IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-熱処理装置、及び熱処理方法 図1
  • 特開-熱処理装置、及び熱処理方法 図2
  • 特開-熱処理装置、及び熱処理方法 図3
  • 特開-熱処理装置、及び熱処理方法 図4
  • 特開-熱処理装置、及び熱処理方法 図5
  • 特開-熱処理装置、及び熱処理方法 図6
  • 特開-熱処理装置、及び熱処理方法 図7
  • 特開-熱処理装置、及び熱処理方法 図8
  • 特開-熱処理装置、及び熱処理方法 図9
  • 特開-熱処理装置、及び熱処理方法 図10
  • 特開-熱処理装置、及び熱処理方法 図11
  • 特開-熱処理装置、及び熱処理方法 図12
  • 特開-熱処理装置、及び熱処理方法 図13
  • 特開-熱処理装置、及び熱処理方法 図14
  • 特開-熱処理装置、及び熱処理方法 図15
  • 特開-熱処理装置、及び熱処理方法 図16
  • 特開-熱処理装置、及び熱処理方法 図17
  • 特開-熱処理装置、及び熱処理方法 図18
  • 特開-熱処理装置、及び熱処理方法 図19
  • 特開-熱処理装置、及び熱処理方法 図20
  • 特開-熱処理装置、及び熱処理方法 図21
  • 特開-熱処理装置、及び熱処理方法 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075018
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】熱処理装置、及び熱処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20230523BHJP
   B05C 9/14 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
H01L21/30 567
B05C9/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129731
(22)【出願日】2022-08-16
(31)【優先権主張番号】P 2021188088
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100212026
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真生
(72)【発明者】
【氏名】久我 恭弘
(72)【発明者】
【氏名】大島 和彦
【テーマコード(参考)】
4F042
5F146
【Fターム(参考)】
4F042AA07
4F042AB00
4F042DB04
4F042DB17
4F042DB39
4F042DF29
4F042DF34
5F146KA04
5F146KA10
(57)【要約】
【課題】昇華物の効率的な回収と膜厚分布への影響の低減との両立を図る。
【解決手段】熱処理装置は、加熱部と、チャンバと、排気部と、仕切り部と、切替部と、を備える。加熱部は、処理液の膜が形成された基板を支持して加熱する。チャンバは、加熱部に支持された基板を囲むように配置される。排気部は、加熱部の周囲に位置する排出口を介して、チャンバ内の空間からガスを排出する。仕切り部は、チャンバ内の空間を、加熱部上の基板が露出する第1空間と、第1空間の上方に位置する第2空間とに隔てる。切替部は、排気部により第1空間を介してガスが排出される第1状態と、排気部により第2空間を介してガスが排出される第2状態とを切り替える。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液の膜が形成された基板を支持して加熱する加熱部と、
前記加熱部に支持された前記基板を囲むように配置されるチャンバと、
前記加熱部の周囲に位置する排出口を介して、前記チャンバ内の空間からガスを排出する排気部と、
前記チャンバ内の空間を、前記加熱部上の前記基板が露出する第1空間と、前記第1空間の上方に位置する第2空間とに隔てる仕切り部と、
前記排気部により前記第1空間を介してガスが排出される第1状態と、前記排気部により前記第2空間を介してガスが排出される第2状態とを切り替える切替部と、を備える熱処理装置。
【請求項2】
前記加熱部による前記基板の加熱の実行中に、前記第2状態から前記第1状態に切り替えるように前記切替部を制御する制御部を更に備える、請求項1に記載の熱処理装置。
【請求項3】
前記排出口は、前記第1空間に開口した第1排出口と、前記第2空間に開口した第2排出口とを含み、
前記切替部は、前記第1状態において前記第1排出口に接続された第1流路を開放し、且つ前記第2排出口に接続された第2流路を閉塞するように構成され、前記第2状態において前記第1流路を閉塞し、且つ前記第2流路を開放するように構成された閉塞部材を有する、請求項1又は2に記載の熱処理装置。
【請求項4】
前記第1空間の前記加熱部の周囲に配置され、前記第1空間を、前記加熱部を含む収容空間と、前記排出口を含む調整空間とに隔てる内壁を有する流路調整部を更に備え、
前記内壁には、前記収容空間と前記調整空間とを接続し、前記内壁が延在する方向に沿って並ぶ複数の排出孔が形成されている、請求項1又は2に記載の熱処理装置。
【請求項5】
前記流路調整部は、前記調整空間を、前記内壁を含むバッファ空間と前記排出口を含む排出空間とに隔てる第2内壁を更に有し、
前記第2内壁には、前記バッファ空間と前記排出空間とを接続し、前記第2内壁が延在する方向に沿って並ぶ複数の第2排出孔が形成されている、請求項4に記載の熱処理装置。
【請求項6】
前記加熱部を上方から見たときに、前記加熱部の中心と前記排出口の中心とを結ぶ方向に直交する幅方向において、前記内壁の長さは、前記加熱部上の前記基板の長さよりも大きい、請求項4に記載の熱処理装置。
【請求項7】
前記加熱部を上方から見たときに、前記複数の排出孔それぞれが、前記加熱部の中心と前記排出口の中心とを結ぶ方向に沿って、前記内壁を貫通するように形成されている、請求項4に記載の熱処理装置。
【請求項8】
前記加熱部を上方から見たときに、前記内壁が、前記加熱部の中心まわりの周方向に沿って延びるように形成されている、請求項4に記載の熱処理装置。
【請求項9】
前記排出口は、前記第1空間に開口した第1排出口と、前記第2空間に開口した第2排出口とを含み、
前記加熱部を上方から見たときに、前記加熱部の中心と前記第2排出口の中心とを結ぶ方向に直交する幅方向において、前記第2排出口の長さは、前記加熱部の長さよりも小さく、
前記第2空間は、前記第1空間との接続口を含む第1流路と、前記幅方向における大きさが前記第1流路よりも小さい第2流路とを含み、
前記第2流路の少なくとも一部は、前記加熱部と重なる位置に設けられている、請求項1又は2に記載の熱処理装置。
【請求項10】
前記チャンバの側壁には、前記基板の搬入出口が設けられており、
前記熱処理装置は、前記側壁との間に隙間を設けて配置され、前記搬入出口を側方から覆う閉状態と前記搬入出口を開放する開状態とを切り替えるシャッター部材を更に備え、
前記閉状態において、前記側壁と前記シャッター部材との間の隙間は、前記シャッター部材の下方に形成されている隙間よりも大きい、請求項1又は2に記載の熱処理装置。
【請求項11】
前記チャンバは、前記加熱部に支持された前記基板の周囲において、前記加熱部との間に隙間を設けて配置される底壁を有し、
前記底壁には、前記加熱部に支持された前記基板の周囲に並ぶように、前記第1空間と前記チャンバの外とを接続する複数の導入孔が形成されている、請求項1又は2に記載の熱処理装置。
【請求項12】
前記複数の導入孔は、第1領域における開口面積の合計が、第2領域に比較して小さくなるように前記底壁に形成されており、
前記第1領域及び前記第2領域は、前記加熱部を上方から見たときに、前記加熱部の中心と前記排出口の中心とを結ぶ方向において、前記加熱部の中心を境界にして前記第1空間を2つに分割して得られる仮想的な一対の領域であり、
前記加熱部を上方から見たときに、前記第1空間と前記第2空間との接続口が、前記第1領域と重なっている、請求項11に記載の熱処理装置。
【請求項13】
基板を支持して加熱する加熱部と、前記加熱部に支持された前記基板を囲むように配置されるチャンバと、前記加熱部の周囲に位置する排出口を介して、前記チャンバ内の空間からガスを排出する排気部と、前記チャンバ内の空間を、前記加熱部上の前記基板が露出する第1空間と、前記第1空間の上方に位置する第2空間とに隔てる仕切り部と、を備える熱処理装置を用いた熱処理方法であって、
処理液が供給された状態の前記基板を前記加熱部により加熱することと、
前記排気部により前記第1空間を介してガスが排出される第1状態と、前記排気部により前記第2空間を介してガスが排出される第2状態とを切り替えることと、を含む熱処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱処理装置、及び熱処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、気体を導入するための導入部から排出部へ向かう気流が熱板の上空において熱板の表面に沿って一方向に生じるように構成された加熱処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-185471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、昇華物の効率的な回収と膜厚分布への影響の低減との両立に有用な熱処理装置、及び熱処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る熱処理装置は、加熱部と、チャンバと、排気部と、仕切り部と、切替部と、を備える。加熱部は、処理液の膜が形成された基板を支持して加熱する。チャンバは、加熱部に支持された基板を囲むように配置される。排気部は、加熱部の周囲に位置する排出口を介して、チャンバ内の空間からガスを排出する。仕切り部は、チャンバ内の空間を、加熱部上の基板が露出する第1空間と、第1空間の上方に位置する第2空間とに隔てる。切替部は、排気部により第1空間を介してガスが排出される第1状態と、排気部により第2空間を介してガスが排出される第2状態とを切り替える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、昇華物の効率的な回収と膜厚分布への影響の低減との両立に有用な熱処理装置、及び熱処理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、基板処理システムの一例を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、塗布現像装置の一例を模式的に示す側面図である。
図3図3は、熱処理ユニットの一例を模式的に示す側面図である。
図4図4は、チャンバ及び排気部の一例を模式的に示す上面図である。
図5図5は、チャンバ及び排気部の一例を模式的に示す下面図である。
図6図6(a)及び図6(b)は、チャンバの一例を模式的に示す側面図である。
図7図7は、チャンバ内部の一例を模式的に示す上面図である。
図8図8は、流路調整部の一例を模式的に示す斜視図である。
図9図9は、チャンバ内部の一例を模式的に示す上面図である。
図10図10(a)及び図10(b)は、シャッター部の一例を模式的に示す側面図である。
図11】シャッター部と周囲の部材との一例を模式的に示す側面図である。
図12図12は、排気部内部の一例を模式的に示す斜視図である。
図13図13は、チャンバが取り付けられた状態の一例を模式的に示す斜視図である。
図14図14は、チャンバを取り外す際の様子の一例を模式的に示す斜視図である。
図15図15(a)及び図15(b)は、チャンバの着脱動作の一例を模式的に示す側面図である。
図16図16は、制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図17図17は、熱処理において実行される一連の処理の一例を示すフローチャートである。
図18図18(a)及び図18(b)は、熱処理の様子の一例を示す模式図である。
