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特開2023-75368有機エレクトロルミネッセンス素子及び電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075368
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネッセンス素子及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/16 20230101AFI20230524BHJP
   H10K 50/00 20230101ALI20230524BHJP
   C07D 251/24 20060101ALI20230524BHJP
   C07D 495/04 20060101ALI20230524BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
H05B33/22 B
H05B33/14 A
C07D251/24
C07D495/04 103
C07D403/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】34
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020029481
(22)【出願日】2020-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】神戸 江美子
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】中村 雅人
【テーマコード(参考)】
3K107
4C063
4C071
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107BB08
3K107CC12
3K107DD74
3K107DD75
3K107DD78
3K107DD84
3K107DD86
3K107FF15
4C063AA03
4C063BB02
4C063BB06
4C063CC43
4C063DD08
4C063EE10
4C071AA01
4C071AA07
4C071BB01
4C071BB06
4C071CC01
4C071CC21
4C071DD04
4C071EE13
4C071FF06
4C071GG05
4C071JJ01
4C071JJ05
4C071LL05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】厚膜化した電子輸送帯域中の電子輸送材料に活性金属がドープされていなくとも、低電圧で駆動する有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
【解決手段】陰極4と発光層5との間に第一の層を有し、第一の層の厚さは、50nm以上であり、第一の層は、下記一般式(1)の化合物を含み、一般式(1)において、Aは、置換もしくは無置換の環形成炭素数13以上50以下の縮合アリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数14以上50以下の縮合複素環基であり、ただし、第一の層71は、金属ドープ材料を含まない、有機エレクトロルミネッセンス素子1。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と陰極との間に発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記陰極と前記発光層との間に第一の層を有し、
前記第一の層の厚さは、50nm以上であり、
前記第一の層は、下記一般式(1)の化合物を含み、
ただし、前記第一の層は、金属ドープ材料を含まない、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化1】

(前記一般式(1)において、
Aは、
置換もしくは無置換の環形成炭素数13以上50以下の縮合アリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数14以上50以下の縮合複素環基であり、
は、
単結合、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基、または
置換もしくは無置換の環形成原子数5以上30以下の2価の複素環基であり、
、X及びXは、それぞれ独立に、窒素原子、又はCRであり、
ただし、X、X及びXのうち1つ以上は窒素原子であり、
、R及びRのうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR、R及びRは、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または
置換もしくは無置換の環形成原子数5以上30以下の複素環基であり、
複数のRが存在する場合、複数のRは、互いに同一であるか又は異なる。)
【請求項2】
請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記一般式(1)の化合物は、下記一般式(A1)の化合物である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化2】

(前記一般式(A1)において、
~X、R~R及びLは、それぞれ、前記一般式(1)における定義と同じであり、
11~R20のうち1つがLとの結合位置*であり、
との結合位置ではないR11~R20のうち隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
との結合位置ではなく、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR11~R20は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R801で表される基、
-COOR802で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
901、R902、R903、R904、R905、R906、R907、R801及びR802は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
901が複数存在する場合、複数のR901は、互いに同一であるか又は異なり、
902が複数存在する場合、複数のR902は、互いに同一であるか又は異なり、
903が複数存在する場合、複数のR903は、互いに同一であるか又は異なり、
904が複数存在する場合、複数のR904は、互いに同一であるか又は異なり、
905が複数存在する場合、複数のR905は、互いに同一であるか又は異なり、
906が複数存在する場合、複数のR906は、互いに同一であるか又は異なり、
907が複数存在する場合、複数のR907は、互いに同一であるか又は異なり、
801が複数存在する場合、複数のR801は、互いに同一であるか又は異なり、
802が複数存在する場合、複数のR802は、互いに同一であるか又は異なる。)
【請求項3】
請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
との結合位置ではなく、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR11~R20のうち2つ以上は、水素原子ではない、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
との結合位置ではなく、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR11~R20のうち2つ以上は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
19及びR20は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記一般式(1)の化合物は、下記一般式(A1-1)の化合物である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化3】

(前記一般式(A1-1)において、
~X、R~R及びLは、それぞれ、前記一般式(1)における定義と同じであり、
11、R12、R14~R20のうち隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
との結合位置ではなく、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR11、R12、R14~R20は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R801で表される基、
-COOR802で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
901、R902、R903、R904、R905、R906、R907、R801及びR802は、それぞれ、前記一般式(A1)における定義と同じである。)
【請求項7】
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記一般式(1)の化合物は、下記一般式(A1-2)の化合物である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化4】

(前記一般式(A1-2)において、
~X、R~R及びLは、それぞれ、前記一般式(1)における定義と同じであり、
11~R19のうち隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
との結合位置ではなく、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR11~R19は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R801で表される基、
-COOR802で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
901、R902、R903、R904、R905、R906、R907、R801及びR802は、それぞれ、前記一般式(A1)における定義と同じである。)
【請求項8】
請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
19は、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項9】
請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記一般式(1)の化合物は、下記一般式(B1)の化合物である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化5】

(前記一般式(B1)において、
~X、R~R及びLは、それぞれ、前記一般式(1)における定義と同じであり、
21~R28のうち1つがLとの結合位置*であり、
との結合位置ではないR21~R28は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R801で表される基、
-COOR802で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
及びRからなる組が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR及びRは、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
901、R902、R903、R904、R905、R906、R907、R801及びR802は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
901が複数存在する場合、複数のR901は、互いに同一であるか又は異なり、
902が複数存在する場合、複数のR902は、互いに同一であるか又は異なり、
903が複数存在する場合、複数のR903は、互いに同一であるか又は異なり、
904が複数存在する場合、複数のR904は、互いに同一であるか又は異なり、
905が複数存在する場合、複数のR905は、互いに同一であるか又は異なり、
906が複数存在する場合、複数のR906は、互いに同一であるか又は異なり、
907が複数存在する場合、複数のR907は、互いに同一であるか又は異なり、
801が複数存在する場合、複数のR801は、互いに同一であるか又は異なり、
802が複数存在する場合、複数のR802は、互いに同一であるか又は異なる。)
【請求項10】
請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
及びRは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項11】
請求項9又は請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
及びRは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のフェニル基である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項12】
請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記一般式(B1)の化合物は、下記一般式(B1-1)の化合物である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化6】

(前記一般式(B1-1)において、
~X、R~R及びLは、それぞれ、前記一般式(1)における定義と同じであり、
21~R28は、それぞれ、前記一般式(B1)における定義と同じであり、
環Bは、置換もしくは無置換の単環、又は置換もしくは無置換の縮合環である。)
【請求項13】
請求項12に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記一般式(B1)の化合物は、下記一般式(B1-2)の化合物である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化7】

(前記一般式(B1-2)において、
~X、R~R及びLは、それぞれ、前記一般式(1)における定義と同じであり、
21~R28は、それぞれ、前記一般式(B1-1)における定義と同じであり、
211~R218のうち隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR211~R218は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R801で表される基、
-COOR802で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
901、R902、R903、R904、R905、R906、R907、R801及びR802は、それぞれ、前記一般式(B1)における定義と同じである。)
【請求項14】
請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
Aは、
置換もしくは無置換の環形成炭素数13以上30以下の縮合アリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数14以上30以下の縮合複素環基である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項15】
請求項1又は請求項14に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
Aは、
置換もしくは無置換の環形成炭素数13以上20以下の縮合アリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数14以上20以下の縮合複素環基である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項16】
請求項1、請求項14又は請求項15に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
Aは、置換もしくは無置換の環形成原子数14以上20以下の縮合複素環基である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項17】
請求項1、請求項14、請求項15又は請求項16に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
Aは、環形成原子として2つ以上のヘテロ原子を含む縮合複素環基である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項18】
請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
、X及びXのうち1つが窒素原子である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項19】
請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
が窒素原子であり、
及びXが、CRであり、
は、前記一般式(1)における定義と同じであり、
2つのRは、互いに同一であるか又は異なる、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項20】
請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
、X及びXが窒素原子である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項21】
請求項1から請求項20のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
及びRは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6以上50以下のアリール基である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項22】
請求項1から請求項21のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
及びRは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項23】
請求項1から請求項22のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
及びRは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6以上18以下のアリール基である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項24】
請求項1から請求項23のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
は、単結合である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項25】
請求項1から請求項23のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
は、下記一般式(L1-1)、(L1-2)又は(L1-3)の2価の基である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化8】

(前記一般式(L1-1)、(L1-2)及び(L1-3)において、
~Yは、それぞれ独立に、窒素原子、又はCRであり、
は、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R801で表される基、
-COOR802で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり
が複数存在する場合、複数のRは、互いに同一であるか又は異なり、
*は、結合位置であり、
901、R902、R903、R904、R905、R906、R907、R801及びR802は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
901が複数存在する場合、複数のR901は、互いに同一であるか又は異なり、
902が複数存在する場合、複数のR902は、互いに同一であるか又は異なり、
903が複数存在する場合、複数のR903は、互いに同一であるか又は異なり、
904が複数存在する場合、複数のR904は、互いに同一であるか又は異なり、
905が複数存在する場合、複数のR905は、互いに同一であるか又は異なり、
906が複数存在する場合、複数のR906は、互いに同一であるか又は異なり、
907が複数存在する場合、複数のR907は、互いに同一であるか又は異なり、
801が複数存在する場合、複数のR801は、互いに同一であるか又は異なり、
802が複数存在する場合、複数のR802は、互いに同一であるか又は異なる。)
【請求項26】
請求項25に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
~Yは、CRであり、
は、水素原子である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項27】
請求項1から請求項26のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記一般式(1)の化合物において、「置換もしくは無置換」と記載された基は、いずれも「無置換」の基である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項28】
請求項1から請求項27のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記陰極の前記発光層側の界面と、前記発光層の前記陰極側の界面との間隔Dが、前記陽極の前記発光層側の界面と、前記発光層の前記陽極側の界面との間隔Dよりも大きい、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項29】
請求項1から請求項28のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記発光層と前記第一の層とが、直接接する、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項30】
請求項1から請求項28のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記発光層と前記第一の層との間にさらに第二の層を有する、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項31】
請求項1から請求項30のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記陰極と前記第一の層との間にさらに第三の層を有する、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項32】
請求項31に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記第三の層は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属の化合物、又はアルカリ土類金属の化合物を含む有機化合物層である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項33】
請求項31又は請求項32に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
前記第三の層は、アゾール基、アジン基、ホスフィンオキサイド基及びシアノ基からなる群から選択される少なくともいずれかの基を有する化合物を含む、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項34】
