(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023077686
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】センサインターフェース回路
(51)【国際特許分類】
G01R 27/26 20060101AFI20230530BHJP
G01R 19/252 20060101ALI20230530BHJP
G01R 27/02 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
G01R27/26 C
G01R19/252
G01R27/02 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191053
(22)【出願日】2021-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西舘 凌矢
(72)【発明者】
【氏名】白川 貴啓
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 征幸
(72)【発明者】
【氏名】石原 昇
【テーマコード(参考)】
2G028
2G035
【Fターム(参考)】
2G028AA01
2G028BB02
2G028BB06
2G028CG02
2G028CG07
2G028EJ02
2G028FK03
2G028GL01
2G035AA01
2G035AD03
2G035AD10
2G035AD11
2G035AD12
2G035AD13
2G035AD20
2G035AD25
2G035AD27
2G035AD28
2G035AD29
2G035AD47
2G035AD51
2G035AD53
2G035AD55
2G035AD56
2G035AD57
(57)【要約】 (修正有)
【課題】センサの信号レベルを周波数変化に変換し、その変換精度を向上する。
【解決手段】センサインターフェース回路において、周波数同期回路は、電圧を生成する電圧源と、参照周波数を第1のインピーダンスに変換する第1の周波数インピーダンス変換回路と、生成される電圧と第1のインピーダンスとを用いて電流を生成する電流源と、電圧源に接続された第1の入力ノードと電流源に接続された第2の入力ノードと出力ノードとを有し、第1の入力ノードで受ける電圧と第2の入力ノードで受ける第2の電圧との少なくとも一方がセンサの信号レベルに対応し、第1の入力ノードで受ける電圧と第2の入力ノードで受ける電圧との差分に応じて制御電圧を生成する電圧差検出回路と、制御電圧に応じて発振信号を生成する電圧制御発振回路と発振信号に応じた信号の周波数を第2のインピーダンスに変換する第2の周波数インピーダンス変換回路とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサに接続可能である周波数同期回路を備え、
前記周波数同期回路は、
電圧を生成する電圧源と、
参照周波数を第1のインピーダンスに変換する第1の周波数インピーダンス変換回路と、
前記電圧源と前記第1の周波数インピーダンス変換回路とに接続され、前記生成される電圧と前記第1のインピーダンスとを用いて電流を生成する電流源と、
前記電圧源に接続された第1の入力ノードと前記電流源に接続された第2の入力ノードと出力ノードとを有し、前記第1の入力ノードで受ける電圧と前記第2の入力ノードで受ける第2の電圧との少なくとも一方が前記センサの信号レベルに対応し、前記第1の入力ノードで受ける電圧と前記第2の入力ノードで受ける電圧との差分に応じて制御電圧を生成する電圧差検出回路と、
前記電圧差検出回路の出力ノードに接続され、前記制御電圧に応じて発振信号を生成する電圧制御発振回路と、
前記電圧制御発振回路と前記電圧差検出回路の第2の入力ノードとの間に接続され、前記発振信号に応じた信号の周波数を第2のインピーダンスに変換する第2の周波数インピーダンス変換回路と、
を有する
センサインターフェース回路。
【請求項2】
前記第1の周波数インピーダンス変換回路は、前記センサに接続され、前記センサの信号レベルに応じて前記参照周波数を前記第1のインピーダンスに変換し、
前記電圧差検出回路は、前記第2の入力ノードで受ける電圧が前記センサの信号レベルと前記信号の周波数とに対応する
請求項1に記載のセンサインターフェース回路。
【請求項3】
前記電圧源は、前記センサに接続され、前記センサの信号レベルに応じて電圧を生成し、
前記電圧差検出回路は、前記第1の入力ノードで受ける電圧が前記センサの信号レベルと前記参照周波数とに対応する
請求項1に記載のセンサインターフェース回路。
【請求項4】
前記第1の周波数インピーダンス変換回路及び前記第2の周波数インピーダンス変換回路は、それぞれ、互いに対応するスイッチトキャパシタ回路で構成される
請求項1に記載のセンサインターフェース回路。
【請求項5】
前記第2の周波数インピーダンス変換回路は、
一端が第1の電位に接続された第1の容量素子と、
一端が前記第1の電位に接続され、他端が前記電圧差検出回路の第2の入力ノードに接続された第2の容量素子と、
一端が前記電圧差検出回路の第2の入力ノードに接続され、他端が前記第1の容量素子の他端に接続され、制御端が前記電圧制御発振回路に接続された第1のスイッチと、
前記電圧制御発振回路に接続された第1のインバータと、
一端が前記第1の容量素子の他端に接続され、他端が前記第1の電位に接続され、制御端が前記第1のインバータに接続された第2のスイッチと、
を有し、
前記第1の周波数インピーダンス変換回路は、
一端が前記第1の電位に接続され、他端が前記電流源に接続された第3の容量素子と、
一端が前記電流源に接続され、他端が前記センサに接続され、制御端で前記参照周波数を受ける第3のスイッチと、
前記参照周波数が入力される第2のインバータと、
一端が前記センサに接続され、他端が前記第1の電位に接続され、制御端が前記第2のインバータに接続された第4のスイッチと、
を有する
請求項2に記載のセンサインターフェース回路。
【請求項6】
前記第2の周波数インピーダンス変換回路は、
一端が第1の電位に接続された第1の容量素子と、
一端が前記第1の電位に接続され、他端が前記電圧差検出回路の第2の入力ノードに接続された第2の容量素子と、
一端が前記電圧差検出回路の第2の入力ノードに接続され、他端が前記第1の容量素子の他端に接続され、制御端が前記電圧制御発振回路に接続された第1のスイッチと、
前記電圧制御発振回路に接続された第1のインバータと、
一端が前記第1の容量素子の他端に接続され、他端が前記第1の電位に接続され、制御端が前記第1のインバータに接続された第2のスイッチと、
を有し、
前記第1の周波数インピーダンス変換回路は、
一端が前記第1の電位に接続され、他端が前記電流源に接続された第3の容量素子と、
一端が前記第1の電位に接続された第4の容量素子と、
一端が前記電流源に接続され、他端が前記第4の容量素子の他端に接続され、制御端で前記参照周波数を受ける第3のスイッチと、
前記参照周波数が入力される第2のインバータと、
一端が前記第4の容量素子の他端に接続され、他端が前記第1の電位に接続され、制御端が前記第2のインバータに接続された第4のスイッチと、
を有する
請求項3に記載のセンサインターフェース回路。
【請求項7】
前記電圧源は、
電源電位と基準電位との間で前記基準電位の側で前記センサに直列接続される第1の抵抗素子と、
電源電位と基準電位との間で前記電源電位の側で前記センサに直列接続される第2の抵抗素子と、
を有し、
前記センサ及び前記第1の抵抗素子の間のノードが前記電圧差検出回路の第1の入力ノードに電気的に接続され、
前記センサ及び前記第2の抵抗素子の間のノードが前記電流源に電気的に接続される
請求項3に記載のセンサインターフェース回路。
【請求項8】
前記第1の周波数インピーダンス変換回路に接続された分周回路と、
前記電圧制御発振回路に接続された第1の入力ノードと前記分周回路に接続された第2の入力ノードと出力ノードとを有する論理ゲートと、
前記論理ゲートの出力ノードに接続されたカウンタと、
をさらに備えた
請求項1に記載のセンサインターフェース回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の実施形態は、センサインターフェース回路に関する。
【背景技術】
【0002】
発振回路を有するセンサインターフェース回路は、センサの信号レベルに応じて発振回路を発振させ、センサの信号レベルに応じた周波数を有する発振信号を生成して出力する。センサインターフェース回路は、センサの信号レベルを高精度に周波数に変換することが要求される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】宮内 楓, 田口 泰地, 石川 洋介, 伊藤 浩之, 道正 志郎, 益 一哉, 石原 昇, 「RFバックスキャッタリングによる低電力ワイヤレスセンサ端末モジュールの試作評価結果」, 2018年 電子情報通信学会総合大会, 日本, 2018年3月20日-23日, B-18-17, p.361
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、センサインターフェース回路では、センサの信号レベルに応じた発振信号の周波数が、センサの特性とセンサインターフェース回路内の素子の特性に依存して変化するように構成されることがある。この場合、発振信号の周波数の精度は、センサの特性の絶対精度と素子の特性の絶対精度とに依存するため、製造プロセス、電源電圧、及び/又は温度などの変動要因の影響を受けてばらつきやすい。これにより、センサの信号レベルの周波数への変換精度が低下しやすい。
【0005】
本発明の目的は、センサの信号レベルを周波数変化に変換し、その変換精度を向上できるセンサインターフェース回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の1つの側面にかかるセンサインターフェース回路は、センサに接続可能である周波数同期回路を有し、前記周波数同期回路は、電圧を生成する電圧源と、参照周波数を第1のインピーダンスに変換する第1の周波数インピーダンス変換回路と、前記電圧源と前記第1のインピーダンス変換回路とに接続され、前記生成される電圧と前記第1のインピーダンスとを用いて電流を生成する電流源と、前記電圧源に接続された第1の入力ノードと前記電流源に接続された第2の入力ノードと出力ノードとを有し、前記第1の入力ノードで受ける電圧と前記第2の入力ノードで受ける第2の電圧との少なくとも一方が前記センサの信号レベルに対応し、前記第1の入力ノードで受ける電圧と前記第2の入力ノードで受ける電圧との差分に応じて制御電圧を生成する電圧差検出回路と、前記電圧差検出回路の出力ノードに接続され、前記制御電圧に応じて発振信号を生成する電圧制御発振回路と、前記電圧制御発振回路と前記電圧差検出回路の第2の入力ノードとの間に接続され、前記発振信号に応じた信号の周波数を第2のインピーダンスに変換する第2の周波数インピーダンス変換回路とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、センサの信号レベルの周波数への変換精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るセンサインターフェース回路を含むシステムの構成を示すブロック図。
