(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074688
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 63/78 20060101AFI20230523BHJP
【FI】
C08G63/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187747
(22)【出願日】2021-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】山田 駿介
(72)【発明者】
【氏名】亀山 裕史
(72)【発明者】
【氏名】竹下 依那
【テーマコード(参考)】
4J029
【Fターム(参考)】
4J029AA07
4J029AB04
4J029AC02
4J029AD02
4J029AE18
4J029BB11A
4J029BB15A
4J029BB18
4J029CB04A
4J029FB03
4J029FB11
4J029GA42
4J029JF031
4J029KC02
4J029KD02
4J029KE03
4J029KE09
(57)【要約】
【課題】、優れたアルカリ現像性及び高い光感度を有し、硬化物における伸度、誘電特性及び基材密着性に優れた酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂の製造方法を提供する。
【解決手段】ポリオール化合物と、不飽和一塩基酸と、多塩基酸無水物とを含む原料を、酸素を含有する気体及び不活性ガスの雰囲気下、並びに撹拌環境下で反応して得る酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂の製造方法であって、反応系内の酸素濃度が、3.5~12.5質量%の範囲であり、反応系内の単位体積当たりの撹拌動力が、0.5~5kW/m3の範囲であり、前記ポリオール化合物が、フェノール性水酸基を有する化合物と環状カーボネート化合物とを含む原料を、不活性ガス雰囲気下で反応して得るものであり、前記フェノール性水酸基を有する化合物の軟化点が、70℃以上であることを特徴とする酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂の製造方法を用いる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール化合物(A)と、不飽和一塩基酸(B)と、多塩基酸無水物(C)とを含む原料を、酸素を含有する気体(g1)及び不活性ガス(g2)の雰囲気下、並びに撹拌環境下で反応して得る酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂の製造方法であって、
反応系内の酸素濃度が、3.5~12.5質量%の範囲であり、
反応系内の単位体積当たりの撹拌動力が、0.5~5kW/m3の範囲であり、
前記ポリオール化合物(A)が、フェノール性水酸基を有する化合物(a1)と環状カーボネート化合物(a2)とを含む原料を、不活性ガス雰囲気下で反応して得るものであり、
前記フェノール性水酸基を有する化合物(a1)の軟化点が、70℃以上であることを特徴とする酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記気体(g1)を反応系内の液面より下部から導入するものであり、前記不活性ガス(g2)を液面より上部から導入するものである請求項1記載の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記不飽和一塩基酸(B)が有する酸基と前記多塩基酸無水物(C)が有する酸無水物基の合計モル数が、前記ポリオール化合物(A)が有する水酸基1モルに対して、0.8~1.2モルの範囲である請求項1又は2記載の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂の製造方法。
【請求項4】
前記不飽和一塩基酸(B)が有する酸基が、前記ポリオール化合物(A)が有する水酸基1モルに対して、0.3~0.7モルの範囲である請求項1~3の何れか1項記載の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂の製造方法。
【請求項5】
前記多塩基酸無水物(C)が有する酸無水物基が、前記ポリオール化合物(A)が有する水酸基1モルに対して、0.3~0.7モルの範囲である請求項1~4の何れか1項記載の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂の製造方法。
【請求項6】
前記環状カーボネート化合物(a2)の使用量が、前記フェノール性水酸基を有する化合物(a1)が有する水酸基1モルに対して、0.9~2モルの範囲である請求項1~5の何れか1項記載の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂の製造方法。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項記載の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂の製造方法で得た酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂と、光重合開始剤とを混合して得る硬化性樹脂組成物の製造方法。
【請求項8】
請求項7記載の硬化性樹脂組成物の製造方法で得た硬化性樹脂組成物を硬化して得る硬化物の製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の硬化物を用いることを特徴とする絶縁材料の製造方法。
【請求項10】
請求項8記載の硬化物を用いることを特徴とするレジスト部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れたアルカリ現像性及び高い光感度を有し、硬化物における優れた伸度、誘電特性及び基材密着性を有する酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂の製造方法、これを含有する硬化性樹脂組成物の製造方法、前記硬化性樹脂組成物からなる硬化物の製造方法、並びに前記硬化物を用いた絶縁材料及びレジスト部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紫外線等の活性エネルギー線により硬化可能な活性エネルギー線硬化性組成物や、熱により硬化可能な熱硬化性組成物などの硬化性組成物は、インキ、塗料、コーティング剤、接着剤、光学部材等の分野において広く用いられている。なかでも、前記コーティング剤用途としては、一般に、各種基材表面へ意匠性を付与できるとともに、優れた硬化性を有しており、また、基材表面の劣化を防止可能な塗膜を形成できることが求められている。さらに、プリント配線板向けのソルダーレジスト用硬化性組成物として用いる場合、アルカリ現像性に優れることなども求められている。
【0003】
従来知られているソルダーレジスト用樹脂材料としては、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物(a)と環状カーボネート類(b)との反応生成物(c)に不飽和基含有モノカルボン酸(d)及び/又はそのエステル類(e)を反応させ、得られる反応生成物(f)に多塩基酸無水物(g)を反応させて得るカルボキシル基含有感光性樹脂が知られているが(例えば、下記特許文献1参照。)、硬化物における伸度、誘電特性及び基材密着性において、今後ますます高まる要求特性を満足するものではなく、昨今の市場要求に対し十分なものではなかった。
【0004】
そこで、優れたアルカリ現像性及び高い光感度を有し、硬化物における伸度、誘電特性及び基材密着性により一層優れた材料が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、優れたアルカリ現像性及び高い光感度を有し、硬化物における伸度、誘電特性及び基材密着性に優れた酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂の製造方法、これを含有する硬化性樹脂組成物の製造方法、前記硬化性樹脂組成物からなる硬化物の製造方法、並びに前記硬化物を用いた絶縁材料及びレジスト部材の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のポリオール化合物と、不飽和一塩基酸と、多塩基酸無水物とを含む原料を、酸素を含有する気体及び不活性ガスの雰囲気下、反応系内の酸素濃度が特定の範囲となるよう、また、単位体積当たりの撹拌動力が特定の範囲となるように撹拌しながら反応させることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、ポリオール化合物(A)と、不飽和一塩基酸(B)と、多塩基酸無水物(C)とを含む原料を、酸素を含有する気体(g1)及び不活性ガス(g2)の雰囲気下、並びに撹拌環境下で反応して得る酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂の製造方法であって、反応系内の酸素濃度が、3.5~12.5質量%の範囲であり、反応系内の単位体積当たりの撹拌動力が、0.5~5kW/m3の範囲であり、前記ポリオール化合物(A)が、フェノール性水酸基を有する化合物(a1)と環状カーボネート化合物(a2)とを含む原料を、不活性ガス雰囲気下で反応して得るものであり、前記フェノール性水酸基を有する化合物(a1)の軟化点が、70℃以上であることを特徴とする酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂の製造方法、これを含有する硬化性樹脂組成物の製造方法、前記硬化性樹脂組成物からなる硬化物の製造方法、並びに前記硬化物を用いた絶縁材料及びレジスト部材の製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の製造方法によって得られた酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂は、優れたアルカリ現像性及び高い光感度を有し、硬化物における優れた伸度、誘電特性及び基材密着性を有することから、絶縁材料及びレジスト部材に好適に用いることができる。なお、本発明でいう「優れた誘電特性」とは、低誘電率及び低誘電正接のことを云う。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂の製造方法としては、ポリオール化合物(A)と不飽和一塩基酸(B)と、多塩基酸無水物(C)とを含む原料を、酸素を含有する気体(g1)及び不活性ガス(g2)の雰囲気下で、撹拌しながら反応させることを特徴とする。
【0011】
前記酸基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基等が挙げられる。これらの中でもカルボキシル基が好ましい。
【0012】
前記重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、アリル基、イソプロペニル基、1-プロぺニル基、スチリル基、スチリルメチル基、マレイミド基、ビニルエーテル基等が挙げられる。
【0013】
なお、本発明において、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを意味する。また、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。さらに、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
【0014】
前記ポリオール化合物(A)としては、フェノール性水酸基を有する化合物(a1)と環状カーボネート化合物(a2)とを含む原料を反応させて得たものを用いる。
【0015】
前記フェノール性水酸基を有する化合物(a1)としては、分子内にフェノール性水酸基を少なくとも1つ有する化合物をいう。前記分子内にフェノール性水酸基を少なくとも1つ有する化合物としては、例えば、下記構造式(2-1)~(2-4)で表される化合物が挙げられる。
【0016】
【0017】
上記構造式(1-1)~(1-4)において、R1は、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子の何れかであり、R2は、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基である。また、pは、0または1以上の整数であり、好ましくは0または1~3の整数であり、より好ましくは0または1であ1ある。なお、上記構造式における芳香環上の置換基の位置については、任意であり、例えば、構造式(1-2)のナフタレン環においてはいずれの環上に置換していてもよく、構造式(1-3)では、1分子中に存在するベンゼン環のいずれの環上に置換していてもよく、構造式(1-4)及び(1-5)では、1分子中に存在するベンゼン環の何れかの環上に置換していてもよいことを示し、1分子中における置換基の個数がp及びqであることを示している。
【0018】
また、前記フェノール性水酸基を有する化合物(a1)としては、例えば、前記分子内にフェノール性水酸基を少なくとも1つ有する化合物と、下記構造式(x-1)~(x-5)の何れかで表される化合物とを必須の反応原料とする反応生成物、前記分子内にフェノール性水酸基を少なくとも1つ有する化合物と、アルデヒド化合物やジビニル化合物とを必須の反応原料とする反応生成物、前記分子内にフェノール性水酸基を少なくとも1つ有する化合物と、下記構造式(x-1)~(x-5)の何れかで表される化合物と、アルデヒド化合物やジビニル化合物とを必須の反応原料とする反応生成物なども用いることができる。また、分子内にフェノール性水酸基を少なくとも1つ有する化合物の1種又は2種以上を反応原料とするノボラック型フェノール樹脂なども用いることができる。
【0019】
【化2】
[式(x-1)中、hは0または1である。式(x-2)~(x-5)中、R
3は、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子の何れかであり、iは、0または1~4の整数である。式(x-2)、(x-3)及び(x-5)中、Zは、ビニル基、ハロメチル基、ヒドロキシメチル基、アルキルオキシメチル基の何れかである。式(x-5)中、Yは、炭素原子数1~4のアルキレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基の何れかであり、jは1~4の整数である。]
【0020】
前記アルデヒド化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド;アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ペンチルアルデヒド、へキシルアルデヒド等のアルキルアルデヒド;サリチルアルデヒド、3-ヒドロキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシベンズアルデヒド、2-ヒドロキシ-4-メチルベンズアルデヒド、2,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド等のヒドロキシベンズアルデヒド;2-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、3-ヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシベンズアルデヒド等のヒドロキシ基とアルコキシ基の両方を有するベンズアルデヒド;メトキシベンズアルデヒド、エトキシベンズアルデヒド等のアルコキシベンズアルデヒド;1-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒド、2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド、6-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒド等のヒドロキシナフトアルデヒド;ブロムベンズアルデヒド等のハロゲン化ベンズアルデヒドなどが挙げられる。これらのアルデヒド化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0021】
前記ジビニル化合物としては、ジビニルベンゼン、アルキルジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジイソプロペニルベンゼン等の芳香族ジビニル化合物、グリセロールジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアクリレート等の脂肪族ジビニル化合物などが挙げられる。
【0022】
前記ジビニルベンゼンとしては、例えば、1,2-ジビニルベンゼン、1,3-ジビニルベンゼン、1,4-ジビニルベンゼン等が挙げられる。これらのジビニルベンゼンは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0023】
前記ジイソプロペニルベンゼンとしては、例えば、1,2-ジイソプロペニルベンゼン、1,3-ジイソプロペニルベンゼン、1,4-ジイソプロペニルベンゼン等が挙げられる。これらのジイソプロペニルベンゼンは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0024】
さらに、前記フェノール性水酸基を有する化合物(a1)としては、例えば、ビスフェノール型フェノール樹脂、フェニレンエーテル型フェノール樹脂、ナフタレン型フェノール樹脂、ナフチレンエーテル型フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、フェノールノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、ビスフェノールノボラック型フェノール樹脂、ナフトールノボラック型フェノール樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック型フェノール樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック型フェノール樹脂、フェノールアラルキル型フェノール樹脂、ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、フルオレン型フェノール樹脂、キサンテン型フェノール樹脂、ジヒドロキシベンゼン型フェノール樹脂、トリヒドロキシベンゼン型フェノール樹脂等が挙げられる。
【0025】
これらのフェノール性水酸基を有する化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0026】
前記フェノール性水酸基を有する化合物(a1)の軟化点は、70℃以上であり、優れたアルカリ現像性及び高い光感度を有し、優れた伸度、誘電特性及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂が得られることから、70~150℃の範囲が好ましく、80~140℃の範囲がより好ましく、80~120℃の範囲がさらに好ましい。なお、本発明において、軟化点は、JIS K6910(2007)に記載の環球法にて測定した値である。
【0027】
前記環状カーボネート化合物(a2)としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ペンチレンカーボネート等が挙げられる。これらの中でも、優れたアルカリ現像性及び高い光感度を有し、優れた伸度、誘電特性及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂が得られることから、エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネートが好ましい。また、これらの環状カーボネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0028】
前記環状カーボネート化合物(a2)の使用量は、優れたアルカリ現像性及び高い光感度を有し、優れた伸度、誘電特性及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂が得られることから、前記フェノール性水酸基を有する化合物(a1)が有する水酸基1モルに対して、0.9~2モルの範囲が好ましく、0.9~1.2モルの範囲がより好ましい。
【0029】
また、前記ポリオール化合物(A)の原料としては、前記フェノール性水酸基を有する化合物(a1)及び前記環状カーボネート化合物(a2)以外にその他の化合物を用いることもできる。
【0030】
前記その他の化合物としては、例えば、多塩基酸、多塩基酸無水物、エピハロヒドリン等が挙げられる。
【0031】
前記多塩基酸としては、一分子中にカルボキシル基を2つ以上有する化合物であれば何れのものも用いることができる。例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニルトリカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等が挙げられる。また、前記多塩基酸としては、例えば、共役ジエン系ビニルモノマーとアクリロニトリルとの共重合体であって、その分子中にカルボキシル基を有する重合体も用いることができる。これらの多塩基酸は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0032】
前記多塩基酸無水物としては、例えば、脂肪族多塩基酸無水物、脂環式多塩基酸無水物、芳香族多塩基酸無水物等が挙げられる。
【0033】
前記脂肪族多塩基酸無水物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸の酸無水物等が挙げられる。また、前記脂肪族多塩基酸無水物としては、脂肪族炭化水素基は直鎖型及び分岐型のいずれでもよく、構造中に不飽和結合を有していてもよい。
