(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074104
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20230522BHJP
G03G 15/02 20060101ALI20230522BHJP
G03G 15/08 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
G03G21/00 500
G03G21/00 378
G03G21/00 384
G03G15/02 101
G03G15/02 102
G03G15/08 342
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021186880
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】加來 佑太郎
(72)【発明者】
【氏名】河崎 明博
(72)【発明者】
【氏名】酒谷 広太
【テーマコード(参考)】
2H077
2H200
2H270
【Fターム(参考)】
2H077AA37
2H077AC16
2H077AD06
2H077AD31
2H077DB12
2H077DB14
2H077EA14
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2H200GA23
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2H200LB36
2H200LB39
2H270KA09
2H270KA15
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2H270KA39
2H270LA15
2H270LA62
2H270LA67
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2H270LA75
2H270LB01
2H270LB14
2H270LB15
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2H270LD14
2H270MA01
2H270MA08
2H270MA13
2H270MA28
2H270MA31
2H270MB01
2H270MB39
2H270MC16
2H270MC32
2H270MD02
2H270MD04
2H270MH03
2H270NC01
2H270PA83
2H270RA14
2H270RC17
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】クリーナレス方式かつ接触帯電方式を採用した場合であっても、感光体の表面に形成されるトナー像に対して幅方向の濃度差を生じにくくする。
【解決手段】感光体ドラム21に接触して感光体ドラム21の表面を帯電する帯電ローラ22と、感光体ドラム21の表面にトナー像を形成するとともに感光体ドラム21の表面に付着した未転写トナーを回収する現像装置26と、帯電ローラ22が新品であることを検可能な検知手段30、81と、が設けられている。そして、検知手段30、81によって帯電ローラ22が新品であることが検知された場合に、印刷動作が開始される前に、現像装置26によって感光体ドラム21の表面に画像領域Mにわたってトナー像パターンTPを形成して、トナー像パターンTPによって帯電ローラ22の外周面に周方向にわたってトナーGPを付着させる制御モード(空駆動モード)を実行する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、
前記感光体に接触して、前記感光体の表面を帯電する帯電ローラと、
前記感光体の表面に形成された潜像を現像してトナー像を形成するとともに、前記感光体の表面に付着した未転写トナーを回収する現像装置と、
前記帯電ローラが新品であることを検可能な検知手段と、
を備え、
前記検知手段によって前記帯電ローラが新品であることが検知された場合に、印刷動作が開始される前に、前記現像装置によって前記感光体の表面に画像領域にわたってトナー像パターンを形成して、前記トナー像パターンによって前記帯電ローラの外周面に周方向にわたってトナーを付着させる制御モードを実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御モードが実行されるとき、前記感光体の表面に形成された前記トナー像パターンが前記帯電ローラに付着しやすいように作像条件が調整されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体又はシートに転写する転写装置を備え、
前記現像装置は、前記感光体に接触又は対向する現像剤担持体を具備し、
前記制御モードは、通常の印刷時に比べて前記現像剤担持体に印加する現像バイアスの絶対値を大きくした状態、前記転写装置に印加される転写バイアスの極性を通常の印刷時のものに対して逆極性にした状態、前記帯電ローラに印加される帯電バイアスの極性を通常の印刷時のものに対して逆極性にした状態、のうち少なくとも1つの状態で実行されることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記帯電ローラに付着したトナー量が閾値を超えたものと判断されたときに、前記帯電ローラに付着したトナーを前記感光体の表面に付着させて前記現像装置で回収するクリーニングモードを実行することを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記感光体の表面に形成されるトナー像の累積のドットカウント値が所定値に達したときに、前記帯電ローラに付着したトナー量が前記閾値を超えたものと判断されることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記クリーニングモードが実行された後に、前記現像装置によって前記感光体の表面に画像領域にわたって第2トナー像パターンを形成して、前記第2トナー像パターンによって前記帯電ローラに付着したトナーを幅方向にわたって均す均しモードを実行することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記感光体における幅方向の所定位置に局所的に前記トナー像が連続的に所定回数を超えて形成されたときに、前記現像装置によって前記感光体の表面に画像領域にわたって第2トナー像パターンを形成して、前記第2トナー像パターンによって前記帯電ローラに付着したトナーを幅方向にわたって均す均しモードを実行することを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記トナー像パターンは、ベタ画像であることを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記帯電ローラの表面を清掃する清掃部材を備えたことを特徴とする請求項1~請求項8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
