(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007593
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】知的財産支援装置および知的財産支援方法並びに知的財産支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/18 20120101AFI20230112BHJP
G06F 16/383 20190101ALI20230112BHJP
【FI】
G06Q50/18 310
G06F16/383
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021110539
(22)【出願日】2021-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】515277757
【氏名又は名称】株式会社AI Samurai
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 真
(72)【発明者】
【氏名】広田 航
(72)【発明者】
【氏名】三上 崇志
(72)【発明者】
【氏名】白坂 一
【テーマコード(参考)】
5B175
5L049
【Fターム(参考)】
5B175DA01
5B175FA01
5B175HB03
5L049CC33
(57)【要約】
【課題】より実際の審査結果に近い評価が可能な装置を提供する。
【解決手段】本発明の知的財産支援装置は、評価対象を表す技術情報を受け付ける受付部と、技術情報に付随する技術付随情報、受付部を介して受け付けた先行技術情報、技術情報に基づいて検出された類似技術情報のいずれかを含む他の技術情報と、複数の文献情報を含む知的財産情報とを記憶する記憶部と、技術情報と、他の技術情報または知的財産情報とをラベリング処理するに際して、技術情報に含まれる技術文言をクエリと設定し、該設定されたクエリを用いて、他の技術情報または知的財産情報に含まれる技術文言を表す新たなクエリを算出する算出部と、クエリおよび新たなクエリを用いて、知的財産情報から評価対象に関連する文献情報を検出する検出部とを備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象を表す技術情報を受け付ける受付部と、
前記技術情報に付随する技術付随情報、前記受付部を介して受け付けた先行技術情報、前記技術情報に基づいて検出された類似技術情報のいずれかを含む他の技術情報と、複数の文献情報を含む知的財産情報とを記憶する記憶部と、
前記技術情報と、前記他の技術情報とをラベリング処理するに際して、前記技術情報に含まれる技術文言をクエリと設定し、該設定されたクエリを用いて、前記他の技術情報に含まれる技術文言を表す新たなクエリを算出する算出部と、
前記技術情報と、前記知的財産情報に含まれる文献情報との比較により、前記技術情報の評価をする評価部とを備え、
前記評価部は、評価対象を表す前記技術情報に含まれる技術文言と前記知的財産情報に含まれる前記文献情報の一致の程度をスコア算出し、一致するか否かを閾値処理により判定し、構成要件の一致点および相違点を算出することを特徴とする知的財産支援装置。
【請求項2】
前記評価部は、前記新たなクエリを用いることにより評価することを特徴とする請求項1記載の知的財産支援装置。
【請求項3】
前記知的財産支援装置は、
前記記憶部は、キャラクター情報を記憶するものであり、
前記記憶部に記憶されたキャラクター情報に基づいて、ユーザが操作可能なユーザ端末にキャラクターを出力する出力部とを備えるものであって、
前記受付部が前記キャラクターを介して、前記ユーザの評価情報を受け付けるものであって、前記算出部は、前記評価情報に基づいて、前記新たなクエリの算出数を制御することを特徴とする請求項1または2記載の知的財産支援装置。
【請求項4】
前記ラベリング処理は、ラベル伝搬法を用いることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の知的財産支援装置。
【請求項5】
評価対象を表す技術情報を受け付けるステップと、
前記技術情報に付随する技術付随情報、受け付けた先行技術情報、前記技術情報に基づいて検出された類似技術情報のいずれかを含む他の技術情報と、複数の文献情報を含む知的財産情報とを記憶するステップと、
前記技術情報と、前記他の技術情報とをラベリング処理するに際して、前記技術情報に含まれる技術文言をクエリと設定し、該設定されたクエリを用いて、前記他の技術情報に含まれる技術文言を表す新たなクエリを算出するステップと、
前記技術情報と、前記知的財産情報に含まれる文献情報との比較により、前記技術情報の評価をするステップとを備え、
前記評価をするステップは、評価対象を表す前記技術情報に含まれる技術文言と前記知的財産情報に含まれる前記文献情報の一致の程度をスコア算出し、一致するか否かを閾値処理により判定し、構成要件の一致点および相違点を算出することを特徴とする知的財産支援方法。
【請求項6】
コンピュータに、
評価対象を表す技術情報を受け付ける受付機能と、
前記技術情報に付随する技術付随情報、前記受付機能を介して受け付けた先行技術情報、前記技術情報に基づいて検出された類似技術情報のいずれかを含む他の技術情報と、複数の文献情報を含む知的財産情報とを記憶する記憶機能と、
前記技術情報と、前記他の技術情報とをラベリング処理するに際して、前記技術情報に含まれる技術文言をクエリと設定し、該設定されたクエリを用いて、前記他の技術情報に含まれる技術文言を表す新たなクエリを算出する算出機能と、
前記技術情報と、前記知的財産情報に含まれる文献情報との比較により、前記技術情報の評価をする評価機能とを実現させ、
前記評価機能は、評価対象を表す前記技術情報に含まれる技術文言と前記知的財産情報に含まれる前記文献情報の一致の程度をスコア算出し、一致するか否かを閾値処理により判定し、構成要件の一致点および相違点を算出することを特徴とする知的財産支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、知的財産に関する手続きを行うための知的財産支援装置および知的財産支援方法並びに知的財産支援プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、出願前の発明を評価する装置が開発されている。特許文献1には、発明の権利取得可能性を算出する装置であって、機械学習の射影における距離が拒絶にならない距離移動を行う部分に対応する、該発明に付加すべき新たなキーワードを算出し、キャラクターを介して出力する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、出願前の発明を評価するにあたり、より精度が高い、すなわち、より実際の審査結果に近い評価が望まれているといえる。