図19図19は、熱処理の様子の一例を示す模式図である。
図20図20(a)及び図20(b)は、チャンバの取り外しの様子の一例を示す模式図である。
図21図21は、チャンバ内部の一例を模式的に示す上面図である。
図22図22(a)は、導入孔がない場合の熱処理の様子の一例を示す模式図である。図22(b)は、導入孔が設けられた場合の熱処理の様子の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。一部の図面にはX軸、Y軸及びZ軸により規定される直交座標系が示される。以下の実施形態では、Z軸が上下方向に対応し、X軸及びY軸が水平方向に対応する。
【0009】
図1に示される基板処理システム1は、ワークWに対し、感光性被膜の形成、当該感光性被膜の露光、及び当該感光性被膜の現像を施すシステムである。処理対象のワークWは、例えば基板、あるいは所定の処理が施されることで膜又は回路等が形成された状態の基板である。当該基板は、一例として、シリコンウェハである。ワークW(基板)は、円形であってもよい。ワークWは、ガラス基板、マスク基板、又はFPD(Flat Panel Display)などであってもよい。感光性被膜は、例えばレジスト膜である。
【0010】
図1及び図2に示されるように、基板処理システム1は、塗布現像装置2(基板処理装置)と、露光装置3と、を備える。露光装置3は、ワークW(基板)に形成されたレジスト膜(感光性被膜)を露光する装置である。具体的には、露光装置3は、液浸露光等の方法によりレジスト膜の露光対象部分にエネルギー線を照射する。
【0011】
[塗布現像装置]
塗布現像装置2は、露光装置3による露光処理前に、ワークWの表面にレジスト(薬液)を塗布してレジスト膜を形成する処理を行い、露光処理後にレジスト膜の現像処理を行う。塗布現像装置2(熱処理装置)は、キャリアブロック4と、処理ブロック5と、インタフェースブロック6と、制御装置100と、を備える。
【0012】
キャリアブロック4は、塗布現像装置2内へのワークWの導入及び塗布現像装置2内からのワークWの導出を行う。例えばキャリアブロック4は、ワークW用の複数のキャリアCを支持可能であり、受け渡しアームを含む搬送装置A1を内蔵している。キャリアCは、例えば円形の複数枚のワークWを収容する。搬送装置A1は、キャリアCからワークWを取り出して処理ブロック5に渡し、処理ブロック5からワークWを受け取ってキャリアC内に戻す。処理ブロック5は、処理モジュール11,12,13,14を有する。
【0013】
処理モジュール11は、液処理ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにワークWを搬送する搬送装置A3とを内蔵している。処理モジュール11は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2によりワークWの表面上に下層膜を形成する。液処理ユニットU1は、下層膜形成用の処理液をワークW上に塗布する。熱処理ユニットU2は、下層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。処理モジュール11において、複数の熱処理ユニットU2が積層されていてもよい。
【0014】
処理モジュール12は、液処理ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにワークWを搬送する搬送装置A3とを内蔵している。処理モジュール12は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2により下層膜上にレジスト膜を形成する。液処理ユニットU1は、レジスト膜形成用の処理液を下層膜上に塗布する。熱処理ユニットU2は、レジスト膜の形成に伴う各種熱処理を行う。処理モジュール12において、複数の熱処理ユニットU2が積層されていてもよい。
【0015】
処理モジュール13は、液処理ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにワークWを搬送する搬送装置A3とを内蔵している。処理モジュール13は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2によりレジスト膜上に上層膜を形成する。液処理ユニットU1は、上層膜形成用の処理液をレジスト膜上に塗布する。熱処理ユニットU2は、上層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。処理モジュール13において、複数の熱処理ユニットU2が積層されていてもよい。
【0016】
処理モジュール14は、液処理ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにワークWを搬送する搬送装置A3とを内蔵している。処理モジュール14は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2により、露光処理が施されたレジスト膜の現像処理及び現像処理に伴う熱処理を行う。液処理ユニットU1は、露光済みのワークWの表面上に現像液を供給した後、これをリンス液により洗い流すことで、レジストパターンを形成する(レジスト膜の現像処理を行う)。熱処理ユニットU2は、現像処理に伴う各種熱処理を行う。熱処理の具体例としては、現像処理前の加熱処理(PEB:Post Exposure Bake)、及び現像処理後の加熱処理(PB:Post Bake)等が挙げられる。処理モジュール14において、複数の熱処理ユニットU2が積層されていてもよい。
【0017】
処理ブロック5内におけるキャリアブロック4側には棚ユニットU10が設けられている。棚ユニットU10は、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。棚ユニットU10の近傍には昇降アームを含む搬送装置A7が設けられている。搬送装置A7は、棚ユニットU10のセル同士の間でワークWを昇降させる。
【0018】
処理ブロック5内におけるインタフェースブロック6側には棚ユニットU11が設けられている。棚ユニットU11は、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。
【0019】
インタフェースブロック6は、露光装置3との間でワークWの受け渡しを行う。例えばインタフェースブロック6は、受け渡しアームを含む搬送装置A8を内蔵しており、露光装置3に接続される。搬送装置A8は、棚ユニットU11に配置されたワークWを露光装置3に渡す。搬送装置A8は、露光装置3からワークWを受け取って棚ユニットU11に戻す。
【0020】
制御装置100(制御部)は、塗布現像装置2に含まれる各種装置を制御するように構成されている。制御装置100は、例えば以下の手順で塗布現像処理を実行するように塗布現像装置2の各種装置を制御する。まず制御装置100は、キャリアC内のワークWを棚ユニットU10に搬送するように搬送装置A1を制御し、このワークWを処理モジュール11用のセルに配置するように搬送装置A7を制御する。
【0021】
次に、制御装置100は、棚ユニットU10のワークWを処理モジュール11内の液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2に搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御装置100は、このワークWの表面上に下層膜を形成するように、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後、制御装置100は、下層膜が形成されたワークWを棚ユニットU10に戻すように搬送装置A3を制御し、このワークWを処理モジュール12用のセルに配置するように搬送装置A7を制御する。
【0022】
次に、制御装置100は、棚ユニットU10のワークWを処理モジュール12内の液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2に搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御装置100は、このワークWの下層膜上にレジスト膜を形成するように液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後、制御装置100は、ワークWを棚ユニットU10に戻すように搬送装置A3を制御し、このワークWを処理モジュール13用のセルに配置するように搬送装置A7を制御する。
【0023】
次に、制御装置100は、棚ユニットU10のワークWを処理モジュール13内の各ユニットに搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御装置100は、このワークWのレジスト膜上に上層膜を形成するように液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後、制御装置100は、ワークWを棚ユニットU11に搬送するように搬送装置A3を制御する。
【0024】
次に、制御装置100は、棚ユニットU11のワークWを露光装置3に送り出すように搬送装置A8を制御する。その後、制御装置100は、露光処理が施されたワークWを露光装置3から受け入れて、棚ユニットU11における処理モジュール14用のセルに配置するように搬送装置A8を制御する。
【0025】
次に、制御装置100は、棚ユニットU11のワークWを処理モジュール14内の各ユニットに搬送するように搬送装置A3を制御し、このワークWのレジスト膜の現像処理を行うように液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後、制御装置100は、ワークWを棚ユニットU10に戻すように搬送装置A3を制御し、このワークWをキャリアC内に戻すように搬送装置A7及び搬送装置A1を制御する。
【0026】
以上により1枚のワークWについての塗布現像処理が完了する。制御装置100は、後続の複数のワークWのそれぞれについても、上述と同様に塗布現像処理を実行するように塗布現像装置2の各種装置を制御する。なお、塗布現像装置2の具体的な構成は、以上に例示した構成に限られない。塗布現像装置2は、熱処理を行うユニットを備えていればどのようなものであってもよい。
【0027】
[熱処理ユニット]
続いて、図3図15を参照しながら、熱処理ユニットU2の一例について詳細に説明する。熱処理ユニットU2(熱処理装置)は、少なくともワークWに対する加熱処理を施すように構成されている。図3に示されるように、熱処理ユニットU2は、例えば、筐体20と、搬送部30と、加熱処理部40と、を備える。
【0028】
(筐体)
筐体20は、熱処理ユニットU2が有する部材の一部を収容する。筐体20は、水平な一方向(例えば、図示のX軸方向)に沿って延びるように形成されていてもよい。筐体20によって形成される内部空間は、直方体状であってもよい。筐体20の長手方向における一方の側壁には、ワークWを筐体20内に搬入するための搬入口21が設けられている。以下の説明では、筐体20の長手方向を「前後方向」とし、筐体20の長手方向に直交する水平な方向(例えば、図示のY軸方向)を「左右方向」とする。前後方向において、搬入口21、搬送部30、及び加熱処理部40が、この順に配置されている。
【0029】
(搬送部)
搬送部30は、ワークWの搬送を行うと共に、ワークWに対する冷却を行う。搬送部30は、例えば、冷却プレート31と、連結部32と、駆動部33と、ガイドレール34とを有する。冷却プレート31は、ワークWを支持して冷却する。冷却プレート31の内部には、冷却用の冷媒が流通する冷媒流路(不図示)が形成されている。連結部32は、冷却プレート31に連結されている。連結部32は、筐体20内を前後方向に沿って移動可能である。筐体20には、その内部空間を上下に仕切る基台24が設けられてもよい。冷却プレート31は、基台24の上方に配置されており、連結部32は、基台24を上下に貫通するように設けられている。
【0030】
