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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074085
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】桑葉加工物を含有する経口組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20230522BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20230522BHJP
   A23L 2/39 20060101ALI20230522BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
A23L33/10
A23L33/105
A23L2/00 Q
A23L2/00 R
A23L2/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186844
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】大河内 公一
【テーマコード(参考)】
4B018
4B117
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LE02
4B018LE03
4B018MD48
4B018MD59
4B018MD61
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF02
4B117LC03
4B117LE01
4B117LG17
4B117LG18
4B117LG24
4B117LK13
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、桑葉特有の臭気が改善された経口組成物を提供することである。
【解決手段】(A)桑葉の粉末、圧搾物及び/又は抽出物に、(B)サラシア属植物の抽出物を配合した経口組成物は、桑葉特有の臭気が改善されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)桑葉の粉末、圧搾物及び/又は抽出物、並びに(B)サラシア属植物の抽出物を含有する、経口組成物。
【請求項2】
前記(A)成分1重量部に対して、前記(B)成分を0.03重量部以上含有する、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項3】
さらに(C)抹茶の粉末及び/又は抽出物を含む、請求項1又は2に記載の経口組成物。
【請求項4】
顆粒剤、細粒剤、又は散剤である、請求項1~3のいずれかに記載の経口組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、桑葉加工物を含み、当該成分特有の臭気が低減された経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ケール、大麦若葉、明日葉、桑葉等の緑葉植物の破砕粉末や搾汁等を主成分として調製された青汁は、植物繊維及びビタミン類が豊富に含まれており、簡易に野菜成分を取得できる健康飲食品として利用されている。
【0003】
青汁は、野菜不足を補う目的で利用されるほか、便秘解消、生活習慣病の解消、美肌・美容、ダイエット、がん予防、皮膚疾患の予防や解消、アンチエイジング、血液さらさら化、アレルギー予防・免疫力の向上などの作用効果を期待した利用も広がっており、昨今の健康志向の高まりとともに需要が伸びている。
【0004】
一方で、青汁の原料には特有の臭みがあるため、継続的に摂取することをしばしば困難にする。このため、青汁の臭みを抑制するために、組成上の工夫や製法上の工夫がなされている。例えば、組成上の工夫として、特許文献1に、ケール青汁に大豆加工品を添加することが記載されており、特許文献2に、ケール粉末にココアパウダーを所定量配合することが記載されている。また、製法上の工夫として、特許文献3に、ケール成分を含有する飲料の製造方法においてケール成分含有液に酢酸菌を接触させることが記載されており、特許文献4に、容器詰青汁飲料を製造する方法において、青汁に金属イオンを添加し、青汁のpHを調整し、青汁を直接殺菌することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-215607号公報
【特許文献2】特開2015-104347号公報
【特許文献3】特開2006-320224号公報
【特許文献4】特開2009-165439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
