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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077326
(43)【公開日】2023-06-05
(54)【発明の名称】真空処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20230529BHJP
   C23C 14/56 20060101ALI20230529BHJP
   C23C 14/50 20060101ALI20230529BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
H01L21/68 A
C23C14/56 G
C23C14/50 K
C23C16/44 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190594
(22)【出願日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】永田 純一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 傑之
(72)【発明者】
【氏名】梅原 政司
【テーマコード(参考)】
4K029
4K030
5F131
【Fターム(参考)】
4K029AA24
4K029JA01
4K029JA06
4K029KA02
4K029KA03
4K029KA09
4K030CA17
4K030GA12
5F131AA03
5F131AA12
5F131AA32
5F131BA01
5F131BA19
5F131BB03
5F131BB05
5F131BB13
5F131CA12
5F131DA05
5F131DA22
5F131DA42
5F131DA52
5F131DA62
5F131DA63
5F131DC18
(57)【要約】
【課題】搬送トレイの上下部にて非接触で上方に牽引した状態で移動を案内する場合でも、搬送部への搬送トレイの差し込みや搬送部からの搬送トレイの引き抜きを可能にした真空処理装置VMの提供。
【解決手段】互いに連結される第1チャンバPcと第2チャンバLcとに起立姿勢の搬送トレイTrをX軸方向に搬送する搬送手段Tmが設けられ、第1チャンバ内に傾動自在な傾動部2を備えて水平姿勢と垂直姿勢との間で搬送トレイの姿勢を変更可能とし、搬送手段は、搬送トレイの上部を非接触でZ軸方向上方に牽引した状態でX軸方向の移動を案内する第1案内部4と、搬送トレイの下部を非接触でZ軸方向上方に牽引した状態でX軸方向の移動を案内する第2案内部6と、搬送トレイを接触支持して搬送トレイを搬送する搬送部5とを備え、第1チャンバ内に存する第2案内部の部分を少なくともY軸方向に移動させる駆動部72a,72bを設けた。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に被処理基板が配置される搬送トレイを搬送しながら、被処理基板の処理面に対して所定の真空処理を施す真空処理装置であって、
水平面内で互いに直交する二方向をX軸方向及びY軸方向、X軸方向及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向と、被処理基板の処理面がZ軸方向上方を向く搬送トレイの姿勢を水平姿勢、処理面がY軸方向一方を向く姿勢を起立姿勢とし、
X軸方向に互いに連結される第1チャンバと第2チャンバとを備え、第1チャンバと第2チャンバとに起立姿勢の搬送トレイをX軸方向に沿って搬送する搬送手段が設けられ、第1チャンバ内に、搬送トレイを保持した状態で傾動自在な傾動部を備えて水平姿勢と垂直姿勢との間で搬送トレイの姿勢を変更可能としたものにおいて、
搬送手段は、第1チャンバと第2チャンバとの内部に設けられて、搬送トレイの上部を非接触でZ軸方向上方に牽引した状態でX軸方向への移動を案内する第1案内部と、搬送トレイの下部を非接触でZ軸方向上方に牽引した状態でX軸方向への移動を案内する第2案内部と、搬送トレイを接触支持してX軸方向前後に搬送トレイを搬送する搬送部とを備え、第1チャンバ内に存する第2案内部の部分を少なくともY軸方向に移動させる駆動部を設けたことを特徴とする真空処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の真空処理装置であって、前記第1チャンバと前記第2チャンバとにY軸方向に間隔を存して第1案内部、搬送部及び第2案内部を夫々設けた第1搬送路と第2搬送路とが設けられるものにおいて、
