IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社前川製作所の特許一覧

特開2023-74599ロボットアーム用のツールチェック装置、ツールチェックプログラム、及びツールチェック方法
<>
  • 特開-ロボットアーム用のツールチェック装置、ツールチェックプログラム、及びツールチェック方法 図1
  • 特開-ロボットアーム用のツールチェック装置、ツールチェックプログラム、及びツールチェック方法 図2
  • 特開-ロボットアーム用のツールチェック装置、ツールチェックプログラム、及びツールチェック方法 図3
  • 特開-ロボットアーム用のツールチェック装置、ツールチェックプログラム、及びツールチェック方法 図4A
  • 特開-ロボットアーム用のツールチェック装置、ツールチェックプログラム、及びツールチェック方法 図4B
  • 特開-ロボットアーム用のツールチェック装置、ツールチェックプログラム、及びツールチェック方法 図5
  • 特開-ロボットアーム用のツールチェック装置、ツールチェックプログラム、及びツールチェック方法 図6
  • 特開-ロボットアーム用のツールチェック装置、ツールチェックプログラム、及びツールチェック方法 図7
  • 特開-ロボットアーム用のツールチェック装置、ツールチェックプログラム、及びツールチェック方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074599
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】ロボットアーム用のツールチェック装置、ツールチェックプログラム、及びツールチェック方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20230523BHJP
   B25J 15/04 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
G06T7/00 610
B25J15/04 C
B25J15/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187595
(22)【出願日】2021-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】徳本 大
(72)【発明者】
【氏名】山下 智輝
(72)【発明者】
【氏名】木村 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】平山 潤太
【テーマコード(参考)】
3C707
5L096
【Fターム(参考)】
3C707ES03
3C707ET02
3C707GS19
3C707KS06
3C707KS29
3C707KT03
3C707KX19
3C707MS14
3C707MS15
5L096AA03
5L096AA06
5L096AA09
5L096BA05
5L096BA18
5L096CA18
5L096DA02
5L096FA06
5L096FA14
5L096FA59
5L096FA64
5L096FA66
5L096FA69
(57)【要約】
【課題】ツール条件が充足されるか精度良く判定できるロボットアーム用のツールチェック装置、ツールチェックプログラム、及びツールチェック方法を提供する。
【解決手段】ロボットアーム用のツールチェック装置50は、3次元座標系として定義される検査空間において、ロボットアーム30に装着されるべきツール40の種別または状態の少なくとも一方に関するツール条件に応じた3次元座標系の第1軸座標に、ツールが配置されるようロボットアーム30を制御するように構成される移動制御部53と、移動制御部53による制御後、検査空間99にある物体98の、3次元座標系の第2軸座標と第3軸座標との組み合わせによって示される分布データを取得するように構成される分布データ取得部55と、ツール条件が充足されるか分布データに基づき判定するように構成される判定部56を備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元座標系として定義される検査空間において、ロボットアームに装着されるべきツールの種別または状態の少なくとも一方に関するツール条件に応じた前記3次元座標系の第1軸座標に、前記ツールが配置されるよう前記ロボットアームを制御するように構成される移動制御部と、
前記移動制御部による制御後、前記検査空間にある物体の、前記3次元座標系の第2軸座標と第3軸座標との組み合わせによって示される分布データを取得するように構成される分布データ取得部と、
前記ツール条件が充足されるか前記分布データに基づき判定するように構成される判定部と
を備えるロボットアーム用のツールチェック装置。
【請求項2】
前記分布データ取得部は、前記分布データに対して、前記ツール条件に応じた前記第1軸座標における前記分布データである対応分布データを抽出するためのフィルタ処理を実行するように構成され、
前記判定部は、前記ツール条件が充足されるかを前記対応分布データに基づき判定するように構成される
請求項1に記載のロボットアーム用のツールチェック装置。
【請求項3】
前記分布データは、撮影範囲を前記検査空間とする3Dカメラによって生成される前記物体の撮影画像データに含まれるデータであって、前記第2軸座標と前記第3軸座標との組み合わせによって示される撮影画像を構成する複数の画素のそれぞれと、前記物体から前記3Dカメラまでの距離に相関する輝度値とを対応付けたデータである
請求項1または2に記載のロボットアーム用のツールチェック装置。
【請求項4】
前記分布データ取得部は、前記3Dカメラによって生成される前記撮影画像データに対して、前記ツール条件に応じた大輝度閾値と小輝度閾値とを用いて2値化処理を施し、前記ツール条件に応じた前記第1軸座標における前記分布データである対応分布データを取得するように構成される
請求項3に記載のロボットアーム用のツールチェック装置。
【請求項5】
前記検査空間における前記3Dカメラの姿勢を示す姿勢データを取得するように構成される姿勢取得部と、
前記分布データ取得部は、前記3Dカメラによって撮影されるオリジナル撮影画像のうちで前記姿勢データに基づき定まる部分領域である前記撮影画像における前記分布データを取得するように構成される
請求項3または4に記載のロボットアーム用のツールチェック装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記ツール条件が充足されるかを前記分布データによって示される前記物体の分布面積に基づき判定するように構成される
請求項1乃至5の何れか1項に記載のロボットアーム用のツールチェック装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記分布データが示す分布領域の重心位置に基づき限定領域を特定し、前記限定領域での前記分布面積に基づき、前記ツール条件が充足されるかを判定するように構成される
請求項6に記載のロボットアーム用のツールチェック装置。
【請求項8】
前記判定部は、前記分布データが示す分布領域の、前記3次元座標系の第3軸方向における長さと、前記第2軸座標との関係に基づき、前記ツール条件が充足されるかを判定するように構成される
請求項1乃至7の何れか1項に記載のロボットアーム用のツールチェック装置。
【請求項9】
コンピュータに、
3次元座標系として定義される検査空間において、ロボットアームに装着されるべきツールの種別または状態の少なくとも一方に関するツール条件に応じた前記3次元座標系の第1軸座標に、前記ツールが配置されるよう前記ロボットアームを制御するための移動制御ステップと、
前記移動制御ステップ後、前記検査空間にある物体の、前記3次元座標系の第2軸座標と第3軸座標との組み合わせによって示される分布データを取得するための分布データ取得ステップと、
