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特開2023-7421印刷システム、プログラム、画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007421
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】印刷システム、プログラム、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20230111BHJP
   B41J 2/525 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
G06F3/12 343
G06F3/12 308
G06F3/12 353
G06F3/12 365
B41J2/525
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089468
(22)【出願日】2022-06-01
(31)【優先権主張番号】P 2021109038
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】宮田 暁
【テーマコード(参考)】
2C262
【Fターム(参考)】
2C262AA02
2C262AA04
2C262AA24
2C262AC02
2C262AC07
2C262BA14
2C262EA10
2C262GA29
2C262GA32
2C262GA59
(57)【要約】
【課題】印刷対象の画像のデザインに生じていた制約を低減すること。
【解決手段】情報処理装置は、印刷対象の画像に特定の色の画像を重ねて印刷する旨の印刷設定を受け付け可能な印刷設定画面を、表示部に表示させる表示制御部と、前記印刷設定画面を介して前記印刷設定を受け付けた場合、該印刷設定に係る前記特定の色の画像を前記ネットワークを介して前記画像管理サーバーに送信し、該特定の色の画像の保存場所を示す保存場所情報を前記画像管理サーバーから取得する保存場所情報生成部と、印刷対象の画像に特定の色の画像を重ねて印刷する旨の前記印刷設定を含む印刷コマンドと、前記印刷対象の画像と、取得した前記保存場所情報と、を含む印刷データを、前記画像形成装置に送信する第一の通信部と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置と画像形成装置とを含む印刷システムであって、ネットワークを介して画像管理サーバーと接続可能な印刷システムにおいて、
前記情報処理装置は、
印刷対象の画像に特定の色の画像を重ねて印刷する旨の印刷設定を受け付け可能な印刷設定画面を、表示部に表示させる表示制御部と、
前記印刷設定画面を介して前記印刷設定を受け付けた場合、該印刷設定に係る前記特定の色の画像を前記ネットワークを介して前記画像管理サーバーに送信し、該特定の色の画像の保存場所を示す保存場所情報を前記画像管理サーバーから取得する保存場所情報生成部と、
印刷対象の画像に特定の色の画像を重ねて印刷する旨の前記印刷設定を含む印刷コマンドと、前記印刷対象の画像と、取得した前記保存場所情報と、を含む印刷データを、前記画像形成装置に送信する第一の通信部と、を有し、
前記画像形成装置は、
プリンタと、
前記印刷データを受信する第二の通信部と、
前記第二の通信部が受信した前記印刷データに含まれる前記保存場所情報に基づいて、前記画像管理サーバーから前記特定の色の画像を取得する取得部と、
前記印刷データに含まれる前記印刷コマンドに基づいて、前記印刷データに含まれる前記印刷対象の画像に、前記画像管理サーバーから取得した前記特定の色の画像をオーバープリントして印刷するための画像データを生成する描画部と、
生成された前記画像データを、前記プリンタを用いて印刷する印刷制御部と、
を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、
前記保存場所情報を前記印刷対象の画像に含める加工部を更に有し、
前記第一の通信部は、前記保存場所情報が含められた前記印刷対象の画像と、前記印刷コマンドとを含む前記印刷データを、前記画像形成装置に送信する請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記加工部は、前記保存場所情報を前記印刷対象の画像に描画し、更に、前記印刷コマンドに前記特定の色の画像を前記特定の色で印刷する旨を設定し、
前記画像形成装置は、
前記印刷対象の画像から前記保存場所情報を検出し、前記印刷コマンドから前記特定の色の画像を前記特定の色で印刷する旨を検出する解釈部を有し、
前記解釈部が前記印刷対象の画像から前記保存場所情報を検出し、前記印刷コマンドから前記特定の色の画像を前記特定の色で印刷する旨を検出した場合、前記取得部が、前記保存場所情報に基づいて、前記画像管理サーバーから前記特定の色の画像を取得する請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記印刷制御部は、前記プリンタに、前記印刷対象の画像に前記特定の色の画像をオーバープリントして印刷させると共に、前記印刷対象の画像に前記特定の色で前記保存場所情報をオーバープリントして印刷させる請求項3に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記印刷設定画面を介して前記印刷対象の画像における前記特定の色の画像の位置の設定を受け付け、
前記保存場所情報生成部は、前記印刷設定に係る前記特定の色の画像と前記位置に関する位置情報を前記ネットワークを介して前記画像管理サーバーに送信し、前記特定の色の画像と前記位置情報を含む前記保存場所情報を前記画像管理サーバーから取得し、
前記印刷制御部は、前記印刷対象の画像の前記位置情報が示す位置に、前記取得部が前記画像管理サーバーから取得した前記特定の色の画像をオーバープリントして印刷する請求項1~4のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記保存場所情報はURLである請求項1に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記特定の色は可視光に対し透明な色である請求項1に記載の印刷システム。
【請求項8】
画像形成装置に印刷データを送信し、ネットワークを介して画像管理サーバーと接続可能な情報処理装置を、
印刷対象の画像に特定の色の画像を重ねて印刷する旨の印刷設定を受け付け可能な印刷設定画面を、表示部に表示させる表示制御部と、
前記印刷設定画面を介して前記印刷設定を受け付けた場合、該印刷設定に係る前記特定の色の画像を前記ネットワークを介して前記画像管理サーバーに送信し、該特定の色の画像の保存場所を示す保存場所情報を前記画像管理サーバーから取得する保存場所情報生成部と、
印刷対象の画像に特定の色の画像を重ねて印刷する旨の前記印刷設定を含む印刷コマンドと、前記印刷対象の画像と、取得した前記保存場所情報と、を含む印刷データを、前記画像形成装置に送信する第一の通信部、
として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
ネットワークを介して画像管理サーバーと接続可能であり、
印刷対象の画像に特定の色の画像を重ねて印刷する旨の印刷設定を受け付け可能な印刷設定画面を、表示部に表示させる表示制御部と、
前記印刷設定画面を介して前記印刷設定を受け付けた場合、該印刷設定に係る前記特定の色の画像をネットワークを介して前記画像管理サーバーに送信し、該特定の色の画像の保存場所を示す保存場所情報を前記画像管理サーバーから取得する保存場所情報生成部と、
印刷対象の画像に特定の色の画像を重ねて印刷する旨の前記印刷設定を含む印刷コマンドと、前記印刷対象の画像と、取得した前記保存場所情報と、を含む印刷データを、画像形成装置に送信する第一の通信部と、を有する情報処理装置から印刷データを受信する画像形成装置であって、
プリンタと、
