IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-EUVレジストのUV処理 図1A
  • 特開-EUVレジストのUV処理 図1B
  • 特開-EUVレジストのUV処理 図1C
  • 特開-EUVレジストのUV処理 図1D
  • 特開-EUVレジストのUV処理 図1E
  • 特開-EUVレジストのUV処理 図1F
  • 特開-EUVレジストのUV処理 図2A
  • 特開-EUVレジストのUV処理 図2B
  • 特開-EUVレジストのUV処理 図2C
  • 特開-EUVレジストのUV処理 図3
  • 特開-EUVレジストのUV処理 図4
  • 特開-EUVレジストのUV処理 図5
  • 特開-EUVレジストのUV処理 図6
  • 特開-EUVレジストのUV処理 図7
  • 特開-EUVレジストのUV処理 図8
  • 特開-EUVレジストのUV処理 図9
  • 特開-EUVレジストのUV処理 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074494
(43)【公開日】2023-05-29
(54)【発明の名称】EUVレジストのUV処理
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20230522BHJP
   G03F 7/26 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G03F7/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022183051
(22)【出願日】2022-11-16
(31)【優先権主張番号】17/455365
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン グルゼスコヴィアク
(72)【発明者】
【氏名】アンジェリーク ラリー
【テーマコード(参考)】
2H196
2H197
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196EA07
2H196FA01
2H196HA03
2H197AB16
2H197CA03
2H197CA06
2H197CA10
2H197DB06
2H197GA01
2H197JA13
2H197JA17
2H197JA24
(57)【要約】
【課題】EUVレジストのUV処理を提供する。
【解決手段】本方法は、UVスペクトルの極紫外線(EUV)放射領域のUV光の第1のドーズで露光されたパターンを含むレジストを有する基板をデベロッパトラック上にローディングすることと、第1のUV露光モジュールにおいて紫外線放射の第2のドーズで基板をブランケット露光することと、ブランケット露光の後にパターンを現像することと、を含む。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
UVスペクトルの極紫外(EUV)放射線領域におけるUV光の第1のドーズで露光されたパターンを含むレジストを有する基板を、デベロッパトラック上にロードするステップと、
第1のUV露光モジュールにおいて紫外光放射線の第2のドーズで前記基板をブランケット露光するステップと、
前記ブランケット露光するステップの後に前記パターンを現像するステップと、
を有する、方法。
【請求項2】
さらに、前記ブランケット露光するステップの前に、露光後ベークを実施するステップを有し、
前記露光後ベークは、空気または窒素の環境中で、1~3分の間、50℃~250℃の温度で前記基板をベークするように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、前記ブランケット露光するステップの後であって、前記現像するステップの前に、露光後ベークを実施するステップを有し、
前記露光後ベークは、空気または窒素の環境中で、1~3分の間、50℃~250℃の温度で前記基板をベークするように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のUV露光モジュールにおける光の波長は、130nm~300nmの範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のUV露光モジュールは、1mJ/cm~100mJ/cmの間のUV光のドーズで、前記基板をブランケット露光するように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
さらに、前記現像するステップの後に、UV光の第3のドーズで前記基板をブランケット露光するステップを有し、
前記第3のドーズは、80mJ/cmを超える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
UVスペクトルの極紫外(EUV)領域におけるUV光の第1のドーズで、基板上にパターンを形成する方法であって、
EUVリソグラフィツール内に前記基板を配置するステップであって、前記基板の露光される外側表面は、EUVレジストを有する、ステップと、
転写されるパターンを含む光学マスクを介して透過されたEUV光に、前記EUVレジストを露光するステップと、
UV光の第2のドーズで、前記基板上の前記EUVレジストをブランケット露光するステップと、
前記ブランケット露光するステップの後、前記EUVレジストを現像して、前記転写されるパターンを形成するステップと、
を有する、方法。
【請求項8】
さらに、前記EUV光に露光するステップの後であって、前記UV光に対してブランケット露光するステップの前に、前記基板を露光後ベークに供するステップを有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
さらに、
いかなるUV露光も介在させずに、EUV露光だけを用いて、参照EUVレジストをターゲット線幅にパターニングするための、EUV光の第1のドーズを決定するステップと、
前記EUV露光、およびブランケットUV露光を用いて、前記EUVレジストを前記ターゲット線幅にパターニングするための、EUV光の第2のドーズを決定するステップであって、前記第2のドーズは、前記第1のドーズよりも少なくとも20%少ない、ステップと、
を有し、
前記EUVレジストを露光するステップは、前記EUVレジストを前記第2のドーズで露光するステップを有する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
さらに、前記第2のドーズが前記第1のドーズよりも少なくとも30%少なくなるように、前記ブランケット露光のためのブランケットUV露光のドーズを選択するステップを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
さらに、前記基板をEUV光で露光するステップの後、前記基板をデベロッパトラック内にロードするステップを有し、
前記ブランケット露光するステップおよび前記現像するステップは、前記デベロッパトラック内で実施される、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
ブランケットUV光の前記第2のドーズは、130nm~300nmの波長を有し、