前記ツール条件が充足されるか前記分布データに基づき判定する判定ステップと
を実行させるためのロボットアーム用のツールチェックプログラム。
【請求項10】
3次元座標系として定義される検査空間において、ロボットアームに装着されるべきツールの種別または状態の少なくとも一方に関するツール条件に応じた前記3次元座標系の第1軸座標に、前記ツールが配置されるよう前記ロボットアームを制御するための移動制御工程と、
前記移動制御工程の後、前記検査空間にある物体の、前記3次元座標系の第2軸座標と第3軸座標との組み合わせによって示される分布データを取得するための分布データ取得工程と、
前記ツール条件が充足されるか前記分布データに基づき判定するための判定工程と
を備えるロボットアーム用のツールチェック方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボットアーム用のツールチェック装置、ツールチェックプログラム、及びツールチェック方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物体に対して加工又は操作を実行するためのツールが交換可能に装着されるロボットアームが知られている。例えば、特許文献1に開示されるロボットアームでは、物体に対する加工などに応じて、複数種類のいずれかのツールがロボットアームに装着される。上記ロボットアームは、ツールを開閉させることによって物体を把持することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-158405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ロボットアームによる加工などの作業が適切になされるためには、実行される加工に応じて、装着されたツールが適正な種別であること、装着されたツールが適正な状態(例えば開状態又は閉状態)であること、といったツール条件が充足される必要がある。この点、特許文献1には、ツール条件が充足されるか精度良く判定するための具体的構成の開示はない。
【0005】
本開示は、ツール条件が充足されるか精度良く判定できるロボットアーム用のツールチェック装置、ツールチェックプログラム、及びツールチェック方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の少なくとも一実施形態に係るロボットアーム用のツールチェック装置は、
3次元座標系として定義される検査空間において、ロボットアームに装着されるべきツールの種別または状態の少なくとも一方に関するツール条件に応じた前記3次元座標系の第1軸座標に、前記ツールが配置されるよう前記ロボットアームを制御するように構成される移動制御部と、
前記移動制御部による制御後、前記検査空間にある物体の、前記3次元座標系の第2軸座標と第3軸座標との組み合わせによって示される分布データを取得するように構成される分布データ取得部と、
前記ツール条件が充足されるか前記分布データに基づき判定するように構成される判定部と
を備える。
【0007】
本開示の少なくとも一実施形態に係るロボットアーム用のツールチェックプログラムは、
コンピュータに、
3次元座標系として定義される検査空間において、ロボットアームに装着されるべきツールの種別または状態の少なくとも一方に関するツール条件に応じた前記3次元座標系の第1軸座標に、前記ツールが配置されるよう前記ロボットアームを制御するための移動制御ステップと、
前記移動制御ステップ後、前記検査空間にある物体の、前記3次元座標系の第2軸座標と第3軸座標との組み合わせによって示される分布データを取得するための分布データ取得ステップと、
前記ツール条件が充足されるか前記分布データに基づき判定する判定ステップと
を実行させる。
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態に係るロボットアーム用のツールチェック方法は、
3次元座標系として定義される検査空間において、ロボットアームに装着されるべきツールの種別または状態の少なくとも一方に関するツール条件に応じた前記3次元座標系の第1軸座標に、前記ツールが配置されるよう前記ロボットアームを制御するための移動制御工程と、
前記移動制御工程の後、前記検査空間にある物体の、前記3次元座標系の第2軸座標と第3軸座標との組み合わせによって示される分布データを取得するための分布データ取得工程と、
前記ツール条件が充足されるか前記分布データに基づき判定するための判定工程と
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ツール条件が充足されるか精度良く判定できるロボットアーム用のツールチェック装置、ツールチェックプログラム、及びツールチェック方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るワーク加工システムを示す概念図である。
図2】一実施形態に係る検査空間の概念的な説明図である。
図3】一実施形態に係る対応分布データが取得される過程を示す概念図である。
図4A】一実施形態に係るツール条件に関する判定手法を示す概念図である。
図4B】一実施形態に係るツール条件に関する判定手法を示す別の概念図である。
図5】一実施形態に係る3Dカメラの姿勢に応じた撮影範囲を示す概念図である。
図6】一実施形態に係るツールチェック装置の電気的構成を示す概念図である。
図7】一実施形態に係るツールチェック処理のフローチャートである。
図8】一実施形態に係る判定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載され又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一つの構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0012】
<1.ワーク加工システム1の概要>
図1を参照し、本開示の一実施形態に係るワーク加工システム1の概要を例示する。図1は、本開示の一実施形態に係るワーク加工システム1を示す概念図である。
【0013】
ワーク加工システム1は、ロボットアーム30に装着されたツール40を用いてワーク5を加工するように構成される。本実施形態のワーク5は農産物、畜産物、又は水産物などの食品である。食品は生鮮食品又は加工食品のいずれであってもよい。ワーク5に対する加工は、一例として、ワーク5に対する切断、クランプ、チャック、またはこれらの組み合わせである。他の実施形態に係るワーク5に対する加工は、ワーク5に対する押圧、叩き、流体の吐出、または光の照射などであってもよい。
【0014】
本開示の一実施形態に係るワーク加工システム1は、ワーク5を搬送するための搬送装置7、ワーク5を加工するためのロボットアーム30、搬送装置7によって搬送されたワーク5を撮影するように構成される3Dカメラ8、及びロボットアーム用のツールチェック装置50(以下、単に「ツールチェック装置50」という場合がある)を備える。搬送装置7はワーク5を水平方向に搬送するベルトコンベアである。ロボットアーム30は、垂直多関節ロボット、水平多関節ロボット、又はこれらの組み合わせによって実現される産業用ロボットである。ロボットアーム30にはワーク5を加工するためのツール40が装着される。本例のロボットアーム30は、互いに連動して動作するように構成されるロボットアーム30A、30B、30Cを含む。他の実施形態では、ワーク5を加工するためのツール40が装着される装置は、ロボットアーム30でなくてもよく、例えば、より簡易な構成の切断機またはクランプ装置などであってもよい。
【0015】
