(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074254
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】搬送装置及び液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B65H 7/02 20060101AFI20230522BHJP
【FI】
B65H7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187114
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100182453
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 英明
(72)【発明者】
【氏名】寺井 純一
【テーマコード(参考)】
3F048
【Fターム(参考)】
3F048AA01
3F048AB01
3F048AB05
3F048AB07
3F048AB09
3F048AB10
3F048AC04
3F048BA05
3F048BB02
3F048BB09
3F048BB10
3F048BD08
3F048CC01
3F048DA06
3F048DB01
3F048DB07
3F048DB17
3F048DC15
3F048EB39
(57)【要約】
【課題】位置検知部の取付を簡単にかつ精度良く行う。
【解決手段】搬送装置20は、搬送対象物を搬送する搬送ローラ17と、搬送ローラ17の軸方向両端側を支持する一対のローラ支持部材21A,21Bと、搬送対象物の位置を検知する位置検知部30と、位置検知部30を支持する検知部支持部材22を備え、一対のローラ支持部材21A,21Bは、検知部支持部材22が挿入されてその挿入方向とは交差する方向の検知部支持部材22の位置決めを行う挿入孔25を有し、検知部支持部材22は、一対のローラ支持部材21A,21Bの少なくとも一方に対する挿入方向C及び挿入方向Cとは反対方向の位置決めと挿入方向Cの軸を中心とする回転方向の位置決めを行う位置決め部221,222を有する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物を搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラの軸方向両端側を支持する一対のローラ支持部材と、
前記搬送対象物の位置を検知する位置検知部と、
前記位置検知部を支持する検知部支持部材を備え、
前記一対のローラ支持部材は、前記検知部支持部材が挿入されてその挿入方向とは交差する方向の前記検知部支持部材の位置決めを行う挿入孔を有し、
前記検知部支持部材は、前記一対のローラ支持部材の少なくとも一方に対する前記挿入方向及び前記挿入方向とは反対方向の位置決めと前記挿入方向の軸を中心とする回転方向の位置決めを行う位置決め部を有することを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記検知部支持部材は、前記一対のローラ支持部材の互いに対向する面側とは反対側から前記挿入孔に挿入される請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記検知部支持部材は、複数設けれられ、
前記各検知部支持部材は、前記一対のローラ支持部材のうち、同じ一方のローラ支持部材の前記挿入孔から、他方のローラ支持部材の前記挿入孔に向かって挿入される請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記検知部支持部材は、前記一対のローラ支持部材のうち、一方のローラ支持部材に対して前記挿入方向とは交差する方向の位置決めのみが行われ、他方のローラ支持部材に対して前記挿入方向及び前記挿入方向とは反対方向の位置決めと前記挿入方向とは交差する方向の位置決めが行われる請求項1から3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記検知部支持部材は、前記挿入孔に挿入される支持シャフトと、前記他方のローラ支持部材に対する前記支持シャフトの前記挿入方向及び前記挿入方向とは反対方向の位置決めと前記回転方向の位置決めを行う固定部材を有する請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記検知部支持部材は、複数設けられ、
前記位置検知部は、2つの前記検知部支持部の間にまたがって取り付けられる検知部保持部材によって保持される請求項1から5のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記各検知部支持部材は、前記検知部保持部材が取り付けられる取付面を有し、
前記各検知部支持部材は、それぞれの前記取付面が同じ方向を向くように前記回転方向の位置決めが行われる請求項6に記載の搬送装置。
【請求項8】
搬送対象物を搬送する搬送装置と、
前記搬送対象物に液体を吐出する液体吐出部を備える液体吐出装置であって、
前記搬送装置として、請求項1から7のいずれか1項に記載の搬送装置を備えることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項9】
前記位置検知部は、前記搬送対象物が搬送される搬送路を挟んで前記液体吐出部側とは反対側に配置される請求項8に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置及び液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出する液体吐出装置として、紙などのシートにインクを吐出して画像を形成するインクジェット式の画像形成装置が知られている。
【0003】
インクジェット式の画像形成装置においては、搬送ローラなどによってシートが搬送される際、シートに位置ずれが生じると、シートに着弾するインクの位置にもずれが生じ、画像品質が低下する虞がある。そのため、斯かる画像形成装置においては、シートに対するインクの位置ずれを改善するため、シートの位置(位置すれ)を検知する光学センサなどの位置検知部が設けられているものがある(例えば、特許文献1:特開2018-130956号公報参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような位置検知部は、シートの位置を精度良く検知できるように、所定の取付位置に精度良く取り付けられる必要がある。一般的に、位置検知部の取付精度を向上させるには、取付に関わる部品の寸法精度を向上させたり、取付後の位置調整を行ったりするなどの方法が挙げられる。しかしながら、部品寸法の高精度化はコストアップにつながり、取付後の位置調整は取付作業時間の増加につながるといった問題がある。そのため、位置検知部の取付を簡単にかつ精度良く行える対策が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、搬送対象物を搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラの軸方向両端側を支持する一対のローラ支持部材と、前記搬送対象物の位置を検知する位置検知部と、前記位置検知部を支持する検知部支持部材を備え、前記一対のローラ支持部材は、前記検知部支持部材が挿入されてその挿入方向とは交差する方向の前記検知部支持部材の位置決めを行う挿入孔を有し、前記検知部支持部材は、前記一対のローラ支持部材の少なくとも一方に対する前記挿入方向及び前記挿入方向とは反対方向の位置決めと前記挿入方向の軸を中心とする回転方向の位置決めを行う位置決め部を有することを特徴とすることを特徴とする搬送装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、位置検知部の取付を簡単にかつ精度良く行える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット式画像形成装置の全体構成を示す図である。
