード装置10の間を接続する光リンクにて伝送される信号の入出力を行う。光信号入出力部11には、クライアント信号を伝達する光トランシーバ110(Tx/Rx)が、実際の通信状況に応じて備わる。光信号入出力部11は、光トランシーバ110によって取得された伝送区間の伝送信号情報を、信号状態診断部13へ出力する。
【0108】
信号状態診断部13は、光信号入出力部11から出力された伝送信号情報を取得する。信号状態診断部13は、取得された伝送信号情報に基づいて伝送区間の正常性を診断する(異常の発生の有無を検出する)。具体的には、信号状態診断部13は、各光トランシーバ110を通過する伝送区間が正常であるか否か(異常が発生しているか否か)を判定する。例えば、信号状態診断部13は、受信パワーの値又はビットエラー率の値が予め定められた閾値を下回った場合に異常であると判定する。信号状態診断部13は、伝送区間の正常性の診断結果(異常の検出結果)を示す情報を光ネットワーク状態推定装置20bへ送信する。
【0109】
なお、信号状態診断部13は、例えば、デジタル変調信号等を用いてニューラルネットワーク等を用いた機械学習を行い、学習がなされたニューラルネットワーク等を用いることによって、伝送区間における異常の発生の有無を判定することができる構成であってもよい。
【0110】
図5に示されるように、光ネットワーク状態推定装置20は、伝送信号情報収集部21bと、異常発生箇所推定部23とを備える。伝送信号情報収集部21bは、光ネットワークの被監視区間の光ノード装置10bの各々から伝送区間の正常性の診断結果(異常の検出結果)を示す情報を受信する。伝送信号情報収集部21は、受信された伝送区間の正常性の診断結果(異常の検出結果)を示す情報を信号状態診断部22へ出力する。
【0111】
異常発生箇所推定部23は、伝送信号情報収集部21bから出力された、伝送区間の正常性の診断結果を示す情報を取得する。異常発生箇所推定部23は、取得された情報に基づいて異常発生箇所を推定する。なお、本実施形態における異常発生箇所とは、異常が発生している光リンク、及び異常が発生している光トランシーバ110である。
【0112】
(第1の実施形態の第2の変形例)
以下、本発明の第1の実施形態の第2の変形例について説明する。前述の第1の実施形態における光ネットワークシステム1では、光ノード装置10間を接続する光リンクにシングルモード光ファイバ30が用いられ、波長多重部15によって波長多重通信が行われる構成であった。しかしながら、このような構成に限られるものではなく、例えば、光ノード装置間を接続する光リンクには、任意の媒体が用いられてもよい。
【0113】
以下に説明する第1の実施形態の第2の変形例では、光ノード装置10c間を接続する光リンクにマルチコア光ファイバ30cが用いられ、ファンイン/ファンアウト15cによって空間多重通信が行われる構成である。
【0114】
[光ネットワークシステムの構成]
以下、第1の実施形態の第2の変形例における光ネットワークシステムの構成について説明する。図6は、本発明の第1の実施形態の第2の変形例における光ネットワークシステム1cの全体構成図である。なお、図6の全体構成図において、前述の第1の実施形態における光ネットワークシステム1が備える機能部と同様の機能を有する機能部については、同一の符号を付し、当該機能についての説明を省略することがある。
【0115】
図6に示されるように、本変形例における光ネットワークシステム1cは、4つの光ノード装置10cと、光ネットワーク状態推定装置20とを含んで構成される。なお、本変形例では、一例として、光ネットワークシステム1cが有する光ノード装置10cの個数を4つとしているが、これに限られるものではなく、任意の個数で構わない。
【0116】
図6に示されるように、光ノード装置10cは、光信号入出力部11と、光クロスコネクト部12cとを備える。
【0117】
光信号入出力部11は、光ノード装置10cの間を接続する光リンクにて伝送される信号の入出力を行う。光信号入出力部11には、クライアント信号を伝達する光トランシーバ(Tx/Rx)が、実際の通信状況に応じて備わる。図6に示されるように、本変形例では、光トランシーバ110-1~110-3が備わっているものと仮定する。
【0118】
