(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074359
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】半導体パッケージ用ステム
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20230522BHJP
H01S 5/0231 20210101ALI20230522BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
H01L23/12 S
H01S5/0231
H01L23/36 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187285
(22)【出願日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】中澤 勝哉
【テーマコード(参考)】
5F136
5F173
【Fターム(参考)】
5F136BB07
5F136DA33
5F136FA03
5F173MB01
5F173MC12
5F173MD05
5F173MD07
5F173ME15
(57)【要約】
【課題】アイレットの下面側に放熱部品を容易に配置することが可能な半導体パッケージ用ステムを提供する。
【解決手段】本半導体パッケージ用ステムは、第1面から第2面に貫通する貫通孔が形成されたアイレットと、前記貫通孔に挿入されたリードと、前記アイレットの第2面に接合された金属ベースと、を有し、前記リードは、前記アイレットの第2面側で屈曲して、平面視で前記アイレットの側面から突出し、前記金属ベースは、前記リードと離隔して配置され、前記アイレットと平面視で重複する位置にある前記リードは、側面視で、前記金属ベースの厚さの範囲内に配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面から第2面に貫通する貫通孔が形成されたアイレットと、
前記貫通孔に挿入されたリードと、
前記アイレットの第2面に接合された金属ベースと、を有し、
前記リードは、前記アイレットの第2面側で屈曲して、平面視で前記アイレットの側面から突出し、
前記金属ベースは、前記リードと離隔して配置され、
前記アイレットと平面視で重複する位置にある前記リードは、側面視で、前記金属ベースの厚さの範囲内に配置されている、半導体パッケージ用ステム。
【請求項2】
前記リードは、前記アイレットを貫通する第1部分と、前記第1部分と連続し、前記アイレットの下面に平行な第2部分と、を有する、請求項1に記載の半導体パッケージ用ステム。
【請求項3】
前記第1部分と前記第2部分とのなす角は、直角である、請求項2に記載の半導体パッケージ用ステム。
【請求項4】
前記リードを複数有し、
各々の前記リードは、前記第1部分及び前記第2部分を有し、
各々の前記第2部分同士は、互いに平行である、請求項2又は3に記載の半導体パッケージ用ステム。
【請求項5】
前記アイレットの第2面の外周部は、前記金属ベースから露出する、請求項1乃至4の何れか一項に記載の半導体パッケージ用ステム。
【請求項6】
前記アイレットに設けられた第2貫通孔に一端側が挿入され、前記アイレットの第1面から他端側が突出する金属ブロックを有する、請求項1乃至5の何れか一項に記載の半導体パッケージ用ステム。
【請求項7】
前記金属ブロックの一端側は、前記金属ベースと接合されている、請求項6に記載の半導体パッケージ用ステム。
【請求項8】
前記金属ブロックは、台座部、及び前記台座部から突出する柱状部を備え、
前記台座部は前記第2貫通孔に挿入され、前記柱状部は前記第1面から突出する部分を備え、
前記柱状部は、半導体素子を搭載する素子搭載面を含み、
平面視において、前記台座部の外周部が前記柱状部の周囲に露出している、請求項6又は7に記載の半導体パッケージ用ステム。
【請求項9】
前記素子搭載面の一部は、前記第2貫通孔内に位置している、請求項8に記載の半導体パッケージ用ステム。
【請求項10】
