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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078017
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/0225 20210101AFI20230530BHJP
   H01S 5/0239 20210101ALI20230530BHJP
【FI】
H01S5/0225
H01S5/0239
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191589
(22)【出願日】2021-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】合田 悠斗
(72)【発明者】
【氏名】三浦 創一郎
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MA10
5F173MB03
5F173MD64
5F173ME02
5F173ME44
5F173ME88
5F173MF03
5F173MF04
5F173MF27
5F173MF29
5F173MF39
5F173MF40
(57)【要約】
【課題】品質の安定した発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置は、第1の光を出射する第1発光素子と、第2の光を出射する第2発光素子と、を含む複数の発光素子と、第1接合面を有し、前記複数の発光素子のそれぞれから出射された光の一部を受光する光検出器と、前記第1接合面と接合する第2接合面と、前記第2接合面から連続する第1内側面とを有し、前記複数の発光素子のそれぞれから出射された光が通過する光学部材と、前記第1内側面の少なくとも一部と、前記第1接合面と、前記第2接合面とに接し、前記光検出器と前記光学部材とを接合する接合部と、を備える。
【選択図】図7B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光を出射する第1発光素子と、第2の光を出射する第2発光素子と、を含む複数の発光素子と、
第1接合面を有し、前記複数の発光素子のそれぞれから出射された光の一部を受光する光検出器と、
前記第1接合面と接合する第2接合面と、前記第2接合面から連続する第1内側面とを有し、前記複数の発光素子のそれぞれから出射された光が通過する光学部材と、
前記第1内側面の少なくとも一部と、前記第1接合面と、前記第2接合面とに接し、前記光検出器と前記光学部材とを接合する接合部と、を備える発光装置。
【請求項2】
前記光学部材は、前記第1内側面の上辺と交わる第1下面を有し、前記第2接合面から前記第1下面に至る第1空間が形成され、
前記第2接合面から前記第1下面までの高さは、前記第2接合面に垂直な方向の前記光学部材の高さの20%以上70%以下である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記接合部は、前記第2接合面に垂直な方向の前記光学部材の高さの中点を通り前記第2接合面に平行な仮想平面と前記第2接合面との間に存在し、かつ、前記仮想平面の上方には存在しない、請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記光学部材の前記第2接合面は、第1領域と第2領域とを含み、前記第2接合面を含む平面上において互いに離隔した複数の領域を有し、
前記第2接合面に垂直な方向からみた平面視で、前記第1内側面は、前記第1領域と前記第2領域の間に位置し、
前記第1発光素子から出射された前記第1の光の一部は前記第1領域を通過し、前記第2発光素子から出射された前記第2の光の一部は前記第2領域を通過する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記光検出器の前記第1接合面において、第1受光領域と第2受光領域とを含み、互いに離隔して第1方向に並べて配置される複数の受光領域が設けられ、
前記光学部材は、前記平面視で、前記第1領域が前記第1受光領域と重なり、かつ、前記第2受光領域とは重ならないように、またさらに、前記第2領域が前記第2受光領域と重なり、かつ、前記第1受光領域とは重ならないように、前記光検出器と接合する、請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記光学部材は、前記複数の発光素子から出射された光が入射する光入射面と、前記光入射面の反対側の面であり前記光入射面から入射した光が出射する光出射面と、前記光入射面から入射した光のうちの一部の光を反射し、残りの光を透過させる部分反射面を有し、
前記部分反射面を透過した光は前記光出射面から出射され、前記部分反射面により反射された光は前記第2接合面から出射される請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記光学部材において、前記光入射面を含む平面から、前記光出射面を含む平面に亘って前記第1内側面が設けられている、請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記光検出器は、前記光学部材が接合される領域から第2方向に延びる拡張領域を有し、前記拡張領域において、前記第2接合面に垂直な方向からみた平面視で、前記光学部材から所定の距離だけ離れた位置に配線パターンが設けられる、請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記接合部は、前記光検出器の前記第1接合面において、前記光学部材が接合される領域から前記拡張領域にまで設けられ、かつ、前記拡張領域において、前記平面視で、前記光学部材から前記所定の距離以上離れた位置には設けられない、請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記第1内側面は、前記第1の光のうち主要部分の外縁を通る光であって前記第1内側面の最も近くを通る光が前記光入射面から入射して前記部分反射面に到達するまでの光路を通る仮想的な直線が通過せず、かつ、前記第2の光のうち主要部分の外縁を通る光であって前記第1内側面の最も近くを通る光が前記光入射面から入射して前記部分反射面に到達するまでの光路を通る仮想的な直線が通過しない位置に設けられる、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項11】
前記複数の発光素子は、さらに第3の光を出射する第3発光素子を含み、
前記光学部材は、前記第2接合面から連続する第2内側面と、前記第2内側面の上辺と交わる第2下面とをさらに有し、
前記接合部は、前記第2内側面にさらに接し、
前記光学部材の前記複数の領域は、さらに第3領域を含み、
前記第2接合面に垂直な方向からみた平面視で、前記第2内側面は、前記第2領域と前記第3領域の間に位置し、
前記第3発光素子から出射された前記第3の光の一部は前記第3領域を通過し、
前記光検出器の前記複数の受光領域は、さらに第3受光領域を含み、
前記第1発光素子、第2発光素子、及び、第3発光素子は、赤色、緑色、または青色から選択される色の光であって、互いに異なる色の光を出射する、請求項4または5に記載の発光装置。
【請求項12】
前記光学部材において、前記第1内側面を有し、前記第2接合面から前記光学部材の上面までを貫通する、第1貫通孔が形成されている、請求項1に記載の発光装置。
【請求項13】
前記光学部材において、前記第2接合面から前記光学部材の上面までを貫通する第2貫通孔がさらに形成され
前記光学部材の前記第2接合面は、第1領域と第2領域とを含む複数の領域を有し、
前記第2接合面に垂直な方向からみた平面視で、前記第1領域と前記第2領域の間に前記第1貫通孔及び第2貫通孔が形成され、
前記第1発光素子から出射された前記第1の光の一部は前記第1領域を通過し、前記第2発光素子から出射された前記第2の光の一部は前記第2領域を通過する、請求項12に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発光素子、発光素子から出射された光のうち一部の光を反射して残りの光を透過させる光学部材、光学部材を透過した光を受光する光検出器を備える光源装置が開示されている。また、特許文献1に開示される光源装置は、レーザ光の出力を高い精度でモニタすることを目的とし、これに係る一つの解決手段として、スリットを設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-93514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光装置の製造過程において接合不良などの不具合の発生は抑えられる方がよい。品質の安定した発光装置を提供するために改善を検討する余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の発光装置は、例示的で非限定的な実施形態において、第1の光を出射する第1発光素子と、第2の光を出射する第2発光素子と、を含む複数の発光素子と、第1接合面を有し、前記複数の発光素子のそれぞれから出射された光の一部を受光する光検出器と、前記第1接合面と接合する第2接合面と、前記第2接合面から連続する第1内側面とを有し、前記複数の発光素子のそれぞれから出射された光が通過する光学部材と、前記第1内側面の少なくとも一部と、前記第1接合面と、前記第2接合面とに接し、前記光検出器と前記光学部材とを接合する接合部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示の実施形態によれば、品質の安定した発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の第1実施形態に係る発光装置の斜視図である。