駆動部33は、例えば、電動モータ等の駆動源を含んでおり、前後方向に延びるガイドレール34に沿って連結部32を移動させる。連結部32の移動により、冷却プレート31が前後方向に沿って移動する。駆動部33は、加熱処理部40においてワークWの加熱が行われる加熱位置と、加熱位置と搬入口21との間の待機位置との間で、冷却プレート31が往復移動するように連結部32を駆動する。搬送部30(冷却プレート31)は、待機位置においてワークWの冷却を行う。
【0031】
(加熱処理部)
加熱処理部40は、上記加熱位置においてワークWに対する加熱を行う。加熱処理部40は、加熱部42と、昇降部44と、チャンバ50と、仕切り部60と、シャッター部70と、排気部80と、切替部90と、を備える。最初に、加熱処理部40の概要について説明する。加熱部42は、処理液の膜が形成されたワークWを支持して加熱する。昇降部44は、搬送部30の冷却プレート31との間でワークWの受け渡しを行う。
【0032】
チャンバ50は、加熱部42に支持されたワークWを囲むように配置される。チャンバ50は、筐体であり、ワークWに対する加熱を行うための空間(以下、「内部空間S」という。)を形成する。仕切り部60は、チャンバ50内の内部空間Sを、加熱部42上のワークWが露出する処理空間S1(第1空間)と、処理空間S1の上方に位置する退避空間S2(第2空間)とに隔てる。シャッター部70は、チャンバ50の側壁に設けられたワークWの搬入出口57を開閉する部材である。シャッター部70が搬入出口57を閉じることで上記内部空間Sが形成され、内部空間Sが形成された状態でワークWに対する加熱が行われる。
【0033】
排気部80は、加熱部42の周囲に位置する排出口58を介して、チャンバ50内の内部空間Sからガスを排出する。ワークWの加熱中において、ワークWの表面に形成された処理液の膜から昇華物が発生する。排気部80によるガスの排出(排気)によって、内部空間S内に発生した昇華物が回収される。排出口58は、処理空間S1に開口する第1排出口58aと、退避空間S2に開口する第2排出口58bとを含む。
【0034】
切替部90は、排気部80により処理空間S1を介してガスが排出される状態(以下、「第1排気状態」という。)と、排気部80により退避空間S2を介してガスが排出される状態(以下、「第2排気状態」という。)とを切り替える。第1排気状態(第1状態)では、排気部80が、第1排出口58aを介して処理空間S1からガスを排出し、第2排出口58bを介して退避空間S2からガスを排出しない。第2排気状態(第2状態)では、排気部80が、第2排出口58bを介して退避空間S2からガスを排出し、第1排出口58aを介して処理空間S1からガスを排出しない。
【0035】
上記前後方向において、冷却プレート31がワークWの冷却を行う待機位置、シャッター部70、チャンバ50(加熱部42)、及び排気部80が、この順に配置されている。排気部80は、その大部分が筐体20から外に張り出すように配置されていてもよい。以下、加熱処理部40に含まれる各部材の一例について詳細に説明する。
【0036】
<加熱部>
加熱部42は、筐体20内において所定の位置に固定されている。加熱部42は、例えば、基台25に支持されている。基台25は、筐体20の底壁又は側壁に固定されている。基台25は、基台24に接続されていてもよい。加熱部42は、円板状に形成された熱板43を有する。熱板43の内部には、ヒータが設けられている。熱板43の直径は、ワークWの直径よりも大きくてもよい。熱板43の上面においてワークWが支持され、熱板43の温度が上昇することでワークWが加熱される。
【0037】
<昇降部>
昇降部44は、熱板43の上方においてワークWを昇降させる。昇降部44は、例えば、加熱部42にワークWが支持(載置)される処理高さと、加熱部42から離れた上方において搬送部30との間でワークWの受け渡しを行う受渡高さと、の間でワークWを昇降させる。昇降部44は、複数の昇降ピン45と、昇降駆動部46とを有する。昇降ピン45は、ワークWを下方から支持するピンであり、加熱部42を上下方向において貫通している。昇降駆動部46は、電動モータ又はシリンダ等の動力源を含み、昇降ピン45を上下方向に沿って移動させる。
【0038】
<チャンバ>
チャンバ50は、加熱部42に支持されたワークWを覆うことで、シャッター部70と共に上記内部空間Sを形成する。内部空間Sは、ワークWに形成されている処理液の膜を十分に加熱できる程度に閉じられた空間である。チャンバ50は、図4又は図5に示されるように、平面視(上方から見ること)において、前後方向に延びるように形成されている。チャンバ50の外縁は、上記待機位置寄りの部分において一辺が欠けた四角形に形成され、待機位置から離れた部分において円弧状に形成されてもよい。チャンバ50の外縁では、四角形において一辺が円弧状に変形されており、その円弧状の一辺が外方に向かって突出するように形成されている。
【0039】
チャンバ50は、天板51と、底壁56と、側壁52と、側壁53と、側壁54と、側壁55と、を有する。天板51は、加熱部42及び底壁56を覆う板状の部材である。平面視において、天板51の外縁が加熱部42(熱板43)の外縁を囲っており、天板51の面積は加熱部42の面積よりも大きい。天板51の外縁が、チャンバ50の外縁を形成している。天板51によって内部空間Sの上面が規定される。
【0040】
底壁56は、加熱部42に支持されたワークWを囲む。平面視において、底壁56の外縁が加熱部42(熱板43)の外縁を囲っており、底壁56の外縁が囲む領域の面積は、加熱部42の面積よりも大きい。図5に示されるように、底壁56には、加熱部42を露出させるための露出孔56aが形成されている(図7も参照)。露出孔56aは、加熱部42の外縁よりも小さくてもよい。底壁56は、加熱部42に支持されたワークWの周囲に配置される。底壁56の少なくとも一部は、加熱部42(熱板43)の側方、及び、加熱部42上のワークWの側方の少なくとも一方を囲っていてもよい。平面視において、底壁56の一部が加熱部42の周縁部を覆っていてもよい(図11も参照)。上下方向において、底壁56の下部が、加熱部42の上部と同じ高さ位置に配置されていてもよい。底壁56は、加熱部42との間に隙間を設けて配置される。図11に示される例では、底壁56の一部が、加熱部42の周縁部を上方から覆っており(上方から見て重なっており)、底壁56のうちの加熱部42の周縁部を上方から覆う部分と、加熱部42との間には隙間が形成されている。加熱部42と底壁56との隙間の一端は、加熱部42の中心を向くように処理空間S1に開口していてもよい。本開示において、底壁56と加熱部42との位置関係は、底壁56と熱板43との位置関係に相当する。また、後述するようにチャンバ50が着脱自在である場合、以上に説明した、底壁56と加熱部42との間の種々の位置関係は、チャンバ50が取り付けられた状態での関係を意味する。底壁56及び加熱部42によって内部空間Sの下面が規定される。
【0041】
天板51と底壁56との間には、側壁52、側壁53、側壁54、及び側壁55が設けられる。側壁52、側壁53、側壁54、及び側壁55それぞれは、天板51の周縁部から下方に向かって延びるように形成されている。側壁52、側壁53、側壁54、及び側壁55によって、内部空間Sの側面の一部が規定される。側壁52及び側壁53は、加熱部42を間に挟んで、前後方向に並ぶように配置されている。側壁54及び側壁55は、加熱部42を間に挟んで、左右方向に並ぶように配置されている。側壁52は、側壁53に比べてシャッター部70(又は上記待機位置)寄りに配置されている。この場合、前後方向において、シャッター部70、側壁52、及び側壁53が、この順に並んでいる。
【0042】
側壁52は、左右方向に沿って延びるように形成されている。側壁52の左右方向における一端には側壁54が接続されており、側壁52の左右方向における他端には側壁55が接続されている。側壁54及び側壁55それぞれは、前後方向に沿って延びるように形成されている。前後方向において、側壁54の長さは、側壁55の長さに略一致していてもよい。
【0043】
側壁53は、その一端が側壁54に接続され、その他端が側壁55に接続されており、平面視において円弧状に形成されている。左右方向において、側壁53の長さは、側壁52の長さに略一致していてもよい。平面視において、側壁53は、加熱部42の中心(又は熱板43の中心)まわりの周方向に沿って延びていてもよい。側壁53の左右方向の中央部分において、前後方向における厚さが、他の部分よりも大きくてもよい。側壁53の左右方向における中央部分が、シャッター部70から離れる方向に突出していてもよい。側壁53の左右方向における中央部分の突出する部分が、筐体20の搬入口21が設けられる側壁とは反対側の側壁によって囲まれてもよい。
【0044】
図6(a)に示されるように、側壁52には、ワークWの搬入出口57が形成されている。搬入出口57は、ワークWの搬入出を行うための開口である。搬入出口57を介してチャンバ50内にワークWが搬入され、搬入出口57を介してチャンバ50内からワークWが搬出される。搬入出口57は、ワークWを支持した冷却プレート31が通過可能となるように形成されている。搬入出口57は、左右方向に沿って延びるように形成されており、その横幅は、ワークWの直径よりも大きい。搬入出口57の上下方向における長さは、チャンバ50の上下方向における長さの半分程度であってもよい。
【0045】
図6(b)に示されるように、側壁53には、第1排出口58a及び第2排出口58bを含む排出口58が形成されている。排出口58は、チャンバ50内の内部空間Sからガスを排出するための開口である。第1排出口58a及び第2排出口58b(排出口58)は、側壁53の左右方向における中央部分に形成されている。第1排出口58a及び第2排出口58bの左右方向における長さは、搬入出口57の左右方向における長さよりも小さい。第1排出口58a及び第2排出口58bは上下方向に並んでおり、第2排出口58bは、第1排出口58aよりも上方に位置する。前後方向において、搬入出口57と排出口58(第1排出口58a及び第2排出口58b)とは、加熱部42を間に挟んでいる。
【0046】
<仕切り部・流路調整部>
図3に示されるように、チャンバ50内の内部空間Sは、仕切り部60によって処理空間S1と退避空間S2とに区画されている。処理空間S1は、加熱部42によって支持されたワークWが露出する空間であり、退避空間S2は、処理空間S1の上方に位置する空間である。仕切り部60は、例えば、板状に形成されており、加熱部42の全域と底壁56の一部を覆っていてもよい。仕切り部60の内部には、ヒータが設けられていてもよい。仕切り部60がヒータにより加熱されることで、仕切り部60及び仕切り部60に接続された部材の温度が上昇し、これらの部材に昇華物が付着し難くなる。図7には、図3におけるA-A線での断面が示されており、A-A線は処理空間S1を通っている。
【0047】
処理空間S1は、側壁53、側壁54、側壁55、底壁56、加熱部42、シャッター部70、及び仕切り部60の下面によって区画される。第1排出口58aは、側壁53のうちの処理空間S1を区画する部分に形成されている。平面視において(加熱部42を上方から見て)、加熱部42の中心と、第1排出口58aの中心とを結ぶ方向は、上記前後方向に相当する。平面視において、加熱部42の中心(熱板43の中心)と第1排出口58aの中心とを結ぶ方向に直交する方向は、上記の左右方向(幅方向)に相当する。第1排出口58aは、処理空間S1からガスを排出するための開口である。第1排出口58aは、処理空間S1に開口している。処理空間S1からガスが排出される際に、処理空間S1において第1排出口58aに向かってガスが流れる。左右方向において、第1排出口58aの長さは加熱部42の長さよりも小さい。
【0048】
加熱処理部40は、流路調整部62を有してもよい。流路調整部62は、側壁53との間で第1排出口58aに向かうガスの流路を形成する。流路調整部62が形成されることで、処理空間S1内のガスが第1排出口58aに向かって流れやすくなる。流路調整部62は、平面視において、加熱部42と側壁53との間に配置されている。流路調整部62は、例えば、内壁63と、内壁64とを有する。