【
図2】本実施形態に係るインクジェット画像形成装置の制御システムを示す図である。
【
図3】本実施形態に係る画像形成部の構成を示す平面図である。
【
図4】本実施形態に係る搬送装置の構成を示す側面図である。
【
図5】シートに蛇行が生じた場合の状態を示す平面図である。
【
図6】本実施形態に係る位置センサとヘッドユニットの制御系を示すブロック図である。
【
図7】本実施形態に係るセンサ取付構造を示す斜視図である。
【
図8】本実施形態に係るセンサの取付構造の分解斜視図である。
【
図9】一対の側板に支持シャフトが取り付けられた状態を示す断面図である。
【
図10】固定部材が取り付けられる前の状態を示す分解斜視図である。
【
図11】センサホルダが各支持シャフトに取り付けられる前の状態を示す分解斜視図である。
【
図12】位置センサがセンサホルダに取り付けられる前の状態を示す分解斜視図である。
【
図13】支持シャフトが一対の側板の内側から取り付けられる例を示す図である。
【
図14】支持シャフトが一対の側板の内側から取り付けられる例を示す図である。
【
図15】支持シャフトが一対の側板の内側から取り付けられる例を示す図である。
【
図16】支持シャフトの回転方向の位置決めを行う嵌合孔が側板に設けられた例を示す図である。
【
図17】支持シャフトの先端が側板に突き当てられて位置決めされる例を示す図である。
【
図18】支持シャフトに2つの取付面が設けられた例を示す図である。
【
図19】電子写真方式の画像形成装置の全体構成を示す図である。
【
図20】
図19に示される画像形成装置が備える冷却装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材及び構成部品などの構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0009】
まず、
図1及び
図2に基づき、本発明に係る液体吐出装置の一実施形態であるインクジェット式画像形成装置の構成について説明する。
図1は、インクジェット式画像形成装置の全体構成を示す図、
図2は、インクジェット画像形成装置の制御システムを示す図である。
【0010】
図1に示されるように、本実施形態に係る画像形成装置100は、画像形成用のシートSを供給するシート供給部1と、供給されたシートSを搬送する搬送部8と、シートSの表側の面に画像を形成する第1画像形成部3と、シートSの裏側の面に画像を形成する第2画像形成部4と、シートSの表裏を反転させる表裏反転部5と、シートSを乾燥させる第1乾燥部6及び第2乾燥部7と、画像が形成されたシートSを回収するシート回収部2を備えている。また、本実施形態に係る画像形成装置100は、シート供給部1、搬送部8、第1画像形成部3、第2画像形成部4、表裏反転部5、第1乾燥部6、第2乾燥部7、シート回収部2を制御するための制御部9(
図2参照)を備えている。
【0011】
シート供給部1は、長尺のシートSがロール状に巻回された供給ローラ11を有している。供給ローラ11は、
図1に示される矢印方向に回転可能に構成されており、供給ローラ11が回転することにより、シートSが繰り出される。
【0012】
搬送部8は、複数の搬送ローラ17を有する搬送装置を備えている。各搬送ローラ17にシートSが掛け渡されており、各搬送ローラ17が回転することにより、シートSが搬送される。なお、搬送ローラには、断面円形のパイプ、シャフトなども含まれる。
【0013】
第1画像形成部3は、シートSに対して液体のインクを吐出する複数のヘッドユニット12Y,12M,12C,12Kを有している。各ヘッドユニット12Y,12M,12C,12Kは、制御部9によって生成された画像データのうち、シートSの表側の面に形成される画像データに基づいてインクをシートSの表側の面に吐出し、シートSに画像を形成する。ここで、インクは、色材と溶剤、溶剤に分散された結晶性樹脂粒子を含む液体である。結晶性樹脂は、所定の融点以上に熱せられると相変化を起こし結晶状態から液体に融解する樹脂である。
【0014】
第1乾燥部6は、シートS上のインクの乾燥を促進させるためにシートSを加熱する加熱ドラム13を有している。加熱ドラム13は、外周面にシートSが巻きつけられながら回転する円筒状の部材であり、内部にハロゲンヒータなどの加熱源が配置されている。加熱ドラム13は、シートSが搬送される搬送路よりも下側(シートSの裏側)に配置されている。このため、第1画像形成部3からシートSが搬送されると、シートSの下面(裏側の面)が加熱ドラム13の外周面に接触し、回転する加熱ドラム13によってシートSが加熱されながら搬送される。これにより、シートS上のインクの乾燥が促進される。また、このときの加熱ドラム13の回転速度は、制御部9によって、シート供給部1、シート回収部2、搬送部8などの搬送速度とほぼ同じに制御される。このため、シートSは、加熱ドラム13の外周面に対してシート搬送方向にずれることがなく搬送される。
【0015】
表裏反転部5は、シートSの表側と裏側の位置を反転させる公知の装置により構成される。第1乾燥部6から搬送されたシートSは、表裏反転部5を通過する際、表裏反転されて第2画像形成部4へ送られる。すなわち、シートSの表側の面が上向きの状態で搬送されると、表裏反転部5によって表側の面が下向き(裏側の面が上向き)となるように反転されて搬送される。
【0016】
第2画像形成部4は、基本的に第1画像形成部3と同じ構成であり、インクを吐出する複数の吐出ヘッド14Y,14M,14C,14Kを有している。ただし、第2画像形成部4においては、シートSの裏側の面に対して画像が形成される。すなわち、シートSは、表裏反転部5によって表裏反転された状態で第2画像形成部4へ搬送されるので、第2画像形成部4は、制御部9によって生成された画像データのうち、シートSの裏側の面に形成される画像データに基づいてインクをシートSの裏側の面に吐出し、シートSに画像を形成する。
【0017】
第2乾燥部7は、第1乾燥部6と同じように、シートSを加熱する加熱ドラム15を有している。
図1に示されるように、第2乾燥部7の加熱ドラム15は、第1乾燥部6の加熱ドラム13と同じように、搬送路よりも下側に配置されているが、搬送されるシートSは表裏反転されるため、シートSの表側の面に接触する。このとき、シートSの表側の面に画像が形成されていたとしても、すでに第1乾燥部6によってインクの乾燥が促進されているため、加熱ドラム15が表側の画像に接触することにより画像が乱れることはない。
【0018】
シート回収部2は、シートSを巻き取って回収する回収ローラ16を有している。回収ローラ16は、
図1に示される矢印方向に回転可能に構成されており、回収ローラ16が回転することにより、シートSがロール状に巻き取られて回収される。なお、シート回収部2は、シートSを所定の長さに裁断したり、裁断されたシートSを揃えたりする後処理を行う後処理部を含んでいてもよい。
【0019】
制御部9は、PC(Personal Computer)などの情報処理装置によって構成される。制御部9は、シートSの表側の面及び裏側の面に形成される画像データを生成するほか、シート供給部1、第1画像形成部3、第2画像形成部4、表裏反転部5、第1乾燥部6、第2乾燥部7、シート回収部2の各種動作を制御する。例えば、制御部9は、供給ローラ11、回収ローラ16及び各搬送ローラ17の回転速度のほか、各加熱ドラム13,15を加熱する加熱源の温度などを制御する。
【0020】
次に、
図3に基づき、本実施形態に係る画像形成部の構成について詳しく説明する。本実施形態における画像形成部は、上記の通り第1画像形成部3と第2画像形成部4があるが、これらの各構成は基本的に同じであるので、第1画像形成部3の構成のみについて説明し、第2画像形成部4の構成については説明を省略する。
【0021】