本実施形態のツール40は、ワーク5を掴むためのクランパ41、ワーク5をチャックするためのチャック42、及びワーク5を切断するためのナイフ43を含む。さらに、チャック42は、互いに対称なチャック42L、42Rを含む。クランパ41とチャック42はいずれも、エアシリンダ、油圧シリンダ、またはモータなどであってもよいアクチュエータ(図示外)と接続されており、アクチュエータの駆動によって開閉するように構成される。また、本例のツール40は、選択的にロボットアーム30に装着される。具体的には、クランパ41、チャック42、およびナイフ43はそれぞれ、ロボットアーム30A、30B、30Cのいずれかに選択的に装着される。例えばワーク5が家畜の肢肉である実施形態においては、ロボットアーム30にいずれのツール40が装着されるかは、ワーク5が左肢肉であるか右肢肉であるかに応じて決まる。
【0016】
本実施形態では、3Dカメラ8によって撮影されるワーク5の画像に基づき、ロボットアーム30はワーク5を加工する。より具体的には、3Dカメラ8が撮影した画像に基づいてワーク5に対する加工位置が特定され、特定結果に基づきロボットアーム30は制御される。ワーク5の加工時にロボットアーム30を制御するためのコントローラ(図示外)は、ツールチェック装置50と同一な制御装置であってもよいし、別な制御装置であってもよい。
【0017】
本実施形態の3Dカメラ8は、ワーク5の他に、ツール40が装着されたロボットアーム30を撮影するように構成される。ツール40とロボットアーム30の撮影は、ワーク5が搬送装置7に配置されているときに実行されてもよいし、別のタイミングで実行されてもよい。また、ロボットアーム30は撮影されなくてもよい。
【0018】
本開示の一実施形態に係るツールチェック装置50は、ツール条件が充足されるかをチェックするように構成される。ツール条件は、ロボットアーム30に装着されるべきツール40の種別または状態の少なくとも一方に関する条件である。本実施形態のツール条件はロボットアーム30A、30B、30Cのそれぞれに対応して設定される。例えば、ロボットアーム30Aに開状態のクランパ41が装着されるべき場合には、ロボットアーム30Aに対応するツール種別とツール状態はそれぞれ、「クランパ41」と「開状態」である。別の例を挙げると、ロボットアーム30Bに開状態のチャック42Lが装着されるべき場合には、ロボットアーム30Bに対応するツール種別とツール状態はそれぞれ、「チャック42L」と「開状態」である。
【0019】
ツール条件は、例えば、オペレータによるツール40の装着作業に誤りがあった場合に充足されない。より具体的な一例として、装着されるべきツール40とは別種別のツール40がロボットアーム30に誤って装着された場合には、ツール種別は充足されない。別の一例を挙げると、アクチュエータとしてのエアシリンダとクランパ41とを空気管を用いて接続する作業に誤りが発生する場合がある。この場合、エアシリンダの作動時にクランパ41が開状態となるべきところ閉状態となり、ツール状態は充足されない。さらに別の一例を挙げると、ツール40の装着姿勢が上下方向において逆に装着された場合、ツール状態は充足されない。
【0020】
なお他の実施形態では、ツール40の装着は、オペレータの代わりにロボットによって実行されてもよい。また、ツール40は、クランパ41、チャック42、またはナイフ43のいずれか1種のみしか用意されなくてもよい。従って、ロボットアーム30は1台しか設置されなくてもよい。
【0021】
<2.ツールチェック装置50の詳細>
図1図5を参照し、本開示の一実施形態に係るツールチェック装置50の詳細を例示する。図2は、本開示の一実施形態に係る検査空間99の概念的な説明図である。図3は、本開示の一実施形態に係る対応分布データ120Aが取得される過程を示す概念図である。
図4Aは、本開示の一実施形態に係るツール条件に関する判定手法を示す概念図である。図4Bは、本開示の一実施形態に係るツール条件に関する判定手法を示す別の概念図である。図5は、本開示の一実施形態に係る3Dカメラ8の姿勢に応じた撮影範囲8Aを示す概念図である。
【0022】
図1図2で例示される実施形態では、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸を含む3次元座標系として定義される検査空間99が、ツール条件が充足されるかの判定に利用される。検査空間99は一例として3Dカメラ8の撮影範囲8Aである。Z軸は3Dカメラ8の光軸方向と平行であり、鉛直方向に沿って延在する。X軸とY軸は水平方向に沿って延在する。以下の説明では、Z軸を「第1軸」という場合があり、X軸とY軸をそれぞれ「第2軸」と「第3軸」という場合がある。
【0023】
<2-1.ツールチェック装置50の基本的な構成要素>
図1で例示されるように、ツールチェック装置50は、ツール条件を取得するための条件取得部51と、ロボットアーム30を制御するための移動制御部53と、3Dカメラ8を制御するための撮影制御部54と、後述の分布データ120(図3参照)を取得するための分布データ取得部55と、ツール条件が充足されるか判定するための判定部56とを備える。以下、これらの構成要素の詳細を例示する。
【0024】
条件取得部51は、例えばワーク加工システム1のオペレータによる入力操作に基づきツール条件を取得するように構成される。他の実施形態では、ツールチェック装置50によって読み出されるツールチェックプログラム95(図6参照)に含まれる命令に基づいてツール条件は取得されてもよい。
【0025】
移動制御部53は、検査空間99において、条件取得部51によって取得されたツール条件に応じた第1軸座標にツール40が配置されるよう、ロボットアーム30を制御するように構成される。図2で例示される検査空間99は、第1軸方向(鉛直方向)に沿って3Dカメラ8側から順に3つに分けられた検査空間99A、99B、99Cを含む。検査空間99A、99B、99Cのそれぞれにチャック42L、42R(42)、クランパ41、ナイフ43が配置されるよう、移動制御部53はロボットアーム30を制御する。つまり、検査空間99A、99B、99Cは、ツール40の種別に応じて用意される。本実施形態では、ワーク5の加工条件に応じてロボットアーム30に装着されるツール40が変化するので、ロボットアーム30の移動経路もワーク5の加工条件に応じて変化する。
【0026】
なお他の実施形態では、例えば検査空間99Aにおいて、異なる種別のツール40が配置されるよう、移動制御部53はロボットアーム30を制御してもよい。あるいは、検査空間99はツール40のツール状態に応じて用意されてもよい。
【0027】
本実施形態では、ロボットアーム30A、30B、30Cのそれぞれに装着されるツール40について順に、ツール条件が充足されるかについて判定される。より具体的には、ロボットアーム30Aに装着されたツール40がはじめに検査空間99に移動し、ツール条件が充足れるか判定される。その後、このツール40が検査空間99から退出するようロボットアーム30Aが制御された後、残るロボットアーム30B、30Cに装着されるツール40について順に、ツール条件が充足されるか判定される。
【0028】
本実施形態の検査空間99には、上述した検査空間99A~99Cに加えて、ロボットアーム30の少なくとも一部およびワーク5の少なくとも一部を含む他の物体が検査空間99に配置される。ロボットアーム30が配置される空間は、検査空間99A~99Cである。ワーク5が配置される空間は、検査空間99のうち検査空間99Cよりも下側にある。また、その他の物体が検査空間99に配置されていてもよい。以下の説明では、検査空間99の内側に配置される物体を総称する場合に、単に「物体98」という場合がある。つまり、本実施形態の物体98は、ツール40、ロボットアーム30、およびワーク5を含む概念である。
【0029】