光クロスコネクト部12cは、光信号の入出力方路を決定する。光クロスコネクト部12cは、ファンイン/ファンアウト15cを備える。光ノード装置10c間を接続する光リンクにはマルチコア光ファイバ30cが用いられる。ファンイン/ファンアウト15cは、光トランシーバ110-1~110-3を任意のコアにそれぞれ収容する。これにより、空間多重通信が行われる。
【0119】
図7は、本発明の第1の実施形態の第2の変形例における光ネットワークシステム1cのマルチコア光ファイバ30cの断面図である。例えば、図7に示されるように、一方のコアに光トランシーバ(Tx/Rx)110-1が収容され、他方のコアに光トランシーバ110-2及び光トランシーバ110-3が収容されることによって、空間多重通信が行われる。
【0120】
このように、光ノード装置間を接続する光リンクにマルチコア光ファイバが用いられ、空間多重通信が行われる構成を有する光ネットワークシステム1cであっても、波長多重通信を行う前述の第1の実施形態における光ネットワークシステム1と同様に、光ネットワークにおける異常発生箇所(異常が発生した光リンク又は光トランシーバ)を推定することが可能である。
【0121】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態について、図面を参照しながら説明する。前述の第1の実施形態における光ネットワークシステム1は、光トランシーバ110に予め備えられた、例えば受信パワーの値又はビットエラー率の値等の信号品質を測定する機能を用いて、光ネットワークにおける異常発生箇所を判定する構成であった。
【0122】
これに対し、以下に説明する第2の実施形態における光ネットワークシステムは、上記の機能に加え、OTDRを組み合わせることで、より高精度に光ネットワークにおける異常発生箇所を判定する。OTDRは、光トランシーバの異常を検出することはできないが、光ファイバに対して送出した光パルスの反射光(後方散乱光)を観測することによって光ファイバの損失を評価することができる。これにより、OTDRは、光リンクの異常発生箇所をより高い精度で推定することができる。
【0123】
[光ネットワークシステムの構成]
例えば、図9に示されるように、本実施形態における光ネットワークシステム1dでは、光ノード装置10Aに、OTDR111が備えられている。OTDR111は、光ノード装置10Aから、光ノード装置10B及び光ノード装置Cを介して、光ノード装置10DへOTDR信号を送信する。光ノード装置10Dにおいて、OTDR信号の終端点は開放されている。
【0124】
[光ネットワーク状態推定装置の動作]
以下、図8~10を参照しながら、本実施形態における光ネットワーク状態推定装置20dの動作の一例について説明する。なお、本実施形態では、光ネットワークの構成、各光トランシーバの接続状況、及び信号状態診断部22による各光トランシーバの正常性の診断結果は、既知であるものとする。
【0125】
なお、本実施形態では、前述の第1の実施形態と同様に、光ネットワークにおいて異常が発生している箇所は1箇所であるものとし、同時に複数の箇所で異常が発生していることはないものと仮定する。具体的には、本実施形態では、光ネットワークにおいて異常が発生している箇所は、光リンクのいずれか1箇所、又は光トランシーバのいずれか1箇所であるものとする。
【0126】
図8は、本発明の第2の実施形態における光ネットワーク状態推定装置20dの動作を示すフローチャートである。図9は、光ネットワーク状態推定装置20dの動作を説明するための光ネットワークの構成の一例を示す図である。図10は、図9に示される光ネットワークにおける異常発生のパターン及び正常性の診断結果を示す図である。
【0127】
図8のフローチャートが示す光ネットワーク状態推定装置20dの動作は、例えば、OTDR111から光ネットワーク状態推定装置20dへ伝送損失情報が送信された際に開始される。伝送損失情報とは、OTDR111によって測定された、光ネットワークにおける光ファイバの損失を示す情報である。
【0128】
まず、光ネットワーク状態推定装置20dの異常発生箇所推定部23dは、光ノード装置10AのOTDR111から出力された伝送損失情報を取得する(ステップS101)。これにより、光ノード装置10Aから光ノード装置10Dまでの全ての光リンクについて異常の発生の有無が判定される。
【0129】
伝送損失情報に異常発生の情報が含まれている場合(ステップS102・YES)、異常発生箇所推定部23dは、異常が発生していると判定された光リンクに対して異常発生フラグを設定する(ステップS103)。
