(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077678
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】シート給送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/18 20060101AFI20230530BHJP
B65H 3/48 20060101ALI20230530BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
B65H1/18 Z
B65H3/48 320A
G03G15/00 405
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191038
(22)【出願日】2021-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】高宮 陽介
(72)【発明者】
【氏名】児島 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】菅原 達也
(72)【発明者】
【氏名】奥津 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】玉木 幸歌
【テーマコード(参考)】
2H072
3F343
【Fターム(参考)】
2H072AA09
2H072AA12
2H072AA16
2H072AA24
2H072AA25
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2H072BA20
3F343FA02
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3F343MC08
(57)【要約】
【課題】シート積載部に積載されたシートの枚数に拘わらず、シートを適切に給送可能なシート給送装置を提供する。
【解決手段】シート給送装置は、送風部によって浮上させたシートを吸着給送部に給送させ(S801)、給送検知センサで検知されたシート枚数をカウントする処理(S803)を繰り返し実行する間において、シート枚数が閾値枚数未満の場合に(S804:No)、給送検知センサでシートが検知される度に、シート積載部に積載されたシートのシート厚さtに基づいて決定された上昇量をシート積載部が上昇するように昇降機構を駆動し(S806/S807)、シート枚数が前記閾値枚数に達した場合に(S804:Yes)、昇降検知センサでシートが検知されなくなるまで(S808:No)、シート積載部の上昇を停止する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシートが重ねられた状態で積載されるシート積載部と、
前記シート積載部に積載された複数のシートに対して側方から送風することによって、一番上のシートを浮上させる送風部と、
前記シート積載部の上方に配置されて、前記送風部によって浮上されたシートを吸着して給送方向に給送する吸着給送部と、
前記シート積載部を昇降させる昇降機構と、
前記シート積載部及び前記吸着給送部の間の検知位置に、前記シート積載部に積載されたシートが達したことを検知する昇降検知センサと、
前記吸着給送部によって給送されたシートを検知する給送検知センサと、
前記昇降検知センサ及び前記給送検知センサの検知結果に基づいて、前記送風部、前記吸着給送部、及び前記昇降機構の動作を制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、前記送風部によって浮上させたシートを前記吸着給送部に給送させ、前記給送検知センサで検知されたシート枚数をカウントする処理を繰り返し実行する間において、
前記シート枚数が閾値枚数未満の場合に、前記給送検知センサでシートが検知される度に、前記シート積載部に積載されたシートのシート厚さtに基づいて決定された上昇量を前記シート積載部が上昇するように前記昇降機構を駆動し、
前記シート枚数が前記閾値枚数に達した場合に、前記昇降検知センサでシートが検知されなくなるまで、前記シート積載部の上昇を停止することを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記シート積載部に積載されたシート残量を検知する残量検知センサを備え、
前記コントローラは、
前記残量検知センサで検知されたシート残量が閾値残量以上の場合に、第1上昇量を前記シート積載部が上昇するように前記昇降機構を駆動し、
