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特開2023-74620基板処理装置、基板処理方法および基板処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074620
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】基板処理装置、基板処理方法および基板処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20230523BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20230523BHJP
   B65G 51/03 20060101ALI20230523BHJP
   B05C 13/02 20060101ALI20230523BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20230523BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20230523BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20230523BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20230523BHJP
   B05D 3/04 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B65G49/07 J
B65G51/03 C
B05C13/02
B05C11/10
B05C5/00 101
B05D1/26 Z
B05D3/00 C
B05D3/00 D
B05D3/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187633
(22)【出願日】2021-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 義治
【テーマコード(参考)】
4D075
4F041
4F042
5F131
【Fターム(参考)】
4D075AC06
4D075AC09
4D075AC71
4D075AC78
4D075AC80
4D075AC88
4D075AC91
4D075AC93
4D075AC94
4D075AC95
4D075BB41Z
4D075BB57X
4D075BB57Y
4D075BB57Z
4D075BB66Z
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA06
4D075EA05
4D075EA45
4F041AA02
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA10
4F041BA13
4F041BA22
4F042AA02
4F042BA04
4F042BA06
4F042BA08
4F042BA12
4F042BA13
4F042BA19
4F042DF05
4F042DF10
4F042DF22
4F042DF25
4F042DF27
4F042DF29
4F042DF30
4F042DH09
5F131AA03
5F131AA32
5F131BA12
5F131CA03
5F131CA06
5F131DA02
5F131DA33
5F131DA42
5F131DC12
5F131DC15
5F131DC19
5F131DD33
5F131DD78
5F131EA06
5F131EA22
5F131EB41
(57)【要約】
【課題】基板に対する処理を適切に行う。
【解決手段】本開示による基板処理装置は、浮上ステージと、処理部と、第1保持部と、第1移動機構と、第2移動機構と、制御部とを備える。浮上ステージは、噴出する気体の圧力によって基板を浮上させる。処理部は、浮上ステージよりも上方に配置される。第1保持部は、浮上ステージによって浮上した基板を保持する。第1移動機構は、浮上ステージを基板の搬送方向に沿って移動させる。第2移動機構は、第1保持部を搬送方向に沿って移動させる。制御部は、第1移動機構および第2移動機構を制御して、処理部よりも搬送方向上流の開始位置から搬送方向下流の終了位置まで第1保持部および浮上ステージを移動させつつ、処理部を制御して基板に対する処理を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴出する気体の圧力によって基板を浮上させる浮上ステージと、
前記浮上ステージよりも上方に配置された処理部と、
前記浮上ステージによって浮上した前記基板を保持する第1保持部と、
前記浮上ステージを前記基板の搬送方向に沿って移動させる第1移動機構と、
前記第1保持部を前記搬送方向に沿って移動させる第2移動機構と、
前記第1移動機構および前記第2移動機構を制御して、前記処理部よりも前記搬送方向上流の開始位置から前記搬送方向下流の終了位置まで前記第1保持部および前記浮上ステージを移動させつつ、前記処理部を制御して前記基板に対する処理を行う制御部と
を備える、基板処理装置。
【請求項2】
前記浮上ステージは、前記開始位置において前記処理部よりも前記搬送方向上流に全体が位置する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記浮上ステージは、前記終了位置において前記処理部よりも前記搬送方向下流に全体が位置する、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記浮上ステージよりも前記搬送方向上流に配置され、噴出する気体の圧力によって前記基板を浮上させる搬入ステージと、
前記搬入ステージによって浮上した前記基板を保持する第2保持部と、
前記搬入ステージを前記搬送方向に沿って移動させる第3移動機構と、
前記第2保持部を前記搬送方向に沿って移動させる第4移動機構と
を備える、請求項1~3のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記基板が前記搬入ステージによって浮上され、かつ、前記第2保持部によって保持された状態で、前記搬入ステージと前記浮上ステージとを近接させた後、前記第1移動機構を制御して前記浮上ステージを前記搬送方向上流に向けて移動させつつ、前記第3移動機構を制御して前記搬入ステージを前記搬送方向上流に向けて移動させることにより、前記基板を前記搬入ステージから前記浮上ステージに移し替える、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記搬入ステージを制御して、前記基板を浮上させ、
その後、前記第2保持部を制御して、前記搬入ステージによって浮上した前記基板を保持し、
その後、前記第3移動機構および前記第4移動機構を制御して、前記搬入ステージおよび前記第2保持部を前記開始位置よりも前記搬送方向上流の搬入位置から移動させることにより、前記基板を前記開始位置に配置させ、
その後、前記第1移動機構を制御して、前記浮上ステージを前記終了位置から移動させて前記搬入ステージに近接させ、
その後、前記第1移動機構を制御して、前記浮上ステージを前記開始位置へ移動させつつ、前記第3移動機構を制御して、前記搬入ステージを前記搬入位置へ移動させることにより、前記基板を前記浮上ステージに移し替え、
その後、前記第2保持部を制御して、前記第2保持部による前記基板の保持を解除し、前記第1保持部を制御して、前記浮上ステージによって浮上した前記基板を保持し、
その後、前記第1移動機構および前記第2移動機構を制御して、前記開始位置から前記終了位置まで前記第1保持部および前記浮上ステージを移動させつつ、前記処理部を制御して前記基板に対する処理を行う、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第1移動機構および前記第2移動機構を制御して、前記浮上ステージおよび前記第1保持部を前記終了位置から前記開始位置へ移動させる場合において、少なくとも前記浮上ステージが前記処理部の下方を通過する間、前記浮上ステージからの前記気体の噴出を停止する、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記浮上ステージよりも前記搬送方向下流に配置され、噴出する気体の圧力によって前記基板を浮上させる搬出ステージと、
