(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074202
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】収容体、レーザー加工装置、及びレーザー加工方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/08 20140101AFI20230522BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20230522BHJP
B65D 23/00 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
B23K26/08 D
B23K26/00 B
B65D23/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187026
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】園田 徹也
(72)【発明者】
【氏名】松田 裕道
【テーマコード(参考)】
3E062
4E168
【Fターム(参考)】
3E062AA09
3E062AB02
3E062AC02
3E062DA02
3E062DA09
3E062JA04
3E062JA08
3E062JB26
4E168AA00
4E168DA02
4E168DA03
4E168DA04
4E168DA32
4E168DA45
4E168DA46
4E168EA15
4E168JA14
4E168JA17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】描画対象である収容体が振動した場合でも、高精細な画像を描画できるレーザー加工装置の提供。
【解決手段】収容容器内に収容物を収容してなる収容体12を搬送する搬送手段11と、前記搬送手段11により搬送されている前記収容体12にレーザー光を照射する光照射手段と、を有するレーザー加工装置10であって、前記収容体12を搬送する搬送速度をv(mm/s)とし、前記収容体12の搬送方向における描画範囲をL(mm)とすると、搬送時に生じる前記収容体12の振動の振幅が最も大きくなる周波数がv/L以下であるレーザー加工装置10とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容容器内に収容物を収容してなる収容体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送されている前記収容体にレーザー光を照射する光照射手段と、
を有するレーザー加工装置であって、
前記収容体を搬送する搬送速度をv(mm/s)とし、前記収容体の搬送方向における描画範囲をL(mm)とすると、搬送時に生じる前記収容体の振動の振幅が最も大きくなる周波数がv/L以下であることを特徴とするレーザー加工装置。
【請求項2】
搬送時に生じる前記収容体の振動は、前記収容体の変形を伴う振動である、請求項1に記載のレーザー加工装置。
【請求項3】
搬送時に生じる前記収容体の振動の振幅が最も大きくなる周波数がv/(1/3)以上である、請求項1から2のいずれかに記載のレーザー加工装置。
【請求項4】
前記収容体の容器本体の側周面を覆うように把持する把持部材を有する、請求項1から3のいずれかに記載のレーザー加工装置。
【請求項5】
前記収容体の容器本体の側周面の少なくとも一部と接触する接触部材を有する、請求項1から4のいずれかに記載のレーザー加工装置。
【請求項6】
収容容器内に収容物を収容してなる収容体を搬送する搬送工程と、
搬送されている収容体にレーザー光を照射する光照射工程と、
を含むレーザー加工方法であって、
前記収容体を搬送する搬送速度をv(mm/s)とし、前記収容体の搬送方向における描画範囲をL(mm)とすると、搬送時に生じる前記収容体の振動の振幅が最も大きくなる周波数がv/L以下であることを特徴とするレーザー加工方法。
【請求項7】
収容容器内に収容物を収容してなる収容体を搬送する搬送手段と収容体にレーザー光を照射する光照射手段とを有するレーザー加工装置を用いて描画されてなる収容体であって、
前記収容体を搬送する搬送速度をv(mm/s)とし、前記収容体の搬送方向における描画範囲をL(mm)とすると、搬送時に生じる前記収容体の振動の振幅が最も大きくなる周波数がv/L以下であることを特徴とする収容体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容体、レーザー加工装置、及びレーザー加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、海洋プラスチックごみの問題等が取り沙汰され、世界的にプラスチックごみによる環境汚染をなくしていく動きが活発化している。このようなプラスチックごみの一例としてペットボトルは飲料の流通、販売において保存性などの様々な利点から、広く利用されており、大量の飲料用ペットボトルが生産、販売、使用されている。
