IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 独立行政法人産業技術総合研究所の特許一覧

<>
  • 特開-部品剥離ユニット及び破砕装置 図1
  • 特開-部品剥離ユニット及び破砕装置 図2
  • 特開-部品剥離ユニット及び破砕装置 図3
  • 特開-部品剥離ユニット及び破砕装置 図4
  • 特開-部品剥離ユニット及び破砕装置 図5
  • 特開-部品剥離ユニット及び破砕装置 図6
  • 特開-部品剥離ユニット及び破砕装置 図7
  • 特開-部品剥離ユニット及び破砕装置 図8
  • 特開-部品剥離ユニット及び破砕装置 図9
  • 特開-部品剥離ユニット及び破砕装置 図10
  • 特開-部品剥離ユニット及び破砕装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075625
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】部品剥離ユニット及び破砕装置
(51)【国際特許分類】
   B02C 13/16 20060101AFI20230524BHJP
   B09B 3/20 20220101ALI20230524BHJP
【FI】
B02C13/16 ZAB
B09B3/00 301Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188641
(22)【出願日】2021-11-19
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構、「物理選別による廃電子基板からの製錬忌避元素の低減技術の開発」委託研究、産業技術力強化法(平成12年法律第44号)第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(72)【発明者】
【氏名】大木 達也
(72)【発明者】
【氏名】野口 智弘
【テーマコード(参考)】
4D004
4D065
【Fターム(参考)】
4D004AA24
4D004BA05
4D004BA10
4D004CA04
4D004CB13
4D004DA03
4D065AA17
4D065BB03
4D065EB20
4D065EE08
4D065EE12
4D065EE19
(57)【要約】
【課題】基板から剥離対象の部品を効率よく剥離する部品剥離ユニット及び破砕装置を提供すること。
【解決手段】円筒状の側壁及び平面視で円形状の底壁をもつ破砕容器と、底壁の中央の箇所に設けられた回転支持部と、を有する破砕装置の、回転支持部に取り付けられる部品剥離ユニット。部品剥離ユニットは、可撓性を有し、回転支持部に一端部が取り付けられる線状部材と、線状部材の他端部に連結される打撃部材と、を有する。打撃部材は、線状部材に連結される連結部と、連結部の線状部材とは反対側に接続され、柱状に形成された柱状部と、を有する。柱状部は、その長さが線状部材の幅よりも長くなるように形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の側壁及び平面視で円形状の底壁をもつ破砕容器と、前記底壁の中央の箇所に設けられた回転支持部と、を有する破砕装置の、前記回転支持部に取り付けられる部品剥離ユニットであって、
可撓性を有し、前記回転支持部に一端部が取り付けられる線状部材と、
前記線状部材の他端部に連結される打撃部材と、を有し、
前記打撃部材は、
前記線状部材に連結される連結部と、
前記連結部の前記線状部材とは反対側に接続され、柱状に形成された柱状部と、を有し、
前記柱状部は、柱軸方向の長さが前記線状部材の幅よりも長くなるように形成されている、部品剥離ユニット。
【請求項2】
前記柱状部は、柱軸方向の長さが40mm以上140mm以下である、請求項1に記載の部品剥離ユニット。
【請求項3】
前記打撃部材は、
前記柱状部の前記連結部とは反対側に連結され、柱状に形成された調整部材をさらに有し、
前記調整部材は、柱軸方向の長さが前記線状部材の幅よりも長くなるように形成されている、請求項1又は2に記載の部品剥離ユニット。
【請求項4】
円筒状の側壁及び平面視で円形状の底壁をもつ破砕容器と、前記底壁の中央の箇所に設けられた回転支持部と、を有する破砕装置の、前記回転支持部に取り付けられる部品剥離ユニットであって、
可撓性を有し、前記回転支持部に一端部が取り付けられる線状部材と、
前記線状部材の他端部に連結される連結部と、前記連結部の前記線状部材とは反対側に接続され、柱状に形成された柱状部と、前記柱状部の前記連結部とは反対側に連結され、柱状に形成された調整部材と、を備える打撃部材と、を有し、
前記調整部材は、柱軸方向の長さが前記線状部材の幅よりも長くなるように形成されている、部品剥離ユニット。
【請求項5】
前記調整部材は、柱軸方向の長さが、前記柱状部の柱軸方向の長さ以上である、請求項3又は4に記載の部品剥離ユニット。
【請求項6】
前記調整部材は、柱軸方向の長さが40mm以上140mm以下である、請求項3~5の何れか一項に記載の部品剥離ユニット。
【請求項7】
前記打撃部材の前記線状部材とは反対側の端面と破砕容器の側壁の内面との間の距離であるクリアランスは、前記破砕容器に投入される被破砕物のサイズ及び剥離対象の部品の高さに基づいて設定される、請求項1~6の何れか一項に記載の部品剥離ユニット。
【請求項8】