前記搬出ステージによって浮上した前記基板を保持する第3保持部と、
前記搬出ステージを前記搬送方向に沿って移動させる第5移動機構と、
前記第3保持部を前記搬送方向に沿って移動させる第6移動機構と
を備える、請求項1~7のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記基板が前記浮上ステージによって浮上された状態で、前記浮上ステージと前記搬出ステージとを近接させた後、前記第3保持部を制御して前記基板を保持し、その後、前記第1移動機構を制御して前記浮上ステージを前記搬送方向上流に向けて移動させつつ、前記第5移動機構を制御して前記搬出ステージを前記搬送方向上流に向けて移動させることにより、前記基板を前記浮上ステージから前記搬出ステージに移し替える、請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記第1移動機構および前記第2移動機構を制御して、前記開始位置から前記終了位置まで前記第1保持部および前記浮上ステージを移動させる際、前記第1保持部に対する前記浮上ステージの相対速度を変化させる、請求項1~9のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記相対速度を遅くする処理と前記相対速度を速くする処理とを交互に行う、請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記浮上ステージから噴出させる前記気体の温度を調整する温度調整部を備える、請求項1~11のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記処理部は、前記基板に対して機能液の液滴を吐出する吐出ヘッドを有し、
前記浮上ステージの前記搬送方向における端部に設けられ、前記吐出ヘッドから吐出される前記機能液を受ける液受部を備える、請求項1~12のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記浮上ステージは、
前記基板の下面と対向する載置面と、
前記載置面に設けられ、前記気体を噴出する複数の噴出口と、
前記載置面のうち、前記基板の前記搬送方向における端部の下方に位置する端部領域に設けられ、気体を吸引する複数の吸引口と
を備え、
前記制御部は、
前記複数の噴出口から前記気体を噴出させつつ前記複数の吸引口から気体を吸引することにより、前記基板の前記端部以外の領域を前記載置面から浮上させつつ前記基板の前記搬送方向における端部を前記載置面に吸着させる、請求項1~13のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項15】
噴出する気体の圧力によって基板を浮上させる浮上ステージと、
前記浮上ステージよりも上方に配置された処理部と、
前記浮上ステージによって浮上した前記基板を保持する第1保持部と、
前記浮上ステージを前記基板の搬送方向に沿って移動させる第1移動機構と、
前記第1保持部を前記搬送方向に沿って移動させる第2移動機構と
を備えた基板処理装置における基板処理方法であって、
前記第1移動機構および前記第2移動機構を制御して、前記処理部よりも前記搬送方向上流の開始位置から前記搬送方向下流の終了位置まで前記第1保持部および前記浮上ステージを移動させる移動工程と、
前記移動工程と並行して、前記処理部を制御して前記基板に対する処理を行う処理工程と
を含む、基板処理方法。
【請求項16】
噴出する気体の圧力によって基板を浮上させる浮上ステージと、
前記浮上ステージよりも上方に配置された処理部と、
前記浮上ステージによって浮上した前記基板を保持する第1保持部と、
前記浮上ステージを前記基板の搬送方向に沿って移動させる第1移動機構と、
前記第1保持部を前記搬送方向に沿って移動させる第2移動機構と
を備えた基板処理装置に対し、
前記第1移動機構および前記第2移動機構を制御して、前記処理部よりも前記搬送方向上流の開始位置から前記搬送方向下流の終了位置まで前記第1保持部および前記浮上ステージを移動させる移動手順と、
前記移動手順と並行して、前記処理部を制御して前記基板に対する処理を行う処理手順と
を実行させる、基板処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、基板処理方法および基板処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浮上ステージによって浮上させた基板を水平方向に搬送しながら、基板の上方に配置された処理部を用いて基板の処理を行う基板処理装置が知られている。
【0003】
この種の基板処理装置として、たとえば、搬送される基板に対して塗布液の液滴をインクジェット方式で塗布する塗布装置が知られている。
【0004】
特許文献1には、上方に向かって噴出する気体の圧力によって基板を浮上させる浮上ステージと、浮上ステージから浮上した基板を搬送する搬送部と、搬送部によって搬送される基板の上方から機能液の液滴を滴下する塗布部とを備えた塗布装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-126718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、基板に対する処理を適切に行うことができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様による基板処理装置は、浮上ステージと、処理部と、第1保持部と、第1移動機構と、第2移動機構と、制御部とを備える。浮上ステージは、噴出する気体の圧力によって基板を浮上させる。処理部は、浮上ステージよりも上方に配置される。第1保持部は、浮上ステージによって浮上した基板を保持する。第1移動機構は、浮上ステージを基板の搬送方向に沿って移動させる。第2移動機構は、第1保持部を搬送方向に沿って移動させる。制御部は、第1移動機構および第2移動機構を制御して、処理部よりも搬送方向上流の開始位置から搬送方向下流の終了位置まで第1保持部および浮上ステージを移動させつつ、処理部を制御して基板に対する処理を行う。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、基板に対する処理を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る基板処理装置の一部を示す模式的な平面図である。
図2図2は、実施形態に係る第1移動機構および第2移動機構の構成を示す模式図である。
図3図3は、実施形態に係る第1移動機構および第2移動機構の構成を示す模式図である。
図4図4は、実施形態に係る搬入ステージおよび第2保持部の構成を示す模式図である。
図5図5は、実施形態に係る搬出ステージおよび第3保持部の構成を示す模式図である。
図6図6は、実施形態に係る基板処理装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
図7図7は、実施形態に係る基板処理装置の動作例を示す模式図である。
図8図8は、実施形態に係る基板処理装置の動作例を示す模式図である。
図9図9は、実施形態に係る基板処理装置の動作例を示す模式図である。
図10図10は、実施形態に係る基板処理装置の動作例を示す模式図である。
図11図11は、実施形態に係る基板処理装置の動作例を示す模式図である。
図12図12は、実施形態に係る基板処理装置の動作例を示す模式図である。
図13図13は、実施形態に係る基板処理装置の動作例を示す模式図である。
図14図14は、実施形態に係る基板処理装置の動作例を示す模式図である。
図15図15は、実施形態に係る基板処理装置の動作例を示す模式図である。
図16図16は、第1変形例に係る浮上ステージの模式的な平面図である。
図17図17は、第1変形例に係る浮上ステージの模式的な側面図である。
図18図18は、第2変形例に係る塗布処理における浮上ステージおよび第1保持部の移動速度の制御方法の説明図である。
図19図19は、第2変形例に係る塗布処理における浮上ステージおよび第1保持部の移動速度の制御方法の説明図である。