図3に示されるように、本実施形態に係る第1画像形成部3においては、シートSが搬送されるシート搬送方向Aの上流側から順に、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクを吐出する4つのヘッドユニット12K,12C,12M,12Yが配置されている。なお、各色のヘッドユニット12K,12C,12M,12Yの順番は、図示以外の順番でもよい。また、使用されるインクの色は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の色であってもよい。
【0022】
各ヘッドユニット12K,12C,12M,12Yは、4つの液体吐出ヘッド18を有している。液体吐出部である各液体吐出ヘッド18は、複数のノズル19を有し、各ノズル19からシートSにインク(液体)を吐出する。また、各液体吐出ヘッド18は、シートS上の画像形成領域の幅方向全体に渡って互い違いに配置されており、シートSが各ヘッドユニット12K,12C,12M,12Yに対向する位置に搬送されると、各液体吐出ヘッド18からインクが吐出され、シートS上に画像が形成される。
【0023】
なお、ここでいうシートSの「幅方向」とは、シートが搬送される搬送面と平行で、かつ、シート搬送方向Aに直交する方向であり、
図3中の矢印Bにより示される方向を意味する。また、上記「搬送面」とは、搬送されるシートが通過する面であり、例えば、シートを搬送する複数の搬送ローラのシートとの接触部を繋いだ仮想面、あるいは、シートを載置して搬送する搬送ベルトのシート載置面などが含まれる。また、以下の説明中の「シート幅方向」も同じ意味である。
【0024】
続いて、
図4に基づき、第1画像形成部3に配置される搬送装置20(搬送部8)の構成について説明する。
【0025】
図4に示されるように、搬送装置20(搬送部8)は、複数の搬送ローラ17を有している。
図4に示される各搬送ローラ17のうち、シート搬送方向Aの最上流と最下流の搬送ローラ17A,17Bは、シートSをその表側と裏側から挟んで搬送する二対の駆動ローラである。シートSは、これらの駆動ローラ17A,17Bのほか、上流側の駆動ローラ17Aの1つ下流側に配置される駆動ローラ17C(対になっていない搬送ローラ)によって搬送される。
【0026】
また、上流側の駆動ローラ17Cと下流側の駆動ローラ17Bとの間には、搬送ローラ17としての複数の従動ローラ17d~17kが配置されている。各従動ローラ17d~17kの代わりに、複数の駆動ローラが配置されてもよい。各従動ローラ17d~17kは、各ヘッドユニット12K,12C,12M,12Yの液体吐出位置10K,10C,10M,10Yを挟んで上流側と下流側にそれぞれ配置されている。このように、各従動ローラ17d~17kが各液体吐出位置10K,10C,10M,10Yを挟んで上流側と下流側にそれぞれ配置されていることにより、特に各液体吐出位置10K,10C,10M,10YにおけるシートSのばたつきが抑制され、シートSを安定して搬送できる。
【0027】
ところで、搬送ローラ17が偏心していたり熱膨張したりすると、
図5に示されるように、搬送されるシートSが幅方向Bへ位置ずれし、シートSが蛇行して搬送される場合がある。このようなシートSの蛇行が生じると、シートSに着弾するインクの位置にもずれが発生し、画像品質が低下する問題がある。そこで、本実施形態においては、シートSの蛇行が生じた場合、その蛇行(幅方向の位置ずれ)に追従できるように、シアン、マゼンタ、イエローの各ヘッドユニット12C,12M,12YをシートSの幅方向Bへ移動可能に構成している(
図5における二点鎖線の状態を参照)。
【0028】
また、各ヘッドユニット12C,12M,12Yの位置をシートSの蛇行に追従させるには、シートSの幅方向Bの位置ずれ(位置ずれ方向及び位置ずれ量)を把握する必要がある。このため、
図4に示されるように、本実施形態に係る搬送装置20においては、シートSの位置を検知する位置検知部としての複数の位置センサ30が設けられている。
【0029】
各位置センサ30は、シートSが搬送される搬送路を挟んで各ヘッドユニット12K,12C,12M,12Y側とは反対側(
図4中のシートSよりも下側)であって、各ヘッドユニット12K,12C,12M,12Yからインクが吐出される各液体吐出位置10K,10C,10M,10Yの近傍に配置されている。すなわち、各位置センサ30は、各液体吐出位置10K,10C,10M,10Yの上流側と下流側に配置される従動ローラ17d~17kの間に配置されている。なお、本明細書中における「液体吐出位置」とは、シートに蛇行が生じていない状態、すなわち、ヘッドユニットがシート幅方向へ移動せずあらかじめ設定された基準位置(初期位置)に配置された状態における液体吐出位置を意味する。
【0030】
位置センサ30としては、搬送対象物の表面情報を検知できる光学センサなどが用いられる。例えば、空気圧、光電、超音波又は可視光、レーザ、赤外線などの光を利用するCCD(Charge Coupled Device)カメラ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラなどである。
【0031】
図6は、本実施形態に係る位置センサとヘッドユニットの制御系を示すブロック図である。以下、
図6に基づき、位置センサとヘッドユニットの制御について、ブラックのヘッドユニット12Kの位置においてシートSの位置を検知する第1位置センサ30Aと、シアンのヘッドユニット12Cの位置においてシートSの位置を検知する第2位置センサ30Bの組み合わせを例に説明する。
【0032】
図6に示されるように、第1位置センサ30A及び第2位置センサ30Bは、撮像部31と、撮像制御部32と、画像記憶部33により構成されている。
【0033】
撮像部31は、搬送されるシートSを撮像する部分である。
【0034】
撮像制御部32は、シャッタ制御部34と、画像取込部35を有している。シャッタ制御部34は、撮像部31が撮像するタイミングを制御する。画像取込部35は、撮像部31によって撮像された画像のデータを取得する。
【0035】
画像記憶部33は、撮像制御部32が取り込んだ画像データを記憶する。
【0036】
シートSは、表面又は内部に散乱性を有する部材であるため、各位置センサ30A,30Bのレーザ光源からシートSにレーザ光が照射されると、反射光が拡散反射する。この拡散反射によって、シートSにはパターンが形成される。このパターンは「スペックル」と呼ばれる斑点、いわゆるスペックルパターンであり、表面情報の一例である。シートSが撮像されると、スペックルパターンを示す画像データが得られる。この画像データからパターンのある位置がわかるため、シートSの所定の位置がどこにあるかを検知できる。すなわち、シートSが搬送されると、シートSが有するパターンも一緒に搬送されるため、同一のパターンを異なる時間でそれぞれ検知することにより、シートSの移動量又は移動速度を求めることができる。
【0037】
第1位置センサ30Aと第2位置センサ30Bによって撮像された画像データは、制御部9が有する演算部36へ送られる。演算部36は、第1位置センサ30A及び第2位置センサ30Bから送られた画像データに基づいて、シートS上の所定部がどの程度シート幅方向へ移動したか演算する。そして、演算部36によって算出されたシートSの移動量(位置ずれ量)に基づいて、シアンのヘッドユニット12Cをシート幅方向へ移動させることにより、シート幅方向における吐出位置を制御できる。また、その他の位置センサ30の組み合わせにおいても、同じようにしてシートSの位置ずれを検知し、検知された位置ずれ量に基づいてマゼンタ及びイエローのヘッドユニット12M,12Yをシート幅方向へ移動させることにより、シート幅方向におけるそれぞれの吐出位置を制御できる。
【0038】
また、各位置センサ30によって撮像された画像データに基づいて、シート幅方向の位置ずれのほか、シート搬送方向の位置ずれも検知できる。例えば、演算部36が、第1位置センサ30A及び第2位置センサ30Bから送られた画像データに基づいて、シートS上の所定部分がどの程度シート搬送方向へ移動したか演算することにより、シート搬送方向におけるシートSの位置ずれ量も算出できる。また、その他の位置センサ30の組み合わせにおいても、同じようにシート搬送方向の位置ずれを検知できる。シートSは、インクの染み込みによってシート搬送方向へ伸びることがあるので、そのような場合は、算出されたシート搬送方向の位置ずれ量に基づいて、各ヘッドユニット12K,12C,12M,12Yの吐出タイミングを制御する。これにより、シート搬送方向における吐出位置を制御できる。
