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特開2023-73637情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023073637
(43)【公開日】2023-05-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 43/10 20220101AFI20230519BHJP
   H04L 41/0853 20220101ALI20230519BHJP
【FI】
H04L43/10
H04L41/0853
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186208
(22)【出願日】2021-11-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】樫田 羊奈
(57)【要約】
【課題】機器を管理対象とするための作業負担を軽減すること。
【解決手段】情報処理装置は、機器から定期的に送信される前記機器の識別情報を受信し、前記機器を管理対象とする指示が入力されると、前記機器の識別情報の受信に対する応答として、前記機器の状態を示す情報の送信要求を前記機器へ送信するように構成された送信部と、前記送信要求に応じて前記機器から定期的に送信される、前記機器の状態を示す情報を受信するように構成された受信部と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器から定期的に送信される前記機器の識別情報を受信し、前記機器を管理対象とする指示が入力されると、前記機器の識別情報の受信に対する応答として、前記機器の状態を示す情報の送信要求を前記機器へ送信するように構成された送信部と、
前記送信要求に応じて前記機器から定期的に送信される、前記機器の状態を示す情報を受信するように構成された受信部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記機器のLANの識別情報に基づいて、前記機器が属するテナントを判定するように構成された判定部と、
前記判定部が判定したテナントに関する管理対象の候補として、前記機器を提示するように構成された提示部と、
を有し、
前記送信部は、提示された記機器が管理対象として選択されると、前記機器の識別情報の受信に対する応答として、前記機器の状態を示す情報の送信要求を前記機器へ送信する、
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記受信部による受信間隔は、前記送信部による受信間隔よりも短い、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
機器と情報処理装置とを含む情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記機器から定期的に送信される前記機器の識別情報を受信し、前記機器を管理対象とする指示が入力されると、前記機器の識別情報の受信に対する応答として、前記機器の状態を示す情報の送信要求を前記機器へ送信するように構成された送信部と、
前記送信要求に応じて前記機器から定期的に送信される、前記機器の状態を示す情報を受信するように構成された受信部と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
機器から定期的に送信される前記機器の識別情報を受信し、前記機器を管理対象とする指示が入力されると、前記機器の識別情報の受信に対する応答として、前記機器の状態を示す情報の送信要求を前記機器へ送信する送信手順と、
前記送信要求に応じて前記機器から定期的に送信される、前記機器の状態を示す情報を受信する受信手順と、
をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
機器から定期的に送信される前記機器の識別情報を受信し、前記機器を管理対象とする指示が入力されると、前記機器の識別情報の受信に対する応答として、前記機器の状態を示す情報の送信要求を前記機器へ送信する送信手順と、
前記送信要求に応じて前記機器から定期的に送信される、前記機器の状態を示す情報を受信する受信手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介して遠隔的に機器を管理するシステム(以下、「機器管理システム」という。)が有る。機器管理システムにおいては、管理対象とされた機器が、当該機器の状態を示す情報(以下、「状態情報」という。)をサーバに送信する。サーバは、当該情報に基づいて機器における異常の有無等を判定する。
