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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075907
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】液体吐出装置、および液体吐出方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 26/02 20060101AFI20230524BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20230524BHJP
   B41J 15/00 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
B65H26/02
B41J2/01 305
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141249
(22)【出願日】2022-09-06
(31)【優先権主張番号】P 2021188777
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】平林 慎一郎
【テーマコード(参考)】
2C056
2C060
3F105
【Fターム(参考)】
2C056EB13
2C056EB36
2C056EC07
2C056EC12
2C056EC35
2C056FA13
2C056HA29
2C060AA09
3F105AA01
3F105AA04
3F105AB04
3F105DA28
3F105DB11
3F105DC17
(57)【要約】
【課題】張力をかけた状態で搬送されるウェブの、搬送方向に交差する方向における位置補正精度に優れた液体吐出装置を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様に係る液体吐出装置は、張力をかけた状態で長尺状のウェブを搬送方向に搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される前記ウェブに液体を吐出する吐出手段と、前記搬送方向に交差する幅方向に前記吐出手段を移動させる第1移動手段と、前記幅方向における前記ウェブの位置情報を出力する出力手段と、前記幅方向に前記出力手段を移動させる第2移動手段と、前記出力手段による出力結果に基づき、前記第1移動手段による移動を制御する第1制御手段と、前記幅方向における前記ウェブの長さ情報と、前記幅方向における前記ウェブの伸縮範囲情報と、に基づいて前記第2移動手段による移動を制御することにより、前記幅方向における前記出力手段の位置を変更する第2制御手段と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
張力をかけた状態で長尺状のウェブを搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記ウェブに液体を吐出する吐出手段と、
前記搬送方向に交差する幅方向に前記吐出手段を移動させる第1移動手段と、
前記幅方向における前記ウェブの位置情報を出力する出力手段と、
前記幅方向に前記出力手段を移動させる第2移動手段と、
前記出力手段による出力結果に基づき、前記第1移動手段による移動を制御する第1制御手段と、
前記幅方向における前記ウェブの長さ情報と、前記幅方向における前記ウェブの伸縮範囲情報と、に基づいて前記第2移動手段による移動を制御することにより、前記幅方向における前記出力手段の位置を変更する第2制御手段と、を有する液体吐出装置。
【請求項2】
前記ウェブの伸縮範囲情報は、前記幅方向における前記ウェブの伸縮量が所定の閾値以下である前記ウェブ上の前記幅方向における所定範囲を示す情報を含み、
前記第2制御手段は、前記ウェブ上の前記所定範囲内に前記出力手段が配置されるように、前記出力手段の位置を変更する請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記出力手段は、前記搬送方向における異なる位置に配置され、それぞれが前記ウェブを撮像する複数の画像センサを含み、前記複数の画像センサにより前記異なる位置において撮像された前記ウェブの撮像画像を出力する請求項1または請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記幅方向における前記ウェブの長さ情報と、前記幅方向における前記ウェブの伸縮範囲情報と、の予め定められた対応情報を格納する格納部をさらに有し、
前記第2制御手段は、前記ウェブの長さ情報に基づき前記格納部を参照して取得される前記ウェブの伸縮範囲情報に基づいて、前記幅方向における前記出力手段の位置を変更する請求項1または請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
液体吐出装置による液体吐出方法であって、前記液体吐出装置が、
搬送手段により、張力をかけた状態で長尺状のウェブを搬送方向に搬送し、
吐出手段により、前記搬送手段により搬送される前記ウェブに液体を吐出し、
第1移動手段により、前記搬送方向に交差する幅方向に前記吐出手段を移動させ、
出力手段により、前記幅方向における前記ウェブの位置情報を出力し、
第2移動手段により、前記幅方向に前記出力手段を移動させ、
第1制御手段により、前記出力手段による出力結果に基づき、前記第1移動手段による移動を制御し、
第2制御手段により、前記幅方向における前記ウェブの長さ情報と、前記幅方向における前記ウェブの伸縮範囲情報と、に基づいて前記第2移動手段による移動を制御することにより、前記幅方向における前記出力手段の位置を変更する液体吐出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、および液体吐出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送方向に沿って搬送される長尺状のウェブに液体を吐出する液体吐出装置が知られている。
【0003】
上記の液体吐出装置として、ウェブの位置を補正するために、液体を吐出する印字ユニットと、該印字ユニットに対向するウェブと、の搬送方向に交差する幅方向における位置関係のずれ量を検出し、検出結果に応じて、印字ユニットおよびウェブを移動させる構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、張力をかけた状態で長尺状のウェブを搬送すると、幅方向におけるウェブの位置検出結果に、幅方向へのウェブの伸縮量が含まれるため、ウェブの位置補正精度が低下する懸念がある。
【0005】