【0005】
そこで、本発明は、より実際の審査結果に近い評価が可能な装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態における知的財産支援装置は、評価対象を表す技術情報を受け付ける受付部と、技術情報に付随する技術付随情報、受付部を介して受け付けた先行技術情報、技術情報に基づいて検出された類似技術情報のいずれかを含む他の技術情報と、複数の文献情報を含む知的財産情報とを記憶する記憶部と、技術情報と、他の技術情報または知的財産情報とをラベリング処理するに際して、技術情報に含まれる技術文言をクエリと設定し、該設定されたクエリを用いて、他の技術情報または知的財産情報に含まれる技術文言を表す新たなクエリを算出する算出部と、クエリおよび新たなクエリを用いて、知的財産情報から評価対象に関連する文献情報を検出する検出部とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の一実施形態における知的財産支援装置において、算出部は、ラベリング処理とは異なる処理により、技術付随情報に含まれる定義情報を検出し、定義情報を、新たなクエリの候補として算出することを特徴とする。
【0008】
本発明の一実施形態における知的財産支援装置において、技術情報と、知的財産情報に含まれる文献情報との比較により、技術情報の評価をする評価部を備えるものであって、評価部は、新たなクエリを用いることにより評価することを特徴とする。
【0009】
本発明の一実施形態における知的財産支援装置において、記憶部は、キャラクター情報を記憶するものであり、記憶部に記憶されたキャラクター情報に基づいて、ユーザが操作可能なユーザ端末にキャラクターを出力する出力部とを備えるものであって、受付部がキャラクターを介して、ユーザの評価情報を受け付けるものであって、算出部は、評価情報に基づいて、新たなクエリの算出数を制御することを特徴とする。
【0010】
本発明の一実施形態における知的財産支援装置において、ラベリング処理は、ラベル伝搬法を用いることを特徴とする。
【0011】
本発明の一実施形態における知的財産支援方法において、評価対象を表す技術情報を受け付けるステップと、技術情報に付随する技術付随情報、受付部を介して受け付けた先行技術情報、技術情報に基づいて検出された類似技術情報のいずれかを含む他の技術情報と、複数の文献情報を含む知的財産情報とを記憶するステップと、技術情報と、他の技術情報または知的財産情報とをラベリング処理するに際して、技術情報に含まれる技術文言をクエリと設定し、該設定されたクエリを用いて、他の技術情報または知的財産情報に含まれる技術文言を表す新たなクエリを算出するステップと、クエリおよび新たなクエリを用いて、知的財産情報から評価対象に関連する文献情報を検出するステップとを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の一実施形態における知的財産支援プログラムにおいて、コンピュータに、評価対象を表す技術情報を受け付ける受付機能と、技術情報に付随する技術付随情報、受付部を介して受け付けた先行技術情報、技術情報に基づいて検出された類似技術情報のいずれかを含む他の技術情報と、複数の文献情報を含む知的財産情報とを記憶する記憶機能と、技術情報と、他の技術情報または知的財産情報とをラベリング処理するに際して、技術情報に含まれる技術文言をクエリと設定し、該設定されたクエリを用いて、他の技術情報または知的財産情報に含まれる技術文言を表す新たなクエリを算出する算出機能と、クエリおよび新たなクエリを用いて、知的財産情報から評価対象に関連する文献情報を検出する検出機能とを実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、より実際の審査結果に近い評価が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る知財システムの構成例を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る知的財産支援装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の実施形態に係る知的財産支援装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の実施例1における処理フローを示す図である。
【
図5】本発明の実施例1におけるアルゴリズムを示す図である。
【
図6A】本発明の実施例1のアルゴリズムの詳細を説明する図である。
【
図6B】本発明の実施例1のアルゴリズムの詳細を説明する図である。
【
図7】本発明の実施例2におけるアルゴリズムを示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るユーザ端末へ出力される態様の例を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るユーザ端末へ出力される態様の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、知財システムの構成例を示す図である。
図1に示すように、知財システムは、知的財産支援装置1と、ユーザ端末2とが、Network(以下、NWとする)を介して接続される。
【0017】
知的財産支援装置1は、受付部11と、記憶部12と、算出部13と、検出部14と、評価部15と、出力部16と、制御部17とを含む。
【0018】
知的財産支援装置1は、NWを介してユーザ端末2と接続し、該ユーザ端末2に対して知財システムのサービスを提供するための装置である。知的財産支援装置1は、例えば、いわゆるサーバ装置やコンピュータ(例えば、デスクトップ、ラップトップ、タブレットなど)である。なお、本発明の第1の実施形態において、知的財産支援装置1は、これらに限定されない。
【0019】