図1に戻り、撮影制御部54は、移動制御部53による制御後、3Dカメラ8を制御して撮影画像データを取得するように構成される。本実施形態では、3Dカメラ8の撮影範囲8Aが検査空間99と一致する。3Dカメラ8は、撮影対象となる物体98を撮影する機能に加えて、物体98から3Dカメラ8までの距離である撮影距離を計測する機能を有する。一例として3Dカメラ8は、2つのレンズを含むステレオカメラである。一方のレンズによって集められた光に基づき生成される第1撮像画像と、他方のレンズによって集められた光に基づき生成される第2撮像画像とのそれぞれに物体98は映る。各々の撮像画像において物体98が映る画像領域は異なり、これら画像領域の互いの相対的な位置関係に基づいて撮影距離は算出可能である。
【0030】
本実施形態では、物体98が映る画像領域の相対的な位置関係を特定するために、第1撮像画像に映る物体98と同一物を第2撮像画像において探索する探索処理が実行される。本例ではこの探索処理として、PatchMatchが採用され、探索処理の効率化が図られる。他の実施形態に係る探索処理として、第1撮像画像を構成する複数の画素の各々を、第2撮像画像を構成する複数の画素の各々と比較する、いわゆる全探索型のアルゴリズムが採用されてもよい。また、撮影距離を測定する3Dカメラ8は、ステレオカメラである代わりに、光切断方法を採用した3次元形状計測カメラであってもよいし、ToFカメラ(Time-of-Flight Camera)であってもよい。
【0031】
図3を参照し、3Dカメラ8によって生成される画像である撮影画像70を示す撮影画像データを説明する。同図では、ツール条件が充足された場合に撮影された撮影画像70として、クランパ41の撮影画像70A、チャック42の撮影画像70B、及びナイフ43の撮影画像70Cが例示される。撮影画像70A~70C(70)は、3Dカメラ8によって生成される当初のオリジナル撮影画像の一部を切り出すクロップ処理が実行されることで生成される(詳細は後述する)。クロップされる領域は、撮影対象となるツール40の種別に応じて異なる。ただし、撮影画像70A~70Cのそれぞれの画像サイズは互いに同じである。
【0032】
撮影画像データが示す撮影画像70を構成する2以上の画素のそれぞれは、第2軸座標と第3軸座標との組み合わせである(Xi、Yj)によって示される(iは撮影画像70の縦方向の画素数以下の任意の自然数であり、jは撮影画像70の横方向の画素数以下の任意の自然数である)。従って、物体98が映る撮影画像70を示す撮影画像データは、検査空間99にある物体98の、第2軸座標(Xi)と第3軸座標(Yi)との組み合わせによって示される分布データ120であると了解される。分布データ120によって、撮影画像70における物体98の分布が示される。
【0033】
本実施形態では、分布データ120としての撮影画像データが示す撮影画像70を構成する複数の画素にはそれぞれ、撮影距離と相関した輝度値(L)が割り当てられている。従って、分布データ120としての撮影画像データが示す撮影画像70は、3Dカメラ8を視点とする撮影範囲8Aにおけるデプスマップであると理解することもできる。各画素に割り当てられる輝度値は、撮影距離が短いほど低くなる。即ち、物体98は撮影画像70に黒く映る。従って、図3の左側で示されるように、撮影画像70A、70B、70Cのそれぞれに映るツール40うちで、撮影画像70Aに映るチャック42の輝度値が最も低く、撮影画像70Cに映るナイフ43の輝度値が最も高い。図3では、輝度値が低いツール40ほど細かいハッチングが施されている。なお、撮影画像70のうちで物体98が映らない画素には、輝度値の最大値が割り当てられる。
【0034】
分布データ取得部55は、撮影制御部54によって取得された撮影画像データに含まれる分布データ120を取得するように構成される。分布データ取得部55は、分布データ120に対してフィルタ処理が実行されることで生成される対応分布データ120A(後述)を取得してもよいし、フィルタ処理を実行すれていない分布データ120を取得してもよい。
【0035】
図1に戻り、判定部56は、ツール条件が充足されるか、分布データ取得部55によって取得された分布データ120に基づき判定するように構成される。ツール条件が充足されるときに想定される想定分布データと、分布データ取得部55によって取得された分布データ120との差異は、ツール条件が充足されるかに応じて変化する。例えば、ロボットアーム30における規定位置にてチャック42が装着されるべきにも関わらず、該規定位置からずれた位置にてクランパ41が装着された場合、分布データ取得部55によって取得される分布データ120は、想定分布データよりも大きく乖離する。従って、データの差異は閾値を超え、判定部56は、ツール種別が充足されないと判定する。別の例を挙げると、ロボットアーム30Aに開状態のクランパ41が装着されるべきにも関わらず、ロボットアーム30Aに閉状態のクランパ41が装着されたとする。この場合、クランパ41の実際の形状が、想定される形状とは大きくことなる。つまり、分布データ取得部55によって取得される分布データ120は、想定分布データから大きく乖離する。この場合、判定部56は、ツール状態が充足されないと判定する。判定部56にって実行される判定処理のより詳細な説明は後述する。
【0036】
上記構成によれば、分布データ120は検査空間99にある物体98の位置及び形状に応じて定まる。充足されるべきツール条件に応じた第1軸座標にツール40が移動するよう移動制御部53がロボットアーム30を制御するので、ツール条件を充足するツール40が検査空間99内の物体98として配置されているかによって、取得される分布データ120は大きく変化する。従って、判定部56はツール条件が充足されるかを正確に判定できる。以上より、ツール条件が充足されているかを正確に判定することができるツールチェック装置50が実現する。
【0037】
<2-3.分布データ取得部55によって実行される取得処理>
図3を参照し、本開示の一実施形態に係る分布データ取得部55によって実行される分布データ120の取得処理の詳細を例示する。検査空間99である撮影範囲8Aには、チェック対象となるツール40の他に、ワーク5などの他の物体98が配置されることがある。この場合、撮影画像70には、ツール40とは別の他の物体98が映るので、撮影画像データである分布データ120には、他の物体98の分布データ120がノイズとして含まれる。本実施形態では、チェック対象となるツール40と他の物体98が互いに異なる第1軸座標に配置される原理を利用して、分布データ取得部55は、ツール条件に応じた第1軸座標における分布データ120を抽出するためのフィルタ処理を実行するように構成される。撮影画像70を示す撮影画像データとしての分布データ120から、ツール条件に対応する第1軸座標の分布データ120(以下、対応分布データ120Aという)が、フィルタ処理によって抽出される。つまり、ノイズとなる分布データ120は除去される。なお、フィルタ処理のさらなる詳細な説明は後述する。
【0038】
上記構成によれば、フィルタ処理が実行されることで、ツール条件が充足されるかの判定結果に影響を及ぼし得るノイズとしての分布データ120が除去される。よって、ツールチェック装置50は、ツール条件が充足されているかをより正確に判定することができる。
【0039】
また、分布データ120は、撮影範囲8Aを検査空間99とする3Dカメラ8によって生成される物体98の撮影画像データに含まれるデータである。さらに、分布データ120は、第2軸座標(本例ではXi)と第3軸座標(本例ではYj)との組み合わせによって示される撮影画像70を構成する複数の画素のそれぞれに、輝度値を対応付ける。上記構成によれば、ツール条件に応じた第1軸座標にツール40が配置されるよう移動制御部53はロボットアーム30を制御する。従って、撮影画像70の画素と、物体98から3Dカメラ8までの距離である撮影距離と相関する輝度値とを対応付けた分布データ120は、ツール条件が充足されるかに応じて大きく変化する。よって、ツールチェック装置50は、ツール条件が充足されているかをより正確に判定することができる。
