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特開2023-74760凍結保存容器用アダプタ及び凍結保存容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023074760
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】凍結保存容器用アダプタ及び凍結保存容器
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20230523BHJP
   B65D 77/04 20060101ALI20230523BHJP
   B65D 81/18 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
A61J3/00 301
B65D77/04 A
B65D81/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021187876
(22)【出願日】2021-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】320011650
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥田 哲司
(72)【発明者】
【氏名】藤田 守
(72)【発明者】
【氏名】吉村 滋弘
【テーマコード(参考)】
3E067
4C047
【Fターム(参考)】
3E067AB99
3E067AC04
3E067BA01B
3E067BA01C
3E067CA18
3E067EA17
3E067EA32
3E067EB27
3E067EE15
3E067EE28
3E067FA04
3E067FC01
3E067GA01
3E067GA13
4C047CC30
4C047DD35
4C047GG37
(57)【要約】
【課題】断熱容器内に収容される保管具の数を変更することを可能とした凍結保存容器用アダプタを提供する。
【解決手段】上部が開口した断熱容器101と、断熱容器101の上部開口部101aを閉塞する断熱蓋102とを有して、断熱容器101内に低温液化ガスLが貯留された状態で、断熱容器101の内部に生物学的試料が入った保管具103を収容する凍結保存容器100に対して装着される凍結保存容器用アダプタ1であって、断熱容器101の上部開口部101aの周囲に着脱自在に取り付けられるリング部材2を備え、リング部材2には、保管具103から上方に向かって延長されたアーム部103bの先端に位置するフック部103cを掛止する掛止部3が周方向に複数並んで設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口した断熱容器と、前記断熱容器の上部開口部を閉塞する断熱蓋とを有して、前記断熱容器内に低温液化ガスが貯留された状態で、前記断熱容器の内部に生物学的試料が入った保管具を収容する凍結保存容器に対して装着される凍結保存容器用アダプタであって、
前記断熱容器の上部開口部の周囲に着脱自在に取り付けられるリング部材を備え、
前記リング部材には、前記保管具から上方に向かって延長されたアーム部の先端に位置するフック部を掛止する掛止部が周方向に複数並んで設けられていることを特徴とする凍結保存容器用アダプタ。
【請求項2】
前記掛止部は、前記リング部材の一部を切り欠く溝部であることを特徴とする請求項1に記載の凍結保存容器用アダプタ。
【請求項3】
前記リング部材には、前記断熱容器の上部開口部の周囲に設けられた掛止用の溝部と係合される突起部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の凍結保存容器用アダプタ。
【請求項4】
前記掛止部の数と前記掛止用の溝部の数とが異なることを特徴とする請求項3に記載の凍結保存容器用アダプタ。
【請求項5】
前記リング部材は、スリーブ部と、前記スリーブ部の上端から拡径方向に突出されたフランジ部とを有し、
前記断熱容器の上部開口部から前記スリーブ部を前記断熱容器の内側へと挿入し、前記断熱容器の上部開口部の周囲に前記フランジ部を当接させた状態で、前記断熱容器に対して取り付けられ、
前記掛止部は、前記フランジ部に設けられていることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の凍結保存容器用アダプタ。
【請求項6】
前記スリーブ部は、前記断熱容器の上部開口部を形成するネック部の内周面を保護する位置まで下方に延長して設けられていることを特徴とする請求項5に記載の凍結保存容器用アダプタ。
【請求項7】
前記リング部材は、リング部と、前記リング部の上端から拡径方向に突出されたフランジ部とを有し、
前記断熱容器の上部開口部を形成するネック部の上端に前記リング部を当接させた状態で、前記断熱容器に対して取り付けられ、
