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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076030
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】吸収性物品及び吸収性物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/511 20060101AFI20230525BHJP
   A61F 13/56 20060101ALI20230525BHJP
   A61F 13/47 20060101ALI20230525BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20230525BHJP
   A61F 13/515 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
A61F13/511 100
A61F13/56 110
A61F13/47 300
A61F13/15 356
A61F13/15 352
A61F13/15 351
A61F13/515
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189174
(22)【出願日】2021-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】溝口 正輝
(72)【発明者】
【氏名】渡子 直紀
(72)【発明者】
【氏名】橋野 央
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200CA11
3B200DA08
3B200DA17
3B200DC01
3B200DC06
3B200DE03
3B200DF08
3B200EA07
3B200EA21
(57)【要約】
【課題】吸収性物品に意図しない皺やよれが発生することを抑制し、吸収性能及び装着感を向上できる吸収性物品を提供する。
【解決手段】吸収性物品(1)は、トップシート(10)と、トップシートよりも非肌面側に位置する吸収体(30)と、吸収体よりも非肌面側に位置するバックシート(30)と、バックシートの非肌面側に設けられ、吸収性物品を着用物品に止着する止着部が設けられた止着領域(R41)と、を有する本体部(2)を備える。トップシートは、中央領域(R11)と、中央領域よりも方向の外側に位置する端部領域(R12)と、を有する。中央領域と端部領域は、表面摩擦係数(MIU)、表面粗さの平均偏差(SMD)、摩擦係数の平均偏差(MMD)、及び曲げ剛性のいずれかが異なる。止着領域の前後方向の外端縁(R411)は、中央領域の前後方向の外端縁(R111)よりも前後方向の外側に設けられている。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップシートと、前記トップシートよりも非肌面側に位置する吸収体と、前記吸収体よりも非肌面側に位置するバックシートと、前記バックシートの非肌面側に設けられ、前記吸収性物品を着用物品に止着する止着部が設けられた止着領域と、を有する本体部を備える吸収性物品であって、
前記トップシートは、中央領域と、前記中央領域よりも前後方向の外側に位置する端部領域と、を有し、
前記中央領域と前記端部領域は、表面摩擦係数(MIU)、表面粗さの平均偏差(SMD)、摩擦係数の平均偏差(MMD)、及び曲げ剛性のいずれかが異なり、
前記止着領域の前記前後方向の外端縁は、前記中央領域の前記前後方向の外端縁よりも前記前後方向の外側に設けられている、吸収性物品。
【請求項2】
前記中央領域は、複数の凹部及び凸部が規則的に設けられた凹凸領域であり、
前記端部領域は、前記凹部及び前記凸部を有しない非凹凸領域である、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
トップシートと、
前記トップシートよりも非肌面側に位置する吸収体と、
前記吸収体よりも非肌面側に位置するバックシートと、をする本体部を備える吸収性物品であって、
前記トップシートは、複数の凹部及び凸部が規則的に設けられた凹凸領域と、前記凹凸領域よりも前後方向の外側において、前記凹部及び前記凸部を有しない非凹凸領域と、を有し、
前記吸収性物品は、使用前に、幅方向に沿った折り目を起点に折り畳まれており、
前記本体部の外縁は、前記前後方向に延びる本体側縁と、前記幅方向に延びる本体端縁と、を有し、
前記凹凸領域は、前記本体側縁まで連続しており、
前記本体側縁と前記本体端縁の境界は、前記凹凸領域の前記前後方向の外端縁よりも前記前後方向の外側に設けられており、
前記折り目は、前記幅方向の全域に亘って前記凹凸領域と重なる領域に設けられている、吸収性物品。
【請求項4】
トップシートと、
前記トップシートよりも非肌面側に位置する吸収体と、
前記吸収体よりも非肌面側に位置するバックシートと、を有する本体部を備える吸収性物品であって、
前記トップシートは、複数の凹部及び凸部が規則的に設けられた凹凸領域と、前記凹凸領域よりも前後方向の外側において、前記凹部及び前記凸部を有しない非凹凸領域と、を有し、
前記吸収性物品は、使用前に、幅方向に沿った折り目を起点に折り畳まれており、
前記凹部及び前記凸部は、前記幅方向に沿って設けられており、
前記折り目よりも前記前後方向の外側において、前記非凹凸領域が設けられている、吸収性物品。
【請求項5】
前記非凹凸領域は、前記本体部の外端縁まで連続している、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記本体部の外縁は、前記前後方向に延びる本体側縁と、幅方向に延びる本体端縁と、を有し、
前記凹部及び前記凸部は、前記幅方向に沿って延びており、
前記凹部及び前記凸部は、前記本体側縁まで連続している、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記本体部は、前記吸収性物品を着用物品に止着する止着部が設けられた止着領域を有し、
前記非凹凸領域の前記前後方向の長さは、前記凹凸領域と前記非凹凸領域の境界と、前記止着領域の外端縁と、の前記前後方向の距離よりも長い、請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記本体部の外縁は、前記前後方向に延びる本体側縁と、幅方向に延びる本体端縁と、を有し、
前記非凹凸領域の前記前後方向の長さは、前記凹凸領域と前記非凹凸領域の境界と、前記前記本体側縁と前記本体端縁の境界の前記前後方向の距離よりも長い、請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記本体部は、前記吸収性物品を着用物品に止着する止着部が設けられた止着領域を有し、
前記本体部は、前記本体部の幅方向の中心を通り、かつ前記前後方向に延びる本体幅中心に対する一方側に位置する第1領域と、前記本体幅中心に対する他方側に位置する第2領域と、を有し、
前記第1領域における前記止着領域の外端縁と、前記第2領域における前記止着領域の外端縁と、を繋ぐ仮想線は、前記幅方向に沿っており、
前記凹凸領域と前記非凹凸領域の境界は、前記幅方向に沿っている、請求項2から請求項8のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記本体部は、前記吸収性物品を着用物品に止着する止着部が設けられた止着領域を有し、
前記止着領域は、幅方向に延び、かつ前記前後方向に間隔を空けて設けられており、
前記凸部及び前記凹部は、前記幅方向に延び、かつ前記前後方向に間隔を空けて設けられている、請求項2から請求項9のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記トップシートと前記バックシートが厚み方向に圧縮されたシート圧搾部を有し、
前記シート圧搾部は、前記本体部の外縁に沿って配置され、前記凹凸領域と前記非凹凸領域を跨がっている、請求項2から請求項10のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記非凹凸領域は、前記本体部の前記前後方向の両端部にそれぞれ設けられており、