【
図2】実施形態に係るセンサインターフェース回路の概略構成を示す回路図。
【
図3】実施形態に係る周波数同期回路の構成を示す回路図。
【
図4】実施形態における周波数インピーダンス変換回路の動作を示す図。
【
図5】実施形態の第1の変形例に係るセンサインターフェース回路の概略構成を示す回路図。
【
図6】実施形態の第1の変形例に係る周波数同期回路の構成を示す回路図。
【
図7】実施形態の第2の変形例に係るセンサインターフェース回路の概略構成を示すブロック図。
【
図8】実施形態の第2の変形例に係る周波数同期回路の構成を示す回路図。
【
図9】実施形態の第3の変形例に係るセンサインターフェース回路を含むシステムの構成を示すブロック図。
【
図10】実施形態の第3の変形例に係るセンサインターフェース回路の概略構成を示すブロック図。
【
図11】実施形態の第4の変形例に係るセンサインターフェース回路を含むシステムの構成を示す回路図。
【
図12】実施形態の第4の変形例に係るセンサインターフェース回路の概略構成を示す回路図。
【
図13】実施形態の第4の変形例に係るセンサインターフェース回路の詳細構成を示す回路図。
【
図14】実施形態の第4の変形例に係るセンサインターフェース回路の動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、センサインターフェース回路の実施形態について詳細に説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作を行うものとして、重複する説明は適宜省略する。
【0010】
(実施形態)
実施形態に係るセンサインターフェース回路は、センサの信号レベルを周波数に変換する回路である。センサインターフェース回路で変換された周波数は、後段でセンサの信号レベルに対応するデジタル値に変換されて利用される。センサインターフェース回路には、センサの信号レベルの周波数への変換精度を向上するための工夫が施される。
【0011】
例えば、センサインターフェース回路1は、
図1に示すようなシステムに適用される。
図1は、センサインターフェース回路1を含むシステム100の構成を示すブロック図である。システム100は、センサ2、センサインターフェース回路1及びコントローラ3を有する。
【0012】
センサインターフェース回路1は、センサ2及びコントローラ3の間に接続される。センサ2は、所定の物理量を検出し、その信号をセンサインターフェース回路1へ供給する。コントローラ3は、参照周波数FREFを有する周期信号FREFを生成してセンサインターフェース回路1へ供給する。センサインターフェース回路1は、発振回路を有し、周期信号FREFを用いながら、センサ2の信号レベルに応じて発振回路で発振動作を行う。これにより、センサインターフェース回路1は、センサ2の信号レベルに応じた周波数FOUTを有する発振信号FOUTを生成してコントローラ3へ出力する。コントローラ3は、発振信号FOUTに応じたデジタル値CNTOUTを生成し、デジタル値CNTOUTを用いて所定の処理を行う。
【0013】
コントローラ3は、クロック生成回路4、周期信号生成回路5、カウンタ6、及び処理回路7を有する。クロック生成回路4は、システムクロックCLKを生成して周期信号生成回路5、カウンタ6、処理回路7へそれぞれ供給する。周期信号生成回路5は、システムクロックCLKを分周して周期信号FREFを生成してもよいし、システムクロックCLKに同期して発振動作を行って周期信号FREFを生成してもよい。周期信号生成回路5は、周期信号FREFをセンサインターフェース回路1へ供給する。カウンタ6は、システムクロックCLKに同期してカウント動作を行い、発振信号FOUTのパルス数をカウントし、カウント値をデジタル値CNTOUTとして生成する。処理回路7は、システムクロックCLK及びデジタル値CNTOUTを用いて所定の処理を行う。例えば、処理回路7は、デジタル値CNTOUTを所定の物理量の値(センサ素子換算値)に換算する。処理回路7は、センサ素子換算値を用いて所定の統計処理を行ってもよい。
【0014】
なお、
図1の構成では、周期信号生成回路5とカウンタ6とが同じシステムクロックCLKに同期して動作している。仮に、動作中にシステムクロックCLKの発振周波数が+10%変動し、周期信号生成回路5で生成する周期信号F
REFの参照周波数F
REFが+10%変動した場合でも、同じくシステムクロックCLKで動作しているカウンタ6の計測時間は-10%変動し打ち消されるため、システムクロックCLKの変動は影響しにくい。よって、システムクロックCLKに精度の低いものを利用できるため、システム100全体のコストダウンを図ることができる。
【0015】
図1の構成において、高精度なデジタル値CNT
OUTを得るためには、センサインターフェース回路1におけるセンサ2の信号レベルの周波数への変換精度の向上が望まれる。センサインターフェース回路1において、変換精度を向上するために、発振回路を周波数同期回路で実現することが考えられる。周波数同期回路は、周波数比較回路、電圧制御発振回路(VCO)などで構成される周波数負帰還回路であってもよい。電圧制御発振回路の発振周波数と参照周波数との周波数差を検出し、周波数差がゼロに近づくように電圧制御発振回路を電圧制御する。この周波数同期回路を周波数ドメインに代えて電圧ドメインで周波数同期ループのフィードバック動作を行うよう構成することで周波数同期回路を高精度化できる。
【0016】
例えば、周波数同期回路10を含むセンサインターフェース回路1は、
図2に示すように構成され得る。
図2は、センサインターフェース回路1の概略構成を示す回路図である。センサインターフェース回路1は、センサ2及びコントローラ3の間に接続される。
【0017】
センサ2は、例えば容量性のセンサであり、その信号レベルに応じて、等価的に、容量値が変化する可変容量素子CSENSを含む。可変容量素子CSENSは、一端がセンサインターフェース回路1の端子1aに接続され、他端がグランド電位に接続される。
【0018】
センサインターフェース回路1は、周波数同期回路10、LPF(Low Pass Filter)27、RFスイッチ26を有する。
【0019】
周波数同期回路10は、入力ノード10aが端子1aを介してセンサ2の一端に電気的に接続され、入力ノード10bが端子1bを介してコントローラ3に電気的に接続され、出力ノード10cがLPF27、RFスイッチ26及び端子1cを介してコントローラ3に電気的に接続される。LPF27は、入力ノードが周波数同期回路10に接続され、出力ノードがRFスイッチ26に接続される。RFスイッチ26は、例えばNMOSトランジスタであり、ゲートがLPF27に接続され、ソースがグランド電位に接続され、ドレインがセンサインターフェース回路1の端子1cを介してコントローラ3に接続される。
【0020】
周波数同期回路10は、センサ2の信号レベル(例えば、可変容量素子CSENSの容量値)に応じて発振動作を行う。周波数同期回路10からLPF27経由で受けた発振信号に応じてRFスイッチ26がオン・オフすることで、周波数FOUTを有する発振信号FOUTが端子1cから出力される。このとき、周波数同期回路10は、電圧ドメインで周波数同期ループのフィードバック動作を行う。
【0021】
図3は、周波数同期回路10の構成を示す図である。
図3では、簡略化のため、LPF27及びRFスイッチ26の図示が省略されている。周波数同期回路10は、参照電圧V
REF1を生成する。周波数同期回路10は、周期信号F
REFを受ける。周期信号F
REFは、参照周波数F
REFで周期的にレベルが変化する信号である。周波数同期回路10は、センサ2の信号レベル(例えば、可変容量素子C
SENSの容量値)に応じて、参照周波数F
REFをインピーダンスZ
SENS1に変換する。参照周波数F
REFが略一定に維持される場合、インピーダンスZ
SENS1の変化は、センサ2の信号レベル(例えば、可変容量素子C
SENSの容量値)の変化に対応する。周波数同期回路10は、インピーダンスZ
SENS1に応じた電流I
SENS1を生成し、電流I
SENS1に比例する電流I
SENS2をさらに生成する。電流I
SENS2は、センサ2の信号レベルに応じた電流である。それとともに、周波数同期回路10は、発振動作を行って生成した発振信号の周波数F
OUTをインピーダンスZ
2に変換する。周波数同期回路10は、変換されたインピーダンスZ
2を、センサ2の信号レベルに応じた電流I
SENS2を用いてさらに電圧V
SENS2に変換する。変換された電圧V
SENS2は、センサ2の信号レベルに応じた電圧である。周波数同期回路10は、周波数同期ループのフィードバック動作を、センサ2の信号レベルに応じた電圧V
SENS2と参照電圧V
REF1との差分がゼロに近づくように行う。
【0022】
周波数同期回路10では、電圧ドメインでの周波数同期機能を高精度に実現するために、発振信号の周波数FOUTをインピーダンスZ2に変換する周波数インピーダンス変換回路13(第2の周波数インピーダンス変換回路)と、参照周波数FREFをインピーダンスZSENS1に変換する周波数インピーダンス変換回路18(第1の周波数インピーダンス変換回路)とが、電流源15を介して接続される。周波数インピーダンス変換回路13及び周波数インピーダンス変換回路18は、それぞれ、互いに対応するスイッチトキャパシタ回路で構成される。これにより、周波数同期回路10は、センサの信号レベルに応じた発振信号の周波数が、センサの特性とセンサインターフェース回路1内の素子の特性との相対比に依存して変化するように構成される。
【0023】
例えば、周波数同期回路10は、