本発明は、張力をかけた状態で搬送されるウェブの、搬送方向に交差する方向における位置補正精度に優れた液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る液体吐出装置は、張力をかけた状態で長尺状のウェブを搬送方向に搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される前記ウェブに液体を吐出する吐出手段と、前記搬送方向に交差する幅方向に前記吐出手段を移動させる第1移動手段と、前記幅方向における前記ウェブの位置情報を出力する出力手段と、前記幅方向に前記出力手段を移動させる第2移動手段と、前記出力手段による出力結果に基づき、前記第1移動手段による移動を制御する第1制御手段と、前記幅方向における前記ウェブの長さ情報と、前記幅方向における前記ウェブの伸縮範囲情報と、に基づいて前記第2移動手段による移動を制御することにより、前記幅方向における前記出力手段の位置を変更する第2制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、張力をかけた状態で搬送されるウェブの、搬送方向に交差する方向における位置補正精度に優れた液体吐出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る液体吐出装置の全体構成を例示する図である。
図2】実施形態に係る第1画像形成部周辺の構成を例示する図である。
図3】実施形態に係る制御部のハードウェア構成を例示する図である。
図4】第1実施形態に係る制御部の機能構成を例示する図である。
図5】第1実施形態に係る液体吐出装置の動作例を示すフロー図である。
図6】連帳紙の伸縮を説明する図である。
図7】連帳紙の蛇行を説明する図である。
図8】第1実施形態に係る画像センサの位置変更作用を示す第1図である。
図9】第1実施形態に係る画像センサの位置変更作用を示す第2図である。
図10】第2実施形態に係る制御部の機能構成を例示する図である。
図11】第2実施形態に係る液体吐出装置の動作例を示すフロー図である。
図12】第3実施形態に係る液体吐出装置を例示する図である。
図13】第3実施形態の第1変形例に係る液体吐出装置を例示する図である。
図14】第3実施形態の第2変形例に係る液体吐出装置を例示する図である。
図15】第3実施形態の第3変形例に係る液体吐出装置を例示する図である。
図16】第3実施形態の第4変形例に係る液体吐出装置を例示する図である。
図17】第3実施形態の第5変形例に係る液体吐出装置を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について詳細に説明する。各図面において、同一構成部には同一符号を付し、重複した説明を適宜省略する。なお、実施形態の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷は何れも同義語とする。
【0010】
[実施形態]
<液体吐出装置100の全体構成例>
実施形態に係る液体吐出装置100は、液体の一例である画像形成用のインクを吐出して、長尺状のウェブの一例である連帳紙Pに付与することにより、連帳紙Pに画像を形成する液体吐出方式の画像形成装置である。
【0011】
ここで、長尺状のウェブとは、連続印刷が可能な長い記録媒体をいう。記録媒体には、用紙、記録紙、記録用紙、普通紙、光沢紙、フィルム等が挙げられる。連帳紙Pは、プリンタ等の画像形成装置において使用される用紙の一種であって、連続印刷が可能な長い連続用紙である。
【0012】
液体は、液体吐出部から吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料等を含む溶液、懸濁液、エマルジョン等である。これらは例えば、インクジェット用インク等の用途で用いることができる。
【0013】
図1は、液体吐出装置100の全体構成の一例を示す図である。液体吐出装置100は、給紙部101と、先塗部102と、第1画像形成部103aと、反転ユニット104と、第2画像形成部103bと、を有する。
【0014】
液体吐出装置100は、搬送方向120に沿って連帳紙Pを搬送しながら、連帳紙Pの第1面に第1画像形成部103aによりフルカラーの画像を形成し、連帳紙Pの第1面とは反対側の第2面に第2画像形成部103bによりフルカラーの画像を形成する。
【0015】
給紙部101は、巻出部110により連帳紙Pが巻かれた状態において回転可能なロールを回転させ、先塗部102に向けて連帳紙Pを巻き出して給紙する。
【0016】
先塗部102は、タンク内に貯留された先塗液と、連帳紙Pを挟持して連帳紙Pに先塗液を塗布するローラ対と、を含み、連帳紙Pに先塗液を塗布する。先塗液は、連帳紙P上においてインクと反応して滲みを抑制する機能を有する。
【0017】
第1画像形成部103aは、液体吐出装置100に入力された画像データに基づいて、搬送される連帳紙Pにインクを吐出することにより、連帳紙Pの第1面にインクを付与して画像を形成する。
【0018】
反転ユニット104は、第2画像形成部103bによりインクが連帳紙Pの第2面に付与されるように、連帳紙Pの面を反転させる。反転ユニット104は、第1画像形成部103aの出口部から送り出された後の連帳紙Pの面を反転させた後、第2画像形成部103bの入口部に連帳紙Pを送り入れる。
【0019】
第2画像形成部103bは、液体吐出装置100に入力された画像データに基づいて、搬送される連帳紙Pにインクを吐出することにより、連帳紙Pの第2面にインクを付与して画像を形成する。第2画像形成部103bにより第2面に画像が形成された連帳紙Pは、例えば巻取部の巻取ローラに巻き取られる。
【0020】
なお、液体吐出装置100は、上記の構成部の他に、回転させたロールに連帳紙Pを巻き付けて連帳紙Pを巻き取ることにより搬送する巻取部を含む排紙部や、画像形成により連帳紙Pに付与されたインクを乾燥させる加熱部(乾燥部)、画像形成後の連帳紙Pに後処理を行う後処理部等を有してもよい。また、図1における給紙部101、先塗部102、反転ユニット104および第2画像形成部103bは、液体吐出装置100の必須の構成部ではない。
【0021】
<第1画像形成部103a周辺の構成例>
図2は、液体吐出装置100の第1画像形成部103a周辺の構成を例示する図である。液体吐出装置100は、第1画像形成部103a周辺に、搬送ローラ31aから31fを有する。また第1画像形成部103aは、ヘッド32a~32dと、第1アクチュエータ33a~33dと、画像センサ34a~34dと、第2アクチュエータ35a~35dと、を有する。
【0022】
搬送ローラ31aから31fは、いずれも同じ機能を有するため、特に区別しない場合には、搬送ローラ31と総称する。同様に、ヘッド32a~32dを特に区別しない場合には、ヘッド32と総称し、第1アクチュエータ33a~33dを特に区別しない場合には、第1アクチュエータ33と総称する。また、画像センサ34a~34dを特に区別しない場合には、画像センサ34と総称し、第2アクチュエータ35a~35dを特に区別しない場合には、第2アクチュエータ35と総称する。