【0040】
例えば、ツール40の種別に応じてロボットアーム30におけるツール装着位置が第1軸方向に異なる実施形態では、ツール種別が充足されるかに応じて分布データ120の輝度値が変化する。より具体的には、ツール種別がクランパ41であるにも関わらず、チャック42がロボットアーム30に装着された場合、3Dカメラ8の撮影時にチャック42は検査空間99Bから第1軸方向にずれた位置に配置される。従って、チャック42の第1軸方向におけるずれが分布データ120に対応付けられた輝度値に反映される。よって、判定部56は、分布データ120に基づいて、ツール種別が充足されるか正確に判定することができる。
【0041】
本実施形態では、検査空間99A、99B、99Cが第1軸方向において並ぶため(図2参照)、物体98が検査空間99A、99B、99Cのいずれに配置されるかに応じて、撮影画像70に映る物体98の輝度値は変化する。図3で例示される分布データ取得部55はこの原理を利用して、撮影画像データとしての分布データ120に対して、フィルタ処理の一例である2値化処理を施す。より具体的には、分布データ取得部55は、撮影画像データに対してツール条件に応じた大輝度閾値Lと小輝度閾値Sとを用いて2値化処理を施し、上述の対応分布データ120Aを取得するように構成される。本実施形態の大輝度閾値Lと小輝度閾値Sは、ツール条件のツール種別に応じて用意される。より詳細には、ツール種別と1対1の関係にある検査空間99A~99Cに対応して、大輝度閾値Lと小輝度閾値Sは用意される。本例では、検査空間99Aに配置される物体98の輝度値の画像を抽出する2値化処理が実行されるよう、大輝度閾値L1と小輝度閾値S1とが用意される。大輝度閾値L1と小輝度閾値S1とを用いた2値化処理が実行されれば、検査空間99A(図2参照)に配置される物体98のみが映る撮影画像データが抽出され、検査空間99Aから第1軸座標にずれた位置にある物体98が映る撮影画像データは除去される。同様に、検査空間99Bに対応して大輝度閾値L2と小輝度閾値S2とが用意され、検査空間99Cに対応して大輝度閾値L3と小輝度閾値S3とが用意される。これらの大輝度閾値L1~L3(L)と小輝度閾値S1~S3(S)の大小関係は、図3で示す通りである。
【0042】
大輝度閾値L1と小輝度閾値S1を用いた2値化処理の一例を説明する。この2値化処理が実行されることにより、検査空間99Aから第1軸方向にずれた位置にある他の物体98の一例であるワーク5の撮影画像データが除去される。つまり、判定部56の誤判定を誘発し得るワーク5の分布データ120は除去される。2値化処理が実行された撮影画像データ(分布データ120)は、対応分布データ120Aとして分布データ取得部55によって取得される。その後、判定部56は対応分布データ120Aに基づき、ツール条件が充足されるか判定する。
【0043】
上記構成によれば、第2軸座標と第3軸座標の組み合わせによって示される撮影画像70の画素のうち、大輝度閾値Lと小輝度閾値Sとによって規定される範囲内の輝度が割り当てられた画素のみを含む撮影画像データが対応分布データ120Aとして取得される。これにより、撮影画像データに含まれるツール40とは別の他の物体98のノイズとしての分布データ120が除去される。判定部56は、対応分布データ120Aに基づき、ツール条件が充足されるかを判定する。よって、ツールチェック装置50は、ツール条件が充足されるかを正確に判定することができる。
【0044】
<2-4.判定部56によって実行される判定処理の詳細>
図4A図4Bを参照して、本開示の一実施形態に係る判定部56によって実行される判定処理の第1、第2、および第3の具体例を説明する。
【0045】
<2-4-1.判定処理の第1の具体例>
図4Aを参照して、判定処理の第1の具体例を説明する。第1の具体例では、ツール種別(チャック42)が充足されるか判定される。判定部56は、2値化処理された撮影画像70B(70)の撮影画像データである対応分布データ120Aに基づき、撮影画像70Bに映る物体98の分布面積を特定する。分布面積は、第1軸方向視における物体98の形状と相関する。従って、物体98がチャック42であれば、分布面積は規定条件を充足する(例えば、分布面積は規定値以上の値となる)。これにより、判定部56は、ツール種別が満たされると判定できる。他方で、ロボットアーム30にクランパ41以外のツール40が装着される場合、該ツール40は、検査空間99B(図2参照)からずれた位置に配置されているので、2値化処理された撮影画像70Bには映らない。つまり、分布面積が規定条件を充足しない(例えば、分布面積は規定値未満の値となる)ので、判定部56は、ツール種別が満たされないと判定できる。
【0046】
なお、ロボットアーム30に装着されたツール40がチャック42であっても、該チャック42が破損している場合には、分布面積は規定条件を充足しない。また、ロボットアーム30にツール40が装着されない場合も、分布面積は規定条件を充足しない。つまり、第1の具体例で説明した判定手法は、ツール状態が充足されるかの判定にも適用可能である。また、他の事態では、第1の具体例として説明した判定手法は、2値化処理される前の撮影画像データ(分布データ120)に適用しても、同様の判定結果が得られる。また、ツール40の装着姿勢が上下逆になることで、撮影画像70においてツール40がハレーションを起こすことがある。例えば、刃が下側に配置されるようナイフ43が装着されるべきにも関わらず装着姿勢が上下逆になる場合、刃が上側に配置されるためハレーションが起こりやすい(図示外)。この場合、フィルタ処理が実行される前の撮影画像70にはナイフ43が映りづらく、上述の分布面積が極端に小さくなる。つまり、分布面積が規定条件を充足しない。従って、ナイフ43の装着姿勢が上下逆になると、ツール状態が充足されないと判定される。
【0047】
上記構成によれば判定部56は、分布データ120によって示される物体98の分布面積に基づき、ツール条件が充足されるか判定する。ツール条件の充足されるかに応じて物体98の分布面積は大きく変わるので、ツールチェック装置50は、ツール条件が充足されるかの判定処理を簡易にすることができる。
【0048】
<2-4-2.判定処理の第2の具体例>
引き続き、図4Aを参照し、判定処理の第2の具体例を説明する。第2の具体例では、チャック42のツール状態(開状態)が充足されるか判定される。判定部56は、対応分布データ120Aによって示される分布領域の重心位置に基づき限定領域88を特定する。その後、判定部56は、限定領域88での分布面積に基づきツール状態が充足されるか判定する。限定領域88は、2値化処理された撮影画像70B(70)の一部であり、ツール状態が充足されるかに応じて分布面積が変化する領域である。例えば、判定部56は、対応分布データ120Aによって示される分布領域の重心位置と規定の位置関係にある領域を限定領域88とみなす。図4Aで例示される限定領域88には、開状態のチャック42が配置されず、閉状態のチャック42の少なくとも一部が配置される(閉状態のチャック42は、二点鎖線によって仮想的に図示されている)。この限定領域88の分布面積が規定条件を充足するかに応じて、判定部56は、ツール状態が充足されるかを判定する。
【0049】
なお、第2の具体例として説明した判定手法は、ツール種別が充足されるかの判定にも適用可能である。例えば、ツール種別が充足されるかに応じて分布面積が変わる領域を限定領域88として予め設定しておけば、ツール種別が充足されるかを判定部56は同様の手法によって判定することができる。
【0050】