前記印刷データを受信する第二の通信部と、
前記第二の通信部が受信した前記印刷データに含まれる前記保存場所情報に基づいて、前記画像管理サーバーから前記特定の色の画像を取得する取得部と、
前記印刷データに含まれる前記印刷コマンドに基づいて、前記印刷データに含まれる前記印刷対象の画像に、前記画像管理サーバーから取得した前記特定の色の画像をオーバープリントして印刷するための画像データを生成する描画部と、
生成された前記画像データを、前記プリンタを用いて印刷する印刷制御部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム、プログラム、及び、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザープリンタなどで画像形成に使用されるトナーには、現像、転写、定着及び画質などの観点から様々な特性が求められる。例えば特定の波長の光を反射したり吸収したりするトナーで画像形成を行う技術が考案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には赤外線吸収剤をC、M、Y、K(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)などのトナーに混ぜて画像形成を行う技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の技術では、印刷対象の画像のデザインに制約が生じるという問題があった。デザインとは、文章、図、画像などの配置や配色である。すなわち、情報処理装置が印刷対象の画像のページ内に特定の色で印刷する例えばバーコード等の画像を埋め込んでおき、画像形成装置が印刷時にバーコードを白抜きするので、この部分が空白になる。画像形成装置が白抜きをしなければ、バーコード等の画像が残ったままとなる。このように、従来の技術では、印刷対象の画像のページ全体を使って印刷対象の画像をデザインできないという制約があった。
本発明は、上記課題に鑑み、印刷対象の画像のデザインに生じていた制約を低減して特定の色を印刷できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題に鑑み、本発明は、情報処理装置と画像形成装置とを含む印刷システムであって、ネットワークを介して画像管理サーバーと接続可能な印刷システムにおいて、前記情報処理装置は、印刷対象の画像に特定の色の画像を重ねて印刷する旨の印刷設定を受け付け可能な印刷設定画面を、表示部に表示させる表示制御部と、前記印刷設定画面を介して前記印刷設定を受け付けた場合、該印刷設定に係る前記特定の色の画像を前記ネットワークを介して前記画像管理サーバーに送信し、該特定の色の画像の保存場所を示す保存場所情報を前記画像管理サーバーから取得する保存場所情報生成部と、印刷対象の画像に特定の色の画像を重ねて印刷する旨の前記印刷設定を含む印刷コマンドと、前記印刷対象の画像と、取得した前記保存場所情報と、を含む印刷データを、前記画像形成装置に送信する第一の通信部と、を有し、
前記画像形成装置は、プリンタと、前記印刷データを受信する第二の通信部と、前記第二の通信部が受信した前記印刷データに含まれる前記保存場所情報に基づいて、前記画像管理サーバーから前記特定の色の画像を取得する取得部と、前記印刷データに含まれる前記印刷コマンドに基づいて、前記印刷データに含まれる前記印刷対象の画像に、前記画像管理サーバーから取得した前記特定の色の画像をオーバープリントして印刷するための画像データを生成する描画部と、生成された前記画像データを、前記プリンタを用いて印刷する印刷制御部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
印刷対象の画像のデザインに生じていた制約を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】特定の色で印刷する場合の不都合を説明する図である。
図2】印刷画像、IRトナー印刷画像及び印刷物の一例を示す。
図3】印刷システムの概略的な動作を説明するフローチャート図の一例である。
図4】印刷システムの概略構成図の一例である。
図5】情報処理装置及びIR画像管理サーバーのハードウェア構成図の一例である。
図6】画像形成装置のハードウェア構成図の一例である。
図7】情報処理装置とIR画像管理サーバーが有する機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
図8】IRトナー画像管理アプリが所有する画像管理テーブルについて説明する図である。
図9】IR画像管理テーブルの構成例を示す図である。
図10】画像形成装置が有する機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。
図11】プリンタドライバが実行する処理又は動作を説明するフローチャート図の一例である。
図12】印刷設定画面の一例を示す図である。
図13】IRトナー画像管理アプリがIR画像管理テーブルの作成等についてユーザーの設定を受け付ける処理又は動作を説明するフローチャート図の一例である。
図14】プリンタドライバがIRトナー画像管理アプリを呼び出した際のIRトナー画像管理アプリの処理又は動作を説明するフローチャート図の一例である。
図15】IRトナー印刷画像と印刷位置を受信したIR画像管理サーバーがURLをIRトナー画像管理アプリに送信する処理又は動作を説明するフローチャート図の一例である。
図16】画像形成装置が印刷データを印刷する処理又は動作を説明するフローチャート図の一例である。
図17】画像形成装置がIRトナー印刷する処理を説明する図である。
図18】オーバープリントを説明する図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、印刷システムと印刷システムが行う印刷方法について図面を参照しながら説明する。
【0008】
<比較技術の不都合の補足>
図1を用いて、比較技術の不都合について補足する。図1は、特定の色で印刷する場合の不都合を説明する図である。RGBの画像データを扱う汎用的なアプリケーションソフト(特色レイヤを作成できないアプリケーションソフト)から特色トナーを使って印刷する方法の1つに図1に示す方法がある。図1(a)に示すように、ユーザーは、印刷対象である印刷画像の一部201に特色トナーで印刷する印刷画像(例えばIRトナーで印刷するバーコード等。以下、IRトナー印刷画像という)を埋め込んでおく。
【0009】
画像形成装置30は、位置が指定されている印刷画像の一部201からIRトナー印刷画像を切り取って、別途指定された位置(図1(b)では写真の領域)に重畳するので、印刷結果では印刷画像の一部201が必ず白抜きになる。画像形成装置30が印刷画像の一部201にIRトナー印刷画像を残しておくことは可能だが、バーコード等が残っているのは好ましくない。したがって、印刷画像にIRトナー印刷画像の領域が必要なため、ユーザーはページ全体を使って印刷画像をデザインできないという不都合があった。
【0010】
<印刷システムの概略的な動作>
次に、図2図3を用いて、本実施形態において、画像形成装置が特色で画像を形成する方法の概略を説明する。まず、図2は、印刷画像、IRトナー印刷画像及び印刷物の一例を示す。図2(a)と図2(b)は印刷画像が有するページ1とページ2という違いがあるが、ページの違いにより印刷結果が異なるだけで処理の流れは同じである。図3は、印刷システムの概略的な動作を説明するフローチャート図の一例である。図3の処理は主に情報処理装置と画像形成装置とで行われる。
【0011】
(1) 情報処理装置では、複数のIRトナー印刷画像101(図2では例えば、バーコード)の管理を行い、印刷時にページごとにユーザーからIRトナー印刷画像101の指定を受け付けるアプリケーションソフトが動作している。以下、このアプリケーションソフトを「IRトナー画像管理アプリ(符号は12)」という。IRトナー画像管理アプリ12は、印刷画像の各ページとIRトナー印刷画像の対応関係を記憶することもできる。