【0049】
内壁63は、処理空間S1において加熱部42の周囲に配置されている。内壁63は、処理空間S1を、加熱部42を含む収容空間S11と、第1排出口58aを含む調整空間S12とに隔てるように形成されている。内壁63は、図8にも示されるように、上下方向において底壁56と仕切り部60との間に延びている。内壁63の上端は仕切り部60の下面に接続され、内壁63の下端は底壁56の上面に接続されている。内壁63の左右方向における一端は側壁54に接続されており、内壁63の左右方向における他端は側壁55に接続されている。平面視において、内壁63は、加熱部42の中心まわりの周方向に沿って延びるように円弧状に形成されていてもよい。左右方向において、内壁63の長さは、加熱部42上のワークWの長さよりも大きくてもよい。
【0050】
内壁63には、当該内壁63の延在方向に沿って並ぶ複数の排出孔63aが形成されている。複数の排出孔63aそれぞれは、収容空間S11と調整空間S12とを接続する開口である。収容空間S11内のガスは、複数の排出孔63aを介して調整空間S12に導入される。複数の排出孔63aそれぞれは、前後方向に沿って内壁63を貫通するように形成されている。内壁63を前後方向に沿って貫通するとは、貫通した孔(開口)を形成する内壁が前後方向に沿って延びるように内壁63を貫通していることを意味する。
【0051】
内壁63に形成された複数の排出孔63aは、左右方向において点在している。左右方向において、内壁63における複数の排出孔63aが形成されている領域の端部同士の間の距離は、ワークWの直径の90%よりも大きくてもよく、ワークWの直径よりも大きくてもよい。排出孔63aが形成されている領域の端部同士の距離は、最も右端に位置する排出孔63aの右側の端部と、最も左端に位置する排出孔63aの左側の端部との間の左右方向における最短距離で定義される。
【0052】
内壁64(第2内壁)は、内壁63と側壁53との間に配置されている。内壁64は、調整空間S12を、内壁63を含むバッファ空間と第1排出口58aを含む排出空間とに隔てるように形成されている。内壁64は、図8にも示されるように、上下方向において底壁56と仕切り部60との間に延びている。内壁64の上端は仕切り部60の下面に接続され、内壁64の下端は底壁56の上面に接続されている。内壁64の左右方向における一端は側壁54に接続されており、内壁64の左右方向における他端は側壁55に接続されている。内壁64は、加熱部42(熱板43)の中心まわりの周方向に沿って延びるように円弧状に形成されていてもよい。左右方向において、内壁64の長さは、内壁63の長さに略一致していてもよい。
【0053】
内壁64には、当該内壁64が延在する方向に沿って並ぶ複数の排出孔64a(複数の第2排出孔)が形成されている。複数の排出孔64aそれぞれは、上記バッファ空間と上記排出空間とを接続する開口である。収容空間S11内のガスは、内側の内壁63に形成された複数の排出孔63aを介してバッファ空間に導入された後に、外側の内壁64に形成された複数の排出孔64aを介して排出空間に導入される。複数の排出孔64aそれぞれは、前後方向に沿って内壁64を貫通するように形成されている。
【0054】
内壁64に形成された複数の排出孔64aは、左右方向において点在している。複数の排出孔64aは、第1排出口58aによる排気によって、内壁63に形成された複数の排出孔63aを流れるガスの流量が分散されるように(左右方向での偏りが低減されるように)形成されている。第1排出口58aは、処理空間S1での左右方向の中央に位置している。そのため、仮に内壁64(複数の排出孔64a)がなく、内壁63において複数の排出孔63aが略等間隔で形成されていると仮定すると、左右方向の中央に位置するいくつかの排出孔63aでは、他の部分に比べて、ガスの流量が多くなってしまう。この場合、加熱部42上のワークWの左右方向における中央部分の上方において、ガスの流れが他の部分に比べて強くなってしまう。
【0055】
内壁63における複数の排出孔63aの配列状態と、内壁64における複数の排出孔64aの配列状態とは、互いに異なっている。例えば、複数の排出孔63aの個数と、複数の排出孔64aの個数とは互いに異なっており、互いに隣り合う排出孔同士の間隔の変更の仕方が互いに異なっている。複数の排出孔64aの一部において、前後方向から見て、排出孔64aの少なくとも一部が複数の排出孔63aとは重なっていない。
【0056】
図9には、図3におけるB-B線での断面が示されており、B-B線は退避空間S2を通っている。仕切り部60は、側壁54、側壁55、及び側壁53に固定されている。仕切り部60は、チャンバ50と一体に形成されていてもよい。退避空間S2は、仕切り部60の上面、側壁52、側壁53、側壁54、側壁55、及び天板51の下面によって区画される。
【0057】
第2排出口58bは、側壁53のうちの退避空間S2を区画する部分に形成されている。平面視において、第2排出口58bの中心(左右方向における中央)は、第1排出口58aの中心(左右方向における中央)と略一致していてもよい。第2排出口58bは、退避空間S2からガスを排出するための開口である。第2排出口58bは、退避空間S2に開口している。退避空間S2からガスが排出される際に、退避空間S2において第2排出口58bに向かってガスが流れる。左右方向において、第2排出口58bの長さは加熱部42の長さよりも小さい。
【0058】
退避空間S2と処理空間S1とは、接続口69を介して互いに接続されている。接続口69は、仕切り部60と側壁52との間に形成されている。接続口69は、前後方向において、側壁52と加熱部42(加熱部42上のワークW)との間に位置する。接続口69は、側壁52に沿って延びているように開口している。接続口69の左右方向における長さは、加熱部42のワークWの直径よりも大きくてもよい。左右方向において、接続口69の長さは、第2排出口58bの長さよりも大きい。退避空間S2は、接続口69を含む流路S21(第1流路)と、その流路S21よりも左右方向における幅が小さい流路S22(第2流路)を含んでもよい。
【0059】
加熱処理部40は、流路形成部材66と、流路形成部材67とを有してもよい。流路形成部材66及び流路形成部材67は、退避空間S2において、第2排出口58bに向かってガスが流れる領域と、ガスが流れない領域とに区画する部材である。流路形成部材66及び流路形成部材67は、平面視にて、チャンバ50の左右方向における中央を通り、且つ前後方向に延びる仮想線に関して線対称である。流路形成部材66及び流路形成部材67は、仕切り部60の上面と天板51の下面との間に延びる内壁である。流路形成部材66の上端及び流路形成部材67の上端は天板51の下面に接続されており、流路形成部材66の下端及び流路形成部材67の下端は仕切り部60の上面に接続されている。流路形成部材66は、内壁66aと内壁66bとを含み、流路形成部材67は、内壁67aと内壁67bとを含む。
【0060】
内壁66aの一端は、側壁54のうちの接続口69寄りの部分に接続されており、内壁66aは、左右方向及び前後方向の双方に対して傾斜した状態で延びている。内壁66aの他端の左右方向における位置は、第2排出口58bの側壁54に近い端部の位置に略一致する。内壁66aの他端には、内壁66bの一端が接続されている。内壁66bは、前後方向に沿って側壁53まで延びている。
【0061】
内壁67aの一端は、側壁55のうちの接続口69寄りの部分に接続されており、内壁67aは、左右方向及び前後方向の双方に対して傾斜した状態で延びている。内壁67aの他端の左右方向における位置は、第2排出口58bの側壁55に近い端部の位置に略一致する。内壁67aの他端には、内壁67bの一端が接続されている。内壁67bは、前後方向に沿って側壁53まで延びている。
【0062】
内壁66aと内壁67aとの左右方向での互いに間隔は、第2排出口58bに近づくにつれて小さくなる。内壁66bと内壁67bとの左右方向での互いに間隔は、前後方向の位置が変わっても略一定である。以上の構成により、退避空間S2には、流路S21と、流路S22と、ガスが流れない2つの領域とが形成される。流路S21は、退避空間S2のうちの、側壁52と、内壁66aの内壁66bとの接続部分と内壁67aの内壁67bとの接続部分とを結ぶ仮想平面との間の領域である。流路S22は、退避空間S2のうちの、上記仮想平面と第2排出口58bとの間の領域である。ガスが流れない2つの領域は、退避空間S2のうちの、流路S21及び流路S22以外の領域である。
【0063】
平面視において、流路S22の少なくとも一部は、加熱部42と重なる位置に設けられている。平面視において、流路S21と流路S22との境界部分は、加熱部42と重なっている。処理空間S1では、加熱部42の周囲の第1排出口58a寄りの領域で流路が狭くなっているのに対して、退避空間S2では、加熱部42と重なる位置において流路が狭くなっている。退避空間S2のガスが流れない領域には、配線及びセンサ等が設けられてもよい。
【0064】
<シャッター部>
図10(a)及び図10(b)には、シャッター部70の動作が例示されている。シャッター部70は、側壁52に形成された搬入出口57を側方から覆うことができる位置に配置されている。シャッター部70は、基台24に設けられていてもよい。シャッター部70は、例えば、シャッター部材72と、駆動部74とを有する。
【0065】
シャッター部材72は、搬入出口57を側方から覆う部材である。シャッター部材72は、板状に形成されており、前後方向に交差する平面(図のY-Z平面)に沿って延びている。前後方向から見て、シャッター部材72の大きさは、搬入出口57よりも大きい。駆動部74は、電動モータ又はシリンダ等の駆動源を含み、シャッター部材72を上下方向に沿って移動させる。駆動部74によってシャッター部材72が駆動することで搬入出口57が側方から覆われる閉状態と搬入出口57が開放される開状態とが切り替えられる。
【0066】
駆動部74によりシャッター部材72が基台24に最も近接する位置に配置された際に、側方から見て、シャッター部材72が搬入出口57の全域を覆い、搬入出口57が閉状態となる。この際、チャンバ50の内部では、シャッター部材72の内壁と、チャンバ50とによって内部空間Sが形成される。駆動部74によりシャッター部材72が基台24から最も離れた位置に配置された際に、側方から見て、シャッター部材72が搬入出口57と重ならずに、搬入出口57が開状態となる。このように、シャッター部材72は、搬入出口57を側方から覆う閉状態と搬入出口57を開放する開状態とを切り替える。
【0067】
図11には、シャッター部材72及びチャンバ50の一部の側面が模式的に示されている。シャッター部材72は、駆動部74との接続部分を除いて、他の部材に接触しないように基台24に設けられていてもよい。シャッター部材72は、チャンバ50の側壁52との間に隙間g1を設けて配置されている。シャッター部材72と底壁56との間にも隙間が設けられている。シャッター部材72は、閉状態と開状態とのいずれの状態においても、チャンバ50と接触していない。
【0068】
シャッター部材72は、閉状態において(基台24に最も近接する状態において)、基台24との間に隙間g2を空けて配置される。隙間g2は、シャッター部材72の下方に形成されている。隙間g1は、隙間g2よりも大きくてもよい。一例では、隙間g1(隙間g1の大きさ)は、0.8mm~1.6mm程度であり、隙間g2(隙間g2の大きさ)は、0.2mm~0.7mm程度である。なお、基台24には、シャッター部材72の下面の一部分を支える支持部が設けられてもよく、この場合、隙間g2は、シャッター部材72の下面と基台24との間の上記支持部を除いた空間に相当する。
【0069】
<排気部>
図12には、排気部80の内部の一例と、切替部90の一例とが模式的に示されている。排気部80は、処理空間S1及び退避空間S2のそれぞれからガスを排出可能となるように構成されている。排気部80は、配管82と、配管84とを有する。配管82は、流路C1と流路C2とを形成する部材である。流路C1(第1流路)は処理空間S1に開口した第1排出口58aに接続されおり、流路C1には処理空間S1から排出される排ガスが流れる。流路C2(第2流路)は退避空間S2に開口した第2排出口58bに接続されており、流路C2には退避空間S2から排出される排ガスが流れる。
