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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075774
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】鼻通り改善具
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/03 20060101AFI20230524BHJP
   A61F 7/08 20060101ALI20230524BHJP
   A61F 5/08 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
A61F7/08 334H
A61F7/08 334S
A61F7/08 361A
A61F5/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188882
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小鍛治 彩奈
(72)【発明者】
【氏名】白土 誠
(72)【発明者】
【氏名】源治 紗也佳
(72)【発明者】
【氏名】古川 奈央
(72)【発明者】
【氏名】山口 亮
【テーマコード(参考)】
4C098
4C099
【Fターム(参考)】
4C098AA02
4C098BB20
4C098BC12
4C098BC17
4C098BD01
4C099AA01
4C099CA15
4C099CA20
4C099EA09
4C099GA02
4C099JA04
4C099LA07
4C099LA08
4C099LA14
4C099NA02
(57)【要約】
【課題】使用時にユーザに違和感や痛みを与えるおそれがなく、使用時に鼻から剥離することを抑制することができ、製造を容易に行うことができる鼻通り改善具を提供する。
【解決手段】鼻通り改善具1は、横幅方向が鼻を横断するように鼻に装着して使用するものであって、縦幅よりも横幅が長い基材2、及び、基材2の横幅方向の両端部にそれぞれ保持された発熱材3、を備え、基材2が横幅方向の全長にわたって弾性を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横幅方向が鼻を横断するように鼻に装着して使用する鼻通り改善具であって、
縦幅よりも横幅が長い基材、及び、前記基材の横幅方向の両端部にそれぞれ保持された発熱材、を備え、
前記基材が横幅方向の全長にわたって弾性を有する、鼻通り改善具。
【請求項2】
前記基材は、鼻に接する側の裏側部材及び前記裏側部材に積層された表側部材を備え、前記裏側部材及び前記表側部材の間に前記発熱材が格納されており、
前記表側部材及び/又は前記裏側部材が横幅方向の全長にわたって弾性を有する、請求項1に記載の鼻通り改善具。
【請求項3】
前記表側部材及び前記裏側部材の一方が弾性を有し、前記表側部材及び前記裏側部材の他方が柔軟性を有する、請求項2に記載の鼻通り改善具。
【請求項4】
前記表側部材が弾性を有し、前記表側部材は剛性を有する不織布からなる、請求項3に記載の鼻通り改善具。
【請求項5】
前記発熱材が空気との接触により発熱し、
前記表側部材が通気性を有する、請求項2から4のいずれか一項に記載の鼻通り改善具。
【請求項6】
前記発熱材が打錠成形体である、請求項1から5のいずれか一項に記載の鼻通り改善具。
【請求項7】
鼻通り改善のために鼻に装着する鼻通り改善具の縦幅よりも横幅が長くかつ横幅方向の全長にわたって弾性を有する基材に保持させて使用する、打錠成形体からなる発熱材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、鼻通りを改善するために使用される鼻通り改善具に関する。
【背景技術】
【0002】
鼻炎や副鼻腔炎又は風邪などによる鼻づまりを改善するために、鼻を温めることが従来から行われている。特許文献1には、鼻に装着して鼻を温める鼻通り改善具が開示されている。特許文献1の鼻通り改善具は、鼻を左右に跨ぐことが可能な長さに形成された基材を備えており、基材は、積層された表側シート部材及び裏側シート部材により構成されている。表側シート部材及び裏側シート部材の間には、横幅方向の両端部(以下、単に「両端部」という。)にそれぞれ発熱体が格納されており、一対の発熱体の間の横幅方向の中央部(以下、単に「中央部」という。)に長さ方向に延びるプラスチック製の板状の弾性部材が格納されている。裏側シート部材の裏面には粘着層が形成されている。粘着層により裏側シート部材が鼻に貼り付けられることで、鼻通り改善具が鼻に装着される。
【0003】
