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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077578
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】静電チャック装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20230530BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H02N13/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190892
(22)【出願日】2021-11-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100206999
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 綾夏
(72)【発明者】
【氏名】前田 佳祐
(72)【発明者】
【氏名】森下 徳人
(72)【発明者】
【氏名】板垣 哲朗
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 良樹
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA17
5F131CA45
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA03
5F131EB11
5F131EB14
5F131EB15
5F131EB16
5F131EB17
5F131EB18
5F131EB78
5F131EB79
5F131EB84
5F131JA16
5F131JA26
(57)【要約】
【課題】メンテナンス性に優れる静電チャック装置を提供する。
【解決手段】試料を搭載する載置面が設けられる誘電体基板、および前記誘電体基板の内部に位置する吸着電極を有する静電チャックプレートと、前記静電チャックプレートを前記載置面の反対側から支持する基台と、を備え、前記静電チャックプレートには、前記載置面にガスを供給する第1貫通孔が設けられ、前記第1貫通孔には、前記ガスを通過させる多孔体が挿入され、前記第1貫通孔の内周面と前記多孔体の外周面との間には、前記内周面と前記外周面とを互いに接着する第1接着層が設けられ、前記第1接着層の厚さ寸法は、少なくとも前記載置面から0.1mmまでの領域において0mm以上0.15mm以下である、静電チャック装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を搭載する載置面が設けられる誘電体基板、および前記誘電体基板の内部に位置する吸着電極を有する静電チャックプレートと、
前記静電チャックプレートを前記載置面の反対側から支持する基台と、を備え、
前記静電チャックプレートには、前記載置面にガスを供給する第1貫通孔が設けられ、
前記第1貫通孔には、前記ガスを通過させる多孔体が挿入され、
前記第1貫通孔の内周面と前記多孔体の外周面との間には、前記内周面と前記外周面とを互いに接着する第1接着層が設けられ、
前記第1接着層の厚さ寸法は、少なくとも前記載置面から0.1mmまでの領域において0mm以上0.15mm以下である、
静電チャック装置。
【請求項2】
前記静電チャックプレートと前記基台との間には、前記静電チャックプレートと前記基台とを互いに接着する第2接着層が設けられ、
前記第1接着層と前記第2接着層とは、互いに離間する、
請求項1に記載の静電チャック装置。
【請求項3】
前記基台には、前記第1貫通孔に繋がる第2貫通孔が設けられ、
前記第2貫通孔には、筒状の碍子が挿入され、
前記碍子は、前記静電チャックプレートに接触する、
請求項2に記載の静電チャック装置。
【請求項4】
前記静電チャックプレートと前記基台との間には、前記静電チャックプレートと前記基台とを互いに接着する第2接着層が設けられ、
前記第2接着層は、
前記第1接着層と接触する接触部と、
前記接触部を囲む剥離抑制部と、を有し、
前記剥離抑制部の厚さ寸法は、前記接触部の厚さ寸法より大きい、
請求項1に記載の静電チャック装置。
【請求項5】
前記基台には、前記第1貫通孔に繋がる第2貫通孔が設けられ、
前記第2貫通孔には、筒状の碍子が挿入され、
前記第2貫通孔の前記静電チャックプレート側の開口部には、直径を大きくする大径部が設けられ、
前記剥離抑制部の一部は、前記大径部と前記碍子の外周面との間に配置される、
請求項4に記載の静電チャック装置。
【請求項6】
前記載置面の平面視において、前記第1接着層が前記多孔体に隠れる、
請求項1~5の何れか一項に記載の静電チャック装置。
【請求項7】
前記第1貫通孔には、前記載置面から深さ方向に離れるに従い直径を小さくするテーパ面が設けられ、
前記多孔体の外周面には、前記テーパ面に対向する円錐面が設けられる、
請求項6に記載の静電チャック装置。
【請求項8】
前記基台には、前記第1貫通孔に繋がる第2貫通孔が設けられ、
前記第2貫通孔には、筒状の碍子が挿入され、
前記碍子の前記静電チャックプレート側の端面には、凹溝が設けられ、