前記残量検知センサで検知されたシート残量が前記閾値残量未満の場合に、前記第1上昇量より多い第2上昇量を前記シート積載部が上昇するように前記昇降機構を駆動することを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記給送検知センサは、前記吸着給送部より前記給送方向の下流側でシートの給送経路に対面して配置され、前記給送経路を通過するシートを検知することを特徴とする請求項1または2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記シート厚さtに補正値α(αは1より大きな値)を乗じることによって、前記上昇量を決定することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記シート厚さtを検知する厚さ検知センサを備え、
前記コントローラは、前記厚さ検知センサで検知された前記シート厚さtに基づいて前記上昇量を決定することを特徴とする請求項4に記載のシート給送装置。
【請求項6】
ユーザの入力操作を受け付ける操作部を備え、
前記コントローラは、前記操作部を通じて入力された前記シート厚さtに基づいて前記上昇量を決定することを特徴とする請求項4に記載のシート給送装置。
【請求項7】
ユーザの入力操作を受け付ける操作部を備え、
前記コントローラは、前記操作部を通じて入力された前記補正値αに基づいて前記上昇量を決定することを特徴とする請求項4~6のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項8】
シートの坪量とシート厚さの範囲とを対応付けて記憶するメモリを備え、
前記コントローラは、前記検知位置から前記吸着給送部までの高さh、設定シート厚さt0、前記シート積載部に積載されたシートの坪量に対応するシート厚さの最小値tminとすると、下記式1に基づいて前記閾値枚数を決定することを特徴とする請求項4~7のいずれか1項に記載のシート給送装置。
閾値枚数=h×1000/(α×t0-tmin) ・・・(式1)
【請求項9】
前記コントローラは、前記検知位置から前記吸着給送部までの高さh、設定シート厚さt0とすると、下記式2に基づいて前記閾値枚数を決定することを特徴とする請求項4~7のいずれか1項に記載のシート給送装置。
閾値枚数=h×1000/(α×t0-t) ・・・(式2)
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のシート給送装置と、
前記シート給送装置によって給送されたシートに画像を形成する画像形成部とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート給送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のシートが重ねられた状態で積載されるシート積載部と、シート積載部に積載された複数のシートに対して側方から送風することによって、一番上のシートを浮上させる送風部と、シート積載部の上方に配置されて、送風部によって浮上されたシートを吸着して給送方向に給送する吸着給送部とを備えるシート給送装置が知られている。
【0003】
このようなシート給送装置では、シート積載部に積載されるシートが減少すると、送風部から送付される風がシートの上方を通過して、シートを適切に浮上させることができない。そこで、シート積載部に積載されたシートが少ないときに、シートを給送する度にシート積載部を一定の上昇量Xだけ上昇させる技術がある(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シート積載部に積載されるシートの現実の厚みは、必ずしも上昇量Xと一致するとは限らない。そのため、シート積載部の上昇を繰り返すことによって、シートの現実の厚みと上昇量との誤差が蓄積されると、複数のシートが纏まって浮上して、重送が発生する可能性がある。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、シートを浮上させて給送するシート給送装置において、シート積載部に積載されたシートの枚数に拘わらず、シートを適切に給送する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、複数のシートが重ねられた状態で積載されるシート積載部と、前記シート積載部に積載された複数のシートに対して側方から送風することによって、一番上のシートを浮上させる送風部と、前記シート積載部の上方に配置されて、前記送風部によって浮上されたシートを吸着して給送方向に給送する吸着給送部と、前記シート積載部を昇降させる昇降機構と、前記シート積載部及び前記吸着給送部の間の検知位置に、前記シート積載部に積載されたシートが達したことを検知する昇降検知センサと、前記吸着給送部によって給送されたシートを検知する給送検知センサと、前記昇降検知センサ及び前記給送検知センサの検知結果に基づいて、前記送風部、前記吸着給送部、及び前記昇降機構の動作を制御するコントローラとを備え、前記コントローラは、前記送風部によって浮上させたシートを前記吸着給送部に給送させ、前記給送検知センサで検知されたシート枚数