少なくとも前記感光体と前記帯電ローラとが一体化されたプロセスカートリッジを備え、
前記検知手段は、前記プロセスカートリッジが新品であることを検知可能であることを特徴とする請求項1~請求項9のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、感光体(感光体ドラム)の表面に付着した未転写トナーをクリーニングするクリーニング装置を設置しないクリーナレス方式のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このようなクリーナレス方式の画像形成装置では、感光体の表面に付着した未転写トナーは、現像装置で回収されることになる。
また、従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、感光体(感光体ドラム)の表面に接触した帯電ローラによって、感光体の表面を帯電する接触帯電方式のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一方、特許文献1には、クリーナレス方式かつ接触帯電方式の画像形成装置において、現像中にジャムなどで異常停止したときに、帯電ローラがトナーで汚れて帯電性能が低下する不具合を防止するために、感光体上に付着したトナーを一時的に帯電ローラで回収して、その後に帯電ローラで回収したトナーを感光体上に吐き出す技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の画像形成装置は、クリーナレス方式かつ接触帯電方式を採用したときに、帯電ローラの幅方向の一部が局所的にトナーで汚れてしまって、感光体の表面に形成されるトナー像に幅方向の濃度差が生じてしまっていた。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、クリーナレス方式かつ接触帯電方式を採用した場合であっても、感光体の表面に形成されるトナー像に幅方向の濃度差が生じにくい、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明における画像形成装置は、感光体と、前記感光体に接触して、前記感光体の表面を帯電する帯電ローラと、前記感光体の表面に形成された潜像を現像してトナー像を形成するとともに、前記感光体の表面に付着した未転写トナーを回収する現像装置と、前記帯電ローラが新品であることを検可能な検知手段と、を備え、前記検知手段によって前記帯電ローラが新品であることが検知された場合に、印刷動作が開始される前に、前記現像装置によって前記感光体の表面に画像領域にわたってトナー像パターンを形成して、前記トナー像パターンによって前記帯電ローラの外周面に周方向にわたってトナーを付着させる制御モードを実行するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、クリーナレス方式かつ接触帯電方式を採用した場合であっても、感光体の表面に形成されるトナー像に幅方向の濃度差が生じにくい、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図3】感光体ドラム上のトナー像パターンによって帯電ローラ上にトナーが付着していく状態を示す、(A)上面図と、(B)側面図と、である。
【
図4】空駆動モード(制御モード)が実行されるときの制御の一例を示すフローチャートである。
【
図5】帯電ローラ上のトナー付着量と、トナー像における幅方向の濃度ムラと、の関係を示す表図である。
【
図6】変形例1としての画像形成装置において、クリーニングモード時に帯電ローラ上に付着したトナーの一部が感光体ドラム上に排出される状態を示す側面図である。
【
図7】変形例1における、印刷開始後の制御を示すフローチャートである。
【
図8】感光体ドラム上のトナー入力量と、帯電ローラ上のトナー付着量と、の関係を示すグラフである。
【
図9】変形例2としての、印刷開始後の制御を示すフローチャートである。
【
図10】変形例3としての、作像部を示す断面図である。
【
図11】変形例3において、感光体ドラム上のトナー入力量と、帯電ローラ上のトナー付着量と、の関係を示すグラフである。
【
図12】変形例4としての、印刷開始後の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、
図1にて、画像形成装置1における全体の構成・動作について説明する。
本実施の形態における画像形成装置1は、複数のプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKが中間転写ベルト40に対向するように並設されたタンデム型のカラー画像形成装置である。また、複数のプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの感光体ドラム21に対向するように現像装置26(
図2参照)が設置されている。
【0011】
図1において、1は画像形成装置としてのカラー複写機の装置本体、2は原稿を原稿読込部3に搬送する原稿搬送部、3は原稿の画像情報を読み込む原稿読込部、4は入力画像情報に基づいたレーザ光L(
図2参照)を発する書込み部(露光部)、を示す。
また、20Y、20M、20C、20BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応したプロセスカートリッジ、40は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト、を示す。
また、61は用紙等のシートPが収納される給紙装置、65は中間転写体としての中間転写ベルト40上に形成されたトナー像をシートPに転写する2次転写ローラ、66はシートP上の未定着画像を定着する定着装置、70は複数のプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKに対応した各現像装置26に各色のトナーを補給するためのトナー容器、を示す。
【0012】
ここで、