【0023】
搬送ローラ31のそれぞれは、張力をかけた状態で連帳紙Pを搬送方向120に沿って搬送する搬送手段の一例である。搬送手段における搬送ローラの個数や配置に制限はなく任意である。また搬送手段は、搬送される連帳紙Pに張力を付与するテンションローラや、モータ等の駆動部、巻出ローラ、巻取ローラ等を含んでもよい。
【0024】
テンションローラは、例えば搬送方向120および搬送ローラ31のローラ軸方向のそれぞれと交差する方向に変位可能なローラである。テンションローラは、搬送される連帳紙Pを搬送方向120およびローラ軸方向のそれぞれと交差する方向へ、変位により押圧することにより、張力を付与できる。
【0025】
ヘッド32は、搬送ローラ31により搬送される連帳紙Pにインクを吐出する吐出手段の一例である。ヘッド32は、ノズルからインクを吐出・噴射する機能部品である。インクを吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータ等を使用するものが含まれる。
【0026】
ヘッド32a~32dのそれぞれは、搬送方向120に沿って異なる位置に配置されており、異なる色のインクを吐出する。例えばヘッド32aはブラック、ヘッド32bはシアン、ヘッド32cはマゼンタ、ヘッド32dはイエローのインクを吐出し、搬送方向120の上流から下流に沿ってこの順で配置されている。但し、ヘッド32が吐出するインクの色やインクの組成に特段の制限はなく、液体吐出装置100の用途または仕様等に応じて適宜変更可能である。また複数のヘッド32が同じ色または同じ組成のインクを吐出してもよい。
【0027】
ヘッド32は、搬送方向120に交差する幅方向121に沿って配列する複数のノズルを有し、画像データに基づいて、複数のノズルから選択的にインクを吐出することにより、連帳紙Pに画像を形成する。幅方向121は、例えば搬送方向120に略直交し、搬送ローラ31のローラ軸方向と略平行な方向である。
【0028】
なお、第1画像形成部103aは、幅方向121に沿って配列する複数のヘッド32をインクの色ごとに有してもよい。第1画像形成部103aは、幅方向121に沿って配列する複数のヘッド32を有することにより、幅方向121におけるより広い範囲に、一度に画像を形成することができる。
【0029】
第1アクチュエータ33は、幅方向121に沿ってヘッド32を移動させる第1移動手段の一例である。第1アクチュエータ33は、画像センサ34による撮像周期の整数倍の周期において移動する。
【0030】
第1アクチュエータ33は、モータおよび直動機構等を含んで構成され、モータの回転に応じて直動機構が幅方向121に沿って移動することにより、直動機構に固定されたヘッド32を幅方向121に沿って移動させる。但し、モータおよび直動機構等を含むアクチュエータに限定されず、圧電素子を用いた圧電アクチュエータ素子や静電気力を用いる静電アクチュエータ等を用いてもよい。
【0031】
画像センサ34は、幅方向121における連帳紙Pの位置情報を出力する出力手段の一例である。画像センサ34は、搬送される連帳紙Pの第1面に撮像方向が向くように配置される。
【0032】
画像センサ34は、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子を少なくとも含み、搬送される連帳紙Pの第1面の撮像画像を、連帳紙Pの位置情報として出力する。
【0033】
本実施形態では、画像センサ34はレンズを含み、連帳紙Pの第1面の表面に焦点が合った撮像画像を出力する。この撮像画像には、連帳紙Pに含まれる紙の繊維等に基づく連帳紙P表面の凹凸パターン情報が含まれる。画像センサ34は、連帳紙Pを照明するLED(Light Emitting Diode)等の光源を含んでもよい。
【0034】
また画像センサ34は、例えば連帳紙Pの第1面にレーザ光を照射するレーザ光源を含み、照射レーザ光が連帳紙Pの第1面の表面の凹凸形状に応じて散乱することによって生成されるスペックルパターンを含む撮像画像を出力してもよい。
【0035】
出力手段は、画像センサ34に限定されるものではなく、幅方向121における連帳紙Pの位置を示す情報または該連帳紙Pの位置に関連する情報を出力できればよい。
【0036】
第2アクチュエータ35は、幅方向121に沿って画像センサ34を移動させる第2移動手段の一例である。第2アクチュエータ35は、モータおよび直動機構等を含んで構成され、モータの回転に応じて直動機構が幅方向121に沿って移動することにより、直動機構に固定された画像センサ34を幅方向121に沿って移動させる。但し、モータおよび直動機構等を含むアクチュエータに限定されず、圧電素子を用いた圧電アクチュエータ素子や静電気力を用いる静電アクチュエータ等を用いてもよい。
【0037】
また本実施形態では、液体吐出装置100は、搬送ローラ31aに設けられたロータリーエンコーダEを有する。搬送ローラ31aは、搬送方向120におけるヘッド32aの上流側に設けられ、従動回転する従動ローラである。ロータリーエンコーダEは、連帳紙Pの搬送量情報を含む検出信号を出力できる。
【0038】
図2では、第1画像形成部103aについて説明したが、第2画像形成部103bも同様の構成を有する。また第2画像形成部103bは、第1画像形成部103aとは異なる構成を有してもよい。
【0039】
<制御部150のハードウェア構成例>
次に、液体吐出装置100が有する制御部150について説明する。図3は、制御部150が有するハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0040】
図3に示すように、制御部150は、CPU(Central Processing Unit)51と、ROM(Read Only Memory)52と、RAM(Random Access Memory)53と、HDD(Hard Disk Drive)/SSD(Solid State Drive)54と、I/F(Interface)55とを有する。
【0041】
CPU51は、RAM53を作業領域として使用し、ROM52に格納されているプログラムを実行する。
【0042】
HDD/SSD54は、記憶部として使用され、予め設定された設定値を格納している。HDD/SSD54に格納されている情報は、CPU301が読み出しプログラム実行時に使用することもある。
【0043】
I/F55は、外部装置200、搬送ローラ31、ヘッド32、第1アクチュエータ33、画像センサ34及び第2アクチュエータ35のそれぞれと、制御部150とを通信可能に接続するインターフェースである。外部装置200には、クライアントPC(Personal Computer)等が挙げられる。
