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特開2023-74322樹脂組成物及びその製造方法、エンジニアリングプラスチック用改質剤、並びに、エンジニアリングプラスチック組成物及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074322
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】樹脂組成物及びその製造方法、エンジニアリングプラスチック用改質剤、並びに、エンジニアリングプラスチック組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20230522BHJP
   C08K 5/49 20060101ALI20230522BHJP
   C08K 3/016 20180101ALI20230522BHJP
【FI】
C08L63/00 C
C08K5/49
C08K3/016
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187212
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100140578
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】北川 翔
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002CD191
4J002DA057
4J002DH047
4J002DH057
4J002EF036
4J002EF066
4J002EF096
4J002EN116
4J002EU137
4J002EU187
4J002EU197
4J002EW047
4J002EW137
4J002FD137
4J002FD146
(57)【要約】
【課題】エンジニアリングプラスチックの改質剤として用いられたときに、得られるエンジニアリングプラスチック組成物の難燃性を低下させ難い樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】エポキシ基を有する重合体と、エポキシ基と反応する官能基、及び水酸基を有する化合物Aと、リン原子を含む難燃剤と、を含有する、樹脂組成物が開示される。当該樹脂組成物と、エンジニアリングプラスチックと、を含むエンジニアリングプラスチック組成物も開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ基を有する重合体と、
エポキシ基と反応する官能基、及び水酸基を有する化合物Aと、
リン原子を含む難燃剤と、を含有する、樹脂組成物。
【請求項2】
前記重合体がオレフィン系重合体である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記オレフィン系重合体が、エチレンに由来するモノマー単位と、グリシジルメタクリレートに由来するモノマー単位と、を有する共重合体である、請求項2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記官能基がカルボキシル基である、請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記化合物Aの分子量が1000g/mol以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記難燃剤がリン酸塩化合物を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
エンジニアリングプラスチック用改質剤である、請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
エポキシ基を有する重合体と、エポキシ基と反応する官能基及び水酸基を有する化合物Aと、リン原子を含む化合物を含む難燃剤と、を含有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の樹脂組成物を製造する方法であって、当該方法が、
前記重合体と前記化合物Aと前記難燃剤とを含む混合物を溶融混練することを含む、方法。
【請求項9】
前記重合体と前記化合物Aと前記難燃剤とを含む混合物を溶融混練することが、
前記重合体と前記化合物Aとを含む混合物を溶融混練して中間の溶融混練物を形成することと、
前記中間の溶融混練物と前記難燃剤とを含む混合物を溶融混練して当該樹脂組成物を形成することと、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂組成物と、
エンジニアリングプラスチックと、
を含む、エンジニアリングプラスチック組成物。
【請求項11】
当該エンジニアリングプラスチック組成物が、前記樹脂組成物と前記エンジニアリングプラスチックとを含む混合物の溶融混練物である、請求項10に記載のエンジニアリングプラスチック組成物。
【請求項12】