をカウントする処理を繰り返し実行する間において、前記シート枚数が閾値枚数未満の場合に、前記給送検知センサでシートが検知される度に、前記シート積載部に積載されたシートのシート厚さtに基づいて決定された上昇量を前記シート積載部が上昇するように前記昇降機構を駆動し、前記シート枚数が前記閾値枚数に達した場合に、前記昇降検知センサでシートが検知されなくなるまで、前記シート積載部の上昇を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シートを浮上させて給送するシート給送装置において、シート積載部に積載されたシートの枚数に拘わらず、シートを適切に給送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図7】メモリに記憶された坪量と紙厚の範囲との対応関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、画像形成装置100の内部構成を示す概略図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、給送部110(シート給送装置)と、搬送部120と、画像形成部130と、排紙トレイ140とを主に備える。給送部110には、画像が形成される前の複数の用紙M(シート)が積層された状態で収容される。排紙トレイ140には、画像が形成された用紙Mが収容される。
【0010】
用紙Mは、給送部110から給送され、搬送部120によって搬送され、画像形成部130によって画像が形成されるシートの一例である。但し、シートは、紙に限定されず、OHPシート、布などであってもよい。また、画像形成装置100の内部には、用紙Mが搬送される空間である搬送経路R1が形成されている。搬送経路R1は、給送部110から画像形成部130に対面する位置を経て排紙トレイ140に至る経路である。
【0011】
給送部110は、複数の用紙Mを重ねた状態で積載すると共に、積載した用紙Mを1枚ずつ搬送部120に供給(給送)する。より詳細には、給送部110は、積載された一番上の用紙Mを浮上させて給送する。給送部110の詳細な構成は、
図2及び
図3を参照して後述する。
【0012】
搬送部120は、給送部110から給送された用紙Mを搬送経路R1に沿って搬送する。具体的には、搬送部120は、給送部110に収容された用紙Mを、搬送経路R1に沿って画像形成部130に対面する位置まで搬送する。また、搬送部120は、画像形成部130によって表面に画像が形成された用紙Mを、搬送経路R1に沿って排紙トレイ140に排出する。
【0013】
搬送部120は、複数の搬送ローラ121、122を含む。搬送ローラ121、122は、例えば、モータの駆動力が伝達されて回転する駆動ローラと、駆動ローラに当接して従動する従動ローラとで構成される。そして、駆動ローラ及び従動ローラで用紙Mを挟持して回転することによって、搬送経路R1に沿って用紙Mが搬送される。
【0014】
搬送ローラ121は、画像形成部130より搬送方向の上流側に配置されている。搬送ローラ122は、画像形成部130より搬送方向の下流に配置されている。但し、搬送ローラの設置位置は、
図1の2箇所に限定されない。
【0015】
画像形成部130は、搬送ローラ121、122の間において、搬送経路R1に対面して配置されている。画像形成部130は、搬送部120によって搬送された用紙Mの表面に画像を形成する。実施形態に係る画像形成部130は、搬送経路R1に沿って搬送される用紙Mに、電子写真方式で画像を形成する。但し、画像形成部130の画像形成方式は、用紙Mにインクを吐出して画像を形成するインクジェット記録方式であってもよい。
【0016】
より詳細には、画像形成部130は、無端状移動手段である転写ベルト132に沿って各色の感光体ドラム131Y、131M、131C、131K(以下、これらを総称して、「感光体ドラム131」と表記する。)が並べられた構成を備える。すなわち、給送部110から給送される用紙Mに転写するための中間転写画像が形成される転写ベルト132に沿って、この転写ベルト132の搬送方向の上流側から順に、複数の感光体ドラム131Y、131M、131C、131Kが配列されている。
【0017】
感光体ドラム131には、トナーボトルに収容されたトナーが供給される。そして、各色の感光体ドラム131の表面にトナーにより現像された各色の画像が、転写ベルト132に重ね合わせられて転写されることにより、フルカラーの画像が形成される。そして、転写ベルト132上に形成されたフルカラー画像は、搬送経路R1と最も接近する位置において、転写ローラ133で用紙Mに転写される。
【0018】
さらに、画像形成部130は、転写ローラ133より搬送方向の下流側に配置された定着ローラ134を含む。定着ローラ134は、モータによって駆動される駆動ローラと、駆動ローラに当接して従動する従動ローラとを含む。そして、駆動ローラ及び従動ローラが用紙Mを挟持して回転する過程において、用紙Mを加熱したり押圧することによって、転写ローラ133によって転写された画像が用紙Mに定着する。