露光ドーズは、1mJ/cm~100mJ/cmである、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
さらに、前記ブランケット露光するステップと前記現像するステップの間に、前記基板を露光後ベークに供するステップを有する、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記EUVレジストは、有機金属EUVレジストである、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
さらに、前記現像するステップの後、80mJ/cmを超える露光ドーズを有するUV光の第3のドーズで、前記基板をブランケット露光するステップを有する、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
さらに、
いかなるブランケットUV露光も介在させずに、EUV露光だけを用いて、参照EUVレジストをターゲット線幅にパターニングするための、EUV光の第1のドーズを決定するステップと、
いかなるブランケットUV露光も介在させずに、参照EUVレジストを含む参照基板を、転写される前記パターンを含む前記光学マスクを介して透過された前記EUV光に露光し、前記露光された参照EUVレジストを現像して、転写される前記パターンを形成するステップと、
EUV光で露光されなかった領域に残留するレジストの層を残したまま、時限現像を実施するステップと、
前記露光された参照EUVレジストを現像するステップの後、EUV光で露光されなかった領域における前記参照EUVレジストの残留する第1のレジスト厚さを測定するステップと、
転写される前記パターンを含む前記光学マスクを介して透過された前記EUV光に、複数のテスト基板を露光するステップであって、各テスト基板は、テストEUVレジストを含む、ステップと、
異なるUVドーズのUV光で、前記テスト基板の各々の上にある前記露光されたテストEUVレジストをブランケット露光するステップと、
前記テスト基板の各々に対して前記時限現像を実施して、転写される前記パターンを形成するステップと、
前記テスト基板の各々の前記露光されたテストEUVレジストの前記時限現像の後、ブランケットUVで露光され、EUVで露光されなかった前記領域の各テスト基板に対して、残留するレジストの厚さを測定するステップと、
前記基板上の前記露光されたEUVレジストのブランケット露光のためのUV光のドーズを選択するステップであって、前記選択されたドーズは、ブランケットUV光で露光され、EUVで露光されなかった、前記基板の領域上の前記露光されたテストEUVレジストの厚さに対応し、該厚さは、前記第1のレジスト厚さよりも少なくとも25%薄い、ステップと、
を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項17】
前記選択されたドーズは、ブランケットUV光で露光され、EUVで露光されなかった前記基板の領域における前記露光されたテストEUVレジストの厚さに対応し、前記厚さは、前記第1の残留する現像後のレジスト厚さよりも少なくとも40%薄い、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
さらに、
前記選択されたドーズで基板をパターニングし、前記パターンを完全に現像して、EUV露光されなかった領域からレジストを除去するステップと、
スカム発生に関して前記パターンを検査するステップと、
スカム発生が最小限に抑制されるブランケットUVのドーズが決定されるまで、ブランケットUVの前記選択されたドーズを調整し、基板上にパターンを形成し、スカム発生に関して前記パターンを検査するステップを繰り返すステップと、
ベースラインEUVパターニングプロセスのため、前記調整され選択されたドーズを選定するステップと、
を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記露光された前記EUVレジストを現像するステップは、水素および臭素を含むガスによるドライ現像プロセスを有する、請求項7に記載の方法。
【請求項20】
基板を処理する方法であって、
前記基板上に形成された被パターン化層の上に、有機金属フォトレジストを配置するステップであって、前記有機金属フォトレジストは、金属酸化物粒子に接続されたアルキル配位子を含む、ステップと、
現像される前記有機金属フォトレジストの一部から、前記アルキル配位子の第1の部分を除去することにより、光化学反応生成物を形成するステップと、
前記光化学反応生成物を凝集させ、前記有機金属フォトレジストの前記露光された部分に、金属酸化物ネットワークを形成するステップと、
前記有機金属フォトレジストの前記露光された部分および未露光部分から、前記有機金属フォトレジストにおける前記金属酸化物ネットワークから、前記アルキル配位子の第2の部分を除去するステップと、
前記アルキル配位子の前記第2の部分を除去するステップの後、前記有機金属フォトレジストを現像し、パターン化された有機金属フォトレジストを形成するステップと、
を有する、方法。
【請求項21】
前記光化学反応生成物を形成するステップは、前記有機金属フォトレジスト上に形成されるパターンを含む光学マスクを介して、UVスペクトルの極紫外線(EUV)領域における第1の波長を有するUV光の第1のドーズに、前記有機金属フォトレジストを露光するステップを有し、
前記アルキル配位子の前記第2の部分を除去するステップは、露光されたおよび未露光の前記有機金属フォトレジストを、前記光学マスクを使用せずに、第2の波長を有する第2のUV放射線に露光するステップを有し、
前記第2の波長は、前記第1の波長よりも少なくとも10倍大きい、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第2のUV放射線の露光は、デベロッパトラックに組み込まれたUV光モジュールにおいて実施される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
さらに、前記現像するステップの後、第2の波長を有する第3のUVドーズにより、1分を超える時間、80mJ/cmを超えるドーズで、前記基板をブランケット露光するステップを有する、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記光化学反応生成物を凝集させるステップは、前記基板を露光後ベークプロセスに供するステップを有する、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記露光後ベークプロセスは、空気中、1分~3分の間、前記基板を50℃~250℃に加熱するステップを有する、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的にはEUVレジストに関し、具体的には極紫外線(EUV)レジストの紫外線(UV)処理に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の幾何学的形状が益々、より小さいピッチにスケーリングされるにつれて、これらパターンをプリントするために用いられる光の波長は必然的に更に短くなる。半導体技術ロードマップによれば、2007年にEUVスキャナを製造に導入するという計画であった。十分な強度を有するEUVソースを作製する際に遭遇した技術的挑戦、及びEUV放射に十分な感度を有するEUVフォトレジストを作製する際に遭遇した技術的挑戦が、EUVフォトリソグラフィの導入を2019年まで遅延させた。