前記吸収性物品は、前記前後方向に間隔を空けて配置され、かつ幅方向に延びる一対の折り目を起点に折り畳まれており、
前記一対の折り目を起点に折り畳まれた状態で、前記非凹凸領域同士が重なっている、請求項2から請求項11のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記非凹凸領域は、前記本体部の前記前後方向の両端部にそれぞれ設けられており、
前記吸収性物品は、前記前後方向に間隔を空けて配置され、かつ幅方向に延びる一対の折り目を起点に折り畳まれており、
前記一対の折り目を起点に折り畳まれた状態で、前記非凹凸領域同士は、前記前後方向に離間して重ならない、請求項2から請求項11のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項14】
前記止着部の非肌面を覆う剥離シートと、
前記剥離シートの非肌面を覆い、かつ本体接合部を介して前記剥離シートに接合された包装シートと、を有し、
前記本体接合部の少なくとも一部は、前記非凹凸領域に重なっている、請求項2から請求項13のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項15】
前記止着部の非肌面を覆う剥離シートと、
前記剥離シートの非肌面を覆い、かつ本体接合部を介して前記剥離シートに接合された包装シートと、を有し、
前記剥離シートは、前記包装シートよりも前記前後方向の外側に延出した延出領域を有し、
前記非凹凸領域は、前記延出領域よりも前記前後方向の外側に延出している、請求項2から請求項14のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項16】
前記本体部の外縁は、前記前後方向に延びる本体側縁と、幅方向に延びる本体端縁と、を有し、
前記本体部は、前記吸収性物品を着用物品に止着する止着部が設けられた止着領域を有し、
前記止着領域は、前記本体側縁に到達しており、
前記止着領域の前記前後方向の外側縁は、前記吸収性物品において最も幅が広い幅広部よりも前後方向の外側に位置している、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項17】
トップシートの凹凸領域に、吸収性物品の幅方向に延び、かつ前後方向に間隔を空けて配置した凸部及び凹部を形成する凹凸形成工程と、
前記トップシート、吸収体、及びバックシートを積層した積層体が連続した連続積層体を、前記幅方向に沿って搬送する搬送工程と、
前記連続積層体を本体部の外縁に沿って切断する切断工程と、を有し、
前記凹凸形成工程は、前記本体部の前記前後方向の外端縁と離間した位置に、前記凹凸領域を設ける、吸収性物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンティライナー、軽失禁パッド等、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、下着に装着し、おりもの、汗、尿などの体液を吸収する吸収性物品が用いられている。特許文献1の吸収性物品は、本体部を有する。本体部は、トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートの間に配置された吸収体と、を有する。当該本体部は、非肌面側に配置された止着領域を介して着用物品に止着されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-116909号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような吸収性物品は、吸収性能や装着感を向上させる種々の改善がなされている。しかし、本体部が適切に装着された状態を維持できないと、意図した吸収性能や装着感を実現できないことがある。より詳細には、本体部は、着用物品を介して着用者に装着される。そのため、着用物品に対して適切な位置に本体部を装着しないと、本体部が体に対して適切に配置されず、吸収性能を発揮できなかったり、本体部に皺等が発生し、装着感や吸収性能が低下したりすることがあった。また、本体部は、着用者の股下域に配置され、着用者の脚によって挟まれた際に幅方向の内側に向かう力を受け易い。当該力を受けた際に、本体部に皺等が発生し、装着感や吸収性能が低下したりすることがあった。また、吸収性物品は、一般的に、使用前に折り目を起点に折り畳まれ、コンパクトに収容されている。この折り目による折り癖によって、本体部に皺等が発生し、装着感や吸収性能が低下したりすることがあった。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされてものであり、吸収性物品に意図しない皺やよれが発生することを抑制し、吸収性能及び装着感を向上できる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る吸収性物品は、トップシートと、前記トップシートよりも非肌面側に位置する吸収体と、前記吸収体よりも非肌面側に位置するバックシートと、前記バックシートの非肌面側に設けられ、前記吸収性物品を着用物品に止着する止着部が設けられた止着領域と、を有する本体部を備える。前記トップシートは、中央領域と、前記中央領域よりも前後方向の外側に位置する端部領域と、を有する。前記中央領域と前記端部領域は、表面摩擦係数(MIU)、表面粗さの平均偏差(SMD)、摩擦係数の平均偏差(MMD)、及び曲げ剛性のいずれかが異なる。前記止着領域の前記前後方向の外端縁は、前記中央領域の前記前後方向の外端縁よりも前記前後方向の外側に設けられている。
【0007】
第2態様に係る吸収性物品は、トップシートと、前記トップシートよりも非肌面側に位置する吸収体と、前記吸収体よりも非肌面側に位置するバックシートと、を有する本体部を備える。前記トップシートは、複数の凹部及び凸部が規則的に設けられた凹凸領域と、前記凹凸領域よりも前後方向の外側において、前記凹部及び前記凸部を有しない非凹凸領域と、を有する。前記吸収性物品は、使用前に、幅方向に沿った折り目を起点に折り畳まれている。前記本体部の外縁は、前記前後方向に延びる本体側縁と、前記幅方向に延びる本体端縁と、を有する。前記凹凸領域は、前記本体側縁まで連続している。本体側縁と本体端縁の境界は、前記凹凸領域の前記前後方向の外端縁よりも前記前後方向の外側に設けられている。前記折り目は、幅方向の全域に亘って凹凸領域と重なる領域に設けられている。
【0008】
第3態様に係る吸収性物品は、トップシートと、前記トップシートよりも非肌面側に位置する吸収体と、前記吸収体よりも非肌面側に位置するバックシートと、を有する本体部を備える。前記トップシートは、複数の凹部及び凸部が規則的に設けられた凹凸領域と、前記凹凸領域よりも前後方向の外側において、前記凹部及び前記凸部を有しない非凹凸領域と、を有する。前記吸収性物品は、使用前に、前記幅方向に沿った折り目を起点に折り畳まれている。前記凹部及び前記凸部は、前記幅方向に沿って設けられている。前記折り目よりも前記前後方向の外側において、前記非凹凸領域が設けられている。
【0009】
一態様に係る吸収性物品の製造方法は、トップシートの凹凸領域に、吸収性物品の幅方向に延び、かつ前後方向に間隔を空けて配置した凸部及び凹部を形成する凹凸形成工程と、前記トップシート、吸収体、及びバックシートを積層した積層体が連続した連続積層体を、前記幅方向に沿って搬送する搬送工程と、前記連続積層体を前記本体部の外縁に沿って切断する切断工程と、を有する。前記凹凸形成工程は、前記本体部の前記前後方向の外端縁と離間した位置に、前記凹凸領域を設ける。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る吸収性物品の本体部の肌面側から見た平面図である。
図2図2は、本体部の非肌面側から見た平面図である。
図3図3は、実施形態に係る吸収性物品の非肌面側から見た平面図である。
図4図4は、図3に示すA-A断面に沿った模式断面図である。
図5図5は、図1に示す本体部の前側部分の部分拡大図である。
