(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075512
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/063 20230101AFI20230524BHJP
【FI】
G06Q10/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188447
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】木村 敦
(72)【発明者】
【氏名】石橋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】関 正裕
(72)【発明者】
【氏名】建石 邦夫
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】稼働情報に関する電子メールを端末装置に自動送信する際の遅延を抑制する。
【解決手段】農作業を行うコンバイン1において、コンバイン1の稼働に関する稼働情報を検出する情報検出部70と、情報検出部70により検出された稼働情報に基づいて電子メールを作成し、電子メールを通信ネットワークとしてのインターネット60を通じて端末装置としての携帯端末61,62,63に送信するメール送信部としての情報管理部54、メール作成部55、外部通信部56とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作業を行う作業車両において、
前記作業車両の稼働に関する稼働情報を検出する情報検出部と、
前記情報検出部により検出された前記稼働情報に基づいて電子メールを作成し、前記電子メールを通信ネットワークを通じて端末装置に送信するメール送信部と、を備える、
ことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記情報検出部を有する車両本体と、前記車両本体に対する通信を接続状態と切断状態とに切替可能に接続された情報処理装置と、を備え、
前記情報処理装置は、前記メール送信部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記情報検出部を有する車両本体と、前記車両本体に接続されて前記車両本体を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記メール送信部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項4】
前記メール送信部は、前記端末装置への前記電子メールの送信においてエラーが発生した場合に、再送信を実行する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業に用いられる作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバイン等の農作業用の作業車両から送信される稼働情報を遠隔サーバに送信し、遠隔サーバにおいて稼働情報を収集・処理・管理する情報管理システムが知られている(特許文献1参照)。この情報管理システムでは、遠隔サーバは、作業車両の故障情報を取得した場合に、その故障情報を含む電子メールを所定の端末装置(携帯端末)に自動的に送信するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載した情報管理システムでは、多数の作業車両を監視する遠隔サーバを介してメール送信している。このため、例えば、多数の作業車両が同時に稼働するときは、遠隔サーバは多量の稼働情報を収集及び処理しなければならず、遠隔サーバ等の処理負荷が大きくなって電子メールの自動送信が遅れてしまい、作業車両の作業に支障をきたす虞があった。
【0005】
そこで、本発明は、稼働情報に関する電子メールを端末装置に自動送信する際の遅延を抑制できる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、農作業を行う作業車両(1,1A)において、
前記作業車両(1,1A)の稼働に関する稼働情報を検出する情報検出部(70)と、
前記情報検出部(70)により検出された前記稼働情報に基づいて電子メールを作成し、前記電子メールを通信ネットワーク(60)を通じて端末装置(61,62,63)に送信するメール送信部(54,55,56,154,155,156)と、を備える。
【0007】
例えば、
図17を参照して、前記情報検出部(70)を有する車両本体(3A)と、前記車両本体(3A)に対する通信を接続状態と切断状態とに切替可能に接続された情報処理装置(160)と、を備え、
前記情報処理装置(160)は、前記メール送信部(154,155,156)を有している。
【0008】
例えば、
図5を参照して、前記情報検出部(70)を有する車両本体(3)と、前記車両本体(3)に接続されて前記車両本体(3)を制御する制御装置(50)と、を備え、
前記制御装置(50)は、前記メール送信部(54,55,56)を有している。
【0009】
例えば、
図5及び
図10(a)を参照して、前記メール送信部(54,55,56)は、前記端末装置(61,62,63)への前記電子メールの送信においてエラーが発生した場合に、再送信を実行する。
【0010】