前記第1接着層の一部は、前記凹溝の内部まで延びる、
請求項1~7の何れか一項に記載の静電チャック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電チャック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程では、真空環境下で半導体ウエハを保持する静電チャック装置が用いられている。静電チャック装置は、載置面に半導体ウエハ等の板状試料を載置し、板状試料と内部電極との間に静電気力を発生させて、板状試料を吸着固定する。また、静電チャック装置には、搭載されるウエハを冷却するために載置面にガスを供給する貫通孔が設けられる場合がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6634315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、ガス供給用の貫通孔は、ウエハの損傷に繋がる異常放電の起点となる虞がある。異常放電対策として、貫通孔に多孔体を挿入することが考えられるが、ウエハの加工時に発生するパーティクルなどで多孔体に詰まりが生じメンテナンス性に欠けるという問題があった。
【0005】
本発明は、メンテナンス性に優れる静電チャック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様の静電チャック装置は、試料を搭載する載置面が設けられる誘電体基板、および前記誘電体基板の内部に位置する吸着電極を有する静電チャックプレートと、前記静電チャックプレートを前記載置面の反対側から支持する基台と、を備え、前記静電チャックプレートには、前記載置面にガスを供給する第1貫通孔が設けられ、前記第1貫通孔には、前記ガスを通過させる多孔体が挿入され、前記第1貫通孔の内周面と前記多孔体の外周面との間には、前記内周面と前記外周面とを互いに接着する第1接着層が設けられ、前記第1接着層の厚さ寸法は、少なくとも前記載置面から0.1mmまでの領域において0mm以上0.15mm以下である。
【0007】
上記の静電チャック装置において、前記静電チャックプレートと前記基台との間には、前記静電チャックプレートと前記基台とを互いに接着する第2接着層が設けられ、前記第1接着層と前記第2接着層とは、互いに離間する、構成とすることが好ましい。
【0008】
上記の静電チャック装置において、前記基台には、前記第1貫通孔に繋がる第2貫通孔が設けられ、前記第2貫通孔には、筒状の碍子が挿入され、前記碍子は、前記静電チャックプレートに接触する、構成とすることが好ましい。
【0009】
上記の静電チャック装置において、前記静電チャックプレートと前記基台との間には、前記静電チャックプレートと前記基台とを互いに接着する第2接着層が設けられ、前記第2接着層は、前記第1接着層と接触する接触部と、前記接触部を囲む剥離抑制部と、を有し、前記剥離抑制部の厚さ寸法は、前記接触部の厚さ寸法より大きい、構成とすることが好ましい。
【0010】
上記の静電チャック装置において、前記基台には、前記第1貫通孔に繋がる第2貫通孔が設けられ、前記第2貫通孔には、筒状の碍子が挿入され、前記第2貫通孔の前記静電チャックプレート側の開口部には、直径を大きくする大径部が設けられ、前記剥離抑制部の一部は、前記大径部と前記碍子の外周面との間に配置される、構成とすることが好ましい。
【0011】
上記の静電チャック装置において、前記載置面の平面視において、前記第1接着層が前記多孔体に隠れる、構成とすることが好ましい。
【0012】
上記の静電チャック装置において、前記第1貫通孔には、前記載置面から深さ方向に離れるに従い直径を小さくするテーパ面が設けられ、前記多孔体の外周面には、前記テーパ面に対向する円錐面が設けられる、構成とすることが好ましい。
【0013】
上記の静電チャック装置において、前記基台には、前記第1貫通孔に繋がる第2貫通孔が設けられ、前記第2貫通孔には、筒状の碍子が挿入され、前記碍子の前記静電チャックプレート側の端面には、凹溝が設けられ、前記第1接着層の一部は、前記凹溝の内部まで延びる、構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の1つの態様によれば、メンテナンス性に優れる静電チャック装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、一実施形態の静電チャック装置を示す断面模式図である。
図2図2は、一実施形態の静電チャック装置の部分断面模式図である。
図3図3は、変形例1の静電チャック装置の部分断面模式図である。
図4図4は、変形例2の静電チャック装置の部分断面模式図である。
図5図5は、変形例3の静電チャック装置の部分断面模式図である。
図6図6は、変形例4の静電チャック装置の部分断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の静電チャック装置の各実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせて表示する場合がある。
【0017】
図1は、本実施形態の静電チャック装置1を示す断面模式図である。