【0130】
次に、異常発生箇所推定部23dは、信号状態診断部22によって異常であると診断された光トランシーバの各々について、光トランシーバが通過する全ての光リンクに異常発生フラグが(上記のステップS103の処理によって)設定されていないかどうかを特定する(ステップS104)。言い換えると、異常発生箇所推定部23dは、光トランシーバが通過する少なくとも1つの光リンクに異常発生フラグが(上記のステップS103の処理によって)設定されているか否かを特定する。
【0131】
光トランシーバが通過する全ての光リンクに異常発生フラグが設定されていない場合(ステップS104・YES)、異常発生箇所推定部23dは、当該光トランシーバ110に対して異常発生フラグを設定する処理を行う(ステップS105)。
【0132】
異常発生箇所推定部23dは、信号状態診断部22によって異常であると診断された全ての光トランシーバについて、上記ステップS104以降の処理を繰り返した場合、図8のフローチャートが示す光ネットワーク状態推定装置20dの動作が終了する。
【0133】
以下、図9及び10を参照しながら、上記の図8に示されるフローチャートの処理が行われた場合の具体例について説明する。
【0134】
図9には、以下に説明する具体例における光ネットワークシステム1dの全体構成及び光ネットワークの構成が示されている。図8に示されるように、以下に説明する具体例における光ネットワークシステム1dは、光ノード装置10Aと、光ノード装置10Bと、光ノード装置10Cと、光ノード装置10Dと、光ネットワーク状態推定装置20dとを含んで構成される。
【0135】
光ノード装置10A、光ノード装置10B、光ノード装置10C、及び光ノード装置10Dは、シングルモード光ファイバ30を用いた光リンクで互いに通信接続され、光ネットワークを構成する。光ノード装置10A、光ノード装置10B、光ノード装置10C、及び光ノード装置10Dは、それぞれ、光信号入出力部11と、光クロスコネクト部12とを備える。また、光クロスコネクト部12は、波長多重部15を備える。
【0136】
また、光ノード装置10Aのみ、OTDR111を備える。OTDR111は、光ノード装置10Aから、光ノード装置10B及び光ノード装置Cを介して、光ノード装置10DへOTDR信号を送信する。また、OTDR111は、OTDR信号を送信することによって測定された、光ネットワークにおける光ファイバの損失を示す伝送損失情報を光ネットワーク状態推定装置20dへ送信する。
【0137】
以下、光ノード装置10Aと光ノード装置10Bとの間を接続する光リンクを「光リンクA-B」、光ノード装置10Bと光ノード装置10Cとの間を接続する光リンクを「光リンクB-C」、及び光ノード装置10Cと光ノード装置10Dとの間を接続する光リンクを「光リンクC-D」という。
【0138】
光信号入出力部11には、クライアント信号を伝達する光トランシーバ(Tx/Rx)が、実際の通信状況に応じて備わる。以下に説明する具体例においては、図9に示されるように、光トランシーバ110-1が光ノード装置10Aと光ノード装置10Cとの間で備わっており、光トランシーバ110-2が光ノード装置10Aと光ノード装置10Bとの間で備わっており、光トランシーバ110-3が光ノード装置10Bと光ノード装置10Dとの間で備わっているものと仮定する。
【0139】
よって、図9に示されるように、光トランシーバ110-1が通過する光リンクは光リンクA-B及び光リンクB-Cであり、光トランシーバ110-2が通過する光リンクは光リンクA-Bのみであり、光トランシーバ110-3が通過する光リンクは光リンクB-C及び光リンクC-Dである。上記のような構成により、光ノード装置10Aと光ノード装置10Cとの間、光ノード装置10Aと光ノード装置10Bとの間、及び光ノード装置10Bと光ノード装置10Dとの間で、それぞれ光トランシーバ110-1、光トランシーバ110-2、及び光トランシーバ110-3による波長多重通信が行われる。
【0140】
光ネットワーク状態推定装置20dは、光ノード装置10A、光ノード装置10B、光ノード装置10C、及び光ノード装置10Dによって構成される光ネットワークの通信状態を評価する。図9に示されるように、光ネットワーク状態推定装置20dは、伝送信号情報収集部21と、信号状態診断部22と、異常発生箇所推定部23dとを備える。