なお、上述カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、何ら本発明の構成を限定するものではない。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る本発明は、情報検出部により検出された稼働情報に基づいて電子メールを作成し、電子メールを通信ネットワークを通じて端末装置に送信するメール送信部を備えている。このため、作業車両側を送信元としてメール送信しているので、多数の作業車両を監視する遠隔サーバを介してメール送信する場合に比べて、遠隔サーバ等の処理負荷が大きくなって電子メールの自動送信が遅れるような事態の発生を抑制することができる。これにより、稼働情報に関する電子メールを端末装置に自動送信する際の遅延を抑制することができる。
【0012】
請求項2に係る本発明は、作業車両は、情報検出部を有する車両本体と、車両本体に対する通信を接続状態と切断状態とに切替可能に接続された情報処理装置とを備え、情報処理装置は、メール送信部を有している。このため、異なる作業車両に対して同一の情報処理装置を利用することができるようになり、コストの削減を図ることができる。
【0013】
請求項3に係る本発明は、情報検出部を有する車両本体と、車両本体に接続されて車両本体を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、メール送信部を有している。このため、作業車両に備えられた制御装置により電子メールの作成及び送信を実行するので、装置全体をコンパクトに構成することができる。
【0014】
請求項4に係る本発明は、メール送信部は、端末装置への電子メールの送信においてエラーが発生した場合に、再送信を実行する。このため、メール送信の確実性を向上することができるので、電子メールの不達によって作業に支障が発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1の実施形態に係るコンバインを示す側面図。
【
図4】グレンタンク及びその周辺部を示す
図2のA-A断面図。
【
図5】コンバインと携帯端末との接続を示すブロック図。
【
図6】メール送信方法の処理手順を示すフローチャート。
【
図7】表示装置の表示内容を示す図であり、(a)は待受画面、(b)は待受画面において監視切替ボタンに接触したときの画面。
【
図8】表示装置の表示内容を示す図であり、(a)は待受画面において役割分担ボタンに接触したときの画面、(b)は
図8(a)に示す画面において変更ボタンに接触したときの画面。
【
図9】表示装置の表示内容を示す図であり、(a)は待受画面において設定ボタンに接触したときの画面、(b)は
図9(a)に示す画面においてログインボタンに接触したときの管理者用画面。
【
図10】表示装置の表示内容を示す図であり、(a)は管理者用画面において情報管理ボタンに接触したときの画面、(b)は管理者用画面において役割分担ボタンに接触したときの画面。
【
図11】表示装置の表示内容を示す図であり、(a)は管理者用画面においてユーザ情報ボタンに接触したときの画面、(b)は
図11(a)に示す画面において情報変更をする場合の画面。
【
図12】表示装置の表示内容を示す図であり、管理者用画面においてメール情報ボタンに接触したときの画面。
【
図13】表示装置の表示内容を示す図であり、待受画面において監視ログ表示ボタンに接触したときの画面。
【
図14】電子メールの記載内容を示す図であり、(a)は籾運搬作業者宛の電子メール、(b)は乾燥機作業者宛の電子メール。
【
図15】電子メールの記載内容を示す図であり、(a)は管理者宛で、かつ、進捗状況50%到達時の電子メール、(b)は管理者宛で、かつ、進捗状況100%到達時の電子メール。
【
図16】電子メールの記載内容を示す図であり、管理者宛で、かつ、All_Logファイルの送信時の電子メール。
【
図17】第2の実施形態におけるコンバインと携帯端末との接続を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1の実施形態>
以下、図面に沿って、本発明の作業車両の第1の実施形態について説明する。本実施形態では、本発明の農作業を行う作業車両をコンバイン1に適用している。本実施形態に係るコンバイン1は、汎用コンバインであって、
図1に示すように、左右一対のクローラ式走行装置2に支持された車両本体の一例である走行機体3を有している。走行機体3の前方には、圃場の穀稈を刈取る刈取部4が昇降自在に設けられており、走行機体3の前方一側方には、オペレータが着座してコンバイン1を操縦する運転操作部5が設けられている。走行機体3の他側方には、刈取部4で刈取り・搬送された穀稈を脱穀する脱穀部6が設けられていると共に、脱穀部6の下方には、脱穀された選別物を選別する選別部7が設けられている。運転操作部5の後方には、選別部7で選別された穀粒を貯蔵するグレンタンク8が配置されており、グレンタンク8の後方には、グレンタンク8内に貯蔵された穀粒を機外に排出するための排出オーガ9が設けられている。なお、本実施形態では、水平に載置されたコンバイン1の運転操作部5に着座したオペレータが向いている正面方向Xを前方とし、これを基準に前後左右方向を定義する。
【0017】
走行機体3の右前部には不図示のエンジンが設けられ、エンジンで発生した動力は、走行系の動力と作業系の動力とに分岐される。走行系の動力は、左右のクローラ式走行装置2に伝動され、作業系の動力は、不図示の刈取クラッチを介して刈取部4に伝動される他、不図示の脱穀クラッチを介して脱穀部6及びグレンタンク8等に伝動される。刈取部4は、左右方向に延びるリール10と、リール10を上下方向及び前後方向に移動可能に支持する不図示の可動機構と、レシプロ式の刈刃11及びフィーダコンベア12を備えるフィーダ13と、を有する。回転するリール10によって掻込まれた圃場の穀稈は刈刃11によって刈取られ、フィーダコンベア12により脱穀部6へ搬送される。