円筒状の側壁及び平面視で円形状の底壁をもつ破砕容器と、
前記底壁の中央の箇所に設けられた回転支持部と、
前記回転支持部に取り付けられる請求項1~7の何れか一項に記載の部品剥離ユニットと、を有する、破砕装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リサイクルの対象となる廃製品に備わる基板から部品を剥離する部品剥離ユニット及び破砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、破砕容器に投入された被破砕物を破砕する破砕装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の破砕装置は、破砕容器底部の回転軸に設けられた線状体の回転により被破砕物を破砕するようになっている。
【0003】
ところで、リサイクルを念頭に置いた場合、廃製品とはいえ、必ずしも粉々に破砕すべきではない場合もある。例えば、基板に装着されている部品を該基板から剥離したい場合は、基板を過度に破砕することなく部品を剥離できるよう、被破砕物に対する打撃力を調整する必要がある。この点、特許文献1のような破砕装置は、チェーン等からなる線状体の先端部が基板上の部品に衝突すれば、その部品の剥離に成功することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-320876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような破砕装置では、基板上の部品に、チェーンの先端部だけが衝突する。つまり、従来のように、線状体を基板上の部品に衝突させる構成では、該部品に衝突し得る部分の面積が小さいため、部品を効率よく剥離することはできない。こうした実情を踏まえ、基板から部品を効率よく剥離する部品剥離ユニット及び破砕装置が望まれている。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、基板から剥離対象の部品を効率よく剥離する部品剥離ユニット及び破砕装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る部品剥離ユニットは、円筒状の側壁及び平面視で円形状の底壁をもつ破砕容器と、底壁の中央の箇所に設けられた回転支持部と、を有する破砕装置の、回転支持部に取り付けられる部品剥離ユニットであって、可撓性を有し、回転支持部に一端部が取り付けられる線状部材と、線状部材の他端部に連結される打撃部材と、を有し、打撃部材は、線状部材に連結される連結部と、連結部の線状部材とは反対側に接続され、柱状に形成された柱状部と、を有し、柱状部は、その長さが線状部材の幅よりも長くなるように形成されている。
【0008】
本発明の一態様に係る破砕装置は、円筒状の側壁及び平面視で円形状の底壁をもつ破砕容器と、底壁の中央の箇所に設けられた回転支持部と、回転支持部に取り付けられる上記の部品剥離ユニットと、を有するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、線状部材に連結される打撃部材が連結部及び柱状部を有すると共に、柱状部の長さが線状部材の幅よりも長くなっていることから、基板上の部品に衝突させる部分の面積を相対的に大きくすることができるため、基板から剥離対象の部品を効率よく剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係る破砕装置の構成を概略的に例示した構成図である。
図2図1の部品剥離ユニットの一例を示す概略構成図である。
図3図1の部品剥離ユニットの他の例を示す概略構成図である。
図4図1の部品剥離ユニット及びその連結に係る破砕装置を側方からみた構成例を示す説明図である。
図5図1の破砕装置における破砕容器の内部を部品剥離ユニットと共に上方から例示した構成図である。
図6】本実施の形態における種々の部品剥離ユニットとチェーンとを剥離率の観点から比較したグラフである。
図7図6のデータの中からクリアランスが同程度のものをピックアップしたグラフである。
図8図7の各データをもとに、打撃部材の幅と剥離率とを対応づけたグラフである。
図9】本発明の実施の形態の変形例1に係る部品剥離ユニットの一例を示す概略構成図である。
図10】本発明の実施の形態の変形例2に係る部品剥離ユニットの一例を示す概略構成図である。
図11】本発明の実施の形態の変形例2に係る部品剥離ユニットの他の例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態.
図1図3を参照して、本発明の実施の形態における破砕装置及び部品剥離ユニットの構成例について説明する。図1に示すように、破砕装置100は、円筒状の側壁41と、平面視で円形状の底壁42と、を備えた破砕容器40を有している。
【0012】
破砕容器40には、側壁41の上端部に設けられた第1連結部41aを介して、開閉式の上蓋50が取り付けられている。上蓋50は、破砕容器40の上部の開口を開閉可能に設けられている。上蓋50は、被破砕物が投入される投入フード51と、投入フード51に投入された被破砕物が通過する投入ゲート52と、を有している。つまり、投入フード51から投入された被破砕物は、投入ゲート52を通じて破砕容器40に入る。
【0013】