【0141】
前述の通り、本実施形態では、光ネットワークにおいて異常が発生した場合に、異常発生箇所は1箇所であるものとし、同時に複数の箇所で異常が発生していることはないものと仮定している。そのため、本具体例においては、光ネットワークにおいて異常が発生している箇所は、光リンクA-B、光リンクB-C、及び光リンクC-Dのうちいずれか1箇所、又は光トランシーバ110-1、光トランシーバ110-2、及び光トランシーバ110-3のうちいずれか1箇所である。すなわち、本具体例の光ネットワークにおいて発生しうる異常発生箇所は6つである。
【0142】
なお、光リンクA-B、光リンクB-C、及び光リンクC-Dにおいて発生する異常とは、例えば、光ファイバの曲げによって生じる通信障害である。また、光トランシーバ110-1、光トランシーバ110-2、及び光トランシーバ110-3で発生する異常とは、例えば、光トランシーバそのものの不具合である。
【0143】
図10には、図9の光ネットワークにて発生しうる異常発生箇所の6つのパターンと、各異常発生箇所で異常が発生した場合に信号状態診断部22によって異常が検出される光トランシーバとの対応が示されている。
【0144】
図10に示されるように、異常発生箇所が光リンクA-Bであるならば、当該光リンクA-Bを通過する光トランシーバ(Tx/Rx)である、光トランシーバ110-1及び光トランシーバ110-2において異常が検出される。また、異常発生箇所が光リンクB-Cであるならば、当該光リンクB-Cを通過する光トランシーバである、光トランシーバ110-1及び光トランシーバ110-3において異常が検出される。また、異常発生箇所が光リンクC-Dであるならば、当該光リンクC-Dを通過する光トランシーバである、光トランシーバ110-3において異常が検出される。
【0145】
また、図10に示されるように、異常発生箇所が光トランシーバ110-1であるならば、光トランシーバ110-1において異常が検出され、異常発生箇所が光トランシーバ110-2であるならば、光トランシーバ110-2において異常が検出され、異常発生箇所が光トランシーバ110-3であるならば、光トランシーバ110-3において異常が検出される。上記のような異常発生箇所と異常検出される光トランシーバとの対応に基づいて、異常が検出された光トランシーバから、異常発生箇所を、絞り込んだり、特定したりすることが可能なる。
【0146】
[異常発生フラグ設定の具体例]
以下、図9の光ネットワークにて発生しうる異常発生箇所の6つのパターンのそれぞれについて、図8に示される光ネットワーク状態推定装置20dの動作によって異常発生フラグが設定されるまでの流れを説明する。
【0147】
まず、1つめのパターンである、例えば光ファイバに曲げが生じることにより、光リンクA-Bにおいて異常が発生した場合について考える。この場合、OTDR111によって、光リンクA-Bにおいて異常が検出される(図8のステップS101及びステップS102)。異常発生箇所推定部23dは、光リンクA-Bに対して異常発生フラグを設定する(図8のステップS103)。このように、図9に示されるネットワーク構成において、光リンクA-Bに異常が発生したパターンでは、光リンクA-Bのみに対して異常発生フラグが設定される。すなわち、光リンクA-Bに異常が発生した場合、異常発生箇所推定部23dは、光リンクA-Bに異常が発生したと正しく推定することができる。
【0148】
図10には、図9の光ネットワークにて発生しうる異常発生箇所の6つのパターンと、各異常発生箇所で異常が発生した場合に設定される異常発生フラグとの対応が示されている。
【0149】
次に、2つめのパターンである、例えば光ファイバに曲げが生じることにより、光リンクB-Cにおいて異常が発生した場合について考える。この場合、OTDR111によって、光リンクB-Cにおいて異常が検出される(図8のステップS101及びステップS102)。異常発生箇所推定部23dは、光リンクB-Cに対して異常発生フラグを設定する(図8のステップS103)。このように、図9に示されるネットワーク構成において、光リンクB-Cに異常が発生したパターンでは、光リンクB-Cのみに対して異常発生フラグが設定される。すなわち、光リンクB-Cに異常が発生した場合、異常発生箇所推定部23dは、光リンクB-Cに異常が発生したと正しく推定することができる。
【0150】