【0018】
脱穀部6は、刈取部4によって刈取られた穀稈が投入される扱室14と、扱室14内に回転自在に支持され、その外周面に螺旋状に案内板15aが取付けられた扱胴15と、を有しており、案内板15aには、穀稈を引っ掛けて扱胴15と共に回転させる突起状の扱歯15bが複数設けられている。扱室14に投入された穀稈は、扱歯15bによって扱胴15と一緒に回転させられ、機体後方側に搬送されながら不図示の受網に擦り付けられることで脱穀されて、受網を介して選別部7内に落下する。
【0019】
選別部7は、扱胴15の下方側に配設された揺動選別体16と、揺動選別体16の前部下方側から後部上方側に向かって選別風を送風する唐箕ファン17及び送風ファン18と、を有している。揺動選別体16は、上下にチャフシーブを有する二段構造となっており、これらが前後に揺動されることで選別物が濾過され、さらに唐箕ファン17及び送風ファン18の選別風によって一番物と二番物とに風選別される。一番物は一番螺旋19に落下した後、不図示の揚上搬送筒を介してグレンタンク8の内部に搬送され、貯留される。二番物は二番螺旋20に落下した後、不図示の還元搬送筒を介して揺動選別体16に還元される。
【0020】
図2はグレンタンク8及びその周辺部を示す平面図、
図3は後述する天板34等を除去した状態のグレンタンク8の内部を示す平面図、
図4は
図2のA-A断面図である。これらの図に示すように、グレンタンク8の内側の最深部には前後方向に沿うように排出螺旋21が回転自在に設けられている。排出螺旋21の回転により、グレンタンク8の最深部に貯留された穀粒はグレンタンク8の後部へ向けて搬送され、グレンタンク8の下部後方からグレンタンク8の外部に搬出され、穀粒を揚送する不図示の縦搬送螺旋を備える排出オーガ9によって機外へ排出される。
【0021】
脱穀部6とグレンタンク8の間に揚穀コンベア22が配置されており、揚穀コンベア22は動力伝動ケース23及び横螺旋筒24を有する。動力伝動ケース23の内部には、軸回転する不図示のスプロケットや、スプロケットの回転により作動し、脱穀部6の下部からグレンタンク8の上部へ延設されている不図示のバケット付き搬送チェーン等が設けられている。
【0022】
円筒状の横螺旋筒24は、動力伝動ケース23の上端からグレンタンク8の上部付近の側壁を貫通してグレンタンク8の内部に向けて突出して設けられている。横螺旋筒24は、その内部に設けられて横螺旋軸25の回りに螺旋状に一体で形成された横螺旋26と、横螺旋筒24の終端の筒面に後方へ向けて開口する放出口27と、横螺旋26の先端に設けられ、横螺旋筒24の内面に近接するように配置されて横螺旋26に固定された掻き出し板28と、横螺旋26の回転異常を検出するために横螺旋26の回転量を電気信号に変換する回転センサ29と、を有する。
【0023】
脱穀部6で脱穀された穀粒は、動力伝動ケース23の内部をバケット付き搬送チェーンにより脱穀部6の下部からグレンタンク8の上部まで揚送され、横螺旋筒24の内部を横螺旋26の回転によりグレンタンク8の内部へ右方搬送され、横螺旋26と一体で回転する掻き出し板28により放出口27からグレンタンク8の内部へ散布される。放出口27は横螺旋筒24の下部から上部に亘って所定の範囲で形成されており、掻き出し板28が右側面視で時計回りに回転することにより、放出口27の下方から後方に亘ってグレンタンク8の内部に広く穀粒が行き渡るよう構成されている。また、脱穀部6からグレンタンク8までの穀粒の搬送経路には、搬送される穀粒の一部をサンプリングして水分を検出する水分センサ72(
図5参照)が設けられている。
【0024】
グレンタンク8は、前板30、後板31、右板32、左板33、天板34を有して、その上下方向の所定範囲の横断面積が略一定となるようにグレンタンク8の前面、後面、左面、右面及び上面を形成すると共に、下面を第1底板35及び第2底板36で塞いで箱状に形成されている。前板30及び天板34には、グレンタンク8の内部を確認するための開閉可能なメンテナンス孔37が形成されている。第1底板35及び第2底板36は、共に前後方向に延設される略平面状の板金で形成されて、かつ互いに所定の角度を有してグレンタンク8の下面が排出螺旋21に向けて下方へ傾斜するように配置されている。すなわち、前板30、後板31、第1底板35及び第2底板36は、横断面積が下方へ向かうに従って漸減するように形成されており、排出螺旋21の回転によりグレンタンク8の最深部に貯留されている穀粒が後方へ搬送されると、第1底板35及び第2底板36の傾斜に沿って上方の穀粒が順次、排出螺旋21に集まるように構成されている。
【0025】
天板34には、グレンタンク8の内部に貯留された穀粒の堆積高さ(貯留量)を検出し得る堆積センサ71が設けられている。堆積センサ71は、光学式の距離センサであり、例えば、レーザを使用したToF(Time of Flight)タイプの距離センサを適用している。尚、堆積センサ71としては距離センサを適用することには限られず、例えば、上下方向に複数並べて設けた機械的スイッチを用いて穀粒の堆積高さを検出する検出ユニットを適用してもよい。
【0026】
グレンタンク8には、グレンタンク8の内部に貯留された穀粒の堆積をなだらかにする撹拌装置46が設けられている。撹拌装置46は、グレンタンク8内に上下に亘って配置された回転軸47と、回転軸47に設けられた複数の撹拌棒48と、天板34に設けられたモータ49とを有しており、回転軸47はモータ49を駆動源として回転する。撹拌棒48は、回転軸47の軸線方向に沿って所定間隔をおいて複数設けられており、各撹拌棒48は回転軸47の軸回りに90度毎に配置されている。
【0027】