図2図2は、本開示の第1実施形態に係る発光装置から第2キャップ及び蓋部材を除いた状態の斜視図である。
図3図3は、図2のIII―III断面線における断面図である。
図4図4は、本開示の第1実施形態に係る発光装置から第1キャップ、第2キャップ、及び蓋部材を除いた状態の斜視図である。
図5図5は、図4に示される斜視図に対応する上面図である。
図6図6は、パッケージの内部の配線を例示する上面図である。
図7A図7Aは、第1実施形態に係る光学部材及び光検出器の上面図である。
図7B図7Bは、図7AのVIIB-VIIB断面線における光学部材及び光検出器の断面図である。
図8A図8Aは、第2実施形態に係る光学部材及び光検出器の上面図である。
図8B図8Bは、図8AのVIIIB-VIIIB断面線における光学部材及び光検出器の断面図である。
図9A図9Aは、第3実施形態に係る光学部材及び光検出器の上面図である。
図9B図9Bは、図9AのIXB-IXB断面線における光学部材及び光検出器の断面図である。
図10A図10Aは、第4実施形態に係る光学部材及び光検出器の上面図である。
図10B図10Bは、図10AのXB-XB断面線における光学部材及び光検出器の断面図である。
図11図11は、本開示の実施形態に係るヘッドマウントディスプレイの構成例を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書または特許請求の範囲において、三角形、四角形などの多角形は、数学的に厳密な意味の多角形に限定されず、多角形の隅に角丸め、面取り、角取り、丸取り等の加工が施された形状も含むものとする。また、多角形の隅(辺の端)に限らず、辺の中間部分に加工が施された形状も同様に多角形と呼ぶものとする。つまり、多角形をベースに残しつつ、部分的な加工が施された形状は、本明細書及び特許請求の範囲で記載される"多角形"に含まれる。
【0009】
多角形に限らず、台形や円形や凹凸など、特定の形状を表す言葉についても同様である。その形状を形成する各辺を扱う場合も同様である。つまり、ある辺において、隅や中間部分に加工が施されていたとしても、"辺"には加工された部分も含まれる。部分的な加工のない"多角形"や"辺"を、加工された形状と区別する場合は"厳密な"を付して、例えば、"厳密な四角形"などと記載するものとする。
【0010】
本明細書または特許請求の範囲において、ある名称によって特定される要素が複数あり、それぞれの要素を区別して表現する場合に、要素のそれぞれの頭に"第1"、"第2"などの序数詞を付記することがある。例えば、請求項では「発光素子が基板上に配されている」と記載されている場合、明細書中において「第1発光素子と第2発光素子とが基板上に配列されている」と記載されることがある。"第1"及び"第2"の序数詞は、2個の発光素子を区別するために使用されている。同一の序数詞が付された要素名が、明細書と特許請求の範囲との間で、同一の要素を指さない場合がある。例えば、明細書において"第1発光素子"、"第2発光素子"、"第3発光素子"の用語で特定される要素が記載されている場合、特許請求の範囲における"第1発光素子"及び"第2発光素子"が、明細書における"第1発光素子"及び"第3発光素子"に相当することがある。また、特許請求の範囲に記載された請求項1において、"第1発光素子"の用語が使用され、"第2発光素子"の用語が使用されていない場合、請求項1に係る発明は、1個の発光素子を備えていればよく、その発光素子は、明細書中の"第1発光素子"に限定されず、"第2発光素子"または"第3発光素子"であり得る。
【0011】
本明細書または特許請求の範囲において、特定の方向または位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」)を用いる場合がある。それらの用語は、参照した図面における相対的な方向または位置のわかり易さのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向または位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品、製造装置等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。
【0012】
図面に示される要素または部材の寸法、寸法比率、形状、配置間隔等は、わかり易さのために誇張されている場合がある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略することがある。
【0013】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。実施形態は、本発明の技術思想が具体化されたものではあるが、本発明を限定するものではない。実施形態の説明で示される数値、形状、材料、などは、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。以下の説明において、同一の名称、符号によって特定される要素は、同一または同種の要素であり、それらの要素について重複した説明を省略することがある。
【0014】
<第1実施形態>
図面を参照して、第1実施形態に係る発光装置の概略的な構造を説明する。図1から図7Bは、発光装置200の例示的な一実施形態を説明するための図面である。添付する図面において、参考のため、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。
【0015】
図1は、発光装置200の斜視図である。図2は、発光装置200から第2キャップ120及び蓋部材130を除いた状態の斜視図である。図3は、図2のIII-III断面線における断面図である。図3において、発光素子20から出射される光のうちの光軸上を進む光が点線で示されている。図4は、発光装置200から第1キャップ16及び第2キャップ120を除いた状態の斜視図である。図5は、図4に示される斜視図に対応する上面図である。図5において、3つの発光素子20のそれぞれから出射される光のうちの光軸上を進む光が一点鎖線で示されている。図6は、パッケージ10の内部の配線を例示する上面図である。図7Aは第1実施形態に係る光学部材及び光検出器の上面図、図7B図7AのVIIB-VIIB断面線における光学部材及び光検出器の断面図である。
【0016】
本実施形態に係る発光装置200は、基板11と、第1キャップ16(図3を参照)と、複数の発光素子20と、を備える。図示される例における発光装置200は、さらに、サブマウント30、光学部材40A、光検出器50、1又は複数の保護素子60A、温度測定素子60B、1または複数のレンズ部材80、ビームコンバイナ90、第2キャップ120及び蓋部材130を備える。ただし、これらの構成要素は必須でない。複数の発光素子20は、第1発光素子20a、第2発光素子20bを含んで構成される。また、複数の発光素子20は、さらに第3発光素子20cを含んで構成され得る。複数の発光素子20には、発光ピーク波長の等しい2つ以上の発光素子20が含まれていてもよい。
【0017】
図示される例における発光装置200において、基板11と第1キャップ16とで規定される空間に、複数の発光素子20、サブマウント30、光学部材40A、光検出器50、複数の保護素子60A、及び温度測定素子60Bが配置されている。また、この空間の外側に、レンズ部材80およびビームコンバイナ90が配置されている。
【0018】
本実施形態における発光装置200は、概ね箱型形状を有する。X方向のサイズは、例えば10mm以下であり、Z方向のサイズは、例えば15mm以下であり得る。Y方向の高さは、例えば4mm以下であり得る。
【0019】
先ず、各構成要素を説明する。
【0020】
(基板11)
基板11は、上面及び上面に対向する下面を有する。上面は、発光装置200が備える1以上の構成要素が配置される実装面11Mとして機能する。実装面11Mは平面である。実装面11Mは、第1実装領域18aおよび第2実装領域18bを含む。第1実装領域18aおよび第2実装領域18bは、同一平面に設けられる。なお、第1実装領域18aと第2実装領域18bは同一平面に設けられなくてもよい。例えば、基板11が高さの異なる平面を有し、これらの平面のそれぞれに第1実装領域18a及び第2実装領域18bが設けられてもよい。
【0021】