前記柱状部の周囲に露出する前記台座部の外周部において、前記素子搭載面側の幅は、前記柱状部の他の面側の幅よりも狭い、請求項8又は9に記載の半導体パッケージ用ステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージ用ステムに関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子を搭載する半導体パッケージ用ステムにおいて、例えば、円板状のアイレットに、アイレットの上面から突出する金属ブロックを設け、金属ブロックの一面を、半導体素子を搭載する素子搭載面とする構造が知られている。アイレットにはリードを挿入する複数の貫通孔が設けられ、リードは貫通孔内にガラス等の封止部により封止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような半導体パッケージ用ステムでは、リードはアイレットを貫通してアイレットの下面から突出し、アイレットの下面と垂直な方向に延伸する。そのため、アイレットの下面側にヒートスプレッダ等の放熱部品を配置する場合、ヒートスプレッダ等にリードを挿入する孔を設けることが必要となるため、アイレットの下面側に放熱部品を配置することは容易ではなかった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、アイレットの下面側に放熱部品を容易に配置することが可能な半導体パッケージ用ステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本半導体パッケージ用ステムは、第1面から第2面に貫通する貫通孔が形成されたアイレットと、前記貫通孔に挿入されたリードと、前記アイレットの第2面に接合された金属ベースと、を有し、前記リードは、前記アイレットの第2面側で屈曲して、平面視で前記アイレットの側面から突出し、前記金属ベースは、前記リードと離隔して配置され、前記アイレットと平面視で重複する位置にある前記リードは、側面視で、前記金属ベースの厚さの範囲内に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、半導体パッケージ用ステムにおいて、アイレットの下面側に放熱部品を容易に配置することが可能な半導体パッケージ用ステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る半導体パッケージ用ステムを例示する斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る半導体パッケージ用ステムを例示する図である。
【
図4】第1実施形態に係る半導体パッケージ用ステムの製造工程の主要部を例示する図(その1)である。
【
図5】第1実施形態に係る半導体パッケージ用ステムの製造工程の主要部を例示する図(その2)である。
【
図6】半導体パッケージ用ステムの実装形態の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
〈第1実施形態〉
図1は、第1実施形態に係る半導体パッケージ用ステムを例示する斜視図であり、
図1(a)は上面側から視た斜視図、
図1(b)は下面側から視た斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る半導体パッケージ用ステムを例示する図であり、
図2(a)は平面図、
図2(b)は
図2(a)のA-A線に沿う断面図である。
【0011】
図1及び
図2を参照すると、第1実施形態に係る半導体パッケージ用ステム1は、アイレット10と、金属ブロック30と、第1リード41と、第2リード42と、封止部50と、金属ベース60とを有する。
【0012】
アイレット10は、円板状の部材である。本願において、円板状とは、平面形状が略円形で所定の厚さを有するものを指す。直径に対する厚さの大小は問わない。また、部分的に凹部や凸部、貫通孔等が形成されているものも含むものとする。
【0013】
また、本願において、平面視とは対象物をアイレット10の上面10aの法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物をアイレット10の上面10aの法線方向から視た形状を指すものとする。また、本願において、平行、垂直、及び直角は、±5度以内の差を許容するものとする。ただし、厳密に平行、厳密に垂直、及び厳密に直角と記載する場合は、この限りではない。
【0014】
アイレット10の側面には、例えば、対向する平面である切り欠き部11及び12を形成することができる。切り欠き部11及び12は、例えば、半導体パッケージ用ステム1が半導体素子を搭載する際の素子搭載面の位置出し等に用いることができる。切り欠き部11及び12は、半導体パッケージ用ステム1の回転方向の位置出し等に用いてもよい。切り欠き部11及び12は、必要に応じて設ければよい。
【0015】
アイレット10の直径は、特に制限がなく、目的に応じて適宜決定できるが、例えば、φ5.6mmやφ9.0mm等である。アイレット10の厚さは、特に制限がなく、目的に応じて適宜決定できるが、例えば、0.5~3mm程度である。
【0016】
アイレット10は、例えば、鉄やステンレス等の金属材料から形成できる。アイレット10を、複数の金属層(銅層や鉄層等)が積層された金属材料(例えば、所謂クラッド材)から形成してもよい。アイレット10の表面にめっきを施してもよい。アイレット10の表面に施すめっきとしては、例えば、金めっきが挙げられる。