請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂組成物とエンジニアリングプラスチックとを含む混合物を溶融混練することを含む、エンジニアリングプラスチック組成物を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物及びその製造方法、並びに、エンジニアリングプラスチック用改質剤、並びに、エンジニアリングプラスチック組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジニアリングプラスチックに配合されて、エンジニアリングプラスチックの種々の性質を向上又は改質するための改質剤が知られている。例えば、特許文献1には、(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂、又は該樹脂とポリスチレン系樹脂との混合物5~95質量部と、(B)飽和ポリエステル95~5質量部と、(C)(a)ポリオレフィン系樹脂100部、(b)所定の式で表される化合物、又は該化合物とグリシジルメタクリレート、又はグリシジルメタクリレートからなる変性剤0.1~30部、(c)ビニル系単量体0.1~500部、及び(d)ラジカル重合開始剤を(b)と(c)との合計量100部に対して0.001~10部、含有した水性懸濁液を調製し、該水性懸濁液中の(b)及び(c)を(a)に含浸させ、重合させてなるグラフト変性ポリオレフィン系樹脂を(A)と(B)100部に対し1~100部と、からなる樹脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-259798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
改質剤の配合により、エンジニアリングプラスチックの難燃性が低下することがある。本発明の一側面は、エンジニアリングプラスチックの改質剤として用いられたときに、得られるエンジニアリングプラスチック組成物の難燃性を低下させ難い樹脂組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面は、エポキシ基を有する重合体と、エポキシ基と反応する官能基、及び水酸基を有する化合物Aと、リン原子を含む難燃剤と、を含有する、樹脂組成物に関する。
【0006】
本発明の別の一側面は、エポキシ基を有する重合体と化合物Aとリン原子を含む難燃剤とを含む混合物を溶融混練することを含む、上記樹脂組成物を製造する方法に関する。
【0007】
本発明の更に別の一側面は、上記樹脂組成物を含む、エンジニアリングプラスチック用改質剤に関する。
【0008】
本発明の更に別の一側面は、上記樹脂組成物と、エンジニアリングプラスチックとを含む、エンジニアリングプラスチック組成物に関する。
【0009】
本発明の更に別の一側面は、上記樹脂組成物とエンジニアリングプラスチックとを含む混合物を溶融混練することを含む、エンジニアリングプラスチック組成物を製造する方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、エンジニアリングプラスチックの改質剤として用いられたときに、得られるエンジニアリングプラスチック組成物の難燃性を低下させ難い樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のいくつかの例について詳細に説明する。ただし、本発明は下記の例に限定されない。
【0012】
樹脂組成物の一例は、エポキシ基を有する重合体と、エポキシ基と反応する官能基及び水酸基を有する化合物Aと、リン原子を含む難燃剤と、を含有する。この樹脂組成物は、エンジニアリングプラスチック等の改質剤として用いることができる。以下、この樹脂組成物を「改質用樹脂組成物」ともいうことがある。
【0013】
改質のための重合体と難燃剤とを含む改質用樹脂組成物をエンジニアリングプラスチックと溶融混練したときに、得られるエンジニアリングプラスチック組成物の難燃性が必ずしも十分でないことがあった。これは難燃剤が改質用樹脂組成物からエンジニアリングプラスチックに移行した結果、改質用樹脂組成物自体の難燃性が低下するためであると考えられる。一方で、リン原子を含む難燃剤とともに化合物Aを含む改質用樹脂組成物は、エンジニアリングプラスチックの難燃性を低下させ難い。これは、例えば、リン原子を含む難燃剤が化合物Aを介して重合体に対して固定化され、それにより難燃剤のエンジニアリングプラスチックへの移行が抑制されるためであると推察される。改質用樹脂組成物中の化合物Aのうち少なくとも一部が、エポキシ基と反応する官能基と重合体のエポキシ基との反応により重合体と結合していてもよい。重合体と結合した化合物Aが難燃剤と相互作用することにより、難燃剤のエンジニアリングプラスチックへの移行が特に効果的に抑制されると考えられる。
【0014】
改質用樹脂組成物はエポキシ基を有する重合体を含有する。この重合体は、エポキシ基を有するモノマー単位を少なくとも有する重合体である。エポキシ基を有するモノマー単位は、不飽和カルボン酸グリシジルエステルに由来するモノマー単位、不飽和基を有するグリシジルエーテルに由来するモノマー単位、又はこれらの両方であってもよい。
【0015】