【0044】
[第1実施形態]
<制御部150の機能構成例>
図4は、第1実施形態に係る制御部150の機能構成の一例を示すブロック図である。制御部150は、搬送制御部151と、吐出制御部152と、位置ずれ検出部153と、第1制御部154と、連帳紙長さ取得部155と、第2制御部156と、格納部157と、を有する。
【0045】
制御部150は、搬送制御部151、吐出制御部152、位置ずれ検出部153、第1制御部154、連帳紙長さ取得部155および第2制御部156の各機能を、ROM52又はHDD/SSD54からRAM53上に展開されたプログラムをCPU51が実行することにより実現する。制御部150は、これらの機能の少なくとも一部を回路により実現してもよい。また制御部150は、格納部157の機能をHDD/SSD54により実現する。なお、図4に示す各機能構成部の少なくとも一部の機能を、ヘッド32または外部装置等の制御部150以外の構成部が実現してもよい。
【0046】
搬送制御部151は、搬送ローラ31による連帳紙Pの搬送を制御する。本実施形態では、搬送制御部151は、搬送ローラ31を駆動させるモータの回転を制御することにより、搬送ローラ31による連帳紙Pの搬送を制御する。
【0047】
吐出制御部152は、ヘッド32によるインクの吐出を制御する。本実施形態では、吐出制御部152は、画像データImに基づいて、所定の電圧波形を有する駆動電圧をヘッド32に印加することにより、ヘッド32によるインクの吐出を制御する。
【0048】
位置ずれ検出部153は、画像センサ34から入力した連帳紙Pの撮像画像Sに基づいて、搬送される連帳紙Pの幅方向121に沿った位置ずれを検出する。本実施形態では、位置ずれ検出部153は、連帳紙Pの同じ領域を、異なる画像センサ34により撮像した複数の撮像画像Sを入力し、複数の撮像画像Sの相互相関演算を行うことにより、連帳紙Pの位置ずれを検出する。
【0049】
具体的には、例えば、連帳紙Pの搬送速度vが略一定であり、画像センサ34aと画像センサ34bとの間の搬送方向120に沿った距離が所定の距離dであり、連帳紙Pに位置ずれがないとする。この場合には、所定のタイミングにおいて画像センサ34aが撮像した撮像画像Saは、該所定のタイミングからd/vの時間が経過した後に画像センサ34bが撮像した撮像画像Sbと略一致する。しかしながら、連帳紙Pに幅方向121における位置ずれがあると、該位置ずれに応じて、撮像画像Sbは撮像画像Saに対して幅方向121に沿ってずれる。位置ずれ検出部153は、この撮像画像S間の幅方向121に沿ったずれ量を相互相関演算により検出して出力する。
【0050】
位置ずれ検出部153は、相互相関演算以外の演算方法によって撮像画像S間の幅方向121に沿ったずれ量を検出してもよいが、相互相関演算によると高速且つ高精度に上記ずれ量を検出できる点において好適である。
【0051】
第1制御部154は、画像センサ34による出力結果に基づき、第1アクチュエータ33による移動を制御する第1制御手段の一例である。例えば第1制御部154は、画像センサ34による出力結果に基づいて位置ずれ検出部153により検出された連帳紙Pの幅方向121に沿ったずれ量情報を入力する。第1制御部154は、所定期間内に位置ずれ検出部153から入力したずれ量情報を積算し、この積算結果に応じて、連帳紙Pの幅方向121に沿ったずれを補正するように、第1アクチュエータ33によりヘッド32を幅方向121に沿って移動させる。これにより、ヘッド32が吐出して連帳紙P上に付与するインクの、連帳紙Pの幅方向121に沿ったずれに伴う位置ずれを抑制できる。
【0052】
連帳紙長さ取得部155は、連帳紙Pの幅方向121に沿った長さLxの情報(長さ情報)を取得する。例えば連帳紙長さ取得部155は、長さLxの情報を外部装置200から入力することにより取得できる。但し、長さLxの情報を格納部157に予め格納しておき、連帳紙長さ取得部155は、格納部157から長さLxの情報を読み出すことにより取得してもよい。
【0053】
第2制御部156は、幅方向121における連帳紙Pの長さLxの情報と、幅方向121における連帳紙Pの伸縮範囲情報と、に基づいて第2アクチュエータ35による移動を制御することにより、幅方向121における画像センサ34の位置を変更する第2制御手段の一例である。
【0054】
ここで、連帳紙Pの伸縮とは、連帳紙Pが伸び縮みすることをいう。幅方向121における連帳紙Pの伸縮とは、幅方向121に沿って連帳紙Pが伸び縮みすることをいう。連帳紙Pが伸縮する際には連帳紙Pが変形し、連帳紙P全体が位置ずれするものではない。
【0055】
連帳紙Pの伸縮範囲情報は、例えば幅方向121における連帳紙Pの伸縮量が所定の閾値以下である連帳紙P上の幅方向121における所定範囲を示す情報を含む。
【0056】
液体吐出装置100は、張力をかけた状態で連帳紙Pを搬送するため、連帳紙Pは、かけられた張力に応じて伸縮変形する場合がある。幅方向121における連帳紙Pの一端の伸縮と、幅方向121における連帳紙Pの他端の伸縮は、伸縮量が略等しく、伸縮方向が反対になる。このため、連帳紙Pの伸縮は、幅方向121における連帳紙Pの両端に近づくほど大きくなり、端部側中央に近づくほど小さくなる。また幅方向121における連帳紙Pの伸縮量は、連帳紙Pにかけられる張力に相関がある。
【0057】
本実施形態では、張力に応じた連帳紙Pの伸縮量が予め調べられ、伸縮量が所定の閾値以下である連帳紙P上の幅方向121における所定範囲が予め定められる。連帳紙Pの幅方向121における長さが異なると、上記の所定範囲は異なるものとなる。本実施形態では、連帳紙Pの幅方向121における長さごとにおいて上記の所定範囲が対応付けられ、対応情報158として格納部157に格納される。
【0058】
換言すると、格納部157は、連帳紙Pの長さLxの情報と、連帳紙Pの伸縮範囲情報と、の予め定められた対応情報158を格納する。第2制御部156は、連帳紙Pの長さLxの情報に基づき格納部157を参照して取得される連帳紙Pの伸縮範囲情報に基づいて、連帳紙P上の所定範囲内に画像センサ34が配置されるように、画像センサ34の位置を変更する。なお、第2制御部156は、第2アクチュエータ35a、35b、35cおよび35dのそれぞれにより、画像センサ34a、34b、34cおよび34dのそれぞれの位置を変更させる。
【0059】
<液体吐出装置100の動作例>
図5は、液体吐出装置100の動作の一例を示すフローチャートである。液体吐出装置100は、外部装置200から画像データImを受信した場合、または液体吐出装置100の操作部を介して液体吐出装置100のユーザが画像形成開始の操作入力を行った場合等に、図5の動作を開始する。
【0060】