【0039】
また、各位置センサ30の検知精度を向上させるには、
図4に示されるように、各位置センサ30が従動ローラ17d~17kなどのローラ同士の間に配置されていることが好ましい。ローラ同士の間はシートSの搬送速度が比較的安定するため、各位置センサ30がローラ同士の間に配置されていることにより、シート搬送方向とシート幅方向の少なくとも一方向におけるシートSの移動量又は移動速度を精度良く検知できる。
【0040】
また、各位置センサ30の位置は、インクが吐出される各液体吐出位置10K,10C,10M,10Yに近い位置であることが好ましい。すなわち、位置センサ30と液体吐出位置10K,10C,10M,10Yとの距離が短い方が、検知誤差が小さくなるので、シートSの位置ずれを精度良く検知できる。
【0041】
また、各位置センサ30は、各液体吐出位置10K,10C,10M,10Yの上流側に配置されるのがよい。各位置センサ30が、各液体吐出位置10K,10C,10M,10Yの上流側に配置されていると、位置センサ30によってシートSの位置が検知された後、各液体吐出位置10K,10C,10M,10YへシートSが搬送されるまでにヘッドユニットの移動又は吐出タイミングを制御できる。
【0042】
これに対して、各位置センサ30が、各液体吐出位置10K,10C,10M,10Yの直下に配置される場合は、制御動作分の遅れによって、インクの着弾位置にずれが生じる虞がある。ただし、制御動作を速く行うことができれば、各位置センサ30が、各液体吐出位置10K,10C,10M,10Yの上流側に配置されるよりはむしろ直下に配置される方が、各液体吐出位置10K,10C,10M,10Yの直下におけるシートSの正確な移動量を検知できるため好ましい。また、制御動作分の誤差が許容できるのであれば、各位置センサ30は、各液体吐出位置10K,10C,10M,10Yの下流側に配置されてもよい。
【0043】
また、本実施形態においては、シート搬送方向Aにおける各位置センサ30同士の間隔D1~D3(
図4参照)が、シートSを搬送する駆動ローラ(例えば、
図4示される最下流のローラ対17Bのうちの下側の駆動ローラ)の周長Xの整数倍となるように設定されている。すなわち、
図4に示される最上流の位置センサ30Aからそれよりも下流側の各位置センサ30B~30Dまでの間隔D1~D3は、駆動ローラの周長Xの1倍、2倍、3倍の長さ(D1=X、D2=2X、D3=3X)となるように設定されている。
【0044】
このように、各位置センサ30同士の間隔D1~D3が駆動ローラの周長Xの整数倍の長さに設定されていることにより、駆動ローラが偏心していても、その偏心によるシートSの速度ムラを各位置センサ30の検知位置において相殺することができる。このため、各位置センサ30はシートSの位置ずれを精度良く検知できる。
【0045】
また、同じように、シート搬送方向Aにおける各ヘッドユニット12K,12C,12M,12Y同士の間隔E1~E3も、駆動ローラの周長Xの1倍、2倍、3倍の長さ(E1=X、E2=2X、E3=3X)となるように設定されている。これにより、駆動ローラの偏心によるシートSの速度ムラを各液体吐出位置10K,10C,10M,10Yにおいて相殺でき、各ヘッドユニット12K,12C,12M,12YからシートSへ精度良くインクを吐出できる。
【0046】
ここで、各位置センサ30の検知精度を向上させるには、上記のような液体吐出位置に対するセンサ配置箇所の設定のほか、センサを取り付ける際の取付精度の管理も重要である。センサの取付精度を向上させる方法としては、一般的に、取付部品の寸法精度を上げたり、取付後の位置調整を行ったりする方法があるが、これらの場合、取付部品の寸法管理を厳しくすることによるコストアップ、位置調整を行うことによる取付作業時間の増加の問題がある。そのため、本実施形態においては、センサの取付を簡単にかつ精度良く行えるように、次のような構成を採用している。以下、本実施形態に係るセンサ取付構造について説明する。
【0047】
図7は、本実施形態に係るセンサ取付構造を示す斜視図である。
【0048】
図7に示されるように、位置センサ30は、2本の支持シャフト22及びセンサホルダ23を介して一対の側板21A,21Bの間に取り付けられている。一対の側板21A,21Bは、複数の搬送ローラ17の両端側(両端又はその近傍)を支持するローラ支持部材であり、互いに間隔をあけて平行に配置されている。センサホルダ23は、位置センサ30を保持する検知部保持部材であり、2本の支持シャフト22の間にまたがって取り付けられる。各支持シャフト22は、センサホルダ23によって保持された位置センサ30を支持する検知部支持部材を構成する部材であり、一対の側板21A,21Bの間に取り付けられる。また、一方の側板21Aには、検知部支持部材を構成する部材として、各支持シャフト22を固定する平板状の固定部材24が取り付けられる。すなわち、検知部支持部材は、一対の支持シャフト22と、固定部材24を有している。このように、本実施形態に係る搬送装置20には、位置センサ30を取り付けるための取付構造として、一対の側板21A,21Bと、2本の支持シャフト22と、センサホルダ23と、固定部材24が設けられている。
【0049】
続いて、
図8~
図12の分解斜視図に基づき、本実施形態に係るセンサ取付構造の詳細及び取付方法について説明する。なお、以下の説明においては、
図8に示される一対の側板21A,21Bのうち、図の手前側の側板21Aを「第1側板」と称し、奥側の側板21Bを「第2側板」と称する。また、各側板21A,21Bが互いに対向する面側を「内側」と称し、これとは反対側を「外側」と称する。
【0050】
図8に示されるように、第1側板21A及び第2側板21Bには、各支持シャフト22が挿入される断面円形の挿入孔25が2つずつ設けられている。各挿入孔25は、各支持シャフト22が挿入された場合に、各支持シャフト22が水平かつ互いに平行となるように、同じ高さ及び同じ間隔に設けられている。
【0051】
図8に示されるように、各支持シャフト22は、第1側板21Aの外側から第2側板21Bに向かって矢印C方向に挿入される。各支持シャフト22の挿入方向Cの先端には、第2側板21Bの挿入孔25に挿入される断面円形の突起部220が設けられている。この突起部220は、支持シャフト22のその他の部分よりも小径に形成されており、
図9に示されるように、突起部220が第2側板21Bの挿入孔25に挿入されると、各支持シャフト22の先端側(突起部220側)の大径部分221も、第2側板21Bの挿入孔25に挿入される
【0052】
また、各支持シャフト22が各側板21A,21Bの挿入孔25に挿入された後、第1側板21Aに固定部材24が取り付けられることにより、各支持シャフト22の挿入方向C及びこれとは反対方向の移動と、各支持シャフト22の挿入方向Cの軸を中心とする回転が規制される。
【0053】
詳しくは、
図10に示されるように、各支持シャフト22の後端(挿入方向Cの先端とは反対側の端)に、各支持シャフト22の回転を規制するための断面D字形状の回り止め突起222が設けられている。一方、固定部材24には、各支持シャフト22の回り止め突起222と嵌合する断面D字形状の嵌合孔241が形成されている。固定部材24の嵌合孔241に支持シャフト22の回り止め突起222が挿入されて嵌合することにより、固定部材24に対する支持シャフト22の回転が規制される。なお、回り止め突起222及び嵌合孔241のそれぞれの断面形状は、D字形状以外に、四角形、多角形、楕円などの他の非円形の断面形状であってもよい。
【0054】
また、