請求項1から請求項33のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を搭載した電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」という場合がある。)は、携帯電話及びテレビ等のフルカラーディスプレイへ応用されている。有機EL素子に電圧を印加すると、陽極から正孔が発光層に注入され、また陰極から電子が発光層に注入される。そして、発光層において、注入された正孔と電子とが再結合し、励起子が形成される。このとき、電子スピンの統計則により、一重項励起子が25%の割合で生成し、及び三重項励起子が75%の割合で生成する。
有機EL素子の性能向上を図るため、有機EL素子に用いる化合物及び有機EL素子の構造について様々な検討がなされている。有機EL素子の性能としては、例えば、輝度、発光波長、色度、発光効率、駆動電圧、及び寿命が挙げられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、アントラセン構造とベンズイミダゾール構造を有する化合物を有機EL素子の電子輸送材料として使用する実施例が記載されている。
例えば、特許文献2には、アントラセン構造とトリアジン構造を有する化合物、フルオレン構造とトリアジン構造を有する化合物等を有機EL素子の電子輸送材料として使用する実施例が記載されている。
例えば、特許文献3には、ヘテロアリール構造とトリアジン構造を有する化合物等を有機EL素子の電子輸送材料として使用する実施例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2010/134350号
【特許文献2】国際公開第2019/163824号
【特許文献3】国際公開第2019/163825号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、厚膜化した電子輸送帯域中の電子輸送材料に活性金属がドープされていなくとも、低電圧で駆動する有機エレクトロルミネッセンス素子を提供すること、並びに当該有機エレクトロルミネッセンス素子を搭載した電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、陽極と陰極との間に発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記陰極と前記発光層との間に第一の層を有し、前記第一の層の厚さは、50nm以上であり、前記第一の層は、下記一般式(1)の化合物を含み、ただし、前記第一の層は、金属ドープ材料を含まない、有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。
【0007】
【化1】
【0008】
(前記一般式(1)において、
Aは、
置換もしくは無置換の環形成炭素数13以上50以下の縮合アリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数14以上50以下の縮合複素環基であり、
は、
単結合、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基、または
置換もしくは無置換の環形成原子数5以上30以下の2価の複素環基であり、
、X及びXは、それぞれ独立に、窒素原子、又はCRであり、
ただし、X、X及びXのうち1つ以上は窒素原子であり、
、R及びRのうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR、R及びRは、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または
置換もしくは無置換の環形成原子数5以上30以下の複素環基であり、
複数のRが存在する場合、複数のRは、互いに同一であるか又は異なる。)
【0009】
本発明の一態様によれば、本発明の一態様に係る有機エレクトロルミネッセンス素子を搭載した電子機器が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、厚膜化した電子輸送帯域中の電子輸送材料に活性金属がドープされていなくとも、低電圧で駆動する有機エレクトロルミネッセンス素子を提供できる。また、本発明の一態様によれば、当該有機エレクトロルミネッセンス素子を搭載した電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の一例の概略構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の一例の概略構成を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の一例の概略構成を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の一例の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[定義]
本明細書において、水素原子とは、中性子数が異なる同位体、即ち、軽水素(protium)、重水素(deuterium)、及び三重水素(tritium)を包含する。
【0013】
本明細書において、化学構造式中、「R」等の記号や重水素原子を表す「D」が明示されていない結合可能位置には、水素原子、即ち、軽水素原子、重水素原子、又は三重水素原子が結合しているものとする。
【0014】
本明細書において、環形成炭素数とは、原子が環状に結合した構造の化合物(例えば、単環化合物、縮合環化合物、架橋化合物、炭素環化合物、及び複素環化合物)の当該環自体を構成する原子のうちの炭素原子の数を表す。当該環が置換基によって置換される場合、置換基に含まれる炭素は環形成炭素数には含まない。以下で記される「環形成炭素数」については、別途記載のない限り同様とする。例えば、ベンゼン環は環形成炭素数が6であり、ナフタレン環は環形成炭素数が10であり、ピリジン環は環形成炭素数5であり、フラン環は環形成炭素数4である。また、例えば、9,9-ジフェニルフルオレニル基の環形成炭素数は13であり、9,9’-スピロビフルオレニル基の環形成炭素数は25である。
また、ベンゼン環に置換基として、例えば、アルキル基が置換している場合、当該アルキル基の炭素数は、ベンゼン環の環形成炭素数に含めない。そのため、アルキル基が置換しているベンゼン環の環形成炭素数は、6である。また、ナフタレン環に置換基として、例えば、アルキル基が置換している場合、当該アルキル基の炭素数は、ナフタレン環の環形成炭素数に含めない。そのため、アルキル基が置換しているナフタレン環の環形成炭素数は、10である。
【0015】
本明細書において、環形成原子数とは、原子が環状に結合した構造(例えば、単環、縮合環、及び環集合)の化合物(例えば、単環化合物、縮合環化合物、架橋化合物、炭素環化合物、及び複素環化合物)の当該環自体を構成する原子の数を表す。環を構成しない原子(例えば、環を構成する原子の結合を終端する水素原子)や、当該環が置換基によって置換される場合の置換基に含まれる原子は環形成原子数には含まない。以下で記される「環形成原子数」については、別途記載のない限り同様とする。例えば、ピリジン環の環形成原子数は6であり、キナゾリン環の環形成原子数は10であり、フラン環の環形成原子数は5である。例えば、ピリジン環に結合している水素原子、又は置換基を構成する原子の数は、ピリジン環形成原子数の数に含めない。そのため、水素原子、又は置換基が結合しているピリジン環の環形成原子数は、6である。また、例えば、キナゾリン環の炭素原子に結合している水素原子、又は置換基を構成する原子については、キナゾリン環の環形成原子数の数に含めない。そのため、水素原子、又は置換基が結合しているキナゾリン環の環形成原子数は10である。
【0016】
本明細書において、「置換もしくは無置換の炭素数XX~YYのZZ基」という表現における「炭素数XX~YY」は、ZZ基が無置換である場合の炭素数を表し、置換されている場合の置換基の炭素数を含めない。ここで、「YY」は、「XX」よりも大きく、「XX」は、1以上の整数を意味し、「YY」は、2以上の整数を意味する。
【0017】
本明細書において、「置換もしくは無置換の原子数XX~YYのZZ基」という表現における「原子数XX~YY」は、ZZ基が無置換である場合の原子数を表し、置換されている場合の置換基の原子数を含めない。ここで、「YY」は、「XX」よりも大きく、「XX」は、1以上の整数を意味し、「YY」は、2以上の整数を意味する。
【0018】
本明細書において、無置換のZZ基とは「置換もしくは無置換のZZ基」が「無置換のZZ基」である場合を表し、置換のZZ基とは「置換もしくは無置換のZZ基」が「置換のZZ基」である場合を表す。
本明細書において、「置換もしくは無置換のZZ基」という場合における「無置換」とは、ZZ基における水素原子が置換基と置き換わっていないことを意味する。「無置換のZZ基」における水素原子は、軽水素原子、重水素原子、又は三重水素原子である。
また、本明細書において、「置換もしくは無置換のZZ基」という場合における「置換」とは、ZZ基における1つ以上の水素原子が、置換基と置き換わっていることを意味する。「AA基で置換されたBB基」という場合における「置換」も同様に、BB基における1つ以上の水素原子が、AA基と置き換わっていることを意味する。
【0019】
「本明細書に記載の置換基」
以下、本明細書に記載の置換基について説明する。
【0020】
本明細書に記載の「無置換のアリール基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30、より好ましくは6~18である。
本明細書に記載の「無置換の複素環基」の環形成原子数は、本明細書に別途記載のない限り、5~50であり、好ましくは5~30、より好ましくは5~18である。
本明細書に記載の「無置換のアルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~20、より好ましくは1~6である。
本明細書に記載の「無置換のアルケニル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、2~50であり、好ましくは2~20、より好ましくは2~6である。
本明細書に記載の「無置換のアルキニル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、2~50であり、好ましくは2~20、より好ましくは2~6である。
本明細書に記載の「無置換のシクロアルキル基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、3~50であり、好ましくは3~20、より好ましくは3~6である。
本明細書に記載の「無置換のアリーレン基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30、より好ましくは6~18である。
本明細書に記載の「無置換の2価の複素環基」の環形成原子数は、本明細書に別途記載のない限り、5~50であり、好ましくは5~30、より好ましくは5~18である。
本明細書に記載の「無置換のアルキレン基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~20、より好ましくは1~6である。
【0021】
・「置換もしくは無置換のアリール基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」の具体例(具体例群G1)としては、以下の無置換のアリール基(具体例群G1A)及び置換のアリール基(具体例群G1B)等が挙げられる。(ここで、無置換のアリール基とは「置換もしくは無置換のアリール基」が「無置換のアリール基」である場合を指し、置換のアリール基とは「置換もしくは無置換のアリール基」が「置換のアリール基」である場合を指す。)本明細書において、単に「アリール基」という場合は、「無置換のアリール基」と「置換のアリール基」の両方を含む。
「置換のアリール基」は、「無置換のアリール基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアリール基」としては、例えば、下記具体例群G1Aの「無置換のアリール基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び下記具体例群G1Bの置換のアリール基の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換のアリール基」の例、及び「置換のアリール基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のアリール基」には、下記具体例群G1Bの「置換のアリール基」におけるアリール基自体の炭素原子に結合する水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び下記具体例群G1Bの「置換のアリール基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0022】
・無置換のアリール基(具体例群G1A):
フェニル基、
p-ビフェニル基、
m-ビフェニル基、
o-ビフェニル基、
p-ターフェニル-4-イル基、
p-ターフェニル-3-イル基、
p-ターフェニル-2-イル基、
m-ターフェニル-4-イル基、
m-ターフェニル-3-イル基、
m-ターフェニル-2-イル基、
o-ターフェニル-4-イル基、
o-ターフェニル-3-イル基、
o-ターフェニル-2-イル基、
1-ナフチル基、
2-ナフチル基、
アントリル基、
ベンゾアントリル基、
フェナントリル基、
ベンゾフェナントリル基、
フェナレニル基、
ピレニル基、
クリセニル基、
ベンゾクリセニル基、
トリフェニレニル基、
ベンゾトリフェニレニル基、
テトラセニル基、
ペンタセニル基、
フルオレニル基、
9,9’-スピロビフルオレニル基、
ベンゾフルオレニル基、
ジベンゾフルオレニル基、
フルオランテニル基、
ベンゾフルオランテニル基、
ペリレニル基、及び
下記一般式(TEMP-1)~(TEMP-15)で表される環構造から1つの水素原子を除くことにより誘導される1価のアリール基。
【0023】
【化2】
【0024】
【化3】
【0025】
・置換のアリール基(具体例群G1B):
o-トリル基、
m-トリル基、
p-トリル基、
パラ-キシリル基、
メタ-キシリル基、
オルト-キシリル基、
パラ-イソプロピルフェニル基、
メタ-イソプロピルフェニル基、
オルト-イソプロピルフェニル基、
パラ-t-ブチルフェニル基、
メタ-t-ブチルフェニル基、
オルト-t-ブチルフェニル基、
3,4,5-トリメチルフェニル基、
9,9-ジメチルフルオレニル基、
9,9-ジフェニルフルオレニル基
9,9-ビス(4-メチルフェニル)フルオレニル基、
9,9-ビス(4-イソプロピルフェニル)フルオレニル基、
9,9-ビス(4-t-ブチルフェニル)フルオレニル基、
シアノフェニル基、
トリフェニルシリルフェニル基、
トリメチルシリルフェニル基、
フェニルナフチル基、
ナフチルフェニル基、及び
前記一般式(TEMP-1)~(TEMP-15)で表される環構造から誘導される1価の基の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基。
【0026】
・「置換もしくは無置換の複素環基」
本明細書に記載の「複素環基」は、環形成原子にヘテロ原子を少なくとも1つ含む環状の基である。ヘテロ原子の具体例としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、及びホウ素原子が挙げられる。
本明細書に記載の「複素環基」は、単環の基であるか、又は縮合環の基である。
本明細書に記載の「複素環基」は、芳香族複素環基であるか、又は非芳香族複素環基である。
本明細書に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」の具体例(具体例群G2)としては、以下の無置換の複素環基(具体例群G2A)、及び置換の複素環基(具体例群G2B)等が挙げられる。(ここで、無置換の複素環基とは「置換もしくは無置換の複素環基」が「無置換の複素環基」である場合を指し、置換の複素環基とは「置換もしくは無置換の複素環基」が「置換の複素環基」である場合を指す。)本明細書において、単に「複素環基」という場合は、「無置換の複素環基」と「置換の複素環基」の両方を含む。
「置換の複素環基」は、「無置換の複素環基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換の複素環基」の具体例は、下記具体例群G2Aの「無置換の複素環基」の水素原子が置き換わった基、及び下記具体例群G2Bの置換の複素環基の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換の複素環基」の例や「置換の複素環基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換の複素環基」には、具体例群G2Bの「置換の複素環基」における複素環基自体の環形成原子に結合する水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び具体例群G2Bの「置換の複素環基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0027】
具体例群G2Aは、例えば、以下の窒素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A1)、酸素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A2)、硫黄原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A3)、及び下記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から1つの水素原子を除くことにより誘導される1価の複素環基(具体例群G2A4)を含む。
【0028】
具体例群G2Bは、例えば、以下の窒素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B1)、酸素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B2)、硫黄原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B3)、及び下記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から誘導される1価の複素環基の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基(具体例群G2B4)を含む。
【0029】
・窒素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A1):
ピロリル基、
イミダゾリル基、
ピラゾリル基、
トリアゾリル基、
テトラゾリル基、
オキサゾリル基、
イソオキサゾリル基、
オキサジアゾリル基、
チアゾリル基、
イソチアゾリル基、
チアジアゾリル基、
ピリジル基、
ピリダジニル基、
ピリミジニル基、
ピラジニル基、
トリアジニル基、
インドリル基、
イソインドリル基、
インドリジニル基、
キノリジニル基、
キノリル基、
イソキノリル基、
シンノリル基、
フタラジニル基、
キナゾリニル基、
キノキサリニル基、
ベンゾイミダゾリル基、
インダゾリル基、
フェナントロリニル基、
フェナントリジニル基、
アクリジニル基、
フェナジニル基、
カルバゾリル基、
ベンゾカルバゾリル基、
モルホリノ基、
フェノキサジニル基、
フェノチアジニル基、
アザカルバゾリル基、及びジアザカルバゾリル基。
【0030】
・酸素原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A2):
フリル基、
オキサゾリル基、
イソオキサゾリル基、
オキサジアゾリル基、
キサンテニル基、
ベンゾフラニル基、
イソベンゾフラニル基、
ジベンゾフラニル基、
ナフトベンゾフラニル基、
ベンゾオキサゾリル基、
ベンゾイソキサゾリル基、
フェノキサジニル基、
モルホリノ基、
ジナフトフラニル基、
アザジベンゾフラニル基、
ジアザジベンゾフラニル基、
アザナフトベンゾフラニル基、及び
ジアザナフトベンゾフラニル基。
【0031】
・硫黄原子を含む無置換の複素環基(具体例群G2A3):
チエニル基、
チアゾリル基、
イソチアゾリル基、
チアジアゾリル基、
ベンゾチオフェニル基(ベンゾチエニル基)、
イソベンゾチオフェニル基(イソベンゾチエニル基)、
ジベンゾチオフェニル基(ジベンゾチエニル基)、
ナフトベンゾチオフェニル基(ナフトベンゾチエニル基)、
ベンゾチアゾリル基、
ベンゾイソチアゾリル基、
フェノチアジニル基、
ジナフトチオフェニル基(ジナフトチエニル基)、
アザジベンゾチオフェニル基(アザジベンゾチエニル基)、
ジアザジベンゾチオフェニル基(ジアザジベンゾチエニル基)、
アザナフトベンゾチオフェニル基(アザナフトベンゾチエニル基)、及び
ジアザナフトベンゾチオフェニル基(ジアザナフトベンゾチエニル基)。
【0032】
・下記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から1つの水素原子を除くことにより誘導される1価の複素環基(具体例群G2A4):
【0033】
【化4】
【0034】
【化5】
【0035】
前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)において、X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、NH、又はCHである。ただし、X及びYのうち少なくとも1つは、酸素原子、硫黄原子、又はNHである。
前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)において、X及びYの少なくともいずれかがNH、又はCHである場合、前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から誘導される1価の複素環基には、これらNH、又はCHから1つの水素原子を除いて得られる1価の基が含まれる。
【0036】
・窒素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B1):
(9-フェニル)カルバゾリル基、
(9-ビフェニリル)カルバゾリル基、
(9-フェニル)フェニルカルバゾリル基、
(9-ナフチル)カルバゾリル基、
ジフェニルカルバゾール-9-イル基、
フェニルカルバゾール-9-イル基、
メチルベンゾイミダゾリル基、
エチルベンゾイミダゾリル基、
フェニルトリアジニル基、
ビフェニリルトリアジニル基、
ジフェニルトリアジニル基、
フェニルキナゾリニル基、及び
ビフェニリルキナゾリニル基。
【0037】
・酸素原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B2):
フェニルジベンゾフラニル基、
メチルジベンゾフラニル基、
t-ブチルジベンゾフラニル基、及び
スピロ[9H-キサンテン-9,9’-[9H]フルオレン]の1価の残基。
【0038】
・硫黄原子を含む置換の複素環基(具体例群G2B3):
フェニルジベンゾチオフェニル基、
メチルジベンゾチオフェニル基、
t-ブチルジベンゾチオフェニル基、及び
スピロ[9H-チオキサンテン-9,9’-[9H]フルオレン]の1価の残基。
【0039】
・前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から誘導される1価の複素環基の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基(具体例群G2B4):
【0040】
前記「1価の複素環基の1つ以上の水素原子」とは、該1価の複素環基の環形成炭素原子に結合している水素原子、XA及びYAの少なくともいずれかがNHである場合の窒素原子に結合している水素原子、及びXA及びYAの一方がCH2である場合のメチレン基の水素原子から選ばれる1つ以上の水素原子を意味する。
【0041】
・「置換もしくは無置換のアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」の具体例(具体例群G3)としては、以下の無置換のアルキル基(具体例群G3A)及び置換のアルキル基(具体例群G3B)が挙げられる。(ここで、無置換のアルキル基とは「置換もしくは無置換のアルキル基」が「無置換のアルキル基」である場合を指し、置換のアルキル基とは「置換もしくは無置換のアルキル基」が「置換のアルキル基」である場合を指す。)以下、単に「アルキル基」という場合は、「無置換のアルキル基」と「置換のアルキル基」の両方を含む。