【0019】
図2は、給送部110の概略構成図である。
図3は、給送部110の動作を示す図である。給送部110は、給送経路R0を通じて搬送経路R1に用紙Mを1枚ずつ給送する。
図2に示すように、給送部110は、用紙積載部111(シート積載部)と、送風部112と、吸着給送部113と、挟持給送部114と、昇降機構115と、昇降検知センサ116と、給送検知センサ117と、残量検知センサ118とを主に備える。
【0020】
用紙積載部111は、複数の用紙Mを重ねた状態で積載可能なトレイまたはカセットである。また、用紙積載部111は、ユーザによって用紙Mが補充可能に構成されている。さらに、用紙積載部111は、昇降機構115によって予め定められた昇降範囲を昇降可能に、給送部110のフレームに支持されている。
【0021】
送風部112は、用紙積載部111より上方で且つ吸着給送部113より下方に配置されている。また、送風部112は、水平方向において、用紙積載部111に積載された用紙Mに対面し得る位置に配置されている。そして、
図3(A)に示すように、送風部112は、用紙積載部111に積載された複数の用紙Mに対して側方から送風することによって、一番上の用紙Mを浮上させる。
【0022】
送風部112は、例えば、浮上ブロア112aと、送風口112bとを主に備える。浮上ブロア112aは、用紙Mを浮上させる風を発生させる。送風口112bは、浮上ブロア112aが発生させた風を、用紙積載部111に積載された用紙Mに向けて斜め上方に送風する。そして、送風口112bから送風される風の経路上に一番上の用紙Mが位置するように、昇降機構115で用紙積載部111を昇降させることによって、一番上の用紙Mが浮上する。
【0023】
吸着給送部113は、用紙積載部111、送風部112、及び昇降検知センサ116より上方に配置されている。また、吸着給送部113は、挟持給送部114及び給送検知センサ117より給送方向の上流側に配置されている。そして、吸着給送部113は、送風部112によって浮上された用紙Mを吸着して、給送経路R0に沿って給送方向に搬送する。給送経路R0は、搬送経路R1に接続されている。
【0024】
吸着給送部113は、例えば、駆動プーリ113aと、従動プーリ113bと、無端環状ベルト113cと、給送モータ113dと、吸引口113eと、吸着ファン113fとを主に備える。駆動プーリ113a及び従動プーリ113bは、給送方向に離間した位置において、各々が回転可能に支持されている。無端環状ベルト113cは、駆動プーリ113a及び従動プーリ113bに掛け渡されている。また、無端環状ベルト113cの表面には、複数の貫通口が形成されている。給送モータ113dは、駆動プーリ113aを回転させる。吸引口113eは、無端環状ベルト113cの間に配置されて、下方に開口している。吸着ファン113fは、吸引口113e及び無端環状ベルト113cの貫通口を通じて、吸着給送部113の下方の空気を吸引する。
【0025】
図3(B)に示すように、吸着ファン113fを駆動することによって、上方への空気の流れが生じる。これにより、送風部112によって浮上された用紙Mが無端環状ベルト113cの下面に吸着される。また、
図3(C)に示すように、給送モータ113dを駆動することによって、駆動プーリ113a(換言すれば、無端環状ベルト113c)が反時計回りに回転する。これにより、無端環状ベルト113cの下面に吸着された用紙Mが給送経路R0に沿って挟持給送部114に供給される。
【0026】
挟持給送部114は、吸着給送部113より給送方向の下流側で、給送検知センサ117より給送方向の上流側に配置されている。挟持給送部114は、吸着給送部113から供給される用紙Mを、給送経路R0に沿って給送方向に給送する。挟持給送部114は、例えば、駆動ローラ114aと、従動ローラ114bと、給送モータ114cとを主に備える。
【0027】
駆動ローラ114a及び従動ローラ114bは、各々が回転可能に支持されている。また、駆動ローラ114a及び従動ローラ114bは、給送経路R0を挟んで当接している。給送モータ114cは、駆動ローラ114aを回転させる。そして、挟持給送部114は、駆動ローラ114a及び従動ローラ114bの間に進入した用紙Mを、駆動ローラ114a及び従動ローラ114bで挟持して給送する。これにより、用紙Mが搬送経路R1に給送される。
【0028】
昇降機構115は、用紙積載部111を昇降させる。昇降機構115は、例えば、昇降モータ115aと、昇降モータ115aの駆動力を用紙積載部111に伝達する駆動力伝達部とを主に備える。駆動力伝達部は、例えば、回転可能に支持されたプーリと、プーリに掛け渡されて、一端が用紙積載部111に接続され且つ他端が昇降モータ115aの出力軸に接続されたベルトとで構成されていてもよい。そして、