基板11は、セラミックを主材料として形成することができる。セラミックの例は、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素などを含む。図示される例における基板11は、平板形状である。なお、基板11は、平板形状でなくてもよい。
【0022】
(第1キャップ16)
第1キャップ16は、側壁部12と、上部15とを含む。第1キャップ16は凹形状である。第1キャップ16の外形は、上面視で矩形である。ただし、第1キャップ16の外形は矩形である必要はなく、例えば、四角形以外の多角形または円形などであってもよい。基板11、側壁部12、及び上部15で囲まれる内部空間は、封止された空間とすることができる。またさらに、この内部空間は、気密された状態とすることができる。
【0023】
側壁部12は、基板11の第1実装領域18aを囲い、実装面11Mよりも上方に延びる。第1実装領域18aに配置された1以上の構成要素は、側壁部12に囲まれる。側壁部12は、基板11の第2実装領域18bを囲わない。第2実装領域18bに配置された1以上の構成要素は、側壁部12によって囲まれない。上部15は、実装面11Mよりも上方において、側壁部12に接続する。第1実装領域18aに配置された1以上の構成要素の直上には、上部15が位置する。
【0024】
第1キャップ16は、例えば、ガラス、プラスチック、石英、サファイアなどの透光性材料から、成形又はエッチングなどの加工技術を利用して作製することが可能である。第1キャップ16は、異なる材料を主材料に用いて上部15と側壁部12を個別に形成し、これらを接合して形成してもよい。例えば、上部15の主材料は単結晶又は多結晶シリコン等の非透光性材料であり、側壁部12の主材料はガラス等の透光性材料であり得る。
【0025】
図示される例において、第1キャップ16及び基板11を合わせてパッケージ10と呼ぶ。基板11の実装面11Mの法線方向、図示されるY方向から見る上面視で、パッケージ10の外形は矩形である。パッケージ10の外形は、矩形である必要はなく、例えば、四角形以外の多角形や円形などであってもよい。ただし、本実施形態における「パッケージ」は、これに限定されない。本実施形態において、「パッケージ」は、1又は複数の部材が配置される「基部」、1又は複数の部材を囲む「側壁部」を有する構造体全般であり得る。図示される例における「基板11」、「側壁部12」は、それぞれパッケージ10の「基部」、「側壁部」の一例である。
【0026】
次に、図示される例におけるパッケージ10について説明する。図6に例示されるように、パッケージ10は、電気的な接続を図るための複数の配線領域14を有する。複数の配線領域14は、第1実装領域18aに設けられる。なお、図6において、複数の配線領域14の全てに参照符号を付す代わりに、各配線領域14に同一のハッチングが施されている。複数の配線領域14は、基板11の内部を通るビアホールを介して、基板11の下面(実装面11Mと反対側の面)に設けられた配線領域に電気的に接続され得る。配線領域14に電気的に接続される配線領域は、基板11の下面に限らず、パッケージ10の他の外表面(上面又は外側面)に設けられてもよい。
【0027】
図3に例示されるように、パッケージ10は、側壁部12に透光性の光入射面10A及び光取出面10Bを有する。側壁部12を構成する1又は複数の外側面のうちの少なくとも1つの面が光取出面10Bとなり得る。光取出面10Bは実装面11Mに対して垂直であり得る。なお、ここでの垂直は、±5度以内の誤差を含む。光取出面10Bは、実装面11Mに対して傾斜していてもよい。
【0028】
光取出面10Bの少なくとも一部の領域は透光性を有している。この透光性を有する領域を透光性領域13と呼ぶ(図3を参照)。ここで「透光性を有する」というときは、そこに入射する主要な光の透過率が80%以上であるという性質を満たすことを意味する。透光性領域13は、パッケージ10の複数の外側面に跨っていてもよい。また、パッケージ10において透光性を有する領域は、透光性領域13に限らなくてよい。図示されるパッケージ10の例では、パッケージ10は矩形の外形に対応する4つの外側面を有している。4つの外側面の全てが透光性を有している。4つの外側面のうちの1つの面が光取出面10Bである。
【0029】
基板11の実装面11Mは、周辺領域11Pをさらに含む。周辺領域11Pは、第1実装領域18aの周囲に設けられる。周辺領域11Pは、第1実装領域18aを囲み、かつ、第2実装領域18bは囲まない。複数の配線領域14は、周辺領域11Pに囲まれる。第1キャップ16は、基板11の周辺領域11Pに接合される。周辺領域11Pには接合のための金属膜が形成され得る。複数の配線領域14は、金属などの導電体から形成され、パターニングされた金属膜を含み得る。
【0030】
(第2キャップ120)
図示される発光装置200の例において、第2キャップ120は、凹形状である。第2キャップ120の外形は、上面視で矩形である。基板の実装面11Mの法線方向から見る上面視において、第2キャップ120は、第1キャップ16を包含する。第2キャップ120は基板11に固定される。第2キャップ120は、実装面11Mの外縁に沿った周辺領域に接合される。基板11に第2キャップ120を接合することで、第2キャップ120の内部空間が形成される。この内部空間は、封止された空間となり得る。基板11の実装面11Mに配置される1または複数の構成要素のすべてが、この内部空間に収容され得る。
【0031】
図示される第2キャップ120の例は、Z方向側から見る側面視において、開口が設けられている。第2キャップ120は、光を遮光する遮光性材料から形成することができる。例えば、第2キャップ120は、ガラスから第2キャップ120の形状を成形し、その表面に遮光膜を設けることで作製することができる。
【0032】
(蓋部材130)
蓋部材130は透光性を有する。図1に例示される蓋部材130は平板形状である。蓋部材130は、基板11と第2キャップ120とに接合される。蓋部材130は、第2キャップ120に設けられた開口を覆う。第2キャップ120の開口を蓋部材130で塞ぐことにより、第2キャップ120が形成する内部空間を、閉空間とすることができる。
【0033】
(発光素子20)
発光素子20の例は、半導体レーザ素子(またはレーザダイオード)である。発光素子20は、上面視で長方形の外形を有し得る。発光素子20が端面発光型の半導体レーザ素子である場合、この長方形の2つの短辺のうちの一辺と交わる側面が、出射端面である。発光素子20の上面及び下面は、出射端面よりも面積が大きい。発光素子20は、端面発光型の半導体レーザ素子に限定されず、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)などの面発光型の半導体レーザ素子、または発光ダイオード(LED)であってもよい。
【0034】
本実施形態における発光素子20は、1以上の発光点を出射端面に有する。発光素子20は、1つの発光点を出射端面に有するシングルエミッタでもよく、2つ以上の発光点を出射端面に有するマルチエミッタであってもよい。図示される発光素子20の例はシングルエミッタである。
【0035】
ここで、発光素子20が端面発光型の半導体レーザ素子である場合について説明を補足しておく。半導体レーザ素子の出射端面から出射される光(レーザ光)は、拡がりを有する発散光である。レーザ光は、出射端面に平行な面において楕円形状のファーフィールドパターン(以下、「FFP」という。)を形成する。FFPとは、出射端面から離れた位置における出射光の形状や光強度分布である。
【0036】
FFPの楕円形状の中心を通る光、言い換えると、FFPの光強度分布においてピーク強度を示す光を、光軸を進む光と呼ぶ。光軸を進む光の光路を、その光の光軸と呼ぶ。本実施形態では、FFPの光強度分布において、ピーク強度値に対して1/e以上の強度を有する光を、「主要部分」の光と呼ぶ。なお、FFPの光強度分布において強度がピーク強度値の半分以上の強度を有する光を「主要部分」の光と呼んでもよい。なお、図5において、各発光素子20a,20b,20cの出射端面から出射された主要部分の光が破線によって示されている。
【0037】
半導体レーザ素子である発光素子20から出射される光のFFPの楕円形状において、楕円の短径方向を遅軸方向、長径方向を速軸方向と呼ぶ。半導体レーザ素子を構成する、活性層を含んだ複数の層は、速軸方向に積層され得る。
【0038】
FFPの光強度分布に基づき、光強度分布の1/eに相当する角度を、その半導体レーザ素子の光の拡がり角とする。速軸方向における光の拡がり角を速軸方向の拡がり角、遅軸方向における光の拡がり角を遅軸方向の拡がり角という。半導体レーザ素子から出射される遅軸方向における拡がり角は、3°以上とすることができる。
【0039】
発光素子20として、例えば、赤色の光を出射する半導体レーザ素子、緑色の光を出射する半導体レーザ素子、または、青色の光を出射する半導体レーザ素子などを採用することができる。なお、発光素子20は、これら以外の光を出射してもよい。また、発光素子20は、可視光以外の光を出射してもよい。
【0040】