図6図6は、図4に示すB部分の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一態様に係る吸収性物品は、トップシートと、前記トップシートよりも非肌面側に位置する吸収体と、前記吸収体よりも非肌面側に位置するバックシートと、前記バックシートの非肌面側に設けられ、前記吸収性物品を着用物品に止着する止着部が設けられた止着領域と、を有する本体部を備える。前記トップシートは、中央領域と、前記中央領域よりも前後方向の外側に位置する端部領域と、を有する。前記中央領域と前記端部領域は、表面摩擦係数(MIU)、表面粗さの平均偏差(SMD)、摩擦係数の平均偏差(MMD)、及び曲げ剛性のいずれかが異なる。前記止着領域の前記前後方向の外端縁は、前記中央領域の前記前後方向の外端縁よりも前記前後方向の外側に設けられている。使用者は、本体部を着用物品に取り付ける際に、包装状態の吸収性物品から本体部を取り外したり、折り畳み状態の本体部を展開したりして、取り付け前の操作を行う。このとき、使用者は、本体部の前後方向の中央でなく、本体部の前後方向の端部を把持して当該操作を行うことがある。また、使用者によっては、肌に対する触感等を確認するために、本体部の肌面を手でなぞるように触れることがある。このような本体部の取り付け前の操作の過程で、使用者は、トップシートに触れ、見た目や触感が異なる2つの領域(端部領域と中央領域)の存在を把握できる。また、使用者は、本体部を把持した際に、トップシートに触れると共に、本体部の非肌面にも触れ、止着領域の位置や存在を把握する。具体的には、手に止着部が触れると、使用者は、止着部がない領域(非止着領域)を把持し直すために、把持する位置を前後方向の外側にずらす。使用者は、本体部の肌面側から認識できる端部領域と中央領域の位置を目印として、本体部の非肌面側に位置する止着領域の大凡の位置を把握できる。よって、使用者は、止着領域の位置を把握し、着用物品に適切な位置に装着できる。よって、装着状態の折れやよれを抑制でき、装着感の悪化を抑制し、吸収性能の低下を抑制できる。
【0012】
好ましい一態様によれば、前記中央領域は、複数の凹部及び凸部が規則的に設けられた凹凸領域である。前記端部領域は、前記凹部及び前記凸部を有しない非凹凸領域である。本態様によれば、使用者は、凹部及び凸部の有無によって本体部の止着領域の位置を把握し、着用物品に適切な位置に装着できる。よって、装着状態の折れやよれを抑制でき、装着感の悪化を抑制し、吸収性能の低下を抑制できる。また、凹凸領域は、凹部及び凸部を有し、非凹凸領域と比較して表面摩擦係数が高いため、よれ難い。また、吸収性物品には、着用時の外力等によって皺が形成される。凹凸領域には凹部及び凸部が形成されており、吸収性物品の皺は、凹部や凸部に沿いやすい。皺が凹凸領域内で形成されることで、非凹凸領域まで皺が伝播し難くなる。また、凹凸領域に皺が形成された場合であっても凹凸領域を越えた領域(非凹凸領域)を止着領域を介して着用物品に止着し、凹凸領域の外端縁を着用物品に止着することで、凹凸領域のずれやよれを抑制できる。
【0013】
第2態様に係る吸収性物品は、トップシートと、前記トップシートよりも非肌面側に位置する吸収体と、前記吸収体よりも非肌面側に位置するバックシートと、を有する本体部を備える。前記トップシートは、複数の凹部及び凸部が規則的に設けられた凹凸領域と、前記凹凸領域よりも前後方向の外側において、前記凹部及び前記凸部を有しない非凹凸領域と、を有する。前記吸収性物品は、使用前に、幅方向に沿った折り目を起点に折り畳まれている。前記本体部の外縁は、前記前後方向に延びる本体側縁と、前記幅方向に延びる本体端縁と、を有する。前記凹凸領域は、前記本体側縁まで連続している。本体側縁と本体端縁の境界は、前記凹凸領域の前記前後方向の外端縁よりも前記前後方向の外側に設けられている。前記折り目は、幅方向の全域に亘って凹凸領域と重なる領域に設けられている。本体側縁と本体端縁の境界よりも前後方向の外側には、非凹凸領域が設けられている。非凹凸領域は、凹部及び凸部による変形起点が形成されず、凹凸領域よりもよれ難い。よって、本体部の前後方向の外端部が幅方向の力に対してよれることを抑制し、装着時の折れやよれを抑制できる。折り目は、幅方向の全域に亘って、凹凸領域と重なる領域に設けられており、非凹凸領域に設けられていない。凹凸領域は、凹部及び凸部による変形起点が複数設けられ、折り癖が形成されても、平坦な形状に戻りやすい。よって、本体部における折り目による皺やよれを抑制できる。よって、装着状態の折れやよれを抑制でき、装着感の悪化を抑制し、吸収性能の低下を抑制できる。
【0014】
第3態様に係る吸収性物品は、トップシートと、前記トップシートよりも非肌面側に位置する吸収体と、前記吸収体よりも非肌面側に位置するバックシートと、を有する本体部を備える。前記トップシートは、複数の凹部及び凸部が規則的に設けられた凹凸領域と、前記凹凸領域よりも前後方向の外側において、前記凹部及び前記凸部を有しない非凹凸領域と、を有する。前記吸収性物品は、使用前に、前記幅方向に沿った折り目を起点に折り畳まれている。前記凹部及び前記凸部は、前記幅方向に沿って設けられている。前記折り目よりも前記前後方向の外側において、前記非凹凸領域が設けられている。本態様によれば、折り目よりも前後方向の外側に非凹凸領域が設けられている。凹凸領域には凹部及び凸部が形成されており、吸収性物品の皺は、凹部や凸部に沿いやすい。皺が凹凸領域において形成されることにより、非凹凸領域まで皺が伝播し難くなる。非凹凸領域は、折り皺等の変形を形成され難く、平坦な形状を維持し易い。よって、装着状態における本体部における折り目による皺やよれを抑制でき、装着感の悪化を抑制し、吸収性能の低下を抑制できる。
【0015】
好ましい一態様によれば、前記非凹凸領域は、前記本体部の外端縁まで連続している。本態様によれば、非凹凸領域が目立ち易くなり、使用者が視覚によって、凹凸領域及び非凹凸領域を指標した止着部の位置の把握をし易い。また、本体部の外端部を把持した際に、非凹凸領域を持ちやすくなり、使用者が触感によって凹凸領域及び非凹凸領域を指標した止着部の位置の把握をし易い。
【0016】
好ましい一態様によれば、前記本体部の外縁は、前記前後方向に延びる本体側縁と、前記幅方向に延びる本体端縁と、を有する。前記凹部及び前記凸部は、幅方向に沿って延びている。前記凹部及び前記凸部は、前記本体側縁まで連続している。本態様によれば、凹凸領域における幅方向の曲げ剛性を高めることができる。本体側縁は、幅方向の力に対向し易く、装着時に脚によって挟まれた際においても本体部全体にわたって変形を抑制できる。よって、装着状態の折れやよれを抑制でき、装着感の悪化を抑制し、吸収性能の低下を抑制できる。
【0017】
好ましい一態様によれば、前記非凹凸領域の前記前後方向の長さは、前記凹凸領域と前記非凹凸領域の前記境界と、前記止着領域の外端縁と、の前後方向の距離よりも長い。本態様によれば、使用者が非凹凸領域をより把握し易くなる。
【0018】
好ましい一態様によれば、前記本体部の外縁は、前記前後方向に延びる本体側縁と、前記幅方向に延びる本体端縁と、を有する。前記非凹凸領域の前記前後方向の長さは、前記凹凸領域と前記非凹凸領域の前記境界と、前記本体側縁と前記本体端縁の境界と、の前後方向の距離よりも長い。本態様によれば、本態様によれば、使用者が非凹凸領域をより把握し易くなる。
【0019】
好ましい一態様によれば、前記本体部は、前記本体部の幅方向の中心を通り、かつ前後方向に延びる本体幅中心に対する一方側に位置する第1領域と、前記本体幅中心に対する他方側に位置する第2領域と、を有する。前記第1領域における前記止着領域の外端縁と、前記第2領域における前記止着領域の外端縁と、を繋ぐ仮想線は、前記幅方向に沿っている。前記凹凸領域と前記非凹凸領域の境界は、前記幅方向に沿っている。本態様によれば、凹凸領域と前記非凹凸領域の境界と、止着領域の外端縁同士を繋ぐ仮想線と、はいずれも、幅方向に沿って設けられている。そのため、使用者は、凹凸領域と前記非凹凸領域の境界に基づいて止着領域の範囲をより把握しやすくなる。
【0020】
好ましい一態様によれば、前記止着領域は、前記幅方向に延び、かつ前記前後方向に間隔を空けて設けられている。前記凸部及び前記凹部は、前記幅方向に延び、かつ前記前後方向に間隔を空けて設けられている。止着領域と、凹部及び凸部と、は、いずれも幅方向に延び、かつ前後方向に間隔を空けて設けられているため、幅方向に延びる変形起点が本体部に複数形成され、装着状態における皺やよれを吸収し易い。また、止着領域間の領域の変形皺等を吸収でき、本体部の皺やよれを抑制できる。
【0021】