青汁原料の1つである桑葉には特有の青臭さがあり、桑葉を原料とする青汁の経口時の臭気に対しては未だ改善の余地がある。そこで、本発明は、桑葉特有の臭気が改善された新たな経口組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、サラシア属植物の抽出物に、桑葉加工物を含む経口組成物における桑葉特有の臭気を低減できる優れた効果があることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0008】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)桑葉の粉末、圧搾物及び/又は抽出物、並びに(B)サラシア属植物の抽出物を含有する、経口組成物。
項2. 前記(A)成分1重量部に対して、前記(B)成分を0.03重量部以上含有する、項1に記載の経口組成物。
項3. さらに(C)抹茶の粉末及び/又は抽出物を含む、項1又は2に記載の経口組成物。
項4. 顆粒剤、細粒剤、又は散剤である、項1~3のいずれかに記載の経口組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、桑葉特有の臭気が改善された経口組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の経口組成物は、(A)桑葉の粉末、圧搾物及び/又は抽出物、(以下において「(A)成分」又はこれら粉末、圧搾物及び抽出物を包括して「桑葉加工物」とも記載する)、並びにサラシア属植物の抽出物(以下において「(B)成分」とも記載する)を含有することを特徴とする。以下、本発明の経口組成物について詳述する。
【0011】
[(A)桑葉加工物]
本発明の経口組成物は、(A)成分として、桑葉の粉末、圧搾物及び/又は抽出物を含む。これら桑葉加工物には特有の臭気があるが、本発明の経口組成物は、当該特有の臭気が好ましく抑制されている。
【0012】
桑は、クワ科クワ属(学名Morus)の総称である。桑の種類については特に限定されず、カラヤマグワ、ヤマグワ、ログワ、シマグワ、チョウセンクワ、これらの交配種及び交雑種等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0013】
桑葉の粉末は、桑葉に対して乾燥処理及び粉砕処理を行うことで調製される加工物である。桑葉の圧搾物は、茎葉又はその細片化物を圧搾して得られる加工物であり、具体的には、搾汁又はその乾燥物である。桑葉の抽出物は、桑葉から桑葉成分を水及び/又は有機溶媒で抽出して得られる抽出液又はその濃縮物(濃縮エキス又は乾燥エキス)である。抽出に用いられる溶媒としては、水;メタノール、エタノール等の1価低級アルコール;プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等の多価アルコール;アセトン等の親水性溶媒;これらの混合溶媒等が挙げられ、好ましくは水、1価低級アルコール、及びこれらの混合溶媒が挙げられ、さらに好ましくは水、エタノール、及びこれらの混合溶媒、特に好ましくは水が挙げられる。
【0014】
本発明においては、(A)成分として、上記の桑葉加工物の中でも、好ましくは桑葉の粉末が用いられる。
【0015】
桑葉の粉末の平均粒子径としては特に限定されないが、例えば8~28μm、好ましくは13~22μm、より好ましくは15~20μmが挙げられる。本発明において、平均粒子径は、レーザー回析散乱光式粒度分布測定装置により測定される体積基準の積算分率における50%径(D50)である。
【0016】
本発明の経口組成物において、経口組成物の乾燥重量を100重量%とした場合の(A)成分の含有量については、当該経口組成物の形態や用途等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、(A)成分の乾燥重量換算量で、例えば10重量%以上が挙げられる。本発明の経口組成物は桑葉特有の臭気抑制効果に優れるため、桑葉加工物が比較的多く含まれていても、効果的に臭気抑制効果を得ることができる。このような観点から、本発明の経口組成物の乾燥重量を100重量%とした場合の(A)成分の含有量(乾燥重量換算量)としては、好ましくは15重量%以上、より好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上が挙げられる。当該(A)成分の含有量(乾燥重量換算量)の上限については特に制限はないが、例えば50重量%以下が挙げられ、臭気抑制効果をより一層高める観点から、好ましくは45重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは35重量%以下が挙げられる。
【0017】
[(B)サラシア属植物の抽出物]
本発明の経口組成物は、(B)成分としてサラシア属植物の抽出物を含有する。サラシア属植物の抽出物については、マスキング効果も矯味効果も知られていないが、(A)成分を含む経口組成物に配合することによって、桑葉特有の臭気を好ましく抑制することができる。
【0018】