特許文献1の鼻通り改善具は、鼻に装着された際に、基材の中央部が鼻を左右に跨ぐように貼り付けられ、基材の両端部が鼻の付け根の両脇に貼り付けられる。そのため、基材の中央部が鼻の形状に沿って山形に折れ曲がった弾性部材の復元力により鼻腔を拡げながら、基材の両端部の発熱体が鼻の付け根の近くにある鼻づまりに効果があるとされるツボ(いわゆる「鼻通」)を温める。これにより、特許文献1の鼻通り改善具は、鼻の通りをよくして鼻づまりの症状を改善することを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-103591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の鼻通り改善具は、基材の中央部にプラスチック製の板状の弾性部材が存在し、この弾性部材が鼻に接触している。そのため、使用時にユーザに違和感を与え、特に弾性部材の長さ方向の両端が鼻と頬の境目に当たるとユーザに痛みを与えるおそれがある。また、特許文献1に記載の鼻通り改善具は、弾性部材の復元力が基材の中央部の一部分(弾性部材が存在する部分)だけに作用し、基材の中央部の一部分は弾性部材の復元により鼻から剥離方向の力が強く作用する。そのため、鼻通り改善具の使用時に基材の中央部の一部分が鼻から浮いてしまい、基材が鼻から剥離するおそれがある。また、特許文献1に記載の鼻通り改善具は、弾性部材を基材の表側シート部材及び裏側シート部材の間に格納するため、製造に手間がかかる。
【0006】
本開示は、上記課題を解決することができる鼻通り改善具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、横幅方向が鼻を横断するように鼻に装着して使用する鼻通り改善具に関する。本開示の鼻通り改善具は、縦幅よりも横幅が長い基材、及び、前記基材の横幅方向の両端部にそれぞれ保持された発熱材、を備え、前記基材が横幅方向の全長にわたって弾性を有する、ことを特徴とする。
【0008】
本開示の鼻通り改善具において好ましくは、前記基材は、鼻に接する側の裏側部材及び前記裏側部材に積層された表側部材を備え、前記裏側部材及び前記表側部材の間に前記発熱材が格納されており、前記表側部材及び/又は前記裏側部材が横幅方向の全長にわたって弾性を有する、ことを特徴とするように構成することができる。
【0009】
また、本開示の鼻通り改善具において好ましくは、前記表側部材及び前記裏側部材の一方が弾性を有し、前記表側部材及び前記裏側部材の他方が柔軟性を有する、ことを特徴とするように構成することができる。
【0010】
また、本開示の鼻通り改善具において好ましくは、前記表側部材が弾性を有し、前記表側部材は剛性を有する不織布からなる、ことを特徴とするように構成することができる。
【0011】
また、本開示の鼻通り改善具において好ましくは、前記発熱材が空気との接触により発熱し、前記表側部材が通気性を有する、ことを特徴とするように構成することができる。
【0012】
また、本開示の鼻通り改善具において好ましくは、前記発熱材が打錠成形体である、ことを特徴とするように構成することができる。
【0013】
また本開示は、鼻通り改善のために鼻に装着する鼻通り改善具の縦幅よりも横幅が長くかつ横幅方向の全長にわたって弾性を有する基材に保持させて使用する、打錠成形体からなる発熱材に関する。
【発明の効果】
【0014】
本開示の鼻通り改善具によれば、使用時にユーザに違和感や痛みを与えるおそれがない。また、使用時に鼻から剥離することを抑制することができる。また、製造を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の実施形態の鼻通り改善具の正面図である。
図2図1のA-A断面図(縦断面図)である。
図3】本開示の実施形態の鼻通り改善具の剥離シートを除いた背面図である。
図4】本開示の実施形態の鼻通り改善具の寸法を説明する図である。
図5】本開示の実施形態の鼻通り改善具の使用状態を示す図である。
図6】本開示の実施形態の鼻通り改善具の使用状態を示す図である。
図7】変形例の鼻通り改善具の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の鼻通り改善具は、鼻炎や副鼻腔炎又は風邪などにより鼻づまりが生じた場合に鼻に装着して使用するものである。鼻通り改善具は、鼻を横断するようにして鼻に装着され、発熱材により鼻や鼻の近傍に温熱を与えることによって鼻の通りをよくして、鼻づまりの症状を改善することを目的とするものである。鼻の近傍は、特に限定されないが、鼻の付け根の両脇にある、温熱を与えると鼻づまりに効果があるとされる「鼻通」と呼ばれるツボの上を含むことが好ましい。
【0017】
以下、本開示の鼻通り改善具の実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、本開示では、図5に示すユーザが鼻通り改善具1を使用する状態において、鼻通り改善具1の鼻を横断する方向(図1の左右方向)を横幅方向とし、鼻通り改善具1の高さ方向(図1の上下方向)を縦幅方向とする。また、鼻通り改善具1において、ユーザの鼻に接触する側を裏面とし、その反対側を表面とする。
【0018】
鼻通り改善具の全体構成
図1から図3は、本開示の一実施形態に係る鼻通り改善具1を示す。図4は、鼻通り改善具1の正面視形状における寸法を示す。鼻通り改善具1は、正面視において、図4に示す縦幅D0よりも横幅L0が長い横長形状を呈する。鼻通り改善具1は、一対の保持部8と、一対の保持部8の間の拡張部9と、拡張部9及び一対の保持部8を連結する複数の連結部10とを含む。本実施形態の鼻通り改善具1は、一対の連結部10を含み、一対の保持部8は、それぞれ一つの連結部10で拡張部9に連結されている。
【0019】