【0017】
アイレット10には、上面10aから下面10bに貫通する貫通孔10xが形成されている。金属ブロック30は、アイレット10に設けられた貫通孔10xに一端側が挿入され、アイレット10の上面10aから他端側が突出する。本実施形態では、一例として、金属ブロック30は、台座部31と、台座部31の上面31aから突出する柱状部32とを備えている。台座部31と柱状部32は、一体に形成されている。柱状部32は、半導体素子(例えば、レーザ等の発光素子)を搭載する素子搭載面30rを含んでいる。素子搭載面30rは、アイレット10の上面10aに対して垂直になるように設けられている。なお、台座部31の上面31aは平坦面であるとは限らない。
【0018】
金属ブロック30の一端側は、金属ベース60と接合されている。本実施形態では、一例として、台座部31は、アイレット10の貫通孔10xに挿入されて下面(金属ブロック30の下面30b)が金属ベース60と接合されている。柱状部32は、アイレット10の上面10aから突出する部分を備えている。柱状部32は、大部分がアイレット10の上面10aから突出している。柱状部32は、全ての部分がアイレット10の上面10aから突出してもよいが、柱状部32の台座部31側は、貫通孔10x内に位置することが好ましい。金属ブロック30の下面30bは、例えば、アイレット10の下面10bと略面一である。
【0019】
平面視において、台座部31の上面31aの外周部は、柱状部32の周囲に露出している。柱状部32の周囲に露出する台座部31の上面31aの外周部において、素子搭載面30r側の幅は、柱状部32の他の面側の幅よりも狭い。言い換えれば、平面視において、柱状部32の中心は、台座部31の中心に対してA-A線方向に沿って第1リード41及び第2リード42側にオフセットしている。柱状部32の周囲に露出する台座部31の上面31aの外周部において、素子搭載面30r側の幅は例えば0.05mm程度であり、柱状部32の他の面側の幅は例えば0.5mm程度である。このような形状とすることで、アイレット10に第1リード41及び第2リード42を配置する領域を十分に確保できる。
【0020】
平面視において、台座部31は略矩形であるが、台座部31の素子搭載面30r側(第1リード41及び第2リード42側)の第1辺の両端の角部が丸みを帯びており、第1辺に対向する第2辺の両端の角部が第1辺の両端の角部よりも半径の大きな丸みを帯びている。台座部31を上記のような形状とすることで、アイレット10の形状に沿って台座部31を配置することが容易となる。
【0021】
平面視において、柱状部32は略矩形であるが、柱状部32の素子搭載面30r側の第1辺の両端の角部が丸みを帯びており、第1辺に対向する第2辺の両端の角部が第1辺の両端の角部と同程度の丸みを帯びている。柱状部32は、半導体パッケージ用ステム1が半導体素子を搭載した半導体パッケージとして使用されるときに半導体素子を搭載し固定する部分であり、半導体素子から発する熱を放散する放熱板としての機能も有する。柱状部32を上記のような形状とすることで、柱状部32の体積を十分に確保でき、放熱性を向上できる。
【0022】
金属ブロック30の上面30aとアイレット10の上面10aとの距離(柱状部32のアイレット10の上面10aからの突出量)は、例えば、3~4mm程度である。金属ブロック30には、アイレット10よりも熱伝導率の高い材料を用いることができる。アイレット10の材料が鉄であれば、例えば、金属ブロック30の材料は銅である。
【0023】
図3は、
図2(b)のB部の部分拡大断面図である。
図3に示すように、素子搭載面30rの一部は、貫通孔10x内に位置していることが好ましい。金属ブロック30は製造上の理由により、素子搭載面30rの台座部31側はダレ領域となる。ダレ領域は、R状となり平坦にはならない。素子搭載面30rの一部が貫通孔10x内に位置していることで、素子搭載面30rのダレ領域を貫通孔10x内に入り込ませることができる。素子搭載面30rのダレ領域は、すべて貫通孔10x内に位置していることが好ましい。これにより、アイレット10の上面10aから突出する部分の素子搭載面30rの平坦な領域の面積を大きくできる。その結果、より大きな素子が搭載できる。
【0024】
図1及び
図2の説明に戻り、アイレット10には、上面10aから下面10bに貫通する貫通孔10yが形成されている。第1リード41及び第2リード42は、例えば、別々の貫通孔10yに挿入されている。第1リード41及び第2リード42は、互いに絶縁された状態で1つの貫通孔10yに挿入されてもよい。第1リード41及び第2リード42は、アイレット10の下面10b側で屈曲して、平面視でアイレット10の側面から突出している。第1リード41及び第2リード42の直径は、例えば、0.3~1mm程度とすることができる。