上記構成によれば、ツール条件が充足される分布領域の重心位置と、ツール条件が充足されるかに応じて分布面積が変化する限定領域88とを対応付けて設定すれば、判定部56は、限定領域88における分布面積に基づきツール条件が充足されるかを判定できる。これにより、判定対象となるツール条件に応じた適正な判定を判定部56は行うことができる。
【0051】
<2-4-3.判定処理の第3の具体例>
図4Bを参照し、判定部56による判定処理の第3の具体例を説明する。第3の具体例では、ツール種別(チャック42L)が充足されるか判定される。なお、チャック42Lは非対称な形状を呈する。図4Bの例では、第2軸方向の一方側におけるチャック42Lの第3軸方向長さ(寸法M1)は、第2軸方向の他方側におけるチャック42Lの第3軸方向の長さ(寸法M2)よりも長い。
【0052】
判定部56は、対応分布データ120Aが示す分布領域の第2軸方向における長さと、第3軸座標との関係に基づきツール条件が充足されるかを判定するように構成される。より具体的には、判定部56は、対応分布データ120Aが示す分布領域(図4Bの例では、ロボットアーム30とチャック42Lの分布領域)からチャック42Lの分布領域を推定する。この推定処理は、ロボットアーム30とチャック42Lの形状に基づいて予め設定されておけばよい。その後、判定部56は、チャック42Lの分布領域において、第2軸方向の一方側と他方側のそれぞれの最大寸法を特定する。それぞれの最大寸法の大小関係が、規定条件を満たせばツール種別(チャック42L)が充足されると判定される。他方で、チャック42Lと対称な形状を呈するチャック42Rが誤って装着されていた場合、上記の最大寸法の大小関係は逆になり、規定条件を充足されないので、判定部56はツール種別が充足されないと判定することができる。
【0053】
第3の具体例として説明した判定手法は、ツール状態が充足されるかの判定にも適用可能である。例えば、上述の最大寸法の大小関係が、ツール状態に応じて切り替わるツール40が用いられるのであれば、本判定手法を適用すればよい。
【0054】
上記構成によれば、ツール条件が充足される分布領域の第3軸方向における長さと、第2軸座標との関係を予め設定すれば、判定部56は、ツール条件が充足されるかをこの関係に基づき判定することができる。これにより、判定対象となるツール条件に応じた適正な判定を判定部56は行うことができる。
【0055】
<2-5.ツールチェック装置50の追加的な構成要素>
図1図5を参照し、ツールチェック装置50の追加的な構成要素を説明する。ツールチェック装置50は、3Dカメラ8の姿勢を示す姿勢データを取得するように構成される姿勢取得部52を備える。3Dカメラ8がワーク加工システム1に取り付けられるとき、取付用の部品の寸法公差または取付作業のばらつきなどに起因して、3Dカメラ8の姿勢が理想的な姿勢からずれる場合がある。姿勢取得部52はこのずれ量を特定するために姿勢データを取得する。
【0056】
姿勢データの取得方法の一例は以下の通りである。ロボットアーム30の位置姿勢の原点位置に対して規定の位置関係にあるプレート(図示外)が用意される。このプレートは、位置姿勢データが取得されるタイミングに応じて設置されてもよいし、常に設置されていてもよい。プレートの表面において示される複数のマークを3Dカメラ8が撮影し、複数のマークのオリジナル撮影画像が生成される。このオリジナル撮影画像に映る複数のマークの位置関係に規定の算出式が適用されることで、姿勢データは取得される。なお、オリジナル撮影画像は、3Dカメラ8によって生成される、クロップ処理がなされていない画像である。
【0057】
一実施形態に係る分布データ取得部55は、3Dカメラ8によって撮影されるオリジナル撮影画像(図5において二点鎖線71を参照)のうち、姿勢取得部52によって取得された姿勢データに基づき求まる部分領域である撮影画像70を特定し、撮影画像70における分布データ120を取得するように構成される。つまり、オリジナル撮影画像のうちクロップ処理される領域が、姿勢データに応じて変わる。これにより、撮影画像70を基準としたツール40が映る画像領域がばらつくのを抑制できる。
【0058】
3Dカメラ8の姿勢が変わると、3Dカメラ8の撮影範囲8Aも変わる。従って、オリジナル撮影画像における決まった部分領域の分布データ120が取得されると、以下の不具合が発生し得る。即ち、ツール条件が実際には充足されているにも関わらず、撮影画像70にツール40の少なくとも一部が映らないために、判定部56はツール条件が充足されていないと誤判定する。反対に、ツール条件が実際には充足されていないにも関わらず、不適正なツール40が撮影画像70に映ってしまうために、判定部56はツール条件が充足されていると誤判定する。この点、上記構成によれば、3Dカメラ8の姿勢のずれを反映して撮影画像70が取得され、この撮影画像70の分布データ120が取得される。従って、ツール条件が充足される場合には、撮影画像70の規定位置にツール40が映る。また、撮影画像70に映るべきではないツール40は映らない。よって、ツールチェック装置50は、ツール条件が充足されるかをより正確に判定することができる。
【0059】
<3.ツールチェック装置50の電気的構成>
図6は、本開示の一実施形態に係るツールチェック装置50の電気的構成を示す概念図である。ワーク加工システム1は、プロセッサ91を含む。プロセッサ91は、ROM92に記憶されるツールチェックプログラム95を読み出してRAM93にロードし、ロードしたツールチェックプログラム95に含まれる命令を実行するように構成される。プロセッサ91は、CPU、GPU、MPU、DSP、これら以外の各種演算装置、又はこれらの組み合わせである。プロセッサ91は、PLD、ASIC、FPGA、及びMCU等の集積回路により実現されてもよい。ROM92およびRAM93は記憶装置の一例である。メモリ94は、ツール条件が充足されるかを判定するために必要な各種パラメータを記憶する。各種パラメータは、大輝度閾値Lおよび小輝度閾値Sを含む。大輝度閾値Lは小輝度閾値Sよりも大きな閾値である。
【0060】
本実施形態のプロセッサ91は、インターフェースを介して、入力部6と、搬送装置7と、ロボットアーム30と、3Dカメラ8と、発報装置9とに接続されている。例えばタッチパネルなどであってもよい入力部6では、オペレータによってツール条件が入力される。プロセッサ91は、入力部6から出力されるデータを取得することで、ツール条件を取得する。
【0061】
一実施形態の搬送装置7と、ロボットアーム30と、3Dカメラ8と、発報装置9は、各々、プロセッサ91から受信する制御信号に応じて作動する。3Dカメラ8は、受信した制御信号に応じて撮影を実行し、生成した撮影画像データをプロセッサ91に出力する。一実施形態のプロセッサ91は、撮影データをプロセッサ91に出力する。発報装置9は、ツール条件が充足されないと判定された場合に、オペレータに発報するように構成される。本実施形態の発報装置9は、画像表示装置、スピーカ、発光装置、又はこれらの組み合わせである。
【0062】
<4.ツールチェック処理>
図7図8を参照して、本開示の一実施形態に係るツールチェック処理の詳細を例示する。ツールチェック処理は、ツール条件が充足されるかを判定するための処理である。本実施形態では、プロセッサ91が、ROM92に記憶されるツールチェックプログラム95をRAM93にロードすることによって、以下のステップを実行する。処理の実行に伴いプロセッサ91が処理するデータは、RAM93又はメモリ94に適宜記憶される。以下の説明では、「ステップ」を「S」と略記する場合がある。
【0063】
はじめに、プロセッサ91は、上述した方法によって3Dカメラ8の姿勢データを取得する(S10)。S10を実行するプロセッサ91は、既述の姿勢取得部52として機能する。次いで、プロセッサ91はツール条件を取得する(S11)。本例では、オペレータがロボットアーム30A、30B、30Cのそれぞれに対応するツール条件を入力部6に入力する。S11を実行するプロセッサ91は、既述の条件取得部51として機能する。
