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特開2023-75563発光素子用基板、発光素子用基板を用いた発光装置及び発光素子用基板の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075563
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】発光素子用基板、発光素子用基板を用いた発光装置及び発光素子用基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20230524BHJP
【FI】
H01L33/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188538
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【弁理士】
【氏名又は名称】梶谷 美道
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100218981
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 和宏
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA33
5F142BA02
5F142BA32
5F142CA13
5F142CB03
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD17
5F142CD23
5F142CD32
5F142CD33
5F142CD44
5F142CD47
5F142CE02
5F142CE16
5F142CG03
5F142CG25
5F142CG43
5F142DA01
5F142DA14
5F142DA21
5F142DA73
5F142DB12
5F142DB13
5F142DB16
5F142FA03
5F142GA21
5F142GA29
(57)【要約】
【課題】導電層間のイオンマイグレーションによる短絡を抑制する発光素子用基板を提供する。
【解決手段】
発光素子用基板100は、第1面10a及び第2面10bを有し、第2面10bは、第1溝31を含む少なくとも1つの溝30と、第1溝の両側にそれぞれ位置する第1領域R1及び第2領域R2と、を有し、複数の繊維束11と樹脂12とを少なくとも含むシート状の樹脂層10と、第1領域R1に配置された第1導電層21と、第2領域R2に配置された第2導電層22と、を備え、第1導電層21と第1溝31と第2導電層22とを通る断面視において、第1溝31の底部Pよりも浅い位置にある複数の繊維束11の少なくとも1つの連続する繊維束11Yは、平面視において、第1領域R1、第1溝31、第2領域R2を横断するように配置されている。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、を有し、前記第2面が、第1溝を含む少なくとも1つの溝と、前記第1溝の両側にそれぞれ位置する第1領域及び第2領域と、を有し、複数の繊維束と樹脂とを少なくとも含むシート状の樹脂層と、
前記樹脂層の前記第1領域に配置された第1導電層と、
前記樹脂層の前記第2領域に配置された第2導電層と、を備え、
前記第1導電層と前記第1溝と前記第2導電層とを通る断面視において、前記第1溝の底部よりも浅い位置にある前記複数の繊維束の少なくとも1つの連続する繊維束は、平面視において、前記第1領域、前記第1溝、前記第2領域を横断するように配置されている、発光素子用基板。
【請求項2】
前記少なくとも1つの繊維束は、前記樹脂層の前記第1面と前記第2面との間において、前記樹脂層の厚さ方向に積み重ねられた2以上の繊維束を含み、
前記樹脂層は、平面視において、前記第1導電層または前記第2導電層に重なる第1部分と、前記少なくとも1つの溝に重なる第2部分と、を含み、
前記第2部分における前記2以上の繊維束の積層間隔は、前記第1部分における前記2以上の繊維束の積層間隔よりも小さい、請求項1に記載の発光素子用基板。
【請求項3】
前記樹脂層は、平面視において、前記第1導電層または前記第2導電層に重なる第1部分と、前記少なくとも1つの溝に重なる第2部分と、を含み、
前記第2部分の前記複数の繊維束の密度は、前記第1部分の前記複数の繊維束の密度よりも大きい、請求項1に記載の発光素子用基板。
【請求項4】
前記少なくとも1つの溝の表面は、前記樹脂のみが配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の発光素子用基板。
【請求項5】
平面視において、前記第1溝は環状であり、前記第1領域は、前記第1溝で囲まれた領域であり、前記第2領域は前記第1溝を挟んで前記第1領域の反対側に位置する、請求項1から4のいずれか一項に記載の発光素子用基板。
【請求項6】
前記少なくとも1つの溝は、第2溝をさらに含み、
平面視において、前記第2溝は、前記樹脂層の前記第2面のうち前記第1溝を挟んだ前記第1領域の反対側に位置する領域において、前記第2領域と、前記第2領域以外の外側領域と、の間に位置し、前記第2溝は、弧状または環状に延びる部分を含む、請求項5に記載の発光素子用基板。
【請求項7】
前記樹脂層の前記第2面は、4つの角部を有する矩形であり、
平面視において、前記樹脂層の前記第2面は、第3領域、第4領域及び第5領域と、前記第2領域、前記第3領域、前記第4領域及び前記第5領域を除く外側領域と、をさらに含み、前記第2領域、前記第3領域、前記第4領域及び前記第5領域は、前記第1溝と前記4つの角部との間にそれぞれ位置し、
前記発光素子用基板は、前記第3領域、前記第4領域及び前記第5領域にそれぞれ位置する第3導電層、第4導電層及び第5導電層をさらに含み、
平面視において、前記少なくとも1つの溝は、前記第2領域及び前記外側領域の間に位置する第2溝と、前記第3領域及び前記外側領域の間に位置する第3溝と、前記第4領域及び前記外側領域の間に位置する第4溝と、前記第5領域及び前記外側領域の間に位置する第5溝と、をさらに含み、
平面視において、前記第2溝、前記第3溝、前記第4溝及び前記第5溝は、それぞれ、前記第1溝に接する弧状部分を有する、請求項5又は6に記載の発光素子用基板。
【請求項8】
平面視において、前記第1溝は、前記第1領域及び前記第2領域の間を直線状に延びる溝である、請求項1から4のいずれか一項に記載の発光素子用基板。
【請求項9】
前記樹脂層の前記第2面は、前記少なくとも1つの溝によって、前記第1領域及び前記第2領域を含む複数の領域に分割されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の発光素子用基板。
【請求項10】
前記少なくとも1つの溝は、平面視において、前記第2面の周縁にある第1位置と、前記第2面の内側にある第2位置と、前記第1位置から前記第2位置まで直線状に延びる直線部と、を有する溝を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の発光素子用基板。
【請求項11】
前記少なくとも1つの溝は、平面視において、幅の異なる複数の部分を有する溝を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の発光素子用基板。
【請求項12】
前記少なくとも1つの溝の断面形状は、矩形の一部を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の発光素子用基板。
【請求項13】
前記少なくとも1つの溝の断面形状は、円または楕円の一部の弧を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の発光素子用基板。
【請求項14】
前記少なくとも1つの溝の開口部の幅は、溝の底部の幅よりも大きい、請求項1から13のいずれか一項に記載の発光素子用基板。
【請求項15】
平面視において、前記第1溝は、前記第1導電層と前記第2導電層との最短距離を結ぶ線分に交差するように配置されている、請求項1から14のいずれか一項に記載の発光素子用基板。
【請求項16】
前記少なくとも1つの繊維束は、平面視で前記少なくとも1つの溝に重なる部分において、前記少なくとも1つの溝に沿って、前記少なくとも1つの溝の深さ方向に曲がっている、請求項1から15のいずれか一項に記載の発光素子用基板。
【請求項17】
前記第1導電層は第1下部導電層であり、
前記第2導電層は第2下部導電層であり、
前記樹脂層の前記第1面側に、互いに間隔を空けて配置された第1上部導電層及び第2上部導電層を備え、
前記第1上部導電層は前記第1下部導電層に電気的に接続され、前記第2上部導電層は前記第2下部導電層に電気的に接続されている、請求項1から16のいずれか一項に記載の発光素子用基板と、
前記樹脂層の前記第1面側に配置された少なくとも1つの発光素子と、を備え、
前記少なくとも1つの発光素子は、前記第1上部導電層に電気的に接続された第1電極と、前記第2上部導電層に電気的に接続された第2電極と、を有する第1発光素子を含む、発光装置。
【請求項18】
第1面に少なくとも1つの凸部を有するシート状の金属板と、複数の繊維束と樹脂とを有するプリプレグと、を準備する工程と、
前記金属板の前記第1面と、前記プリプレグと、を貼り合わせる工程と、
前記プリプレグを硬化し樹脂層を形成する工程と、
前記金属板にレジストを形成する工程と、
前記金属板の前記少なくとも1つの凸部をエッチングする工程と、
前記レジストを除去する工程と、
を有する、発光素子用基板の製造方法。
【請求項19】
前記金属板の前記少なくとも1つの凸部をエッチングする工程において、前記樹脂層に前記少なくとも1つの凸部と対向する少なくとも1つの溝を形成する、請求項18に記載の発光素子用基板の製造方法。
【請求項20】
前記複数の繊維束の少なくとも1つの繊維束が、平面視で前記少なくとも1つの溝に重なる部分において、前記少なくとも1つの溝に沿って深さ方向に曲がるように前記樹脂層を形成する、請求項19に記載の発光素子用基板の製造方法。
【請求項21】
前記金属板の前記少なくとも1つの凸部をエッチングする工程において、前記少なくとも1つの溝を跨ぐように前記金属板を2以上に分割する、請求項19又は20に記載の発光素子用基板の製造方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの凸部は、平面視において弧状または環状に延びる凸部を含む、請求項18から21のいずれか一項に記載の発光素子用基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、発光素子用基板、発光素子用基板を用いた発光装置及び発光素子用基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode)などの発光素子を基板上に載置した発光装置が知られている。このような発光装置において、発光素子が実装される基板(以下、「発光素子用基板」と称する。)は、例えば、発光素子を実装する面と反対側の面に、発光素子の正負電極に電気的に接続される複数の導電層を有している。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-040801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光素子用基板に設けられた複数の導電層の間の距離が小さくなると、導電層同士の間でイオンマイグレーションが発生しやすくなる。イオンマイグレーションが発生すると、導電層間が短絡するおそれがあり、発光素子の誤作動や不灯の要因となり得る。
【0005】
本開示は、導電層間のイオンマイグレーションによる短絡を抑制する発光素子用基板、発光素子用基板を用いた発光装置及び発光素子用基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る発光素子用基板は、第1面と、前記第1面の反対側に位置する第2面と、を有し、前記第2面が、第1溝を含む少なくとも1つの溝と、前記第1溝の両側にそれぞれ位置する第1領域及び第2領域と、を有し、複数の繊維束と樹脂とを少なくとも含むシート状の樹脂層と、前記樹脂層の前記第1領域に配置された第1導電層と、前記樹脂層の前記第2領域に配置された第2導電層と、を備え、前記第1導電層と前記第1溝と前記第2導電層とを通る断面視において、前記第1溝の底部よりも浅い位置にある前記複数の繊維束の少なくとも1つの連続する繊維束は、平面視において、前記第1領域、前記第1溝、前記第2領域を横断するように配置されている。
【0007】