次に、3つめのパターンである、例えば光ファイバに曲げが生じることにより、光リンクC-Dにおいて異常が発生した場合について考える。この場合、OTDR111によって、光リンクC-Dにおいて異常が検出される(図8のステップS101及びステップS102)。異常発生箇所推定部23dは、光リンクC-Dに対して異常発生フラグを設定する(図8のステップS103)。このように、図9に示されるネットワーク構成において、光リンクC-Dに異常が発生したパターンでは、光リンクC-Dのみに対して異常発生フラグが設定される。すなわち、光リンクB-Cに異常が発生した場合、異常発生箇所推定部23dは、光リンクC-Dに異常が発生したと正しく推定することができる。
【0151】
次に、4つめのパターンである、例えば光トランシーバ110-1において異常が発生した場合について考える。この場合、前述の通り、光トランシーバ110-1のみにおいて異常が検出される。また、この場合、OTDR111によって各光リンクには異常は検出されない(図8のステップS102・NO)。
【0152】
次に、異常発生箇所推定部23dは、信号状態診断部22によって異常であると診断された光トランシーバ110-1について、光トランシーバが通過する全ての光リンクに異常発生フラグが設定されていないかどうかを特定する(図8のステップS104)。
【0153】
図9に示されるように、光トランシーバ110-1が通過する光リンクは、光リンクA-B及び光リンクB-Cである。そして、前述の通り、光リンクA-B及び光リンクB-Cには異常発生フラグが設定されていない。この場合(図8のステップS104・YES)、異常発生箇所推定部23は、光トランシーバ110-1に対して異常発生フラグを設定する(図8のステップS105)。
【0154】
したがって、図9に示されるネットワーク構成において、光トランシーバ110-1に異常が発生したパターンでは、光トランシーバ110-1のみに対して異常発生フラグが設定される。すなわち、光トランシーバ110-1に異常が発生した場合、異常発生箇所推定部23dは、光トランシーバ110-1に異常が発生したと正しく推定することができる。
【0155】
次に、5つめのパターンである、例えば光トランシーバ110-2において異常が発生した場合について考える。この場合、前述の通り、光トランシーバ110-2のみにおいて異常が検出される。また、この場合、OTDR111によって各光リンクには異常は検出されない(図8のステップS102・NO)。
【0156】
次に、異常発生箇所推定部23dは、信号状態診断部22によって異常であると診断された光トランシーバ110-2について、光トランシーバが通過する全ての光リンクに異常発生フラグが設定されていないかどうかを特定する(図8のステップS104)。
【0157】
図9に示されるように、光トランシーバ110-2が通過する光リンクは、光リンクA-Bのみである。そして、前述の通り、光リンクA-Bには異常発生フラグが設定されていない。この場合(図8のステップS104・YES)、異常発生箇所推定部23は、光トランシーバ110-2に対して異常発生フラグを設定する(図8のステップS105)。
【0158】
したがって、図9に示されるネットワーク構成において、光トランシーバ110-2に異常が発生したパターンでは、光トランシーバ110-2のみに対して異常発生フラグが設定される。すなわち、光トランシーバ110-2に異常が発生した場合、異常発生箇所推定部23dは、光トランシーバ110-2に異常が発生したと正しく推定することができる。
【0159】
最後に、6つめのパターンである、例えば光トランシーバ110-3において異常が発生した場合について考える。この場合、前述の通り、光トランシーバ110-3のみにおいて異常が検出される。また、この場合、OTDR111によって各光リンクには異常は検出されない(図8のステップS102・NO)。
【0160】
次に、異常発生箇所推定部23dは、信号状態診断部22によって異常であると診断された光トランシーバ110-3について、光トランシーバが通過する全ての光リンクに異常発生フラグが設定されていないかどうかを特定する(図8のステップS104)。
【0161】
図9に示されるように、光トランシーバ110-3が通過する光リンクは、光リンクB-C及び光リンクC-Dである。そして、前述の通り、光リンクB-C及び光リンクC-Dには異常発生フラグが設定されていない。この場合(図8のステップS104・YES)、異常発生箇所推定部23は、光トランシーバ110-3に対して異常発生フラグを設定する(図8のステップS105)。