好ましい一態様によれば、前記トップシートと前記バックシートが厚み方向に圧縮されたシート圧搾部を有する。前記シート圧搾部は、前記本体部の外縁に沿って配置され、前記凹凸領域と前記非凹凸領域を跨がっている。本態様によれば、シート圧搾部によって本体部の外縁の剛性を高めることができるとともに、シート圧搾部によって凹凸領域と非凹凸領域を囲み、凹凸領域と非凹凸領域の境界を目立たせることができる。加えて、本体部の位置合わせの目印としてシート圧搾部を活用することもできる。また、使用者は、シート圧搾部を、視覚だけでなく、触感でも認識できる。よって、シート圧搾部は、位置やデザインによってユニバーサルデザインとしても機能し、止着領域の位置をより使用者が把握し易くなる。
【0022】
好ましい一態様によれば、前記非凹凸領域は、前記本体部の前記前後方向の両端部にそれぞれ設けられている。前記吸収性物品は、前記前後方向に間隔を空けて配置され、かつ幅方向に延びる一対の折り目を起点に折り畳まれている。前記一対の折り目を起点に折り畳まれた状態で、前記非凹凸領域同士が重なっている。本態様によれば、一対の折り目を起点に折り畳まれた折り畳み状態において、本体部の両端部の非凹凸領域同士が重なることにより、折り畳んだ際の3層重なった部分の本体部の厚みを抑え、折り畳み状態の厚みのばらつきを抑制できる。厚みのばらつきを抑えることにより、凹部及び凸部の形状を維持し易い。
【0023】
好ましい一態様によれば、前記非凹凸領域は、前記本体部の前記前後方向の両端部にそれぞれ設けられている。前記吸収性物品は、前記前後方向に間隔を空けて配置され、かつ幅方向に延びる一対の折り目を起点に折り畳まれている。前記一対の折り目を起点に折り畳まれた状態で、前記非凹凸領域同士は、前記前後方向に離間して重ならない。本態様によれば、折り畳み状態において非凹凸領域同士が重ならないため、折り畳んだ際に、凹凸領域同士が重なる領域と、凹凸領域と非凹凸領域が重なる領域と、が設けられる。非凹凸領域は、凹凸領域と比較して変形起点がなく潰れやすいが、凹凸領域同士が重なる領域よりも厚みが薄い部分に配置されるため、非凹凸領域が潰れることを抑制できる。よって、凹部及び凸部の形状を維持し易い。
【0024】
好ましい一態様によれば、前記止着部の非肌面を覆う剥離シートと、前記剥離シートの非肌面を覆い、かつ本体接合部を介して前記剥離シートに接合された包装シートと、を有する。前記本体接合部の少なくとも一部は、前記非凹凸領域に重なっている。本態様によれば、本体接合部と重なる領域に非凹凸領域が配置されている。非凹凸領域は、凹凸領域よりも厚みが薄く、使用者は、非凹凸領域を介して剥離シート及び止着部の存在を把握できる。また、非凹凸領域は、凹凸領域と比較して、凹部及び凸部による変形起点が形成されないため、平坦な形状を維持し易い。よって、非凹凸領域と重なる領域では、剥離シートの剥離に際して本体部が変形しても、本体部が元の形状に戻りやすい。よって、剥離シートと止着領域のせん断力を抑制しつつ剥離シートと本体部を分離でき、本体部のよれ等を抑制しつつ装着操作を行うことができる。
【0025】
好ましい一態様によれば、吸収性物品は、前記止着部の非肌面を覆う剥離シートと、前記剥離シートの非肌面を覆い、かつ本体接合部を介して前記剥離シートに接合された包装シートと、を有する。前記剥離シートは、前記包装シートよりも前記前後方向の外側に延出した延出領域を有する。前記非凹凸領域は、前記延出領域よりも前記前後方向の外側に延出している。使用者は、包装シートよりも延出した延出領域を掴み易く、当該延出領域を把持して本体部を取り外すことができる。また、延出領域よりも前記前後方向の外側に非凹凸領域が位置するため、剥離シートを本体部から剥がす際に、本体部側がよれすぎずに剥離シートを円滑に剥がし易い。
【0026】
前記本体部の外縁は、前記前後方向に延びる本体側縁と、前記幅方向に延びる本体端縁と、を有する。前記本体部は、前記本体部を着用物品に止着する止着部が設けられた止着領域を有する。前記止着領域は、前記本体側縁に到達している。前記止着領域の前記前後方向の外端縁は、前記本体部において最も幅が広い幅広部よりも前後方向の外側に位置している。本態様によれば、止着領域を介して本体部の幅方向の全域を止着することができ、特に本体部の外側縁における皺やよれを抑制できる。また、幅広部を越えた前後方向の外側の領域を止着領域を介して止着できるため、幅広部を着用物品に止着でき、幅方向の力を受けやすい幅広部のよれを抑制できる。
【0027】
一態様に係る吸収性物品の製造方法は、トップシートの凹凸領域に、吸収性物品の幅方向に延び、かつ前後方向に間隔を空けて配置した凸部及び凹部を形成する凹凸形成工程と、前記トップシート、吸収体、及びバックシートを積層した積層体が連続した連続積層体を、前記幅方向に沿って搬送する搬送工程と、前記連続積層体を前記本体部の外縁に沿って切断する切断工程と、を有する。前記凹凸形成工程は、前記本体部の前記前後方向の外端縁と離間した位置に、前記凹凸領域を設ける。本態様によれば、本体部の外端部のR形状部分には、凹部及び凸部が設けられていなく、凹部及び凸部による変形起点が形成されないことで平坦な形状を維持し易い。そのため、製造時に本体部の外縁の形状に沿って連続積層体を切断し易い。
【0028】
(2)吸収性物品の全体概略構成
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0029】
吸収性物品は、パンティライナーである。なお、本発明に係る吸収性物品は、下着に装着して使用する吸収性物品であってよく、例えば、軽失禁パッドであってもよいし、生理用ナプキンであってもよい。図1は、本実施形態に係る吸収性物品1の本体部2の肌面側T1から見た平面図である。図2は、図1に示す吸収性物品1の本体部2の非肌面側T2から見た平面図である。図3は、実施形態に係る吸収性物品1の非肌面側T2から見た平面図である。図4は、図3に示す吸収性物品のA-A断面に沿った模式断面図である。なお、図4の断面図においては、各部材を厚み方向Tに離間して示しているが、実際の製品にあっては、各部材が厚み方向Tに隣接してよい。また、図4においては、説明の便宜上、本体部2の部材を一体化して示している。図5は、本体部2の前側部分の部分拡大図である。図6は、図4に示すB部分のトップシートの部分拡大図である。
【0030】
吸収性物品1は、互いに直交する前後方向L及び幅方向Wを有する。前後方向Lは、身体前側と身体後側とに延びる方向によって規定される。言い換えると、前後方向Lは、展開された吸収性物品1において前後に延びる方向である。また、吸収性物品1は、前後方向Lと幅方向Wの両方の直交する厚み方向Tを有する。厚み方向Tは、着用者側に向かう肌面側T1と、肌面側T1と反対側の非肌面側T2と、に延びる。また、当該実施形態において、一定の方向に延びる構成は、当該方向に平行な構成のみならず、当該方向に対して45度未満で延びる構成も含む概念である。
【0031】
吸収性物品1は、本体部2を有する。本体部2は、下着等の着用物品に装着される部分であり、トップシート10と、バックシート20と、吸収体30と、を少なくとも有する。トップシート10は、例えば不織布や開孔プラスチックフィルムのような液透過性のシートによって構成されていてよい。トップシート10は、複数のシートが積層されて構成されてもよいし、セカンドシートを有してもよい。例えば、コットン繊維を含むコットンシートと、レーヨンとポリエチレンからなるシートと、の積層シートによってトップシート10を構成してもよいし、当該積層シートと、エアスルー不織布によるセカンドシートと、によってトップシート10を構成してもよい。本実施の形態のトップシート10は、エアスルー不織布によって構成されている。また、エアスルー不織布より肌面側T1にコットンシートを有してもよい。着用者の肌にコットンシートが触れるため、肌触りを向上できる。トップシート10については、後述にて詳細に説明する。
【0032】
バックシート20は、例えば、プラスチックフィルムのような液不透過性のシートによって構成されてよい。バックシート20は、通気性を有してもよい。通気性を有するバックシート20によれば、尿や汗の吸収時にバックシート20を介して本体部2外に湿気を排出し易い。よって、蒸れを低減して装着感を向上できる。トップシート10及びバックシート20は、本体部2の外縁2Eまで到達している。本実施の形態において、外側縁は、幅方向Wの外端であり、前端縁は、前側の縁であり、後端縁は、後側の縁である。外端縁は、前端縁と後端縁を含む概念である。また、外縁は、外側縁、前端縁及び後端縁を含む外周全体の縁である。また、外端部は、外端縁を含み、かつ前後方向に一定の長さを有する部分である。吸収体30は、トップシート10とバックシート20の間に配置されている。吸収体30は、少なくとも親水性繊維を有していればよく、高吸収性ポリマー(SAP)を有してもよい。
