(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076998
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】レジスト組成物
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20230529BHJP
G03F 7/038 20060101ALI20230529BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20230529BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
G03F7/004 531
G03F7/038 601
C09K3/00 K
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190068
(22)【出願日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長田 裕仁
(72)【発明者】
【氏名】伊部 武史
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
【Fターム(参考)】
2H197CA09
2H197CA10
2H197CE01
2H197GA01
2H197HA03
2H225AD02
2H225AE05P
2H225AF21P
2H225AN24P
2H225AN32P
2H225AN38P
2H225AN80P
2H225CA12
2H225CB18
2H225CC01
2H225CC18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】従来のEB、EUVのような放射線用のフォトレジスト組成物にはない、高い吸収感度を持つレジスト組成物を提供する。
【解決手段】下記成分(A)~(E)を含有する、レジスト組成物。(A)下記式(1)で表されるフェノール三核体モノマー(B)金属アルコキシド(C)光酸発生剤(D)多官能メチロール架橋剤(E)溶剤
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)~(E)を含有する、レジスト組成物。
(A)下記式(1)で表されるフェノール三核体モノマー
(B)金属アルコキシド
(C)光酸発生剤
(D)多官能メチロール架橋剤
(E)溶剤
【化9】
[式(1)中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基又はハロゲン原子を表す。m、n及びpは、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。R
1が複数ある場合、複数のR
1は互いに同じでも異なってもよい。R
2が複数ある場合、複数のR
2は互いに同じでも異なってもよい。R
3は、水素原子、炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、又は炭化水素基上にアルコキシ基、ハロゲン基及び水酸基から選択される置換基を1以上有する構造部位を表す。R
4は、水酸基、炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。R
4が複数ある場合、複数のR
4は互いに同じでも異なってもよい。]
【請求項2】
前記式(1)のm及びnが、それぞれ独立に、1~3の整数であり、pが0である、請求項1に記載のレジスト組成物。
【請求項3】
前記式(1)のR1及びR2が、それぞれ独立に、炭素原子数1~4のアルキル基であり、R3が水素原子である、請求項1又は2に記載のレジスト組成物。
【請求項4】
前記成分(B)が、ジルコニウム、スズ及びハフニウムからなる群より選択される金属を中心金属とする金属アルコキシドである、請求項1~3のいずれかに記載のレジスト組成物。
【請求項5】
前記成分(C)がスルホニウム塩である、請求項1~4のいずれかに記載のレジスト組成物。
【請求項6】
前記成分(D)が下記式(2)で表される化合物である、請求項1~5のいずれかに記載のレジスト組成物。
【化10】
(式(2)中、Raは炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。qは2~4の整数であり、rは0~3の整数であり、sは1~4の整数を表す。Raが複数ある場合、複数のRaは互いに同じでも異なってもよい。)
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載のレジスト組成物から得られるレジスト膜。
【請求項8】
請求項1~6のいずれかに記載のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜を露光する工程と、
前記露光されたレジスト膜を、現像液を用いて現像してパターンを形成する工程とを含む、パターン形成方法。
【請求項9】
前記露光が、電子線又は極端紫外線による露光である、請求項8に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト組成物に関する。さらに詳しくは、電子線、極端紫外線のような放射線を用いたリソグラフィーに適するレジスト組成物、レジスト膜、パターン形成方法及び電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IC、LSI等の半導体デバイスの微細加工の分野においては、集積回路の高集積化に伴い、サブミクロン領域やクオーターミクロン領域での微細パターン形成が要求されている。それに伴い、露光波長もg線から、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレ―ザー光へと短波長化している。また、最近では、エキシマレーザー光以外に、電子線(EB)や極端紫外線(EUV)のような放射線を用いたリソグラフィー技術の開発が進められている(特許文献1)。
【0003】
上記の放射線を用いたリソグラフィー技術は、幅が数nmである超微細パターンの形成が可能な次世代のパターン技術として期待されている。しかしながら、該放射線を用いた露光においては、露光光源のパワーが低いためスループットが低いという欠点があり、重要な課題となっている。この課題を解決するために光源出力の向上等、装置面の改良が検討されている一方で、リソグラフィー用レジスト樹脂の高感度化が求められている。