前記第2案内部は、前記他方の面側で前記搬送トレイの下部に形成した支持板部のZ軸方向上面に設けた一方の磁石と、この一方の磁石とZ軸方向上方から引き合うように、第1チャンバ及び第2チャンバ内で第1搬送路及び第2搬送路に沿って配置される支持壁のZ軸方向下面に設けた他方の磁石とを備え、各第2案内部の部分を他方の磁石を含む支持壁の可動部分とし、各可動部分を前記駆動部により一体にY軸方向に移動させるように構成したことを特徴とする真空処理装置。
【請求項3】
前記搬送部は、前記第1チャンバ及び第2チャンバ内で前記第1及び第2の各搬送路に沿って配置されて前記搬送トレイの下面に点接触する転動体を有し、第1チャンバ内に存する各転動体を一体にY軸方向及びZ軸方向の少なくとも一方に移動させる他の駆動部を設けたことを特徴とする請求項2記載の真空処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方の面に被処理基板が配置される搬送トレイを搬送しながら、被処理基板の処理面に対して所定の真空処理を施す真空処理装置に関し、より詳しくは、搬送トレイの姿勢変更を可能とする第1チャンバとこれに連設される第2チャンバとを備えるものに関する。
【背景技術】
【0002】
上記種の真空処理装置は、例えば特許文献1で知られている。以下、搬送トレイの移動方向をX軸方向、X軸方向に直交する重力加速度方向をZ軸方向、X軸方向及びZ軸方向に直交する方向をY軸方向とし、また、被処理基板(以下、「基板」という)の処理面がZ軸方向上方を向く搬送トレイ(及び基板)の姿勢を水平姿勢、処理面がY軸方向一方を向く姿勢を起立姿勢として説明する。上記特許文献1記載のものは、例えば、大気雰囲気に存する処理前の基板を水平姿勢で搬送して搬送トレイに配置し、起立姿勢(Z軸に対して所定角度で搬送トレイが傾斜する姿勢を含む)に姿勢変更した後、起立姿勢の搬送トレイを真空雰囲気の各真空(処理)チャンバへと搬送するために、第1チャンバと第2チャンバとを備える。第1チャンバは、例えば、搬送トレイへの基板の着脱が実施される所謂ポジションチャンバと称されるものであり、その内部には、例えば、他方の面側から搬送トレイを保持した状態で傾動自在な傾動部と、傾動部をY軸方向左右に移動自在な移動部とが設けられている。
【0003】
第1チャンバにて水平姿勢の搬送トレイに基板が配置されると、傾動部は、搬送トレイを持ち上げながら回転して搬送トレイを起立姿勢とし、移動部により後述の搬送部のZ軸方向上方の位置までY軸方向一方に移動した後、搬送トレイを差し込むように搬送部へと受け渡す。搬送部から処理済みの基板Swがある搬送トレイTrを受け取るときには、傾動部は、他方の面側から搬送トレイを保持し、Z軸方向上方に引き抜くように起立姿勢の搬送トレイを持ち上げた後、搬送トレイを持ち下げながら搬送トレイを回転させて水平姿勢に変更してY軸方向他方に所定位置まで移動し、搬送トレイからの処理済みの基板の回収が可能となる。
【0004】
X軸方向にゲートバルブを介して連設される第2チャンバは所謂ロードロックチャンバと称されるものであり、その内部を大気雰囲気と真空雰囲気との切換えが可能なように真空ポンプや大気開放弁などが設けられ、例えば、真空雰囲気の各真空チャンバへの搬送トレイの搬送を可能としている。第1チャンバと第2チャンバとには、起立姿勢の搬送トレイをX軸方向に沿って搬送する搬送手段が設けられている。搬送手段は、搬送トレイの上部を非接触でZ軸方向上方に牽引した状態でX軸方向への移動を案内する案内部(以下、「第1案内部」という)と、搬送トレイを接触支持して搬送する搬送部とを備える(例えば、特許文献2参照)。第1案内部としては、搬送トレイのZ軸方向上面に設けられる一方の磁石(以下、「第1磁石」という)、この第1磁石からZ軸方向上方に間隔を置いて、且つ、第1磁石と引き合うように第1チャンバ及び第2チャンバ内上部にX軸方向に沿って配置される他方の磁石(以下、「第2磁石」という)とを備えるものが一般に使用されている。
【0005】
搬送部としては、搬送トレイのZ軸方向下面にX軸方向にのびるように設けた円筒状のレール部材に係合する、所定曲率で湾曲した凹溝を設けた搬送ローラとを備えるものが一般に使用されている。そして、各搬送ローラの回転により第1案内部でX軸方向に案内しながら第1チャンバと第2チャンバとの間で搬送トレイがX軸方向前後に搬送される。通常は、所謂スループットを高めるために、第1チャンバと第2チャンバとには、第1案内部と搬送部とを夫々設けた2つのレーン(行き搬送路と戻り搬送路)がY軸方向に間隔を置いて設けられ、第1チャンバと第2チャンバとの間で搬送トレイの同時搬送ができるようにしている。
【0006】