また、破砕容器40は、側壁41の下方の一部に設けられた開口である排出ゲート45を有している。そして、破砕容器40には、側壁41の高さ方向における中央の箇所に設けられた第2連結部41bを介して、排出ゲート45を開閉する排出フード55が設けられている。
【0014】
破砕装置100は、破砕容器40を支持する架台70を有している。架台70は、台座部71と、台座部71の上部に接続された支持部72と、を有している。架台70は、支持部72の上端部が破砕容器40の底壁42に固定されている。破砕装置100は、破砕容器40の下部における架台70の中央の位置に駆動機構部80を有している。駆動機構部80は、モータ81と、モータ81に連結された軸部82と、を含んで構成されている。軸部82の破砕容器40側の端部には、回転支持部85が連結されている。回転支持部85は、底壁42の中央の箇所に設けられており、モータ81の駆動により動作する軸部82に連動して回転する。
【0015】
破砕装置100は、駆動機構部80の動作を管理する操作制御装置90を有している。操作制御装置90は、例えば、操作部91と、制御部92と、を含んで構成される。操作部91は、例えば、モータ81の駆動を指示する駆動ボタンや、モータ81の駆動停止を指示する停止ボタンなどを含んで構成される。操作部91は、モータ81の回転数(周波数)を設定し調整する操作を受け付けるものであってよい。操作部91は、ユーザによる操作を受け付け、受け付けた操作の内容に応じた操作信号を制御部92へ送信する。制御部92は、例えばインバータによりモータ81の回転数を制御するものである。制御部92は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置と、該演算装置の動作プログラムなどの種々の情報を記憶する記憶装置と、により構成される。
【0016】
操作制御装置90は、架台70に併設される必要はなく、破砕装置100の本体部から離れた位置に設けられてもよい。操作制御装置90は、有線に限らず、無線によって駆動機構部80を制御するものであってもよい。操作制御装置90は、破砕装置100の外部構成であってもよい。
【0017】
破砕装置100は、回転支持部85に取り付けられる部品剥離ユニット10を有している。部品剥離ユニット10は、可撓性を有し、回転支持部85に一端部21が取り付けられる線状部材20と、線状部材20の他端部22に連結される打撃部材30と、を有している。すなわち、破砕装置100は、被破砕物を破砕する機能だけでなく、被破砕物から部品を剥離する機能を有している。ここで、「可撓性」とは、物質が外力によってしなやかにたわむ性質のことをいい、部分的に屈曲するチェーン(鎖)も、全体としては可撓性を有しているため、線状部材20に相当する。もっとも、線状部材20としては、チェーンに限らず、ワイヤーロープやリンク材などを採用してもよい。ただし、チェーンは、強度及び交換容易性などの観点から、線状部材20として好適に用いることができる。本実施の形態では、線状部材20として、環状の部品である環状部材を複数つなげて形成されたチェーンを例示している。
【0018】
部品剥離ユニット10は、回転支持部85の回転に伴い、底壁42の上面と平行な状体で旋回する。以降では、部品剥離ユニット10が回転支持部85の回転に伴って旋回している状態を「旋回状態」という。また、旋回状態のように、線状部材20の一端部21から打撃部材30までが真っ直ぐになった状態において、線状部材20の一端部21と打撃部材30の中心とを結ぶ方向を「延伸方向」という。
【0019】
図2に示すように、打撃部材30は、線状部材20に連結される連結部31と、連結部31の線状部材20とは反対側に接続され、柱状に形成された柱状部32と、を有している。図2に例示する連結部31は、板状に形成され、線状部材20が連結される側に切欠きが形成されている。つまり、連結部31は、平面視でU字状又は凹形状となっている。線状部材20と連結部31とは、連結部材10aにより連結されている。図2では、連結部材10aとして、ボルトを例示している。具体的には、例えば、連結部31の切欠きによって二股に分かれた一方と他方の部分にネジ穴が形成される。そして、一方の部分のネジ穴を貫通した連結部材10aが、線状部材20の他端部22を含む環状部材の内側を通り、他方の部分のネジ穴に螺入されることにより、線状部材20と連結部31とが連結される。換言すると、連結部31は、断面U字状又は断面凹形状に形成されており、直方体状の基部31aと、基部31aの線状部材20側の面に間隔をあけて接続された一対の支部31bと、を有している。一対の支部31bの間には、棒状の連結部材10aが着脱自在に連結される。
【0020】
連結部31は、その幅Wが線状部材20の幅Wよりも長くなるように形成されている。線状部材20としては、例えば幅Wが28mmのチェーンを採用することができる。なお、旋回状態の部品剥離ユニット10において、連結部31の幅Wは、延伸方向に垂直な方向(後述の柱軸方向に平行な方向)の幅であり、厚みとは異なる。柱状部32は、柱状に延びる方向である柱軸方向に沿った長さWが、線状部材20の幅W及び連結部31の幅Wよりも長くなるように形成されている。柱状部32の厚みは、連結部31の厚みと等しくなっている。本実施の形態において、連結部31と柱状部32とは一体的に形成されている。図2の構成の場合、柱状部32の長さWのことを「打撃部材30の幅」ともいう。
【0021】