不飽和カルボン酸グリシジルエステルは、下記式(1)で表される化合物であってもよい。式(1)中、Rは、炭素原子数2~18のアルケニル基を示し、アルケニル基は、1以上の置換基を有していてもよい。式(1)で表される化合物の例としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、及びイタコン酸グリシジルエステルが挙げられる。
【0016】
【化1】
【0017】
不飽和基を有するグリシジルエーテルは、下記式(2)で表される化合物であってもよい。式(2)中、Rは、炭素原子数2~18のアルケニル基を示し、アルケニル基は、1以上の置換基を有していてもよい。Xは、CH-O(CHがRに結合する)又は酸素原子を示す。式(2)で表される化合物の例としては、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、及びスチレン-p-グリシジルエーテルが挙げられる。
【0018】
【化2】
【0019】
エポキシ基を有するモノマー単位の割合は、重合体の質量を基準として、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、3質量%以上、又は5質量%以上であってもよい。エポキシ基を有するモノマー単位の割合は、重合体の質量を基準として、30質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、又は8質量%以下であってもよい。エポキシ基を有するモノマー単位の割合は、重合体の質量を基準として、0.1~30質量%、1~15質量%、又は5~8質量%であってもよい。
【0020】
エポキシ基を有する重合体は、オレフィンに由来するモノマー単位を含むオレフィン系重合体であってもよい。オレフィン系重合体を構成するオレフィンは、エチレンに由来するモノマー単位、α-オレフィンに由来するモノマー単位又はこれらの組み合わせであってもよい。α-オレフィンの例としては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-へプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、及び1-エイコセン等の直鎖状オレフィン;ノルボルネン、5-メチルノルボルネン、5-エチルノルボルネン、5-プロピルノルボルネン、5,6-ジメチルノルボルネン、及び1-メチルノルボルネン等の環状オレフィンが挙げられる。
【0021】
オレフィンに由来するモノマー単位の割合(又は、エチレンに由来するモノマー単位及びα-オレフィンに由来するモノマー単位の合計の割合)は、オレフィン系重合体の質量を基準として、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、又は65質量%以上であってもよい。オレフィンに由来するモノマー単位の割合(又は、エチレンに由来するモノマー単位及びα-オレフィンに由来するモノマー単位の合計の割合)は、オレフィン系重合体の質量を基準として、99.9質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、又は70質量%以下であってもよい。オレフィンに由来するモノマー単位の割合(又は、エチレンに由来するモノマー単位及びα-オレフィンに由来するモノマー単位の合計の割合)は、オレフィン系重合体の質量を基準として、50~99.9質量%又は60~80質量%であってもよい。
【0022】
オレフィン系重合体は、エポキシ基を有するモノマー単位、及びオレフィンに由来するモノマー単位の他に、エチレン性不飽和化合物から誘導されるその他のモノマー単位を更に含む共重合体であってもよい。その他のモノマー単位を誘導するエチレン性不飽和化合物の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、及びブチル(メタ)アクリレート等のα,β-不飽和カルボン酸アルキルエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及びブタン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、及びフェニルビニルエーテル等のビニルエーテル;スチレン、メチルスチレン、及びエチルスチレン等のスチレン誘導体が挙げられる。「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、これは類似の化合物においても同様である。
【0023】
その他のモノマー単位の割合は、オレフィン系重合体の質量を基準として、1質量%以上、10質量%以上、又は20質量%以上であってもよい。その他のモノマー単位の割合は、オレフィン系重合体の質量を基準として、50質量%以下、40質量%以下、又は30質量%以下であってもよい。その他のモノマー単位の割合は、オレフィン系重合体の質量を基準として、1~50質量%又は20~30質量%であってもよい。
【0024】