受付部11は、ユーザ端末2から送信された、各種情報を受け付ける。具体的には、受付部11は、ユーザ端末2から送信された評価対象を表す技術情報および先行技術情報を受け付けることができる。受付部11は、ユーザからの評価情報を受け付けてもよい。また、受付部11は、後述のキャラクター情報3を介してユーザ端末2から情報を受け付けてもよい。
【0020】
技術情報とは、評価の対象となる技術の内容を示す情報であって、技術内容を特定可能なキーワードを含む情報である。例えば、技術情報とは、研究に関する情報または知的財産に関する情報などである。研究に関する情報は、論文などの原案であってもよく、研究に関する情報が記載されたメモ、研究に関連するキーワード、又は、作成済み若しくは作成中の論文などの書類であってもよい。知的財産に関する情報は、商標登録出願、意匠登録出願、特許出願、実用新案登録出願などの原案であってもよく、知財に関する情報が記載されたメモ、知財に関連するキーワード、又は、作成済み若しくは作成中の商標登録出願、意匠登録出願、特許出願、実用新案登録出願などの書類であってもよい。
【0021】
技術情報は、所定の形式の文字情報、技術の要点や概略図などのメモといった所定の形式を有さない文字情報、音声情報、又は、画像情報であって、NWを介して送信可能なデータであればよい。
【0022】
ユーザからの評価情報とは、ユーザからの知的財産支援装置1に対する評価に関する情報である。例えば、後述の検出部14によって検出された文献情報、または、後述の評価部15による評価の結果の妥当性に対するユーザの評価に関する情報などである。
【0023】
ユーザからの評価情報を受け付けることによって、該評価情報を知的財産支援装置1に利用することができる。具体的には、該評価情報に基づき、知的財産支援装置1によって出力される情報に対するフィードバック、ならびに、それによる知的財産支援装置1おける機械学習および各機能の改善を行うことが可能となり、より実際の審査結果に近い評価を可能とすることができる。
【0024】
また、受付部11は、後述の記憶部12において記憶しておいたフォーマットを、後述の出力部16によってユーザ端末2に出力し、ユーザが該フォーマットに技術情報を入力することによって、該情報を受け付けてもよい。例えば、出力部16から出力されるフォーマットは、データをアップロード可能とする機能を有したアップロード画面であり、ユーザはそこに技術情報に関するデータをアップロードすればよいものであってもよい。例えば、出力部16から出力されるフォーマットは、課題を解決しようとする手段、発明の効果などの特許出願に際し必要な情報を記載項目として有するものであってもよい。
【0025】
フォーマットを使用することにより、知的財産支援装置1は、ユーザからの知的財産支援装置1への情報の送信の際に、ユーザ端末2から送信される技術情報のうち、どういった情報をどのように送信したらよいのかをより明確にすることができ、ユーザが技術情報を知的財産支援装置1に送信することをより容易にすることができる。また、フォーマットを使用することにより、知的財産支援装置1は、ユーザからの知的財産支援装置1への情報の送信の際に、ユーザ端末2から送信される技術情報のうち、どういった情報をどのように送信したらよいのかをより明確にすることができ、後述の算出部13による算出の際に必要な情報を、収集し易くすることが可能となり、より容易かつ正確にクエリを算出することができる。
【0026】
記憶部12は、知的財産支援装置1における各種情報を記憶する。また、記憶部12は、知的財産支援装置1が動作するうえで必要とする各種プログラムおよびデータを記憶する機能を有する。記憶部12は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリなどの各種の記録媒体である。
【0027】
具体的には、記憶部12は、技術情報に付随する技術付随情報、受付部11を介して受け付けた先行技術情報、技術情報に基づいて検出された類似技術情報、知的財産情報、後述するキャラクター情報3等を記憶することができる。
【0028】
技術情報に付随する技術付随情報とは、ユーザ端末2から送信された評価対象を表す技術情報に付随する技術の内容を示す情報であって、評価対象を表す技術情報の技術内容を特定可能なキーワードを含む情報である。例えば、技術情報に付随する技術付随情報とは、評価対象を表す技術情報であって研究に関する情報に関連する、更なる該研究の内容を示す情報などである。または、技術情報に付随する技術付随情報とは、評価対象を表す技術情報であって知的財産に関する情報に関連する、更なる該知的財産の内容を示す情報などである。
【0029】
更なる該研究の内容を示す情報は、論文などの原案であってもよく、研究に関する情報が記載されたメモ、研究に関連するキーワード、又は、作成済み若しくは作成中の論文などの書類であってもよい。更なる該知的財産の内容を示す情報は、商標登録出願、意匠登録出願、特許出願、実用新案登録出願などの原案であってもよく、知財に関する情報が記載されたメモ、知財に関連するキーワード、又は、作成済み若しくは作成中の商標登録出願、意匠登録出願、特許出願、実用新案登録出願などの書類であってもよい。
【0030】
具体的には、技術情報に付随する技術付随情報は、ユーザ端末2から送信された評価対象を表す技術情報を骨子とした場合に、該骨子を補足する技術の内容を示す情報であってよい。例えば、評価対象を表す技術情報が、研究に関連するキーワードであった場合に、技術情報に付随する技術付随情報は、該研究に関連する詳細な情報であってもよい。例えば、評価対象を表す技術情報が、特許出願に係る特許請求の範囲の記載であった場合に、技術情報に付随する技術付随情報は、該特許出願に係る明細書および図面の記載であってもよい。
【0031】
技術情報に付随する技術付随情報は、所定の形式の文字情報、技術の要点や概略図などのメモといった所定の形式を有さない文字情報、音声情報、又は、画像情報であって、NWを介して送信可能なデータであればよい。
【0032】
受付部11を介して受け付けた先行技術情報とは、評価対象を表す技術情報に対するユーザ端末2から送信された先行技術の内容を示す情報である。例えば、先行技術情報は、評価対象を表す技術情報に関連する、過去のまたは公開された研究に関する情報または知的財産に関する情報などである。過去のまたは公開された研究に関する情報は、過去に行った研究に関する書類などであってもよく、ウェブサイトもしくは雑誌などで公開された論文などであってもよい。過去のまたは公開された知的財産に関する情報は、商標登録出願、意匠登録出願、特許出願、実用新案登録出願に係る公報などであってもよく、過去に出願した商標登録出願、意匠登録出願、特許出願、実用新案登録出願の書類などであってもよい。