【0003】
飲料用ペットボトルは、その管理及び販売促進のためにラベルが添付されるのがほとんどである。このようなラベル付き飲料用ペットボトルは、消費者が収容物を消費したのちに回収され、環境を保護するために、再資源化を目的に、リサイクルされている。特に、飲料用ペットボトルにおいて、「ボトルtoボトル」と呼ばれることもある、循環型リサイクルの促進が求められている(
図1参照)。
ペットボトルの循環型リサイクルは、使用済みペットボトルを分別回収して、リサイクル業者でペットボトルの原料となるフレークに変え、再度ペットボトルの生成に活用するというもので、この循環型リサイクルを円滑に回していくためには、分別回収が徹底される必要がある。
この際、ペットボトルはボトル本体、ラベル及びキャップで構成されており、それらの材質がそれぞれ異なるため、分別回収するためにはそれらをきちんと分離される必要がある。ラベルは手作業で剥がして分離する方法が一般的で手間が発生するため、ボトル本体にレーザーにより直接描画するレーザーマーキング方法によりラベルレス化を図ることが試みられている。
【0004】
このようなレーザーマーキング方法はレーザービームによりペットボトル表面に白濁した跡を残し、このレーザービームを走査、点滅させることによりペットボトル表面にドットによる画像を形成する手法である。このため、描画対象であるペットボトルに振動が生じるとペットボトルとビームスポット間で相対的な位置変動が生じ、狙った位置にビームスポットを当てることができず、周期的にドット位置変動が起き、画像濃度変動が生じて、画像品質が低下するという問題がある。
【0005】
そこで、関連する先行技術文献として、例えば、液体を吐出する吐出ヘッドと、記録媒体搬送手段と、液体吐出ヘッドと搬送手段を支持する本体フレーム等を備えており、本体フレームと吐出ヘッドを固定するヘッド固定手段内に任意のばね定数を設定し、吐出ヘッドの質量から規定される共振周波数を任意に変更できる画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この提案によると、液体吐出ヘッドと記録媒体と間の相対振動に起因する濃度ムラ(振動ムラ)による画質劣化を低減することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、描画対象である収容体が振動した場合でも、高精細な画像を描画できるレーザー加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段としての本発明のレーザー加工装置は、収容容器内に収容物を収容してなる収容体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送されている前記収容体にレーザー光を照射する光照射手段と、を有するレーザー加工装置であって、前記収容体を搬送する搬送速度をv(mm/s)とし、前記収容体の搬送方向における描画範囲をL(mm)とすると、搬送時に生じる前記収容体の振動の振幅が最も大きくなる周波数がv/L以下である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、描画対象である収容体が振動した場合でも、高精細な画像を描画できるレーザー加工装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、ペットボトルの循環型リサイクルの促進の状況を示す模式図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るレーザー加工装置の一例を示す概略図である。
【
図3】
図3は、第2の実施形態に係る収容体の搬送方向の描画範囲を示す概略図である。
【
図4】
図4は、第3の実施形態に係る収容体の振動パターンの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第4の実施形態に係る収容体内の収容物(液体)の有無と振動周波数との関係を示すグラフである。
【
図6】