図5に示すように、コンバイン1には、走行機体3に接続されて走行機体3を制御するためのECU(Electric Control Unit)50が搭載されている。ECU50は、CPUやROMやRAM等を含むマイクロコンピュータにより構成されている。ECU50は、機体情報51及びユーザ情報52を取得して保存する他、保存した情報を処理する情報処理部53と、情報を管理する情報管理部54と、電子メールを作成するメール作成部55と、コンバイン1の外部とインターネット60を介して情報を送受信する外部通信部56とを有している。尚、情報管理部54とメール作成部55と外部通信部56とが、メール送信部に相当する。また、コンバイン1には、ECU50の外部通信部56からインターネット60に接続するためのアンテナや電装部品等のハードウェアとして通信装置57が搭載されている。
【0028】
コンバイン1には、走行機体3の稼働に関する稼働情報を検出する情報検出部70が搭載されている。ここでの稼働情報としては、例えば、コンバイン1の位置や、グレンタンク8に貯留された穀粒の量や、穀物の水分量等である。即ち、コンバイン1は、情報検出部70により検出された稼働情報(送信項目)に基づいて電子メールを作成する情報管理部54及びメール作成部55と、電子メールをインターネット60を通じて携帯端末に送信する外部通信部56とを備えている。
【0029】
情報検出部70としては、稼働情報を検出するための各種のセンサが設けられており、例えば、上述した堆積センサ71や水分センサ72の他に、GPSセンサ73が設けられている。情報検出部70は、いずれもECU50に接続されている。GPSセンサ73は、GPS衛星からの電波(データ)を受信する機体位置検出センサ(GNSS)であり、GPSによって走行機体3の位置を計測し、取得した位置情報をECU50に送信する。情報検出部70としては、堆積センサ71及び水分センサ72の他に、例えば、走行機体3の車速を検出する車速センサ、刈取クラッチの入切を検出する刈取クラッチセンサ、脱穀クラッチの入切を検出する脱穀クラッチセンサ、選別部7に設けられた穀稈センサ及び選別層厚センサ、燃料タンクの残量を検出する燃料検出センサ等が設けられている。
【0030】
また、ECU50には、運転操作部5に配置されて排出オーガ9の作動の入切を行う穀粒排出スイッチと、運転操作部5に配置されて計測の開始と終了を指示する計測開始スイッチ及び計測終了スイッチと、運転操作部5に配置されて稲、麦、大豆等から選別対象の作物を設定する作物設定ダイヤルと、貯留目標値の増減を設定する貯留目標調節スイッチと、警報作動の入切を行う貯留目標警報スイッチと、が接続されている。
【0031】
ECU50には、運転操作部5に配置されてECU50からの出力を表示する表示装置74と、警報ブザーや警報ランプ等からなる報知装置75と、が接続されている。表示装置74は、表示画面を有する液晶パネル76と、液晶パネル76の表示画面に取り付けられたタッチパネル77とで構成されており、タッチパネル77のタッチ入力信号をECU50に入力可能となっている。
【0032】
一方、グレンタンク8に貯留された穀粒は、グレンタンク8の貯留量が満量になるか、あるいは満量に近くなったタイミングで、排出オーガ9によって運搬車に移し替えられて積載される。運搬車に積載された穀粒は、運搬車が乾燥機まで移動してから乾燥機に移し替えられて収容され、乾燥機によって乾燥される。運搬車を操作する籾運搬作業者はタブレット等の携帯端末61を有しており、乾燥機を操作する乾燥機作業者もタブレット等の携帯端末62を有している。更に、コンバイン1と運搬車と乾燥機との作業状況を管理する管理者もタブレット等の携帯端末63を有している。これらの携帯端末61,62,63、即ち複数の端末装置と、コンバイン1の通信装置57とは、通信ネットワークの一例であるインターネット60を介して互いに接続されている。
【0033】
次に、本実施形態におけるメール送信システムについて、概要を
図5及び
図6を用いて説明する。
図5に示すように、メール送信システムは、コンバイン1と、複数の携帯端末61,62,63と、メール送信部としての情報管理部54とメール作成部55と外部通信部56と、を備えている。
図6は、本メール送信システムを用いたメール送信方法の手順を示すフローチャートであり、まずメール送信方法の手順の概要についてフローチャートに沿って説明する。
図6に示すように、管理者はコンバイン1により作業を実行する前に、情報管理部54により各種の設定を行う(ステップS1、設定工程)。設定工程では、後述する選択情報と、電子メールを送信するタイミングとを携帯端末61,62,63ごとに設定するものとしており、詳細は後述する。尚、本実施形態では、管理者はコンバイン1により作業を実行する前に各種の設定を行うようにしているが、これには限られず、コンバイン1の作業中等、任意のタイミングで各種の設定を行うことができる。
【0034】
コンバイン1による作業が開始されると、コンバイン1においてコンバイン1の稼働情報が検出される(ステップS2、情報検出工程)。即ち、情報検出工程では、農作業を行うコンバイン1の走行機体3の稼働に関する稼働情報を、情報検出部70により検出する。ECU50は、予め入力されたコンバイン1の作業者のユーザ情報52として記憶し、更に情報検出部70により検出された稼働情報を機体情報51として記憶する。尚、ECU50には情報検出部70から各センサの測定値が入力されるため、情報処理部53により測定値を処理して各種の稼働情報として取得し、また、設定工程において情報管理部54により稼働情報の中から所定の情報を選択して選択情報を設定している。
【0035】