前記掛止部は、前記フランジ部に設けられていることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の凍結保存容器用アダプタ。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載の凍結保存容器用アダプタを備える凍結保存容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凍結保存容器用アダプタ及び凍結保存容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、不妊治療や再生医療などの医療分野、新薬の開発などの研究分野では、精子や卵子、胚、血液、細胞などの生物学的試料(以下、単に「試料」という。)の劣化を防ぐため、凍結保存するのが一般的である。凍結保存には、低温液化ガスとして液体窒素(沸点-196℃)を収容した凍結保存容器が、試料を安定した状態で長期間保存できるため、広く用いられている(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【0003】
具体的に、下記特許文献1には、ガラス化された胚などの検体を凍結するのに用いられる容器本体内にその上端開口から複数個の検体収納用キャニスターを出し入れ可能に格納してなる凍結保存容器であって、キャニスターが容器本体内において上下方向、かつ周方向にそれぞれ隣接して複数個配置され、各キャニスターがハンガーによって容器本体の上端開口縁に着脱可能に懸架されて設けられていることを特徴とする凍結保存容器が記載されている。
【0004】
下記特許文献1に記載の凍結保存容器では、キャニスターが容器本体内において上下方向、かつ周方向にそれぞれ隣接して複数個配置されるため、より多くの検体を収容することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-88992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した凍結保存容器では、キャニスター(保管具)から上方に向かって延長されたアーム部の先端に位置するフック部を容器本体(断熱容器)の上部開口部の周囲に設けられた溝部(掛止部)に掛止する構成となっている。
【0007】
しかしながら、従来の凍結保存容器では、予め容器本体に収容されるキャニスターの数に合わせて溝部が設けられている。このため、溝部の数を変更することができず、キャニスターの大きさや形状を変更して、キャニスターの収容数を増やしつつ、キャニスターを効率的良く収容することが困難であった。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、断熱容器内に収容される保管具の数を変更することを可能とした凍結保存容器用アダプタ、並びに、そのような凍結保存容器用アダプタを備えることによって、断熱容器内に複数の保管具を効率良く収容することを可能とした凍結保存容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 上部が開口した断熱容器と、前記断熱容器の上部開口部を閉塞する断熱蓋とを有して、前記断熱容器内に低温液化ガスが貯留された状態で、前記断熱容器の内部に生物学的試料が入った保管具を収容する凍結保存容器に対して装着される凍結保存容器用アダプタであって、
前記断熱容器の上部開口部の周囲に着脱自在に取り付けられるリング部材を備え、
前記リング部材には、前記保管具から上方に向かって延長されたアーム部の先端に位置するフック部を掛止する掛止部が周方向に複数並んで設けられていることを特徴とする凍結保存容器用アダプタ。
〔2〕 前記掛止部は、前記リング部材の一部を切り欠く溝部であることを特徴とする前記〔1〕に記載の凍結保存容器用アダプタ。
〔3〕 前記リング部材には、前記断熱容器の上部開口部の周囲に設けられた掛止用の溝部と係合される突起部が設けられていることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の凍結保存容器用アダプタ。
〔4〕 前記掛止部の数と前記掛止用の溝部の数とが異なることを特徴とする前記〔3〕に記載の凍結保存容器用アダプタ。
〔5〕 前記リング部材は、スリーブ部と、前記スリーブ部の上端から拡径方向に突出されたフランジ部とを有し、
前記断熱容器の上部開口部から前記スリーブ部を前記断熱容器の内側へと挿入し、前記断熱容器の上部開口部の周囲に前記フランジ部を当接させた状態で、前記断熱容器に対して取り付けられ、
前記掛止部は、前記フランジ部に設けられていることを特徴とする前記〔1〕~〔4〕の何れか一項に記載の凍結保存容器用アダプタ。
〔6〕 前記スリーブ部は、前記断熱容器の上部開口部を形成するネック部の内周面を保護する位置まで下方に延長して設けられていることを特徴とする前記〔5〕に記載の凍結保存容器用アダプタ。
〔7〕 前記リング部材は、リング部と、前記リング部の上端から拡径方向に突出されたフランジ部とを有し、
前記断熱容器の上部開口部を形成するネック部の上端に前記リング部を当接させた状態で、前記断熱容器に対して取り付けられ、
前記掛止部は、前記フランジ部に設けられていることを特徴とする前記〔1〕~〔4〕の何れか一項に記載の凍結保存容器用アダプタ。