【0064】
プロセッサ91は、S11において取得されたツール条件に応じた第1軸座標にツール40が配置されるよう、ロボットアーム30を移動制御する(S13)。例えば、プロセッサ91は、ロボットアーム30Aに対応付けられたツール条件に基づき、ロボットアーム30Aを移動制御する。これにより、ロボットアーム30Aにツール40が適正に装着されているのであれば、このツール40は、検査空間99A~99Cのいずれかに配置される。S13を実行するプロセッサ91は、既述の移動制御部53として機能する。
【0065】
プロセッサ91は、3Dカメラ8を制御して既述の撮影画像データを取得する(S15)。本撮影画像データによって示される画像は、オリジナル撮影画像である。S15を実行するプロセッサ91は、既述の撮影制御部54として機能する。
【0066】
プロセッサ91は、S15において取得された撮影画像データに含まれる分布データ120を取得する(S17)。本例では、プロセッサ91は、S10において取得された姿勢データに基づき、S15において取得されたオリジナル撮影画像を示す撮影画像データに対してクロップ処理を施す。これにより、プロセッサ91は、撮影画像70を示す撮影画像データを取得する。さらに、この撮影画像データに対して、S11において取得されたツール条件に応じた2値化処理が施され、プロセッサ91は対応分布データ120Aを取得する。S17を実行するプロセッサ91は、既述の分布データ取得部55として機能する。
【0067】
プロセッサ91は、S17において取得された対応分布データ120Aに基づき、ツール条件が充足されるかを判定する(S19)。S19を実行するプロセッサ91は、既述の判定部56として機能する。判定処理の詳細は後述する。
【0068】
プロセッサ91は、判定処理(S19)の判定結果に基づき、ツール40に関する異常があるかを判定する(S21)。異常がないと判定されれば(S21:NO)、プロセッサ91は、ツールチェック処理を終了するかを判定する(S23)。本例では、ロボットアーム30A~30Cのそれぞれに対応する全てのツール条件について判定が終了していなければ(S23:NO)、プロセッサ91は処理をS13に戻す。S13~S23が繰り返されることで、ロボットアーム30A、30B、30Cのそれぞれのツール条件が充足されるか判定される。全てのツール条件について判定が終了すれば(S23:YES)、プロセッサ91は判定処理を終了する。
【0069】
ツール40に関する異常があると判定された場合(S21:YES)、プロセッサ91は、発報装置9を制御して、具体的な異常を発報する(S25)。これにより、オペレータは、発報内容に応じた処置をワーク加工システム1において施すことができる(具体的な異常の特定方法は後述する)。S25の実行後、プロセッサ91はツールチェック処理を終了する。
【0070】
図8を参照して、判定処理の詳細を説明する。プロセッサ91は、既述の方法のいずれかを用いて、ツール種別が充足されるかを判定する(S31)。ツール種別が充足されないと判定された場合(S31:NO)、プロセッサ91は具体的な異常を記憶する(S35)。例えば、プロセッサ91は、適正な種別のツール40がロボットアーム30に装着されていないことを示すエラーデータをメモリ94に記憶する。メモリ94に記憶されるエラーデータは、上述のS25の発報処理で利用される。S25の実行後、プロセッサ91は判定処理を終了して、ツールチェック処理(図7参照)に戻る。
【0071】
ツール種別が充足されると判定された場合(S31:YES)、プロセッサ91は、既述の方法のいずれかを用いて、ツール状態が充足されるかを判定する(S33)。ツール状態が充足されないと判定された場合(S33:NO)、プロセッサ91は処理をS35に移行する。このとき、プロセッサ91は、ツール40の状態が適正でないことを示すエラーデータをメモリ94に記憶する(S35)。ツール状態が充足されると判定された場合(S33:YES)、プロセッサ91は判定処理を終了する。
【0072】
<5.他の実施形態の例示>
なお、本開示のワーク加工システム1は、3Dカメラ8と撮影制御部54を備えることに限定されない。例えば、3Dカメラ8に代えて超音波装置が設けられてもよい。超音波を用いて検査空間99における物体98と、超音波装置との距離が測定されれば、分布データ120を取得することは可能である。さらに超音波装置によって生成される分布データ120に対して、規定値以上の距離がある物体の距離データを除去するフィルタ処理を施すことも可能である。また、超音波装置に代えてCTスキャンまたはMRIなどが採用されてもよい。
【0073】
<6.まとめ>
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0074】
(1)本開示の一実施形態に係るロボットアーム用のツールチェック装置(50)は、
3次元座標系として定義される検査空間(99)において、ロボットアーム(30)に装着されるべきツール(40)の種別または状態の少なくとも一方に関するツール条件に応じた前記3次元座標系の第1軸座標に、前記ツール(40)が配置されるよう前記ロボットアーム(30)を制御するように構成される移動制御部(53)と、
前記移動制御部(53)による制御後、前記検査空間(99)にある物体(98)の、前記3次元座標系の第2軸座標と第3軸座標との組み合わせによって示される分布データ(120)を取得するように構成される分布データ取得部(55)と、
前記ツール条件が充足されるか前記分布データ(120)に基づき判定するように構成される判定部(56)とを備える。
【0075】
上記1)の構成によれば、分布データ(120)は、検査空間(99)にある物体(98)の位置及び形状に応じて定まる。充足されるべきツール条件に応じた第1軸座標にツール(40)が移動するよう移動制御部(53)がロボットアーム(30)を制御するので、ツール条件を充足するツール(40)が検査空間(99)内の物体(98)として配置されているかによって、取得される分布データ(120)は大きく変化する。従って、判定部(56)はツール条件が充足されるかを正確に判定できる。以上より、ツール条件が充足されるかを正確に判定することができるロボットアーム用のツールチェック装置(5)が実現する。
【0076】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載のロボットアーム用のツールチェック装置(50)であって、
前記分布データ取得部(55)は、前記分布データ(120)に対して、前記ツール条件に応じた前記第1軸座標における前記分布データ(120)である対応分布データ(120A)を抽出するためのフィルタ処理を実行するように構成され、
前記判定部(56)は、前記ツール条件が充足されるかを前記対応分布データ(120A)に基づき判定するように構成される。
【0077】
第1軸方向においてツール(40)からずれた位置にある他の物体(98)のノイズとしての分布データ(120)が、分布データ取得部(55)によって取得される当初の分布データ(120)に含まれる場合がある。この点、上記2))の構成によれば、フィルタ処理が実行されることでノイズとしての分布データ(120)が除去されるので、ロボットアーム用のツールチェック装置(50)は、ツール条件が充足されているかをより正確に判定することができる。
【0078】
3)幾つかの実施形態では、上記1)または2)に記載のロボットアーム用のツールチェック装置(50)であって、
前記分布データ(120)は、撮影範囲を前記検査空間(99)とする3Dカメラ(8)によって生成される前記物体(98)の撮影画像データに含まれるデータであって、前記第2軸座標と前記第3軸座標との組み合わせによって示される撮影画像を構成する複数の画素のそれぞれと、前記物体(98)から前記3Dカメラ(8)までの距離に相関する輝度値とを対応付けたデータである。
