(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077442
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】送液装置、液体を吐出する装置、印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20230530BHJP
【FI】
B41J2/01 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190674
(22)【出願日】2021-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【弁護士】
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】飛彈 竜作
(72)【発明者】
【氏名】神原 一暁
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA25
2C056EC07
2C056EC28
2C056EC29
2C056FA13
2C056FA14
2C056HA15
2C056HA60
(57)【要約】
【課題】送液を行うときの送液手段の出力を低くできる送液装置、液体を吐出する装置、印刷装置を提供する。
【解決手段】第1送液装置70aは、筐体701内に、第1液体である温調液510を収容する温調液タンク501Aが上段に配置され、温調液タンク501Aから温調液510を送液する送液ポンプ502Aが下段に配置され、温調液タンク501Aと送液ポンプ502Aとはチューブ93bで接続されて、送液手段である送液ポンプ502Aは、液体収容部である温調液タンク501Aに対して、重力方向で、下方に配置されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1液体を収容する液体収容部と、
前記液体収容部に収容された前記第1液体を送液する送液手段と、
前記送液手段は、前記液体収容部に対して、下方に配置されている
ことを特徴とする送液装置。
【請求項2】
前記送液手段から送液される前記第1液体を冷却する冷却部を備え、
前記液体収容部及び前記送液手段は装置手前側に配置され、
前記冷却部は装置後方側に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の送液装置。
【請求項3】
前記送液手段と前記冷却部との間には送液路を分割するカップリングが設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の送液装置。
【請求項4】
前記液体収容部と前記送液手段とを通じる送液路を保持する保持部材を備えている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の送液装置。
【請求項5】
前記液体収容部、及び、前記送液手段を収容した筐体を有し、
前記筐体は、前記液体収容部、前記送液手段に対して、前記筐体の正面からアクセス可能な開口部を有している
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の送液装置。
【請求項6】
第2液体を吐出する手段と、
請求項1ないし5のいずれかに記載の送液装置と、を備え、
前記第1液体が前記吐出する手段の温度調節に使用する温調液である
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項7】
第2液体を吐出する手段と、
請求項1ないし5のいずれかに記載の送液装置と、を備えている
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
前記吐出する手段を含む印刷部と、
前記印刷部の上流側に配置される上流側装置と、
前記印刷部の下流側に配置される下流側装置と、を含み、
前記送液装置は、前記印刷部の上流側の隣りであって前記上流側装置の背面側、又は、前記印刷部の下流側の隣りであって前記下流側装置の背面側に配置されている
ことを特徴とする請求項7に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は送液装置、液体を吐出する装置、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液体を吐出する装置においては、温調液を使用してヘッドの温度を調整することが行われている。
【0003】
従来、冷却液を送液する装置として、冷却液を貯留する液溜タンクと、液溜タンクの冷却液を送液する送液ポンプとを横並びに配置したものが知られている