本開示の一実施形態に係る発光装置は、前記第1導電層は第1下部導電層であり、前記第2導電層は第2下部導電層であり、前記樹脂層の前記第1面側に、互いに間隔を空けて配置された第1上部導電層及び第2上部導電層を備え、前記第1上部導電層は前記第1下部導電層に電気的に接続され、前記第2上部導電層は前記第2下部導電層に電気的に接続されている、上記に記載の発光素子用基板と、前記樹脂層の前記第1面側に配置された少なくとも1つの発光素子と、を備え、前記少なくとも1つの発光素子は、前記第1上部導電層に電気的に接続された第1電極と、前記第2上部導電層に電気的に接続された第2電極と、を有する第1発光素子を含む。
【0008】
本開示の一実施形態に係る発光素子用基板の製造方法は、第1面に少なくとも1つの凸部を有するシート状の金属板と、複数の繊維束と樹脂とを有するプリプレグと、を準備する工程と、前記金属板の前記第1面と、前記プリプレグと、を貼り合わせる工程と、前記プリプレグを硬化し樹脂層を形成する工程と、前記金属板にレジストを形成する工程と、前記金属板の前記少なくとも1つの凸部をエッチングする工程と、前記レジストを除去する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態によれば、導電層間のイオンマイグレーションによる短絡を抑制する発光素子用基板、発光素子用基板を用いた発光装置及び発光素子用基板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A図1Aは、本開示による実施形態の発光素子用基板の模式的な上面図である。
図1B図1Bは、図1Aに示す発光素子用基板の模式的な下面図である。
図1C図1Cは、図1A及び図1Bに示す1C-1C線における模式的な断面図である。
図1D図1Dは、図1Cの一部を拡大して示す模式的な拡大断面図である。
図2A図2Aは、本開示による実施形態の発光装置の模式的な上面図である。
図2B図2Bは、図2Aに示す2B―2B線における模式的な断面図である。
図3A図3Aは、実施形態における樹脂層の一部を示す模式的な拡大断面図である。
図3B図3Bは、繊維層の一例を示す模式的な拡大上面図である。
図3C図3Cは、第1繊維束の配置を説明するための模式図であり、発光素子用基板の一部を示す模式的な拡大下面図である。
図4A図4Aは、実施形態の第1基板を示す模式的な下面図である。
図4B図4Bは、図4Aに示す第1基板の一部を示す模式的な拡大下面図である。
図4C図4Cは、図4Bに示す4C-4C線における模式的な断面図である。
図5図5は、実施形態の他の第1基板の一部を示す模式的な拡大下面図である。
図6図6は、光源部の他の例を示す断面図である。
図7A図7Aは、実施形態の発光装置を示す模式的な上面図である。
図7B図7Bは、図7Aに示す発光装置の模式的な下面図である。
図7C図7Cは、図7A及び図7Bに示す7C-7C線における模式的な断面図である。
図7D図7Dは、図7Aに示す発光装置の模式的な側面図である。
図8A図8Aは、実施形態の発光素子用基板の製造に用いる金属板の一部を示す模式的な拡大上面図である。
図8B図8Bは、図8Aに示す8B-8B線における模式的な断面図である。
図8C】実施形態の発光素子用基板の製造に用いるプリプレグの一部を示す模式的な拡大断面図である。
図9A図9Aは、実施形態の発光素子用基板の製造工程を示す工程断面図である。
図9B図9Bは、実施形態の発光素子用基板の製造工程を示す工程断面図である。
図9C図9Cは、実施形態の発光素子用基板の製造工程を示す工程断面図である。
図9D図9Dは、実施形態の発光素子用基板の製造工程を示す工程断面図である。
図9E図9Eは、実施形態の発光素子用基板の製造工程を示す工程断面図である。
図9F図9Fは、実施形態の発光素子用基板の製造工程を示す工程断面図である。
図9G図9Gは、実施形態の発光素子用基板の製造工程を示す工程断面図である。
図10A図10Aは、変形例1の発光素子用基板の模式的な上面図である。
図10B図10Bは、図10Aに示す発光素子用基板の模式的な下面図である。
図10C図10Cは、図10A及び図10Bに示す10C-10C線における模式的な断面図である。
図11図11は、変形例1の第1基板の一部を示す模式的な拡大下面図である。
図12A図12Aは、変形例1の発光装置を示す模式的な上面図である。
図12B図12Bは、図12Aに示す発光装置の模式的な下面図である。
図12C図12Cは、図12A及び図12Bに示す12C-12C線における模式的な断面図である。
図13図13は、図12Cに示す発光装置から、レンズを取り除いた断面図である。
図14A図14Aは、変形例2の発光素子用基板の模式的な上面図である。
図14B図14Bは、図14Aに示す発光素子用基板の模式的な下面図である。
図14C図14Cは、図14A及び図14Bに示す14C-14C線における模式的な断面図である。
図15図15は、変形例2の第1基板の一部を示す模式的な拡大下面図である。
図16図16は、変形例2の他の発光素子用基板を示す模式的な下面図である。
図17A図17Aは、変形例3の発光素子用基板の模式的な下面図である。
図17B図17Bは、変形例3の他の発光素子用基板の模式的な下面図である。
図18図18は、変形例3のさらに他の発光素子用基板の模式的な下面図である。
図19A図19Aは、変形例4の発光素子用基板の模式的な断面図である。
図19B図19Bは、変形例4の他の発光素子用基板の模式的な断面図である。
図19C図19Cは、変形例4の他の発光素子用基板の模式的な断面図である。
図20図20は、変形例4の他の発光素子用基板の模式的な下面図である。
図21図21は、樹脂層に溝を形成する参考例の加工方法を示す模式的な拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明の実施形態について適宜図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する発光素子用基板及び発光装置は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。また、一つの実施形態において説明する内容は、他の実施形態及び変形例にも適用可能である。さらに、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0012】
以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。あるいは、説明で参照しない構成要素に参照符号を付さない場合がある。以下の説明では、特定の方向または位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」及びそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向または位置をわかり易さのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向または位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品、製造装置等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。本開示において「平行」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が0°から±5°程度の範囲にある場合を含む。また、本開示において「垂直」または「直交」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が90°から±5°程度の範囲にある場合を含む。
【0013】
以下に示す図では、互いに直交するx軸、y軸及びz軸を示す矢印があわせて示されている。x方向で矢印が向いている方向を+x方向、+x方向の反対方向を-x方向と表記し、y方向で矢印が向いている方向を+y方向、+y方向の反対方向を-y方向と表記し、z方向で矢印が向いている方向を+z方向、+z方向の反対方向を-z方向と表記する。実施形態では、発光素子は一例として+z方向側に光を照射するものとする。但し、このことは、発光装置及び発光素子の使用時における向きを制限するわけではなく、発光装置及び発光素子の向きは任意である。また、特許請求の範囲及び明細書において平面視とは、対象を+z方向または-z方向から見ることをいい、平面形状とは、対象をz方向から見たときの形状をいう。
【0014】
また、本明細書または特許請求の範囲において、ある構成要素が複数あり、それぞれを区別して表現する場合に、その構成要素の頭に“第1”、“第2”と付記して区別することがある。また、本明細書と特許請求の範囲とで区別する対象が異なる場合があり得る。そのため、特許請求の範囲において本明細書と同一の付記がされた構成要素が記載されていても、この構成要素によって特定される対象が、本明細書と特許請求の範囲との間で一致しないことがあり得る。
【0015】
例えば、本明細書において“第1”、“第2”、“第3”と付記されて区別される構成要素があり、本明細書において“第1”及び“第3”が付記された構成要素を特許請求の範囲に記載する場合に、見易さの観点から特許請求の範囲においては“第1”、“第2” と付記して構成要素を区別することがある。この場合、特許請求の範囲において“第1”、“第2”と付記された構成要素はそれぞれ、本明細書において“第1”“第3”と付記された構成要素を指すことになる。なお、このルールの適用対象は構成要素に限らず、その他の対象に対しても、合理的かつ柔軟に適用される。
【0016】
(実施形態)
図1A図1Dは、本開示による一実施形態の発光素子用基板(以下、「基板」と略することがある。)100を示す図である。図1Aは、基板100の模式的な上面図であり、図1Bは、基板100の模式的な下面図である。図1Cは、図1A及び図1Bに示す1C-1C線における基板100の模式的な断面図である。図1Dは、図1Cの一部を拡大した拡大断面図である。
【0017】
基板100は、シート状の樹脂層10と、第1導電層21と第2導電層22とを含む複数の導電層20と、を備える。樹脂層10は、第1面10aと、第1面10aの反対側に位置する第2面10bと、を有する。第2面10bは、第1溝31を含む少なくとも1つの溝30と、第1溝31の両側にそれぞれ位置する第1領域R1及び第2領域R2と、を有する。また樹脂層10は、複数の繊維束と樹脂とを少なくとも含む。樹脂層10では、第1導電層21と第1溝31と第2導電層22とを通る断面視において、第1溝31の底部Pよりも浅い位置にある複数の繊維束の少なくとも1つの連続する第1繊維束が、平面視において、第1領域R1、第1溝31、第2領域R2を横断するように配置されている。
【0018】
基板100は、上面100aと、上面100aの反対側に位置する下面100bと、を有する。樹脂層10の第1面10aは、基板100の上面100aと同じ側に位置し、第2面10bは、基板100の下面100bと同じ側に位置する。
【0019】
第1導電層21及び第2導電層22を含む複数の導電層20は、樹脂層10の第2面10bに配置されている。第1導電層21は、樹脂層10の第1領域R1に配置され、第2導電層22は、樹脂層10の第2領域R2に配置されている。本明細書では、樹脂層10の第2面10bに設けられる導電層20を「下部導電層」と呼ぶことがある。
【0020】
本実施形態の基板100では、樹脂層10の第2面10bに第1溝31を設けることにより、第1導電層21と第2導電層22との間の、樹脂層10の第2面10bに沿った距離(以下、「沿面距離」と称することがある。)を大きくできるので、第1導電層21と第2導電層22との間で、イオンマイグレーションに起因する導電層間の短絡を抑制できる。
【0021】
図2Aは、本開示による一実施形態の発光装置の模式的な上面図であり、図2Bは、図2Aに示す2B-2B線における模式的な断面図である。
【0022】
本実施形態の発光装置400は、発光素子用基板100と、少なくとも1つの発光素子70と、を備える。発光素子用基板100は、第1下部導電層21と、第2下部導電層22と、樹脂層10の第1面10a側に、互いに間隔を空けて配置された第1上部導電層41及び第2上部導電層42とを備えている。ここで、図1B及びおよび図1Cに示す第1導電層21は第1下部導電層21であり、第2導電層22は第2下部導電層22である。第1上部導電層41は第1下部導電層21に電気的に接続され、第2上部導電層42は第2下部導電層22に電気的に接続されている。また、本実施形態の発光装置400は、発光素子用基板100と、樹脂層10の第1面10a側に配置された少なくとも1つの発光素子70と、を備えている。少なくとも1つの発光素子70は、第1上部導電層41に電気的に接続された第1電極81と、第2上部導電層42に電気的に接続された第2電極82と、を有する第1発光素子71を含む。