図20図20は、第2変形例に係る塗布処理における浮上ステージおよび第1保持部の移動速度の制御方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示による基板処理装置、基板処理方法および基板処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0011】
また、以下に示す実施形態では、「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」といった表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密に「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」であることを要しない。すなわち、上記した各表現は、たとえば製造精度、設置精度などのずれを許容するものとする。
【0012】
また、以下参照する各図面では、説明を分かりやすくするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする直交座標系を示す場合がある。また、鉛直軸を回転中心とする回転方向をθ方向と呼ぶ場合がある。
【0013】
特許文献1には、上方に向かって噴出する気体の圧力によって基板を浮上させる浮上ステージと、浮上ステージから浮上した基板を搬送する搬送部と、搬送部によって搬送される基板の上方から機能液の液滴を滴下する塗布部とを備えた塗布装置が開示されている。
【0014】
この種の塗布装置には、塗布部の吐出ヘッドに溜まっている機能液が浮上ステージから噴出される気体によって乾燥することで、機能液の吐出不良が生じるおそれがある。
【0015】
かかる課題は、基板に対して機能液を吐出する場合に限らず、浮上ステージによって浮上した状態で搬送される基板に対し、基板の上方に配置された処理部を用いて基板の処理を行う基板処理装置に共通する課題である。塗布部以外の処理部としては、たとえば、基板の上方から基板に対して洗浄液を吐出して基板を洗浄する洗浄部、基板の上方から基板に対して現像液を吐出して基板上の露光されたフォトレジスト膜を現像液により現像する現像部などが挙げられる。
【0016】
そこで、この種の基板処理装置においては、基板に対する処理を適切に行うことができる技術が期待されている。具体的には、浮上ステージから噴出する気体の影響を受けることなく基板を処理することができる技術が期待されている。
【0017】
また、この種の基板処理装置においては、基板の移載を効率化することで、基板処理装置の生産性を向上させるという点でさらなる改善の余地がある。
【0018】
まず、実施形態に係る基板処理装置1の構成について図1および図2を参照して説明する。図1は、実施形態に係る基板処理装置1の一部を示す模式的な平面図である。図2は、実施形態に係る第1移動機構および第2移動機構の構成を示す模式図である。図2は、第1移動機構および第2移動機構よりも搬送方向(ここでは、Y軸方向)の上流側(すなわち、第1移動機構および第2移動機構のY軸負方向側)から第1移動機構および第2移動機構を見た模式図である。
【0019】
ここでは、本開示による基板処理装置の一態様として、基板Sを水平方向に搬送しながら機能液の液滴をインクジェット方式で基板Sに塗布する塗布装置を例に挙げて説明する。基板Sは、たとえば、フラットパネルディスプレイに用いられる基板である。
【0020】
基板処理装置1は、浮上ステージ2と、複数(ここでは、4つ)の第1保持部3と、第1移動機構4と、第2移動機構5と、塗布部6とを備える。また、基板処理装置1は、搬入ステージ7と、第2保持部8と、搬出ステージ9と、第3保持部10と、検査機構11とを備える。
【0021】
かかる基板処理装置1では、搬入ステージ7において塗布処理前の基板Sを搬入する処理が行われる。つづいて、基板処理装置1では、浮上ステージ2において基板Sの塗布処理が行われる。そして、基板処理装置1では、搬出ステージ9において塗布処理後の基板Sを搬出する処理が行われる。また、基板処理装置1では、塗布処理前の基板Sを搬入ステージ7から浮上ステージ2へ移し替える処理および塗布処理後の基板Sを浮上ステージ2から搬出ステージ9へ移し替える処理が行われる。
【0022】
浮上ステージ2は、基板Sの下面と対向する載置面を有し、載置面から上方に向けて噴出する気体の圧力によって載置面に載置された基板を浮上させることができる。
【0023】
図2は、実施形態に係る浮上ステージ2の模式的な平面図である。図2に示すように、浮上ステージ2は、たとえばアルミニウム等の金属で形成される。アルミニウムで形成された浮上ステージ2は、軽量である。浮上ステージ2は、載置面21に開口する複数の噴出口22と複数の吸引口23とを有する。
【0024】
複数の噴出口22は、たとえば浮上ステージ2の内部に形成された第1内部空間を介して図示しない給気部に接続される。図示しない給気部は、圧縮された気体(たとえば、空気)を第1内部空間に供給する。第1内部空間に供給された気体は、複数の噴出口22から上方に向かって噴出する。これにより、浮上ステージ2は、基板Sに浮上力を与えることができる。
【0025】
複数の吸引口23は、たとえば浮上ステージ2の内部に形成された第2内部空間を介して図示しない吸引部に接続される。図示しない吸引部は、第2内部空間および複数の吸引口23を介して載置面21上方の気体を吸引する。これにより、浮上ステージ2は、基板Sに吸引力を与えることができる。
【0026】
このように、浮上ステージ2は、気体を噴出する噴出口22に加えて、気体を吸引する吸引口23を有しており、気体の吸引量と気体の噴出量とを調整することにより、基板Sの載置面21からの浮上高さを高精度に制御することができる。
【0027】
複数の噴出口22および複数の吸引口23は、載置面21に載置された基板Sの下面の略全面に配置される。複数の噴出口22および複数の吸引口23が形成されている領域(以下、「浮上領域24」と記載する)のうち、基板Sの搬送方向(ここでは、Y軸方向)における端部の下方に位置する領域を端部領域241と記載する。
【0028】
ここで、浮上領域24のうち、端部領域241における噴出口22に対する吸引口23の割合は、浮上領域24のうち端部領域241以外の領域242における噴出口22に対する吸引口23の割合より高くてもよい。たとえば、端部領域241以外の領域242に、噴出口22と吸引口23とが1対1の割合で設けられているとする。この場合、端部領域241には、噴出口22と吸引口23とが、たとえば1対2の割合で設けられていてもよい。
【0029】
基板Sは、反りを有する場合がある。塗布部6が有する複数の吐出ヘッドと基板Sとのギャップは、たとえば数100μm程度と僅かであるため、基板Sに反りがあると基板Sと吐出ヘッドとが干渉してしまうおそれがある。ここで、基板Sの中央部の反りについては、気体の吸引力によってある程度矯正することが可能である。しかしながら、気体の吸引力は、基板Sの中央部と比べて基板Sの端部には働きにくい。このため、基板Sの端部の反りについては、十分に矯正されない可能性がある。
【0030】
これに対し、端部領域241における吸引口23の割合を相対的に増やすことで、基板Sの搬送方向における端部に対する吸引力を、他の領域に対する吸引力と比べて相対的に強くすることができる。このため、実施形態に係る浮上ステージ2によれば、基板Sの反りを抑制することができる。基板Sの反りが抑制されることで、基板Sと塗布部6との干渉が抑制される。このため、実施形態に係る基板処理装置1は、反りのある基板を適切に搬送することができる。
【0031】
基板Sの搬送方向における端部の反りを抑制する手法は、上記の例に限定されない。たとえば、端部領域241には、吸引口23のみが設けられてもよい。言い換えれば、複数の吸引口23は、浮上領域24全体に設けられるのに対し、複数の噴出口22は、浮上領域24のうち端部領域241以外の領域242にのみ設けられてもよい。このように構成した場合、基板Sの搬送方向における端部以外の領域を載置面21から浮上させつつ、基板Sの搬送方向における端部を載置面21に吸着させることができる。これにより、基板Sの反りを抑制することができる。
【0032】