図3(D)に示すように、昇降機構115は、昇降モータ115aが第1方向に回転することによって、用紙積載部111を上昇させる。また、昇降機構115は、昇降モータ115aが第1方向と逆向きの第2方向に回転することによって、用紙積載部111を下降させる。
【0029】
昇降検知センサ116は、用紙積載部111より上方で、吸着給送部113より下方の検知位置に固定されている。より詳細には、昇降検知センサ116は、昇降範囲の上端に位置する用紙積載部111より上方に位置する。また、昇降検知センサ116は、無端環状ベルト113cの下面から高さh下方に配置されている。さらに、昇降検知センサ116は、水平方向において、用紙積載部111に積載された用紙Mに対面し得る位置に配置されている。そして、昇降検知センサ116は、用紙積載部111に積載された用紙Mが検知位置に達したことを検知する。
【0030】
昇降検知センサ116は、例えば、発光部及び受光部を備える反射型の光学センサである。発光部は、検知位置から水平方向に光を照射する。受光部は、発光部から照射され、用紙積載部111に積載された用紙Mで反射された光を受光する。そして、昇降検知センサ116は、受光部で光を受光した場合に、用紙Mが検知位置に到達したことを示す到達信号を、後述するコントローラ150に出力する。一方、昇降検知センサ116は、受光部で光を受光していない場合に、コントローラ150への到達信号の出力を停止する。
【0031】
給送検知センサ117は、吸着給送部113及び挟持給送部114より給送方向の下流側に配置されている。また、給送検知センサ117は、給送経路R0に対面して配置されている。そして、給送検知センサ117は、給送経路R0を用紙Mが通過したこと(すなわち、用紙Mが給送されたこと)を検知する。
【0032】
給送検知センサ117は、例えば、発光部及び受光部を備える反射型の光学センサである。発光部は、給送経路R0に向けて光を照射する。受光部は、発光部から照射され、給送経路R0を通過する用紙Mで反射された光を受光する。そして、給送検知センサ117は、受光部で光を受光した場合に、用紙Mが給送されたことを示す給送信号を、コントローラ150に出力する。一方、給送検知センサ117は、受光部で光を受光していない場合に、コントローラ150への給送信号の出力を停止する。
【0033】
残量検知センサ118は、例えば、水平方向において、用紙積載部111に積載された用紙Mに対面し得る位置に配置されている。また、残量検知センサ118は、用紙積載部111の上面より僅かに上方において、用紙積載部111と共に昇降可能に構成されている。そして、残量検知センサ118は、用紙積載部111に積載された用紙Mの残量を検知する。用紙Mの残量は、例えば、用紙積載部111に積載可能な用紙Mの最大量(最大枚数)を100%とした割合で示される。
【0034】
残量検知センサ118は、例えば、発光部及び受光部を備える反射型の光学センサである。発光部は、水平方向に光を照射する。受光部は、発光部から照射され、用紙積載部111に積載された用紙Mで反射された光を受光する。そして、残量検知センサ118は、受光部で光を受光した場合に、用紙積載部111に積載された用紙Mの残量が閾値残量X%以上であることを示す残量信号を、コントローラ150に出力する。一方、残量検知センサ118は、受光部で光を受光していない場合に、コントローラ150への残量信号の出力を停止する。
【0035】
図4は、画像形成装置100のハードウェア構成を示す図である。画像形成装置100は、制御手段としてのCPU(Central Processing Unit)101、メモリとしてのRAM(Random Access Memory)102、メモリとしてのROM(Read Only Memory)103、メモリとしてのHDD(Hard Disk Drive)104、及びインタフェースとしてのI/F105が通信手段としての共通バス109を介して接続されている構成を備える。CPU101、RAM102、ROM103、HDD104は、コントローラ150の一例である。
【0036】
CPU101は演算手段であり、画像形成装置100全体の動作を制御する。RAM102は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU101が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM103は、読み出し専用の不揮発性の記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラムなどが格納される。
【0037】