【0023】
以下、各構成要素を詳細に説明する。
【0024】
[樹脂層10]
樹脂層10は、後述するように、複数の繊維束11と、樹脂12と、を少なくとも含むものである。図1A図1Cに例示する構成では、樹脂層10はシート状であり、xy平面に平行な第1面10a及び第2面10bと、第1面10a及び第2面10bの間に位置する側面10cと、を有する。側面10cは、xy平面に垂直であってもよい。樹脂層10の厚さd1は、例えば、200μm以上900μm以下である。ここでは、樹脂層10の厚さd1は、例えば300μmである。「樹脂層の厚さ」は、樹脂層10の第2面10bのうち溝30が形成されていない部分と、第1面10aと、のz方向における距離である。
【0025】
樹脂層10の平面形状、すなわち第1面10a及び第2面10bの形状は、例えば四角形である。四角形の各辺は、x軸またはy軸に平行である。図1Bに示す例では、第2面10bは、4つの角部c1~c4及び4つの辺s1~s4を有する矩形である。辺s1、s3は、x軸に平行であり、辺s3は、辺s1の+y側に位置する。辺s2、s4は、y軸に平行であり、辺s4は、辺s2の-x側に位置する。辺s1及び辺s2のなす角が角部c1である。角部c2は辺s2及び辺s3のなす角であり、角部c3は辺s3及び辺s4のなす角であり、及び角部c4は辺s4及び辺s1のなす角である。図1Aに示す第1面10aも、第2面10bと同様の矩形である。第1面10a及び第2面10bのサイズは、例えば、6mm×6mmである。樹脂層10の平面形状は、四角形以外の多角形、例えば三角形、五角形、六角形であってもよい。なお、本明細書において、多角形に関しては、多角形の角部に角丸め、面取り、角取り、丸取り等の加工が施された形状も含めて、多角形と呼ぶものとする。また、角部(辺の端)に限らず、辺の中間部分に加工が施された形状も同様に、多角形と呼ぶものとする。つまり、多角形をベースに残しつつ、部分的な加工が施された形状は、本明細書で記載される“多角形”の解釈に含まれるものとする。さらに、樹脂層10の平面形状は、円形形状や楕円形状等の曲線を有する形状もよい。
【0026】
図1Bに示すように、樹脂層10の第2面10bは、少なくとも1つの溝30と、複数の導電層配置領域と、を有している。導電層配置領域は、導電層20が配置される領域である。隣り合う2つの導電層配置領域の間には溝30が位置する。本実施形態では、複数の導電層配置領域は、第1領域R1及び第2領域R2を含む。溝30は、第1領域R1及び第2領域R2の間に位置する第1溝31を含む。
【0027】
図1Bに示す例では、第2面10bは、第1溝31と、第1溝31の-x側に位置する第1領域R1と、第1溝31の+x側に位置する第2領域R2と、を含む。第1溝31は、第1領域R1と第2領域R2との間をy軸方向に直線状に延びる溝である。第1領域R1は、第1溝31と第2面10bの周縁(ここでは辺s3、s4、s1)とに囲まれた領域であり、第2領域R2は、第1溝31と第2面10bの周縁(ここでは辺s1、s2、s3)とに囲まれた領域である。この例では、第1溝31の両端は、それぞれ、第2面10bの辺s1、s3に接しているが、第1溝31と辺s1との間、または第1溝31とs3との間に隙間があってもよい。なお、第1溝31は、第1領域R1及び第2領域R2の平面形状や位置関係によっては、x軸に平行に配置されたり、x軸およびy軸に交差する方向(例えば、x軸に対して±45°傾斜した方向)に配置されたりしてもよい。樹脂層10が四角形などの多角形の平面形状を有する場合、第1溝31は、多角形の2つの頂点の間に、これらの頂点を結ぶ対角線に沿って配置されてもよい。
【0028】
第1溝31は、平面視において、第1導電層21と第2導電層22との間で、これらの最短距離L1を結ぶ線分に交差して配置されていることが好ましい。これにより、より効果的に、第1導電層21と第2導電層22との間のイオンマイグレーションに起因する短絡を抑制できる。
【0029】
樹脂層10の第2面10bは、少なくとも1つの溝30によって、第1領域R1及び第2領域R2を含む複数の領域に分割(区画)されていてもよい。「溝によって分割される」または「溝によって区画される」とは、第2面10bが複数の領域に分けられ、各領域の少なくとも一部の周縁を規定するように溝30が配置されることである。導電層配置領域同士を完全に分離するように溝30が配置されていなくてもよい。例えば、2つの導電層配置領域の間に、溝30が形成されていない部分があってもよい。
【0030】
なお、溝30及び導電層配置領域の数は、特に限定されない。樹脂層10の第2面10bは、複数の溝30と、3以上の導電層配置領域と、を有してもよい。例えば第2面10bは、複数の溝30によって、3以上の導電層配置領域に分割されていてもよい。溝30によって分割された複数の導電層配置領域のそれぞれに1つずつ導電層20を配置することで、隣接する2つの導電層20の間におけるイオンマイグレーションによる短絡を抑えることができる。この場合、平面視において、隣接する2つの導電層20の間に、複数の溝30のうちの少なくとも1つが配置されていてもよい。
【0031】
<溝30>
樹脂層10の第2面10bにおける溝30は、平面視において、直線状に延びる直線部分及び/または曲線状に延びる曲線部分を含み得る。曲線部分は、円形、楕円形またはそれらの一部である弧状部分であってもよい。
【0032】
溝30は、溝30と導電層配置領域(ここでは第1領域R1および第2領域R2)との境界に縁部を有する。図1B及び図1Cに示す例では、第1溝31は、第1領域R1側に位置する第1縁部e1と、第2領域R2側に位置する第2縁部e2と、を有している。第1縁部e1及び第2縁部e2は互いに対向している。第1縁部e1及び第2縁部e2は、略平行であってもよい。及び第1縁部e1及び第2縁部e2は、y軸に平行である。第1溝31の幅w、すなわち、第1縁部e1と第2縁部e2との距離は、50μm以上1000μm以下が好ましく、100μm以上500μm以下がより好ましい。
【0033】
図1C及び図1Dに示すように、溝30は、断面視において、底面f3を含む底部Pを有する。本明細書において、「溝の底部」とは、溝30の幅方向に沿った断面視において、溝30のうち最も+z側に位置する部分を指す。溝30の深さ(最大深さ)d2は、例えば、樹脂層10の厚さd1の1/3以上2/3以下であることが好ましく、例えば約1/2である。溝30の深さd2が、上記範囲内であれば、溝30の両側にそれぞれ位置する導電層20の間の沿面距離を大きくできるので、イオンマイグレーションを効果的に抑制できる。一方、溝30の深さd2が、樹脂層10の厚さd1の2/3以下であれば、溝30によって樹脂層10が部分的に薄くなることによる基板100の強度の低下を抑制できる。溝30の深さd2は、例えば、130μm以上600μm以下でもよい。
【0034】
溝30の断面形状は、特に限定しないが、図1Dに示す例では、第1溝31の断面形状は、矩形の一部を含む。第1溝31は、底面f3と、底面f3及び第1縁部e1の間に位置する側面f1と、底面f3及び第2縁部e2の間に位置する側面f2とを有する。底面f3は、第2面10bの溝30以外の部分と略平行(xy平面に略平行)であってもよい。側面f1、f2は、それぞれ、底面f3に略垂直(xy平面に垂直)であってもよい。
【0035】
なお、溝30は、第1溝31以外の溝を含んでもよい。第1溝31以外の溝の幅w、深さd2及び断面形状は、第1溝31と同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0036】
<樹脂層10の構造及び材料>
図3Aは、樹脂層10の一部を示す拡大断面図であり、第1溝31、第1導電層21及び第2導電層22を含む断面を示す。図3Bは、樹脂層10における繊維層13の一例を示す拡大上面図である。図3Cは、基板100の一部を示す拡大下面図である。
【0037】
樹脂層10は、複数の繊維束11と、樹脂12とを少なくとも含む。樹脂層10は、樹脂12を繊維束11で補強したものである。各繊維束11は、複数本の繊維を含む束である。1本の繊維の太さは、例えば4μm以上10μm以下である。この例では、繊維束11は、y軸方向に略平行な複数の縦繊維束112とx軸方向に略平行な複数の横繊維束113とを含む。縦繊維束112及び横繊維束113は、平面視において互いに交差するように配置されている。図示する例では、縦繊維束112はy軸に沿い、横繊維束113はx軸に沿って配置されているが、これに限定されない。
【0038】
樹脂層10は、複数の繊維束11から構成された少なくとも1つの繊維層13を含んでいてもよい。各繊維層13は、図3Bに例示するように、縦繊維束112及び横繊維束113で織られた繊維布であってもよい。樹脂層10は、複数の繊維層13を含むことが好ましい。図3Aに示すように、複数の繊維層13は、樹脂層10の厚さ方向(z方向)に、所定の間隔を空けて積み重ねられていてもよい。
【0039】
複数の繊維束11は、第1溝31の底部Pよりも浅い位置にある少なくとも1つの連続する第1繊維束11Yを含む。第1繊維束11Yは、樹脂層10の一部(ここでは、樹脂層10のうち溝30が形成されていない部分)において、樹脂層10の第2面10bから+z方向に沿った深さが、底部Pの深さよりも小さい繊維束である。樹脂層10は、好ましくは、複数の第1繊維束11Yを含む。
【0040】
図3A及び図3Cに示すように、第1繊維束11Yは、断面視及び平面視において、第1領域R1、第1溝31及び第2領域R2を横断するように配置されている。つまり、断面視及び平面視において、第1繊維束11Yのうち第1領域R1に重なる部分、第1溝31に重なる部分、及び第2領域R2と重なる部分が互いに繋がって(連続して)いる。図示する例では、第1繊維束11Yは、第1溝31の第1縁部e1と第2縁部e2とに交差している。
【0041】
本明細書では、平面視において、樹脂層10のうち導電層20に重なる部分p1を「第1部分」、溝30に重なる部分p2を「第2部分」と呼ぶ。この例では、樹脂層10のうち第1導電層21に重なる部分及び第2導電層22に重なる部分が第1部分p1、第1溝31に重なる部分が第2部分p2となる。第2部分p2は、例えば、第1溝31の深さd2の分だけ第1部分p1よりも薄い。
【0042】
第1繊維束11Yは、平面視において、第1部分p1及び第2部分p2を横断していてもよい。図3Aから分かるように、第1繊維束11Yは、樹脂層10の第1部分p1では、第1溝31の底部Pよりも浅い位置にあるが、第2部分p2では、第1溝31の底部Pと樹脂層10の第1面10aとの間に位置する。これにより、少なくとも1つの溝30の表面には、樹脂12のみが配置される。第1繊維束11Yは、断面視において、第1溝31に沿って、第1溝31の深さ方向(+z方向)に曲がっている。図示するように、第1導電層21と第1溝31と第2導電層22とを通る断面視において、第1繊維束11Yは、第1溝31の側面f1、f2に沿って+z方向に曲がることで、+z方向に窪んだ凹部11Ydを有する。
【0043】
複数の繊維層13は、第1溝31の底部Pよりも浅い位置にある少なくとも1つの第1繊維層13Yを含んでもよい。第1繊維層13Yは、平面視において、第1領域R1、第1溝31及び第2領域R2に亘って連続して配置されていてもよい。また、樹脂層10内に、例えば3層以上の繊維層13が積み重ねられていてもよい。これにより、樹脂層10の強度をより効果的に高めることができる。複数の繊維層13のうち、第1溝31の底部Pよりも深い位置にある繊維層13が、第1溝31の側面f1、f2に沿って+z方向に曲がる繊維束11を有していてもよい。
【0044】
樹脂層10の第2面10bは、第1溝31を含む複数の溝30を有し得る。上記では、平面視において、第1溝31及び第1領域R1、第2領域に重なる繊維束11の構造を例に説明したが、平面視において、複数の溝30のそれぞれと、その溝30の両側に位置する導電層配置領域に重なる繊維束11も、上記と同様の構造を有し得る。すなわち、複数の繊維束11は、各溝30の底部Pよりも浅い位置にある少なくとも1つの連続する第1繊維束を含み、第1繊維束は、平面視において、その溝30と、その溝30の両側に位置する2つの導電層配置領域とを横断するように配置されていてもよい。また、第1繊維束は、断面視において、その溝30に沿って深さ方向(+z方向)に曲がっていてもよい。
【0045】