【0033】
図2に示すように、バックシート20の非肌面には、本体部2を下着に接合するための止着部40が配置されてよい。止着部40は、本体部2を下着に接合する粘着剤が設けられた部分であってもよい。止着部40は、幅方向Wに延び、前後方向Lに間隔を空けて複数設けられてもよいし、前後方向Lに延び、かつ幅方向Wに間隔を空けて複数設けられていてもよい。本実施の形態の止着部40は、幅方向Wに延び、かつ前後方向Lに間隔を空けて設けられている。本体部2には、止着部40が設けられた止着領域R41が設けられている。本実施の形態の止着部40は、粘着剤によって構成されており、止着部40の平面視の範囲と、止着領域R41の平面視の範囲と、は一致している。本体部2は、止着部40を有しない非止着領域R42を有する。非止着領域R42は、止着領域R41同士の前後方向Lの間隔に設けられ、かつ最も前後方向Lの外側に位置する止着領域R41と、本体部2の外端縁と、の間に設けられている。
【0034】
吸収性物品1は、剥離シート51を有してよい。剥離シート51は、本体部2の使用前に、止着部40の非肌面を覆い、本体部2の使用時に本体部2から分離される。止着部40は、本体部2の使用前に剥離シート51によって覆われていてよい。吸収性物品1は、本体部2を個別に包装する包装シート55を有してよい。包装シート55は、剥離シート51の非肌面を覆い、かつ本体接合部67を介して剥離シート51に接合されている。図3に示すように、吸収性物品1は、使用前に幅方向Wに延びる折り目FLを基点に折り畳まれていてよい。折り目は、一対の折り目FLであってよく、第1折り目FL1と、第1折り目FL1と前後方向Lに間隔を空けて配置された第2折り目FL2と、を有してよい。折り目FLは、本体部2のみを折り畳む折り目であってもよいし、本体部2、剥離シート51及び包装シート55を共に折り畳む折り目であってもよい。本体接合部67は、前後方向Lに間隔を空けて複数設けられている。本実施の形態の本体接合部67は、第1折り目FL1よりも前後方向Lの外側と、第1折り目FL1と第2折り目FL2の間と、第2折り目FL2よりも前後方向Lの外側と、のそれぞれに設けられている。なお、吸収性物品1は、本体部2のみによって構成されてよく、また止着部40を有していなくてもよい。また、包装シート55の肌面側T1をシリコン等でコーティングすることによって、剥離シート51の機能を、包装シート55が兼ねていてもよい。
【0035】
図5に示すように、本体部2の外縁2Eは、前後方向Lに延びる本体側縁2E1と、幅方向Wに延びる本体端縁2E2と、を有する。本体側縁2E1は、前後方向Lに平行な側縁のみならず、前後方向Lに対して45度以下で傾斜した外縁を含む。本体端縁2E2は、幅方向Wに平行な端縁のみならず、幅方向Wに対して45度未満で傾斜した外縁を含む。本実施の形態の本体端縁2E2は、本体部2の前端部及び後端部に配置され、前後方向Lの本体端縁2E2間に、本体側縁2E1が配置されている。本体側縁2E1と、本体端縁2E2と、の外縁境界2Bを図5に示す。図1に示すように、本体部2は、本体部2の幅方向Wの中心を通り、かつ前後方向Lに延びる本体幅中心2CWに対する一方側に位置する第1領域R1と、本体幅中心に対する他方側に位置する第2領域R2と、を有してよい。
【0036】
本体部2の外縁2Eに沿って、少なくともトップシート10とバックシート20が厚み方向Tに圧縮されたシート圧搾部45が設けられてよい。シート圧搾部45は、少なくともトップシート10とバックシート20が接合されていればよく、吸収体30も接合されていてもよい。シート圧搾部45は、本体部2の外縁2Eに到達してよい。シート圧搾部45は、熱溶着、超音波溶着、エンボス加工のいずれかによって形成されてよい。本実施の形態のシート圧搾部45は、トップシート10、バックシート20、及び吸収体30がエンボス加工によって接合されている。エンボス加工によるシート圧搾部45が本体部2の外縁2Eに設けられていることにより、本体部2の外縁に体液が到達しても、密度が高いシート圧搾部45内で体液を保持し、横漏れを抑制できる。加えて、本体部の外縁近傍の剛性を高めることができるため、本体部の外縁近傍の使用中の折れを抑止することもできる。なお、シート圧搾部45は、図1及び図2において示す、便宜上、図3及び図4において省略している。
【0037】
本実施の形態に係る吸収性物品1は、吸収性物品1の本体部2に意図しない皺やよれが発生することを抑制し、吸収性能及び装着感を向上できるように構成されている。次いで、吸収性能及び装着感を向上させるための構成について詳細に説明する。当該吸収性能及び装着感を向上させるための構成は、大別して第1実施形態から第3実施形態がある。まず、第1実施形態について説明する。第1実施形態に係る吸収性物品のトップシート10は、中央領域R11と、中央領域よりも前後方向Lの外側に位置する端部領域R12と、を有する。中央領域と端部領域は、表面摩擦係数(MIU)、表面粗さの平均偏差(SMD)、摩擦係数の平均偏差(MMD)、及び曲げ剛性のいずれかが異なる。止着領域R41の前後方向Lの外端縁は、中央領域R11の前後方向Lの外端縁よりも前後方向Lの外側に設けられていることを特徴とする。
【0038】
中央領域R11と端部領域R12は、トップシート10自体の構成によって、表面摩擦係数(MIU)、表面粗さの平均偏差(SMD)、摩擦係数の平均偏差(MMD)、及び曲げ剛性のいずれかが異なるように構成されている。そのため、シート圧搾部45の有無は、中央領域R11と端部領域R12の区別に影響しない。すなわち、シート圧搾部45によって曲げ剛性等が異なる構成は、中央領域R11と端部領域R12を構成しない。本実施の形態は、図6に示すように、トップシート10に形成された規則的な凹部12と凸部11が形成された非凹凸領域が中央領域を構成し、当該規則的な凹部12と凸部11が形成されていない非凹凸領域が端部領域を構成する。そのため、以下の実施形態において、凹凸領域及び中央領域の両方をR11で示し、非凹凸領域及び端部領域の両方をR12にて示す。また、中央領域R11と端部領域R12において表面摩擦係数及び曲げ剛性の少なくとも一方が異なる構成は、一方の領域のみに開口を形成する構成、開口率を異ならせる構成を例示できる。表面摩擦係数(MIU)、表面粗さの平均偏差(SMD)、摩擦係数の平均偏差(MMD)、及び曲げ剛性に基づいて中央領域と端部領域を規定する際は、一方の領域における表面摩擦係数(MIU)、表面粗さの平均偏差(SMD)、摩擦係数の平均偏差(MMD)、及び曲げ剛性のいずれかの値を基準値として、他方の領域の値が当該基準値の10%以上の差異がある場合は、中央領域R11と端部領域R12を区別できる。すなわち、値が10%未満の差異の場合には、中央領域と端部領域を構成しない。値が10%以上の差異の場合には、使用者が視覚又は触覚によって領域を区別できるためである。
【0039】
表面摩擦係数(MIU)は、例えば、次の方法によって測定できる。摩擦子(サンプルと接触する部分)への荷重W、サンプルとの摩擦力Fとすると、摩擦係数μは次式で表すことができる。
摩擦係数μ=摩擦力F/荷重W
表面摩擦係数(MIU)は、摩擦係数μの測定長さL1における平均値とした。
(1)測定器は、自動化表面試験機(カトーテック株式会社製 KESFB4-AUTO-A)の摩擦力検出機能を用いた。測定条件は、摩擦子の接触面積が5mm×5mm(0.25cm)とし、荷重Wが摩擦子の重さを含めて垂直方向に50gf(約0.5N)とした。
(2)測定試料は吸収性物品から長さ40mm以上及び、幅15mm以上となるように切り取り準備した。凹凸が形成された領域を測定する場合は、摩擦子が凸部と凹部をまたがり移動する方向に向け測定試料を切断する。凹部及び凸部が形成されていない領域では、摩擦子が幅方向または前後方向に沿って移動する方向に向けて切断し、測定する。
(3)測定試料を400gの張力を掛けて自動化表面試験機にセットし、上記摩擦子を荷重Wでサンプルに接触させ、摩擦子の移動速度を1mm/secとして、摩擦力Fの測定を行い、上記した式等により平均摩擦係数(MIU)を算出した。