図3に例示するように、部品剥離ユニット10における打撃部材30は、柱状部32の連結部31とは反対側に連結され、柱状に形成された調整部材35を有していてもよい。調整部材35は、柱状に延びる方向である柱軸方向に沿った長さWが、線状部材20の幅W、連結部31の幅W、及び柱状部32の長さWよりも長くなるように形成されている。調整部材35は、その柱軸方向が、柱状部32の柱軸方向と平行になるよう、ボルトなどの締結具によって柱状部32に取り付けられる。図3の構成の場合、調整部材35の長さWのことを「打撃部材30の幅」ともいう。ここで、図3のように打撃部材30が調整部材35を有する場合、柱状部32は、長さWが線状部材20の幅W以下となるように形成してもよい。
【0022】
ここで、打撃部材30において、線状部材20とは反対側の端面のことを打撃側端面30eという。図2の打撃部材30における打撃側端面30eは、柱状部32の連結部31とは反対側の端面である。図3の打撃部材30における打撃側端面30eは、調整部材35の連結部31及び柱状部32とは反対側の端面である。
【0023】
打撃部材30は、例えば、安価で成形しやすく、強度が高いステンレス材を用いて形成することができる。打撃部材30は、鉄材を用いて形成してもよい。打撃部材30は、アルミ材を用いて形成してもよい。アルミ材からなる打撃部材30は、ステンレス材からなる打撃部材30よりも強度は落ちるが、重量が軽くなるため、打撃力を抑えることができる。打撃部材30は、銅材あるいは真鍮材などを用いて形成してもよいが、コストの観点からは、ステンレス材の方が好ましい。打撃部材30は、耐摩耗性等の観点から、タングステンカーバイド、シリコンカーバイド、ジルコニア、もしくはアルミナなどを用いて形成してもよい。もっとも、打撃部材30は、打撃力の調整等を行うために、上記の各材料などを適宜組み合わせて形成してもよい。図3に例示する打撃部材30にあっては、連結部31及び柱状部32と、調整部材35とを、異なる材料により形成してもよい。
【0024】
次に、図4及び図5を参照して、旋回状態の部品剥離ユニット10と破砕容器40の側壁41との位置関係について説明する。図4では、2つの部品剥離ユニット10が取り付けられた破砕装置100を部分的に例示しており、図5では、1つの部品剥離ユニット10が取り付けられた破砕装置100を部分的に例示している。図4及び図5では、図2の部品剥離ユニット10を例示しているが、図3の部品剥離ユニット10と破砕容器40の側壁41との位置関係も同様であり、適宜調整可能となっている。なお、破砕装置100は、図4のように、2つの部品剥離ユニット10を取付可能に構成されてもよく、1つの部品剥離ユニット10だけを取付可能に構成されてもよい。もっとも、破砕装置100は、3つ以上の部品剥離ユニット10を取付可能に構成されてもよい。
【0025】
回転支持部85は、平面視で円形状の第1部材86と、第1部材86の下方に設けられる平面視で円形状の第2部材87と、を有している。第1部材86と第2部材87とは、軸部82に連結されている。回転支持部85は、第1部材86の外周部から第2部材87の外周部に亘って設けられる支持棒88を有している。図4では、2つの部品剥離ユニット10を取り付け可能な回転支持部85を例示しているため、回転支持部85は、2つの支持棒88を有している。支持棒88は、第1部材86と第2部材87とに連結され、少なくとも一方の端部の連結状態が解除可能となっている。かかる構成により、線状部材20の一端部21を含む環状部材の内側に支持棒88を通すことができ、部品剥離ユニット10を回転支持部85に連結することができる。例えば、線状部材20としてワイヤー等を採用した場合、ワイヤー等の一端部及び他端部に、支持棒88を通すことができる環状部を形成し、あるいは環状の部材を接続するとよい。
【0026】
打撃部材30の線状部材20とは反対側の端面である打撃側端面30eと破砕容器の側壁41の内面との間の距離であるクリアランスCは、破砕容器40に投入される被破砕物のサイズ及び剥離対象の部品(対象部品)の高さに基づいて設定される。すなわち、部品剥離ユニット10の長さTは、旋回状態の部品剥離ユニット10における打撃側端面30eと側壁41の内面との間の距離であるクリアランスCが、対象部品の剥離用に決められた距離となるよう設定される。なお、クリアランスCは、部品剥離ユニット10の旋回状態において、側壁41の内側の半径である内半径Rから、破砕容器40の中心と打撃側端面30eとの間の距離である距離Tを引いた長さに相当する。破砕容器40の中心は、回転支持部85の回転中心と一致する。図4に示すように、長さT、距離T、及び内半径Rは、何れも、破砕容器40の径方向に沿った長さである。
【0027】
より具体的に、クリアランスCは、被破砕物の形状・大きさ等、及び被破砕物に実装されている対象部品の種類・大きさ等に応じて設定される。図5では、被破砕物として、対象部品である電子素子5s等がベースボード5bに実装されて形成された基板5を例示している。この場合、クリアランスCは、例えば、ベースボード5bの厚みである板厚d、優先的に剥離したい電子素子5sの高さである素子高S、及びベースボード5bの背面が破砕容器40の側壁41に接触した状態での、ベースボード5bの底面の中心位置から側壁41の内面までの距離である基板中心距離Kに応じて決められる。基板中心距離Kは、基板幅Wなどによって決まる。
【0028】