樹脂層10は、平面視において、第1導電層21または第2導電層22に重なる第1部分p1と、少なくとも1つの溝30に重なる第2部分p2と、を含む。樹脂層10の第2部分p2は第1部分p1よりも薄いものの、第1部分p1と同程度の束数の繊維束11、または同程度の層数の繊維層13を含み得る。このため、樹脂層10の第2部分p2における繊維束11の密度を、第1部分p1における繊維束11の密度よりも大きくすることができる。これにより、樹脂層10の第2部分p2の強度を確保できる。
【0046】
少なくとも1つの繊維束11は、樹脂層10の第1面10aと第2面10bとの間において、樹脂層10の厚さ方向に積み重ねられた2以上の繊維束11を含んでいてもよい。樹脂層10が、平面視において、第1導電層21または第2導電層22に重なる第1部分1pと、少なくとも1つの溝30に重なる第2部分p2と、を含む場合、樹脂層10の第2部分p2における繊維束11の積層間隔は、第1部分p1における繊維束11の積層間隔よりも小さいことが好ましい。例えば、それぞれが繊維束11を含む2以上の繊維層13が、樹脂層10の厚さ方向に積み重ねられており、第2部分p2における繊維層13の積層間隔は、第1部分p1における繊維層13の積層間隔よりも小さいことが好ましい。
【0047】
本実施形態の樹脂層10では、溝30の底部Pよりも浅い位置にある第1繊維束11Yは、平面視において溝30を横断するように連続して配置されている。つまり、第1繊維束11Yの一部は、溝30と樹脂層10の第1面10aとの間に位置する。溝30の表面には、溝30を除く樹脂層10の第2面10bと同様に樹脂12のみが配置されており、繊維束11が露出していない。そのため、樹脂層10の第2面10b全体が滑らかになっている。このような構造を有する樹脂層10を形成する方法については後述する。
【0048】
樹脂層10は、後述するように、プリプレグを硬化させることによって形成された層である。本明細書においてプリプレグは、繊維束に熱硬化性樹脂を含浸させた部材である。プリプレグにおける熱硬化性樹脂は、完全には硬化していないBステージと呼ばれる状態である。Bステージは、熱硬化性樹脂が半硬化状態のもので、温度を上げると一旦溶けるが、その後、熱を加えて樹脂の硬化反応が起きると、完全に硬化する特性を有する。
【0049】
樹脂層10における樹脂12の種類は、特に限定されない。樹脂12としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂及びこれらの組み合わせを用いることができる。
【0050】
繊維束11の材料は、特に限定されない。繊維束11の材料として、ガラス繊維、セラミックス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維及びこれらの組み合わせを用いることができる。本実施形態の樹脂層10は、ガラス繊維の布にエポキシ樹脂を浸透させ熱硬化処理を施したガラスエポキシ樹脂であることが好ましい。
【0051】
樹脂層10は、放熱機能を持たせるために、熱伝導性の高い無機フィラーをさらに含んでもよい。無機フィラーとして、シリカ、アルミナ、窒化アルミ、窒化ボロン、炭化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウムなどを用いることができる。
【0052】
[導電層20]
導電層20は、少なくとも正負一対を含み、樹脂層10の第1面10a側に載置される後述の光源部に電力を供給する。導電層20は、例えば、外部の回路または電源に電気的に接続される。
【0053】
図1B及び図1Cに示す例では、各導電層20の平面形状は、略矩形である。矩形の平面視のサイズは、例えば6mm×6mmである。なお、導電層20のサイズは、導電層20が配置される導電層配置領域(ここでは第1領域R1および第2領域R2)よりも小さければよい。導電層20の平面形状は矩形に限定されない。図示するように、導電層20の極性が分かるように、一部の導電層20の角に切り欠き部を設けてもよい。各導電層20は、対応する導電層配置領域R1、R2と略相似または類似の平面形状を有し得る。さらに、複数の導電層20の平面形状やサイズは、同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0054】
図1Bに示すように、複数の導電層20は、樹脂層10の第2面10bに、互いに間隔を空けて配置されている。この例では、導電層20として、第1導電層21及び第2導電層22が配置されている。なお、第2面10bには、3以上の導電層20が配置されていてもよい。各導電層20は、第2面10bにおける複数の導電層配置領域のいずれかに配置されている。1つの導電層配置領域に1つの導電層20が配置されていることが好ましい。平面視において、各導電層20は、溝30の縁部から離隔して配置されていることが好ましい。
【0055】
平面視において、隣接する2つの導電層20の最短距離L1は、例えば50μm以上であることが好ましい。これにより、これらの導電層20の間におけるイオンマイグレーションによる短絡の発生をより効果的に抑制できる。導電層20の最短距離L1の上限値は特に限定しないが、発光装置の小型化の観点から、例えば1000μm以下であってもよい。
【0056】
[上部導電層40]
図1A及び図1Cに示すように、基板100は、樹脂層10の第1面10aに複数の上部導電層40をさらに備えてもよい。
【0057】
複数の上部導電層40は、少なくとも正負一対を含み、基板100の上面100a側に載置される後述の光源部の電極に電気的に接続され得る。各上部導電層40は、例えば、樹脂層10の貫通孔内に配置された導電部材50を介して、対応する導電層20に電気的に接続されている。平面視において、各上部導電層40は、対応する導電層20と少なくとも部分的に重なるように配置されていてもよい。
【0058】
図1Aに示す例では、各上部導電層40の平面形状は、略矩形である。矩形のサイズは、例えば3mm×1mmである。なお、上部導電層40の平面形状、サイズ及び配置は、発光素子の正負電極の形状、サイズ及び配置に応じて選択され得る。複数の上部導電層40の平面形状やサイズは、同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0059】
本実施形態では、複数の上部導電層40は、第1上部導電層41及び第2上部導電層42を含む。第1上部導電層41及び第2上部導電層42は、樹脂層10の第1面10aに、互いに間隔を空けて配置されている。第1上部導電層41は、樹脂層10の第2面10bに配置された第1導電層21に電気的に接続されている。同様に、第2上部導電層42は、第2導電層22に電気的に接続されている。及び
下部導電層20及び上部導電層40の材料として、Cu、Ag、Au、Ni、Fe及びAlから選択される金属、またはこれらの金属を主成分として含む合金の少なくとも一種を挙げることができる。本実施形態では、下部導電層20は、例えばCuにAuめっきが設けられた層である。導電層20の厚さは、例えば10μm以上110μm以下である。上部導電層40は、例えばAu膜で被覆されたCu層である。上部導電層40の厚さは、例えば、10μm以上110μm以下である。
【0060】
[導電部材50]
図1A図1Cに示すように、基板100は、複数の導電部材50をさらに備えてもよい。各導電部材50は、それぞれ、樹脂層10を厚さ方向に貫通する貫通孔に配置されている。各導電部材50は、導電層20の1つと上部導電層40の1つとに接しており、これらを電気的に接続する。導電部材50は、例えばCu層である。導電部材50は、樹脂層10の貫通孔に充填させることが好ましいが、貫通孔の側壁のみに形成されていてもよい。
【0061】
図示する例では、導電部材50は、第1導電部材51及び第2導電部材52を含む。第1導電部材51は、第1導電層21と第1上部導電層41とを電気的に接続する。第2導電部材52は、第2導電層22と第2上部導電層42とを電気的に接続する。
【0062】
(第1基板1000)
本実施形態の基板は、複数の単位領域を有する基板(以下、「第1基板」と呼ぶ。)であってもよい。第1基板1000を単位領域ごとに個片化することで、複数の基板100が得られる。なお、本明細書における「発光素子用基板」は、個片化後の基板のみでなく、個片化前の第1基板も含む。
【0063】
図4Aは、第1基板1000の一例を示す模式的な下面図である。図4Bは、第1基板1000の一部を示す拡大下面図であり、図4Cは、図4Bに示す4C-4C線における拡大断面図である。
【0064】
第1基板1000は、2次元に配列された複数の単位領域Uを含む。図示する例では、複数の単位領域Uはx方向及びy方向に整列されている。
【0065】
第1基板1000は、第1面10a及び第2面10bを有する樹脂層10を備える。樹脂層10は、複数の単位領域Uに亘って連続している。各単位領域Uにおいて、樹脂層10の第1面10a上には複数の上部導電層40が配置され、第2面10b上には第1導電層21および第2導電層22が配置されている。また、各単位領域Uにおいて、樹脂層10の第2面10bには第1溝31が形成されている。図示する例では、各単位領域Uにおける導電層20、上部導電層40及び溝30の形状や配置は、例えば、図1A図1Cに例示した基板100と同様である。
【0066】
各単位領域Uにおける溝30は、隣接する単位領域Uの溝30と繋がっていてもよい。この例では、y方向に隣接する2つの単位領域Uの第1溝31は、互いに繋がっている。図示するように、第1溝31は、第1基板1000をy方向に沿って連続して配置されていてもよい。あるいは、図5に例示するように、各単位領域Uの第1溝31は、互いに間隔を空けて配置されていてもよい。なお、図4A図4C及び図5に示す第1基板1000において、樹脂層10を厚さ方向に貫通する貫通孔及び導電部材50を省略している。
【0067】
(発光装置400)
次に、再び図2Aおよび図2Bを参照して、本実施形態の基板100を用いた発光装置400の一例を説明する。
【0068】
発光装置400は、基板100と、光源部200とを備える。
【0069】
[光源部200]
光源部200は、基板100の上面100a側に配置されている。光源部200は、基板100と反対側に位置する発光面200aを有する。
【0070】
本実施形態では、光源部200は、第1発光素子71を含む少なくとも1つの発光素子70を含む。発光素子70は、基板100の上面100a側、すなわち樹脂層10の第1面10a側に配置されている。図示する例では、基板100の上面100aに第1発光素子71のみが配置されているが、2以上の発光素子70が2次元に配置されていてもよい。
【0071】
<発光素子70>
図2Bに示すように、発光素子70は、主に光を取り出す光出射面70aと、光出射面70aと反対側に位置する電極形成面70bと、光出射面70aと電極形成面70bとに連続する側面70cと、電極形成面70bに位置する少なくとも正負の一対の電極81及び82を備える。図示する例では、発光素子70の光出射面70aが、光源部200の発光面200aである。電極81及び82は、それぞれ、例えば半田、導電性ペースト等の接合部材によって、対応する1つの上部導電層40に電気的に接続されている。この例では、電極81は第1上部導電層41に電気的に接続され、電極82は第2上部導電層42に電気的に接続されている。
【0072】
発光素子70の平面視における形状は、例えば矩形である。発光素子70のサイズに特に制限はない。発光素子70の縦及び横の長さは、例えば5mm以下、好ましくは、4mm以下である。3mm以下であることがさらに好ましい。本実施形態では、発光素子70は、平面視において、一辺が3mmの正方形状を有する。
【0073】
発光素子70として、半導体レーザ、発光ダイオード等、種々の形態の発光素子を用いることができる。本実施形態では、発光素子70は、例えば、サファイア等の透光性基板と、透光性基板の上に積層された半導体積層構造とを有する発光ダイオードである。発光素子70が出射する光の波長は、任意に選択できる。例えば、青色、緑色の発光素子としては、窒化物系半導体(InAlGa1-x-yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、ZnSe及びGaP等の半導体を用いた発光素子を用いることができる。また、赤色の発光素子としては、GaAlAs、AlInGaP等の半導体を用いた発光素子を用いることができる。また、これ以外の材料からなる半導体発光素子を用いることもできる。用いる発光素子の組成や発光色、大きさや、個数などは目的に応じて適宜選択することができる。後述するように、光源部200が波長変換層を備える場合には、発光素子70の発光層は、波長変換層に含まれる波長変換物質を効率良く励起できる短波長の光を出射することが好ましい。
【0074】