(4)異なる測定試料で、上述の測定を計5回繰り返し、表面摩擦係数(MIU)の平均値を採用する。
【0040】
MMD(摩擦係数の平均偏差)及びSMD(表面粗さの平均偏差)の測定は、シートの表面の感触を表す特性値として一般的に知られている、カトーテック株式会社製のKESでの特性値(参考文献:風合い評価の標準化と解析(第2版)、著者 川端季雄 発行昭和55年7月10日)に基づいて測定できる。具体的には、表面特性の測定は、カトーテック(株)製KES-FB4を用いて、各サンプルにおいて10×10cmを試料とし、平滑な金属平面の試験台に配置して行った。表面粗さの測定は、その表面(又は裏面)上に、10gfの荷重を掛け、かつ、0.5mm径のピアノ線で巻かれた幅0.5cmの接触端子を試料に圧着させて行い、また、表面摩擦の測定は、表面粗さの測定に用いた接触端子と同じピアノ線を巾1.0cmに20本並べ重錘によって50gfの力で接触面を試料に圧着させて行う。表面摩擦及び表面粗さの測定では、試料を0.1cm/secの一定速さで水平に2cm移動させ、試料には10g/cmの一軸張力が与えられる。測定結果により、MMD(摩擦係数の平均偏差)及びSMD(表面粗さの平均偏差)を求めた。
【0041】
曲げ剛性は、例えば、次の方法によって測定できる。
ガーレー剛軟度は以下の方法で測定する。なお、記載されていない事項は、JIS L 1913:2010「一般不織布試験方法」の「6.7.4 ガーレー法」に準じて測定する。
(1)安田精機製作所社製のNo.311ガーレー式柔軟度試験機を恒温恒湿室(温度:25±5℃,相対湿度:65±5%)に準備する。
(2)吸収性物品の止着部にシッカロールを塗ることで粘着性を無くし、張り付かない状態にする。
(3)測定試料は製品幅方向にL2=15mm以上(振り子にかかる部分を4mm、曲げ剛性測定部を8mm、チャック部を3mm以上)とし、製品長手方向は任意の長さ(例えば6mm)に切断して、測定試料とする。
(4)測定試料の表面シートがガーレー式柔軟度試験機の振り子に触れるように、測定試料のチャック部を挟みセットする。
(5)可動アームを定速回転させ、サンプルが振り子から離れる際の目盛り(RG)を読む(1回目)。次いで、サンプルの表裏を反対にして、サンプルをガーレー式柔軟度試験機にセットし、サンプルが振り子Bから離れる際の目盛り(RG)を読む(2回目)。
(6)以下の式から、剛軟度(mN)を計算する。
【数1】
(a=25.4mm、b=50.8mm、c=101.6mm)
Wa、Wb、Wc:第1、第2、第3の取付孔に取り付けたおもりの質量(g)
d:測定試料の幅(mm)
L2:測定試料の長さ(mm)
(7)異なる測定試料で、上述の測定を計5回繰り返し、上記剛軟度の平均値を採用する。
【0042】
止着領域R41の前後方向Lの外端縁は、複数の止着領域R41を有する形態にあっては、最も前後方向Lの外側に位置する止着領域R41の外端縁であり、図2において、符号R411にて示す。止着領域R41の前後方向Lの外端縁R411は、中央領域R11の前後方向Lの外端縁R111よりも前後方向Lの外側に設けられている。なお、止着領域R41の前端縁が中央領域R11の前端縁よりも前側に位置していてもよいし、止着領域R41の後端縁が中央領域R11の後端縁よりも後側に位置していてもよい。本実施の形態では、止着領域R41の前端縁が中央領域R11の前端縁よりも前側に位置し、かつ止着領域R41の後端縁が中央領域R11の後端縁よりも後側に位置している。第1実施形態によれば、止着領域R41の前後方向Lの外端縁R411よりも前後方向Lの外側の非止着領域R42は、止着部40が設けられてない。使用者は、本体部2を着用物品に取り付ける際に、包装状態の吸収性物品から本体部2を取り外したり、折り畳み状態の本体部2を展開したりして、取り付け前の操作を行う。このとき、使用者は、本体部2の前後方向Lの中央でなく、本体部2の前後方向Lの端部を把持して当該操作を行うことがある。また、使用者によっては、肌に対する触感等を確認するために、本体部2の肌面を手でなぞるように触れることがある。このような本体部2の取り付け前の操作の過程で、使用者は、トップシート10に触れ、見た目や触感が異なる2つの領域(端部領域R12と中央領域R11)の存在を把握できる。また、使用者は、本体部2を把持した際に、トップシート10に触れると共に、本体部2の非肌面にも触れ、止着領域R41の位置や存在を把握する。具体的には、手に止着部40が触れると、使用者は、止着部40がない領域(非止着領域R42)を把持し直すために、把持する位置を前後方向Lの外側にずらす。使用者は、本体部2の肌面側T1から認識できる端部領域R12と中央領域R11の位置を目印として、本体部2の非肌面側T2に位置する止着領域R41の大凡の位置を把握できる。
【0043】
中央領域は、複数の凹部12及び凸部11が規則的に設けられた凹凸領域R11であってよく、端部領域は、凹部12及び凸部11を有しない非凹凸領域R12であってよい。凹凸領域R11と非凹凸領域R12は、見た目や触感が異なり、使用者は、肌面側T1から本体部2を視認したり、本体部2を触ったりして、非凹凸領域R12の存在によって、本体部2の非肌面側T2に設けられた止着部40の存在の有無(非止着領域の位置)を把握できる。よって、使用者は、本体部2の止着領域R41の位置を適切に把握し、着用物品に適切な位置に装着でき、装着時の折れやよれを抑制できる。また、凹凸領域R11は、凹部12及び凸部11を有し、非凹凸領域R12と比較して表面摩擦係数が高いため、よれ難い。凹凸領域R11には凹部12及び凸部11が形成されており、吸収性物品の皺は、凹部や凸部に沿いやすい。皺が凹凸領域内で形成されることで、非凹凸領域まで皺が伝播し難くなる。また、凹凸領域R11は、凹部12及び凸部11による変形起点が形成されるため、当該変形起点によって非凹凸領域R12よりもよれることがある。また、凹凸領域に皺が形成された場合であっても凹凸領域R11を越えた領域(非凹凸領域R12)を止着領域R41を介して着用物品に止着できるため、凹凸領域R11の外端縁R111を着用物品に止着でき、凹凸領域R11のずれやよれを抑制できる。
【0044】
なお、規則的な凹部12及び凸部11は、特定の間隔で成形された凹部及び凸部をさしており、自然状態においてピッチが±10%の誤差の範囲、高さが±20%の範囲であれば、製造誤差範囲であるものと判断し、規則的であると捉えてよいものとする。また、複数ピッチが混在していたとしても、凹部の間隔が3列以上あるものは、規則的な凸部及び凹部と解するものとする。凹部及び凸部は、例えば、幅方向Wに延び、かつ前後方向Lに交互に配置された凹部12及び凸部11であってもよいし、前後方向Lに延び、かつ幅方向Wに交互に配置された凹部12及び凸部11であってもよいし、規則的に配置された点状の凹部12又は凸部11であってもよい。本実施の形態の凹部12及び凸部11は、それぞれ幅方向Wに延びており、凹部12及び凸部11は、前後方向Lに交互に配置されている。凹部12及び凸部11は、厚みが異なっていればよい。凹部12及び凸部11は、繊維の坪量が異なることで厚みが異なっていてもよいし、繊維の坪量が同じであるが密度が異なることによって厚みが異なっていてもよい。また、非凹凸領域R12は、凹凸領域R11を構成する規則的な凹部12及び凸部11が形成されていなければよく、不規則な凹部12及び凸部11が設けられていてもよいし、凹凸領域R11を構成する凹部12及び凸部11と異なる規則的な凹部12及び凸部11が設けられていてもよい。また、前述のように、トップシート10自体の構成によって表面摩擦係数及び曲げ剛性の少なくとも一方が異なっていればよく、非凹凸領域R12に、シート圧搾部45が設けられていてもよい。
【0045】