【0003】
管理対象とされた機器に状態情報の送信を開始させるためには、当該機器に対して状態情報の送信指示を入力する必要が有る(例えば、特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機器に対する状態情報の送信指示をサーバから入力(機器に対して送信)することができれば、カスタマエンジニア(CE)等の作業者は、機器のユーザ先を訪問せずに管理対象とする機器を増加させることができる。
【0005】
しかしながら、ユーザ先のネットワーク環境は、外部からの要求を遮断するファイアウォールを備えているのが一般的である。したがって、サーバから機器に対する送信指示の送信は困難である。そのため、カスタマエンジニアは、管理対象とする機器を増やすたびにユーザ先を訪問する必要がある。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、機器を管理対象とするための作業負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで上記課題を解決するため、情報処理装置は、機器から定期的に送信される前記機器の識別情報を受信し、前記機器を管理対象とする指示が入力されると、前記機器の識別情報の受信に対する応答として、前記機器の状態を示す情報の送信要求を前記機器へ送信するように構成された送信部と、前記送信要求に応じて前記機器から定期的に送信される、前記機器の状態を示す情報を受信するように構成された受信部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
機器を管理対象とするための作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態における機器管理システムの構成例を示す図である。
図2】本発明の実施の形態における機器管理サーバ10のハードウェア構成例を示す図である。
図3】本発明の実施の形態における機器20及び機器管理サーバ10の機能構成例を示す図である。
図4】ユーザ環境への機器20の設置時に実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図5】仮登録処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
図6】機器登録情報記憶部15の構成例を示す図である。
図7】仮テナント記憶部16の構成例を示す図である。
図8】LAN情報が不明であるテナントに属する機器20の本登録に関して実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図9】本登録処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
図10】テナント記憶部17の構成例を示す図である。
図11】対応するLAN情報が判明しているテナントに属する機器20を遠隔的に本登録する場合に実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図12】仮登録機器一覧画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態における機器管理システムの構成例を示す図である。図1において、ユーザ環境及びCE端末30は、インターネット等のネットワークN1を介して機器管理サーバ10に接続する。
【0011】
ユーザ環境は、例えば、機器20のユーザである企業等におけるシステム環境である。ユーザ環境は、一台以上の機器20及びファイアウォール(FW40)を含む。各機器20は、例えば、ユーザ環境内のLAN(Local Area Network)等に接続する。ユーザ環境内のLANは、FW40を介してネットワークN1に接続する。したがって、ユーザ環境外からユーザ環境内へ通信はFW40によって制限される。なお、機器20は、例えば、画像形成装置である。
【0012】
機器管理サーバ10は、機器管理サービスを提供する1以上のコンピュータである。機器管理サービスとは、機器20の状態を示す機器情報(例えば、カウンタ等)を機器20から収集し、収集した情報に基づいて異常の有無の判定、レポート生成、設定変更等の機能を遠隔的に(ネットワークを介して)提供するサービスをいう。機器管理サービスの利用を希望する者は、機器管理サービスの利用契約を行う必要が有る。機器管理サービスの契約者をテナントという。テナントは、例えば、企業、企業内の部署、その他の組織等である。本実施の形態では、1つのユーザ環境が1つのテナントであるとする。なお、本実施の形態では、後述において、仮想的なテナントである「仮テナント」という用語が用いられる。機器管理サービスの契約者を意味するテナントを仮テナントと明確に区別するために、契約者を意味するテナントを「本テナント」という。