【0070】
配管82は、例えば、前後方向に延びるように形成されている。流路C1及び流路C2は上下方向に並ぶように形成されている。流路C1の上流に位置する端部には、第1排出口58aと接続される接続口81aが設けられ、流路C2の上流に位置する端部には、第2排出口58bと接続される接続口81bが設けられる。本開示では、ガスの流れを基準に「上流」及び「下流」の用語を使用する。排気部80による排気によって、チャンバ50内及び排気部80内において、ガスが上流から下流に向かって流れる。
【0071】
配管84は、流路C1及び流路C2それぞれに接続された共通流路C3を形成する部材である。共通流路C3は、流路C1の下流側の端部に設けられる接続口87aを介して流路C1と接続され、且つ、流路C2の下流側の端部に設けられる接続口87bを介して流路C2と接続される。接続口87aは前後方向に内壁を貫通して形成された開口であってもよく、接続口87bは上下方向に内壁を貫通して形成された開口であってもよい。接続口87bは、前後方向において接続口87aよりも下流に位置しており、接続口87aよりも高い位置に設けられている。
【0072】
共通流路C3において、流路C1又は流路C2から導入された排ガスは、下向きに流れてもよい。共通流路C3の下流側の端部(配管84の下端部に形成された排出口81c)は、他の排気用の配管に接続される。他の排気用の配管には、複数の熱処理ユニットU2における排気部の配管が接続されていてもよい。塗布現像装置2の稼働中において、他の排気用の配管から、排出口81c及び共通流路C3を介した排気が継続される。
【0073】
排気部80(配管82)は、固定部材を介してチャンバ50の側壁53に取り付けられている。排気部80は、チャンバ50に対して着脱自在である。言い換えると、排気部80は、チャンバ50に対して取り外し可能な状態で取り付けられている。図4又は図5に示されるように、排気部80は、フランジ83と、一対の取付部88とを有する。フランジ83は、配管82の上流に位置する端部において、配管82の外壁から外方に向かって延びるように形成されている。前後方向から見て、フランジ83の外縁は四角形であってもよい(図12も参照)。
【0074】
一対の取付部88は、フランジ83の左右方向の両端部から下流に向かって延びるよう形成されている。一対の取付部88それぞれは、配管82から外方に離れた位置に設けられている。取付部88は、配管82との間に左右方向において間隔を空けて配置されている。一対の取付部88それぞれには、チャンバ50と排気部80とを固定する固定部材89が取り付けられる。固定部材89は、チャンバ50と排気部80とを固定することが可能であれば、どのような部材であってもよい。
【0075】
固定部材89は、例えば、フック部を含み、チャンバ50の側壁53における突出部分の側方に形成された受け部にフック部が嵌合することで、チャンバ50と排気部80とを互いに固定する。チャンバ50と排気部80とを固定する際に、作業者の操作によって、固定部材89が固定状態に切り替えられてもよい。チャンバ50と排気部80との固定を解除する際に、作業者の操作によって、固定部材89が解除状態に切り替えられてもよい。以上の例とは異なり、排気部80がチャンバ50と一体に形成されていてもよい。
【0076】
<切替部>
図12に戻り、排気部80の内部には切替部90が設けられる。切替部90は、退避空間S2からガスを排出せずに、処理空間S1を介してガスを排出する上記第1排気状態において、流路C1と共通流路C3とを接続する。共通流路C3からの排気が継続されており、切替部90が流路C1を開放し、且つ流路C2を閉塞することで、退避空間S2からガスが排出されずに処理空間S1からガスが排出される。切替部90は、処理空間S1からガスを排出さずに、退避空間S2を介してガスを排出する上記第2排気状態において、流路C2と共通流路C3とを接続する。共通流路C3からの排気が継続されており、切替部90が流路C2を開放し、且つ流路C1を閉塞することで、処理空間S1からガスが排出されずに退避空間S2からガスが排出される。
【0077】
切替部90は、例えば、閉塞部材92と、軸部材94と、駆動部96とを有する。閉塞部材92は、流路C1と共通流路C3との接続口87aと、流路C2と共通流路C3との接続口87bとのそれぞれを(いずれか一方を)閉塞するように構成された部材である。閉塞部材92は、軸部材94に接続されている。軸部材94は、左右方向に延びるように形成されており、その中心軸線まわりに回転可能に設けられている。
【0078】
駆動部96は、電動モータ等の駆動源を含み、軸部材94を上記軸線まわりに回転させる。軸部材94の回転に伴って、閉塞部材92が上記中心軸線まわりに回転する。閉塞部材92は、接続口87bを塞ぐ第1位置と、接続口87aを塞ぐ第2位置との間で上記中心軸線まわりに回転する。
【0079】
閉塞部材92が接続口87bを塞ぐ第1位置に配置されたときに、流路C1と共通流路C3との間が開放(接続)され、流路C2が閉塞される。これにより、第2排出口58b及び流路C2を介して退避空間S2からガスが排出されずに、第1排出口58a及び流路C1を介して処理空間S1からガスが排出される第1排気状態となる。
【0080】
閉塞部材92が接続口87aを塞ぐ第2位置に配置されたときに、流路C2と共通流路C3との間が開放(接続)され、流路C1が閉塞される。これにより、第1排出口58a及び流路C1を介して処理空間S1からガスが排出されずに、第2排出口58b及び流路C2を介して退避空間S2からガス排出される第2排気状態となる。以上のように、切替部90の閉塞部材92の位置の切替によって、第1排気状態と第2排気状態との切替が行われる。閉塞部材92は、第1排気状態において流路C1を開放し、且つ流路C2を閉塞するように構成され、第2排気状態において流路C1を閉塞し、且つ流路C2を開放するように構成されている。
【0081】
(チャンバの着脱)
図13図14図15(a)及び図15(b)には、チャンバ50の着脱の様子が例示されている。チャンバ50は、熱処理ユニットU2のベース部に対して着脱自在に構成されている。熱処理ユニットU2のベース部は、熱処理ユニットU2において各種部材を所定の位置に固定又は支持する部材である。熱処理ユニットU2において、加熱部42は、ベース部に設けられており、シャッター部70(シャッター部材72)は、ベース部に設けられている。熱処理ユニットU2のベース部は、例えば、筐体20、基台24、及び基台25を含む。チャンバ50は、熱処理ユニットU2のベース部に対して取り外しが可能状態で取り付けられる。チャンバ50が取り外された状態において、加熱部42及びシャッター部70はベース部に残る。
【0082】
チャンバ50は、その天板51、側壁52,53,54,55、及び底壁56が一体となって(一体的に)、ベース部から取り外しが可能であり、ベース部に対して取り付けが可能である。つまり、天板51、側壁52~55、及び底壁56が互いに接続されている状態で、チャンバ50全体がベース部から取り外し可能であり、ベース部に対して取り付け可能である。仕切り部60がチャンバ50に固定されている場合、仕切り部60は、ベース部に対してチャンバ50と共に移動可能である。すなわち、チャンバ50の取り外しと共に仕切り部60も一緒に取り外され、チャンバ50の取り付けと共に仕切り部60も一緒に取り付けられる。
【0083】
チャンバ50が熱処理ユニットU2において装着位置に配置されて、ボルト等の固定部材を介してチャンバ50がベース部に固定されることで、チャンバ50がベース部に取り付けられてもよい。チャンバ50が装着位置に配置されるときに、チャンバ50内の空間が加熱部42(加熱部42上のワークW)を囲み、上述した内部空間Sが形成され得る。固定部材による固定が解除されて、上記装着位置からチャンバ50を移動させる(例えば、筐体20の外に移動させる)ことで、チャンバ50がベース部から取り外されてもよい。チャンバ50の取り付け及び取り外しは、作業者が治具を用いて行ってもよい。
【0084】
熱処理ユニットU2は、ガイド部210を有する。ガイド部210は、加熱部42の上面(又は、熱板43の上面)に沿った所定の方向に沿って、チャンバ50の移動をガイドする部材である。ガイド部210によってチャンバ50がガイドされる方向(以下、「可動方向」という。)は、前後方向であってもよい。この場合、チャンバ50の取り外しにおいて、チャンバ50が前後方向にスライドしながらベース部から取り外されてもよく、チャンバ50の取り付けにおいて、チャンバ50が前後方向にスライドしながらベース部に配置されてもよい。上記可動方向が前後方向である場合、排気部80は、可動方向に沿って一方側に向かってガスが流れるように、チャンバ50内の内部空間Sからガスを排出する。
【0085】
ガイド部210は、チャンバ50を取り付ける際には、上記装着位置に向かうチャンバ50の移動をガイドする。チャンバ50の取り付けでは、加熱部42からシャッター部70に向かう方向にチャンバ50がスライドして、上記装着位置にチャンバ50が配置される。ガイド部210は、チャンバ50を取り外す際には、上記装着位置からのチャンバ50の移動をガイドする。チャンバ50の取り外しでは、シャッター部70から加熱部42に向かう方向にチャンバ50がスライドして、筐体20の外にチャンバ50が取り出される。
【0086】
ガイド部210は、レール部材212と、固定部材214,214とを含む。レール部材212は、上記可動方向に沿って延びるように形成されている。レール部材212は、前後方向に沿って延びていてもよい。レール部材212は、左右方向において、チャンバ50よりも外方に配置されている。図13に示されるように、レール部材212は、チャンバ50が装着位置に配置されているときに、チャンバ50の左右方向における一方の側壁(例えば、側壁55)に対向するように設けられている。レール部材212の前後方向における長さが、チャンバ50の側壁55の長さと同程度であってもよい。
【0087】
固定部材214,214は、レール部材212をベース部に固定する部材である。レール部材212は、固定部材214,214によって支持されることで、筐体20内において所定の位置に固定される。熱処理ユニットU2は、別のガイド部210を有してもよく、一対のガイド部210が、左右方向において加熱部42及びチャンバ50を間に挟むように設けられてもよい。
【0088】
チャンバ50の左右方向における外壁(例えば、側壁55の外面)には、張出部242と、ローラ244とが設けられている。張出部242は、チャンバ50の側壁から外方に張り出すように形成され、上記可動方向に沿って延びるように形成されている。ローラ244は、チャンバ50に対して回転自在な部材である。ローラ244は、張出部242と可動方向に並ぶように配置され、張出部242よりもシャッター部70(搬入出口57が形成される側壁52)寄りに位置する。すなわち、チャンバ50が装着位置に配置された状態で、前後方向において、シャッター部70(又は、側壁52)、ローラ244、及び張出部242がこの順に並ぶ。
【0089】
レール部材212は、レール本体212aと、レール本体212aの上面よりも下方に凹む凹部212bとを含む。凹部212bは、レール部材212(レール本体212a)において、シャッター部70に近い端部に形成されている。図13又は図15(a)には、チャンバ50が装着位置に配置されている状態が例示されている。チャンバ50が装着位置に配置されている状態において、張出部242の下面はレール本体212aによって支持され、チャンバ50に設けられたローラ244が、凹部212bに収容される。
【0090】