図10に示されるように、回り止め突起222には、ねじ孔224が設けられている。このねじ孔224に対して固定部材24の外側からねじ27が締結されることにより、支持シャフト22が固定部材24に固定される。また、固定部材24には、固定部材24を第1側板21Aに取り付けるためのねじ挿通孔240が設けられている。一方、第1側板21Aには、固定部材24を取り付けるためのねじ孔210が設けられている。固定部材24のねじ挿通孔240にねじ26が挿通され、そのねじ26が第1側板21Aのねじ孔210に締結されることにより、固定部材24が第1側板21Aの外側の面に取り付けられる。
【0055】
図9に示されるように、支持シャフト22が固定部材24に固定され、さらに、固定部材24が第1側板21Aに固定された状態においては、第1側板21Aに対する支持シャフト22の挿入方向C及びこれとは反対方向の移動が規制される。また、この状態において、固定部材24の嵌合孔241と各支持シャフト22の回り止め突起222とが嵌合しているため第1側板21Aに対する各支持シャフト22の回転も規制される。
【0056】
図11は、センサホルダ23が各支持シャフト22に取り付けられる前の状態を示す分解斜視図である。
【0057】
図11に示されるように、各支持シャフト22の表面には、センサホルダ23を取り付けるための取付面225が設けられている。取付面225は平面状であり、第1側板21Aに対する支持シャフト22の回転が規制された状態において、取付面225は、上方(搬送路側)を向き、かつ、水平に配置される。
【0058】
取付面225には、センサホルダ23を位置決めする位置決め部としての2つの位置決め凹部226a,226bが設けられている。2つの位置決め凹部226a,226bのうち、一方の位置決め凹部226aは位置決めの主基準となる丸孔であり、他方の位置決め凹部226bは位置決めの従基準となる長孔である。また、取付面225には、センサホルダ23を取り付けるための2つのねじ孔227も設けられている。
【0059】
図11に示されるように、センサホルダ23は、支持シャフト22の取付面225に取り付けられるベース部230と、位置センサ30が取り付けられるセンサ取付部231を有している。ベース部230とセンサ取付部231は互いに直交するように設けられており、ベース部230が水平状に配置されると、センサ取付部231はベース部230から鉛直下方へ伸びるように配置される。ベース部230には、上記取付面225に設けられた各位置決め凹部226a,226bに挿入される位置決め部としての2つの位置決め凸部232が設けられている。各位置決め凸部232が各位置決め凹部226a,226bに挿入されることにより、支持シャフト22に対するセンサホルダ23の水平方向(取付面225に平行な方向)の移動が規制される。また、このとき、ベース部230は、支持シャフト22の取付面225上に載置されるため、支持シャフト22に対するセンサホルダ23の下方向(取付面225に向かって垂直な方向)の移動も規制される。
【0060】
なお、本実施形態においては、部品の共通化のため、各支持シャフト22の両方に位置決め凹部226a,226bが設けられているが、センサホルダ23の位置決め凸部232は一方の支持シャフト22の位置決め凹部226a,226bのみに挿入される。このように、センサホルダ23は、少なくとも一方の支持シャフト22の各位置決め凹部226a,226bを基準に位置決めされればよい。また、センサホルダ23は、両方の支持シャフト22の各位置決め凹部226a,226bを基準に位置決めされてもよい。また、センサホルダ23と支持シャフト22のそれぞれの位置決め部の凹凸関係は、本実施形態とは逆であってもよい。すなわち、センサホルダ23に位置決め凹部が設けられ、支持シャフト22の取付面225に位置決め凸部が設けられてもよい。
【0061】
また、
図11に示されるように、センサホルダ23のベース部230には、センサホルダ23を各支持シャフト22に取り付けるための複数のねじ挿通孔233が設けられている。センサホルダ23が各支持シャフト22の取付面225に対して位置決めされた状態において、センサホルダ23の各ねじ挿通孔233にねじ28が挿通され、そのねじ28が各取付面225に設けられたねじ孔227に締結されることにより、センサホルダ23が各支持シャフト22の取付面225に取り付けられる。
【0062】
図12は、位置センサ30がセンサホルダ23に取り付けられる前の状態を示す分解斜視図である。
【0063】
図12に示されるように、センサホルダ23のセンサ取付部231には、位置センサ30を位置決めする位置決め部としての複数の位置決め凸部234が設けられている。
図12中の二点鎖線で示されるように、位置センサ30は、センサホルダ23の各位置決め凸部234に接触することにより図の下方向及び右方向への移動が規制される。すなわち、位置センサ30は、上記撮像部などを構成する本体部301と、レンズ部302と、照明部303を有しており、六面体状(立方体状又は直方体状)に形成された本体部301の互いに直交する二平面(
図12における下面及び右側面)に対してそれぞれ位置決め凸部234が接触することにより、その二平面と直交する方向への位置センサ30の移動が規制される。
【0064】
また、センサホルダ23のセンサ取付部231には、位置センサ30を取り付けるための複数のねじ挿通孔235が設けられている。一方、位置センサ30の本体部301には、複数のねじ孔304が設けられている。位置センサ30がセンサホルダ23に対して位置決めされた状態において、センサ取付部231のねじ挿通孔235を通してねじ29が位置センサ30のねじ孔304に締結されることにより、位置センサ30がセンサホルダ23に取り付けられる。なお、本実施形態においては、センサホルダ23に対する位置センサ30の取付数を2つに増やしたり、取付位置を選択したりできるように、2つ分のねじ挿通孔235及び位置決め凸部234がセンサ取付部231に設けられている。
【0065】
上記の如く構成された本実施形態において、位置センサ30を、各側板21A,21Bの間に取り付けるには、まず、
図8に示されるように、2本の支持シャフト22を、第1側板21Aの外側から挿入孔25に挿入し、各支持シャフト22の先端(突起部220)を第2側板21Bの挿入孔25に挿入する。なお、本実施形態においては、第1側板21Aの挿入孔25が、挿入方向Cの奥側よりも手前側で大径に形成されている(
図9参照)。このため、例えば、各側板21A,21Bの挿入孔25同士の位置が僅かにずれている場合であっても、支持シャフト22を第1側板21の挿入孔25内で傾斜させることにより、第1側板21Aの挿入孔25から第2側板21Bの挿入孔25へ支持シャフト22を円滑に挿入することが可能である。
【0066】
次に、各挿入孔25に挿入された各支持シャフト22の取付面225を上方へ向くように位置合わせし、固定部材24を第1側板21Aの外側から取り付ける。このとき、
図10に示されるように、各支持シャフト22の回り止め突起222が固定部材24の嵌合孔241に嵌合するように、固定部材24を配置する。そして、回り止め突起222に設けられたねじ孔224及び固定部材24に設けられたねじ孔240にそれぞれねじ26,27を締結する。これにより、固定部材24が第1側板21Aに固定されると共に、各支持シャフト22が固定部材24に固定される。
【0067】
続いて、
図12に示されるように、位置センサ30をセンサホルダ23に取り付ける。まず、位置センサ30をセンサホルダ23の複数の位置決め凸部234に接触させて位置決めした状態にし、その状態を保持しつつ、ねじ29をセンサホルダ23のねじ挿通孔235を通して位置センサ30のねじ孔304に締結する。これにより、位置センサ30がセンサホルダ23に取り付けられる。
【0068】
そして、位置センサ30が取り付けられたセンサホルダ23を、一対の側板21A,21Bの間に固定された各支持シャフト22の上に取り付ける。まずは、
図11に示されるように、センサホルダ23に設けられた各位置決め凸部232を、一方の支持シャフト22の取付面225に設けられた各位置決め凹部226a,226bに挿入して位置決めする。次いで、ねじ28をセンサホルダ23のねじ挿通孔233を通して取付面225のねじ孔227に締結し、センサホルダ23を各支持シャフト22上に取り付ける。これにより、位置センサ30の取付作業が完了する。