【0013】
CE端末30は、機器20に関するカスタマエンジニア(以下、「CE」という。)が利用するPC(Personal Computer)、タブレット端末又はスマートフォン等の端末である。CEは、例えば、ユーザ環境に対する機器20の設置時における作業や、ユーザ環境が機器管理サービスの利用を開始する際に必要となる作業等を行う。
【0014】
図2は、本発明の実施の形態における機器管理サーバ10のハードウェア構成例を示す図である。図2の機器管理サーバ10は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置100、補助記憶装置102、メモリ装置103、CPU104、及びインタフェース装置105等を有する。
【0015】
機器管理サーバ10での処理を実現するプログラムは、CD-ROM等の記録媒体101によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体101がドライブ装置100にセットされると、プログラムが記録媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体101より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0016】
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムに従って機器管理サーバ10に係る機能を実行する。インタフェース装置105は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
【0017】
なお、各機器20も図2が示すハードウェア構成を有する。
【0018】
図3は、本発明の実施の形態における機器20及び機器管理サーバ10の機能構成例を示す図である。図3において、機器20は、仮登録要求部21、機器情報送信部22及び本登録要求部23を有する。これら各部は、機器20にインストールされた1以上のプログラムが、機器20のCPUに実行させる処理により実現される。機器20は、また、登録状態記憶部24を利用する。登録状態記憶部24は、例えば、機器20の補助記憶装置等を用いて実現可能である。
【0019】
仮登録要求部21は、例えば、機器20に対するネットワーク設定時において、機器管理サーバ10に対して仮登録要求を送信する。仮登録要求とは、機器管理サーバ10に対して機器20を仮登録するための要求をいう。仮登録とは、機器管理サーバ10による管理対象の候補として機器20を登録することをいう。仮登録状態の機器20は、管理対象の候補であるため、管理対象とはされない。
【0020】
本登録要求部23は、機器20に対する所定の操作に応じ、機器管理サーバ10に対して本登録要求を送信する。本登録要求とは、機器管理サーバ10に対して機器20を本登録するための要求をいう。本登録とは、機器管理サーバ10による管理対象として機器20を登録することをいう。
【0021】
機器情報送信部22は、機器20に関する情報を機器管理サーバ10へ定期的に送信する。機器情報送信部22は、機器20の登録状態(仮登録状態であるか本登録状態であるか)に応じて、送信する情報及び送信頻度を変化させる。仮登録状態の場合、機器情報送信部22は、機器20の識別情報(以下、「機器ID」という。)を含むリクエスト(以下、「定期リクエスト」という。)を相対的に低頻度で送信する。本登録状態の場合、機器情報登録部は、機器20の状態を示す情報(以下、「機器情報」という。)を相対的に高頻度で送信する。
【0022】
登録状態記憶部24は、機器20の登録状態(仮登録状態であるか本登録状態であるか)を示す情報を記憶する。
【0023】
一方、機器管理サーバ10は、仮登録部11、機器管理部12、本登録制御部13及びテナント管理部14等を有する。これら各部は、機器管理サーバ10にインストールされた1以上のプログラムが、CPU104に実行させる処理により実現される。機器管理サーバ10は、また、機器登録情報記憶部15、仮テナント記憶部16及びテナント記憶部17を利用する。これら各記憶部は、例えば、補助記憶装置102、又は機器管理サーバ10にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
【0024】