ガイド部210は、ローラ218を有してもよい。ローラ218は、レール本体212aの内面(チャンバ50の側壁に対向する面)に設けられている。ローラ218は、レール部材212に対して回転自在である。ローラ218は、可動方向において凹部212bとは異なる位置に設けられている。チャンバ50に設けられた張出部242には、チャンバ50が装着位置に配置された際に、ローラ218が収容される収容部242aが形成されている。以上の構成により、チャンバ50が装着位置に配置された際に、チャンバ50に設けられたローラ244がレール部材212の凹部212bに収容される。また、レール部材212に設けられたローラ218が、チャンバ50に設けられた張出部242の収容部242aに収容される。
【0091】
図14又は図15(b)には、チャンバ50が装着位置から取り外される際、又はチャンバ50が装着位置に取り付けられる際の様子が例示されている。チャンバ50が可動方向に沿って移動する際には、チャンバ50に設けられたローラ244がレール本体212aを走行する(回転しながら移動する)。チャンバ50の側面には、張出部242の下に張出部243が設けられている。張出部243のチャンバ50の側面からの突出量は、張出部242の突出量よりも小さい。
【0092】
チャンバ50が移動する際には、ローラ244の走行と共に、張出部243がガイド部210のローラ218によって支持されて、可動方向に沿ってガイドされる。作業者がチャンバ50の一端を保持した状態で可動方向に力を加えることで、チャンバ50の可動方向に沿った移動が行われてもよい。チャンバ50の着脱(取り付け及び取り外し)において、筐体20の排気部80が位置する側壁が開放されてもよい。
【0093】
(制御装置)
制御装置100は、1つ又は複数の制御用コンピュータにより構成される。制御装置100は、少なくとも、加熱部42によるワークWの加熱の実行中に、上記第2排気状態(退避空間S2を介した排気)から上記第1排気状態(処理空間S1を介した排気)に切り替えるように切替部90を制御することを実行する。
【0094】
制御装置100は、例えば、図16に示される回路120を有する。回路120は、1つ又は複数のプロセッサ122と、メモリ124と、ストレージ126と、入出力ポート128と、タイマ132とを有する。ストレージ126は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。記憶媒体は、後述する基板処理方法を制御装置100に実行させるためのプログラムを記憶している。記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。
【0095】
メモリ124は、ストレージ126の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ122による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ122は、メモリ124と協働して上記プログラムを実行する。入出力ポート128は、プロセッサ122からの指令に従って、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2等との間で電気信号の入出力を行う。タイマ132は、例えば一定周期の基準パルスをカウントすることで経過時間を計測する。
【0096】
[基板処理方法]
続いて、基板処理方法(熱処理方法)の一例として、ワークWに対する熱処理において制御装置100が実行する一連の処理について説明する。この一連の処理は、排気部80による排気が継続され、加熱部42でのヒータによる熱板43の加熱が継続されている状態で実行される。図17は、1枚のワークWについての熱処理において制御装置100が実行する一連の処理を示すフローチャートである。
【0097】
制御装置100は、排気部80が第1排気状態で排気可能な状態であり、且つ、搬送部30の冷却プレート31に処理液の膜が形成されたワークWが支持された状態において、最初にステップS91を実行する。ステップS91では、例えば、制御装置100が、駆動部74によりシャッター部材72を上昇させて、チャンバ50内へのワークWの搬入出口57が閉じられた閉状態から、搬入出口57が開放される開状態に切り替える。
【0098】
次に、制御装置100は、ステップS92を実行する。ステップS92では、例えば、制御装置100が、冷却プレート31からチャンバ50内にワークWが搬入され、冷却プレート31から加熱部42にワークWが受け渡されるように、搬送部30及び昇降部44を制御する。図18(a)には、チャンバ50内へのワークWの搬入の様子が例示されている。加熱部42にワークWが受け渡された状態において、加熱部42の中心(熱板43の中心)とワークWの中心とが略一致するように、加熱部42上にワークWが配置されてもよい。
【0099】
次に、制御装置100は、ステップS93を実行する。ステップS93では、例えば、制御装置100が、排気部80が第2排気状態で排気可能となるように切替部90を制御する。一例では、制御装置100は、処理空間S1及び第1排出口58aに接続される流路C1を閉塞し、退避空間S2及び第2排出口58bに接続される流路C2が共通流路C3に開放されるように、駆動部96により閉塞部材92を駆動させる。これにより、排気部80は、退避空間S2からの排気が可能な状態となる。
【0100】
次に、制御装置100は、ステップS94を実行する。ステップS94では、例えば、制御装置100が、搬入出口57が側方から覆われた閉状態となるようにシャッター部70を制御する。制御装置100は、シャッター部材72を下方に移動させるように駆動部74を制御してもよい。シャッター部材72が搬入出口57を覆うと、シャッター部材72、加熱部42、及びチャンバ50により、ワークWを加熱するための内部空間Sが形成され、ワークWに対する加熱が開始される。
【0101】
シャッター部材72が閉じる前に、排気部80が第2排気状態で排気できる状態となっているので、内部空間Sが形成されると、図18(b)に示されるように、排気部80は、退避空間S2からガスを排出する。シャッター部材72と側壁52との間には隙間g1が形成されており、隙間g1から内部空間Sにガスが導入される。隙間g1から内部空間Sに導入されたガスは、接続口69、退避空間S2(流路S21,S22)、排気部80の流路C2、及び共通流路C3を通って流れる。これにより、ワークWに対する加熱の初期段階において、処理空間S1での気流の発生を低減することができる。
【0102】
次に、制御装置100は、ステップS95を実行する。ステップS95では、例えば、制御装置100が、ステップS94の終了時点(加熱の開始タイミング)から所定の切替時間が経過するまで待機する。切替時間は、予め定められており、例えば、処理対象のワークWにおける処理液の膜が、ある程度固化される程度に設定される。切替時間は、数十秒程度に設定されてもよい。
【0103】
次に、制御装置100は、ステップS96を実行する。ステップS96では、例えば、制御装置100が、第2排気状態から第1排気状態に切り替わるように切替部90を制御する。一例では、制御装置100は、処理空間S1及び第1排出口58aに接続される流路C1が共通流路C3に開放され、退避空間S2及び第2排出口58bに接続される流路C2が閉塞されるように、駆動部96により閉塞部材92を駆動させる。これにより、ワークWの加熱中において、排気部80による排気が、第2排気状態から第1排気状態に切り替わる。第1排気状態への切替により、図19に示されるように、処理空間S1内のガスが、第1排出口58a及び流路C1を介して排出される。これにより、ワークWの加熱中に処理空間S1に発生した昇華物をチャンバ50外に排出することができる。
【0104】
次に、制御装置100は、ステップS97を実行する。ステップS97では、例えば、制御装置100が、ステップS94の終了時点(加熱の開始タイミング)から所定の加熱時間が経過するまで待機する。加熱時間は、予め定められており、上記切替時間の1.5倍~5.0倍程度であってもよい。
【0105】
次に、制御装置100は、ステップS98,S99を実行する。ステップS98では、例えば、制御装置100が、ワークWの搬入出口57が開放されて、チャンバ50内の空間が開放されるようにシャッター部70を制御する(駆動部74によりシャッター部材72を上昇させる)。ステップS99では、例えば、制御装置100が、加熱処理部40から搬送部30の冷却プレート31にワークWが受け渡され、チャンバ50内からワークWが搬出されるように、搬送部30及び昇降部44を制御する。
【0106】
以上により、1枚のワークWに対する加熱処理において、制御装置100が実行する一連の処理が終了する。制御装置100は、後続の複数のワークWそれぞれについて、ステップS91~S99の一連の処理を繰り返し実行してもよい。上述の一連の処理は一例であり、適宜変更可能である。上記一連の処理において、制御装置100は、一のステップと次のステップとを並列に実行してもよく、上述した例とは異なる順序で各ステップを実行してもよい。制御装置100は、各ステップにおいて上述の例とは異なる処理を実行してもよい。
【0107】
[メンテナンス方法]
熱処理ユニットU2での加熱処理を繰り返すと、チャンバ50及び仕切り部60の処理空間S1を区画する部分に昇華物が付着してしまう。そのため、チャンバ50及び仕切り部60の清掃を含むメンテナンスを定期的に行う必要がある。以下のメンテナンス方法は、塗布現像装置2(基板処理システム1)が稼働していないときに、作業者によって実行される。
【0108】
作業者は、最初に、排気部80をチャンバ50から取り外す工程を行う。作業者は、例えば、排気部80の取付部88に取り付けられた固定部材89のロック状態を解除した後に、排気部80をチャンバ50から取り外す。作業者は、排気部80の共通流路C3が接続される他の配管(例えば、複数の熱処理ユニットU2からの排気が合流する配管)からも排気部80を取り外してもよい。図20(a)には、排気部80をチャンバ50から取り外す様子が例示されている。
【0109】
次に、作業者は、チャンバ50を熱処理ユニットU2のベース部から取り外す工程を行う。チャンバ50の取り外しによって、仕切り部60、流路調整部62、及び流路形成部材66,67もチャンバ50と共に取り外される。作業者は、例えば、チャンバ50とベース部とを固定しているボルト等の固定部材によるロック状態を解除する。これにより、チャンバ50がベース部に対して移動可能な状態となる。
【0110】
そして、作業者は、装着位置のチャンバ50を上方に持ち上げつつ、シャッター部70から離れる方向にチャンバ50をスライドさせる。作業者は、レール部材212の凹部212bに収容されているローラ244がレール部材212のレール本体212aに載置され、張出部243がローラ218に載置される程度にチャンバ50を持ち上げる。その後、作業者は、ガイド部210に沿ってチャンバ50を前後方向にスライドさせて、熱処理ユニットU2の内部から取り出す。図20(b)には、チャンバ50を、一度上昇させたうえで、前後方向にスライドさせて取り外す様子が例示されている。
【0111】
次に、作業者は、チャンバ50等の内部に付着した昇華物を除去するために、チャンバ50等の内部を清掃する工程を行う。清掃後、作業者は、チャンバ50を熱処理ユニットU2内に装着する(取り付ける)工程を行う。チャンバ50の取り付け作業は、チャンバ50の取り外し作業と反対の手順で実行される。作業者は、ローラ244が凹部212bに収容され、ローラ218が収容部242aに収容されるまで、チャンバ50をガイド部210に沿ってシャッター部70に向かってスライドさせる。これにより、チャンバ50が装着位置に配置される。そして、作業者は、ボルト等の固定部材により、チャンバ50を熱処理ユニットU2のベース部に固定する。
【0112】
次に、作業者は、排気部80をチャンバ50に取り付けると共に、排気部80の共通流路C3を他の配管に取り付ける。以上により、1台の熱処理ユニットU2におけるメンテナンス作業が終了する。
【0113】
[チャンバの別の例]
