(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075188
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】化合物、それを含む色変換組成物および色変換フィルム、それを含むバックライトユニット、それを含むディスプレイデバイス、並びに色変換フィルムの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07F 5/02 20060101AFI20230523BHJP
C09B 23/01 20060101ALI20230523BHJP
C09B 23/14 20060101ALI20230523BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
C07F5/02 D CSP
C09B23/01
C09B23/14
G02B5/20
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023029229
(22)【出願日】2023-02-28
(62)【分割の表示】P 2020537502の分割
【原出願日】2019-10-15
(31)【優先権主張番号】10-2018-0122398
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スン、ジェオン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ホヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、スンガ
(72)【発明者】
【氏名】ホ、ウォンジュン
(72)【発明者】
【氏名】レ、ドウイ ヒュ
(72)【発明者】
【氏名】ムン、サン ピル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】発光ダイオード(LED)として使用するための、色再現率が高く、生産コストを低減できる化合物、それを含む色変換組成物および色変換フィルム、それを含むバックライトユニット、それを含むディスプレイ装置、並びに色変換フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下であるホウ素を含むピロメテン化合物を使用する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、化合物、それを含む色変換組成物および色変換フィルム、それを含むバックライトユニット、それを含むディスプレイ装置、並びに色変換フィルムの製造方法に関する。
【0002】
本出願は、2018年10月15日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10‐2018‐0122398号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
従来の発光ダイオード(LED)は、青色光発光ダイオードに緑色燐光体および赤色燐光体を混合したり、UV光放出発光ダイオードに黄色燐光体および青-緑色燐光体を混合したりして得られる。しかし、かかる方式は、色相を制御しにくいため、演色性が良くない。したがって、色再現率が低い。
【0004】
かかる色再現率の低下を克服し、生産コストを低減するために、量子ドットをフィルム化して青色LEDに結合させる方式により緑色および赤色を実現する方式が、近年試されている。しかしながら、カドミウム系の量子ドットは安全性の問題があり、それ以外の量子ドットは、カドミウム系に比べて効率が著しく低い。また、量子ドットは、酸素および水に対する安定度に劣り、凝集される場合には、その性能が著しく低下するという欠点がある。また、量子ドットの生産時に、その大きさを一定に維持しにくいため、生産コストが高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書は、化合物、それを含む色変換組成物および色変換フィルム、それを含むバックライトユニット、それを含むディスプレイ装置、並びに色変換フィルムの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書の一実施態様によると、ボロン原子に対する構造的開放性(structure openness)が0.5以下である化合物を提供する。
【0007】
本明細書の他の一実施態様は、前記化合物を含む色変換組成物を提供する。
【0008】
本明細書の他の一実施態様は、樹脂マトリックスと、前記樹脂マトリックス中に分散された、ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物と、を含む色変換フィルムを提供する。
【0009】
本明細書の他の一実施態様は、前記色変換フィルムを含むバックライトユニットを提供する。
【0010】
本明細書の他の一実施態様は、前記バックライトユニットを含むディスプレイ装置を提供する。
【0011】
本明細書の他の一実施態様は、ボロン原子を含む化合物の構造的開放性を測定するステップと、前記構造的開放性が0.5以下である化合物を選択するステップと、前記化合物を選択するステップで選択された化合物を有機溶媒に溶解するステップと、前記溶液を基材上にコーティングするステップと、前記基材上にコーティングされた溶液を乾燥するステップと、を含む色変換フィルムの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本明細書の一実施態様に係る化合物は、蛍光効率が高いだけでなく、水や酸素に対して安定するとともに、量子ドットに比べて生産コストが低い。したがって、本明細書に記載の化合物を色変換フィルムの蛍光物質として用いることで、輝度および色再現率に優れるとともに、製造工程が簡単であって、製造コストの低い色変換フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本明細書の一実施態様に係る色変換フィルムをバックライトユニットに適用した模式図である。
【
図2】本明細書の一実施態様に係るディスプレイ装置の構造を例示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本出願についてより詳細に説明する。
【0015】
本明細書の一実施態様によると、ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物を提供する。
【0016】
本明細書に係るボロン原子に対する構造的開放性は、ボロン原子の位置(site)が外部と接触できる可能性を示した程度であって、物質の化学的性質(chemistry)による立体障害効果(steric effect)の変化を定量的に分析した値である。
【0017】