【0034】
前記脂環式多塩基酸無水物としては、本発明では、酸無水物基が脂環構造に結合しているものを脂環式多塩基酸無水物とし、それ以外の構造部位における芳香環の有無は問わないものとする。前記脂環式多塩基酸無水物としては、例えば、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサントリカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸の酸無水物等が挙げられる。
【0035】
前記芳香族多塩基酸無水物としては、例えば、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニルトリカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸の酸無水物等が挙げられる。
【0036】
これらの多塩基酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0037】
前記エピハロヒドリンとしては、例えば、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン等が挙げられる。これらのエピハロヒドリンは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0038】
前記その他の化合物の使用量は、前記ポリオール化合物(A)の原料中に10質量%以下が好ましい。
【0039】
前記ポリオール化合物(A)の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。例えば、前記フェノール性水酸基を有する化合物(a1)と前記環状カーボネート化合物(a2)とを含む原料を、塩基性触媒の存在下で、不活性ガス雰囲気下で100~200℃の温度範囲が好ましく、反応時間としては、1~30時間の範囲が好ましい。
【0040】
前記塩基性触媒としては、例えば、N-メチルモルフォリン、ピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリ-n-ブチルアミンもしくはジメチルベンジルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、2,4-ジメチルイミダゾール、1,4-ジエチルイミダゾール、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(N-フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアミン化合物;トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等の四級アンモニウム塩;トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物;テトラメチルホスホニウムクロライド、テトラエチルホスホニウムクロライド、テトラプロピルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、トリメチル(2-ヒドロキシルプロピル)ホスホニウムクロライド、トリフェニルホスホニウムクロライド、ベンジルホスホニウムクロライド等のホスホニウム塩;ジブチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、オクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジネオデカノエート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫、1,1,3,3-テトラブチル-1,3-ドデカノイルジスタノキサン等の有機錫化合物;オクチル酸亜鉛、オクチル酸ビスマス等の有機金属化合物;オクタン酸錫等の無機錫化合物;無機金属化合物などが挙げられる。これらの塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、優れたアルカリ現像性及び高い光感度を有し、優れた伸度、誘電特性及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂が得られることから、ホスフィン化合物が好ましい。
【0041】
前記塩基性触媒の使用量は優れたアルカリ現像性及び高い光感度を有し、優れた伸度、誘電特性及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂が得られることから、前記フェノール性水酸基を有する化合物(a1)と前記環状カーボネート化合物(a2)とを含む原料の合計100質量部に対して、0.01~1.0質量部の範囲が好ましく、0.05~0.8の範囲がより好ましい。
【0042】
前記不飽和一塩基酸(B)とは、一分子中に酸基及び重合性不飽和結合を有する化合物をいう。なお、本発明において、「重合性不飽和結合」とは、ラジカル重合し得る不飽和結合を意味する。
【0043】
前記酸基としては、上述の酸基として例示したものが挙げられる。
【0044】
前記不飽和一塩基酸(B)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、α-シアノ桂皮酸、β-スチリルアクリル酸、β-フルフリルアクリル酸等が挙げられる。また、前記不飽和一塩基酸のエステル化物、酸ハロゲン化物、酸無水物等も用いることができる。さらに、下記構造式(2)で表される化合物等も用いることができる。
【0045】
【化3】
[式(2)中、Xは、炭素数1~10のアルキレン鎖、ポリオキシアルキレン鎖、(ポリ)エステル鎖、芳香族炭化水素鎖、または(ポリ)カーボネート鎖を表し、構造中にハロゲン原子やアルコキシ基等を有していても良い。Yは、水素原子またはメチル基である。]
【0046】
前記ポリオキシアルキレン鎖としては、例えば、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖等が挙げられる。
【0047】
前記(ポリ)エステル鎖としては、例えば、下記構造式(X-1)で表される(ポリ)エステル鎖が挙げられる。
【0048】
【化4】
[式(X-1)中、R
1は、炭素原子数1~10のアルキレン基であり、nは1~5の整数である。]
【0049】
前記芳香族炭化水素鎖としては、例えば、フェニレン鎖、ナフチレン鎖、ビフェニレン鎖、フェニルナフチレン鎖、ビナフチレン鎖等が挙げられる。また、部分構造として、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等の芳香環を有する炭化水素鎖も用いることができる。
【0050】
前記(ポリ)カーボネート鎖としては、例えば、下記構造式(X-2)で表される(ポリ)カーボネート鎖が挙げられる。
【0051】
【化5】
[式(X-2)中、R
2は、炭素原子数1~10のアルキレン基であり、nは1~5の整数である。]
【0052】
前記構造式(2)で表される化合物の分子量は、100~500の範囲が好ましく、150~400の範囲がより好ましい。
【0053】
これらの不飽和一塩基酸(B)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0054】
前記不飽和一塩基酸(B)の使用量は、優れたアルカリ現像性及び高い光感度を有し、優れた伸度、誘電特性及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂が得られることから、前記ポリオール化合物(A)が有する水酸基1モルに対して、前記不飽和一塩基酸(B)が有する酸基が、0.3~0.7モルとなる範囲が好ましく、0.4~0.7となる範囲がより好ましい。
【0055】
前記多塩基酸無水物(C)としては、上述の多塩基酸無水物として例示したものと同様のものを用いることができ、前記多塩基酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、中でも、優れたアルカリ現像性及び高い光感度を有し、優れた伸度、誘電特性及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂が得られることから、テトラヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物、無水コハク酸、3-メチル-8-オキサビシクロ[4.3.0]ノナン-7,9-ジオンが好ましい。
【0056】
前記多塩基酸無水物(C)の使用量は、優れたアルカリ現像性及び高い光感度を有し、優れた伸度、誘電特性及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂が得られることから、前記ポリオール化合物(A)が有する水酸基1モルに対して、前記多塩基酸無水物(C)が有する酸無水物基が、0.3~0.7モルとなる範囲が好ましく、0.3~0.6となる範囲がより好ましい。
【0057】
また、優れたアルカリ現像性及び高い光感度を有し、優れた伸度、誘電特性及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂が得られることから、前記ポリオール化合物(A)が有する水酸基1モルに対して、前記不飽和一塩基酸(B)が有する酸基と前記多塩基酸無水物(C)が有する酸無水物基の合計モル数が、0.8~1.2モルの範囲であることが好ましく、0.9~1.1モルの範囲であることがより好ましい。
【0058】
本発明の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂の原料としては、前記ポリオール化合物(A)、前記不飽和一塩基酸(B)、及び前記多塩基酸無水物(C)以外にその他の化合物を用いることもできる。
【0059】
前記その他の化合物としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アミン化合物等が挙げられる。
【0060】
前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルビフェニル、o-トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;下記構造式(3)で表される繰り返し構造を有するポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体等が挙げられる。また、これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0061】
【化6】
[式中、R
1はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~6の炭化水素基の何れかであり、R
2はそれぞれ独立に炭素原子数1~4のアルキル基である。lは0または1~3の整数であり、mは1~15の整数である。]
【0062】
エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ化合物、フェニレンエーテル型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、ナフチレンエーテル型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、トリフェニルメタン型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールノボラック型エポキシ化合物、ナフトールノボラック型エポキシ化合物、ナフトール-フェノール共縮ノボラック型エポキシ化合物、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック型エポキシ化合物、フェノールアラルキル型エポキシ化合物、ナフトールアラルキル型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型エポキシ化合物、ビフェニルアラルキル型エポキシ化合物、フルオレン型エポキシ化合物、キサンテン型エポキシ化合物、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ化合物、トリヒドロキシベンゼン型エポキシ化合物等が挙げられる。
【0063】
前記ビスフェノール型エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールAP型エポキシ化合物、ビスフェノールB型エポキシ化合物、ビスフェノールBP型エポキシ化合物、ビスフェノールE型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物等が挙げられる。
【0064】
前記水添ビスフェノール型エポキシ化合物としては、例えば、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールB型エポキシ化合物、水添ビスフェノールE型エポキシ化合物、水添ビスフェノールF型エポキシ化合物、水添ビスフェノールS型エポキシ化合物等が挙げられる。
【0065】
前記ビフェノール型エポキシ化合物としては、例えば、4,4’-ビフェノール型エポキシ化合物、2,2’-ビフェノール型エポキシ化合物、テトラメチル-4,4’-ビフェノール型エポキシ化合物、テトラメチル-2,2’-ビフェノール型エポキシ化合物等が挙げられる。
【0066】
前記水添ビフェノール型エポキシ化合物としては、例えば、水添4,4’-ビフェノール型エポキシ化合物、水添2,2’-ビフェノール型エポキシ化合物、水添テトラメチル-4,4’-ビフェノール型エポキシ化合物、水添テトラメチル-2,2’-ビフェノール型エポキシ化合物等が挙げられる。
【0067】
これらのエポキシ化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0068】
前記アミン化合物としては、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、イミダゾ-ル、BF3-アミン錯体、グアニジン誘導体等が挙げられる。これらのアミン化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0069】
前記その他の化合物の使用量は、酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂の原料中に10質量%以下が好ましい。
【0070】
前記気体(g1)としては、例えば、酸素ガス、空気等が挙げられる。
【0071】
前記不活性ガス(g2)としては、反応系において不活性であれば何れでもよく、例えば、水素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等が挙げられる。これらの不活性ガスは、単独で用いることも2種以上の混合ガスとして用いることもできる。
【0072】
また、前記気体(g1)及び前記不活性ガス(g2)は、予め混合気体として調整されたものを反応装置内に導入してもよいし、前記気体(g1)と前記不活性ガス(g2)とを別々に反応装置内に導入し、反応系内で混合してもよい。
【0073】
前記気体(g1)と前記不活性ガス(g2)とを別々に反応装置内に導入する場合は、前記気体(g1)と前記不活性ガス(g2)の導入ノズルは、別々になっていても、1つになっていても良く、前記導入ノズルが反応装置内に存在していればよいが、別々になっていることが好ましい。また、このときの前記導入ノズルの位置としては、優れたアルカリ現像性及び高い光感度を有し、優れた伸度、誘電特性及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂が得られることから、前記気体(g1)を反応系の液面下部より導入し、前記不活性ガス(g2)を反応系の液面上部より導入する位置に導入ノズルがあることが好ましい。
【0074】
また、反応装置内の酸素濃度、すなわち、反応系内の酸素濃度は、優れたアルカリ現像性及び高い光感度を有し、優れた伸度、誘電特性及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂が得られることから、3.5~12.5質量%の範囲であり、4~10質量%の範囲が好ましく、5~9質量%の範囲がより好ましく、6~9質量%の範囲が特に好ましい。
【0075】
前記反応系内の酸素濃度を3.5~12.5質量%とする方法としては、特に限定されないが、例えば、反応系内の液面より上部から吹き込む方法や、気体導入ノズルを液面下に設定してバブリングする方法等が挙げられる。これらの中でも、優れたアルカリ現像性及び高い光感度を有し、優れた伸度、誘電特性及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂が得られることから、反応系内の液面より上部から前記気体(g1)と前記不活性ガス(g2)をそれぞれ吹き込む方法が好ましく、反応系の液面より上部から前記不活性ガス(g2)を吹き込み、前記気体(g1)を液面下に設定した気体導入ノズルよりバブリングする方法がより好ましい。
【0076】
前記気体(g1)及び前記不活性ガス(g2)の合計導入量は、優れたアルカリ現像性及び高い光感度を有し、優れた伸度、誘電特性及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂が得られることから、ポリオール化合物(A)と不飽和一塩基酸(B)との総量1kgあたり、1×10-12~1×10-3/minの範囲が好ましく、1×10-11~1×10-3/minがより好ましい。また、前記気体(g1)及び前記不活性ガス(g2)は、連続的に導入しても、間歇して導入してもよく、導入量の平均がこの範囲内であればよい。
【0077】
本発明の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂の製造方法としては、ポリオール化合物(A)と不飽和一塩基酸(B)と多塩基酸無水物(C)とを含む原料を、酸性触媒及び/又は塩基性触媒の存在下、酸素を含有する気体(g1)及び不活性ガス(g2)の雰囲気下で、反応系内の酸素濃度が、3.5~12.5質量%の範囲であり、反応系内の単位体積当たりの撹拌動力が、0.5~5kW/m3の範囲で撹拌しながら行うものであれば、特に制限されず、どのような方法で製造してもよい。なお、本発明における「単位体積当たりの撹拌動力」とは、下記式(1)より算出した値である。
【0078】
【数1】
[式(1)中、Pvは単位体積当たりの撹拌動力(kW/m
3)、Npは撹拌動力数(-)、ρは樹脂の密度(kg/m
3)、nは撹拌翼の回転数(sec
-1)、dは撹拌翼の径(m)、Vは反応液体積(m
3)をそれぞれ示す。]
【0079】
前記撹拌動力としては、0.5~5kW/m3の範囲であるが、優れたアルカリ現像性及び高い光感度を有し、優れた伸度、誘電特性及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂が得られることから、1~4kW/m3の範囲の範囲が好ましく、2~4kW/m3の範囲がより好ましい。
【0080】
前記酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂の製造方法としては、優れたアルカリ現像性及び高い光感度を有し、優れた伸度、誘電特性及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂が得られることから、予め、ポリオール化合物(A)と、不飽和一塩基酸(B)とを反応させて反応物を得、次いで、多塩基酸無水物(C)を反応させる方法が好ましい。
【0081】
前記ポリオール化合物(A)と前記不飽和一塩基酸(B)との反応における反応温度としては、例えば、60~150℃の範囲が好ましく、反応時間としては、1~30時間の範囲が好ましい。
【0082】
前記ポリオール化合物(A)と前記不飽和一塩基酸(B)との反応においては、酸触媒存在下で減圧しながら、非水溶性溶剤と水を共沸させて、系中の水を除去しながら合成した後に、水洗して酸性触媒を除去する方法が好ましい。
【0083】
前記非水溶性溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の環状エーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族溶剤などが挙げられる。
【0084】
また、前記ポリオール化合物(A)と、前記不飽和一塩基酸(B)とを反応させて得られてた反応物と、前記多塩基酸無水物(C)との反応は、塩基性触媒下で70~160℃の範囲が好ましく、反応時間としては、1~20時間の範囲が好ましい。
【0085】
前記酸性触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸、三フッ化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のルイス酸などが挙げられる。また、スルホニル基等の強酸を有する固体酸触媒等も用いることができる。これらの酸性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0086】
前記塩基性触媒としては、上述の塩基性触媒として例示したものと同様のものを用いることができ、前記塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0087】
本発明の硬化性樹脂組成物は、前記酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂と、光重合開始剤を含有するものを用いる。
【0088】
前記光重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,2’-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ジフェニル(2,4,6-トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン等の光ラジカル重合開始剤などが挙げられる。
【0089】