上記搬送手段の搬送部では、通常、摩耗粉(発塵)の抑制を目的として、第1案内部に搬送トレイの重量(基板が配置されている場合には、基板重量も含む)の一部を牽引させることで、搬送トレイの残余の重量を接触支持する搬送ローラに印加する面圧及び荷重を軽減させている。これと同時に、搬送部の搬送ローラと共にY軸方向の自由度等について制限する構成となっている。つまり、上記搬送手段によって搬送トレイを搬送する際、第1案内部が搬送トレイに対し、Z軸方向上下を軸にした回転(ヨー)、X軸方向前後を軸にした回転(ロール)やY軸方向の移動について、搬送トレイの上部においてその移動をある範囲に制限する(移動の自由度を制限する)構成となっており、同様に搬送ローラも搬送トレイの下部において、Z軸方向上下を軸にした回転(ヨー)、X軸方向前後を軸にした回転(ロール)やY軸方向の移動について、その移動をある範囲に制限する構成となっている。なお、Z軸方向の移動とY軸方向前後を軸にした回転(ピッチング)の自由度については、搬送ローラがその移動の制限する構成となっており、案内部は搬送ローラに印加する面圧ならびに荷重を軽減させる効果のみを奏する構成となっている。
【0007】
上記搬送部の構成では、X軸或いはZ軸方向前後を軸にした搬送トレイの回転やY軸方向左右の移動の自由度に一定の制限を加えることができる(即ち、搬送トレイの下部の搬送ローラからの逸脱を防止することができる)が、搬送トレイ下部における移動の自由度の制限は、レール部材と搬送ローラの凹溝等による機械的な係合要素を用いる構成である。このため、搬送ローラの凹溝内では搬送トレイの移動に伴って係合部材がY軸方向左右に滑り移動する場合があり、このときの滑り摩擦に伴って係合部材と搬送ローラの回転に伴って凹溝内で摩耗粉を発生させてしまうという問題がある。特に、常時、Z軸方向に対して所定角度で搬送トレイを傾斜させて搬送させるような場合にはより顕著になる。
【0008】
このような問題を解決するために、搬送トレイを接触支持する搬送部の部分を例えば球体などの転動体で構成してZ軸方向の自由度のみを制限する構成にすると共に、搬送トレイのZ軸方向下部にて非接触でZ軸方向上方に牽引した状態でX軸方向への移動を案内する他の案内部(以下、「第2案内部」という)を設けることが提案される。第2案内部としては、上記第1案内部と同様に、搬送トレイのZ軸方向下部に設けた一方の磁石(以下、「第3磁石」という)と、この第3磁石からZ軸方向上方に間隔を置いて、且つ、第3磁石と引き合うようにして第1チャンバ及び第2チャンバ内に設けられる他方の磁石(以下、「第4磁石」という)とで構成することが考えられる。このような場合、第3磁石は、例えば、搬送トレイの他方の面側でその下端にY軸方向外方に延出させて支持板部を形成してそのZ軸方向上面に設け、第4磁石は、第1チャンバ及び第2チャンバ内に行き搬送路及び戻り搬送路に沿って搬送トレイの支持板部にZ軸方向に間隔を置いて対峙する水平壁部を持つ支持壁を夫々設け、この水平壁部のZ軸方向下面に設ければよい。
【0009】
以上によれば、搬送トレイの上部にて第1案内部で案内しながら搬送トレイを搬送する際に、搬送トレイにX軸方向前後を軸にした搬送トレイの回転(ロール)やY軸方向左右の移動の自由度があっても、搬送部の部分では転がり摩擦しか発生しないため、上記従来例のような滑り摩擦に伴う摩耗粉の発生を可及的に抑制することができる。これに加えて、第2案内部により搬送部で接触支持される搬送トレイの残余の重量の一部もまた牽引されることで、搬送トレイを接触支持する搬送部の部分に加わる搬送トレイの荷重を軽減でき、その上、搬送トレイの下部におけるX軸方向前後を軸にした搬送トレイの回転(ロール)やY軸方向左右の移動の自由度を制限されることで、摩擦に伴う摩耗粉の発生を一層抑制することができる。なお、本発明において、搬送トレイの「Z軸方向下部」は、Z軸方向下端部のみを指すものではなく、搬送部で接触支持された搬送トレイの重心よりZ軸方向下方に位置する部分をいう。然し、上記のように第2案内部を設けると、互いに近接する第3磁石と第4磁石との干渉により搬送部への搬送トレイの差し込み動作や搬送部からの搬送トレイの引き抜き動作が阻害されるという問題を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】再表2012-140801号公報