ここで、青色の光は、その発光ピーク波長が420nm~494nmの範囲内にある光をいうものとする。緑色の光は、その発光ピーク波長が495nm~570nmの範囲内にある光をいうものとする。赤色の光は、その発光ピーク波長が605nm~750nmの範囲内にある光をいうものとする。
【0041】
青色の光を発する半導体レーザ素子、または、緑色の光を発する半導体レーザ素子として、窒化物半導体を含む半導体レーザ素子が挙げられる。窒化物半導体としては、例えば、GaN、InGaN、及びAlGaNを用いることができる。赤色の光を発する半導体レーザ素子として、InAlGaP系やGaInP系、GaAs系やAlGaAs系の半導体を含むものが挙げられる。
【0042】
(サブマウント30)
図4に例示されるように、サブマウント30は、上面30M及び上面30Mの反対側に位置する下面を有し、直方体の形状を有し得る。上面30M及び下面は、それぞれ、接合面として機能する。上面30M及び下面の間の距離が他の対向する2面の間の距離よりも短い。サブマウント30の形状は直方体に限らなくてよい。サブマウント30は、例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、または炭化ケイ素から形成することができる。サブマウント30は、接合のための金属膜を有していてよい。上面30M及び下面のそれぞれには、接合のための金属膜が設けられている。上面30Mに、他の構成要素に電気的に接続される1または複数の配線領域が設けられ得る。
【0043】
(光学部材40A)
光学部材40Aは、光入射面と、光出射面とを有する。光出射面は光入射面の反対側の面である。また、光学部材40Aは、部分反射面を有する。部分反射面は、光入射面から入射した光のうちの一部の光を反射し、残りの光を透過させる。
【0044】
部分反射面は、ビームスプリッタの機能を果たす。部分反射面に入射した光は、それぞれ異なる方向に進む2つの光に分けられる。分けられた2つの光は、それぞれ、同じ波長の光を含む。光学部材40Aは、入射した光の同じ波長成分を、所定の割合で2つに分ける。例えば、光学部材40Aによって分けられた2つの光の一方は、主な光(以下、「メイン光」と呼ぶ)として利用され、他方はこのメイン光を制御するためのモニタ用の光(以下、「モニタ光」と呼ぶ)として利用され得る。
【0045】
光学部材40Aは、図3または図4に例示されるように、直方体であり得る。光学部材40Aは、上面43、下面44、及び、複数の外側面を有する。また、図7Bに示すように、光学部材40Aは、1または複数の凹部110を有する。光学部材40Aは、第1凹部110a及び第2凹部110bを含む、複数の凹部110を有することができる。
【0046】
凹部110は、1または複数の内側面111を有する。内側面111は、下面44から連続する。言い換えれば、下面44と内側面111は交わる。凹部110は、互いに対向する内側面111a、及び、内側面111bを含む、複数の内側面111を有することができる。
【0047】
凹部110は、さらに、内側面111と交わる下面113を有する。下面113は、内側面111から連続する。下面113は、内側面111の上辺と交わる。下面113は、対向する内側面111a及び内側面111bと接続する接続面ということもできる。凹部110において、内側面111a、内側面111b、及び、下面113により凹み形状が規定される。
【0048】
ここで、凹部110の有する内側面及び下面について、第1凹部110aの有する内側面及び下面を第1内側面及び第1下面といい、第2凹部110bの有する内側面及び下面を第2内側面及び第2下面といって区別するものとする。図7A及び図7Bでは、第1凹部110aが有する2つの内側面111及び下面113を、第1内側面111a、第1内側面111b、及び、第1下面113aで示し、第2凹部110bが有する2つの内側面111及び下面113を、第2内側面111c、第2内側面111d、及び、第2下面113bで示している。
【0049】
第1凹部110aにおいて、下面44から下面113aに至る空間(以下、第1空間という。)が形成される。第1空間は、第1内側面111a、第1内側面111b、第1下面113a、下面44を含む平面、光入射面を含む平面、及び、光出射面を含む平面によって画定される空間とすることができる。
【0050】
第2凹部110bにおいて、下面44から下面113bに至る空間(以下、第2空間という。)が形成される。第2空間は、第2内側面111c、第2内側面111d、第2下面113b、下面44を含む平面、光入射面を含む平面、及び、光出射面を含む平面によって画定される空間とすることができる。
【0051】
凹部110は、スリット形状に形成することができる。接合面42からZ軸方向に平行に、複数の内側面を有するスリット形状に形成されている。凹部110は、Z軸方向に延びるスリットによって形成することができる。光学部材40Aにおいて、光入射面を含む平面から、光出射面を含む平面に亘って内側面111が設けられている。凹部110は、凹部110を形成したい領域を、ブレードで切削する等の方法により形成することができる。
【0052】
光学部材40Aの下面44から下面113a,113bの最上点までの高さh2は、接合面42に垂直な方向の光学部材40Aの高さ(下面44から上面43までの高さ)h1の5%以上90%以下である。また、好ましくは、高さh2は、高さh1の20%以上70%以下である。20%以上とすることで、凹部110によって画定される空間を、余裕をもって確保することができる。70%以下とすることで、光学部材40Aが割れたり、光学部材40Aに亀裂が入ったりすることを抑えることができる。
【0053】
高さh1は0.2mm以上2.0mm以下とすることができる。また、好ましくは、高さh1は、0.3mm以上1.0mm以下である。0.3mm以上とすることで、光入射面及び光出射面を、余裕をもって確保することができる。1.0mm以下とすることで、光学部材40Aの大きさを抑えることができる。光学部材40AのX方向の幅w1は0.7mm以上5.0mm以下とすることができる。光学部材40Aの下面44から下面113までの高さh2は0.01mm以上0.5mm以下とすることができる。凹部110のX方向の最大幅w2は0.05mm以上0.5mm以下とすることができる。図示される光学部材40Aでは、例えば、高さh1を0.5mm、幅w1を5mm、高さh2を0.2mmで、幅w2を0.15mmとすることができる。
【0054】
光学部材40Aの下面44は、この下面44を含む平面上において互いに離隔した複数の領域41を有する。複数の領域41は、第1領域41aと第2領域41bを含む。またさらに、複数の領域41は、第3領域41cを含むことができる。凹部110の幅w2は、領域41のX方向の幅よりも小さい。
【0055】
光学部材40Aの下面44に垂直な方向から見た平面視で、内側面111aは、第1領域41aと第2領域41bの間に位置する。この平面視で、内側面111bは、第1領域41aと第2領域41bの間に位置する。この平面視で、内側面111cは、第2領域41bと第3領域41cの間に位置する。この平面視で、内側面111dは、第2領域41bと第3領域41cの間に位置する。光学部材40Aの下面44に垂直な方向は、Y軸方向と同じ方向である。
【0056】
光学部材40Aは、上面視で、長辺方向に延びるシンボル面を有し得る。シンボル面は、光学部材40Aの上面43及び外側面と交わる。シンボル面は、上面43に対して傾斜する斜面とすることができる。シンボル面は、上面視でみたときに、光学部材40Aの向きを確認するためのシンボルとして利用できる。これにより、光学部材40Aの向きを判別することが容易となり、実装の容易性を向上させることができる。
【0057】
入射した光をメイン光とモニタ光とに分岐する場合、モニタ光の強度は、メイン光の強度よりも小さい。部分反射面は、例えば、入射した光の80%以上99.5%以下を透過し、入射した光の0.5%以上20.0%以下を反射する。
【0058】
(光検出器50)
図7Bに例示されているように、光検出器50は、下面51と、受光面52と、複数の側面55とを有する。受光面52は、下面51の反対側に位置する。光検出器50の外形は直方体である。なお、直方体とは異なる外形であってもよい。
【0059】
受光面52の外形は、矩形である。なお、受光面52の外形は矩形でなくてもよい。受光面52のX方向の長さは、受光面のZ方向の長さよりも大きい。受光面52の外形の長辺方向はX方向と同じ方向であり、短辺方向はZ方向と同じ方向である。
【0060】
受光面52には、複数の受光領域53が設けられている。複数の受光領域53には、第1受光領域53a及び第2受光領域53bが含まれる。また、複数の受光領域53には、さらに、第3受光領域53cが含まれ得る。受光領域53は、発光素子20に対し、1対1に設けることができる。
【0061】
複数の受光領域53は、受光面52において、互いに離隔して配置される。複数の受光領域53は、第1方向に並べて配置される。複数の受光領域53は、所定の間隔をあけて並べて配される。第1方向は、X方向と同じ方向である。受光面52を有する光検出器50の例として、入射光の強度または光量に応じた電気信号を出力する光電変換素子(フォトダイオード)が挙げられる。