図2に示すように、電圧制御発振回路11、分周回路12、周波数インピーダンス変換回路13、分周回路19、周波数インピーダンス変換回路18、電圧源14、電流源15、電圧差検出回路16、及びフィルタ17を有する。電圧差検出回路16、フィルタ17、電圧制御発振回路11、分周回路12、周波数インピーダンス変換回路13は、ループ状に接続される。このループ状の接続が周波数同期ループを構成する。また、周波数同期回路10は、センサ2が周波数インピーダンス変換回路18経由で電流源15に接続され、センサ2の信号レベルに応じて電流源15が流す電流I
SENS2が変化する。周波数同期回路10は、電流変化型の周波数同期回路と呼ぶことができる。
【0024】
電圧源14は、電流源15及び電圧差検出回路16に並列に接続されている。電圧源14は、出力ノード14aが電流源15の制御ノード15cと電圧差検出回路16の入力ノード16aとに接続されている。電圧源14は、参照電圧を生成する。
【0025】
例えば、電圧源14は、
図3に示すように抵抗分圧で参照電圧V
REF1を生成する。電圧源14は、複数の抵抗素子R
1,R
2を有する。抵抗素子R
2は、一端がグランド電位に接続され、他端が抵抗素子R
1に接続される。抵抗素子R
1は、一端が抵抗素子R
2に接続され、他端が電源電位Vddに接続される。抵抗素子R
1の抵抗値をR
1とし、抵抗素子R
2の抵抗値をR
2とすると、電圧源14は、次の数式1に示す参照電圧V
REF1を生成し得る。
V
REF1={R
2/(R
1+R
2)}×V
dd・・・数式1
【0026】
分周回路19は、端子1b及び周波数インピーダンス変換回路18の間に電気的に接続される。分周回路19は、入力ノード19aが端子1bに電気的に接続され、出力ノード19bが周波数インピーダンス変換回路18に電気的に接続される。分周回路19は、入力ノード19aで受けた周期信号FREFを分周し、周期信号FREF’を生成して周波数インピーダンス変換回路18へ供給する。周期信号FREFは、参照周波数FREFを有する。周期信号FREF’は、参照周波数FREF’を有する。参照周波数FREF’は、参照周波数FREFの2分の1の周波数であってもよい。このとき、分周回路19は、周期信号FREF’のデューティー比を例えば50%近傍に調整することができる。
【0027】
例えば、
図3に示す分周回路19は、2分周するように構成される。分周回路19は、フリップフロップ191及びインバータ192を有する。フリップフロップ191は、データ入力ノードDがインバータ192の出力ノードに接続され、クロックノードCKが端子1bに接続され、データ出力ノードQがインバータ192の入力ノード及び周波数インピーダンス変換回路18に接続される。フリップフロップ191は、周期信号F
REFの波形の立ち上がりエッジに同期して、その出力信号が論理反転された信号を保持するとともに、その出力信号をトグルさせる。これにより、分周回路19は、入力ノード19aで受けた周期信号F
REFを2分周し、参照周波数F
REF’(=F
REF/2)を有する周期信号F
REF’を生成する。また、分周回路19は、受けた周期信号F
REFの周期で出力される信号をトグルさせることで、周期信号F
REF’のデューティー比を50%近傍に調整し得る。
【0028】
図2に示す分周回路19は、参照周波数F
REF’を有する周期信号F
REF’を周波数インピーダンス変換回路18に出力する。
【0029】
周波数インピーダンス変換回路18は、端子1aと端子1bと電流源15との間に電気的に接続され、センサ2と分周回路19と電流源15との間に電気的に接続される。周波数インピーダンス変換回路18は、入力ノード18aがセンサ2に接続され、入力ノード18bが分周回路19の出力ノード19bに接続され、出力ノード18cが電流源15の入力ノード15dに接続される。周波数インピーダンス変換回路18は、分周回路19から周期信号FREF’を受け、周期信号FREF’の参照周波数FREF’をインピーダンスZ1に変換する。
【0030】
例えば、周波数インピーダンス変換回路18は、
図3に示すように、スイッチトキャパシタ回路で構成され得る。スイッチトキャパシタ回路とは、スイッチと容量素子とを組み合わせることで抵抗器のように電流又は電圧を制限する回路である。周波数インピーダンス変換回路18は、周期信号F
REF’に応じて容量素子を充放電させることで、センサ2の検出値と参照周波数F
REF’とに応じたインピーダンスZ
SENS1を発生させることができる。
【0031】
周波数インピーダンス変換回路18は、容量素子(第3の容量素子)182、スイッチ(第3のスイッチ)183、スイッチ(第4のスイッチ)184、及びインバータ(第2のインバータ)185を有する。センサ2の可変容量素子CSENSは、一端がグランド電位に接続され、他端がスイッチ183及びスイッチ184の間のノード186に接続される。容量素子182は、一端がグランド電位に接続され、他端が電流源15の入力ノード15dに接続される。スイッチ183は、一端が電流源15の入力ノード15dに接続され、他端がノード186に接続され、制御端が分周回路19を介して端子1bに接続される。スイッチ184は、一端がノード186に接続され、他端がグランド電位に接続され、制御端がインバータ185に接続される。インバータ185は、入力ノードが分周回路19を介して端子1bに接続され、出力ノードがスイッチ184に接続される。
【0032】
周波数インピーダンス変換回路18では、スイッチ183及びスイッチ184が、周期信号FREF’のレベルに応じて相補的にオン・オフする。これにより、可変容量素子CSENSが充放電される。周期信号FREF’がHレベルである場合、スイッチ183がオフ状態に維持されるとともにスイッチ184がオン状態に維持され、可変容量素子CSENSの電荷がグランド電位に排出され、可変容量素子CSENSが放電される。周期信号FREF’がLレベルである場合、スイッチ183がオン状態に維持されるとともにスイッチ184がオフ状態に維持され、電流ISENS1に応じた電荷が可変容量素子CSENSに蓄積され、可変容量素子CSENSが充電される。このとき、容量素子182は、周期信号FREF’のレベルに関わらず、電流ISENS1に応じた電荷を蓄積した状態を維持している。
【0033】
すなわち、周波数インピーダンス変換回路18は、参照周波数FREF’を有する周期信号FREF’によって可変容量素子CSENSに対して周期的に充電と放電とを繰り返すことで等価的に参照周波数FREF’及び可変容量素子CSENSに対応するインピーダンスZSENS1を発生できる。このとき、周波数インピーダンス変換回路18の出力ノード18cの電圧は、可変容量素子CSENSの充電時において、時定数的に変化するが、電荷の蓄積を維持する容量素子182によって平均化されながら安定点に収束する。この安定点における出力ノード18cの電圧は、電流源15により参照電圧VREF1に等しくなるように制御される。このため、安定点に収束する時における電流源15の入力ノード15dに発生される電流ISENS1は、周波数インピーダンス変換回路18で発生するインピーダンスZSENS1を用いて、次の数式2のように表せる。
ISENS1=VREF1/ZSENS1・・・数式2
【0034】
すなわち、容量素子182の容量値をCAVE1、可変容量素子CSENSの容量値をCSENSとすると、安定点に収束する時における電流源15の入力ノード15dに発生される電流ISENS1は、次の数式3のようになる。
ISENS1=VREF1・FREF’・CSENS=VREF1・FREF・CSENS/2・・・数式3
【0035】
数式2,3に示されるように、安定点に収束する状態において、参照周波数FREFが周波数インピーダンス変換回路18でインピーダンスZSENS1=2/(FREF・CSENS)に変換される。等価的には、インピーダンスZSENS1=2/(FREF・CSENS)の一端が電流源15の入力ノード15dに接続され、その他端がグランド電位に接続された状態になる。このため、電流源15の入力ノード15dでは、印加される電圧VREF1に応じて、数式3で示す電流ISENS1が発生される。電流ISENS1は、インピーダンスZSENS1を含み、センサ2の検出値に対応している。また、電流ISENS1は、参照周波数FREF’を含み、端子1bで受ける周期信号FREFの参照周波数FREFに対応している。
【0036】
図2に示す電圧源14は、参照電圧V
REF1を電流源15及び電圧差検出回路16へそれぞれ供給する。
【0037】
電流源15は、電圧源14、電圧差検出回路16、周波数インピーダンス変換回路18、周波数インピーダンス変換回路13に電気的に接続される。電流源15は、入力ノード15aが電源電位Vddに接続され、制御ノード15cが電圧源14に接続され、入力ノード15dが周波数インピーダンス変換回路18に接続され、出力ノード15bが電圧差検出回路16の入力ノード16bと周波数インピーダンス変換回路13とに接続されている。電流源15は、センサ2の検出値に応じた電流ISENS2を発生させて電圧差検出回路16の入力ノード16bに流す。
【0038】
例えば、電流源15は、
図3に示すように構成され得る。電流源15は、トランジスタ151、トランジスタ152、及び差動増幅回路153を有する。トランジスタ151は、電源電位Vddと電圧差検出回路16の入力ノード16bとの間に電気的に接続される。トランジスタ151は、例えばPMOSトランジスタであり、ソースが電源電位Vddに接続され、ドレインが電圧差検出回路16の入力ノード16bに接続され、ゲートが差動増幅回路153の出力ノード153cに接続される。トランジスタ152は、電源電位Vddと周波数インピーダンス変換回路18との間に電気的に接続可能である。トランジスタ152は、例えばPMOSトランジスタであり、ソースが電源電位Vddに接続され、ドレインが周波数インピーダンス変換回路18に接続され、ゲートが差動増幅回路153の出力ノード153cとトランジスタ151のゲートとに接続される。差動増幅回路153は、入力ノード153a、入力ノード153b及び出力ノード153cを有する。入力ノード153aは、電圧源14に電気的に接続され、電圧源14から参照電圧V
REF1を受ける。入力ノード153bは、トランジスタ152及び周波数インピーダンス変換回路18の間のノード154に電気的に接続される。出力ノード153cは、トランジスタ151のゲート及びトランジスタ152のゲートに共通接続される。
【0039】