図2を参照して、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKは、それぞれ、感光体としての感光体ドラム21(像担持体)と、帯電ローラ22と、が一体化されたものである。そして、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKは、寿命に達したときに画像形成装置本体1に対して交換される。
また、各現像装置26は、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの感光体ドラム21(感光体)にそれぞれ対向するように設置されている。そして、現像装置26は、寿命に達したときに画像形成装置本体1に対して交換される。なお、画像形成装置本体1に対する現像装置26の着脱操作と、画像形成装置本体1に対するプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの着脱操作と、はそれぞれ別々に独立しておこなうことができる。
各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKにおける感光体ドラム21(感光体)上では、それぞれ、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される。
【0013】
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作(印刷動作)について説明する。
まず、原稿は、原稿搬送部2の搬送ローラによって、原稿台から搬送されて、原稿読込部3のコンタクトガラス上に載置される。そして、原稿読込部3で、コンタクトガラス上に載置された原稿の画像情報が光学的に読み取られる。
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部4に送信される。そして、書込み部4からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光L(露光光)が、それぞれ、対応するプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの感光体ドラム21(
図2参照)の表面に向けて照射される。
【0014】
一方、感光体としての感光体ドラム21は、それぞれ、駆動モータ90によって
図2の時計方向に回転駆動されている。そして、まず、感光体ドラム21の表面は、帯電ローラ22との対向位置で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム21上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム21の表面は、それぞれの書込み部4によるレーザ光Lの照射位置に達して、その位置で画像情報に基づいた静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0015】
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目のプロセスカートリッジ20Yの感光体ドラム21の表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム21の回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電ローラ22にて帯電された後の感光体ドラム21上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
同様に、シアン成分のレーザ光は、紙面左から2番目のプロセスカートリッジ20Cの感光体ドラム21の表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から3番目のプロセスカートリッジ20Mの感光体ドラム21の表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目のプロセスカートリッジ20BKの感光体ドラム21の表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0016】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム21の表面は、それぞれ、現像装置26との対向位置に達する。そして、各現像装置26から感光体ドラム21上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム21上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム21の表面は、それぞれ、中間転写ベルト40との対向位置に達する。ここで、それぞれの対向位置には、中間転写ベルト40の内周面に当接するように転写装置としての1次転写ローラ24が設置されている。そして、1次転写ローラ24の位置で、中間転写ベルト40上に、感光体ドラム21上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程である。)。なお、1次転写ローラ24(転写装置)には、転写電源96から所定の転写バイアス(トナーの極性とは異なるプラス極性の電圧である。)が印加されている。
【0017】
そして、その後、1次転写工程後の感光体ドラム21の表面は、それぞれ、除電装置(不図示)の位置で残留電位が除電される。
その後、感光体ドラム21の表面は、それぞれ、現像装置26との対向位置に達する。そして、現像装置26で、感光体ドラム21上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。このように、本実施の形態における現像装置26は、感光体ドラム21(感光体)の表面に残存した未転写トナーを回収可能に構成されている。すなわち、本実施の形態における画像形成装置1は、クリーナレス方式が採られている。
こうして、感光体ドラム21における一連の作像プロセスが終了する。
【0018】
他方、感光体ドラム21上の各色の画像が重ねて転写された中間転写体としての中間転写ベルト40の表面は、図中の矢印方向に走行して、2次転写ローラ65の位置に達する。そして、2次転写ローラ65の位置で、シートP上に中間転写ベルト40上のフルカラーの画像が2次転写される(2次転写工程である。)。
その後、中間転写ベルト40の表面は、中間転写ベルトクリーニング装置の位置に達する。そして、中間転写ベルト40上の未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング装置に回収されて、中間転写ベルト40上の一連の転写プロセスが完了する。