〔8〕 前記〔1〕~〔7〕の何れか一項に記載の凍結保存容器用アダプタを備える凍結保存容器。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、断熱容器内に収容される保管具の数を変更することを可能とした凍結保存容器用アダプタ、並びに、そのような凍結保存容器用アダプタを備えることによって、断熱容器内に複数の保管具を効率良く収容することを可能とした凍結保存容器を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態に係る凍結保存容器用アダプタを備えた凍結保存容器の構成を示す断面図である。
図2図1に示す凍結保存容器用アダプタの構成を示す平面図である。
図3図1に示す凍結保存容器用アダプタの構成を示す側面図である。
図4図1に示す凍結保存容器に凍結保存容器用アダプタを装着した状態を示す平面図である。
図5図4中に示す線分A-Aによる断面斜視図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る凍結保存容器用アダプタの構成を示す断面斜視図である。
図7】本発明の第3の実施形態に係る凍結保存容器用アダプタの構成を示す断面斜視図である。
図8】本発明の第4の実施形態に係る凍結保存容器用アダプタの構成を示す断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らないものとする。
【0013】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態として、例えば図1図5に示す凍結保存容器用アダプタ1を備えた凍結保存容器100について説明する。
なお、図1は、凍結保存容器用アダプタ1を備えた凍結保存容器100の構成を示す断面図である。図2は、凍結保存容器用アダプタ1の構成を示す平面図である。図3は、凍結保存容器用アダプタ1の構成を示す側面図である。図4は、凍結保存容器100に凍結保存容器用アダプタ1を装着した状態を示す平面図である。図5は、図4中に示す線分A-Aによる断面斜視図である。
【0014】
本実施形態の凍結保存容器100は、図1に示すように、上部が開口した断熱容器101と、断熱容器101の上部開口部101aを閉塞する断熱蓋102とを備えている。
【0015】
断熱容器101は、真空断熱構造を有し、外容器と内容器との間に真空断熱層が設けられた二重容器により構成されている。また、断熱容器101の上部には、上部開口部101aを形成する略円筒状のネック部101bが設けられている。断熱容器101の内部には、低温液化ガスとして液化窒素(沸点-196℃)Lが貯留されている。断熱蓋102は、ネック部101bに被せられた状態で、断熱容器101の上部開口部101aを閉塞することが可能となっている。
【0016】
本実施形態の凍結保存容器100は、断熱容器101の内部にキャニスター103を収容する。キャニスター103は、例えばストローやクライオトップ(登録商標)などの生物学的試料が入った凍結保存器具104を保管する保管具である。
【0017】
キャニスター103は、凍結保存器具104を保持するホルダー部103aと、ホルダー部103aから上方に向かって延長されたアーム部103bと、アーム部103bの先端に位置するフック部103cとを有している。
【0018】
一方、ネック部101b(断熱容器101)の上部開口部101aの周囲には、フック部103cを掛止する掛止用の溝部101cが設けられている。溝部101cは、ネック部101bの上端の一部を切り欠くことによって形成されている。また、溝部101cは、ネック部101bの周囲に等間隔に複数(本実施形態では4つ)並んで設けられている。
【0019】
キャニスター103は、ネック部101bの溝部101cが設けられた位置から吊り下げられた状態で、断熱容器101の内部へと収容される。また、キャニスター103は、断熱容器101内の液体窒素Lの液面よりも上方に形成される極低温の気相雰囲気G中に配置される。
【0020】
なお、キャニスター103は、複数の凍結保存器具104をホルダー部103a内に収容することが可能である。また、凍結保存器具104は、キャニスター103に直接収容(バルク)したり、ケーンと呼ばれる装着具(図示せず。)に装着された状態で、キャニスター103に収容したりすることが可能である。
【0021】
本実施形態の凍結保存容器用アダプタ1は、図2図5に示すように、ネック部101b(断熱容器101)の上部開口部101aの周囲に着脱自在に取り付けられるリング部材2を備えている。
【0022】
リング部材2は、ネック部101bの外径よりも大きい円板に上部開口部101aと同径の孔部を形成したものからなる。リング部材2には、複数(本実施形態では8つ)の掛止部3が周方向に等間隔に並んで設けられている。掛止部3は、キャニスター103のフック部103cを掛止するため、リング部材2の外周部の一部を径方向に切り欠く溝部により構成されている。
【0023】
また、リング部材2には、掛止用の溝部101cと係合される複数(本実施形態では4つ)の突起部4が設けられている。突起部4は、リング部材2の下面から突出した状態で、リング部材2の周方向に等間隔に並んで設けられている。一方、掛止用の溝部101cの底部には、突起部4が挿入される穴部101dが設けられている。