静電チャック装置1は、ウエハ(試料)Wを搭載する載置面2sを有する静電チャックプレート2と、静電チャックプレート2を載置面2sの反対側から支持する基台3と、静電チャックプレート2に電圧を付与する給電端子16と、を備える。なお、静電チャックプレート2の上面の外周部には、ウエハWを囲むフォーカスリングが配置されていてもよい。
【0018】
静電チャックプレート2は、誘電体基板11と、誘電体基板11の内部に位置する吸着電極13と、を有する。静電チャックプレート2は、誘電体基板11に設けられる載置面2sでウエハWを吸着する。
【0019】
以下の説明においては、静電チャック装置1の各部は、静電チャックプレート2に対しウエハWを搭載する側を上側、基台3側を下側として説明される。すなわち、静電チャックプレート2は、上下方向を厚さ方向とする。なお、ここでの上下方向は、あくまで説明の簡素化のために用いる方向であって、静電チャック装置1の使用時の姿勢を限定するものではない。
【0020】
誘電体基板11は、機械的に十分な強度を有し、かつ腐食性ガスおよびそのプラズマに対する耐久性を有する複合焼結体からなる。誘電体基板11を構成する誘電体材料としては、機械的な強度を有し、しかも腐食性ガスおよびそのプラズマに対する耐久性を有するセラミックスが好適に用いられる。誘電体基板11を構成するセラミックスとしては、例えば、酸化アルミニウム(Al)焼結体、窒化アルミニウム(AlN)焼結体、酸化アルミニウム(Al)-炭化ケイ素(SiC)複合焼結体などが好適に用いられる。特に、高温での誘電特性、高耐食性、耐プラズマ性、耐熱性の観点から、誘電体基板11を構成する材料は、酸化アルミニウム(Al)-炭化ケイ素(SiC)複合焼結体が好ましい。
【0021】
誘電体基板11は、平面視で円形の板状である。誘電体基板11は、ウエハWが載置される載置面2sと、載置面2sの反対側を向く裏面2pと、を有する。載置面2sには、例えば複数の突起部(図示略)が所定の間隔で形成されている。載置面2sは、複数の突起部の先端部でウエハWを支持する。
【0022】
吸着電極13は、誘電体基板11の内部に配置される。吸着電極13は、誘電体基板11の載置面2sに沿って板状に延びる。吸着電極13は、電圧を印加されることで、誘電体基板11の載置面2sにウエハWを保持する静電吸着力を生じさせる。
【0023】
吸着電極13は、絶縁性物質と導電性物質の複合体から構成される。吸着電極13に含まれる絶縁性物質は、特に限定されないが、例えば、酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si)、酸化イットリウム(III)(Y)、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)およびSmAlOからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。吸着電極13に含まれる導電性物質は、炭化モリブデン(MoC)、モリブデン(Mo)、炭化タングステン(WC)、タングステン(W)、炭化タンタル(TaC)、タンタル(Ta)、炭化ケイ素(SiC)、カーボンブラック、カーボンナノチューブおよびカーボンナノファイバーからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0024】
吸着電極13には、吸着電極13に直流電圧を印加するための給電端子16が接続されている。給電端子16は、吸着電極13から下側に向かって延びる。給電端子16は、基台3、および誘電体基板11の一部を厚さ方向に貫通する端子用貫通孔17の内部に挿入されている。給電端子16の外周側には、絶縁性を有する端子用碍子23が設けられる。端子用碍子23は、金属製の基台3と給電端子16とを絶縁する。
【0025】
給電端子16は、外部の電源21に接続されている。電源21は、吸着電極13に電圧を付与する。給電端子16の数、形状等は、吸着電極13の形態、すなわち単極型か、双極型かにより決定される。
【0026】
基台3は、静電チャックプレート2を下側から支持する。基台3は、上側を向く支持面3aと、支持面3aの反対側を向く下面3bと、を有する。支持面3aは、誘電体基板11の裏面2pと上下方向に対向する。支持面3aは、裏面2pと接触する。すなわち、基台3は、支持面3aにおいて誘電体基板11の裏面2pを支持する。
【0027】
基台3は、平面視で円板状の金属部材である。基台3を構成する材料は、熱伝導性、導電性、加工性に優れた金属、またはこれらの金属を含む複合材であれば特に制限されるものではない。基台3を構成する材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ステンレス鋼(SUS)、チタン(Ti)等の合金が好適に用いられる。基台3を構成する材料は、熱伝導性、導電性、加工性の観点からアルミニウム合金が好ましい。基台3における少なくともプラズマに曝される面は、アルマイト処理またはポリイミド系樹脂による樹脂コーティングが施されていることが好ましい。また、基台3の全面が、前記のアルマイト処理または樹脂コーティングが施されていることがより好ましい。基台3にアルマイト処理または樹脂コーティングを施すことにより、基台3の耐プラズマ性が向上するとともに、異常放電が防止される。したがって、基台3の耐プラズマ安定性が向上し、また、基台3の表面傷の発生も防止することができる。