まず、ステップS51において、液体吐出装置100は、連帳紙長さ取得部155により、連帳紙Pの幅方向121に沿った長さLxの情報を、外部装置200から入力して取得する。液体吐出装置100は、画像データImと長さLxの情報とを含む印刷ジョブを受信し、連帳紙長さ取得部155は、印刷ジョブから長さLxの情報を取得してもよい。またステップS51の動作の順番は、ステップS53の動作よりも前であれば適宜変更可能である。
【0061】
続いて、ステップS52において、液体吐出装置100は、制御部150により、画像センサ34の位置は変更済であるか否かを判定する。
【0062】
ステップS52において、変更済であると判定された場合には(ステップS52、Yes)、液体吐出装置100は、動作をステップS55に移行する。
【0063】
一方、ステップS52において、変更済ではないと判定された場合には(ステップS52、No)、ステップS53において、液体吐出装置100は、第2制御部156によって、連帳紙Pの長さLxの情報に基づき格納部157を参照して取得される連帳紙Pの伸縮範囲情報に基づいて、画像センサ34の位置を変更するための変更位置を算出する。
【0064】
続いて、ステップS54において、液体吐出装置100は、算出された変更位置に応じて連帳紙P上の所定範囲内に画像センサ34が配置されるように、第2制御部156によって画像センサ34の位置を変更する。
【0065】
続いて、ステップS55において、液体吐出装置100は、吐出制御部152により、画像データImに基づいてヘッド32からインクを吐出させ、連帳紙Pへの画像形成を実行する。
【0066】
続いて、ステップS56において、液体吐出装置100は、位置ずれ検出部153により、画像センサ34から出力された連帳紙Pの撮像画像Sに基づいて、搬送される連帳紙Pの幅方向121に沿った位置ずれを検出する。
【0067】
続いて、ステップS57において、液体吐出装置100は、第1制御部154により、位置ずれ検出部153から入力した連帳紙Pの幅方向121に沿った位置ずれ量情報に基づいて第1アクチュエータ33を制御し、連帳紙Pの幅方向121に沿ったずれを補正するように、ヘッド32を幅方向121に沿って移動させる。
【0068】
続いて、ステップS58において、液体吐出装置100は、制御部150により、画像形成を終了するか否かを判定する。例えば、制御部150は、印刷ジョブに含まれる印刷部数情報、または液体吐出装置100の操作部を介したユーザによる画像形成終了の操作入力に応じて、画像形成を終了するか否かを判定する。
【0069】
ステップS58において、終了すると判定された場合には(ステップS58、Yes)、液体吐出装置100は、動作を終了する。一方、終了しないと判定された場合には(ステップS58、No)、液体吐出装置100は、ステップS56以降の動作を再度行う。
【0070】
以上のようにして、液体吐出装置100は、画像センサ34の位置を変更しつつ、連帳紙Pに画像を形成することができる。
【0071】
<液体吐出装置100の作用>
図6図9を参照して、液体吐出装置100の作用について説明する。図6は、連帳紙Pの伸縮を例示する図である。図7は、連帳紙Pの蛇行を例示する図である。図8および図9は、画像センサ34の位置変更作用を説明する図であり、図8は第1図、図9は第2図である。
【0072】
図6図9では、ヘッド32aおよびヘッド32bの周辺のみを示しているが、伸縮および蛇行の連帳紙Pの位置ずれへの影響、並びに画像センサ34の位置変更作用は、ヘッド32の位置ごとにおいて差異はない。
【0073】
ここで、連帳紙Pの蛇行とは、連帳紙Pが搬送中に蛇のように曲がって進むことをいう。連帳紙Pが蛇行する際には、連帳紙Pに変形はなく、連帳紙P全体が同じように位置ずれする。
【0074】
図6および図7におけるエッジセンサ34Xaおよび34Xbは、比較例に係る出力手段(実施形態が適用されない出力手段)であり、幅方向121における連帳紙Pの端部(エッジ)の位置を検出するセンサである。
【0075】
図6に破線により示した伸縮端部位置Paは、伸縮、ここでは収縮後の連帳紙Pを表している。伸縮量δ1は、連帳紙Pの収縮に伴う連帳紙P端部の移動量を示している。
【0076】
図6に示すように、幅方向121における連帳紙Pの端部位置を検出するエッジセンサ34Xaおよび34Xbでは、検出結果に連帳紙Pの伸縮量δ1が含まれる。
【0077】
一方、図7に一点鎖線により示した第1蛇行端部位置Pbは、連帳紙Pの蛇行により幅方向121の一方側に位置ずれした連帳紙Pの端部位置を示している。また一点鎖線により示した第1蛇行端部位置Pcは、連帳紙Pの蛇行により幅方向121の他方側に位置ずれした連帳紙Pの端部位置を示している。蛇行量δ2は、連帳紙Pの蛇行による連帳紙P端部の位置ずれ量である。
【0078】
第1制御部154によりヘッド32を移動させる補正は、連帳紙P全体が同じように位置ずれした場合に作用する。連帳紙Pの伸縮量δ1は、連帳紙P全体が同じように位置ずれしたものではないため、第1制御部154によりヘッド32を移動させても補正できない。
【0079】
エッジセンサ34Xaおよび34Xbによる検出結果には、連帳紙Pの蛇行量δ2と連帳紙Pの伸縮量δ1の両方が含まれる。従って、エッジセンサ34Xaおよび34Xbによる検出結果に応じて、幅方向121におけるヘッド32の位置を補正すると補正誤差が生じ、補正精度が低下する。
【0080】
本実施形態では、図8および図9に示すように、画像センサ34aおよび34bは、伸縮量が所定の閾値以下である連帳紙P上の幅方向121における所定範囲Mの範囲内に配置される。そのため、画像センサ34aおよび34bから出力される連帳紙Pの撮像画像Sに含まれる連帳紙Pの伸縮量δ1は抑制される。
【0081】
従って、画像センサ34aおよび34bから出力される連帳紙Pの撮像画像Sに基づき、幅方向121におけるヘッド32の位置を補正すると、連帳紙Pの蛇行量δ2による位置ずれの補正誤差を抑制し、位置補正精度を高く確保可能になる。
【0082】
<液体吐出装置100の効果>
以上説明したように、本実施形態では、液体吐出装置100は、張力をかけた状態で連帳紙P(長尺状のウェブ)を搬送方向120に搬送する搬送ローラ31(搬送手段)と、搬送ローラ31により搬送される連帳紙Pにインク(液体)を吐出するヘッド32(吐出手段)と、を有する、また液体吐出装置100は、幅方向121にヘッド32を移動させる第1アクチュエータ33(第1移動手段)と、幅方向121における連帳紙Pの撮像画像S(位置情報)を出力する画像センサ34(出力手段)と、幅方向121に画像センサ34を移動させる第2アクチュエータ35(第2移動手段)と、を有する。さらに液体吐出装置100は、画像センサ34による出力結果に基づき、第1アクチュエータ33による移動を制御する第1制御部154(第1制御手段)と、幅方向121における連帳紙Pの長さLxの情報(長さ情報)と、幅方向121における連帳紙Pの伸縮範囲情報と、に基づいて第2アクチュエータ35による移動を制御することにより、幅方向121における画像センサ34の位置を変更する第2制御部156(第2制御手段)と、を有する。