「置換のアルキル基」は、「無置換のアルキル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアルキル基」の具体例としては、下記の「無置換のアルキル基」(具体例群G3A)における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び置換のアルキル基(具体例群G3B)の例等が挙げられる。本明細書において、「無置換のアルキル基」におけるアルキル基は、鎖状のアルキル基を意味する。そのため、「無置換のアルキル基」は、直鎖である「無置換のアルキル基」、及び分岐状である「無置換のアルキル基」が含まれる。尚、ここに列挙した「無置換のアルキル基」の例や「置換のアルキル基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のアルキル基」には、具体例群G3Bの「置換のアルキル基」におけるアルキル基自体の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び具体例群G3Bの「置換のアルキル基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0042】
・無置換のアルキル基(具体例群G3A):
メチル基、
エチル基、
n-プロピル基、
イソプロピル基、
n-ブチル基、
イソブチル基、
s-ブチル基、及び
t-ブチル基。
【0043】
・置換のアルキル基(具体例群G3B):
ヘプタフルオロプロピル基(異性体を含む)、
ペンタフルオロエチル基、
2,2,2-トリフルオロエチル基、及び
トリフルオロメチル基。
【0044】
・「置換もしくは無置換のアルケニル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルケニル基」の具体例(具体例群G4)としては、以下の無置換のアルケニル基(具体例群G4A)、及び置換のアルケニル基(具体例群G4B)等が挙げられる。(ここで、無置換のアルケニル基とは「置換もしくは無置換のアルケニル基」が「無置換のアルケニル基」である場合を指し、「置換のアルケニル基」とは「置換もしくは無置換のアルケニル基」が「置換のアルケニル基」である場合を指す。)本明細書において、単に「アルケニル基」という場合は、「無置換のアルケニル基」と「置換のアルケニル基」の両方を含む。
「置換のアルケニル基」は、「無置換のアルケニル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアルケニル基」の具体例としては、下記の「無置換のアルケニル基」(具体例群G4A)が置換基を有する基、及び置換のアルケニル基(具体例群G4B)の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換のアルケニル基」の例や「置換のアルケニル基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のアルケニル基」には、具体例群G4Bの「置換のアルケニル基」におけるアルケニル基自体の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び具体例群G4Bの「置換のアルケニル基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0045】
・無置換のアルケニル基(具体例群G4A):
ビニル基、
アリル基、
1-ブテニル基、
2-ブテニル基、及び
3-ブテニル基。
【0046】
・置換のアルケニル基(具体例群G4B):
1,3-ブタンジエニル基、
1-メチルビニル基、
1-メチルアリル基、
1,1-ジメチルアリル基、
2-メチルアリル基、及び
1,2-ジメチルアリル基。
【0047】
・「置換もしくは無置換のアルキニル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキニル基」の具体例(具体例群G5)としては、以下の無置換のアルキニル基(具体例群G5A)等が挙げられる。(ここで、無置換のアルキニル基とは、「置換もしくは無置換のアルキニル基」が「無置換のアルキニル基」である場合を指す。)以下、単に「アルキニル基」という場合は、「無置換のアルキニル基」と「置換のアルキニル基」の両方を含む。
「置換のアルキニル基」は、「無置換のアルキニル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のアルキニル基」の具体例としては、下記の「無置換のアルキニル基」(具体例群G5A)における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基等が挙げられる。
【0048】
・無置換のアルキニル基(具体例群G5A):
エチニル基
【0049】
・「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」の具体例(具体例群G6)としては、以下の無置換のシクロアルキル基(具体例群G6A)、及び置換のシクロアルキル基(具体例群G6B)等が挙げられる。(ここで、無置換のシクロアルキル基とは「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」が「無置換のシクロアルキル基」である場合を指し、置換のシクロアルキル基とは「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」が「置換のシクロアルキル基」である場合を指す。)本明細書において、単に「シクロアルキル基」という場合は、「無置換のシクロアルキル基」と「置換のシクロアルキル基」の両方を含む。
「置換のシクロアルキル基」は、「無置換のシクロアルキル基」における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。「置換のシクロアルキル基」の具体例としては、下記の「無置換のシクロアルキル基」(具体例群G6A)における1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び置換のシクロアルキル基(具体例群G6B)の例等が挙げられる。尚、ここに列挙した「無置換のシクロアルキル基」の例や「置換のシクロアルキル基」の例は、一例に過ぎず、本明細書に記載の「置換のシクロアルキル基」には、具体例群G6Bの「置換のシクロアルキル基」におけるシクロアルキル基自体の炭素原子に結合する1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基、及び具体例群G6Bの「置換のシクロアルキル基」における置換基の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。
【0050】
・無置換のシクロアルキル基(具体例群G6A):
シクロプロピル基、
シクロブチル基、
シクロペンチル基、
シクロヘキシル基、
1-アダマンチル基、
2-アダマンチル基、
1-ノルボルニル基、及び
2-ノルボルニル基。
【0051】
・置換のシクロアルキル基(具体例群G6B):
4-メチルシクロヘキシル基。
【0052】
・「-Si(R901)(R902)(R903)で表される基」
本明細書に記載の-Si(R901)(R902)(R903)で表される基の具体例(具体例群G7)としては、
-Si(G1)(G1)(G1)、
-Si(G1)(G2)(G2)、
-Si(G1)(G1)(G2)、
-Si(G2)(G2)(G2)、
-Si(G3)(G3)(G3)、及び
-Si(G6)(G6)(G6)
が挙げられる。ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。
-Si(G1)(G1)(G1)における複数のG1は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G1)(G2)(G2)における複数のG2は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G1)(G1)(G2)における複数のG1は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G2)(G2)(G2)における複数のG2は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G3)(G3)(G3)における複数のG3は、互いに同一であるか、又は異なる。
-Si(G6)(G6)(G6)における複数のG6は、互いに同一であるか、又は異なる。
【0053】
・「-O-(R904)で表される基」
本明細書に記載の-O-(R904)で表される基の具体例(具体例群G8)としては、
-O(G1)、
-O(G2)、
-O(G3)、及び
-O(G6)
が挙げられる。
ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。
【0054】
・「-S-(R905)で表される基」
本明細書に記載の-S-(R905)で表される基の具体例(具体例群G9)としては、
-S(G1)、
-S(G2)、
-S(G3)、及び
-S(G6)
が挙げられる。
ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。
【0055】
・「-N(R906)(R907)で表される基」
本明細書に記載の-N(R906)(R907)で表される基の具体例(具体例群G10)としては、
-N(G1)(G1)、
-N(G2)(G2)、
-N(G1)(G2)、
-N(G3)(G3)、及び
-N(G6)(G6)
が挙げられる。
ここで、
G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。
G2は、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」である。
G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。
G6は、具体例群G6に記載の「置換もしくは無置換のシクロアルキル基」である。
-N(G1)(G1)における複数のG1は、互いに同一であるか、又は異なる。
-N(G2)(G2)における複数のG2は、互いに同一であるか、又は異なる。
-N(G3)(G3)における複数のG3は、互いに同一であるか、又は異なる。
-N(G6)(G6)における複数のG6は、互いに同一であるか、又は異なる。
【0056】
・「ハロゲン原子」
本明細書に記載の「ハロゲン原子」の具体例(具体例群G11)としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子等が挙げられる。
【0057】
・「置換もしくは無置換のフルオロアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のフルオロアルキル基」は、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合している少なくとも1つの水素原子がフッ素原子と置き換わった基を意味し、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合している全ての水素原子がフッ素原子で置き換わった基(パーフルオロ基)も含む。「無置換のフルオロアルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。「置換のフルオロアルキル基」は、「フルオロアルキル基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。尚、本明細書に記載の「置換のフルオロアルキル基」には、「置換のフルオロアルキル基」におけるアルキル鎖の炭素原子に結合する1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び「置換のフルオロアルキル基」における置換基の1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。「無置換のフルオロアルキル基」の具体例としては、前記「アルキル基」(具体例群G3)における1つ以上の水素原子がフッ素原子と置き換わった基の例等が挙げられる。
【0058】
・「置換もしくは無置換のハロアルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のハロアルキル基」は、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合している少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子と置き換わった基を意味し、「置換もしくは無置換のアルキル基」におけるアルキル基を構成する炭素原子に結合している全ての水素原子がハロゲン原子で置き換わった基も含む。「無置換のハロアルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。「置換のハロアルキル基」は、「ハロアルキル基」の1つ以上の水素原子が置換基と置き換わった基を意味する。尚、本明細書に記載の「置換のハロアルキル基」には、「置換のハロアルキル基」におけるアルキル鎖の炭素原子に結合する1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基、及び「置換のハロアルキル基」における置換基の1つ以上の水素原子がさらに置換基と置き換わった基も含まれる。「無置換のハロアルキル基」の具体例としては、前記「アルキル基」(具体例群G3)における1つ以上の水素原子がハロゲン原子と置き換わった基の例等が挙げられる。ハロアルキル基をハロゲン化アルキル基と称する場合がある。
【0059】
・「置換もしくは無置換のアルコキシ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルコキシ基」の具体例としては、-O(G3)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。「無置換のアルコキシ基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。
【0060】
・「置換もしくは無置換のアルキルチオ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキルチオ基」の具体例としては、-S(G3)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。「無置換のアルキルチオ基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~18である。
【0061】
・「置換もしくは無置換のアリールオキシ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリールオキシ基」の具体例としては、-O(G1)で表される基であり、ここで、G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。「無置換のアリールオキシ基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30であり、より好ましくは6~18である。
【0062】
・「置換もしくは無置換のアリールチオ基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリールチオ基」の具体例としては、-S(G1)で表される基であり、ここで、G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。「無置換のアリールチオ基」の環形成炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、6~50であり、好ましくは6~30であり、より好ましくは6~18である。
【0063】
・「置換もしくは無置換のトリアルキルシリル基」
本明細書に記載の「トリアルキルシリル基」の具体例としては、-Si(G3)(G3)(G3)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」である。-Si(G3)(G3)(G3)における複数のG3は、互いに同一であるか、又は異なる。「トリアルキルシリル基」の各アルキル基の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、1~50であり、好ましくは1~20であり、より好ましくは1~6である。
【0064】
・「置換もしくは無置換のアラルキル基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアラルキル基」の具体例としては、-(G3)-(G1)で表される基であり、ここで、G3は、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」であり、G1は、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」である。従って、「アラルキル基」は、「アルキル基」の水素原子が置換基としての「アリール基」と置き換わった基であり、「置換のアルキル基」の一態様である。「無置換のアラルキル基」は、「無置換のアリール基」が置換した「無置換のアルキル基」であり、「無置換のアラルキル基」の炭素数は、本明細書に別途記載のない限り、7~50であり、好ましくは7~30であり、より好ましくは7~18である。
「置換もしくは無置換のアラルキル基」の具体例としては、ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基、1-フェニルイソプロピル基、2-フェニルイソプロピル基、フェニル-t-ブチル基、α-ナフチルメチル基、1-α-ナフチルエチル基、2-α-ナフチルエチル基、1-α-ナフチルイソプロピル基、2-α-ナフチルイソプロピル基、β-ナフチルメチル基、1-β-ナフチルエチル基、2-β-ナフチルエチル基、1-β-ナフチルイソプロピル基、及び2-β-ナフチルイソプロピル基等が挙げられる。
【0065】
本明細書に記載の置換もしくは無置換のアリール基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくはフェニル基、p-ビフェニル基、m-ビフェニル基、o-ビフェニル基、p-ターフェニル-4-イル基、p-ターフェニル-3-イル基、p-ターフェニル-2-イル基、m-ターフェニル-4-イル基、m-ターフェニル-3-イル基、m-ターフェニル-2-イル基、o-ターフェニル-4-イル基、o-ターフェニル-3-イル基、o-ターフェニル-2-イル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、トリフェニレニル基、フルオレニル基、9,9’-スピロビフルオレニル基、9,9-ジメチルフルオレニル基、及び9,9-ジフェニルフルオレニル基等である。
【0066】
本明細書に記載の置換もしくは無置換の複素環基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくはピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、ベンゾイミダゾリル基、フェナントロリニル基、カルバゾリル基(1-カルバゾリル基、2-カルバゾリル基、3-カルバゾリル基、4-カルバゾリル基、又は9-カルバゾリル基)、ベンゾカルバゾリル基、アザカルバゾリル基、ジアザカルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ナフトベンゾフラニル基、アザジベンゾフラニル基、ジアザジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、ナフトベンゾチオフェニル基、アザジベンゾチオフェニル基、ジアザジベンゾチオフェニル基、(9-フェニル)カルバゾリル基((9-フェニル)カルバゾール-1-イル基、(9-フェニル)カルバゾール-2-イル基、(9-フェニル)カルバゾール-3-イル基、又は(9-フェニル)カルバゾール-4-イル基)、(9-ビフェニリル)カルバゾリル基、(9-フェニル)フェニルカルバゾリル基、ジフェニルカルバゾール-9-イル基、フェニルカルバゾール-9-イル基、フェニルトリアジニル基、ビフェニリルトリアジニル基、ジフェニルトリアジニル基、フェニルジベンゾフラニル基、及びフェニルジベンゾチオフェニル基等である。
【0067】
本明細書において、カルバゾリル基は、本明細書に別途記載のない限り、具体的には以下のいずれかの基である。
【0068】
【化6】
【0069】
本明細書において、(9-フェニル)カルバゾリル基は、本明細書に別途記載のない限り、具体的には以下のいずれかの基である。
【0070】
【化7】
【0071】
前記一般式(TEMP-Cz1)~(TEMP-Cz9)中、*は、結合位置を表す。
【0072】
本明細書において、ジベンゾフラニル基、及びジベンゾチオフェニル基は、本明細書に別途記載のない限り、具体的には以下のいずれかの基である。
【0073】
【化8】
【0074】
前記一般式(TEMP-34)~(TEMP-41)中、*は、結合位置を表す。
【0075】
本明細書に記載の置換もしくは無置換のアルキル基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、及びt-ブチル基等である。
【0076】
・「置換もしくは無置換のアリーレン基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアリーレン基」は、別途記載のない限り、上記「置換もしくは無置換のアリール基」からアリール環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基である。「置換もしくは無置換のアリーレン基」の具体例(具体例群G12)としては、具体例群G1に記載の「置換もしくは無置換のアリール基」からアリール環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基等が挙げられる。
【0077】
・「置換もしくは無置換の2価の複素環基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換の2価の複素環基」は、別途記載のない限り、上記「置換もしくは無置換の複素環基」から複素環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基である。「置換もしくは無置換の2価の複素環基」の具体例(具体例群G13)としては、具体例群G2に記載の「置換もしくは無置換の複素環基」から複素環上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基等が挙げられる。
【0078】
・「置換もしくは無置換のアルキレン基」
本明細書に記載の「置換もしくは無置換のアルキレン基」は、別途記載のない限り、上記「置換もしくは無置換のアルキル基」からアルキル鎖上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基である。「置換もしくは無置換のアルキレン基」の具体例(具体例群G14)としては、具体例群G3に記載の「置換もしくは無置換のアルキル基」からアルキル鎖上の1つの水素原子を除くことにより誘導される2価の基等が挙げられる。
【0079】
本明細書に記載の置換もしくは無置換のアリーレン基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは下記一般式(TEMP-42)~(TEMP-68)のいずれかの基である。
【0080】
【化9】
【0081】
【化10】
【0082】
前記一般式(TEMP-42)~(TEMP-52)中、Q~Q10は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
前記一般式(TEMP-42)~(TEMP-52)中、*は、結合位置を表す。
【0083】
【化11】
【0084】
前記一般式(TEMP-53)~(TEMP-62)中、Q~Q10は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