【0069】
以上のように、本実施形態においては、位置センサ30の取付作業を行うにあたって、各部材同士の位置決めを行いつつ、その取付作業を行うことができるので、部品の寸法管理を厳しくしたり、取付後の位置調整を行ったりしなくても、位置センサ30の取付を簡単にかつ精度良く行うことができる。
【0070】
すなわち、本実施形態においては、位置センサ30を支持する各支持シャフト22が、一対の側板21A,21Bに設けられた挿入孔25に挿入されることにより、挿入方向Cと交差する方向(ラジアル方向)の位置決めがなされる。また、各支持シャフト22が挿入孔25に挿入された状態において、固定部材24を介して各支持シャフト22が第1側板21Aに固定されることにより、第1側板21Aに対する各支持シャフト22の挿入方向C及びこれとは反対方向(アキシャル方向)の位置決めがなされる。また、各支持シャフト22の後端側に設けられた回り止め突起222が固定部材24の嵌合孔241に嵌合することにより、第1側板21Aに対する各支持シャフト22の挿入方向Cの軸を中心とする回転方向の位置決めがなされる。
【0071】
このように、本実施形態においては、一対の側板21A,21Bが、各支持シャフト22が挿入されてその挿入方向Cとは交差する方向の各支持シャフト22の位置決めを行う挿入孔25を有し、固定部材24が、第1側板21Aに対する各支持シャフト22の挿入方向C及びこれとは反対方向の位置決めと挿入方向Cの軸を中心とする回転方向の位置決めを行う位置決め部として機能するので、各支持シャフト22を挿入孔25に挿入し、固定部材24を取り付けるだけで、各支持シャフト22の位置決めを簡単に行える。
【0072】
また、本実施形態においては、各支持シャフト22が、第1側板21Aの外側から挿入孔25に挿入される構成であるため、
図13に示されるような、第1側板21Aの内側から挿入孔25に挿入される構成に比べて、取付部品の数を削減でき、取付作業も簡単に行える。すなわち、
図13に示される例においては、支持シャフト22を斜めにしてその先端を第1側板21Aの内側から挿入孔25に挿入した後、
図14に示されるように、支持シャフト22を水平にしてその後端を第2側板21Bの挿入孔25に挿入する必要があるが、第1側板21Aの挿入孔25は、支持シャフト22が斜めに挿入されるため、支持シャフト22よりもかなり大きい径に形成されなければならない。このため、支持シャフト22が水平に配置された状態においては、
図15に示されるように、支持シャフト22の先端を第1側板21Aの挿入孔25に対して支持するための軸受40などの部材が別途必要となる。これに対して、本実施形態においては、支持シャフト22が第1側板21Aの外側から挿入孔25に挿入される構成であることにより、第1側板21Aの挿入孔25を支持シャフト22と同じ径に形成でき、別途軸受などを設ける必要が無い。従って、少ない部品によって簡単に支持シャフト22を取り付けることができる。なお、本発明は、
図13~
図15に示されるような、支持シャフト22が第1側板21Aの内側から挿入される構成を除外するものではない。軸受40などの部材を設けてもよければ、このような構成を採用することも可能である。
【0073】
また、本実施形態においては、各支持シャフト22を、一対の側板21A,21Bのうち、同じ側板(第1側板21A)の挿入孔25から、他方の側板(第2側板21B)の挿入孔25に向かって挿入できるので、各支持シャフト22の取付作業が行いやすい。例えば、第2側板21B側に障害物などがあって、第2側板21B側からの各支持シャフト22の挿入作業及びねじ締結作業が行いにくい場合は、第1側板21A側から各支持シャフト22の挿入作業及びねじ締結作業を行うことにより、取付作業が行いやすくなる。また、支持シャフト22ごとに挿入方向を変える必要が無いので、作業効率もよくなる。
【0074】
また、本実施形態においては、各支持シャフト22が固定部材24を介して第1側板21Aに固定されることにより、第1側板21Aに対する各支持シャフト22の挿入方向C及びこれとは反対方向の位置決め(アキシャル方向の位置決め)がなされる。一方、第2側板21Bに対しては、各支持シャフト22の先端が挿入孔25に挿入されているだけであるため(
図9参照)、各支持シャフト22の挿入方向Cとこれとは反対方向の位置決め(アキシャル方向の位置決め)が行われない。このように、本実施形態においては、各支持シャフト22が、第2側板21Bに対して挿入方向Cの位置決めとこれとは反対方向の位置決め(アキシャル方向の位置決め)が行われず、軸方向に拘束されていないため、取付後に各支持シャフト22が温度上昇して軸方向に伸縮したとしても、各側板21A,21Bが支持シャフト22の伸縮の影響を直接受けにくくなる。このため、各支持シャフト22の伸縮に伴う各側板21A,21Bの撓みなどの変形を抑制でき、各支持シャフト22の位置精度を向上させることができる。
【0075】
また、上記のように、各支持シャフト22が、固定部材24を介して同じ側板(第1側板21A)に対して位置決めされることにより、各支持シャフト22の位置決め精度が向上する。すなわち、各支持シャフト22の挿入方向C及びこれとは反対方向の位置決めが、同じ側板(第1側板21A)を基準に行われるため、異なる側板を基準に位置決めされる場合に比べて精度良く位置決めを行うことができる。このように、本実施形態においては、各支持シャフト22を精度良く位置決めできるため、各支持シャフト22によって支持される位置センサ30の取付精度も向上する。
【0076】
また、本実施形態に係るセンサの取付構造によれば、位置センサ30の増設、メンテナンス作業なども簡単に行える。例えば、各側板21A,21Bに、あらかじめセンサ増設用の挿入孔25を余分に設けておけば、必要な場合に、支持シャフト22を増設用の挿入孔25に対して第1側板21Aの外側から挿入することにより、支持シャフト22を簡単に取り付けることができる。そして、増設された支持シャフト22に対して、センサホルダ23を上方からねじで締結して固定できるため、取付作業も楽に行える。また、位置センサ30の交換又は配置変更なども、同じように、支持シャフト22の上方から簡単に行うことが可能である。
【0077】
また、
図16に示される例のように、各支持シャフト22の回り止め突起222と嵌合する断面D字形状の嵌合孔211(回転方向の位置決め部)は、一方の側板21Aに直接設けられていてもよい。この場合、各支持シャフト22の回転方向の位置決めを行う位置決め部は、各支持シャフト22に設けられた回り止め突起22と、一方の側板21Aに設けられた嵌合孔211により構成される。また、
図16に示される例においては、一方の側板21Aに設けられた嵌合孔211が、支持シャフト22に設けられた回り止め突起222と嵌合して支持シャフト22の回転を規制する回転方向の位置決め部としての機能と、支持シャフト22をその挿入方向Cとは交差する方向に支持するラジアル方向の位置決め部(挿入孔25)としての機能を兼ねる。この場合、支持シャフト22の回り止め突起222が、一方の側板21Aの内側から嵌合孔211に挿入されると、支持シャフト22の回転方向の位置決めと、挿入方向Cとは交差する方向(ラジアル方向)の位置決めがなされることに加え、支持シャフト22の先端側の端面が一方の側板21Aに突き当たることにより挿入方向C(アキシャル方向)の位置決めもなされる。なお、この場合は、一対の側板21A,21Bのうちの少なくとも一方が他方に対して接近離間可能に構成されており、各支持シャフト22の先端を一方の側板21Aの挿入孔25に挿入した後、他方の側板21Bを各支持シャフト22の後端に接近させることにより、各支持シャフト22の後端が他方の側板21Bの挿入孔25に挿入される。これにより、各支持シャフト22は一対の側板21A,21Bの間に挟まれた状態となり、各側板21A,21Bに対する各支持シャフト22の挿入方向C及びこれとは反対方向の位置決めがなされる。
【0078】
また、