【0162】
したがって、図9に示されるネットワーク構成において、光トランシーバ110-3に異常が発生したパターンでは、光トランシーバ110-3のみに対して異常発生フラグが設定される。すなわち、光トランシーバ110-3に異常が発生した場合、異常発生箇所推定部23dは、光トランシーバ110-3に異常が発生したと正しく推定することができる。
【0163】
以上説明した、異常発生箇所の6つのパターンのそれぞれの場合における異常発生フラグが設定された結果は、図10に示される通りである。図10に示されるように、本実施形態では、前述の第1の実施形態とは異なり、異常発生箇所推定部23dは、上記の異常発生箇所の6つのパターンのいずれにおいても、異常発生箇所を一意に正しく推定することができる。これは、本実施形態では、前述の第1の実施形態とは異なり、光リンクの異常についてはOTDR111によって特定することができるため、光リンクの異常であるか、又は、光トランシーバの異常であるかを判別することが可能であるからである。
【0164】
(第2の実施形態の変形例)
前述の第2の実施形態における光ネットワークシステム1dは、まずOTDR111から取得した伝送損失情報に基づいて、光リンクにおける異常の発生の有無を特定する構成であった。そして、光ネットワークシステム1dは、光リンクにおいて異常が検出された場合には異常発生箇所である光リンクを特定し、光リンクにおいて異常が検出されなかった場合には伝送信号情報に基づいて異常発生箇所である光トランシーバを特定する構成であった。
【0165】
これに対し、第2の実施形態の変形例における光ネットワークシステムは、まず、前述の図2のフローチャートに示される、第1の実施形態における光ネットワークシステム1と同様の動作を行う。そして、本変形例における光ネットワークシステムは、光リンクの異常であるか、又は、光トランシーバの異常であるかを判別することができなかった場合に、OTDRを用いて当該光リンクにおける異常の発生の有無を特定する。これにより、本変形例における光ネットワークシステムは、光リンクの異常であるか、又は、光トランシーバの異常であるかを判別することができる構成である。
【0166】
なお、光リンクの異常であるか、又は、光トランシーバの異常であるかを判別することができない場合とは、例えば、前述の第1の実施形態において、図4に示される、光リンクC-Dの異常であるか、光トランシーバ110-3の異常であるかを判別することができない場合等である。
【0167】
なお、本変形例における光ネットワークシステムの構成は、前述の図9に示される、第2の実施形態における光ネットワークシステム1dの構成と同様であるため、説明を省略する。
【0168】
[光ネットワーク状態推定装置の動作]
以下、図11を参照しながら、本変形例における光ネットワーク状態推定装置の動作の一例について説明する。なお、本変形例では、光ネットワークの構成、各光トランシーバ110の接続状況、及び信号状態診断部22による各光トランシーバ110の正常性の診断結果は、既知であるものとする。
【0169】
図11は、本発明の第2の実施形態の変形例における光ネットワーク状態推定装置の動作を示すフローチャートである。図11のフローチャートが示す光ネットワーク状態推定装置の動作は、例えば、信号状態診断部22によって光トランシーバ110の少なくとも1つが異常であると診断された場合に開始される。
【0170】
なお、図11に示されるフローチャートのステップS201からステップS205までの光ネットワーク状態推定装置の動作は、前述の図2に示されるフローチャートのステップS001からステップS005までの第1の実施形態における光ネットワーク状態推定装置20の動作と同様であるため、説明を省略する。
【0171】
異常発生箇所推定部23dは、異常発生フラグが複数設定されている場合、OTDR111から出力された伝送損失情報を取得する。異常発生箇所推定部23dは、取得された伝送損失情報に基づいて当該異常発生フラグが設定された光リンクにおける異常の発生の有無を特定する(ステップS206)。
【0172】