仮登録部11は、機器20からの仮登録要求に応じ、機器20を仮登録するための処理を実行する。
【0025】
機器管理部12は、本登録状態の機器20の機器情報送信部22が送信する機器情報を受信し、機器管理サービスを提供するための処理を実行する。
【0026】
本登録制御部13は、機器20の本登録要求部23からの本登録要求に応じ、機器20を本登録するための処理を実行する。本登録制御部13は、また、仮登録状態の機器20の機器情報送信部22が送信する定期リクエストを受信する。本登録制御部13は、当該機器20について管理対象とする指示(本登録要求)が入力されると、当該定期リクエストに対する応答として、機器情報の送信要求を当該機器20の機器情報送信部22へ送信する。
【0027】
テナント管理部14は、或るテナントについて管理対象とする(本登録する)機器20の指示をCE端末30から受け付ける。テナント管理部14は、当該指示に応じ、当該テナントに属する機器20のうち、仮登録状態の機器20の一覧をCE端末30へ提示する。テナント管理部14は、当該一覧の中から選択された機器20の本登録を本登録制御部13へ要求する。
【0028】
すなわち、本実施の形態において、或る機器20の本登録は、当該機器20に対する所定の操作、又はCE端末30に対する操作の2通りの操作において実行可能である。ここで、CE端末30に対する操作によって本登録が指示された場合、当該本登録の対象とされた機器20に対する機器情報の送信要求は、当該機器20からの定期リクエストに対する応答として当該機器20へ送信される。したがって、当該送信要求はユーザ環境のFW40を通過して当該機器20へ到達することができる。このことは、CE端末30がユーザ環境の外部に所在する場合でも、本登録の指示が可能であることを意味する。
【0029】
機器登録情報記憶部15は、各機器20の登録状態等を示す情報を記憶する。
【0030】
仮テナント記憶部16は、仮テナントに関する情報を記憶する。仮テナントとは、機器管理サービスの利用を開始していないユーザ環境に属する機器20の集合を、ユーザ環境ごと(厳密にはLANごと)に束ねる概念である。
【0031】
テナント記憶部17は、各本テナントに関する情報を記憶する。
【0032】
以下、機器管理システムにおいて実行される処理手順について説明する。図4は、ユーザ環境への機器20の設置時に実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。ユーザ環境を訪問中のCEが、ユーザ環境に設置された機器20(以下、「対象機器20」という。)に対してネットワーク設定を行うと、図4の処理手順が開始される。ネットワーク設定とは、機器20のIPアドレスの設定やプロキシの設定等、機器20がインターネットに接続可能とするための設定をいう。ここでは、更に、機器管理サーバ10のIPアドレス等のアドレス情報(以下、「サーバアドレス」という。)も設定される。
【0033】
対象機器20の仮登録要求部21は、ネットワーク設定が行われたことを検知すると、当該ネットワーク設定において設定されたサーバアドレスに基づいて、仮登録要求を機器管理サーバ10へ送信する(S101)。仮登録要求は、対象機器20の機器ID及びLAN情報を含む。機器IDは、機器20の識別情報である。例えば、機器20のシリアル番号が機器IDとして利用されてもよい。LAN情報は、機器20が接続するLANの識別情報である。例えば、FW40のグローバルアドレスに基づいてLAN情報が特定されてもよいし、その他公知の方法によってLAN情報が特定されてもよい。
【0034】
機器管理サーバ10の仮登録部11は、仮登録要求を受信すると、仮登録処理を実行する(S102)。仮登録処理の詳細は後述される。仮登録処理が完了すると、仮登録部11は、仮登録の完了を示す応答を対象機器20の仮登録要求部21へ送信する(S103)。
【0035】
対象機器20の仮登録要求部21は、当該応答を受信すると、仮登録の完了を機器情報送信部22へ通知する(S104)。機器情報送信部22は、仮登録の完了の通知に応じ、対象機器20の登録状態が仮登録の状態であることを示す情報(以下、「仮登録状態フラグ」という。)を登録状態記憶部24へ記録する(S105)。続いて、機器情報送信部22は、対象機器20の機器IDを含むリクエスト(以下、「定期リクエスト」という。)について、機器管理サーバ10への定期的な送信を開始する(S106)。当該機器IDは、機器管理サーバ10の本登録制御部13が受信する。但し、本登録制御部13は、当該機器IDに係る対象機器20について本登録の指示が入力されるまでは、当該機器IDの送信に対して、空の応答を送信する(S107)。空の応答とは、対象機器20に対する特段の指示を含まない応答をいう。したがって、当該応答を受信した機器情報送信部22は、当該応答に応じて特段の処理を実行しない。