(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、液体を収容する液体収容部と液体を送液する送液手段とを、重力方向において、横並びに配置すると、送液に必要な送液手段の出力が高くなるという課題がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、送液を行うときの送液手段の出力を低くできるようにすること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係る送液装置は、
第1液体を収容する液体収容部と、
前記液体収容部に収容された前記第1液体を送液する送液手段と、
前記送液手段は、前記液体収容部に対して、下方に配置されている
構成とした。
【0008】
本発明によれば、送液を行うときの送液手段の出力を低くできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置の概略説明図である。
【
図2】吐出ユニットを構成するヘッドユニットの一例をノズル面側から見た平面説明図である。
【
図3】ヘッドの一例の短手方向(ノズル配列方向と直交する方向)の断面説明図である。
【
図4】
図3のA-A線における冷媒流路の平面説明図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る送液装置の正面説明図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置の平面説明図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係る送液装置の第1送液装置を正面から見た斜視説明図である。
【
図10】本発明の第4実施形態に係る送液装置の第1送液装置の側面説明図である。
【
図11】同実施形態における温調液タンクと送液ポンプとの関係の説明に供する説明図である。
【
図12】送液ポンプの交換手順の説明に供する説明図である。
【
図14】同実施形態において送液ポンプを交換するときの送液ポンプの配置の一例の説明に供する第1送液装置の側面説明図である。
【
図15】比較例1の送液ポンプの交換手順の説明に供する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置について
図1を参照して説明する。
図1は同印刷装置の概略説明図である。
【0011】
印刷装置1は、シート材Pを搬入する搬入部10と、前処理部20と、印刷部30と、乾燥部40と、搬出部50と、反転機構部60を備えている。印刷装置1は、搬入部10から搬入(供給)されるシート材Pに対し、前処理手段である前処理部20で必要に応じて前処理液を付与(塗布)し、印刷部30で液体を付与して所要の印刷を行い、乾燥部40でシート材Pに付着した液体を乾燥させた後、シート材Pを搬出部50に排出する。
【0012】
搬入部10は、複数のシート材Pを収容する搬入トレイ11(下段搬入トレイ11A、上段搬入トレイ11B)と、搬入トレイ11からシート材Pを1枚ずつ分離して送り出す給送装置12(12A、12B)とを備え、シート材Pを前処理部20に供給する。
【0013】
前処理部20は、例えばインクの色材を凝集させ、裏写りを防止する作用効果を有する処理液をシート材Pの印刷面に付与する処理液付与手段である塗布部21などを備えている。
【0014】
印刷部30は、シート材Pを周面に担持して回転する担持部材(回転体)であるドラム31と、ドラム31に担持されたシート材Pに向けて液体を吐出する液体吐出部32を備えている。
【0015】
また、印刷部30は、前処理部20から送り込まれたシート材Pを受け取ってドラム31との間でシート材Pを渡す渡し胴34と、ドラム31によって搬送されたシート材Pを受け取って乾燥部40に渡す受け渡し胴35を備えている。
【0016】
前処理部20から印刷部30へ搬送されてきたシート材Pは、渡し胴34に設けられた把持手段(シートグリッパ)によって先端が把持され、渡し胴34の回転に伴って搬送される。渡し胴34により搬送されたシート材Pは、ドラム31との対向位置でドラム31へ受け渡される。
【0017】
ドラム31の表面にも把持手段(シートグリッパ)が設けられており、シート材Pの先端が把持手段(シートグリッパ)によって把持される。ドラム31の表面には、複数の吸引穴が分散して形成され、吸引手段によってドラム31の所要の吸引穴から内側へ向かう吸い込み気流を発生させる。
【0018】