オレフィン系重合体は、エチレンに由来するモノマー単位と、グリシジルメタクリレートに由来するモノマー単位と、を有する共重合体であってもよい。オレフィン系重合体の例としては、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート-メチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート-エチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート-ノルマルプロピル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート-イソプロピル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート-ノルマルブチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート-イソブチル(メタ)アクリレート共重合体、及びエチレン-グリシジル(メタ)アクリレート-酢酸ビニル共重合体が挙げられる。オレフィン系重合体は、エチレン-グリシジル(メタ)アクリレート-メチル(メタ)アクリレート共重合体であってもよい。
【0025】
エポキシ基を有する重合体(又は、オレフィン系重合体)の含有量は、改質用樹脂組成物の全質量を基準として、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、又は75質量%以上であってもよい。エポキシ基を有する重合体(又は、オレフィン系重合体)の含有量は、改質用樹脂組成物の全質量を基準として、95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、又は75質量%以下であってもよい。エポキシ基を有する重合体(又は、オレフィン系重合体)の含有量は、改質用樹脂組成物の全質量を基準として、50~95質量%又は70~80質量%であってもよい。
【0026】
改質用樹脂組成物は、エポキシ基と反応する官能基(但し、水酸基を除く。)、及び水酸基を有する化合物Aを含有する。化合物Aは、エポキシ基を有する重合体のエポキシ基と反応することにより、エポキシ基を有する重合体に固定化され得る。化合物Aは、通常、エポキシ基と反応する官能基とは別に、水酸基を有する。この水酸基は、脂肪族基の炭素原子に結合したアルコール性水酸基であってもよく、フェノール性水酸基であってもよい。
【0027】
化合物Aは、エポキシ基と反応する官能基として、カルボキシル基、アミノ基、及びチオール基からなる群より選ばれる少なくとも一種を有してもよい。アミノ基は、1級アミノ基、2級アミノ基又は3級アミノ基であってもよい。化合物Aは、エポキシ基と反応する官能基を複数有していてもよい。化合物A中のエポキシ基と反応する官能基の数は、3以下、2以下、又は1であってもよい。
【0028】
化合物Aは、水酸基を複数有していてもよい。化合物Aの水酸基の数は、エンジニアリングプラスチックの優れた難燃性の維持の観点から、2以上であってもよく、5以下、3以下、又は2以下であってもよい。
【0029】
化合物Aは、例えば、カルボキシル基と水酸基とを有するヒドロキシカルボン酸、カルボキシル基とアミノ基と水酸基とを有するヒドロキシアミノカルボン酸、及びアミノ基と水酸基とを有するアミノアルコールからなる群より選ばれる少なくとも一種であってもよい。本明細書において、アミノ基を有するヒドロキシカルボン酸は、ヒドロキシアミノカルボン酸に分類される。
【0030】
ヒドロキシカルボン酸の例としては、グリコール酸、乳酸、タルトロン酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸、リンゴ酸、酒石酸、シトラマル酸、クエン酸、イソクエン酸、ロイシン酸、ジメチロール酪酸、メバロン酸、パントイン酸、セレブロン酸、及びキナ酸等の飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸;リシノール酸及びシキミ酸等の不飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸;サリチル酸、クレオソート酸、バニリン酸、シリング酸、レソルシル酸、プロトカテク酸、ゲンチジン酸、オルセリン酸、没食子酸、マンデル酸、ベンジル酸、アトロラクチン酸、メリロト酸、フロレト酸、クマル酸、ウンベル酸、コーヒー酸、フェルラ酸、及びシナピン酸等の芳香族ヒドロキシカルボン酸;3-ヒドロキシピコリン酸、6-ヒドロキシニコチン酸、シトラジン酸、2,6-ジヒドロキシニコチン酸、キヌレン酸、キサンツレン酸、6-ヒドロキシキヌレン酸、8-メトキシキヌレン酸、7,8-ジヒドロキシキヌレン酸、及び7,8-ジヒドロ-7,8-ジヒドロキシキヌレン酸等のヘテロアリールカルボン酸が挙げられる。化合物Aは、複数の水酸基を有するヒドロキシカルボン酸であってもよく、具体的にはグリセリン酸、酒石酸、ジメチロール酪酸、メバロン酸、パントイン酸、キナ酸、シキミ酸、レソルシル酸、プロトカテク酸、ゲンチジン酸、オルセリン酸、没食子酸、ウンベル酸、コーヒー酸、シトラジン酸、2,6-ジヒドロキシニコチン酸、キサンツレン酸、6-ヒドロキシキヌレン酸、7,8-ジヒドロキシキヌレン酸、7,8-ジヒドロ-7,及び8-ジヒドロキシキヌレン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種であってもよい。
【0031】