【0019】
ここで、2次転写ローラ65の位置に搬送されるシートPは、給紙装置61からレジストローラ64等を経由して搬送されるものである。
詳しくは、シートPを収納する給紙装置61から、給紙ローラ62により給送されたシートPが、搬送路を通過した後に、レジストローラ64の位置に導かれる。レジストローラ64の位置に達したシートPは、中間転写ベルト40上のトナー像とタイミングを合わせて、2次転写ローラ65の位置に向けて搬送される。
【0020】
その後、フルカラー画像が転写されたシートPは、定着装置20の位置に導かれる。そして、定着装置20において、定着ローラと加圧ローラとのニップにて、カラー画像がシートP上に定着される。
そして、定着工程後のシートPは、排紙ローラ69によって装置本体1外に出力画像として排出された後に、排紙トレイ5上にスタックされて、一連の画像形成プロセス(印刷動作)が完了する。
【0021】
次に、
図2にて、画像形成装置の作像部について詳述する。
なお、画像形成装置本体1に設置される4つの作像部は、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造であるので、プロセスカートリッジや現像装置などの構成部材における符号のアルファベット(Y、M、C、BK)を除して図示する。
【0022】
図2に示すように、プロセスカートリッジ20は、主として、感光体としての感光体ドラム21と、帯電ローラ22と、がケースに一体的に収納されている。
なお、先に説明したように、本実施の形態における作像部は、クリーナレス方式の作像部であって、感光体ドラム21上の未転写トナー(残留トナー)を清掃する専用のクリーニング装置(クリーニングブレード)は設置されておらず、そのようなクリーニング装置としての機能を現像装置26が担っている。
【0023】
感光体としての感光体ドラム21は、負帯電性の有機感光体であって、ドラム状導電性支持体上に感光層等を設けたものである。
帯電ローラ22は、導電性芯金の外周に中抵抗の弾性層を被覆してなるローラ部材である。そして、この帯電ローラ22に帯電電源95から所定の帯電バイアスが印加されて、これにより対向する感光体ドラム21の表面を一様に帯電する。
なお、本実施の形態における帯電ローラ22は、感光体ドラム21(感光体)の表面に接触するように構成されている。すなわち、本実施の形態における画像形成装置1は、接触帯電方式が採られている。
【0024】
図2に示すように、現像装置26は、主として、現像剤担持体としての現像ローラ26aが感光体ドラム21に対して所定の圧接力で接触するように配置されている。現像装置26内には、トナー(非磁性又は磁性の1成分現像剤である。)が収容されている。そして、現像ローラ26aと感光体ドラム21との間(現像領域)に形成された電界(現像電界)によって、感光体ドラム21の表面に形成された静電潜像が現像される(トナー像が形成される。)。
なお、現像領域における電界は、現像電源91によって現像ローラ26aに印加される所定の現像バイアスと、帯電工程と露光工程とによって感光体ドラム21の表面に形成される表面電位(潜像電位)と、によって形成されるものである。
【0025】
以下、現像装置26の構成・動作についてさらに詳しく説明する。
図2を参照して、本実施の形態における現像装置26は、接触1成分現像方式の現像装置であって、プロセスカートリッジ20とは別に、画像形成装置本体1に対して着脱可能(交換可能)に設置される。
図2に示すように、現像装置26は、現像剤担持体としての現像ローラ26a、供給回転体としての供給ローラ26b、現像剤規制部材としてのドクターブレード26c、等で構成されている。
【0026】
現像剤担持体としての現像ローラ26aは、その表面にトナーT(現像剤)を担持して、所定の回転方向(
図2の反時計方向である。)に回転して感光体ドラム21上に形成された静電潜像にトナーTを供給する。本実施の形態において、現像ローラ26aは、感光体ドラム21に当接するように配設されている。
現像ローラ26aとしては、ステンレス鋼等の導電性金属材料で形成された回転軸部(芯金)上に、導電性を有する弾性材料からなるローラ部を具備したものを用いることができる。
【0027】
供給ローラ26bは、現像ローラ26aに当接している。
この供給ローラ26bは、現像ローラ26aの回転方向に対して逆方向(
図2の時計方向である。)に回転して現像ローラ26aにトナーTを供給するものである。すなわち、供給ローラ26bは、現像ローラ26aの回転方向に対して連れ回り方向に回転しながら、現像ローラ26aにトナーTを供給するローラ部材である。
【0028】
なお、供給ローラ26bとしては、芯金上に、導電性を有する発泡ポリウレタン層(電気抵抗値が10
3~10
14Ω程度のものである。)が積層されたものを用いることができる。
また、図示は省略するが、現像ローラ26aと供給ローラ26bとの各軸部にはギアが設置されていて、互いのギアが噛合するように構成されている。そして、これらのギア列に駆動モータ90から駆動力が入力されて、現像ローラ26aと供給ローラ26bとがそれぞれ
図2の矢印方向に回転駆動される。
【0029】
ドクターブレード26cは、ステンレス鋼等の金属材料からなる薄い板状部材であって、供給ローラ26bの下流側であって現像領域の上流側で感光体ドラム21に当接している。
このドクターブレード26cは、現像ローラ26a上のトナー量を適量に規制するものである。すなわち、供給ローラ26bから現像ローラ26a上に供給されたトナー量(トナー層)は、ドクターブレード26cの位置で薄層化されることになる。
【0030】
このように構成された現像装置26は、通常の現像工程時において、次のように動作する。
まず、現像装置26内に収容されたトナーTは、その一部が供給ローラ26b上に汲み上げられる(担持される)。そして、供給ローラ26b上に担持されたトナーTは、摩擦帯電された状態で、現像ローラ26a上に供給される。
その後、現像ローラ26a上に担持されたトナーは、ドクターブレード26cによって薄層化されて、その後に感光体ドラム21との対向位置(現像領域)に達する。そして、この位置で、現像領域に形成された電界(現像電界)によって、感光体ドラム21上に形成された静電潜像にトナーが吸着される。こうして、感光体ドラム21上に所望のトナー像(画像)が形成されることになる。