図17に示される別の例のように、各支持シャフト22の先端の突起部220が第2側板21Bの挿入孔25に挿入された際、各支持シャフト22の先端側(突起部220側)の大径部分221の端面が、第2側板21Bの挿入孔25の縁(第2側板21Bの内側の面)に突き当たることにより、各支持シャフト22の挿入方向Cの位置決めがなされるようにしてもよい。この場合、第2側板21Bの各挿入孔25は、各支持シャフト22の大径部分221の端面が当接できるように、突起部220よりも大きく、大径部分221の端面よりも小さい径に形成されている。
【0079】
また、
図18に示される例のように、支持シャフト22の取付面225は、支持シャフト22の軸方向における異なる位置に複数設けられていてもよい。例えば、第1画像形成部3におけるシートSの幅方向位置基準が手前側である場合は、センサホルダ23を支持シャフト22の手前側の取付面225に取り付け、その後、シートSが表裏反転されて搬送される第2画像形成部4においては、シートSの幅方向位置基準が奥側となるので、センサホルダ23を支持シャフト22の奥側の取付面225に取り付けるようにしてもよい。このように、複数の取付面225が支持シャフト22に設けられていることにより、シートSの幅方向位置基準などに応じて位置センサ30の位置を適宜選択することが可能である。
【0080】
以上、本発明の実施形態について、インクジェット式の画像形成装置に搭載される搬送装置を例に説明したが、本発明は、上記のようなインクジェット式の画像形成装置に限らず、
図19に示されるような電子写真方式の画像形成装置に搭載される搬送装置にも適用可能である。以下、本発明が適用される電子写真方式の画像形成装置の構成について説明する。
【0081】
図19に示される画像形成装置200は、画像形成ユニットとしての4つのプロセスユニット61Y,61C,61M,61Bkを備えるタンデム型の画像形成装置である。
【0082】
各プロセスユニット61Y,61C,61M,61Bkは、潜像担持体としてのドラム状の感光体62と、感光体62の表面を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ63と、感光体62の表面にトナー像を形成する現像手段としての現像装置64と、感光体62の表面を清掃するクリーニング手段としてのクリーニングブレード65を備えている。
【0083】
また、
図19において、各プロセスユニット61Y,61C,61M,61Bkの上方には、露光装置66が配置されている。露光装置66は、光源、ポリゴンミラー、f-θレンズ、反射ミラー等を有し、画像データに基づいて各感光体62の表面へレーザ光を照射する。
【0084】
また、
図19において、各プロセスユニット61Y,61C,61M,61Bkの下方には、転写装置67が配置されている。転写装置67は、転写体としての無端状のベルトから構成される中間転写ベルト68と、各感光体62との間に一次転写ニップを形成する複数の一次転写ローラ70と、中間転写ベルト68との間に二次転写ニップを形成する二次転写ローラ71を有している。
【0085】
また、画像形成装置200は、記録媒体としてのシートSを収容する給紙カセット72と、給紙カセット72からシートSを給送する給紙ローラ73と、給送されたシートSを所定のタイミングで二次転写ニップへ搬送するタイミングローラ74と、シートSに画像を定着させる定着装置75と、シートSを冷却する冷却装置76と、シートSを装置外に排出する一対の排紙ローラ77と、排出されたシートSが載置される排紙トレイ78を備えている。
【0086】
図19に示される画像形成装置200は次のように動作する。
【0087】
作像動作が開始されると、各プロセスユニット61Y,61C,61M,61Bkの感光体62が図の反時計回りに回転駆動され、帯電ローラ63によって各感光体62の表面が所定の極性に一様に帯電される。そして、読取装置によって読み取られた原稿の画像情報に基づいて、露光装置66が各感光体62の帯電面にレーザ光を照射し、各感光体62の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体62に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように感光体62上に形成された静電潜像に、各現像装置64によってトナーが供給されることにより、静電潜像がトナー画像として顕像化(可視像化)される。
【0088】
転写装置67においては、中間転写ベルト68を支持する複数のローラ69A~69Dのうちの1つが駆動ローラとして回転することにより、中間転写ベルト68が
図19の矢印の方向に回転する。また、各一次転写ローラ70に、トナーの帯電極性とは逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加されることによって、各一次転写ローラ70と各感光体62との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。そして、各感光体62に形成された上記各色のトナー画像が、一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト68上に順次重ね合わせて転写される。かくして、中間転写ベルト68には、フルカラーのトナー画像が担持される。なお、中間転写ベルト68に転写しきれなかった各感光体62上のトナーは、クリーニングブレード65によって除去される。
【0089】
中間転写ベルト68上に転写されたトナー画像は、中間転写ベルト68の回転に伴って二次転写ニップ(二次転写ローラ71の位置)へ搬送され、タイミングローラ74によって搬送されてきたシートS上に転写される。このシートSは、給紙カセット72から供給されたものである。給紙カセット72においては、印刷動作開始の指示があった後、給紙ローラ73が回転することにより、シートSが1枚ずつ送り出される。そして、送り出されたシートSは、一対のタイミングローラ74によって一旦停止された後、中間転写ベルト68上のトナー画像が二次転写ニップに至るタイミングに合わせて二次転写ニップへ搬送される。このとき、二次転写ローラ71には、中間転写ベルト68上のトナー画像の帯電極性とは逆極性の転写電圧が印加されており、この転写電圧により形成された転写電界によって、中間転写ベルト68上のトナー画像がシートS上に転写される。
【0090】
その後、シートSは、定着装置75へと搬送され、定着装置75が備える定着ローラ81と加圧ローラ82によってシートS上のトナー画像が加熱及び加圧されることにより、トナー画像がシートSに定着される。そして、シートSは、冷却装置76へ搬送されて冷却された後、一対の排紙ローラ77によって排紙トレイ78へ排出される。これにより、一連の作像動作が終了する。
【0091】
ここで、上記画像形成装置200が備える冷却装置76は、次のような構成をしている。
【0092】
図20に示されるように、冷却装置76は、一対の搬送ベルト51A,51Bを備えている。各搬送ベルト51A,51Bは無端状のベルト部材によって構成されており、それぞれ、一対の搬送ローラ52によって張架されている。各搬送ローラ52のうちの少なくとも1つは、モータなどの駆動源によって回転駆動する駆動ローラであり、その搬送ローラ52が回転駆動することにより、各搬送ベルト51A,51Bが回転する。これにより、各搬送ベルト51A,51BによってシートSが挟持されながら搬送される。
【0093】
また、
図19に示されるように、一対の搬送ベルト51A,51Bの内側には、それぞれ冷却部材53A,53Bが配置されている。各冷却部材53A,53Bは、加圧手段としてのばね54によって各搬送ベルト51A,51Bの内周面に加圧されて接触している。このため、各搬送ベルト51A,51Bの間にシートSが搬送されると、回転する各搬送ベルト51A,51BによってシートSが搬送されながら、各冷却部材53A,53BによってシートSが表裏両側から冷却される。
【0094】
上記のような一対の搬送ベルト51A,51Bを備える冷却装置76においては、各搬送ベルト51A,51Bを支持する搬送ローラ52が偏心していたりすると、各搬送ベルト51A,51Bに蛇行(シート幅方向の位置ずれ)が発生する虞がある。そのため、