【0012】
(2) ユーザーは汎用的なアプリを操作して印刷対象である印刷画像102を用意する。図2ではさくらんぼやぶどうの絵と値段が印刷画像102である。
【0013】
(3) ユーザーが印刷を指示すると、画像形成装置30は印刷画像102にIRトナー印刷画像101を重畳して印刷する。肉眼では透明のIRトナー印刷画像101が印刷画像102に重畳された印刷物103が出力される。
【0014】
次に、図3に基づいて説明する。
【0015】
S1:ユーザーは汎用的なアプリを操作して、印刷画像を用意する。
【0016】
S2:ユーザーがIRトナーによる印刷を指定した場合、プリンタドライバ11はIRトナー画像管理アプリ12を呼び出す。プリンタドライバ11は印刷画像の印刷データをIRトナー画像管理アプリ12に渡す。
【0017】
S3:ユーザーはIRトナー画像管理アプリ12を操作して、印刷画像の1ページずつIRトナー印刷画像と印刷位置(位置情報の一例)を指定する。
【0018】
S4:IRトナー画像管理アプリ12は、IR画像管理サーバー50にIRトナー印刷画像と印刷位置を送信する。IR画像管理サーバー50は、受信したIRトナー印刷画像と印刷位置を保存後、保存場所を示すURLを生成し、URLをIRトナー画像管理アプリ12に送信する。IRトナー画像管理アプリ12は、IR画像管理サーバー50から受信したURLを印刷画像の決まった位置に描画する。IRトナー画像管理アプリ12は、該URLが、IRトナー印刷画像の保存先でありIRトナー印刷画像を特定の色で印刷する旨を表す印刷コマンドを設定する。IRトナー画像管理アプリ12は全ページについて同じ処理を行い、印刷画像を画像形成装置に送信する。
【0019】
S5:画像形成装置は、各ページの決まった位置からURL111を取得し、このURL111がIRトナー印刷に関する旨が印刷コマンドに設定されている場合、URL111が示す保存場所からIRトナー印刷画像と印刷位置を取得する。画像形成装置は、印刷画像の印刷位置にIRトナー印刷画像をIRトナーでオーバープリントする(オーバープリントの詳細は図18で説明する)。こうすることで、画像形成装置は、印刷画像にIRトナー印刷画像を重ねて印刷できる。
【0020】
このように、プリンタドライバ11がIRトナー印刷の指定を受け付け、IRトナー画像管理アプリ12に印刷データを渡し、IRトナー画像管理アプリ12がユーザーによって指定されたIRトナー印刷画像を印刷画像に対応づける。IRトナー画像管理アプリ12は、全ページ処理後に印刷データをプリンタドライバ11に返し、プリンタドライバ11が加工された印刷データを画像形成装置30に渡す。画像形成装置30はページごとに印刷データを解析し、IRトナーで印刷する印刷コマンドが付加されていれば、IRトナーで印刷画像にIRトナー印刷画像をオーバープリントする。
【0021】
したがって、一般的なRGBの画像データを扱うアプリからIRトナーを使って印刷することができる。また、ユーザーは、ページ全体を使って印刷画像をデザインできる。
【0022】
<用語について>
特定の色(特色)とは、C、M、Y、K(これらをプロセスカラーという)以外の色をいう。特定の色は、例えば、金、銀、白又は透明である。画像形成装置30によっては(特にインクジェットタイプ)、C、M、Y、Kに加え別の色のインクを使用できるものもあるため、特色は画像形成装置30で異なっていてよい。また、アプリケーションソフトがRGBで表すことができない色ということができる。特色を印刷できるトナー又はインクなどの色材を特色材料という。本実施形態ではIRトナーの色を特色とする。
【0023】
また、透明とはある波長の光に対し、不可視であることをいう。完全に見えないことまでは要求されず、一見して不可視であるか、及び/又は、撮像装置が撮像できなければよい。なお、透明なトナー又はインクはステルストナー又はステルスインクと呼ばれる場合がある。
【0024】
本実施形態では、C、M、Y、K以外の特色を指定して印刷できる画像形成装置30ではなく、例えばKに特色が割り当てられた画像形成装置30を使用する。つまり扱える色はC、M、Y、Kのみでよい。本実施形態の画像形成装置30はKのトナーを使用せず、Kのトナーカートリッジには特色材料が収容されている。ただし、特色を指定して印刷できる画像形成装置30(C、M、Y、K+特色)を使用することもできる。
【0025】
特定の色の画像は特色で印刷される画像であり、本実施形態ではIRトナー印刷画像を例として説明する。
【0026】
<システム構成例>
図4は、印刷システム100の概略構成図の一例である。図4に示す印刷システム100は、情報処理装置10及び1台以上の画像形成装置30を有する。また、情報処理装置10と画像形成装置30はIR画像管理サーバー50と接続可能である。情報処理装置10に専用線で接続された画像形成装置30を画像形成装置30A、ネットワーク接続された画像形成装置30を画像形成装置30Bと称す。なお、複数の画像形成装置30A、30Bのうち、任意の画像形成装置30を「画像形成装置30」と表す。
【0027】
情報処理装置10と画像形成装置30AはUSBケーブルなどの専用線でPeer To Peer(1対1)に接続されている。ただし、常に接続されている状態である必要はなく、ユーザーは専用線を脱着させることができる。USBケーブルの他、例えば、PCカード、PCI、IEEE1394、SCSI、等がある。
【0028】
また、情報処理装置10と画像形成装置30Aは無線で通信可能に接続されてもよい。Peer To Peerの接続を行う無線通信としては、Bluetooth(登録商標)、無線LANなどがある。
【0029】
情報処理装置10はネットワークを介して画像形成装置30Bと通信可能に接続されている。このネットワークNは、LANやインターネットなどの一般的なネットワークが想定されている。LANは例えば画像形成装置30Bが配置されている社内などの施設内のLANである。ネットワークNには、この他、VPN(Virtual Private Network)や広域イーサネット(登録商標)が含まれていたりしてもよい。ネットワークNは有線又は無線のどちらで構築されてもよく、また、有線と無線が組み合わされていてもよい。
【0030】
情報処理装置10は、OS(Operating System)、プリンタドライバ11などの各種の制御プログラム及びアプリケーションソフトを実行し、アプリケーションソフトに応じた機能を提供する。コンピュータと呼ばれることも多い。制御プログラムは例えばデバイスドライバ(パソコンに接続されているハードウェアなどをOSによって制御可能にするために用意されたソフトウェア)と呼ばれるプログラムであり、デバイスドライバの一例としてはプリンタドライバ11がある。情報処理装置10は、具体的には、例えば、PC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)、ウェアラブルPC等が例として挙げられる。
【0031】
この他、情報処理装置10は、電子黒板(White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する装置)、デジタルサイネージ等の出力装置、プロジェクタ、テレビ会議端末等、OS、制御プログラム及びアプリケーションソフトが動作する装置であればよい。
【0032】
画像形成装置30は、主にトナー又はインク等により文字や図形等の画像を記録媒体に形成する。本実施形態の画像形成装置30は、C、M、Yの画像データを肉眼で判読可能なトナーやインク(以下、可視材料という)で画像形成でき、更に、Kの画像データを特色材料(トナーやインク)で画像形成できる。画像形成装置30は1つの記録媒体に、可視材料と特色材料の両方で画像形成できる。いずれか一方のみで画像形成することも可能である。
【0033】