【0036】
なお、その後、対象機器20が再起動された場合、機器情報送信部22は、再起動に応じて登録状態記憶部24を参照する。機器情報送信部22は、登録状態記憶部24に仮登録状態フラグが記憶されていれば、ステップS107の実行を再開する。
【0037】
続いて、ステップS102の詳細について説明する。図5は、仮登録処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【0038】
ステップS201において、仮登録部11は、対象機器20とLAN情報が共通する(対象機器20とLAN情報が一致する)、本登録済みの機器20の有無を機器登録情報記憶部15を参照して判定する。
【0039】
図6は、機器登録情報記憶部15の構成例を示す図である。図6が示すように、機器登録情報記憶部15は、仮登録又は本登録が行われた機器20ごとに、機器ID、テナントID、LAN情報及び登録状態等を記憶する。
【0040】
テナントIDは、機器20が属するテナントの識別情報である。本登録状態である機器20のテナントIDは、本テナントのテナントIDである。仮登録状態である機器20のテナントIDは、仮テナントIDである。仮テナントIDとは、仮テナントのIDである。仮テナントとは、本テナントに属さない機器20群をLAN情報ごとにグルーピング又は分類するための概念である。すなわち、本テナントに属さない機器20群をLAN情報の共通性に基づいて分類した結果として得られる機器20の各集合のそれぞれが仮テナントに対応する。したがって、仮テナントとLAN情報とは1対1に対応する。LAN情報は、機器20のLAN情報である。登録状態は、機器20が本登録の状態か仮登録の状態かを示す情報である。
【0041】
ステップS201において、仮登録部11は、対象機器20のLAN情報に一致するLAN情報を含むレコードを機器登録情報記憶部15から検索する。該当する機器20が検索された場合、仮登録部11は、対象機器20とLAN情報が共通する、本登録済みの機器20が有ると判定する、該当する機器20が検索されない場合、仮登録部11は、対象機器20とLAN情報が共通する、本登録済みの機器20は無いと判定する。
【0042】
仮登録部11は、対象機器20とLAN情報が共通する、本登録済みの機器20が有ると判定した場合(S201でYes)、該当の機器20が属する本テナントに対して対象機器20を仮登録する(S202)。具体的には、仮登録部11は、対象機器20の機器IDと、当該本テナントのテナントIDと、対象機器20のLAN情報とを含み、登録状態の値が「仮登録」であるレコードを機器登録情報記憶部15に記録する。
【0043】
一方、対象機器20とLAN情報が共通する、本登録済みの機器20が無いと判定した場合(S201でNo)、仮登録部11は、対象機器20のLAN情報に対応する仮テナントの有無を仮テナント記憶部16を参照して判定する(S203)。
【0044】
図7は、仮テナント記憶部16の構成例を示す図である。図7が示すように、仮テナント記憶部16は、仮テナントごとに、仮テナントID及びLAN情報を記憶する。仮テナントIDは、仮テナントの識別情報である。LAN情報は、仮テナントに対応するLAN情報である。
【0045】
該当する仮テナントが有る場合(S203でYes)、仮登録部11は、当該仮テナントに対して対象機器20を仮登録する(S204)。具体的には、仮登録部11は、対象機器20の機器IDと、当該仮テナントの仮テナントIDと、対象機器20のLAN情報とを含み、登録状態の値が「仮登録」であるレコードを機器登録情報記憶部15に記録する。
【0046】
該当する仮テナントが無い場合(S203でNo)、仮登録部11は、新たな仮テナントを仮テナント記憶部16に登録する(S205)。具体的には、仮登録部11は、新たな仮テナントIDを生成し、当該仮テナントIDと対象機器20のLAN情報とを含むレコードを仮テナント記憶部16に記録する。
【0047】
続いて、仮登録部11は、新たに登録した仮テナントに対して対象機器20を仮登録する(S206)。具体的には、仮登録部11は、対象機器20の機器IDと、当該仮テナントの仮テナントIDと、対象機器20のLAN情報とを含み、登録状態の値が「仮登録」であるレコードを機器登録情報記憶部15に記録する。
【0048】