【0004】
高感度化の手法として、金属酸化物粒子を用いることが検討されている(特許文献2)。この手法では、粒子径が20nm以下の金属酸化物ナノ粒子が放射線を吸収することで、レジスト組成物中のポリマー等から二次電子が発生する。二次電子が光酸発生剤に吸収され、光酸発生剤の分解をより促進することで、優れたポジ型フォトレジストとして機能する。
しかしながら、特許文献2のフォトレジスト組成物は、金属酸化物ナノ粒子の凝集により徐々に放射線の吸収効率が低下するという問題があった。
【0005】
上記問題を解決するために、凝集抑制剤の添加も検討されているが、十分な分散安定性と感度は得られていないのが実情である(特許文献3)。
また、粒子凝集の発生する金属酸化物ナノ粒子ではなく、金属錯体を用いた放射線用フォトレジストの開発も検討されている(特許文献4)。特許文献4のネガ型フォトレジスト組成物は、ジルコニウム又はハフニウムのアルコキシド、及び、メタクリル酸系化合物からなる金属錯体化合物と光重合開始剤の混合物であり、該金属錯体がEUVを吸収することで露光部が有機系現像液に対して不溶化し、未露光部が除去されたレジストパターンを得ることができる。
しかしながら、特許文献4の組成物では、十分な放射線の吸収効率が得られず、また、金属部から発生した二次電子の光重合開始剤への移動効率が十分でないため、満足な感度が得られなかった。
以上のように、EBやEUV用のフォトレジスト組成物には、スループット向上の点から、更なる高感度化や超微細パターン作製に適した組成物の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-171440号公報
【特許文献2】WO2016/088655号
【特許文献3】WO2017/204090号
【特許文献4】特開2015-108781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来のEB、EUVのような放射線用のフォトレジスト組成物にはない、高い吸収感度を持つレジスト組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、カルボン酸含有三核体モノマーと金属アルコキシドから得られる金属錯体が、高いEB及びEUV吸収特性を持ち、また、効率良く光酸発生剤に電子を渡し、発生した酸が多官能メチロール架橋剤と三核体モノマーの架橋構造を形成することにより、高い放射線吸収感度を有するレジスト膜となることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は下記成分(A)~(E)を含有する、レジスト組成物に関する。
(A)下記式(1)で表されるフェノール三核体モノマー
(B)金属アルコキシド
(C)光酸発生剤
(D)多官能メチロール架橋剤
(E)溶剤
【化1】
[式(1)中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基又はハロゲン原子を表す。m、n及びpは、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。R
1が複数ある場合、複数のR
1は互いに同じでも異なってもよい。R
2が複数ある場合、複数のR
2は互いに同じでも異なってもよい。R
3は、水素原子、炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、又は炭化水素基上にアルコキシ基、ハロゲン基及び水酸基から選択される置換基を1以上有する構造部位を表す。R
4は、水酸基、炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。R
4が複数ある場合、複数のR
4は互いに同じでも異なってもよい。]
【0010】
また、本発明は上記レジスト組成物から得られるレジスト膜に関する。
また、本発明は上記レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を露光する工程と、前記露光されたレジスト膜を、現像液を用いて現像してパターンを形成する工程とを含む、パターン形成方法に関する。
また、本発明は上記パターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、EB、EUVのような放射線に対し、高い吸収感度を持つレジスト組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例1で合成したフェノール三核体モノマー(A)のGPCチャートである。
【
図2】実施例1で合成したフェノール三核体モノマー(A)の
13C-NMRチャートである。
【
図3】実施例1で調製した金属錯体溶液のFT-IRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に発明を実施するための形態について説明する。
なお、本明細書において、「x~y」は「x以上、y以下」の数値範囲を表すものとする。数値範囲に関して記載された上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
また、以下に記載される本発明の個々の形態を2つ以上組み合わせた形態もまた、本発明の形態である。
【0014】
本発明の一実施形態に係るレジスト組成物は、下記成分(A)~(E)を含有する。
(A)下記式(1)で表されるフェノール三核体モノマー
(B)金属アルコキシド
(C)光酸発生剤
(D)多官能メチロール架橋剤
(E)溶剤
【化2】
[式(1)中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基又はハロゲン原子を表す。m、n及びpは、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。R
1が複数ある場合、複数のR
1は互いに同じでも異なってもよい。R
2が複数ある場合、複数のR
2は互いに同じでも異なってもよい。R
3は、水素原子、炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、又は炭化水素基上にアルコキシ基、ハロゲン基及び水酸基から選択される置換基を1以上有する構造部位を表す。R
4は、水酸基、炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。R