前記光重合開始剤の市販品としては、例えば、「Omnirad 1173」、「Omnirad 184」、「Omnirad 127」、「Omnirad 2959」、「Omnirad 369」、「Omnirad 379」、「Omnirad 907」、「Omnirad 4265」、「Omnirad 1000」、「Omnirad 651」、「Omnirad TPO」、「Omnirad 819」、「Omnirad 2022」、「Omnirad 2100」、「Omnirad 754」、「Omnirad 784」、「Omnirad 500」、「Omnirad 81」(IGM Resins社製);「KAYACURE DETX」、「KAYACURE MBP」、「KAYACURE DMBI」、「KAYACURE EPA」、「KAYACURE OA」(日本化薬株式会社製);「Vicure 10」、「Vicure 55」(Stoffa Chemical社製);「Trigonal P1」(Akzo Nobel社製)、「SANDORAY 1000」(SANDOZ社製);「DEAP」(Upjohn Chemical社製)、「Quantacure PDO」、「Quantacure ITX」、「Quantacure EPD」(Ward Blenkinsop社製);「Runtecure 1104」(Runtec社製)等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0090】
前記光重合開始剤の添加量は、例えば、硬化性樹脂組成物の溶剤以外の成分の合計中に0.05~15質量%の範囲であることが好ましく、0.1~10質量%の範囲であることがより好ましい。
【0091】
また、前記光重合開始剤は、必要に応じて、アミン化合物、尿素化合物、含硫黄化合物、含燐化合物、含塩素化合物、ニトリル化合物等の光増感剤を併用することもできる。
【0092】
本発明の硬化性樹脂組成物は、前述した酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂以外のその他の樹脂成分を含有しても良い。前記その他の樹脂成分としては、酸基及び重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂、酸基及び重合性不飽和基を有するウレタン樹脂、酸基及び重合性不飽和基を有するアクリル樹脂、酸基及び重合性不飽和基を有するアミドイミド樹脂、酸基及び重合性不飽和基を有するアクリルアミド樹脂、各種の(メタ)アクリレートモノマー等が挙げられる。
【0093】
前記酸基としては、上述の酸基として例示したものが挙げられる。
【0094】
前記重合性不飽和基としては、上述の重合性不飽和基として例示したものが挙げられる。
【0095】
前記酸基及び重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和一塩基酸、及び多塩基酸無水物を必須の反応原料とする酸基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂や、エポキシ樹脂、不飽和一塩基酸、多塩基酸無水物、ポリイソシアネート化合物、及び水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物を反応原料とする酸基及びウレタン結合を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂などが挙げられる。
【0096】
前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェニレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、キサンテン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂、トリヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂(A1)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、優れたアルカリ現像性及び高い光感度を有し、優れた伸度、誘電特性及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂が得られることから、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂が好ましい。
【0097】
前記ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAP型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、ビスフェノールBP型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0098】
前記水添ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールB型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールE型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールS型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0099】
前記ビフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、4,4’-ビフェノール型エポキシ樹脂、2,2’-ビフェノール型エポキシ樹脂、テトラメチル-4,4’-ビフェノール型エポキシ樹脂、テトラメチル-2,2’-ビフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0100】
前記水添ビフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、水添4,4’-ビフェノール型エポキシ樹脂、水添2,2’-ビフェノール型エポキシ樹脂、水添テトラメチル-4,4’-ビフェノール型エポキシ樹脂、水添テトラメチル-2,2’-ビフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0101】
これらのエポキシ樹脂は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0102】
前記不飽和一塩基酸としては、上述の不飽和一塩基酸(B)として例示したものと同様のものを用いることができ、前記不飽和一塩基酸は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0103】
前記多塩基酸無水物としては、上述の多塩基酸無水物として例示したものと同様のものを用いることができ、前記多塩基酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0104】
前記ポリイソシアネート化合物としては、上述のポリイソシアネート化合物として例示したものと同様のものを用いることができ、前記ポリイソシアネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0105】
前記水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、前記各種の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体や、前記各種の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等も用いることができる。これらの水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0106】
前記酸基及び重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。前記酸基及び重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒を用いてもよい。
【0107】
前記有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の環状エーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族溶剤;カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール溶剤;アルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等のグリコールエーテル溶剤;メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、前記有機溶剤の使用量は、反応効率が良好となることから、反応原料の合計質量に対し0.1~5倍量程度の範囲で用いることが好ましい。
【0108】
前記塩基性触媒としては、上述の塩基性触媒として例示したものと同様のものを用いることができ、前記塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0109】
前記酸基及び重合性不飽和基を有するウレタン樹脂としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物、カルボキシル基を有するポリオール化合物、及び必要に応じて多塩基酸無水物、前記カルボキシル基を有するポリオール化合物以外のポリオール化合物とを反応させて得られたものや、ポリイソシアネート化合物、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物、多塩基酸無水物、及びカルボキシル基を有するポリオール化合物以外のポリオール化合物とを反応させて得られたもの等が挙げられる。
【0110】
前記ポリイソシアネート化合物としては、上述のポリイソシアネート化合物として例示したものと同様のものを用いることができ、前記ポリイソシアネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0111】
前記水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、上述の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物として例示したものと同様のものを用いることができ、前記水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0112】
前記カルボキシル基を有するポリオール化合物としては、例えば、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール吉草酸等が挙げられる。前記カルボキシル基を有するポリオール化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0113】
前記多塩基酸無水物としては、上述の多塩基酸無水物(C)として例示したものと同様のものを用いることができ、前記多塩基酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0114】
前記カルボキシル基を有するポリオール化合物以外のポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール化合物;ビフェノール、ビスフェノール等の芳香族ポリオール化合物;前記各種のポリオール化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種のポリオール化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。前記カルボキシル基を有するポリオール化合物以外のポリオール化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0115】
前記酸基及び重合性不飽和基を有するウレタン樹脂の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。前記酸基及び重合性不飽和基を有するウレタン樹脂の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒を用いてもよい。
【0116】
前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤として例示したものと同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0117】
前記塩基性触媒としては、上述の塩基性触媒として例示したものと同様のものを用いることができ、前記塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0118】
前記酸基及び重合性不飽和基を有するアクリル樹脂としては、例えば、水酸基やカルボキシル基、イソシアネート基、グリシジル基等の反応性官能基を有する(メタ)アクリレート化合物(α)を必須の成分として重合させて得られるアクリル樹脂中間体に、これらの官能基と反応し得る反応性官能基を有する(メタ)アクリレート化合物(β)をさらに反応させることにより(メタ)アクリロイル基を導入して得られる反応生成物や、前記反応生成物中の水酸基に多塩基酸無水物を反応させて得られるもの等が挙げられる。
【0119】
前記アクリル樹脂中間体は、前記(メタ)アクリレート化合物(α)の他、必要に応じてその他の重合性不飽和基を有する化合物を共重合させたものであってもよい。前記その他の重合性不飽和基を有する化合物は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環式構造を有する(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の芳香環を有する(メタ)アクリレート;3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシリル基を有する(メタ)アクリレート;スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン誘導体等が挙げられる。これらは単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0120】
前記(メタ)アクリレート化合物(β)は、前記(メタ)アクリレート化合物(α)が有する反応性官能基と反応し得るものであれば特に限定されないが、反応性の観点から以下の組み合わせであることが好ましい。即ち、前記(メタ)アクリレート化合物(α)として水酸基を有する(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)としてイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(α)としてカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)としてグリシジル基を有する(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(α)としてイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)として水酸基を有する(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(α)としてグリシジル基を有する(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)としてカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(β)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0121】
前記多塩基酸無水物は、上述の多塩基酸無水物として例示したものと同様のものを用いることができ、前記多塩基酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0122】
前記酸基及び重合性不飽和基を有するアクリル樹脂の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。前記酸基及び重合性不飽和基を有するアクリル樹脂の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒を用いてもよい。
【0123】
前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤として例示したものと同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0124】
前記塩基性触媒としては、上述の塩基性触媒として例示したものと同様のものを用いることができ、前記塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0125】
前記酸基及び重合性不飽和基を有するアミドイミド樹脂としては、例えば、酸基及び/または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂と、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物及び/またはエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物と、必要に応じて、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、グリシジル基、及び酸無水物基からなる群より選ばれる1種以上の反応性官能基を有する化合物を反応させて得られるものが挙げられる。なお、前記反応性官能基を有する化合物は、(メタ)アクリロイル基を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0126】
前記アミドイミド樹脂としては、酸基または酸無水物基のどちらか一方のみを有するものであってもよいし、両方を有するものであってもよい。水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物や(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ化合物との反応性や反応制御の観点から、酸無水物基を有するものであることが好ましく、酸基と酸無水物基との両方を有するものであることがより好ましい。前記アミドイミド樹脂の固形分酸価は、中性条件下、即ち、酸無水物基を開環させない条件での測定値が60~350mgKOH/gの範囲であることが好ましい。他方、水の存在下等、酸無水物基を開環させた条件での測定値が61~360mgKOH/gの範囲であることが好ましい。
【0127】
前記アミドイミド樹脂としては、例えば、ポリイソシアネート化合物と、多塩基酸無水物とを反応原料として得られるものが挙げられる。
【0128】
前記ポリイソシアネート化合物としては、上述のポリイソシアネート化合物として例示したものと同様のものを用いることができ、前記ポリイソシアネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0129】
前記多塩基酸無水物としては、上述の多塩基酸無水物として例示したものと同様のものを用いることができ、前記多塩基酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0130】
また、前記アミドイミド樹脂は、必要に応じて、前記ポリイソシアネート化合物及び多塩基酸無水物以外に、多塩基酸を反応原料として併用することもできる。
【0131】
前記多塩基酸としては、上述の多塩基酸として例示したものと同様のものを用いることができ、前記多塩基酸は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0132】
前記水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、上述の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物として例示したものと同様のものを用いることができ、前記水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0133】
前記エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、分子構造中に(メタ)アクリロイル基とエポキシ基とを有するものであれば他の具体構造は特に限定されず、多種多様な化合物を用いることができる。例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、エポキシシクロへキシルメチル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有する(メタ)アクリレートモノマー;ジヒドロキシベンゼンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ビフェノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールジグリシジルエーテル等のジグリシジルエーテル化合物のモノ(メタ)アクリレート化物等が挙げられる。これらのエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。これらの中でも、反応の制御が容易となることから、エポキシ基を1つ有する(メタ)アクリレート化合物が好ましく、優れたアルカリ現像性及び高い光感度を有し、優れた伸度、誘電特性及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、グリシジル基を有する(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。また、前記グリシジル基を有する(メタ)アクリレートモノマーの分子量は500以下であることが好ましい。さらに、前記エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物の総質量に対する前記グリシジル基を有する(メタ)アクリレートモノマーの割合が70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