【0033】
具体的には、先行技術情報は、評価対象を表す技術情報である論文に記載の文献であってもよい。先行技術情報は、評価対象を表す技術情報である特許出願の書類に記載の先行技術文献であってもよい。
【0034】
技術情報に基づいて検出された類似技術情報とは、評価対象を表す技術情報に基づいて検出される、該技術情報に類似する技術の内容を示す情報であって、後述の検出部14によって、検出される該評価対象に関連する文献情報である。
【0035】
知的財産情報とは、公開された技術情報に関するデータをいう。例えば、知的財産情報とは、公開された論文に関する情報、公開された知的財産情報に関する情報、公開された特許、意匠、商標、実用新案、若しくは訴訟に関する情報、又は各国特許庁が有する情報である。より具体的には、例えば、公開された特許に関する情報とは、特許公開公報、該特許公開公報に記載される書誌事項、該特許公開公報に係る出願に対する拒絶理由通知書、該拒絶理由通知書の内容、該拒絶理由通知書において引用された文献の情報、該拒絶理由通知書に対する応答内容、該特許公開公報に係る出願における補正の回数、又は該補正の内容などである。
【0036】
キャラクター情報3とは、コンピュータ上での小説、漫画、映画、アニメ、コンピュータゲームなどのフィクションに登場する人物や動物など、あるいはそれら登場人物の性格や性質のこと、またはそれらと共に表されるアイテムをデジタルデータとして表現したものをいう。例えば、
図1に示すような、サムライのようなキャラクターであったり、裁判官、審査官のようなキャラクターであったりしてもよい。また、キャラクター情報3は、記憶部12に記憶されていてもよい。キャラクター情報3には、それぞれのキャラクターに対して、単数または複数の出力態様を複数、記憶部12に記憶されている。具体的には、記憶部12には、キャラクター情報3に表されるサムライキャラクターの知的財産権の取得の有無に関する喜怒哀楽それぞれのポーズなどが記憶されている。
【0037】
算出部13は、技術情報と、技術情報に付随する技術付随情報、受付部11を介して受け付けた先行技術情報、技術情報に基づいて検出された類似技術情報のいずれかを含む他の技術情報または知的財産情報とをラベリング処理するに際して、技術情報に含まれる技術文言をクエリと設定し、該設定されたクエリを用いて、他の技術情報または知的財産情報に含まれる技術文言を表す新たなクエリを算出することができる。また、算出部13は、ラベリング処理とは異なる処理により、技術付随情報に含まれる定義情報を検出し、定義情報を、新たなクエリの候補として算出してもよい。さらに、算出部13は、ユーザの評価情報に基づいて、新たなクエリの算出数を制御することができる。
【0038】
技術文言とは、技術情報に含まれる、文章、複数の文節の組み合わせ、文節、または単語である。
【0039】
ラベリング処理とは、技術情報や他の技術情報等に含まれる情報を認定する処理である。技術情報や他の技術情報等に含まれる情報とは、例えば、該技術情報の内容を示すキーワードや技術文言などである。ラベリング処理に際し、ラベル伝搬法が使用されてもよい。
【0040】
定義情報とは、技術情報に付随する技術付随情報において含まれ、該技術情報に含まれる技術文言を定義する、文章、複数の文節の組み合わせ、文節、または単語などの情報である。例えば、定義情報とは、技術情報に含まれる技術文言に対する、技術付随情報において記載される、該技術文言の説明などである。具体的には、技術情報に含まれる技術文言が、特許出願に係る特許請求の範囲の記載に含まれる単語である場合に、該特許出願に係る明細書に記載される該単語の説明を、定義情報としてもよい。
【0041】
検出部14は、算出部13により設定されたクエリおよび算出部13により算出された新たなクエリを用いて、知的財産情報から評価対象に関連する文献情報を検出することができる。
【0042】
評価対象に関連する文献情報とは、評価対象を表す技術情報に関連する文献についての情報である。例えば、評価対象に関連する文献情報は、評価対象に関連する文献、該文献に含まれる技術文言、該文献に関するデータなどである。評価対象に関連する文献とは、評価対象を表す技術情報の一部または全部に関連する文献についての情報であってよい。例えば、評価対象に関連する文献情報は、論文、商標登録出願、意匠登録出願、特許出願、または実用新案登録出願に係る文献に記載される情報などである。具体的には、評価対象に関連する文献情報は、論文に記載される文字または図の情報、または、商標登録出願、意匠登録出願、特許出願、もしくは実用新案登録出願に係る広報に記載される文字または図の情報であってもよい。
【0043】
検出部14によって検出された文献情報は、後述の出力部16によってユーザ端末2に出力することができる。出力される文献情報は、文献そのもののデータであっても、文献を示す情報であってもよい。例えば、出力される文献情報は、論文、商標登録出願、意匠登録出願、特許出願、もしくは実用新案登録出願に係る文献のデータ、または、論文、商標登録出願、意匠登録出願、特許出願、もしくは実用新案登録出願に係る文献に付される番号もしくは表題といった識別情報などである。
【0044】
算出部13が、技術情報と、技術情報に付随する技術付随情報、受付部11を介して受け付けた先行技術情報、技術情報に基づいて検出された類似技術情報のいずれかを含む他の技術情報または知的財産情報とをラベリング処理するに際して、技術情報に含まれる技術文言をクエリと設定し、該設定されたクエリを用いて、他の技術情報または知的財産情報に含まれる技術文言を表す新たなクエリを算出し、検出部14が、算出部13により設定されたクエリおよび算出部13により算出された新たなクエリを用いて、知的財産情報から評価対象に関連する文献情報を検出することによって、より実際の審査結果に近い評価を可能とすることができる。すなわち、評価対象を表す技術情報に対し、該技術情報に含まれる技術文言ごとに関連する文献情報を検出すること可能としつつ、異なる文言でありながら同じ意味を示す技術文言を含む文献情報を検出することを可能とし、より実際の審査結果に近い評価が可能とすることができる。
【0045】
また、算出部13が、ラベリング処理とは異なる処理により、技術付随情報に含まれる定義情報を検出し、定義情報を、新たなクエリの候補として算出することによって、知的財産支援装置1において行われる処理を低減することができ、異なる文言でありながら同じ意味を示す技術文言を含む文献情報の検出を容易にし、知的財産支援装置1の負荷を低減しつつ、より実際の審査結果に近い評価を可能とすることができる。