鼻通り改善具1の横幅方向の両端に位置する保持部8は、発熱材3を保持していて使用時に鼻や鼻の近傍に温熱を与える部分である。保持部8は、使用時に鼻の付け根の両脇に、好ましくは鼻通と呼ばれるツボの上にセットされる。鼻通り改善具1の横幅方向の中央に位置する拡張部9は、使用時に鼻を左右に跨ぐように配置されて鼻腔を拡げる部分である。以下、鼻通り改善具1の各部の形状について詳細に説明する。
【0020】
保持部
保持部8は、本実施形態では正面視で円形状である。保持部8の正面視形状は円形状に限定されるものではなく、横長又は縦長の楕円形状、正方形状や縦長又は横長の長方形状、その他の多角形状など、種々の形状とすることができる。
【0021】
保持部8の中央部分は、他部分よりも表面側が高く突き出ることにより突出部82をなしており、この突出部82内に発熱材3が格納されている。突出部82は、本実施形態では正面視で円形状を呈している。突出部82の正面視形状は円形状に限定されるものではなく、横長又は縦長の楕円形状、正方形状や縦長又は横長の長方形状、その他の多角形状など、種々の形状とすることができる。突出部82の突き出る高さは、特に限定されるものではないが、6mm以上20mm以下が好ましい
【0022】
図4に示す保持部8の縦幅D1は、特に限定されるものではないが、好ましくは6mm以上32mm以下であり、より好ましくは16mm以上28mm以下である。これにより、使用時に保持部8をユーザの目にかかることなく鼻の付け根の両脇の鼻通の上にセットすることができる。
【0023】
図4に示す保持部8の横幅L1は、特に限定されるものではないが、好ましくは6mm以上32mm以下であり、より好ましくは16mm以上28mm以下である。これにより、使用時に保持部8の発熱材3によって鼻通に良好に温熱を与えることができ、鼻づまりを効果的に解消することができる。
【0024】
図4に示す縦中心線Oから保持部8までの横幅方向の長さ(縦中心線Oから後述する保持部8及び連結部10の境界P3-P4までの距離)L2は、特に限定されるものではないが、好ましくは24mm以上30mm以下であり、より好ましくは26.5mm以上30mm以下である。これにより、鼻の形状が異なる数多くのユーザに対して、使用時に保持部8を鼻の付け根の両脇の鼻通の上に適切にセットすることができる。
【0025】
拡張部
拡張部9は、正面視では横長形状を呈するとともに、側面視や平面視では厚みが縦幅や横幅に比べて極めて小さい偏平形状を呈する。拡張部9は、正面視において、横幅方向に延びる上縁90及び下縁91と、上縁90の横幅方向の両端に連なる左右の上側縁92と、下縁91の横幅方向の両端に連なる左右の下側縁93とを有する。図4に示す横幅方向の中央位置を縦幅方向に平行に延びる縦中心線Oにおいて、拡張部9は左右対称形状を呈している。
【0026】
拡張部9の下縁91は、上縁90と平行である。拡張部9の下縁91は、横幅方向の中央において略台形状に凹んでおり、傾斜する部分を有するが、概ね上縁90と平行である。拡張部9において、略台形状に凹んだ部分の両脇の下方に凸に突き出る部分94が使用時に小鼻の一部に配置されることで、拡張部9による鼻腔の拡張効果を向上することができる。なお、拡張部9の下縁91は、必ずしも横幅方向の中央において凹んでいる必要はない。
【0027】
拡張部9の上側縁92は、横幅方向の外側(中央とは反対側)に向かって斜め下方に傾斜しており、拡張部9の上縁90と連結部10の上縁100とを繋いでいる。上側縁92が斜め下方に傾斜していることで、拡張部9を鼻の筋にかからずに鼻に密着させることができ、拡張部9の浮きを抑制することができる。拡張部9の下側縁93は、横幅方向の外側(中央とは反対側)に向かって斜め上方に傾斜しており、拡張部9の下縁91と連結部10の下縁101とを繋いでいる。
【0028】
なお、図4において、P1は直線状の拡張部9の上側縁92と曲線状の連結部10の上縁100との接続点であり、P2は直線状の拡張部9の下側縁93と曲線状の連結部10の下縁101との接続点である。P1及びP2を結んだ縦幅方向に沿う線が拡張部9と連結部10の境界である。
【0029】
拡張部9の縦幅は、特に限定されるものではないが、好ましくは少なくとも11mm以上、つまりは図4に示す横幅方向中央の下縁91が凹んだ部分の縦幅D2が11mm以上であり、より好ましくは13mm以上である。これにより、使用時に拡張部9により鼻腔を効果的に拡張することができる。一方で、拡張部9の縦幅は、特に限定されるものではないが、好ましくは多くても21mm以下、つまりは図4に示す横幅方向両側の下縁91が突き出た部分94の縦幅D3が21mm以下であり、より好ましくは18mm以下、さらに好ましくは16mm以下である。これにより、拡張部9が鼻からはみ出すことなく、拡張部9により効率よく鼻腔を拡げることができる。
【0030】
図4に示す拡張部9の縦中心線Oから両端までの横幅(縦中心線Oから後述する拡張部9及び連結部10の境界P1-P2までの距離、拡張部9の全横幅の半分の長さ)L3は、特に限定されるものではないが、好ましくは20mm以上24mm以下であり、より好ましくは22mm以上23.5mm以下である。これにより、使用時に拡張部9を鼻に密着させることができ、拡張部9が鼻から浮くことを抑制することができる。
【0031】