【0134】
前記酸基及び重合性不飽和基を有するアミドイミド樹脂の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。前記酸基及び重合性不飽和基を有するアミドイミド樹脂の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒を用いてもよい。
【0135】
前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤として例示したものと同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0136】
前記塩基性触媒としては、上述の塩基性触媒として例示したものと同様のものを用いることができ、前記塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0137】
前記酸基及び重合性不飽和基を有するアクリルアミド樹脂としては、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物と、アルキレンオキサイドまたはアルキレンカーボネートと、N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物と、多塩基酸無水物と、必要に応じて不飽和一塩基酸とを反応させて得られたものが挙げられる。
【0138】
前記フェノール性水酸基を有する化合物としては、上述のフェノール性水酸基を有する化合物(a1)として例示したものと同様のものを用いることができ、前記フェノール性水酸基を有する化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0139】
前記アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、ペンチレンオキサイド等が挙げられる。これらの中でも、優れたアルカリ現像性及び高い光感度を有し、優れた伸度、誘電特性及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドが好ましい。前記アルキレンオキサイドは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0140】
前記アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ペンチレンカーボネート等が挙げられる。これらの中でも、優れたアルカリ現像性及び高い光感度を有し、優れた伸度、誘電特性及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートが好ましい。前記アルキレンカーボネートは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0141】
前記N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物としては、例えば、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。前記N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0142】
前記多塩基酸無水物としては、上述の多塩基酸無水物(C)として例示したものと同様のものを用いることができ、前記多塩基酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0143】
前記不飽和一塩基酸としては、上述の不飽和一塩基酸(B)として例示したものと同様を用いることができ、前記不飽和一塩基酸は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0144】
前記酸基及び重合性不飽和基を有するアクリルアミド樹脂の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。前記酸基及び重合性不飽和基を有するアクリルアミド樹脂の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒及び酸性触媒を用いてもよい。
【0145】
前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤として例示したものと同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0146】
前記塩基性触媒としては、上述の塩基性触媒として例示したものと同様のものを用いることができ、前記塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0147】
前記酸性触媒としては、上述の酸性触媒として例示したものと同様のものを用いることができ、前記酸性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0148】
前記酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂の使用量は、本発明の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂100質量部に対して、10~900質量部の範囲が好ましい。
【0149】
前記各種の(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の脂肪族モノ(メタ)アクリレート化合物;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチルモノ(メタ)アクリレート等の脂環型モノ(メタ)アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等の複素環型モノ(メタ)アクリレート化合物;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族モノ(メタ)アクリレート化合物等のモノ(メタ)アクリレート化合物:前記各種のモノ(メタ)アクリレートモノマーの分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等のポリオキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性モノ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のモノ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性モノ(メタ)アクリレート化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ジ(メタ)アクリレート化合物;1,4-シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の脂環型ジ(メタ)アクリレート化合物;ビフェノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート等の芳香族ジ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のジ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入したポリオキシアルキレン変性ジ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のジ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性ジ(メタ)アクリレート化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等の脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性トリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性トリ(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した4官能以上の(ポリ)オキシアルキレン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入した4官能以上のラクトン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。
【0150】
また、前記その他の(メタ)アクリレートモノマーとしては、上述したものの他に、フェノール化合物と、環状カーボネート化合物又は環状エーテル化合物と、不飽和モノカルボン酸とを必須の反応原料とする(メタ)アクリレートモノマーを用いることができる。
【0151】
前記フェノール化合物としては、例えば、クレゾール、キシレノール、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、3-メチルカテコール、4-メチルカテコール、4-アリルピロカテコール、1,2,3-トリヒドロキシベンゼン、1,2,4-トリヒドロキシベンゼン、1-ナフトール、2-ナフトール、1,3-ナフタレンジオール、1,5-ナフタレンジオール、2,6-ナフタレンジオール、2,7-ナフタレンジオール、水添ビスフェノール、水添ビフェノール、ポリフェニレンエーテル型ジオール、ポリナフチレンエーテル型ジオール、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック型樹脂、ナフトールノボラック型樹脂、フェノールアラルキル型樹脂、ナフトールアラルキル型樹脂、シクロ環構造を有するフェノール樹脂等が挙げられる。
【0152】
前記環状カーボネート化合物としては、上述の環状カーボネート化合物(a2)として例示したものと同様のものを用いることができ、前記環状カーボネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0153】
前記環状エーテル化合物としては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらの環状エーテル化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0154】
前記不飽和モノカルボン酸としては、上述の不飽和一塩基酸(B)として例示したものと同様のものを用いることができる。
【0155】
前記その他の(メタ)アクリレートモノマーの含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物中に90質量%以下が好ましい。
【0156】
また、本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、酸化防止剤、有機溶剤、無機質充填材やポリマー微粒子、顔料、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、難燃剤、保存安定化剤等の各種添加剤を含有することもできる。
【0157】
前記硬化剤としては、例えば、エポキシ樹脂、多塩基酸、不飽和一塩基酸、アミン化合物、アミド化合物、アゾ化合物、有機過酸化物、ポリオール化合物、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0158】
前記エポキシ樹脂としては、上述のエポキシ樹脂として例示したものと同様のものを用いることができ、前記エポキシ樹脂は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0159】
前記多塩基酸としては、上述の多塩基酸として例示したものと同様のものを用いることができ、前記多塩基酸は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0160】
前記不飽和一塩基酸としては、上述の不飽和一塩基酸(B)として例示したものと同様のものを用いることができ、前記不飽和一塩基酸は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0161】
前記アミン化合物としては、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、イミダゾ-ル、BF3-アミン錯体、グアニジン誘導体等が挙げられる。これらのアミン化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0162】
前記アミド系化合物としては、例えば、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂等が挙げられる。これらのアミド化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0163】
前記アゾ化合物としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
【0164】
前記有機過酸化物としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、アルキルパーオキシカーボネート等が挙げられる。これらの有機過酸化物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0165】
前記ポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタン、トリメチロールメタンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等のポリオールモノマー;前記ポリオールモノマーと、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸との共縮合によって得られるポリエステルポリオール;前記ポリオールモノマーと、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、3-メチル-δ-バレロラクトン等の種々のラクトンとの重縮合反応によって得られるラクトン型ポリエステルポリオール;前記ポリオールモノマーと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル等の環状エーテル化合物との開環重合によって得られるポリエーテルポリオールなどが挙げられる。これらのポリオール化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0166】
前記エポキシ樹脂としては、上述のエポキシ樹脂として例示したものと同様のものを用いることができ、前記エポキシ樹脂は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0167】
前記硬化促進剤としては、硬化反応を促進するものであり、例えば、リン系化合物、アミン系化合物、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。これらの硬化促進剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、前記硬化促進剤の添加量は、例えば、前記硬化性樹脂組成物の固形分中に0.01~10質量%の範囲で用いることが好ましい。
【0168】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン誘導体、2-(2’-キサンテンカルボキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-o-ニトロベンジロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-キサンテンカルボキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン、2-o-ニトロベンジロキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0169】
前記重合禁止剤としては、例えば、p-メトキシフェノール、p-メトキシクレゾール、4-メトキシ-1-ナフトール、4,4’-ジアルコキシ-2,2’-ビ-1-ナフトール、3-(N-サリチロイル)アミノ-1,2,4-トリアゾール、N’1,N’12-ビス(2-ヒドロキシベンゾイル)ドデカンジヒドラジド、スチレン化フェノール、N-イソプロピル-N’-フェニルベンゼン-1,4-ジアミン、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン等のフェノール化合物、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、p-ベンゾキノン、メチル-p-ベンゾキノン、2,5-ジフェニルベンゾキノン、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、アントラキノン、ジフェノキノン等のキノン化合物、メラミン、p-フェニレンジアミン、4-アミノジフェニルアミン、N.N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N-i-プロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1.3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、4,4’-ジクミル-ジフェニルアミン、4,4’-ジオクチル-ジフェニルアミン、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)、スチレン化ジフェニルアミン、スチレン化ジフェニルアミンと2,4,4-トリメチルペンテンの反応生成物、ジフェニルアミンと2,4,4-トリメチルペンテンの反応生成物等のアミン化合物、フェノチアジン、ジステアリルチオジプロピオネート、2,2-ビス({[3-(ドデシルチオ)プロピオニル]オキシ}メチル)-1,3-プロパンジイル=ビス[3-(ドデシルチオ)プロピオナート]、ジトリデカン-1-イル=3,3’-スルファンジイルジプロパノアート等のチオエーテル化合物、N-ニトロソジフェニルアミン、N-ニトロソフェニルナフチルアミン、p-ニトロソフェノール、ニトロソベンゼン、p-ニトロソジフェニルアミン、α-ニトロソ-β-ナフトール等、N、N-ジメチルp-ニトロソアニリン、p-ニトロソジフェニルアミン、p-ニトロンジメチルアミン、p-ニトロン-N、N-ジエチルアミン、N-ニトロソエタノールアミン、N-ニトロソジ-n-ブチルアミン、N-ニトロソ-N-n-ブチル-4-ブタノールアミン、N-ニトロソ-ジイソプロパノールアミン、N-ニトロソ-N-エチル-4-ブタノールアミン、5-ニトロソ-8-ヒドロキシキノリン、N-ニトロソモルホリン、N-二トロソーN-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、二トロソベンゼン、N-ニトロソ-N-メチル-p-トルエンスルホンアミド、N-ニトロソ-N-エチルウレタン、N-ニトロソ-N-n-プロピルウレタン、1-ニトロソ-2-ナフトール、2-ニトロソ-1-ナフトール、1-ニトロソ-2-ナフトール-3,6-スルホン酸ナトリウム、2-ニトロソ-1-ナフトール-4-スルホン酸ナトリウム、2-ニトロソ-5-メチルアミノフェノール塩酸塩、2-ニトロソ-5-メチルアミノフェノール塩酸塩等のニトロソ化合物、リン酸とオクタデカン-1-オールのエステル、トリフェニルホスファイト、3,9-ジオクタデカン-1-イル-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、トリスノニルフェニルホスフィト、亜リン酸-(1-メチルエチリデン)-ジ-4,1-フェニレンテトラ-C12-15-アルキルエステル、2-エチルヘキシル=ジフェニル=ホスフィット、ジフェニルイソデシルフォスファイト、トリイソデシル=ホスフィット、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト等のホスファイト化合物、ビス(ジメチルジチオカルバマト-κ(2)S,S’)亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチル・ジチオカルバミン酸亜鉛等の亜鉛化合物、ビス(N,N-ジブチルカルバモジチオアト-S,S’)ニッケル等のニッケル化合物、1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-チオン、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、2-メチル-4,6-ビス[(オクタン-1-イルスルファニル)メチル]フェノール、ジラウリルチオジプロピオン酸エステル、3,3’-チオジプロピオン酸ジステアリル等の硫黄化合物などが挙げられる。これらの重合禁止剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0170】
前記酸化防止剤としては、前記重合禁止剤で例示した化合物と同様のものを用いることができ、前記酸化防止剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0171】
また、前記重合禁止剤、及び前記酸化防止剤の市販品としては、例えば、和光純薬工業株式会社製「Q-1300」、「Q-1301」、住友化学株式会社製「スミライザーBBM-S」、「スミライザーGA-80が」等が挙げられる。
【0172】
前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤として例示したものと同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0173】
前記無機質充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ等が挙げられる。