電極81、82は、半導体積層構造と電気的に接続し得る公知の金属材料によって構成されている。電極81、82の材料として、例えば、Ni、Pt、Cu、Au、Ag、AuSn等の金属のうち少なくとも1種を用いることができる。電極81、82の平面視の形状は特に限定されず、矩形、多角形、円形、楕円形等、適宜選択することができる。
【0075】
[光源部の他の例]
光源部の構造は、図2A及び図2Bに示す例に限定されない。図6は、本実施形態における基板100及び他の光源部201を説明するための断面図である。
【0076】
光源部201は、発光素子70(ここでは第1発光素子71)と、波長変換層90と、拡散層92と、光反射部材94とを備える。光源部201は、発光素子70の光出射面70aの上方(+x方向)に位置する発光面201aを有する。この例では、光源部201は、1つの発光素子70のみを有するが、2次元に配列された複数の発光素子70を有してもよい。
【0077】
<波長変換層90>
波長変換層90は、発光素子70の光出射面70aの上方(+z方向)に配置されている。波長変換層90は、発光素子70が発する光の少なくとも一部を吸収し、発光素子70から発せられる光の波長とは異なる波長の光を出射する。
【0078】
波長変換層90は、平面視において、略矩形形状を有していてもよい。平面視において、波長変換層90は、発光素子70の光出射面70aよりも大きく、光出射面70a全体を覆っていることが好ましい。これにより、発光素子70から出射した光を効率よく波長変換層90に入射させ波長変換層90から出射する光の波長を変換することが可能である。
【0079】
本実施形態では、波長変換層90は、例えば平面視で一辺が3.2mmの正方形状である。波長変換層90のz軸方向における厚さは、例えば40μmである。
【0080】
波長変換層90は、例えば、母材となる樹脂と、樹脂に分散させた波長変換物質とを含む。母材として、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、これらを混合した樹脂、または、ガラスなどの透光性材料を用いることができる。耐光性及び成形容易性の観点からは、波長変換層90の母材としてシリコーン樹脂を選択することが好ましい。特に、母材として、フェニルシリコーン樹脂を主成分とすることが好ましい。波長変換層90は、セラミックスまたはガラスを主材料とし、波長変換物質を含有させたものであってもよい。
【0081】
波長変換物質は、発光素子70が発する光で励起され、発光素子70が発する光とは異なる波長の光を発する。波長変換物質として、例えば、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系蛍光体(例えば、Y(Al,Ga)12:Ce)、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット(LAG)系蛍光体(例えば、Lu(Al,Ga)12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb(Al,Ga)12:Ce)、ユウロピウム及び/またはクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム(CaO-Al-SiO)系蛍光体、ユウロピウムで賦活されたシリケート((Sr,Ba)SiO)系蛍光体、βサイアロン蛍光体(例えば、(Si,Al)(O,N):Eu)、αサイアロン蛍光体(例えば、M(Si,Al)12(O,N)16(但し、0<z≦2であり、MはLi、Mg、Ca、Y、及びLaとCeを除くランタノイド元素))、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN:Eu)またはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、KSiF:Mn4+)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn)等のフッ化物系蛍光体、硫化物系蛍光体、ペロブスカイト、カルコパイライト、量子ドットなどを含む。これらの蛍光体以外の蛍光体であって、同様の性能、作用、効果を有する蛍光体も使用することができる。波長変換層90は、上記波長変換物質のうちの1種類を単独で含んでいてよいが、複数種類の波長変換物質を含むことが好ましい。例えば、波長変換層90は、緑色系の発光を生じるLAG系蛍光体と、赤色系の発光を生じるCASN系蛍光体とを含むことが好ましい。これにより、白色光を出射可能な光源部201を実現し得る。また、複数種類の波長変換物質を含むことによって、波長帯域を広げ、発光強度の弱い波長領域が生じるのを抑制できる。波長変換層90における波長変換物質の含有量は、例えば、10~80重量%である。なお、本明細書において重量%とは、母材と含有物質(ここでは、波長変換物質)とを含む全重量に対する含有物質の重量の比率を意味する。
【0082】
波長変換層90は、波長変換物質以外の材料を含んでいてもよい。例えば、波長変換層90に、母材とは屈折率の異なる材料を分散させてもよい。例えば、波長変換層90の母材に、酸化チタン、酸化珪素等の光拡散作用を有する粒子を分散させることができる。
【0083】
<拡散層92>
拡散層92は、波長変換層90の上方(+z方向)に配置されている。拡散層92は、発光素子70から発せられる光を拡散する。
【0084】
拡散層92は、平面視において、略矩形形状を有していてもよい。平面視において、拡散層92は、発光素子70の光出射面70aよりも大きく、光出射面70a全体を覆っていることが好ましい。拡散層92のサイズは、波長変換層90のサイズと略同じであってもよい。本実施形態では、拡散層92は、例えば平面視で一辺が3.2mmの正方形状である。拡散層92のz軸方向における厚さは、例えば30μmである。
【0085】
拡散層92は、母材となる樹脂と、樹脂に分散した拡散材とを含む。母材として、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、これらを混合した樹脂、または、ガラスなどの透光性材料を用いることができる。耐光性及び成形容易性の観点からは、拡散層92の母材としてシリコーン樹脂を選択することが好ましい。特に、母材として、フェニルシリコーン樹脂を主成分とすることが好ましい。また、拡散層92の母材に波長変換層90と同じ樹脂を用いることで、波長変換層90と拡散層92との接着性を向上できる。なお、拡散層92は、セラミックスまたはガラスを主材料とし、拡散材を含有させたものであってもよい。
【0086】
拡散材は、例えば、酸化チタン、酸化珪素、アルミナ、酸化亜鉛等の白色フィラーなどの光反射率の高い材料である。拡散材の濃度は、0.1重量%以上3.0重量%以下が好ましい。また、拡散層92は、母材の樹脂の熱による膨張収縮を抑制するために、ガラスフィラー等を含んでもよい。ガラスフィラーの濃度は、50重量%以上80重量%以下が好ましい。なお、拡散材、ガラスフィラー等の濃度はこれに限定しない。拡散層92は、酸化チタン及びガラスフィラーを含むことが好ましい。
【0087】
<光反射部材94>
光反射部材94は、発光素子70の側面70cと、電極形成面70bと、電極81、82の側面と、波長変換層90の側面と、拡散層92の側面と、を少なくとも覆っている。
【0088】
光反射部材94は、発光素子70の側面70cから発せられる光を反射して、発光素子70の上方(+z方向)に導光する。また、発光素子70の電極形成面70bから基板100側に向かう光を、光反射部材94で反射して発光素子70の上方(+z方向)に導光することができる。これにより、発光素子70から発せられる光の利用効率を向上させることができる。
【0089】
光反射部材94は、例えば、母材となる樹脂と、樹脂に分散した光反射性物質とを含む。母材として、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、これらを混合した樹脂などの透光性材料を用いることができる。耐光性及び成形容易性の観点からは、光反射部材94の母材としてシリコーン樹脂を選択することが好ましい。また、光反射部材94の母材に波長変換層90及び拡散層92と同じ樹脂を用いることで、波長変換層90及び拡散層92に対する接着性を向上できる。
【0090】
光反射性物質としては、酸化チタン、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、イットリア安定化ジルコニア、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライトなどを用いることができる。及び光反射部材94における光反射性物質等の濃度は、10重量%以上70重量%以下が好ましい。また、光反射部材94は、母材の樹脂の熱による膨張収縮を抑制するために、ガラスフィラー等を含んでもよい。ガラスフィラーの濃度は、0重量%より大きく30重量%より小さいことが好ましく、5重量%以上20重量%以下がより好ましい。なお、光反射性物質、ガラスフィラー等の濃度はこれに限定しない。光反射部材94は、酸化チタン及びガラスフィラーを含むことが好ましい。
【0091】
[レンズ300]
本実施形態の発光装置は、さらにレンズ300を備えた発光装置500であってもよい。本実施形態の基板100を用いた発光装置500の一例を説明する。図7Aは、発光装置500の模式的な上面図であり、図7Bは、発光装置500の模式的な下面図である。図7Cは、図7A及び図7Bに示す7C-7C線における模式的な断面図である。図7Dは、発光装置500を+y軸の方向へ向かって見たときの模式的な側面図である。
【0092】
レンズ300は、レンズ部310と、レンズ部310の外周に沿って、レンズ部310の外側に配置されたレンズ保持部320と、を含む。レンズ保持部320は、レンズ部310と連続して(一体的に)形成されている。
【0093】
図7A図7Cに示すように、レンズ300は、光源部200を覆うように配置されている。図示するように、レンズ300は、基板100の上面100a及び側面を覆い、基板100の下面100bを露出していてもよい。
【0094】
レンズ300は、光透過性を有する樹脂から形成されている。樹脂として、ポリカーボネート、アクリル、環状ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂、または、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタンなどの熱硬化性樹脂を用いることができる。このうちポリカーボネートを用いることが好ましい。
【0095】
<レンズ部310>
レンズ部310は、光源部200の発光面200a(ここでは、発光素子70の光出射面70a)の上方(+z方向)に位置し、光源部200から出射されレンズ部310を透過する光を屈折させ、+z方向に出射する光学機能部である。レンズ部310は、平面視において、発光面200a全体を覆っていることが好ましい。レンズ部310は、両凸レンズ、平凸レンズ、凸メニスカスレンズなどの凸レンズ、両凹レンズ、平凹レンズ、凹メニスカスレンズなどの凹レンズ、及びフレネルレンズなどであってよい。
【0096】
本実施形態では、レンズ部310の平面視における外形は、略円形であり、その直径は6mm以上8mm以下であることが好ましく、例えば6.8mm程度である。レンズ部310の厚さは、1mm以上2mm以下であることが好ましく、例えば1.5mm程度である。なお、レンズ部310の平面視における外形は、特に限定されるものではなく、四角形、六角形、八角形等の多角形でもよい。
【0097】
レンズ部310は、光源部200の発光面200a側に位置する光入射面310bと、光入射面310bの反対側(+z側)に位置する光出射面310aとを有する。本実施形態では、レンズ部310は、光入射面310bにフレネル形状を有している。レンズ部310の中心は、発光面200a(ここでは第1発光素子71の光出射面70a)の中心に一致する。一方、レンズ部310の光出射面310aは略平坦である。この例では、「レンズ部の光出射面」は、レンズ300の上面のうち、平面視において、光入射面310bに重なる部分である。レンズ部310がフレネル形状を有していると、レンズ300を薄くすることが可能になる。これにより、発光装置500を薄くすることができる。
【0098】
<レンズ保持部320>
レンズ保持部320は、レンズ部310を保持する部材である。レンズ保持部320は、レンズ部310の周縁に連続し、下方(―Z方向)に延びている。この例では、レンズ保持部320は、平面視で筒状である。レンズ保持部320のx軸方向またはy軸方向における厚さは、例えば0.3mm以上1.0mm以下である。レンズ保持部320のz方向の高さ、すなわちレンズ保持部320の上端(言い換えると光出射面310a)からレンズ保持部320の下端までの長さは、例えば1.0mm以上5.0mm以下であり、レンズ部310の光入射面310bと光源部200の発光面200aとの間に空気層が形成されるように調整され得る。