サラシア属植物の抽出物とは、サラシア属植物を抽出原料として抽出処理を行うことにより得られる成分である。
【0019】
抽出原料として使用されるサラシア属植物の種類については、特に制限されないが、例えば、サラシア・キネンシス(Salacia chinensis)、サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)、サラシア・オブロンガ(Salacia oblonga)、サラシア・プリノイデス(Salacia prinoides)、サラシア・ラフォティリア(Salacia latifolia)、サラシア・ブルノニアーナ(Salacia burunoniana)、サラシア・グランディフローラ(Salacia grandiflora)、サラシア・マクロスペルマ(Salacia macrosperma)等が挙げられる。これらのサラシア属植物の中でも、好ましくはサラシア・キネンシスが挙げられる。
【0020】
抽出原料として使用されるサラシア属植物の抽出対象部位については、特に制限されないが、例えば、根茎、葉、果実、樹皮等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは茎、根、樹皮、より好ましくは茎が挙げられる。また、抽出処理に供されるサラシア属植物の抽出対象部位は、抽出効率を高めるために、必要に応じて、乾燥、裁断、粉砕等の処理が施されていてもよい。
【0021】
抽出処理については、植物抽出物の製造に使用される一般的な抽出手法であればよく、例えば、溶媒抽出処理、超臨界抽出処理、水蒸気蒸留処理等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは溶媒抽出処理が挙げられる。
【0022】
溶媒抽出処理で使用される抽出溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール等の1価低級アルコール;プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等の多価アルコール;アセトン等の親水性溶媒;これらの混合溶媒等が挙げられる。これらの抽出溶媒の中でも、好ましくは水、1価低級アルコール、及びこれらの混合溶媒、より好ましくは水、エタノール、及びこれらの混合溶媒、特に好ましくは水が挙げられる。
【0023】
溶媒抽出処理は、抽出溶媒中に、サラシア属植物の抽出対象部位を浸漬させて、必要に応じて撹拌することによって行えばよく、例えば、サラシア属植物の抽出対象部位100g当たり抽出溶媒1~50L程度に浸漬させて、例えば0.5~24時間程度行えばよい。
【0024】
また、溶媒抽出処理は、加熱することによって行えばよく、例えば、60~110℃、好ましくは80~98℃条件下で行うことが好ましい。
【0025】
抽出処理後に固液分離により固形物を除去することにより、サラシア属植物の抽出物(抽出液)が得られる。抽出処理により得られた抽出液は、必要に応じて、濾過処理;ポリスチレンゲル(ポリスチレン・ジビニルベンゼン共重合体等)、イオン交換樹脂、活性炭等の担体を充填したカラムを用いた各種クロマトグラフィー等の吸着処理に供して精製処理に供してもよい。また、得られた抽出液は、非濃縮エキスとしてそのまま使用してもよいが、必要に応じて濃縮工程に供して軟エキスとして使用したり、更に乾燥工程に供してエキス末として使用したりしてもよい。
【0026】
本発明の経口組成物において、(B)成分の含有量については、得るべき臭気抑制効果に応じて適宜設定することができるが、例えば、(A)成分1重量部(乾燥重量換算量)当たりの(B)成分(乾燥重量換算量)の含有量が、例えば0.03重量部以上となる量が挙げられる。臭気抑制効果をより一層高める観点から、(A)成分1重量部(乾燥重量換算量)当たりの(B)成分の含有量(乾燥重量換算量)としては、好ましくは0.05重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上が挙げられる。(A)成分1重量部(乾燥重量換算量)当たりの(B)成分の含有量(乾燥重量換算量)の上限としては特に制限はないが、例えば0.3重量部以下、好ましくは0.2重量部以下、より好ましくは0.16重量部以下、さらに好ましくは0.13重量部以下が挙げられる。
【0027】
本発明の経口組成物において、(B)成分の具体的な含有量については、上記(A)成分の含有量と(A)成分1重量部当たりの(B)成分の含有量とに応じて定まるが、経口組成物の乾燥重量を100重量%とした場合の(B)成分の乾燥重量換算量で、例えば0.5重量%以上が挙げられ、臭気抑制効果をより一層高める観点から、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、さらに好ましくは3重量%以上、一層好ましくは3.5重量%以上が挙げられる。本発明の経口組成物の乾燥重量を100重量%とした場合の(B)成分の含有量の上限としては特に制限はないが、例えば10重量%以下が挙げられる。(B)成分は桑葉特有の臭気抑制効果に優れるため、(B)成分が比較的少量であっても、効果的に臭気抑制効果を得ることができる。このような観点から、当該(B)成分の含有量(乾燥重量換算量)の上限としては、好ましくは7重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは4重量%以下が挙げられる。