1級アミノ基を有するヒドロキシアミノカルボン酸の例としては、セリン、及びスレオニンが挙げられる。3級アミノ基を有するヒドロキシアミノカルボン酸の例としては、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸(HEDTA)、ヒドロキシエチルイミノ酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、及び1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパンテトラ酢酸(DPTA-OH)が挙げられる。化合物Aは、複数の水酸基及び3級アミノ基を有するヒドロキシアミノカルボン酸であってもよく、具体的にはジヒドロキシエチルグリシンであってもよい。
【0032】
アミノアルコールの例としては、トリエタノールアミン、n-プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ネオペンタノールアミン、4-アミノ-1-ブタノール、5-アミノ-4-オクタノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、及び2-フェニル-2-アミノエタノール等のアルカノールアミン;N-メチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N-n-ブチルエタノールアミン、N-tert-ブチルエタノールアミン、N-エチルブタノールアミン、3-(メチルアミノ)-1-プロパノール等のN-アルキルモノアルカノールアミン;N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-n-ブチルジエタノールアミン、N-tert-ブチルジエタノールアミン、及びN-ドデシルジエタノールアミン等のN-アルキルジアルカノールアミン;N-フェニルジエタノールアミン;N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N,N-ジブチルエタノールアミン、N,N-ジメチルプロパノールアミン、N,N-ジメチルイソプロパノールアミン、及び2-(ジメチルアミノ)-2-メチル-1-プロパノール等のN,N-ジアルキルモノアルカノールアミン;N-(2-アミノエチル)エタノールアミン等のアミノアルキルアルカノールアミン;ジエチレングリコールアミン;2-アミノ-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-(メチルアミノ)-1,2-プロパンジオール、及び3-(ジメチルアミノ)-1,2-プロパンジオール等のアミノアルカンジオール;N-ベンジルエタノールアミン等の芳香族環含有アルカノールアミン;ヒドロキシエチルピペラジン等の複素環式アミンが挙げられる。化合物Aは複数の水酸基を有するアミノアルコールであってもよく、具体的には2-アミノ-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-(メチルアミノ)-1,2-プロパンジオール、及び3-(ジメチルアミノ)-1,2-プロパンジオールからなる群より選ばれる少なくとも一種であってもよい。
【0033】
化合物Aは、グリセリン酸、酒石酸、ジメチロール酪酸、メバロン酸、パントイン酸、キナ酸、シキミ酸、レソルシル酸、プロトカテク酸、ゲンチジン酸、オルセリン酸、没食子酸、ウンベル酸、コーヒー酸、シトラジン酸、2,6-ジヒドロキシニコチン酸、キサンツレン酸、6-ヒドロキシキヌレン酸、7,8-ジヒドロキシキヌレン酸、7,8-ジヒドロ-7,8-ジヒドロキシキヌレン酸、ジヒドロキシエチルグリシン、2-アミノ-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-(メチルアミノ)-1,2-プロパンジオール、及び3-(ジメチルアミノ)-1,2-プロパンジオールからなる群より選ばれる少なくとも一種であってもよい。
【0034】
化合物Aの分子量は、立体障害が小さいことにより難燃剤と反応しやすく、難燃剤の近傍に存在しやすい観点、及びエンジニアリングプラスチックの優れた難燃性の維持の観点から、1000g/mol以下、500g/mol以下、300g/mol以下、又は200g/mol以下であってもよい。化合物Aの分子量は、50g/mol以上又は100g/mol以上であってもよい。
【0035】
化合物Aの含有量は、改質用樹脂組成物の全質量を基準として、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、又は1.2質量%以上であってもよい。化合物Aの含有量は、改質用樹脂組成物の全質量を基準として、10質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、又は1.5質量%以下であってもよい。化合物Aの含有量は、改質用樹脂組成物の全質量を基準として、0.1~10質量%又は1~3質量%であってもよい。
【0036】