このとき、感光体ドラム21上に担持されていた未転写トナーが、現像ローラ26a上に回収されることになる。すなわち、現像領域を通過した後の現像ローラ26aの表面には、感光体ドラム21上に担持されていた未転写トナーと、現像工程において感光体ドラム21上に移動しなかったトナー(未現像トナー)と、が担持されることになる。そして、それらの現像ローラ26a上に担持されたトナーは、現像装置26内に戻されることになる。
なお、本実施の形態における現像装置26において、現像ローラ26a上に担持された未現像トナーや未転写トナーを掻き取るための掻取り部材や、現像装置26内においてトナーが凝集しないように撹拌するための撹拌部材を設けることもできる。
なお、本実施の形態では、現像装置26内に収容されるトナー(現像剤)として、円形度が0.932程度の非磁性トナーを用いている。また、トナーとして、非球形の粉砕トナーや、重合トナーを用いることができる。
【0031】
以下、本実施の形態における画像形成装置1において、特徴的な構成・動作について説明する。
先に
図2等を用いて説明したように、画像形成装置1は、クリーナレス方式、かつ、接触帯電方式を採用したものである。すなわち、画像形成装置1には、感光体としての感光体ドラム21に接触して感光体ドラム21の表面を帯電する接触式の帯電ローラ22や、感光体ドラム21の表面に形成された潜像を現像してトナー像を形成するとともに感光体ドラム21の表面に付着した未転写トナーを回収する現像装置26が設けられている。
【0032】
ここで、
図2を参照して、本実施の形態における画像形成装置1には、帯電ローラ22が新品であることを検可能な検知手段としてのIDチップ30及び読取装置81が設置されている。
詳しくは、本実施の形態において、帯電ローラ22と感光体ドラム21とはプロセスカートリッジ20として一体化されている。そして、検知手段としてのIDチップ30及び読取装置81は、プロセスカートリッジ20(帯電ローラ22)が新品であることを検知可能に構成されている。すなわち、検知手段によって、帯電ローラ22に加えて、感光体ドラム21が新品であるか否かも検知されることになる。
【0033】
具体的に、IDチップ30(情報記憶媒体)は、プロセスカートリッジ20のケース(外装部)に設置されている。IDチップ30は、プロセスカートリッジ20が新品であるか否かについての情報(例えば、使用履歴に関する情報である。)に加えて、製造番号、仕向地などプロセスカートリッジ20に関する種々の情報が記録(記憶)されている。
他方、読取装置81は、画像形成装置本体1に設置されている。そして、画像形成装置本体1にプロセスカートリッジ20が装着されると、そのIDチップ30に対向する読取装置81によってIDチップ30に記録された情報が読み取られて、その情報が制御部80に送られることになる。これにより、制御部80で、帯電ローラ22(プロセスカートリッジ20)が画像形成装置本体1に装着されたときに、帯電ローラ22(プロセスカートリッジ20)が新品であるか否かが判別される。このように、読取装置81、IDチップ30(及び、制御部80)が、帯電ローラ22(プロセスカートリッジ20)が新品であるか否かを検知する検知手段として機能することになる。
なお、本実施の形態では、読取装置81は、制御部80に記憶(記録)された情報(例えば、使用履歴に関する更新情報である。)をIDチップ30に書き込めるように構成されている。
【0034】
なお、本願明細書等において、帯電ローラ22やプロセスカートリッジ20が「新品」である状態とは、帯電ローラ22の外周面にトナーが付着していない状態であるものと定義する。具体的に、画像形成装置1において帯電ローラ22やプロセスカートリッジ20の使用が開始されていない状態(これから使用開始される状態)であるとき(主に、着荷時や交換時である。)、帯電ローラ22やプロセスカートリッジ20が「新品」であるものとして扱っている。
また、本実施の形態では、帯電ローラ22(プロセスカートリッジ20)が新品であるか否かを検知する検知手段として、IDチップ30や読取装置81を用いたが、検知手段はこれに限定されることなく、公知のもの(例えば、画像形成装置1への最初の装着時に断線するヒューズなどである。)を用いることができる。
【0035】
ここで、
図3を参照して、本実施の形態では、検知手段(読取装置81、IDチップ30)によって帯電ローラ22(プロセスカートリッジ20)が新品であることが検知された場合に、印刷動作が開始される前に、現像装置26によって感光体ドラム21の表面に画像領域M(画像形成可能な幅方向の最大範囲である。)にわたってトナー像パターンTP(シートPへの印刷を予定していないダミーの画像である。)を形成して、そのトナー像パターンTPによって帯電ローラ22の外周面に周方向にわたってトナーGPを付着させる「制御モード」を実行している。なお、このような制御モードを、以下、適宜に「空駆動モード」と呼ぶ。
すなわち、帯電ローラ22(プロセスカートリッジ20)が新品であるときに、通常の印刷動作をおこなうことなく、感光体ドラム21を空駆動しながら感光体ドラム21上にトナー像パターンTPを形成して、帯電ローラ22の画像領域Mにおける外周面の全周に所定量以上のトナーを付着させて、その後もその状態を維持する。以下、このように空駆動モード(制御モード)によって帯電ローラ22上に付着されたトナーを、適宜に「付着トナーGP」と呼ぶ。
【0036】
このような制御(空駆動モード)をおこなうのは、クリーナレス方式かつ接触帯電方式の画像形成装置1では、幅方向(
図2、
図3(B)の紙面垂直方向であって、
図3(A)の左右方向である。)の同じ位置に局所的に画像が連続的に形成されてしまったときなどに、帯電ローラ22の幅方向の一部だけが局所的にトナーで汚れてしまうためである。そして、そのように帯電ローラ22の幅方向の一部が局所的にトナーで汚れてしまうと、その部分だけ帯電電位が変化して、印刷時に感光体ドラム21の表面に形成されるトナー像に幅方向の濃度差が生じてしまうことになる。
これに対して、本実施の形態では、帯電ローラ22が新品であって表面がきれいな状態であるときに、印刷開始前に空駆動モード(制御モード)を実行して、帯電ローラ22の幅方向かつ周方向に一様にトナーGPを付着させているため、その後の印刷時に帯電ローラ22の幅方向の一部だけが局所的にトナーで汚れてしまう不具合が生じにくくなる。したがって、印刷時に感光体ドラム21の表面に形成されるトナー像(画像)に幅方向の濃度差が生じてしまう不具合も軽減される。
【0037】
なお、本実施に形態において、空駆動モード時に感光体ドラム21上に形成されるトナー像パターンTPは、ベタ画像である。
詳しくは、空駆動モードは、先に
図1、