異常発生箇所推定部23dは、異常発生フラグが設定された光リンクにおいて異常が発生していると特定された場合、光トランシーバに設定された異常発生フラグを削除する。また、異常発生箇所推定部23dは、異常発生フラグが設定された光リンクにおいて異常が発生していないと特定された場合、当該光リンクに設定された異常発生フラグを削除する。以上で、図11のフローチャートが示す光ネットワーク状態推定装置の動作が終了する。
【0173】
以上説明した、本変形例における光ネットワークシステムによれば、前述の第1の実施形態とは異なり、異常発生箇所推定部23dが異常発生箇所を一意に正しく推定することができる。これは、本実施形態では、前述の第1の実施形態とは異なり、光リンクの異常についてはOTDR111によって特定することができるため、光リンクの異常であるか、又は、光トランシーバの異常であるかを判別することが可能であるからである。
【0174】
上述した実施形態によれば、異常発生箇所判定装置は、収集部と、診断部と、判定部とを備える。例えば、異常発生箇所判定装置は、実施形態における光ネットワーク状態推定装置20、20b、20dであり、収集部は、実施形態における伝送信号情報収集部21、21bであり、診断部は、実施形態における信号状態診断部13、22であり、判定部は、実施形態における異常発生箇所推定部23、23dである。
【0175】
上記の収集部は、光ネットワークを構成する複数の光ノードから光トランシーバによって取得された伝送区間の伝送信号情報を収集する。上記の診断部は、伝送信号情報に基づいて伝送区間の正常性の診断を行う。上記の判定部は、診断部による複数の診断の結果に基づいて光ネットワークの異常箇所を判定する。例えば、光ノードは、実施形態における光ノード装置10、10bであり、光トランシーバは、実施形態における光トランシーバ110であり、伝送区間は、実施形態における光リンクであり、異常箇所は、実施形態における異常発生箇所である。
【0176】
なお、異常発生箇所判定装置は、光パルス試験器をさらに備えていてもよい。この場合、光パルス試験器は、光ノード間の光リンクにおける異常の発生の有無を判定し、判定結果を示す光リンク状態情報を生成する。判定部は、異常箇所が光リンク又は光トランシーバのうちいずれであるかを、上記の診断の結果に基づいて識別できない場合には、光リンク状態情報に基づいて識別する。例えば、光パルス試験器は、実施形態におけるOTDR111であり、光リンク状態情報は、実施形態における伝送損失情報である。
【0177】
なお、判定部は、光リンク状態情報に基づいて光リンクにおける異常の発生の有無の判定を行った後、光リンクごとの上記の判定の結果と上記の診断の結果とに基づいて異常箇所を判定するようにしてもよい。
【0178】
なお、判定部は、上記の診断の結果に基づいて異常箇所の候補となる光リンクと光トランシーバとを抽出し、光リンク状態情報に基づいて異常箇所が光リンク又は光トランシーバのうちいずれであるかを識別するようにしてもよい。
【0179】
なお、診断部は、複数の光ノードの各々に備えられていてもよい。
【0180】
なお、伝送信号情報は、光トランシーバによって受信されたデジタル変調信号、受信パワーの値、又はビットエラー率の値を含む情報であってよい。
【0181】
上述した実施形態における光ネットワーク状態推定装置及び光ノード装置の一部又は全部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記録装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものを含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0182】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0183】
1、1a、1b、1c、1d・・・光ネットワークシステム、10、10b・・・光ノード装置、11・・・光信号入出力部、12、12c・・・光クロスコネクト部、13・・・信号状態診断部、15・・・波長多重部、15c・・・ファンイン/ファンアウト、20、20b、20d・・・光ネットワーク状態推定装置、21、21b・・・伝送信号情報収集部、22・・・信号状態診断部、23、23d・・・異常発生箇所推定部、30・・・シングルモード光ファイバ、30c・・・マルチコア光ファイバ、110・・・光トランシーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11