浮上ステージ2は、基板Sの搬送方向における端部に、後述する第2保持部8を挿通可能な切り欠き25を備える。基板Sの外周部の一部は、この切り欠き25の上方に位置している。切り欠き25は、基板Sの搬送方向における上流側の端部および下流側の端部にそれぞれ設けられている。
【0033】
複数の第1保持部3は、浮上ステージ2によって浮上した基板Sを保持する。具体的には、複数の第1保持部3は、基板Sの下方から基板Sの下面の四隅を吸着保持する。
【0034】
第1移動機構4は、浮上ステージ2を基板Sの搬送方向(ここでは、Y軸方向)に沿って移動させる。第2移動機構5は、複数の第1保持部3を搬送方向に沿って移動させる。
【0035】
ここで、第1移動機構4および第2移動機構5の構成について図3を参照して具体的に説明する。図3は、実施形態に係る第1移動機構4および第2移動機構5の構成を示す模式図である。
【0036】
図3に示すように、第1移動機構4および第2移動機構5は、ベース部40の上部に設置される。第1移動機構4は、ガイドレール41と、スライダ42とを備える。ガイドレール41は、搬送方向に沿って延在する部材である。ガイドレール41は、後述する第2移動機構5が備える一対のガイドレール51の間に配置される。スライダ42は、ガイドレール41上に配置され、ガイドレール41に沿って移動可能である。スライダ42は、駆動部425を備える。駆動部425は、スライダ42を搬送方向に沿って移動させる。駆動部425は、たとえば、リニアモータである。
【0037】
第2移動機構5は、一対のガイドレール51,51と、一対のスライダ52,52とを備える。一対のガイドレール51,51は、搬送方向に沿って延在する部材であり、浮上ステージ2を挟むように浮上ステージ2の左右両側方(X軸正方向およびX軸負方向)に配置される。スライダ52は、ガイドレール51上に配置され、ガイドレール51に沿って移動可能である。
【0038】
スライダ52は、ガイドレール51の側面と対向する側壁部521と、ガイドレール51の上面と対向する上壁部522とを備える。また、スライダ52は、側壁部521におけるガイドレール51との対向面に第1浮上パッド523を備えるとともに、上壁部522におけるガイドレール51との対向面に第2浮上パッド524を備える。
【0039】
第1浮上パッド523は、圧縮された気体(たとえば、空気)をガイドレール51の側面に向けて噴射する。また、第2浮上パッド524は、圧縮された気体(たとえば、空気)をガイドレール51の上面に向けて噴射する。これら第1浮上パッド523および第2浮上パッド524から噴射される気体により、スライダ52は、ガイドレール51に対して浮上することができる。
【0040】
また、スライダ52は、駆動部525を備える。駆動部525は、第1浮上パッド523および第2浮上パッド524によってガイドレール51から浮上したスライダ52を搬送方向に沿って移動させる。駆動部525は、たとえば、リニアモータである。
【0041】
複数の第1保持部3は、スライダ52上に配置される。図1に示すように、ここでは、1つのスライダ52に対して2つの第1保持部3が設けられる場合の例を示しており、複数の第1保持部3は、基板Sの下方から基板Sの下面の四隅を吸着保持する。
【0042】
第1保持部3は、スライダ52における上壁部522の上面に設けられる。第1保持部3は、吸着パッド31と、Y移動部32と、X移動部33とを備える。吸着パッド31は、基板Sの下面を吸引することによって、基板Sを吸着する。Y移動部32は、吸着パッド31の下方に設けられ、吸着パッド31を基板Sの搬送方向であるY軸方向に沿って移動可能に支持する。X移動部33は、Y移動部32の下方に設けられ、Y移動部32を基板Sの搬送方向と直交するX軸方向に沿って移動可能に支持する。Y移動部32に対する吸着パッド31の移動およびX移動部33に対するY移動部32の移動は従動的である。なお、第1保持部3は、Y移動部32およびX移動部33の他に、吸着パッド31を鉛直軸周りに回転させる回転部を備えていてもよい。
【0043】
図1に戻り、塗布部6の構成について説明する。塗布部6は、搬送方向に沿って搬送される基板Sの上方から基板Sに対して機能液の液滴を吐出することによって、基板Sに機能液を塗布する。機能液は、たとえばインクである。
【0044】
具体的には、塗布部6は、複数の吐出ヘッドを備える。複数の吐出ヘッドは、基板Sの搬送方向(Y軸方向)および搬送方向と直交する方向(X軸方向)にマトリクス状に配列されている。なお、複数の吐出ヘッドの数や配列は、図示の例に限定されない。
【0045】
各吐出ヘッドは、複数のノズルを下面に有しており、これら複数のノズルから機能液の液滴と下方に向けて吐出する。
【0046】
塗布部6は、基板Sの搬送方向と直交する方向に延在する一対のレール65,65に沿って移動可能である。一対のレール65,65は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)に延びるように設けられる。一対のレール65,65間には、図示しないメンテナンス部が設けられる。塗布部6は、メンテナンス部の上方となる位置と、基板Sに機能液を吐出する位置との間で移動可能である。
【0047】
搬入ステージ7は、浮上ステージ2よりも基板Sの搬送方向上流に配置される。搬入ステージ7は、噴出する気体の圧力によって基板Sを浮上させる。搬入ステージ7は、基板Sの搬送方向に沿って延在する複数のステージ部材71を有しており、これら複数のステージ部材71は、基板Sの搬送方向と直交する方向に互いに間隔をあけて並べられている。各ステージ部材71は、気体を噴射する複数の噴出口を有しており、複数の噴出口から圧縮された気体(たとえば空気)を上方に向けて噴出することにより、基板Sを浮上させる。
【0048】
第2保持部8は、搬入ステージ7によって浮上した基板Sを保持する。第2保持部8は、基板Sの搬送方向上流の端部を下方から吸着保持する。第2保持部8は、搬入ステージ7が有する複数のステージ部材71の間を挿通可能である。
【0049】
ここで、搬入ステージ7および第2保持部8の構成について図4を参照して説明する。図4は、実施形態に係る搬入ステージ7および第2保持部8の構成を示す模式図である。
【0050】
図4に示すように、搬入ステージ7は、ローラ72を備える。ローラ72は、ステージ部材71の搬送方向下流側の端部に設けられる。ローラ72は、搬送方向と直交する方向に延在する回転軸まわりに回転可能である。ローラ72は、浮上ステージ2および搬入ステージ7間で基板Sの移し替えが行われる際に、基板Sの下面を支持しつつ回転する。このように、ローラ72を備えることにより、浮上ステージ2と搬入ステージ7との干渉を抑制しつつ、浮上ステージ2および搬入ステージ7間における基板Sの移し替えを適切に行うことができる。
【0051】
搬入ステージ7は、給気部75および第3移動機構76に接続される。給気部75は、各ステージ部材71の内部空間に対して圧縮された気体を供給する。内部空間に供給された気体は、ステージ部材71の上面に形成された複数の噴出口から上方に向かって噴出する。これにより、搬入ステージ7は、基板Sに浮上力を与えることができる。第3移動機構76は、搬入ステージ7を搬送方向に沿って移動させる。第3移動機構76は、複数のステージ部材71を一体的に移動させる。
【0052】
第2保持部8は、ベース81と、アーム82と、吸着パッド83とを備える。ベース81は、たとえば鉛直方向に延在する支柱部材である。アーム82は、たとえば水平方向に沿って延在する部材である。アーム82の基端部は、ベース81の上面に固定される。アーム82の先端部は、アーム82の基端部よりも搬送方向下流側に位置する。
【0053】
吸着パッド83は、アーム82の先端部に設けられる。吸着パッド83は、真空ポンプなどの排気部85に接続されている。第2保持部8は、排気部85の吸気によって発生する負圧を利用して、基板Sの下面を吸着パッド83に吸着させることにより、基板Sを保持する。
【0054】
ベース81は、第4移動機構86に接続される。第4移動機構86は、ベース81を搬送方向に沿って移動可能である。ベース81上に設けられたアーム82および吸着パッド83は、第4移動機構86により、搬送方向に沿って移動することができる。上述したように、第2保持部8は、搬入ステージ7が有する複数のステージ部材71間の隙間を挿通可能である。このため、第2保持部8は、搬入ステージ7と干渉することなく、言い換えれば、搬入ステージ7とオーバーラップするように、搬送方向に沿って移動することができる。また、第2保持部8が備える吸着パッド83は、浮上ステージ2の搬送方向上流側の端部に設けられた切り欠き25を挿通可能である。これにより、吸着パッド83は、浮上ステージ2上に位置する基板Sの下面を吸着保持することができる。