【0003】
増加した感度を有する有機金属レジスト、及び増加した強度を有するEUVソースの最近の開発が、5nm及び7nmのトランジスタノードにおける半導体製造へのEUVパターニングの導入を可能にした。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
方法は、UVスペクトルの極紫外線(EUV)放射領域のUV光の第1のドーズで露光されたパターンを含むレジストを有する基板をデベロッパトラック上にローディングすることと、第1のUV露光モジュールにおいて紫外線放射の第2のドーズで基板をブランケット露光することと、ブランケット露光の後にパターンを現像することと、を含む。
【0005】
UVスペクトルの極紫外線(EUV)領域におけるUV光の第1のドーズで基板上にパターンを形成する方法は、基板をEUVリソグラフィツール内に配置することであって、基板の露光された外側表面がEUVレジストを含む、ことと;転写されるパターンを含む光学マスクを通して伝達されたEUV光でEUVレジストを露光することと;基板上のEUVレジストをUV光の第2のドーズでブランケット露光することと;ブランケット露光後にEUVレジストを現像して、転写されるパターンを形成することと、を含む。
【0006】
基板を処理する方法は、基板上に形成された、パターニングされる層上に、有機金属フォトレジストを配置することであって、有機金属フォトレジストは、金属酸化物粒子に結合したアルキル配位子を含む、ことと;アルキル配位子の第1の部分を、現像される有機金属フォトレジストの一部分から除去することにより、光化学反応生成物を形成することと;光化学反応生成物を凝縮させて、有機金属フォトレジストの露光された一部分において金属酸化物ネットワークを形成することと;露光された一部分における有機金属フォトレジスト中の金属酸化物ネットワークから、及び有機金属フォトレジストの露光されていない部分から、アルキル配位子の第2の部分を除去することと;アルキル配位子の第2の部分を除去した後に、有機金属フォトレジストを現像して、パターニングされた有機金属フォトレジストを形成することと、を含む。
【0007】
本発明及びその利点をより完全に理解するために、ここで、添付図面と併せて読まれるべき以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】実施形態による、極紫外線EUVレジストにおけるパターンの形成について説明するフロー図である。
図1B】製造の様々なステージにおける半導体デバイスの断面図であり、図1Aのフロー図におけるステップを示す。
図1C】製造の様々なステージにおける半導体デバイスの断面図であり、図1Aのフロー図におけるステップを示す。
図1D】製造の様々なステージにおける半導体デバイスの断面図であり、図1Aのフロー図におけるステップを示す。
図1E】製造の様々なステージにおける半導体デバイスの断面図であり、図1Aのフロー図におけるステップを示す。
図1F】製造の様々なステージにおける半導体デバイスの断面図であり、図1Aのフロー図におけるステップを示す。
図2A】UV及びEUV光での露光中に有機金属EUVフォトレジストで起こる化学反応を説明する。
図2B】UV及びEUV光での露光中に有機金属EUVフォトレジストで起こる化学反応を説明する。
図2C】UV及びEUV光での露光中に有機金属EUVフォトレジストで起こる化学反応を説明する。
図3】UV及びEUV光での露光中に有機金属EUVフォトレジストで起こる化学反応を説明する。
図4】一実施形態による、有機金属EUVレジストに形成された幾何学的形状のクリティカルディメンジョン(CD)を、EUV露光のみを使用した場合と、EUV露光及びブランケットUV露光を使用した場合とで比較したグラフである
図5】一実施形態による、EUVドーズのグラフと、EUV及びブランケットUVドーズのグラフとを重ね合わせた、EUVレジストの層の断面図である。
図6】一実施形態による、EUVドーズのみで形成されたEUVレジストの幾何学的形状、並びにEUVドーズ及びブランケットUVドーズで形成されたEUVレジストの幾何学的形状の、現像後の断面図である。
図7】一実施形態による、有機金属EUVレジストに形成された幾何学的形状のクリティカルディメンジョン(CD)を、ウェット現像プロセスのみを使用した場合とEUV及びブランケットUV露光の後にドライ現像プロセスを使用した場合とで比較したグラフである
図8】一実施形態による、EUVステッパのスループットを改善する、EUVドーズ及びブランケットUVドーズを選択する方法における主なステップについて説明するフロー図である。
図9】一実施形態による、時限現像後に残っているEUVレジストの厚さをUVドーズに対して示すグラフである。
図10】一実施形態による、EUVパターンにおけるスカム発生を改善するブランケットUVドーズを選択する方法における主なステップについて説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、例示的実施形態を参照して説明されているが、本明細書は、限定的な意味で解釈されることを意図するものではない。当業者であれば、本明細書を参照することにより、それらの例示的実施形態の様々な修正形態及び組み合わせ並びに本発明の別の実施形態が明らかになるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなあらゆる修正形態又は実施形態を包含することが意図される。
【0010】
過去10年間、EUVツールにおいて多くの進歩がなされたが、EUVステッパは、その低いスループットに起因して、依然として製造におけるボトルネックのツールである。EUVステッパにより処理できるウェハーの数は、EUV光の強度及びEUVレジストの感度により制限される。現像中のEUVパターンにおけるスカム発生に対するプロセスウィンドウは、特に密接したピッチを有するエリアにおいて狭い可能性がある。
【0011】
本出願の実施形態は、ブランケットUV光を用いて極紫外線(EUV)レジストパターンを露光することによりパターンを形成する方法を開示する。本出願の実施形態は、EUVレジストにパターンを形成する場合に、EUVステッパを通過するサイクルタイムを減らす方法を開示する。本出願の実施形態は、EUVレジストにパターンを形成する場合に、コントラストを改善しスカム発生を減らす方法を開示する。
【0012】
図1Aは、一実施形態による、極紫外線(EUV)レジストにパターンを形成する主なステップについてを説明するフロー図である。図1B図1Fは、図1Aのフロー図における主なステップのいくつかについて更に説明する断面図である。
【0013】