特色材料としては、近赤外光を含む赤外光の波長領域(約850nm前後)に吸収性を有し、可視光の波長領域(約400~700 nm)に吸収が少ないトナー又はインクが採用され得る(可視光の波長領域の吸収性が赤外光の波長領域の吸収性よりも少ない)。このような特色材料は可視光に対し透明で(不可視化)、赤外光を照射した場合に判読可能となる。したがって、特色とは可視光に対し透明という意味になる。特色材料は赤外光を照射するとこれを吸収するため黒く見える。C,M、Yの色は赤外光に対しては透明である。一方、Kの色材料(通常の黒トナー)は赤外光を吸収するものとしないものがある。赤外光を吸収するKの色が特色材料と共に形成されているとどちらも黒く見えてしまい特色材料で形成したバーコード等の認識が困難になる。このため、赤外光を吸収するKの色と特色材料は同じ用紙に形成できない。一方、赤外光を吸収しないKの色は特色材料と共に形成されていても、赤外光を照射した場合に特色材料のみが黒く見え特色材料で形成したバーコード等の認識が可能になる。本実施形態ではKの色を用いずに印刷する画像形成装置30を説明する。このため、黒色はC、M、Y、を重ねて形成して表現する。ただし、赤外光を吸収しないKの色を含めてC、M、Y、K+特色の5色を用いて印刷しても支障はない。
【0034】
特色材料は出力物の真贋を判断可能な情報を形成できるため、出力物の複製などを抑制する効果がある。したがって、セキュリティを向上させるので特色材料をセキュリティ用の消費材ということができる。
【0035】
また、特色材料は紫外光(UV)に吸収性を有し、可視光に吸収が少ないトナー又はインクでもよい。また、常態では透明だが、熱、レーザ、薬品等で化学的な変化を起こさせ可視化できる材料が画像形成に使用されてもよい。あるいは、凹凸を形成することで肉眼では確認が困難な情報が形成されてもよい。
【0036】
また、画像形成装置30が印刷する記録媒体は、トナー又はインクが付着可能なものであればよい。一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、などの媒体であり、特に限定しない限り、トナー又はインクが付着するすべてのものが含まれる。
【0037】
また、「トナー又はインクが付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなどトナー又はインクが一時的でも付着可能であればよい。
【0038】
画像形成装置30は電子写真技術を用いた印刷装置のほか、液滴を吐出するインクジェット技術を用いた印刷装置、及び、インクリボンを熱転写する印刷装置も含まれる。画像形成装置30は複合機でもよい。複合機の「複合」とは、画像形成機能、FAX送受信、原稿のスキャン、及び、コピーなどの複数の機能を有することを意味する。複合機はMFP(Multifunction Peripheral/Printer/Product)と呼ばれる場合がある。ただし、本実施形態の画像形成装置30は、画像形成機能を有していればよい。また、画像形成装置30は、プリンタと呼ばれていてもよい。
【0039】
IR画像管理サーバー50は、一台以上のコンピュータを有する情報処理システムである。IR画像管理サーバー50は、IRトナー印刷画像と印刷位置の保存場所を作成するコンピュータであればよい。したがって、IR画像管理サーバー50は、サーバーと呼ばれていなくてもよい。IR画像管理サーバー50はインターネット上に存在してもよいし、オンプレミスに存在してもよい。また、IR画像管理サーバー50はクラウドコンピューティングに対応しているとよい。クラウドとは、特定のハードウェア資源を意図しない場合に用いられる用語である。
【0040】
<ハードウェア構成例>
以下、印刷システム100が有する情報処理装置10と画像形成装置30のハードウェア構成について説明する。
【0041】
<<情報処理装置、IR画像管理サーバー>>
図5は、情報処理装置10及びIR画像管理サーバー50のハードウェア構成図である。図5に示されているように、情報処理装置10及びIR画像管理サーバー50は、コンピュータによって構築されており、図5に示されているように、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、データバス510、キーボード511、ポインティングデバイス512、光学ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0042】
これらのうち、CPU501は、情報処理装置10及びIR画像管理サーバー50全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ506(表示部の一例)は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F509は、ネットワークNを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。データバス510は、図5に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0043】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。光学ドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としての光記憶媒体513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、光学ドライブ514は、CD、DVD、Blu-Ray(登録商標)等である。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0044】
<<画像形成装置>>
図6は、画像形成装置30のハードウェア構成図である。図6に示されているように、画像形成装置30は、コントローラ910、近距離通信回路920、エンジン制御部930、操作パネル940、ネットワークI/F950を備えている。
【0045】
これらのうち、コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU901、システムメモリ(MEM-P)902、ノースブリッジ(NB)903、サウスブリッジ(SB)904、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)907、HDDコントローラ908、及び、記憶部であるHD909を有し、NB903とASIC906との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続した構成となっている。
【0046】
これらのうち、CPU901は、画像形成装置30の全体制御を行う制御部である。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904、及びAGPバス921とを接続するためのブリッジであり、MEM-P902に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを有する。
【0047】
MEM-P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM902a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM902bとからなる。なお、ROM902aに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0048】
SB904は、NB903とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PCIバス922、HDDコントローラ908及びMEM-C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC906は、PCIターゲット及びAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C907を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ931及びプリンタ932との間でPCIバス922を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。なお、ASIC906に、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースが接続されてもよい。