図2を用いて説明した作像プロセスによって感光体ドラム21上にトナー像パターンTPとしての略矩形状のベタ画像(主走査方向(幅方向)の長さが画像領域Mであって、副走査方向の長さNのものである。)を形成して、帯電ローラ22上に付着トナーGPの層を形成している。このときのトナー像パターンTPの「副走査方向の長さN」は、少なくとも帯電ローラ22の外周長さ(1周分以上)に相当する。
なお、本実施の形態では、画像形成装置1の主電源(メインスイッチ)がオフ状態からオン状態に切り替えられたときに、読取装置81(検知手段)によって新品検知がおこなわれて、新品検知がされたときに空駆動モードを実行するようにしている。これは、プロセスカートリッジ20(帯電ローラ22)の着荷時や交換時には、画像形成装置1の主電源のオン・オフがおこなわれるためである。
【0038】
ここで、本実施の形態では、空駆動モード(制御モード)が実行されるとき、感光体ドラム21の表面に形成されたトナー像パターンTPが帯電ローラ22に付着しやすいように作像条件が調整される。
すなわち、新品の帯電ローラ22に短時間に効率的に所望量の付着トナーGPが担持されるように、作像プロセスにおける作像条件が最適化される。さらに換言すると、帯電ローラ22にトナーGPが付着する付着率(転写率)が最大になるように、作像条件が調整される。
【0039】
詳しくは、本実施の形態において、空駆動モード(制御モード)は、通常の印刷時に比べて現像ローラ26a(現像剤担持体)に印加する現像バイアスの絶対値を大きくした状態(現像ポテンシャルを大きくした状態である。)、転写装置としての1次転写ローラ24に印加される転写バイアスの極性を通常の印刷時のものに対して逆極性(マイナス極性である。)にした状態、帯電ローラ22に印加される帯電バイアスの極性を通常の印刷時のものに対して逆極性(プラス極性である。)にした状態、のうち少なくとも1つの状態で実行される。
制御部80による現像電源91の制御によって現像バイアスが大きくなるように調整した場合には、感光体ドラム21上に形成されるトナー像パターンTPの画像濃度(トナー付着量、トナー入力量)が濃くなるため、単位面積当たりに帯電ローラ22上に付着する付着トナーGPの量も多くなる。
また、制御部80による転写電源96の制御によって転写バイアスの極性が逆極性になるように調整した場合には、感光体ドラム21上に形成されるトナー像パターンTPが中間転写ベルト40に静電的に付着(移動)しにくくなるため、帯電ローラ22の位置におけるトナー像パターンTPの画像濃度も濃くなり、帯電ローラ22上に付着する付着トナーGPの量も多くなる。
また、制御部80による帯電電源95の制御によって帯電バイアスの極性が逆極性になるように調整した場合には、感光体ドラム21上に形成されるトナー像パターンTPが帯電ローラ22に付着する割合(付着率、転写率)が高まるため、帯電ローラ22上に付着する付着トナーGPの量が多くなる。
なお、このように調整された作像条件は、空駆動モードが終了した後に、元の値に戻される。
【0040】
なお、本実施の形態において、空駆動モード(制御モード)を実行する時間T1は、帯電ローラ22上の付着トナーGPの量が所望の値以上になるように設定される。
具体的に、帯電ローラ22上の付着トナーGPの単位面積当たりのトナー付着量をX(mg/cm2)として、画像領域M(現像幅)をM(cm)として、帯電ローラ22の外径をF(cm)として、感光体ドラム21上のトナー像パターンTPにおける単位面積当たりのトナー付着量(トナー入力量)をW(mg/cm2)として、トナー像パターンTPの副走査方向の長さ(吐き出し長さ)をN(cm)として、帯電ローラ22への付着率(転写率)をZ(%)とすると、
X・M・F=W・M・N・Z/100
になるため、トナー像パターンTPの副走査方向の長さN(吐き出し長さ)は、
N=X・F・100/(W・Z)
となる。そのため、感光体ドラム21の線速(プロセス線速)をV(cm/秒)としたときに、空駆動モード(制御モード)を実行する時間T1は、
T1=N/V
で求められることになる。
本実施の形態では、トナー像パターンTPとしてベタ画像が形成されているため、上式におけるW、Nが小さくなり、空駆動モードの実行時間T1も短くなる。したがって、空駆動モードによる待ち時間も短く、作像プロセスに関わる部材が受ける負荷も小さくなる。
【0041】
以下、
図4を用いて、空駆動モード(制御モード)が実行されるときの制御の一例について説明する。
図4に示すように、まず、画像形成装置1の主電源がオンされると(ステップS1)、画像形成装置1の立上げ処理(作像条件の調整などのウォーミングアップ動作である。)がおこなわれる(ステップS2)。
そして、検知手段(読取装置81、IDチップ30)によって帯電ローラ22(プロセスカートリッジ20)が新品であるかが判別される(ステップS3)。その結果、帯電ローラ22が新品でないものと判別された場合には、帯電ローラ22に付着トナーGPが担持されていて、幅方向の画像濃度差が生じないものとして、そのまま本フローが終了される。
これに対して、ステップS3で、帯電ローラ22が新品であるものと判別された場合には、そのままでは印刷時に幅方向の画像濃度差が生じる可能性があるものとして、空駆動モードが所定時間T1実行される(ステップS4、S5)。すなわち、帯電ローラ22に所定量以上の付着トナーGPが担持される。そして、立下げ処理(例えば、空駆動モード時に調整した作像条件を元に戻す動作である。)が終了した後に(ステップS6)、本フローが終了される。
【0042】
なお、空駆動モードにおいて帯電ローラ22上には狙いの値を超える付着トナーGPが担持されることが好ましい。
図5は、本実施の形態における画像形成装置1を用いて、帯電ローラ22上の付着トナーGPの量(トナー付着量)を4水準で振って、それぞれの水準について局所的な画像(縦帯画像)を印刷した後の、階調画像(ハーフトーン画像)における幅方向の画像濃度ムラの程度を目視確認した結果を示すものである。
図5に示すように、帯電ローラ22上の単位面積当たりのトナー付着量が0.50(mg/cm
2)以上であるときには画像濃度ムラの発生はなく(判定「○」であり)、それを下回る場合には許容できない画像濃度ムラの発生があった(判定「×」である)。
このように、空駆動モードにおいて帯電ローラ22上に所定値を超える付着トナーGPを担持させることで、画像濃度ムラの発生を安定的に軽減することができる。
【0043】
<変形例1>
図6を参照して、変形例1における画像形成装置1は、帯電ローラ22に付着したトナー量(付着トナーGPの量)が閾値Rを超えたものと判断されたときに、帯電ローラ22に付着したトナーを感光体ドラム21の表面に付着させて現像装置26で回収する「クリーニングモード」を実行している。