例えば、破砕容器40の内径(2R)が700mmであり、基板幅Wが250mmである場合、基板中心距離Kは23mm程度となる。そして、ベースボード5bの板厚dが1.6mmであり、電子素子5sの素子高Sが5mm~25mmの場合、クリアランスCは、27mm~40mm程度に設定される。なお、破砕容器40に基板を投入すると、基板は、旋回する部品剥離ユニット10に弾き飛ばされ、図5の例のように側壁41に追いやられる。そして、電子素子5sに打撃部材30が衝突することにより、基板から電子素子5sが剥離される。
【0029】
続いて、図6図8を参照して、2つの部品剥離ユニット10を取り付けた破砕装置100による対象部品の剥離率について説明する。ここで、基板に対し面接触的に実装され、かつ接触面積が比較的大きいIC等の部品は、部品剥離ユニット10との衝突や破砕容器40との衝突による基板の湾曲に起因して剥離されることがある。すなわち、このような部品は、直接的な打撃を加えなくても剥離されることがある。一方、例えばアルミ電解コンデンサのような、基板に対し点接触的に実装される部品、つまり極めて狭い面積で基板に接触している部品にあっては、基板の湾曲程度では剥離されない。つまり、こうした部品は、部品剥離ユニット10などが直接的に衝突しない限り、剥離することが困難である。
【0030】
ここで、本実施の形態における部品剥離ユニット10及び破砕装置100の利点を明示すべく、基板からのアルミ電解コンデンサの剥離率について、従来構成も交えて比較検証する。図6図8には、本実施の形態における種々の部品剥離ユニット10及びチェーンを搭載した破砕装置100による基板からのアルミ電解コンデンサの剥離率を示す。
【0031】
図6は、本実施の形態における種々の部品剥離ユニット10とチェーンとを剥離率の観点から比較したグラフである。図6では、破砕時間[sec:秒]を横軸にとり、剥離率[%]を縦軸にとったグラフである。破砕時間とは、被破砕物を破砕容器40に投入した上で、回転支持部85に取り付けた部品剥離ユニット10又はチェーンを回転させた時間のことである。図6の実測にあたっては、図2の構成に係る部品剥離ユニット10として、打撃部材30の幅(柱状部32の長さW)が70mmのもの(以下、部品剥離ユニット10Aともいう。)を用い、図3の構成に係る部品剥離ユニット10として、打撃部材30の幅(調整部材35の長さW)が150mmのもの(以下、部品剥離ユニット10Bともいう。)を用いた。また、これらに対する比較例として、幅が28mmのチェーン(以下、従来型チェーンという。)を用いた。従来型チェーンの幅は、線状部材20の幅Wに対応すると共に、打撃部材の幅に相当する。
【0032】
各部品剥離ユニット10は、何れも、回転数729rpmで旋回させ、従来型であるチェーンは、回転数875rpmで旋回させた。なお、従来型チェーンについては、回転数729rpmでは部品を剥離するのに十分な打撃力が得られなかったため、回転数875rpm]で旋回させた。部品剥離ユニット10Aにおいては、クリアランスCを、25mm、35mm、40mm、45mmの4段階で変化させ、剥離率の実測を行った。部品剥離ユニット10Bにおいては、クリアランスCを20mmとした。従来型チェーンについては、クリアランスCを23mmとした。
【0033】
図6からは、何れの部品剥離ユニット10も、破砕時間が36秒を超えると、チェーンのみの場合よりも剥離率が高くなることが分かる。より具体的に、破砕時間が10秒を経過した時点で、全ての条件の部品剥離ユニット10Aの剥離率が、従来型チェーンの剥離率を上回っている。クリアランスCを40mmにした部品剥離ユニット10Aの場合、そのまま効率よく部品の剥離を継続し、約24秒で、全ての対象部品の剥離が完了した。クリアランスCを25mmにした部品剥離ユニット10Aの場合、破砕時間が10秒の時点では、クリアランスCが40mmの場合よりも剥離率が低いものの、その後の剥離効率はクリアランスCが40mmの場合と同程度を示している。そして、ほぼ全ての対象部品を約34秒で剥離でき、全ての対象部品の剥離が約43秒で完了した。
【0034】
クリアランスCを45mmにした部品剥離ユニット10Aの場合、少しずつ剥離効率を低下させながらも、ほぼ全ての対象部品を約32秒で剥離でき、全ての対象部品の剥離が約42秒で完了した。クリアランスCを35mmにした部品剥離ユニット10Aの場合は、破砕時間が10秒を超えてしばらくの間、クリアランスCが40mmの場合の同期間と同程度の剥離効率を示している。部品剥離ユニット10Bについては、破砕時間が10秒の時点では、部品剥離ユニット10Aよりも剥離率が低いものの、経過時間に応じてほぼ一定の割合で剥離率の上昇を示し、ほぼ全ての対象部品を約48秒で剥離でき、全ての対象部品の剥離が約60秒で完了した。
【0035】
一方、従来型チェーンについては、破砕時間が10秒の時点で剥離率が40%になるものの、その後しばらくは剥離率が停滞している。これは、従来型チェーンは、打撃部材の幅が相対的に短いため、その分対象部材への衝突確率が低くなるからだと推察される。したがって、破砕時間が20秒~30秒の間は剥離率が比較的上昇しているが、破砕時間が30秒~60秒の間は剥離率がほとんど上昇していない、といったように、破砕時間と剥離率との対応関係が不明確である。したがって、対象部品を剥離するための破砕時間の設定が困難であり、しかも、最終的に全ての対象部品を剥離しきれない可能性が高い。
【0036】