【0055】
搬出ステージ9は、浮上ステージ2よりも基板Sの搬送方向下流に配置される。搬出ステージ9は、噴出する気体の圧力によって基板Sを浮上させる。搬出ステージ9は、基板Sの搬送方向に沿って延在する複数のステージ部材91を有しており、これら複数のステージ部材91は、基板Sの搬送方向と直交する方向に互いに間隔をあけて並べられている。各ステージ部材91は、気体を噴射する複数の噴出口を有しており、複数の噴出口から圧縮された気体(たとえば空気)を上方に向けて噴出することにより、基板Sを浮上させる。
【0056】
第3保持部10は、搬出ステージ9によって浮上した基板Sを保持する。第3保持部10は、基板Sの搬送方向下流の端部を下方から吸着保持する。第3保持部10は、搬出ステージ9が有する複数のステージ部材91の間を挿通可能である。
【0057】
ここで、搬出ステージ9および第3保持部10の構成について図5を参照して説明する。図5は、実施形態に係る搬出ステージ9および第3保持部10の構成を示す模式図である。
【0058】
図5に示すように、搬出ステージ9は、ローラ92を備える。ローラ92は、ステージ部材91の搬送方向上流側の端部に設けられる。ローラ92は、搬送方向と直交する方向に延在する回転軸まわりに回転可能である。ローラ92は、浮上ステージ2および搬出ステージ9間で基板Sの移し替えが行われる際に、基板Sの下面を支持しつつ回転する。このように、ローラ92を備えることにより、浮上ステージ2と搬出ステージ9との干渉を抑制しつつ、浮上ステージ2および搬出ステージ9間における基板Sの移し替えを適切に行うことができる。
【0059】
搬出ステージ9は、給気部95および第5移動機構96に接続される。給気部95は、各ステージ部材91の内部空間に対して圧縮された気体を供給する。内部空間に供給された気体は、ステージ部材91の上面に形成された複数の噴出口から上方に向かって噴出する。これにより、搬出ステージ9は、基板Sに浮上力を与えることができる。第5移動機構96は、搬出ステージ9を搬送方向に沿って移動させる。第5移動機構96は、複数のステージ部材91を一体的に移動させる。
【0060】
第3保持部10は、ベース101と、アーム102と、吸着パッド103とを備える。ベース101は、たとえば鉛直方向に延在する支柱部材である。アーム102は、たとえば水平方向に沿って延在する部材である。アーム102の基端部は、ベース101の上面に固定される。アーム102の先端部は、アーム102の基端部よりも搬送方向上流側に位置する。
【0061】
吸着パッド103は、アーム102の先端部に設けられる。吸着パッド103は、真空ポンプなどの排気部105に接続されている。第3保持部10は、排気部105の吸気によって発生する負圧を利用して、基板Sの下面を吸着パッド103に吸着させることにより、基板Sを保持する。
【0062】
また、ベース101は、第6移動機構106に接続される。第6移動機構106は、ベース101を搬送方向に沿って移動可能である。ベース101上に設けられたアーム102および吸着パッド103は、第6移動機構106により、搬送方向に沿って移動することができる。上述したように、第3保持部10は、搬出ステージ9が有する複数のステージ部材91間の隙間を挿通可能である。このため、第3保持部10は、搬出ステージ9と干渉することなく、言い換えれば、搬出ステージ9とオーバーラップするように、搬送方向に沿って移動することができる。また、第3保持部10が備える吸着パッド103は、浮上ステージ2の搬送方向下流側の端部に設けられた切り欠き25を挿通可能である。これにより、吸着パッド103は、浮上ステージ2上に位置する基板Sの下面を吸着保持することができる。
【0063】
検査機構11は、搬入ステージ7よりも搬送方向下流かつ搬出ステージ9よりも搬送方向上流に配置される。検査機構11は、塗布部6の吐出ヘッドから吐出された機能液の液滴を検査フィルムによって受けて、液滴の吐出状態を撮像部によって撮像する。検査機構11は、搬送方向に沿って移動可能である。具体的には、検査機構11は、浮上ステージ2よりも高く、塗布部6よりも低い位置に配置されている。このように、検査機構11は、浮上ステージ2と干渉しない高さに配置されている。このため、検査機構11は、浮上ステージ2を超えて浮上ステージ2よりも搬送方向上流または搬送方向下流の位置へ移動することができる。
【0064】
なお、塗布部6は、昇降機構を備えていてもよい。この場合、基板処理装置1は、検査機構11が塗布部6を通過する間、昇降機構を用いて塗布部6を上昇させておくことで、塗布部6と検査機構11との干渉を抑制することができる。
【0065】
また、基板処理装置1は、制御装置100を備える。制御装置100は、たとえばコンピュータであり、制御部110と記憶部120とを備える。記憶部120には、基板処理装置1において実行される各種の処理を制御するプログラム(基板処理プログラムの一例)が格納される。制御部110は、記憶部120に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理装置1の動作を制御する。
【0066】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、記憶媒体から制御装置100の記憶部120にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0067】
実施形態に係る基板処理装置1は、制御装置100の制御に従い、浮上ステージ2に載置された基板Sを第2移動機構5を用いて搬送方向下流に向かって移動させながら、塗布部6を用いて基板Sの上面に機能液の液滴を吐出する。これにより、基板処理装置1は、基板Sに対して描画を行う。また、基板処理装置1は、制御装置100の制御に従い、塗布処理前の基板Sを搬入ステージ7から浮上ステージ2へ移し替える処理、および、塗布処理後の基板Sを浮上ステージ2から搬出ステージ9へ移し替える処理を行う。
【0068】
かかる基板処理装置1の動作について図6および図7図11を参照して具体的に説明する。図6は、実施形態に係る基板処理装置1が実行する処理の手順を示すフローチャートである。また、図7図15は、実施形態に係る基板処理装置1の動作例を示す模式図である。なお、図6に示す各処理手順は、制御装置100による制御に従って実行される。
【0069】
また、図7図15では、2つの基板S(以下、「第1基板S1」および「第2基板S2」と記載する)を示している。第1基板S1は、塗布処理後の基板Sである。また、第2基板S2は、図7図10においては塗布処理前の基板Sである。図6に示すフローチャートは、第2基板S2についての処理手順を示している。また、図7図11では、理解を容易にするために、塗布部6のみ側面視で図示している。
【0070】
図6に示すように、基板処理装置1では、まず、搬入処理が行われる(ステップS101)。
【0071】
搬入処理の開始時において、搬入ステージ7は、基板Sの搬送経路の最上流である搬入位置に配置されている。なお、搬入位置は、塗布処理の開始位置よりもさらに搬送方向上流に位置する。
【0072】
搬入処理では、まず、搬送ロボット等の図示しない搬送手段によって第2基板S2が搬入ステージ7上に載置される(図7参照)。制御部110は、搬入ステージ7を制御して、搬入ステージ7から圧縮された気体を噴出することにより第2基板S2を浮上させる。また、制御部110は、第2保持部8を制御して、搬入ステージ7によって浮上した第2基板S2を吸着保持する。
【0073】
なお、図7に示すように、第2基板S2の搬入処理が行われているとき、浮上ステージ2上には第1基板S1が位置している。このとき、浮上ステージ2、第1保持部3および第1基板S1は、塗布部6よりも搬送方向下流側に位置しており、浮上ステージ2と搬出ステージ9とは近接した状態となっている。
【0074】
つづいて、基板処理装置1では、第2基板S2を搬入ステージ7から浮上ステージ2に移し替える第1移載処理が行われる(ステップS102)。