そして、渡し胴34からドラム31へ受け渡されたシート材Pは、シートグリッパによって先端が把持されるとともに、吸引手段による吸い込み気流によってドラム31上に吸着担持され、ドラム31の回転に伴って搬送される。
【0019】
液体吐出部32は、第2液体(以下、「インク」という。)を吐出する液体吐出手段である吐出ユニット33(33A~33D)を備えている。例えば、吐出ユニット33Aはシアン(C)のインクを、吐出ユニット33Bはマゼンタ(M)のインクを、吐出ユニット33Cはイエロー(Y)のインクを、吐出ユニット33Dはブラック(K)のインクを、それぞれ吐出する。また、その他、白色、金色(銀色)などの特殊なインクの吐出を行う吐出ユニットを使用することもできる。
【0020】
液体吐出部32の各吐出ユニット33は、印刷情報に応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作が制御される。ドラム31に担持されたシート材Pが液体吐出部32との対向領域を通過するときに、吐出ユニット33から各色のインクが吐出され、当該印刷情報に応じた画像が印刷される。
【0021】
乾燥部40は、印刷部30でシート材P上に付着したインクを乾燥させる。これにより、インク中の水分等の液分が蒸発し、シート材P上に液体中に含まれる着色剤が定着し、また、シート材Pのカールが抑制される。
【0022】
反転機構部60は、乾燥部40を通過したシート材Pに対して両面印刷を行うときに、スイッチバック方式で、シート材Pを反転する機構であり、反転されたシート材Pは印刷部30の搬送経路61を通じて渡し胴34よりも上流側に逆送される。
【0023】
搬出部50は、複数のシート材Pが積載される搬出トレイ51を備えている。反転機構部60から搬送されてくるシート材Pは、搬出トレイ51上に順次積み重ねられて保持される。
【0024】
次に、吐出ユニットを構成するヘッドユニットの一例について
図2を参照して説明する。
図2は同ヘッドユニットをノズル面側から見た平面説明図である。
【0025】
ヘッドユニット300は、インクを吐出する複数のヘッド100を千鳥状にヘッド取付け部材302に並べて配置したものである。
【0026】
各ヘッド100は、インクを吐出する複数のノズル104が配列されたノズル列を複数列(ここでは4列を例にしているが、限定されない。)有している。
【0027】
次に、ヘッド100の一例について
図3及び
図4を参照して説明する。
図3は同ヘッドの短手方向(ノズル配列方向と直交する方向)の断面説明図、
図4は
図3のA-A線における冷媒流路の平面説明図である。
【0028】
ヘッド100は、ノズル104を形成したノズル板101と、ノズル104に通じる圧力室106などの流路を形成する流路板102と、圧力室106の壁面を形成する振動板103を順次積層している。また、ヘッド100は、圧力発生手段としての圧電アクチュエータ111と、共通流路部材を兼ねるフレーム部材120とを有している。
【0029】
圧電アクチュエータ111は、ベース部材113上に固定された柱状の複数の圧電素子112を有し、圧電素子112は振動板103に接合されている。また、圧電素子112にはフレキシブル配線基板などの配線部材115が接続されている。
【0030】
共通流路部材を兼ねるフレーム部材120は、圧力室106に吐出するインクを供給する共通供給流路110を形成している。
【0031】
このフレーム部材120に第1液体である温調液(温度が調整された液体)を流すヘッド100内の温調液流路130を形成する温調液流路部材131を接合している。温調液流路部材131には、温調液流路130に温調液を供給する温調液供給ポート132と、温調液を外部に回収する温調液回収ポート133とを有している。
【0032】
これにより、ヘッド100内において、インクの流路である共通供給流路110と温調液流路130とが熱結合されている。また、ヘッド100の筐体部を兼ねるフレーム部材120は、温調液流路130の壁面を形成しており、温調液流路130と熱結合されている。
【0033】
温調液流路部材131にはケース部材150及び蓋部材151が順次積層されている。
【0034】
次に、温調液の循環系について
図5を参照して説明する。
図5は温調液循環系の説明に供する説明図である。
【0035】
複数のヘッド100を含む複数のヘッドユニット300(33A~33D)に対応して、温調液供給マニホールド505(505A~505D)と、温調液回収マニホールド506(506A~506D)を備えている。
【0036】
そして、温調液タンク501A、501Bを備えている。
【0037】
温調液タンク501Aから、送液ポンプ502Aと、ラジエター511A(511A1、511A2の直接接続)を介して、温調液供給マニホールド505A、505Bに温調液510を分岐して供給する。