4が複数ある場合、複数のR
4は互いに同じでも異なってもよい。]
【0015】
本実施形態では、上記成分(A)と成分(B)から得られる金属錯体が、高い放射線吸収特性を有するため、効率良く光酸発生剤(成分(C))に電子を渡す。これにより発生した酸が、多官能メチロール架橋剤(成分(D))と成分(A)の架橋構造を形成することで、高い放射光感度を有するレジスト組成物(レジスト膜)が得られる。
以下、成分(A)~(E)について説明する。
【0016】
・成分(A):式(1)で表されるフェノール三核体モノマー
上記式(1)で表されるフェノール三核体モノマーについて、式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基又はハロゲン原子を表す。脂肪族炭化水素基は直鎖型でもよいし、分岐構造を有していてもよい。また、シクロ環構造を有していてもよい。
より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等が挙げられる。前記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0017】
アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0018】
中でも、レジスト材料として用いた際の微細なパターンの形成能に優れることから、R1及びR2は炭素原子数1~4のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
また、式(1)中のm及びnは0~4の整数であるが、それぞれ1~3の整数であることがより好ましく、特に2であることが好ましい。この時、2つのR1及び2つのR2は、それぞれフェノール性水酸基の2,5-位に結合していることが好ましい。
【0019】
式(1)中、R3は、水素原子、炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、又は炭化水素基上にアルコキシ基、ハロゲン基及び水酸基から選択される置換基を1以上有する構造部位を表す。
炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基としては、R1及びR2として例示したものが挙げられる。また、「炭化水素基上にアルコキシ基、ハロゲン基及び水酸基から選択される置換基を1以上有する構造部位」としては、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、2-メトキシエトキシ基、2-エトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシ基、ヒドロキシ基で置換されたアルキルアルコキシ基等が挙げられる。中でも、R3が水素原子であることが好ましい。
【0020】
式(1)中、R4は、水酸基、炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。それぞれの具体例は、R1及びR2として例示したものが挙げられる。
また、pは0~4の整数を表す。中でも、pが0であるものが好ましい。
【0021】
本実施形態では、成分(A)として、同一構造のものを単独で用いてもよいし、異なる分子構造を有する複数の化合物を用いてもよい。
【0022】
成分(A)は、どのような方法にて製造されたものであってもよい。例えば、フェノール化合物(a1)とホルミル安息香酸類(a2)とを酸触媒存在下で、必要に応じて溶媒を用いて、60~140℃の範囲で加熱し、重縮合することにより得ることができる。
【0023】
フェノール化合物(a1)は、フェノールの他、フェノールの芳香環上に炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基又はハロゲン原子等の置換基を、一つないし複数有する化合物が挙げられる。これらの置換基の具体例としては、上記式(1)中のR1、R2として例示したもの等が挙げられる。中でも、レジスト材料として用いた際の微細なパターンの形成能に優れることから、炭素原子数1~4のアルキル基を1つ乃至3つ有することが好ましく、2つ有することが特に好ましい。この時、2つのアルキル基は、それぞれフェノール性水酸基の2,5-位に結合していることが好ましい。また、アルキル基としては、メチル基が特に好ましい。
【0024】
ホルミル安息香酸類(a2)は、例えば、ホルミル安息香酸や、その芳香環上に水酸基、炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原子を一つ乃至複数有する化合物、アセチル安息香酸等のカルボキシ基を有する芳香族ケトン及びその芳香環上に水酸基、炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原子を一つ乃至複数有する化合物等が挙げられる。
炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原子の具体例としては、上記式(1)中のR4として例示したもの等が挙げられる。中でも、フェノール化合物(a1)との反応性に優れることから、ホルミル安息香酸が好ましく、金属原子上に配位しやすい分子構造となることから4-ホルミル安息香酸がより好ましい。
【0025】
成分(A)の製造で用いる酸触媒としては、酢酸、シュウ酸、硫酸、塩酸、フェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸亜鉛、酢酸マンガン等が挙げられる。これらの酸触媒は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。これらの酸触媒の中でも、活性に優れる点から、硫酸、パラトルエンスルホン酸が好ましくい。なお、前記酸触媒は、反応前に加えても、反応途中で加えても構わない。
【0026】
成分(A)の製造で溶媒を用いる場合、その具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸等のカルボン酸化合物;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコールエーテル化合物;1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン等の環状エーテル化合物;エチレングリコールアセテート等のグリコールエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン化合物;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの溶媒は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。また、これらの溶媒の中でも、得られる化合物の溶解性に優れる点から、酢酸が好ましい。