【0049】
MEM-C907は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD909は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD909は、CPU901の制御にしたがってHD909に対するデータの読出又は書込を制御する。AGPバス921は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P902に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0050】
また、近距離通信回路920には、近距離通信アンテナ920aが備わっている。近距離通信回路920は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。
【0051】
更に、エンジン制御部930は、スキャナ931及びプリンタ932によって構成されている。また、操作パネル940は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部940a、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー及びコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなるハードキー940bを備えている。コントローラ910は、画像形成装置30全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル940からの入力等を制御する。スキャナ931又はプリンタ932には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。
【0052】
なお、画像形成装置30は、操作パネル940のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、及びファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。画像形成装置30は、ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0053】
また、ネットワークI/F950は、ネットワークNを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路920及びネットワークI/F950は、PCIバス922を介して、ASIC906に電気的に接続されている。
【0054】
<情報処理装置と画像形成装置の機能について>
次に、図7図10を用いて、情報処理装置10と画像形成装置30が有する機能について説明する。
【0055】
<<情報処理装置>>
図7は、情報処理装置10が有する機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。情報処理装置10では、プリンタドライバ11、及び、IRトナー画像管理アプリ12の2つのプログラムが動作する。なお、プリンタドライバ11を呼び出すための汎用的なアプリケーションソフトは省略されている。
【0056】
この汎用的なアプリケーションソフトはプリンタドライバ11を呼び出すことができるものであればよい。例えば、ワープロソフト、プレゼンソフト、表計算ソフト、PDFソフト、ブラウザソフトなどがある。これらのアプリケーションソフトはそれぞれ対応したフォーマットのファイルを保存しまた読み出す。図7では、情報処理装置10のプログラムが2つに分けて記載されているが、IRトナー画像管理アプリ12の機能をプリンタドライバ11が有している構成でもよい。
【0057】
文書を印刷する際、ユーザーはアプリからプリンタドライバ11を呼び出し、プリンタドライバ11が自動的にIRトナー画像管理アプリ12を起動させる。IRトナー画像管理アプリ12の中でユーザーはページごとにIRトナー印刷画像を指定することができる(ページによってIRトナー印刷画像が指定されない場合もある)。また、ユーザーはIRトナー印刷画像における印刷画像の位置を指定することもできる。したがって、ユーザーは、アプリケーションソフト上で文書を印刷する従来の作業に対し追加的にIRトナー画像管理アプリ12を操作すればよく、操作性が低下しにくい。
【0058】
・プリンタドライバ
プリンタドライバ11は表示制御部21、操作受付部22、設定保持部23、アプリ呼出部24、及び、通信部25を有している。プリンタドライバ11が有するこれら各機能は、図5に示されている各構成要素のいずれかが、HD504からRAM503上に展開されたプリンタドライバ11に従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0059】
表示制御部21は、プリンタドライバ11が印刷設定を受け付ける印刷設定画面(UI:User Interface)をディスプレイ506(表示部の一例)に表示させる。操作受付部22は印刷設定及びユーザーからIRトナー印刷するか否かの設定を受け付ける。印刷設定には、カラー/モノクロ、部数、両面、集約などがある。設定保持部23は、操作受付部22がユーザーから受け付けたIRトナー印刷するか否かの設定を保持する。
【0060】
アプリ呼出部24は、設定保持部23が保持する設定に基づき、IRトナー画像管理アプリ12を呼び出し、IRトナー画像管理アプリ12に印刷データを渡す。また、アプリ呼出部24はIRトナー画像管理アプリ12が加工した印刷データを受け取る。
【0061】
通信部25は、画像形成装置30と通信可能であり、印刷データを画像形成装置30に送信する(第一の通信部の一例)。
【0062】
・IRトナー画像管理アプリ
IRトナー画像管理アプリ12は表示制御部41、操作受付部42、保存場所情報生成部43、画像管理部44、及び、加工部45を有している。IRトナー画像管理アプリ12が有するこれら各機能は、図5に示されている各構成要素のいずれかが、HD504からRAM503上に展開されたIRトナー画像管理アプリ12に従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0063】
表示制御部41は、IRトナー画像管理アプリ12の画面を表示する。この画面でユーザーは、印刷画像の各ページとIRトナー印刷画像の組合せの指定、及び、IRトナー印刷画像の印刷位置を指定することができる。操作受付部42は、印刷画像の各ページとIRトナー印刷画像の組合せの指定、及び、IRトナー印刷画像の印刷位置の指定を受け付ける。
【0064】
保存場所情報生成部43は、各ページごとにIRトナー印刷画像、及び、印刷位置をIR画像管理サーバー50に送信し、これらの保存場所を示すURLをページごとに受信する。
【0065】
画像管理部44は、印刷画像に対応付けられるIRトナー印刷画像を管理する。IRトナー印刷画像は予めユーザーが登録しておくこともできるし、IRトナーを用いた印刷時にユーザーが登録することもできる。画像管理部44が管理するIRトナー印刷画像の詳細については図8にて説明される。
【0066】
加工部45は、印刷画像の各ページにURLを描画する。IRトナー印刷画像が印刷されるページにはURLに対応する印刷コマンド(該URLがIRトナー印刷に関する旨)が付加される。URLが描画される場所は、予め設定されている。また、URLは特色トナー(本実施形態では、k色)で印刷されることが好ましい。
【0067】