第2実施形態に係る吸収性物品において、トップシート10は、複数の凹部12及び凸部11が規則的に設けられた凹凸領域R11と、凹凸領域R11よりも前後方向Lの外側において、凹部12及び凸部11を有しない非凹凸領域R12と、を有することを特徴とする。また、第2実施形態において、凹凸領域R11は、本体側縁2E1まで連続していることを特徴とする。第2実施形態の本体側縁2E1と本体端縁2E2の外縁境界2Bは、凹凸領域R11の前後方向Lの外端縁R111よりも前後方向Lの外側に設けられていることを特徴とする。折り目FLは、幅方向Wの全域に亘って凹凸領域R11と重なる領域に設けられていることを特徴とする。凹凸領域R11が本体側縁2E1まで連続している構成は、凹部12及び凸部11が本体側縁2E1に到達していればよいが、幅方向Wの両側の本体側縁2E1を跨がって連続してもよい。本体側縁2E1と本体端縁2E2の外縁境界2Bは、凹凸領域R11の前後方向Lの外端縁R111よりも前後方向Lの外側に設けられている。本体部2の前側における外縁境界2Bが凹凸領域R11の前端縁よりも前側に位置してもよいし、本体部2の後側における外縁境界2Bが凹凸領域R11の後端縁よりも後側に位置してもよい。なお、外縁が波形状の構成等、外縁境界2Bが複数設けられた形態にあっては、最も前後方向の外側に位置する外縁境界2Bが凹凸領域R11の外端縁R111よりも前後方向Lの外側に位置していればよいが、好適には、最も前後方向Lの内側に位置する外縁境界2Bが凹凸領域R11の外端縁R111よりも前後方向Lの外側に位置してよい。また、折り目FLが幅方向Wの全域に亘って凹凸領域R11と重なる領域に設けられた構成は、第1折り目FL1と第2折り目FL2のいずれかの折り目FLが、当該折り目FLの幅方向Wの全体に亘って凹凸領域R11と重なる領域に設けられていればよい。
【0046】
第2実施形態に係る吸収性物品によれば、外縁境界2Bよりも前後方向Lの外側は、凹凸領域R11の前後方向Lの外端縁R111よりも前後方向Lの外側に位置し、非凹凸領域R12が設けられている。非凹凸領域R12は、凹部12及び凸部11による変形起点が形成されず、凹凸領域R11よりもよれ難い。外縁境界2Bは、本体部2の外縁の曲率が大きく変化する点である。また、外縁境界2Bよりも前後方向Lの内側は、幅方向Wに対して角度が付いており、幅方向Wの力に対して対向し易く、外縁境界2Bよりも前後方向Lの外側は、幅方向Wに沿うため、幅方向Wの力に対向し難く、変形し易い。第2実施形態に係る吸収性物品によれば、本体部2の前後方向Lの外端部が幅方向Wの力に対してよれることを抑制し、装着時の折れやよれを抑制できる。非凹凸領域R12は、凹凸領域R11よりも前後方向Lの外側に位置しており、本体部2の外端部(前端部及び後端部)に位置する。一般的に、本体部2の外端部は、肌に対する当たりを抑制するため、曲率を有するR形状である。本体部2の外端部のR形状部分には、凹部12及び凸部11が設けられていなく、凹部12及び凸部11による変形起点が形成されないことで、平坦な形状を維持し易い。、そのため、製造時に本体部2の外縁の形状に沿って切りやすい。また、折り目FLが非凹凸領域R12に設けられていると、非凹凸領域R12に折り目による折り皺が形成される。しかし、第2実施形態に係る吸収性物品によれば、折り目FLの幅方向Wの全体は、凹凸領域R11に設けられており、非凹凸領域R12に設けられていない。凹凸領域R11は、凹部12及び凸部11による変形起点が複数設けられ、折り癖が形成されても、平坦な形状に戻りやすい。よって、本体部2における折り目による皺やよれを抑制し、装着時の折れやよれを抑制できる。
【0047】
第3実施形態に係る吸収性物品において、トップシート10は、凹凸領域R11と、非凹凸領域R12と、を有することを特徴とする。吸収性物品1は、使用前に、幅方向Wに沿った折り目FLを起点に折り畳まれていることを特徴とする。凹部12及び凸部11は、幅方向Wに沿って設けられていることを特徴とする。折り目FLよりも前後方向Lの外側において、非凹凸領域R12が設けられていることを特徴とする。第3実施形態において、非凹凸領域R12は、第1折り目FL1よりも前側又は第2折り目FL2よりも後側に少なくとも設けられていればよく、両方に設けられていてもよい。折り目FLによって本体部2には、折り皺等が形成される。折り目FLよりも前後方向Lの外側に、非凹凸領域R12が設けられている。凹凸領域R11には凹部12及び凸部11が形成されており、吸収性物品1の皺は、凹部12や凸部11に沿いやすい。皺が凹凸領域R11において形成されることにより、非凹凸領域R12まで皺が伝播し難くなる。非凹凸領域R12は、折り皺等の変形を形成され難く、平坦な形状を維持し易い。よって、装着状態における本体部2における折り目による皺やよれを抑制でき、装着感の悪化を抑制し、吸収性能の低下を抑制できる。よって、本体部2における折り目による皺やよれを抑制し、装着状態の折れやよれを抑制できる。また、使用者が折り目FLよりも前後方向Lの外側の領域を掴むと、非凹凸領域R12を掴むこととなる。非凹凸領域R12を使用者が掴んで着用物品に取り付ける作業の中で、掴んだ際の凹部12及び凸部11の当たりによる使用時の抵抗感が発生するリスクを抑制できる。
【0048】
以下、上述の第1実施形態から第3実施形態に係る吸収性物品において、好適には、以下の構成を備えていてもよい。非凹凸領域R12は、本体部2の外端縁まで連続してよい。すなわち、非凹凸領域R12は、凹凸領域R11の前端縁から本体部2の前端縁まで連続して設けられていてもよいし、凹凸領域R11の後端縁から本体部2の後端縁まで連続して設けられていてもよい。本態様によれば、非凹凸領域R12が目立ち易くなり、使用者が視覚によって、凹凸領域R11及び非凹凸領域R12を指標した止着部の位置の把握をし易い。また、本体部2の外端部を把持した際に、非凹凸領域R12を持ちやすくなり、使用者が触感によって凹凸領域及び非凹凸領域を指標した止着部の位置の把握をし易い。また、本体部2の外端部を把持した際に、非凹凸領域R12を持ちやすくなり、触感によって、止着部の有無を把握し易い。また。折り目FLよりも前後方向Lの外側に位置する非凹凸領域R12が本体部2の外端縁まで連続しているため、本体部2の外端縁を平坦に保ち易くなる。
【0049】
凹部12及び凸部11は、幅方向Wに沿って延び、凹部12及び凸部11は、本体側縁2E1まで連続してよい。凹凸領域R11における幅方向Wの曲げ剛性を高めることができる。本体側縁2E1は、幅方向Wの力により対向し易く、本体部2全体にわたって変形を抑制できる。また、折り目FLと、凹部12及び凸部11と、が同じ方向に延びる形態にあっては、折り目FLによる折り皺を凹部12及び凸部11によって吸収し易い。よって、本体部2における折り目による皺やよれをより抑制し、装着状態の本体部2の折れやよれを抑制できる。
【0050】
凹凸領域R11と非凹凸領域R12の凹凸境界13の前後方向Lの位置と、止着領域R41の外端縁の前後方向Lの位置と、一致していてもよい。好適には、凹凸領域R11と非凹凸領域R12の凹凸境界13と、止着領域R41の外端縁R411と、は、前後方向Lにずれてよい。図4に示すように、非凹凸領域R12の前後方向Lの長さR12Lは、凹凸境界13と止着領域R41の外端縁R411との前後方向Lの距離G11よりも長くてよい。本態様によれば、非止着領域R42の位置及び存在を使用者が把握し易くなる。また、図5に示すように、非凹凸領域R12の前後方向Lの長さR12Lは、凹凸境界13と、本体側縁2E1と本体端縁2E2の外縁境界2Bと、の前後方向Lの距離G12よりも長くてよい。凹凸境界13から外縁境界2Bまで、連続して非凹凸領域R12が設けられる。よって、凹凸境界13から外縁境界2B間の領域の非凹凸領域R12において本体部2を平坦な形状とすることができ、本体部2の外端部のR形状部分を平坦な状態で体に当てることができる。
【0051】
図2に示すように、第1領域R1における止着領域R41の外端縁と、第2領域R2における止着領域R41の外端縁と、を繋ぐ仮想線EL1は、幅方向Wに沿い、凹凸境界13は、幅方向Wに沿ってよい。本実施の形態のように、止着領域R41が幅方向Wに延びる形態にあっては、止着領域R41の前後方向Lの外端縁(前端縁又は後端縁)R411が仮想線を構成する。止着領域R41が幅方向Wに離間した形態にあっては、第1領域R1における止着領域R41の外端縁R411と、第2領域R2における止着領域R41の外端縁R411と、を繋いだ線が仮想線を構成する。当該構成によれば、凹凸境界13と、止着領域R41の外端縁同士を繋ぐ仮想線EL1と、はいずれも、幅方向Wに沿って設けられている。そのため、凹凸境界13に基づいて止着領域R41の範囲をより把握しやすい。加えて、折り目FLと、凹凸境界13と、仮想線と、が同じ方向に延びる形態においては、幅方向Wに延びる変形起点が複数形成され、折り目FLによる折り皺を吸収し易く、本体部2をより平坦に維持しやすくなる。
【0052】