【0174】
前記顔料としては、公知慣用の無機顔料や有機顔料を使用することができる。
【0175】
前記無機顔料としては、例えば、白色顔料、アンチモンレッド、ベンガラ、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。これらの無機顔料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0176】
前記白色顔料としては、例えば、酸化チタン,酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、シリカ、タルク、マイカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、中空樹脂粒子、硫化亜鉛等が挙げられる。
【0177】
前記有機顔料としては、例えば、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、フタロシアニン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ペリノン顔料、キノフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンツイミダゾロン顔料、アゾ顔料等が挙げられる。これらの有機顔料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0178】
前記難燃剤としては、例えば、赤リン、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム、リン酸アミド等の無機リン化合物;リン酸エステル化合物、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物、有機系含窒素リン化合物、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、10-(2,5―ジヒドロオキシフェニル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、10-(2,7-ジヒドロオキシナフチル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド等の環状有機リン化合物、及びそれをエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の化合物と反応させた誘導体等の有機リン化合物;トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物、フェノチアジン等の窒素系難燃剤;シリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーン樹脂等のシリコーン系難燃剤;金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属粉、ホウ素化合物、低融点ガラス等の無機難燃剤などが挙げられる。これらの難燃剤は、単独でも用いることも2種以上を併用することもできる。また、これら難燃剤を用いる場合は、全樹脂組成物中0.1~20質量%の範囲であることが好ましい。
【0179】
本発明の硬化物は、前記硬化性樹脂組成物に、活性エネルギー線を照射することで得ることができる。前記活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線が挙げられる。また、前記活性エネルギー線として、紫外線を用いる場合、紫外線による硬化反応を効率よく行う上で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射してもよく、空気雰囲気下で照射してもよい。
【0180】
紫外線発生源としては、実用性、経済性の面から紫外線ランプが一般的に用いられている。具体的には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、太陽光、LED等が挙げられる。
【0181】
前記活性エネルギー線の積算光量は、特に制限されないが、0.1~50kJ/m2であることが好ましく、0.5~10kJ/m2であることがより好ましい。積算光量が上記範囲であると、未硬化部分の発生の防止又は抑制ができることから好ましい。
【0182】
なお、前記活性エネルギー線の照射は、一段階で行ってもよいし、二段階以上に分けて行ってもよい。
【0183】
また、本発明の硬化物は、優れたアルカリ現像性及び高い光感度を有し、伸度、誘電特性及び基材密着性に優れることから、例えば、半導体デバイス用途における、ソルダーレジスト、層間絶縁材料、パッケージ材、アンダーフィル材、回路素子等のパッケージ接着層や、集積回路素子と回路基板の接着層として好適に用いることができる。また、LCD、OELDに代表される薄型ディスプレイ用途における、薄膜トランジスタ保護膜、液晶カラーフィルタ保護膜、カラーフィルタ用顔料レジスト、ブラックマトリックス用レジスト、スペーサー等に好適に用いることができる。これらの中でも、特にソルダーレジスト用途に好適に用いることができる。
【0184】
本発明のソルダーレジスト用樹脂材料は、前記硬化性樹脂組成物からなるものである。
【0185】
本発明のレジスト部材は、例えば、前記ソルダーレジスト用樹脂材料を基材上に塗布し、60~100℃程度の温度範囲で有機溶媒を揮発乾燥させた後、所望のパターンが形成されたフォトマスクを通して活性エネルギー線にて露光させ、アルカリ水溶液にて未露光部を現像し、更に140~200℃程度の温度範囲で加熱硬化させて得ることができる。
【0186】
前記基材としては、例えば、銅、アルミニウム等の金属張積層板などが挙げられる。
【実施例0187】
以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、以下に挙げた実施例に限定されるものではない。
【0188】
(合成例1:ポリオール化合物(1)の合成)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、オルソクレゾールノボラック型フェノール樹脂(軟化点70℃、フェノール性水酸基当量:116g/当量)116質量部を添加し、不活性ガスを吹き込みながら170℃に昇温した。50質量%水酸化カリウム水溶液0.6質量部を添加し、プロピレンカーボネート107質量部を3分割で添加し、10時間反応を行い、ポリオール化合物(1)を得た。このポリオール化合物(1)の水酸基当量は、180g/当量であった。また、プロピレンカーボネートの使用量は、オルソクレゾールノボラック型フェノール樹脂が有する水酸基1モルに対して、1.05モルであった。なお、本合成例、実施例及び比較例において不活性ガスは、水素(3質量%)及び窒素(97質量%)の混合ガスを用いた。
【0189】
(合成例2:ポリオール化合物(2)の合成)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、オルソクレゾールノボラック型フェノール樹脂(DIC株式会社製「PHENOLITE KA-1160」、軟化点85℃、フェノール性水酸基当量:117g/当量、以下「オルソクレゾールノボラック型フェノール樹脂(1)」と略記する。)117質量部を添加し、不活性ガスを吹き込みながら170℃に昇温した。50質量%水酸化カリウム水溶液0.6質量部を添加し、プロピレンカーボネート107質量部を3分割で添加し、10時間反応を行い、ポリオール化合物(2)を得た。このポリオール化合物(2)の水酸基当量は、181g/当量であった。また、プロピレンカーボネートの使用量は、オルソクレゾールノボラック型フェノール樹脂が有する水酸基1モルに対して、1.05モルであった。
【0190】
(合成例3:ポリオール化合物(3)の合成)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、オルソクレゾールノボラック型フェノール樹脂(DIC株式会社製「PHENOLITE KA-1163」、軟化点110℃、フェノール性水酸基当量:118g/当量)118質量部を添加し、不活性ガスを吹き込みながら170℃に昇温した。50質量%水酸化カリウム水溶液0.6質量部を添加し、プロピレンカーボネート107質量部を3分割で添加し、11時間反応を行い、ポリオール化合物(3)を得た。このポリオール化合物(3)の水酸基当量は、183g/当量であった。また、プロピレンカーボネートの使用量は、オルソクレゾールノボラック型フェノール樹脂が有する水酸基1モルに対して、1.05モルであった。
【0191】
(合成例4:ポリオール化合物(4)の合成)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、オルソクレゾールノボラック型フェノール樹脂(1)117質量部を添加し、不活性ガスを吹き込みながら170℃に昇温した。50質量%水酸化カリウム水溶液0.6質量部を添加し、エチレンカーボネート92質量部を3分割で添加し、10時間反応を行い、ポリオール化合物(4)を得た。このポリオール化合物(4)の水酸基当量は、168g/当量であった。また、エチレンカーボネートの使用量は、オルソクレゾールノボラック型フェノール樹脂が有する水酸基1モルに対して、1.05モルであった。
【0192】
(合成例5:ポリオール化合物(5)の合成)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、フェノールノボラック型フェノール樹脂(DIC株式会社製「PHENOLITE TD-2106」、軟化点90℃、フェノール性水酸基当量:104g/当量)104質量部を添加し、不活性ガスを吹き込みながら170℃に昇温した。50質量%水酸化カリウム水溶液0.6質量部を添加し、プロピレンカーボネート107質量部を3分割で添加し、12時間反応を行い、ポリオール化合物(5)を得た。このポリオール化合物(5)の水酸基当量は、167g/当量であった。また、プロピレンカーボネートの使用量は、フェノールノボラック型フェノール樹脂が有する水酸基1モルに対して、1.05モルであった。
【0193】
(合成例6:ポリオール化合物(6)の合成)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ビスフェノールA型ノボラック型フェノール樹脂(DIC株式会社製「PHENOLITE VH-4170」、軟化点105℃、フェノール性水酸基当量:118g/当量)118質量部を添加し、不活性ガスを吹き込みながら170℃に昇温した。50質量%水酸化カリウム水溶液0.6質量部を添加し、プロピレンカーボネート107質量部を3分割で添加し、13時間反応を行い、ポリオール化合物(6)を得た。このポリオール化合物(6)の水酸基当量は、182g/当量であった。また、プロピレンカーボネートの使用量は、ビスフェノールA型ノボラック型フェノール樹脂が有する水酸基1モルに対して、1.05モルであった。
【0194】
(合成例7:ポリオール化合物(7)の合成)
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、2,7-ジヒドロキシナフタレン240質量部、37質量%ホルムアルデヒド水溶液85質量部、イソプロピルアルコール376質量部、48%水酸化カリウム水溶液88質量部を仕込んだ。不活性ガスを吹き込みながら撹拌を開始し、75℃まで加熱して2時間攪拌した。反応終了後、第1リン酸ソーダ108質量部を添加して中和した。イソプロピルアルコールを減圧下除去し、メチルイソブチルケトン480質量部を加えた。水200質量部を加えて水洗する作業を3回繰り返した後、メチルイソブチルケトンを加熱減圧条件下で除去し、フェノール性水酸基当量が84g/当量、軟化点110℃の中間体(x1)を得た。
次いで、温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、中間体(x1)84質量部を添加し、不活性ガスを吹き込みながら170℃に昇温した。50質量%水酸化カリウム水溶液0.5質量部を添加し、プロピレンカーボネート107質量部を3分割で添加し、11時間反応を行い、ポリオール化合物(7)を得た。このポリオール化合物(7)の水酸基当量は、149g/当量であった。また、プロピレンカーボネートの使用量は、「中間体(X1)」が有する水酸基1モルに対して、1.05モルであった。
【0195】
(合成例8:ポリオール化合物(8)の合成)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、トルエン285質量部、レゾルシノール220質量部、パラトルエンスルホン酸2.2質量部を添加し、不活性ガス雰囲気下で115℃に昇温した。1,4-ジビニルベンゼン208質量部を2時間で滴下し、115℃で5時間ホールドした。20%水酸化ナトリウム水溶液2.3質量部を添加し、170℃でトルエンを脱溶剤し、フェノール性水酸基当量が108g/当量、軟化点110℃の中間体(x2)を得た。
次いで、温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、中間体(x2)108質量部を添加し、不活性ガスを吹き込みながら170℃に昇温した。50質量%水酸化カリウム水溶液0.5質量部を添加し、プロピレンカーボネート107質量部を3分割で添加し、13時間反応を行い、ポリオール化合物(8)を得た。このポリオール化合物(8)の水酸基当量は、170g/当量であった。また、プロピレンカーボネートの使用量は、「中間体(X2)」が有する水酸基1モルに対して、1.05モルであった。
【0196】
(合成例9:ポリオール化合物(9)の合成)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、オルソクレゾールノボラック型フェノール樹脂(1)117質量部を添加し、不活性ガスを吹き込みながら170℃に昇温した。50質量%水酸化カリウム水溶液0.6質量部を添加し、プロピレンカーボネート122質量部を3分割で添加し、15時間反応を行い、ポリオール化合物(9)を得た。このポリオール化合物(9)の水酸基当量は、192g/当量であった。また、プロピレンカーボネートの使用量は、オルソクレゾールノボラック型フェノール樹脂が有する水酸基1モルに対して、1.2モルであった。
【0197】
(合成例10:ポリオール化合物(10)の合成)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、オルソクレゾールノボラック型フェノール樹脂(1)117質量部を添加し、不活性ガスを吹き込みながら170℃に昇温した。50質量%水酸化カリウム水溶液0.6質量部を添加し、プロピレンカーボネート97質量部を3分割で添加し、9時間反応を行い、ポリオール化合物(10)を得た。このポリオール化合物(10)の水酸基当量は、179g/当量であった。また、プロピレンカーボネートの使用量は、オルソクレゾールノボラック型フェノール樹脂が有する水酸基1モルに対して、0.95モルであった。
【0198】
(合成例11:ポリオール化合物(11)の合成)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、オルソクレゾールノボラック型フェノール樹脂(軟化点65℃、フェノール性水酸基当量:120g/当量)120質量部を添加し、不活性ガスを吹き込みながら170℃に昇温した。50質量%水酸化カリウム水溶液0.6質量部を添加し、プロピレンカーボネート107質量部を3分割で添加し、10時間反応を行い、ポリオール化合物(11)を得た。このポリオール化合物(11)の水酸基当量は、179g/当量であった。また、プロピレンカーボネートの使用量は、オルソクレゾールノボラック型フェノール樹脂が有する水酸基1モルに対して、1.05モルであった。
【0199】
(実施例1:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(1)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、トルエン148質量部、合成例1で得たポリオール化合物(1)180質量部、アクリル酸42.5質量部、パラトルエンスルホン酸6.7質量部、メチルヒドロキノン1.1質量部を添加し、空気を内径0.5mmのステンレス管を用いて0.3L/分で液面下より吹き込みかつ、不活性ガスを液面上から0.5L/分で吹き込み、酸素濃度7.9質量%とし、単位体積当たりの撹拌動力3kW/m3で撹拌しながら、85℃減圧雰囲気下でトルエンと水を共沸させ、水を留去しながら、20時間反応させた。その後、50℃まで冷却し、得られた反応溶液に第1リン酸ソーダを添加した後、水洗した。次いで、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート117質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.6質量部、メトキノン0.1質量部を添加し、80℃でトルエンを脱溶剤した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸62質量部、トリフェニルフォスフィン1.1質量部を添加し、110℃で8時間反応させ、目的の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(1)を得た。酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(1)の不揮発分は、70質量%であり、固形分酸価は80mgKOH/gであった。また、アクリル酸が有する酸基と、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基の合計モル数は、ポリオール化合物(1)が有する水酸基1モルに対して、1.0モルであり、アクリル酸が有する酸基のモル数は、ポリオール化合物(1)が有する水酸基1モルに対して、0.59モルであり、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基のモル数は、ポリオール化合物(1)が有する水酸基1モルに対して、0.41モルであった。
【0200】
(実施例2:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(2)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、トルエン149質量部、合成例2で得たポリオール化合物(2)181質量部、アクリル酸42.5質量部、パラトルエンスルホン酸6.7質量部、メチルヒドロキノン1.1質量部を添加し、空気を内径0.5mmのステンレス管を用いて0.3L/分で液面下より吹き込みかつ、不活性ガスを液面上から0.5L/分で吹き込み、酸素濃度7.9質量%とし、単位体積当たりの撹拌動力3kW/m3で撹拌しながら、85℃減圧雰囲気下でトルエンと水を共沸させ、水を留去しながら、20時間反応させた。その後、50℃まで冷却し、得られた反応溶液に第1リン酸ソーダを添加した後、水洗した。次いで、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.6質量部、メトキノン0.1質量部を添加し、80℃でトルエンを脱溶剤した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸62質量部、トリフェニルフォスフィン1.1質量部を添加し、110℃で8時間反応させ、目的の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(2)を得た。酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(2)の不揮発分は、70質量%であり、固形分酸価は80mgKOH/gであった。また、アクリル酸が有する酸基と、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基の合計モル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、1.0モルであり、アクリル酸が有する酸基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.59モルであり、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.41モルであった。
【0201】
(実施例3:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(3)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、トルエン148質量部、合成例3で得たポリオール化合物(3)183質量部、アクリル酸42.5質量部、パラトルエンスルホン酸6.8質量部、メチルヒドロキノン1.1質量部を添加し、空気を内径0.5mmのステンレス管を用いて0.3L/分で液面下より吹き込みかつ、不活性ガスを液面上から0.5L/分で吹き込み、酸素濃度7.9質量%とし、単位体積当たりの撹拌動力3kW/m3で撹拌しながら、85℃減圧雰囲気下でトルエンと水を共沸させ、水を留去しながら、20時間反応させた。その後、50℃まで冷却し、得られた反応溶液に第1リン酸ソーダを添加した後、水洗した。次いで、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート154質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.6質量部、メトキノン0.1質量部を添加し、80℃でトルエンを脱溶剤した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸62質量部、トリフェニルフォスフィン1.1質量部を添加し、110℃で8時間反応させ、目的の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(3)を得た。酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(3)の不揮発分は、65質量%であり、固形分酸価は79mgKOH/gであった。また、アクリル酸が有する酸基と、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基の合計モル数は、ポリオール化合物(3)が有する水酸基1モルに対して、1.0モルであり、アクリル酸が有する酸基のモル数は、ポリオール化合物(3)が有する水酸基1モルに対して、0.59モルであり、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基のモル数は、ポリオール化合物(3)が有する水酸基1モルに対して、0.41モルであった。