本明細書に係る構造的開放性は、韓国特許出願公開第10-2017-0008432号に記載の分析方法により計算することができる。具体的に、構造的開放性の分析方法は、(1)物質の各構成原子の位置およびファンデルワールス半径(van der waals radius)情報を収集するステップと、(2)前記各構成原子の位置でファンデルワールス半径(van der waals radius)を各構成原子の球の半径(radius)と決定し、物質の構造体を確立するステップと、(3)前記物質中の特定原子の位置(site)で球状プローブ(probe)と接触する面積を測定するステップと、を含み、前記球状プローブ(Probe)の半径(radius)を変化させつつ、特定原子の位置(site)との接触面積が変わる傾向性を確認する、物質中の特定原子の位置における空間的物性分析方法により計算する。
【0018】
本明細書に係る構造的開放性は、半径が1.6Åのプローブを用いて測定した。
【0019】
本明細書に係る構造的開放性を計算するために、1)本明細書に係る化合物に対して、DFT(Desity Functional Theory)を利用して各構成原子の構造最適化を行った。そして、各原子のファンデルワールス半径データを収集した。2)構造最適化により得られた化合物の構成原子の座標およびファンデルワールス半径を用いて、球に基づく構造体に関するデータをPDBファイルの形態で格納し、表面積計算プログラムの商業用プログラムであるMaterials Studioの面積計算プログラムに入力して格納した。3)次いで、プローブ(Probe)の半径を1.6Åに設定し、ボロン(Boron)のコノリー表面積(Connolly surface area)を、商業用プログラムであるMaterials Studioの面積計算プログラムを用いて計算した。
【0020】
本明細書に係る構造的開放性が0超過0.5以下である場合、酸素の共有直径長である1.46Åに近接した1.6Åのプローブの接近範囲を考慮したものであって、酸素の接近によるデグラデーション(degradation)を模擬する効果がある。
【0021】
本明細書の一実施態様によると、ボロン原子に対する構造的開放性は0超過0.4以下であってもよい。
【0022】
本明細書の一実施態様によると、ボロン原子に対する構造的開放性は0.01超過0.2以下であってもよい。
【0023】
本明細書の一実施態様によると、ボロン原子に対する構造的開放性は0.01超過0.1以下であってもよい。
【0024】
本明細書において、前記ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物は、ボロンを含む化合物である。
【0025】
本明細書において、前記ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物のコアは、ボディピー構造である。
【0026】
本明細書において、前記ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物のコアは、下記ボディピー構造であってもよい。
【0027】
本明細書において、前記ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物は、下記一般式1で表されてもよい。
[一般式1]
【化1】
【0028】
本明細書において、前記一般式1中、X1、X2、およびR1~R7は、1価の置換基であれば限定されず、前記置換基を選択して構造的開放性を調節することができる。
【0029】
前記一般式1中、X1、X2、およびR1~R7は、下記のように例示できるが、下記の置換基を有する化合物であっても、それぞれの置換基の相互関係によって、構造的開放性値が変わり得る。
【0030】
前記一般式1中、R1およびR6は、互いに同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立して、水素;重水素;置換されているかまたは置換されていないアルキル基;置換されているかまたは置換されていないシクロアルキル基;置換されているかまたは置換されていないアリール基;または置換されているかまたは置換されていないヘテロアリール基であり、
R2およびR5は、互いに同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;エステル基;イミド基;置換されているかまたは置換されていないシクロアルキル基;置換されているかまたは置換されていないアリール基;または置換されているかまたは置換されていないヘテロアリール基であり、
R3およびR4は、互いに同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立して、置換されているかまたは置換されていないアルキル基;置換されているかまたは置換されていないシクロアルキル基;置換されているかまたは置換されていないアリール基;置換されているかまたは置換されていないヘテロアリール基;置換されているかまたは置換されていないアリールオキシ基;または置換されているかまたは置換されていないアリールチオキシ基であり、
R7は、置換されているかまたは置換されていないアリール基;置換されているかまたは置換されていないヘテロアリール基;置換されているかまたは置換されていないアリールオキシ基;または置換されているかまたは置換されていないアリールチオキシ基であり、
X1およびX2は、互いに同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立して、ハロゲン基;ニトリル基;エステル基;置換されているかまたは置換されていないアルコキシ基;または置換されているかまたは置換されていないアルキニル基であってもよい。
【0031】
本明細書において、前記X1およびX2はFである。
【0032】
本明細書において、前記R1~R7は、互いに同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン基、シアノ基、置換されているかまたは置換されていないアルキル基、置換されているかまたは置換されていないシクロアルキル基、置換されているかまたは置換されていないアリール基、置換されているかまたは置換されていないアルコキシ基、置換されているかまたは置換されていないアリールオキシ基、置換されているかまたは置換されていないアリールチオキシ基、置換されているかまたは置換されていないヘテロアリール基、または-C(=O)OR8であって、前記R8は、置換されているかまたは置換されていないアリール基である。
【0033】
本明細書において、前記R2およびR5は、互いに同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立して、水素、Cl、置換されているかまたは置換されていないシクロアルキル基、置換されているかまたは置換されていないアリール基、またはC(=O)OR8であって、前記R8は、置換されているかまたは置換されていないアリール基である。
【0034】