【0075】
具体的には、制御部110は、第3移動機構76および第4移動機構86(図4参照)を制御して、搬入ステージ7および第2保持部8を図7に示す搬入位置から移動させることにより、第2基板S2を塗布処理の開始位置に配置させる(図8参照)。
【0076】
また、この処理と並行して、制御部110は、第6移動機構106(図5参照)を制御して、第3保持部10を搬送方向上流に向かって移動させることにより、第3保持部10の吸着パッド103を第1基板S1の下面と対向する位置に配置させる。そして、制御部110は、排気部105を制御して、第1基板S1の下面を吸着パッド103に吸着させることにより、第1基板S1を第3保持部10に保持させる。
【0077】
つづいて、制御部110は、第1移動機構4および第2移動機構5を制御して、浮上ステージ2および第2移動機構5を塗布処理の終了位置から搬送方向上流に向かって移動させることにより、浮上ステージ2を搬入ステージ7に近接させる(図9参照)。
【0078】
このとき、制御部110は、浮上ステージ2の上記移動に合わせて第5移動機構96(図5参照)を制御して、搬出ステージ9を搬送方向上流に向かって移動させる。これにより、搬出ステージ9と浮上ステージ2とが近接した状態で、搬出ステージ9と浮上ステージ2とが搬送方向上流に向かって移動する。このとき、第1基板S1は第3保持部10によって保持されている。また、第1保持部3による第1基板S1の保持は解除されている。このため、第1基板S1の位置は変化することなく、浮上ステージ2が第1基板S1の下方から退出していくとともに、搬出ステージ9が第1基板S1の下方に進入する。これにより、第1基板S1は、浮上ステージ2から搬出ステージ9へ移し替えられる(図10参照)。
【0079】
つづいて、制御部110は、第1移動機構4(図3参照)を制御して、浮上ステージ2を塗布処理の開始位置へ移動させつつ、第3移動機構76(図4参照)を制御して、搬入ステージ7を搬入位置へ移動させる。このとき、第2基板S2は、第2保持部8によって保持されている。このため、第2基板S2の位置は塗布処理の開始位置のまま、搬入ステージ7が第2基板S2の下方から退出していくとともに、浮上ステージ2が第2基板S2の下方に進入する。これにより、第2基板S2は、搬入ステージ7から浮上ステージ2へ移し替えられる(図10参照)。
【0080】
つづいて、制御部110は、第2保持部8の排気部85を制御して、第2保持部8による第2基板S2の保持を解除する。また、制御部110は、第1保持部3の第2移動機構5を制御して、浮上ステージ2によって浮上した第2基板S2を吸着保持する。
【0081】
第1移載処理において、浮上ステージ2および搬入ステージ7は、気体を噴出させた状態となっている。これにより、基板処理装置1は、第2基板S2を浮上させた状態で、搬入ステージ7から浮上ステージ2へ第2基板S2を移動させることができる。したがって、第2基板S2を搬入ステージ7から浮上ステージ2へ移動させる際に、第2基板S2に損傷を与えることを抑制することができる。
【0082】
第1移載処理の後、基板処理装置1では、塗布処理が行われる(ステップS103)。
【0083】
具体的には、制御部110は、第1移動機構4および第2移動機構5を制御して、塗布部6よりも搬送方向上流の開始位置から、塗布部6よりも搬送方向下流の終了位置まで、第1保持部3および浮上ステージ2を移動させる(図11参照)。また、この処理と並行して、制御部110は、塗布部6を制御して、搬送される第2基板S2の上方から第2基板S2に対して機能液の液滴を吐出する。
【0084】
浮上ステージ2は、塗布処理の開始位置においては、塗布部6よりも搬送方向上流に全体が位置している。また、浮上ステージ2は、塗布処理の終了位置においては、塗布部6よりも搬送方向下流に全体が位置している。このため、浮上ステージ2は、第1移載処理(図9参照)において塗布処理の開始位置に戻るときと、塗布処理において開始位置から終了位置に移動するときを除き、塗布部6の下方には存在しない。このため、浮上ステージ2から噴出する気体によって塗布部6の吐出ヘッドに溜まっている機能液が乾燥する事態が生じにくい。これにより、機能液の吐出不良の発生が抑制される。したがって、実施形態に係る基板処理装置1によれば、基板Sに対する処理(ここでは、塗布処理)を適切に行うことができる。
【0085】
ところで、塗布処理において浮上ステージ2が開始位置から終了位置に移動するときは、浮上ステージ2上に第2基板S2が位置しているため、浮上ステージ2から噴出する気体が塗布部6の吐出ヘッドに当たることはない。しかしながら、第1移載処理(図9参照)において浮上ステージ2が塗布処理の開始位置に戻るときは、浮上ステージ2上に基板Sが位置していないため、浮上ステージ2から噴出する気体が塗布部6の吐出ヘッドに当たってしまう。
【0086】
そこで、制御部110は、浮上ステージ2および第1保持部3を塗布処理の終了位置から開始位置へ移動させる場合に、浮上ステージ2からの気体の噴出を停止してもよい。制御部110は、浮上ステージ2を終了位置から出発して開始位置へ戻るまでのすべての期間において、気体の噴出を停止してもよい。また、制御部110は、浮上ステージ2を終了位置から出発して開始位置へ戻るまでの期間のうち、浮上ステージ2が塗布部6の下方を通過する期間のみ、気体の噴出を停止してもよい。
【0087】
このように、制御部110は、浮上ステージ2および第1保持部3を塗布処理の終了位置から開始位置へ移動させる場合に、少なくとも浮上ステージ2が塗布部6の下方を通過する間、浮上ステージ2からの気体の噴出を停止してもよい。このようにすることで、浮上ステージ2から噴出する気体が塗布部6の吐出ヘッドに当たることをさらに抑制することができる。
【0088】
塗布処理が終了した後、基板処理装置1では、浮上ステージ2から搬出ステージ9へ第2基板S2を移し替える第2移載処理が行われる(ステップS104)。
【0089】
具体的には、制御部110は、第5移動機構96(図5参照)を制御して、搬出ステージ9を搬送方向上流へ向けて移動させることにより、搬出ステージ9を浮上ステージ2に近接させる(図12参照)。なお、この処理は、浮上ステージ2が塗布処理の終了位置に向けて移動している最中に行われてもよい。
【0090】
また、制御部110は、第6移動機構106(図5参照)を制御して、第3保持部10を搬送方向上流へ向けて移動させることにより、第3保持部10の吸着パッド103を浮上ステージ2上に位置する第2基板S2の下面と対向する位置に配置させる。その後、制御部110は、排気部105を制御して、第3保持部10の吸着パッド103に第2基板S2の下面を吸着させる。また、制御部110は、第1保持部3を制御して、第1保持部3による第2基板S2の吸着保持を解除する。これにより、第2基板S2は、第3保持部10によって保持された状態となる。
【0091】
つづいて、制御部110は、第1移動機構4(図3参照)を制御して浮上ステージ2を搬送方向上流に向けて移動させつつ、第5移動機構96(図5参照)を制御して、搬出ステージ9を搬送方向上流に向かって移動させる(図13参照)。これにより、搬出ステージ9と浮上ステージ2とが近接した状態で、搬出ステージ9と浮上ステージ2とが搬送方向上流に向かって移動する。このとき、第2基板S2は第3保持部10によって保持されている。このため、第2基板S2の位置は塗布処理の終了位置のまま変化することなく、浮上ステージ2が第2基板S2の下方から退出し、搬出ステージ9が第2基板S2の下方に進入する。これにより、第2基板S2は、浮上ステージ2から搬出ステージ9へ移し替えられる(図14参照)。
【0092】
その後、制御部110は、第5移動機構96および第6移動機構106を制御して、搬出ステージ9および第3保持部10を塗布処理の終了位置よりも搬送方向下流に位置する搬出位置へ移動させる(図15参照)。
【0093】
第2移載処理において、浮上ステージ2および搬出ステージ9は、気体を噴出させた状態となっている。これにより、基板処理装置1は、第2基板S2を浮上させた状態で、浮上ステージ2から搬出ステージ9へ第2基板S2を移動させることができる。したがって、第2基板S2を浮上ステージ2から搬出ステージ9へ移動させる際に、第2基板S2に損傷を与えることを抑制することができる。
【0094】