また、従来型チェーンの剥離率が一定時間経過後も上がらない原因としては、チェーンが破砕容器の底部に設置されているため、基板の周近傍(上下左右の4辺に沿った部分)に配置された対象部品のみが剥離され、基板の中央部に配置された対象部品が剥離されないことが挙げられる。より具体的に、例えば、被破砕物として平面視正方形状である1辺250mmの基板を想定し、従来型チェーンで該基板の縁部分から内側に75mmの範囲の対象部品を剥離可能と考える。すると、基板の上下左右の各辺それぞれから内側へ75mmの範囲に配置された対象部品だけが剥離され、中央部の100mm角の正方形部分に配置された対象部品は剥離されないことになる。
【0037】
図7は、図6のデータの中からクリアランスCが同程度のものをピックアップしたグラフである。図7を参照して、各構成につき、6割程度の対象部品の剥離が完了することを目安とし、同一の破砕時間での剥離率を比較する。例えば、破砕時間が25秒の時点でのアルミ電解コンデンサの剥離率を線形補間により求めると、従来型チェーンで58.9%、部品剥離ユニット10Bで61.8%、部品剥離ユニット10Aで84.7%となる。なお、従来型チェーンと、部品剥離ユニット10Bとを比較すると、一時的に従来型チェーンの剥離率が上回ることもある。ただし、上述したとおり、従来型チェーンによる剥離率は、衝突確率の低さ等から安定しないため、全体的にみると、剥離率の観点において、部品剥離ユニット10Bの方が優れているといえる。
【0038】
図8は、図7における破砕時間が25秒のときの各データをもとに、打撃部材の幅と剥離率とを対応づけたグラフである。図8では、打撃部材の幅[mm]を横軸にとり、剥離率[%]を縦軸にとっている。図8では、図7において破砕時間が25秒のときの従来型チェーン、部品剥離ユニット10A、及び部品剥離ユニット10Bにおける剥離率をプロットすると共に、これら3点を結んだ近似曲線を破線で示している。
【0039】
ここで、従来型チェーンにおける破砕時間25秒の剥離率58.9%から約10%の向上が見込めることを条件として、剥離率70%以上に対応する打撃部材の幅を、対象部品の剥離に有効な範囲(有効範囲)とする。この場合、図8に示すとおり、打撃部材の幅の有効範囲は、40mm~140mmとなる。図8によると、打撃部材の幅は、60mm~120mmにするとより好ましく、80mm~100mmにすると更に好ましいと考えられる。そして、打撃部材の幅は、90mm程度にするのが最良であると推察される。
【0040】
以上のように、本実施の形態における部品剥離ユニット10は、回転支持部85に一端部21が取り付けられる線状部材20と、線状部材20の他端部22に連結される打撃部材30と、を有している。打撃部材30は、線状部材20に連結される連結部31と、柱状に形成された柱状部32と、を有している。そして、柱状部32は、柱軸方向の長さWが線状部材20の幅Wよりも長くなるように形成されている。すなわち、部品剥離ユニット10は、打撃部材30が連結部31及び柱状部32を有すると共に、柱状部32の長さWが線状部材20の幅Wよりも長くなっている。よって、被破砕物である基板上の対象部品に衝突させる部分の面積をチェーン等よりも大きくすることができるため、基板から剥離対象の部品を効率よく剥離することができる。柱状部32は、長さWが28mmよりも長くなるように形成するとよく、長さWが30mm以上となるように形成すると、より好ましい。柱状部32は、旋回時における安定性の観点から、長さWが150mm以下となるように形成するとよい。
【0041】
ところで、従来のようにチェーンやワイヤーを旋回させる構成では、その先端が対象部品に衝突する確率が低いだけでなく、被破砕物が比較的大きい場合など、一度の衝突で剥離される部品の数が少なくなる。したがって、全ての対象部品あるいは一定数の対象部品を剥離するまでに、多数の衝突が必要となるため、基板が無駄に破砕されることになる。この点、部品剥離ユニット10は打撃部材30を有することから、旋回状態において対象部品に衝突し得る面積が従来よりも大きくなるため、対象部品の剥離の効率及び精度を高め、基板の不要な破損等を抑制することができる。
【0042】
また、従来型チェーンを用いる場合、部品との直接打撃の頻度を増やすためには、従来型チェーンと粉砕容器とのクリアランスCを適切に調整する必要がある。しかしながら、従来型チェーンの長さは、その種類に応じた環状部材1個の長さと、環状部材の接続個数に依存し、従来型チェーンと粉砕容器とのクリアランスCを任意に調整することは困難である。この点、部品剥離ユニット10は、打撃部材30のサイズ調整により、環状部材に依拠しない長さ調整を実現することができるため、クリアランスCの最適化を図ることができる。すなわち、部品剥離ユニット10によれば、基板の種々の実装部品を選択的に剥離させることができる。具体的には、アルミ電解コンデンサのように、相対的に高さの高い部品に対する直接打撃の頻度を増やし、該部品を効率よく剥離することができる。したがって、破砕装置100は、例えば、銅の精錬所など、アルミを含む電子素子が剥離された基板をのぞむ提供へ向け、基板からアルミを含む電子素子を剥離する際に、好適に用いることができる。加えて、部品剥離ユニット10によれば、所定量の部品を剥離するまでの間に、打撃部材を基板に衝突させる回数を減らすことができるため、基板や部品がなるべく破壊されないように調整しつつ、対象部品の剥離率の向上を図ることができる。
【0043】