【0027】
フェノール化合物(a1)とホルミル安息香酸類(a2)との仕込み比率[(a1)/(a2)]は、未反応のフェノール化合物(a1)の除去性や、得られる化合物(a)の収率及び純度に優れることから、モル比で1/0.8~1/0.2の範囲が好ましく、1/0.6~1/0.4の範囲がより好ましい。
【0028】
反応終了後は、例えば、反応生成物が不溶又は難溶である貧溶媒(S1)に反応溶液を投入し、得られた沈殿物を濾別して粗生成物を得た後、貧溶媒(S1)にも混和し、かつ、反応生成物を溶解し得る溶媒(S2)に粗生成物を再溶解させ、再度貧溶媒(S1)に投入して生じた沈殿物を濾別する方法等により、成分(A)を精製単離することができる。また、反応溶媒としてトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素を用いた場合には、80℃以上で加熱することにより生成物である成分(A)が溶媒中に溶解するため、そのまま冷却することにより、成分(A)の結晶が析出し、これを濾別することで成分(A)を単離することができる。この場合は、貧溶媒(S1)及び溶媒(S2)を使用しなくてもよい。
【0029】
貧溶媒(S1)としては、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール等のモノアルコール;n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、シクロヒキサン等の脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が挙げられる。これらの貧溶媒(S1)の中でも、効率よく酸触媒の除去も同時に行えることから、水、メタノールが好ましい。
【0030】
また、溶媒(S2)としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のモノアルコール;エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等のポリオール;2-エトキシエタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコールエーテル;1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコールアセテート等のグリコールエステル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン等が挙げられる。
また、貧溶媒(S1)として水を用いた場合には、溶媒(S2)としては、アセトンが好ましい。なお、貧溶媒(S1)及び溶媒(S2)は、それぞれ1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。
【0031】
成分(A)の純度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)のチャート図から算出される値で90%以上であることが好ましく、94%以上であることがより好ましく、98%以上であることが特に好ましい。なお、GPCの測定条件は実施例に記載のものである。
【0032】
・成分(B):金属アルコキシド
金属アルコキシドは、配位子としてRO-(Rは炭素原子数1~22の炭化水素基)を有する金属錯体であり、成分(A)と混合することにより配位子交換を生じ、成分(A)を配位子とする金属錯体を形成し得る。金属アルコキシドを使用することにより、光感度及びアルカリ溶解性に優れるレジスト膜が得られる。
Rは炭素原子数2~6の炭化水素基であることが好ましい。具体的に、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、s-ペンチル基、イソペンチル基、t-ペンチル基、各種ヘキシル基等が挙げられる。
【0033】
金属アルコキシドの中心金属としては、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、セシウム、ハフニウム等が挙げられる。中でも、ジルコニウム、スズ又はハフニウムが好ましい。中心金属の価数は特に限定されず、何価の錯体であってもよい。
金属アルコキシドは一種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0034】
成分(A)と成分(B)との混合比率は、本願発明の効果が十分に発揮されることから、成分(B)の中心金属1モルに対し、成分(A)が0.5~10モルの範囲であることが好ましく、2~6モルの範囲であることがより好ましい。
【0035】
・成分(C):光酸発生剤
光酸発生剤としては、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物等が挙げられる。これらのうち、オニウム塩化合物が好ましい。
オニウム塩化合物としては、スルホニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等が挙げられる。
【0036】