【0099】
レンズ保持部320の下面320bは、基板100の下面100bと同一面内にあるか、下面100bよりも下に位置することが好ましい。断面視において、レンズ保持部320は、基板100から隙間を空けて配置されていてもよい。
【0100】
この例では、平面視においてレンズ保持部320の外縁は、四角形であり、四角形のサイズは、例えば8mm×8mmである。レンズ保持部320の外縁の平面視における形状は、特に限定されず、円形、楕円形、多角形などであってもよい。発光装置500の向きが分かるように、レンズ保持部320の少なくとも1つの角部に切り欠き部を設けてもよい。
【0101】
なお、光源部200が2次元に配列された複数の発光素子70を有する場合には、レンズ部310の中心を、基板の中心に対向させてもよい。また、複数のフレネルレンズを含むレンズ部310を用い、各フレネルレンズそれぞれと対をなすように複数の発光素子70を配置する場合、各フレネルレンズの中心を各発光素子70の中心に対向させてもよい。
【0102】
(発光素子用基板の製造方法)
以下、図面を参照しながら、図4A図4Cに示す第1基板1000を製造する方法を例に、本実施形態の基板の製造方法を説明する。図8A及び図8Bは、それぞれ、第1基板の製造に使用する金属板の一部を示す上面図及び断面図である。図8Cは、第1基板の製造に使用するプリプレグの一部を示す断面図である。図9A図9Gは、それぞれ、第1基板の製造方法を示す工程断面図である。簡単のため、図9A図9Gには、第1基板における2つの単位領域Uに相当する部分を示している。
【0103】
本実施形態の発光素子用基板の製造方法は、第1面120aに少なくとも1つの凸部121を有するシート状の金属板120と、複数の繊維束と樹脂とを有するプリプレグと、を準備する工程(I)と、金属板の第1面とプリプレグとを貼り合わせる工程(II)と、プリプレグを硬化し樹脂層10を形成する工程(III)と、金属板にレジストを形成する工程(IV)と、金属板の少なくとも1つの凸部をエッチングする工程(V)と、レジストを除去する工程(VI)とを含む。
【0104】
本実施形態では、上記方法によって複数の単位領域Uを有する第1基板1000を製造した後、第1基板1000を単位領域Uごとに個片化してもよい。これにより、生産性を高めることができる。
【0105】
<工程(I)>
・金属板の準備
図8A及び図8Bに示す金属板120を準備する。ここでは、厚さが例えば0.1mm、サイズが例えば1.2m×1.0mであるCu板を準備し、Cu板の表面をエッチング(例えばウェットエッチング)することで、少なくとも1つの凸部121を有するシート状の金属板120を形成する。金属板120は、第1面120aと、第1面120aの反対側に位置する第2面120bとを有する。第1面120aには、複数の凸部121が設けられることが好ましい。凸部121の高さは、例えば0.05mmであり、金属板120の凸部121以外の部分の厚さは、例えば0.035mm以上0.5mm以下である。
【0106】
この例では、平面視において、第1面120aに、y軸に平行な複数の凸部121が、x方向に間隔を空けて配列されている。各凸部121は、金属板120の第1面120aの一方の端部から他方の端部まで連続して延びていてもよい。凸部121の高さは、例えば図4Bに示した第1基板1000に形成する溝30の深さに応じて設定され得る。凸部121の数、配置、及び平面視におけるx軸方向の幅等は、第1基板1000に形成する溝30の数、配置及び平面視におけるx軸方向の幅に応じて設定され得る。各凸部121の角部はR形状を有してもよい。つまり、凸部121の形状を調整することにより、溝30のデザイン自由度を高めることができる。
【0107】
・プリプレグの準備
図8Cに示すように、複数の繊維束と、半硬化状態(Bステージ)の熱硬化性樹脂とを含むプリプレグ110を準備する。プリプレグ110は、第1面110aと、第1面110aの反対側に位置する第2面110bとを有する。また、プリプレグ110の第1面110a側に金属箔140を準備する。金属箔140は、例えば、Cu箔(厚さ:例えば0.1mm以上0.2mm以下)である。金属箔140は、上部導電層の形成に用いられる。
【0108】
<工程(II)>
次いで、金属板120の第1面120aとプリプレグ110とを貼り合わせる。まず、図9Aに示すように、2つの金属板120の第2面120b同士を、シート状の支持体130を介して対向させる。この工程(II)では、金属板120を2つ以上用いることで、第1基板1000の生産性を高めることができる。支持体130として、ステンレス鋼などの金属板、紙などを用いることができる。
【0109】
続いて、図9Bに示すように、2つの金属板120を、支持体130を挟んで積み重ねる。次に、プリプレグ110の第2面110bが、金属板120の第1面120aに向かい合うように対向させる。この例では、2つの金属板120の第1面120aそれぞれに2つのプリプレグ110の第2面110bを対向させる。
【0110】
続いて、図9Cに示すように、金属板120の第1面120aとプリプレグ110の第2面110bとを貼り合わせる。このとき、プリプレグ110の第1面110a側に配置された金属箔140も同時に加圧することで積層体150を得る。図9Cでは、2つの積層体150が支持体130を介して積み重ねられている。なお、生産性をさらに高めるために、3以上の積層体150を、支持体130を介して積み重ねてもよい。
【0111】
<工程(III)>
この後、プリプレグ110を硬化させることで樹脂層10を形成する。
【0112】
積層体150が複数積み重ねられる場合、複数のプリプレグ110は同時に硬化されてもよい。プリプレグ110の硬化方法は特に限定しない。ここでは、積層体150を加熱した状態で、積層体150を積層方向(z軸方向)にプレス等により加圧する。加熱温度は例えば130℃以上200℃以下、プレス圧は例えば20kg/cm以上60kg/cm以下に設定され得る。これにより、積層体150において、プリプレグ110内の半硬化状態の樹脂を一旦再溶融させた後、完全に硬化させる。このようにして、プリプレグ110から樹脂層10が形成される。プリプレグ110が金属板120の第1面120aの形状に合わせて変形するので、樹脂層10の第2面10bでは、金属板120の第1面120aの凸部121と接する部分で溝30となる予定の窪み30Eが形成される。
【0113】
このとき、プリプレグ110内の繊維束も、金属板120の第1面120aの凸部121の形状に応じて変形させることができる。本実施形態では、プリプレグ110内の複数の繊維束の少なくとも1つの繊維束が、平面視で少なくとも1つの溝30に重なる部分において、少なくとも1つの溝30に沿って深さ方向に曲がるように樹脂層10を形成する(図3A参照)。
【0114】
この後、プリプレグ110の硬化によって得られた樹脂層10に、レーザやドリル等により複数の貫通孔を形成する。このとき、少なくとも金属板120及び金属箔140のどちらか一方にも同時に貫通孔を形成することが好ましい。その後、各貫通孔に導電部材50を配置する。なお、貫通孔の側壁に導電部材50としてCuめっきを配置してもよい。樹脂層10を形成した後、図9Dに示すように、樹脂層10を含む積層体150を支持体130から剥離する。
【0115】
<工程(IV)>
続いて、金属板120にエッチングレジスト(以下、レジストと省略する場合がある。)を形成する。図9Eに示すように、積層体150の金属板120の第1面120a及び金属箔140の表面140aに、それぞれ、第1レジスト161及び第2レジスト162を形成する。ここでは、金属板120の第1面120a及び金属箔140の表面140aにエッチングレジストを塗布し、露光及び現像を行うことで、第1レジスト161及び第2レジスト162を形成する。第1レジスト161は、平面視において、金属板120の第1面120aのうち溝30に重ならない部分に配置される。第1レジスト161は、導電層20(図9F)に対応するパターンを有し、第2レジスト162は、上部導電層40(図9F)に対応するパターンを有する。
【0116】
<工程(V)>
次いで、金属板120の少なくとも1つの凸部121をエッチングする。図9Fに示すように、第1レジスト161をエッチングマスクとして、金属板120のエッチングを行い、金属板120のうち凸部121を含む部分を除去する。これにより、樹脂層10に、金属板120の少なくとも1つの凸部121と対向する少なくとも1つの溝30を形成する。プリプレグ110を硬化させた後で、金属板120の凸部121を除去して溝30を形成するので、設計された溝30の形状を精度良く、かつ容易に形成できる。また、凸部121の除去により、溝30を跨ぐように金属板120を2以上に分割して導電層20を形成することができる。
【0117】
同様に、第2レジスト162をエッチングマスクとして、金属箔140のエッチングを行うことで、金属箔140から上部導電層40を得ることができる。
【0118】
<工程(VI)>
この後、図9Gに示すように、第1レジスト161及び第2レジスト162を除去する。このようにして、第1基板1000が製造される。
【0119】
この後、上記方法で製造された第1基板1000を、単位領域Uごとに個片化する。これにより、各単位領域Uから、図1A図1Dに示す基板100が製造され得る。第1基板1000の第1面10aに、単位領域Uごとに1つまたは複数の光源部200(図2B)または光源部201(図6)を形成した後で、第1基板1000の個片化を行ってもよい。
【0120】
個片化の方法は、特に限定しない。例えば、ブレードダイシング法やレーザダイシング法などによって、隣り合う単位領域Uの間で第1基板1000を切断してもよい。なお、図4A図4Bに示す例では、単位領域Uを矩形としているが、これに限らず、個片化後の基板100の平面形状は、円形、楕円形などであってもよい。
【0121】
上記方法によると、導電層間のイオンマイグレーションによる短絡を抑制する溝30を有する第1基板1000及び基板100を製造できる。
【0122】
例えば、ダイサーやレーザを用いた参考例の方法で樹脂層に溝を形成すると、図21に示すように、溝930の底部よりも浅い位置にある繊維束911Yは切断され、溝930の表面(言い換えると樹脂層910の表面910b)に繊維束911Yの切断面が露出するため、基板の強度が低下する恐れがある。これに対し、本実施形態では、凸部121を有する金属板120(図8A及び図8B)を用いて、半硬化状態の樹脂を変形させることによって溝30を形成する。この方法により、図3Aに示すように、本実施形態の樹脂層10では、溝30の底部Pよりも浅い位置にある第1繊維束11Yは、平面視において溝30を横断するように連続して配置される。つまり、第1繊維束11Yは、溝30の形成で切断されず、第1繊維束11Yの一部は、溝30と樹脂層10の第1面10aとの間に位置する。これにより、溝30の形成による基板100の強度の低下を抑制できる。
【0123】
以下、本実施形態の基板及び発光装置の変形例を説明する。以下の変形例においては、既に説明した実施形態と同様の構成について省略するところがある。
【0124】
(基板の変形例1)
図10A及び図10Bは、それぞれ、変形例1の基板101を例示する上面図及び下面図である。図10Cは、図10A及び図10Bに示す10C-10C線における断面図である。
【0125】
基板101は、第1導電層21~第8導電層28を含む複数の導電層20を有し、第1上部導電層41~第8上部導電層48を含む複数の上部導電層40を有する。
【0126】
図10Bに示すように、樹脂層10の第2面10bは、第1溝31~第4溝34を含む溝30によって、8つの導電層配置領域に分割されている。8つの導電層配置領域は、第1領域R1~第8領域R8である。
【0127】
第1溝31~第4溝34はそれぞれ、平面視において、直線状に延びる溝であり、第2面10bの中心である点Qbで交差している。この例では、樹脂層10の第2面10bは、図1Bに示した例と同様に、4つの角部c1~c4及び4つの辺s1~s4を有する矩形である。第1溝31は、第2面10bの角部c1から角部c3まで延びている。第3溝33は、第2面10bの角部c2から角部c4まで延びている。つまり、第1溝31及び第3溝33は、第2面10bの対角線上に位置している。第2溝32は、x軸に略平行で、第2面10bを上下に分割(すなわちy方向に2つに分割)する。第2溝32の両端は、それぞれ、第2面10bの辺s2、s4に接していてもよい。第4溝34は、y軸に略平行で、第2面10bを左右に分割(すなわちx方向に2つに分割)する。第4溝34の両端は、それぞれ、第2面10bの辺s1、s3に接していてもよい。平面視において、第1領域R1~第8領域R8は、平面視において、それぞれ溝30と基板101の第2面10bの4つの辺とに囲まれた直角三角形状の領域である。