柱状部32は、対象部品の剥離率を高める観点から、柱軸方向の長さWが40mm以上140mm以下となるように形成するとよい。柱状部32は、柱軸方向の長さWが、60mm以上120mm以下となるように形成するとより好ましく、80mm以上100mm以下となるように形成すると更に好ましい。もっとも、柱状部32の長さWは、クリアランスC又は回転数などに応じて適宜調整するとよい。
【0044】
打撃部材30は、柱状部32の連結部31とは反対側に連結され、柱状に形成された調整部材35を有するようにしてもよい。調整部材35は、柱軸方向の長さWが線状部材20の幅Wよりも長くなるように形成するとよい。このようにしても、被破砕物である基板上の対象部品に衝突させる部分の面積を線状部材20よりも大きくすることができるため、基板から対象部品を効率よく剥離することができる。また、調整部材35を連結することにより、延伸方向の長さ調整を行うことができるため、対象部品の種類などに応じた、より柔軟なクリアランスCの調整を行うことができる。調整部材35は、長さWが28mmよりも長くなるように形成するとよく、長さWが30mm以上となるように形成すると、より好ましい。調整部材35は、旋回時における安定性の観点から、長さWが150mm以下となるように形成するとよい。なお、打撃部材30が調整部材35を有する場合、柱状部32の長さWは、線状部材20の幅W以下であってもよい。
【0045】
調整部材35は、柱軸方向の長さWが柱状部32の長さW以上となるように形成するとよい。調整部材35の長さWの変更により、被破砕物である基板上の対象部品に衝突させる部分の面積の調整も可能となるため、被破砕物の過度な破砕と対象部品の剥離との柔軟なバランス調整が可能となる。そして、部品剥離ユニット10においては、回転支持部85側よりも側壁41側の方が重くなるため、旋回時における部品剥離ユニット10の安定性を高めることができる。
【0046】
調整部材35は、対象部品の剥離率を高める観点から、柱軸方向の長さWが40mm以上140mm以下となるように形成してもよい。調整部材35は、柱軸方向の長さWが、60mm以上120mm以下となるように形成するとより好ましく、80mm以上100mm以下となるように形成すると更に好ましい。もっとも、調整部材35の長さWは、クリアランスC又は回転数などに応じて適宜調整するとよい。
【0047】
破砕容器40の中心から打撃部材30の側壁41側の端部までの長さTが、側壁41の内半径Rよりも短くなるように形成されている。より具体的に、打撃部材30の線状部材20とは反対側の端面(打撃側端面30e)と破砕容器40の側壁41の内面との間の距離であるクリアランスCは、破砕容器40に投入される被破砕物のサイズ及び対象部品の高さに基づいて設定される。すなわち、部品剥離ユニット10は、被破砕物としての基板のサイズ及び対象部品の高さに基づき、旋回状態におけるクリアランスCが対象部品の剥離に適した長さとなるよう、延伸方向の長さを決定し、形成するとよい。これにより、対象部品を効率よく且つ高精度に剥離することができる。
【0048】
<変形例1>
図9は、本発明の実施の形態の変形例1に係る部品剥離ユニットの一例を示す概略構成図である。図9に例示するように、本変形例1の打撃部材30は、連結部31の幅Wと、柱状部32の長さWとが等しくなるよう構成されている。すなわち、柱状部32は、柱軸方向に沿った長さWが、線状部材20の幅Wよりも長く、連結部31の幅Wと等しくなるように形成されている。本変形例1における部品剥離ユニット10の他の構成は、図2に例示する部品剥離ユニット10の構成と同様である。
【0049】
以上のように、本変形例1における部品剥離ユニット10は、線状部材20に連結される打撃部材30が連結部31及び柱状部32を有すると共に、柱状部32の長さWが線状部材20の幅Wよりも長くなっている。そのため、被破砕物である基板上の部品に衝突させる部分の面積をチェーン等よりも大きくすることができるため、基板から対象部品を効率よく剥離することができる。
【0050】
本変形例1における部品剥離ユニット10は、図3の構成例と同様、調整部材35と組み合わせて構成してもよい。すなわち、本変形例1における部品剥離ユニット10の打撃部材30は、柱状部32の連結部31とは反対側に連結され、柱状に形成された調整部材35を有していてもよい。調整部材35は、柱軸方向に沿った長さWが、線状部材20の幅W、連結部31の幅W、及び柱状部32の長さWよりも長くなるように形成するとよい。調整部材35は、その柱軸方向が、柱状部32の柱軸方向と平行になるよう、ボルトなどの締結具によって柱状部32に取り付けられる。かかる構成を採った部品剥離ユニット10によれば、調整部材35の長さWが線状部材20の幅Wよりも長くなっていることから、基板上の部品に衝突させる部分の面積をチェーン等よりも大きくすることができるため、基板から対象部品を効率よく剥離することができる。
【0051】
<変形例2>
図2図3、及び図9では、連結部31の幅W、柱状部32の長さW、及び調整部材35の長さWが延伸方向に沿って一定である構成例を示したが、これに限定されない。打撃部材30は、連結部31の幅W、柱状部32の長さW、及び調整部材35の長さWのうちの少なくとも1つが、延伸方向に沿って変化するように形成してもよい。図10及び図11を参照して、本変形例2における打撃部材30の構成例について説明する。
【0052】