すなわち、トランジスタ151及びトランジスタ152は、差動増幅回路153を介してカレントミラー回路を構成する。差動増幅回路153→トランジスタ152→ノード154→差動増幅回路153のフィードバックループを用いて、差動増幅回路153は、ノード154の電位が参照電圧VREF1に等しくなるようにトランジスタ151のゲート電圧及びトランジスタ152のゲート電圧を制御する。これにより、周波数インピーダンス変換回路18のインピーダンスZSENS1に流れる電流ISENS1は、上記の数式2,3のようになる。
【0040】
カレントミラー回路のミラー比を1とすると、電流源15から電圧差検出回路16の入力ノード16bに流れる電流ISENS2は、次の数式4のようになる。
ISENS2=ISENS1=VREF1/ZSENS1=VREF1・FREF・CSENS/2・・・数式4
【0041】
数式4に示されるように、電流源15の電流ISENS2は、センサ2の容量値CSENSに応じたインピーダンスZSENS1に依存し、センサ2の容量値CSENSの変化に応じて変化する。参照電圧VREF1及び参照周波数FREFが略一定であれば、電流ISENS2の変化は、センサ2の容量値CSENSの変化を示す。
【0042】
図2に示す電圧制御発振回路11は、電圧差検出回路16及び出力ノード10cの間に電気的に接続され、フィルタ17及び分周回路12の間に電気的に接続される。電圧制御発振回路11は、入力ノード11aがフィルタ17を介して電圧差検出回路16の出力ノード16cに電気的に接続され、出力ノード11bが分周回路12を介して出力ノード10cに電気的に接続される。電圧制御発振回路11は、電圧差検出回路16からフィルタ17を介して受けた制御電圧V
CTRLに応じて発振動作を行い、制御電圧V
CTRLに応じた周波数F
SENSを有する発振信号F
SENSを生成する。
【0043】
例えば、電圧制御発振回路11は、
図3に示すように弛張型の発振回路で構成され得る。電圧制御発振回路11は、インバータチェーン111、可変抵抗素子112、及び容量素子113を有する。インバータチェーン111は、リング状に接続された複数段のインバータInv1~Inv3とリング外で出力側に設けられたインバータInv4とを含む。各インバータInvは、例えばNMOSトランジスタとPMOSトランジスタとをインバータ接続することで構成される。リング状に接続されたインバータInvの段数は、奇数段であり、例えば3段である。初段のインバータInv1の出力ノードは、次段のインバータInv2の入力ノードに電気的に接続されている。最終段のインバータInv3の出力ノードは、インバータInv4の入力ノードと初段のインバータInv1の入力ノードとにそれぞれ電気的に接続されている。インバータInv4の出力ノードは、電圧制御発振回路11の出力ノード11bに接続されている。可変抵抗素子112は、インバータチェーン111における複数段のインバータInv1~Inv3に直列に電気的に接続される。可変抵抗素子112はインバータInv2の出力ノードとインバータInv3の入力ノードとの間に電気的に接続される。容量素子113は、インバータチェーン111におけるインバータInv及び可変抵抗素子112と並列に接続される。
図3では、容量素子113が2段目のインバータInv2及び可変抵抗素子112の直列接続に対して並列に接続された構成が例示されている。
【0044】
電圧制御発振回路11では、可変抵抗素子112が制御ノードで制御電圧V
CTRLを受ける。可変抵抗素子112は、制御電圧V
CTRLに応じてその抵抗値R
VCOが変化する。容量素子113の容量値をC
VCOとすると、可変抵抗素子112の抵抗値R
VCOが変化することで、可変抵抗素子112と容量素子113との時定数R
VCO×C
VCOが変化する。電圧制御発振回路11の発振周波数F
SENSは、時定数R
VCO×C
VCOに応じて決まる。すなわち、電圧制御発振回路11は、制御電圧V
CTRLに応じて時定数R
VCO×C
VCOが変化し、変化後の時定数R
VCO×C
VCOに応じた周波数F
SENSを有する発振信号を生成する。なお、可変抵抗素子112は、
図3に例示したように、ドレインをインバータInv2の出力ノードに接続し、ソースをインバータInv3の入力ノードに接続し、ゲートに制御電圧V
CTRLが印加されるNMOSトランジスタで構成してもよい。
【0045】
図2に示す電圧制御発振回路11は、周波数F
SENSを有する発振信号F
SENSを分周回路12へ供給する。
【0046】
分周回路12は、電圧制御発振回路11及び出力ノード10cの間に電気的に接続される。分周回路12は、入力ノード12aが電圧制御発振回路11の出力ノード11bに電気的に接続され、出力ノード12bが出力ノード10cに電気的に接続される。分周回路12は、入力ノード12aで受けた発振信号FSENSを分周し、周波数FOUTを有する発振信号FOUTを生成してLPF27及び周波数インピーダンス変換回路13へそれぞれ供給する。周波数FOUTは、周波数FSENSの2分の1の周波数であってもよい。このとき、分周回路12は、発振信号のデューティー比を例えば50%近傍に調整することができる。
【0047】
例えば、
図3に示す分周回路12は、2分周するように構成される。分周回路12は、フリップフロップ121及びインバータ122を有する。フリップフロップ121は、データ入力ノードDがインバータ122の出力ノードに接続され、クロックノードCKが電圧制御発振回路11の出力ノード11bに接続され、データ出力ノードQがインバータ122の入力ノード、LPF27、及び周波数インピーダンス変換回路13にそれぞれ接続される。フリップフロップ121は、発振信号F
SENSの波形の立ち上がりエッジに同期して、その出力信号が論理反転された信号を保持するとともに、その出力信号をトグルさせる。これにより、分周回路12は、入力ノード12aで受けた発振信号F
SENSを2分周し、周波数F
OUT(=F
SENS/2)を有する発振信号F
OUTを生成する。また、分周回路12は、受けた発振信号F
SENSの周期で出力される信号をトグルさせることで、発振信号F
OUTのデューティー比を50%近傍に調整し得る。
【0048】
図2に示す分周回路12は、周波数F
OUTを有する発振信号F
OUTを、LPF27に出力するとともに、周波数インピーダンス変換回路13へフィードバックする。
【0049】
周波数インピーダンス変換回路13は、電圧制御発振回路11と電圧差検出回路16の入力ノード16bとの間に電気的に接続され、分周回路12と電圧差検出回路16の入力ノード16bとの間に電気的に接続される。周波数インピーダンス変換回路13は、分周回路12の出力ノード12bから電圧差検出回路16の入力ノード16bに至るフィードバックライン上に配される。周波数インピーダンス変換回路13は、入力ノード13aが分周回路12に接続され、出力ノード13bが電圧差検出回路16の入力ノード16bに接続される。周波数インピーダンス変換回路13は、分周回路12から発振信号FOUTを受け、発振信号FOUTの周波数FOUTをインピーダンスZ2に変換する。
【0050】
例えば、周波数インピーダンス変換回路13は、
図3に示すように、スイッチトキャパシタ回路で構成され得る。周波数インピーダンス変換回路13は、発振信号F
OUTに応じて容量素子を充放電させることで、その回路インピーダンスを発振信号F
OUTの周波数F
OUTに応じた値Z
2にすることができる。
【0051】
周波数インピーダンス変換回路13は、容量素子(第1の容量素子)131、容量素子(第2の容量素子)132、スイッチ(第1のスイッチ)133、スイッチ(第2のスイッチ)134、及びインバータ135を有する。容量素子131は、一端がグランド電位に接続され、他端がスイッチ133及びスイッチ134の間のノード136に接続される。容量素子132は、一端がグランド電位に接続され、他端が電圧差検出回路16の入力ノード16bに接続される。スイッチ133は、一端が電圧差検出回路16の入力ノード16bに接続され、他端がノード136に接続され、制御端が分周回路12を介して電圧制御発振回路11に接続される。スイッチ134は、一端がノード136に接続され、他端がグランド電位に接続され、制御端がインバータ135に接続される。インバータ135は、入力ノードが分周回路12を介して電圧制御発振回路11に接続され、出力ノードがスイッチ134に接続される。
【0052】
周波数インピーダンス変換回路13では、スイッチ133及びスイッチ134が、発振信号FOUTのレベルに応じて相補的にオン・オフする。これにより、容量素子131が充放電される。発振信号FOUTがHレベルである場合、スイッチ133がオフ状態に維持されるとともにスイッチ134がオン状態に維持され、容量素子131の電荷がグランド電位に排出され、容量素子131が放電される。発振信号FOUTがLレベルである場合、スイッチ133がオン状態に維持されるとともにスイッチ134がオフ状態に維持され、電流ISENS2に応じた電荷が容量素子131に蓄積され、容量素子131が充電される。このとき、容量素子132は、発振信号FOUTのレベルに関わらず、電流ISENS2に応じた電荷を蓄積した状態を維持している。
【0053】
すなわち、周波数インピーダンス変換回路13は、周波数FOUTを有する発振信号FOUTによって容量素子131に対して周期的に充電と放電とを繰り返すことで等価的に周波数FOUTに対応するインピーダンスZ2を発生できる。周波数インピーダンス変換回路13の出力電圧は、電圧差検出回路16の入力ノード16bの電圧VSENS2として現れる。電圧VSENS2は、容量素子131の充電時において、時定数的に変化するが、電流ISENS2に応じた電荷の蓄積を維持する容量素子132によって平均化されながら安定点に収束する。安定点に収束する時における電圧差検出回路16の入力ノード16bの電圧VSENS2は、周波数インピーダンス変換回路13で発生するインピーダンスZ2を用いて、次の数式5のように表せる。
VSENS2=ISENS2/Z2・・・数式5
【0054】
例えば、
図4に示すように、電流I
SENS2=I
1のとき、安定点に収束する時における電圧V
SENS2=V
1になる。電流I
SENS2=I
2のとき、安定点に収束する時における電圧V
SENS2=V
2になる。電流I
SENS2=I
10のとき、安定点に収束する時における電圧V
SENS2=V
10になる。
図4は、周波数インピーダンス変換回路13の動作を示す図であり、縦軸が電圧の大きさを示し、横軸が時間を示す。周波数インピーダンス変換回路13では、流れ込む電流I
SENS2が増えると、安定点に収束する時における電圧V
SENS2がそれにほぼ比例して上昇することが分かる。すなわち、容量素子132の容量値をC
AVE2、容量素子131の容量値をC