本明細書において、前記R2およびR5は、互いに同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立して、水素;Cl;アルキル基で置換されているかまたは置換されていないシクロアルキル基;フルオロアルキル基、またはアルコキシ基で置換されているかまたは置換されていないアリール基;またはC(=O)OR8であって、前記R8は、置換されているかまたは置換されていないアリール基である。
【0035】
本明細書において、前記R3およびR4は、互いに同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立して、置換されているかまたは置換されていないヘテロ環基;または置換されているかまたは置換されていないアリールオキシ基である。
【0036】
本明細書において、前記R3およびR4は、互いに同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立して、置換されているかまたは置換されていないOまたはSを含むヘテロ環基;または置換されているかまたは置換されていないアリールオキシ基である。
【0037】
本明細書において、前記R3およびR4は、互いに同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立して、OまたはSを含むヘテロ環基;またはアルキル基、アリール基、シアノ基、ハロゲン基、またはハロアルキル基で置換されているかまたは置換されていないアリールオキシ基である。
【0038】
本明細書において、前記R3およびR4は、互いに同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立して、OまたはSを含むヘテロ環基;またはアルキル基、アリール基、シアノ基、ハロゲン基、またはフルオロアルキル基で置換されているかまたは置換されていないアリールオキシ基である。
【0039】
本明細書において、前記R3およびR4は、互いに同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立して、ジベンゾフラン基;ジベンゾチオフェン基;炭素数1~4のアルキル基、フェニル基、シアノ基、F、-CF3からなる群から選択される1または2以上の置換基で置換されているかまたは置換されていないフェノキシ基である。
【0040】
本明細書において、前記R1およびR6は、互いに同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立して、水素;置換されているかまたは置換されていないアリール基;置換されているかまたは置換されていないシクロアルキル基;置換されているかまたは置換されていないアルキル基;または置換されているかまたは置換されていないヘテロアリール基である。
【0041】
本明細書において、前記R1およびR6は、互いに同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立して、水素;アルキル基、フルオロアルキル基、アリールオキシ基、またはシアノ基で置換されているかまたは置換されていないアリール基;アルキル基、フルオロアルキル基、アリールオキシ基、またはシアノ基で置換されているかまたは置換されていないシクロアルキル基;アルキル基;またはヘテロアリール基である。
【0042】
本明細書において、前記R1およびR6は、互いに同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立して、水素;炭素数1~4のアルキル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、またはシアノ基で置換されているかまたは置換されていないフェニル基;メチル基で置換されているかまたは置換されていないシクロヘキシル基;炭素数1~4のアルキル基;ベンゾチオフェン基;ベンゾフラン基;またはピリジン基である。
【0043】
本明細書において、前記R7は、置換されているかまたは置換されていないアリールチオキシ基;置換されているかまたは置換されていないアリールオキシ基;置換されているかまたは置換されていないヘテロアリール基;または置換されているかまたは置換されていないアリール基である。
【0044】
本明細書において、前記R7は、アルキル基、シアノ基、ハロゲン基、またはアルコキシ基で置換されているかまたは置換されていないアリールチオキシ基;アルキル基、シアノ基、ハロゲン基、またはアルコキシ基で置換されているかまたは置換されていないアリールオキシ基;アルキル基、シアノ基、ハロゲン基、またはアルコキシ基で置換されているかまたは置換されていないヘテロアリール基;またはアルキル基、シアノ基、ハロゲン基、またはアルコキシ基で置換されているかまたは置換されていないアリール基である。
【0045】
本明細書において、前記R7は、炭素数1~4のアルキル基、シアノ基、F、またはメトキシ基で置換されているかまたは置換されていないアリールチオキシ基;炭素数1~4のアルキル基、シアノ基、F、またはメトキシ基で置換されているかまたは置換されていないアリールオキシ基;炭素数1~4のアルキル基、シアノ基、F、またはメトキシ基で置換されているかまたは置換されていないヘテロアリール基;または炭素数1~4のアルキル基、シアノ基、F、またはメトキシ基で置換されているかまたは置換されていないアリール基である。
【0046】
本明細書において、前記ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物は、下記構造式から選択されるものであってもよい。
【化2】
【0047】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時に、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0048】
本明細書において、ある部材が他の部材「上に」位置しているとする時に、これは、ある部材が他の部材に接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0049】
本明細書において、置換基の例示を以下で説明するが、これに限定されるものではない。
【0050】
前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合された水素原子が、他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は、水素原子が置換される位置、すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2つ以上置換される場合、2つ以上の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0051】