図6は、大きい振動の周波数をv/Lとした場合の一様な画像濃度を狙って描画した第5の実施形態に係る収容体の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、大きい振動の周波数をv/Lの2倍とした場合、一様な画像濃度を狙って描画した第6の実施形態に係る収容体の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、搬送方向の描画範囲が比較的長い場合における第7の実施形態に係る収容体の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、第8の実施形態に係る収容体を把持する把持部材の一例を示す概略図である。
【
図10】
図10は、第9の実施形態に係る収容体を把持する把持部材及び接触部材の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(レーザー加工装置及びレーザー加工方法)
本発明のレーザー加工装置は、収容容器内に収容物を収容してなる収容体を搬送する搬送手段と、搬送手段により搬送されている収容体にレーザー光を照射する光照射手段と、を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
本発明のレーザー加工装置においては、収容体を搬送する搬送速度をv(mm/s)とし、収容体の搬送方向における描画範囲をL(mm)とすると、搬送時に生じる収容体の振動の振幅が最も大きくなる周波数がv/L以下である。
【0011】
本発明のレーザー加工方法は、収容容器内に収容物を収容してなる収容体を搬送する
搬送工程と、搬送されている収容体にレーザー光を照射する光照射工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明のレーザー加工方法においては、収容体を搬送する搬送速度をv(mm/s)とし、収容体の搬送方向における描画範囲をL(mm)とすると、搬送時に生じる収容体の振動の振幅が最も大きくなる周波数がv/L以下である。
【0012】
本発明のレーザー加工方法は、本発明のレーザー加工装置により好適に実施することができ、光照射工程は光照射手段により行うことができ、搬送工程は搬送手段により行うことができ、その他の工程はその他の手段により行うことができる。
【0013】
特許文献1(特開2012-71473号公報)に記載の従来技術では、描画対象である収容体が振動した場合、吐出ヘッドと記録媒体間で相対位置変動を起こすため、インクの着弾位置の変動が周期的に発生してしまい、画像濃度変動を回避することが困難である。
ここで、収容体の振動は収容体の揺れ易さ(振動特性)と、外部から入力される荷重とが要因となる。(1)振動特性には固有振動数が必ず存在し、その固有振動数付近の荷重が入力させると比較的大きな振動(共振)が発生してしまう。また、(2)レーザーマーキング方法を生産ライン上で多量及び高速に搬送される収容体に適用する場合、収容体に荷重を発生させずに搬送することは困難であるため、広範囲の周波数で荷重が発生し衝撃力等の荷重の影響を避けることができなかった。したがって(1)及び(2)によって、収容体の生産工程における振動を回避することが困難であった。
【0014】
本発明においては、収容体を搬送する搬送速度をv(mm/s)とし、収容体の搬送方向における描画範囲をL(mm)とすると、搬送時に生じる収容体の振動の振幅が最も大きくなる周波数がv/L以下であることにより、描画対象である収容体が搬送時に振動した場合でも、高精細な画像を描画できる。
【0015】
本発明の一態様において、搬送時に生じる収容体の振動は、収容体の変形を伴う振動である。ペットボトル等の収容体の振動を大別すると、収容体の変形振動に対し、収容体の底を指示した場合は、面内の変形を伴わない剛体的な運動(以下、剛体運動)の振動があり、この振動は変形振動よりも低い周波数帯で大きなピークを持つことが多い。単純に振動の大きいピークを下げるとすると、この剛体運動の振動だけが対象となり、画像濃度変動に影響する変形振動の周波数を狙いとする周波数範囲内にする対象から外れ、画像濃度変動が生じる可能がある。そこで、剛体運動の振動よりも変形振動、即ち収容体の変形を伴う振動を対象にv/L以下に抑えた方が効果的である。
【0016】
本発明の一態様において、搬送時に生じる収容体の振動の振幅が最も大きくなる周波数がv/(1/3)以上である。この態様によると、人間の官能的評価により1mm当たり画像濃度変動が3周期以上であると認識し辛い(特許第3403565号公報の段落[0027]参照)。送時に生じる収容体の振動の振幅が最も大きくなる周波数がv/(1/3)以上(この場合、vの単位はmm/s)のとき、同じような効果が得られる。
【0017】
本発明の一態様において、収容体の側周面を覆うように把持する把持部材を有する。この態様によると、収容体の側周面で発生する振動を抑制し振動の大きいピークを下げる効果と収容体の剛性が高くなるため、外力により収容容器が共振振動する周波数、即ち、固有振動数を高めることができる。