詳しくは、感光体ドラム21の表面に形成されるトナー像の累積のドットカウント値が所定値Aに達したときに、帯電ローラ22に付着したトナー量が閾値Rを超えたものと判断される。そして、閾値Rを超えた余剰の付着トナーGPが、感光体ドラム21上に排出トナーCPとして排出される。
なお、上述した「累積のドットカウント値」は、感光体ドラム21上に画像を形成するために使用される累積のトナー量にほぼ比例するものであって、書込み部4における累積の書込み画素数に基づいて制御部80で把握することができる。
このような制御をおこなうのは、帯電ローラ22上に付着トナーGPが大量に付着し過ぎてしまうと、帯電ローラ22から感光体ドラム21上へのトナー落ちが生じたり、帯電ローラ22の帯電性能が悪化して帯電不良が生じたりして、異常画像の原因になってしまうためである、そして、このような現象は、
図8に示すように、印刷動作が繰り返しおこなわれて、累積の印刷枚数(稼働時間)が増加していくと(感光体ドラム21上のトナー入力量が増加していくと)、帯電ローラ22上の付着トナーGPの量(トナー付着量)が増加して、顕著になっていく。
そのため、変形例1では、印刷枚数が増加して、累積ドットカウント値が所定値A以上となって、帯電ローラ22上の単位面積当たりのトナー付着量Xが閾値R(例えば、0.8mg/cm
2である。)以上になったものと判別されたときに、クリーニングモードを実行して、帯電ローラ22上の余剰のトナーを排出トナーCPとして感光体ドラム21に吐き出して、その排出トナーCPを現像装置26内に回収している。具体的に、クリーニングモード時には、通常の印刷動作がおこなわれるタイミングとは異なるタイミング(例えば、連続通紙時の紙間に相当するタイミングや、一連の印刷動作が終了したタイミングである。)で、通常の印刷時よりも帯電ローラ22から感光体ドラム21上にトナーが移行しやすい作像条件(例えば、マイナス極性の帯電バイアスの絶対値を通常印刷時より大きくする。)でおこなわれることになる。また、累積ドットカウント値は、クリーニングモードが実行されるたびにリセットされる。
なお、上述した所定値Aは、クリーニングモードを1回実行することによって帯電ローラ22上の付着トナーGPが減少するトナー量が、累積ドットカウント値による帯電ローラ22上の付着トナーGPの増加量に等しくなるように設定することになる。
【0044】
以下、
図7を用いて、変形例1においてクリーニングモードが実行されるときの制御の一例について説明する。
図7に示すように、まず、印刷が開始されると(ステップS11)、いままでの印刷に関わる累積ドットカウント値が所定値A以上であるかが判別される(ステップS12)。その結果、累積ドットカウント値が所定値A以上でないものと判別された場合には、帯電ローラ22上のトナー付着量が閾値Rに達していないものとして、そのまま本フローが終了される。
これに対して、ステップS12で、累積ドットカウント値が所定値A以上であるものと判別された場合には、帯電ローラ22上のトナー付着量が閾値Rに達していて、異常画像が生じる可能性があるものとして、クリーニングモードが所定時間T2実行される(ステップS13、S14)。そして、立下げ処理(例えば、印刷後に作像条件を調整する動作である。)が終了した後に(ステップS15)、本フローが終了される。
なお、変形例1では、クリーニングモードを立下げ処理前におこなったが、クリーニングモードを印刷終了後の立下げ処理時におこなうこともできる。そして、そのような場合には、印刷中にクリーニングモードが実行されてしまい印刷の生産性が低下してしまうような不具合が防止される。
【0045】
<変形例2>
図9を参照して、変形例2における画像形成装置1は、変形例1で説明したクリーニングモードが実行された後に、現像装置26によって感光体ドラム21の表面に画像領域Mにわたって第2トナー像パターン(例えば、先に
図3等を用いて説明したトナー像パターンPTと同様のものである。)を形成して、その第2トナー像パターンによって帯電ローラ22に付着したトナーを幅方向にわたって均す「均しモード」を実行している。
このような制御をおこなうのは、クリーニングモードを実行した後に、帯電ローラ22上のトナー付着量が幅方向で不均一になってしまう可能性があるためである。そして、そのように帯電ローラ22上のトナー付着量が幅方向で不均一になってしまうと、感光体ドラム21上に形成される帯電電位の幅方向の分布も不均一になって、画像濃度ムラが生じてしまうことになる。
このような不具合を軽減するために、変形例2では、クリーニングモード後に、感光体ドラム21の表面に形成した第2トナー像パターン(例えば、ベタ画像である。)によって帯電ローラ22上にトナーを付着させて、帯電ローラ22上のトナー付着量が幅方向で均一になるようにしている。
なお、変形例2において累積ドットカウント値に関する「所定値A」は、クリーニングモードを1回実行することによって帯電ローラ22上の付着トナーGPが減少するトナー量が、累積ドットカウント値による帯電ローラ22上の付着トナーGPの増加量と、均しモードによる帯電ローラ22上の付着トナーGPの増加量と、の和に等しくなるように設定することになる。
以下、
図9を用いて、変形例2において均しモードが実行されるときの制御の一例について説明する。
図9に示すように、印刷が開始されると(ステップS11)、変形例1のものと同様に、ステップS11~S14のフローがおこなわれる。そして、クリーニングモードが終了した後に、均しモードS20が所定時間T3実行される(ステップS20、S21)。そして、均しモードが終了した後に、本フローが終了される。
【0046】
<変形例3>
図10に示すように、変形例3における画像形成装置1は、帯電ローラ22の表面を清掃する清掃部材としてのクリーニングローラ23が設けられている。クリーニングローラ23としては、公知のものを用いることができる。
このように、クリーニングローラ23(清掃部材)を設けることで、印刷時間の増加とともに感光体ドラム21上のトナー入力量が増加しても、帯電ローラ22上の付着トナーGPは、
図8のように比例的に増加するのではなくて、
図11に示すように緩やかに増加することになる。
そのため、変形例1、2に比べて、クリーニングモードを実行する回数を減ずることができる。
【0047】
<変形例4>
図12を参照して、変形例4における画像形成装置1は、感光体ドラム21における幅方向の所定位置に局所的にトナー像(例えば、幅方向中央部に形成される縦帯画像である。)が連続的に所定回数Dを超えて形成されたときに、現像装置26によって感光体ドラム21の表面に画像領域Mにわたって第2トナー像パターン(例えば、先に