SC2とすると、安定点に収束する時における電圧差検出回路16の入力ノード16bの電圧V
SENS2は、次の数式6のようになる。
V
SENS2=I
SENS2/(F
OUT・C
SC2)・・・数式6
【0055】
数式5,6に示されるように、安定点に収束する状態において、発振信号の周波数FOUTが周波数インピーダンス変換回路13でインピーダンスZ2=1/(FOUT・CSC2)に変換される。等価的には、インピーダンスZ2=1/(FOUT・CSC2)の一端が電圧差検出回路16の入力ノード16bに接続され、その他端がグランド電位に接続された状態になる。このため、電圧差検出回路16の入力ノード16bでは、電流源15からの電流ISENS2が等価インピーダンスZ2=1/(FOUT・CSC2)に流れ込むことで、等価インピーダンスZ2=1/(FOUT・CSC2)により電流ISENS2が電圧VSENS2に変換される。電圧VSENS2は、電流ISENS2を含み、センサ2の検出値に対応している。また、電圧VSENS2は、周波数FOUTを含み、電圧制御発振回路11の発振周波数FSENSに対応している。
【0056】
図2に示す電圧差検出回路16の入力端子には、電圧源14、電流源15、周波数インピーダンス変換回路13、が接続され、フィルタ17は出力端子に電気的に接続される。電圧差検出回路16は、入力ノード16aが電圧源14に接続され、入力ノード16bが電流源15及び周波数インピーダンス変換回路13に接続され、出力ノード16cがフィルタ17に接続される。電圧差検出回路16は、入力ノード16aで参照電圧V
REF1を受け、入力ノード16bで電流源15及び周波数インピーダンス変換回路13により電圧V
SENS2が生成される。電圧差検出回路16は、参照電圧V
REF1及び電圧V
SENS2の差分に応じて、差分が小さくなるように制御するための制御電圧V
CTRL’を生成する。
【0057】
例えば、電圧差検出回路16は、
図3に示すように、差動増幅回路161を有する。差動増幅回路161は、反転入力端子(-)が電圧源14に接続され、非反転入力端子(+)が電流源15及び周波数インピーダンス変換回路13に接続され、出力端子がフィルタ17に接続される。差動増幅回路161は、参照電圧V
REF1及び電圧V
SENS2の差分を増幅して制御電圧V
CTRL’を生成する。
【0058】
図2に示すフィルタ17は、電圧差検出回路16及び電圧制御発振回路11の間に電気的に接続される。フィルタ17は、入力ノード17aが電圧差検出回路16に接続され、出力ノード17bが電圧制御発振回路11に接続される。フィルタ17は、電圧差検出回路16から制御電圧V
CTRL’を受け、制御電圧V
CTRL’にフィルタ処理を施す。フィルタ17は、フィルタ処理後の制御電圧V
CTRLを電圧制御発振回路11へ供給する。
【0059】
例えば、フィルタ17は、
図3に示すように、ローパスフィルタで構成され得る。フィルタ17は、抵抗素子171及び容量素子172を有する。抵抗素子171は、一端が差動増幅回路161の出力端子に接続され、他端が容量素子172の一端及び電圧制御発振回路11に接続される。容量素子172の他端は、グランド電位に接続される。この構成により、フィルタ17は、制御電圧V
CTRL’にローパスフィルタ処理を施して平滑化し、平滑化された制御電圧V
CTRLを電圧制御発振回路11へ供給できる。
【0060】
周波数同期回路10において、電圧差検出回路16→フィルタ17→電圧制御発振回路11→分周回路12→周波数インピーダンス変換回路13→電圧差検出回路16の周波数同期ループを用いて、電圧差検出回路16は、電圧VSENS2が参照電圧VREF1に等しくなるように、制御電圧VCTRLをフィードバック制御する。すなわち、フィードバック制御が正常に機能した場合、次の数式7が成り立つ。
VREF1=VSENS2・・・数式7
【0061】
数式7に数式6を代入すると、次の数式8が得られる。
VREF1=ISENS2/(FOUT・CSC2)・・・数式8
【0062】
数式8に数式4をさらに代入すると、次の数式9が得られる。
VREF1=VREF1・FREF・CSENS/(2・FOUT・CSC2)・・・数式9
【0063】
数式9を周波数FOUTについて解くと、次の数式10が得られる。
FOUT=FREF・(CSENS/CSC2)/2・・・数式10
【0064】
数式10に示されるように、発振信号FOUTの周波数FOUTは、センサ2の容量値CSENSとセンサインターフェース回路1内の容量素子131の容量値CSC2との比に応じて得られる。すなわち、発振信号の周波数の精度が、容量値CSENSと容量値CSC2との相対精度に依存する。例えば、製造プロセス、電源電圧、及び/又は温度などの変動要因の影響を受けて可変容量素子CSENSと容量素子131とがほぼ同じように変動すれば、相対比(CSENS/CSC2)としてはほぼ変動しないことになる。
【0065】
以上のように、本実施形態では、センサインターフェース回路1は、発振信号の周波数FOUTがセンサ2の特性とセンサインターフェース回路1内の素子(容量素子131)の特性との比に応じて得られるように構成される。これにより、センサ2とセンサインターフェース回路1内の素子とに変動要因の変化に応じた変動がほぼ同じになるものを用いれば、変動要因の変化に応じた発振信号の周波数の変動を抑制できる。すなわち、変動要因の影響を抑制できるので、センサ2の信号レベルの周波数への変換精度を容易に向上できる。
【0066】
なお、周波数同期回路10において、電圧制御発振回路11から出力される発振信号のデューティー比が50%に近い場合、分周回路12は、省略されてもよい。コントローラ3から受ける周期信号FREFのデューティー比が50%に近い場合、分周回路19は、省略されてもよい。また、電圧差検出回路16から出力される制御電圧がほぼ平滑であれば、フィルタ17は、省略されてもよい。
【0067】
(実施形態の第1の変形例)
システム100iにおけるセンサインターフェース回路1iに接続されるセンサは、
図5に示すように、容量性のセンサ2(
図2参照)に代えて、抵抗性のセンサ2iであってもよい。
図5は、実施形態の第1の変形例に係るセンサインターフェース回路1iの概略構成を示す回路図である。
【0068】
センサインターフェース回路1iは、センサ2i及びコントローラ3(
図1参照)の間に接続される。
【0069】
センサ2iは、例えば抵抗性のセンサであり、その信号レベルに応じて、等価的に、抵抗値が変化する可変抵抗素子RSENSを含む。可変抵抗素子RSENSは、一端がセンサインターフェース回路1iの端子1dに接続され、他端がセンサインターフェース回路1iの端子1eに接続される。
【0070】
センサインターフェース回路1iは、周波数同期回路10(
図2参照)に代えて、周波数同期回路10iを有する。周波数同期回路10iは、入力ノード10dが端子1dを介してセンサ2iの一端に電気的に接続され、入力ノード10eが端子1eを介してセンサ2iの他端に電気的に接続される。
【0071】
周波数同期回路10iは、センサ2iの信号レベル(例えば、可変抵抗素子RSENSの抵抗値)に応じて発振動作を行う。このとき、周波数同期回路10iは、電圧ドメインで周波数同期ループのフィードバック動作を行う。
【0072】
図6は、実施形態の第1の変形例に係る周波数同期回路10iの構成を示す回路図である。
図6では、簡略化のため、LPF27及びRFスイッチ26の図示が省略されている。周波数同期回路10iは、センサ2iの信号レベル(例えば、可変抵抗素子R
SENSの抵抗値)に応じて、電圧V
SENS11及び電圧V
SENS12を生成する。周波数同期回路10iは、周期信号F
REFを受ける。周波数同期回路10iは、参照周波数F
REFをインピーダンスZ
1に変換する。周波数同期回路10iは、電圧V
SENS12とインピーダンスZ
1とに応じた電流I
SENS1を生成し、電流I
SENS1に比例する電流I
SENS2をさらに生成する。それとともに、周波数同期回路10iは、発振動作を行って生成した発振信号の発振周波数F
OUTをインピーダンスZ
2に変換する。周波数同期回路10iは、変換されたインピーダンスZ
2を、センサ2iの信号レベルに応じた電流I
SENS2を用いてさらに電圧V
SENS2に変換する。変換された電圧V
SENS2は、センサ2iの信号レベルに応じた電圧である。周波数同期回路10iは、周波数同期ループのフィードバック動作を、センサ2iの信号レベルに応じた電圧V
SENS2とセンサ2iの信号レベルに応じた電圧V
SENS1との差分がゼロに近づくように行う。これにより、電圧ドメインで周波数同期機能を高精度に実現できる。
【0073】
周波数同期回路10iは、
図5に示すように、電圧源14及び周波数インピーダンス変換回路18(
図2参照)に代えて、電圧源14i及び周波数インピーダンス変換回路18iを有する。周波数同期回路10iは、センサ2iが電圧源14iに接続されるとともに電圧源14iを介して電流源15に接続され、センサ2iの信号レベルに応じて電流源15が流す電流I
SENS2が変化するとともに電圧源14iが発生する電圧V
SENS11が変化する。周波数同期回路10iは、電流電圧変化型の周波数同期回路と呼ぶことができる。
【0074】
電圧源14iは、端子1dと端子1eと電流源15及び電圧差検出回路16との間に電気的に接続され、センサ2iと電流源15と電圧差検出回路16との間に電気的に接続される。電圧源14iは、入力ノード14bがセンサ2iの一端に接続され、入力ノード14cがセンサ2iの他端に接続され、出力ノード14aが電流源15及び電圧差検出回路16に接続される。電圧源14iは、センサ2iの信号レベルに応じた電圧を生成する。
【0075】
例えば、電圧源14iは、
図6に示すようにそれぞれ抵抗分圧で2つの電圧V
SENS11,V
SENS12を生成する。電圧源14iは、電圧源14(
図3参照)に対して抵抗素子R
1を可変抵抗素子R
SENSに置き換えるとともに2つの素子の位置関係を反転させてブリッジ回路で構成した例である。センサ2iにおいて、略同じ特性を有する可変抵抗素子R
SENSが2本用意される。
【0076】
図6中左側のブリッジでは、可変抵抗素子R
SENSが電源電位Vdd側に配され、抵抗素子(第1の抵抗素子)R
2がグランド電位側に配される。可変抵抗素子R
SENSの一端が入力ノード14dを介して電源電位Vddに接続され、可変抵抗素子R
SENSの他端が入力ノード14e及び抵抗素子R
2を介してグランド電位に接続される。可変抵抗素子R
SENS及び抵抗素子(第1の抵抗素子)R