【0018】
本発明の一態様において、収容体の側周面の少なくとも一部と接触する接触部材を有する。この態様によると、収容体の振動の振幅が大きい部分の振動の振幅を抑えつつ、ペットボトルの剛性を上げることにより、外力による共振振動周波数を高める効果が得られる。また、収容容器を回転させながらレーザーマーキングする場合、接触部材の種類や数などを変更することにより、慣性モーメントを調整することができるので、より回転駆動させ易くなる。
【0019】
<光照射手段>
光照射手段は、収容容器内に収容物を収容してなる収容体に対してレーザー光を照射する手段である。
レーザー光源はレーザー光を射出するパルスレーザーであることが好ましい。レーザー光源は、レーザー光が照射された収容体の表面又は内部の少なくとも一方の性状を変化させるために好適な出力(光強度)のレーザー光を射出する。
レーザー光源は、レーザー光の射出のオン又はオフの制御、射出周波数の制御、及び光強度制御等が可能になっている。
レーザー光源の一例として、波長が355nm~1064nmで、レーザー光のパルス幅が1ピコ秒~10ナノ秒、平均出力10~50Wのレーザー光源を用いることができる。
収容体の表面性状を変化させる領域でのレーザー光のスポット径は、1μm以上200μm以下が好ましく、10μm以上100μm以下がより好ましい。
光照射手段は、偏向器及び結像光学素子を有し、レーザー光を走査することができる。
偏向器としては、例えば、ガルバノスキャナなどが挙げられる。
結像光学素子としては、例えば、fθレンズなどが挙げられる。
【0020】
-収容体-
収容体としては、収容容器と、収容容器に収容されている収容物と、収容物を収容容器内に密閉する密閉手段と、を有する。
【0021】
--収容容器--
収容容器は、容器本体を有する。
容器本体としては、その材質、形状、大きさ、構造、色などについて特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
容器本体の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂、ガラスなどが挙げられる。これらの中でも、透明な樹脂又は透明なガラスがより好ましく、透明な樹脂が特に好ましい。
また、近年リサイクルで注目されている生分解性樹脂を用いることができる。100%生分解性樹脂を用いることが望ましいが、生分解性樹脂が30%程度であっても、環境へのやさしさは大幅に改善される。
容器本体の樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリブチレンアジペート/テレフタレート(PBAT)、ポリエチレンテレフタレートサクシネート、ポリエチレン(PE)、ポリプロビレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン、エポキシ、バイオポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ乳酸ブレンド(PBAT)、スターチブレンドポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレートサクシネート、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシプチレート/ヒドロキシヘキサノエート(PHBH)、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、バイオPET30、バイオポリアミド(PA)610,410,510、バイオPA1012,10T、バイオPA11T,MXD10、バイオポリカーポネート、バイオポリウレタン、バイオPE、バイオPET100、バイオPA11、バイオPA1010などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境負荷の点から、ポリビニルアルコール、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリエチレンテレフタレートサクシネート等の生分解性樹脂が好ましい。
【0022】
容器本体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ボトル状、円柱状、四角柱状、箱状、錐体状などが挙げられる。これらの中でも、ボトル状が好ましい。
ボトル状の容器本体は、口部と、口部に連結された肩部と、肩部に連結された胴部と、胴部に連結された底部とを備えている。
容器本体の大きさとしては、特に制限はなく、容器の用途に応じて適宜選定することができる。