ECU50のメール作成部55は、後述する稼働情報(送信項目)の中から選択した選択情報(選択項目)に基づいて電子メールを作成する(ステップS3)。ECU50の外部通信部56は、メール作成部55により作成された電子メールを、インターネット60を通じて複数の携帯端末に送信する(ステップS4)。尚、ステップS3とステップS4とは、メール送信工程を構成する。電子メールの送信により、本メール送信方法の1つの処理が終了する。
【0036】
次に、本実施形態におけるメール送信方法の設定工程とメール送信工程、即ち、メール送信システムにおける情報管理部54とメール作成部55と外部通信部56との処理について、
図7(a)~
図16に示す具体例に沿って詳細に説明する。
図7(a)は、走行機体3の表示装置74に表示されたコンバイン1の駆動時の待受画面である。
図7(a)に示すように、待受画面には、監視切替ボタン81と、役割分担ボタン82と、設定ボタン83と、監視ログ表示ボタン84と、画面切替ボタン85と、監視状態表示部86とが表示されている。監視状態表示部86は、監視状態が監視中であるか監視停止であるかを表示する。コンバイン1の駆動時には、監視状態は監視中であるため、監視状態表示部86には「監視中」と表示される。
【0037】
監視切替ボタン81は、監視状態を監視中と監視停止とに切り替えるためのボタンであり、監視状態が監視中である場合には「停止」と表示される。役割分担ボタン82は、ユーザのカテゴリを設定するためのボタンである。設定ボタン83は、各種のユーザ情報等の設定をするためのボタンであり、管理者のみが設定可能としている。監視ログ表示ボタン84は、電子メールの送信結果等を表示するためのボタンである。画面切替ボタン85は、
図7(a)及び
図7(b)に示す本画面と別画面とを切り替えるためのボタンである。
【0038】
図7(a)に示す待受画面において、監視切替ボタン81に接触すると、監視状態が監視停止に切り替わり、作業終了検知のトリガーとなる。また、
図7(b)に示すように、監視状態表示部86の表示は「監視停止」に切り替わり、監視切替ボタン81の表示は「動作」に切り替わる。
【0039】
図7(a)に示す待受画面において、役割分担ボタン82に接触すると、
図8(a)に示すように、カテゴリ分担(役割分担)を示す画面に移行する。この画面では、カテゴリ表示87と、ユーザ表示88と、待受画面に戻るための閉じるボタン89と、メール送信ボタン90と、変更ボタン91とが表示される。カテゴリは、コンバイン1に関わる農作業の役割を示し、本実施形態では、カテゴリとして、管理者と、籾運搬作業者と、乾燥機作業者と、その他を設定しており、それぞれカテゴリ表示87に表示されている。このようにカテゴリに管理者を設けたことにより、作業管理に必要な情報を籾運搬作業者及び乾燥機作業者等の作業者と分けて管理者に送信可能になり、作業を効率化することができる。ユーザ表示88は、カテゴリ表示87に表示された各カテゴリに分担されたユーザ名あるいはユーザの識別番号等を表示している。これにより、どのユーザがどのカテゴリに設定されているかを確認することができる。
【0040】
メール送信ボタン90は、接触により登録された全メンバーにカテゴリ分担の情報が電子メールで送信されるようになっている。即ち、メール送信ボタン90に接触することで、情報管理部54とメール作成部55は、複数の携帯装置の識別情報と所属するカテゴリ(グループ)との一覧を含む電子メールを作成し、この電子メールを外部通信部56が送信する。これにより、誰(携帯端末)がどの役割分担なのかを確認することができると共に、メール送信テストも行うことができる。
【0041】
図8(a)に示す画面において、変更ボタン91に接触すると、
図8(b)に示すように、カテゴリごとにユーザの所属を設定できる画面に移行する。この画面では、ユーザの設定テーブル92と、変更を保存して前の画面に戻るための閉じるボタン93と、変更を保存することなく前の画面に戻るためのキャンセルボタン94とが表示される。設定テーブル92では、該当のマスに接触をしてチェックマークを入れたり外したりして、情報管理部54によりユーザのカテゴリ設定を行う。即ち、情報管理部54は、携帯端末が所属するカテゴリ(グループ)を変更可能である。このため、例えば日替わりで担当を変更する場合でも、変更したい携帯端末のカテゴリを変更するだけでよい。ここでは、1人のユーザが複数のカテゴリ(例えば、籾運搬作業者グループと乾燥機作業者グループ)に所属する重複設定も可能としている。また、1つのカテゴリに、単数又は複数のユーザを登録することができるものとしている。尚、この画面ではカテゴリとして管理者は表示されない。
【0042】
図7(a)に示す待受画面において、設定ボタン83に接触すると、
図9(a)に示すように、管理者がログインするためのログイン画面に移行する。この画面では、ユーザコードとパスワードを入力する入力欄95と、ログインボタン96と、前の画面に戻るための閉じるボタン97とが表示される。入力欄95に管理者のユーザコードとパスワードを入力し、ログインボタン96に接触すると、
図9(b)に示す管理者用画面に移行する。
【0043】
図9(b)に示す管理者用画面では、情報管理ボタン98と、役割分担ボタン99と、ユーザ情報ボタン100と、メール情報ボタン101と、前の画面に戻るための閉じるボタン102とが表示される。この管理者用画面において、情報管理ボタン98に接触すると、
図10(a)に示すように、機体コード、機械名、送信メールアドレス、送信メールパスワード、再送信回数、再送信間隔、メール件名、All_Logメール件名の項目と、各項目に対する情報103と、前の画面に戻るための閉じるボタン104とが表示される。尚、本実施形態では、外部通信部56は、携帯端末への電子メールの送信においてエラーが発生した場合に、再送信を実行する。これにより、メール送信の確実性を向上することができる。