【0079】
上記3)の構成によれば、ツール条件に応じた第1軸座標にツール(40)が配置されるよう移動制御部(53)はロボットアーム(30)を制御するので、撮影画像(70)を構成する複数の画素と、物体(98)から3Dカメラ(8)までの距離と相関する輝度値とを対応付けた分布データ(120)は、ツール条件が充足されるかに応じて大きく変化する。よって、ロボットアーム用のツールチェック装置(50)は、ツール条件が充足されているかをより正確に判定することができる。
【0080】
4)幾つかの実施形態では、上記3)に記載のロボットアーム用のツールチェック装置(50)であって、
前記分布データ取得部(55)は、前記3Dカメラ(8)によって生成される前記撮影画像データに対して、前記ツール条件に応じた大輝度閾値(L)と小輝度閾値(S)とを用いて2値化処理を施し、前記ツール条件に応じた前記第1軸座標における前記分布データ(120)である対応分布データ(120A)を取得するように構成される。
【0081】
上記4)の構成によれば、第2軸座標と第3軸座標の組み合わせによって示される撮影画像(70)の画素のうち、大輝度閾値(L)と小輝度閾値(S)とによって規定される範囲内の輝度が割り当てられた画素のみを含む画像データが対応分布データ(120A)として取得される。これにより、撮影画像データに含まれるツール(40)とは別の他の物体(98)のノイズとしての分布データ(120)が除去される。判定部(56)は、この対応分布データ(120A)に基づき、ツール条件が充足されるかを判定する。よって、ロボットアーム用のツールチェック装置(50)は、ツール条件が充足されるかを正確に判定することができる。
【0082】
5)幾つかの実施形態では、上記3)または4)に記載のロボットアーム用のツールチェック装置(50)であって、
前記検査空間(99)における前記3Dカメラ(8)の姿勢を示す姿勢データを取得するように構成される姿勢取得部(52)と、
前記分布データ取得部(55)は、前記3Dカメラ(8)によって撮影されるオリジナル撮影画像のうちで前記姿勢データに基づき定まる部分領域である前記撮影画像における前記分布データ(120)を取得するように構成される。
【0083】
上記5)の構成によれば、3Dカメラ(8)の姿勢のズレを反映した撮影画像(70)が取得され、この撮影画像(70)の分布データ(120)が取得される。従って、ツール条件が充足される場合には、撮影画像(70)の規定位置にツール(40)が映る。よって、判定部(56)は、ツール条件が充足されるかをより正確に判定することができる。
【0084】
6)幾つかの実施形態では、上記1)から5)のいずれかに記載のロボットアーム用のツールチェック装置(50)であって、
前記判定部(56)は、前記ツール条件が充足されるかを前記分布データ(120)によって示される前記物体(98)の分布面積に基づき判定するように構成される。
【0085】
ツール条件が充足されるかに応じて、分布データ(120)によって示される物体(98)の分布面積は変わる。例えば、種別が不適正なツール(40)がロボットアーム(30)に装着される場合、または、破損しているなどの不適正な状態のツール(40)がロボットアーム(30)に装着される場合、分布データ(120)の分布面積は、適正値または適正範囲から外れる。このようにツール条件が充足されるかに応じて物体(98)の分布面積は大きく変わるので、ツールチェック装置(50)はツール条件が充足されるかの判定処理を簡易にすることができる。
【0086】
7)幾つかの実施形態では、上記6)に記載のロボットアーム用のツールチェック装置(50)であって、
前記判定部(56)は、前記分布データ(120)が示す分布領域の重心位置に基づき限定領域(88)を特定し、前記限定領域(88)での前記分布面積に基づき、前記ツール条件が充足されるかを判定するように構成される。
【0087】
上記7)の構成によれば、ツール条件が充足される分布領域の重心位置と、ツール条件が充足されるかに応じて分布面積が変化する限定領域(88)とを対応付けて設定すれば、判定部(56)は、限定領域(88)における分布面積に基づきツール条件が充足されるかを判定できる。これにより、判定対象となるツール条件に応じた適正な判定を判定部(56)は行うことができる。
【0088】
8)幾つかの実施形態では、上記1)から7)のいずれかに記載のロボットアーム用のツールチェック装置(50)であって、
前記判定部(56)は、前記分布データ(120)が示す分布領域の、前記3次元座標系の第3軸方向における長さと、前記第2軸座標との関係に基づき、前記ツール条件が充足されるかを判定するように構成される。
【0089】
上記8)の構成によれば、ツール条件が充足される分布領域の第3軸方向における長さと、第2軸座標との関係を予め設定すれば、判定部(56)は、ツール条件が充足されるかをこの関係に基づき判定することができる。これにより、判定対象となるツール条件に応じた適正な判定を判定部(56)は行うことができる。
【0090】
9)本開示の少なくとも一実施形態に係るロボットアーム用のツールチェックプログラム(95)は、
コンピュータに、
3次元座標系として定義される検査空間(99)において、ロボットアーム(30)に装着されるべきツール(40)の種別または状態の少なくとも一方に関するツール条件に応じた前記3次元座標系の第1軸座標に、前記ツール(40)が配置されるよう前記ロボットアーム(30)を制御するための移動制御ステップ(S13)と、
前記移動制御ステップ(S13)後、前記検査空間(99)にある物体(98)の、前記3次元座標系の第2軸座標と第3軸座標との組み合わせによって示される分布データ(120)を取得するための分布データ取得ステップ(S17)と、
前記ツール条件が充足されるか前記分布データ(120)に基づき判定する判定ステップ(S19)とを実行させる。
【0091】
上記9)の構成によれば、上記1)と同様の理由により、ツール条件が充足されるかを正確に判定することができるロボットアーム用のツールチェックプログラム(95)が実現する。
【0092】
10)本開示の少なくとも一実施形態に係るロボットアーム用のツールチェック方法は、
3次元座標系として定義される検査空間(99)において、ロボットアーム(30)に装着されるべきツール(40)の種別または状態の少なくとも一方に関するツール条件に応じた前記3次元座標系の第1軸座標に、前記ツール(40)が配置されるよう前記ロボットアーム(30)を制御するための移動制御工程(S13)と、
前記移動制御工程(S13)の後、前記検査空間(99)にある物体(98)の、前記3次元座標系の第2軸座標と第3軸座標との組み合わせによって示される分布データ(120)を取得するための分布データ取得工程(S17)と、
前記ツール条件が充足されるか前記分布データ(120)に基づき判定するための判定工程(S19)とを備える。
【0093】
上記10)の構成によれば、上記1)と同様の理由により、ツール条件が充足されるかを正確に判定することができるロボットアーム用のツールチェック方法が実現する。
【符号の説明】
【0094】
8 :3Dカメラ
8A :撮影範囲
30 :ロボットアーム
40 :ツール
50 :ツールチェック装置
52 :姿勢取得部
53 :移動制御部
55 :分布データ取得部
56 :判定部
70 :撮影画像
88 :限定領域
95 :ツールチェックプログラム
98 :物体
99 :検査空間
120 :分布データ
120A :対応分布データ
S :小輝度閾値
L :大輝度閾値

図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8