画像形成装置100は、ROM103に格納された制御プログラム、HDD104などの記憶媒体からRAM102にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)などをCPU101が備える演算機能によって処理する。その処理によって、画像形成装置100の種々の機能モジュールを含むソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、画像形成装置100に搭載されるハードウェア資源との組み合わせによって、画像形成装置100の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0038】
I/F105は、給送部110、搬送部120、画像形成部130、及び操作パネル160を、共通バス109に接続するインタフェースである。すなわち、コントローラ150は、I/F105を通じて、給送部110、搬送部120、画像形成部130、及び操作パネル160の動作を制御する。
【0039】
操作パネル160は、現在の設定値や選択画面等を表示させるディスプレイと、ユーザからの入力操作を受け付ける操作部(例えば、タッチパネル、押しボタンなど)とを含むユーザインタフェースである。
【0040】
図5は、コントローラ150の機能ブロック図である。コントローラ150は、給送処理部151と、カウント部152と、補正値取得部153と、厚さ取得部154と、上昇量決定部155と、閾値決定部156と、昇降処理部157とを主に備える。コントローラ150を構成する各機能ブロック151~157は、例えば、メモリに記憶されたプログラムをCPU101が実行することによって実現される。
図5に示す各機能ブロック151~157は、連動して動作することによって、用紙積載部111に積載された複数の用紙Mを1枚ずつ搬送経路R1に給送する。
【0041】
給送処理部151は、
図3(A)~
図3(C)に示すように、浮上ブロア112a、吸着ファン113f、及び給送モータ113d、114cを駆動することによって、用紙積載部111に積載された複数の用紙Mを、1枚ずつ順番に搬送経路R1に給送する。
【0042】
カウント部152は、給送処理部151によって給送された用紙Mの枚数をカウントする。より詳細には、カウント部152は、給送検知センサ117から給送信号が出力される度に、HDD104(メモリ)に記憶された給送枚数N(シート枚数)を1ずつインクリメントする。給送枚数Nは、用紙積載部111に用紙Mが補充されるか、
図8のステップS809において、リセット(初期値0が代入)される。
【0043】
補正値取得部153は、操作パネル160を通じて画像形成装置100のユーザから補正値α1、α2を取得する。本実施形態に係る補正値α1、α2は、1より大きな数値である(α1>1、α2>1)。また、補正値α2は、補正値α1より大きな値である(α2>α1)。
【0044】
厚さ取得部154は、用紙積載部111に積載された用紙Mの紙厚t(シート厚さ)を、操作パネル160を通じてユーザから取得する。一例として、ユーザは、操作パネル160を通じて紙厚tを直接入力してもよい。他の例として、ユーザは、操作パネル160を通じて用紙Mの坪量を入力してもよい。そして、厚さ取得部154は、入力された坪量に対応する紙厚t(例えば、
図7の紙厚tmin、紙厚tavg.、紙厚tmax)をメモリから読み出してもよい。なお、給送部110は、紙厚tを検知する厚さ検知センサを備えてもよい。そして、厚さ取得部154は、厚さ検知センサで検知された紙厚tを取得してもよい。
【0045】
上昇量決定部155は、補正値取得部153で取得された補正値α1、α2と、厚さ取得部154で取得された紙厚tとに基づいて、昇降処理部157による用紙積載部111の上昇量H1、H2を決定する。上昇量H1(第1上昇量)は、残量検知センサ118で検知された用紙残量が閾値残量X%以上のときの用紙積載部111の上昇量である。上昇量H2(第2上昇量)は、残量検知センサ118で検知された用紙残量が閾値残量X%未満のときの用紙積載部111の上昇量である。上昇量H2は、上昇量H1より大きな値に設定される。
【0046】
図6は、上昇量演算処理のフローチャートである。上昇量決定部155は、補正値取得部153を通じて補正値α1、α2を取得する(S601、S602)。また、上昇量決定部155は、厚さ取得部154を通じて紙厚tを取得する(S603)。そして、上昇量決定部155は、紙厚tに補正値α1を乗じることによって、上昇量H1を決定する(S604)。また、上昇量決定部155は、紙厚tに補正値α2を乗じることによって、上昇量H2を決定する(S605)。補正値α1、α2は1より大きい値なので、上昇量H1、H2は紙厚tより大きな値になる。
【0047】
但し、上昇量H1、H2の決定方法は、
図6の例に限定されない。他の例として、上昇量決定部155は、紙厚tに補正値α1を加算して上昇量H1を決定し、紙厚tに補正値α2を加算して上昇量H2を決定してもよい。この場合の補正値α1、α2は、正の値である。さらに他の例として、上昇量決定部155は、操作パネル160を通じてユーザから上昇量H1、H2を取得してもよい。