【0028】
基台3の躯体は、プラズマ発生用内部電極としても機能をも有する。基台3の躯体は、図示略の整合器を介して外部の高周波電源22に接続されている。
【0029】
基台3は、接着剤によって静電チャックプレート2に固定されている。すなわち、静電チャックプレート2と基台3との間には、静電チャックプレート2と基台3とを互いに接着する第2接着層55が設けられる。第2接着層55は、静電チャックプレート2の裏面2pと基台3の支持面3aとの間に介在し、静電チャックプレート2と基台3とを接着一体化する。第2接着層55の内部には、静電チャックプレート2を加熱するヒータが埋め込まれていてもよい。
【0030】
第2接着層55に用いる接着剤としては、第1接着層50に用いる接着剤と同等のものを用いることができる。すなわち、第2接着層55の接着剤は、-20℃~150℃の温度範囲で耐熱性を有することが好ましく、例えば、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、エポキシ系樹脂などが好適である。
【0031】
静電チャックプレート2、基台3および第2接着層55には、これらを上下に貫通するガス導入孔30が複数設けられている。ガス導入孔30は、載置面2sに開口する。ガス導入孔30は、図示を省略するガス供給装置に繋がる。ガス導入孔30は、静電チャックプレート2に載置されたウエハWに向かってヘリウム(He)などの冷却用のガスGを供給するために設けられている。
【0032】
ガス導入孔30は、静電チャックプレート2を貫通する部分である第1貫通孔31と、基台3を貫通する部分である第2貫通孔32と、を有する。すなわち、静電チャックプレート2には、第1貫通孔31が設けられ、基台3には、第2貫通孔32が設けられる。第1貫通孔31と第2貫通孔32とは、互いに中心軸が一致している。第1貫通孔31と第2貫通孔32とは、互いに連通する。
【0033】
第1貫通孔31は、静電チャックプレート2の誘電体基板11を厚さ方向に貫通する。また、静電チャックプレート2の吸着電極13には、第1貫通孔31の周りを囲む退避孔13hが設けられる。退避孔13hの内側には、誘電体基板11の一部が配置される。このため、第1貫通孔31の内周面から吸着電極13が露出することはない。
【0034】
第1貫通孔31には、多孔体40が挿入される。本実施形態において、第1貫通孔31は、平面視で円形である。また、第1貫通孔31は、一様な断面形状で上下方向に延びる。したがって、多孔体40は、上下方向に延びる円柱状である。
【0035】
多孔体40は、絶縁性の材料から構成される。多孔体40は、例えば、溶射膜や多孔質セラミックを形成材料としている。多孔体40の内部には、多数の空孔が設けられる。多孔体40内部の多数の空孔は、互いに繋がっている。このため、多孔体40は、第1貫通孔31の内部でガスGを通過させることができる。
【0036】
本実施形態によれば、第1貫通孔31が多孔体40に塞がれている。多孔体40は、絶縁性材料から構成されるために、ガス導入孔30が電荷の通路となることを制限して、静電チャック装置1に異常放電が発生することを抑制する。これにより、信頼性の高い静電チャック装置1を提供できる。
【0037】
図2は、ガス導入孔30周りの静電チャック装置1の部分断面模式図である。
多孔体40は、第1貫通孔31の内周面31aに接着固定される。第1貫通孔31の内周面31aと多孔体40の外周面40aとの間には、第1接着層50が設けられる。第1接着層50は、第1貫通孔31の内周面31aと多孔体40の外周面40aとを互いに接着する。
【0038】
本実施形態によれば、多孔体40が第1接着層50によって第1貫通孔31の内周面31aに接着される。本実施形態によれば、多孔体40および第1貫通孔31に特別な加工を施すことなく多孔体40を静電チャックプレート2に容易かつ安定的に固定することができる。
【0039】
第1接着層50の厚さ寸法は、少なくとも載置面2sから0.1mmまでの領域Aにおいて0mm以上0.15mm以下であることが好ましい。なお、ここで、第1接着層50の厚さ寸法とは、第1貫通孔31の中心に対する径方向における第1接着層50の寸法を意味する。また、載置面2sから0.1mmまでの領域Aとは、第1貫通孔31の深さ方向における範囲を意味する。第1貫通孔31の深さが0.1mm以下である場合には、第1貫通孔31の全長において、第1接着層50の厚さが0.15mm以下とされる。
【0040】
本実施形態の多孔体40は、載置面2s側に露出する。このため、多孔体40を載置面2s側から離脱させる構成を実現することができ、多孔体40の交換を容易として静電チャック装置1のメンテナンス性を高めることができる。しかしながら一方で、多孔体40を載置面2sに露出させると、多孔体40を固定するための第1接着層50も載置面2s側に露出し易くなり、第1接着層50がプラズマによって侵食されやすくなる。
【0041】
これに対し、本実施形態の第1接着層50は、載置面2sから0.1mmまでのプラズマが届きやすい領域Aにおいて、厚さが0.15mm以下とされる。このため、プラズマによって第1接着層50が侵食され難い。本実施形態によれば、多孔体40を載置面2s側に露出させて静電チャック装置1のメンテナンス性を高めつつ、第1接着層50の侵食を抑制して多孔体40を第1貫通孔31に安定的に保持させることができる。