2の中間ノードは、電圧差検出回路16の入力ノード16aに電気的に接続される。中間ノードでは、次の数式11に示す電圧V
SENS11が生成され、電圧差検出回路16の入力ノード16aへ供給される。
V
SENS11={R
2/(R
SENS+R
2)}×V
dd・・・数式11
【0077】
図6中右側のブリッジでは、抵抗素子(第2の抵抗素子)R
2が電源電位Vdd側に配され、可変抵抗素子R
SENSがグランド電位側に配される。可変抵抗素子R
SENSの一端が入力ノード14f及び抵抗素子R
2を介して電源電位Vddに接続され、可変抵抗素子R
SENSの他端が入力ノード14gを介してグランド電位に接続される。抵抗素子(第2の抵抗素子)R
2及び可変抵抗素子R
SENSの中間ノードは、電流源15の差動増幅回路153の入力ノード153aに電気的に接続される。中間ノードでは、次の数式12に示す電圧V
SENS12が生成され、電流源15の差動増幅回路153へ供給される。
V
SENS12={R
SENS/(R
SENS+R
2)}×V
dd・・・数式12
【0078】
周波数インピーダンス変換回路18iは、センサ2(
図3参照)に接続されない。周波数インピーダンス変換回路18iは、
図6に示すように、スイッチトキャパシタ回路で構成され得る点は実施形態と同様である。周波数インピーダンス変換回路18iは、周波数インピーダンス変換回路18(
図3参照)に対して可変容量素子C
SENSを容量素子(第4の容量素子)181に置き換えることで得られる。
【0079】
すなわち、周波数インピーダンス変換回路18iは、参照周波数FREF’を有する周期信号FREF’によって容量素子181に対して周期的に充電と放電とを繰り返すことで等価的に参照周波数FREF’に対応するインピーダンスZ1を発生できる。このとき、周波数インピーダンス変換回路18iの出力ノード18cの電圧は、容量素子181の充電時において、時定数的に変化するが、電荷の蓄積を維持する容量素子182によって平均化されながら安定点に収束する。この安定点における出力ノード18cの電圧は、電流源15により参照電圧VSENS12に等しくなるように制御される。このため、安定点に収束する時における電流源15の入力ノード15dに発生される電流ISENS1は、周波数インピーダンス変換回路18iで発生するインピーダンスZ1を用いて、次の数式13のように表せる。
ISENS1=VSENS12/Z1・・・数式13
【0080】
すなわち、容量素子182の容量値をCAVE1、容量素子181の容量値をCSC1とすると、安定点に収束する時における電流源15の入力ノード15dに発生される電流ISENS1は、次の数式14のようになる。
ISENS1=VSENS12・FREF’・CSC1=VSENS12・FREF・CSC1/2・・・数式14
【0081】
数式13,14に示されるように、安定点に収束する状態において、参照周波数FREFが周波数インピーダンス変換回路18iでインピーダンスZ1=2/(FREF・CSC1)に変換される。
【0082】
電流源15におけるカレントミラー回路のミラー比を1とすると、電流源15から電圧差検出回路16の入力ノード16bに流れる電流ISENS2は、次の数式15のようになる。
ISENS2=ISENS1=VSENS12/Z1=VSENS12・FREF・CSC1/2・・・数式15
【0083】
一方、周波数インピーダンス変換回路13は、周波数FOUTを有する発振信号FOUTによって容量素子131に対して周期的に充電と放電とを繰り返すことで等価的に周波数FOUTに対応するインピーダンスZ2を発生できる。安定点に収束する時における電圧差検出回路16の入力ノード16bの電圧VSENS2は、上記の数式5,6のように表せる。
【0084】
周波数同期回路10iにおいて、電圧差検出回路16→フィルタ17→電圧制御発振回路11→分周回路12→周波数インピーダンス変換回路13→電圧差検出回路16の周波数同期ループを用いて、電圧差検出回路16は、電圧VSENS2が電圧VSENS11に等しくなるように、制御電圧VCTRLをフィードバック制御する。すなわち、フィードバック制御が正常に機能した場合、次の数式16が成り立つ。
VSENS11=VSENS2・・・数式16
【0085】
数式16に数式6を代入すると、次の数式17が得られる。
VSENS11=ISENS2/(FOUT・CSC2)・・・数式17
【0086】
数式17に数式11,12,15をさらに代入すると、次の数式18が得られる。
{R2/(RSENS+R2)}×Vdd={RSENS/(RSENS+R2)}×Vdd・FREF・CSC1/(2・FOUT・CSC2)・・・数式18
【0087】
数式18を周波数FOUTについて解くと、次の数式19が得られる。
FOUT=FREF・(CSC1/CSC2)・(RSENS/R2)/2・・・数式19
【0088】
数式19に示されるように、発振信号FOUTの周波数FOUTは、センサインターフェース回路1i内の容量素子181の容量値CSC1と容量素子131の容量値CSC2との比と、センサ2iの抵抗値RSENSとセンサインターフェース回路1i内の抵抗素子R2の抵抗値R2との比とに応じて得られる。すなわち、発振信号の周波数の精度が、容量値CSC1と容量値CSC2との相対精度と、抵抗値RSENSと抵抗値R2との相対精度とに依存する。例えば、製造プロセス、電源電圧、及び/又は温度などの変動要因の影響を受けて容量素子181と容量素子131とがほぼ同じように変動し可変抵抗素子RSENSと抵抗素子R2とがほぼ同じように変動すれば、相対比(CSC1/CSC2)・(RSENS/R2)としてはほぼ変動しないことになる。
【0089】
このように、センサインターフェース回路1iは、発振信号FOUTの周波数FOUTがセンサインターフェース回路1i内の素子(容量素子181,131)の特性の比と、センサ2iの特性とセンサインターフェース回路1i内の素子(抵抗素子R2)の特性との比とに応じて得られるように構成される。これにより、センサ2iとセンサインターフェース回路1i内の素子とに変動要因の変化に応じた変動がほぼ同じになるものを用いれば、変動要因の変化に応じた発振信号の周波数の変動を抑制できる。すなわち、変動要因の影響を抑制できるので、センサ2iの信号レベルの周波数への変換精度を容易に向上できる。
【0090】
(実施形態の第2の変形例)
システム100jにおけるセンサインターフェース回路1jに接続されるセンサは、
図7に示すように、容量性のセンサ2に加えて、抵抗性のセンサ2iを設けてもよい。
図7は、実施形態の第2の変形例に係るセンサインターフェース回路1jの概略構成を示す回路図である。
【0091】
センサインターフェース回路1jは、センサ2,2i及びコントローラ3(
図1参照)の間に接続される。
【0092】
センサ2は、例えば容量性のセンサであり、その信号レベルに応じて、等価的に、容量値が変化する可変容量素子CSENSを含む。センサ2iは、例えば抵抗性のセンサであり、その信号レベルに応じて、等価的に、抵抗値が変化する可変抵抗素子RSENSを含む。
【0093】
センサインターフェース回路1jは、周波数同期回路10(
図2参照)に代えて、周波数同期回路10jを有する。周波数同期回路10jは、入力ノード10dが端子1dを介してセンサ2iの一端に電気的に接続され、入力ノード10eが端子1eを介してセンサ2iの他端に電気的に接続される。
【0094】
周波数同期回路10jは、センサ2の信号レベル(例えば、可変容量素子CSENSの容量値)とセンサ2iの信号レベル(例えば、可変抵抗素子RSENSの抵抗値)とに応じて発振動作を行う。このとき、周波数同期回路10jは、電圧ドメインで周波数同期ループのフィードバック動作を行う。
【0095】
図8は、実施形態の第2の変形例に係る周波数同期回路10jの構成を示す回路図である。
図8では、簡略化のため、LPF27及びRFスイッチ26の図示が省略されている。周波数同期回路10jは、センサ2iの信号レベル(例えば、可変抵抗素子R
SENSの抵抗値)に応じて、電圧V
SENS11及び電圧V
SENS12を生成する。周波数同期回路10jは、周期信号F
REFを受ける。周波数同期回路10jは、センサ2の信号レベル(例えば、可変容量素子C
SENSの容量値)に応じて、参照周波数F
REFをインピーダンスZ
SENS1に変換する。周波数同期回路10jは、電圧V
SENS12とインピーダンスZ
SENS1とに応じた電流I
SENS1を生成し、電流I
SENS1に比例する電流I
SENS2をさらに生成する。それとともに、周波数同期回路10jは、発振動作を行って生成した発振信号の発振周波数F
OUTをインピーダンスZ
2に変換する。周波数同期回路10jは、変換されたインピーダンスZ
2を、センサ2iの信号レベルに応じた電流I
SENS2を用いてさらに電圧V
SENS2に変換する。変換された電圧V
SENS2は、センサ2iの信号レベルに応じた電圧である。周波数同期回路10jは、周波数同期ループのフィードバック動作を、センサ2iの信号レベルに応じた電圧V
SENS2とセンサ2iの信号レベルに応じた電圧V
SENS11との差分がゼロに近づくように行う。これにより、電圧ドメインで周波数同期機能を高精度に実現できる。
【0096】
周波数同期回路10jは、
図7に示すように、電圧源14(
図2参照)に代えて、電圧源14iを有する。周波数同期回路10jは、センサ2iが電圧源14iに接続されるとともに電圧源14iを介して電流源15に接続され、センサ2iの信号レベルに応じて電流源15が流す電流I
SENS2が変化するとともに電圧源14iが発生する電圧V
SENS11が変化する。周波数同期回路10jは、電流電圧変化型の周波数同期回路と呼ぶことができる。
【0097】
電圧源14iは、端子1dと端子1eと電流源15及び電圧差検出回路16との間に電気的に接続され、センサ2iと電流源15と電圧差検出回路16との間に電気的に接続される。電圧源14iは、入力ノード14bがセンサ2iの一端に接続され、入力ノード14cがセンサ2iの他端に接続され、出力ノード14aが電流源15及び電圧差検出回路16に接続される。電圧源14iは、センサ2iの信号レベルに応じた電圧を生成する。
【0098】
例えば、電圧源14iは、
図8に示すようにそれぞれ抵抗分圧で2つの電圧V
SENS11,V
SENS12を生成する。電圧源14iは、電圧源14(
図3参照)に対して抵抗素子R
1をセンサ2iの可変抵抗素子R
SENSに置き換えるとともに2つの素子の位置関係を反転させてブリッジ回路で構成した例である。センサ2iにおいて、略同じ特性を有する可変抵抗素子R