【0028】
[(C)抹茶の粉末又は抽出物]
本発明の経口組成物は、さらに(C)成分として抹茶の粉末又は抽出物を含むことができる。(C)成分は、臭気抑制効果をより一層高めることを目的として配合することができる。
【0029】
抹茶の粉末は、碾茶(覆下栽培した茶葉を碾茶炉等で揉まずに乾燥したもの)を茶臼等で微粉末状に製造したものである。茶葉は、ツバキ科植物・チャノキ(学名:Thea sinensis)の葉である。
【0030】
抹茶の抽出物は、碾茶を抽出原料として得られる抽出液又はその濃縮物(濃縮エキス又は乾燥エキス)である。抽出に用いられる溶媒としては、水;メタノール、エタノール等の低級1価アルコール;プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等の多価アルコール;アセトン等の親水性溶媒;これらの混合溶媒等が挙げられ、好ましくは水、1価低級アルコール、及びこれらの混合溶媒が挙げられ、さらに好ましくは水、エタノール、及びこれらの混合溶媒、特に好ましくは水が挙げられる。
【0031】
本発明の経口組成物が(C)成分を含む場合、(C)成分として、好ましくは抹茶の粉末が用いられる。
【0032】
抹茶の粉末の粒度としては特に限定されないが、60メッシュパスのサイズ画分として例えば90%以上、好ましくは95%以上が挙げられる。
【0033】
本発明の経口組成物が(C)成分を含む場合、(C)成分の含有量については、例えば、(A)成分1重量部(乾燥重量換算量)当たりの(C)成分(乾燥重量換算量)の含有量が、例えば0.1重量部以上となる量が挙げられる。臭気抑制効果をより一層高める観点から、(A)成分1重量部(乾燥重量換算量)当たりの(C)成分の含有量(乾燥重量換算量)としては、好ましくは0.15重量部以上、より好ましくは0.2重量部以上が挙げられる。(A)成分1重量部(乾燥重量換算量)当たりの(C)成分の含有量(乾燥重量換算量)の上限としては特に制限はないが、例えば0.3重量部以下、好ましくは0.25重量部以下が挙げられる。
【0034】
本発明の経口組成物が(C)成分を含む場合、(C)成分の具体的な含有量については、上記(A)成分の含有量と(A)成分1重量部当たりの(C)成分の含有量とに応じて定まるが、経口組成物の乾燥重量を100重量%とした場合の(C)成分の乾燥重量換算量で、例えば3重量%以上が挙げられ、臭気抑制効果をより一層高める観点から、好ましくは5重量%以上、より好ましくは6重量%以上が挙げられる。本発明の経口組成物の乾燥重量を100重量%とした場合の(C)成分の含有量の上限としては特に制限はないが、例えば12重量%以下、好ましくは9重量%以下が挙げられる。
【0035】
[その他の成分]
本発明の経口組成物は、前述する(A)、(B)成分及び場合により配合される(C)成分に加えて、他の栄養成分や薬理成分を含有していてもよい。このような栄養成分や薬理成分としては、食品や内服用医薬品に使用可能なものであれば特に制限されないが、例えば、ビタミン、アミノ酸、ミネラル、糖質、脂肪酸、香料、調味剤、植物エキス(上記(A)成分の抽出物、上記(B)成分、及び上記(C)成分の抽出物以外)、抗酸化剤、血糖降下剤、抗コレステロール剤、免疫賦活剤等が挙げられる。これらの成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの成分の含有量については、使用する添分の種類や経口組成物の用途等に応じて適宜設定される。
【0036】
更に、本発明の経口組成物は、所望の製剤形態に調製するために、必要に応じて、前述する(A)、(B)成分及び場合により配合される(C)成分の他に、基剤や添加剤等が含まれていてもよい。このような基剤及び添加剤としては、食品や医薬品に使用可能なものであれば特に制限されないが、例えば、低級アルコール、固形油、高級アルコール、水溶性高分子、澱粉分解物、界面活性剤、多価アルコール、pH調整剤、緩衝剤、酸化防止剤、防腐剤、増粘剤、キレート剤等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、澱粉分解物としては、例えば、デキストリン、マルトデキストリン、粉あめが挙げられ、好ましくはマルトデキストリンが挙げられる。また、マルトデキストリンは、DEが10以上20未満の物であれば特に限定されないが、好ましくはDE15以上20未満のもの、より好ましくは16~19のものが挙げられる。これらの基剤や添加剤の含有量については、使用する成分の種類や経口組成物の用途等に応じて適宜設定される。例えば澱粉分解物の含有量としては、本発明の経口組成物が顆粒剤、細粒剤、又は散剤として調製される場合に、粉末基剤として適切な量を用いることができ、経口組成物の乾燥重量を100重量%とした場合の含有量として、例えば20~80重量%、好ましくは25~55重量%が挙げられる。