図20に示される冷却装置76においては、各搬送ベルト51A,51Bの内側に、各搬送ベルト51A,51Bの位置を検知する位置センサ55が配置されている。これらの位置センサ55は、各搬送ベルト51A,51Bの表面を検知することにより、各搬送ベルト51A,51Bの蛇行の有無を判定する。そして、各搬送ベルト51A,51Bの蛇行が生じた場合、搬送ローラ52に設けられている蛇行補正手段56によって各搬送ベルト51A,51Bの位置(シート幅方向の位置)が補正される。
【0095】
このように、搬送ベルト51A,51Bの蛇行を検知する位置センサ55を備える冷却装置76においては、位置センサ55の取付精度が蛇行の検知精度に影響する。このため、斯かる冷却装置76においても、上記実施形態に係る搬送装置と同じように、本発明に係るセンサ取付構造を適用することが好ましい。これにより、センサの取付を簡単にかつ精度良く行えるようになり、蛇行の検知精度も向上する。また、本発明は、このような冷却装置76として機能する搬送装置に限らず、
図19に示されるような中間転写ベルト68を備える転写装置67などの冷却装置以外の搬送装置にも適用可能である。
【0096】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限らず、発明の内容を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能である。
【0097】
ここで、本発明に係る「液体吐出装置」には、液体吐出ヘッド又はヘッドユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて液体を吐出させる装置が含まれる。例えば、「液体吐出装置」には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中又は液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0098】
また、「液体吐出装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。例えば、「液体吐出装置」としては、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0099】
また、「液体吐出装置」は、吐出された液体によって文字、図形などの有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターンなどを形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0100】
また、「液体吐出装置」には、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドがシート幅方向に移動しながら液体を吐出するシリアル型装置のほか、液体吐出ヘッドがシート幅方向に移動せずに液体を吐出するライン型装置(
図3参照)などがある。
【0101】
また、「液体吐出装置」には、他にも、シートの表面を改質するなどの目的でシートの表面に処理液を吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などが含まれる。
【0102】
また、上記「液体吐出ヘッド」とは、ノズルから液体を吐出又は噴射する機能部品である。吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度又は表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、又は加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水又は有機溶媒などの溶媒、染料又は顔料などの着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤などの機能性付与材料、DNA、アミノ酸又はたんぱく質、カルシウムなどの生体適合材料、天然色素などの可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子又は発光素子の構成要素、あるいは電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液などの用途で用いることができる。
【0103】
液体を吐出するエネルギー発生源としては、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0104】
また、本発明において、「ヘッドユニット」は、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体が含まれる。例えば、「ヘッドユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構、液体循環装置の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。また、ヘッドユニットは、上記実施形態のような複数の液体吐出ヘッドを備えるもののほか、1つの液体吐出ヘッドを備えるものであってもよい。
【0105】
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていてもよい。
【0106】
例えば、ヘッドユニットとして、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、これらのヘッドユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。また、ヘッドユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。さらに、ヘッドユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものもある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものもある。
【0107】
また、ヘッドユニットは、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものであってもよい。また、ヘッドユニットとして、ヘッドタンクもしくは流路部品が取り付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものもある。
【0108】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0109】
また、上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能な搬送対象物であって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などのシート、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0110】
また、「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0111】
また、「シート」は、長尺に形成された連続シート(ロール紙など)のほか、あらかじめ所定のサイズにカットされたシート(カット紙など)であってもよい。さらに、本発明は、ベルトなどシート以外の搬送対象物を搬送する装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0112】
17 搬送ローラ
21A 側板(ローラ支持部材)
21B 側板(ローラ支持部材)
22 支持シャフト(検知部支持部材)
24 固定部材(検知部支持部材、位置決め部)
25 挿入孔
30 位置センサ(位置検知部)
220 突起部(位置決め部)
222 回り止め突起(位置決め部)
C 挿入方向
S シート(搬送対象物)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0113】