【0044】
図9(b)に示す管理者用画面において、役割分担ボタン99に接触すると、
図10(b)に示すように、カテゴリごとにユーザの所属を設定できる画面に移行する。この画面では、ユーザの設定テーブル105と、変更を保存して前の画面に戻るための閉じるボタン106と、変更を保存することなく前の画面に戻るためのキャンセルボタン107とが表示される。設定テーブル105では、該当のマスに接触をしてチェックマークを入れたり外したりして、情報管理部54によりユーザのカテゴリ設定を行う。即ち、情報管理部54は、携帯端末が所属するカテゴリ(グループ)を変更可能である。このため、例えば日替わりで担当を変更する場合でも、変更したい携帯端末のカテゴリを変更するだけでよい。ここでは、1人のユーザが複数のカテゴリ(例えば、管理者グループと籾運搬作業者グループと乾燥機作業者グループ)に所属する重複設定も可能としている。また、1つのカテゴリに、単数又は複数のユーザを登録することができるものとしている。
【0045】
図9(b)に示す管理者用画面において、ユーザ情報ボタン100に接触すると、
図11(a)に示すように、ユーザコードとユーザ名とメールアドレスとを示す表108と、前の画面に戻るための閉じるボタン109と、新しいユーザを追加するための新規ユーザ追加ボタン110とが表示される。管理者は、ユーザの情報を変更する場合は表108の該当ユーザに接触し、新規ユーザを追加する場合は新規ユーザ追加ボタン110に接触する。これにより、
図11(b)に示すように、そのユーザにおけるユーザコードとパスワードとユーザ名とメールアドレスと電話番号とを示すユーザ情報変更画面111と、前の画面に戻るための閉じるボタン112と、情報を登録するための登録ボタン113とが表示される。
【0046】
図9(b)に示す管理者用画面において、メール情報ボタン101に接触すると、
図12に示すように、カテゴリを選択する選択枠114と、選択枠114で選択されたカテゴリにおける電子メールの送信タイミング(トリガー)と送信項目との関係を設定する設定表115と、設定表115を操作するための設定ボタン116と、設定表115の設定を保存して前の画面に戻るための閉じるボタン117と、設定を保存することなく前の画面に戻るためのキャンセルボタン118と、設定を保存して画面は移行しない登録ボタン119とが表示される。
【0047】
選択枠114では、カテゴリとして、管理者、籾運搬作業者、乾燥機作業者、その他を切り替えることができる。即ち、情報管理部54は、電子メールを送信するタイミングと、電子メールの送信項目(稼働情報)と、をカテゴリごとに設定することができる。設定表115では、電子メールの送信タイミングの一例として、作業終了を検出してAll_Logファイルを送信する時(All_Log)と、グレンタンク8の内部の穀物が規定量に到達した時と、穀物の排出が完了した時と、圃場の面積が確定した時と、進捗状況が50%に到達した時と、進捗状況が100%に到達した時と、作業終了を検出した時とを示している。ここでの作業終了を検出した時としては、実際に作業が終了したことを検出した時の他に、例えば、監視切替ボタン81を操作して監視中から監視停止に切り替わった時を作業終了とみなして作業終了を検出した時としてもよい。即ち、監視停止のタイミングで全ログ送信を行うものも含むものとする。また、設定表115では、送信項目の一例として、発信日時と、発信時刻と、発信場所の経度及び緯度と、予想圃場面積と、実刈取面積(実績)と、予想収量と、収量(実績)と、現在タンク内穀物量と、タンク満量予想時刻と、最新穀物水分率と、圃場内平均穀物水分率と、予想排出総回数と、排出回数(実績)と、作業完了予想時刻と、作業総時間(実績)と、燃料残量と、予想燃料使用量と、燃料使用量(実績)と、進捗率と、タンク内穀物平均水分率と、最新穀物排出量とを示している。
【0048】
ここで、発信日時と発信時刻の取得はECU50に内蔵されたタイマを利用し、発信場所の経度及び緯度の取得はGPSセンサ73を利用する。現在タンク内穀物量の取得は堆積センサ71を利用し、タンク満量予想時間の取得はECU50を用いた既知の手法を適用することができる。最新穀物水分率及びタンク内穀物平均水分率の取得は水分センサ72を利用し、圃場内平均穀物水分率の取得はECU50を用いた既知の手法を適用することができる。燃料残量の取得は情報検出部70の不図示の燃料残量センサを利用し、予想燃料使用量及び燃料使用量(実績)の取得はECU50を用いた既知の手法を適用することができる。その他、予想圃場面積と、実刈取面積(実績)と、予想収量と、収量(実績)と、予想排出総回数と、排出回数(実績)と、作業完了予想時刻と、作業総時間(実績)と、進捗率と、最新穀物排出量との取得については、ECU50を用いた既知の手法を適用することができる。
【0049】
設定表115では、電子メールを送信する各タイミングにおいて、送信したい項目を送信項目の中から選択項目(選択情報)として選択することができる。これにより、情報管理部54は、全ての送信項目の中から選択する選択項目と、その選択項目を記載した電子メールを送信するタイミングとを、カテゴリごとに設定することができる。また、カテゴリごとに設定テーブル105(
図10(b)参照)を用いてユーザを設定できるので、情報管理部54は、送信項目の中から選択する選択項目と、電子メールを送信するタイミングと、を携帯端末(ユーザ)ごとに設定することができる(設定工程(