方法は、基板をEUVフォトレジストでコーティングするコーティングプロセスを含む(ブロック100)。図1Bに示すように、半導体製造では、半導体ウェハー基板10はコーター/デベロッパトラック60においてEUVレジスト20でコーティングされる。EUVレジストでコーティングする前に、ハードマスクなどのパターニングされる層11が基板10上に堆積され得る。様々な実施形態では、基板10は、能動デバイスを形成するためのドーピング領域を含む複数の層を既に含んでいる場合がある。基板10にEUVレジスト20をコーティングする前に、反射防止層及び接着促進層などの追加の層15が、パターニングされる層11の上に堆積され得る。
【0014】
EUVレジスト20は、化学増幅(CAR)EUVレジスト、光酸発生(PAG)EUVレジスト、又は有機金属EUVレジストであり得る。有機金属EUVレジスト20は、金属酸化物コアを含み、金属酸化物コアは、金属酸化物コアに共有結合した有機アルキル基により取り囲まれている。金属酸化物コアは、例えば、酸化スズ、酸化ハフニウム、酸化亜鉛及び酸化ジルコニウムであり得る。金属酸化物コア中の金属原子は、有機ポリマーレジスト中の炭素及び酸素原子よりも、EUV光をより強く吸収して、有機金属EUVレジストをEUVに対してより高感度にしている。
【0015】
次にブロック102及び図1Cを参照すると、基板10はEUVフォトリソグラフィステッパ50に移送され、そこで光学マスク25を通してEUV光27のドーズが投射されて、EUVレジスト20中にパターン30が形成される。有機金属EUVレジスト20では、EUVレジストの露光された部分21は現像液中で不溶性になる一方で、EUVレジストの露光されていない部分20は可溶性のままである。ウェット現像プロセス又はドライ現像プロセスのいずれかを使用してパターンを現像できる。
【0016】
次にブロック104で示すように、基板はコーター/デベロッパトラック60に戻されて、露光後ベークが施され得る。基板10は、典型的には、空気中で50℃~250℃温度で1~3分間にわたってベークされる。ポストEUV露光ベーク条件は、露光されたレジスト中の架橋の程度を促進させてコントラストを改善させ、ラインエッジラフネス(LER)を減らすように選択される。
【0017】
通常、EUVレジスト20でパターンを形成する場合、次のステップはパターンを現像することである(ブロック112)。一実施形態によると、EUVパターニングプロセスは、現像ステップ(ブロック112)の前にブランケットUV露光ステップ(ブロック108)を導入することにより改善される。
【0018】
図1Dは、基板が次に、実施形態に従ってブランケットUV処理を受けていることを示す。
【0019】
図1Dに示すように、パターニングされた幾何学的形状30(露光されたEUVレジスト21及び露光されていないEUVレジスト20)を有する基板10は、コーター/デベロッパトラック60に再びローディングされ、第1のUV露光モジュール33においてUV光23のブランケット露光を受ける。
【0020】
ブランケットUV露光23は、いかなる光学マスクもなしでも実施され、したがって、以前にEUV光27で露光された領域及びEUV光27で露光されなかった領域の両方が露光される。このブランケット露光に起因する、このプロセスのための追加費用は殆ど生じない。
【0021】
様々な実施形態では、ブランケットUV露光23の間の光の波長は約130nm~約300nmの範囲、例えば一実施形態では150nm~200nm、別の実施形態では130nm~300nmである。様々な実施形態では、ブランケットUV露光23の間のUV光のドーズは、約1mJ/cm2~約100mJ/cm2、例えば、1mJ/cm2~100mJ/cm2である。
【0022】
図1Eは、EUVレジスト20の可溶性部分が現像中に除去された基板10の断面図を示す。パターン30の不溶性の幾何学的形状は残っている。一実施形態のブランケットUV光露光は、目標クリティカルディメンジョン(CD)31に到達するのに必要なEUV光27のドーズを減らすことにより、EUVステッパのスループットを改善できる。実施形態のブランケットUV光露光23は、CDを調整することができる範囲を改善する。図1Eに示すように、有機金属EUVレジスト20が現像された後に、スカム35が、特に密接したピッチを有する領域に残ったままとなる場合がある。実施形態のブランケットUV露光23は、現像(ブロック112)後に形成されるスカム35を低減させる又は排除するために、有利に使用されてもよい。加えて、実施形態のブランケットUV露光23はまた、コントラストを改善する場合がある。
【0023】
任意選択のブランケットUV露光後ベーク(PEB)(ブロック110)が、ブランケットUV露光ステップ(ブロック108)の後且つ現像ステップ(ブロック112)の前に実施されてもよい。このPEBは、空気又は窒素中で50℃~250℃の温度で1~3分間にわたってウェハーにベークプロセスを施すことにより実施できる。ブランケットUV露光後ベーク条件は、スカム発生の低減、ラインエッジラフネス(LER)の改善、コントラストの改善と、目標CDを達成するのに必要なEUVドーズの低減との間の最善の妥協点として選択される。
【0024】
様々な実施形態では、ブロック112における現像のために、ウェット現像プロセス又はドライ現像プロセスのいずれかが使用されてもよい。ウェット現像の場合、現像後に、現像液の液滴が最小ピッチのライン間のディープトレンチ内に閉じ込められる可能性がある。これらの液滴からの表面張力が、これらの狭い間隔のラインを変形させ、パターンのディストーション及びブリッジングを生じさせる可能性がある。場合によっては、ウェット現像が、高く狭いレジストラインを倒す可能性がある。
【0025】
様々な実施形態では、ウェット現像に関する上記問題を回避するために、ドライ現像プロセスが使用される場合がある。例えば、EUV有機金属レジストは、水素ガスと、臭素、塩素などのハロゲンガスとの混合物、又はHBr、HCl又はHIなどのハロゲン化水素、を用いてドライ現像することができる。現像時間は、最初にガスをリモートプラズマに通して反応性の水素及びハロゲン基を生成させることにより減らすことができる。
【0026】
現像後に、任意選択の現像後ベークを実施できる(ブロック114)。現像後ベークプロセスは、ブランケットUV露光であってもよく、これは、レジストを追加で架橋させて、その後のプラズマエッチングステップ中のレジストの侵食を減らす(UV硬化)。現像後ベークはまた、レジストを脱ガスし、高電流注入ステップで生じる温度などの高温に対してパターンを安定化させる、高温ベーク(ハードベーク)であり得る。
【0027】
現像後にスカム35(図1E)が存在する場合、UV光の高ドーズを用いる任意選択のブランケット露光を実施して、スカム35を除去することができる(ブロック116)。EUVパターンにおけるスカム35の残留物が主に炭素からなる場合、UV光露光により発生するオゾンを用いてスカムを効果的に除去することができる。様々な実施形態では、空気環境中における、80mJ/cmを超える、そして一実施形態では100mJ/cmを超える、UV光のドーズが炭素質のスカムを除去できる。様々な実施形態では、任意選択のブランケット露光中の光の波長は、約130nm~300nmの範囲、例えば一実施形態では150nm~200nm、別の実施形態では130nm~300nmである。ブロック116における任意選択のブランケット露光中の光の波長は、ブロック108で説明した以前のブランケット露光中の光の波長とは異なっていてもよい。一実施形態では、ブロック116における任意選択のブランケット露光中の光の波長は、ブロック108で説明した以前のブランケット露光中の光の波長よりも小さい。別の実施形態では、任意選択のブランケット露光は、以前のUV露光と比較して類似の又は短い波長を用いる。なぜなら、240nmよりも短いUV波長は、酸素分子の光分解を介してオゾンを生成するからである。UV光は、炭素原子間の結合を切断して、炭素原子上に活性部位を形成する。UV光により周囲空気中で発生したオゾンは、炭素活性部位と反応して、一酸化炭素及び二酸化炭などのガス状の酸化炭素生成物が形成される。