本明細書において、「置換されているかまたは置換されていない」という用語は、水素;重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;カルボニル基;イミド基;アミド基;エステル基;ヒドロキシ基;アミン基;ハロアルキル基;置換されているかまたは置換されていないアルキル基;置換されているかまたは置換されていないシクロアルキル基;置換されているかまたは置換されていないアルコキシ基;置換されているかまたは置換されていないアリールオキシ基;置換されているかまたは置換されていないアルケニル基;置換されているかまたは置換されていないアルキニル基;置換されているかまたは置換されていないアリール基;置換されているかまたは置換されていないアルキルチオキシ基;置換されているかまたは置換されていないアリールチオキシ基;置換されているかまたは置換されていないアルキルスルホキシ基;および置換されているかまたは置換されていないヘテロアリール基からなる群から選択される1つまたは2っ以上の置換基で置換されているか、前記例示された置換基のうち2つ以上の置換基が連結された置換基で置換されているか、または如何なる置換基も有しないことを意味する。例えば、「2つ以上の置換基が連結された置換基」は、ビフェニル基であってもよい。すなわち、ビフェニル基は、アリール基であってもよく、2つのフェニル基が連結された置換基と解釈されてもよい。
【0052】
本明細書において、ハロゲン基の例としては、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素であってもよい。
【0053】
本明細書において、前記アルキル基は、直鎖状または分岐状であってもよく、炭素数は特に限定されないが、1~30であることが好ましい。具体例としては、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
本明細書において、前記ハロアルキル基は、アルキル基の水素原子が、同一または異なるハロゲン基で代替された、本発明で定義されたようなアルキル基を示す。前記ハロアルキル基は、直鎖状または分岐状であってもよく、炭素数は特に限定されないが、1~10であることが好ましい。具体例としては、-CH2Cl、-CF3、-CH2CF3、-CF2CF3などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
本明細書において、シクロアルキル基は特に限定されないが、炭素数3~30であることが好ましく、具体的に、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、2,3-ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル、4-tert-ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
本明細書において、前記アルコキシ基は、直鎖状、分岐状、または環状であってもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~30であることが好ましい。具体的に、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、i-プロピルオキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、3,3-ジメチルブチルオキシ、2-エチルブチルオキシ、n-オクチルオキシ、n-ノニルオキシ、n-デシルオキシ、ベンジルオキシ、p-メチルベンジルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
本明細書において、アリール基は特に限定されないが、炭素数6~30であることが好ましく、前記アリール基は、単環式または多環式であってもよい。
【0058】
前記アリール基が単環式アリール基である場合、炭素数は特に限定されないが、炭素数6~30であることが好ましい。具体的に、単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
前記アリール基が多環式アリール基である場合、炭素数は特に限定されないが、炭素数10~30であることが好ましい。具体的に、多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、トリフェニル基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、およびフルオレニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0060】
本明細書において、「隣接した」基は、該置換基が置換された原子と直接連結された原子に置換された置換基、該置換基と立体構造的に最も近く位置した置換基、または該置換基が置換された原子に置換された他の置換基を意味し得る。例えば、ベンゼン環において、オルト(ortho)位に置換された2つの置換基、および脂肪族環において、同一炭素に置換された2つの置換基は、互いに「隣接した」基と解釈され得る。
【0061】
本明細書において、置換基のうち「隣接した基は、互いに結合して環を形成する」ということは、隣接した基と互いに結合して、置換されているかまたは置換されていない炭化水素環;または置換されているかまたは置換されていないヘテロ環を形成することを意味する。
【0062】
本明細書において、アリールオキシ基、アリールチオキシ基、アリールスルホキシ基、N-アリールアルキルアミン基、およびN-アリールヘテロアリールアミン基中のアリール基は、上述のアリール基の例示のとおりである。具体的に、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、p-トリルオキシ基、m-トリルオキシ基、3,5-ジメチル-フェノキシ基、2,4,6-トリメチルフェノキシ基、p-tert-ブチルフェノキシ基、3-ビフェニルオキシ基、4-ビフェニルオキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、4-メチル-1-ナフチルオキシ基、5-メチル-2-ナフチルオキシ基、1-アントリルオキシ基、2-アントリルオキシ基、9-アントリルオキシ基、1-フェナントリルオキシ基、3-フェナントリルオキシ基、9-フェナントリルオキシ基などが挙げられ、アリールチオキシ基としては、フェニルチオキシ基、2-メチルフェニルチオキシ基、4-tert-ブチルフェニルチオキシ基などが挙げられ、アリールスルホキシ基としては、ベンゼンスルホキシ基、p-トルエンスルホキシ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0063】