【0042】
本実施形態の第1接着層50は、載置面2sから0.1mmまでの範囲で、0mmの厚さであってもよい。すなわち、第1接着層50は、上述の範囲より下側にのみ形成されていてもよい。また、図2に示すように、第1接着層50は、第1貫通孔31の深さ方向の全域において0.15mm以下で一様の厚さであってもよい。
【0043】
第1接着層50に用いられる接着剤としては、-20℃~150℃の温度範囲で耐熱性を有する接着剤が好ましく、例えば、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、エポキシ系樹脂などが好適である。
【0044】
第1接着層50は、未硬化の接着剤を第1貫通孔31の内周面31a又は多孔体40の外周面40aに塗布し、多孔体40を第1貫通孔31に挿入した後に硬化させることで形成される。多孔体40を第1貫通孔31に対して上側から挿入することで、挿入時に第1貫通孔31の内周面31aのうち下側の領域に多くの接着剤が流れ、載置面2sから0.1mmまでの範囲の第1接着層50の厚さが大きくなりすぎることを抑制できる。
【0045】
多孔体40の空孔率は、40%以上60%以下であることが好ましい。多孔体40の空孔の一部は、多孔体40の外周面に開口する。空孔率を40%以上とすることで、第1貫通孔31の内周面31a、又は多孔体40の外周面40aに塗布された未硬化の接着剤を多孔体40の外周面40aから空孔の内部に侵入させ易くすることができる。これにより、多孔体40を第1貫通孔31に挿入する際に、接着剤の塗布量が多すぎた場合であっても、接着剤が第1貫通孔31から溢れ出すことを抑制できる。また、空孔率を60%以下とすることで、ガス導入孔30を起点とする異常放電をより確実に抑制することができる。
【0046】
なお、ここで、「空孔率」とは、多孔体40の所定の単位体積に占める空孔の合計体積の割合のことである。空孔率は、多孔体40の形成材料の真密度と多孔体40の見掛け密度との比から求められる値であってもよく、単位体積当たりの空孔の体積を実測して求めてもよい。空孔率が大きい多孔体40ほど空孔が多く、ガスGを流出させやすい。
【0047】
第2貫通孔32は、第1貫通孔に繋がる。第2貫通孔32には、筒状の碍子24が挿入される。碍子24の外周面は、例えば接着剤などによって第2貫通孔32に固定される。碍子24の内部は、ガスGの通過経路として機能する。
【0048】
碍子24は、例えばセラミックを形成材料とする。すなわち、碍子24は、絶縁性部材から構成される。これにより、碍子24は、ガス導入孔30が異常放電の起点となることを抑制することができる。碍子24は、プラズマに対する耐久性を有する。碍子24を構成するセラミックスとしては、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化ケイ素(Si3N4)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、サイアロン、窒化ホウ素(BN)、炭化ケイ素(SiC)から選択された1種または2種以上を含むセラミックスを採用できる。
【0049】
碍子24の上端面24aの一部は、静電チャックプレート2の裏面2pに接触する。また、碍子24の上端面24aの一部は、多孔体40の下面に接触する。碍子24の上端面24a(すなわち、静電チャックプレート2側の端面)には、下側に窪む凹溝24gが設けられる。凹溝24gは、碍子24の周方向に沿って円環状に延びる。凹溝24gは、軸方向から見て、第1貫通孔31の内周面31aと重なる。
【0050】
本実施形態の凹溝24gは、第1接着層50の直下に配置される。このため、第1貫通孔31の内周面31a、又は多孔体40の外周面40aに未硬化の接着剤を塗布して第1貫通孔31に多孔体40を挿入させることで、未硬化の接着剤の一部を凹溝24gに収容することができる。結果的に、本実施形態の第1接着層50の一部は、凹溝24gの内部まで延びる。本実施形態によれば、多孔体40を第1貫通孔31に挿入した際に、接着剤の塗布量が多すぎた場合であっても、接着材を凹溝24g内に溜めることができるため、接着剤が第1貫通孔31から溢れ出すことを抑制できる。これにより、第1接着層50が、載置面2sの近傍の領域Aで厚くなりすぎることを効果的に抑制できる。
【0051】
本実施形態によれば、碍子24は、静電チャックプレート2に接触する。より具体的には、碍子24の上端面24aは、静電チャックプレート2の裏面2pに接触する。このため、第1接着層50と第2接着層55とがそれぞれ碍子24によって区画される。すなわち、第1接着層50と第2接着層55とは、互いに離間する。第1接着層50は、碍子24の上端面24aに接触し、第2接着層55は、碍子24の外周面に接触する。
【0052】
多孔体40を交換する際に、作業者は多孔体40を上側から引き抜く、又は下側から押し出すことで、多孔体40に上側に向かう力を与え、多孔体40を静電チャックプレート2から離脱させる。この際に、第1接着層50には、多孔体40を離脱させるために、破断する力が加えられる。
【0053】