【0048】
閾値決定部156は、閾値枚数Nthを決定する。閾値枚数Nthは、用紙積載部111の上昇する処理を停止する際の給送枚数Nの値である。すなわち、閾値枚数Nthは、給送枚数Nと比較される値である。閾値枚数Nthは固定値でもよいが、例えば以下の方法で決定することができる。
【0049】
図7は、メモリに記憶された坪量と紙厚の範囲との対応関係を示すグラフである。
図7に示すように、HDD104(メモリ)には、複数の坪量0~9と、紙厚の範囲との対応関係が記憶されている。坪量は、用紙Mの1m
2当たりの重量を指す。紙厚の範囲は、対応する坪量の用紙Mの紙厚の最大値(紙厚tmax)と最小値(紙厚tmin)とを指す。また、HDD104には、各坪量に対応する紙厚の平均値(紙厚tavg.)が記憶されていてもよい。さらに、給送部110から給送された用紙Mの実際の紙厚を、設定紙厚t0(設定シート厚さ)とする。設定紙厚t0は、例えば、操作パネル160を通じてユーザが設定してもよいし、HDD104に記憶された坪量に対応する紙厚でもよい。
【0050】
閾値決定部156は、例えば、操作パネル160を通じて入力された坪量に対応する紙厚tminを、HDD104から読み出す。そして、閾値決定部156は、下記式1に基づいて閾値枚数Nthを決定する。なお、下記式1のαは、補正値取得部153で取得された補正値α1、α2のいずれかである。
閾値枚数Nth=h×1000/(α×t0-tmin) ・・・(式1)
【0051】
他の例として、閾値決定部156は、下記式2に基づいて閾値枚数Nthを決定してもよい。なお、下記式2のαは、補正値取得部153で取得された補正値α1、α2のいずれかである。この場合、
図7に示す対応関係は省略可能である。
閾値枚数Nth=h×1000/(α×t0-t) ・・・(式2)
【0052】
昇降処理部157は、各種センサ116~118から出力される信号と、カウント部152でカウントされた給送枚数Nと、上昇量決定部155で決定された上昇量H1、H2と、閾値決定部156で決定された閾値枚数Nthとに基づいて、昇降機構115に用紙積載部111を上昇させる。また、昇降処理部157は、用紙積載部111に用紙Mが補充されたタイミングで、昇降機構115に用紙積載部111を下降させる。
【0053】
図8は、給送処理のフローチャートである。コントローラ150は、画像形成装置100に画像形成指示が入力されたタイミングで、給送処理を実行する。また、コントローラ150は、複数の用紙Mに画像を形成する場合に、給送処理を繰り返し実行する。なお、給送処理は、給送処理部151、カウント部152、及び昇降処理部157によって実行される。一方、補正値取得部153、厚さ取得部154、上昇量決定部155、及び閾値決定部156の処理は、給送処理の開始前に実行されているものとする。
【0054】
まず、給送処理部151は、浮上ブロア112a、吸着ファン113f、及び給送モータ113d、114cを駆動させる(S801)。これにより、
図3(A)~
図3(C)に示すように、1枚の用紙Mが搬送経路R1に給送される。そして、給送検知センサ117から給送信号が出力されるまで(S802:No)、ステップS803以降の処理の実行が待機される。
【0055】
そして、カウント部152は、給送検知センサ117から給送信号が出力されたことに応じて(S802:Yes)、HDD104に記憶された給送枚数Nをインクリメント(N=N+1)する(S803)。また、昇降処理部157は、給送検知センサ117から給送信号が出力されたことに応じて(S802:Yes)、ステップS804~S809の処理を実行する。さらに、搬送部120及び画像形成部130は、ステップS803~S809の処理と並行して、給送部110から給送された用紙Mを搬送経路R1に沿って搬送し、当該用紙Mに画像を形成する。
【0056】
昇降処理部157は、カウント部152でカウントされた給送枚数Nと、閾値決定部156で決定された閾値枚数Nthとを比較する(S804)。そして、昇降処理部157は、給送枚数Nが閾値枚数Nth未満の場合に(S804:No)、残量検知センサ118から残量信号が出力されているか否か(すなわち、用紙残量が閾値残量X%以上か否か)を判定する(S805)。
【0057】
そして、昇降処理部157は、残量検知センサ118から残量信号が出力されている(すなわち、用紙残量が閾値残量X%以上である)ことに応じて(S805:Yes)、上昇量決定部155で決定された上昇量H1を用紙積載部111が上昇するように昇降機構115を駆動する(S806)。また、昇降処理部157は、残量検知センサ118からの残量信号の出力が停止している(すなわち、用紙残量が閾値残量X%未満である)ことに応じて(S805:No)、上昇量決定部155で決定された上昇量H2を用紙積載部111が上昇するように昇降機構115を駆動する(S807)。
【0058】