本明細書において、ヘテロアリール基は、炭素ではない原子、異種原子を1つ以上含むものであって、具体的に、前記異種原子は、O、N、Se、およびSなどからなる群から選択される原子を1つ以上含んでもよい。炭素数は特に限定されないが、炭素数2~30であることが好ましく、前記ヘテロアリール基は、単環式または多環式であってもよい。ヘテロアリール基の例としては、チオフェン基、フラニル基、ピロール基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジン基、ビピリジン基、ピリミジン基、トリアジニル基、トリアゾリル基、アクリジル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、キノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラニル基、フェナントロリニル基(phenanthroline)、イソオキサゾリル基、チアジアゾリル基、フェノチアジニル基、およびジベンゾフラニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
本明細書の一実施態様によると、前記化合物を含む色変換組成物を提供する。
【0065】
本明細書の一実施態様によると、前記色変換組成物は樹脂マトリックスを含み、前記樹脂マトリックス中に前記化合物が分散されたものである。
【0066】
本明細書の一実施態様によると、前記色変換組成物100重量部に対して、前記化合物は0.001重量%~20重量%で含まれる。
【0067】
本明細書の一実施態様によると、前記色変換組成物の粘度は200cps~2,000cpsである。
【0068】
本明細書の一実施態様によると、前記色変換組成物の粘度は150cps~500cpsである。
【0069】
本明細書の一実施態様によると、樹脂マトリックスと、前記樹脂マトリックス中に分散された、ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物と、を含む色変換フィルムを提供する。
【0070】
前記色変換フィルム中の、前記ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物の含量は、0.001~10重量%の範囲内であってもよい。
【0071】
前記色変換フィルムは、前記ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物を、1種含んでもよく、2種以上含んでもよい。例えば、前記色変換フィルムは、前記ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物のうち、緑色発光する化合物を1種含んでもよい。また、一例として、前記色変換フィルムは、前記ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物のうち、赤色発光する化合物を1種含んでもよい。他の一例として、前記色変換フィルムは、前記ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物のうち、緑色発光する化合物1種と、赤色発光する化合物1種を含んでもよい。
【0072】
前記色変換フィルムは、前記ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物の他に、追加の蛍光物質をさらに含んでもよい。青色光を発光する光源を用いる場合、前記色変換フィルムは、緑色発光蛍光物質と赤色発光蛍光物質の両方を含むことが好ましい。また、青色光と緑色光を発光する光源を用いる場合、前記色変換フィルムは、赤色発光蛍光物質のみを含んでもよい。但し、これに限定されるものではなく、青色光を発光する光源を用いる場合にも、緑色発光蛍光物質を含む別のフィルムを積層する場合には、前記色変換フィルムは赤色発光化合物のみを含んでもよい。逆に、青色光を発光する光源を用いる場合にも、赤色発光蛍光物質を含む別のフィルムを積層する場合には、前記色変換フィルムは緑色発光化合物のみを含んでもよい。
【0073】
前記色変換フィルムは、樹脂マトリックスと、前記樹脂マトリックス中に分散され、前記ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物と異なる波長の光を発光する化合物と、を含む追加の層をさらに含んでもよい。前記ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物と異なる波長の光を発光する化合物も、前記ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以である化合物であってもよく、公知の他の蛍光物質であってもよい。
【0074】
前記樹脂マトリックスの材料は、熱可塑性高分子または熱硬化性高分子であることが好ましい。具体的に、前記樹脂マトリックスの材料としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのようなポリ(メタ)アクリル系、ポリカーボネート系(PC)、ポリスチレン系(PS)、ポリアリーレン系(PAR)、ポリウレタン系(TPU)、スチレン-アクリロニトリル系(SAN)、ポリビニリデンフルオライド系(PVDF)、改質されたポリビニリデンフルオライド系(modified-PVDF)などが用いられてもよい。
【0075】
本明細書の一実施態様によると、上述の実施態様に系る色変換フィルムが、光拡散粒子をさらに含む。輝度を向上させるために従来に用いられていた光拡散フィルムの代わりに、光拡散粒子を色変換フィルムの内部に分散させることで、別の光拡散フィルムを用いることに比べて、付着工程を省略できるだけでなく、より高い輝度を示すことができる。
【0076】
光拡散粒子としては、樹脂マトリックスと屈折率の高い粒子が用いられてもよく、例えば、TiO2、シリカ、ボロシリケート、アルミナ、サファイア、空気または他のガス、空気-またはガス-充填された中空ビーズまたは粒子(例えば、空気/ガス-充填されたガラスまたはポリマー);ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、アクリル、メチルメタクリレート、スチレン、メラミン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、またはメラミンおよびホルムアルデヒド樹脂を始めとするポリマー粒子、またはこれらの任意の好適な組み合わせが用いられてもよい。
【0077】
前記光拡散粒子の粒径は、0.1マイクロメータ~5マイクロメータの範囲内、例えば、0.3マイクロメータ~1マイクロメータの範囲内であってもよい。光拡散粒子の含量は必要に応じて決定され、例えば、樹脂マトリックス100重量部を基準として約1~30重量部の範囲内であってもよい。
【0078】
上述の実施態様に系る色変換フィルムは、厚さが2マイクロメータ~200マイクロメータであってもよい。特に、前記色変換フィルムは、厚さが2マイクロメータ~20マイクロメータの薄い厚さであっても、高い輝度を示すことができる。これは、単位体積当たりに含まれる蛍光物質分子の含量が、量子ドットに比べて高いためである。
【0079】
上述の実施態様に系る色変換フィルムは、一面に基材が備えられていてもよい。該基材は、前記色変換フィルムの製造時に支持体としての機能を果たすことができる。基材の種類は特に限定されず、透明で、且つ前記支持体としての機能を果たすことができるものであれば、その材質や厚さは限定されない。ここで、透明とは、可視光線透過率が70%以上であることを意味する。例えば、前記基材としては、PETフィルムが用いられてもよい。