【特許文献2】特開2005-289556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、以上の点に鑑み、滑り摩擦に伴う摩耗粉の発生を可及的に抑制するために、搬送トレイのZ軸方向上下部にて非接触でZ軸方向上方に牽引した状態でX軸方向への移動を案内する構成を採用した場合でも、搬送部への搬送トレイの差し込みや搬送部からの搬送トレイの引き抜きを可能にした真空処理装置を提供することをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、一方の面に被処理基板が配置される搬送トレイを搬送しながら、被処理基板の処理面に対して所定の真空処理を施す本発明の真空処理装置は、水平面内で互いに直交する二方向をX軸方向及びY軸方向、X軸方向及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向と、被処理基板の処理面がZ軸方向上方を向く搬送トレイの姿勢を水平姿勢、処理面がY軸方向一方を向く姿勢を起立姿勢とし、X軸方向に互いに連結される第1チャンバと第2チャンバとを備え、第1チャンバと第2チャンバとに起立姿勢の搬送トレイをX軸方向に沿って搬送する搬送手段が設けられ、第1チャンバ内に、搬送トレイを保持した状態で傾動自在な傾動部を備えて水平姿勢と垂直姿勢との間で搬送トレイの姿勢を変更可能とし、搬送手段は、第1チャンバと第2チャンバとの内部に設けられて、搬送トレイの上部を非接触でZ軸方向上方に牽引した状態でX軸方向への移動を案内する第1案内部と、搬送トレイの下部を非接触でZ軸方向上方に牽引した状態でX軸方向への移動を案内する第2案内部と、搬送トレイを接触支持してX軸方向前後に搬送トレイを搬送する搬送部とを備え、第1チャンバ内に存する第2案内部の部分を少なくともY軸方向に移動させる駆動部を設けたことを特徴とする。
【0013】
本発明において、前記第1チャンバと前記第2チャンバとにY軸方向に間隔を存して第1案内部、搬送部及び第2案内部を夫々設けた第1及び第2の各搬送路が設けられる場合、前記第2案内部は、前記他方の面側で前記搬送トレイの下部に形成した支持板部のZ軸方向上面に設けた一方の磁石と、この一方の磁石とZ軸方向上方から引き合うように、第1チャンバ及び第2チャンバ内で各搬送路に沿って配置される支持壁のZ軸方向下面に設けた他方の磁石とを備え、各第2案内部の部分を他方の磁石を含む支持壁の可動部分とし、各可動部分を一体に前記駆動部によりY軸方向に移動させる構成を採用することができる。
【0014】
以上によれば、搬送部への搬送トレイの差し込みや搬送部からの搬送トレイの引き抜きの際には、駆動部により他の磁石を含む第2案内部の部分(他方の磁石を含む支持壁の可動部分)をY軸方向一方に退避させておけば、第2案内部としての一方の磁石と他方の磁石とが干渉して搬送トレイの差し込みや引き抜きが阻害されるといった不具合は生じない。この場合、上記部分をZ軸方向に移動させる他の駆動部を更に設け、例えば、搬送トレイを引き抜く際に傾動部で起立姿勢の搬送トレイを保持するの先立って上記部分をZ軸方向上方に移動退避させておけば、例えば、傾動部で搬送トレイを保持するときの振動で互いに近接する両磁石が接触してしまうといった不具合も生じない。しかも、独立して上記部分のみを移動させるだけであるため、スループットの低下を招くといった不具合も生じない。
【0015】
なお、第2案内部の可動部分をY軸方向に退避させるときにこれが搬送部に干渉する虞があるときには、前記搬送部は、前記第1チャンバ及び第2チャンバ内で前記第1及び第2の各搬送路に沿って配置されて前記搬送トレイの下面に点接触する転動体を有し、第1チャンバ内に存する各転動体を一体にY軸方向及びZ軸方向の少なくとも一方に移動させる他の駆動部を設けることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態のインライン式の真空処理装置の縦断面図。
図2図1に示すインライン式の真空処理装置の横断面図。
図3】搬送トレイの搬送状態を示す部分拡大図。
図4】(a)~(f)は、搬送部からの搬送トレイの受け取り、搬送部への搬送トレイの受け渡し操作を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、被処理基板をフラットパネルディスプレイの製造に利用される大面積のガラス基板(以下、「基板Sw」という)とし、基板Swが配置される搬送トレイTrを真空チャンバ内で後述の搬送路Tp1,Tp2に沿って搬送しながら、基板Swの一方の面(処理面)に成膜処理、熱処理、エッチング処理といった各種の真空処理を施すインライン式のものを例に本発明の真空処理装置の実施形態を説明する。以下においては、搬送路Tp1,Tp2に沿った搬送トレイTrの移動方向をX軸方向、X軸方向に直交する重力加速度方向をZ軸方向、X軸方向及びZ軸方向に直交する方向をY軸方向とする。また、搬送トレイTrに配置された基板Swの処理面がZ軸方向上方を向く搬送トレイ(及び基板Sw)の姿勢を水平姿勢、基板Swの処理面がY軸方向一方を向く搬送トレイTr(及び基板Sw)の姿勢を起立姿勢(Z軸に対して所定角度で搬送トレイTrが傾斜する姿勢も含む)とする。
【0018】