【0062】
光検出器50は、複数の配線パターン54を有する。複数の配線パターン54は、受光面52に設けられ得る。なお、複数の配線パターン54は、受光面52以外の面、例えば側面55に設けられていてよい。配線パターン54は受光領域53に電気的に接続される。複数の受光領域53はそれぞれ、異なる配線パターン54と電気的に接続する。
【0063】
(保護素子60A)
保護素子60Aは、特定の素子(例えば発光素子20)に過剰な電流が流れて破壊されてしまうことを防ぐための回路要素である。保護素子60Aの典型例は、ツェナーダイオードなどの定電圧ダイオードである。ツェナーダイオードとしては、Siダイオードを採用できる。
【0064】
(温度測定素子60B)
温度測定素子60Bは、周辺の温度を測定するための温度センサとして利用される素子である。温度測定素子60Bとしては、例えば、サーミスタを用いることができる。
【0065】
(配線70)
配線70は、両端を接合部とする線状の形状を有する導電体から構成される。言い換えると、配線70は、線状部分の両端に、他の構成要素に接合する接合部を有する。配線70は、例えば、金属のワイヤである。金属の例は、金、アルミニウム、銀、銅などを含む。
【0066】
(レンズ部材80)
レンズ部材80は、1または複数のレンズ面82を有する。レンズ面82の反対側の面81は平面とすることができる。なお、面81は、平面でなくてもよい。レンズ部材80は入射光をコリメートする。図4及び図5に示される例では、レンズ部材80は、1つのレンズ面82を有する。レンズ部材80は、透光性を有する材料、例えばガラスまたはプラスチック、樹脂から形成することができる。
【0067】
(ビームコンバイナ90)
ビームコンバイナ90は、入射する複数の光ビームを同軸に合わせることにより、合波した光を出射する。ビームコンバイナ90は複数の光学素子91を接合した構造を有し得る。光学素子91は、可視光を透過するガラスまたはプラスチックなどの透明材料から形成され得る。光学素子91は、例えばダイクロイックミラーによって実現される。ダイクロイックミラーは、所定の波長選択性を有する誘電体多層膜によって形成され得る。誘電体多層膜は、Ta/SiO、TiO/SiO、Nb/SiOなどから形成され得る。
【0068】
(発光装置200)
次に発光装置200を説明する。
【0069】
以下に説明する発光装置200の例において、複数の発光素子20のそれぞれは端面発光型の半導体レーザ素子である。発光装置200は、3つの発光素子20を備える。ただし、発光装置200が備える発光素子の個数は3個に限定されない。
【0070】
図示される発光装置200の例において、複数の発光素子20、サブマウント30、光学部材40A、光検出器50、複数の保護素子60A及び温度測定素子60Bが、基板11の実装面11Mに含まれる第1実装領域18aに配置される。第1キャップ16は、第1実装領域18aに配置されたこれらの構成要素を囲む。複数のレンズ部材80及びビームコンバイナ90が第2実装領域18bに配置される。第2キャップ120は、第1実装領域18a及び第2実装領域18bに配置されたこれらの構成要素を囲む。
【0071】
複数の発光素子20は、第1の光22aを出射する第1発光素子20aと、第2の光22bを出射する第2発光素子20bと、を含む。また、複数の発光素子20は、さらに、第3の光22cを出射する第3発光素子20cを含んでよい。複数の発光素子20には、それぞれ異なる色の光を出射する2以上の発光素子20が含まれる。
【0072】
複数の発光素子20は、互いに異なる色の光を出射する、第1発光素子20a、第2発光素子20b、及び、第3発光素子20cを含んで構成される。第1発光素子20a、第2発光素子20b、及び、第3発光素子20cは、赤色、緑色、または青色から選択される色の光であって、互いに異なる色の光を出射する。第1発光素子20aが赤色の光を出射し、第2発光素子20bが緑色の光を出射し、第3発光素子20cが青色の光を出射する。
【0073】
複数の発光素子20は、互いの出射端面をX方向に離隔して配置される。上面視で、第2発光素子20bは、第1発光素子20aと第3発光素子20cとの間に位置する。第2発光素子20b及び第3発光素子20cは、第1発光素子20aから、第2発光素子20b、第3発光素子20cの順に離れた位置に配置される。なお、上面視は、Y軸方向から見た平面視である。
【0074】
複数の発光素子20には、上面視で、一方の発光素子20に対して他方の発光素子20が傾斜する配置関係にある2つの発光素子20が含まれる。図5に示される例において、第1発光素子20aと第2発光素子20bはこの配置関係にある。また、第2発光素子20bと第3発光素子20cはこの配置関係にある。また、第1発光素子20aと第3発光素子20cはこの配置関係にある。なお、例えば複数の発光素子20が平行に配置されるように、複数の発光素子20はこのような配置関係になくてもよい。
【0075】
上面視において、複数の発光素子20のそれぞれから出射される光の光軸は、互いに平行ではない。なお、これらの光軸は互いに平行であってもよい。傾斜する配置関係にある2つの発光素子20は、出射端面における2つの発光素子20間の距離よりも、出射端面から反対側の側面に向かう方向に離れた位置における2つの発光素子20間の距離の方が短くなる向きに傾斜して配置される。なお、ここでの「離れた位置」は、2つの発光素子20のうち、出射端面から反対側の面までの長さが短い方の発光素子20における出射端面から反対側の面までの長さよりも短い距離で離れた位置を指す。
【0076】
傾斜する配置関係にある2つの発光素子20において、一方の発光素子20の光軸を進む光は、他方の発光素子20における光軸から離れる方向に進む。
【0077】
第2発光素子20bは、光軸(以下、第2光軸という。)がZ方向に平行になるように配置される。ここでの平行は±2°以内の誤差を含む。第1発光素子20aは、光軸(以下、第1光軸という。)が第2光軸に対して傾斜するように配置される。第3発光素子20cは、光軸(以下、第3光軸という。)が第2光軸に対して傾斜するように配置される。
【0078】
複数の発光素子20は、サブマウント30を介して第1実装領域18aに配置される。サブマウント30の下面が実装面11Mに接合される。複数の発光素子20は、それぞれ、例えばAuSnなどの金属接着剤を介して、サブマウント30の上面30Mに接合される。サブマウント30の下面は、例えばAuSn、Au粒子等の金属接着剤を介して実装面11Mに接合される。
【0079】
上面視で、複数の発光素子20の発光点は、X方向に平行に延びるサブマウント30の側面の近傍に配置される。発光素子20は、発光点の近傍の方が他の場所よりも熱が集中するため、放熱性の面では、出射端面がサブマウント30から過度に突き出ない方がよい。
【0080】
光検出器50は、第1実装領域18aに配置される。光検出器50の下面は実装面11Mに接合される。また、光検出器50の受光面52に、光学部材40Aは配置される。光検出器50と光学部材40Aとの間には、これらを接合するための接着剤が硬化した接合部45が形成される。
【0081】
光検出器50の受光面52は、光学部材40Aが接合される接合面といえ、光学部材40Aの下面44は、光検出器50が接合される接合面42といえる。以下、前者の接合面を第1接合面、後者の接合面を第2接合面と区別して説明を進める。
【0082】
第1接合面52と第2接合面42とが、接合部45を介して接合される。接合部45は、第1接合面52と、第2接合面42と、内側面111とに接する。接合部45が内側面111に接することは、接着剤が、凹部110によって画定される空間に入り込んだことを意味する。これにより、接着剤が光学部材40Aの外側面からはみ出る量を抑えることができ、品質の安定した発光装置を提供することに繋がる。接着剤のはみ出る量が多くなると予期せず他の構成要素に接着剤が付いてしまうことや、発光素子20から出射された光に接合部45が干渉してしまうといった事態が起こり得る。また、光学部材40Aにおいて接着剤との接触面積が増えるため、接合不良の発生を抑制することができる。凹部110は、接着剤の逃げ部としての役割を果たすといえる。
【0083】
接合部45は、第1凹部110aの第1内側面111a及び第1内側面111bに接する。接合部45は、第2凹部110bの第2内側面111c及び第2内側面111dに接する。
【0084】
接合部45は、内側面111の少なくとも一部と接する。接合部45は、必ずしも内側面111の全体と接するわけではない。接着剤の量や接着剤を塗布する位置との関係で、内側面111の全体に接することもあり得る。
【0085】
接合部45は、光学部材40Aの下面113とは接さないことが望ましく、少なくとも下面113の最上点と接さないことが望ましい。接合部45が下面113の最上点と接する場合、接着剤が凹部110に充填されていることから、接着剤を余計に使用した可能性がある。このような場合、接着剤のはみ出る量を十分に抑えられていない可能性がある。なお、接合部45は、下面113と接していてもよい。
【0086】