【0080】
上述の色変換フィルムは、上述のボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物が溶解された樹脂溶液を基材上にコーティングして乾燥するか、上述のボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物を樹脂とともに押出してフィルム化することで製造されることができる。
【0081】
前記樹脂溶液中には、上述のボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物が溶解されているため、ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物が溶液中に均質に分布することになる。これは、別の分散工程を必要とする量子ドットフィルムの製造工程とは異なる。
【0082】
前記ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物が溶解されている樹脂溶液は、溶液中に、上述のボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物と樹脂が溶解されている状態であれば、その製造方法は特に限定されない。
【0083】
一例によると、前記ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物が溶解されている樹脂溶液は、ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物を溶媒に溶かして第1溶液を準備し、樹脂を溶媒に溶かして第2溶液を準備し、前記第1溶液と第2溶液を混合する方法により製造されることができる。前記第1溶液と第2溶液の混合時に、均質に混合することが好ましい。しかし、これに限定されず、溶媒に、ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物と樹脂を同時に添加して溶かす方法、溶媒に、ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物を溶かし、次いで樹脂を添加して溶かす方法、溶媒に樹脂を溶かし、次いでボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物を添加して溶かす方法などが用いられてもよい。
【0084】
前記溶液中に含まれている樹脂としては、上述の樹脂マトリックス材料、この樹脂マトリックス樹脂に硬化可能なモノマー、またはこれらの混合が用いられてもよい。例えば、前記樹脂マトリックス樹脂に硬化可能なモノマーとしては(メタ)アクリル系モノマーが挙げられ、これは、UV硬化により樹脂マトリックス材料に形成されることができる。このように硬化可能なモノマーを用いる場合、必要に応じて、硬化に必要な開始剤がさらに添加されてもよい。
【0085】
前記溶媒としては、特に限定されず、前記コーティング工程に悪影響を与えず、且つ後続の乾燥によって除去可能なものであれば特に限定されない。前記溶媒の非制限的な例としては、トルエン、キシレン、アセトン、クロロホルム、各種アルコール系溶媒、MEK(メチルエチルケトン)、MIBK(メチルイソブチルケトン)、EA(エチルアセテート)、ブチルアセテート、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMAc(ジメチルアセトアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、NMP(N-メチル-ピロリドン)などが使用可能であり、1種または2種以上が混合されて用いられてもよい。前記第1溶液と第2溶液を用いる場合、これらのそれぞれの溶液に含まれる溶媒は同一であってもよく、異なっていてもよい。前記第1溶液と前記第2溶液に互いに異なる種類の溶媒が用いられる場合にも、これらの溶媒は、互いに混合されるように相溶性を有することが好ましい。
【0086】
前記ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物が溶解されている樹脂溶液を基材上にコーティングする工程は、ロールツーロール工程により行われてもよい。例えば、基材が巻き取られたロールから基材を巻き解いた後、前記基材の一面に、前記ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物が溶解されている樹脂溶液をコーティングし、乾燥した後、それを再びロールに巻き取る工程により行われてもよい。ロールツーロール工程を用いる場合、前記樹脂溶液の粘度は、前記工程が可能な範囲で決定することが好ましく、例えば、200~2,000cpsの範囲内で決定してもよい。
【0087】
前記コーティング方法としては、公知の種々の方式が用いられ、例えば、ダイ(die)コータが用いられてもよく、コンマ(comma)コータ、逆コンマ(reverse comma)コータなどの種々のバーコーティング方式が用いられてもよい。
【0088】
前記コーティング後に、乾燥工程を行う。乾燥工程は、溶媒の除去に必要な条件で行ってもよい。例えば、基材がコーティング工程時に進行する方向に、コータに隣接して位置したオーブンで溶媒が十分に飛散する条件で乾燥することで、基材上に、所望の厚さおよび濃度の、ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物を始めとする蛍光物質を含む色変換フィルムを得ることができる。
【0089】
前記溶液中に含まれる樹脂として、前記樹脂マトリックス樹脂に硬化可能なモノマーを用いる場合、前記乾燥の前に、または乾燥と同時に、硬化、例えば、UV硬化を行ってもよい。
【0090】
前記ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物を樹脂とともに押出してフィルム化する場合は、当技術分野において公知の押出方法を用いてもよく、例えば、ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物を、ポリカーボネート系(PC)、ポリ(メタ)アクリル系、スチレン-アクリロニトリル系(SAN)などのような樹脂をともに押出することで、色変換フィルムを製造することができる。
【0091】
本明細書の一実施態様によると、上述の色変換フィルムは、少なくとも一面に保護フィルムまたはバリアフィルムが備えられてもよい。保護フィルムおよびバリアフィルムとしては、当技術分野において公知のものが用いられてもよい。
【0092】
本明細書の他の一実施態様は、上述の色変換フィルムを含むバックライトユニットを提供する。前記バックライトユニットは、前記色変換フィルムを含むことを除き、当技術分野において公知のバックライトユニットの構成を有してもよい。例えば、
図1に一例を示した。