止着領域R41は、幅方向Wに延び、かつ前後方向Lに間隔を空けて設けられ、凸部11及び凹部12は、幅方向Wに延び、かつ前後方向Lに間隔を空けて設けられてよい。本態様によれば、止着領域R41と、凹部12及び凸部11と、が同じ方向に延びているため、幅方向Wに延びる変形起点が複数形成され、折り目FLによる折り皺を吸収し易い。また、止着領域R41間の領域によって、折り癖による皺等を吸収でき、本体部2の皺やよれを抑制できる。
【0053】
シート圧搾部45は、本体部2の外縁2Eに沿って配置され、凹凸領域R11と非凹凸領域R12を跨がってよい。シート圧搾部45によって本体部2の外縁の剛性を高めることができるとともに、シート圧搾部45によって凹凸領域R11と非凹凸領域R12を囲み、凹凸境界13を目立たせることができる。加えて、本体部2の位置合わせの目印としてシート圧搾部45を活用することもできる。また、使用者は、シート圧搾部45を、視覚だけでなく触感でも認識できる。よって、シート圧搾部45は、位置やデザインによってユニバーサルデザインとしても機能し、止着領域R41の位置をより使用者が把握し易くなる。
【0054】
非凹凸領域R12は、本体部2の前後方向Lの両端部にそれぞれ設けられてよい。すなわち、非凹凸領域R12は、本体部2の前端縁から後側に延びる領域と、本体部2の後端縁から前側に延びる領域と、の両方に設けられてよい。一対の折り目(第1折り目FL1及び第2折り目FL2)を起点に折り畳まれた状態で、非凹凸領域R12同士が重なってよい。折り畳み状態で、非凹凸領域R12の少なくとも一部が重なっていればよい。非凹凸領域R12の厚みは、凹凸領域R11の厚みよりも薄い。一対の折り目FLを起点に折り畳まれた折り畳み状態において、本体部2の両端部の非凹凸領域R12同士が重なることにより、折り畳んだ際の3層重なった部分の本体部2の厚みを抑え、折り畳み状態の厚みのばらつきを抑制できる。折り畳み状態で局所的に厚みが厚い部分があると、当該厚み部分の凸部11が圧縮によって潰れ、凹部12及び凸部11の形状を維持しにくいことがある。しかし、厚みのばらつきを抑えることにより、凹部12及び凸部11の形状を維持し易い。
【0055】
変形例において、一対の折り目FLを起点に折り畳まれた状態で、非凹凸領域R12同士は、前後方向Lに離間して重ならなくてよい。換言すると、一対の折り目FLを起点に折り畳まれた状態において、本体部2の前端縁と後端縁が前後方向Lに離間し、重ならなくてよい。本態様によれば、折り畳み状態において非凹凸領域R12同士が重ならないため、折り畳んだ際に、凹凸領域R11同士が重なる領域と、凹凸領域R11と非凹凸領域R12が重なる領域と、が設けられる。非凹凸領域R12は、凹凸領域R11と比較して変形起点がなく潰れやすいが、凹凸領域R11同士が重なる領域よりも厚みが薄い部分に配置されるため、非凹凸領域R12が潰れることを抑制できる。よって、凹部12及び凸部11の形状を維持し易い。
【0056】
本体接合部67の少なくとも一部は、非凹凸領域R12に重なってよい。使用者は、本体部2から剥離シート51を剥がす際に、包装シート55を把持して本体部2と剥離シート51を分離させることがある。このとき、包装シート55を引っ張った力は、本体接合部67を介して剥離シート51にかかり、本体接合部67と重なる領域において、剥離シート51と止着領域R41が剥離しようとする。非凹凸領域R12は、凹凸領域R11と比較して、凹部12及び凸部11による変形起点が形成されないため、平坦な形状を維持し易い。よって、非凹凸領域R12と重なる領域では、剥離シート51の剥離に際して本体部2が変形しても、本体部2が元の形状に戻りやすい。よって、剥離シート51と止着領域R41のせん断力を抑制しつつ剥離シート51と本体部2を分離でき、本体部2のよれ等を抑制しつつ装着操作を行うことができる。
【0057】
図3に示すように、剥離シート51は、包装シート55よりも前後方向Lの外側に延出した延出領域53を有してよい。本実施の形態の延出領域53は、包装シート55の後端縁よりも後側に延出している。非凹凸領域R12は、延出領域53よりも前後方向Lの外側に延出してよい。使用者は、包装シート55よりも延出した延出領域53を掴み易く、当該延出領域53を把持して本体部2を取り外すことができる。また、延出領域53よりも前後方向Lの外側に非凹凸領域R12が位置するため、剥離シート51を本体部2から剥がす際に、本体部2側がよれすぎずに剥離シート51を剥がし易い。延出領域53は、平面視にて包装シート55よりも延出した部分であり、凹凸領域R11と非凹凸領域R12の両方と重なってよい。また、延出領域53は、止着領域R41と非止着領域R42が重なってよい。包装シートの後端縁において、前側から後側に向かって、凹凸境界13、止着領域R41の後端縁、延出領域53、本体部2の後端縁の順で並んでおり、それぞれは前後方向Lに離間している。
【0058】
止着領域R41は、本体側縁2E1に到達してよい。すなわち、止着領域R41の外側縁は、本体側縁2E1に一致してよい。止着領域R41は、幅方向Wの両側の本体側縁2E1を跨がって連続してもよいし、本体側縁2E1を跨がらずに、止着領域R41が幅方向Wに分離していてもよい。止着領域R41の前後方向Lの外端縁は、本体部2において最も幅が広い幅広部M2(図5参照)よりも前後方向Lの外側に位置してよい。本態様によれば、止着領域R41を介して本体部2の幅方向Wの全域を止着することができ、特に本体部2の外側縁における皺やよれを抑制できる。また、幅広部M2を越えた前後方向Lの外側の領域を止着領域R41を介して止着できるため、幅広部M2を着用物品に止着でき、幅方向Wの力を受けやすい幅広部M2のよれを抑制できる。
【0059】
次いで、このように構成された吸収性物品の製造方法の一例について説明する。吸収性物品の製造方法は、凹凸形成工程と、搬送工程と、切断工程と、を少なくとも有してよい。なお、吸収性物品の製造方法は、他の工程を有していてもよい。凹凸形成工程は、トップシートの凹凸領域R11に、吸収性物品の幅方向Wに延び、かつ前後方向Lに間隔を空けて配置した凸部11及び凹部12を形成する。搬送工程は、トップシート、吸収体、及びバックシートを積層した積層体が連続した連続積層体を、幅方向Wに沿って搬送する。搬送工程は、凹凸形成工程の後の工程であってよい。切断工程は、搬送工程の後の工程であってよく、連続積層体を本体部2の外縁に沿って切断する。凹凸形成工程は、本体部2の前後方向Lの外端縁と離間した位置に、凹凸領域R11を設ける。当該製造方法によって得られた吸収性物品の凹凸領域R11は、本体部2の外端縁よりも前後方向Lの内側に位置している。一般的に、本体部2の外端部は、肌に対する当たりを抑制するため、曲率を有するR形状である。本体部の外端部のR形状部分には、凹部及び凸部が設けられていなく、凹部及び凸部による変形起点が形成されないことで平坦な形状を維持し易い。そのため、製造時に本体部2の外縁の形状に沿って連続積層体を切断し易い。よって、本体部2の外縁を綺麗に切断でき、本体部2の外縁のよれを抑制できる。また、切断工程では、搬送方向と交差する交差方向に沿って凹部及び凸部を配置し、かつトップシートと吸収体を共に切断することが好ましい。吸収体の存在によって凹凸領域の剛性を高め、交差方向(吸収性物品における幅方向)に延びる凹部及び凸部を安定的に綺麗に切断することができる。さらに、切断工程において、交差方向に傾斜するR形状を有する非凹凸領域を、吸収体を共に切断することが好ましい。これにより本体部のR形状に沿って綺麗に切断できる。
【0060】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明によれば、吸収性物品に意図しない皺やよれが発生することを抑制し、吸収性能及び装着感を向上できる吸収性物品を提供できる。
【符号の説明】
【0062】
1 :吸収性物品
2 :本体部
2E :外縁
2E1 :本体側縁
2E2 :本体端縁
10 :トップシート
11 :凸部
12 :凹部
20 :バックシート
30 :吸収体
40 :止着部
45 :シート圧搾部
51 :剥離シート
53 :延出領域
55 :包装シート
67 :本体接合部
FL、FL1、FL2 :折り目
L :前後方向S
M2 :幅広部
R1 :第1領域
R2 :第2領域
R11 :中央領域、凹凸領域
R12 :端部領域、非凹凸領域
R41 :止着領域
T :厚み方向
T1 :肌面側
T2 :非肌面側
W :幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6