【0046】
さらに、算出部13が、ユーザの評価情報に基づいて、新たなクエリの算出数を制御することによって、ユーザの評価情報という精度の高い情報を用いた算出が可能となり、より実際の審査結果に近い評価を可能とすることができる。
【0047】
評価部15は、受付部11により受け付けた評価対象を表す技術情報と、検出部14により検出された知的財産情報に含まれる文献情報との比較により、該技術情報の評価をすることができる。また、評価部15は、算出部13により算出された新たなクエリを用いることにより評価することができる。例えば、評価部15は、算出部13により算出された新たなクエリに関して、受付部11により受け付けた評価対象を表す技術情報と、検出部14により検出された知的財産情報に含まれる文献情報との一致の程度を比較および評価してもよい。
【0048】
評価部15は、評価対象を表す技術情報に含まれる技術文言と知的財産情報に含まれる文献情報の一致の程度をスコア算出し、一致するか否かを閾値処理により判定し、構成要件の一致点および相違点を算出してもよい。閾値は予め定められていてもよいし、機械学習により算出されたスコアを用いてもよい。
【0049】
また、評価部15は、記憶部12に記憶された知的財産情報を用いて機械学習に用いる学習データを予め生成し、該学習データ及び知的財産情報から評価対象を表す技術情報を評価してもよい。
【0050】
また、評価部15は、記憶部12に記憶された知的財産情報を用いて機械学習させたモデルを用いて、評価対象を表す技術情報を評価してもよい。
【0051】
機械学習において用いられる知的財産情報を、該知的財産情報について項目ごとに予め数値化された上で処理し、ユーザ端末2から受け付けた評価対象を表す技術情報も、同様に数値化した上で評価してもよい。
【0052】
予め数値化される知的財産情報に関する項目とは、例えば、知的財産に関する公開公報に紐づく各種情報であってもよい。知的財産に関する公開公報に紐づく各種情報は、例えば、公開公報の発行日、該公開広報に係る出願書類の提出日(すなわち出願日)、該公開広報に係る出願において受領した拒絶理由通知書の回数、該拒絶理由通知書における内容、該拒絶理由通知書に対する応答の内容、該公開広報に係る出願において行われた補正の回数、該補正の内容、独立請求項の文字数、請求項の数などであってもよい。
【0053】
評価部15は、過去に知的財産支援装置1を使用して評価した知評価対象を表す技術情報の実際の結果をフィードバックとして記憶部12により記憶しておき、機械学習に使用してもよい。これにより、知的財産支援装置1は、より精度の高い評価を行うことができる。
【0054】
評価部15による評価は、知的財産の権利取得可能性を含むことができる。
【0055】
評価部15が、算出部13により算出された新たなクエリを用いて、受付部11により受け付けた評価対象を表す技術情報と、検出部14により検出された知的財産情報に含まれる文献情報との比較により、該技術情報の評価をすることによって、より実際の審査結果に近い評価を可能とすることができる。すなわち、評価対象を表す技術情報に対し、異なる文言でありながら同じ意味を示す技術文言を含む文献情報に対する比較および評価を可能とし、より実際の審査結果に近い評価が可能とすることができる。
【0056】
出力部16は、知的財産支援装置1における各種情報をユーザ端末2に出力する。具体的には、出力部16は、記憶部12に記憶されたキャラクター情報3に基づいて、ユーザが操作可能なユーザ端末2にキャラクター情報3を出力することができる。また、出力部16は、検出部14によって検出された文献情報をユーザ端末2に出力することができる。出力部16は、評価部15による評価の結果をユーザ端末2に出力することができる。
【0057】
また、出力部16は、出力部16によって出力されたキャラクター情報3によって、評価部15による評価の結果をユーザ端末2に出力してもよい。出力部16によって出力される評価部15による評価の結果は、例えば、模擬拒絶理由通知書(拒絶理由通知所に似せた、模擬的な通知書)であったり、評価対象を表す技術情報と検出部14によって検出された文献情報との比較表などであったりしてもよい。
【0058】
出力部16が、キャラクター情報3を介して各種情報をユーザ端末2に出力することにより、知的財産支援装置1は、知的財産支援装置1によって得られる情報をユーザによりわかりやすくかつ簡易に与えることができ、また、技術の知識に乏しいユーザであっても、わかりやすく該技術に関する情報を得ることができる。
【0059】
制御部17は、知的財産支援装置1の各部を制御する機能を有するプロセッサである。例えば、制御部17は、中央処理装置(Central Processing Unit)やマイクロプロセッサ(microprocessor)、プロセッサコア(processor core)、マルチプロセッサ(multiprocessor)、ASIC(application-specific integrated circuit)、FPGA(field programmable gate array)などである。なお、本発明において、制御部17は、これらに限定されない。
【0060】
図2は、本発明の第1の実施形態における、知的財産支援装置1の動作例を示すフローチャートである。
【0061】
図2に示すように、知的財産支援装置1は、ユーザ端末2とNWを介して接続されると、記憶部12に記憶された各種情報を、出力部16からユーザ端末2に出力し、ユーザ端末2から各種情報を受信することによって、該情報を受付部11が受け付ける(S101)。具体的には、知的財産支援装置1は、評価対象を表す技術情報を受け付けるための画面およびキャラクター情報3などを出力部16からユーザ端末2に出力し、ユーザ端末2から評価対象を表す技術情報、技術付随情報、および先行技術情報などを受信することによって、これらの情報を受付部11が受け付けてもよい。
【0062】
続いて、受付部11が受け付けた評価対象を表す技術情報と、記憶部12において記憶された、技術情報に付随する技術付随情報、受付部11を介して受け付けた先行技術情報、技術情報に基づいて検出された類似技術情報、および知的財産情報とを、ラベリング処理するに際し、技術情報に含まれる技術文言をクエリと設定し、該設定されたクエリを用いて、他の技術情報に含まれる技術文言を表す新たなクエリを算出する(S102)。または、算出部13は、ラベリング処理とは異なる処理により、技術付随情報に含まれる定義情報を検出し、該定義情報を、新たなクエリの候補として算出してもよい(S102)。