図1によると、導光板の反射板に対向する面の反対面に、上述の実施態様に係る色変換フィルムが備えられる。
図1には、光源と、光源を囲む反射板と、を含む構成を例示したが、このような構造に限定されるものではなく、当技術分野において公知のバックライトユニットの構造によって変形可能である。また、光源として、側鎖型だけでなく直下型が用いられてもよく、反射板や反射層は、必要に応じて省略されたり、他の構成で代替されてもよい。また、必要に応じて、追加のフィルム、例えば、光拡散フィルム、集光フィルム、輝度向上フィルムなどがさらに備えられてもよい。好ましくは、色変換フィルム上に、集光フィルムと輝度向上フィルムをさらに備える。
【0093】
図1のようなバックライトユニットの構成のうち、前記導光板の上面または下面には、必要に応じて、散乱パターンが備えられていてもよい。導光板の内部に流入された光は、反射、全反射、屈折、透過などの光学的過程の繰り返しにより、不均一な光分布を有することになるが、前記散乱パターンは、前記不均一な光分布を均一な明るさに誘導するために用いられる。
【0094】
本出願の他の一実施態様によると、上述のバックライトユニットを含むディスプレイ装置が適用される。このディスプレイ装置としては、上述のバックライトユニットを構成要素として含むものであれば特に限定されない。例えば、前記ディスプレイ装置は、ディスプレイモジュールおよびバックライトユニットを含む。
図2にディスプレイ装置の構造を例示した。しかし、これにのみ限定されるものではなく、ディスプレイモジュールとバックライトユニットとの間に、必要に応じて、追加のフィルム、例えば、光拡散フィルム、集光フィルム、輝度向上フィルムなどがさらに備えられてもよい。
【0095】
本明細書の一実施態様によると、ボロン原子を含む化合物の構造的開放性を測定するステップと、前記構造的開放性が0.5以下である化合物を選択するステップと、前記化合物を選択するステップから選択された化合物を有機溶媒に溶解するステップと、前記溶液を基材上にコーティングするステップと、前記基材上にコーティングされた溶液を乾燥するステップと、を含む色変換フィルムの製造方法を提供する。
【0096】
本明細書の一実施態様によると、前記ボロン原子を含む化合物の構造的開放性を測定するステップは、前記構造的開放性の分析方法により計算する。
【0097】
本明細書の一実施態様によると、前記色変換フィルムの製造方法は、半径が1.6Åのプローブを用いて構造的開放性を測定し、開放性が0.5以下である化合物を選択するステップを含む。
【0098】
本明細書に一実施態様によると、樹脂を第2有機溶媒に溶解するステップをさらに含み、前記化合物を有機溶媒に溶解するステップの後に、前記化合物が溶解されている有機溶媒と前記第2有機溶媒を混合するステップを含む。
【0099】
本明細書の一実施態様によると、前記溶液を基材上にコーティングするステップにおける溶液は、選択された化合物を有機溶媒に溶解して得られた溶液を意味する。
【0100】
本明細書の一実施態様によると、前記溶液を基材上にコーティングするステップにおける溶液は、前記化合物が溶解されている有機溶媒と前記第2有機溶媒を混合して得られた溶液を意味する。
【実施例0101】
以下、本明細書を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本明細書に系る実施例は様々な他の形態に変形可能であり、本出願の範囲が以下で詳述する実施例に限定されると解釈されない。本出願の実施例は、当業界において平均的な知識を有する者に、本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。
【0102】
本明細書のボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物は、下記反応式を経て合成することができ、ボロンを含むものであれば、下記のボディピー構造に限定されない。
【0103】
【0104】
アルデヒド1当量当たりにアジド1.5当量を溶媒に入れ、触媒を2~5%程度入れ、110℃でアルゴン下で加熱撹拌した。反応が終結された後、水とエチルアセテートを用いて抽出し、無水マグネシウムサルフェートで水分を除去した。減圧蒸留により濃縮した後、カラムにより精製した。
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
前記反応式1~4中、R1~R7、およびAr1~Ar3は、互いに同じでも異なっていてもよく、それぞれ独立して、水素;重水素または1価の置換基である。
【0109】
前記反応式2~4を活用して、下記化合物A~Nを合成した。
【化7】
【0110】
前記化合物A~Nの質量分析値は以下のとおりである。
【0111】
化合物A
HR LC/MS/MS m/z calcd for C59H38BClF2N2O2S(M+):922.2404;found:922.2406
【0112】
化合物B
HR LC/MS/MS m/z calcd for C56H52BF2N3S2(M+):879.3664;found:879.3669
【0113】
化合物C
HR LC/MS/MS m/z calcd for C62H62BN5O2S(M+):951.4717;found:951.4719
【0114】
化合物D
HR LC/MS/MS m/z calcd for C55H59BF2N2O4S(M+):892.4257;found:892.4260
【0115】
化合物E
HR LC/MS/MS m/z calcd for C77H67BF2N2O7S2(M+):1244.4451;found:1244.4453
【0116】
化合物F
HR LC/MS/MS m/z calcd for C67H69BF8N2O2(M+):1096.5324;found:1096.5327
【0117】
化合物G
HR LC/MS/MS m/z calcd for C69H32BF19N4O2(M+):1320.2315;found:1320.2318
【0118】
化合物H
HR LC/MS/MS m/z calcd for C63H59BCl2F2N4O4(M+):1054.3974;found:1054.3976
【0119】
化合物I
HR LC/MS/MS m/z calcd for C57H57BN6O4S(M+):932.4255;found:932.4258
【0120】
化合物J
HR LC/MS/MS m/z calcd for C60H47BF2N6O5(M+):980.3669;found:980.3672
【0121】
化合物K
HR LC/MS/MS m/z calcd for C55H63BF2N2O3(M+):848.4900;found:848.4904
【0122】
化合物L
HR LC/MS/MS m/z calcd for C60H42BF4N5O2S(M+):983.3088;found:983.3090
【0123】
化合物M
HR LC/MS/MS m/z calcd for C65H75BF2N2O2S(M+):996.5610;found:996.5613