【0038】
温調液タンク501Bから、送液ポンプ502Bと、ラジエター511B(511B1、511B2の直接接続)を介して、温調液供給マニホールド505C,505Dに温調液510を分岐して供給する。
【0039】
一方、ヘッドユニット300A、300Bを通過した温調液510は、温調液回収マニホールド506(506A、506B)でそれぞれ回収した後、1つに集約して、温調液タンク501Aに戻している。
【0040】
ヘッドユニット300C、300Dを通過した温調液510は、温調液回収マニホールド506(506C、506D)でそれぞれ回収した後、1つに集約して、温調液タンク501Bに戻している。
【0041】
したがって、循環経路500Aは、温調液タンク501Aから送液ポンプ502A、ラジエター511A1、511A2、温調液供給マニホールド505A、505B、ヘッドユニット300A、33B、温調液回収マニホールド506A、506Bを経て、温調液タンク501Aに戻る経路となる。
【0042】
同様に、循環経路500Bは、温調液タンク501Bから送液ポンプ502B、ラジエター511B1、511B2、温調液供給マニホールド505C、505D、ヘッドユニット300C、33D、温調液回収マニホールド506C、506Dを経て、温調液タンク501Bに戻る経路となる。
【0043】
次に、本発明の第1実施形態に係る送液装置について
図6を参照して説明する。
図6は同送液装置の正面説明図である。
【0044】
送液装置70は、第1送液装置70aと、第2送液装置70bで構成されている。なお、第1送液装置70aと第2送液装置70bを一体に構成してもよい。
【0045】
第1送液装置70aは、筐体(装置ハウジング)701内に、2つのインクタンク401aと、2つのインクタンク401bとが、それぞれ、上段及び下段に交換可能に収容されている。
【0046】
インクタンク401aは、吐出ユニット33Bから吐出するマゼンタ(M)のインクを収容している。インクタンク401bは、吐出ユニット33Cから吐出するイエロー(Y)のインクを収容している。インクタンク401aのインクは、吐出ユニット33Bの各ヘッド100にインクを分配するインク供給マニホールドに供給される。インクタンク401bのインクは、吐出ユニット33Cの各ヘッド100にインクを分配するインク供給マニホールドに供給される。
【0047】
また、第1送液装置70aは、筐体701内に、温調液510を収容する温調液タンク501Aが上段に配置され、温調液タンク501Aから温調液510を送液する送液ポンプ502Aが下段に配置されている。つまり、送液手段である送液ポンプ502Aは、液体収容部である温調液タンク501Aに対して、重力方向で、下方に配置されている
【0048】
第2送液装置70bは、筐体(装置ハウジング)701内に、2つのインクタンク401cと、2つのインクタンク401dとが、それぞれ、上段及び下段に交換可能に収容されている。
【0049】
インクタンク401cは、吐出ユニット33Dから吐出するブラック(K)のインクを収容している。インクタンク401dは、吐出ユニット33Aから吐出するシアン(C)のインクを収容している。インクタンク401cのインクは、吐出ユニット33Dの各ヘッド100にインクを分配するインク供給マニホールドに供給される。インクタンク401dのインクは、吐出ユニット33Aの各ヘッド100にインクを分配するインク供給マニホールドに供給される。
【0050】
また、第2送液装置70bは、筐体701内に、温調液510を収容する温調液タンク501Bが上段に配置され、温調液タンク501Bから温調液510を送液する送液ポンプ502Bが下段に配置されている。つまり、送液手段である送液ポンプ502Bは、液体収容部である温調液タンク501Bに対して、重力方向で、下方に配置されている
【0051】
次に、第1送液装置について
図7を参照して説明する。
図7は第1送液装置の側面説明図である。なお、第2送液装置も第1送液装置と同じ構成であるので、説明を省略する。
【0052】
温調液タンク501Aは、筐体701内を上下に仕切る載置板99上に交換可能に載置されている。温調液タンク501Aは、タンク接続部82と、タンク接続部83とを備える。載置板99は、タンク接続部83が挿通する開口を有している。
【0053】
温調液タンク501Aのタンク接続部82は、温調液510が流入する流入口であり、温調液回収マニホールド506A、506Bとチューブ93aを介して接続される。温調液タンク501Aのタンク接続部83は、温調液510が流出する流出口であり、送液ポンプ502Aとチューブ93bを介して接続される。