本実施形態によれば、第1接着層50と第2接着層55とが互いに離間するため、多孔体40を離脱させる際に、第2接着層55に応力が加わることを抑制することができる。すなわち、本実施形態によれば、多孔体40の交換時に第2接着層55に損傷が生じることを抑制でき、多孔体40交換後の静電チャックプレート2の信頼性が低下することを抑制できる。
【0054】
また、本実施形態によれば、第1接着層50と第2接着層55とが、互いに離間するため、第1接着層50および第2接着層55を伝う異常放電の発生を抑制できる。すなわち、本実施形態によれば、第1接着層50と第2接着層55とが離間することで異常放電の発生を抑制できる。
【0055】
<変形例>
次に、上述の実施形態に採用可能な複数の変形例の多孔体およびその近傍の構成について説明する。なお、以下に説明する各変形例の説明において、既に説明した実施形態および変形例と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。また、以下に説明する各変形例において、それぞれの第1接着層は、載置面から0.1mmまでの領域Aにおいて、厚さが0.15mm以下とされている。
【0056】
(変形例1)
図3は、変形例1の静電チャック装置101の部分断面模式図である。
上述の実施形態と同様に、第1貫通孔31の内周面31aには、第1接着層150を介して多孔体140が接着固定される。一方で、第2貫通孔32には、筒状の碍子124が挿入される。
【0057】
碍子124の上端面124aの一部は、静電チャックプレート102の裏面102pに接触する。碍子124の上端面124aには、段差部124bが設けられる。段差部124bは、上端面124aに対して上側に突出する。段差部124bは、碍子124の中心線を中心とする円筒状である。段差部124bは、第1貫通孔31に挿入される。段差部124bの先端面は、多孔体140の下面に接触する。本変形例によれば、第1接着層150と第2接着層55との間の隙間を段差状に入り組んだ構成とすることができる。
【0058】
本変形例の第1接着層150と第2接着層55とは、上述の実施形態と同様に、互いに離間する。特に、本変形例では、碍子124の段差部124bによって、第1接着層150の下端位置が第2接着層55より上側に配置され、第1接着層150を構成する接着剤が、製造時に第2接着層55に達し難い。すなわち、本変形例によれば、第1接着層150と第2接着層55とをより確実に離間させることができる。このため、多孔体140を離脱させて交換する際に、第2接着層55に応力が加わることをより確実に抑制することができ、第2接着層55に損傷が生じることを抑制できる。
【0059】
(変形例2)
図4は、変形例2の静電チャック装置201の部分断面模式図である。
上述の実施形態と同様に、第1貫通孔231の内周面231aには、第1接着層250を介して多孔体240が接着固定される。一方で、第2貫通孔32には、筒状の碍子224が挿入される。
【0060】
第1貫通孔231の内周面231aには、下側に向かうに従い内径を小さくするテーパ面231bが設けられる。すなわち、第1貫通孔231には、静電チャックプレート202の載置面202sから深さ方向に離れるに従い直径を小さくするテーパ面231bが設けられる。なお、本変形例のテーパ面231bは、上下方向において内周面231aの全体に設けられるが、テーパ面231bは内周面231aの一部に設けられていてもよい。
【0061】
一方で、多孔体240の外周面には、テーパ面231bに対向する円錐面240aが設けられる。円錐面240aは、下側に向かうに従い直径を小さくする。第1接着層250は、テーパ面231bと円錐面240aとの間に配置される。
【0062】
図4に示すように、第1接着層250の上端は、テーパ面231bと円錐面240aとの間の隙間の上端より、若干下側に配置される。このため、第1接着層250は、多孔体240の上端の下側に隠れて配置される。すなわち、本変形例によれば、載置面202sの平面視において、第1接着層250が多孔体240に隠れる。
【0063】
ここで、載置面202sの平面視とは、載置面202sと直交する方向から、載置面202sを観察することを意味する。したがって、図4に示すように、多孔体240の上端に位置する外縁から垂線PLを引いた場合に、第1接着層250は、垂線PLより第1貫通孔231の中心側に配置される。
【0064】
本変形例によれば、載置面202sの垂直方向に作用するプラズマに対して第1接着層250が侵食され難くすることができる。これにより、多孔体240を載置面202s側に露出させつつ、第1接着層250の侵食を抑制して多孔体240を第1貫通孔231に安定的に保持させることができる。
【0065】
(変形例3)
図5は、変形例3の静電チャック装置301の部分断面模式図である。
上述の実施形態と同様に、第1貫通孔31の内周面31aには、第1接着層350を介して多孔体340が接着固定される。一方で、第2貫通孔332には、筒状の碍子324が挿入される。
【0066】
本変形例において、第2接着層355は、碍子324の上端面324aと静電チャックプレート302の裏面302pとの間、並びに碍子324の上端面324aと多孔体340の間に介在する。このため、本変形例の碍子324は、静電チャックプレート302および多孔体340と接触しない。また、本変形例では、第1接着層350と第2接着層355とが、直接的に接触する。本変形例の第2接着層355は、第1接着層350の直下に位置し第1接着層350と接触する接触部355aを有する。本変形例の接触部355aは、第1貫通孔32の深さ方向において、第1接着層350に接触する。