【0063】
検出部14は、算出部13により設定されたクエリおよび算出部13により算出された新たなクエリを用いて、知的財産情報から評価対象に関連する文献情報を検出することができる(S103)。
【0064】
評価部15は、受付部11により受け付けた評価対象を表す技術情報と、検出部14により検出された知的財産情報に含まれる文献情報との比較により、受付部11により受け付けた評価対象を表す技術情報を評価する(S104)。また、評価部15は、算出部13により算出された新たなクエリを用いることにより評価するができる。
【0065】
出力部16は、検出部14によって検出された文献情報、および、評価部15による評価の結果をユーザ端末2に出力する(S105)。このとき、出力部16は、記憶部12に記憶されたキャラクター情報3に基づいて、ユーザ端末2にキャラクター情報3を出力してもよい。また、出力部16は、出力部16によって出力されたキャラクター情報3によって、評価部15による評価の結果をユーザ端末2に出力してもよい。
【0066】
上記構成により、より実際の審査結果に近い評価を可能とすることができる。すなわち、評価対象を表す技術情報に対し、該技術情報に含まれる技術文言ごとに関連する文献情報を検出すること可能としつつ、異なる文言でありながら同じ意味を示す技術文言を含む文献情報を検出することを可能とし、より実際の審査結果に近い評価が可能とすることができる。
【0067】
図3は、本発明の第1の実施形態における、知的財産支援装置1の算出部13および検出部14における動作例を示すフローチャートである。
【0068】
算出部13は、受付部11が評価対象を表す技術情報を受け付けると、まずkNNグラフを作成する(S201)。kNNグラフは、以下の手順で作成される。まず、記憶部12において記憶された、技術情報に付随する技術付随情報、受付部11を介して受け付けた先行技術情報、技術情報に基づいて検出された類似技術情報、および知的財産情報に含まれる文章を全てベクトル化する。ベクトル化は、Word2VecまたはDoc2Vec等の従来技術によって行われてよい。ベクトルから文章間の距離行列を作成する。各文章を頂点として、それぞれの文字データからそれと距離が短いものk個の文章へと辺を張る。以上の手順により、kNNグラフを作成する。上記にて文章として説明したが、複数の文節の組み合わせ、文節、または単語であってもよい。
【0069】
続いて、算出部13は、受付部11から受け付けた技術情報の検出対象を、記憶部12において記憶された、技術情報に付随する技術付随情報、受付部11を介して受け付けた先行技術情報、技術情報に基づいて検出された類似技術情報、および知的財産情報に含まれる文章全てに設定し(S202)、受付部11から受け付けた技術情報に含まれる技術文言をクエリと設定し、検出部14は、該クリエで該検出対象を検出する(S203)。ここで、検出はElastic Search(登録商標)等の従来技術によって行われてよい。
【0070】
検出部14は、検出の結果、最も検出スコアが高い文章を始点として設定し(S204)、始点を最終検出結果へ追加し(S205)、最終検出結果がn件以上となるまで繰り返す(S206)。n件に満たない場合S207に進み、n件以上となった場合S210へ進む。
【0071】
最終検出結果がn件に満たない場合、算出部13は、クエリ返還ルールの候補を抽出する(S207)。クエリ返還ルールの候補は、以下の手順で抽出される。まず、作成したkNNグラフに基づき、始点として設定された文章と類似する文章を抽出する。続いて、始点として設定された文章と抽出された類似する文章とにおいて、重要度が高いと認定される単語を抽出する。需要度の認定は、TF-IDF法等の従来技術によって行われてよい。
抽出された単語に対し、始点として設定された文章、および、抽出された類似する文章において、隣接する単語を取得する。例えば、抽出された単語が「分散」であって、文章が「分散ファイルシステムにおける分散処理」であった場合の、「ファイル」および「処理」などである。
【0072】
算出部13は、スコアが高い変換ルールをクエリに適用する(S208)。変換ルールは1つでも複数であってもよく、その数が算出部13によって制御されてもよい。また、変換ルールにより算出される新たなクリエの数は、受付部11によって受け付けた、評価対象を表す技術情報の評価の結果に対するユーザの評価情報に基づき、算出部13によって制御されてもよい。スコアは以下の式によって算出することができる。
【0073】
【数1】
式中、始点として設定された文章をA、始点として設定された文章において取得された隣接する単語をw1、抽出された類似する文章をB、抽出された類似する文章において取得された隣接する単語をw2とおき、P(w,X)を文章X中での単語wの出現確立とおく。similarityは、単語の意味的な近さの指標であって、この値が大きいほど2つの単語は意味的に似ていることを意味する。similarityは、PythonのパッケージであるnltkがWordNetのパス長に基づいて算出する値とすることができる。
【0074】
算出部13は、始点と隣接する文章を次の検出対象に設定し(S209)、S208によって新たに算出されたクエリを用いて、再度検出を行う(S203に戻る)。
【0075】
最終検出結果がn件以上となった場合、該検出結果を出力する(S210)。このとき、検出部14は、最終検出結果とされる始点となる文章を含む文献情報または文献情報を検出してもよい。
【0076】
なお、算出部13は、
図4に示される処理フローを実行してもよい。
図4の処理内容について詳細に説明する。
以下の実施例の手法は、伝搬的にクエリを変換させながら特許の検索を行う手法である。異なる特許では同一の概念が異なる用語で表現されることがしばしばあり、特許検索を困難する一つの要因となっている。そこで実施例では、特許間と、特許集合間での表現の違いを検知し、検知した表現の違いをクエリに反映させて検索を行う。
以下では実施例を2つ示す。1つ目は特許間での表現違いを検出する。2つ目は特許集合間での表現の違いを検出する。
【0077】
<実施例1>
実施例1は、特許間での表現違いを検出し、クエリに反映させる手法である。文章の近傍を探索する手法の違いによって、さらに2つの実施例に分けられる .