チャンバ50を構成する底壁56において、チャンバ50内の処理空間S1と、チャンバ50の外とを接続する複数の導入孔が形成されてもよい。図21には、図7と同様に、図3におけるA-A線での断面が示されている。図21に示されるように、底壁56には、加熱部42(熱板43)に支持されたワークWの周囲に並ぶように、複数の導入孔300が形成されてもよい。複数の導入孔300それぞれは、底壁56に交差する方向(例えば、上下方向)において底壁56を貫通している。複数の導入孔300それぞれが、底壁56を貫通することで、複数の導入孔300を介して、チャンバ50の外の空間から、チャンバ50内の処理空間S1へのガスの導入が可能となっている。複数の導入孔300それぞれの形状(上方から見たときの形状)は、円形であってもよく、円形以外の楕円形、又は多角形であってもよい。
【0114】
複数の導入孔300の少なくとも一部は、加熱部42の中心まわりの周方向において互いに異なる位置に配置されている。複数の導入孔300の少なくとも一部は、加熱部42の中心まわりの円周上に並んでいてもよい。上記円周上に並ぶ複数の導入孔300(複数の導入孔300の一部)が、互いに等間隔に配置されてもよい。複数の導入孔300の一部の間において、加熱部42の中心からの距離が互いに異なっていてもよい。上方から加熱部42を見て、複数の導入孔300は、加熱部42上に支持された状態のワークWの周縁よりも外に位置する。上方から加熱部42を見て、複数の導入孔300は、加熱部42と底壁56との間の隙間の処理空間S1における開口部分よりも外に位置する。複数の導入孔300は、加熱部42の周縁部(周縁とその近傍)と重なるように形成されてもよく、加熱部42の周縁よりも外に位置してもよい。
【0115】
複数の導入孔300は、互いに同じ大きさの開口面積を有してもよい。導入孔300の開口面積とは、底壁56の上面における導入孔300の開口縁によって区画される領域の面積である。複数の導入孔300それぞれの径は、底壁56と加熱部42との間に形成される隙間g3(図22(b)を参照)の大きさよりも大きくてもよい。隙間g3の大きさは、底壁56と加熱部42との間の最短距離で定義される。
【0116】
ここで、第1領域及び第2領域を下記のように定義された仮想的な一対の領域したときに、複数の導入孔300は、第1領域における開口面積の合計(合計値)が、第2領域に比較して小さくなるように底壁56に形成されていてもよい。第1領域及び第2領域は、加熱部42を上方から見たときに、加熱部42の中心と排出口58の中心とを結ぶ方向において、加熱部42の中心を境界にして処理空間S1を2つに分割して得られる一対の仮想的な領域である。図21では、加熱部42を上方から見たときに、加熱部42と排出口58との中心を結ぶ仮想な線(仮想線)が「IL1」で示されている。また、加熱部42の中心を通り、且つ、仮想線IL1に対して直交する仮想的な線(仮想線)が「IL2」で示されている。仮想線IL1と仮想線IL2との交点が、加熱部42の中心に一致する。
【0117】
加熱部42を上方から見たときに、第1領域は、処理空間S1のうちの仮想線IL2を境界にして2つに分割した一対の領域のうちのシャッター部70(搬入出口57)寄りの領域である。第2領域は、上記一対の領域のうちの排出口58(排気部80)寄りの領域である。前後方向(仮想線IL1が延びる方向)において、シャッター部70、第1領域、第2領域、及び、排出口58(排気部80)が、この順に並んでいる。加熱部42を上方から見たときに、処理空間S1と退避空間S2とを接続する接続口69が、第1領域と重なっている。図21において、上方から見た場合の接続口69の位置が、シャッター部材72の近傍において破線で示されている。
【0118】
第1領域及び第2領域それぞれには、2個以上の導入孔300が形成されている。第2領域に存在する複数の導入孔300の開口面積の合計は、第1領域に存在する複数の導入孔300の開口面積の合計よりも大きい。仮想線IL2に重なる導入孔300が存在する場合、その導入孔300の第1領域に存在する部分が、第1領域での開口面積の合計に加算され、その導入孔300の第2領域に存在する部分が、第2領域での開口面積の合計に加算される。
【0119】
複数の導入孔300が同じ開口面積を有する場合において、第2領域に形成された複数の導入孔300の個数が、第1領域に形成された複数の導入孔300の個数よりも多くてもよい。第1領域及び第2領域それぞれでの複数の導入孔300の個数が同じである場合において、第2領域に位置する各導入孔300の開口面積が、第1領域に位置する各導入孔300の開口面積よりも大きくてもよい。第1領域及び第2領域との間での開口面積の合計が上記関係を満たすように、導入孔300の個数と、各導入孔300の開口面積との両方が調節されてもよい。
【0120】
図21に示される例では、第1領域において複数の導入孔302が形成されており、第2領域において複数の導入孔304a及び複数の導入孔304bが形成されている。複数の導入孔302及び複数の導入孔304aは、加熱部42の中心まわりの1つの円周上に並んでいる。複数の導入孔302の個数と、複数の導入孔304aの個数とは、互いに同じである。複数の導入孔302それぞれは同じ開口面積を有し、複数の導入孔304aそれぞれは同じ開口面積を有する。各導入孔302の開口面積と、各導入孔304aの開口面積とは、互いに同じである。
【0121】
複数の導入孔304bは、複数の導入孔304aが並ぶ円周よりも外側に配置されている。複数の導入孔304bそれぞれは同じ開口面積を有し、各導入孔304bの開口面積は、各導入孔304aの開口面積と一致する。以上の図21に示される構成では、複数の導入孔304aの開口面積の合計と、複数の導入孔304bの開口面積の合計とを加算して得られる値が、複数の導入孔302の開口面積の合計よりも大きい。底壁56に複数の導入孔300が形成されたチャンバ50が備えられる場合においても、制御装置100は、図17に示される一連の処理を実行してもよい。
【0122】
図22(a)には、複数の導入孔300が形成されていないチャンバ50が用いられ、上記第2排気状態において退避空間S2を介してガスが排出されているときのチャンバ50内の様子が例示されている。上述したように、加熱部42(例えば、加熱部42の周縁部の上面)と、底壁56(例えば、加熱部42の周縁部を上方から覆う部分の下面)との間に隙間g3が形成されている。第2排気状態では、処理空間S1内のガスが接続口69を介して、退避空間S2に導かれる。このとき、隙間g3を介して、チャンバ50の外から、処理空間S1内にガスが導入され、処理空間S1内において、加熱部42上のワークWの周縁部に影響を与える程度の気流が発生し得る。この気流により、ワークW上に形成される処理液の膜における膜厚分布(膜厚分布の外周部)に影響を及ぼす可能性がある。
【0123】
図22(b)には、複数の導入孔300が形成されたチャンバ50が用いられ、上記第2排気状態において退避空間S2を介してガスが排出されているときのチャンバ50内の様子が例示されている。複数の導入孔300が形成されていることで、図22(a)に示される例とは異なり、隙間g3から処理空間S1に流れようするガスの少なくとも一部が、複数の導入孔300を介して、処理空間S1に導入される。その結果、隙間g3を介して、処理空間S1内に導入されるガスの量が減少し、加熱部42上のワークWの周縁部に影響を与える程度の気流が発生し難くなるか、又は、その気流による影響の程度が減少する。
【0124】
図22(a)に示されるように、接続口69は、シャッター部70寄りに形成されている。この場合、第2排気状態において、上記第1領域において隙間g3を介して処理空間S1に導入されるガスの流量が、上記第2領域において隙間g3を介して処理空間S1に導入されるガスの流量よりも大きくなる。一方、図22(b)に示される例では、第2領域での複数の導入孔300の開口面積の合計が、第1領域での複数の導入孔300の開口面積の合計よりも大きい。これにより、第2領域において複数の導入孔300を介して処理空間S1に導入されるガスの流量と、第1領域において複数の導入孔300を介して処理空間S1に導入されるガスの流量との差分が縮小する。そのため、複数の導入孔300を介して処理空間S1に導入されるガスに起因して、加熱部42上のワークWにおける膜厚分布の外周部に多少の影響が出ても、前後方向での影響の差を小さくすることができる。
【0125】
図21及び図22(b)に示される例とは異なり、第1領域での複数の導入孔300の開口面積の合計が、第2領域での複数の導入孔300の開口面積の合計と略一致していてもよい。例えば、第1領域において複数の導入孔302が形成されており、第2領域において、複数の導入孔304aが形成され、複数の導入孔304bが形成されていなくてもよい。
【0126】
[実施形態の効果]
以上に説明した塗布現像装置2は、加熱部42と、チャンバ50と、排気部80と、仕切り部60と、切替部90とを備える。加熱部42は、処理液の膜が形成されたワークWを支持して加熱する。チャンバ50は、加熱部42に支持されたワークWを囲むように配置される。排気部80は、加熱部42の周囲に位置する排出口58を介して、チャンバ50内の空間(内部空間S)からガスを排出する。仕切り部60は、チャンバ50内の空間を、加熱部42上のワークWが露出する処理空間S1と、処理空間S1の上方に位置する退避空間S2とに隔てる。切替部90は、排気部80により処理空間S1を介してガスが排出される第1排気状態と、排気部80により退避空間S2を介してガスが排出される第2排気状態とを切り替える。
【0127】
ワークWの加熱中に、ワークWが露出する空間には処理液から昇華物が発生する。昇華物を回収するために、ワークWが露出する空間からガスを排出すると、ガスの排出に伴いワークWの上方に気流が発生し、加熱処理後の処理液の膜厚分布に影響が生じ得る。これに対して、上記熱処理ユニットU2では、処理空間S1を介してガスが排出される排気状態と、退避空間S2を介してガスが排出される排気状態とが切り替わる。そのため、処理対象のワークWの加熱中において、気流が膜厚分布に与える影響が大きい時間帯では退避空間S2を介してガスを排出し、気流が膜厚分布に与える影響が小さい時間帯では処理空間S1を介してガスを排出することができる。従って、昇華物の効率的な回収と膜厚分布への影響の低減との両立に有用である。
【0128】
以上に説明した塗布現像装置2は、加熱部42によるワークWの加熱の実行中に、第2排気状態から第1排気状態に切り替えるように切替部90を制御する制御装置100を更に備えてもよい。処理対象のワークWに対する加熱の前段では、処理液の膜が十分に固化しておらず、処理空間S1に発生する気流による膜厚分布への影響が大きい。一方、ワークWに対する加熱の後段では、処理液の膜の固化が進行しており、処理空間S1に発生する気流による膜厚分布への影響が小さい。上記構成では、ワークWに対する加熱の前段において第2排気状態でガスの排出を行い、ワークWに対する加熱の後段において第1排気状態でガスの排出を行うことができる。従って、昇華物を効率的に回収しつつ、膜厚分布への影響を低減させること(例えば、膜厚の均一性を向上させること)が可能となる。
【0129】
以上に説明した塗布現像装置2において、排出口58は、処理空間S1に開口した第1排出口58aと、退避空間S2に開口した第2排出口58bとを含んでもよい。切替部90は、閉塞部材92を有してもよい。閉塞部材92は、第1排気状態において第1排出口58aに接続された流路C1を開放し、且つ第2排出口58bに接続された流路C2を閉塞するように構成され、第2排気状態において流路C1を閉塞し、且つ流路C2を開放するように構成されている。この場合、閉塞部材92を駆動することで、第1排気状態と第2排気状態とを切り替えることができる。従って、排気部80による排気状態を切り替えるための装置構成の簡素化することが可能となる。
【0130】
以上に説明した塗布現像装置2は、流路調整部62を更に備えてもよい。流路調整部62は、処理空間S1の加熱部42の周囲に配置され、処理空間S1を、加熱部42を含む収容空間S11と、排出口58(第1排出口58a)を含む調整空間S12とに隔てる内壁63を有してもよい。内壁63には、収容空間S11と調整空間S12とを接続し、内壁63が延在する方向に沿って並ぶ複数の排出孔63aが形成されていてもよい。この場合、加熱部42上のワークWを含む収容空間S11と、排出口58までガスを導く調整空間S12とにおいて、それぞれの目的に応じてガスの流れを調整することが可能となる。