【0025】
第1リード41は、アイレット10を貫通する第1部分41Aと、第1部分41Aと連続し、アイレット10の下面10bに平行な第2部分41Bとを有する。同様に、第2リード42は、アイレット10を貫通する第1部分42Aと、第1部分42Aと連続し、アイレット10の下面10bに平行な第2部分42Bとを有する。
【0026】
第1リード41の第1部分41Aは、アイレット10を上面10aから下面10bに貫通する貫通孔10yに、アイレット10の上面10aに垂直となるように挿入されている。同様に、第2リード42の第1部分42Aは、アイレット10を厚さ方向に貫通する貫通孔10yに、アイレット10の上面10aに垂直となるように挿入されている。アイレット10の各々の貫通孔10y内において、第1リード41の第1部分41A及び第2リード42の第1部分42Aの周囲は封止部50に封止されている。
【0027】
第1リード41において、第1部分41Aと第2部分41Bとのなす角は、例えば、直角である。また、第2リード42において、第1部分42Aと第2部分42Bとのなす角は、例えば、直角である。第1リード41の第2部分41Bと、第2リード42の第2部分42Bとは、例えば、互いに平行である。ただし、これには限定されず、第1リード41の第2部分41Bは、第2リード42の第2部分42Bと非平行であってもよい。
【0028】
第1リード41の第1部分41Aは、例えば、第2リード42の第1部分42Aと平行である。第1リード41の第1部分41A及び第2リード42の第1部分42Aの一部は、アイレット10の上面10a及び下面10bから突出している。第1リード41の第1部分41A及び第2リード42の第1部分42Aにおいて、アイレット10の上面10aからの突出量は、例えば、1~3mm程度である。第1リード41の第1部分41A及び第2リード42の第1部分42Aにおいて、アイレット10の下面10bからの突出量は、例えば、0.5~1.5mm程度である。
【0029】
第1リード41の第2部分41B及び第2リード42の第2部分42Bの一部は、平面視でアイレット10の側面から突出している。第1リード41の第2部分41B及び第2リード42の第2部分42Bにおいて、平面視でアイレット10の側面からの突出量は、例えば、1~3mm程度である。ただし、第1リード41の第2部分41B及び第2リード42の第2部分42Bにおいて、平面視でアイレット10の側面からの突出量は、使用方法により適宜変更してかまわない。ここで、使用方法とは、第1リード41及び第2リード42をソケットに挿入する場合や、第1リード41及び第2リード42に線材をはんだ付けする場合等である。
【0030】
第1リード41及び第2リード42は、例えば、50%鉄-ニッケル合金やコバール等の金属から形成されており、封止部50は、例えば、ガラス材等の絶縁材料から形成されている。第1リード41及び第2リード42は、例えば、半導体パッケージ用ステム1に搭載される半導体素子と電気的に接続される。なお、搭載する半導体素子の仕様に合わせて、リードの数を増減させてもよい。
【0031】
金属ベース60は、アイレット10の下面10bに、貫通孔10xの一端側を塞ぐように接合されている。例えば、平面視で、金属ベース60の外形はアイレット10の外形よりも小さく、金属ベース60にはアイレット10の外形よりもはみ出す部分がない。金属ベース60は、第1リード41及び第2リード42と離隔して配置されている。つまり、金属ベース60は、第1リード41及び第2リード42が通る部分には設けられていない。言い換えれば、金属ベース60には、第1リード41及び第2リード42が通る貫通孔10yは形成されていない。
【0032】
アイレット10と平面視で重複する位置にある第1リード41及び第2リード42は、側面視で、金属ベース60の厚さの範囲内に配置されている、つまり、アイレット10と平面視で重複する位置にある第1リード41及び第2リード42は、側面視で、金属ベース60の下面60bよりもアイレット10側に配置されている。ここで、側面視とは、アイレット10の上面10aと厳密に平行な方向から対象物を視ることである。
【0033】
なお、アイレット10と平面視で重複する位置にない第1リード41及び第2リード42は、側面視で、金属ベース60の下面60bよりも下側に位置する部分を有してもよい。例えば、第1リード41及び第2リード42の平面視でアイレット10の側面から突出する部分の一部が金属ベース60の下面60bよりも下側に位置してもよい。
【0034】