【0083】
例えば、連帳紙Pの伸縮範囲情報は、幅方向121における連帳紙Pの伸縮量δ1が所定の閾値以下である連帳紙P上の幅方向121における所定範囲Mを示す情報を含む。第2アクチュエータ35は、連帳紙P上の所定範囲M内に画像センサ34が配置されるように、画像センサ34の位置を変更する。
【0084】
所定範囲M内に画像センサ34が配置されることにより、画像センサ34が出力する撮像画像Sに含まれる連帳紙Pの伸縮量δ1は抑制される。この結果、連帳紙Pの蛇行量δ2による位置ずれの補正誤差を抑制して、位置補正精度を高く確保できる。換言すると、本実施形態では、張力をかけた状態で搬送される連帳紙Pの、搬送方向120に交差する幅方向121における位置補正精度に優れた液体吐出装置100を提供できる。
【0085】
また本実施形態では、液体吐出装置100は、搬送方向120における異なる位置に配置され、それぞれが連帳紙Pを撮像する複数の画像センサ34を「出力手段」として含み、複数の画像センサ34により異なる位置において撮像された連帳紙Pの撮像画像Sを出力する。この構成により、連帳紙Pの端部位置を用いずに、幅方向121における連帳紙Pの位置を検出できる。この結果、液体吐出装置100は、連帳紙Pの伸縮量δ1の影響を抑え、張力をかけた状態で搬送される連帳紙Pの、搬送方向120に交差する幅方向121における位置補正精度を高く確保できる。
【0086】
また本実施形態では、液体吐出装置100は、幅方向121における連帳紙Pの長さLxの情報と、幅方向121における連帳紙Pの伸縮範囲情報と、の予め定められた対応情報158を格納する格納部157をさらに有する。第2制御部156は、連帳紙Pの長さLxの情報に基づき格納部157を参照して取得される連帳紙Pの伸縮範囲情報に基づいて、幅方向121における画像センサ34の位置を変更する。これにより、液体吐出装置100は、所定範囲M内に画像センサ34を配置でき、連帳紙Pの蛇行量δ2による位置ずれの補正誤差を抑制して、位置補正精度を高く確保できる。
【0087】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る液体吐出装置100aについて説明する。なお、第1実施形態と同一の構成部には同じ符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0088】
図10は、液体吐出装置100aが有する制御部150aの機能構成の一例を示すブロック図である。制御部150aは、判別部159と、第1制御部154aと、を有する。
【0089】
制御部150aは、判別部159および第1制御部154aの機能を、ROM52又はHDD/SSD54からRAM53上に展開されたプログラムをCPU51が実行することにより実現する。制御部150aは、これらの機能の少なくとも一部を回路により実現してもよい。
【0090】
判別部159は、画像センサ34が連帳紙P上の所定範囲Mに配置された状態において、画像センサ34から出力される連帳紙Pの第1位置情報と、画像センサ34が連帳紙P上の所定範囲M外に配置された状態において、画像センサ34から出力される連帳紙Pの第2位置情報と、に基づいて、連帳紙Pの伸縮量δ1と、連帳紙Pの蛇行量δ2と、を判別する判別手段の一例である。
【0091】
第1位置情報に含まれる連帳紙Pの伸縮量δ1は抑制される。一方、第2位置情報に含まれる連帳紙Pの伸縮量δ1は、第1位置情報と比較して大きいため、第2位置情報には伸縮量δ1および蛇行量δ2の両方が含まれる。従って、判別部159は、第2位置情報から第1位置情報を減算することにより、伸縮量δ1を主に含む位置ずれ情報を取得でき、この伸縮量δ1を第2位置情報から減算することにより、蛇行量δ2を主に含む位置ずれ情報を取得できる。換言すると、判別部159は、伸縮量δ1と蛇行量δ2とを判別できる。
【0092】
第1制御部154aは、判別部159により判別された蛇行量δ2に基づき、第1アクチュエータによる移動を制御する。
【0093】
図11は、液体吐出装置100aの動作の一例を示すフローチャートである。図11の動作の開始タイミングは図5の動作の開始タイミングと同じである。またステップS111からステップS115までの動作は、図5のステップS51からステップS55までの動作と同じである。ステップS120およびステップS121の動作は、図5のステップS57およびステップS58の動作と同じである。そのため、ここでは重複する説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0094】
ステップS116において、液体吐出装置100aは、位置ずれ検出部153により、画像センサ34から出力された連帳紙Pの撮像画像Sに基づいて、搬送される連帳紙Pの幅方向121に沿った第1位置情報を検出する。
【0095】
続いて、ステップS117において、液体吐出装置100aは、算出された変更位置に応じて連帳紙P上の所定範囲外に画像センサ34が配置されるように、第2制御部156により画像センサ34の位置を変更する。
【0096】
続いて、ステップS118において、液体吐出装置100aは、位置ずれ検出部153により、画像センサ34から出力された連帳紙Pの撮像画像Sに基づいて、搬送される連帳紙Pの幅方向121に沿った第2位置情報を検出する。
【0097】
続いて、ステップS119において、液体吐出装置100aは、判別部159により伸縮量δ1と蛇行量δ2とを判別することによって、蛇行量δ2の情報を取得する。第1制御部154aは、判別部159により取得された蛇行量δ2に基づき、第1アクチュエータ33による移動を制御する。
【0098】
以上のようにして、液体吐出装置100aは、伸縮量δ1と蛇行量δ2とを判別し、判別された蛇行量δ2に基づき、ヘッド32の位置を制御できる。
【0099】
以上説明したように、本実施形態では、画像センサ34が連帳紙P上の所定範囲Mに配置された状態において、画像センサ34から出力される連帳紙Pの第1位置情報と、画像センサ34が連帳紙P上の所定範囲M外に配置された状態において、画像センサ34から出力される連帳紙Pの第2位置情報と、に基づいて、連帳紙Pの伸縮量δ1と、連帳紙Pの蛇行量δ2と、を判別する判別部159(判別手段)を有し、第1制御部154aは、判別部159により判別された蛇行量δ2に基づき、第1アクチュエータ33による移動を制御する。これにより、伸縮量δ1の影響を除去できるため、位置補正精度を高く確保できる。換言すると、本実施形態では、張力をかけた状態で搬送される連帳紙Pの、搬送方向120に交差する幅方向121における位置補正精度に優れた液体吐出装置100を提供できる。
【0100】
[第3実施形態]