式Q及びQ10は、単結合を介して互いに結合して環を形成してもよい。
前記一般式(TEMP-53)~(TEMP-62)中、*は、結合位置を表す。
【0085】
【化12】
【0086】
前記一般式(TEMP-63)~(TEMP-68)中、Q~Qは、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
前記一般式(TEMP-63)~(TEMP-68)中、*は、結合位置を表す。
【0087】
本明細書に記載の置換もしくは無置換の2価の複素環基は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは下記一般式(TEMP-69)~(TEMP-102)のいずれかの基である。
【0088】
【化13】
【0089】
【化14】
【0090】
【化15】
【0091】
前記一般式(TEMP-69)~(TEMP-82)中、Q~Qは、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
【0092】
【化16】
【0093】
【化17】
【0094】
【化18】
【0095】
【化19】
【0096】
前記一般式(TEMP-83)~(TEMP-102)中、Q~Qは、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基である。
【0097】
以上が、「本明細書に記載の置換基」についての説明である。
【0098】
・「結合して環を形成する場合」
本明細書において、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は互いに結合せず」という場合は、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合と、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合と、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合しない」場合と、を意味する。
本明細書における、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合、及び「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合(以下、これらの場合をまとめて「結合して環を形成する場合」と称する場合がある。)について、以下、説明する。母骨格がアントラセン環である下記一般式(TEMP-103)で表されるアントラセン化合物の場合を例として説明する。
【0099】
【化20】
【0100】
例えば、R921~R930のうちの「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、環を形成する」場合において、1組となる隣接する2つからなる組とは、R921とR922との組、R922とR923との組、R923とR924との組、R924とR930との組、R930とR925との組、R925とR926との組、R926とR927との組、R927とR928との組、R928とR929との組、並びにR929とR921との組である。
【0101】
上記「1組以上」とは、上記隣接する2つ以上からなる組の2組以上が同時に環を形成してもよいことを意味する。例えば、R921とR922とが互いに結合して環Qを形成し、同時にR925とR926とが互いに結合して環Qを形成した場合は、前記一般式(TEMP-103)で表されるアントラセン化合物は、下記一般式(TEMP-104)で表される。
【0102】
【化21】
【0103】
「隣接する2つ以上からなる組」が環を形成する場合とは、前述の例のように隣接する「2つ」からなる組が結合する場合だけではなく、隣接する「3つ以上」からなる組が結合する場合も含む。例えば、R921とR922とが互いに結合して環Qを形成し、かつ、R922とR923とが互いに結合して環Qを形成し、互いに隣接する3つ(R921、R922及びR923)からなる組が互いに結合して環を形成して、アントラセン母骨格に縮合する場合を意味し、この場合、前記一般式(TEMP-103)で表されるアントラセン化合物は、下記一般式(TEMP-105)で表される。下記一般式(TEMP-105)において、環Q及び環Qは、R922を共有する。
【0104】
【化22】
【0105】
形成される「単環」、又は「縮合環」は、形成された環のみの構造として、飽和の環であっても不飽和の環であってもよい。「隣接する2つからなる組の1組」が「単環」、又は「縮合環」を形成する場合であっても、当該「単環」、又は「縮合環」は、飽和の環、又は不飽和の環を形成することができる。例えば、前記一般式(TEMP-104)において形成された環Q及び環Qは、それぞれ、「単環」又は「縮合環」である。また、前記一般式(TEMP-105)において形成された環Q、及び環Qは、「縮合環」である。前記一般式(TEMP-105)の環Qと環Qとは、環Qと環Qとが縮合することによって縮合環となっている。前記一般式(TMEP-104)の環Qがベンゼン環であれば、環Qは、単環である。前記一般式(TMEP-104)の環Qがナフタレン環であれば、環Qは、縮合環である。
【0106】
「不飽和の環」とは、芳香族炭化水素環、又は芳香族複素環を意味する。「飽和の環」とは、脂肪族炭化水素環、又は非芳香族複素環を意味する。
芳香族炭化水素環の具体例としては、具体例群G1において具体例として挙げられた基が水素原子によって終端された構造が挙げられる。
芳香族複素環の具体例としては、具体例群G2において具体例として挙げられた芳香族複素環基が水素原子によって終端された構造が挙げられる。
脂肪族炭化水素環の具体例としては、具体例群G6において具体例として挙げられた基が水素原子によって終端された構造が挙げられる。
「環を形成する」とは、母骨格の複数の原子のみ、あるいは母骨格の複数の原子とさらに1以上の任意の元素で環を形成することを意味する。例えば、前記一般式(TEMP-104)に示す、R921とR922とが互いに結合して形成された環Qは、R921が結合するアントラセン骨格の炭素原子と、R922が結合するアントラセン骨格の炭素原子と、1以上の任意の元素とで形成する環を意味する。具体例としては、R921とR922とで環Qを形成する場合において、R921が結合するアントラセン骨格の炭素原子と、R922とが結合するアントラセン骨格の炭素原子と、4つの炭素原子とで単環の不飽和の環を形成する場合、R921とR922とで形成する環は、ベンゼン環である。
【0107】
ここで、「任意の元素」は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは、炭素元素、窒素元素、酸素元素、及び硫黄元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素である。任意の元素において(例えば、炭素元素、又は窒素元素の場合)、環を形成しない結合は、水素原子等で終端されてもよいし、後述する「任意の置換基」で置換されてもよい。炭素元素以外の任意の元素を含む場合、形成される環は複素環である。
単環または縮合環を構成する「1以上の任意の元素」は、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは2個以上15個以下であり、より好ましくは3個以上12個以下であり、さらに好ましくは3個以上5個以下である。
本明細書に別途記載のない限り、「単環」、及び「縮合環」のうち、好ましくは「単環」である。
本明細書に別途記載のない限り、「飽和の環」、及び「不飽和の環」のうち、好ましくは「不飽和の環」である。
本明細書に別途記載のない限り、「単環」は、好ましくはベンゼン環である。
本明細書に別途記載のない限り、「不飽和の環」は、好ましくはベンゼン環である。
「隣接する2つ以上からなる組の1組以上」が、「互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合、又は「互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合、本明細書に別途記載のない限り、好ましくは、隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、母骨格の複数の原子と、1個以上15個以下の炭素元素、窒素元素、酸素元素、及び硫黄元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素とからなる置換もしくは無置換の「不飽和の環」を形成する。
【0108】
上記の「単環」、又は「縮合環」が置換基を有する場合の置換基は、例えば後述する「任意の置換基」である。上記の「単環」、又は「縮合環」が置換基を有する場合の置換基の具体例は、上述した「本明細書に記載の置換基」の項で説明した置換基である。
上記の「飽和の環」、又は「不飽和の環」が置換基を有する場合の置換基は、例えば後述する「任意の置換基」である。上記の「単環」、又は「縮合環」が置換基を有する場合の置換基の具体例は、上述した「本明細書に記載の置換基」の項で説明した置換基である。
以上が、「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成する」場合、及び「隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する」場合(「結合して環を形成する場合」)についての説明である。
【0109】
・「置換もしくは無置換の」という場合の置換基
本明細書における一実施形態においては、前記「置換もしくは無置換の」という場合の置換基(本明細書において、「任意の置換基」と呼ぶことがある。)は、例えば、
無置換の炭素数1~50のアルキル基、
無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)、
-O-(R904)、
-S-(R905)、
-N(R906)(R907)、
ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、
無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、及び
無置換の環形成原子数5~50の複素環基
からなる群から選択される基等であり、
ここで、R901~R907は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基である。
901が2個以上存在する場合、2個以上のR901は、互いに同一であるか、又は異なり、
902が2個以上存在する場合、2個以上のR902は、互いに同一であるか、又は異なり、
903が2個以上存在する場合、2個以上のR903は、互いに同一であるか、又は異なり、
904が2個以上存在する場合、2個以上のR904は、互いに同一であるか、又は異なり、
905が2個以上存在する場合、2個以上のR905は、互いに同一であるか、又は異なり、
906が2個以上存在する場合、2個以上のR906は、互いに同一であるか、又は異なり、
907が2個以上存在する場合、2個以上のR907は、互いに同一であるか又は異なる。
【0110】
一実施形態においては、前記「置換もしくは無置換の」という場合の置換基は、
炭素数1~50のアルキル基、
環形成炭素数6~50のアリール基、及び
環形成原子数5~50の複素環基
からなる群から選択される基である。
【0111】
一実施形態においては、前記「置換もしくは無置換の」という場合の置換基は、
炭素数1~18のアルキル基、
環形成炭素数6~18のアリール基、及び
環形成原子数5~18の複素環基
からなる群から選択される基である。
【0112】
上記任意の置換基の各基の具体例は、上述した「本明細書に記載の置換基」の項で説明した置換基の具体例である。
【0113】
本明細書において別途記載のない限り、隣接する任意の置換基同士で、「飽和の環」、又は「不飽和の環」を形成してもよく、好ましくは、置換もしくは無置換の飽和の5員環、置換もしくは無置換の飽和の6員環、置換もしくは無置換の不飽和の5員環、又は置換もしくは無置換の不飽和の6員環を形成し、より好ましくは、ベンゼン環を形成する。
本明細書において別途記載のない限り、任意の置換基は、さらに置換基を有してもよい。任意の置換基がさらに有する置換基としては、上記任意の置換基と同様である。
【0114】
本明細書において、「AA~BB」を用いて表される数値範囲は、「AA~BB」の前に記載される数値AAを下限値とし、「AA~BB」の後に記載される数値BBを上限値として含む範囲を意味する。
【0115】
〔第1実施形態〕
[有機エレクトロルミネッセンス素子]
本実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と陰極との間に発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記陰極と前記発光層との間に第一の層を有し、前記第一の層の厚さは、50nm以上であり、前記第一の層は、下記一般式(1)の化合物を含み、ただし、前記第一の層は、金属ドープ材料を含まない、有機エレクトロルミネッセンス素子である。
【0116】
金属ドープ材料は、本明細書において、仕事関数が4.2eV以下である金属、金属化合物又は金属錯体である。仕事関数が4.2eV以下である金属、金属化合物又は金属錯体は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属を含む遷移金属、当該アルカリ金属を含む化合物、当該アルカリ土類金属を含む化合物、当該遷移金属を含む化合物、当該アルカリ金属を含む錯体、当該アルカリ土類金属を含む錯体、並びに当該遷移金属を含む錯体からなる群から選択されるいずれかの金属、金属化合物又は金属錯体である。金属ドープ材料としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、Cs(セシウム)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)及びバリウム(Ba)等の金属、炭酸セシウム等の金属化合物、並びにLiq等の金属錯体が挙げられる。
【0117】
本実施形態に係る有機EL素子は、発光層、及び第一の層以外に、1以上の有機層を有していてもよい。有機層としては、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層、電子輸送層、正孔障壁層及び電子障壁層からなる群から選択される少なくともいずれかの層が挙げられる。
【0118】
本実施形態に係る有機EL素子において、有機層は、発光層、及び第一の層だけで構成されていてもよいが、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、正孔障壁層、及び電子障壁層等からなる群から選択される少なくともいずれかの層をさらに有していてもよい。
【0119】
(有機EL素子の概略構成)
図1に、本実施形態に係る有機EL素子の一例の概略構成を示す。
有機EL素子1は、基板2と、陽極3と、陰極としての半透過性電極4と、陽極3と半透過性電極4との間に配置された有機層10と、を含む。有機EL素子1は、半透過性電極4の有機層とは反対側に配置されたキャッピング層8を含む。
【0120】
有機層10は、陽極3側から順に、正孔輸送帯域6、発光層5及び電子輸送帯域7が、この順番で積層されて構成される。
本実施形態に係る有機EL素子において、陽極3は、光反射層31及び透明電極32を含む。陽極3は、光反射層31及び透明電極32がこの順番で基板2側から積層されて構成される。
【0121】
本実施形態に係る有機EL素子において、正孔輸送帯域6は、正孔注入層61及び正孔輸送層62を含む。正孔輸送帯域6は、正孔注入層61及び正孔輸送層62がこの順番で透明電極32側から積層されて構成される。
本実施形態に係る有機EL素子において、電子輸送帯域7は、第一の層71及び電子注入層72を含む。電子輸送帯域7は、第一の層71及び電子注入層72がこの順番で発光層5側から積層されて構成される。
【0122】
本実施形態に係る有機EL素子において、前記発光層と前記第一の層とが、直接接することも好ましい。
【0123】
図1に示す本実施形態に係る有機EL素子の一例においては、発光層5と第一の層71とが直接接している。
【0124】
本実施形態に係る有機EL素子において、前記発光層と前記第一の層との間にさらに第二の層を有することも好ましい。
【0125】
図2に、本実施形態に係る有機EL素子の一例の概略構成を示す。
有機EL素子1Aは、基板2と、陽極3と、陰極としての半透過性電極4と、陽極3と半透過性電極4との間に配置された有機層10と、を含む。有機EL素子1Aは、半透過性電極4の有機層とは反対側に配置されたキャッピング層8を含む。
【0126】
有機EL素子1Aにおいても、有機層10は、陽極3側から順に、正孔輸送帯域6、発光層5、電子輸送帯域7Aが、この順番で積層されて構成される。
有機EL素子1Aにおいても、陽極3は、光反射層31及び透明電極32を含む。陽極3は、光反射層31及び透明電極32がこの順番で基板2側から積層されて構成される。
【0127】
有機EL素子1Aにおいても、正孔輸送帯域6は、正孔注入層61及び正孔輸送層62を含む。正孔輸送帯域6は、正孔注入層61及び正孔輸送層62がこの順番で透明電極32側から積層されて構成される。
有機EL素子1Aにおいて、電子輸送帯域7Aは、第一の層71、電子注入層72及び第二の層73を含む。電子輸送帯域7Aは、第二の層73、第一の層71及び電子注入層72がこの順番で発光層5側から積層されて構成される。
【0128】
本実施形態に係る有機EL素子において、前記陰極と前記第一の層との間にさらに第三の層を有することも好ましい。
【0129】
本実施形態に係る有機EL素子において、前記第三の層は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属の化合物、又はアルカリ土類金属の化合物を含む有機化合物層であることが好ましい。
【0130】
図3に、本実施形態に係る有機EL素子の一例の概略構成を示す。
有機EL素子1Bは、基板2と、陽極3と、陰極としての半透過性電極4と、陽極3と半透過性電極4との間に配置された有機層10と、を含む。有機EL素子1Bは、半透過性電極4の有機層とは反対側に配置されたキャッピング層8を含む。
【0131】
有機EL素子1Bにおいても、有機層10は、陽極3側から順に、正孔輸送帯域6、発光層5、電子輸送帯域7Bが、この順番で積層されて構成される。
有機EL素子1Bにおける陽極3及び正孔輸送帯域6は、有機EL素子1又は有機EL素子1Aと同様に構成される。
【0132】
有機EL素子1Bにおいて、電子輸送帯域7Bは、第一の層71、第三の層74及び電子注入層72を含む。電子輸送帯域7Bは、第一の層71、第三の層74及び電子注入層72がこの順番で発光層5側から積層されて構成される。
【0133】
図4に、本実施形態に係る有機EL素子の一例の概略構成を示す。
有機EL素子1Cは、基板2と、陽極3と、陰極としての半透過性電極4と、陽極3と半透過性電極4との間に配置された有機層10と、を含む。有機EL素子1Cは、半透過性電極4の有機層とは反対側に配置されたキャッピング層8を含む。
【0134】
有機EL素子1Cにおいても、有機層10は、陽極3側から順に、正孔輸送帯域6、発光層5、電子輸送帯域7Cが、この順番で積層されて構成される。
有機EL素子1Cにおける陽極3及び正孔輸送帯域6は、有機EL素子1又は有機EL素子1Aと同様に構成される。
【0135】
有機EL素子1Cにおいて、電子輸送帯域7Cは、第一の層71、第二の層73、第三の層74及び電子注入層72を含む。電子輸送帯域7Cは、第二の層73、第一の層71、第三の層74及び電子注入層72がこの順番で発光層5側から積層されて構成される。
【0136】
本実施形態に係る有機EL素子において、前記陰極の前記発光層側の界面と、前記発光層の前記陰極側の界面との間隔Dが、前記陽極の前記発光層側の界面と、前記発光層の前記陽極側の界面との間隔Dよりも大きいことが好ましい。
【0137】
有機EL素子1、有機EL素子1A、有機EL素子1B又は有機EL素子1Cにおいても、陰極としての半透過性電極4の発光層5側の界面と、発光層5の陰極としての半透過性電極4側の界面との間隔Dが、陽極3の発光層5側の界面と、発光層5の陽極3の界面との間隔Dよりも大きいことが好ましい。
【0138】
(第一の層)
第一の層は、陰極と発光層との間に配置される層である。
例えば、有機EL素子1において、第一の層71は、発光層5と電子注入層72との間に配置される層である。有機EL素子1Aにおいて、第一の層71は、第二の層73と電子注入層72との間に配置される層である。有機EL素子1Bにおいて、第一の層71は、発光層と第三の層74との間に配置される層である。有機EL素子1Cにおいて、第一の層71は、第二の層73と第三の層74との間に配置される層である。
【0139】
第一の層の厚さは、50nm以上であり、光学干渉の条件の観点から、100nm以上であることが好ましく、120nm以上であることがより好ましい。
【0140】
第一の層の厚さは、160nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましい。
【0141】
第一の層の厚さは、陰極と発光層との間に配置される第一の層以外の層の厚さよりも厚いことが好ましい。例えば、図1に示す有機EL素子1の場合、第一の層71の厚さは、電子注入層72の厚さよりも厚いことが好ましい。また、図2に示す有機EL素子1Aの場合、第一の層71の厚さは、第二の層73の厚さ及び電子注入層72の厚さよりも厚いことが好ましい。
【0142】
・一般式(1)の化合物
本実施形態に係る有機EL素子の第一の層は、下記一般式(1)で表される化合物を含有する。
【0143】
【化23】
【0144】
(前記一般式(1)において、
Aは、
置換もしくは無置換の環形成炭素数13以上50以下の縮合アリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数14以上50以下の縮合複素環基であり、
は、
単結合、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基、または
置換もしくは無置換の環形成原子数5以上30以下の2価の複素環基であり、
、X及びXは、それぞれ独立に、窒素原子、又はCRであり、
ただし、X、X及びXのうち1つ以上は窒素原子であり、
、R及びRのうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR、R及びRは、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または
置換もしくは無置換の環形成原子数5以上30以下の複素環基であり、
複数のRが存在する場合、複数のRは、互いに同一であるか又は異なる。)
【0145】
縮合アリール基は、本明細書において、複数の単環としての芳香族炭化水素環が縮合した環構造から1つの水素原子を除くことにより誘導される1価のアリール基である。縮合アリール基としては、例えば、1-ナフチル基、2-ナフチル基、アントリル基、ベンゾアントリル基、フェナントリル基、ベンゾフェナントリル基、フェナレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ベンゾクリセニル基、トリフェニレニル基、ベンゾトリフェニレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、フルオレニル基、9,9’-スピロビフルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、フルオランテニル基、ベンゾフルオランテニル基、ペリレニル基、及び前記一般式(TEMP-1)~(TEMP-15)で表される環構造から1つの水素原子を除くことにより誘導される1価のアリール基である。本明細書における縮合アリール基は、複数の単環が単結合で連結して構成される基(例えば、ビフェニル基、ターフェニル基等)を、含まない。
【0146】
本実施形態に係る有機EL素子において、環形成炭素数13以上50以下の縮合アリール基は、上記縮合アリール基のうち環形成炭素数13以上50以下の基である。
【0147】
縮合複素環基は、本明細書において、少なくとも1つの単環としての複素環と、単環としての複素環及び単環としての芳香族炭化水素環からなる群から選択される少なくとも1つの環とが縮合した環構造から1つの水素原子を除くことにより誘導される1価の複素環基である。縮合複素環基としては、例えば、