【0037】
[剤型・製剤形態]
本発明の経口組成物の剤型については、経口摂取が可能であることを限度として特に制限されず、固体状(具体的には、顆粒剤、細粒剤、散剤、タブレット剤等)、半固体状(具体的には、ペースト剤、ゲル剤等)、又は液体状のいずれであってもよく、該経口組成物の種類や用途に応じて適宜設定すればよい。本発明の経口組成物は臭気抑制効果に優れているため、本来的に臭気を感じやすい剤型であっても効果的に臭気抑制効果を得ることができる。このような観点から本発明の経口組成物の好ましい剤型として、顆粒剤、細粒剤、散剤が挙げられる。
【0038】
本発明の経口組成物の製剤形態については、経口摂取が可能であることを限度として特に制限されないが、典型的には、食品が挙げられる。
【0039】
本発明の経口組成物を食品の製剤形態にする場合、前述する(A)、(B)成分及び場合により配合される(C)成分を、そのまま又は他の食品素材や添加成分と組み合わせて所望の形態に調製すればよい。このような飲食品としては、一般の飲食品の他、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性表示食品、病者用食品等が挙げられる。これらの飲食品の形態として、特に制限されないが、具体的には、錠剤(特に素錠)、ゼリー剤等のサプリメント;栄養ドリンク、清涼飲料、炭酸飲料、乳酸飲料等の飲料等が挙げられる。
【0040】
本発明の経口組成物は、そのまま摂取できる態様で調製されていてもよく、そうでなくてもよい。本発明の組成物は、例えば、摂取時に、摂取に適した態様に調製されてもよい。例えば、本発明の経口組成物が飲料である場合、本発明の経口組成物は、そのまま飲用できる液体(液体飲料)として提供されてもよく、水等の液体に分散又は溶解させて飲用する、濃縮液、若しくは顆粒剤、細粒剤、散剤(粉末飲料)等の濃縮物として調製されていてもよい。特に、本発明の経口組成物は、粉末飲料として調製されていることが好ましい。
【0041】
本発明の経口組成物は、1回当たりの摂取量又は投与量が、(A)成分の摂取量又は投与量として例えば0.5~1.5g、好ましくは0.8~1.2gとなるように調製されていてよい。
【実施例0042】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0043】
なお、以下に示す実施例及び比較例において使用した成分の詳細は、以下の通りである。
(A)桑葉粉末:桑の葉を乾燥し粉砕処理した桑葉乾燥粉末(平均粒径15~20μm)
(B)サラシアエキス:「サラシアエキスパウダーK」(日本新薬株式会社製)(サラシア キネンシス(Salacia chinensis)の茎の熱水抽出物の乾燥粉末)
(C)抹茶粉末:碾茶の茶葉を乾燥して茶臼で粉末化した抹茶乾燥粉末(60メッシュパス95%以上)
マルトデキストリン:「TK16」(松谷化学工業株式会社製、DE18)
【0044】
試験例
表1に示す組成の経口組成物を調製した。具体的には、各成分を混合し、造粒して顆粒粉末(粉末飲料)を調製した。得られた顆粒粉末をガラス瓶に50℃2日間保管し、その後3gの顆粒粉末((A)成分1g相当)を常温100mLに分散させ、試料液とした。試料液について、6名の訓練されたパネラーにより臭気を官能評価した。具体的には、(A)成分特有の不快な青臭い臭気の程度について、10段階VAS評価(10点:不快な香りが強い 1点:不快な臭いを感じない)にて評点し、6名のパネラーの評点を平均し、平均スコアを得た。比較例1の粉末飲料から調製した試料液の平均スコアを100とした場合の、各比較例及び各実施例の粉末飲料から調製した試料液の平均スコアの相対値について小数点第一を四捨五入し「臭気」の評価値として算出した。算出された「臭気」の評価値が小さいほど、臭気抑制効果が高いと評価できる。得られた結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
表1から明らかな通り、(A)成分に(B)成分を組み合わせることによって、(A)成分特有の不快な臭気を抑制できていた(実施例1~7)。特に、(A)成分に(B)成分とともに(C)成分を組み合わせて配合することで、(A)成分特有の不快な臭気をより一層抑制できていた(実施例6、7)。
【0047】
なお、実施例1~7では、(B)成分として、由来となるサラシア属植物がサラシア・キネンシスであるものを用いたが、実施例1~7での(B)成分を、サラシア・オブロンガ、サラシア・レティキュラータ、又はサラシア・プリノイデスの抽出物に置き換えた場合も、同様に(A)成分特有の不快な臭気を抑制できた。