次に、本登録に関して実行される処理手順について説明する。図8は、LAN情報が不明であるテナントに属する機器20の本登録に関して実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。例えば、予め各テナントのLAN情報を知ることができない場合や、各テナントの1台目の管理対象の機器20を本登録する際に、テナントの登録も同時に行われる場合には、図8の処理手順が実行されればよい。一方、予め各テナントのLAN情報を知ることができ、各テナントのテナントID及びLAN情報等をテナント記憶部17に登録することができる場合には、図8の処理手順は実行されなくてもよい。
【0049】
図8に関して、CEは、ユーザ環境を訪問し、登録対象とする機器20のうちの1台の機器20(以下、「対象機器20」という。)を操作して、本登録のための作業を行う。
【0050】
ステップS301において、CEは、対象機器20に対して本登録のための設定作業を行う。当該設定作業は、例えば、対象機器20が表示する設定画面を介して行われる。CEは、ユーザ環境に対して割り当てられたテナントID、ユーザ環境のテナント名(例えば、企業名)、及びユーザ環境の国情報等を当該設定画面を介して入力する。
【0051】
対象機器20の本登録要求部23は、当該設定画面に対する入力が完了すると、対象機器20の機器IDと、対象機器20のLAN情報と、当該設定画面を介して入力されたテナント情報(テナントID、テナント名及び国情報)とを含む本登録要求を機器管理サーバ10へ送信する(S302)。
【0052】
機器管理サーバ10の本登録制御部13は、当該本登録要求を受信すると本登録処理を実行する(S303)。本登録処理の詳細は、後述される。
【0053】
続いて、本登録制御部13は、本登録の完了を示す応答を対象機器20の本登録要求部23へ送信する(S304)。本登録要求部23は、当該応答を受信すると、機器情報の送信開始を対象機器20の機器情報送信部22へ要求する(S305)。機器情報送信部22は、斯かる要求に応じ、対象機器20の登録状態が本登録の状態であることを示す情報(以下、「本登録状態フラグ」という。)を登録状態記憶部24へ記録する(S306)。その後、機器情報送信部22は、定期リクエストの送信を停止し、対象機器20の機器情報について、機器管理サーバ10の機器管理部12への定期的な送信を開始する(S307)。機器情報とは、例えば、対象機器20の各種カウンタの値や、消耗品の残量や、紙詰まり等の異常の有無等、対象機器20の現在の状態を示す情報である。機器管理部12は、対象機器20から送信される機器情報に基づいて、機器管理サービスに関する処理を実行する。
【0054】
なお、その後、対象機器20が再起動された場合、機器情報送信部22は、再起動に応じて登録状態記憶部24を参照する。機器情報送信部22は、登録状態記憶部24に本登録状態フラグが記憶されていれば、ステップS307の実行を再開する。
【0055】
続いて、ステップS303の詳細について説明する。図9は、本登録処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【0056】
ステップS401において、本登録制御部13は、本登録要求に含まれているテナントIDに係るテナント(以下、「対象テナント」という。)が未登録であるか否かをテナント記憶部17を参照して判定する。
【0057】
図10は、テナント記憶部17の構成例を示す図である。図10が示すように、テナント記憶部17は、本テナントごとに、テナントID、テナント名及び国情報等を含むテナント情報を記憶する。
【0058】
本登録要求に含まれているテナントIDを含むテナント情報がテナント記憶部17に記憶されていない場合(S401でYes)、本登録制御部13は、本登録要求に含まれているテナント情報をテナント記憶部17に記録する(S402)。
【0059】
ステップS401でNoの場合、又はステップS402に続いて、本登録制御部13は、対象機器20を対象テナントに対して本登録する(S403)。具体的には、本登録制御部13は、本登録要求が含む対象機器20の機器ID(以下、「対象機器ID」という。)と、対象テナントのテナントIDと、本登録要求が含むLAN情報(以下、「対象LAN情報」という。)とを含み、登録状態の値が「本登録」であるレコードを機器登録情報記憶部15に記録する。但し、対象機器IDと、対象テナントのテナントIDと、対象LAN情報とを含み、登録状態の値が「仮登録」であるレコードが既に機器登録情報記憶部15に記憶されている場合、本登録制御部13は、当該レコードの登録状態の値を「仮登録」から「本登録」へ変更する。
【0060】