図10に例示する打撃部材30は、連結部31の幅Wが柱状部32に向けて徐々に大きくなるよう形成されている。なお、図10の打撃部材30において、柱状部32の長さWは一定である。このようにしても、打撃部材30は、柱状部32の長さWが線状部材の幅Wよりも長くなるように形成されているため、基板から剥離対象の部品を効率よく剥離することができる。
【0053】
図10では、連結部31の幅Wが延伸方向に沿って均等に大きくなる構成例(リニアに変化する構成例)を示したが、これに限定されない。例えば、打撃部材30は、連結部31の幅Wが二次関数的に変化するよう構成してもよい。すなわち、連結部31の側面は、図10のように平面である必要はなく、曲面であってもよい。ここで、連結部31の幅Wは、全領域で線状部材の幅Wよりも長くする必要はなく、例えば、線状部材20側の端部の幅Wは、幅Wよりも短くてもよい。
【0054】
図11に例示する打撃部材30は、連結部31の形状が図10の例と同様であり、柱状部32の長さWが連結部31とは反対側に向けて徐々に大きくなるよう形成されている。このようにしても、打撃部材30は、柱状部32の長さWが線状部材の幅Wよりも長くなっているため、基板から剥離対象の部品を効率よく剥離することができる。
【0055】
図11では、柱状部32の長さWが延伸方向に沿って均等に大きくなる構成例を示したが、これに限定されない。例えば、打撃部材30は、柱状部32の長さWが二次関数的に変化するよう構成してもよい。すなわち、柱状部32の側面は、図11のように平面である必要はなく、曲面であってもよい。柱状部32の長さWは、全領域で線状部材の幅Wよりも長くするとよい。
【0056】
図11では、連結部31の幅Wの延伸方向に沿った増加率と、柱状部32の長さWの延伸方向に沿った増加率とが等しい構成例を示しているが、これに限定されない。つまり、打撃部材30は、連結部31の側面の延伸方向に対する傾斜と、柱状部32の側面の延伸方向に対する傾斜とが異なっていてもよい。すなわち、打撃部材30は、連結部31の側面の傾斜が、柱状部32の側面の傾斜よりも大きくてよく、小さくてもよい。
【0057】
なお、柱状部32は、長さWが連結部31とは反対側に向けて徐々に小さくなるよう形成してもよい。ただし、剥離効率や旋回時の安定性などの観点からは、図11のように、長さWが連結部31とは反対側に向けて徐々に大きくなるよう形成するとよく、図10のように、長さWが一定となるように形成すると、より好ましい。
【0058】
図10及び図11の打撃部材30は、連結部31の柱状部32側の端部の幅Wと、柱状部32の連結部31側の端部の長さWとが異なっていてもよい。すなわち、打撃部材30は、連結部31の柱状部32側の端部の幅Wが、柱状部32の連結部31側の端部の長さWよりも短くてよく、長くてもよい。かかる構成を採ると、打撃部材30の側面には、連結部31と柱状部32との境界に段差が形成される。
【0059】
図示は省略するが、調整部材35を備えた打撃部材30においては、調整部材35の長さWが柱状部32とは反対側に向けて徐々に大きくなるように形成してもよい。この場合、調整部材35は、長さWが延伸方向に沿って均等に大きくなるように形成してもよく、二次関数的に変化するように形成してもよい。調整部材35の長さWは、全領域で線状部材の幅Wよりも長くするとよい。なお、調整部材35は、長さWが柱状部32とは反対側に向けて徐々に小さくなるよう形成してもよい。ただし、剥離効率や旋回時の安定性などの観点からは、長さWが柱状部32とは反対側に向けて徐々に大きくなるよう形成するとよく、長さWが一定となるように形成すると、より好ましい。
【0060】
ここで、上述した各実施の形態は、部品剥離ユニット及び破砕装置の具体例であり、本発明の技術的範囲は、これらの態様に限定されるものではない。例えば、図2等では、直方体状に形成された柱状部32を例示したが、これに限定されない。柱状部32は、半円柱状に形成してもよく、直方体状と半円柱状とを組み合わせた形状としてもよい。ただし、剥離効率などの観点から、柱状部32は直方体状に形成するとよい。図3では、直方体状に形成された調整部材35を例示したが、これに限定されない。例えば、調整部材35は、円柱状もしくは半円柱状に形成してもよく、直方体状と半円柱状とを組み合わせた形状としてもよい。ただし、剥離効率の観点から、調整部材35は直方体状に形成するとよい。なお、本実施の形態における柱状部32は、柱軸方向に沿った長さWが、線状部材20の幅Wよりも長くなり、連結部31の幅W以上となるように形成されている。
【符号の説明】
【0061】
5 基板、5b ベースボード、5s 電子素子、10、10A、10B 部品剥離ユニット、10a 連結部材、20 線状部材、21 一端部、22 他端部、30 打撃部材、30e 打撃側端面、31 連結部、31a 基部、31b 支部、32 柱状部、35 調整部材、40 破砕容器、41 側壁、41a 第1連結部、41b 第2連結部、42 底壁、45 排出ゲート、50 上蓋、51 投入フード、52 投入ゲート、55 排出フード、70 架台、71 台座部、72 支持部、80 駆動機構部、81 モータ、82 軸部、85 回転支持部、86 第1部材、87 第2部材、88 支持棒、90 操作制御装置、91 操作部、92 制御部、100 破砕装置、C クリアランス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11