スルホニウム塩としては、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート、4-シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4-シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、4-シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、4-シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、4-シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート、4-メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4-メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、4-メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、4-メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、4-メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート、トリフェニルスルホニウム2-(1-アダマンチル)-1,1-ジフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム6-(1-アダマンチルカルボニルオキシ)-1,1,2,2-テトラフルオロヘキサン-1-スルホネート、トリフェニルスルホニウム6-(1-アダマンチルカルボニルオキシ)-1,1,2-トリフルオロブタン-1-スルホネート、トリフェニルスルホニウム2-(4-オキソ-1-アダマンチルカルボニルオキシ)-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパン-1-スルホネート、トリフェニルスルホニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1-ジフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。
【0037】
テトラヒドロチオフェニウム塩としては、1-(4-n-ブトキシナフタレン-1-イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1-(4-n-ブトキシナフタレン-1-イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、1-(4-n-ブトキシナフタレン-1-イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、1-(4-n-ブトキシナフタレン-1-イル)テトラヒドロチオフェニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、1-(4-n-ブトキシナフタレン-1-イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート、1-(6-n-ブトキシナフタレン-2-イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1-(6-n-ブトキシナフタレン-2-イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、1-(6-n-ブトキシナフタレン-2-イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、1-(6-n-ブトキシナフタレン-2-イル)テトラヒドロチオフェニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、1-(6-n-ブトキシナフタレン-2-イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート、1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ-n-オクタンスルホネート、1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等が挙げられる。
【0038】
オニウム塩化合物のうち、スルホニウム塩が好ましく、トリアリールスルホニウム塩がより好ましい。例えば、下記のトリアリールスルホニウムが好ましい。アニオンとしては、SbF6、PF6、B(C6F5)4等が挙げられる。
【0039】
【0040】
成分(C)の含有量は、レジスト組成物の固形分中、1~50質量%であることが好ましく、5~20質量%であることがより好ましい。レジスト組成物の固形分とは、レジスト材料中の溶剤以外の成分の合計を意味する。
【0041】
・成分(D):多官能メチロール架橋剤
多官能メチロール化合物としては、2以上のメチロール基を有する化合物であればよい。具体的には、下記の化合物等が挙げられる。
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
一実施形態において、多官能メチロール化合物は下記式(2)で表される化合物が好ましい。
【化7】
(式(2)中、Raは炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。qは2~4の整数であり、rは0~3の整数であり、sは1~4の整数を表す。Raが複数ある場合、複数のRaは互いに同じでも異なってもよい。)
【0046】
炭素原子数1~9の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0047】
一実施形態において、式(2)のsは1であることが好ましい。また、rは1であることが好ましい。また、qは2であることが好ましい。
【0048】
成分(D)は、1種単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
成分(D)の配合量は、良好な感度が得られ、所望のパターンが得られることから、成分(A)及び(B)の合計100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上であり、より好ましくは0.5質量部以上ある。また、好ましくは30質量部以下であり、より好ましくは15質量部以下である。
【0049】
・成分(E):溶剤
溶剤は、上述した成分(A)及び(B)を溶解し得るものであれば特に限定されない。具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のモノアルコール;エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等のポリオール;2-エトキシエタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のグリコールエーテル;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート;テトラヒドロフラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコールアセテート等のグリコールエステル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、オキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル化合物:アセトニトリル、アクリロニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等のニトリル化合物等が挙げられる。
溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上の混合溶媒としてもよい。
【0050】
成分(E)の使用量は特に限定なく、具体的な用途等に応じて適宜調整される。特に、スピンコート法等による塗布の際に均一な膜厚が得られることから、レジスト組成物中の固形分濃度が0.1~50質量%の範囲であることが好ましい。
【0051】
本実施形態のレジスト組成物は、上述した成分(A)~(E)の他に、必要に応じて、硬化剤、感光剤、充填材、顔料、レベリング剤等の界面活性剤、密着性向上剤、溶解促進剤等、公知の添加剤を配合することができる。添加剤を配合する場合、本願発明の効果が十分に発揮されることから、レジスト組成物の成分(E)以外の成分の合計質量に対する成分(A)及び(B)の割合が50質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
【0052】
本実施形態のレジスト組成物は、上述した成分(A)~(E)、必要に応じて添加剤を、混合撹拌することにより調製できる。各成分の混合順序は特に限定されない。一実施形態において、上記成分(A)と(B)を溶媒中で混合し、金属錯体溶液を調製した後、他の成分を添加してもよい。溶媒としては、上述した成分(E)と同様なものが使用できる。
溶媒の使用量は特に限定されないが、成分(A)及び(B)の合計1質量部に対し、1~500質量部の範囲であることが好ましい。
成分(A)及び(B)を混合する際の温度条件は特に限定されず、20~25℃程度の室温でもよいし、必要に応じて適宜加熱してもよい。
金属錯体の生成は、例えば、IRスペクトルにて1400cm-1のピークから確認することができる。
【0053】
本実施形態のレジスト組成物が、充填材、顔料等のような固形物を含有する場合には、ディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミル等の分散装置を用いて分散、混合させることが好ましい。また、粗粒や不純物を除去するため、メッシュフィルター、メンブレンフィルター等を用いてろ過することもできる。
【0054】
本実施形態のレジスト組成物は、一般的なレジスト材料と同様の使用法により、パターン形成に用いることができる。その一例としては、レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を露光する工程と、前記露光されたレジスト膜を現像液にて現像し、パターンを形成する工程とを経る方法が挙げられる。
【0055】
レジスト膜を形成する工程において、塗工方法は特に限定されず、スピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターブレードコート等の何れの方法でもよい。塗工後に60~150℃の温度条件でプリベークするなどして成分(E)である溶媒を除去し、塗膜(レジスト膜)を得ることができる。また、塗工対象物としては、シリコン基板、炭化シリコン基板、窒化ガリウム基板、透明導電膜等が挙げられ、用途等に応じて適宜選択することができる。
【0056】
露光工程では、パターンが描写されたマスクを介して露光する。露光光源としては、例えば、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、極端紫外線、X線、電子線等が挙げられる。本実施形態のレジスト組成物は、高感度でありながら、且つ、微細なパターンを形成し得ることから、極端紫外線や電子線による露光にも好適に用いることができる。
【0057】
現像工程で用いるアルカリ現像液は、一般的なアルカリ現像用途で用いられるものを広く利用でき、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ性物質;エチルアミン、n-プロピルアミン等の1級アミン類;ジエチルアミン、ジ-n-ブチルアミン等の2級アミン類;トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の3級アミン類;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン;水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム等の4級アンモニウム塩;ピロール、ピヘリジン等の環状アミンなどのアルカリ性水溶液を使用することができる。これらのアルカリ現像液には、必要に応じてアルコール、界面活性剤等を適宜添加して用いることもできる。アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常2~5質量%の範囲が好ましく、2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液が一般的に用いられる。
【0058】
本発明のパターン形成方法は、電子デバイスの製造工程で好適に用いられる。上記電子デバイスとしては、家庭用電気機器、オフィスオートメーション機器、メディア関連機器、光学用機器、通信機器等が挙げられる。
【実施例0059】
以下、具体的な例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。なお、合成した樹脂の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び多分散度(Mw/Mn)は、下記のGPCの測定条件で測定したものである。
[GPCの測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC-8220 GPC」
カラム:昭和電工株式会社製「Shodex KF802」:8.0mmФ×300mm
+昭和電工株式会社製「Shodex KF802」:8.0mmФ×300mm
+昭和電工株式会社製「Shodex KF803」:8.0mmФ×300mm