【0054】
送液ポンプ502Aは、筐体701内の底板702上に交換可能に載置されている。送液ポンプ502Aは、ポンプ温調液流出口95aと、ポンプ温調液流入口95bとを有している。
【0055】
送液ポンプ502Aのポンプ温調液流入口95bは、チューブ93bを介して温調液タンク501Aのタンク接続部83と接続され、温調液タンク501Aから温調液510が流入する。送液ポンプ502Aのポンプ温調液流出口95aは、チューブ93cを介してラジエター511Aと接続され、送液ポンプ502Aから流出した温調液510がラジエター511A1に送られる。
【0056】
ラジエター511A1に流入した温調液510は、ファン511aがラジエター511A1内の流路を送風することにより冷却される。ラジエター511A1を通過した温調液510は、チューブ93dを介してラジエター511A2に流入し、同様に、冷却される。ラジエター511A2を通過した温調液510は、チューブ93eを介して温調液供給マニホールド505A、505Bに供給される。
【0057】
このように、送液手段である送液ポンプ502は、液体収容部である温調液タンク501に対して、重力方向で、下方に配置されているので、温調液タンク501の温調液510は送液ポンプ502に向けて落下するように流れる。
【0058】
これにより、本実施形態の構成では、温調液タンク501と送液ポンプ502を横並びで配置する構成、もしくは、送液ポンプ502を温調液タンク501よりも高い位置に配置する構成に比べて、送液を行うときの送液ポンプ502の出力を低くできる。
【0059】
次に、本発明の第2実施形態について
図8を参照して説明する。
図8は本発明の第2実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置の平面説明図である。
【0060】
本実施形態に係る印刷装置1では、送液装置70を、印刷部30の隣りであって、かつ、印刷部30の上流側に配置される上流側装置である搬入部10及び前処理部20の後方(背面側)に配置している。
【0061】
このとき、送液装置70の奥行方向の端部は、印刷部30の奥行方向端部よりも突出しない。
【0062】
このように、印刷部30の隣りのスペースに送液装置70を配置することで、印刷装置1の設置スペースを抑制できる。
【0063】
このとき、送液装置70と搬入部10及び前処理部20の間には、間隔Sが設けられている。これにより、ユーザー、又は、作業者は、間隔Sにおいて、送液装置70のメンテナンスを実施することができる。また、間隔Sから搬入部10及び前処理部20の背面側からメンテナンスしてもよい。
【0064】
なお、送液装置70は、印刷部30の隣りであって、かつ、印刷部30の下流側に配置される下流側装置である乾燥部40、搬出部50、反転機構部60の後方(背面側)に配置することもできる。
【0065】
次に、本発明の第3実施形態について
図9を参照して説明する。
図9は同実施形態に係る送液装置の第1送液装置を正面から見た斜視説明図である。なお、第2送液装置も第1送液装置と同じ構成であるので説明を省略する。
【0066】
第1送液装置70aの筐体701は、液体収容部である温調液タンク501A、送液手段である送液ポンプ502Aに対して、筐体701の正面からアクセス可能な開口部711(711a、711b)を有している。
【0067】
そして、筐体701の正面側に、開口部711を開閉する開閉可能なドア703が設けられている。ドア703を正面から見たときの左右幅は、前記第2実施形態における間隔Sと同じか小さくすることが好ましい。また、間隔Sが狭い場合、ドア703を左右2つに分割し、ドア703の中央から左右に開く観音開き型としてもよい。
【0068】
ドア703を開けることで、筐体701の開口部711が開かれて、温調液タンク501A及び送液ポンプ502Aが露出する。また、前記第1実施形態で説明したインクタンク401も露出する。
【0069】
したがって、ユーザー、又は、作業者は、送液装置70の正面から温調液タンク501A、送液ポンプ502A、インクタンク401のメンテナンスや交換作業を実施することができ、作業性が向上する。
【0070】
次に、本発明の第4実施形態について
図10を参照して説明する。
図10は同実施形態に係る送液装置の第1送液装置の側面説明図である。
【0071】
本実施形態では、前記第1実施形態の構成に加えて、送液ポンプ502Aとラジエター511A1との間のチューブ93cをチューブ93c1とチューブ93c2とに分割して、チューブ93c1とチューブ93c2とをカップリング1001で接続している。