【0028】
EUVレジストにパターンを形成する実施形態の方法では、EUVレジスト20(図1B)は、基板10に転写されるパターン30を含む光学マスク25を通して投射されたEUV光27(図1C)により、第1のUV露光を受ける。第1の露光のために使用されるEUV光27は、UVスペクトルの極紫外線(EUV)領域にある(約10nm~120nm、例えば13.5nm)。この短波長は、マスク25上の狭い幾何学的形状及び密接したピッチをプリントするために必要である。EUV光27でパターンをプリントした後に、EUVレジストは、マスクなしで、より長い波長(130nm~300nm)のUV光で第2のUV露光23を受ける(図1D)。
【0029】
図1Fは、エッチングプロセスがフォトレジストパターン30をハードマスク層11に転写した後の基板10を示す。EUVレジストパターン30がハードマスク層11に転写された後、EUVレジストパターン30及び下にある介在層15は除去される。
【0030】
図2A図2C、及び図3は、UV及びEUV露光中に有機金属EUVフォトレジストで起こり得る化学反応を示す。
【0031】
有機金属レジストは、図2Aに示すように、有機アルキル配位子122により取り囲まれた金属酸化物コア120からなる。配位子122は、コア120に結合されている。図2Bに示すように、EUV又はUV光で露光された領域では、配位子122とコア120との間の結合が切断されて、配位子122はガス状分子として拡散して離れる場合がある。これは、UV及びEUV光の両方が、配位子122とコア120との間の結合を切断するエネルギーを有するからである。
【0032】
配位子122が除去されたコア120上に形成された活性部位124は、周囲空気中の酸素分子及び水分子と反応して、コア120と、水素原子128、酸素原子130及びヒドロキシ基126との間で結合が形成される。UV又はEUV光による露光が増加すると、ヒドロキシ基126が付着したコア120の密度は増加する。
【0033】
図3に示すように、ヒドロキシ基126が付着したコア120が十分に濃縮されると、ヒドロキシ基126が付着した隣接するコア120が縮合反応を受けて、水分子が分離して放出され、2つのコア120が酸素ブリッジ132で一緒に接合される可能性がある。高濃度においては、複数のコア120が一緒にブリッジを形成して、二次元(2D)及び三次元(3D)の金属酸化物ネットワークを形成する。これらの金属酸化物ネットワークは、例えば、現像液に不溶性である場合がある。
【0034】
図4は、EUV露光のみを使用して形成されたEUV有機金属レジストにおける幾何学的形状の線幅(クリティカルディメンジョン、すなわちCD)と、様々な実施形態で説明されるEUV露光及びブランケットUV露光を使用して形成されたEUV有機金属レジストにおける幾何学的形状のCDとを比較するグラフである。実験データから得られた、ドライ現像プロセス後の入射EUV放射とCDが、例示を目的として任意単位で示される。
【0035】
第1のデータセット136は、いかなる追加のUV露光もなしで、EUV露光を変化させることにより得られたCDを表す。第2のデータセット138は、固定したブランケットUV露光と共に、EUV露光を変化させることにより得られたCDを表す。
【0036】
図4に簡略的に示すように、本開示の実施形態で説明されるようにブランケットUV光と組み合わせた場合、遥かに低いEUVドーズを用いて目標CD 134を実現できる。対照的に、ブランケットUV露光がなく、EUV光だけの場合、遥かに多くのドーズを用いても目標CD 134を実現することさえできない(又は、場合によっては、良くても2倍のEUVドーズを用いて実現される)場合がある。前述したように、従来のEUV露光のために必要な高ドーズは、製造時のボトルネックである。EUVドーズの低減により、目標露光、したがって目標CDを依然として実現しながら、時間当たりのボトルネックとなるツールを通して、より多くのウェハーを流すことが可能になる。
【0037】
加えて、本発明の実施形態を使用して、CDに対する感度範囲を改善できる。したがって、単にEUVドーズを変えることにより、より広い範囲に広がる目標CDを、同じプロセスで実現することができ、これは製造/設計において非常に有用であり得る。
【0038】
図5及び図6は、追加のブランケットUVドーズを使用して、EUVドーズを低下させながらクリティカルディメンジョンに到達することを示す。
【0039】
図5は、EUVレジスト140の層の断面図である。EUVレジスト140の層上に重ね合わされたものは、フォトマスクの開口部を通して投射されたEUV光のドーズのグラフ142である。EUVドーズは、EUVレジスト140がマスクによりブロックされている側部で低く、EUVレジスト140がブロックされていない中央部で高い。EUV光ドーズは、遷移領域145において急な傾斜で低下し、遷移領域では、EUV光ドーズはマスク開口部における高ドーズからパターニングされた幾何学的形状のエッジにおける低ドーズまで遷移する。グラフは、現像閾値に対するドーズがEUVレジスト140の表面と一致するように調整されている。EUVドーズが、マスク開口部内にあって、現像閾値よりも大きい場合、露光されたEUVレジストは現像液中で不溶性になる。EUVドーズが、EUVがフォトマスクによりブロックされる、レジストがある側にあって、現像閾値未満である場合、EUVレジストは可溶性のままであり、現像により除去される。ブランケットUV露光144は、EUVレジスト140全体にわたって均一なドーズを適用する。EUVドーズが高い、EUVレジスト140の中央では、ブランケットUVドーズがUV露光を追加し、EUVレジスト140を更に不溶性にする。EUVレジスト140がある側では、追加されたブランケットUVドーズは、現像閾値に到達するには十分ではなく、そのためEUVレジスト140は現像液に可溶性のままである。ドーズが急速に低下する遷移領域145では、不溶性のEUVの幾何学的形状のエッジに隣接するブランケットUV露光が、現像閾値を超えるようにEUVレジスト140を押し上げるのに十分なUVドーズを追加する。このとき、不溶性のEUVの幾何学的形状に隣接するEUVレジストは不溶性になり、不溶性のEUVの幾何学的形状のCDを増加させる。
【0040】
図6は、EUVドーズだけ142で露光されたEUVレジストの幾何学的形状146の現像後CD 148と、EUV及びブランケットUV露光144で露光されたEUVレジストの幾何学的形状150の現像後CD 152とを比較する。EUVレジストの幾何学的形状150の現像後CD 152は、EUVレジストの幾何学的形状146の現像後CD 148よりも大きい。ブランケットUVドーズが増加するにつれて、現像後CD 152は増加する。
【0041】