第2移載処理が終了した後、基板処理装置1では、搬出処理が行われる(ステップS105)。
【0095】
具体的には、制御部110は、搬出ステージ9の噴出口からの気体の噴出を停止して、第2基板S2を搬出ステージ9上に載置させる。また、制御部110は、第3保持部10による第2基板S2の吸着を解除する。そして、制御部110は、図示しないリフトピンを上昇させて、第2基板S2を搬出ステージ9の載置面から持ち上げる。その後、第2基板S2は、図示しない搬送ロボットにより搬出される。
【0096】
なお、制御部110は、基板Sに対する一連の処理と並行して、検査機構11による検査処理を行う。
【0097】
具体的には、検査機構11は、たとえば第1基板S1に対する塗布処理が開始される前において、塗布部6よりも搬送方向上流側の位置に配置されている。制御部110は、第1基板S1に対する塗布処理が終了した後、検査機構11を制御して、検査機構11を搬送方向下流へ向けて移動させることにより、検査機構11を塗布部6の下方に配置させる。そして、制御部110は、第1基板S1に対する搬出処理ならびに第2基板S2に対する搬入処理および第1移載処理が行われている間、塗布部6および検査機構11を制御して、検査処理を行う。具体的には、塗布部6は検査機構11の検査フィルム上に機能液の液滴を吐出し、検査機構11は、塗布部6の吐出ヘッドから吐出された機能液の液滴を検査フィルムによって受けて、液滴の吐出状態を撮像部によって撮像する。その後、制御部110は、検査機構11を塗布部6よりも搬送方向上流に移動させる(図10参照)。
【0098】
(第1変形例)
図16は、第1変形例に係る浮上ステージの模式的な平面図である。また、図17は、第1変形例に係る浮上ステージの模式的な側面図である。
【0099】
図16に示すように、浮上ステージ2は、塗布部6の吐出ヘッドから吐出される機能液の液滴を受ける液受部26を備えていてもよい。液受部26は、浮上ステージ2の搬送方向における両端部、すなわち、Y軸正方向側の端部およびY軸負方向側の端部にそれぞれ設けられる。
【0100】
図17に示すように、液受部26は、たとえば、搬出ステージ9および第3保持部10と干渉しない高さに配置される。なお、浮上ステージ2は、搬出ステージ9および第3保持部10と干渉しない高さである退避位置と、この退避位置よりも高い処理位置との間で液受部26を移動させる昇降機構を備えていてもよい。ここで、「退避位置よりも高い処理位置」は、たとえば、浮上ステージ2によって浮上した基板Sの上面と同じ高さであってもよい。この場合、液受部26は、基板Sが機能液の液滴を受けるときと同じ条件で機能液の液滴を受けることができる。なお、「退避位置よりも高い処理位置」は、浮上ステージ2によって浮上した基板Sの上面と概ね同じ高さであればよく、完全に同じ高さであることを要しない。ただし、塗布部6との干渉を抑制する観点から、「退避位置よりも高い処理位置」は、浮上ステージ2によって浮上した基板Sの上面の高さを超えない高さであることが好ましい。また、浮上ステージ2は、液受部26の液受面が上方を向いた水平姿勢(図17に示す姿勢)と、液受面が側方を向いた退避姿勢との間で液受部26を揺動させる揺動機構を備えていてもよい。
【0101】
このように、浮上ステージ2は、液受部26を備えていてもよい。基板処理装置1は、たとえば機能液の吐出を安定化させる観点から、基板Sが吐出ヘッドの直下に位置するタイミングよりも所定時間前から、機能液の液滴の吐出を開始する場合がある。このような場合に、基板Sが吐出ヘッドの直下に位置するタイミングよりも前に吐出された機能液の液滴を液受部26にて受けることができる。
【0102】
また、基板処理装置1は、塗布処理において浮上ステージ2を開始位置および終了位置間で往復移動させる場合がある。このような場合には、復路においても、基板Sが吐出ヘッドの直下に位置するタイミングよりも前に吐出された機能液の液滴を液受部26にて受けることができる。なお、液受部26は、基板Sにおける少なくとも搬送方向下流側の端部に設けられていればよい。
【0103】
(第2変形例)
図18図20は、第2変形例に係る塗布処理における浮上ステージ2および第1保持部3の移動速度の制御方法の説明図である。図18図20には、横軸を浮上ステージ2および第1保持部3の位置とし、縦軸を浮上ステージ2および第1保持部3の移動速度とするグラフを示している。図18図20では、浮上ステージ2の移動速度を実線で、第1保持部3の移動速度を破線で示している。
【0104】
仮に、基板Sと浮上ステージ2との位置関係が変化しない場合、基板Sの下面のうち、浮上ステージ2の噴出口22の直上に位置する部分に常に気体が直接当たることになる。この場合、基板Sの下面のうち浮上ステージ2の噴出口22の直上に位置する部分とそれ以外の部分とで温度ムラが発生するおそれがある。
【0105】
そこで、図18図20に示すように、制御部110は、第1移動機構4および第2移動機構5を制御して、開始位置から終了位置まで第1保持部3および浮上ステージ2を移動させる際、第1保持部3に対する浮上ステージ2の相対速度を変化させてもよい。
【0106】
たとえば、図18には、第1保持部3(つまり、基板S)を一定速度で移動させつつ、浮上ステージ2の移動速度を徐々に速くする場合の例を示している。一例として、開始位置からの移動を開始した直後において、第1保持部3の移動速度は、第1保持部3の移動速度よりも僅かに遅い。一方、終了領域に到達する直前において、第1保持部3の移動速度は、第1保持部3の移動速度よりも僅かに速い。なお、これに限らず、制御部110は、開始位置からの移動を開始した直後において、第1保持部3および浮上ステージ2を同じ速度で移動させ、その後、第1保持部3の移動速度を徐々に速くしてもよい。
【0107】
また、図19には、第1保持部3を一定速度で移動させつつ、浮上ステージ2の移動速度を徐々に遅くする場合の例を示している。一例として、開始位置からの移動を開始した直後において、第1保持部3の移動速度は、第1保持部3の移動速度よりも僅かに速い。一方、終了領域に到達する直前において、第1保持部3の移動速度は、第1保持部3の移動速度よりも僅かに遅い。なお、これに限らず、制御部110は、開始位置からの移動を開始した直後において、第1保持部3および浮上ステージ2を同じ速度で移動させ、その後、第1保持部3の移動速度を徐々に遅くしてもよい。
【0108】
また、図20には、第1保持部3を一定速度で移動させつつ、第1保持部3に対する浮上ステージ2の相対速度を遅くする処理と速くする処理とを交互に行ってもよい。
【0109】
このように、第1保持部3に対する浮上ステージ2の相対速度を変化させることで、基板Sの下面において、浮上ステージ2から噴出される気体が直接当たる位置をずらすことができるため、温度ムラの発生を抑制することができる。
【0110】
なお、基板Sの温度ムラを抑制する手法は、上記の例に限定されない。たとえば、基板処理装置1は、浮上ステージ2に対する気体の供給経路に温度調整部を備えていてもよい。この場合、制御部110は、温度調整部を制御して、浮上ステージ2から噴出する気体の温度をたとえば浮上ステージ2の温度に近づけるように調整してもよい。浮上ステージ2の温度は、たとえば、基板処理装置1の設置場所の環境温度と同一である。制御部110は、浮上ステージ2の温度(すなわち、環境温度)として予め決められた温度に気体の温度を調整してもよい。また、制御部110は、浮上ステージ2の温度(あるいは、環境温度)を測定する測定部の測定結果に応じて気体の温度を調整してもよい。
【0111】
このように、浮上ステージ2から噴出する気体の温度を調整することにより、基板Sの下面の温度ムラの発生を抑制することができる。
【0112】
また、第1移載処理によって基板Sが搬入ステージ7から浮上ステージ2に移し替えられた後、塗布処理が開始されるまでの間に、基板Sの温度が浮上ステージ2の温度に近付くように、ならし時間を設けてもよい。すなわち、制御部110は、第1移載処理後、塗布処理開始前の期間において、浮上ステージ2によって基板Sを浮上させた状態で予め決められた時間だけ基板Sを待機させてもよい。これにより、基板Sの温度が浮上ステージ2の温度に近付くことで基板Sの温度ムラの発生を抑制することができる。
【0113】