インドリル基、
イソインドリル基、
インドリジニル基、
キノリジニル基、
キノリル基、
イソキノリル基、
シンノリル基、
フタラジニル基、
キナゾリニル基、
キノキサリニル基、
ベンゾイミダゾリル基、
インダゾリル基、
フェナントロリニル基、
フェナントリジニル基、
アクリジニル基、
フェナジニル基、
カルバゾリル基、
ベンゾカルバゾリル基、
モルホリノ基、
フェノキサジニル基、
フェノチアジニル基、
アザカルバゾリル基、
ジアザカルバゾリル基、
キサンテニル基、
ベンゾフラニル基、
イソベンゾフラニル基、
ジベンゾフラニル基、
ナフトベンゾフラニル基、
ベンゾオキサゾリル基、
ベンゾイソキサゾリル基、
フェノキサジニル基、
モルホリノ基、
ジナフトフラニル基、
アザジベンゾフラニル基、
ジアザジベンゾフラニル基、
アザナフトベンゾフラニル基、
ジアザナフトベンゾフラニル基、
ベンゾチオフェニル基(ベンゾチエニル基)、
イソベンゾチオフェニル基(イソベンゾチエニル基)、
ジベンゾチオフェニル基(ジベンゾチエニル基)、
ナフトベンゾチオフェニル基(ナフトベンゾチエニル基)、
ベンゾチアゾリル基、
ベンゾイソチアゾリル基、
フェノチアジニル基、
ジナフトチオフェニル基(ジナフトチエニル基)、
アザジベンゾチオフェニル基(アザジベンゾチエニル基)、
ジアザジベンゾチオフェニル基(ジアザジベンゾチエニル基)、
アザナフトベンゾチオフェニル基(アザナフトベンゾチエニル基)、
ジアザナフトベンゾチオフェニル基(ジアザナフトベンゾチエニル基)、及び
前記一般式(TEMP-16)~(TEMP-33)で表される環構造から1つの水素原子を除くことにより誘導される1価の複素環基である。
【0148】
本実施形態に係る有機EL素子において、環形成原子数14以上50以下の縮合複素環基は、上記縮合複素環基のうち環形成原子数14以上50以下の基である。
【0149】
本実施形態に係る有機EL素子において、前記一般式(1)の化合物は、下記一般式(A1)の化合物であることも好ましい。
【0150】
【化24】
【0151】
(前記一般式(A1)において、
~X、R~R及びLは、それぞれ、前記一般式(1)における定義と同じであり、
11~R20のうち1つがLとの結合位置*であり、
との結合位置ではないR11~R20のうち隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
との結合位置ではなく、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR11~R20は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R801で表される基、
-COOR802で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
901、R902、R903、R904、R905、R906、R907、R801及びR802は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
901が複数存在する場合、複数のR901は、互いに同一であるか又は異なり、
902が複数存在する場合、複数のR902は、互いに同一であるか又は異なり、
903が複数存在する場合、複数のR903は、互いに同一であるか又は異なり、
904が複数存在する場合、複数のR904は、互いに同一であるか又は異なり、
905が複数存在する場合、複数のR905は、互いに同一であるか又は異なり、
906が複数存在する場合、複数のR906は、互いに同一であるか又は異なり、
907が複数存在する場合、複数のR907は、互いに同一であるか又は異なり、
801が複数存在する場合、複数のR801は、互いに同一であるか又は異なり、
802が複数存在する場合、複数のR802は、互いに同一であるか又は異なる。)
【0152】
本実施形態に係る有機EL素子において、隣接するR12及びR13からなる組が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、又は互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する場合、前記一般式(1)の化合物は、下記一般式(A-Q1)で表される。
本実施形態に係る有機EL素子において、隣接するR13及びR14からなる組が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、又は互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する場合、前記一般式(1)の化合物は、下記一般式(A-Q2)で表される。
【0153】
【化25】
【0154】
【化26】
【0155】
(前記一般式(A-Q1)及び(A-Q2)において、
環Q1及び環Q2は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の単環、又は置換もしくは無置換の縮合環であり、
~X、R~R及びLは、それぞれ、前記一般式(1)における定義と同じであり、
との結合位置ではなく、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR11~R20は、それぞれ独立に、前記一般式(1)における定義と同じである。)
【0156】
環Q1及び環Q2は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素環、又は置換もしくは無置換の芳香族複素環であることが好ましい。
【0157】
本実施形態に係る有機EL素子において、Lとの結合位置ではなく、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR11~R20のうち2つ以上は、水素原子ではないことが好ましい。
【0158】
本実施形態に係る有機EL素子において、Lとの結合位置ではなく、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR11~R20のうち2つ以上は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であることが好ましい。
【0159】
本実施形態に係る有機EL素子において、R19及びR20は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であることが好ましい。
【0160】
本実施形態に係る有機EL素子において、R12、R13、R16又はR17がLとの結合位置であることも好ましい。R13がLとの結合位置である場合、前記一般式(1)の化合物は、下記一般式(A1-1)で表される。
【0161】
本実施形態に係る有機EL素子において、前記一般式(1)の化合物は、下記一般式(A1-1)の化合物であることも好ましい。
【0162】
【化27】
【0163】
(前記一般式(A1-1)において、
~X、R~R及びLは、それぞれ、前記一般式(1)における定義と同じであり、
11、R12、R14~R20のうち隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
との結合位置ではなく、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR11、R12、R14~R20は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R801で表される基、
-COOR802で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
901、R902、R903、R904、R905、R906、R907、R801及びR802は、それぞれ、前記一般式(A1)における定義と同じである。)
【0164】
前記一般式(A1-1)において、R19及びR20は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であることが好ましい。
【0165】
本実施形態に係る有機EL素子において、R19又はR20がLとの結合位置であることも好ましい。R20がLとの結合位置である場合、前記一般式(1)の化合物は、下記一般式(A1-2)で表される。
【0166】
本実施形態に係る有機EL素子において、前記一般式(1)の化合物は、下記一般式(A1-2)の化合物であることも好ましい。
【0167】
【化28】
【0168】
(前記一般式(A1-2)において、
~X、R~R及びLは、それぞれ、前記一般式(1)における定義と同じであり、
11~R19のうち隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
との結合位置ではなく、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR11~R19は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R801で表される基、
-COOR802で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
901、R902、R903、R904、R905、R906、R907、R801及びR802は、それぞれ、前記一般式(A1)における定義と同じである。)
【0169】
本実施形態に係る有機EL素子において、
19は、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であることが好ましい。
【0170】
本実施形態に係る有機EL素子において、
19は、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
及びRは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6以上50以下のアリール基であることが好ましい。
【0171】
本実施形態に係る有機EL素子において、前記一般式(1)の化合物は、下記一般式(B1)の化合物であることも好ましい。
【0172】
【化29】
【0173】
(前記一般式(B1)において、
~X、R~R及びLは、それぞれ、前記一般式(1)における定義と同じであり、
21~R28のうち1つがLとの結合位置*であり、
との結合位置ではないR21~R28は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R801で表される基、
-COOR802で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
及びRからなる組が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR及びRは、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
901、R902、R903、R904、R905、R906、R907、R801及びR802は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
901が複数存在する場合、複数のR901は、互いに同一であるか又は異なり、
902が複数存在する場合、複数のR902は、互いに同一であるか又は異なり、
903が複数存在する場合、複数のR903は、互いに同一であるか又は異なり、
904が複数存在する場合、複数のR904は、互いに同一であるか又は異なり、
905が複数存在する場合、複数のR905は、互いに同一であるか又は異なり、
906が複数存在する場合、複数のR906は、互いに同一であるか又は異なり、
907が複数存在する場合、複数のR907は、互いに同一であるか又は異なり、
801が複数存在する場合、複数のR801は、互いに同一であるか又は異なり、
802が複数存在する場合、複数のR802は、互いに同一であるか又は異なる。)
【0174】
本実施形態に係る有機EL素子において、R及びRは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基であることが好ましい。
【0175】
本実施形態に係る有機EL素子において、R及びRは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のフェニル基であることが好ましい。
【0176】
本実施形態に係る有機EL素子において、前記一般式(B1)の化合物は、下記一般式(B1-1)の化合物であることが好ましい。
【0177】
【化30】
【0178】
(前記一般式(B1-1)において、
~X、R~R及びLは、それぞれ、前記一般式(1)における定義と同じであり、
21~R28は、それぞれ、前記一般式(B1)における定義と同じであり、
環Bは、置換もしくは無置換の単環、又は置換もしくは無置換の縮合環である。)
【0179】
環Bは、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素環、又は置換もしくは無置換の芳香族複素環であることが好ましい。
【0180】
本実施形態に係る有機EL素子において、前記一般式(B1)の化合物は、下記一般式(B1-1A)の化合物であることが好ましい。
【0181】
【化31】
【0182】
(前記一般式(B1-1A)において、
~X、R~R及びLは、それぞれ、前記一般式(1)における定義と同じであり、
21~R28は、それぞれ、前記一般式(B1)における定義と同じであり、
環B及び環Bは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の単環、又は置換もしくは無置換の縮合環である。)
【0183】
環B及び環Bは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素環、又は置換もしくは無置換の芳香族複素環であることが好ましい。
【0184】
本実施形態に係る有機EL素子において、前記一般式(B1)の化合物は、下記一般式(B1-2)の化合物であることが好ましい。
【0185】
【化32】
【0186】
(前記一般式(B1-2)において、
~X、R~R及びLは、それぞれ、前記一般式(1)における定義と同じであり、
21~R28は、それぞれ、前記一般式(B1-1)における定義と同じであり、
211~R218のうち隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR211~R218は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R801で表される基、
-COOR802で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
901、R902、R903、R904、R905、R906、R907、R801及びR802は、それぞれ、前記一般式(B1)における定義と同じである。)
【0187】
との結合位置ではないR211~R218は、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないことが好ましい。
【0188】
本実施形態に係る有機EL素子において、R21又はR28がLとの結合位置*であることも好ましい。
本実施形態に係る有機EL素子において、R22又はR27がLとの結合位置*であることも好ましい。
本実施形態に係る有機EL素子において、R23又はR26がLとの結合位置*であることも好ましい。
本実施形態に係る有機EL素子において、R24又はR25がLとの結合位置*であることも好ましい。
【0189】
本実施形態に係る有機EL素子において、例えば、R25がLとの結合位置*である場合、前記一般式(B1)の化合物は、下記一般式(B1-3)で表される。
【0190】
【化33】
【0191】
(前記一般式(B1-3)において、
~X、R~R及びLは、それぞれ、前記一般式(1)における定義と同じであり、
、R、R21~R24及びR26~R28は、それぞれ、前記一般式(B1)における定義と同じである。)
【0192】
本実施形態に係る有機EL素子において、
Aは、
置換もしくは無置換の環形成炭素数13以上30以下の縮合アリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数14以上30以下の縮合複素環基であることが好ましい。
【0193】
本実施形態に係る有機EL素子において、
Aは、
置換もしくは無置換の環形成炭素数13以上20以下の縮合アリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数14以上20以下の縮合複素環基であることが好ましい。
【0194】
本実施形態に係る有機EL素子において、Aは、置換もしくは無置換の環形成原子数14以上20以下の縮合複素環基であることが好ましい。
【0195】
本実施形態に係る有機EL素子において、Aは、環形成原子として2つ以上のヘテロ原子を含む縮合複素環基であることも好ましい。ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、及びホウ素原子が挙げられる。
【0196】
本実施形態に係る有機EL素子において、前記一般式(1)の化合物は、下記一般式(C1)の化合物であることも好ましい。
【0197】
【化34】
【0198】
(前記一般式(C1)において、
は、酸素原子又は硫黄原子であり、
~X、R~R及びLは、それぞれ、前記一般式(1)における定義と同じであり、
131~R139のうち1つがLとの結合位置*であり、
との結合位置ではないR131~R139のうち隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、
互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
との結合位置ではなく、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR131~R139は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R801で表される基、
-COOR802で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
901、R902、R903、R904、R905、R906、R907、R801及びR802は、それぞれ、前記一般式(A1)における定義と同じである。)
【0199】
本実施形態に係る有機EL素子において、X、X及びXのうち1つが窒素原子であることも好ましい。
【0200】
本実施形態に係る有機EL素子において、
が窒素原子であり、
及びXが、CRであり、
は、前記一般式(1)における定義と同じであり、
2つのRは、互いに同一であるか又は異なることも好ましい。
【0201】
本実施形態に係る有機EL素子において、前記一般式(1)の化合物は、下記一般式(1-N1)又は一般式(1-N11)の化合物であることも好ましい。
【0202】
【化35】
【0203】
【化36】
【0204】
(前記一般式(1-N1)及び一般式(1-N11)において、R、R、R、L及びAは、それぞれ、前記一般式(1)における定義と同じである。)
【0205】
本実施形態に係る有機EL素子において、前記一般式(1)の化合物は、下記一般式(1-N2)又は一般式(1-N21)の化合物であることも好ましい。
【0206】
【化37】
【0207】
【化38】
【0208】
(前記一般式(1-N2)及び一般式(1-N21)において、R、R、R、L及びAは、それぞれ、前記一般式(1)における定義と同じである。)
【0209】
本実施形態に係る有機EL素子において、X、X及びXが窒素原子であることも好ましい。
【0210】
本実施形態に係る有機EL素子において、前記一般式(1)の化合物は、下記一般式(1-N1)の化合物であることも好ましい。
【0211】
【化39】
【0212】
(前記一般式(1-N3)において、R、R、L及びAは、それぞれ、前記一般式(1)における定義と同じである。)
【0213】
本実施形態に係る有機EL素子において、前記一般式(1)の化合物は、下記一般式(A1-N3)の化合物であることも好ましい。
【0214】
【化40】
【0215】
(前記一般式(A1-N3)において、R、R、L、R11~R20及び*は、それぞれ、前記一般式(A1)における定義と同じである。)
【0216】
本実施形態に係る有機EL素子において、前記一般式(1)の化合物は、下記一般式(A1-N31)又は(A1-N32)の化合物であることも好ましい。
【0217】
【化41】
【0218】
【化42】
【0219】
(前記一般式(A1-N31)及び(A1-N32)において、
、R及びLは、それぞれ、前記一般式(1)における定義と同じであり、
11~R20は、それぞれ独立に、前記一般式(A1)における定義と同じである。)
【0220】
本実施形態に係る有機EL素子において、前記一般式(1)の化合物は、下記一般式(B1-N3)の化合物であることも好ましい。
【0221】
【化43】
【0222】
(前記一般式(B1-N3)において、
、R及びLは、それぞれ、前記一般式(1)における定義と同じであり、
、R及びR21~R28は、それぞれ独立に、前記一般式(B1)における定義と同じである。)
【0223】
本実施形態に係る有機EL素子において、R及びRは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6以上50以下のアリール基であることが好ましい。
【0224】
本実施形態に係る有機EL素子において、R及びRは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基であることが好ましい。
【0225】
本実施形態に係る有機EL素子において、
及びRは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基であり、
、X及びXが窒素原子であることも好ましい。
【0226】
本実施形態に係る有機EL素子において、
19及びR20は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
及びRは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6以上50以下のアリール基であることが好ましい。
【0227】
本実施形態に係る有機EL素子において、R及びRは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6以上18以下のアリール基であることが好ましい。
【0228】
本実施形態に係る有機EL素子において、XがCRであって、R及びRからなる組が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、又は互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する場合、前記一般式(1)の化合物は、下記一般式(1-P1)で表される。
本実施形態に係る有機EL素子において、XがCRであって、R及びRからなる組が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、又は互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する場合、前記一般式(1)の化合物は、下記一般式(1-P2)で表される。
本実施形態に係る有機EL素子において、XがCRであって、R及びRからなる組が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、又は互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する場合、前記一般式(1)の化合物は、下記一般式(1-P3)で表される。
本実施形態に係る有機EL素子において、XがCRであって、R及びRからなる組が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、又は互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成する場合、前記一般式(1)の化合物は、下記一般式(1-P4)で表される。
【0229】
【化44】
【0230】
(前記一般式(1-P1)~(1-P4)において、