化合物Aの含有量は、エンジニアリングプラスチックの優れた難燃性の維持の観点から、エポキシ基を有する重合体の全質量を基準として、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、1.2質量%以上、又は1.5質量%以上であってもよい。化合物Aの含有量は、エポキシ基を有する重合体の全質量を基準として、10質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、2.5質量%以下、又は2質量%以下であってもよい。化合物Aの含有量は、エポキシ基を有する重合体の全質量を基準として、0.1~10質量%又は1~3質量%であってもよい。
【0037】
改質用樹脂組成物は、リン原子を含む難燃剤を含有する。リン原子を含む難燃剤は、化合物Aの水酸基と反応することで重合体に固定化され得る。難燃剤は、リン原子を含む1種以上の化合物から構成されており、リン系難燃剤として一般に称されているものであってよい。
【0038】
リン原子を含む難燃剤の例としては、赤燐、及びリン酸塩化合物が挙げられる。リン原子を含む難燃剤は、リン酸塩化合物であってもよい。リン酸塩化合物としては、リン酸塩、ポリリン酸塩、リン酸塩及び/又はポリリン酸塩を主成分とする化合物等が挙げられる。リン原子を含む難燃剤は、単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0039】
リン酸塩化合物は、例えば、オルトリン酸又はポリピロリン酸とアミン化合物とから形成された塩であってもよく、リン酸の金属塩(例えば、リン酸カルシウム、及びリン酸マグネシウム)であってもよい。
【0040】
リン酸塩化合物を形成するアミン化合物は、例えば、メラミン、ピペラジン、N,N,N’,N’-テトラメチルジアミノメタン、エチレンジアミン、N,N’-ジメチルエチレンジアミン、N,N’-ジエチルエチレンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-ジエチルエチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,7-ジアミノへプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9ージアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、trans-2,5-ジメチルピペラジン、1,4-ビス(2-アミノエチル)ピペラジン、1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、アクリルグアナミン、2,4-ジアミノ-6-ノニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-ハイドロキシ-1,3,5-トリアジン、2-アミノ-4,6-ジハイドロキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-メトキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-エトキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-プロポキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-イソプロポキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-メルカプト-1,3,5-トリアジン、2-アミノ-4,6-ジメルカプト-1,3,5-トリアジン、アンメリン、フタロジグアナミン、メラミンシアヌレート、ブチレンジグアナミン、ノルボルネンジグアナミン、メチレンジグアナミン、エチレンジメラミン、トリメチレンジメラミン、テトラメチレンジメラミン、ヘキサメチレンジメラミン、及び1,3-ヘキシレンジメラミンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることができる。
【0041】
リン原子を含む難燃剤は、ピロリン酸メラミン塩、ピロリン酸ピペラジン塩、ポリリン酸アンモニウム塩、及びポリリン酸メラミン塩からなる群より選ばれる少なくとも一種のリン酸塩化合物を含んでもよく、ポリリン酸メラミン塩を含んでもよい。
【0042】
リン原子を含む難燃剤の市販品の例としては、株式会社ADEKA製「FP-2500s」、及び「アデカスタブ FP-2100J」、BASFジャパン株式会社製「Melapur200/70」、並びに、クラリアントジャパン株式会社製「EXOLIT AP422」、及び「EXOLIT AP462」が挙げられる。
【0043】
リン原子を含む難燃剤の含有量は、改質用樹脂組成物の全質量を基準として、1質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、又は20質量%以上であってもよい。リン原子を含む難燃剤は、改質用樹脂組成物の全質量を基準として、40質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、又は20質量%以下であってもよい。リン原子を含む難燃剤の含有量は、改質用樹脂組成物の全質量を基準として、1~40質量%又は10~25質量%であってもよい。
【0044】