容器本体の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単層構造であっても複数層構造であっても構わない。
容器本体の色としては、例えば、無色透明、有色透明、有色不透明などが挙げられる。
【0023】
--収容物--
収容物としては、例えば、液体、気体、粒状固形物などが挙げられる。
液体としては、水、お茶、コーヒー、紅茶、清涼飲料水などが挙げられる。収容物が液体飲料である場合には、透明、白色、黒色、茶色、又は黄色等の色を有していることが多い。
気体としては、例えば、酸素、水素、窒素などが挙げられる。
粒状固形物としては、例えば、果肉、野菜、ナタデココ、タピオカ、ゼリー、コンニャクなどの細片又は粒子などが挙げられる。
【0024】
--密閉手段--
密閉手段は、収容物を収容容器内に密閉する手段であり、「容器のキャップ」と称することもある
密閉手段は、その材質、形状、大きさ、構造、色などについて特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0025】
密閉手段の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂、ガラス、金属、セラミックスなどが挙げられる。これらの中でも、成形性の点から樹脂が好ましい。
密閉手段の樹脂としては、上記容器の本体の樹脂を同様なものを用いることができる。
密閉手段の色としては、例えば、有色不透明、有色透明などが挙げられる。
密閉手段の形状及び大きさとしては、容器本体の開口部を封じる(閉封する)ことができる形状及び大きさであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0026】
密閉手段の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、開封した時に容器本体から離れる第1の部分と、容器本体に残る第2の部分とを有することが好ましい。
第1の部分の側面には、開封時に手が滑らないように、表面に凹凸形状が形成されていることが好ましい。第2の部分の側面には、凹凸形状は形成されておらず、表面は平坦であることが好ましい。
【0027】
<搬送工程及び搬送手段>
搬送工程は、収容容器内に収容物を収容してなる収容体を搬送する工程であり、搬送手段により実施される。
搬送手段としては、例えば、ベルトコンベアなどが挙げられる。
【0028】
<その他の工程及びその他の手段>
その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、制御工程などが挙げられる。
その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、制御手段などが挙げられる。
【0029】
ここで、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。また、下記構成部材の数、位置、形状などは本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数、位置、形状などにすることができる。
【0030】
<第1の実施形態>
図2は、第1の実施形態に係るレーザー加工装置の一例を示す概略図である。
この第1の実施形態のレーザー加工装置10は、搬送手段11と、レーザー発振器14、ガルバノスキャナ15、ミラー16、及びfθレンズ17からなる光照射手段とを有する。
レーザー加工装置10は、ガルバノスキャナ15及びミラー16によりレーザー光を収容体12上で走査させると共に、レーザー光を点滅させることにより、搬送手段11により搬送方向Aに搬送移動中の収容体12の表面の描画範囲Lにドット状の照射跡を形成し、画像を描画する。
【0031】
<第2の実施形態>
図3は、第2の実施形態に係る収容体の搬送方向の描画範囲を示す概略図である。
収容体の搬送方向Aの描画範囲をL(mm)とし、搬送速度をv(mm/s)とすると、描画範囲Lに描画するには時間(L/v)がかかる。収容体12の振動の振幅が最も大きくなる周波数がv/L以下であれば、搬送方向Aの描画範囲L内を描画する時間内に振動の周期が1回以下に抑えられる。これにより、搬送方向Aに画像の濃度変動が生じても、描画範囲L内では1周期以下となる。その結果、人間が感じる画像濃度変動への違和感が抑えられ、情報の視認性及びデザイン性を損なうことなく、描画することができる。
【0032】
<第3の実施形態>
図4は、第3の実施形態に係る収容体の振動パターンの一例を示す図である。
この
図4に示す第3の実施形態の収容体12において、白色部分は振動の振幅が大きいところを示し、黒色部分は振動の振幅が小さいところを示す。