環P1、環P2、環P3及び環P4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の単環又は置換もしくは無置換の縮合環であり、
、X、X、R、R、R、L及びAは、それぞれ、前記一般式(1)における定義と同じである。)
【0231】
環P1、環P2、環P3及び環P4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素環、又は置換もしくは無置換の芳香族複素環であることが好ましい。
【0232】
本実施形態に係る有機EL素子において、前記一般式(1)の化合物は、下記一般式(1-P11)、(1-P21)、(1-P31)又は(1-P41)の化合物であることも好ましい。
【0233】
【化45】
【0234】
【化46】
【0235】
(前記一般式(1-P11)、(1-P21)、(1-P31)及び(1-P41)において、
141~R144は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または
置換もしくは無置換の環形成原子数5以上30以下の複素環基であり、
、X、X、R、R、R、L及びAは、それぞれ、前記一般式(1)における定義と同じである。)
【0236】
本実施形態に係る有機EL素子において、Lは、単結合であることも好ましい。
【0237】
本実施形態に係る有機EL素子において、Lが単結合である場合、前記一般式(1)の化合物は、下記一般式(1-L1)で表される。
【0238】
【化47】
【0239】
(前記一般式(1-L1)において、X、X、X、R、R、R及びAは、それぞれ、前記一般式(1)における定義と同じである。)
【0240】
本実施形態に係る有機EL素子において、Lは、下記一般式(L1-1)、(L1-2)又は(L1-3)の2価の基であることも好ましい。
【0241】
【化48】
【0242】
(前記一般式(L1-1)、(L1-2)及び(L1-3)において、
~Yは、それぞれ独立に、窒素原子、又はCRであり、
は、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、
置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、
-O-(R904)で表される基、
-S-(R905)で表される基、
-N(R906)(R907)で表される基、
置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、
-C(=O)R801で表される基、
-COOR802で表される基、
ハロゲン原子、
シアノ基、
ニトロ基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり
が複数存在する場合、複数のRは、互いに同一であるか又は異なり、
*は、結合位置であり、
901、R902、R903、R904、R905、R906、R907、R801及びR802は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、
901が複数存在する場合、複数のR901は、互いに同一であるか又は異なり、
902が複数存在する場合、複数のR902は、互いに同一であるか又は異なり、
903が複数存在する場合、複数のR903は、互いに同一であるか又は異なり、
904が複数存在する場合、複数のR904は、互いに同一であるか又は異なり、
905が複数存在する場合、複数のR905は、互いに同一であるか又は異なり、
906が複数存在する場合、複数のR906は、互いに同一であるか又は異なり、
907が複数存在する場合、複数のR907は、互いに同一であるか又は異なり、
801が複数存在する場合、複数のR801は、互いに同一であるか又は異なり、
802が複数存在する場合、複数のR802は、互いに同一であるか又は異なる。)
【0243】
本実施形態に係る有機EL素子において、前記一般式(1)の化合物は、下記一般式(1-L2)、(1-L3)又は(1-L4)の化合物であることも好ましい。
【0244】
【化49】
【0245】
(前記一般式(1-L2)、(1-L3)及び(1-L4)において、X、X、X、R、R、R及びAは、それぞれ、前記一般式(1)における定義と同じであり、Y~Yは、前記一般式(L1-1)、(L1-2)及び(L1-3)における定義と同じである。)
【0246】
本実施形態に係る有機EL素子において、Lは、前記一般式(L1-1)又は(L1-2)の2価の基であることも好ましい。
【0247】
本実施形態に係る有機EL素子において、前記一般式(A1-2)中のLが、前記一般式(L1-1)の2価の基である場合、材料一般式(1)の化合物は、下記一般式(A1-L1)で表される。
【0248】
【化50】
【0249】
(前記一般式(A1-L1)において、
~X及びR~Rは、それぞれ、前記一般式(1)における定義と同じであり、
11~R19は、それぞれ独立に、前記一般式(A1-2)における定義と同じであり、
、Y、Y及びYは、それぞれ独立に、前記一般式(L1-1)における定義と同じである。)
【0250】
本実施形態に係る有機EL素子において、前記一般式(A1-1)中のLが、前記一般式(L1-2)の2価の基である場合、材料一般式(1)の化合物は、下記一般式(A1-L2)で表される。
【0251】
【化51】
【0252】
(前記一般式(A1-L2)において、
~X、R~Rは、それぞれ、前記一般式(1)における定義と同じであり、
11、R12、R14~R20は、それぞれ独立に、前記一般式(A1-1)における定義と同じであり、
、Y、Y及びYは、それぞれ独立に、前記一般式(L1-2)における定義と同じである。)
【0253】
本実施形態に係る有機EL素子において、結合位置ではないY~Yは、CRであり、Rは、水素原子であることが好ましい。
【0254】
本実施形態に係る有機EL素子において、Lは、下記一般式(L1-1H)、(L1-2H)又は(L1-3H)の2価の基であることも好ましい。
【0255】
【化52】
【0256】
本実施形態に係る有機EL素子において、Lは、前記一般式(L1-1H)又は(L1-2H)の2価の基であることも好ましい。
【0257】
本実施形態に係る有機EL素子において、前記一般式(1)の化合物において、「置換もしくは無置換」と記載された基は、いずれも「無置換」の基であることが好ましい。
【0258】
第一の層における前記一般式(1)の化合物の含有率は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%であることがさらに好ましい。第一の層が、前記一般式(1)の化合物以外の材料を含むことを除外しないが、第一の層は、金属ドープ材料を含まない。
第一の層は、実質的に一般式(1)の化合物のみからなることも好ましい。実質的にとは、第一の層を形成する際の原料に由来して不可避的に混入してしまう不純物等も微量ながら含まれる場合を意味する。
第一の層は、前記一般式(1)の化合物のみからなることも好ましい。
【0259】
(一般式(1)の化合物の製造方法)
前記一般式(1)の化合物は、公知の方法により製造できる。また、前記一般式(1)の化合物は、公知の方法に倣い、目的物に合わせた既知の代替反応及び原料を用いることによっても、製造できる。
【0260】
(一般式(1)の化合物の具体例)
前記一般式(1)の化合物の具体例としては、例えば、以下の化合物挙げられる。ただし、本発明は、これら具体例に限定されない。
【0261】
【化53】
【0262】
【化54】
【0263】
【化55】
【0264】
【化56】
【0265】
【化57】
【0266】
【化58】
【0267】
【化59】
【0268】
[共振器構造]
本実施形態に係る有機EL素子は、光反射層と、陰極としての半透過性電極との間で干渉次数が一次の共振器構造を有することが好ましい。
例えば、有機EL素子1が、干渉次数が一次の共振器構造を有する場合、具体的には、有機EL素子1は、光反射層31と半透過性電極4との間で干渉次数が一次の共振器構造を有する。有機EL素子1における光反射層31と半透過性電極4との間隔Dは、正孔輸送帯域6の厚さ、発光層5の厚さ及び電子輸送帯域7の厚さの和に相当する。有機EL素子1A、有機EL素子1B及び有機EL素子1Cについても、有機EL素子1と同様に、干渉次数が一次の共振器構造を有することが好ましい。
【0269】
以下に有機EL素子における共振器構造について説明する。
有機EL素子を、光反射層31と半透過性電極4との間で発光光を共振させて取り出す共振器構造とすることで、取り出し光の色純度を向上させ、共振の中心波長付近の取り出し光の強度を向上させることができる。
光反射層31の発光層5側の反射端面を第1端部P1とし、半透過性電極4の発光層5側の反射端面を第2端部P2とし、有機層(正孔輸送帯域6、発光層5及び電子輸送帯域7)を共振部として、発光層5で発生した光を共振させて第2端部P2側から取り出す共振器構造とした場合には、下記数式(OP1)を満たすように、共振器の第1端部P1と第2端部P2との間の光学的距離Lを設定する。光学的距離Lは、実際には、数式(OP1)を満たす正の最小値となるように選択することが好ましい。
【0270】
【数1】
【0271】
上記数式(OP1)における記号の説明は、以下の通りである。
Lは、第1端部P1と第2端部P2との間の光学的距離である。
Φは、第1端部P1で生じる反射光の位相シフトΦ1と第2端部P2で生じる反射光の位相シフトΦ2との和(Φ=Φ1+Φ2)であり、位相シフトの単位は、radである。
λは、第2端部P2の側から取り出したい光のスペクトルのピーク波長である。
mは、Lが正となる整数であり、mは、干渉次数に相当する。mが1のとき、有機EL素子は、干渉次数が一次である共振器構造を有する。
数式(OP1)において、L及びλは、単位が共通すればよく、L及びλの単位は、例えば、nmである。
【0272】
光学的距離Lは、光反射層31と半透過性電極4との間の有機層の光学膜厚(=屈折率(n)×膜厚(d))の総和(=n+n+・・・)である。なお、実際に光反射層31並びに半透過性電極4にて光が反射する際、反射界面を構成する電極材料及び有機材料の組み合わせにより、位相シフトの和Φが変化する。
【0273】
本実施形態に係る有機EL素子においては、発光層5の最大発光位置と第1端部P1との間の光学的距離Lが下記数式(OP2)を満たし、最大発光位置と第2端部P2との間の光学的距離Lが下記数式(OP3)を満たすように調整されていることが好ましい。ここで、最大発光位置とは、発光領域のうちで最も発光強度が大きい位置を言う。例えば、発光層5の光反射層31側の界面及び半透過性電極4側の界面の両方で発光する場合、最大発光位置は、それら界面の内、発光強度が大きい方の界面である。
【0274】
【数2】
【0275】
上記数式(OP2)における記号の説明は、以下の通りである。
tLは、第1端部P1と最大発光位置との間の光学的理論距離である。
は、発光層5における発光分布に基づく補正量である。
λは、取り出したい光のスペクトルのピーク波長である。
Φは、第1端部P1で生じる反射光の位相シフトであり、単位は、radである。
は、0又は整数である。本実施形態に係る有機EL素子において、mは、0であることが好ましい。mが0であるときの光学的距離Lの位置が光反射層31側からみた「0次干渉位置」に相当する。
【0276】
【数3】
【0277】
上記数式(OP3)における記号の説明は、以下の通りである。
tLは、第2端部P2と最大発光位置との間の光学的理論距離である。
は、発光層5における発光分布に基づく補正量である。
λは、取り出したい光のスペクトルのピーク波長である。
Φは、第2端部P2で生じる反射光の位相シフトであり、単位は、radである。
は、0または整数である。mは、1であることが好ましい。
が0であり、mが1であることがより好ましい。mが1であるときの光学的距離Lの位置が半透過性電極4側からみた「1次干渉位置」に相当する。
【0278】
上記数式(OP2)は、発光層5で発生した光のうち光反射層31の方へ向かう光が第1端部P1で反射して戻ってきたときに、その戻り光の位相と発光時の位相とが同一となり、発光した光のうち半透過性電極4の方へ向かう光と強め合う関係となるようにするための条件を表す。
また、数式(OP3)は、発光層5で発生した光のうち半透過性電極4の方へ向かう光が第2端部P2で反射して戻ってきたときに、その戻り光の位相と発光時の位相とが同一となり、発光した光のうち光反射層31の方へ向かう光と強め合う関係となるようにするための条件を表す。
【0279】
本実施形態の有機EL素子では、電子輸送帯域7の膜厚を正孔輸送帯域6の膜厚よりも厚く形成することで、上記数式(OP2)及び(OP3)中のm及びmが、m>mとなるように設計することが可能である。m>mとなるように設計することにより、本実施形態に係る有機EL素子の視野角を改善できる。
【0280】
尚、数式(OP2)の光学的理論距離tL及び数式(OP3)の光学的理論距離tLは、発光領域に広がりがないと考えた場合に、第1端部P1又は第2端部P2での位相変化量と、進行することでの位相変化量がちょうど打ち消し合い、戻り光の位相と発光時の位相とが同一となる理論値である。ただし、発光領域には通常広がりがあるので、数式(OP2)及び数式(OP3)では、発光分布に基づく補正量a及びaが加えられている。
【0281】
補正量a及びaは、発光分布により異なるが、最大発光位置が発光層5の半透過性電極4側にあり、発光分布が最大発光位置から光反射層31側に広がっている場合、又は最大発光位置が発光層5の光反射層31側にあり、発光分布が最大発光位置から半透過性電極4側に広がっている場合には、例えば、下記数式(OP4)により補正量a及びaを求めることができる。
【0282】
【数4】
【0283】
上記数式(OP4)における記号の説明は、以下の通りである。
bは、発光層5における発光分布が最大発光位置から光反射層31の方向へ広がっている場合には2n≦b≦6nの範囲内の値であり、最大発光位置から半透過性電極4の方向へ広がっている場合には-6n≦b≦-2nの範囲内の値である。
sは、発光層5における発光分布に関する物性値(1/e減衰距離)である。
nは、取り出したい光のスペクトルのピーク波長λにおける第1端部P1と第2端部P2との間の平均屈折率である。
【0284】
以上が有機EL素子における共振器構造の説明である。
【0285】
(層又は帯域の膜厚の測定方法)
有機EL素子が含む各層又は帯域の厚さ(膜厚)は、以下のように測定できる。
測定対象となる層又は帯域を有する有機EL素子の中心部を、測定対象の層又は帯域の形成面に対して垂直方向(つまり有機層の厚さ方向)に切断し、その中心部の切断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察して、膜厚を測定する。
例えば、有機EL素子の発光層の膜厚を測定する場合、測定対象となる層を有する有機EL素子の中心部を、発光層の形成面に対して垂直方向(つまり発光層の厚さ方向)に切断し、その中心部の切断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察して、膜厚を測定する。有機EL素子の中心部は、例えば、図1図4中、符号CLで示す。
なお、有機EL素子の中心部とは、有機EL素子を半透過性電極側から投影した形状の中心部を意味し、例えば、投影形状が矩形状である場合には矩形の対角線の交点を意味する。
本明細書において、厚さとは、目的とする帯域又は層がそれぞれ複数層で構成される場合、複数の層の厚さの和を意味する。
【0286】
(光反射層)
光反射層31は、透明電極32と直接接している。
光反射層31の透明電極32との界面における反射率は、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
光反射層31は、金属層であることが好ましい。金属層を構成する金属としては、特に限定されないが、例えば、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)及び銀(Ag)からなる群から選択される金属、並びにこれら金属の群から選択される複数種の金属を含む合金等が挙げられる。光反射層31としては、例えば、APC層が挙げられる。APCは、銀(Ag)、パラジウム(Pd)及び銅(Cu)の合金である。光反射層31に用いることのできる材料は、上記材料に限定されない。
【0287】
(透明電極)
透明電極32は、光反射層31と正孔輸送帯域6との間に含まれる。
透明電極32は、光反射層31と直接接する。透明電極32は、正孔輸送帯域6と直接接していることが好ましい。
透明電極32は、透明導電膜であることが好ましい。透明電極32としての透明導電膜は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)膜及びインジウム亜鉛酸化物膜等が挙げられる。透明電極に用いることのできる化合物は、上記化合物に限定されない。
透明電極32の透過率は、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。透明電極32の透過率は、100%以下であることが好ましい。多重反射による減衰を抑える観点から、透明電極32の消光係数は、0.05以下であることが好ましく、0.01以下であることがより好ましい。
【0288】
透明電極32の膜厚は、15nm以下であることが好ましい。
透明電極32の膜厚は、5nm以上であることが好ましい。
透明電極32の膜厚は、前述の「層又は帯域の膜厚の測定方法」によって測定することができる。透明電極32の膜厚が15nm以下であることによって、正孔輸送帯域6及び透明電極32の膜厚の和を40nm未満に維持しながら、正孔輸送帯域6の膜厚を厚くすることができる。透明電極32の膜厚が5nm以上であることによって、正孔を安定的に注入することができる。
【0289】
(正孔輸送帯域)
正孔輸送帯域6は、少なくとも透明電極32と発光層5との間に含まれる。
正孔輸送帯域6の膜厚は、10nm以上、25nm未満であることが好ましく、10nm以上、20nm以下であることがより好ましい。
正孔輸送帯域6の膜厚は、前述の「層又は帯域の膜厚の測定方法」によって測定することができる。
【0290】
本実施形態に係る有機EL素子における透明電極32及び正孔輸送帯域6の膜厚の和が40nm未満であることが好ましい。
本実施形態に係る有機EL素子における透明電極32及び正孔輸送帯域6の膜厚の和が40nm未満であることによって、視野角を改善できる。
【0291】
本実施形態に係る有機EL素子における透明電極32及び正孔輸送帯域6の膜厚の和が15nm以上であることが好ましい。
【0292】
正孔輸送帯域とは、正孔が移動する領域を意味する。正孔輸送帯域における正孔移動度μは、10-6[cm/(V・s)]以上であることが好ましい。正孔移動度μ[cm/(V・s)]は、特開2014-110348号公報に記載のインピーダンス分光法にて測定することができる。
【0293】
正孔輸送帯域6は、単一の層のみからなることも好ましい。
正孔輸送帯域6は、複数の層からなることも好ましい。
正孔輸送帯域6を構成する層としては、例えば、正孔注入層、正孔輸送層及び電子障壁層が挙げられる。
本実施形態に係る有機EL素子の一例として示す図1図4に示す有機EL素子1,1A,1B,1Cにおいては、正孔輸送帯域6は、正孔注入層61及び正孔輸送層62を含む。
【0294】
(正孔注入層)
正孔注入層は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、銀酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。
【0295】
また、正孔注入性の高い物質としては、低分子の有機化合物である4,4’,4’’-トリス(N,N-ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’-トリス[N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’-ビス(N-{4-[N’-(3-メチルフェニル)-N’-フェニルアミノ]フェニル}-N-フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5-トリス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、3-[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6-ビス[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3-[N-(1-ナフチル)-N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)アミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等の芳香族アミン化合物等やジピラジノ[2,3-f:20,30-h]キノキサリン-2,3,6,7,10,11-ヘキサカルボニトリル(HAT-CN)も挙げられる。
【0296】
また、正孔注入性の高い物質としては、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いることもできる。例えば、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4-ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N-(4-{N’-[4-(4-ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル-N’-フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly-TPD)などの高分子化合物が挙げられる。また、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の酸を添加した高分子化合物を用いることもできる。
正孔注入層に用いることのできる化合物は、上記化合物に限定されない。
【0297】
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送層には、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、アントラセン誘導体等を使用する事ができる。具体的には、4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)やN,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニル-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン(略称:TPD)、4-フェニル-4’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:BAFLP)、4,4’-ビス[N-(9,9-ジメチルフルオレン-2-イル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、4,4’,4’’-トリス(N,N-ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’-トリス[N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’-ビス[N-(スピロ-9,9’-ビフルオレン-2-イル)-N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10-6cm/(V・s)以上の正孔移動度を有する物質である。
【0298】
正孔輸送層には、CBP、9-[4-(N-カルバゾリル)]フェニル-10-フェニルアントラセン(CzPA)、9-フェニル-3-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(PCzPA)のようなカルバゾール誘導体や、t-BuDNA、DNA、DPAnthのようなアントラセン誘導体を用いても良い。ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4-ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。
正孔輸送層に用いることのできる化合物は、上記化合物に限定されない。
【0299】