【0202】
(実施例4:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(4)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、トルエン142質量部、合成例4で得たポリオール化合物(4)168質量部、アクリル酸44.6質量部、パラトルエンスルホン酸6.4質量部、メチルヒドロキノン1.1質量部を添加し、空気を内径0.5mmのステンレス管を用いて0.3L/分で液面下より吹き込みかつ、不活性ガスを液面上から0.5L/分で吹き込み、酸素濃度7.9質量%とし、単位体積当たりの撹拌動力3kW/m3で撹拌しながら、85℃減圧雰囲気下でトルエンと水を共沸させ、水を留去しながら、20時間反応させた。その後、50℃まで冷却し、得られた反応溶液に第1リン酸ソーダを添加した後、水洗した。次いで、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート111質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.5質量部、メトキノン0.1質量部を添加し、80℃でトルエンを脱溶剤した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸58質量部、トリフェニルフォスフィン1.1質量部を添加し、110℃で8時間反応させ、目的の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(4)を得た。酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(4)の不揮発分は、70質量%であり、固形分酸価は78mgKOH/gであった。また、アクリル酸が有する酸基と、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基の合計モル数は、ポリオール化合物(4)が有する水酸基1モルに対して、1.0モルであり、アクリル酸が有する酸基のモル数は、ポリオール化合物(4)が有する水酸基1モルに対して、0.62モルであり、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基のモル数は、ポリオール化合物(4)が有する水酸基1モルに対して、0.38モルであった。
【0203】
(実施例5:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(5)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、トルエン142質量部、合成例5で得たポリオール化合物(5)167質量部、アクリル酸44.6質量部、パラトルエンスルホン酸6.4質量部、メチルヒドロキノン1.1質量部を添加し、空気を内径0.5mmのステンレス管を用いて0.3L/分で液面下より吹き込みかつ、不活性ガスを液面上から0.5L/分で吹き込み、酸素濃度7.9質量%とし、単位体積当たりの撹拌動力3kW/m3で撹拌しながら、85℃減圧雰囲気下でトルエンと水を共沸させ、水を留去しながら、20時間反応させた。その後、50℃まで冷却し、得られた反応溶液に第1リン酸ソーダを添加した後、水洗した。次いで、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート111質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.5質量部、メトキノン0.1質量部を添加し、80℃でトルエンを脱溶剤した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸58質量部、トリフェニルフォスフィン1.1質量部を添加し、110℃で8時間反応させ、目的の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(5)を得た。酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(5)の不揮発分は、70質量%であり、固形分酸価は78mgKOH/gであった。また、アクリル酸が有する酸基と、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基の合計モル数は、ポリオール化合物(5)が有する水酸基1モルに対して、1.0モルであり、アクリル酸が有する酸基のモル数は、ポリオール化合物(5)が有する水酸基1モルに対して、0.62モルであり、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基のモル数は、ポリオール化合物(5)が有する水酸基1モルに対して、0.38モルであった。
【0204】
(実施例6:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(6)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、トルエン150質量部、合成例6で得たポリオール化合物(6)182質量部、アクリル酸42.5質量部、パラトルエンスルホン酸6.7質量部、メチルヒドロキノン1.1質量部を添加し、空気を内径0.5mmのステンレス管を用いて0.3L/分で液面下より吹き込みかつ、不活性ガスを液面上から0.5L/分で吹き込み、酸素濃度7.9質量%とし、単位体積当たりの撹拌動力3kW/m3で撹拌しながら、85℃減圧雰囲気下でトルエンと水を共沸させ、水を留去しながら、20時間反応させた。その後、50℃まで冷却し、得られた反応溶液に第1リン酸ソーダを添加した後、水洗した。次いで、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.6質量部、メトキノン0.1質量部を添加し、80℃でトルエンを脱溶剤した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸62質量部、トリフェニルフォスフィン1.1質量部を添加し、110℃で8時間反応させ、目的の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(6)を得た。酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(6)の不揮発分は、70質量%であり、固形分酸価は80mgKOH/gであった。また、アクリル酸が有する酸基と、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基の合計モル数は、ポリオール化合物(6)が有する水酸基1モルに対して、1.0モルであり、アクリル酸が有する酸基のモル数は、ポリオール化合物(6)が有する水酸基1モルに対して、0.59モルであり、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基のモル数は、ポリオール化合物(6)が有する水酸基1モルに対して、0.41モルであった。
【0205】
(実施例7:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(7)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、トルエン130質量部、合成例7で得たポリオール化合物(7)149質量部、アクリル酸46.1質量部、パラトルエンスルホン酸5.9質量部、メチルヒドロキノン1.0質量部を添加し、空気を内径0.5mmのステンレス管を用いて0.3L/分で液面下より吹き込みかつ、不活性ガスを液面上から0.5L/分で吹き込み、酸素濃度7.9質量%とし、単位体積当たりの撹拌動力3kW/m3で撹拌しながら、85℃減圧雰囲気下でトルエンと水を共沸させ、水を留去しながら、20時間反応させた。その後、50℃まで冷却し、得られた反応溶液に第1リン酸ソーダを添加した後、水洗した。次いで、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート102質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.5質量部、メトキノン0.1質量部を添加し、80℃でトルエンを脱溶剤した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸55質量部、トリフェニルフォスフィン1.0質量部を添加し、110℃で8時間反応させ、目的の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(7)を得た。酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(7)の不揮発分は、70質量%であり、固形分酸価は80mgKOH/gであった。また、アクリル酸が有する酸基と、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基の合計モル数は、ポリオール化合物(7)が有する水酸基1モルに対して、1.0モルであり、アクリル酸が有する酸基のモル数は、ポリオール化合物(7)が有する水酸基1モルに対して、0.64モルであり、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基のモル数は、ポリオール化合物(7)が有する水酸基1モルに対して、0.36モルであった。
【0206】
(実施例8:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(8)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、トルエン143質量部、合成例8で得たポリオール化合物(8)170質量部、アクリル酸43.9質量部、パラトルエンスルホン酸6.4質量部、メチルヒドロキノン1.1質量部を添加し、空気を内径0.5mmのステンレス管を用いて0.3L/分で液面下より吹き込みかつ、不活性ガスを液面上から0.5L/分で吹き込み、酸素濃度7.9質量%とし、単位体積当たりの撹拌動力3kW/m3で撹拌しながら、85℃減圧雰囲気下でトルエンと水を共沸させ、水を留去しながら、20時間反応させた。その後、50℃まで冷却し、得られた反応溶液に第1リン酸ソーダを添加した後、水洗した。次いで、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート112質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.5質量部、メトキノン0.1質量部を添加し、80℃でトルエンを脱溶剤した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸59質量部、トリフェニルフォスフィン1.1質量部を添加し、110℃で8時間反応させ、目的の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(8)を得た。酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(8)の不揮発分は、70質量%であり、固形分酸価は79mgKOH/gであった。また、アクリル酸が有する酸基と、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基の合計モル数は、ポリオール化合物(8)が有する水酸基1モルに対して、1.0モルであり、アクリル酸が有する酸基のモル数は、ポリオール化合物(8)が有する水酸基1モルに対して、0.61モルであり、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基のモル数は、ポリオール化合物(8)が有する水酸基1モルに対して、0.39モルであった。
【0207】
(実施例9:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(9)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、トルエン156質量部、合成例9で得たポリオール化合物(9)192質量部、アクリル酸41.8質量部、パラトルエンスルホン酸7.0質量部、メチルヒドロキノン1.2質量部を添加し、空気を内径0.5mmのステンレス管を用いて0.3L/分で液面下より吹き込みかつ、不活性ガスを液面上から0.5L/分で吹き込み、酸素濃度7.9質量%とし、単位体積当たりの撹拌動力3kW/m3で撹拌しながら、85℃減圧雰囲気下でトルエンと水を共沸させ、水を留去しながら、20時間反応させた。その後、50℃まで冷却し、得られた反応溶液に第1リン酸ソーダを添加した後、水洗した。次いで、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート123質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.6質量部、メトキノン0.1質量部を添加し、80℃でトルエンを脱溶剤した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸64質量部、トリフェニルフォスフィン1.1質量部を添加し、110℃で8時間反応させ、目的の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(9)を得た。酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(9)の不揮発分は、70質量%であり、固形分酸価は79mgKOH/gであった。また、アクリル酸が有する酸基と、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基の合計モル数は、ポリオール化合物(9)が有する水酸基1モルに対して、1.0モルであり、アクリル酸が有する酸基のモル数は、ポリオール化合物(9)が有する水酸基1モルに対して、0.58モルであり、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基のモル数は、ポリオール化合物(9)が有する水酸基1モルに対して、0.42モルであった。
【0208】
(実施例10:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(10)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、トルエン148質量部、合成例10で得たポリオール化合物(10)179質量部、アクリル酸43.2質量部、パラトルエンスルホン酸6.7質量部、メチルヒドロキノン1.1質量部を添加し、空気を内径0.5mmのステンレス管を用いて0.3L/分で液面下より吹き込みかつ、不活性ガスを液面上から0.5L/分で吹き込み、酸素濃度7.9質量%とし、単位体積当たりの撹拌動力3kW/m3で撹拌しながら、85℃減圧雰囲気下でトルエンと水を共沸させ、水を留去しながら、20時間反応させた。その後、50℃まで冷却し、得られた反応溶液に第1リン酸ソーダを添加した後、水洗した。次いで、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート116質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.5質量部、メトキノン0.1質量部を添加し、80℃でトルエンを脱溶剤した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸61質量部、トリフェニルフォスフィン1.1質量部を添加し、110℃で8時間反応させ、目的の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(10)を得た。酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(10)の不揮発分は、70質量%であり、固形分酸価は79mgKOH/gであった。また、アクリル酸が有する酸基と、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基の合計モル数は、ポリオール化合物(10)が有する水酸基1モルに対して、1.0モルであり、アクリル酸が有する酸基のモル数は、ポリオール化合物(10)が有する水酸基1モルに対して、0.6モルであり、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基のモル数は、ポリオール化合物(10)が有する水酸基1モルに対して、0.4モルであった。
【0209】
(実施例11:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(11)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、トルエン149質量部、合成例2で得たポリオール化合物(2)181質量部、アクリル酸44.6質量部、パラトルエンスルホン酸6.8質量部、メチルヒドロキノン1.1質量部を添加し、空気を内径0.5mmのステンレス管を用いて0.3L/分で液面下より吹き込みかつ、不活性ガスを液面上から0.5L/分で吹き込み、酸素濃度7.9質量%とし、単位体積当たりの撹拌動力3kW/m3で撹拌しながら、85℃減圧雰囲気下でトルエンと水を共沸させ、水を留去しながら、20時間反応させた。その後、50℃まで冷却し、得られた反応溶液に第1リン酸ソーダを添加した後、水洗した。次いで、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート108質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.5質量部、メトキノン0.1質量部を添加し、80℃でトルエンを脱溶剤した。次いで、無水コハク酸38質量部、トリフェニルフォスフィン1.1質量部を添加し、110℃で8時間反応させ、目的の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(11)を得た。酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(11)の不揮発分は、70質量%であり、固形分酸価は80mgKOH/gであった。また、アクリル酸が有する酸基と、無水コハク酸が有する酸無水物基の合計モル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、1.0モルであり、アクリル酸が有する酸基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.62モルであり、無水コハク酸が有する酸無水物基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.38モルであった。
【0210】
(実施例12:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(12)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、トルエン149質量部、合成例2で得たポリオール化合物(2)181質量部、アクリル酸42.5質量部、パラトルエンスルホン酸6.7質量部、メチルヒドロキノン1.1質量部を添加し、空気を内径0.5mmのステンレス管を用いて0.3L/分で液面下より吹き込みかつ、不活性ガスを液面上から0.5L/分で吹き込み、酸素濃度7.9質量%とし、単位体積当たりの撹拌動力3kW/m3で撹拌しながら、85℃減圧雰囲気下でトルエンと水を共沸させ、水を留去しながら、20時間反応させた。その後、50℃まで冷却し、得られた反応溶液に第1リン酸ソーダを添加した後、水洗した。次いで、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.6質量部、メトキノン0.1質量部を添加し、80℃でトルエンを脱溶剤した。次いで、シクロヘキサンジカルボン酸無水物63質量部、トリフェニルフォスフィン1.1質量部を添加し、110℃で8時間反応させ、目的の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(12)を得た。酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(12)の不揮発分は、70質量%であり、固形分酸価は80mgKOH/gであった。また、アクリル酸が有する酸基と、シクロヘキサンジカルボン酸無水物が有する酸無水物基の合計モル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、1.0モルであり、アクリル酸が有する酸基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.59モルであり、シクロヘキサンジカルボン酸無水物が有する酸無水物基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.41モルであった。
【0211】