図4に示す拡張部9における上側縁92の上縁90に対する傾斜角度θ1は、特に限定されるものではないが、好ましくは51°以上90°以下であり、より好ましくは51°以上70°以下である。拡張部9は、上側縁92が上縁93に対して傾斜していることで、使用時に拡張部9の上側縁92が鼻の付け根に沿って配置され、拡張部9を鼻の形状に即して装着することができる。上側縁92の上縁90する傾斜角度θ1が上記範囲内であることにより、上記効果を良好に実現することができる。
【0032】
図4に示す拡張部9における下側縁93の下縁91に対するする傾斜角度θ2は、特に限定されるものではないが、好ましくは20°以上60°以下であり、より好ましくは30°以上55°以下である。拡張部9は、下側縁93が下縁91に対して傾斜していることで、使用時に拡張部9の下側縁93が小鼻を避けて配置され、拡張部9を鼻の形状に即して装着することができる。下側縁93の下縁91する傾斜角度θ2が上記範囲内であることにより、上記効果を良好に実現することができる。
【0033】
連結部
連結部10は、正面視において、図4に示す縦幅D4よりも横幅(図4ではL2-L3で示される)が長い横長形状を呈する。また連結部10は、側面視や平面視では厚みが縦幅や横幅に比べて極めて小さい偏平形状を呈する。
【0034】
連結部10の縦幅D4は、特に限定されるものではないが、好ましくは本実施形態のように、保持部8の縦幅D1及び拡張部9の縦幅D2,D3よりも極めて小さい。そのため、連結部10は正面から見て前後方向に折り曲げやすい。これにより、鼻通り改善具1は、保持部8と拡張部9との境目である連結部10において保持部8を拡張部9に対して折り曲げやすく、使用時に鼻の付け根で保持部8を拡張部9に対してしっかりと折り曲げて鼻の付け根の両脇の肌に保持部8を密着させることができる。また、保持部8が肌に密着し、保持部8がセットされる位置が固定されることで、使用時に拡張部9が一定以上折り曲げられることを抑制することができ、拡張部9の折れを抑制することができる。
【0035】
また保持部8の縦幅D1が大きいことから、保持部8を鼻の付け根の両脇にしっかりと貼り付けて位置ずれするのを抑制することができる。加えて拡張部9の縦幅D2,D3が大きいことから、拡張部9の鼻に対する接触面積を広くすることができ、拡張部9により鼻腔を大きく広げることができる。
【0036】
連結部10は、拡張部9の上側縁92と保持部8の外周縁80とを繋ぐ上縁100と、拡張部9の下側縁93と保持部8の外周縁80とを繋ぐ下縁101とを含んでいる。連結部10の上縁100及び下縁101は互いに平行であり、その縦幅D4は全横幅にわたって一定である。
【0037】
連結部10は、特に限定されるものではないが、好ましくは本実施形態のように、正面視で縦幅方向に向けて凸をなして湾曲する形状を呈している。そのため、連結部10の上縁100及び下縁101も縦幅方向に向けて凸をなす曲線状を呈する。本実施形態の連結部10は、縦幅方向の上側(拡張部9の上縁90側)に向けて凸をなして湾曲している。連結部10が縦幅方向に向けて凸をなして湾曲していることにより、使用時に連結部10を横幅が広がる方向や狭まる方向に容易に変形させることができる。これにより、鼻の付け根の両脇において保持部8をセットする位置を左右に調整することができるため、鼻の形状が異なる数多くのユーザが鼻通り改善具1を使用しても、ユーザごとに保持部8のセット位置を適切に調整することで保持部8を鼻通の上にセットすることができる。なお、連結部10は、縦幅方向の下側(拡張部9の下縁91側)に向けて凸をなして湾曲していてもよい。また連結部10は、縦幅方向の上側又は下側に向けて凸をなして滑らかに湾曲するのではなく、凸をなして尖るように屈曲していてもよい。
【0038】
なお、図4において、P3は曲線状の連結部10の上縁100と円弧状の保持部8の外周縁80との接続点であり、P4は曲線状の連結部10の下縁101と円弧状の保持部8の外周縁80との接続点である。P3及びP4を結んだ縦幅方向に沿う線が保持部8と連結部10の境界である。
【0039】
連結部10の縦幅D4は、特に限定されるものではないが、好ましくは8mm以下、より好ましくは6mm以下である。これにより、連結部10の上述した折り曲げや変形を容易に行うことができる。また、連結部10の縦幅D4は、小さいほうが連結部10の上述した折り曲げや変形を容易にできるが、4mm以上であることにより、上述した連結部10の折り曲げやすさや変形しやすさを実現しつつ連結部10の強度を確保することができ、縦幅D4が小さくても連結部10が折り曲げや変形に伴ってちぎれたりするなどの破損を抑制することができる。
【0040】
連結部10は、特に限定されるものではないが、好ましくは、図4に示す縦幅方向の下側の拡張部9との接続点P2が、拡張部9の下端から拡張部9の縦幅に対して30%以上50%以下の縦幅の範囲内に位置する。拡張部9の下端とは、拡張部9の下縁91で最も縦幅方向の下側に位置する部分である。拡張部9の縦幅とは、図4に示す拡張部9で最大となる縦幅D3である。つまり、図4に示す拡張部9の下端(本実施形態では拡張部9の下縁91において最も下側に位置する縦幅がD3である部分)から、連結部10の拡張部9との接続点P1,P2のうちの縦幅方向の下側の接続点P2までの縦幅D5は、好ましくは拡張部9の最大の縦幅D3の30%以上50%以下であり、より好ましくは拡張部9の最大の縦幅D3の37.5%以上43.75%以下である。これにより、使用時に拡張部9を鼻に密着させることができ、拡張部9が鼻から浮くことを抑制することができる。