続いて、本登録制御部13は、仮テナント記憶部16(図7)を参照して、対象LAN情報に対応する仮テナントの有無を判定する(S404)。具体的には、本登録制御部13は、対象LAN情報に一致するLAN情報に関連付けられて仮テナント記憶部16に記憶されている仮テナントIDの有無を判定する。
【0061】
該当する仮テナントIDが無い場合(S404でNo)、図9の処理手順は終了する。該当する仮テナントIDが有る場合(S404でYes)、本登録制御部13は、当該仮テナントIDに係る仮テナントに登録されている機器20を、対象テナントに仮登録する(S405)。具体的には、本登録制御部13は、機器登録情報記憶部15において、当該仮テナントIDを「テナントID」として含むレコードの「テナントID」を対象テナントIDに書き換える。当該仮テナントのLAN情報が、対象LAN情報と同じであるということは、当該仮テナントに属する機器20は、対象テナントに属する機器20であるといえるからである。
【0062】
続いて、本登録制御部13は、仮テナント記憶部16から、当該仮テナントIDを含むレコードを削除する(S406)。
【0063】
本テナント(例えば、少なくとも1台の機器20について図8の処理手順によって本登録が行われたテナント)に属する他の機器20は、図11の処理手順によって本登録が可能となる。
【0064】
図11は機器20を遠隔的に本登録する場合に実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図11において、CEは、顧客環境に訪問せずにCE端末30を機器管理サーバ10へ接続することで作業を行うことができる。すなわち、図11の処理手順の実行時において、CE端末30は、顧客環境に所在しなくてよい。
【0065】
CEがCE端末30に対して所定の操作を行うと(S501)、CE端末30は、特定の本テナント(以下、「対象テナント」という。)へ仮登録されている機器20の一覧の取得要求を機器管理サーバ10のテナント管理部14へ送信する(S502)。当該取得要求は、対象テナントのテナントIDを含む。なお、所定の操作とは、例えば、対象テナントのテナントID(以下、「対象テナントID」という。)の指定を伴う操作である。対象テナントIDの指定は、CEが直接対象テナントIDを入力することで行われてもよいし、テナント記憶部17に登録されているテナントの一覧の中からCEが選択することで行われてもよい。
【0066】
続いて、テナント管理部14は、対象テナントに仮登録されている機器20の一覧を機器登録情報記憶部15(図6)から検索する(S503)。具体的には、テナント管理部14は、「テナントID」が対象テナントIDであり、登録状態が「仮登録」である機器IDの一覧(以下、「仮登録機器一覧」という。)を機器登録情報記憶部15から検索する。続いて、テナント管理部14は、検索結果である仮登録機器一覧をCE端末30へ送信(提示)する(S504)。
【0067】
CE端末30は、当該仮登録機器一覧を受信すると、当該仮登録機器一覧を含む仮登録機器一覧画面を表示する(S505)。
【0068】
図12は、仮登録機器一覧画面の表示例を示す図である。図12が示すように、仮登録機器一覧画面510は、本登録の対象(管理対象)の候補としての仮登録機器一覧と、登録ボタン511等を含む。
【0069】
CEが、仮登録一覧の中から本登録の対象とする1以上の機器20を選択すると(S506)、CE端末30は、選択された各機器20の機器IDのリスト(以下、「機器IDリスト」という。)と対象テナントIDとを含む、本登録要求を本登録制御部13へ送信する(S507)。
【0070】
テナント管理部14は、当該本登録要求を受信すると、当該本登録要求が含む機器IDごとにステップS508を実行する。すなわち、ステップS508において、テナント管理部14は、一つの機器ID(以下、「対象機器ID」という。)と、対象機器IDに対して機器登録情報記憶部15(図6)に記憶されているLAN情報と、対象テナントIDに対してテナント記憶部17(図10)に記憶されているテナント情報とを含む、本登録要求を本登録制御部13へ送信する(S508)。当該本登録要求に応じ、本登録制御部13は、図9において説明した本登録処理を実行する(S509)。ここでは、対象テナントが既に本テナントとして登録されているため、図9のステップS403が実行されて、対象機器IDに係る機器20(以下、「対象機器20」という。)が対象テナントに本登録される。
【0071】
本登録制御部13は、その後に対象機器20の機器IDを含む定期リクエストを受信すると(S510)、当該定期リクエストに対する応答として、機器情報の送信要求を対象機器20へ送信する(S511)。なお、当該送信要求は、機器20からのリクエスト(定期リクエスト)に対する応答なので、FW40を通過して対象機器20に到達することができる。