金属ベース60の厚さは、第1リード41及び第2リード42の直径よりも厚い範囲内で適宜決定できるが、例えば、0.5~3mm程度とすることができる。金属ベース60の厚さは、アイレット10の厚さよりも薄くてもよいし厚くてもよい。金属ベース60の熱伝導率は、アイレット10の熱伝導率と同等以上である。例えば、アイレット10の材料が鉄である場合、金属ベース60の材料として、アイレット10よりも熱伝導率の良い銅を用いることができる。この場合、半導体パッケージ用ステム1の放熱性能を向上できる。
【0035】
金属ベース60の材料が銅である場合、アイレット10の下面10bの外周部には、金属ベース60を配置しないことが好ましい。言い換えれば、アイレット10の下面10bの外周部は、金属ベース60から露出することが好ましい。半導体パッケージ用ステム1を用いて半導体パッケージを作製する際に、アイレット10の上面10aの外周部にキャップを溶接する場合がある。溶接の際に、アイレット10の下面10bの外周部はアイレット10を固定する治具の受け部分として使用されるため、その領域にやわらかい銅が存在すると銅が変形するおそれがあるからである。
【0036】
ただし、従来と同様のキャップを使用しない場合には、アイレット10の下面10bの外周部に金属ベース60を配置してもよいし、金属ベース60が平面視でアイレット10の外側にはみ出してもよい。これらの場合は、金属ベースの体積が増えるため、放熱性能を向上できる。
【0037】
アイレット10の材料が鉄である場合、金属ベース60の材料として、鉄を用いてもよい。このようにアイレット10と金属ベース60とが同一材料により形成されている場合、アイレット10と金属ベース60の熱膨張係数が同一となる。そのため、アイレット10と金属ベース60の熱による変形を抑制でき、半導体パッケージ用ステム1に半導体素子を搭載した半導体パッケージを作製したときに、半導体パッケージの気密性を向上できる。
【0038】
なお、金属ベース60は、金属ブロック30と一体に形成されたものであってもよい。
【0039】
図4及び
図5は、第1実施形態に係る半導体パッケージ用ステムの製造工程の主要部を例示する図である。
【0040】
半導体パッケージ用ステム1を作製するには、まず、
図4に示すように、台座部31、及び台座部31から突出する柱状部32を備えた金属ブロック30を作製する。金属ブロック30を作製するには、例えば、棒状の材料に対して引き抜き加工を行って所定形状に成型し、切断して個片化する。個片化された各々の材料は、台座部31及び柱状部32となる部分である。その後、個片化された各々の材料に対して金型を用いてフォーミングを行う。具体的には、個片化された各々の材料に対して、柱状部32となる部分を周囲から金型で押圧し、素子搭載面30rとなる部分を平坦化する。これにより、押圧された部分は押圧されていない部分よりも小さくなる。つまり、押圧された部分は柱状部32となり、押圧されていない部分が台座部31となり、
図4の形状ができ上る。平面視において、台座部31の外周部は、柱状部32の周囲に露出する。なお、ここでいう平坦とは、平面度が0.005mmMAX程度の面であることを示す。なお、
図4では、素子搭載面30rの平坦な部分を梨地模様で示している。
【0041】
次に、
図5(a)に示すように、プレス加工等により、上面10aから下面10bに貫通する貫通孔10xや貫通孔10yが形成されたアイレット10を作製する。そして、貫通孔10yに、あらかじめ所定形状の屈曲させた第1リード41及び第2リード42を挿入し、貫通孔10y内において第1リード41及び第2リード42の周囲を封止部50で封止する。あるいは、貫通孔10yに、屈曲していない第1リード41及び第2リード42を挿入し、貫通孔10y内において第1リード41及び第2リード42の周囲を封止部50で封止した後、所定形状に屈曲させてもよい。
【0042】
次に、
図5(b)に示すように、図示しない金属接合材を金属ベース60の上面60a上に配置し、さらに金属接合材の上に
図5(a)に示す構造体を配置する。そして、金属ブロック30の台座部31をアイレット10の貫通孔10xに挿入し、柱状部32の少なくとも一部がアイレット10の上面10aから突出するように配置する。金属ブロック30の下面30bは、金属接合材と接する。
【0043】
次に、
図5(c)に示すように、金属接合材を融点より高い温度まで加熱して溶融させ、その後凝固させる。この際、アイレット10及び金属ブロック30を金属ベース60側に押圧してもよい。金属接合材は、溶融により略均一に薄くなるため、金属ブロック30の下面30bはアイレット10の下面10bと略面一となる。また、溶融した金属接合材の一部は、毛細管現象により隙間に入り込み、隙間を充填した状態で凝固する。これにより、アイレット10と金属ベース60と金属ブロック30とが接合される。
【0044】