【0041】
鼻通り改善具の構成部材
図1から図3に示すように、本実施形態の鼻通り改善具1は、基材2、発熱材3、粘着層4及び剥離シート5を備える。基材2は、使用時に鼻を左右に跨ぐように配置される。発熱材3は、基材2の横幅方向の両端部(以下、単に「両端部」という。)にそれぞれ保持され、使用時に鼻や鼻の近傍を温める。粘着層4は、基材2の鼻と接する側の裏面に形成され、基材2を鼻及び鼻近傍の肌に貼り付ける。剥離シート5は、粘着層4を覆うようにして基材2の裏面に貼り付けられ、鼻通り改善具1を鼻に装着する前(以下、「未使用時」という。)において粘着層4を保護する。以下、鼻通り改善具1の各構成部材について詳細に説明する。
【0042】
基材
基材2は、その正面視の形状が鼻通り改善具1の正面視形状をなし、図4に示す縦幅D0よりも横幅L0が長い横長形状を呈する。基材2は、上述した拡張部9をなす横幅方向の中央部(以下、単に「中央部」という。)が鼻を左右に跨ぐとともに、上述した一対の保持部8をなす両端部が鼻の付け根の両脇(好ましくは鼻通と呼ばれるツボの上)にセットされることが可能な長さに形成されている。
【0043】
また、基材2は、両端部の一部分を除いて、側面視や平面視で厚みが縦幅や横幅に比べて極めて小さい偏平形状を呈する。基材2の偏平形状の部分の厚みは、特に限定されるものではないが、0.5mm以上2mm以下が好ましい。基材2の両端部の一部分は、上述した発熱材3を格納する突出部82をなす部分であり、表面側が裏面側に対して高く突き出ている。
【0044】
基材2は、横幅方向の全長にわたって弾性を有する。つまり、基材2は、横幅方向のどの位置においても外力を加えることで、正面から見て前後方向に折り曲げてたわめることができるうえに、外力を取り除くと元の形状(原形)に戻ろうとする力が高い性質を有する。基材2は、使用時に鼻を左右に跨ぐように配置される際に、中央部(拡張部9)が鼻の形状に沿って山形に折り曲げられる。基材2が弾性を有することにより、その弾性復元力により鼻腔を拡げることができる。
【0045】
また、基材2は、横幅方向の全長にわたって柔軟性を有する。つまり、基材2は、横幅方向のどの位置においても外力を加えることで、正面から見て前後方向に容易に折り曲げてたわめることができるうえに、折り曲げてもポキンと折れない又はポキンと折れにくい性質を有する。基材2は、使用時に鼻を左右に跨ぐように配置されるため、中央部が山形に折り曲げられる。基材2を折り曲げた際にポキンと折れてしまうと、基材2の弾性が失われてしまい、折り曲げられた後に原形に復元しなくなる。基材2が柔軟性を有し、折り曲げた際にしなやかにたわむことで、基材2はポキンと折れてしまうことが抑制される。
【0046】
基材2は、鼻に接する側の裏側部材7と、裏側部材7に積層された表側部材6とで構成されている。表側部材6及び裏側部材7はシート状を呈している。表側部材6の横幅方向の両端部の一部分は他部分よりも高く隆起しており、上述した突出部82を形づくる。表側部材6は、突出部82を除いて裏側部材7に接合されており、発熱材3は、突出部82において、表側部材6と裏側部材7の間に格納されている。表側部材6及び裏側部材7を接合する方法は特に限定されるものではなく、例えば、接着剤や粘着剤による接着の他、熱溶着や超音波溶着など、公知の種々の方法を用いることができる。
【0047】
表側部材6及び裏側部材7は、例えば、織布、不織布、紙材などを用いることができる。織布又は不織布の原料繊維としては、コットン、麻、絹、パルプなどの天然繊維;レーヨン、アセテートなどの半合成繊維;ナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの合成繊維;これらの繊維の混合繊維などを例示することができる。強度や発熱材3の発熱に対する耐久性などを考慮すると、織布や不織布に樹脂フィルムを積層させた積層体を用いてもよい。樹脂フィルムの原料樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましく、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、エチレン-酢酸ビニル共重合体などを例示することができる。紙材としては、ライナー紙やその他の厚紙を例示することができる。
【0048】
本実施形態では発熱材3が空気との接触により発熱するため、表側部材6は通気性を有する。表側部材6の通気度は、特に限定されるものではないが、発熱材3が所望の発熱特性(最高発熱温度、発熱温度が所定の温度を超える持続時間、発熱温度が所定の温度を超えるまでにかかる立ち上がり時間など)を実現することができる適切な量の空気(酸素)を発熱材3に接触させることが可能な通気度に設定されることが好ましい。
【0049】
本実施形態ではさらに、表側部材6は横幅方向の全長にわたって弾性を有しており、これにより、基材2が横幅方向の全長にわたって弾性を有する。通気性及び弾性を有する表側部材6は、例えば、剛性を有する不織布を用いることができる。剛性を有する不織布は、外力が加わらない状態では変形せずに形を保持する。剛性を有する不織布としては、旭化成株式会社製のスマッシュ(登録商標)、ウレタンフォームなどを例示することができる。スマッシュ(登録商標)は、ポリエチレンテレフタレートを原料繊維とし、且つスパンボンド法により得られる不織布であり、熱成型加工が可能である。表側部材6が熱成型加工な不織布であると、発熱材3を格納する突出部82を表側部材6に成形することができ、且つ突出部82を剛性により保形性を有するものとすることができる。