実施例1-1:あらかじめ文章の近傍関係をグラフ(kNNグラフ)化する方法
実施例1-2:実行時に文章の近傍を判定する(kNN法を実行時に適用する)方法
算出部13は、
図5に示されるアルゴリズムを用いてもよい。
図5の詳細は、
図6A及び
図6Bの通りである。
【0078】
<実施例2>
実施例2は、実施例1と異なり、特許間ではなく、特許集合間での表現の違いを検出する。アルゴリズムの入力、出力は実施例1と同様である。実施例2も実施例1と同様に、文章の近傍を予め判定する手法と実行時に判定する手法との2つに分類される。
算出部13は、
図7に示されるアルゴリズムを用いてもよい。
【0079】
上記構成により、より実際の審査結果に近い評価を可能とすることができる。すなわち、評価対象を表す技術情報に対し、該技術情報に含まれる技術文言ごとに関連する文献情報を検出すること可能としつつ、異なる文言でありながら同じ意味を示す技術文言を含む文献情報を検出することを可能とし、より実際の審査結果に近い評価が可能とすることができる。
【0080】
図8および
図9は、知的財産支援装置1における受付部11に情報を送信するための、ユーザ端末2に表示されるの画面表示の例を示す模式図である。
【0081】
図8は、NWを介してユーザ端末2から評価対象を表す技術情報を知的財産支援装置1において受け付けるための、ユーザ端末2に表示される入力用画面201の一例を示している。
図8に示すように、入力用画面201には、ユーザ端末2のユーザが評価対象を表す技術情報を入力するための入力欄2011を表示することができる。このとき、知的財産支援装置1における出力部16は、キャラクター情報3を、入力用画面201に出力してもよい。ユーザは、ユーザ端末2を操作することにより、評価対象を表す技術情報を入力欄2011に自由に記入することができる。
図8の例では「VR空間で希望の商品を購入する前に模倣品かどうかを人工知能で判別する発明ってどう?」という、友達に問いかけるような口調での質問Q1が入力欄2011に記入されている。入力欄2011に記入された内容は、評価対象を表す技術情報として知的財産支援装置1に送信される。
【0082】
図9は、知的財産支援装置1からNWを介してユーザ端末2に出力される結果を表示する結果表示画面202の一例を示している。結果表示画面202には、知的財産支援装置1の出力部16から出力された、ユーザ端末2から受け付けた評価対象を表す技術情報の評価の結果を表示することができる。このとき、知的財産支援装置1における出力部16は、キャラクター情報3を、結果表示画面202に出力することができる。また、キャラクター情報3は、該評価の結果に応じて、その態様を変化させて出力されることができる。
図9には、知的財産支援装置1による評価の結果、ユーザ端末2から受け付けた評価対象を表す技術情報が進歩性を充足すると判断された場合に表示される結果表示画面202の表示例が示されている。
【0083】
図9に示すように、知的財産支援装置1は、結果表示画面202において、キャラクター情報3に基づくキャラクター、キャラクター情報3に基づく旗3001、評価部15による評価の結果を示す結果表示欄2021、評価部15による評価の結果の内容を該キャラクターが発話したかのように表示する吹き出し2022を表示するよう出力することができる。この例では、吹き出し2022に、「でかしたでござる!進歩性ありでござるよ。」という、古風な語り口での発話内容Aが記載されている。また、旗3001には、中央に大きく「S」の文字が描かれ、「S」の文字の上方に小さく「PATENTABILITY RANK」と描かれている。
【0084】
知的財産支援装置1は、結果表示欄2021において、知的財産支援装置1の検出部14により検出された評価対象に関連する文献情報T1、T2、T3を列挙し、評価対象を表す技術情報と各文献情報T1、T2、T3に記載の情報との類似度を、該技術情報に含まれる技術文言e1、e2、e3ごとに表示させることができる。類似度は、例えば、
図8に示すように「S」、「A」、「B」または「C」という記号で表現されてもよく、「S」、「A」、「B」、および「C」はそれぞれ、「全く記載なし」、「非類似」、「少し類似」、および「同一」と意味することとしてもよい。この例では、評価対象を表す技術情報に含まれる技術文言e1、e2、e3のうちの一つの技術文言e3については、文献情報T2に記載ものと同一であるという結果が得られているが、残りの二つの技術文言e1、e2については、何れの文献情報T1、T2、T3にも記載されていないことから、進歩性を充足するという判断がなされている。
【0085】
なお、知的財産支援装置1により受け付けた情報、および、知的財産支援装置1から出力された情報は、日時と共に知的財産支援装置1の記憶部12に記憶することができる。当該記憶された情報は、ユーザ端末2において閲覧することができる。
【0086】
上記構成により、知的財産支援装置1は、知的財産支援装置1によって得られる情報をユーザによりわかりやすくかつ簡易に与えることができ、また、技術の知識に乏しいユーザであっても、わかりやすく該技術に関する情報を得ることができる。
【0087】
上述の構成に対し、以下の文献に記載される技術の一部または全てを含んでもよい。
[1] 並列グラフ処理エンジンに対するグラフ圧縮と頂点順序最適化の適用,伊藤 竜一,新井 淳也,佐々木 勇和,鬼塚 真,電子情報通信学会 DEIM, 2017.