【0072】
機器情報送信部22は、当該送信要求を受信すると、対象機器20の登録状態が本登録の状態であることを示す本登録状態フラグを登録状態記憶部24へ記録する(S512)。その後、機器情報送信部22は、定期リクエストの送信を停止し、対象機器20の機器情報について、機器管理サーバ10への定期的な送信を開始する(S513)。
【0073】
なお、機器情報送信部22は、対象機器20が本登録された後の機器情報の送信周期(送信間隔)T1を、対象機器20が仮登録状態である場合の定期リクエストの送信周期(送信間隔)T2に比べて短くする。すなわち、機器管理部12による機器情報の受信間隔は、本登録制御部13による定期リクエストの受信間隔より短くなる。この理由は以下の通りである。
【0074】
定期リクエストは、機器20の機能や管理等に必要とされる通信ではなく、機器管理サーバ10からの本登録要求を送信可能とするため(本登録要求の送信の機会を機器管理サーバ10に与えるための)通信である。したがって、定期リクエストによって通信負荷が高まるのは望ましくない。そうすると、定期リクエストの送信周期T2は、例えば、1日に1回等の周期で十分である。この場合、ステップS506において、本登録の対象とする機器20が選択されてから、最長で1日が経過した後で当該機器20に対して機器情報の送信要求が送信され、当該機器20が機器情報の送信を開始することになる。なお、本実施の形態では、定期リクエストにおいては、機器の状態を示す情報は送信されないため、機器情報の送信時に比較して送信されるデータ量を小さくすることができる。このことによっても、定期リクエストによる通信負荷の増大を抑制することができる。
【0075】
一方、機器情報の送信周期T1は、機器20における異常の発生の検知のタイミングに大きく影響する。すなわち、送信周期T1が長ければ長いほど、異常の発生の検知が遅延する可能性が高くなり、送信周期T1が短ければ短いほど、異常の発生の検知が早まる可能性が高くなる。したがって、送信周期T1は、過剰に通信負荷を高めない範囲内において短い方が望ましい。そこで、送信周期T1は、送信周期T2よりも短い時間であるのが望ましい。
【0076】
上述したように、本実施の形態によれば、機器20からの定期リクエストに対する応答として、当該機器20に対して機器情報の送信を要求することができる。その結果、CEは、ユーザ環境を訪問しなくても当該機器20を本登録することができる。したがって、機器を管理対象とするための作業負担を軽減することができる。
【0077】
なお、機器20は、通信機能を備えた装置であれば、画像形成装置に限られない。機器20は、例えば、PJ(Projector:プロジェクタ)、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPCまたはデスクトップPC等であってもよい。
【0078】
また、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0079】
なお、本実施の形態において、機器管理サーバ10は、情報処理装置の一例である。本登録制御部13は、送信部の一例である。機器管理部12は、受信部の一例である。仮登録部11は、判定部の一例である。テナント管理部14は、提示部の一例である。機器管理システムは、情報処理システムの一例である。
【0080】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0081】
10 機器管理サーバ
11 仮登録部
12 機器管理部
13 本登録制御部
14 テナント管理部
15 機器登録情報記憶部
16 仮テナント記憶部
17 テナント記憶部
20 機器
21 仮登録要求部
22 機器情報送信部
23 本登録要求部
24 登録状態記憶部
30 CE端末
100 ドライブ装置
101 記録媒体
102 補助記憶装置
103 メモリ装置
104 CPU
105 インタフェース装置
B バス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0082】
【特許文献1】特開2010‐034853号公報
図1
図2
図3
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図5
図6
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図10
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図12