【0050】
本実施形態では表側部材6が通気性を有するため、裏側部材7は通気性を有していてもよいし、非通気性であってもよい。また裏側部材7は表側部材6と同様に横幅方向の全長にわたって弾性を有していることが好ましい。また裏側部材7は横幅方向の全長にわたって柔軟性を有していることが好ましい。裏側部材7が柔軟性を有することにより、表側部材6を折り曲げた際に表側部材6がポキンと折れるのを抑制することができ、表側部材6の弾性が失われることを防止する。柔軟性を有する裏側部材7は、例えば、ライナー紙などの厚紙、シリコン、人工皮革などを用いることができる。
【0051】
発熱材
発熱材3は、発熱し得る材料である。本実施形態では、発熱材3は、空気中の酸素と接触することで酸化反応を起こし、酸化反応に伴って発熱するものである。この種の発熱材3は、被酸化性金属(例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、及びカルシウムから選ばれる1種又は2種以上の粉末や繊維など)、活性炭、カーボンブラック、保水剤(例えば木粉、バーミキュライト、けい藻土、パーライト、シリカゲル、アルミナ、吸水性樹脂など)、金属塩(例えば食塩など)及び水をそれぞれ適宜の含有量含んでいる発熱性組成物を例示することができる。被酸化性金属は、取り扱い性、安全性、製造コスト、保存性及び安定性の点から鉄粉、例えば、還元鉄粉やアトマイズ鉄粉を好ましく例示することができる。上述した発熱性組成物は、従来から使い捨てカイロに用いられている公知の組成物を使用することができる。
【0052】
発熱材3は、特に限定されるものではないが、本実施形態では原料として上述した発熱性組成物を打錠成形することにより製造された打錠成形体である。打錠成形とは、打錠機で原料を加圧して錠剤の形状にすることである。打錠成形体は、基材2の突出部82内の格納空間に格納可能な大きさかつ格納空間に合致した形状であり、本実施形態では高さの低い円柱状である。発熱材3が打錠成形体であると、使用環境や使用状況による温度変化の幅を制御しやすくなるため、発熱材3の温度が上昇しすぎた場合の低温火傷を防ぐことができる。
【0053】
発熱材3の打錠成形体の正面視における面積は、特に限定されるものではないが、例えば200mm以上500mm以下であり、その中でも250mm以上450mm以下が好ましく、300mm以上400mm以下がより好ましい。発熱材3の打錠成形体の上記面積が、200mmより小さい場合は鼻づまり解消効果が十分に得られなくなる可能性があり、500mmを超える場合は発熱材3が多量に必要になって製造コストが増大する可能性がある。
【0054】
なお、発熱材3は、必ずしも打錠成形体の形態である必要はなく、粉末などの形態であってもよい。
【0055】
発熱材3の発熱特性は、特に限定されるものではないが、最高発熱温度としては、例えば43℃以上65℃以下であり、その中でも43℃以上60℃以下が好ましく、43℃以上55℃以下がより好ましい。最高温度が、43℃未満の場合は血流を良くするために必要な約43℃に鼻や鼻の近傍を温めることができない可能性があり、65℃を超える場合は低温火傷の可能性がある。
【0056】
持続時間としては、例えば10分以上3時間以下であり、その中でも10分以上2時間以下が好ましく、10分以上1時間以下がより好ましい。持続時間が、10分未満の場合は鼻づまり解消効果が十分に得られなくなる可能性があり、3時間を超える場合は低温火傷の可能性があるうえ、発熱材3が多量に必要になって製造コストが増大する可能性がある。
【0057】
立ち上がり時間は、例えば60秒以内であり、その中でも50秒以内が好ましく、40秒以内がより好ましい。立ち上がり時間が、60秒を超える場合は鼻通り改善具1を装着後、鼻づまりを速やかに解消することが難しくなる可能性がある。
【0058】
なお、発熱材3は、空気との接触により発熱する材料以外を用いてもよい。例えば、電子レンジ等でマイクロ波の照射を受けることで発熱する材料(例えば、フェライトなどのセラミック粉末)を用いてもよい。
【0059】
粘着層
粘着層4は、基材2の裏面(裏側部材7の裏面)において粘着性を有する部分であり、基材2は粘着層4を介して鼻や鼻の近傍に貼り付けられる。粘着層4は、基材2の裏面(裏側部材7の裏面)に例えば粘着剤を塗布することにより形成される。粘着剤は、肌への粘着作用のあるアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコン系粘着剤などを用いることができ、肌への刺激を低下する観点からはシリコン系粘着剤を用いることが好ましい。
【0060】
粘着層4の粘着力は、特に限定されるものではないが、好ましくは3N以上8N以下であり、より好ましくは4N以上7N以下である。粘着層4の粘着力は、JIS Z 0237 :2009に規定された粘着テープ・粘着シート試験方法を用いて測定することができる。
【0061】