改質用樹脂組成物は、相溶化剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、着色防止剤、可塑剤、難燃剤(リン原子を含む難燃剤を除く)、可塑剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤等の添加剤を更に含有してもよい。
【0045】
改質用樹脂組成物の酸素指数は、エンジニアリングプラスチック組成物の優れた難燃性の維持の観点から、28%以上又は29%以上であってもよい。酸素指数は後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0046】
改質用樹脂組成物は、例えば、エポキシ基を有する重合体と化合物Aと難燃剤とを含む混合物を溶融混練することを含む方法により得ることができる。エポキシ基を有する重合体と化合物Aと難燃剤とを含む混合物を溶融混練することが、エポキシ基を有する重合体と化合物Aとを含む混合物を溶融混練して中間の溶融混練物を形成することと、中間の溶融混練物と難燃剤とを含む混合物を溶融混練して改質用樹脂組成物を形成することとを含んでもよい。エポキシ基を有する重合体と化合物Aとを含む中間の溶融混練物を形成することを経る方法により、難燃剤がより効率的に重合体に固定化され得る。難燃剤が重合体に固定化されると、エンジニアリングプラスチック組成物の難燃剤がより一層向上し得る。
【0047】
溶融混練は、例えば二軸混練機又はラボプラストミルを用いて行うことができる。二軸混練機としては、例えば、同方向二軸混練押出機が挙げられる。
【0048】
溶融混練される混合物の最高温度は、50~350℃、80~320℃、100~300℃、120~280℃、又は150~250℃であってもよい。
【0049】
溶融混練の混練時間は、1秒~1800秒、10秒~1200秒、又は30秒~600秒であってもよい。
【0050】
改質用樹脂組成物は、例えば、エンジニアリングプラスチックの各種特性(例えば耐衝撃性)を改善するためのエンジニアリングプラスチック用改質剤として用いることができる。エンジニアリングプラスチック及び改質用樹脂組成物を含むエンジニアリングプラスチック組成物は、例えば、改質用樹脂組成物とエンジニアリングプラスチックとを含む混合物を溶融混練することを含む方法によって得ることができる。エンジニアリングプラスチック組成物が、エンジニアリングプラスチックを含む連続相と、連続相中に分散したエポキシ基を有する重合体を含む粒子とを含んでいてもよい。
【0051】
エンジニアリングプラスチックとは、ASTM D648の規格で測定した荷重たわみ温度が100℃以上、ASTM D638の規格で測定した引張強度が50MPa、ASTM D790の規格で測定した曲げ弾性率が2.4GPa以上であるプラチックのことを意味する。耐熱性が150℃以上のプラスチックは特殊エンジニアリングプラスチック、又はスーパーエンジニアリングプラスチックと呼称されるが、本明細書では特殊エンジニアリングプラスチック及びスーパーエンジニアリングプラスチックもエンジニアリングプラスチックに含まれる。
【0052】
エンジニアリングプラスチックの例としては、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、液晶性ポリマー、ポリエーテルスルフォン、ポリアミド、ポリフタルアミド、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、及びポリスルフォンが挙げられる。
【0053】
エンジニアリングプラスチック組成物は、改質用樹脂組成物とは別に添加された、充填材、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、着色防止剤、可塑剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、帯電防止剤及び着色剤などの他の成分を更に含有してもよい。
【0054】
改質用樹脂組成物の含有量は、エンジニアリングプラスチック組成物の全質量を基準として、10質量%以上、15質量%以上、又は20質量%以上であってもよい。改質用樹脂組成物の含有量は、エンジニアリングプラスチック組成物の全質量を基準として、50質量%以下、40質量%以下、又は30質量%以下であってもよい。改質用樹脂組成物の含有量は、エンジニアリングプラスチック組成物の全質量を基準として、10~50質量%であってもよい。
【0055】
エンジニアリングプラスチックの含有量は、エンジニアリングプラスチック組成物の全質量を基準として、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上又は80質量%以上であってもよい。エンジニアリングプラスチックの含有量は、エンジニアリングプラスチック組成物の全質量を基準として、90質量%以下、85質量%以下、又は80質量%以下であってもよい。エンジニアリングプラスチックの含有量は、エンジニアリングプラスチック組成物の全質量を基準として、50~90質量%であってもよい。
【実施例0056】
以下、実施例に基づき発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0057】
1.材料及び装置
(A)エポキシ基を有する重合体