【0067】
本変形例の第2貫通孔332の上側の開口には、上側に向かうに従い直径を大きくするテーパ面332bが設けられる。テーパ面332bは、第2貫通孔332の中心に対して周方向に沿って延びる。第2貫通孔332は、テーパ面332bが設けられる領域において直径が大きくなる。すなわち、第2貫通孔332の静電チャックプレート302側の開口部には、直径を大きくする大径部332aが設けられる。
【0068】
碍子324の外周面は、上下方向から見て円形である。このため、碍子324の外周面とテーパ面332bとの間には、隙間が設けられる。静電チャック装置1の製造工程において、第2接着層355を構成する接着剤の一部は、碍子324の外周面とテーパ面332bとの間に侵入して硬化する。本変形例の第2接着層355は、大径部332aの上側に肉厚部(剥離抑制部)355bを有する。肉厚部355bは、上下方向から見て、第1貫通孔31および第2貫通孔332を囲む。
【0069】
肉厚部355bは、第2貫通孔332の中心の周方向に沿って延びる。肉厚部355bは、接触部355aの外側に配置され、接触部355aを囲む。また、肉厚部355bの厚さ寸法は、接触部355aの厚さ寸法より大きい。
【0070】
本変形例の第2接着層355によれば、第1接着層350と接触する接触部355aを有する。このため、多孔体340を交換する際に、第1接着層350に付与される上側に向かう力が、第1接着層350から第2接着層355の接触部355aに伝わる。多孔体340を離脱させる力は、第1接着層350を破断させるのみならず、第2接着層355の一部(接触部355a)に損傷を与える虞がある。
【0071】
本変形例の第2接着層355によれば、接触部355aは、肉厚部355bに囲まれる。肉厚部355bは、接触部355aと比較して厚さ寸法が大きく、これにより強度が高い。すなわち、第2接着層355は、肉厚部355bにおいて局所的に強度が高められている。接触部355aを破断させた力は、肉厚部355bに受けられ、接触部355aの損傷は肉厚部355bより外側に伝わり難い。本変形例によれば、多孔体340の交換時に第2接着層355の機能を損なうような損傷が生じることを抑制でき、多孔体340の交換後の静電チャックプレート302の信頼性を高めることができる。
【0072】
変形例の第2接着層355は、第2貫通孔332に大径部332aを設けることで厚さ寸法が高めた肉厚部355bを形成できる。すなわち、本変形例の肉厚部355bの一部は、大径部332aと碍子324の外周面との間に配置される。本変形例によれば、複雑な構造を必要とせずに、接触部355aを囲む肉厚部355bを形成することができる。
【0073】
なお、本変形例では、第2貫通孔332に開口部にテーパ面332bを形成して、テーパ面332bの内側に大径部332aを設ける場合について説明した。しかしながら、大径部332aの構成は本変形例に限定されない。例えば、第2貫通孔に開口部に段差部を形成して大径部を設けてもよい。
【0074】
(変形例4)
図6は、変形例4の静電チャック装置401の部分断面模式図である。
上述の実施形態と同様に、第1貫通孔31の内周面31aには、第1接着層450を介して多孔体440が接着固定される。一方で、第2貫通孔332には、筒状の碍子424が挿入される。
【0075】
本変形例において、第2接着層455は、碍子424の上端面424aと静電チャックプレート402の裏面402pとの間に介在する。このため、本変形例の碍子424は、静電チャックプレート402と接触しない。一方で、本変形例の碍子424は、上端面において多孔体440の下端面に接触する。
【0076】
本変形例において、多孔体440の下端面は、静電チャックプレート402の裏面402pに対して下側に突出する。したがって、多孔体440の下端面は、静電チャックプレート402の裏面402pより下側に位置する。多孔体440は、裏面402pより下側に位置する下端部の外周面において、第2接着層455に囲まれる。多孔体440の外周面と第2接着層455との間には、第1接着層450が配置される。すなわち、本変形例では、第1接着層450と第2接着層455とが、直接的に接触する。本変形例の第2接着層455は、第1接着層450を囲み第1接着層450と接触する接触部455aを有する。本変形例の接触部455aは、第1貫通孔32の径方向において、第1接着層450に接触する。
【0077】
本変形例の第2貫通孔332は、上述の変形例3と同様の構成を有する。すなわち、第2貫通孔332の静電チャックプレート402側の開口部には、直径を大きくする大径部332aが設けられる。本変形例の第2接着層455は、大径部332aの上側に肉厚部(剥離抑制部)455bを有する。肉厚部455bは、上下方向から見て、第1貫通孔31および第2貫通孔332を囲む。
【0078】