但し、正孔輸送層には、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層だけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層した層でもよい。
【0300】
(発光層)
・発光層のゲスト材料
発光層は、発光性の高い物質を含む層であり、種々の材料を用いることができる。例えば、発光性の高い物質としては、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。蛍光性化合物は一重項励起状態から発光可能な化合物であり、燐光性化合物は三重項励起状態から発光可能な化合物である。ゲスト材料は、ドーパント材料、エミッター、又は発光材料と称する場合もある。
【0301】
発光層に用いることができる青色系の蛍光発光材料として、ピレン誘導体、スチリルアミン誘導体、クリセン誘導体、フルオランテン誘導体、フルオレン誘導体、ジアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体等が使用できる。青色系の蛍光発光材料としては、具体的には、N,N’-ビス[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N,N’-ジフェニルスチルベン-4,4’-ジアミン(略称:YGA2S)、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(10-フェニル-9-アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4-(10-フェニル-9-アントリル)-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)などが挙げられる。
【0302】
発光層に用いることができる緑色系の蛍光発光材料として、芳香族アミン誘導体等を使用できる。緑色系の蛍光発光材料としては、具体的には、N-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCAPA)、N-[9,10-ビス(1,1’-ビフェニル-2-イル)-2-アントリル]-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCABPhA)、N-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)-N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N-[9,10-ビス(1,1’-ビフェニル-2-イル)-2-アントリル]-N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、N-[9,10-ビス(1,1’-ビフェニル-2-イル)]-N-[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N-フェニルアントラセン-2-アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9-トリフェニルアントラセン-9-アミン(略称:DPhAPhA)などが挙げられる。
【0303】
発光層に用いることができる赤色系の蛍光発光材料として、テトラセン誘導体、ジアミン誘導体等が使用できる。赤色系の蛍光発光材料としては、具体的には、N,N,N’,N’-テトラキス(4-メチルフェニル)テトラセン-5,11-ジアミン(略称:p-mPhTD)、7,14-ジフェニル-N,N,N’,N’-テトラキス(4-メチルフェニル)アセナフト[1,2-a]フルオランテン-3,10-ジアミン(略称:p-mPhAFD)などが挙げられる。
【0304】
発光層に用いることができる青色系の燐光発光材料として、イリジウム錯体、オスミウム錯体、白金錯体等の金属錯体が使用される。青色系の燐光発光材料としては、具体的には、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1-ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス[2-(3’,5’ビストリフルオロメチルフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CFppy)(pic))、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIracac)などが挙げられる。
【0305】
発光層に用いることができる緑色系の燐光発光材料として、イリジウム錯体等が使用される。緑色系の燐光発光材料としては、具体的には、トリス(2-フェニルピリジナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy))、ビス(2-フェニルピリジナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)(acac))、ビス(1,2-ジフェニル-1H-ベンゾイミダゾラト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pbi)(acac))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bzq)(acac))などが挙げられる。
【0306】
発光層に用いることができる赤色系の燐光発光材料として、イリジウム錯体、白金錯体、テルビウム錯体、ユーロピウム錯体等の金属錯体が使用される。赤色系の燐光発光材料としては、具体的には、ビス[2-(2’-ベンゾ[4,5-α]チエニル)ピリジナト-N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)(acac))、ビス(1-フェニルイソキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3-ビス(4-フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18-オクタエチル-21H,23H-ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)等の有機金属錯体が挙げられる。
【0307】
また、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)(Phen))、トリス(1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)(Phen))、トリス[1-(2-テノイル)-3,3,3-トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)(Phen))等の希土類金属錯体は、希土類金属イオンからの発光(異なる多重度間の電子遷移)であるため、燐光性化合物として用いることができる。
【0308】
(発光層のホスト材料)
発光層としては、上述した発光性の高い物質(ゲスト材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させた構成としてもよい。発光性の高い物質を分散させるための物質としては、各種のものを用いることができ、発光性の高い物質よりも最低空軌道準位(LUMO準位)が高く、最高被占有軌道準位(HOMO準位)が低い物質を用いることが好ましい。
【0309】
本明細書において、「ホスト材料」とは、例えば、「層の50質量%以上」含まれる材料である。また、例えば、「ホスト材料」は、層の60質量%以上、層の70質量%以上、層の80質量%以上、層の90質量%以上、又は層の95質量%以上含まれていてもよい。
【0310】
発光性の高い物質を分散させるための物質(ホスト材料)としては、(1)アルミニウム錯体、ベリリウム錯体、若しくは亜鉛錯体等の金属錯体、(2)オキサジアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、若しくはフェナントロリン誘導体等の複素環化合物、(3)カルバゾール誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、若しくはクリセン誘導体等の縮合芳香族化合物、又は(4)トリアリールアミン誘導体、若しくは縮合多環芳香族アミン誘導体等の芳香族アミン化合物が使用される。
【0311】
金属錯体としては、具体的には、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(4-フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8-キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2-(2-ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2-(2-ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などを用いることができる。
【0312】
複素環化合物としては、具体的には、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3-ビス[5-(p-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ベンゼン(略称:OXD-7)、3-(4-ビフェニリル)-4-フェニル-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’-(1,3,5-ベンゼントリイル)トリス(1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などを用いることができる。
【0313】
縮合芳香族化合物としては、具体的には、9-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CzPA)、3,6-ジフェニル-9-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:DPCzPA)、9,10-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2-tert-ブチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:t-BuDNA)、9,9’-ビアントリル(略称:BANT)、9,9’-(スチルベン-3,3’-ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’-(スチルベン-4,4’-ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、3,3’,3’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリピレン(略称:TPB3)、9,10-ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、6,12-ジメトキシ-5,11-ジフェニルクリセンなどを用いることができる。
【0314】
芳香族アミン化合物としては、具体的には、N,N-ジフェニル-9-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:CzA1PA)、4-(10-フェニル-9-アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、N,9-ジフェニル-N-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCAPA)、N,9-ジフェニル-N-{4-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]フェニル}-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCAPBA)、N-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCAPA)、NPB(またはα-NPD)、TPD、DFLDPBi、BSPBなどを用いることができる。
また、発光性の高い物質(ゲスト材料)を分散させるための物質(ホスト材料)は複数種用いることができる。
発光層に用いることのできる化合物は、上記化合物に限定されない。
【0315】
本明細書において、青色の発光とは、発光スペクトルの主ピーク波長が430nm以上、500nm以下の範囲内である発光をいう。
青色蛍光発光性の化合物の主ピーク波長は、430nm以上、500nm以下であることが好ましく、430nm以上、500nm未満であることがより好ましい。
【0316】
本明細書において、緑色の発光とは、発光スペクトルの主ピーク波長が500nm以上、560nm以下の範囲内である発光をいう。
緑色蛍光発光性の化合物の主ピーク波長は、500nm以上、560nm以下であることが好ましく、500nm以上、540nm以下であることがより好ましく、510nm以上、530nm以下であることがさらに好ましい。
【0317】
本明細書において、赤色の発光とは、発光スペクトルの主ピーク波長が600nm以上、660nm以下の範囲内である発光をいう。
赤色蛍光発光性の化合物の主ピーク波長は、600nm以上、660nm以下であることが好ましく、600nm以上、640nm以下であることがより好ましく、600nm以上、630nm以下であることがさらに好ましい。
本明細書において、主ピーク波長とは、測定対象化合物が10-6モル/リットル以上10-5モル/リットル以下の濃度で溶解しているトルエン溶液について、測定した発光スペクトルにおける発光強度が最大となる発光スペクトルのピーク波長をいう。測定装置は、分光蛍光光度計(日立ハイテクサイエンス社製、F-7000)を用いる。
【0318】
発光層は、ドーパント材料としての燐光発光性材料を含まないことも好ましい。
また、発光層は、重金属錯体及び燐光発光性の希土類金属錯体を含まないことも好ましい。ここで、重金属錯体としては、例えば、イリジウム錯体、オスミウム錯体、及び白金錯体等が挙げられる。
また、発光層は、金属錯体を含まないことも好ましい。
【0319】
(電子輸送帯域)
電子輸送帯域7は、少なくとも発光層5と半透過性電極4との間に含まれる。
電子輸送帯域7は、発光層5と直接接し、さらに、半透過性電極4とも直接接している。
電子輸送帯域7の膜厚は、50nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましく、120nm以上であることがさらに好ましい。
電子輸送帯域7の膜厚は、160nm以下であることが好ましい。
電子輸送帯域の膜厚は、前述の「層又は帯域の膜厚の測定方法」によって測定することができる。
【0320】
電子輸送帯域7とは、電子が移動する領域を意味する。電子輸送帯域7における電子移動度μは、10-6[cm/(V・s)]以上であることが好ましい。電子移動度μ[cm/(V・s)]は、特開2014-110348号公報に記載のインピーダンス分光法にて測定することができる。
【0321】
電子輸送帯域7は、単層であっても複数層であってもよい。すなわち、本実施形態に係る有機EL素子における電子輸送帯域7は、単層からなる帯域であっても、複数層からなる帯域であってもよい。
電子輸送帯域7を構成する層としては、例えば、電子注入層、電子輸送層及び正孔障壁層が挙げられる。
【0322】
本実施形態に係る有機EL素子において、第一の層は、電子輸送層であることも好ましい。
本実施形態に係る有機EL素子において、第一の層は、正孔障壁層であることも好ましい。
【0323】
本実施形態に係る有機EL素子において、第二の層は、電子輸送層であることも好ましい。
本実施形態に係る有機EL素子において、第二の層は、正孔障壁層であることも好ましい。
【0324】
本実施形態に係る有機EL素子において、第三の層は、電子輸送層であることも好ましい。
本実施形態に係る有機EL素子において、第三の層は、電子注入層であることも好ましい。
【0325】
第二の層の厚さは、第一の層の厚さよりも薄いことが好ましい。
第二の層の厚さは、3nm以上であることが好ましく、4nm以上であることがより好ましく、5nm以上であることがさらに好ましい。
第二の層の厚さは、20nm以下であることが好ましく、15nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることがさらに好ましい。
【0326】
第三の層の厚さは、第一の層の厚さよりも薄いことが好ましい。
第三の層の厚さは、3nm以上であることが好ましく、4nm以上であることがより好ましく、5nm以上であることがさらに好ましい。
第三の層の厚さは、20nm以下であることが好ましく、15nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることがさらに好ましい。
【0327】
第一の層の電子注入性を補うために、第三の層は、電子注入性の高い基を有する有機化合物を含む層であることが好ましい。電子注入性の高い基としては、ベンゾイミダゾール及びトリアゾールに代表されるアゾール基、ピリジン及びフェナントロリンに代表されるアジン基、ジフェニルホスフィンオキサイドに代表されるホスフィンオキサイド基、シアノ基等が挙げられる。
また、第三の層は、後述の電子注入層で説明するようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属の化合物又はアルカリ土類金属の化合物を含む有機化合物層であることも好ましい。
また、第三の層は、アゾール基、アジン基、ホスフィンオキサイド基及びシアノ基からなる群から選択される少なくともいずれかの基を有する化合物を含むことも好ましい。
【0328】
ベンゾアゾール基を有する化合物は、例えば、以下の一般式(70)で表される。
【0329】
【化60】
【0330】
(前記一般式(70)において、
71~R75は、それぞれ独立に、
水素原子、
置換もしくは無置換の炭素数1以上50以下のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6以上50以下のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5以上50以下の複素環基であり、
71は、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6以上50以下のアリーレン基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5以上50以下の2価の複素環基であり、
Ar71は、
置換もしくは無置換の炭素数1以上50以下のアルキル基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6以上50以下のアリール基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5以上50以下の複素環基である。)
【0331】
(一般式(70)の化合物の具体例)
前記一般式(70)の化合物の具体例としては、例えば、以下の化合物挙げられる。ただし、本発明は、これら具体例に限定されない。
【0332】
【化61】
【0333】
電子輸送層は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送層には、(1)アルミニウム錯体、ベリリウム錯体、亜鉛錯体等の金属錯体、(2)イミダゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、アジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントロリン誘導体等の複素芳香族化合物、(3)高分子化合物を使用することができる。具体的には低分子の有機化合物として、Alq、トリス(4-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、BAlq、Znq、ZnPBO、ZnBTZなどの金属錯体等を用いることができる。また、金属錯体以外にも、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3-ビス[5-(ptert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ベンゼン(略称:OXD-7)、3-(4-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-5-(4-ビフェニリル)-1,2,4-トリアゾール(略称:TAZ)、3-(4-tert-ブチルフェニル)-4-(4-エチルフェニル)-5-(4-ビフェニリル)-1,2,4-トリアゾール(略称:p-EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、4,4’-ビス(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)スチルベン(略称:BzOs)などの複素芳香族化合物も用いることができる。本実施形態に係る有機EL素子において、電子輸送層としての第三の層には、例えば、ベンゾイミダゾール化合物を好適に用いることができる。ここで述べた電子輸送層に用い得る物質は、主に10-6cm/(V・s)以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔輸送性よりも電子輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いてもよい。
【0334】
また、電子輸送層には、高分子化合物を用いることもできる。例えば、ポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(ピリジン-3,5-ジイル)](略称:PF-Py)、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(2,2’-ビピリジン-6,6’-ジイル)](略称:PF-BPy)などを用いることができる。
【0335】
(電子注入層)
電子注入層は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層には、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、カルシウム(Ca)、イッテルビウム(Yb)、フッ化リチウム(LiF)、(8-キノリノラト)リチウム(Liq)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)、リチウム酸化物(LiOx)等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の化合物、アルカリ土類金属の化合物、又は希土類金属の化合物を用いることができる。その他、電子注入層は、電子輸送性を有する物質と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の化合物、アルカリ土類金属の化合物、又は希土類金属の化合物とを含有していることも好ましい。このような電子輸送性の物質と金属又は金属化合物との組み合わせとしては、例えば、Alq(Tris(8-hydroxyquinoline)aluminum)中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等を用いてもよい。なお、電子注入層が電子輸送性の物質と金属又は金属化合物とを含む場合には、陰極から電子注入層へ電子が効率よく注入される。
【0336】
あるいは、電子注入層に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発生するため、電子注入性および電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した電子輸送層を構成する物質(金属錯体や複素芳香族化合物等)を用いることができる。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。電子供与体としては、具体的には、アルカリ金属やアルカリ土類金属や希土類金属が好ましく、リチウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。また、電子供与体としては、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物等が挙げられる。また、電子供与体としては、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いることもできる。また、電子供与体としては、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いることもできる。