+昭和電工株式会社製「Shodex KF804」:8.0mmФ×300mm
カラム温度:40℃
検出器:RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC-8020モデルIIバージョン4.30」
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
試料:樹脂固形分換算で0.5質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの
注入量:0.1mL
標準試料:下記単分散ポリスチレン
(標準試料:単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A-500」
東ソー株式会社製「A-2500」
東ソー株式会社製「A-5000」
東ソー株式会社製「F-1」
東ソー株式会社製「F-2」
東ソー株式会社製「F-4」
東ソー株式会社製「F-10」
東ソー株式会社製「F-20」
【0060】
13C-NMRの測定条件は、以下の通りである。
装置:日本電子株式会社製 JNM-ECA500
測定モード:逆ゲート付きデカップリング
溶媒:重水素化ジメチルスルホキシド
パルス角度:30°パルス
試料濃度 :30質量%
積算回数 :4000回
ケミカルシフトの基準:ジメチルスルホキシドのピーク:39.5ppm
【0061】
実施例1
(1)フェノール三核体モノマー(A)の合成
冷却管を設置した容量2000mLの4口フラスコに2,5-キシレノール293.2g(2.4mol)、4-ホルミル安息香酸150g(1mol)を仕込み、酢酸500mlに溶解させた。氷浴中で冷却しながら硫酸5mLを添加した後、マントルヒーターで100℃まで加熱し、2時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、得られた溶液に水を加えて粗生成物を沈殿させた。次いで、粗生成物をアセトンに再溶解し、水を加えて再沈殿させた。沈殿物を濾別して真空乾燥し、淡桃色結晶のフェノール三核体モノマー(A)292gを得た。
【0062】
得られたモノマー(A)について、
13C-NMRスペクトル測定を行った結果、下記構造式で表される化合物であることを確認した。また、GPCチャート図から算出される純度は95.3%であった。モノマー(A)のGPCチャートを
図1に、
13C-NMRチャートを
図2に示す。
【化8】
【0063】
(2)金属錯体溶液の調製
上記(1)で得られたフェノール三核体モノマー(A)3.76g(10mmol)とジルコニウム(IV)・ジブトキシド(オルガチックスZC-580(マツモトファインケミカル株式会社製))2.308g(Zr元素として2.52mmol)、及びテトラヒドロフラン(THF)24.24gを、容量50mLのスクリュー管内で、室温で30分間混合し金属錯体溶液を得た。
得られた金属錯体溶液のFT-IRスペクトルを
図3に示す。
【0064】
(3)レジスト組成物の調製
得られた金属錯体溶液に、光酸発生剤(サンアプロ株式会社製:CPI-101A)0.25g及び多官能メチロール架橋剤(東京化成工業製:2、6-Bis(hydroxymethyl)-P-cresol)0.038gを添加し、室温で30分間混合した後、孔径0.1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製ディスクフィルタで精密濾過し、レジスト組成物を調製した。
【0065】
実施例2
光酸発生剤を1.25g、多官能メチロール架橋剤を0.19g、THFを23.28gに変更した以外は、実施例1と同様にしてレジスト組成物を調製した。
【0066】
実施例3
光酸発生剤を2.51g、多官能メチロール架橋剤を0.38g、THFを28.82gに変更した以外は、実施例1と同様にしてレジスト組成物を調製した。
【0067】
比較例1
光酸発生剤及び多官能メチロール架橋剤を添加せず、THFを23.72gに変更した以外は、実施例1と同様にしてレジスト組成物を調製した。
【0068】
比較例2
(1)重合基含有Zr錯体の合成
フラスコ内で、ジルコニウムブトキシド0.95gと、メタクリル酸1.27gと、溶剤としてジクロロメタン20gとを、室温23℃で60分間撹拌した。得られた溶液を、メチルtert-ブチルエーテル(TBME)で洗浄した後、ろ過し、減圧乾燥を5時間実施することでジルコニア錯体を得た。
【0069】
(2)レジスト組成物の調製
上記(1)で得られたジルコニア錯体1gに対して、重合開始剤(2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン)0.1g、プロピレングリコールモノメチルエーテル11gを、30mLのスクリュー管内にて室温23℃で5分間撹拌し、レジスト組成物を調製した。
【0070】
[コントラスト評価]
実施例及び比較例で調製したレジスト組成物を、直径5インチのシリコンウェハー上に、約5μmの厚さになるようにスピンコーターを用いて塗布した後、110℃で60秒間プリベークしてレジスト膜を形成した。
レジスト膜を有するウェハーを、電子線照射装置(浜松ホトニクス株式会社製:EES-30L-DIC01)を用いて、500kGyの光量で電子線(EB)を照射した。
EB未照射のレジスト膜及びEBを照射したレジスト膜について、それぞれ、130℃で90秒間、ポストエクスポージャベーク(PEB)を行った後、テトラヒドロフラン溶液で5秒間パドル現像を行い、ウェハーを純水で10秒間リンス処理した。
得られたウェハー上のレジスト膜厚を評価し、現像前後の膜厚減少度より下記式から溶剤溶解速度を算出した。
溶剤溶解速度(Å/Sec)=溶剤前後膜減少度(Å)/5(Sec)
【0071】
EB未照射のレジスト膜の溶剤溶解速度をDR1とし、下記のとおり溶剤溶解性を評価した。結果を表1に示す。
〇:DR1が2500以上
×:DR1が2500未満
【0072】
EBを照射したレジスト膜の溶剤溶解速度をDR2とし、DR1/DR2のコントラスト値からネガ型レジスト特性を下記のとおり評価した。結果を表1に示す。
〇:コントラストが5以上
×:コントラストが5未満
上記コントラストが大きい程、EB感度が高いと言える。
【0073】
【0074】
表1から、実施例のレジスト組成物から得られるレジスト膜は、比較例と比べて、EB照射によって高いコンストラストが得られるため、EBに対し高い吸収感度を持つことが確認できる。