上述してきたように、実施形態に係る基板処理装置(一例として、基板処理装置1)は、浮上ステージ(一例として、浮上ステージ2)と、処理部(一例として、塗布部6)と、第1保持部(一例として、第1保持部3)と、第1移動機構(一例として、第1移動機構4)と、第2移動機構(一例として、第2移動機構5)と、制御部(一例として、制御部110)とを備える。浮上ステージは、噴出する気体の圧力によって基板(一例として、基板S)を浮上させる。処理部は、浮上ステージよりも上方に配置される。第1保持部は、浮上ステージによって浮上した基板を保持する。第1移動機構は、浮上ステージを基板の搬送方向に沿って移動させる。第2移動機構は、第1保持部を搬送方向に沿って移動させる。制御部は、第1移動機構および第2移動機構を制御して、処理部よりも搬送方向上流の開始位置から搬送方向下流の終了位置まで第1保持部および浮上ステージを移動させつつ、処理部を制御して基板に対する処理を行う。
【0114】
したがって、実施形態に係る基板処理装置によれば、開始位置、終了位置および処理部の下方を含む全域に位置する固定式の浮上ステージを用いる場合と比較して、浮上ステージ2から噴出する気体が塗布部6に当たりにくくなる。これにより、処理部は、浮上ステージから噴出する気体の影響を受けることなく基板を処理することが可能となる。したがって、実施形態に係る基板処理装置によれば、基板の処理を適切に行うことができる。
【0115】
浮上ステージは、開始位置において処理部よりも搬送方向上流に全体が位置していてもよい。この場合、基板の処理が開始される前において、浮上ステージから噴出する気体が処理部に当たることを抑制することができる。
【0116】
浮上ステージは、終了位置において処理部よりも搬送方向下流に全体が位置していてもよい。この場合、基板の処理が終了した後において、浮上ステージから噴出する気体が処理部に当たることを抑制することができる。
【0117】
実施形態に係る基板処理装置は、搬入ステージ(一例として、搬入ステージ7)と、第2保持部(一例として、第2保持部8)と、第3移動機構(一例として、第3移動機構76)と、第4移動機構(一例として、第4移動機構86)とを備えていてもよい。搬入ステージは、浮上ステージよりも搬送方向上流に配置され、噴出する気体の圧力によって基板を浮上させる。第2保持部は、搬入ステージによって浮上した基板を保持する。第3移動機構は、搬入ステージを搬送方向に沿って移動させる。第4移動機構は、第2保持部を搬送方向に沿って移動させる。
【0118】
この場合、制御部は、基板が搬入ステージによって浮上され、かつ、第2保持部によって保持された状態で、搬入ステージと浮上ステージとを近接させた後、第1移動機構を制御して浮上ステージを搬送方向上流に向けて移動させつつ、第3移動機構を制御して搬入ステージを搬送方向上流に向けて移動させることにより、基板を搬入ステージから浮上ステージに移し替えてもよい。
【0119】
具体的には、制御部は、搬入ステージを制御して、基板を浮上させる。その後、制御部は、第2保持部を制御して、搬入ステージによって浮上した基板を保持する。その後、制御部は、第3移動機構および第4移動機構を制御して、搬入ステージおよび第2保持部を開始位置よりも搬送方向上流の搬入位置から移動させることにより、基板を開始位置に配置させる。その後、制御部は、第1移動機構を制御して、浮上ステージを終了位置から移動させて搬入ステージに近接させる。その後、制御部は、第1移動機構を制御して、浮上ステージを開始位置へ移動させつつ、第3移動機構を制御して、搬入ステージを搬入位置へ移動させることにより、基板を浮上ステージに移し替える。その後、制御部は、第2保持部を制御して、第2保持部による基板の保持を解除し、第1保持部を制御して、浮上ステージによって浮上した基板を保持する。その後、制御部は、第1移動機構および第2移動機構を制御して、開始位置から終了位置まで第1保持部および浮上ステージを移動させつつ、処理部を制御して基板に対する処理を行う。
【0120】
かかる構成とすることにより、処理前の基板の搬送効率を高めることができる。
【0121】
制御部は、第1移動機構および第2移動機構を制御して、浮上ステージおよび第1保持部を終了位置から開始位置へ移動させる場合において、少なくとも浮上ステージが処理部の下方を通過する間、浮上ステージからの気体の噴出を停止してもよい。かかる構成とすることにより、浮上ステージから噴出する気体が処理部に当たることをさらに抑制することができる。
【0122】
実施形態に係る基板処理装置は、搬出ステージと、第3保持部と、第5移動機構と、第6移動機構とを備えていてもよい。搬出ステージは、浮上ステージよりも搬送方向下流に配置され、噴出する気体の圧力によって基板を浮上させる。第3保持部は、搬出ステージによって浮上した基板を保持する。第5移動機構は、搬出ステージを搬送方向に沿って移動させる。第6移動機構は、第3保持部を搬送方向に沿って移動させる。
【0123】
この場合、制御部は、基板が浮上ステージによって浮上された状態で、浮上ステージと搬出ステージとを近接させた後、第3保持部を制御して基板を保持し、その後、第1移動機構を制御して浮上ステージを搬送方向上流に向けて移動させつつ、第5移動機構を制御して搬出ステージを搬送方向上流に向けて移動させることにより、基板を浮上ステージから搬出ステージに移し替えてもよい。
【0124】
かかる構成とすることにより、処理後の基板の搬送効率を高めることができる。
【0125】
制御部は、第1移動機構および第2移動機構を制御して、開始位置から終了位置まで第1保持部および浮上ステージを移動させる際、第1保持部に対する浮上ステージの相対速度を変化させてもよい。たとえば、制御部は、相対速度を遅くする処理と相対速度を速くする処理とを交互に行ってもよい。
【0126】
このように、第1保持部に対する浮上ステージの相対速度を変化させることで、基板の下面において、浮上ステージから噴出される気体が直接当たる位置をずらすことができるため、基板の温度ムラの発生を抑制することができる。
【0127】
実施形態に係る基板処理装置は、浮上ステージから噴出させる気体の温度を調整する温度調整部を備えていてもよい。これにより、気体による基板の温度変化を抑制することができるため、基板の温度ムラの発生を抑制することができる。
【0128】
処理部は、基板に対して機能液の液滴を吐出する吐出ヘッドを有していてもよい。この場合、実施形態に係る基板処理装置は、浮上ステージの搬送方向における端部に設けられ、吐出ヘッドから吐出される機能液を受ける液受部を備えていてもよい。
【0129】
基板処理装置は、たとえば機能液の吐出を安定化させる観点から、基板が吐出ヘッドの直下に位置するタイミングよりも所定時間前から、機能液の液滴の吐出を開始する場合がある。このような場合に、基板が吐出ヘッドの直下に位置するタイミングよりも前に吐出された機能液の液滴を液受部にて受けることができる。
【0130】
浮上ステージは、基板の下面と対向する載置面(一例として、載置面21)と、載置面に設けられ、気体を噴出する複数の噴出口(一例として、噴出口22)と、載置面のうち、基板の搬送方向における端部の下方に位置する端部領域に設けられ、気体を吸引する複数の吸引口(一例として、吸引口23)とを備えていてもよい。この場合、制御部は、複数の噴出口から気体を噴出させつつ複数の吸引口から気体を吸引することにより、基板の端部以外の領域を載置面から浮上させつつ基板の搬送方向における端部を載置面に吸着させてもよい。
【0131】
このように、基板の搬送方向における端部を載置面に吸着させることで、基板の反りを抑制することができる。
【0132】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0133】
1 基板処理装置
2 浮上ステージ
3 第1保持部
4 第1移動機構
5 第2移動機構
6 塗布部
7 搬入ステージ
8 第2保持部
9 搬出ステージ
10 第3保持部
11 検査機構
21 載置面
22 噴出口
23 吸引口
24 浮上領域
26 液受部
41 ガイドレール
51 ガイドレール
52 スライダ
71 ステージ部材
86 第4移動機構
91 ステージ部材
96 第5移動機構
100 制御装置
106 第6移動機構
110 制御部
120 記憶部
S 基板
図1
図2
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