図8は、IRトナー画像管理アプリ12が所有する画像管理テーブルについて説明する図である。図8に示すように、IRトナー画像管理アプリ12は、1つのIRトナー印刷画像ごとに1つのIR画像管理テーブルn(nは1以上の整数)を有している。IR画像管理テーブルnはIRトナー印刷画像を管理するテーブルである。ユーザーは新たなIR画像管理テーブルの登録、及び、既存のIR画像管理テーブルの編集と削除を行える。
【0068】
図9は、IR画像管理テーブルの構成例を示す図である。図9(a)はIR画像管理テーブル1の構成を、図9(b)はIR画像管理テーブル2の構成を、図9(c)はIR画像管理テーブル3の構成を、それぞれ示す。図9に示すように、IR画像管理テーブルnは、IRトナー印刷画像を識別するためのテーブル識別子、IRトナー印刷画像が格納されたIR画像ファイル、及び、メモを登録可能である。これらはユーザーが登録できる。
【0069】
<<IR画像管理サーバー>>
IR画像管理サーバー50は、通信部51、保存部52、及び、保存場所応答部53を有している。IR画像管理サーバー50が有するこれら各機能は、図5に示されている各構成要素のいずれかが、HD504からRAM503上に展開されたプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0070】
通信部51は、情報処理装置10で動作するIRトナー画像管理アプリ12と通信し、IRトナー印刷画像と印刷位置を受信する。保存部52は、IRトナー印刷画像と印刷位置を保存する。保存場所はIR画像管理サーバー50でもよいし、他のサーバー装置でもよい。保存場所応答部53は保存場所を示すURLを作成する。
【0071】
<<画像形成装置>>
図10は、画像形成装置30が有する機能をブロック状に示す機能ブロック図の一例である。画像形成装置30は、通信部31、描画部32、コマンド解釈部33、ページ保持部34、印刷制御部35、及び、取得部36を有している。画像形成装置30が有するこれら各機能は、図6に示されている各構成要素のいずれかが、HD909からRAM902b上に展開されたプログラムに従ったCPU901からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0072】
通信部31は、プリンタドライバ11から印刷データを受信する(第二の通信部の一例)。描画部32は、通信部31が受信した印刷データを解釈し、各ページの画像データ(ビットマップデータ)を作成する。描画部32は画像データを印刷制御部35へ渡す。描画部32は印刷データを解釈する際、印刷コマンドが含まれていれば、コマンド解釈部33へ印刷コマンドを渡す。印刷コマンドはPCL(Printer Control Language)で記載されており、文字や画像をどこに形成するかなどを指定する。この印刷コマンドにIRトナーで印刷する指示も含まれる。また、印刷画像には、決まった位置にURLが描画されている場合があり、このURLに関する印刷コマンドにはIRトナー印刷に関する旨が設定されている。
【0073】
印刷データがIRトナーで印刷するページだった場合、コマンド解釈部33は印刷画像の決まった位置にありIRトナー印刷に関する旨が設定されているURLを取り出して取得部36に渡す。取得部36は、URLで指定される保存先からIRトナー印刷画像と印刷位置を取得し、描画部32に渡す。
【0074】
描画部32はIRトナー印刷画像の画像データを、印刷位置で指定される印刷画像の位置にオーバープリントした画像データを作成し、印刷制御部35へ渡す。印刷制御部35はページごとに画像データを受け取り、プリンタ932を用いて、受け取った画像データ用紙に形成する。
【0075】
<プリンタドライバの処理又は動作>
図11は、プリンタドライバ11が実行する処理又は動作を説明するフローチャート図の一例である。図11の処理は汎用的なアプリからプリンタドライバ11が印刷データを受け取るとスタートする。
【0076】
ユーザーは印刷設定画面(図12参照)でIRトナー印刷を行う設定を入力する。設定保持部23はこの設定を保持しているので、アプリ呼出部24は設定保持部23を参照して、IRトナー印刷を行う設定が行われたかどうかを判断する(S11)。ステップS11の判断がNoの場合、処理はステップS14に進む。すなわち、プリンタドライバ11は、通常のトナーを使った印刷と同様に、印刷画像を印刷データに変換して印刷データをそのまま画像形成装置30に送信する。
【0077】
ステップS11の判断がYesの場合、アプリ呼出部24は印刷画像の印刷データをIRトナー画像管理アプリ12に渡す(S12)。IRトナー画像管理アプリ12では後述する図14の処理が実行される。
【0078】
アプリ呼出部24は、IRトナー画像管理アプリ12から、印刷画像のページごとにIRトナー印刷画像と印刷位置の保存場所を示すURLが付加された印刷データを受け取る(S13)。
【0079】
通信部25は、印刷データをページ順に画像形成装置30に送信する(S14)。
【0080】
<<印刷設定画面の一例>>
図12は、印刷設定画面210の一例である。印刷設定画面210は、現在の設定欄211、メニュー欄212、及び、特色印刷設定チェックボックス214を有している。現在の設定欄211には現在の印刷設定やプレビューが表示される。メニュー欄212には、印刷設定の項目が選択可能に表示される。その1つに効果の項目213がある。ユーザーが効果の項目213を押下すると、特色印刷設定チェックボックス214が表示される。IRトナーで印刷したいユーザーは、特色印刷設定チェックボックス214をチェックする。プリンタドライバ11の操作受付部22は、ユーザーからIRトナーで印刷するかどうかの指定を受け付けることができる。
【0081】
<ユーザーによるIRトナー画像管理アプリ(IR画像管理テーブル)の設定>
次に、図13を参照して、ユーザーが情報処理装置10で直接、IRトナー画像管理アプリ12を起動して行う、IR画像管理テーブルの作成等について説明する。図13は、IRトナー画像管理アプリ12がIR画像管理テーブルの作成等についてユーザーの設定を受け付ける処理又は動作を説明するフローチャート図の一例である。ユーザーはIRトナー画像管理アプリ12を直接、起動して、IRトナー印刷画像を管理することができる。
【0082】
IRトナー画像管理アプリ12の操作受付部42は、ユーザーの操作が新規のIR画像管理テーブルの作成か否かを判断する(S21)。IR画像管理テーブルの作成はIRトナー印刷画像の登録を意味している。
【0083】
ステップS21の判断がYesの場合、画像管理部44は、新規のIR画像管理テーブルを作成する(S22)。
【0084】
ステップS21の判断がNoの場合、画像管理部44は、ユーザーの操作に応じて、既存のIR画像管理テーブルのリストを表示制御部41に渡す(S23)。表示制御部41はIR画像管理テーブルのリストを表示し、操作受付部42はユーザーがIR画像管理テーブルを編集(変更)したか否かを判断する(S24)。ユーザーがIR画像管理テーブルを変更しない場合、図13の処理は終了する。
【0085】
ユーザーがIR画像管理テーブルを作成又は変更した場合、画像管理部44はIRトナー作成画像もしくはメモの追加、又は、これらの削除などを行う(S25)。
【0086】
ユーザーがIRトナー印刷画像を追加又は削除したIR画像管理テーブルを保存した場合(S26のYes)、画像管理部44は該当するIR画像管理テーブルを保存する(S27)。
【0087】
このように、ユーザーはIRトナー画像管理アプリ12に予めIRトナー印刷画像を登録しておくことができる。また、図14で説明するように、ユーザーは印刷時にIRトナー画像管理アプリ12にIRトナー印刷画像を登録することもできる。
【0088】
<プリンタドライバがIRトナー画像管理アプリを呼び出した際のIRトナー画像管理アプリの処理又は動作>
図14は、プリンタドライバ11がIRトナー画像管理アプリ12を呼び出した際のIRトナー画像管理アプリ12の処理又は動作を説明するフローチャート図の一例である。
【0089】