【0131】
以上に説明した塗布現像装置2において、流路調整部62は、調整空間S12を、内壁63を含むバッファ空間と排出口58(第1排出口58a)を含む排出空間とに隔てる内壁64を更に有してもよい。内壁64には、バッファ空間と排出空間とを接続し、内壁64が延在する方向に沿って並ぶ複数の排出孔64aが形成されていてもよい。この場合、内壁64の内側に配置される内壁63における複数の排出孔63aでのガスの流量を調整することができる。複数の排出孔63aでのガスの流量を調整することで、例えば、加熱部42上のワークWの上方における気流の強さを均すことができる。従って、ワークWの面内における膜厚均一性を向上させることが可能となる。
【0132】
以上に説明した塗布現像装置2において、加熱部42を上方から見たときに、加熱部42の中心と排出口58(第1排出口58a)との中心とを結ぶ方向に直交する幅方向において、内壁63の長さは、加熱部42上のワークWの長さよりも大きい。この場合、上記幅方向の中央部分とそれ以外の部分において、ワークWの上方における気流の強さの差を縮小することができる。従って、排気部80によるガスの排出に伴う膜厚分布への影響を低減することが可能となる。
【0133】
以上に説明した塗布現像装置2において、加熱部42を上方から見たときに、複数の排出孔63aそれぞれが、加熱部42の中心と排出口58(第1排出口58a)の中心とを結ぶ方向に沿って、内壁63を貫通するように形成されていてもよい。この場合、加熱部42の上方において、加熱部42の中心から径方向に向かう気流が発生し難い。従って、排気部80によるガスの排出に伴う膜厚分布への影響を低減することが可能となる。
【0134】
以上に説明した塗布現像装置2において、加熱部42を上方から見たときに、内壁63が、加熱部42の中心まわりの周方向に沿って延びるように形成されていてもよい。複数の排出孔63aが形成された内壁63が直線状に延びると、処理空間S1の下流側の端部に角部が形成され、その角部に昇華物が蓄積されるおそれがある。また、その角部において、処理空間S1からのガスの排出時に、ガスが滞留してしまうおそれがある。ガスが滞留してしまうと、加熱部42上のワークWの上方に発生する気流において、左右方向での気流条件(気流の強さ、向き等)の差が発生し得る。上記構成では、周方向に延びる内壁63によって角部が形成されないので、処理空間S1での昇華物の蓄積の可能性、及び、気流の滞留が発生する可能性が低減される。従って、昇華物を効率的に回収しつつ、排気に伴う膜厚分布への影響を低減することが可能となる。
【0135】
以上に説明した塗布現像装置2において、加熱部42を上方から見たときに、加熱部42の中心と第2排出口58bの中心とを結ぶ方向に直交する幅方向において、第2排出口58bの長さは、加熱部42の長さよりも小さくてもよい。退避空間S2は、処理空間S1との接続口69を含む流路S21と、幅方向における大きさが流路S21よりも小さい流路S22とを含んでもよい。流路S22の少なくとも一部は、加熱部42と重なる位置に設けられていてもよい。第2排出口58bに向かってガスがスムーズに流れるようにするためには、退避空間S2での流路において、第2排出口58bに向かうにつれて流路を小さくする必要がある。流路S22の少なくとも一部が加熱部42と重なる位置に設けられることで、退避空間S2でのガスの流れをスムーズにしつつ、退避空間S2のスペースを有効に利用することが可能となる。
【0136】
以上に説明した塗布現像装置2において、チャンバ50の側壁52には、ワークWの搬入出口57が設けられていてもよい。塗布現像装置2は、側壁52との間に隙間g1を設けて配置され、搬入出口57を側方から覆う閉状態と搬入出口57を開放する開状態とを切り替えるシャッター部材72を更に備えてもよい。上記閉状態において、側壁52とシャッター部材72との間の隙間g1は、シャッター部材72の下方に形成されている隙間g2よりも大きくてもよい。シャッター部材72の下方の隙間g2から内部空間Sに導入されるガスに比べて、シャッター部材72の側方の隙間g1から内部空間Sに導入されるガスの方が、退避空間S2に導くのが容易である。上記構成では、隙間g2が隙間g1よりも小さく、搬入出口57を覆うシャッター部材72の隙間から内部空間Sに導入されるガスを退避空間S2に導きやすい。そのため、内部空間Sに導入されたガスが、処理空間S1に流れ難い。従って、排気部80によるガスの排出に伴う膜厚分布への影響を低減することが可能である。
【0137】
以上に説明した塗布現像装置2において、チャンバ50は、加熱部42に支持されたワークWの周囲において、加熱部42との間に隙間を設けて配置される側壁53を有してもよい。側壁53には、加熱部42に支持されたワークWの周囲に並ぶように、処理空間S1とチャンバ50の外とを接続する複数の導入孔300が形成されていてもよい。排気部80から排気時に、底壁56と加熱部42との隙間から処理空間S1内に導入されるガスによる気流によって、ワークWに形成される処理液の膜における膜厚部分の外周部が影響を受け得る。上記構成では、導入孔300が形成されることで、上記隙間から導入され得るガスの少なくとも一部が導入孔300を介して処理空間S1に導入される。そのため、底壁56と加熱部42との隙間から導入されるガスによる影響が低減される。従って、排気部80によるガスの排出に伴う膜厚分布への影響を低減することが可能である。
【0138】
以上に説明した塗布現像装置2において、複数の導入孔300は、第1領域における開口面積の合計が、第2領域に比較して小さくなるように底壁56に形成されていてもよい。第1領域及び第2領域は、加熱部42を上方から見たときに、加熱部42の中心と排出口58の中心とを結ぶ方向において、加熱部42の中心を境界にして処理空間S1を2つに分割して得られる仮想的な一対の領域である。加熱部42を上方から見たときに、処理空間S1と退避空間S2との接続口69が、第1領域と重なっていてもよい。退避空間S2を介して排気を行う場合に、第1領域と重なる位置に形成された接続口69によって、第2領域に比較して、第1領域での導入孔300から導入されるガスの流量が多くなり得る。上記構成では、第1領域における開口面積の合計が第2領域に比較して小さいので、導入孔300から導入されるガスの流量の差が縮小される。これにより、複数の導入孔300を介したガスの導入による膜厚分布への影響の差を、第1領域と第2領域との間で縮小できる。従って、排気部80によるガスの排出に伴う膜厚分布への影響の偏りを低減することが可能である。
【0139】
[付記]
本開示は、次の付記1~12に記載の構成を含んでいる。
<付記1>
処理液の膜が形成された基板を支持して加熱する加熱部と、
前記加熱部に支持された前記基板を囲むように配置されるチャンバと、
前記加熱部の周囲に位置する排出口を介して、前記チャンバ内の空間からガスを排出する排気部と、
前記チャンバ内の空間を、前記加熱部上の前記基板が露出する第1空間と、前記第1空間の上方に位置する第2空間とに隔てる仕切り部と、
前記排気部により前記第1空間を介してガスが排出される第1状態と、前記排気部により前記第2空間を介してガスが排出される第2状態とを切り替える切替部と、を備える熱処理装置。
<付記2>
前記加熱部による前記基板の加熱の実行中に、前記第2状態から前記第1状態に切り替えるように前記切替部を制御する制御部を更に備える、付記1に記載の熱処理装置。
<付記3>
前記排出口は、前記第1空間に開口した第1排出口と、前記第2空間に開口した第2排出口とを含み、
前記切替部は、前記第1状態において前記第1排出口に接続された第1流路を開放し、且つ前記第2排出口に接続された第2流路を閉塞するように構成され、前記第2状態において前記第1流路を閉塞し、且つ前記第2流路を開放するように構成された閉塞部材を有する、付記1又は2に記載の熱処理装置。
<付記4>
前記第1空間の前記加熱部の周囲に配置され、前記第1空間を、前記加熱部を含む収容空間と、前記排出口を含む調整空間とに隔てる内壁を有する流路調整部を更に備え、
前記内壁には、前記収容空間と前記調整空間とを接続し、前記内壁が延在する方向に沿って並ぶ複数の排出孔が形成されている、付記1~3のいずれか1つに記載の熱処理装置。
<付記5>
前記流路調整部は、前記調整空間を、前記内壁を含むバッファ空間と前記排出口を含む排出空間とに隔てる第2内壁を更に有し、
前記第2内壁には、前記バッファ空間と前記排出空間とを接続し、前記第2内壁が延在する方向に沿って並ぶ複数の第2排出孔が形成されている、付記4に記載の熱処理装置。
<付記6>
前記加熱部を上方から見たときに、前記加熱部の中心と前記排出口の中心とを結ぶ方向に直交する幅方向において、前記内壁の長さは、前記加熱部上の前記基板の長さよりも大きい、付記4又は5に記載の熱処理装置。
<付記7>
前記加熱部を上方から見たときに、前記複数の排出孔それぞれが、前記加熱部の中心と前記排出口の中心とを結ぶ方向に沿って、前記内壁を貫通するように形成されている、付記4~6のいずれか1つに記載の熱処理装置。
<付記8>
前記加熱部を上方から見たときに、前記内壁が、前記加熱部の中心まわりの周方向に沿って延びるように形成されている、付記4~7のいずれか1つに記載の熱処理装置。
<付記9>
前記排出口は、前記第1空間に開口した第1排出口と、前記第2空間に開口した第2排出口とを含み、
前記加熱部を上方から見たときに、前記加熱部の中心と前記第2排出口の中心とを結ぶ方向に直交する幅方向において、前記第2排出口の長さは、前記加熱部の長さよりも小さく、
前記第2空間は、前記第1空間との接続口を含む第1流路と、前記幅方向における大きさが前記第1流路よりも小さい第2流路とを含み、
前記第2流路の少なくとも一部は、前記加熱部と重なる位置に設けられている、付記1~8のいずれか1つに記載の熱処理装置。
<付記10>
前記チャンバの側壁には、前記基板の搬入出口が設けられており、
前記熱処理装置は、前記側壁との間に隙間を設けて配置され、前記搬入出口を側方から覆う閉状態と前記搬入出口を開放する開状態とを切り替えるシャッター部材を更に備え、
前記閉状態において、前記側壁と前記シャッター部材との間の隙間は、前記シャッター部材の下方に形成されている隙間よりも大きい、付記1~9のいずれか1つに記載の熱処理装置。
<付記11>
前記チャンバは、前記加熱部に支持された前記基板の周囲において、前記加熱部との間に隙間を設けて配置される底壁を有し、
前記底壁には、前記加熱部に支持された前記基板の周囲に並ぶように、前記第1空間と前記チャンバの外とを接続する複数の導入孔が形成されている、付記1~10のいずれか1つに記載の熱処理装置。
<付記12>
前記複数の導入孔は、第1領域における開口面積の合計が、第2領域に比較して小さくなるように前記底壁に形成されており、
前記第1領域及び前記第2領域は、前記加熱部を上方から見たときに、前記加熱部の中心と前記排出口の中心とを結ぶ方向において、前記加熱部の中心を境界にして前記第1空間を2つに分割して得られる仮想的な一対の領域であり、
前記加熱部を上方から見たときに、前記第1空間と前記第2空間との接続口が、前記第1領域と重なっている、付記11に記載の熱処理装置。
【符号の説明】
【0140】
2…塗布現像装置、W…ワーク、U2…熱処理ユニット、42…加熱部、50…チャンバ、51…天板、52~55…側壁、56…底壁、57…搬入出口、58…排出口、58a…第1排出口、58b…第2排出口、S…内部空間、60…仕切り部、S1…処理空間、S11…収容空間、S12…調整空間、S2…退避空間、S21,S22…流路、62…流路調整部、63…内壁、63a…排出孔、64…内壁、64a…排出孔、72…シャッター部材、g1,g2…隙間、80…排気部、C1,C2…流路、90…切替部、92…閉塞部材、100…制御装置、210…ガイド部、212…レール部材、212a…レール本体、212b…凹部、244…ローラ、300,302,304a,304b…導入孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22