接着剤の過剰なはみ出しを抑えるための例示的な目安として、光学部材40Aの高さh2を高さh1の20%以上とすることが考えられる。また、高さh2が大きくなると、その分だけ上面43と下面113の間の厚みが薄くなることから、高さh2を過度に大きくする必要はない。例示的な目安として、高さh2を高さh1の70%以下とすることが考えられる。
【0087】
接合部45は、第2接合面42に垂直な方向の光学部材40Aの高さ(高さh1)の中点を通り、接合面42に平行な仮想平面と接合面42との間に存在し、かつ、仮想平面の上方には存在しない。なお、第2接合面42に垂直な方向は、Y方向と同じ方向である。
【0088】
発光装置200において、接合部45の高さh3が、高さh2の20%以上80%以下となるように、凹部110の形状と接合部45を形成する接着剤の使用量を定めることが好ましい。接着面積を増やし、接着剤のはみ出しを抑えることで、品質の安定した発光装置を製造することができる。
【0089】
上面視で、光学部材40AのZ方向の長さは、光検出器50のZ方向の長さの80%以上120%以下とすることができる。光学部材40AのZ方向の長さと、光検出器50のZ方向の長さは、同じであることが望ましい。部材公差を考慮すると、ここでの同じは、90%以上110%以下となることといえる。Z方向の長さを同じにすることで、Z方向の発光装置200の長さを抑えることができ、装置の小型化に寄与することができる。
【0090】
上面視で、光学部材40AのX方向の長さは、光検出器50のX方向の長さよりも小さい。光検出器50は、光学部材40Aが接合される領域から第2方向に延びる拡張領域56を有する。第2方向は、X方向と同じ方向である。拡張領域56は、上面視で、光学部材40Aの2つの外側面のそれぞれから延びている。これら2つの外側面のうち、一方の外側面からX方向(-X方向)に延びる拡張領域56を第1拡張領域56a、他方の外側面からX方向(+X方向)に延びる拡張領域56を第2拡張領域56bとして区別する。なお、ここで、「+X方向」及び「-X方向」と付したのは、どちらもX軸に平行な方向であるが、その進行方向が互いに逆であることを意図している。例えば、+X方向と-X方向のうち一方を第2方向とし、他方を第3方向(第2方向と反対の方向)とすることによって、+X方向と-X方向を区別して表すことができる。
【0091】
光検出器50の複数の配線パターン54は、拡張領域56に設けられる。複数の配線パターン54は、第1拡張領域56aに設けられる1以上の配線パターン54と、第2拡張領域56bに設けられる1以上の配線パターン54とを含む。
【0092】
配線パターン54は、上面視で、光学部材40Aから所定の距離だけ離れた位置に設けられる。上面視で、拡張領域56のうち、光学部材40Aから所定の距離以内にある領域には、配線パターン54は設けられない。この所定の距離は、領域41のX方向の長さよりも小さい。
【0093】
第1拡張領域56aに設けられる配線パターン54は、上面視で、光学部材40Aの一方の外側面から-X方向に所定の距離だけ離れた位置に設けられる。第2拡張領域56bに設けられる配線パターン54は、上面視で、光学部材40Aの他方の外側面から+X方向に所定の距離だけ離れた位置に設けられる。
【0094】
接合部45を形成する接着剤には、透光性の樹脂接着剤を用いることができる。なお、接着剤は、樹脂接着剤に限らず、硬化した状態で透光性を有する他の接着剤を用いることもできる。
【0095】
接合部45には、上面視で、光学部材40Aの下面44からはみ出る部分が含まれ得る。接合部45は、少なくとも、光検出器50の複数の受光領域53を覆うように形成されることが好ましい。受光領域53において部分的に接合部45と接しない領域が生じると、光学部材40Aから受光領域53の方向に進む光が予期せずに反射あるいは屈折され、受光領域53に届かないことが起こり得るためである。
【0096】
配線パターン54を、光学部材40Aから所定の距離だけ離した位置に設けることで、光学部材40Aの下面44からはみ出た接着剤が、配線パターン54にまで到達しないように発光装置200を製造することができる。接合部45が配線パターン54上に形成されると、配線パターン54に配線70を接合するときに、予期せず不具合が発生する可能性がある。
【0097】
接合部45は、光検出器50の第1接合面52において、光学部材40Aが接合される領域から拡張領域56にまで設けられ、かつ、拡張領域56において、第1接合面52に垂直な方向から見た平面視で、光学部材40Aから所定の距離以上離れた位置には設けられない。なお、第1接合面52に垂直な方向は、Y方向と同じ方向である。
【0098】
複数の発光素子20は、出射端面から光学部材40Aへと進む光を出射する。複数の発光素子20のそれぞれから出射された光は、光学部材40Aを通過する。これらの光は、光学部材40Aの光入射面に入射する。光入射面から入射したこれらの光は、光学部材40Aの光出射面から出射される。
【0099】
光学部材40Aの光出射面からは、発散光が出射され得る。発光素子20から出射された光の光入射面における照射範囲よりも、光出射面における照射範囲の方が大きい。凹部110に接着剤を入り込ませることで、接着剤が光出射面からはみ出ることを抑制することができる。接着剤のはみ出しが多くなると、光出射面における光の照射範囲に接合部45が部分的に重なり、接合部45によって光が予期せず屈折または反射されるおそれがある。凹部110を有する光学部材40Aにより、このような不具合の発生を抑える効果が期待できる。なお、このような効果は、光出射面から出射される光が発散光である場合に限らない。
【0100】
光学部材40Aの部分反射面は、複数の発光素子20から出射され、光入射面から入射した光のうちの一部の光を反射し残りの光を透過させる。光学部材40Aの部分反射面を透過した光は光出射面から出射され、部分反射面により反射された光は第2接合面42から出射される。
【0101】
第1発光素子20aから出射された第1の光22aの一部は第1領域41aを通過する。第2発光素子20bから出射された第2の光22bの一部は第2領域41bを通過する。第3発光素子20cから出射された第3の光22cの一部は第3領域41cを通過する。
【0102】
光検出器50は、複数の発光素子20のそれぞれから出射された光の一部を受光する。光検出器50は、受光面52に設けられた受光領域53において、発光素子20から出射された光の一部を受光する。
【0103】
第1受光領域53aにおいて、第1発光素子20aから出射された第1の光22aの一部が受光される。第2受光領域53bにおいて、第2発光素子20bから出射された第2の光22bの一部が受光される。第3受光領域53cにおいて、第3発光素子20cから出射された第3の光22cの一部が受光される。
【0104】
上面視で、受光領域53は、発光素子20の光軸を通過する位置に配置される。上面視で、第1発光素子20aの光軸が通過する位置に第1受光領域53aが配置され、第2発光素子20bの光軸が通過する位置に第2受光領域53bが配置され、第3発光素子20cの光軸が通過する位置に第3受光領域53cが配置される。
【0105】
上面視で、光学部材40Aは、第1領域41aが第1受光領域53aと重なり、かつ、第2受光領域53bとは重ならないように光検出器50と接合する。またさらに、第1領域41aが第3受光領域53cとは重ならないように光検出器50と接合する。
【0106】
上面視で、光学部材40Aは、第2領域41bが第2受光領域53bと重なり、かつ、第1受光領域53aとは重ならないように光検出器50と接合する。またさらに、第2領域41bが第3受光領域53cとは重ならないように光検出器50と接合する。
【0107】
上面視で、光学部材40Aは、第3領域41cが第3受光領域53cと重なり、かつ、第2受光領域53bとは重ならないように光検出器50と接合する。またさらに、第3領域41cが第1受光領域53aとは重ならないように光検出器50と接合する。
【0108】
第1発光素子20aと第2発光素子20bの出射端面における光軸間の距離よりも、光学部材40Aの光入射面における第1発光素子20aと第2発光素子20bの光軸間の距離の方が大きい。2つの発光素子20を傾斜させて配置したことで、光検出器50における2つの受光領域間の距離を拡げることができ、これによって、光学部材40Aにおいて凹部110を設ける領域を確保しやすくなる。凹部のX方向の幅w2が拡がることで、接着剤を凹部110に入り込ませやすくなり、発光装置の品質の安定に寄与することができる。
【0109】
上面視で、第2発光素子20bに対する第1発光素子20aの傾斜角は、第1発光素子20aから出射される光の出射端面に平行な方向の拡がり角の50%以上500%以下となり得る。上面視で、第2発光素子20bに対する第3発光素子20cの傾斜角は、第3発光素子20cから出射される光の出射端面に平行な方向の拡がり角の50%以上500%以下となり得る。図示される発光装置200では、出射端面に平行な方向の拡がり角は、遅軸方向の拡がり角である。なお、ここでの拡がり角の値は、傾斜角との対比のため、半角の値である。光の拡がり角に対して傾斜角を50%以上とすることで、複数の発光素子20を近付けて配置しつつ、凹部110の幅w2を確保しやすくなる。光の拡がり角に対して傾斜角を500%以下とすることで、凹部110の幅w2を確保しつつ、発光装置200のX方向の大きさを抑えることができる。