収容体12の振動の振幅が最も大きくなる周波数の振動挙動は、変形を伴わない剛体運動である場合が多い。しかし、実際には、収容体は描画範囲Lで局部的に振動するので、収容体の変形振動挙動を伴う振動の振幅をv/L以下になるような形状にした方がより効果的である。
一方、v/L以下の条件を充たさない場合は、v/(1/3)以上に収容体の振動の振幅が最も大きくなる周波数であってもよい。これは、人間の目では1mm当たり画像濃度変動が3周期以上であると認識されないことから、同じような効果が得られる(特許第3403565号公報の段落[0027]参照)。
【0033】
<第4の実施形態>
図5は、第4の実施形態に係る収容体の収容物(液体)の有無と振動周波数との関係を示すグラフである。
図5の結果から、収容体の形状による違い(タイプA(液体あり)vs.タイプB(液体あり))、及び収容体内の液体量の違い(タイプB(液体あり)vs.タイプB(液体なし))により、収容体の変形を伴う周波数帯(15Hz以上)において、最も大きい振動の振幅の周波数が異なることがわかる。
この第4の実施形態においては、搬送時の収容体の最も大きい振動の周波数をv/L以下、及び、v/(1/3)以上の少なくともいずれかとなるように、収容体の形状、容器本体の厚さ、及び収容物量の調整を行うことによって、人間が感じる画像濃度変動に対する違和感が抑えられ、情報の視認性及びデザイン性を損なうことなく描画できる。
【0034】
<第5の実施形態>
図6は、大きい振動の周波数をv/Lとした場合における一様な画像濃度を狙って描画した第5の実施形態に係る収容体の一例を示す図である。
この第5の実施形態の収容体では、大きい振動の周波数をv/Lの振動が生じた場合、一様な画像濃度を狙って作像したものであり、画像の濃度変動が濃い部分と薄い部分がそれぞれ1つ生じる。
【0035】
<第6の実施形態>
図7は、大きい振動の周波数をv/Lの2倍とした場合における一様な画像濃度を狙って描画した第6の実施形態に係る収容体の一例を示す図である。
この第6の実施形態の収容体では、振動の周波数がv/Lより大きいほど、画像濃度変動が1周期より短い周期で発生するため、濃度が濃い部分と薄い部分が繰り返し表示されるため、濃度変動の周期が目立ち、認識しやすくなってしまうことがわかる。
【0036】
<第7の実施形態>
図8は、搬送方向の描画範囲Lが比較的長い場合の第7の実施形態に係る収容体の一例を示す図である。この第7の実施形態の収容体のように、v/Lにおいて搬送方向の描画範囲Lの幅がより長くなると、より濃度変動の周期が長くなり、目視による認識が難しくなる。
【0037】
以上説明した条件を充たすように収容体の形状などを設計してもよいが、以下に説明するように、レーザーマーキング時に収容体の把持方法を工夫することにより、振動周波数を変更してもよい。
【0038】
<第8の実施形態>
図9は、第8の実施形態に係る収容体の把持部材の一例を示す概略図である。
この第8の実施形態では、収容体13の底部を覆うように把持し、収容体の側周面を、把持部材18で把持することにより、収容体の側周面で発生する振動を抑制し、振動の大きいピークを下げる効果と、収容体の剛性が高くなるため、外力により収容体が共振振動する周波数(固有振動数)を高める効果とを有する。
【0039】
<第9の実施形態>
図10は、第9の実施形態に係る収容体を把持する把持部材18及び接触部材19の一例を示す概略図である。
この第9の実施形態では、把持部材18と共に、第3の実施形態で説明したように収容体の振動の振幅が大きい部分に接触部材19を設けることにより、振動の振幅を抑えつつ、収容体の剛性を上げることで、外力による共振振動周波数を高める効果が得られる。また、収容容器を回転させながらレーザーマーキングする場合、接触部材の種類や数などを変更することにより、慣性モーメントを調整できるので、より回転駆動させ易くなる。
なお、
図10では把持部材18と接触部材19とを設けているが、接触部材19のみを設けることもできる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更しても差支えない。
【0041】
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 収容容器内に収容物を収容してなる収容体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送されている前記収容体にレーザー光を照射する光照射手段と、
を有するレーザー加工装置であって、
前記収容体を搬送する搬送速度をv(mm/s)とし、前記収容体の搬送方向における描画範囲をL(mm)とすると、搬送時に生じる前記収容体の振動の振幅が最も大きくなる周波数がv/L以下であることを特徴とするレーザー加工装置である。