IRトナー画像管理アプリ12は、印刷画像の印刷データを受信する。加工部45は印刷画像の印刷データを受け取り、ページの区切りやページ数を解釈する(S31)。
【0090】
ユーザーが保存済みのIR画像管理テーブルを利用する場合(S32のYes)、画像管理部44はユーザーの操作に応じてIR画像管理テーブルのリストを呼び出す(S33)。
【0091】
以下のように、加工部45は印刷画像のページごとの処理を繰り返す(ループA)。
【0092】
操作受付部42は、印刷画像に重ねて印刷されるIRトナー印刷画像及び印刷位置の指定を受け付ける(S34)。
【0093】
保存場所情報生成部43は、IRトナー印刷画像及び印刷位置をIR画像管理サーバー50に送信する(S35)。保存場所情報生成部43はIR画像管理サーバー50からIRトナー印刷画像及び印刷位置の保存場所を示すURLを受信する(S36)。
【0094】
加工部45は、印刷データのページにIRトナー印刷の対象である旨の印刷コマンドを付加し、印刷画像の決まった位置に上記保存場所を示すURLを描画する(S37)。決まった位置は、印刷画像の右上、右下、左下、左上など目立たない場所が好ましい。また、加工部45は、該URLがIRトナー印刷に関する旨の印刷コマンドを設定する。保存場所情報とは関係のないURLが印刷画像に含まれる可能性があるためである。なお、IRトナー印刷画像とURLの色にはいずれもk色(IRトナー)が指定される。
【0095】
IRトナー画像管理アプリ12は、処理完了後、印刷データを印刷する画像形成装置30を指定する(S38)。この画像形成装置30は、ユーザーがプリンタドライバ11で設定した画像形成装置30でよい。
【0096】
IRトナー画像管理アプリ12は、処理完了後、プリンタドライバ11に加工された印刷データを返す(S39)。
【0097】
一方、ユーザーが保存済みのIR画像管理テーブルを利用しない場合(S32のNo)、画像管理部44は、新規のIR画像管理テーブルを作成する(S40)。
【0098】
ユーザーがIR画像管理テーブルを追加又は削除した場合、画像管理部44はIR画像管理テーブルの追加又は削除を行う(S41)。
【0099】
ユーザーが追加したIR画像管理テーブルを保存した場合(S42のYes)、画像管理部44は該当するIR画像管理テーブルを保存する(S43)。
【0100】
なお、印刷画像が変わってもIRトナー印刷画像は変わらないユースケースでは、IRトナー画像管理アプリ12が印刷画像のページ番号とIRトナー印刷画像の対応付けを有しているとよい。ユーザーはIRトナー印刷画像を選択しなくても、IRトナー画像管理アプリ12が対応付けに基づいてIRトナー印刷画像を挿入できる。
【0101】
<IR画像管理サーバーの処理又は動作>
図15は、IRトナー印刷画像と印刷位置を受信したIR画像管理サーバー50がURLをIRトナー画像管理アプリ12に送信する処理又は動作を説明するフローチャート図の一例である。
【0102】
IR画像管理サーバー50の通信部51は、情報処理装置10からIRトナー印刷画像と印刷位置を受信し、保存部52がIRトナー印刷画像と印刷位置を任意の保存場所に保存する(S51)。
【0103】
次に、保存場所応答部53がIRトナー印刷画像と印刷位置の保存場所を示すURLを作成する(S52)。
【0104】
通信部51が、作成されたURLを情報処理装置10に送信する(S53)。
【0105】
なお、図14図15では、IR画像管理サーバー50がURLを保存し、保存場所情報を情報処理装置10に返しているが、情報処理装置10がIRトナー印刷画像と印刷位置を保存し、URLを生成してもよい。この場合、保存場所情報生成部43は、外部のサーバーにIRトナー印刷画像と印刷位置を保存しておき、保存場所を示すURLを作成する。
【0106】
<画像形成装置の処理又は動作>
次に、図16を参照して、画像形成装置30がIRトナー印刷を行う手順を説明する。図16は、画像形成装置30が印刷データを印刷する処理又は動作を説明するフローチャート図の一例である。図16の処理は画像形成装置30の通信部31が印刷データを受信するとスタートする。
【0107】
まず、描画部32はコマンド解釈部33を使用して、1ページずつ最後のページまで繰り返し印刷データが有する印刷コマンドを解釈する(S61)。
【0108】
描画部32は、1ページでもIRトナーで印刷する旨の印刷コマンドが含まれているか否かを判断する(S62)。
【0109】
全てのページにIRトナーで印刷する旨の印刷コマンドが含まれていない場合(S62のNo)、描画部32は画像データ(ビットマップデータ)を生成し、生成した画像データを印刷制御部35に送信する。印刷制御部35は、プリンタ932を制御して、生成された画像データを印刷する(S68)。
【0110】
1ページでもIRトナーで印刷する旨の印刷コマンドが含まれている場合(S62のYes)、ページごとにループBが実行される。
【0111】
コマンド解釈部33は現在のページの印刷コマンドを解釈する(S63)。コマンド解釈部33は現在のページの印刷コマンドに、IRトナー印刷を行う旨の印刷コマンドが含まれているか否かを判断する。
【0112】
IRトナーで印刷を行う旨の印刷コマンドが含まれている場合、コマンド解釈部33は印刷画像の決まった位置からURLを取得する(S64)。URLであることは「http://」などの文字列があることで特定される。コマンド解釈部33は、印刷コマンドにこのURLがIRトナー印刷画像に関する旨が設定されているか否かを判断する。
【0113】
IRトナー印刷画像に関する旨が設定されているURLが検出された場合、取得部36は、このURLを通信の宛先にしてIRトナー印刷画像と印刷位置を要求し(S65)、該URLからIRトナー印刷画像と印刷位置を取得する(S66)。
【0114】
次に、描画部32は、印刷画像の印刷位置で指定された位置にIRトナー印刷画像をオーバープリントし、画像データを作成し、印刷制御部35がプリンタ932を制御して印刷する(S67)。
【0115】
最終のページまでループBの処理が終われると図16の処理は終了する。
【0116】
<画像形成装置におけるIRトナー印刷についての補足>
図17は、画像形成装置30がIRトナー印刷する処理を説明する図である。この画像形成装置30はIRトナー(特色)を指定できない(C、M、Y、Kのみを指定可能)一般的な画像形成装置30である。本実施形態の画像形成装置30はC、M、Y、K(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の4色の組み合わせで印刷するカラープリンタである。画像形成装置30はプリンタドライバ11が出力するRGBの印刷データを、C、M、Yそれぞれの印刷データに変換する。つまり、画像形成装置30はRGBの印刷データをKには変換しない。黒色はC、M、Y、KのうちC、M、Yのみでも表現できる。一般の画像形成装置30がKも使用するのは発色性の向上とトナー使用量の削減のためである。本実施形態の画像形成装置30はKがなくても黒色を印刷できることを利用してKにIRトナーが割り当てられている(KのトナーカートリッジにIRトナーが収容されている)。
【0117】
(1) 画像形成装置30は情報処理装置10から送信された印刷データのうち印刷画像に基づいて、着色の有無が点(bit)で現されたC、M、Yそれぞれのプレーン画像81(画素が1又は0で現された画像データ)を作成する。
【0118】
(2) 画像形成装置30は情報処理装置10から送信された印刷データのうちIRトナー印刷画像とURLを、Kのプレーン画像82に変換する。これは、この画像形成装置30ではKがIRトナーに割り当てられているためであり、画像形成装置30で空いている(色が割り当てられていない)色に変換すればよい。
【0119】
(3) 画像形成装置30はCのプレーン画像81をCのトナーで、Mのプレーン画像81をMのトナーで、Yのプレーン画像81をYのトナーで画像形成する。画像形成装置30は、更に、Kのプレーン画像82をIRトナーでオーバープリントすることで、IRトナー印刷画像101とURL111がIRトナーを用いて印刷された出力物を得ることができる。