SENSが2本用意される。
【0099】
図8中左側のブリッジでは、可変抵抗素子R
SENSが電源電位Vdd側に配され、抵抗素子R
2がグランド電位側に配される。可変抵抗素子R
SENSの一端が入力ノード14dを介して電源電位Vddに接続され、可変抵抗素子R
SENSの他端が入力ノード14e及び抵抗素子R
2を介してグランド電位に接続され、その中間ノードで上記の数式11に示す電圧V
SENS11が生成される。
【0100】
図8中右側のブリッジでは、抵抗素子R
2が電源電位Vdd側に配され、可変抵抗素子R
SENSがグランド電位側に配される。可変抵抗素子R
SENSの一端が入力ノード14f及び抵抗素子R
2を介して電源電位Vddに接続され、可変抵抗素子R
SENSの他端が入力ノード14gを介してグランド電位に接続され、その中間ノードで上記の数式12に示す電圧V
SENS12が生成される。
【0101】
周波数インピーダンス変換回路18は、参照周波数FREF’を有する周期信号FREF’によって可変容量素子CSENSに対して周期的に充電と放電とを繰り返すことで等価的に参照周波数FREF’及び可変容量素子CSENSに対応するインピーダンスZSENS1を発生できる。このとき、周波数インピーダンス変換回路18の出力ノード18cの電圧は、可変容量素子CSENSの充電時において、時定数的に変化するが、電荷の蓄積を維持する容量素子182によって平均化されながら安定点に収束する。この安定点における出力ノード18cの電圧は、電流源15により参照電圧VSENS12に等しくなるように制御される。このため、安定点に収束する時における電流源15の入力ノード15dに発生される電流ISENS1は、周波数インピーダンス変換回路18で発生するインピーダンスZSENS1を用いて、次の数式20のように表せる。
ISENS1=VSENS12/ZSENS1・・・数式20
【0102】
すなわち、容量素子182の容量値をCAVE1、可変容量素子CSENSの容量値をCSENSとすると、安定点に収束する時における電流源15の入力ノード15dに発生される電流ISENS1は、次の数式21のようになる。
ISENS1=VSENS12・FREF’・CSENS=VSENS12・FREF・CSENS/2・・・数式21
【0103】
数式20,21に示されるように、安定点に収束する状態において、参照周波数FREFが周波数インピーダンス変換回路18でインピーダンスZSENS1=2/(FREF・CSENS)に変換される。
【0104】
電流源15におけるカレントミラー回路のミラー比を1とすると、電流源15から電圧差検出回路16の入力ノード16bに流れる電流ISENS2は、次の数式22のようになる。
ISENS2=ISENS1=VSENS12/ZSENS1=VSENS12・FREF・CSENS/2・・・数式22
【0105】
一方、周波数インピーダンス変換回路13は、周波数FOUTを有する発振信号FOUTによって容量素子131に対して周期的に充電と放電とを繰り返すことで等価的に周波数FOUTに対応するインピーダンスZ2を発生できる。安定点に収束する時における電圧差検出回路16の入力ノード16bの電圧VSENS2は、上記の数式5,6のように表せる。
【0106】
周波数同期回路10jにおいて、電圧差検出回路16→フィルタ17→電圧制御発振回路11→分周回路12→周波数インピーダンス変換回路13→電圧差検出回路16の周波数同期ループを用いて、電圧差検出回路16は、電圧VSENS2が電圧VSENS11に等しくなるように、制御電圧VCTRLをフィードバック制御する。すなわち、フィードバック制御が正常に機能した場合、上記の数式16が成り立つ。
【0107】
数式16に数式6を代入すると、上記の数式17が得られる。数式17に数式11,12,22をさらに代入すると、次の数式23が得られる。
{R2/(RSENS+R2)}×Vdd={RSENS/(RSENS+R2)}×Vdd・FREF・CSENS/(2・FOUT・CSC2)・・・数式23
【0108】
数式23を周波数FOUTについて解くと、次の数式24が得られる。
FOUT=FREF・(CSENS/CSC2)・(RSENS/R2)/2・・・数式24
【0109】
数式24に示されるように、発振信号FOUTの周波数FOUTは、センサ2の容量値CSENSとセンサインターフェース回路1j内の容量素子131の容量値CSC2との比と、センサ2iの抵抗値RSENSとセンサインターフェース回路1j内の抵抗素子R2の抵抗値R2との比とに応じて得られる。すなわち、発振信号の周波数の精度が、容量値CSENSと容量値CSC2との相対精度と、抵抗値RSENSと抵抗値R2との相対精度とに依存する。例えば、製造プロセス、電源電圧、及び/又は温度などの変動要因の変化に応じて可変容量素子CSENSと容量素子131とがほぼ同じように変動し可変抵抗素子RSENSと抵抗素子R2とがほぼ同じように変動すれば、相対比(CSENS/CSC2)・(RSENS/R2)としてはほぼ変動しないことになる。
【0110】
このように、センサインターフェース回路1jは、発振信号FOUTの周波数FOUTがセンサ2の特性とセンサインターフェース回路1j内の素子(容量素子131)の特性との比と、センサ2iの特性とセンサインターフェース回路1j内の素子(抵抗素子R2)の特性との比とに応じて得られるように構成される。これにより、センサ2,2iとセンサインターフェース回路1j内の素子とに変動要因の変化に応じた変動がほぼ同じになるものを用いれば、変動要因の変化に応じた発振信号の周波数の変動を抑制できる。すなわち、変動要因の影響を抑制できるので、センサ2,2iの信号レベルの周波数への変換精度を容易に向上できる。
【0111】
(実施形態の第3の変形例)
システム100kにおける周期信号F
OUTを発生する回路は、
図9に示すように、センサインターフェース回路1k内に設けられてもよい。
図9は、実施形態の第3の変形例に係るセンサインターフェース回路1kを含むシステム100kの構成を示すブロック図である。
【0112】
システム100kは、センサインターフェース回路1及びコントローラ3(
図1参照)に代えて、センサインターフェース回路1k及びコントローラ3kを有する。コントローラ3kは、周期信号生成回路5(
図1参照)が省略される。これに応じて、コントローラ3k及びセンサインターフェース回路1k間において、周期信号F
REFを伝送するためのラインを省略できる。また、コントローラ3k内の構成も簡略化できる。
【0113】
センサインターフェース回路1kは、
図10に示すように、発振回路21kをさらに有する。発振回路21kは、分周回路19に電気的に接続される。
図10は、実施形態の第3の変形例に係るセンサインターフェース回路1kの概略構成を示すブロック図である。発振回路21kは、出力ノード21aが分周回路19の入力ノード19aに接続される。発振回路21kは、電圧制御発振回路11と同様に構成されてもよい(
図13参照)。この場合、発振回路21kは、例えば固定レベルのバイアス電圧Vbが供給され、バイアス電圧Vbに応じて、参照周波数F
REFを有する周期信号F
REFを生成して分周回路19へ供給してもよい。
【0114】
このように、周期信号FOUTを発生する回路がセンサインターフェース回路1k内に設けられることで、コントローラ3k及びセンサインターフェース回路1k間のラインの本数を低減でき、コントローラ3k内の構成も簡略化できる。したがって、システム100kのコストを低減できる。
【0115】
(実施形態の第4の変形例)
システム100nにおけるデジタル値CNToutの生成は、
図11に示すように、センサインターフェース回路1n内で行われてもよい。
図11は、実施形態の第4の変形例に係るセンサインターフェース回路1nを含むシステム100nの構成を示すブロック図である。
【0116】
システム100nは、センサインターフェース回路1k及びコントローラ3k(
図9参照)に代えて、センサインターフェース回路1n及びコントローラ3nを有する。コントローラ3nは、カウンタ6(
図9参照)が省略される。これに応じて、コントローラ3n内の構成がさらに簡略化できる。デジタル値CNToutが複数ビットを有する場合、センサインターフェース回路1n及びコントローラ3n間は、複数ビット幅のバスで接続される。
【0117】
センサインターフェース回路1nでは、
図12に示すように、デジタル値CNToutを高精度に生成するために、参照周波数F
REFの周期信号を生成する発振回路21kと、周波数F
OUTの発振信号を生成する周波数同期回路10nとが、論理ゲート23nを介してカウンタ24nに接続される。これにより、形式的には、センサインターフェース回路1nは、デジタル値CNToutが、周波数F
OUTと参照周波数F
REFとの相対比に応じて変化するように構成される。実質的には、センサインターフェース回路1nは、デジタル値CNToutが、参照周波数F
REFに依存せずに変化するように構成される。
【0118】
例えば、
図12に示すセンサインターフェース回路1nは、センサインターフェース回路1k(
図10参照)に対して、分周回路22n、論理ゲート23n、カウンタ24nをさらに有する。
図12は、実施形態の第4の変形例に係るセンサインターフェース回路1nの概略構成を示す回路図である。なお、発振回路21kで生成される周期信号F
REFのデューティー比が50%に近い場合、分周回路19は、省略されてもよい。
図12では、分周回路19が省略された構成が例示されている。
【0119】
分周回路22nは、発振回路21k及び論理ゲート23nの間に電気的に接続される。分周回路22nは、入力ノード22aが発振回路21kの出力ノード21aに接続され、出力ノード22bが論理ゲート23nの入力ノード23bに接続される。分周回路22nは、その分周比が可変であってもよい。
【0120】
分周回路22nは、
図13に示すように、分周比Nを有する。Nは、例えば2以上の任意の整数である。
図13は、実施形態の第4の変形例に係るセンサインターフェース回路1nの詳細構成を示す回路図である。
図13では、簡略化のため、LPF27及びRFスイッチ26の図示が省略されている。
【0121】
分周比Nは、固定値であってもよいし、可変であってもよい。分周比Nが可変である場合、センサインターフェース回路1nは、外部(例えば、コントローラ3)からの制御信号に応じて、分周比を決定し、決定された分周比を示す分周制御信号を分周回路22nへ供給する。分周回路22nは、分周制御信号に応じて分周比Nの値を変更可能である。
【0122】