【0110】
発光装置200は、光学部材40AのX方向の長さがサブマウント30のX方向の長さよりも大きくなり、かつ、光検出器50のX方向の長さが光学部材40AのX方向の長さよりも大きくなり得る。これにより、後述する配線領域14との関係で、発光装置200の小型化に寄与することができる。
【0111】
第1内側面111aは、第1仮想線が通過しない位置に設けられる。第1仮想線は、第1発光素子20aから出射された第1の光22aのうち主要部分の外縁を通る光であって第1内側面111aの最も近くを通る光が光学部材40Aの光入射面から入射して部分反射面に到達するまでの光路を通る仮想的な直線である。
【0112】
第1内側面111aは、第2仮想線が通過しない位置に設けられる。第2仮想線は、第2発光素子20bから出射された第2の光22bのうち主要部分の外縁を通る光であって第1内側面111aの最も近くを通る光が光学部材40Aの光入射面から入射して部分反射面に到達するまでの光路を通る仮想的な直線である。また、第1内側面111bは、第1仮想線が通過せず、かつ、第2仮想線が通過しない位置に設けられる。
【0113】
第2内側面111cは、第3仮想線が通過しない位置に設けられる。第3仮想線は、第2発光素子20bから出射された第2の光22bのうち主要部分の外縁を通る光であって第2内側面111cの最も近くを通る光が光学部材40Aの光入射面から入射して部分反射面に到達するまでの光路を通る仮想的な直線である。
【0114】
第2内側面111cは、第4仮想線が通過しない位置に設けられる。第4仮想線は、第3発光素子20cから出射された第3の光22cのうち主要部分の外縁を通る光であって第2内側面111cの最も近くを通る光が光学部材40Aの光入射面から入射して部分反射面に到達するまでの光路を通る仮想的な直線である。また、第2内側面111dは、第3仮想線が通過せず、かつ、第4仮想線が通過しない位置に設けられる。
【0115】
サブマウント30のX方向における側方に位置する実装面11M上の領域に、複数の配線領域14が設けられ得る。複数の配線領域14には、複数の発光素子20の少なくとも1つに電気的に接続する配線領域14が含まれる。複数の配線領域14には、保護素子60Aが配置される配線領域14が含まれる。複数の配線領域14には、温度測定素子60Bが配置される配線領域14が含まれる。
【0116】
発光素子20は、2つの配線領域14と、それぞれ配線70を介して電気的に接続する。温度測定素子60Bは、2つの配線領域14のうちの一方の配線領域14上に配置され、他方の配線領域と配線70を介して電気的に接続する。
【0117】
第1キャップ16は実装面11Mに実装される。第1キャップ16は、第1実装領域18aの周辺に設けられた周辺領域11Pと接合される。複数の発光素子20は、基板11及び第1キャップ16によって気密封止される。発光素子20が配置される空間を気密封止することにより、集塵による品質劣化を抑制することができる。
【0118】
複数の発光素子20のそれぞれから出射された光は、光学部材40Aに入射し、その一部は、部分反射面で反射され、受光領域53に入射して、光検出器50において受光される。受光領域53に入射する光はモニタ光として利用される。光学部材40Aに入射した光の別の一部は、部分反射面を透過して光出射面から出射し、パッケージ10の側壁部12に向かう。光学部材40Aの光出射面からから出射した光は、側壁部12の光入射面10Aに入射し、透光性領域を透過して光取出面10Bから出射する。
【0119】
発光装置200において、レンズ部材80は、基板11の第2実装領域18bに配置される。ビームコンバイナ90は、基板11の第2実装領域18bに配置される。ここで、Z方向において、複数の発光素子20を基準にして、複数の発光素子20から出射される光が入射する側壁部12側をその部材の前方、光が入射する側壁部12の反対側に位置する側壁部12側をその部材の後方と呼ぶ。発光素子20、レンズ部材80及びビームコンバイナ90は、Z方向の後方から前方にこの順番で配置されている。レンズ部材80は、発光素子20よりも前方に配置され、発光素子20から出射される光を受ける。ビームコンバイナ90は、レンズ部材80よりも前方に配置され、レンズ部材80から出射される光を受ける。
【0120】
ビームコンバイナ90に入射した複数の光は同軸上に結合され、合波された光がビームコンバイナ90から出射される。ビームコンバイナ90から出射される合波された光は、蓋部材130の入射面を透過し、蓋部材130の出射面から発光装置200の外部に出射される。
【0121】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る発光装置300について説明する。図8A及び図8Bを参照して、第2実施形態の要部の概略的な構造を説明する。図8Aは第2実施形態に係る光学部材及び光検出器の上面図、図8B図8AのVIIIB-VIIIB断面線における光学部材及び光検出器の断面図である。なお、第2実施形態では、第1実施形態の光学部材40Aの変形例である光学部材40Bについて説明する。よって、光学部材40B以外は、第1実施形態の発光装置200で説明した構成と同じであるため、その説明を省略する。
【0122】
第1実施形態では、光学部材40Aにスリット形状の凹部110が形成されていたが、第2実施形態では、光学部材40Bに、凹部110として、円筒状の複数の貫通孔121a,121bが形成される。また、光学部材40Bに、凹部110として、円筒状の複数の貫通孔122a,122bが形成されている。即ち、本明細書では、凹部110という言葉を、下面44から上方へと窪む空間を画定する形状を広く含む言葉として使用し、貫通孔121aのように光学部材40Aの下面44から上面43に至るまで貫通する形状も、その意味に含む言葉として使用している。
【0123】
接合面42に垂直な方向(Y軸方向)から見た平面視で、第1領域41aと第2領域41bの間に、貫通孔121a,121bが形成されている。接合面42に垂直な方向(Y軸方向)から見た平面視で、第2領域41bと第3領域41cの間に、貫通孔122a,122bが形成されている。
【0124】
例えば、円筒状の貫通孔121a,121bの円形断面の直径w3は、0.15mmである。貫通孔122a,122bの円形断面の直径w3は、0.15mmである。なお、図8では、第1領域41aと第2領域41bの間と、第2領域41bと第3領域41cの間に、それぞれ2つずつの貫通孔121a,121b,122a,122bが形成されているが1ずつでもよく、3つずつ以上であってもよい。
【0125】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る発光装置400について説明する。図9A及び図9Bを参照して、第3実施形態の要部の概略的な構造を説明する。図9Aは第3実施形態に係る光学部材及び光検出器の上面図、図9B図9AのIXB-IXB断面線における光学部材及び光検出器の断面図である。なお、第3実施形態では、接着剤によって光学部材40Aと光検出器50の間に形成される接合部45Bが、第1実施形態の接合部45と異なる。それ以外は、第1実施形態の発光装置200で説明した構成と同じであるため、その説明を省略する。
【0126】
第1実施形態の発光装置200では、接着剤が光検出器50の受光領域53の表面まで到達し、接合部45が受光領域53を覆っていたが、第2実施形態の発光装置400では、接合部45Bは、受光領域53の直上には形成されない。接合部45Bは、上面視で、複数の受光領域53のいずれとも重ならないように形成される。このようにすることで、受光領域53まで覆うように形成するよりも接着剤の使用量を低減させることができる。また、接着剤の使用量が減ることで、接着剤のはみ出しの量も抑えることができる。
【0127】
接合部45Bは、例えば、光検出器50の第1接合面52上において、光学部材40Aの凹部110が配置される位置に接着剤を塗布し、それから第1接合面52と第2接合面42を接合することで、形成することができる。
【0128】
<第4実施形態>
第4実施形態に係る発光装置500について説明する。図10A及び図10Bを参照して、第4実施形態の要部の概略的な構造を説明する。図10Aは、第4実施形態に係る光学部材及び光検出器の上面図、図10B図10AのXB-XB断面線における光学部材及び光検出器の断面図である。なお、第4実施形態では、第1実施形態の光学部材40Aの変形例である光学部材40Cについて説明する。また、接着剤によって光学部材40Aと光検出器50の間に形成される接合部45Cについて説明する。それ以外は、第1実施形態の発光装置200で説明した構成と同じであるため、その説明を省略する。なお、第4実施形態の凹部110のX方向の最大幅w4は0.05mm以上0.5mm以下とすることができる。
【0129】
第1実施形態では、上面視で隣り合って並ぶ受光領域53の間に1つのスリット形状の凹部110が形成されていたが、第4実施形態では、上面視で隣り合って並ぶ受光領域53の間に2つのスリット形状の凹部110が形成される。また、この2つの凹部は、受光領域53が並ぶ方向と同じ方向に並ぶようにして設けられる。