電子輸送層及び電子注入層発光層に用いることのできる化合物は、上記化合物に限定されない。
【0337】
(半透過性電極)
半透過性電極4は、光を透過させると共に、電子輸送帯域7との界面で光を反射させる。半透過性電極4の透過率は、50%以上であることが好ましい。
半透過性電極4の膜厚は、5nm以上、30nm以下であることが好ましい。
半透過性電極4は、金属材料の単体又は合金で構成されることが好ましい。消衰係数が大きい金属材料の場合、半透過性電極4を光が透過する際に光吸収により透過光量が減少してしまう。半透過性電極4から効率よく光を取り出すためには、光吸収を抑えることが好ましい。そのため、半透過性電極4の材料としては、実部屈折率の小さい金属材料の単体又は合金を選ぶことが好ましく、金属材料としては、例えば、銀、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム及び金等が挙げられる。半透過性電極に用いることのできる材料は、上記材料に限定されない。
【0338】
本実施形態に係る有機EL素子においては、少なくとも光反射層31及び透明電極32により反射性電極が構成される。例えば、本実施形態に係る有機EL素子は、いわゆるトップエミッション型の有機EL素子である。本実施形態に係る有機EL素子は、基板2上に反射性電極を備え、有機層を挟んで反対側の半透過性電極4から光が取り出される。本実施形態に係る有機EL素子においては、反射性電極が陽極であり、半透過性電極4が陰極である。
【0339】
(キャッピング層)
本実施形態に係る有機EL素子は、キャッピング層を有していてもよい。キャッピング層は、陰極としての半透過性電極の上部に配置されることが好ましく、キャッピング層と半透過性電極とが直接接していることが好ましい。図1図4に示す有機EL素子1,1A,1B,1Cは、それぞれ、キャッピング層8を有する。
本実施形態に係る有機EL素子がトップエミッション型である場合、当該有機EL素子は、キャッピング層を有していることが好ましい。
キャッピング層の材料としては、例えば、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物、窒化ケイ素及びシリコン化合物(酸化ケイ素等)等が挙げられる。
また、キャッピング層の材料としては、例えば、芳香族アミン誘導体、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、フルオレン誘導体及びジベンゾフラン誘導体等が挙げられる。キャッピング層に用いることのできる化合物は、上記化合物に限定されない。
また、本実施形態に係る有機EL素子は、キャッピング層に用いられる材料を含む複数の層を積層させた積層体を、キャッピング層として有してもよい。
【0340】
(基板)
基板2は、有機EL素子を支持する支持体である。基板2の材質としては、例えば、ガラス、石英及びプラスチックが挙げられる。また、基板2として、可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことである。可撓性基板としては、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル又はポリ塩化ビニルからなるプラスチック基板等が挙げられる。また、基板2として無機蒸着フィルムを用いることもできる。
【0341】
(層厚)
本実施形態に係る有機EL素子において、陽極としての反射性電極と、半透過性電極4との間に含まれる有機層を構成する各層の膜厚は、本明細書で特に規定した場合を除いて、特に制限されない。一般に、有機層を構成する各層の膜厚は、薄すぎるとピンホール等の欠陥が生じやすく、厚すぎると高い印加電圧が必要となり効率が悪くなる。有機層を構成する各層の膜厚は、通常、数nmから1μmの範囲が好ましい。
【0342】
(層形成方法)
本実施形態に係る有機EL素子の各層の形成方法としては、上記で特に言及した以外には制限されないが、乾式成膜法又は湿式成膜法等の公知の方法を採用することができる。乾式成膜法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ法、及びイオンプレーティング法等が挙げられる。湿式成膜法としては、例えば、スピンコーティング法、ディッピング法、フローコーティング法及びインクジェット法等が挙げられる。
【0343】
本実施形態によれば、厚膜化した電子輸送帯域中の電子輸送材料に活性金属がドープされていなくとも、低電圧で駆動する有機エレクトロルミネッセンス素子を提供できる。その理由を以下に説明する。
従来、厚膜化した電子輸送帯域では電子輸送材料に活性金属をドープすることで、有機EL素子の駆動電圧を低下させていた。活性金属をドープすることで、次の(i)~(iv)等の点で問題となっていた。
(i)電子輸送帯域の抵抗が低くなり、その結果、互いに隣接する画素間でリークが発生し易い、
(ii)活性金属の拡散による発光の失活、
(iii)金属と有機材料との相互作用によって着色した有機材料によるEL発光、又は当該着色した有機材料による、発光層から放射された光の吸収、並びに
(iv)電子輸送帯域から発光層への過剰な電子供給による短寿命化
特に、陽極からの0次光学干渉位置(強めあう位置)を用いる有機EL素子は、視野角及び発光効率に優れるものの、電子輸送帯域を厚膜化する必要がある。電子輸送帯域を厚膜化すると、有機EL素子の駆動電圧が高くなりやすいという問題がある。
本実施形態に係る有機EL素子の電子輸送帯域中の第一の層の膜厚は、50nm以上であって、厚膜化しており、かつ、第一の層は、金属ドープ材料を含まないが、本実施形態に係る有機EL素子は、第一の層に前記一般式(1)で表される化合物を含有しており、低電圧で駆動する。また、本実施形態に係る有機EL素子は、発光層の発光色に依らずに、低電圧で駆動する。また、前記一般式(1)で表される化合物の一態様によれば、当該化合物を含有する電子輸送帯域は、陰極から発光層への電子注入を補完できる。
【0344】
〔第二実施形態〕
(電子機器)
本実施形態に係る電子機器は、上述の実施形態のいずれかの有機EL素子を搭載している。電子機器としては、例えば、表示装置及び発光装置等が挙げられる。表示装置としては、例えば、表示部品(例えば、有機ELパネルモジュール等)、テレビ、携帯電話、タブレット、及びパーソナルコンピュータ等が挙げられる。発光装置としては、例えば、照明及び車両用灯具等が挙げられる。
【0345】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変更、改良等は、本発明に含まれる。
【0346】
例えば、発光層は、1層に限られず、2以上の複数の発光層が積層されていてもよい。有機EL素子が2以上の複数の発光層を有する場合、各発光層は、それぞれ独立に、例えば、蛍光発光型の発光層であっても、三重項励起状態から直接基底状態への電子遷移による発光を利用した燐光発光型の発光層であってもよい。
また、有機EL素子が複数の発光層を有する場合、これらの発光層が互いに隣接して設けられていてもよいし、中間層を介して複数の発光ユニットが積層された、いわゆるタンデム型の有機EL素子であってもよい。
【0347】
また、例えば、発光層の陽極側、及び陰極側の少なくとも一方に障壁層を隣接させて設けてもよい。障壁層は、発光層に接して配置され、正孔、電子、及び励起子の少なくともいずれかを阻止することが好ましい。
例えば、発光層の陰極側で接して障壁層が配置された場合、当該障壁層は、電子を輸送し、かつ正孔が当該障壁層よりも陰極側の層(例えば、電子輸送層)に到達することを阻止する。有機EL素子が、電子輸送層を含む場合は、発光層と電子輸送層との間に当該障壁層を含むことが好ましい。
また、発光層の陽極側で接して障壁層が配置された場合、当該障壁層は、正孔を輸送し、かつ電子が当該障壁層よりも陽極側の層(例えば、正孔輸送層)に到達することを阻止する。有機EL素子が、正孔輸送層を含む場合は、発光層と正孔輸送層との間に当該障壁層を含むことが好ましい。
また、励起エネルギーが発光層からその周辺層に漏れ出さないように、障壁層を発光層に隣接させて設けてもよい。発光層で生成した励起子が、当該障壁層よりも電極側の層(例えば、電子輸送層及び正孔輸送層等)に移動することを阻止する。
発光層と障壁層とは接合していることが好ましい。
【0348】
その他、本発明の実施における具体的な構造、及び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
【実施例0349】
以下、本発明に係る実施例を説明する。本発明はこれらの実施例によって何ら限定されない。
【0350】
<化合物>
実施例及び比較例に係る有機EL素子の製造に用いた一般式(1)の化合物を以下に示す。
【0351】
【化62】
【0352】
【化63】
【0353】
【化64】
【0354】
比較例に係る有機EL素子の製造に用いた化合物を以下に示す。
【0355】
【化65】
【0356】
実施例及び比較例に係る有機EL素子の製造に用いた、他の化合物の構造を以下に示す。
【0357】
【化66】
【0358】
【化67】
【0359】
【化68】
【0360】
【化69】
【0361】
【化70】
【0362】
【化71】
【0363】
<有機EL素子の作製1>
有機EL素子を以下のように作製し、評価した。
【0364】
(実施例1)
素子作製用基板としてのガラス基板(25mm×75mm×0.7mm厚)の上に、光反射層としての膜厚200nmの銀(Ag)層と、透明電極としての膜厚10nmのITO(Indium Tin Oxide)層とを順にスパッタリング法により成膜した。これにより、Ag層とITO層とからなる下部電極(陽極)を形成した。
次に、陽極のITO層の上に、化合物HT1と化合物HA1とを共蒸着し、膜厚10nmの正孔注入層(HIL)を形成した。この正孔注入層中の化合物HT1の割合を97質量%とし、化合物HA1の割合を3質量%とした。
正孔注入層の成膜に続けて化合物HT2を蒸着し、膜厚10nmの正孔輸送層(HTL)を形成した。
正孔輸送層の成膜に続けて化合物BH1及び化合物BD1を、化合物BD1の割合が3質量%となるように共蒸着し、膜厚20nmの発光層を成膜した。
発光層の成膜に続けて化合物ET1を蒸着し、膜厚140nmの電子輸送層(正孔障壁層ともいう)(ETL1)を形成した。
電子輸送層(ETL1)の成膜に続けて化合物ET-Aを蒸着し、膜厚10nmの電子輸送層(ETL2)を形成した。
電子輸送層(ETL2)の成膜に続けてLiFを蒸着し、膜厚1nmの電子注入層を形成した。
電子注入層の成膜に続けてMgとAgとを共蒸着し、膜厚15nmの半透過性のMgAg合金からなる上部電極(陰極)を形成した。この上部電極(陰極)中のMgとAgとの混合比(膜厚比)を15:85とした。
上部電極の上に、化合物Cap1を蒸着し、膜厚65nmのキャッピング層を形成した。
以上のようにして、実施例1に係る有機EL素子を作製した。
実施例1の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
Ag(200)/ITO(10)/HT1:HA1(10,97%:3%)/HT2(10)/BH1:BD1(20,97%:3%)/ET1(140)/ET-A(10)/LiF(1)/Mg:Ag(15)/Cap1(65)
なお、括弧内の数字は、膜厚(単位:nm)を示す。
同じく括弧内において、パーセント表示された数字(97%:3%)は、正孔注入層における化合物HT1と化合物HA1との割合(質量%)、又は発光層における化合物BH1と化合物BD1との割合(質量%)を示す。以下同様に、素子構成を略式的に表記する場合がある。
【0365】
(実施例2~6)
実施例2から実施例6までの有機EL素子は、実施例1における電子輸送層(ETL1)を表1に記載の電子輸送層(ETL1)に置き換えたこと以外、実施例1と同様にして作成した。
【0366】
(実施例7)
実施例7の有機EL素子は、実施例1における電子輸送層(ETL1)の成膜に続けて、化合物ET1とLiqとを共蒸着し、膜厚10nmの電子輸送層(ETL2)を形成したこと以外、実施例1と同様にして作成した。実施例7の電子輸送層(ETL2)中の化合物ET1の割合を50質量%とし、Liqの割合を50質量%とした。なお、Liqは、(8-キノリノラト)リチウム((8-Quinolinolato)lithium)の略称である。
【0367】
(比較例1)
比較例1の有機EL素子は、実施例1における発光層の成膜に続けて化合物ET-Aを蒸着し、膜厚150nmの電子輸送層(ETL1)を形成し、電子輸送層(ETL2)を形成せずに、電子輸送層(ETL1)の成膜に続けてLiFを蒸着したこと以外、実施例1と同様にして作成した。
【0368】
(比較例2)
比較例2の有機EL素子は、実施例1における発光層の成膜に続けて化合物ET-AとLiqとを共蒸着し、膜厚140nmの電子輸送層(ETL1)を形成し、電子輸送層(ETL1)の成膜に続けて化合物ET-Aを蒸着し、膜厚10nmの電子輸送層(ETL2)を形成したこと以外、実施例1と同様にして作成した。比較例2の電子輸送層(ETL1)中の化合物ET-Aの割合を50質量%とし、Liqの割合を50質量%とした。
【0369】
<有機EL素子の評価1>
作製した有機EL素子について、以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0370】
・駆動電圧
電流密度が10mA/cmとなるように陽極と陰極との間に通電したときの電圧(単位:V)を計測した。
【0371】
・素子駆動時の主ピーク波長λp
有機EL素子の電流密度が10mA/cmとなるように素子に電圧を印加した時の分光放射輝度スペクトルを分光放射輝度計CS-2000(コニカミノルタ株式会社製)で計測した。得られた分光放射輝度スペクトルから、主ピーク波長λp(単位:nm)を算出した。
【0372】
【表1】
【0373】
<有機EL素子の作製2>
(実施例8)
素子作製用基板としてのガラス基板(25mm×75mm×0.7mm厚)の上に、光反射層としての膜厚200nmの銀(Ag)層と、透明電極としての膜厚10nmのITO(Indium Tin Oxide)層とを順にスパッタリング法により成膜した。これにより、Ag層とITO層とからなる下部電極(陽極)を形成した。
次に、陽極のITO層の上に、化合物HT1と化合物HA1とを共蒸着し、膜厚10nmの正孔注入層(HIL)を形成した。この正孔注入層中の化合物HT1の割合を97質量%とし、化合物HA1の割合を3質量%とした。
正孔注入層の成膜に続けて化合物HT2を蒸着し、膜厚10nmの正孔輸送層(HTL)を形成した。
正孔輸送層の成膜に続けて化合物BH1及び化合物BD1を、化合物BD1の割合が3質量%となるように共蒸着し、膜厚20nmの発光層を成膜した。
発光層の成膜に続けて化合物ET-Bを蒸着し、膜厚10nmの電子輸送層(正孔障壁層ともいう)(ETL3)を形成した。
電子輸送層(ETL3)の成膜に続けて化合物ET2を蒸着し、膜厚130nmの電子輸送層(ETL1)を形成した。
電子輸送層(ETL1)の成膜に続けて化合物ET-Aを蒸着し、膜厚10nmの電子輸送層(ETL2)を形成した。
電子輸送層(ETL2)の成膜に続けてLiFを蒸着し、膜厚1nmの電子注入層を形成した。
電子注入層の成膜に続けてMgとAgとを共蒸着し、膜厚15nmの半透過性のMgAg合金からなる上部電極(陰極)を形成した。この上部電極(陰極)中のMgとAgとの混合比(膜厚比)を15:85とした。
上部電極の上に、化合物Cap1を蒸着し、膜厚65nmのキャッピング層を形成した。
以上のようにして、実施例8に係る有機EL素子を作製した。
実施例8の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
Ag(200)/ITO(10)/HT1:HA1(10,97%:3%)/HT2(10)/BH1:BD1(20,97%:3%)/ET-B(10)/ET2(130)/ET-A(10)/LiF(1)/Mg:Ag(15)/Cap1(65)
なお、括弧内の数字は、膜厚(単位:nm)を示す。
同じく括弧内において、パーセント表示された数字(97%:3%)は、正孔注入層における化合物HT1と化合物HA1との割合(質量%)、又は発光層における化合物BH1と化合物BD1との割合(質量%)を示す。以下同様に、素子構成を略式的に表記する場合がある。
【0374】
<有機EL素子の評価2>
作製した有機EL素子について、以下の評価を行った。評価結果を表2に示す。表2には、比較例1及び比較例2の評価結果も再掲した。
【0375】
・駆動電圧
電流密度が10mA/cmとなるように陽極と陰極との間に通電したときの電圧(単位:V)を計測した。
【0376】
・素子駆動時の主ピーク波長λp
前述の<有機EL素子の評価1>と同様に主ピーク波長λp(単位:nm)を算出した。
【0377】
【表2】
【0378】
<有機EL素子の作製3>
(実施例9)
素子作製用基板としてのガラス基板(25mm×75mm×0.7mm厚)の上に、光反射層としての膜厚200nmの銀(Ag)層と、透明電極としての膜厚10nmのITO(Indium Tin Oxide)層とを順にスパッタリング法により成膜した。これにより、Ag層とITO層とからなる下部電極(陽極)を形成した。
次に、陽極のITO層の上に、化合物HT1と化合物HA1とを共蒸着し、膜厚10nmの正孔注入層(HIL)を形成した。この正孔注入層中の化合物HT1の割合を97質量%とし、化合物HA1の割合を3質量%とした。
正孔注入層の成膜に続けて化合物HT2を蒸着し、膜厚10nmの正孔輸送層(HTL)を形成した。
正孔輸送層の成膜に続けて化合物GH1、化合物GH2及び化合物Ir(ppy)を共蒸着し、膜厚40nmの発光層を成膜した。発光層中の化合物GH1の割合を45質量%とし、化合物GH2の割合を50質量%とし、化合物Ir(ppy)の割合を5質量%とした。
発光層の成膜に続けて化合物ET1を蒸着し、膜厚180nmの電子輸送層(正孔障壁層ともいう)(ETL1)を形成した。
電子輸送層(ETL1)の成膜に続けて化合物ET-Aを蒸着し、膜厚10nmの電子輸送層(ETL2)を形成した。
電子輸送層(ETL2)の成膜に続けてLiFを蒸着し、膜厚1nmの電子注入層を形成した。
電子注入層の成膜に続けてMgとAgとを共蒸着し、膜厚15nmの半透過性のMgAg合金からなる上部電極(陰極)を形成した。この上部電極(陰極)中のMgとAgとの混合比(膜厚比)を15:85とした。
上部電極の上に、化合物Cap1を蒸着し、膜厚65nmのキャッピング層を形成した。
以上のようにして、実施例9に係る有機EL素子を作製した。
実施例9の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
Ag(200)/ITO(10)/HT1:HA1(10,97%:3%)/HT2(10)/GH1:GH2:Ir(ppy)3(40,45%:50%:5%)/ET1(180)/ET-A(10)/LiF(1)/Mg:Ag(15)/Cap1(65)
なお、括弧内の数字は、膜厚(単位:nm)を示す。
同じく括弧内において、パーセント表示された数字(97%:3%)は、正孔注入層における化合物HT1と化合物HA1との割合(質量%)を示し、パーセント表示された数字(45%:50%:5%)は、発光層における化合物GH1と化合物GH2とIr(ppy)との割合(質量%)を示す。以下同様に、素子構成を略式的に表記する場合がある。
【0379】
(実施例10)
実施例10の有機EL素子は、実施例9における電子輸送層(ETL1)を表3に記載の電子輸送層(ETL1)に置き換えたこと以外、実施例9と同様にして作成した。
【0380】
(比較例3)
比較例3の有機EL素子は、実施例9における発光層の成膜に続けて化合物ET-Aを蒸着して膜厚190nmの電子輸送層(ETL1)を形成し、電子輸送層(ETL2)を形成せずに、電子輸送層(ETL1)の成膜に続けてLiFを蒸着したこと以外、実施例9と同様にして作成した。
【0381】
<有機EL素子の評価3>
作製した有機EL素子について、以下の評価を行った。評価結果を表3に示す。
【0382】
・駆動電圧
電流密度が10mA/cmとなるように陽極と陰極との間に通電したときの電圧(単位:V)を計測した。
【0383】
・素子駆動時の主ピーク波長λp
前述の<有機EL素子の評価1>と同様に主ピーク波長λp(単位:nm)を算出した。
【0384】
【表3】
【0385】
<有機EL素子の作製4>
(実施例11)
素子作製用基板としてのガラス基板(25mm×75mm×0.7mm厚)の上に、光反射層としての膜厚200nmの銀(Ag)層と、透明電極としての膜厚10nmのITO(Indium Tin Oxide)層とを順にスパッタリング法により成膜した。これにより、Ag層とITO層とからなる下部電極(陽極)を形成した。
次に、陽極のITO層の上に、化合物HT1と化合物HA1とを共蒸着し、膜厚10nmの正孔注入層(HIL)を形成した。この正孔注入層中の化合物HT1の割合を97質量%とし、化合物HA1の割合を3質量%とした。
正孔注入層の成膜に続けて化合物HT2を蒸着し、膜厚10nmの正孔輸送層(HTL)を形成した。
正孔輸送層の成膜に続けて化合物RH1及び化合物RD1を共蒸着し、膜厚40nmの発光層を成膜した。発光層中の化合物RH1の割合を95質量%とし、化合物RD1の割合を5質量%とした。
発光層の成膜に続けて化合物ET1を蒸着し、膜厚220nmの電子輸送層(正孔障壁層ともいう)(ETL1)を形成した。
電子輸送層(ETL1)の成膜に続けて化合物ET-Aを蒸着し、膜厚10nmの電子輸送層(ETL2)を形成した。
電子輸送層(ETL2)の成膜に続けてLiFを蒸着し、膜厚1nmの電子注入層を形成した。
電子注入層の成膜に続けてMgとAgとを共蒸着し、膜厚15nmの半透過性のMgAg合金からなる上部電極(陰極)を形成した。この上部電極(陰極)中のMgとAgとの混合比(膜厚比)を15:85とした。
上部電極の上に、化合物Cap1を蒸着し、膜厚65nmのキャッピング層を形成した。
以上のようにして、実施例11に係る有機EL素子を作製した。
実施例11の素子構成を略式的に示すと、次のとおりである。
Ag(200)/ITO(10)/HT1:HA1(10,97%:3%)/HT2(10)/RH1:RD1(40,95%:5%)/ET1(220)/ET-A(10)/LiF(1)/Mg:Ag(15)/Cap1(65)
なお、括弧内の数字は、膜厚(単位:nm)を示す。
同じく括弧内において、パーセント表示された数字(97%:3%)は、正孔注入層における化合物HT1と化合物HA1との割合(質量%)を示し、パーセント表示された数字(95%:5%)は、発光層における化合物RH1と化合物RD1との割合(質量%)を示す。以下同様に、素子構成を略式的に表記する場合がある。
【0386】
(実施例12)
実施例12の有機EL素子は、実施例11における電子輸送層(ETL1)を表4に記載の電子輸送層(ETL1)に置き換えたこと以外、実施例11と同様にして作成した。
【0387】
(比較例4)
比較例4の有機EL素子は、実施例11における発光層の成膜に続けて化合物ET-Aを蒸着し、膜厚190nmの電子輸送層(ETL1)を形成し、電子輸送層(ETL2)を形成せずに、電子輸送層(ETL1)の成膜に続けてLiFを蒸着したこと以外、実施例11と同様にして作成した。
【0388】
<有機EL素子の評価4>
作製した有機EL素子について、以下の評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0389】
・駆動電圧
電流密度が10mA/cmとなるように陽極と陰極との間に通電したときの電圧(単位:V)を計測した。
【0390】
・素子駆動時の主ピーク波長λp
前述の<有機EL素子の評価1>と同様に主ピーク波長λp(単位:nm)を算出した。
【0391】
【表4】
【符号の説明】
【0392】
1,1A,1B,1C…有機EL素子、2…基板、3…陽極、4…半透過性電極、5…発光層、6…正孔輸送帯域、7,7A,7B,7C…電子輸送帯域、8…キャッピング層、10…有機層、31…光反射層、32…透明電極、61…正孔注入層、62…正孔輸送層、71…第1の層、72…電子注入層、73…第二の層、74…第三の層、P1…第1端部、P2…第2端部。
図1
図2
図3
図4