図6参照))。即ち、情報管理部54は、複数の携帯端末をカテゴリごとのグループに分け、選択項目及び送信タイミングをカテゴリ内で同一に設定するグループ設定動作を実行可能である。このため、複数の携帯端末の1つずつに選択項目とタイミングとの設定を行わなくても、カテゴリごとにまとめて設定して管理することができる。
【0050】
また、設定表115では、選択項目については、表示順(
図12中、数値で示す)を設定することができる。また、電子メールを送信するタイミングに接触すると、そのタイミングで送信される電子メールのプレビュー画面を表示することができる。
【0051】
図7(a)に示す待受画面において、監視ログ表示ボタン84に接触すると、
図13に示すように、表示範囲を設定する設定欄120と、電子メールの送信結果等を示す結果表121と、前の画面に戻るための閉じるボタン122とが表示される。設定欄120では、結果表121に表示したい電子メールの日付や送信成功・失敗を設定する。結果表121では、一例として、ログNo.と、発生日時と、送信成功・失敗の送信結果と、位置情報と、送信タイミングであるトリガーとが表示される。
【0052】
上述したように、電子メールの送信先であるカテゴリごとに電子メールに記載する選択項目と送信タイミングとを設定することができ、ECU50はそれに従って作動する。本実施形態では、
図5に示すように、情報管理部54が選択項目を設定し、メール作成部55が選択項目に基づいて電子メールを作成し、外部通信部56が作成された電子メールをインターネット60を通じて複数の携帯端末61,62,63に自動送信する。
【0053】
次に、メール作成部55により作成される電子メールの具体例について、
図14(a)~
図16を用いて詳細に説明する。これらの電子メールに記載される項目及び表示順は、
図12に示す選択枠114及び設定表115により予め設定されている。
図14(a)は、コンバイン1から籾運搬作業者の携帯端末61(
図5参照)に送信される電子メール123の一例であり、ここでは送信のトリガーは例えばタンク内穀物規定量到達時としている。この電子メール123では、送信項目123aとして、例えば、発信日時、発信時刻、タンク満量予想時刻、燃料残量、実刈取面積(実績)、収量(実績)、排出回数(実績)、作業総時間(実績)、燃料使用量(実績)、進捗率、地図リンクが順に表示されている。
【0054】
図14(b)は、コンバイン1から乾燥機作業者の携帯端末62(
図5参照)に送信される電子メール124の一例であり、ここでは送信のトリガーは例えば穀物排出時(完了時)としている。この電子メール124では、送信項目124aとして、例えば、発信日時、発信時刻、タンク穀物平均水分率、最新穀物排出量、予想排出総回数、排出回数(実績)、燃料使用量(実績)、進捗率、地図リンクが順に表示されている。
【0055】
図15(a)は、コンバイン1から管理者の携帯端末63(
図5参照)に送信される電子メール125の一例であり、ここでは送信のトリガーは例えば進捗状況50%到達時としている。この電子メール125では、送信項目125aとして、例えば、発信日時、発信時刻、進捗率、タンク満量予想時刻、収量(実績)、圃場内平均穀物水分率、作業完了予想時刻、燃料残量、地図リンクが順に表示されている。
【0056】
図15(b)は、コンバイン1から管理者の携帯端末63(
図5参照)に送信される電子メール126の一例であり、ここでは送信のトリガーは例えば進捗状況100%到達時としている。この電子メール126では、送信項目126aとして、例えば、発信日時、発信時刻、進捗率、収量(実績)、圃場内平均穀物水分率、実刈取面積(実績)、作業総時間(実績)、燃料使用量(実績)、地図リンクが順に表示されている。
【0057】
図16は、コンバイン1から管理者の携帯端末63(
図5参照)に送信される電子メール127の一例であり、ここでは送信のトリガーは例えばAll_Logとしている。この電子メール127では、送信項目127aとして、例えば、発信日時、発信時刻、地図リンクが順に表示されている。また、添付ファイルとして、All_Logファイル127bが添付されている。All_Logファイル127bには、コンバイン1の電源をオンしてからの一連の稼働情報が全て記録されている。
【0058】
上述したように本実施形態のコンバイン1によれば、情報検出部70により検出された稼働情報に基づいて電子メールを作成する情報管理部54及びメール作成部55と、電子メールをインターネット60を通じて携帯端末に送信する外部通信部56とを備えている。このため、コンバイン1側を送信元としてメール送信しているので、多数の作業車両を監視する遠隔サーバを介してメール送信する場合に比べて、遠隔サーバ等の処理負荷が大きくなって電子メールの自動送信が遅れるような事態の発生を抑制することができる。これにより、稼働情報に関する電子メールを携帯端末に自動送信する際の遅延を抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態のコンバイン1によれば、コンバイン1は、情報検出部70を有する走行機体3と、走行機体3に接続されて走行機体3を制御するECU50と、を備え、ECU50は情報管理部54及びメール作成部55と外部通信部56とを有している。このため、コンバイン1に備えられたECU50により電子メールの作成及び送信を実行するので、装置全体をコンパクトに構成することができる。
【0060】
また、本実施形態のコンバイン1によれば、外部通信部56は、携帯端末への電子メールの送信においてエラーが発生した場合に、再送信を実行する。これにより、メール送信の確実性を向上することができるので、電子メールの不達によって作業に支障が発生することを抑制できる。
【0061】
<第2の実施形態>