【0124】
化合物N
HR LC/MS/MS m/z calcd for C56H32BF14N5O5(M+):1131.2273;found:1131.2276
【0125】
<実施例1>
有機蛍光体である前記化合物Aを有機溶媒(キシレン(xylene))に溶かし、第1溶液を製造した。
【0126】
熱可塑性樹脂SAN(スチレン-アクリロニトリル共重合体)を有機溶媒(キシレン(xylene))に溶かし、第2溶液を製造した。前記SAN100重量部を基準として、有機蛍光体の量が0.5重量部となるように、第1溶液と第2溶液を均質に混合した。混合した溶液中の固形分の含量は20重量%であり、粘度は200cpsであった。この溶液をPET基材にコーティングした後、乾燥することで色変換フィルムを製造した。
【0127】
製造された色変換フィルムの輝度スペクトルを分光放射輝度計(トプコン社、SRシリーズ)で測定した。具体的に、製造された色変換フィルムを、LED青色バックライト(最大発光波長450nm)と導光板を含むバックライトユニットの導光板の一面に積層し、色変換フィルム上に、プリズムシートおよびDBEFフィルムを積層した後、フィルムの輝度スペクトルを測定した。輝度スペクトルの測定時に、色変換フィルムのないものを基準として、青色LED光の明るさが600nitとなるように初期値を設定した。
【0128】
<実施例2>
化合物Aの代わりに、化合物Bを使用したことを除き、実施例1と同様に行った。
【0129】
<実施例3>
化合物Aの代わりに、化合物Cを使用したことを除き、実施例1と同様に行った。
【0130】
<実施例4>
化合物Aの代わりに、化合物Dを使用したことを除き、実施例1と同様に行った。
【0131】
<実施例5>
化合物Aの代わりに、化合物Eを使用したことを除き、実施例1と同様に行った。
【0132】
<実施例6>
化合物Aの代わりに、化合物Fを使用したことを除き、実施例1と同様に行った。
【0133】
<実施例7>
化合物Aの代わりに、化合物Gを使用したことを除き、実施例1と同様に行った。
【0134】
<実施例8>
化合物Aの代わりに、化合物Hを使用したことを除き、実施例1と同様に行った。
【0135】
<実施例9>
化合物Aの代わりに、化合物Iを使用したことを除き、実施例1と同様に行った。
【0136】
<実施例10>
化合物Aの代わりに、化合物Jを使用したことを除き、実施例1と同様に行った。
【0137】
<実施例11>
化合物Aの代わりに、化合物Kを使用したことを除き、実施例1と同様に行った。
【0138】
<実施例12>
化合物Aの代わりに、化合物Lを使用したことを除き、実施例1と同様に行った。
【0139】
<実施例13>
化合物Aの代わりに、化合物Mを使用したことを除き、実施例1と同様に行った。
【0140】
<実施例14>
化合物Aの代わりに、化合物Nを使用したことを除き、実施例1と同様に行った。
【0141】
<比較例1>
化合物Aの代わりに、BODIPYを使用したことを除き、実施例1と同様に行った。
【化8】
[BODIPY]
【0142】
<比較例2>
化合物Aの代わりに、M-BODIPYを使用したことを除き、実施例1と同様に行った。
【化9】
[M-BODIPY]
【0143】
<比較例3>
化合物Aの代わりに、PhO-BODIPYを使用したことを除き、実施例1と同様に行った。
【化10】
[PhO-BODIPY]
【0144】
<実験例>
前記実施例1~14および比較例1~3に対して、物性およびボロン原子に対する構造的開放性を測定し、表1に示した。
【0145】
溶液(Solution)のAbsおよびPLは、それぞれ最大吸収波長および最大発光波長を意味する。各化合物をあるトルエン(toluen)溶液に0.01mMの濃度とし、UVはmega-2100(sinco社)、PLはFS-2(sinco社)を用いて測定したものである。
【0146】
また、フィルム(film)におけるPLは、製造されたフィルムをmega-2100(sinco社)およびFS-2(sinco社)を用いて測定したものである。
【0147】
△PLは、製造したフィルムのPLを基準として、該フィルムにLED光源を1000時間照射した後に再びPLを測定し、初期値とのintensityの差を計算した値である。
【0148】
【0149】
実施例1~14の化合物のように、ボロン原子に対する構造的開放性(Openness)値が0.5以下である化合物を色変換フィルムとして用いる場合、△PL値が50%以上になることを確認した。ボディピー化合物であっても、ボロン原子に対する構造的開放性が0.5を超える化合物を使用した比較例1~3は、△PL値が50%以下であることを確認し、ボロン原子に対する構造的開放性が最も大きい比較例1は、△PL値が著しく低いことを確認した。したがって、本発明のボロン原子に対する構造的開放性を満たす場合、発光効率が高く、安定性に優れる。
【0150】
[項目1]
ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物。
[項目2]
項目1に記載の化合物を含む色変換組成物。
[項目3]
樹脂マトリックスをさらに含み、樹脂マトリックス中に化合物が分散されている、項目2に記載の色変換組成物。
[項目4]
色変換組成物100重量部に対して、化合物が0.001重量%~20重量%で含まれている、項目2または3に記載の色変換組成物。
[項目5]
色変換組成物の粘度が200cps~2,000cpsである、項目2から4のいずれか一項に記載の色変換組成物。
[項目6]
樹脂マトリックスと、樹脂マトリックス中に分散された、ボロン原子に対する構造的開放性が0.5以下である化合物と、を含む色変換フィルム。
[項目7]
色変換フィルム100重量部に対して、化合物の含量が0.001重量%~10重量%である、項目6に記載の色変換フィルム。
[項目8]
色変換フィルムの厚さが2μm~200μmである、項目6または7に記載の色変換フィルム。
[項目9]
項目6から8のいずれか一項に記載の色変換フィルムを含むバックライトユニット。
[項目10]
項目9に記載のバックライトユニットを含むディスプレイ装置。
[項目11]
ボロン原子を含む化合物の構造的開放性を測定するステップと、
構造的開放性が0.5以下である化合物を選択するステップと、
化合物を選択するステップで選択された化合物を有機溶媒に溶解するステップと、
溶液を基材上にコーティングするステップと、
基材上にコーティングされた溶液を乾燥するステップと、を含む、色変換フィルムの製造方法。
[項目12]
ボロン原子を含む化合物の構造的開放性を測定するステップでは、半径が1.6Åのプローブを用いて構造的開放性を測定する、項目11に記載の色変換フィルムの製造方法。
[項目13]
樹脂を第2有機溶媒に溶解するステップをさらに含み、
化合物を有機溶媒に溶解するステップの後に、化合物が溶解されている有機溶媒と第2有機溶媒を混合するステップを含む、項目11または12に記載の色変換フィルムの製造方法。