【0128】
第1導電層21~第8導電層28は、それぞれ、第1領域R1~第8領域R8に位置する。第1導電層21~第8導電層28は、それぞれ、第1領域R1~第8領域R8と略相似の平面形状を有し得る。この例では、第1導電層21~第8導電層28のそれぞれの平面形状は、x軸及びy軸に平行な2辺を有する直角三角形である。
【0129】
図10Aに示すように、樹脂層10の第1面10aは、複数の光源部配置領域と、その周辺に位置する周辺領域Vbとを含む。光源部配置領域は、発光素子を含む光源部が配置される領域である。この例では、複数の光源部配置領域は、4つの矩形状の領域V1~V4を含む。領域V1~V4の矩形の各辺は、それぞれ、x軸またはy軸に平行である。領域V1~V4は、x方向及びy方向に2つずつ配列されている。ここでは、領域V1~V4は、点Qaに対して、右下、右上、左上及び左下に位置する領域である。点Qaは、例えば第1面10aの中心である。点Qaは、全領域V1~V4の中心であり、第2面10bの中心である点Qbと平面視で重なることが好ましい。
【0130】
第1上部導電層41~第8上部導電層48は、樹脂層10の第1面10aに、互いに間隔を空けて配置されている。第1上部導電層41~第8上部導電層48は、それぞれ、樹脂層10に形成された貫通孔内の導電部材50を介して、第1導電層21~第8導電層28に電気的に接続されている。この例では、第1上部導電層41~第8上部導電層48のそれぞれの平面視の形状は、x軸およびy軸に平行な2辺を有する直角三角形である。領域V1には、第1上部導電層41及び第2上部導電層42が配置されている。領域V2に第3上部導電層43及び第4上部導電層44、領域V3に第5上部導電層45及び第6上部導電層46、領域V4に第7上部導電層47及び第8上部導電層48が、それぞれ、配置されている。平面視において、領域V1~V4それぞれに配置された2つの上部導電層40の直角三角形の斜辺は、互いに対向している。
【0131】
基板101も、図8A図8C及び図9A図9Gを参照して前述した方法と同様の方法で製造され得る。図8A及び図8Bに示す工程(I)において、平面視で直線状に延びる複数の凸部121を有する金属板120を用いることで、第1溝31~第4溝34を含む溝30を形成できる。
【0132】
図11は、本実施形態における第1基板1001の一部を示す拡大下面図である。第1基板1001の1つの単位領域Uが、基板101である。第1基板1001において、1つの単位領域Uにおける第1溝31~第4溝34は、x方向、y方向または斜め方向に隣接する単位領域Uの溝30と繋がっていてもよい。
【0133】
(発光装置の変形例1)
変形例1の基板101を用いた発光装置の一例を説明する。
【0134】
図12Aは、発光装置401の上面図であり、図12Bは、発光装置401の下面図である。図12Cは、図12Aに示す12C-12C線における断面図である。
【0135】
発光装置401は、基板101と、光源部202と、レンズ300とを備える。レンズ300は、図7A図7Dを参照しながら前述したレンズと同様の構造を有する。発光装置401の光源部202は、複数の発光素子70を含む。以下、光源部202の構成を詳細に説明する。
【0136】
[光源部202]
図13は、基板101及び光源部202を説明するための図であり、図12Cに示す発光装置401から、レンズ300を取り除いた断面図である。
【0137】
光源部202は、基板101の上面101a側に配置されており、基板101と反対側に位置する発光面202aを有する。光源部202は、2次元に配列された複数の発光素子70を有する。光源部202は、複数の波長変換層90と、複数の拡散層92と、光反射部材94とをさらに備えている。
【0138】
図12Aに示すように、複数の発光素子70のそれぞれは、基板101の樹脂層10の第1面10aにおける対応する光源部配置領域に配置されている。平面視において、各発光素子70は矩形であり、矩形の各辺がx軸またはy軸に平行になるように配置されている。各発光素子70は、平面視において、第1上部導電層41~第8上部導電層48のうちの隣接する2つの上部導電層の斜辺を跨ぐように配置されている。各発光素子70の正負電極は、それぞれ、上記隣接する2つの上部導電層上に位置する。発光素子70の正負電極は、三角形(ここでは直角三角形)の平面形状を有している。
【0139】
この例では、複数の発光素子70は、第1発光素子71~第4発光素子74である。第1発光素子71~第4発光素子74は、それぞれ、樹脂層10の第1面10aにおける領域V1~V4に配置されている。第1発光素子71の電極81、82は、例えば半田などの接合部材を介して、第1上部導電層41及び第2上部導電層42に電気的に接続されている。同様に、第2発光素子72~第4発光素子74の電極83~88は、それぞれ、第3上部導電層43~第8上部導電層48に電気的に接続されている。
【0140】
図13に示すように、複数の波長変換層90は、それぞれ、対応する発光素子70の光出射面70aの上に配置され、互いに分離している。この例では、波長変換層90は、発光素子70ごとに設けられているが、複数の発光素子70に対して共通の波長変換層が設けられてもよい。
【0141】
複数の拡散層92のそれぞれは、対応する波長変換層90の上面に配置されている。複数の拡散層92は、互いに分離している。この例では、拡散層92は、発光素子70ごとに設けられているが、複数の発光素子70に対して共通の拡散層92が設けられてもよい。
【0142】
光反射部材94は、第1発光素子71~第4発光素子74を封止し、かつ、一体的に保持している。光反射部材94は、発光素子70ごとに設けられ、互いに離隔していてもよい。隣接する2つの発光素子70の間に光反射部材94を配置することで、発光素子70間の光の伝播を抑制できるので、色むらが低減される。また、複数の発光素子70を互いに独立して点灯させる駆動を行う場合には、点灯させた発光素子と非点灯の発光素子とのコントラストを向上できる。
【0143】
(基板の変形例2)
図14A及び図14Bは、それぞれ、変形例2の基板102を例示する上面図及び下面図である。図14Cは、図14A及び図14Bに示す14C-14C線における断面図である。
【0144】
基板102は、第1導電層21~第5導電層25を含む複数の導電層20と、第1上部導電層41~第8上部導電層48を含む複数の上部導電層40と、を備える。
【0145】
図14Bに示すように、樹脂層10の第2面10bは、溝30と、複数の導電層配置領域とを有する。溝30は、平面視において環状の溝または弧状部分を有する溝を含む。この例では、溝30は、それぞれ平面視で環状であるかまたは弧状部分を有する第1溝31~第5溝35を含む。複数の導電層配置領域は、第1領域R1~第5領域R5である。平面視において、第1溝31は環状であり、第1領域R1は、第1溝31で囲まれた領域であり、第2領域R2~第5領域R5は第1溝31を挟んで第1領域R1の反対側に位置する。
【0146】
平面視において、第1溝31は環状である。第1溝31は、平面視において、環状の第1縁部e1と、第1縁部e1よりも外側に位置し、第1縁部e1に対向する環状の第2縁部e2とを有する。この例では、第1溝31は、平面視において略円環状である。本明細書では、「環状」とは、平面視で円、楕円、または角が取れた多角形等で輪の形をなすものをいう。環状の溝は、平面視において、輪の形をなすものであれば、円または楕円の一部である弧状部分を含んでもよいし、直線部分を含んでもよい。
【0147】
第2溝32~第5溝35は、平面視において、それぞれ環状の第1溝31と交わる部分を有し、第1溝31の第2縁部e2側に位置する。言い換えると、第2溝32~第5溝35のそれぞれと環状の第1溝31とは、溝30の一部を共有している。この例では、第2面10bは、4つの角部c1~c4及び4つの辺s1~s4を有する矩形である。第2溝32は、平面視において、角部c1に対して凹状に湾曲した弧状部分を含む。同様に、平面視において、第3溝33~第5溝35は、それぞれ、角部c2~c4に対して凹状に湾曲した弧状部分を含む。
【0148】
第2面10bは、上記の第1溝31~第5溝35によって、第1領域R1~第5領域R5と、外側領域Rbとに分割されている。
【0149】
第1領域R1は、第1溝31によって囲まれた領域である。第2領域R2~第5領域R5は、第1溝31の外側に位置する。図示する例では、第2領域R2~第5領域R5は、それぞれ、第1領域R1と4つの角部c1~c4との間に位置している。第2領域R2は、弧状の第2溝32と、樹脂層10の角部c1を構成する2辺s1、s2とによって囲まれた領域である。同様に、第3領域R3~第5領域R5は、それぞれ、第3溝33~第5溝35と、その溝と向かい合う角部c2~c4を構成する2辺とによって囲まれた領域である。
【0150】
外側領域Rbは、導電層配置領域の外側に位置し、導電層20が配置されない領域である。外側領域Rbは連続した1つの領域でもよいし、複数の領域に分割されていてもよい。外側領域Rbは、溝30によって導電層配置領域と離隔されている。この例では、外側領域Rbは、第1領域R1の外側において、隣接する2つの導電層配置領域の間にそれぞれ位置する。隣接する2つの導電層配置領域と、その間に位置する外側領域Rbと、の間には、溝30が配置されている。この例では、第2溝32は、平面視において、樹脂層10の第2面10bのうち第1溝31を挟んだ第1領域R1の反対側に位置する領域において、第2領域R2と、第2領域R2以外の外側領域Rbと、の間に位置する。さらに、第2溝32は、弧状または環状に延びる部分を含んでいる。同様に、第3溝33は、第3領域R3及び外側領域Rbの間に位置する。第4溝34は、第4領域R4及び外側領域Rbの間に位置する。第5溝35は、第5領域R5及び外側領域Rbの間に位置する。
【0151】
第1導電層21~第5導電層25は、それぞれ、第1領域R1~第5領域R5に位置する。第1導電層21は、第1溝31の第1縁部e1よりも内側に、第1縁部e1から離隔して配置されている。第2導電層22~第5導電層25は、それぞれ、弧状の第2溝32~第5溝35の縁部よりも内側に、各縁部から離隔して配置されている。この例では、第1導電層21~第5導電層25は、略円形の平面形状を有している。平面視において、第2導電層22~第5導電層25は、第1導電層21よりも小さい面積を有してもよい。
【0152】
つまり、樹脂層10の第2面10bは、4つの角部c1~c4を有する矩形である。平面視において、樹脂層10の第2面10bは、第3領域R3、第4領域R4および第5領域R5と、第2領域R2、第3領域R3、第4領域R4および第5領域R5を除く外側領域Rbと、をさらに含む。第2領域R2、第3領域R3、第4領域R4および第5領域R5は、第1溝31と4つの角部c1~c4との間にそれぞれ位置する。発光素子用基板100は、第3領域R3、第4領域R4および第5領域R5にそれぞれ位置する第3導電層23、第4導電層24および第5導電層25をさらに含む。平面視において、少なくとも1つの溝30は、第2領域R2および外側領域Rbの間に位置する第2溝32と、第3領域R3および外側領域Rbの間に位置する第3溝33と、第4領域R4および外側領域Rbの間に位置する第4溝34と、第5領域R5および外側領域Rbの間に位置する第5溝35と、をさらに含む。平面視において、第2溝32、第3溝33、第4溝34および第5溝35は、それぞれ、第1溝31に接する弧状部分を有する。
【0153】
図14Aに示すように、樹脂層10の第1面10aは、複数の光源部配置領域と、その周辺に位置する周辺領域Vbとを含む。この例では、複数の光源部配置領域は、4つの矩形状の領域V1~V4である。領域V1~V4の矩形の各辺は、x軸またはy軸に平行である。ここでは、領域V1~V4は、点Qaに対して、右下、右上、左上及び左下に位置する領域である。点Qaは、全領域V1~V4の中心であり、例えば第1面10aの中心である。
【0154】