一方、昇降処理部157は、給送枚数Nが閾値枚数Nthに到達した場合に(S804:Yes)、昇降検知センサ116から到達信号が出力されているか否か(すなわち、検知位置に用紙Mが存在するか否か)を判定する(S808)。そして、昇降処理部157は、昇降検知センサ116から到達信号が出力されている(すなわち、検知位置に用紙Mが存在する)場合に(S808:Yes)、ステップS805~S809の処理を実行せずに、給送処理を終了する。また、昇降処理部157は、昇降検知センサ116からの到達信号の出力が停止した(すなわち、検知位置に用紙Mが存在しない)場合に(S808:No)、ステップS805~S807の処理を実行せずに、HDD104に記憶された給送枚数Nをリセット(初期値0を代入)する(S809)。
【0059】
すなわち、昇降処理部157は、給送処理を繰り返し実行する間において、カウント部152でカウントされた給送枚数Nが閾値枚数Nth未満の場合に(S804:No)、給送検知センサ117から給送信号が出力される度に、用紙積載部111を上昇させる(S805~S807)。また、昇降処理部157は、給送処理を繰り返し実行する間において、カウント部152でカウントされた給送枚数Nが閾値枚数Nthに達した場合に(S804:Yes)、用紙積載部111の上昇を停止する。さらに、昇降処理部157は、給送枚数Nがリセット(S809)された次の給送処理から用紙積載部111の上昇を再開する。
【0060】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0061】
上記の実施形態によれば、1枚の用紙Mが給送される度に用紙積載部111を上昇させることによって、用紙積載部111に積載された一番上の用紙Mを、送風部112からの送風経路上に位置させることができる。その結果、給送処理における用紙Mの不給送を防止することができる。また、上昇量H1、H2を紙厚tより大きな値にすることによって、給送処理における用紙Mの不給送をさらに効果的に防止することができる。
【0062】
但し、用紙積載部111の上昇を繰り返すと、給送された複数の用紙Mの紙厚tの合計と、用紙積載部111の上昇量の合計との誤差が累積する。そこで、上記の実施形態のように、閾値枚数Nthの用紙Mを給送したことに応じて、用紙積載部111の上昇を一時的に停止することによって、累積した誤差をリセットすることができる。その結果、複数の用紙Mが纏まって浮上することに起因する重送を防止することができる。
【0063】
また、不給送や重送が起こりやすいのは、用紙積載部111上の用紙Mの積載高さが低い時である。そこで上記の実施形態のように、用紙残量が少ない時の上昇量H2を、用紙残量が多い時の上昇量H1より大きな値とすることによって、用紙積載部111上の用紙Mの積載高さが低い時でも用紙Mを適切に給送することができる。但し、用紙残量に拘わらず、用紙積載部111の上昇量を同一に設定してもよい。すなわち、
図6のステップS602、S605、及び
図8のステップS805、S807は省略可能である。
【0064】
さらに、上記の実施形態のように、式1または式2を用いて閾値枚数Nthを設定し、給送枚数Nが閾値枚数Nthに達した場合に用紙積載部111の上昇を停止することによって、用紙積載部111と無端環状ベルト113cとが接近し過ぎることに起因する用紙Mの重送を防止することができる。
【0065】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0066】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
100 :画像形成装置
101 :CPU
102 :RAM
103 :ROM
104 :HDD
105 :I/F
109 :共通バス
110 :給送部
111 :用紙積載部
112 :送風部
112a :浮上ブロア
112b :送風口
113 :吸着給送部
113a :駆動プーリ
113b :従動プーリ
113c :無端環状ベルト
113d,114c :給送モータ
113e :吸引口
113f :吸着ファン
114 :挟持給送部
114a :駆動ローラ
114b :従動ローラ
115 :昇降機構
115a :昇降モータ
116 :昇降検知センサ
117 :給送検知センサ
118 :残量検知センサ
120 :搬送部
121,122 :搬送ローラ
130 :画像形成部
131C,131K,131M,131Y :感光体ドラム
132 :転写ベルト
133 :転写ローラ
134 :定着ローラ
140 :排紙トレイ
150 :コントローラ
151 :給送処理部
152 :カウント部
153 :補正値取得部
154 :厚さ取得部
155 :上昇量決定部
156 :閾値決定部
157 :昇降処理部
160 :操作パネル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】