図1図3を参照して、真空処理装置VMは、図外の搬送ロボットにより処理前の基板Swを水平姿勢で搬送トレイTrの一方の面に配置し、または、水平姿勢の搬送トレイTrから処理済みの基板Swを取り出すためのポジションチャンバ(第1チャンバ)Pcを備える。搬送トレイTrは、基板Swより一回り大きな輪郭の板状体11で構成され、板状体11には、起立姿勢にしたときに基板Swの下辺が当接する基板受け部12と、板状体11に対して基板Swの縁部を局所的に押圧するクランプなどの押圧部(図示せず)とが設けられ、真空処理の間、起立姿勢の基板Swを搬送トレイTrに保持することができる。基板Swに対する真空処理によっては、マスクプレートが基板Swと共に取り付けられるようにしてもよい。このような搬送トレイTrとしては公知のものが利用できるため、これ以上の説明は省略する。
【0019】
大気雰囲気に維持されるポジションチャンバPcには、他方の面側から搬送トレイTrを保持した状態で傾動自在な傾動部2が備えられ、水平姿勢と起立姿勢との間で搬送トレイTrの姿勢を変更することができる。傾動部2は保持板21を備え、保持板21の所定位置には、特に図示して説明しないが、バキュームチャックなどの保持機構が設けられ、搬送トレイTrを起立姿勢にしたときでも保持板21から基板Swが離脱しないようにしている。保持板21には、X軸方向に間隔を置いて立設されて、単軸ロボットなどの機構(図示せず)によりZ軸方向上下に同期して伸縮自在な2本のフレーム22に設けた回転軸23が連結され、モータMtにより回転軸23を一方向に回転駆動すると、保持板21が回転軸23回りに回転して搬送トレイTrを傾動するようにしている。各フレーム22の下端は、Y軸方向にのびるようにポジションチャンバPcに設けた単軸ロボットの移動機構24に連結され、Y軸方向左右に往復動自在となっている。
【0020】
ポジションチャンバPcにて水平姿勢の搬送トレイTrに基板Swが配置されると、傾動部2は、搬送トレイTrを持ち上げながら回転して搬送トレイTrを起立姿勢とし、移動機構24により後述の搬送部のZ軸方向上方の位置までY軸方向一方に移動した後、搬送トレイTrを差し込むように搬送部へと受け渡す。一方、後述の搬送部から処理済みの基板Swがある搬送トレイTrを受け取るときには、傾動部2は、他方の面側から搬送トレイTrを保持した後、Z軸方向上方に引き抜くように起立姿勢の搬送トレイTrを持ち上げた後、搬送トレイTrを持ち下げながら搬送トレイTrを回転させて水平姿勢に変更してY軸方向他方に所定位置まで移動し、搬送トレイTrからの処理済みの基板Swの回収が可能となる。
【0021】
ポジションチャンバPcのX軸方向前方には、ゲートバルブGv1を介してロードロックチャンバ(第2チャンバ)Lcが連設されている。ロードロックチャンバLcには、特に図示して説明しないが、真空ポンプからの排気管とベントガスを導入するベントガスラインとが夫々接続され、ロードロックチャンバLcを真空雰囲気と大気雰囲気とに適宜切り換えることができる。ロードロックチャンバLcのX軸方向前方には、基板Swの処理面に対して実施しようとする各種の真空処理に応じた数の処理チャンバVc1~VcnがゲートバルブGv2,Gvnを介して順次連設されている。各処理チャンバVc1,Vcnは、X軸方向に沿ってのびる隔離壁31によってY軸方向で左右2室に隔絶され、各室31a,31bには、例えば、スパッタリングカソードといった各種の真空処理の実施に必要な装置32が夫々設けられている。そして、基板Swの処理面がY軸方向左方(図2中、下方)を向く起立姿勢で搬送トレイTrが各真空処理チャンバVc1,Vcnの各室31a,31bを夫々通過する間に、基板Swの処理面に対し各種の真空処理が施される。X軸方向前方で最下流側に位置する処理チャンバVcnにはターンバックチャンバBcが連設されている。
【0022】
ターンバックチャンバBcには、上面に搬送ローラ41を設けたY軸方向左右に移動自在な移動ステージ4が設けられ、処理チャンバVcnのY軸方向左側の室31aから受け取った搬送トレイTrを再度処理チャンバPcnのY軸方向右側の室31bに戻すことができる。そして、ポジションチャンバPcとターンバックチャンバBcとの間でX軸方向にのびる2本の搬送路に沿って搬送トレイTrを起立姿勢で夫々搬送できるように搬送手段Tmが設けられている。以下において、互いにX軸方向に連設されたポジションチャンバPcからロードロックチャンバLc、各処理チャンバVc1,VcnのY軸方向左側の室31aを経てターンバックチャンバBcに通じる、搬送トレイTrがX軸方向前方(図1、2中、左側から右側)に搬送されるものを行き搬送路Tp1、逆に、ターンバックチャンバTcからY軸方向右側の室31b、ロードロックチャンバLcを経てポジションチャンバPcに通じる、搬送トレイTrがX軸方向後方(図1中、右側から左側)に搬送されるものを戻り搬送路Tp2とする。