[2] Graph partitioning for distributed graph processing,Makoto Onizuka, Toshimasa Fujimori, Hiroaki Shiokawa,Data Science and Engineering,2(1),2017.
[3] 分散グラフ処理におけるグラフ分割,藤森 俊匡 , 塩川 浩昭 , 鬼塚 真 ,情報処理学会論文誌データベース(TOD),9(4) 1882-7799 ,2016.
[4] インクリメンタル更新可能なラベル伝播法の研究,永田 耕平,佐々木 勇和,藤原 靖宏,鬼塚 真,電子情報通信学会 DEIM, 2018.
【0088】
実施形態に記載された内容の一部を以下に記載する。
[付記1]
評価対象を表す技術情報を受け付ける受付部と、
前記技術情報に付随する技術付随情報、前記受付部を介して受け付けた先行技術情報、前記技術情報に基づいて検出された類似技術情報のいずれかを含む他の技術情報と、複数の文献情報を含む知的財産情報とを記憶する記憶部と、
前記技術情報と、前記他の技術情報とをラベリング処理するに際して、前記技術情報に含まれる技術文言をクエリと設定し、該設定されたクエリを用いて、前記他の技術情報に含まれる技術文言を表す新たなクエリを算出する算出部と、
前記クエリおよび前記新たなクエリを用いて、前記知的財産情報から前記評価対象に関連する文献情報を検出する検出部とを備え、
前記算出部は、前記ラベリング処理とは異なる処理により、前記技術付随情報に含まれる定義情報を検出し、前記定義情報を、前記新たなクエリの候補として算出することを特徴とする知的財産支援装置。
[付記2]
前記知的財産支援装置は、
前記技術情報と、前記知的財産情報に含まれる文献情報との比較により、前記技術情報の評価をする評価部を備えるものであって、
前記評価部は、前記新たなクエリを用いることにより評価することを特徴とする[付記1]記載の知的財産支援装置。
[付記3]
前記知的財産支援装置は、
前記記憶部は、キャラクター情報を記憶するものであり、
前記記憶部に記憶されたキャラクター情報に基づいて、ユーザが操作可能なユーザ端末にキャラクターを出力する出力部とを備えるものであって、
前記受付部が前記キャラクターを介して、前記ユーザの評価情報を受け付けるものであって、前記算出部は、前記評価情報に基づいて、前記新たなクエリの算出数を制御することを特徴とする[付記1]または[付記2]記載の知的財産支援装置。
[付記4]
前記ラベリング処理は、ラベル伝搬法を用いることを特徴とする[付記1]乃至[付記3]いずれか1項記載の知的財産支援装置。
[付記5]
評価対象を表す技術情報を受け付けるステップと、
前記技術情報に付随する技術付随情報、受け付けた先行技術情報、前記技術情報に基づいて検出された類似技術情報のいずれかを含む他の技術情報と、複数の文献情報を含む知的財産情報とを記憶するステップと、
前記技術情報と、前記他の技術情報とをラベリング処理するに際して、前記技術情報に含まれる技術文言をクエリと設定し、該設定されたクエリを用いて、前記他の技術情報に含まれる技術文言を表す新たなクエリを算出するステップと、
前記クエリおよび前記新たなクエリを用いて、前記知的財産情報から前記評価対象に関連する文献情報を検出するステップとを備え、
前記算出するステップは、前記ラベリング処理とは異なる処理により、前記技術付随情報に含まれる定義情報を検出し、前記定義情報を、前記新たなクエリの候補として算出することを特徴とする知的財産支援方法。
[付記6]
コンピュータに、
評価対象を表す技術情報を受け付ける受付機能と、
前記技術情報に付随する技術付随情報、前記受付機能を介して受け付けた先行技術情報、前記技術情報に基づいて検出された類似技術情報のいずれかを含む他の技術情報と、複数の文献情報を含む知的財産情報とを記憶する記憶機能と、
前記技術情報と、前記他の技術情報とをラベリング処理するに際して、前記技術情報に含まれる技術文言をクエリと設定し、該設定されたクエリを用いて、前記他の技術情報に含まれる技術文言を表す新たなクエリを算出する算出機能と、
前記クエリおよび前記新たなクエリを用いて、前記知的財産情報から前記評価対象に関連する文献情報を検出する検出機能とを実現させ、
前記算出機能は、前記ラベリング処理とは異なる処理により、前記技術付随情報に含まれる定義情報を検出し、前記定義情報を、前記新たなクエリの候補として算出することを特徴とする知的財産支援プログラム。
【0089】
上述したところは、代表的な実施形態の例を示したものであって、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0090】
1 知的財産支援装置
2 ユーザ端末
3 キャラクター情報
11 受付部
12 記憶部
13 算出部
14 検出部
15 評価部
16 出力部
17 制御部