【0120】
このように、本実施形態の印刷システム100では、IRトナーを指定可能な画像形成装置30若しくはIRトナーを指定可能なアプリケーションソフト、又は、この両方がなくても、IRトナーを利用した印刷を実現することができる。
【0121】
<オーバープリントについて>
本実施形態では印刷の際にオーバープリントが指定される。オーバープリントとはある色の上に別の色を重ねて印刷することをいう。
【0122】
図18は、オーバープリントを説明する図の一例である。図18(a)は画像形成装置30が出力した出力物171を示し、この出力物171は背景のC色と文字(Black)のKの2色で印刷されている。したがって、印刷工程ではC色のプレーン画像81とKのプレーン画像82が作成される。オーバープリント指定なしの場合、図18(b)に示すように、画像形成装置30はKの部分をマスクして(白抜きして)C色のプレーン画像81を作成する。オーバープリント指定ありの場合、図18(c)に示すように、画像形成装置30はKの部分をマスクせずに(白抜きせずに)C色のプレーン画像81を作成する。
【0123】
オーバープリント指定なしの場合、下側の色(図18ではC色)と上側の色(図18ではK)の隙間が目立つ場合がある。オーバープリント指定ありの場合、2つの色が混ざってしまいアプリケーションソフトが表示する色が出力物171で再現されない場合がある。したがって、文書に応じてオーバープリント指定のあり/なしが設定されるが、本実施形態では特色が透明なので、オーバープリント指定なしでは下側の色(写真など)が白抜きされてしまう。一方、特色が透明なので、オーバープリント指定ありでも色の変化は生じにくい。このため、本実施形態ではオーバープリント指定ありで、特色が割り当てられたKのプレーン画像82が印刷される。C、M、Yについてはオーバープリント指定なしでよい。
【0124】
<主な効果>
以上説明したように、本実施形態の印刷システム100は、一般的なRGBの画像データを扱うアプリからIRトナーを使って印刷することができる。また、ユーザーはページ全体を使って印刷画像をデザインできる。
【0125】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0126】
例えば、本実施形態では可視光に透明なトナーを印刷したが、画像形成装置30は、金、銀又は白などC、M、Y、K以外の色を印刷してもよい。
【0127】
また、本実施形態では主に電子写真技術を用いた場合の印刷について説明したが、本実施形態は、液滴を吐出するインクジェット技術を用いた印刷装置にも好適に適用できる。
【0128】
また、図7などの構成例は、情報処理装置10及び画像形成装置30による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本発明が制限されることはない。また、情報処理装置10及び画像形成装置30の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0129】
また、実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、IR画像管理サーバー50は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。
【0130】
更に、IR画像管理サーバー50は、開示された処理ステップ、例えば図15等を様々な組み合わせで共有するように構成できる。例えば、所定のユニットによって実行されるプロセスは、IR画像管理サーバー50が有する複数の情報処理装置によって実行され得る。また、IR画像管理サーバー50は、1つのサーバー装置にまとめられていても良いし、複数の装置に分けられていても良い。
【0131】
また、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
<請求項に関する付記>
[請求項1]
情報処理装置と画像形成装置とを含む印刷システムであって、ネットワークを介して画像管理サーバーと接続可能な印刷システムにおいて、
前記情報処理装置は、
印刷対象の画像に特定の色の画像を重ねて印刷する旨の印刷設定を受け付け可能な印刷設定画面を、表示部に表示させる表示制御部と、
前記印刷設定画面を介して前記印刷設定を受け付けた場合、該印刷設定に係る前記特定の色の画像を前記ネットワークを介して前記画像管理サーバーに送信し、該特定の色の画像の保存場所を示す保存場所情報を前記画像管理サーバーから取得する保存場所情報生成部と、
印刷対象の画像に特定の色の画像を重ねて印刷する旨の前記印刷設定を含む印刷コマンドと、前記印刷対象の画像と、取得した前記保存場所情報と、を含む印刷データを、前記画像形成装置に送信する第一の通信部と、を有し、
前記画像形成装置は、
プリンタと、
前記印刷データを受信する第二の通信部と、
前記第二の通信部が受信した前記印刷データに含まれる前記保存場所情報に基づいて、前記画像管理サーバーから前記特定の色の画像を取得する取得部と、
前記印刷データに含まれる前記印刷コマンドに基づいて、前記印刷データに含まれる前記印刷対象の画像に、前記画像管理サーバーから取得した前記特定の色の画像をオーバープリントして印刷するための画像データを生成する描画部と、
生成された前記画像データを、前記プリンタを用いて印刷する印刷制御部と、
を有することを特徴とする印刷システム。
[請求項2]
前記情報処理装置は、
前記保存場所情報を前記印刷対象の画像に含める加工部を更に有し、
前記第一の通信部は、前記保存場所情報が含められた前記印刷対象の画像と、前記印刷コマンドとを含む前記印刷データを、前記画像形成装置に送信する請求項1に記載の印刷システム。
[請求項3]
前記加工部は、前記保存場所情報を前記印刷対象の画像に描画し、更に、前記印刷コマンドに前記保存場所情報が前記特定の色の印刷に関する旨を設定し、
前記画像形成装置は、
前記印刷対象の画像から前記保存場所情報を検出し、前記印刷コマンドから前記保存場所情報が前記特定の色の印刷に関する旨を検出する解釈部を有し、
前記解釈部が前記印刷対象の画像から前記保存場所情報を検出し、前記印刷コマンドから前記保存場所情報が前記特定の色の印刷に関する旨を検出した場合、前記取得部が、前記保存場所情報から前記特定の色の画像を取得する請求項2に記載の印刷システム。
[請求項4]
前記印刷制御部は、前記プリンタに、前記印刷対象の画像に前記特定の色の画像をオーバープリントして印刷させると共に、前記印刷対象の画像に前記特定の色で前記保存場所情報をオーバープリントして印刷させる請求項3に記載の印刷システム。
[請求項5]
前記印刷設定画面を介して前記印刷対象の画像における前記特定の色の画像の位置の設定を受け付け、
前記保存場所情報生成部は、前記印刷設定に係る前記特定の色の画像と前記位置に関する位置情報を前記ネットワークを介して前記画像管理サーバーに送信し、前記特定の色の画像と前記位置情報を含む前記保存場所情報を前記画像管理サーバーから取得し、
前記印刷制御部は、前記印刷対象の画像の前記位置情報が示す位置に、前記取得部が前記画像管理サーバーから取得した前記特定の色の画像をオーバープリントして印刷する請求項1~4のいずれか1項に記載の印刷システム。
[請求項6]
前記保存場所情報はURLである請求項1~5のいずれか1項に記載の印刷システム。
[請求項7]
前記特定の色は可視光に対し透明な色である請求項1~6のいずれか1項に記載の印刷システム。
【符号の説明】
【0132】
10 情報処理装置
30 画像形成装置
50 IR画像管理サーバー
100 印刷システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0133】
【特許文献1】特開2006-38933号公報
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