【0023】
搬送手段Tmは、起立姿勢の搬送トレイTrを非接触でZ軸方向上方に牽引した状態で、X軸方向前方または後方への移動を案内する第1案内部4と、第1案内部4によりその重量の一部が牽引された搬送トレイTrの残余の重量を接触支持してX軸方向前方または後方に搬送トレイTrを搬送する搬送部5と、搬送トレイTrのZ軸方向下部にて非接触でZ軸方向上方に牽引した状態でX軸方向前方または後方への移動を案内する第2案内部6とを備える。第1案内部4は、搬送トレイTrの板状体11のZ軸方向上面にその上辺に沿って取り付けたX軸方向に長手の第1磁石41と、行き搬送路Tp1及び戻り搬送路Tp2に沿ってポジションチャンバPc、ロードロックチャンバLc及び各処理チャンバVc1,Vcn内のZ軸方向上部に夫々配置した第2磁石42とを備える。第1磁石41と第2磁石42とは、その対向面の極性が異なるように着磁され、これにより、搬送トレイTrを非接触でZ軸方向上方に牽引した状態でX軸方向前後への移動を夫々案内する。なお、第1磁石41と第2磁石42とはY軸方向に間隔を置いて複数例で設けることもでき、この場合には、第1磁石41と第2磁石42との互いに向かい合うものの極性を交互に変えることが好ましい。
【0024】
搬送部5は、行き搬送路Tp1及び戻り搬送路Tp2に沿ってポジションチャンバPc、ロードロックチャンバLc及び各処理チャンバVc1,Vcn内の下部にX軸方向に間隔を置いて設けられる転動体としての搬送コロ51を備える。各搬送コロ51は、ポジションチャンバPc、ロードロックチャンバLc及び各処理チャンバVc1,Vcn内の所定位置に夫々軸支される軸体51aと、各軸体51aに夫々外嵌されて搬送トレイTrのZ軸方向下面に接触する車輪部51bとで構成される。この場合、単一の軸体51aには、Y軸方向に間隔を置いて少なくとも2個の車輪部51bが取り付けられ、車輪部51bの先端はまた、径方向外方に向かって先細りである楕円状に形成され、車輪部51bが搬送トレイTrのZ軸方向の下面に点接触するようにしている。本実施形態では、各搬送コロ51が、Z軸方向の自由度のみを制限した状態で搬送トレイTrを接触支持する搬送部5の部分を構成する。特に図示して説明しないが、各搬送コロ51の軸体51aには、プーリー、歯車、駆動ベルトやモータといった公知の動力伝達機構が連結され、行き搬送路Tp1及び戻り搬送路Tp2毎に各搬送コロ51が同期して同方向に回転駆動される。
【0025】
第2案内部6は、搬送トレイTrのZ軸方向下部に設けた第3磁石(一方の磁石)61と、行き搬送路Tp1及び戻り搬送路Tp2に沿ってポジションチャンバPc、ロードロックチャンバLc及び各処理チャンバVc1,Vcn内の下部に夫々配置した第4磁石62とを備える。搬送トレイTrの板状体11には、基板Swが配置される一方の面に背向する他方の面側(図3中、左側)でその下端にその外方に向けて延出させて支持板部13が形成され、支持板部13のZ軸方向上面に第3磁石61が設けられている。他方、行き搬送路Tp1及び戻り搬送路Tp2に沿ってポジションチャンバPc、ロードロックチャンバLc及び各処理チャンバVc1,Vcn内のZ軸方向下部には、搬送トレイTrの支持板部13にZ軸方向に間隔を置いて対峙する水平壁部63aを持つ支持壁63がX軸方向に沿ってのびるように夫々設けられ、水平壁部63aの下面に第4磁石62が設けられている。第3磁石61と第4磁石62とは、その対向面の極性が異なるように着磁され、これにより、搬送トレイTrのZ軸方向下部を非接触でZ軸方向上方に牽引した状態でX軸方向前後への移動を夫々案内する。なお、第3磁石61と第4磁石62とは、上記同様、Y軸方向に間隔を置いて複数列で設けることもでき、この場合には、第3磁石61と第4磁石62との互いに向かい合うものの極性を交互に変えることが好ましい。
【0026】
以上の構成を採用すれば、搬送トレイTrをX軸方向前後に搬送する際、搬送トレイTrの下面と搬送部5の部分として、転動体である点接触の搬送コロ51を用いたことから、搬送トレイTr側の軌道面と転動体間の滑り摩擦が発生しないため、上記従来例のような滑り摩擦に伴う摩耗粉の発生を可及的に抑制することができる。しかも、第1案内部4によって搬送トレイTrの重量の一部が牽引されることに加えて、第2案内部6によって、搬送コロ51で接触支持される搬送トレイTrの残余の重量の一部もまた牽引されることで、各搬送コロ51に加わる搬送トレイTrの荷重をより一層軽減することができ、その上、第2案内部6によって搬送トレイTrの下部におけるX軸方向前後を軸にした搬送トレイTrの回転(ロール)やY軸方向左右の移動の自由度が制限されることで、摩擦に伴う摩耗粉の発生をより一層抑制することができる。但し、ポジションチャンバPcにて、搬送部5に対する搬送トレイTrの受け渡しまたは受け取りの際に、互いに近接する第3磁石61と第4磁石62との干渉により搬送コロ51への搬送トレイTrの差し込み動作や搬送コロ51からの搬送トレイTrの引き抜き動作が阻害されないように構成しておく必要がある。