図7は、EUV露光のみを使用して形成されたEUV有機金属レジストにおける幾何学的形状の線幅(クリティカルディメンジョン、すなわちCD)と、EUV露光及びブランケットUV露光を使用して形成されたEUV有機金属レジストにおける幾何学的形状のCDとを、様々な実施形態で説明するようなドライ現像及びウェット現像プロセスの後に比較したグラフである。実験データから得られたCDは、例示を目的として任意の単位で示される。
【0042】
図7では、EUV及びブランケットUV露光後にウェット現像プロセスで形成された幾何学的形状の第3のデータセット154のCDが、ドライ現像プロセスで形成された第2のデータセット138のCDと比較される。第2のデータセット138のドライ現像のCDのように、ウェット現像プロセスを使用して、EUV露光のみを使用して実現可能な第1のデータセット136のCDよりも、より低いEUVドーズで目標CD 134を実現することもできる。この例では、ウェット現像プロセスは、目標CDを実現するためには、ドライ現像プロセスよりも約50%高いEUVドーズを必要とする。この例では、ウェット現像プロセスでは、CDの変動はドライ現像プロセスよりも小さく、例えば、ウェット現像プロセスでは約25%小さいCDの変動が得られる。
【0043】
より高いEUVステッパスループットを可能にするEUV及びブランケットUVドーズを選択する方法における主なステップが、図8のフロー図に記載されている。EUV露光ドーズ及びブランケットUV露光ドーズは強く連動するため、例示のために実験計画法(DOE)の手法が選択される。EUVドーズ及びブランケットUVドーズを独立して変化させるなどの他の方法を使用することができるが、効率は劣る場合がある。
【0044】
ブロック170を参照すると、EUVドーズが第1の因子として選択され、ブランケットUVドーズが第2の因子として選択される、実験の二因子実験計画法(DOE)が実施される。ブランケットUVのドーズがゼロである場合、DOE実験空間における1つのコーナーポイントが最大EUVドーズである。
【0045】
次にブロック172を参照すると、ステップ170におけるウェハーランに対して、DOE空間全体にわたる全ての実験ポイントにおいてCDが測定される。このCDは、従来技術における既知の技術を使用して測定されてもよい。
【0046】
次にブロック174に記載されるように、測定されたCDに対して、第1の軸のEUVドーズ及び第2の軸のブランケットUVドーズによる応答曲面が生成される。
【0047】
次にブロック176に記載されるように、目標CDに合うEUV範囲にわたるEUVドーズ/ブランケットUVドーズの組合せのセットが選択される。
【0048】
次にブロック178に記載されるように、目標CDに合うEUV範囲にわたるEUVドーズ/ブランケットUVドーズの組合せでウェハーが処理される。
【0049】
ブロック180では、ブロック178において処理されたウェハーの各々に対して、サイクル時間、欠陥の数、ラインエッジラフネス及びCDなどのパラメータが評価される。
【0050】
ブロック182では、ベースラインEUVパターニングプロセスに対するEUVドーズ/ブランケットUVドーズの組合せが選択される。図4に関連して前述したように、ブランケットUVドーズは、目標CDがより低いEUVドーズで達成されることを可能にする。EUVドーズが低減されるのにつれて、より多くのウェハーをEUVステッパで処理できる。したがって、スカムを残すことなく許容可能なラインエッジラフネスを生じる、可能な限り低いEUVドーズを選択することが望ましい。必要なEUVドーズを少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%だけ減らすブランケットUVドーズを選択することが望ましい。
【0051】
スカム発生は、EUVパターンにおいて、特に高アスペクト比の(狭くて深い)トレンチにおいて課題であり得る。スカム発生は、以下を含む(しかし、これらに限定されない)様々な要因により生じる可能性がある:(1)ドライ現像中に形成される可能性があり、エッチストップ層をもたらす可能性がある、パシベーション層、(2)除去を困難にする、レジストと下層との界面における化学的に異なる材料、(3)ドライ現像中に形成される揮発性の副生物、及び(4)確率論的効果に起因して望ましくない領域で反応を引き起こす迷光子(特に、密なフィーチャをパターニングする場合)。有機金属EUVレジスト中のアルキル基は、場合によっては、高い炭素含有量を有するEUVレジストスカムにつながる可能性がある。
【0052】
選択された現像液に対して、有機金属EUVレジストの現像速度は、UV放射の特定の追加ドーズに到達するまでは増加し、次いで追加のUV放射と共に減少する。
【0053】
図9は、時限現像プロセス後にウェハー上に残っているEUVレジストの層の厚さをUV放射ドーズに対して示すグラフである。残留レジストの厚さは、UVドーズがゼロ(第1のポイント190)から増加するにつれて減少し、その後、第2のポイント192において最小の厚さに到達する。ドーズが高くなると、残留レジストは、より厚くなる。UVドーズに伴うレジスト厚さの減少は、EUVレジストの現像速度の増加に対応する。この特異な挙動を活用して、スカム発生を減らし、コントラストを改善することができる。
【0054】
EUV光27で転写されるパターン25をプリントするときの第1のEUV露光(図1C)の間、アルキル配位子122と金属酸化物コア120との間の結合が切断され、EUVレジスト20からアルキル配位子の第1の部分が解放される。加えて、高いEUVドーズでは、不溶性であり得る金属酸化物ネットワークが形成される。
【0055】
第2のUV露光23(図1D)は、ブランケット(マスクなし)露光である。ブランケット露光は、以前にパターニング中にEUV光27のドーズを受けたEUVレジストの部分21を露光させ、また以前に受けたドーズが著しく少なかったEUVレジストの部分20を露光させる。
【0056】
第2のUV露光23は、以前にEUV光27で露光されたEUVレジストの部分21への総UVドーズを増加させる。この追加のUVドーズにより、アルキル配位子の第2の部分が放出され、また、より多くの金属酸化物ネットワークが生成される。これらの追加の金属酸化物ネットワークは、EUV露光された(21)EUVレジストの不溶性を増加させる。
【0057】
第2のUV露光23はまた、パターニング中にEUV光27のドーズを殆ど又は全く受けなかったEUVレジストの部分20から、アルキル配位子の第2の部分を放出させる。UV光23のドーズの増加に伴い、追加のアルキル配位子が放出される。より多くのアルキル配位子が放出されるにつれて、EUVレジスト20の炭素含有量は減少する。炭素含有量の減少は、現像速度を増加させる。現像速度が増加するにつれて、コントラストが増加し、スカム発生が減少する。
【0058】
UV露光ドーズが増加するにつれて、ヒドロキシ基が付着されたコア120の密度は増加して、金属酸化物ネットワークが形成され始める。金属酸化物ネットワークの増加は、現像速度を低下させる。金属酸化物ネットワークの増加は、現像速度を低下させる。これらの2つの競合する反応、すなわち、カーボン含有アルキル配位子の消失、及び不溶性の金属酸化物ネットワークの形成が、図9の残留レジスト曲線における最小の第2のポイント192の原因となる。