【0024】
以上のような構成を有する本実施形態の凍結保存容器用アダプタ1は、ネック部101bの上端にリング部材2を当接させた状態で、各突起部4を各溝部101cと係合させることによって、断熱容器101の上部開口部101aの周囲に取り付けられる。
【0025】
本実施形態の凍結保存容器用アダプタ1が取り付けられた凍結保存容器100では、キャニスター103のフック部103cを掛止部3に掛止することが可能である。これにより、キャニスター103は、各掛止部3が設けられた位置から吊り下げられた状態で、断熱容器101の内部へと収容される。
【0026】
本実施形態の凍結保存容器用アダプタ1では、掛止部3の数が掛止用の溝部101cの数よりも多くなっている。したがって、この凍結保存容器用アダプタ1が取り付けられた凍結保存容器100では、掛止部3の数を掛止用の溝部101cの数よりも多くすることによって、キャニスター103の大きさや形状を変更して、キャニスター103の収容数を増やしつつ、キャニスター103を効率良く収容することが可能である。
【0027】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば図6に示す凍結保存容器用アダプタ1Aについて説明する。
なお、図6は、凍結保存容器用アダプタ1Aの構成を示す断面斜視図である。また、以下の説明では、上記凍結保存容器用アダプタ1と同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0028】
本実施形態の凍結保存容器用アダプタ1Aは、図6に示すようなリング部材2Aを備えている。リング部材2Aは、ネック部101bの上端と一致した形状のリング部21と、リング部21の上端から拡径方向に突出されたフランジ部22とを有している。
【0029】
リング部21には、ネック部101bを径方向に挟み込む一対の脚部23が設けられている。一対の脚部23は、リング部21の内周面及び外周面から下方に突出した状態で、リング部21の周方向に等間隔に複数(本実施形態では4つ)並んで設けられている。
【0030】
また、フランジ部22には、複数の掛止部3が周方向に等間隔に並んで設けられている。掛止部3は、フランジ部22の外周部の一部を径方向に切り欠く溝部により構成されている。
【0031】
以上のような構成を有する本実施形態の凍結保存容器用アダプタ1Aは、ネック部101bの上端にリング部21を当接させた状態で、一対の脚部23がネック部101bを径方向に挟み込むことによって、断熱容器101の上部開口部101aの周囲に取り付けられる。
【0032】
本実施形態の凍結保存容器用アダプタ1Aが取り付けられた凍結保存容器100では、キャニスター103のフック部103cを掛止部3に掛止することが可能である。これにより、キャニスター103は、各掛止部3が設けられた位置から吊り下げられた状態で、断熱容器101の内部へと収容される。
【0033】
本実施形態の凍結保存容器用アダプタ1Aでは、掛止部3の数が掛止用の溝部101cの数よりも多くなっている。したがって、この凍結保存容器用アダプタ1Aが取り付けられた凍結保存容器100では、掛止部3の数を掛止用の溝部101cの数よりも多くすることによって、キャニスター103の大きさや形状を変更して、キャニスター103の収容数を増やしつつ、キャニスター103を効率良く収容することが可能である。
【0034】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態として、例えば図7に示す凍結保存容器用アダプタ1Bについて説明する。
なお、図7は、凍結保存容器用アダプタ1Bの構成を示す断面斜視図である。また、以下の説明では、上記凍結保存容器用アダプタ1と同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0035】
本実施形態の凍結保存容器用アダプタ1Bは、図7に示すようなリング部材2Bを備えている。リング部材2Bは、略円筒状のスリーブ部24と、スリーブ部24の上端から拡径方向に突出されたフランジ部25とを有している。
【0036】
スリーブ部24は、断熱容器101の上部開口部101aからキャニスター103を出し入れする際に、キャニスター103の接触等からネック部101bを保護するネックチューブガードとして、ネック部101bの内周面を保護する位置まで下方に延長して設けられている。
【0037】
断熱容器101の中では、例えば図7に示すような金属製の外容器201及び内容器202と、ネック部101bを形成する樹脂製の口形成部材203とを備えたものがある。この断熱容器101において、口形成部材203と内容器202との接合部分Sは、衝撃に弱い箇所である。このため、接合部分Sが損傷した場合、その間から空気が侵入することによって、断熱容器101の断熱性能を維持することが不可能となってしまう。したがって、この接合部分Sを保護するため、スリーブ部24は、接合部分Sよりも下方に延長して設けられていることが好ましい。