【0027】
本実施形態では、両支持壁63のポジションチャンバPc内に存する部分がY軸方向左右及びZ軸方向上下に移動自在な可動部分63L,63Rとして夫々構成されている。各可動部分63L,63Rは、ポジションチャンバPc内に設けた共通の第1の可動ベース71に夫々立設されている。第1の可動ベース71には、これをY軸方向左右及びZ軸方向上下に所定のストローク長で夫々移動できる(第1の)駆動部72a,72bが連結されている。駆動部72a,72bとしては、エアシリンダや直動モータなどの公知のものが利用できる。加えて、ポジションチャンバPc内に存する各搬送コロ51の軸体51aには、図示省略の軸受を備える支持ロッド52a,52bが連結され、各支持ロッド52a,52bのZ軸方向下端がポジションチャンバPc内に設けた共通の第2の可動ベース73に夫々取り付けられている。第2の可動ベース73には、これをY軸方向左右及びZ軸方向上下に所定のストローク長で夫々独立して移動できる(第2の)駆動部74a,74bが連結されている。第2の駆動部74a,74bとしては、上記同様、エアシリンダや直動モータなどの公知のものが利用できる。なお、次の搬送トレイTrを行き搬送路Tp1に受け渡すのに際し、第1の可動ベース71をY軸方向左側に移動させたときに、戻り搬送路Tp2側の可動部分63Rと行き搬送路Tp1側の搬送用コロ51とが干渉する場合には、これを避けるために、(第3の)駆動部75を更に設け、行き搬送路Tp1側の可動部分63LのみをY軸方向左右に更に移動自在に構成してもよい。以下に、図4を参照して、ポジションチャンバPcにて、戻り搬送路Tp2から搬送トレイTrを受け取り、行き搬送路Tp1に搬送トレイTrを受け渡す操作について説明する。
【0028】
ポジションチャンバPc内で戻り搬送路Tp2の受取位置まで搬送トレイTrが搬送されてくると(図4(a)参照)、傾動部2により他方の面側から搬送トレイTrを保持した後(以降、この搬送トレイTrのZ軸方向における位置を「保持位置」という)、一方の第1の駆動部72aにより第1の可動ベース71、ひいては、両支持壁63L,63RをZ軸方向に上昇させ、一方の第2の駆動部74aにより第2の可動ベース73、ひいては、各搬送コロ51をZ軸方向に下降させる(図4(b)参照)。次に、他方の第1の駆動部72bにより第1の可動ベース71を、また、他方の第2の駆動部74bにより第2の可動ベース73を同期させてY軸方向左側に移動させる(図4(c)参照)。なお、第1の可動ベース71をY軸方向左側に移動させたときに、戻り搬送路Tp2側の可動部分63Rと行き搬送路Tp1側の搬送用コロ51とが干渉しないような場合には、第2の可動ベース73の移動は不要にできる。そして、処理済みの基板Swがある搬送トレイTrをZ軸方向上方に引き抜くように保持位置から持上げられて戻り搬送路Tp2上から取り去れる。その後、特に図示して説明しないが、保持板21を回転させて水平姿勢に戻され、ポジションチャンバpcにて水平姿勢の搬送トレイTrに対する処理後の基板Swと処理前の基板Swとが交換される。
【0029】
次に、他方の第1及び第2の各駆動部72b,74bにより第1及び第2の各可動ベース71,73を元の位置までY軸方向右側に移動させ、第3の駆動部75により可動部分63LをY軸方向左側に移動させ、この状態で、傾動部2により行き搬送路Tp1の搬送部5に起立姿勢の搬送トレイTrを保持位置まで移動して待機させる(図4(d)参照)。そして、一方の第2の駆動部74aにより第2の可動ベース73を元の位置までZ軸方向に上昇させて各搬送コロ51で搬送トレイTrを接触支持させる(図4(e)参照)。最後に、第3の駆動部75により可動部分63Lを元の位置までY軸方向右側に移動させ、一方の第1の駆動部72aにより第1の可動ベース71を元の位置までZ軸方向に下降させた後、傾動部2を離脱させる(図4(f)参照)。これにより、ポジションチャンバPcとロードロックチャンバLcとの間で搬送トレイTrの同時搬送が可能な状態となる。
【0030】