粘着層4は、基材2の裏面(裏側部材7の裏面)の全域に形成されていてもよいが、好ましくは、基材2の両端部(一対の保持部8)の裏面において、粘着性のない非粘着領域81が存在する。非粘着領域81は、例えば、基材2の裏面(裏側部材7の裏面)の非粘着領域81とする部分にだけ粘着剤を塗布しないことによって形成する他、一旦は基材2の裏面(裏側部材7の裏面)の全域に粘着層4を形成した後に粘着層4の非粘着領域81とする部分の上に非粘着性の物質を塗布することによって形成することができる。
【0062】
非粘着性領域
非粘着領域81は、基材2の両端部である一対の保持部8に少なくとも一つずつ存在する。非粘着領域81の形状は、特に限定されるものではなく、種々の形状とすることができる。保持部8の裏面に非粘着層81が存在していると、使用時に保持部8はその全域が鼻の付け根の両脇に貼り付けられず、非粘着領域81では肌を拘束しない。そのため、使用時にまばたきや口の開け閉めなどの顔の動きが生じた場合に、顔の動きに対して保持部8による拘束力が緩和されるため、顔の動きが生じた際に肌が引っ張られて肌のつっぱりが生じるのを抑制することができる。
【0063】
非粘着領域81の面積は、特に限定されるものではないが、好ましくは5mm以上200mm以下であり、より好ましくは5mm以上110mm以下である。これにより、保持部8を肌から容易に剥がれないよう粘着層4によって肌に貼り付けることができるとともに、非粘着領域81による上述した効果を良好に発揮することができる。
【0064】
非粘着領域81は、特に限定されるものではないが、好ましくは本実施形態のように、保持部8において縦幅方向の上側部分に存在する。保持部8の縦幅方向の上側部分とは、保持部8の縦幅方向の中央よりも上側の部分である。鼻通り改善具1は、睡眠時に使用されることが多く、その場合は目を閉じて使用されるが、鼻通り改善具1を鼻に装着する際は目を開いた状態であるため、装着時と使用時で顔(特に目の下)の形状(肌の状態)が異なる。そのため、使用時に目に近い保持部8の上側部分に非粘着領域81が存在することにより、非粘着領域81による上述した効果をより一層発揮することができる。
【0065】
また非粘着領域81は、特に限定されるものではないが、好ましくは本実施形態のように、保持部8において拡張部9の上縁90の延長線EL1よりも縦幅方向の上側に存在する。基材2の中央部にある拡張部9は、使用時に鼻の形状に沿って山形に折れ曲がった際の弾性復元力により元の形状に戻ろうと鼻から剥がれる(跳ね上がる)方向へ変形して鼻腔を拡げる。この拡張部9の鼻から剥がれる方向の変形は、拡張部9に連結された保持部8に対して肌から剥がれる方向の力を作用させるが、本実施形態では、拡張部9の上縁90及び下縁91が平行であるため、保持部8には図3に示す拡張部9の上縁90の延長線EL1と下縁91の延長線EL2の間に上述した肌から剥がれる方向の力が大きく作用する。そのため、保持部8は、拡張部9の上縁90の延長線EL1と下縁91の延長線EL2の間の部分には粘着層4が全域に形成されることにより、使用時に一対の保持部8が肌から剥がれるのを抑制することができ、拡張部9の上縁90の延長線EL1よりも上側部分に非粘着領域81が存在することにより、非粘着領域81による上述した効果をより一層発揮することができる。
【0066】
また非粘着領域81は、特に限定されるものではないが、好ましくは本実施形態のように、保持部8の外周縁80の少なくとも一部分を領域内に含む。本実施形態では、図3に示すように、保持部8の外周縁80のうち、拡張部9の上縁90の延長線EL1よりも上側に位置する外周縁が非粘着領域81内に含まれている。このように、保持部8の外周縁81の少なくとも一部分を領域内に含むように非粘着領域81が存在することにより、この非粘着領域81から剥離シート5を基材2の裏面から剥がしやすくすることができる。
【0067】
剥離シート
剥離シート5は、鼻通り改善具1が使用されるまでの間、粘着層4を被覆して保護する。剥離シート5は、例えば、紙、樹脂フィルム、繊維製シートなどに例えばシリコン系の剥離剤を塗布することで形成される。剥離シート5は、基材2の裏面(裏側部材7の裏面)の全域を覆うことができるように基材2と同じ形状及び同じ大きさに形成されている。
【0068】
鼻通り改善具の使用方法
次に、本実施形態の鼻通り改善具1の使用方法について説明する。鼻通り改善具1は、使用前には非通気性の袋体(図示せず)に収納されており、密封状態で保管される。鼻通り改善具1を使用する際には、まず、鼻通り改善具1を非通気性の袋体から取り出し、剥離シート5を基材2の裏面から剥離する。そして、図5に示すように、横幅方向中央の拡張部9(基材2の中央部)を、鼻を左右に跨ぐように鼻に貼り付け、横幅方向両端の一対の保持部8(基材2の両端部)を、鼻の付け根の両脇に貼り付けて鼻通と呼ばれるツボの上にセットする。
【0069】
これにより、鼻の形状に沿って山形に折り曲げられた拡張部9(基材2の中央部)の弾性復元力により鼻腔を拡げながら、鼻の付け根の両脇にセットされた一対の保持部8(基材2の両端部)が発熱体3により鼻や鼻通を温める。これにより、本実施形態の鼻通り改善具1は、鼻の通りをよくして鼻づまりの症状を改善することができる。
【0070】
鼻通り改善具による作用・効果