【0038】
フランジ部25には、複数の掛止部3が周方向に等間隔に並んで設けられている。掛止部3は、フランジ部22の外周部の一部を径方向に切り欠く溝部により構成されている。
【0039】
以上のような構成を有する本実施形態の凍結保存容器用アダプタ1Aは、スリーブ部24をネック部101bの内側に挿入した状態で、ネック部101bの上端にフランジ部25を当接させることによって、断熱容器101の上部開口部101aの周囲に取り付けられる。
【0040】
本実施形態の凍結保存容器用アダプタ1Bが取り付けられた凍結保存容器100では、キャニスター103のフック部103cを掛止部3に掛止することが可能である。これにより、キャニスター103は、各掛止部3が設けられた位置から吊り下げられた状態で、断熱容器101の内部へと収容される。
【0041】
本実施形態の凍結保存容器用アダプタ1Bでは、掛止部3の数が掛止用の溝部101cの数よりも多くなっている。したがって、この凍結保存容器用アダプタ1Bが取り付けられた凍結保存容器100では、掛止部3の数を掛止用の溝部101cの数よりも多くすることによって、キャニスター103の大きさや形状を変更して、キャニスター103の収容数を増やしつつ、キャニスター103を効率良く収容することが可能である。
【0042】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態として、例えば図8に示す凍結保存容器用アダプタ1Cについて説明する。
なお、図8は、凍結保存容器用アダプタ1Cの構成を示す断面斜視図である。また、以下の説明では、上記凍結保存容器用アダプタ1と同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0043】
本実施形態の凍結保存容器用アダプタ1Cは、図8に示すようなリング部材2Cを備えている。リング部材2Cは、ネック部101bの溝部101cが設けられた位置の上端と一致した形状のリング部26と、リング部26の上端から拡径方向に突出されたフランジ部27とを有している。
【0044】
リング部26には、掛止用の溝部101cと係合される複数(本実施形態では4つ)の突起部4が設けられている。突起部4は、リング部26の下面から突出した状態で、リング部26の周方向に等間隔に並んで設けられている。
【0045】
また、フランジ部27は、ネック部101bの外径と一致している。フランジ部27には、複数の掛止部3が周方向に等間隔に並んで設けられている。掛止部3は、フランジ部22の外周部の一部を径方向に切り欠く溝部により構成されている。
【0046】
以上のような構成を有する本実施形態の凍結保存容器用アダプタ1Cは、ネック部101bの上端にリング部26を当接させた状態で、各突起部4を各溝部101cと係合させることによって、断熱容器101の上部開口部101aの周囲に取り付けられる。
【0047】
本実施形態の凍結保存容器用アダプタ1Cが取り付けられた凍結保存容器100では、キャニスター103のフック部103cを掛止部3に掛止することが可能である。これにより、キャニスター103は、各掛止部3が設けられた位置から吊り下げられた状態で、断熱容器101の内部へと収容される。
【0048】
また、本実施形態の凍結保存容器用アダプタ1Cでは、リング部26の厚みTがネック部101bの溝部101cが設けられた位置の上端の厚みと一致しているため、掛止部3を掛止用の溝部101cと一致した形状の溝部により形成することが可能である。これにより、キャニスター103のフック部103cの形状を変更することなく、掛止部3に掛止することが可能である。
【0049】
本実施形態の凍結保存容器用アダプタ1Cでは、掛止部3の数が掛止用の溝部101cの数よりも多くなっている。したがって、この凍結保存容器用アダプタ1Cが取り付けられた凍結保存容器100では、掛止部3の数を掛止用の溝部101cの数よりも多くすることによって、キャニスター103の大きさや形状を変更して、キャニスター103の収容数を増やしつつ、キャニスター103を効率良く収容することが可能である。
【0050】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記掛止部3の数については、掛止用の溝部101cの数と異なっていればよく、掛止用の溝部101cの数よりも多くする場合に限らず、掛止用の溝部101cの数よりも少なくすることも可能である。
【符号の説明】
【0051】
1,1A~1C…凍結保存容器用アダプタ 2,2A~2C…リング部材 3…掛止部(溝部) 4…突起部 21…リング部 22…フランジ部 23…一対の脚部 24…スリーブ部 25…フランジ部 26…リング部 27…フランジ部 100…凍結保存容器 101…断熱容器 101a…上部開口部 101b…ネック部 101c…掛止用の溝部 102…断熱蓋 103…キャニスター(保管具) 103a…ホルダー部 103b…アーム部 103c…フック部 104…凍結保存器具 L…液体窒素(低温液化ガス)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8