【0059】
有機金属EUVレジストに対するドライ現像化学物質の現像速度は単調ではない。低いEUV露光に対する現像速度は、追加のUVドーズと共に増加し、より高いEUV露光に対する現像速度は、追加のUVドーズと共に減少する。追加のブランケットUVドーズのドーズは、現像速度が単調になるように(例えば、ブランケットUVドーズを加算して、ウェハー上の最低ドーズ領域に対して現像速度が最大になるポイントになるように)選択できる。より高いUVドーズは、有機金属EUVレジストのドライ現像速度を厳密に低下させる。
【0060】
EUVレジストパターンにおけるスカム発生35(図1E)を減らすための方法における主なステップが、図10のフロー図で説明される。方法は、最初にEUVレジストの現像速度を最大にするブランケットUVドーズを決定し、次いで、そのポイント近辺でブランケットUVドーズを変化させる実験を実施して、スカム発生が最小になるブランケットUVドーズを見つけることである。最も高いコントラストをもたらすUVドーズが、必ずしもスカム発生を最小にするドーズではない。
【0061】
ブロック200を参照すると、複数の基板がEUVレジストでコーティングされ、EUV光のベースラインドーズを受ける。次に、ブロック202のように、基板はコーター/デベロッパトラックにローディングされ、露光後ベークが実施される。次に、ブロック204において、ゼロドーズ(すなわち、露光なし)から始まるUV光の一連の増加するドーズにて基板がブランケットUV光で露光される。
【0062】
次にブロック206で説明されるように、EUV露光が殆ど又は全くされていない領域に一部のレジストが残るようにパターンが一定期間にわたって現像され、EUV露光が殆ど又は全くされていない領域に残っているレジストの厚さが測定される。
【0063】
次にブロック208で説明されるように、EUVドーズがゼロ且つブランケットUVドーズがゼロである基板上の残留レジストよりも少なくとも25%薄い残留レジストを(EUVドーズがゼロである領域において)もたらすブランケットUVドーズが選択される。好ましくは、少なくとも40%薄い残留レジストをもたらすブランケットUVドーズが選択される。最も薄い残留レジストをもたらすブランケットUVドーズは、一般に、最も高いコントラストをもたらすが、最も低いスカム発生をもたらすとは限らない。
【0064】
次にブロック210において、ウェハーは、ブロック208で選択されたドーズにて処理され、十分に現像されて、EUV露光がゼロであった領域からレジストが完全に除去される。次にブロック212において、ウェハーはスカム発生に関して検査される。スカム発生は、スキャトロメトリ、エリプソメトリなどの光学計測法、走査電子顕微鏡などの顕微鏡検査法、及び他の技術、を含み得る計測技術を使用して特定されてもよい。
【0065】
ブロック212を実行した後にスカム発生が見つかった場合、ブロック214において、ブランケットUV露光ドーズが調整され、処理後にスカム領域が残らなくなるまで、プロセスは新しいブランケットUVドーズにて繰り返される。スカム発生を減らすことは、より多くのカーボン含有配位子を除去するために、より高いブランケットUVドーズを必要とする場合があり、又は、金属酸化物ネットワークの密度を減らすために、より低いブランケットUVドーズを必要とする場合がある。
【0066】
ブロック212及び214は、スカム発生に関する最善の条件が特定されるまで繰り返されてもよい。最善の条件が決定された場合、ステップ9 217に進み、ベースラインEUVパターニングプロセスに対するそのブランケットUVドーズが選択される。
【0067】
本発明の例示的な実施形態をここで要約する。他の実施形態も、本明細書の全体及び本明細書で出願される特許請求の範囲から理解することができる。
【0068】
実施例1.UVスペクトルの極紫外線(EUV)放射領域のUV光の第1のドーズで露光されたパターンを含むレジストを有する基板をデベロッパトラック上にローディングすることと、第1のUV露光モジュールにおいて紫外線放射の第2のドーズで基板をブランケット露光することと、ブランケット露光の後にパターンを現像することと、を含む方法。
【0069】
実施例2.ブランケット露光の前に露光後ベークを実施することを更に含み、露光後ベークは、空気又は窒素の環境中で1~3分にわたって50℃~250℃の温度で基板をベークするように構成されている、実施例1に記載の方法。
【0070】
実施例3.ブランケット露光の後且つ現像の前に露光後ベークを実施することを更に含み、露光後ベークは、空気又は窒素の環境中で1~3分にわたって50℃~250℃の温度で基板をベークするように構成されている、実施例1に記載の方法。
【0071】
実施例4.第1のUV露光モジュールにおける光の波長が130nm~300nmの範囲にある、実施例1~3のうちの1つに記載の方法。
【0072】
実施例5.第1のUV露光モジュールは、1mJ/cm2~100mJ/cm2のUV光のドーズで基板をブランケット露光するように構成されている、実施例1~4のうちの1つに記載の方法。
【0073】
実施例6.現像の後に、UV光の第3のドーズで基板をブランケット露光することを更に含み、第3のドーズは80mJ/cm2を超える、実施例1~5のうちの1つに記載の方法。
【0074】
実施例7.UVスペクトルの極紫外線(EUV)領域におけるUV光の第1のドーズで基板上にパターンを形成する方法であって、基板をEUVリソグラフィツール内に配置することであって、基板の露光された外側表面がEUVレジストを含む、ことと;転写されるパターンを含む光学マスクを通して伝達されたEUV光でEUVレジストを露光することと;基板上のEUVレジストをUV光の第2のドーズでブランケット露光することと;ブランケット露光後にEUVレジストを現像して、転写されるパターンを形成することと、を含む方法。
【0075】
実施例8.EUV光での露光の後且つUV光でのブランケット露光の前に、基板に露光後ベークを施すことを更に含む、実施例7に記載の方法。
【0076】
実施例9.いかなる介在するUV露光もなしで、EUV露光だけを用いて、基準EUVレジストをターゲット線幅にパターニングするためのEUV光の第1のドーズを決定することと、EUV露光及びブランケットUV露光を用いて、EUVレジストをターゲット線幅にパターニングするためのEUV光の第2のドーズを決定することであって、第2のドーズは第1のドーズよりも少なくとも20%少ない、ことと、を更に含み、EUVレジストを露光することは、EUVレジストを第2のドーズで露光することを含む、実施例7又は8に記載の方法。
【0077】
実施例10.第2のドーズが第1のドーズよりも少なくとも30%少なくなるように、ブランケット露光のためのブランケットUV露光ドーズを選択することを更に含む、実施例7~9のうちの1つに記載の方法。
【0078】
実施例11.基板をEUV光で露光した後に、基板をデベロッパトラック内にローディングすることを更に含み、ブランケット露光及び現像はデベロッパトラック内で実施される、実施例7~10のうちの1つに記載の方法。
【0079】
実施例12.ブランケットUV光の第2のドーズは130nm~300nmの波長を有し、露光ドーズは1mJ/cm2~100mJ/cm2である、実施例7~11のうちの1つに記載の方法。