・E-GMA:エチレン-メチルアクリレート-グリシジルメタクリレート共重合体(住友化学株式会社製、商品名:ボンドファースト7M、エチレン単位の含有量:67質量%、グリシジルメタクリレート単位の含有量:6質量%、メチルアクリレート単位の含有量:27質量%)
(B)化合物A
・DHEG:N,N-ジヒドロキシエチルグリシン(東京化成工業株式会社製、濃度:>99.0%、分子量:163.17g/mol)
(C)リン原子を含む難燃剤
・FP-2500s(商品名):リン酸塩化合物及び酸化亜鉛を含む難燃剤(株式会社ADEKA製)
・Melapur200/70(商品名):ポリリン酸メラミン(BASFジャパン株式会社製)
(エンジニアリングプラスチック)
・ポリフェニレンサルファイド(PPS):M2888(商品名)、東レ株式会社製
(ラボプラストミル)
株式会社東洋精機製作所製、4C150型(商品名)
(真空プレス機)
株式会社井本製作所製、IMC-19E6型(商品名)
【0058】
2.樹脂組成物及びその成形体の作製
(実施例1)
ラボプラストミルの投入口に、98.4質量部のE-GMAと、1.6質量部のDHEGとを投入し、これらの混合物を190℃、80回転/分、及び5分間の条件で溶融混練し、中間の溶融混練物を得た。
【0059】
作製した中間の溶融混練物75質量部と、25質量部のFP-2500sとをラボプラストミルの投入口に投入し、これらの混合物を190℃、80回転/分、及び5分間の条件で溶融混練し、樹脂組成物を得た。
【0060】
得られた樹脂組成物を、真空プレス機を用いて、190℃に加熱しながら10分間加圧することにより、シート状の成形体を形成した。その後、成形体を30℃で5分間冷却した。成形体の厚みは3.0mmであった。
【0061】
(比較例1)
ラボプラストミルの投入口に、75質量部のE-GMAと、25質量部のFP-2500sとを投入し、これらの混合物を190℃、80回転/分、及び5分間の条件で溶融混練して、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を実施例1と同様の方法で成形して、シート状の成形体を作製した。
【0062】
(比較例2)
E-GMAを実施例1と同様の方法で成形して、シート状の成形体を作製した。
【0063】
(比較例3)
ラボプラストミルの投入口に、98.4質量部のE-GMAと、1.6質量部のDHEGとを投入し、これらの混合物を190℃、80回転/分、及び5分間の条件で溶融混練し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を実施例1と同様の方法で成形して、シート状の成形体を作製した。
【0064】
3.エンジニアリングプラスチック組成物及びその成形体の作製
(実施例2)
ラボプラストミルの投入口に、98.4質量部のBF-7Mと、1.6質量部のDHEGとを投入し、これらの混合物を190℃、80回転/分、及び5分間の条件で溶融混練し、中間の溶融混練物を得た。作製した中間の溶融混練物75質量部と、25質量部のMelapur200/70とをラボプラストミルの投入口に投入し、これらの混合物を190℃、80回転/分、及び5分間の条件で溶融混練し、樹脂組成物を得た。
【0065】
得られた樹脂組成物20質量部と、ポリフェニレンサルファイド(PPS)80質量部とラボプラストミルの投入口に投入し、これらの混合物を320℃、80回転/分、及び5分間の条件で混練し、PPSを含むエンジニアリングプラスチック組成物を得た。
【0066】
得られたエンジニアリンプラスチック組成物を、真空プレス機を用いて、190℃に加熱しながら10分間加圧することにより、シート状の成形体を形成した。その後、成形体を30℃で5分間冷却した。成形体の厚みは3.0mmであった。
【0067】
(比較例4)
ラボプラストミルの投入口に、75質量部のE-GMAと、25質量部のMelapur200/70とを投入し、これらの混合物を190℃、80回転/分、及び5分間の条件で溶融混練して、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物20質量部と、ポリフェニレンサルファイド(PPS)80質量部とラボプラストミルの投入口に投入し、これらの混合物を320℃、80回転/分、及び5分間の条件で混練し、PPSを含むエンジニアリングプラスチック組成物を得た。得られたエンジニアリングプラスチック組成物を、実施例2と同様の方法で成形して、シート状の成形体を作製した。
【0068】
(比較例5)
20質量部のE-GMAと、ポリフェニレンサルファイド(PPS)80質量部とラボプラストミルの投入口に投入し、これらの混合物を320℃、80回転/分、及び5分間の条件で混練し、PPSを含むエンジニアリングプラスチック組成物を得た。得られたエンジニアリングプラスチック組成物を、実施例2と同様の方法で成形して、シート状の成形体を作製した。
【0069】
4.評価
作製した各成形体から、長さ120mm、幅6.5mm、厚み3.0mmの試験片を切り出した。試験片の酸素指数を、スガ試験機株式会社製の酸素指数測定装置(ON-1)を用い、JIS K 7201-2に準拠した方法によって測定した。測定結果を表1及び表2に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】