このように、金属ブロック30の下面30bは、金属接合材により金属ベース60の上面60aに接合され、金属ブロック30の側面30cは金属接合材によりアイレット10の貫通孔10xの内壁面10cに接合される。また、アイレット10の下面10bは、金属接合材により金属ベース60の上面60aに接合される。以上により、半導体パッケージ用ステム1が完成する。
【0045】
なお、半導体パッケージ用ステム1に半導体素子を搭載した半導体パッケージの製造工程は、300℃程度に加熱する工程を含む場合がある。そのため、アイレット10と金属ベース60と金属ブロック30とを接合する金属接合材としては、融点が350℃以上の材料を選定することが好ましい。金属接合材としては、例えば、融点が800℃程度である銀ろうを用いることができる。
【0046】
このように、半導体パッケージ用ステム1では、第1リード41及び第2リード42がアイレット10の下面10b側で屈曲して、平面視でアイレット10の側面から突出している。そして、アイレット10と平面視で重複する位置にある第1リード41及び第2リード42は、側面視で、金属ベース60の厚さの範囲内に配置されている。
【0047】
これにより、金属ベース60の下面60bにヒートスプレッダ等の放熱部品を配置する際に、ヒートスプレッダ等に第1リード41及び第2リード42を通すための孔をあけることが不要となる。その結果、アイレット10の下面10b側にヒートスプレッダ等の放熱部品を容易に配置することが可能となる。また、金属ベース60の下面60bとヒートスプレッダ等の放熱部品との接触面積を大きくすることが可能となるため、放熱性能を向上できる。
【0048】
なお、半導体パッケージ用ステム1は、1本のリードを有してもよいし、3本以上のリードを有してもよい。
【0049】
図6は、半導体パッケージ用ステムの実装形態の一例である。
図6に示す半導体パッケージ用ステム1の第1リード41及び第2リード42は、ソケット100に挿入されている。ソケット100は、例えば、配線基板に実装することができる。半導体パッケージ用ステム1をソケット100と接続することで、半導体パッケージ用ステム1の交換が容易となる。
【0050】
また、半導体パッケージ用ステム1では、第1リード41及び第2リード42がアイレット10の側面側に突出するため、第1リード41及び第2リード42の先端をアイレット10の上面10a側から視認できる。そのため、第1リード41及び第2リード42をソケット100に接続したり、配線とはんだで接続したりすることが容易である。
【0051】
また、半導体パッケージ用ステム1では、台座部31及び台座部31から突出する柱状部32を備えた金属ブロック30を予め作製し、台座部31がアイレット10の貫通孔10xに挿入されて柱状部32がアイレット10の上面10aから突出する部分を備えた構造とする。これにより、素子搭載面30rの平坦な領域を十分に確保することが可能な半導体パッケージ用ステム1を実現できる。また、封止部50にクラックが発生する問題を解消できる。また、
図3に示したように、素子搭載面30rをアイレット10の上面10aよりも下方まで形成した場合には、素子搭載面30rの平坦な領域を一層広く確保できる。
【0052】
また、半導体パッケージ用ステム1では、アイレット10の下面10bに貫通孔10xの一端側を塞ぐように、アイレット10の熱伝導率と同等以上の熱伝導率の金属ベース60が接合されている。そして、金属ブロック30の一端側(下面30b側)が貫通孔10xに挿入されて貫通孔10x内で金属ベース60と接合され、他端側(上面30a側)がアイレット10の上面10aから突出している。また、金属ブロック30の下面30bは、アイレット10の下面10bと略面一である。
【0053】
このような構造により、金属ブロック30の素子搭載面30rに半導体素子を搭載した際に放熱部となる金属ベース60に、金属ブロック30の下面30bを近づけることができる。また、金属ブロック30を貫通孔10x内に挿入することにより、金属ブロック30の体積を増やすことができる。その結果、半導体パッケージ用ステム1の放熱性能を向上できる。
【0054】
以上、好ましい実施形態について詳説したが、上述した実施形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 半導体パッケージ用ステム
10 アイレット
10a,30a,60a 上面
10b,30b,60b 下面
10c 内壁面
10x,10y 貫通孔
11,12 切り欠き部
30 金属ブロック
30c 側面
30r 素子搭載面
31 台座部
32 柱状部
41 第1リード
41A,42A 第1部分
42 第2リード
42B,42B 第2部分
50 封止部
60 金属ベース
100 ソケット