図3等を用いて説明したトナー像パターンPTと同様のものである。)を形成して、その第2トナー像パターンによって帯電ローラ22に付着したトナーを幅方向にわたって均す「均しモード」を実行している。
このような制御をおこなうのは、感光体ドラム21における幅方向の所定位置に局所的にトナー像が繰り返し形成されてしまうと、その幅方向の所定位置に相当する帯電ローラ22上の位置のトナー付着量が他の位置に比べて多くなってしまう可能性があるためである。そして、そのように帯電ローラ22上のトナー付着量が幅方向で不均一になってしまうと、感光体ドラム21上に形成される帯電電位の幅方向の分布も不均一になって、画像濃度ムラが生じてしまうことになる。
このような不具合を軽減するために、変形例4では、幅方向の所定位置に局所的にトナー像が連続的に所定回数D(例えば、500回(枚)である。)を超えて形成されたときに、均しモード(変形例2のものと同様である。)によって帯電ローラ22上のトナー付着量が幅方向で均一になるようにしている。
以下、
図12を用いて、変形例2において均しモードが実行されるときの制御の一例について説明する。
図12に示すように、印刷が開始されると(ステップS11)、その印刷に関わるトナー像が局所的なものであるかが判別される(ステップS30)。その結果、局所的なトナー像であるものと判別された場合には、さらにそのような印刷が所定回数D以上であるかが判別されて(ステップS31)、所定回数D以上である場合に、画像濃度ムラが生じる可能性があるものとして、均しモードが実行される(ステップS32)。そして、本フローが終了される。
これに対して、ステップS30で局所的なトナー像でないものと判別された場合や、ステップS31で局所的なトナー像が形成された回数が所定回数D以上でないと判別された場合には、そのまま本フローを終了する。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態における画像形成装置1は、感光体ドラム21(感光体)と、感光体ドラム21に接触して感光体ドラム21の表面を帯電する帯電ローラ22と、感光体ドラム21の表面に形成された潜像を現像してトナー像を形成するとともに感光体ドラム21の表面に付着した未転写トナーを回収する現像装置26と、帯電ローラ22が新品であることを検可能な検知手段(読取装置81、IDチップ30)と、が設けられている。そして、検知手段によって帯電ローラ22が新品であることが検知された場合に、印刷動作が開始される前に、現像装置26によって感光体ドラム21の表面に画像領域Mにわたってトナー像パターンTPを形成して、トナー像パターンTPによって帯電ローラ22の外周面に周方向にわたってトナーGPを付着させる制御モード(空駆動モード)を実行している。
これにより、クリーナレス方式かつ接触帯電方式を採用した場合であっても、感光体ドラム21の表面に形成されるトナー像に対して幅方向の濃度差を生じにくくすることができる。
【0049】
なお、本実施の形態では、現像装置26をプロセスカートリッジ20の構成部材とせずに、画像形成装置本体1に対して単独で着脱できるユニットとした。これに対して、現像装置26をプロセスカートリッジ20の構成部材の1つとして、画像形成装置本体1に対してプロセスカートリッジとして一体的に着脱されるように構成することもできる。
そして、このような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
なお、本願において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電装置と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像装置と、のうち少なくとも1つと、像担持体と、が一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたユニットと定義する。
【0050】
また、本実施の形態では、感光体ドラム21(感光体)に対して現像ローラ26a(現像剤担持体)が当接するように構成された接触1成分現像方式の現像装置26が設置された画像形成装置1に対して、本発明を適用した。これに対して、感光体ドラム21(感光体)に対して現像ローラ26a(現像剤担持体)が微小な隙間をあけて対向するように構成された非接触1成分現像方式の現像装置が設置された画像形成装置や、2成分現像方式の現像装置が設置された画像形成装置に対しても、本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、感光体ドラム21(感光体)の表面に形成されたトナー像を中間転写ベルト40(中間転写体)に転写する転写装置(1次転写ローラ24)が設置された画像形成装置1に対して、本発明を適用した。これに対して、中間転写ベルトや中間転写ドラムなどの中間転写体を備えず、現像装置によって現像されたトナー像が形成される感光体ドラム(感光体)と、感光体ドラムの位置に搬送されるシートに対して感光体ドラム上のトナー像を転写するための転写ローラ、転写ベルトなどの転写装置と、を備えた装置、いわゆる直接転写方式の画像形成装置に対しても、本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合にも、本実施の形態のものとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0051】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態の中で示唆した以外にも、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0052】
1 画像形成装置(画像形成装置本体)、
20、20Y、20M、20C、20BK プロセスカートリッジ、
21 感光体ドラム(感光体、像担持体)、
22 帯電ローラ(帯電装置)、
23 クリーニングローラ(清掃部材)、
24 1次転写ローラ(転写装置)、
26 現像装置、
26a 現像ローラ(現像剤担持体)、
26b 供給ローラ、
26c ドクターブレード(現像剤規制部材)、
30 IDチップ(検知手段)、
40 中間転写ベルト(中間転写体)、
81 読取装置(検知手段)、
M 画像領域、
TP トナー像パターン、
GP 付着トナー、
CP 排出トナー。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0053】