【0072】
カップリング1001は、メスカップリング1001aとオスカップリング1001bとで構成されている。そして、メスカップリング1001aを送液ポンプ502Aに一端を接続したチューブ93c1の他端に取付け、オスカップリング1001bをラジエター511A1に接続したチューブ93c2の他端に取り付けている。
【0073】
これにより、ユーザー、又は、作業者は、第1送液装置70aの正面開口からカップリング1001にアクセスし、メスカップリング1001aとオスカップリング1001bを着脱できる。
【0074】
また、本実施形態では、チューブ93bは、第1送液装置70aの背面側に向かった後、上下方向に這わされ、チューブ保持部材1100により背面側のフレーム99aに保持されている。
【0075】
これにより、チューブ93bの姿勢が安定する。
【0076】
次に、本実施形態の送液ポンプが故障又は寿命を迎えたときの交換手順(交換方法)について
図11ないし
図13を参照して説明する。
図11は本実施形態における温調液タンクと送液ポンプとの関係の説明に供する説明図、
図12及び
図13は同交換手順の説明に供する説明図である。
【0077】
本実施形態では、
図11に示すように、温調液タンク501の下方に送液ポンプ502が配置され、温調液タンク501と送液ポンプ502とはチューブ93bを介して接続されている。チューブ93bは、送液ポンプ502を温調液タンク501内の液面よりも高い位置に配置できる長さを有しており、本実施形態では、筐体701上に送液ポンプ502を載せ置くことができる長さとしている。
【0078】
送液ポンプ502の温調液流出口95aにはメスカップリング1001a、オスカップリング1001bが設けられ、送液ポンプ502はメスカップリング1001aよりも下流側から分離することができる。
【0079】
そこで、送液ポンプ502を交換するときには、
図12(a)に示すように送液装置70が稼働しているときの形態から、
図12(b)に示すように、送液ポンプ502を取り外し、送液ポンプ502を温調液タンク501内の液面よりも高い位置に固定する。
【0080】
そして、チューブ93c2のオスカップリング1001bを取り外し、
図12(b)に示すように、大気開放治具800のチューブ93fに接続されたオスカップリング1001bをチューブ93c1のメスカップリング1001aに取付けて、大気開放する。大気開放することで、温調液タンク501の液面と送液ポンプ502の水頭差により、チューブ93c1内に残っている温調液510はチューブ93bまで下がる。
【0081】
これにより、温調液510を廃棄することなく、送液ポンプ502を交換することが可能になる。
【0082】
そして、温調液510がチューブ93bまで下がったことを確認した後、
図13(a)に示すように、新しい送液ポンプ502に取り換え、新しい送液ポンプ502のチューブ93c1に取り付けられたメスカップリング1001aを大気開放治具800のオスカップリング1001bに取り付ける。
【0083】
大気開放治具800を取り付け後、
図13(b)に示すように、新しい送液ポンプ502の高さを徐々に下げていき、温調液510の液面が大気開放治具800のチューブ93fに入るくらいまで下げたところで、大気開放治具800を取り外す。
【0084】
大気開放治具800を取り外し後、
図13(c)に示すように、チューブ93c2のオスカップリング1001bをチューブ93c1のメスカップリング1001aに取り付けて、新しい送液ポンプ502を固定して交換作業を終了とする。
【0085】
こうすることで、新しい送液ポンプ502の前後にあった空気を抜き取ることができ、空の状態で送液ポンプ502を駆動することがなくなる。これにより、送液ポンプ502の破損を防ぎ、また、循環経路500内に気泡が入ることも防ぐことができる。
【0086】
このように、本実施形態では、送液ポンプ502が温調液タンク601内の液面よりも高い位置まで上げられるチューブ93bを有し、送液ポンプ502を温調液タンク601内の液面よりも高い位置にすることができる。
【0087】
そして、送液ポンプ502を温調液タンク601内の液面よりも高い位置にした後に送液ポンプ502の温調液流出口部95aに通じるメスカップリング1001aに大気開放治具800を取り付けることで、チューブ93c1の液面が送液ポンプ502より下になる。
【0088】
チューブ93c1の液面が送液ポンプ502より下がった後、新しい送液ポンプ502に取り換えて、再度、大気開放治具800を取り付ける。新しい送液ポンプ502の取り付け後、送液ポンプ502をゆっくりと下げ、チューブ93c1内の液面が大気開放治具800に入るくらいまで下げたところで大気開放治具800を取ることで、温調液510を捨てることなく、送液ポンプ502を交換できる。