上述した実施形態に係る液体吐出装置では、複数のヘッドそれぞれの直下に出力手段としての画像センサを配置したのに対し、本実施形態に係る液体吐出装置では、複数のヘッドのうちの一部のヘッドの直下には出力手段を配置しない。換言すると、本実施形態に係る液体吐出装置は、複数のヘッドのうちの一部のヘッドの直下に出力手段を有する。以下、第3実施形態に係る液体吐出装置と、その変形例について説明する。
【0101】
図12は、第3実施形態に係る液体吐出装置100b0を例示する図である。液体吐出装置100b0は、ヘッド210K、210Y、210M及び210Cのそれぞれからインクを吐出し、連帳紙Pにインクを付与して画像を形成する。図12は、搬送方向2と略直交する幅方向から見たヘッド210K、210Y、210M及び210Cと、その周辺の構成を示している。
【0102】
ヘッド210Kはブラック色のインクを吐出する。ヘッド210Yはイエロー色のインクを吐出する。ヘッド210Mはマゼンタ色のインクを吐出する。ヘッド210Cはシアン色のインクを吐出する。液体吐出装置100b0は、各色のインクにより、連帳紙Pにカラーの画像を形成する。以下では、ヘッド210K、210Y、210M及び210Cを特に区別しない場合には、ヘッド210と称する。
【0103】
図12に示すように、液体吐出装置100b0は、連帳紙Pの周辺に、ヘッド210K、210Y、210M及び210Cを有する。液体吐出装置100b0は、搬送される連帳紙Pに、ヘッド210K、210Y、210M及び210Cからインクを吐出する。
【0104】
連帳紙Pは、駆動ローラ230および8つの支持ローラ220に架け渡されている。連帳紙Pは、駆動ローラ230の回転に従動して搬送方向2に沿って移動する。搬送方向2は、駆動ローラ230の回転によって連帳紙Pが移動する方向である。ヘッド210に対向して設けられる8つの支持ローラ220は、ヘッド210からインクが吐出される際の連帳紙Pの引張状態を維持する。
【0105】
撮像手段52Aおよび撮像手段52Cは、ヘッド210Kおよび210Mの位置に対応して設けられ、搬送される連帳紙Pを撮像した撮像画像を出力する。撮像手段52Aおよび撮像手段52Cは、出力手段に対応する。
【0106】
本実施形態では、撮像手段52Aは、ヘッド210Kからインクを吐出する吐出位置よりも連帳紙Pの搬送方向上流側に配置される。撮像手段52Cは、ヘッド210Mの位置に対応した位置に配置される。ヘッド210Mの位置に対応した位置は、例えばヘッド210Mが連帳紙Pにインクを吐出する位置の直下近傍である。
【0107】
ヘッド210は4つ、撮像手段は2つであるため、撮像手段の数は、ヘッド210の数よりも少ない。撮像手段52Aは、4つのヘッド210のうち、搬送方向2における最も上流側に配置されたヘッド210Kの位置に対応した位置に配置される。ヘッド210Kの位置に対応した位置は、例えばヘッド210Kが連帳紙Pにインクを吐出する位置の直下近傍である。
【0108】
撮像手段52Aおよび撮像手段52Cのそれぞれは、LEDと、撮像素子と、を有する。撮像素子は、複数の画素を含むCCDまたはCMOS等である。撮像手段52Aおよび撮像手段52Cは、LEDから連帳紙Pに光を照射し、撮像素子によって連帳紙Pの所定の被撮像領域を撮像する。撮像手段52Aおよび撮像手段52Cは、得られた撮像画像Saおよび撮像画像Scを制御部150に出力する。所定の被撮像領域は、撮像手段52Aおよび撮像手段52Cのそれぞれが撮像可能な連帳紙P上の領域に対応する。
【0109】
連帳紙Pの表面には、紙の繊維等による地模様が含まれ、連帳紙Pの位置によって地模様のパターンが異なる。撮像手段52Aおよび撮像手段52Cは、例えば連帳紙Pにおけるこの地模様を撮像する。但し、撮像手段52Aおよび撮像手段52Cの撮像対象は、地模様に限定されず、連帳紙Pに予め設けられたマークであってもよいし、連帳紙Pにレーザ光を照射した際に発生するスペックルパターンであってもよい。
【0110】
制御部150は、撮像画像Saおよび撮像画像Scそれぞれに含まれる有効画像領域に基づき、ヘッド210K、210Y、210M及び210Cによるインク吐出タイミングを制御する。具体的には、制御部150は、撮像画像Saおよび撮像画像Scそれぞれにおける有効画像領域に基づき、搬送方向2における連帳紙Pの搬送量誤差を検出する。制御部150は、この搬送量誤差に応じて、ヘッド210K、210Y、210M及び210Cによるインク吐出タイミングを制御する。有効画像領域とは、撮像画像Saおよび撮像画像Scそれぞれにおける一部の画像領域であって、搬送量誤差を検出するために使用される画像領域をいう。制御部150は、ヘッド210Y、210M及び210Cによるインク吐出タイミング制御の他、連帳紙Pの搬送制御等を行うこともできる。
【0111】
(第1変形例)
図13は、第3実施形態の第1変形例に係る液体吐出装置100b1を例示する図である。図13は、上述した図12と同様に、搬送方向2と略直交する幅方向から見たヘッド210K、210Y、210M及び210Cと、その周辺の構成を示している。この点は、以降に示す各変形例に係る液体吐出装置を例示する図においても同じである。
【0112】
図13に示すように、液体吐出装置100b1は、ヘッド210Kの直下近傍に配置された撮像手段52Aと、ヘッド210Yの直下近傍に配置された撮像手段52Dと、を有する。撮像手段52Dは、ヘッド210Yに対応する位置において連帳紙Pを撮像した撮像画像Sdを出力する。
【0113】
(第2変形例)
図14は、第3実施形態の第2変形例に係る液体吐出装置100b2を例示する図である。液体吐出装置100b2は、ヘッド210Kの直下近傍に配置された撮像手段52Aと、ヘッド210Cの直下近傍に配置された撮像手段52Bと、を有する。撮像手段52Bは、ヘッド210Cに対応する位置において連帳紙Pを撮像した撮像画像Sbを出力する。撮像手段52Bおよび撮像手段52Dは、出力手段に対応する。撮像手段52Bおよび撮像手段52Dのそれぞれの構成は、撮像手段52Aと同じである。
【0114】
(第3変形例)
図15は、第3実施形態の第3変形例に係る液体吐出装置100b3を例示する図である。液体吐出装置100b3は、ヘッド210Kの直下近傍に配置された撮像手段52Aと、ヘッド210Cの直下近傍に配置された撮像手段52Bと、ヘッド210Mの直下近傍に配置された撮像手段52Cと、を有する。撮像手段52Bは、ヘッド210Cに対応する位置において連帳紙Pを撮像した撮像画像Sbを出力する。撮像手段52Cは、ヘッド210Mに対応する位置において連帳紙Pを撮像した撮像画像Scを出力する。
【0115】
(第4変形例)