例えば、図示しないが、フリップフロップを多段で直列接続し、分周制御信号に応じて入力ノード22aと出力ノード22bとの間に経由させるフリップフロップ数を変更するように回路接続することで、分周比が可変な構成を実現可能である。
【0123】
分周回路22nは、発振回路21kで生成された周期信号FREFをN分周し、分周信号FREF’を生成する。分周回路22nは、分周信号FREF’を論理ゲートへ供給する。分周信号FREF’の周波数FREF’は、周期信号FREFの参照周波数FREFを用いて、次の数式25のように表せる。
FREF’=FREF/N・・・数式25
【0124】
なお、発振回路21kは、
図13に示すように弛張型の発振回路で構成され得る。発振回路21kは、インバータチェーン211、可変抵抗素子212、及び容量素子213を有する。インバータチェーン211は、リング状に接続された複数段のインバータInv11~Inv13とリング外で出力側に設けられたインバータInv14とを含む。各インバータInvは、例えばNMOSトランジスタとPMOSトランジスタとをインバータ接続することで構成される。リング状に接続されたインバータInvの段数は、奇数段であり、例えば3段である。初段のインバータInv11の出力ノードは、次段のインバータInv12の入力ノードに電気的に接続されている。最終段のインバータInv13の出力ノードは、インバータInv14の入力ノードと初段のインバータInv11の入力ノードとにそれぞれ電気的に接続されている。インバータInv14の出力ノードは、発振回路21kの出力ノード21aに接続されている。可変抵抗素子212は、インバータチェーン211における複数段のインバータInv11~Inv13に直列に電気的に接続される。可変抵抗素子212はインバータInv12の出力ノードとインバータInv13の入力ノードとの間に電気的に接続される。容量素子213は、インバータチェーン211におけるインバータInv及び抵抗素子212と並列に接続される。
図13では、容量素子213が2段目のインバータInv12及び可変抵抗素子212の直列接続に対して並列に接続された構成が例示されている。
【0125】
可変抵抗素子212は、
図13に例示したように、ドレインをインバータInv12の出力ノードに接続し、ソースをインバータInv13の入力ノードに接続し、ゲートに例えば固定レベルのバイアス電圧Vbが印加されるNMOSトランジスタで構成してもよい。
【0126】
図12に示す論理ゲート23nは、周波数同期回路10n及び発振回路21kとカウンタ24nとの間に電気的に接続される。論理ゲート23nは、入力ノード23aがRFスイッチ26及びLPF27を介して周波数同期回路10nに接続され、入力ノード23bが分周回路22nを介して発振回路21kに接続され、出力ノード23cがカウンタ24nの入力ノード24aに接続される。カウンタ24nの出力ノード24bは、センサインターフェース回路1nの端子1cに接続される。
【0127】
論理ゲート23nは、
図13に示すように、ANDゲート231であってもよい。ANDゲート231は、発振信号F
OUTを入力ノード23aで受け、分周信号F
REF’を入力ノード23aで受け、発振信号F
OUT及び分周信号F
REF’の論理積を演算し、演算結果をカウンタ24nへ供給する。カウンタ24nは、演算結果におけるパルス数をカウントし、カウント値をデジタル値CNToutとして端子1cからコントローラ3nへ出力する。
【0128】
センサインターフェース回路1nでは、参照周波数FREFで第1のアナログ信号(センサ2の信号)から変換された電圧VSENS2と第2のアナログ信号(センス2iの信号)から変換された電圧VSENS11とで周波数同期ループを回して生成した発振信号FOUTを、参照周波数FREF又は分周されたFREF’で間引いてカウントすることでデジタル値CNToutを得ることができる。すなわち、センサインターフェース回路1nの構成によれば、新規な方式のAD変換回路が実現可能である。
【0129】
すなわち、論理ゲート23nは、周波数同期回路10nからの発振信号FOUTを分周信号FREF’の周期で間引いて切り出しカウンタ24nへ供給する。このため、カウンタ24nのカウント値としてのデジタル値CNToutは、形式的には周波数FOUTと参照周波数FREF’との相対比に応じて変化するため、次の数式26のように表せる。
CNTOUT=FOUT/{FREF’/2}・・・数式26
【0130】
数式26に数式25を代入すると、次の数式27が得られる。
CNTOUT=FOUT/{FREF/(2・N)}・・・数式27
【0131】
数式27に数式24でFREFを2FREFに置き換えた式を代入すると、次の数式28が得られる。
CNTOUT={FREF・(CSENS/CSC2)・(RSENS/R2)}/{FREF/(2・N)}
=(CSENS/CSC2)・(RSENS/R2)・2・N・・・数式28
【0132】
数式28の右辺では、分子・分母にFREFがあるため、FREFが約分されて消える。数式28に示されるように、デジタル値CNToutは、参照周波数FREFに依存せずに、相対比(CSENS/CSC2)・(RSENS/R2)に応じて変化する。すなわち、発振信号の周波数の精度が、実質的に周期信号FREFの絶対精度に依存せず、容量値CSENSと容量値CSC2との相対精度と、抵抗値RSENSと抵抗値R2との相対精度とに依存する。例えば、製造プロセス、電源電圧、及び/又は温度などの変動要因の影響を受けて容量素子181と容量素子131とがほぼ同じように変動し可変抵抗素子RSENSと抵抗素子R2とがほぼ同じように変動すれば、相対比(CSC1/CSC2)・(RSENS/R2)としてはほぼ変動しないことになる。
【0133】
また、数式28に示されるように、分周回路22nの分周比Nを増加することで、センサ2,2iの信号レベルに対するデジタル値CNToutのゲインを増加できる。これにより、センサ2,2iの信号に対するセンサインターフェース回路1nの感度を容易に上げることができる。
【0134】
このように、センサインターフェース回路1nは、発振信号FOUTの周波数FOUTが参照周波数FREFに依存せずに得られるように構成される。これにより、参照周波数FREFのばらつきの影響を抑制できるので、センサ2,2iの信号レベルの周波数への変換精度を容易に向上できる。
【0135】
また、センサインターフェース回路1nは、発振信号FOUTの周波数FOUTがセンサ2の特性とセンサインターフェース回路1n内の素子(容量素子131)の特性との比と、センサ2iの特性とセンサインターフェース回路1n内の素子(抵抗素子R2)の特性との比とに応じて得られるように構成される。これにより、センサ2,2iとセンサインターフェース回路1n内の素子とに変動要因の変化に応じた変動がほぼ同じになるものを用いれば、変動要因の変化に応じた発振信号の周波数の変動を抑制できる。すなわち、変動要因の影響を抑制できるので、センサ2,2iの信号レベルの周波数への変換精度を容易に向上できる。
【0136】
例えば、
図14に示すように、変動要因の変化に応じてデジタル値CNToutについてシミュレーションした結果、ほぼ同じデジタル値CNToutが得られることが確認された。
図14は、0.13μmCMOSプロセスによる集積回路化を想定した実施形態の第4の変形例に係るセンサインターフェース回路1nのシミュレーション結果を示す図である。
【0137】
図14(a)に示すように、分周比N=N
1であり、(R
SENS/R
2)=1である場合、
図14(b)に示すように、製造プロセスと電源電圧との少なくとも一方を異ならせた条件1~条件9に対して、温度を3種類(50℃、25℃、125℃)変えても、ほぼ同じカウント値としてのデジタル値CNToutが得られることが示されている。条件1~条件9は、例えば次のような条件とすることができる。
条件1:「トランジスタの閾値電圧が低くなるプロセス条件」+「電源電圧Vdd=V
11」
条件2:「トランジスタの閾値電圧が低くなるプロセス条件」+「電源電圧Vdd=V
12(>V
11)」
条件3:「トランジスタの閾値電圧が低くなるプロセス条件」+「電源電圧Vdd=V
13(>V
12)」
条件4:「トランジスタの閾値電圧が標準値になるプロセス条件」+「電源電圧Vdd=V
11」
条件5:「トランジスタの閾値電圧が標準値になるプロセス条件」+「電源電圧Vdd=V
12」
条件6:「トランジスタの閾値電圧が標準値になるプロセス条件」+「電源電圧Vdd=V
13」
条件7:「トランジスタの閾値電圧が高くなるプロセス条件」+「電源電圧Vdd=V
11」
条件8:「トランジスタの閾値電圧が高くなるプロセス条件」+「電源電圧Vdd=V
12」
条件9:「トランジスタの閾値電圧が高くなるプロセス条件」+「電源電圧Vdd=V
13」
【0138】
図14(a)に示すように、分周比N=N
1であり、(R
SENS/R
2)=1.5である場合、
図14(c)に示すように、製造プロセスと電源電圧との少なくとも一方を異ならせた条件1~条件9に対して、温度を3種類(50℃、25℃、125℃)変えても、ほぼ同じカウント値としてのデジタル値CNToutが得られることが示されている。
【0139】
図14(d)に示すように、分周比N=N
2(>N
1)であり、(R
SENS/R
2)=1である場合、
図14(e)に示すように、製造プロセスと電源電圧との少なくとも一方を異ならせた条件1~条件9に対して、温度を3種類(50℃、25℃、125℃)変えても、ほぼ同じカウント値としてのデジタル値CNToutが得られることが示されている。
【0140】
図14(d)に示すように、分周比N=N
2であり、(R
SENS/R
2)=1.5である場合、
図14(f)に示すように、製造プロセスと電源電圧との少なくとも一方を異ならせた条件1~条件9に対して、温度を3種類(50℃、25℃、125℃)変えても、ほぼ同じカウント値としてのデジタル値CNToutが得られることが示されている。
【0141】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0142】
1,1i,1j,1k,1n センサインターフェース回路
2,2i センサ
3,3n コントローラ
10,10i,10j,10n 周波数同期回路
12 分周回路
13 周波数インピーダンス変換回路
14,14i 電圧源
15 電流源
16 電圧差検出回路
17 フィルタ
18,18i 周波数インピーダンス変換回路
19 分周回路
21k 発振回路
22n 分周回路
23n 論理ゲート
24n カウンタ
26 RFスイッチ
27 LPF
100,100i,100j,100k,100n システム