本実施形態の鼻通り改善具1は、基材2が横幅方向の全長にわたって弾性を有することを特徴とする。そのため、従来例の鼻通り改善具のように、基材2の中央部にプラスチック製の板状の弾性部材を格納する必要がない。これにより、従来例の鼻通り改善具とは異なり、使用時にユーザに違和感や痛みを感じさせることがない。加えて、基材2の全体が弾性を有しており、基材2の中央部(拡張部9)はその全体が均一に鼻腔を拡げるため、従来例の鼻通り改善具のように、基材2の中央部の一部分だけに鼻から離れる方向の力が強く作用して浮いてしまうことがなく、鼻通り改善具1が鼻から剥離することを抑制することができる。さらに、弾性部材を基材2の表側部材6及び裏側部材7の間に格納する必要がないため、鼻通り改善具1の製造に手間がかからない。
【0071】
また本実施形態の鼻通り改善具1は、基材2の表側部材6及び裏側部材7の一方(本実施形態では表側部材6)が弾性を有し、他方(本実施形態では裏側部材7)が柔軟性を有することを特徴とする。そのため、基材2は、表側部材6及び裏側部材7の一方(本実施形態では表側部材6)の弾性により、折り曲げた際に復元力が生じ、表側部材6及び裏側部材7の他方(本実施形態では裏側部材7)の柔軟性により、基材2を折り曲げた際にポキンと折れるのを抑制することができ、基材2の弾性が失われることを防止することができる。
【0072】
また本実施形態の鼻通り改善具1は、発熱材3が打錠成形体であることを特徴とする。そのため、発熱材3の体積を小さくすることができる。これにより、発熱温度を維持しながら保持部8をコンパクトにすることができ、鼻通り改善具1の装着面積を低減することができる。
【0073】
鼻通り改善具の変形例
以上、本開示の鼻通り改善具の一実施形態について説明したが、本開示の鼻通り改善具は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変形が可能である。つまり、以下に例示する変形例の鼻通り改善具は、上記実施形態の鼻通り改善具1と同様に、本開示の上述した課題を解決することができる。
【0074】
上記実施形態の鼻通り改善具1は、拡張部9と一対の保持部8は、それぞれ一つの連結部10で連結されている。一変形例として、図示は省略するが、拡張部9と一対の保持部8は、それぞれ二つ以上の連結部10で連結されていてもよい。この変形例において、連結部10が正面視で縦幅方向に向けて凸をなして湾曲する形状を呈する場合、全ての連結部10が縦幅方向の上側に向けて凸をなして湾曲していてもよいし、縦幅方向の下側に向けて凸をなして湾曲していてもよく、あるいは、一部の連結部10が縦幅方向の上側に向けて凸をなして湾曲し、残りの連結部10が縦幅方向の下側に向けて凸をなして湾曲していてもよい。
【0075】
また上記実施形態の鼻通り改善具1は、連結部10が正面視で縦幅方向に向けて凸をなして湾曲する形状を呈する。一変形例として、図示は省略するが、連結部10が正面視で縦幅方向に湾曲することなく、横幅方向にまっすぐ伸びる形状を呈していてもよい。
【0076】
また上記実施形態の鼻通り改善具1は、拡張部9と一対の保持部8がこれらよりも縦幅の狭い連結部10により連結されている。一変形例として、図示は省略するが、従来例の鼻通り改善具のように、連結部10を介することなく拡張部9が一対の保持部8に接続されていてもよい。
【0077】
また上記実施形態の鼻通り改善具1は、保持部8の裏面の非粘着領域81は、保持部8の外周縁80の少なくとも一部分を領域内に含んでいる。一変形例として、図示は省略するが、保持部8の裏面の非粘着領域81は、保持部8の外周縁80の内側に存在する、つまりは、保持部8の外周縁80には粘着層4が形成されており、非粘着領域81は粘着層4に囲まれていてもよい。
【0078】
また上記実施形態の鼻通り改善具1は、保持部8の裏面には、粘着性のない非粘着領域81が存在している。一変形例として、図示は省略するが、保持部8の裏面は、全域にわたって粘着層4が形成されていてもよい。
【0079】
また上記実施形態の鼻通り改善具1は、発熱材3を基材2の表側部材6及び裏側部材7の間に格納することで、基材2に保持させている。一変形例として、図7に示すように、発熱材3を予め収容した通気性の収容袋11を粘着層12により基材2の表面(表側部材6の表面)に貼り付けて固定してもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 鼻通り改善具
2 基材
3 発熱材
4 粘着層
5 剥離シート
6 表側部材
7 裏側部材
8 保持部
9 拡張部
10 連結部
80 保持部の外周縁
81 非粘着領域
90 拡張部の上縁
91 拡張部の下縁
92 拡張部の上側縁
93 拡張部の下側縁
100 連結部の上縁
101 連結部の下縁
P1 連結部と拡張部との上側の接続点
P2 連結部と拡張部との下側の接続点
P3 連結部と保持部との上側の接続点
P4 連結部と保持部との下側の接続点
O 鼻通り改善具の横幅方向の中央
θ 拡張部の上側縁の上縁に対する傾斜角度
EL1 拡張部の上縁の延長線
EL2 拡張部の下縁の延長線
D0 鼻通り改善具の縦幅
D1 保持部の縦幅
D2,D3 拡張部の縦幅
D4 連結部の縦幅
D5 拡張部の下端から接続点P2までの距離
L0 鼻通り改善具の横幅
L1 保持部の横幅
L2 鼻通り改善具の横幅方向の中央から保持部までの長さ
L3 鼻通り改善具の横幅方向の中央から連結部までの長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7