<2> 搬送時に生じる前記収容体の振動は、前記収容体の変形を伴う振動である、前記<1>に記載のレーザー加工装置である。
<3> 搬送時に生じる前記収容体の振動の振幅が最も大きくなる周波数がv/(1/3)以上である、前記<1>から<2>のいずれかに記載のレーザー加工装置である。
<4> 前記収容体の容器本体の側周面を覆うように把持する把持部材を有する、前記<1>から<3>のいずれかに記載のレーザー加工装置である。
<5> 前記収容体の容器本体の側周面の少なくとも一部と接触する接触部材を有する、前記<1>から<4>のいずれかに記載のレーザー加工装置である。
<6> 収容容器内に収容物を収容してなる収容体を搬送する搬送工程と、
搬送されている収容体にレーザー光を照射する光照射工程と、
を含むレーザー加工方法であって、
前記収容体を搬送する搬送速度をv(mm/s)とし、前記収容体の搬送方向における描画範囲をL(mm)とすると、搬送時に生じる前記収容体の振動の振幅が最も大きくなる周波数がv/L以下であることを特徴とするレーザー加工方法である。
<7> 搬送時に生じる前記収容体の振動は、前記収容体の変形を伴う振動である、前記<6>に記載のレーザー加工方法である。
<8> 搬送時に生じる前記収容体の振動の振幅が最も大きくなる周波数がv/(1/3)以上である、前記<6>から<7>のいずれかに記載のレーザー加工方法である。
<9> 前記収容体の容器本体の側周面を覆うように把持する把持部材を有する、前記<6>から<8>のいずれかに記載のレーザー加工方法である。
<10> 前記収容体の容器本体の側周面の少なくとも一部と接触する接触部材を有する、前記<6>から<9>のいずれかに記載のレーザー加工方法である。
<11> 収容容器内に収容物を収容してなる収容体を搬送する搬送手段と収容体にレーザー光を照射する光照射手段とを有するレーザー加工装置を用いて描画されてなる収容体であって、
前記収容体を搬送する搬送速度をv(mm/s)とし、前記収容体の搬送方向における描画範囲をL(mm)とすると、搬送時に生じる前記収容体の振動の振幅が最も大きくなる周波数がv/L以下であることを特徴とする収容体である。
<12> 前記収容体の容器本体の側周面を覆うように把持する把持部材を有する、前記<11>に記載の収容体である。
<13> 前記収容体の容器本体の側周面の少なくとも一部と接触する接触部材を有する、前記<11>から<12>のいずれかに記載の収容体である。
【0042】
前記<1>から<5>のいずれかに記載のレーザー加工装置、前記<6>から<10>のいずれかに記載のレーザー加工方法、及び前記<11>から<13>のいずれかに記載の収容体によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
【符号の説明】
【0043】
10 レーザー加工装置
11 搬送手段
12 収容体
13 容器本体
14 レーザー発振器
15 ガルバノスキャナ
16 ミラー
17 fθレンズ
18 把持部材
19 接触部材
L 描画範囲
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【手続補正書】
【提出日】2021-12-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
特許文献1(特開2012-71473号公報)に記載の従来技術では、描画対象である収容体が振動した場合、吐出ヘッドと記録媒体間で相対位置変動を起こすため、インクの着弾位置の変動が周期的に発生してしまい、画像濃度変動を回避することが困難である。
ここで、収容体の振動は収容体の揺れ易さ(振動特性)と、外部から入力される荷重とが要因となる。(1)振動特性には固有振動数が必ず存在し、その固有振動数付近の荷重が入力させると比較的大きな振動(共振)が発生してしまう。また、(2)レーザーマーキング方法を生産ライン上で多量及び高速に搬送される収容体に適用する場合、収容体に荷重を発生させずに搬送することは困難であるため、広範囲の周波数で荷重が発生する衝撃力等の荷重の影響を避けることができなかった。したがって(1)及び(2)によって、収容体の生産工程における振動を回避することが困難であった。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
本発明の一態様において、搬送時に生じる収容体の振動の振幅が最も大きくなる周波数がv/(1/3)以上である。この態様によると、人間の官能的評価により1mm当たり画像濃度変動が3周期以上であると認識し辛い(特許第3403565号公報の段落[0027]参照)。搬送時に生じる収容体の振動の振幅が最も大きくなる周波数がv/(1/3)以上(この場合、vの単位はmm/s)のとき、同じような効果が得られる。