(実施例13:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(13)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、トルエン154質量部、合成例2で得たポリオール化合物(2)181質量部、アクリル酸50.4質量部、パラトルエンスルホン酸6.9質量部、メチルヒドロキノン1.2質量部を添加し、空気を内径0.5mmのステンレス管を用いて0.3L/分で液面下より吹き込みかつ、不活性ガスを液面上から0.5L/分で吹き込み、酸素濃度7.9質量%とし、単位体積当たりの撹拌動力3kW/m3で撹拌しながら、85℃減圧雰囲気下でトルエンと水を共沸させ、水を留去しながら、22時間反応させた。その後、50℃まで冷却し、得られた反応溶液に第1リン酸ソーダを添加した後、水洗した。次いで、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート113質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.5質量部、メトキノン0.1質量部を添加し、80℃でトルエンを脱溶剤した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸46質量部、トリフェニルフォスフィン1.1質量部を添加し、110℃で8時間反応させ、目的の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(13)を得た。酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(13)の不揮発分は、70質量%であり、固形分酸価は60mgKOH/gであった。また、アクリル酸が有する酸基と、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基の合計モル数は、ポリオール化合物(13)が有する水酸基1モルに対して、1.0モルであり、アクリル酸が有する酸基のモル数は、ポリオール化合物(13)が有する水酸基1モルに対して、0.7モルであり、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基のモル数は、ポリオール化合物(13)が有する水酸基1モルに対して、0.3モルであった。
【0212】
(実施例14:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(14)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、トルエン144質量部、合成例2で得たポリオール化合物(2)181質量部、アクリル酸34.6質量部、パラトルエンスルホン酸6.5質量部、メチルヒドロキノン1.1質量部を添加し、空気を内径0.5mmのステンレス管を用いて0.3L/分で液面下より吹き込みかつ、不活性ガスを液面上から0.5L/分で吹き込み、酸素濃度7.9質量%とし、単位体積当たりの撹拌動力3kW/m3で撹拌しながら、85℃減圧雰囲気下でトルエンと水を共沸させ、水を留去しながら、18時間反応させた。その後、50℃まで冷却し、得られた反応溶液に第1リン酸ソーダを添加した後、水洗した。次いで、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート122質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.6質量部、メトキノン0.1質量部を添加し、80℃でトルエンを脱溶剤した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸79質量部、トリフェニルフォスフィン1.1質量部を添加し、110℃で12時間反応させ、目的の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(14)を得た。酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(14)の不揮発分は、70質量%であり、固形分酸価は100mgKOH/gであった。また、アクリル酸が有する酸基と、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基の合計モル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、1.0モルであり、アクリル酸が有する酸基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.48モルであり、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.52モルであった。
【0213】
(実施例15:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(15)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、トルエン149質量部、合成例2で得たポリオール化合物(2)181質量部、アクリル酸42.5質量部、パラトルエンスルホン酸6.7質量部、メチルヒドロキノン1.1質量部を添加し、空気を内径0.5mmのステンレス管を用いて0.16L/分で液面下より吹き込みかつ、不活性ガスを液面上から0.64L/分で吹き込み、酸素濃度4.2質量%とし、単位体積当たりの撹拌動力3kW/m3で撹拌しながら、85℃減圧雰囲気下でトルエンと水を共沸させ、水を留去しながら、20時間反応させた。その後、50℃まで冷却し、得られた反応溶液に第1リン酸ソーダを添加した後、水洗した。次いで、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.6質量部、メトキノン0.1質量部を添加し、80℃でトルエンを脱溶剤した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸62質量部、トリフェニルフォスフィン1.1質量部を添加し、110℃で8時間反応させ、目的の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(15)を得た。酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(15)の不揮発分は、70質量%であり、固形分酸価は78mgKOH/gであった。また、アクリル酸が有する酸基と、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基の合計モル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、1.0モルであり、アクリル酸が有する酸基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.59モルであり、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.41モルであった。
【0214】
(実施例16:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(16)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、トルエン149質量部、合成例2で得たポリオール化合物(2)181質量部、アクリル酸42.5質量部、パラトルエンスルホン酸6.7質量部、メチルヒドロキノン1.1質量部を添加し、空気を内径0.5mmのステンレス管を用いて0.46L/分で液面下より吹き込みかつ、不活性ガスを液面上から0.34L/分で吹き込み、酸素濃度12質量%とし、単位体積当たりの撹拌動力3kW/m3で撹拌しながら、85℃減圧雰囲気下でトルエンと水を共沸させ、水を留去しながら、20時間反応させた。その後、50℃まで冷却し、得られた反応溶液に第1リン酸ソーダを添加した後、水洗した。次いで、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.6質量部、メトキノン0.1質量部を添加し、80℃でトルエンを脱溶剤した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸62質量部、トリフェニルフォスフィン1.1質量部を添加し、110℃で8時間反応させ、目的の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(16)を得た。酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(16)の不揮発分は、70質量%であり、固形分酸価は79mgKOH/gであった。また、アクリル酸が有する酸基と、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基の合計モル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、1.0モルであり、アクリル酸が有する酸基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.59モルであり、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.41モルであった。
【0215】
(実施例17:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(17)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、トルエン149質量部、合成例2で得たポリオール化合物(2)181質量部、アクリル酸42.5質量部、パラトルエンスルホン酸6.7質量部、メチルヒドロキノン1.1質量部を添加し、空気を内径0.5mmのステンレス管を用いて0.3L/分で液面下より吹き込みかつ、不活性ガスを液面上から0.5L/分で吹き込み、酸素濃度7.9質量%とし、単位体積当たりの撹拌動力0.5kW/m3で撹拌しながら、85℃減圧雰囲気下でトルエンと水を共沸させ、水を留去しながら、20時間反応させた。その後、50℃まで冷却し、得られた反応溶液に第1リン酸ソーダを添加した後、水洗した。次いで、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.6質量部、メトキノン0.1質量部を添加し、80℃でトルエンを脱溶剤した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸62質量部、トリフェニルフォスフィン1.1質量部を添加し、110℃で8時間反応させ、目的の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(17)を得た。酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(17)の不揮発分は、70質量%であり、固形分酸価は82mgKOH/gであった。また、アクリル酸が有する酸基と、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基の合計モル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、1.0モルであり、アクリル酸が有する酸基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.59モルであり、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.41モルであった。
【0216】
(実施例18:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(18)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、トルエン149質量部、合成例2で得たポリオール化合物(2)181質量部、アクリル酸42.5質量部、パラトルエンスルホン酸6.7質量部、メチルヒドロキノン1.1質量部を添加し、空気を内径0.5mmのステンレス管を用いて0.3L/分で液面下より吹き込みかつ、不活性ガスを液面上から0.5L/分で吹き込み、酸素濃度7.9質量%とし、単位体積当たりの撹拌動力5kW/m3で撹拌しながら、85℃減圧雰囲気下でトルエンと水を共沸させ、水を留去しながら、20時間反応させた。その後、50℃まで冷却し、得られた反応溶液に第1リン酸ソーダを添加した後、水洗した。次いで、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.6質量部、メトキノン0.1質量部を添加し、80℃でトルエンを脱溶剤した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸62質量部、トリフェニルフォスフィン1.1質量部を添加し、110℃で8時間反応させ、目的の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(18)を得た。酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(18)の不揮発分は、70質量%であり、固形分酸価は79mgKOH/gであった。また、アクリル酸が有する酸基と、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基の合計モル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、1.0モルであり、アクリル酸が有する酸基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.59モルであり、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.41モルであった。
【0217】
(実施例19:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(19)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、トルエン147質量部、合成例2で得たポリオール化合物(2)181質量部、アクリル酸39.6質量部、パラトルエンスルホン酸6.6質量部、メチルヒドロキノン1.1質量部を添加し、空気を内径0.5mmのステンレス管を用いて0.3L/分で液面下より吹き込みかつ、不活性ガスを液面上から0.5L/分で吹き込み、酸素濃度7.9質量%とし、単位体積当たりの撹拌動力3kW/m3で撹拌しながら、85℃減圧雰囲気下でトルエンと水を共沸させ、水を留去しながら、20時間反応させた。その後、50℃まで冷却し、得られた反応溶液に第1リン酸ソーダを添加した後、水洗した。次いで、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート116質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.5質量部、メトキノン0.1質量部を添加し、80℃でトルエンを脱溶剤した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸61質量部、トリフェニルフォスフィン1.1質量部を添加し、110℃で8時間反応させ、目的の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(19)を得た。酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(19)の不揮発分は、70質量%であり、固形分酸価は80mgKOH/gであった。また、アクリル酸が有する酸基と、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基の合計モル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.95モルであり、アクリル酸が有する酸基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.55モルであり、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.4モルであった。
【0218】
(実施例20:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(20)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、トルエン154質量部、合成例2で得たポリオール化合物(2)181質量部、メタクリル酸49.9質量部、パラトルエンスルホン酸6.9質量部、メチルヒドロキノン1.2質量部を添加し、空気を内径0.5mmのステンレス管を用いて0.3L/分で液面下より吹き込みかつ、不活性ガスを液面上から0.5L/分で吹き込み、酸素濃度7.9質量%とし、単位体積当たりの撹拌動力3kW/m3で撹拌しながら、85℃減圧雰囲気下でトルエンと水を共沸させ、水を留去しながら、25時間反応させた。その後、50℃まで冷却し、得られた反応溶液に第1リン酸ソーダを添加した後、水洗した。次いで、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート121質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.6質量部、メトキノン0.1質量部を添加し、80℃でトルエンを脱溶剤した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸64質量部、トリフェニルフォスフィン1.1質量部を添加し、110℃で10時間反応させ、目的の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(20)を得た。酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(20)の不揮発分は、70質量%であり、固形分酸価は80mgKOH/gであった。また、メタクリル酸が有する酸基と、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基の合計モル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、1.0モルであり、メタクリル酸が有する酸基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.58モルであり、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.42モルであった。
【0219】
(比較例1:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(R1)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、トルエン148質量部、合成例11で得たポリオール化合物(11)179質量部、アクリル酸39.6質量部、パラトルエンスルホン酸6.6質量部、メチルヒドロキノン1.1質量部を添加し、空気を内径0.5mmのステンレス管を用いて0.3L/分で液面下より吹き込みかつ撹拌しながら、85℃で20時間反応させた。その後、50℃まで冷却し、得られた反応溶液を水洗した。ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート115.1質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.5質量部、メトキノン0.1質量部を添加し、80℃でトルエンを脱溶剤した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸60.8質量部、トリフェニルフォスフィン1.1質量部を添加し、110℃で8時間反応させ、目的の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(R1)を得た。酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(R1)の不揮発分は、70質量%であり、の固形分酸価は81mgKOH/gであった。また、アクリル酸が有する酸基と、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基の合計モル数は、ポリオール化合物(11)が有する水酸基1モルに対して、1.0モルであり、アクリル酸が有する酸基のモル数は、ポリオール化合物(11)が有する水酸基1モルに対して、0.59モルであり、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基のモル数は、ポリオール化合物(11)が有する水酸基1モルに対して、0.41モルであった。
【0220】
(比較例2:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(R2)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、トルエン149質量部、合成例2で得たポリオール化合物(2)181質量部、アクリル酸42.5質量部、パラトルエンスルホン酸6.7質量部、メチルヒドロキノン1.1質量部を添加し、空気を内径0.5mmのステンレス管を用いて0.08L/分で液面下より吹き込みかつ、不活性ガスを液面上から0.72L/分で吹き込み、酸素濃度2.1質量%とし、単位体積当たりの撹拌動力3kW/m3で撹拌しながら、85℃減圧雰囲気下でトルエンと水を共沸させ、水を留去しながら、20時間反応させた。その後、50℃まで冷却し、得られた反応溶液に第1リン酸ソーダを添加した後、水洗した。次いで、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート148質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.6質量部、メトキノン0.1質量部を添加し、80℃でトルエンを脱溶剤した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸62質量部、トリフェニルフォスフィン1.1質量部を添加し、110℃で8時間反応させ、酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(R2)を得た。酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(R2)の不揮発分は、65質量%であり、固形分酸価は83mgKOH/gであった。また、アクリル酸が有する酸基と、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基の合計モル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、1.0モルであり、アクリル酸が有する酸基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.59モルであり、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.41モルであった。