本変形例の第2接着層455によれば、接触部455aは肉厚部455bに囲まれる。これにより、多孔体440の交換時に接触部455aに損傷が生じた場合であっても、その損傷が肉厚部355bの外側に広がることを抑制できる。本変形例によれば、多孔体440の交換時に、第2接着層455の機能を損なうような損傷が生じることを抑制でき、多孔体440交換後の静電チャックプレート402の信頼性を高めることができる。
【0079】
以上に、本発明の様々な実施形態を説明したが、各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0080】
1,101,201,301,401…静電チャック装置、2,102,202,302,402…静電チャックプレート、2s,202s…載置面、3…基台、11…誘電体基板、13…吸着電極、24,124,224,324,424…碍子、24g…凹溝、31,231…第1貫通孔、31a,231a…内周面、32,332…第2貫通孔、40,140,240,340,440…多孔体、40a…外周面、50,150,250,350,450…第1接着層、55,355,455…第2接着層、231b,332b…テーパ面、240a…円錐面、332a…大径部、355a,455a…接触部、355b,455b…肉厚部(剥離抑制部)、W…ウエハ(試料)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-02-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を搭載する載置面が設けられる誘電体基板、および前記誘電体基板の内部に位置する吸着電極を有する静電チャックプレートと、
前記静電チャックプレートを前記載置面の反対側から支持する基台と、を備え、
前記静電チャックプレートには、前記載置面にガスを供給する第1貫通孔が設けられ、
前記第1貫通孔には、前記ガスを通過させる多孔体が挿入され、
前記第1貫通孔の内周面と前記多孔体の外周面との間には、前記内周面と前記外周面とを互いに接着する第1接着層が設けられ、
前記第1接着層の厚さ寸法は、少なくとも前記載置面から0.1mmまでの領域において0mm以上0.15mm以下であり、
前記静電チャックプレートと前記基台との間には、前記静電チャックプレートと前記基台とを互いに接着する第2接着層が設けられ、
前記第2接着層は、
前記第1接着層と接触する接触部と、
前記接触部を囲む剥離抑制部と、を有する、静電チャック装置。
【請求項2】
記剥離抑制部の厚さ寸法は、前記接触部の厚さ寸法より大きい、請求項1に記載の静電チャック装置。
【請求項3】
前記基台には、前記第1貫通孔に繋がる第2貫通孔が設けられ、
前記第2貫通孔には、筒状の碍子が挿入され、
前記第2貫通孔の前記静電チャックプレート側の開口部には、直径を大きくする大径部が設けられ、
前記剥離抑制部の一部は、前記大径部と前記碍子の外周面との間に配置される、請求項1又は2に記載の静電チャック装置。
【請求項4】
試料を搭載する載置面が設けられる誘電体基板、および前記誘電体基板の内部に位置する吸着電極を有する静電チャックプレートと、
前記静電チャックプレートを前記載置面の反対側から支持する基台と、を備え、
前記静電チャックプレートには、前記載置面にガスを供給する第1貫通孔が設けられ、
前記第1貫通孔には、前記ガスを通過させる多孔体が挿入され、
前記第1貫通孔の内周面と前記多孔体の外周面との間には、前記内周面と前記外周面とを互いに接着する第1接着層が設けられ、
前記第1接着層の厚さ寸法は、少なくとも前記載置面から0.1mmまでの領域において0mm以上0.15mm以下であり、
前記載置面の平面視において、前記第1接着層が前記多孔体に隠れる、静電チャック装置。
【請求項5】
前記第1貫通孔には、前記載置面から深さ方向に離れるに従い直径を小さくするテーパ面が設けられ、
前記多孔体の外周面には、前記テーパ面に対向する円錐面が設けられる、
請求項に記載の静電チャック装置。
【請求項6】
試料を搭載する載置面が設けられる誘電体基板、および前記誘電体基板の内部に位置する吸着電極を有する静電チャックプレートと、
前記静電チャックプレートを前記載置面の反対側から支持する基台と、を備え、
前記静電チャックプレートには、前記載置面にガスを供給する第1貫通孔が設けられ、
前記第1貫通孔には、前記ガスを通過させる多孔体が挿入され、
前記第1貫通孔の内周面と前記多孔体の外周面との間には、前記内周面と前記外周面とを互いに接着する第1接着層が設けられ、
前記第1接着層の厚さ寸法は、少なくとも前記載置面から0.1mmまでの領域において0mm以上0.15mm以下であり、
前記基台には、前記第1貫通孔に繋がる第2貫通孔が設けられ、
前記第2貫通孔には、筒状の碍子が挿入され、
前記碍子の前記静電チャックプレート側の端面には、凹溝が設けられ、
前記第1接着層の一部は、前記凹溝の内部まで延びる、静電チャック装置。
【請求項7】
前記静電チャックプレートと前記基台との間には、前記静電チャックプレートと前記基台とを互いに接着する第2接着層が設けられ、
前記第1接着層と前記第2接着層とは、互いに離間する、請求項4~6の何れか一項に記載の静電チャック装置。
【請求項8】
前記基台には、前記第1貫通孔に繋がる第2貫通孔が設けられ、
前記第2貫通孔には、筒状の碍子が挿入され、
前記碍子は、前記静電チャックプレートに接触する、
請求項4~7の何れか一項に記載の静電チャック装置。