第1上部導電層41~第8上部導電層48は、樹脂層10の第1面10aに、互いに間隔を空けて配置されている。この例では、第1上部導電層41~第8上部導電層48のそれぞれは、x軸及びy軸に平行な2辺を有する直角三角形である。領域V1には、第1上部導電層41及び第2上部導電層42が配置されている。領域V2に第3上部導電層43及び第4上部導電層44、領域V3に第5上部導電層45及び第6上部導電層46、領域V4に第7上部導電層47及び第8上部導電層48が、それぞれ、配置されている。平面視において、各領域Vに配置された2つの上部導電層40は、直角三角形の斜辺同士が互いに対向するように配置されている。また、平面視において、各領域V1~V4に配置された一方の上部導電層40(ここでは、第2上部導電層42、第4上部導電層44、第6上部導電層46、第8上部導電層48)の直角三角形の直角頂は、第1面10aの点Qaの近傍に位置し、他方の上部導電層40(ここでは、第1上部導電層41、第3上部導電層43、第5上部導電層45及び第7上部導電層47)の直角三角形の直角頂は、第1面10aの4つの角部の近傍にそれぞれ位置している。
【0155】
第2上部導電層42、第4上部導電層44、第6上部導電層46及び第8上部導電層48は、それぞれ、樹脂層10に形成された貫通孔内の導電部材50を介して、第1導電層21に電気的に接続されている。一方、第1面10aの4つの角部の近傍に位置する第1上部導電層41、第3上部導電層43、第5上部導電層45及び第7上部導電層47は、それぞれ、樹脂層10に形成された貫通孔内の導電部材50を介して、第2導電層22~第5導電層25に電気的に接続されている。
【0156】
基板102も、図8A図8C及び図9A図9Gを参照して前述した方法と同様の方法で製造され得る。図8A及び図8Bに示す工程(I)において、平面視において弧状または環状に延びる凸部を有する金属板120を用いることで、環状または弧状部分を含む溝30を形成できる。上記方法で、集合状態の第1基板を作製し、単位領域ごとに個片化してもよい。
【0157】
図15は、本実施形態における集合状態の第1基板1002の一部を示す拡大下面図である。第1基板1002において、1つの単位領域Uにおける弧状の第2溝32~第5溝35は、x方向またはy方向に隣接する単位領域Uの弧状の溝と繋がっていてもよい。隣接する単位領域Uの第2溝32~第5溝35が繋がることにより、環状の溝となっていてもよい。
【0158】
図16は、本変形例の他の基板103を示す下面図である。図16に示す例では、樹脂層10の第2面10bは、平面視において、環状の第1溝31と、第1溝31の外側に位置する第2溝32~第5溝35とを有する。平面視において、第2溝32~第5溝35は、いずれも環状の溝であり、それぞれ、第1溝31の-y方向、+x方向、+y方向、-x方向に位置している。第2溝32~第5溝35のそれぞれは、第1溝31に接していてもよい。
【0159】
樹脂層10の第2面10bは、導電層配置領域である第1領域R1~第5領域R5と、導電層配置領域以外の外側領域Rbとを含む。第1領域R1~第5領域R5は、それぞれ、第1溝31~第5溝35に囲まれた領域である。第1領域R1~第5領域R5の面積は略等しくてもよいし、互いに異なっていてもよい。外側領域Rbは、第1領域R1~第5領域R5の外側に位置する領域であり、この例では、1つの連続した領域である。
【0160】
第1導電層21~第5導電層25は、それぞれ、第1領域R1~第5領域R5に位置する。第1導電層21~第5導電層25の平面形状は、それぞれ第1領域R1~第5領域R5の平面形状と相似でもよいし、異なっていてもよい。
【0161】
本変形例における溝30、導電層配置領域及び導電層20の数、形状及び配置などは、図示する例に限定されない。図14A~14C及び図16に示す基板102、103は、5つの導電層配置領域及び5つの導電層20を有するが、導電層配置領域及び導電層20の数は2以上であればよい。
【0162】
(基板の変形例3)
以下、変形例3として、樹脂層の第2面における溝及び導電層配置領域の他の配置例を説明する。
【0163】
図17Aは、変形例3の基板104を例示する下面図である。
【0164】
基板104において、樹脂層10の第2面10bの平面形状は、図1Bに示した例と同様に、4つの角部c1~c4及び4つの辺s1~s4を有する矩形である。第2面10bは、平面視において、互いに異なる方向に直線状に延びる部分を含む溝30を含む。第2面10bは、溝30によって、複数の導電層配置領域に分割されている。
【0165】
図示する例では、溝30は、第2面10bを左右に(x方向に)分割するように延びる第1溝31と、第1溝31の右側(+x側)に位置する領域を上下に(y方向に)分割するように延びる第2溝32と、第1溝31の左側(-x側)に位置する領域をy方向に分割するように延びる第3溝33と、を含む。第2溝32及び第3溝33は、互いに交差する方向に延びる直線状の溝である。第2溝32は第1溝31と繋がっており、+x方向に延びる端部は第2面10bの周縁(辺s2)に接している。同様に、第3溝33は第1溝31と繋がっており、-x方向に延びる端部は第2面10bの周縁(辺s4)に接している。平面視において、第1溝31、第2溝32及び第3溝33は、1つの点Qcで交差している。
【0166】
第2面10bは、上記溝30によって、第1領域R1~第4領域R4に分割されている。第1領域R1~第4領域R4には、それぞれ、第1導電層21~第4導電層24が配置されている。
【0167】
本変形例では、少なくとも1つの溝30は、平面視において、樹脂層10の第2面10bの周縁にある第1位置と、第2面10bの内側にある第2位置と、第1位置から第2位置まで直線状に延びる直線部と、を有する溝を含んでもよい。溝の「第1位置」及び「第2位置」は、その溝の端部であってもよい。図示する例では、第2溝32及び第3溝33は、それぞれ、第2面10bの周縁にある第1位置と、第2面10bの内側にある点Qcを含む第2位置と、第1位置から第2位置まで直線状に延びる直線部とを有する。
【0168】
図8A図8C及び図9A図9Gを参照して前述した方法によると、金属板120における凸部121の形状を調整することで、例えば図17Aに示す第2溝32や第3溝33のように、第2面10bの内部で交差する(ここでは点Qbで交差する)ような溝をより容易に形成できる。
【0169】
図17Bは、変形例3の他の基板105aを例示する下面図である。
【0170】
基板105aでは、溝30は、y軸に平行な直線状の溝及びx軸に平行な直線状の溝を含む。この例では、平面視において、第2面10bをx方向に分割するようにy軸に沿って延びる第1溝31と、第1溝31の右側(+x側)に位置する領域を、y方向に3つに分割する第2溝32及び第3溝33と、第1溝31の左側(-x側)に位置する領域を、y方向に分割するように延びる第4溝34とを含む。第2溝32~第4溝34は、平面視において、x軸に平行な直線状の溝であってもよい。第2溝32及び第3溝33は、-x方向では第1溝31と繋がっており、+x方向に延びるそれぞれの端部は、第2面10bの周縁(辺s2)に接していてもよい。第4溝34は、+x方向では第1溝31と繋がっており、-x方向に延びる端部は、第2面10bの周縁(辺s4)に接していてもよい。第2溝32~第4溝34は、それぞれ、第2面10bの周縁にある第1位置と、第2面10bの内側にある第2位置(ここでは、第1溝31に繋がる位置)と、第1位置から第2位置まで直線状に延びる直線部とを有する。
【0171】
第2面10bは、上記溝30によって、第1領域R1~第5領域R5に分割されている。第1領域R1~第5領域R5には、それぞれ、第1導電層21~第5導電層25が配置されている。
【0172】
なお、本変形例においても、溝及び導電層配置領域の数、平面形状、配置などは図示した例に限定されない。例えば、図19に示すように、基板105bの樹脂層10の第2面10bは、平面視において、第2面10b内の点Qdから第2面10bの周縁に向かって放射状に延びる第1溝31~第5溝35を有してもよい。
【0173】
(基板の変形例4)
断面視における溝の形状の他の例を説明する。断面視において、金属板120の凸部121(図8A及び図8B参照)の形状を適宜変更することで、樹脂層10に種々の形状の溝30を形成することができる。従って、高い自由度で溝30の断面形状を設定できる。例えば、溝30の幅を深さ方向(z方向)に異ならせてもよい。例えば、溝30の開口部の幅wは、溝30の底部Pの幅よりも大きくてもよい。また、溝の深さを、その溝の幅方向(±x方向)に異ならせてもよい。さらに、連続する1つの溝が、断面形状や開口部の幅wの異なる複数の部分を含んでもよい。
【0174】
以下、樹脂層10に設けられる溝30の形状の変形例を説明する。なお、本変形例の溝の形状は、本実施形態の基板(例えば、前述した基板101~104、105a及び105b)における溝の一部または全部に適用され得る。
【0175】
図19A図19Cは、それぞれ、変形例4の基板106~108の断面図であり、溝30A~30Cと、その両側に位置する第1導電層21及び第2導電層22とを含む断面を示す。
【0176】
図19Aに示す基板106では、溝30Aの断面形状は、円または楕円の一部の弧を含む。この例では、断面視において、溝30Aの側面は、凹状に湾曲した弧状である。溝30Aは、断面視において、最も深い点である底部Pを含む。
【0177】
図19Bに示す基板107では、溝30Bの断面形状は、V字形である。この例では、溝30Bは、断面視において、最も深い点である底部Pと、底部P及び第1縁部e1との間に位置する側面f1と、底部P及び第2縁部e2との間に位置する側面f2とを有する。断面視において、側面f1及び側面f2のなす角度は、例えば略90度であってもよい。つまり、溝30Bは矩形の一部であってもよい。
【0178】
図19Cに示す基板108では、溝30Cの断面形状は、開口部よりも幅の小さい底面f3を有する形状である。断面視において、溝30Cは、溝30Cの底部Pである底面f3と、底面f3及び第1縁部e1との間に位置する側面f1、ff1と、底面f3及び第2縁部e2との間に位置する側面f2、ff2とを備え、段差を有する。底面f3の幅waは、溝30Cの開口部の幅wよりも小さい。側面f1、ff1、f2、ff2は、それぞれ、第2面10bに対して傾斜した平面であってもよい。溝30Cが段差を有することで、第1導電層21と第2導電層22との間の沿面距離をさらに大きくできる。
【0179】
図20は、変形例4の他の基板109の下面図である。基板109では、平面視において、溝30Dは、開口部の幅の異なる複数の部分を有している。具体的には、溝30Dは、幅w1を有する部分g1と、幅w1よりも大きい幅w2を有する部分g2とを含む。これらの部分g1、g2は、互いに繋がっていてもよい。この場合、平面視において、第1導電層21と第2導電層22との、第1溝31の部分g1を跨ぐ距離D1は、第1溝31の部分g2を跨ぐ距離D2よりも小さくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0180】
本開示の発光素子用基板及び発光装置は、例えば、照明、カメラのフラッシュ、車載のヘッドライト等、種々の用途に好適に使用され得る。特に、スマートフォン等に搭載される小型カメラのフラッシュ光源に好適に使用される。
【符号の説明】
【0181】
10 :樹脂層
10a :樹脂層の第1面
10b :樹脂層の第2面
10c :樹脂層の側面
11 :繊維束
12 :樹脂
13 :繊維層
20 :導電層
21~28 :第1導電層~第8導電層
30、30A~30D :溝
30E :窪み
31~38 :第1溝~第8溝
40 :上部導電層
41~48 :第1上部導電層~第8上部導電層
50 :導電部材
51 :第1導電部材
52 :第2導電部材
70 :発光素子
71~74 :第1発光素子~第4発光素子
81~88 :電極
100~109 :基板
110 :プリプレグ
110a :プリプレグの第1面
110b :プリプレグの第2面
11Y :第1繊維束
11Yd :凹部
112 :縦繊維束
113 :横繊維束
120 :金属板
120a :金属板の第1面
120b :金属板の第2面
121 :凸部
130 :支持体
13Y :第1繊維層
140 :金属箔
150 :積層体
161、162 :レジスト
200、201 :光源部
1000 :第1基板
R1~R8 :第1領域~第8領域(導電層配置領域)
Rb :外側領域
U :単位領域
V1~V4 :光源部配置領域
c1~c4 :角部
e1 :第1縁部
e2 :第2縁部
f1、ff1、f2、ff2 :側面
f3 :底面
p1 :第1部分
p2 :第2部分
s1~s4 :辺
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図10A
図10B
図10C
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14A
図14B
図14C
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19A
図19B
図19C
図20
図21