【0221】
(比較例3:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(R3)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、トルエン149質量部、合成例2で得たポリオール化合物(2)181質量部、アクリル酸42.5質量部、パラトルエンスルホン酸6.7質量部、メチルヒドロキノン1.1質量部を添加し、空気を内径0.5mmのステンレス管を用いて0.53L/分で液面下より吹き込みかつ、不活性ガスを液面上から0.27L/分で吹き込み、酸素濃度13.9質量%とし、単位体積当たりの撹拌動力3kW/m3で撹拌しながら、85℃減圧雰囲気下でトルエンと水を共沸させ、水を留去しながら、20時間反応させた。その後、50℃まで冷却し、得られた反応溶液に第1リン酸ソーダを添加した後、水洗した。次いで、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.6質量部、メトキノン0.1質量部を添加し、80℃でトルエンを脱溶剤した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸62質量部、トリフェニルフォスフィン1.1質量部を添加し、110℃で8時間反応させ、酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(R3)を得た。酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(R3)の不揮発分は、70質量%であり、固形分酸価は78mgKOH/gであった。また、アクリル酸が有する酸基と、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基の合計モル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、1.0モルであり、アクリル酸が有する酸基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.59モルであり、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.41モルであった。
【0222】
(比較例4:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(R4)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、トルエン149質量部、合成例2で得たポリオール化合物(2)181質量部、アクリル酸42.5質量部、パラトルエンスルホン酸6.7質量部、メチルヒドロキノン1.1質量部を添加し、空気を内径0.5mmのステンレス管を用いて0.3L/分で液面下より吹き込みかつ、不活性ガスを液面上から0.5L/分で吹き込み、酸素濃度7.9質量%とし、単位体積当たりの撹拌動力0.3kW/m3で撹拌しながら、85℃減圧雰囲気下でトルエンと水を共沸させ、水を留去しながら、20時間反応させた。その後、50℃まで冷却し、得られた反応溶液に第1リン酸ソーダを添加した後、水洗した。次いで、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート148質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.6質量部、メトキノン0.1質量部を添加し、80℃でトルエンを脱溶剤した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸62質量部、トリフェニルフォスフィン1.1質量部を添加し、110℃で8時間反応させ、酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(R4)を得た。酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(R4)の不揮発分は、65質量%であり、固形分酸価は84mgKOH/gであった。また、アクリル酸が有する酸基と、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基の合計モル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、1.0モルであり、アクリル酸が有する酸基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.59モルであり、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.41モルであった。
【0223】
(比較例5:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(R5)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、トルエン149質量部、合成例2で得たポリオール化合物(2)181質量部、アクリル酸42.5質量部、パラトルエンスルホン酸6.7質量部、メチルヒドロキノン1.1質量部を添加し、空気を内径0.5mmのステンレス管を用いて0.3L/分で液面下より吹き込みかつ、不活性ガスを液面上から0.5L/分で吹き込み、酸素濃度7.9質量%とし、単位体積当たりの撹拌動力7kW/m3で撹拌しながら、85℃減圧雰囲気下でトルエンと水を共沸させ、水を留去しながら、20時間反応させた。その後、50℃まで冷却し、得られた反応溶液に第1リン酸ソーダを添加した後、水洗した。次いで、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.6質量部、メトキノン0.1質量部を添加し、80℃でトルエンを脱溶剤した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸62質量部、トリフェニルフォスフィン1.1質量部を添加し、110℃で8時間反応させ、酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(R5)を得た。酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(R5)の不揮発分は、70質量%であり、固形分酸価は77mgKOH/gであった。また、アクリル酸が有する酸基と、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基の合計モル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、1.0モルであり、アクリル酸が有する酸基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.59モルであり、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.41モルであった。
【0224】
(比較例6:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(R6)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、トルエン149質量部、合成例2で得たポリオール化合物(2)181質量部、アクリル酸42.5質量部、パラトルエンスルホン酸6.7質量部、メチルヒドロキノン1.1質量部を添加し、空気を内径0.5mmのステンレス管を用いて0.8L/分で液面下より吹き込み、単位体積当たりの撹拌動力3kW/m3で撹拌しながら、85℃減圧雰囲気下でトルエンと水を共沸させ、水を留去しながら、20時間反応させた。その後、50℃まで冷却し、得られた反応溶液に第1リン酸ソーダを添加した後、水洗した。次いで、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.6質量部、メトキノン0.1質量部を添加し、80℃でトルエンを脱溶剤した。次いで、テトラヒドロ無水フタル酸62質量部、トリフェニルフォスフィン1.1質量部を添加し、110℃で8時間反応させ、酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(R6)を得た。酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(R6)の不揮発分は、70質量%であり、固形分酸価は79mgKOH/gであった。また、アクリル酸が有する酸基と、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基の合計モル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、1.0モルであり、アクリル酸が有する酸基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.59モルであり、テトラヒドロ無水フタル酸が有する酸無水物基のモル数は、ポリオール化合物(2)が有する水酸基1モルに対して、0.41モルであった。
【0225】
(実施例21:硬化性樹脂組成物(1)の調製)
実施例1で得た酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(1)と、硬化剤としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」)と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートと、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートと、光重合開始剤(IGM社製「Omnirad 907」)と、2-エチル-4-メチルイミダゾールと、フタロシアニングリーンとを表1に示す質量部で配合し、ロールミルにより混錬して硬化性樹脂組成物(1)を得た。
【0226】
(実施例22~40:硬化性樹脂組成物(2)~(20)の調製)
表1及び2に示す組成及び配合で実施例21と同様の方法にて、硬化性樹脂組成物(2)~(20)を得た。
【0227】
(比較例7~12:硬化性樹脂組成物(R1)~(R6)の調製)
表2に示す組成及び配合で実施例21と同様の方法にて、硬化性樹脂組成物(R1)~(R6)を得た。
【0228】
上記の実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物(1)~(20)、及び(R1)~(R6)を用いて、下記の評価を行った。
【0229】
[アルカリ現像性の評価方法]
各実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基材上に膜厚50μmとなるように塗布した後、80℃でそれぞれ50分間、60分間、70分間、80分間、90分間、100分間、110分間、120分間、130分間、140分間、150分間、160分間乾燥させ、乾燥時間が異なるサンプルを作成した。これらを1質量%炭酸ナトリウム水溶液で30℃180秒間現像し、基板上に残渣が残らなかったサンプルの80℃での乾燥時間を乾燥管理幅として評価した。なお、乾燥管理幅が長いほどアルカリ現像性が優れていることを示す。
【0230】
[光感度の評価方法]
各実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基材上に膜厚50μmとなるように塗布した後、80℃でそれぞれ30分間乾燥させた。次いで、コダック社製のステップタブレットNo.2を介し、メタルハライドランプを用いて10kJ/m2の紫外線を照射した。これを1質量%の炭酸ナトリウム水溶液で180秒現像し、残存した段数に従い評価した。なお、残存段数が多いほど光感度が高い。
【0231】
上記の実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物(1)~(20)、及び(R1)~(R6)の組成及び評価結果を表1及び2に示す。
【0232】
【0233】
【0234】
(実施例41:硬化性樹脂組成物(21)の調製)
実施例1で得た酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(1)と、硬化剤としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」)、光重合開始剤として2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(IGM Resins社製「Omnirad 907」)、有機溶剤としてジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを表3に示す質量部で配合して、硬化性樹脂組成物(21)を得た。
【0235】
(実施例42~60:硬化性樹脂組成物(22)~(40)の調製)
表3及び4に示す組成及び配合で実施例11と同様の方法にて、硬化性樹脂組成物(22)~(40)を得た。
【0236】
(比較例13~18:硬化性樹脂組成物(R7)~(R12)の調製)
表4に示す組成及び配合で実施例11と同様の方法にて、硬化性樹脂組成物(R7)~(R12)を得た。
【0237】
上記の実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物(22)~(40)、(R7)~(R12)を用いて、下記の評価を行った。
【0238】
[伸度の測定方法]
伸度の測定は、引張試験に基づいて行った。
<試験片1の作製>
銅箔(古河産業株式会社製、電解銅箔「F2-WS」18μm)上に実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を50μmのアプリケーターで塗布し、メタルハライドランプを用いて10kJ/m2の紫外線を照射した後、160℃で1時間加熱した。銅箔から硬化物を剥離し、試験片1(硬化物)を得た。
【0239】
<引張試験>
前記試験片1を10mm×80mmの大きさに切り出し、株式会社島津製作所製精密万能試験機オートグラフ「AG-IS」を用いて、下記の測定条件で試験片1の引張試験を行った。試験片が破断するまでの伸度(%)を測定した。
【0240】
測定条件:温度23℃、湿度50%、標線間距離20mm、支点間距離20mm、引張速度10mm/分
【0241】
[誘電率の測定方法]
各実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基材上に膜厚50μmとなるように塗布し、80℃で30分乾燥させた。次いで、メタルハライドランプを用いて10kJ/m2の紫外線を照射した後、160℃で1時間加熱して、硬化塗膜を得た。次いで、前記硬化塗膜をガラス基材から剥離し、硬化物を得た。次いで、温度23℃、湿度50%の室内に24時間保管したものを試験片とし、アジレント・テクノロジー株式会社製「ネットワークアナライザE8362C」を用いて、空洞共振法により試験片の1GHzでの誘電率を測定した。
【0242】
[誘電正接の測定方法]
各実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基材上に膜厚50μmとなるように塗布し、80℃で30分乾燥させた。次いで、メタルハライドランプを用いて10kJ/m2の紫外線を照射した後、160℃で1時間加熱して、硬化塗膜を得た。次いで、前記硬化塗膜をガラス基材から剥離し、硬化物を得た。次いで、温度23℃、湿度50%の室内に24時間保管したものを試験片とし、アジレント・テクノロジー株式会社製「ネットワークアナライザE8362C」を用いて、空洞共振法により試験片の1GHzでの誘電正接を測定した。
【0243】
[基材密着性の評価方法]
基材密着性の評価は、ピール強度の測定により行った。
<試験片2の作製>
銅箔(古河産業株式会社製、電解銅箔「F2-WS」18μm)上に実施例及び比較例で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を50μmのアプリケーターで塗布し、メタルハライドランプを用いて10kJ/m2の紫外線を照射した後、160℃で1時間加熱し、試験片2を得た。
【0244】
<ピール強度の測定方法>
前記試験片2を幅1cm、長さ12cmの大きさに切り出し、剥離試験機(株式会社A&D製「A&Dテンシロン」、剥離速度50mm/分)を用いて90°ピール強度を測定した。
【0245】
実施例41~60で作製した硬化性樹脂組成物(22)~(40)、及び比較例13~18で作製した硬化性樹脂組成物(R7)~(R12)の組成及び評価結果を表3及び4に示す。
【0246】
【0247】
【0248】
なお、表1~4における酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂の質量部の記載は、固形分値である。
【0249】
表1~4中の「硬化剤」は、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」)を示す。
【0250】
表1~4中の「有機溶剤」は、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを示す。
【0251】
表1~4中の「光重合開始剤」は、IGM Resins社製「Omnirad-907」を示す。
【0252】
表1及び2に示した実施例21~40は、本発明の製造方法により得られた酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂を用いた硬化性樹脂組成物の例である。これらの硬化性樹脂組成物は、高い光感度及び優れたアルカリ現像性を有することが確認できた。
【0253】
また、表3及び4に示した実施例41~60は、本発明の製造方法により得られた酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂を用いた硬化性樹脂組成物の例である。これらの硬化性樹脂組成物の硬化物は、優れた伸度、誘電特性及び基材密着性を有することが確認できた。
【0254】
一方、比較例1は、軟化点が70℃未満であるフェノール性水酸基を有する化合物を原料とした酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂の例である。この酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂を用いた硬化性樹脂組成物(比較例7)は、光感度が不十分であることが確認できた。また、この酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂を用いた硬化性樹脂組成物の硬化物(比較例13)は、基材密着性が不十分であることが確認でき、各性能をバランスよく兼備しないことが確認できた。
【0255】
比較例2及び3は、反応系内の酸素濃度を本発明で規定する酸素濃度の範囲外(2。1質量%、13.9質量%)とした酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂の例である。比較例2で得た酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂を用いた硬化性樹脂組成物(比較例8)は、アルカリ現像性が著しく不十分であり、比較例3で得た酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂を用いた硬化性樹脂組成物(比較例9)は、光感度が著しく不十分でありことが確認できた。また、これらの酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂を用いた硬化性樹脂組成物の硬化物(比較例14、15)は、誘電特性及び基材密着性において不十分であることが確認できた。
【0256】
比較例4及び5は、反応系内の単位体積当たりの撹拌動力が本発明で規定する撹拌動力の範囲外(0.3kW/m3、7kW/m3)酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂の例である。比較例4で得た酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂を用いた硬化性樹脂組成物(比較例10)は、アルカリ現像性が著しく不十分であり、比較例5で得た酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂を用いた硬化性樹脂組成物(比較例11)は、光感度が著しく不十分でありことが確認できた。また、これらの酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂を用いた硬化性樹脂組成物の硬化物(比較例16、17)は、誘電特性及び基材密着性において不十分であることが確認できた。
【0257】
比較例6は、不活性ガスを注入せず空気の雰囲気下で作製した酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂の例である。比較例6で得た酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂を用いた硬化性樹脂組成物(比較例12)は、光感度が著しく不十分でありことが確認できた。また、この酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂を用いた硬化性樹脂組成物の硬化物(比較例18)は、誘電特性及び基材密着性において不十分であることが確認できた。