【0080】
実施例13.ブランケット露光と現像との間に、基板に露光後ベークを施すこと更に含む、実施例7~12のうちの1つに記載の方法。
【0081】
実施例14.EUVレジストは、有機金属EUVレジストである、実施例7~13のうちの1つに記載の方法。
【0082】
実施例15.現像の後に、80mJ/cm2を超える露光ドーズを有するUV光の第3のドーズで基板をブランケット露光することを更に含む、実施例7~14のうちの1つに記載の方法。
【0083】
実施例16.いかなる介在するブランケットUV露光もなしで、EUV露光だけを用いて、基準EUVレジストをターゲット線幅にパターニングするためのEUV光の第1のドーズを決定することと;基準EUVレジストを含む基準基板を、転写されるパターンを含む光学マスクを通して伝達されたEUV光で露光することと、いかなる介在するブランケットUV露光もなしで、露光された基準EUVレジストを現像して、転写されるパターンを形成することと;EUV光で露光されなかった領域にレジストの層を残したままにする時限現像を実施することと;露光された基準EUVレジストの現像の後に、EUV光で露光されなかった領域に残っている基準EUVレジストの第1のレジスト厚さを測定することと;各々がテストEUVレジストを含む、複数のテスト基板を、転写されるパターンを含む光学マスクを通して伝達されたEUV光で露光することと、テスト基板の各々の上にある露光されたテストEUVレジストを、異なるUVドーズのUV光でブランケット露光することと、テスト基板の各々の上に時限現像を実施して、転写されるパターンを形成することと;テスト基板の各々の上にある露光されたテストEUVレジストの時限現像の後に、各テスト基板に対して、ブランケットUVで露光されEUVで露光されなかった領域上の残留レジストの厚さを測定することと;基板上の露光されたEUVレジストに対するブランケット露光のためのUV光のドーズを選択することであって、選択されたドーズは、ブランケットUV光で露光されたがEUVで露光されなかった基板の領域上の、露光されたテストEUVレジストの厚さが、第1のレジスト厚さよりも少なくとも25%薄いことに相当する、ことと、を含む、実施例7~15のうちの1つに記載の方法。
【0084】
実施例17.選択されたドーズは、ブランケットUV光で露光されたがEUVで露光されなかった基板の領域上の、露光されたテストEUVレジストの厚さが、現像後に残っている第1のレジスト厚さよりも少なくとも40%薄いことに相当する、実施例7~16のうちの1つに記載の方法。
【0085】
実施例18.選択されたドーズで基板をパターニングし、パターンを完全に現像して、EUV露光されなかった領域からレジストを除去することと;スカム発生に関してパターンを検査することと;スカム発生を最小限に抑えるブランケットUVのドーズが決定されるまで、ブランケットUVの選択されたドーズを調整し、基板上にパターンを形成し、スカム発生に関してパターンを検査すること、を繰り返すことと;ベースラインEUVパターニングプロセスのために、調整された選択されたドーズを選択することと、を含む、実施例7~17のうちの1つに記載の方法。
【0086】
実施例19.露光されたEUVレジストを現像することは、水素及び臭素を含むガスを用いるドライ現像プロセスを含む、実施例7~18のうちの1つに記載の方法。
【0087】
実施例20.基板を処理する方法であって、基板上に形成された、パターニングされる層上に、有機金属フォトレジストを配置することであって、有機金属フォトレジストは、金属酸化物粒子に結合したアルキル配位子を含む、ことと;アルキル配位子の第1の部分を、現像される有機金属フォトレジストの一部分から除去することにより、光化学反応生成物を形成することと;光化学反応生成物を凝縮させて、有機金属フォトレジストの露光された一部分において金属酸化物ネットワークを形成することと;露光された一部分における有機金属フォトレジスト中の金属酸化物ネットワークから、及び有機金属フォトレジストの露光されていない部分から、アルキル配位子の第2の部分を除去することと;アルキル配位子の第2の部分を除去した後に、有機金属フォトレジストを現像して、パターニングされた有機金属フォトレジストを形成することと、を含む方法。
【0088】
実施例21.光化学反応生成物を形成することは、有機金属フォトレジスト上の形成されるパターンを含む光学マスクを通して、UVスペクトルの極紫外線(EUV)領域における第1の波長を有するUV光の第1のドーズで有機金属フォトレジストを露光することを含み、アルキル配位子の第2の部分を除去することは、露光された及び露光されていない有機金属フォトレジストを、光学マスクなしで、第2の波長を有する第2のUV放射で露光することを含み、第2の波長は、第1の波長の少なくとも10倍の長さを有する、実施例20に記載の方法。
【0089】
実施例22.第2のUV放射は、デベロッパトラックに組み込まれたUV光モジュールにおいて実施される、実施例20又は21に記載の方法。
【0090】
実施例23.現像の後に、第2の波長を有し80mJ/cm2を超えるドーズを有する第3のUVドーズで1分を超える時間にわたって基板をブランケット露光することを更に含む、実施例20~22のうちの1つに記載の方法。
【0091】
実施例24.光化学反応生成物を凝縮させることは、基板に露光後ベークプロセスを施すことを含む、実施例20~23のうちの1つに記載の方法。
【0092】
実施例25.露光後ベークプロセスは、基板を空気中で1分~3分の時間にわたって50℃~250℃に加熱することを含む、実施例20~24のうちの1つに記載の方法。
【0093】
本発明は、例示的実施形態を参照して説明されているが、本明細書は、限定的な意味で解釈されることを意図するものではない。当業者であれば、本明細書を参照することにより、それらの例示的実施形態の様々な修正形態及び組み合わせ並びに本発明の別の実施形態が明らかになるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなあらゆる修正形態又は実施形態を包含することが意図される。
【符号の説明】
【0094】
10 基板
11 層
15 介在層
20 露光されていないEUVレジスト
21 露光されたEUVレジスト
23、144 ブランケットUV露光
25 光学マスク
27 EUV光
30 パターン
33 第1のUV露光モジュール
35 スカム
50 EUVフォトリソグラフィステッパ
60 コーター/デベロッパトラック
100、102、104、106、108、110、112、114、116、170、172、174、176、178、180、182、200、202、204、206、208、210、212、214、216 ブロック
120 コア
122 配位子
124 活性部位
126 ヒドロキシ基
128 水素原子
130 酸素原子
132 酸素ブリッジ
136 第1のデータセット
138 第2のデータセット
140 EUVレジスト
142 グラフ
145 遷移領域
146、150 幾何学的形状
154 第3のデータセット
190 第1のポイント
192 第2のポイント
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】