【0089】
また、水頭差ができるので、自然と温調液が送液ポンプ502まで充填されるので、空回しで新しい送液ポンプ502に充填することがなくなる。
【0090】
次に、本実施形態において送液ポンプを交換するときの送液ポンプの配置の一例について
図14を参照して説明する。
図14は同説明に供する第1送液装置の側面説明図である。
【0091】
例えば、チューブ保持部材1100を取り外してチューブ93bを移動可能な状態にし、また、チューブ93c1のメスカップリング1001aをオスカップリング1001bから取り外す。
【0092】
そして、筐体701の正面開口から送液ポンプ502Aを引き出してから持ち上げ、筐体701の上面に載置する。このように、送液装置70の筐体701の上面を送液ポンプ502Aの載置部として使用できるので、作業性が向上する。
【0093】
次に、比較例1について
図15を参照して説明する。
図15は比較例1の送液ポンプの交換手順の説明に供する説明図である。
【0094】
比較例1では、
図15(a)に示すように、温調液タンク501と送液ポンプ502との間のチューブ93bをチューブ93b1とチューブ93b2とに分割して、チューブ93b1とチューブ93b2とをカップリング1001(1001a、1001b)で繋いでいる。
【0095】
そして、送液ポンプ502を交換するときには、
図15(b)に示すように、チューブ93c1のメスカップリング1001a、チューブ93b1のメスカップリング1001aを取り外して、送液ポンプ502を取り外す。
【0096】
その後、
図15(c)に示すように、新しい送液ポンプ502に接続したチューブ93c1のメスカップリング1001a及びチューブ93b1のメスカップリング1001aを取り付けて、送液ポンプ502を接続する。
【0097】
この比較例1に対して、本実施形態では、カップリングの個数を減らすことができるので、圧力損失を小さくでき、送液ポンプの寿命を長くすることができる。また、比較例1に対して、本実施形態では、温調液の廃棄量を無くす、送液ポンプの破損を防ぐ、循環経路内の気泡混入を防ぐ、ポンプの寿命を長くする点で改善されている。
【0098】
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0099】
「ヘッド」には、液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0100】
また、「液体を吐出する装置」には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0101】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0102】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0103】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0104】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体、車体、建材などであり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0105】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0106】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0107】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0108】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0109】
1 印刷装置
10 搬入部(上流側装置)
20 前処理部(上流側装置)
30 印刷部
31 ドラム
33 吐出ユニット
40 乾燥部(下流側装置)
50 搬出部(下流側装置)
60 反転機構部(下流側装置)
70 送液装置
70a 第1送液装置
70b 第2送液装置
93b、93c、93c1、93c2 チューブ(送液路)
100 液体吐出ヘッド(ヘッド)
501、501A、501B 温調液タンク(液体収容部)
502、502A、502B 送液ポンプ(送液手段)
510 温調液(第1液体)
511A1、511A2 ラジエター(冷却部)
700 筐体
1001 カップリング
1100 チューブ保持部材