図16は、第3実施形態の第4変形例に係る液体吐出装置100b4を例示する図である。液体吐出装置100b4は、ヘッド210Kの直下近傍に配置された撮像手段52Aと、ヘッド210Cの直下近傍に配置された撮像手段52Bと、ヘッド210Yの直下近傍に配置された撮像手段52Dと、を有する。撮像手段52Bは、ヘッド210Cに対応する位置において連帳紙Pを撮像した撮像画像Sbを出力する。撮像手段52Dは、ヘッド210Yに対応する位置において連帳紙Pを撮像した撮像画像Sdを出力する。
【0116】
(第5変形例)
図17は、第3実施形態の第5変形例に係る液体吐出装置100b5を例示する図である。液体吐出装置100b5は、ヘッド210Kの直下近傍に配置された撮像手段52Aと、ヘッド210Mの直下近傍に配置された撮像手段52Cと、ヘッド210Yの直下近傍に配置された撮像手段52Dと、を有する。撮像手段52Cは、ヘッド210Mに対応する位置において連帳紙Pを撮像した撮像画像Scを出力する。撮像手段52Dは、ヘッド210Yに対応する位置において連帳紙Pを撮像した撮像画像Sdを出力する。
【0117】
本実施形態およびその変形例のそれぞれでは、上述した第1および第2実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態およびその変形例のそれぞれでは、複数のヘッドのうちの一部のヘッドの直下にのみ出力手段を有するため、出力手段の数を減らして装置構成を簡略化できるとともに、装置コストを低減することができる。
【0118】
以上、実施形態における一例について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されない。すなわち、本発明の範囲内で種々の変形および改良が可能である。
【0119】
実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0120】
また、実施形態は液体吐出方法を含む。例えば液体吐出方法は、液体吐出装置による液体吐出方法であって、前記液体吐出装置が、搬送手段により、張力をかけた状態で長尺状のウェブを搬送方向に搬送し、吐出手段により、前記搬送手段により搬送される前記ウェブに液体を吐出し、第1移動手段により、前記搬送方向に交差する幅方向に前記吐出手段を移動させ、出力手段により、前記幅方向における前記ウェブの位置情報を出力し、第2移動手段により、前記幅方向に前記出力手段を移動させ、第1制御手段により、前記出力手段による出力結果に基づき、前記第1移動手段による移動を制御し、第2制御手段により、前記幅方向における前記ウェブの長さ情報と、前記幅方向における前記ウェブの伸縮範囲情報と、に基づいて前記第2移動手段による移動を制御することにより、前記幅方向における前記出力手段の位置を変更する。このような液体吐出方法により、上述した液体吐出装置100と同様の効果を得ることができる。
【0121】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 張力をかけた状態で長尺状のウェブを搬送方向に搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される前記ウェブに液体を吐出する吐出手段と、前記搬送方向に交差する幅方向に前記吐出手段を移動させる第1移動手段と、前記幅方向における前記ウェブの位置情報を出力する出力手段と、前記幅方向に前記出力手段を移動させる第2移動手段と、前記出力手段による出力結果に基づき、前記第1移動手段による移動を制御する第1制御手段と、前記幅方向における前記ウェブの長さ情報と、前記幅方向における前記ウェブの伸縮範囲情報と、に基づいて前記第2移動手段による移動を制御することにより、前記幅方向における前記出力手段の位置を変更する第2制御手段と、を有する液体吐出装置である。
<2> 前記ウェブの伸縮範囲情報は、前記幅方向における前記ウェブの伸縮量が所定の閾値以下である前記ウェブ上の前記幅方向における所定範囲を示す情報を含み、前記第2制御手段は、前記ウェブ上の前記所定範囲内に前記出力手段が配置されるように、前記出力手段の位置を変更する前記<1>に記載の液体吐出装置である。
<3> 前記出力手段は、前記搬送方向における異なる位置に配置され、それぞれが前記ウェブを撮像する複数の画像センサを含み、前記複数の画像センサにより前記異なる位置において撮像された前記ウェブの撮像画像を出力する前記<1>または前記<2>に記載の液体吐出装置である。
<4> 前記幅方向における前記ウェブの長さ情報と、前記幅方向における前記ウェブの伸縮範囲情報と、の予め定められた対応情報を格納する格納部をさらに有し、前記第2制御手段は、前記ウェブの長さ情報に基づき前記格納部を参照して取得される前記ウェブの伸縮範囲情報に基づいて、前記幅方向における前記出力手段の位置を変更する前記<1>から前記<3>のいずれか1つに記載の液体吐出装置である。
<5> 液体吐出装置による液体吐出方法であって、前記液体吐出装置が、搬送手段により、張力をかけた状態で長尺状のウェブを搬送方向に搬送し、吐出手段により、前記搬送手段により搬送される前記ウェブに液体を吐出し、第1移動手段により、前記搬送方向に交差する幅方向に前記吐出手段を移動させ、出力手段により、前記幅方向における前記ウェブの位置情報を出力し、第2移動手段により、前記幅方向に前記出力手段を移動させ、第1制御手段により、前記出力手段による出力結果に基づき、前記第1移動手段による移動を制御し、第2制御手段により、前記幅方向における前記ウェブの長さ情報と、前記幅方向における前記ウェブの伸縮範囲情報と、に基づいて前記第2移動手段による移動を制御することにより、前記幅方向における前記出力手段の位置を変更する液体吐出方法である。
【符号の説明】
【0122】
31 搬送ローラ(搬送手段の一例)
32、210 ヘッド(吐出手段の一例)
33 第1アクチュエータ(第1移動手段の一例)
34 画像センサ(出力手段の一例)
35 第2アクチュエータ(第2移動手段の一例)
52A、52B、52C、52D 撮像手段(出力手段の一例)
100、100a、100b0、100b1、100b2、100b3、100b4、100b5 液体吐出装置
101 給紙部
102 先塗部
103a 第1画像形成部
103b 第2画像形成部
104 反転ユニット
110 巻出部
120、2 搬送方向
121 幅方向
150 制御部
151 搬送制御部
152 吐出制御部
153 位置ずれ検出部
154 第1制御部(第1制御手段)
155 連帳紙長さ取得部
156 第2制御部(第2制御手段)
157 格納部
158 対応情報
159 判別部
200 外部装置
220 支持ローラ
230 駆動ローラ
E ロータリーエンコーダ
Im 画像データ
Lx 長さ
M 所定範囲
P 連帳紙
S、Sa、Sb、Sc、Sd 撮像画像(位置情報の一例)
δ1 伸縮量
δ2 蛇行量
【先行技術文献】
【特許文献】
【0123】
【特許文献1】特許4485923号公報
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