次に、本発明の作業車両の第2の実施形態を、
図17を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、コンバイン1Aは、走行機体3Aに対する通信を接続状態と切断状態とに切替可能に接続された情報処理装置の一例であるタブレット等の携帯端末160を備える点で、第1の実施形態と構成を異にしている。但し、それ以外の構成については、第1の実施形態と同様であるので、符号を同じくして詳細な説明を省略する。
【0062】
図17に示すように、コンバイン1Aは、情報検出部70を有する走行機体3Aと、走行機体3Aにケーブルを利用した有線通信により着脱可能に接続された携帯端末160と、走行機体3Aに設けられたECU150とを備えている。携帯端末160は例えばタブレットであり、ユーザ情報152を取得して保存する他、保存した情報を処理する情報処理部153と、情報を管理する情報管理部154と、電子メールを作成するメール作成部155と、コンバイン1Aの外部とインターネット60を介して情報を送受信する外部通信部156とを有している。尚、情報管理部154とメール作成部155と外部通信部156とが、メール送信部に相当する。ECU150は、機体情報151を取得して保存する。本実施形態では、携帯端末160のケーブルをコンバイン1Aに対して抜き差しすることで、携帯端末160を走行機体3Aに対して着脱可能とし、これにより携帯端末160の走行機体3Aに対する通信を接続状態と切断状態とに切替可能とする。
【0063】
本実施形態のコンバイン1Aは、第1の実施形態のコンバイン1と同様に、グレンタンク8(
図1参照)に貯留された穀粒は、グレンタンク8の貯留量が満量になるか、あるいは満量に近くなったタイミングで、排出オーガ9(
図1参照)によって運搬車に移し替えられて積載される。運搬車に積載された穀粒は、運搬車が乾燥機まで移動してから乾燥機に移し替えられて収容され、乾燥機によって乾燥される。運搬車を操作する籾運搬作業者はタブレット等の携帯端末61を有しており、乾燥機を操作する乾燥機作業者もタブレット等の携帯端末62を有している。更に、コンバイン1Aと運搬車と乾燥機との作業状況を管理する管理者もタブレット等の携帯端末63を有している。これらの携帯端末61,62,63、即ち複数の端末装置と、コンバイン1Aの携帯端末160とは、通信ネットワークの一例であるインターネット60を介して互いに接続されている。
【0064】
本実施形態では、第1の実施形態と同様のメール送信システム及びメール送信方法を採用しており、
図6に示すフローチャートや
図7(a)~
図13に示す設定画面等をそのまま適用している。
【0065】
上述したように本実施形態のコンバイン1Aによれば、情報検出部70により検出された稼働情報に基づいて電子メールを作成する情報管理部154及びメール作成部155と、電子メールをインターネット60を通じて携帯端末に送信する外部通信部156とを備えている。このため、コンバイン1A側を送信元としてメール送信しているので、多数の作業車両を監視する遠隔サーバを介してメール送信する場合に比べて、遠隔サーバ等の処理負荷が大きくなって電子メールの自動送信が遅れるような事態の発生を抑制することができる。これにより、稼働情報に関する電子メールを携帯端末に自動送信する際の遅延を抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態のコンバイン1Aによれば、コンバイン1Aは、情報検出部70を有する走行機体3Aと、走行機体3Aに着脱可能に接続された携帯端末160とを備え、携帯端末160は情報管理部154とメール作成部155と外部通信部156とを有している。このため、異なるコンバインに対して同一の携帯端末160を利用することができるようになり、コストの削減を図ることができる。また、コンバイン1Aに使用した携帯端末160を異なるコンバインに対して同一の携帯端末160を接続できるだけでなく、コンバイン1Aに使用した携帯端末160をトラクタや田植機等の他の作業車両にも接続するようにしてもよい。この場合、同一の携帯端末160でトラクタ、田植機、コンバインのそれぞれのデータを収集・管理・分析し、相互のデータをそれぞれ利用することが可能になり、効率化を図ることができる。
【0067】
なお、上述した本実施形態においては、携帯端末160は走行機体3Aに対してケーブルで接続されている場合について説明したが、これには限られない。例えば、携帯端末160と走行機体3Aとをインターネットやブルートゥース(登録商標)等の無線通信を利用して接続するようにしてもよい。この場合、無線通信のオンオフにより、携帯端末160の走行機体3Aに対する通信を接続状態と切断状態とに切替可能とする。
【0068】
なお、上述した各実施形態においては、作業車両としてコンバイン1,1Aについて説明をしたが、これに限定されない。作業車両は、例えば、トラクタや田植え機等、他の作業車両であってもよい。
【0069】
また、上述した各実施形態においては、通信ネットワークとしてインターネット60を適用した場合について説明したが、これには限定されない。例えば、圃場内で限定的に使用される通信ネットワークを適用してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1,1A:コンバイン(作業車両)
3,3A:走行機体(車両本体)
50:ECU(制御装置)
54,154:情報管理部(メール送信部)
55,155:メール作成部(メール送信部)
56,156:外部通信部(メール送信部)
60:通信ネットワーク
61,62,63:携帯端末(端末装置)
70:情報検出部
160:携帯端末(情報処理装置)