以上の実施形態によれば、搬送部5への搬送トレイTrの差し込みや搬送部5からの搬送トレイTrの引き抜きの際には、第2案内部6としての第3磁石61と第4磁石62とが干渉して搬送トレイTrの差し込み動作や引き抜き動作が阻害されるといった不具合は生じない。しかも、可動部分63L,63Rを事前にZ軸方向上方に移動退避させているため、傾動部2で搬送トレイTrを保持するときの振動で互いに近接する第3及び第4の両磁石61,62が接触してしまうといった不具合も生じない。その上、ポジションチャンバPc内の可動部分63L,63Rと搬送コロ51のみを移動させるだけであるため、スループットの低下を招くといった不具合も生じない。
【0031】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術思想の範囲を逸脱しない限り、種々の変形が可能である。上記実施形態では、傾動部2により他方の面側から搬送トレイTrを保持するものを例に説明したが、搬送トレイTrを起立姿勢にしたときでも保持板21から基板Swが離脱しないように搬送トレイTrを保持できるものであれば、その形態は問わない。また、上記実施形態では、搬送部5として、搬送トレイTrのZ軸方向の下面に点接触して支持する搬送コロ51を備えるものを例に説明したが、Z軸方向の自由度のみを制限した状態で搬送トレイTrを接触支持できるものであれば、これに限定されるものではく、例えば、球体(図示せず)で接触支持するようにしてもよい。
【0032】
また、上記実施形態では、第1案内部4と第2案内部6として、互いに引き合うように配置した一対の磁石41,42,61,62を備えるものを例に説明したが、第1案内部4として、搬送トレイTrの重量(基板Sw重量も含む)の大半を牽引できると共に、少なくともX軸方向の自由度、Z軸方向上下の移動とY軸方向左右を軸とした回転(ピッチング)の自由度がある程度制限できるものであれば、これに限定されるものではない。特に図示して説明しないが、例えば、ポジションチャンバPc、ロードロックチャンバLc及び各処理チャンバVc1,Vcn内上部にレール部材を設け、このレール部材に摺動自在に係合するスライダに設け、スライダにX軸方向に間隔を置いて吊設した複数本のワイヤで搬送トレイTrを牽引した状態で案内するようにしてもよい。他方、第2案内部6もまた、特に、X軸方向前後を軸にした搬送トレイTrの回転(ロール)やY軸方向左右の移動の自由度がある程度制限できるものであれば、これに限定されるものではなく、上記第1案内部と同様の構成を採用するようにしてもよい。
【0033】
更に、上記実施形態では、搬送部5に備わる転動体として単一の軸体51aに少なくとも2個の車輪部51bを設けた搬送コロ51を例に説明したが、これに限定されるものでなく、1個の車輪部とした構成でも不都合はない。また、搬送トレイTrのZ軸方向の自由度を制限すると共に搬送トレイTrへX軸方向の駆動力を転がり接触による摩擦力にて伝達されるように構成されるのであれば不都合はない。つまり、滑り接触ではなく転がり接触で駆動可能となるための垂直抗力が第1案内部4によりその重量の一部が牽引された搬送トレイTrの残余の重量として確保され、これに必要な安全率を付与した構成とすれば理想的な実施形態となる。更に、上記実施形態では、車輪部51bの先端が搬送トレイTrのZ軸方向の下面に点接触するようにし、その点接触部位は、軸体51aを経由して回転駆動力が伝達される機構としたが、この車輪部と軸体との嵌合部に例えば等速ジョイントを用いれば、確実に転がり接触によって搬送トレイTrへ駆動力を伝達することもできる。
【0034】
また、上記実施形態では、第1チャンバをポジションチャンバPc、第2チャンバをロードロックチャンバとしたものを例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ロードロックチャンバに水平姿勢の基板を搬送し、ロードロックチャンバ内が所定圧力まで真空排気されると、ロードロックチャンバに連設されたポジションチャンバに搬送して水平姿勢の基板を搬送トレイに配置した後、起立姿勢に変更し、この状態で例えば処理チャンバに搬送するものにおいて、第1チャンバとしてのポジションチャンバと第2チャンバとしての処理チャンバとの間で搬送トレイを搬送するものにも本発明は適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
VM…真空処理装置、Sw…基板(被処理基板)、Tr…搬送トレイ、13…支持板部、Pc…ポジションチャンバ(第1チャンバ)、Lc…ロードロックチャンバ(第2チャンバ)、Vc1,Vcn…処理チャンバ(第2チャンバ)、Tm…搬送手段、2…傾動部、4…第1案内部、5…搬送部、51…搬送コロ(転動体)、6…第2案内部、Tp1…行き搬送路(第1搬送路)、Tp2…戻り搬送路(第2搬送路)、61…第3磁石(一方の磁石)、62…第4磁石(他方の磁石)、63…支持壁、63L,63R…支持壁の可動部分、72a,72b…駆動部、74a,74b…第2の駆動部(他の駆動部)。
図1
図2
図3
図4