【0130】
第1受光領域53aと第2受光領域53bとの間に2つの第1凹部110aが配置され、第2受光領域53bと第3受光領域53cとの間に2つの第2凹部110bが配置されるように、光学部材40Cと光検出器50は接合する。2つの第1凹部110a間のX方向の間隔は、第1受光領域53aのX方向の幅よりも小さい。2つの第2凹部110b間のX方向の間隔は、第3受光領域53cのX方向の幅よりも小さい。
【0131】
2つの第1凹部110aのうち、第1受光領域53aに近い方の第1凹部110aは、第1内側面111aと第1内側面111bを有し、第1内側面111aの方が第1内側面111bよりも第1受光領域53aに近い。また、第1受光領域53aに遠い方の第1凹部110aは、第1内側面111aと第1内側面111bを有し、第1内側面111aの方が第1内側面111bよりも第1受光領域53aに近い。
【0132】
2つの第2凹部110bのうち、第2受光領域53bに近い方の第2凹部110bは、第2内側面111cと第2内側面111dを有し、第2内側面111cの方が第2内側面111dよりも第2受光領域53bに近い。また、第2受光領域53bに遠い方の第2凹部110bは、第2内側面111cと第2内側面111dを有し、第2内側面111cの方が第2内側面111dよりも第2受光領域53bに近い。
【0133】
接合部45Cは、第3実施形態の接合部45Bと同様に、受光領域53の直上には形成されない。また、接合部45Cは、2つの第1凹部110aのうち、第1受光領域53aに近い方の第1凹部110aの第1内側面111bと、第1受光領域53aに遠い方の第1凹部110aの第1内側面111aと、に接する。接合部45Cは、2つの第1凹部110aの間に挟まれる下面44に接する。接合部45Cは、これらの第1内側面111b、第1内側面111a、及び、下面44に連続して接する。これにより、光学部材40Cを光検出器50に安定して接合させることができる。
【0134】
接合部45Cは、2つの第1凹部110aのうち、第1受光領域53aに近い方の第1凹部110aの第1内側面111aと、第1受光領域53aに遠い方の第1凹部110aの第1内側面111bと、には接しない。このような接合部45Cが形成されるように接着剤を設けることで、受光領域53にまで接着剤が延びないようにして、光学部材40Cを光検出器50に接合させることができる。なお、これらの第1内側面111a及び第1内側面111bに接していてもよい。
【0135】
接合部45Cが、第1凹部110aの2つの第1内側面111の両方に接する場合、接合部45Cが、2つの第1凹部110aのうち、第1受光領域53aに近い方の第1凹部110aの第1内側面111aと接する面積は、この第1凹部110aの第1内側面111bと接する面積よりも小さいことが好ましい。また、接合部45Cが、2つの第1凹部110aのうち、第1受光領域53aに遠い方の第1凹部110aの第1内側面111aと接する面積は、この第1凹部110aの第1内側面111bと接する面積よりも大きいことが好ましい。このように接合部45Cが形成されることで、接合部45Cが受光領域53を部分的に覆ってしまうことを回避しやすくなる。
【0136】
接合部45Cは、2つの第2凹部110bのうち、第2受光領域53bに近い方の第2凹部110bの第2内側面111dと、第2受光領域53bに遠い方の第2凹部110bの第2内側面111cと、に接する。接合部45Cは、2つの第2凹部110bの間に挟まれる下面44に接する。接合部45Cは、これらの第2内側面111d、第2内側面111c、及び、下面44に連続して接する。これにより、光学部材40Cを光検出器50に安定して接合させることができる。
【0137】
接合部45Cは、2つの第2凹部110bのうち、第2受光領域53bに近い方の第2凹部110bの第2内側面111cと、第2受光領域53bに遠い方の第2凹部110bの第2内側面111dと、には接しない。このような接合部45Cが形成されるように接着剤を設けることで、受光領域53にまで接着剤が延びないようにして、光学部材40Cを光検出器50に接合させることができる。なお、これらの第2内側面111c及び第2内側面111dに接していてもよい。
【0138】
接合部45Cが、第2凹部110bの2つの第2内側面111の両方に接する場合、接合部45Cが、2つの第2凹部110bのうち、第2受光領域53bに近い方の第2凹部110bの第2内側面111cと接する面積は、この第2凹部110bの第2内側面111dと接する面積よりも小さいことが好ましい。また、接合部45Cが、2つの第2凹部110bのうち、第2受光領域53bに遠い方の第2凹部110bの第2内側面111cと接する面積は、この第2凹部110bの第2内側面111dと接する面積よりも大きいことが好ましい。このように接合部45Cが形成されることで、接合部45Cが受光領域53を部分的に覆ってしまうことを回避しやすくなる。
【0139】
接合部45Cは、例えば、光検出器50の第1接合面52上において、光学部材40Aの2つの第1凹部110aの間に挟まれる下面44が配置される位置に接着剤を塗布し、それから第1接合面52と第2接合面42を接合することで、形成することができる。
【0140】
<ヘッドマウントディスプレイ>
図11は、本開示の実施形態に係る発光装置200(300、400、500)を備えるヘッドマウントディスプレイ600の構成例を模式的に示す側面図である。以下、発光装置200を例に説明するが、ヘッドマウントディスプレイ600は、発光装置200の代わりに、発光装置300、400、500を備えていてもよい。このヘッドマウントディスプレイ600は、テンプル650と、テンプル650に接続された導波路660とを備えている。導波路660は、例えば回折格子などの光出射領域を有している。導波路660に入射したレーザ光は、導波路660の光出射領域からユーザの目の網膜に向けて出射され得る。
【0141】
テンプル650の一端が、導波路660側、言い換えれば、ユーザの鼻側に位置しており、テンプル650の他端が、導波路660の反対側、言い換えれば、ユーザの耳側に位置している。図11では、このテンプル650の両端方向が、発光装置200から出射される光の光軸の方向に平行である。図示される例では、図1における発光装置200のX、Y、Z方向と、図11における発光装置200のX、Y、Z方向は一致する。ヘッドマウントディスプレイ600を装着したユーザに基づけば、その光軸の方向は、側面視において、ユーザの耳から目へと向かう方向(又はその逆方向)にほぼ平行である。
【0142】
図11に示されるヘッドマウントディスプレイ600の例において、発光装置200はテンプル650の内側で支持されている。図11では、発光装置200が側面に見えるように記載されているが、実際には発光装置200の外観は外部から視認されない状態にある。図1に例示される発光装置200のX方向のサイズは、例えば3mm以上15mm以下であり、Z方向(図11において、テンプル650が延びる方向)におけるサイズよりも小さい。
【0143】
発光装置200から出射される光の光軸の方向と、ヘッドマウントディスプレイ600のテンプルが延びる方向とが平行になるように、発光装置200がヘッドマウントディスプレイ600に実装されることが好ましい。その光軸に垂直な方向に小型化された発光装置200によって、X方向におけるテンプル650の幅を小さくできる。図示されるように、テンプル650の長さは、ユーザの目から耳までの距離を確保する長さを有しているため、発光装置200から出射される光の光軸の方向のサイズは、ある程度小さければ、それ以上小さくなったとしてもヘッドマウントディスプレイ600の小型化には寄与しない。
【0144】
この実施形態では、発光装置200から、第1の光22a、第2の光22b、及び第3の光22cの各コリメートビームが狭い領域から同軸上に出射され得る。第1の光22a、第2の光22b、及び第3の光22cは、それぞれ、赤色、緑色及び青色のいずれかの色のレーザビームである。各色のレーザビームは、例えばマイクロミラーなどのMEMS素子によってスキャンされ、導波路660内を進み、やがてユーザの網膜上に像を形成する。カラー画像の表示は、フィールドシーケンシャル方式で行われてもよい。その場合、第1の光22a、第2の光22b、及び第3の光22cは、順次、出射される。第1の光22a、第2の光22b、及び第3の光22cの強度をモニタするために、例えば、発光装置200が備える光検出器50が利用され得る。なお、図1のX方向及びY方向と、図11のY方向及びX方向が一致するように、発光装置200(300、400、500)をヘッドマウントディスプレイ600に配置してもよい。
【0145】
以上、本発明に係る実施形態を説明してきたが、本発明に係る発光装置は、実施形態の発光装置に厳密に限定されるものではない。つまり、本発明は、実施形態により開示された発光装置の外形や構造に限定されなければ実現できないものではない。例えば、保護素子を有しない発光装置であってもよい。また、全ての構成要素を必要十分に備えることを必須とせずに適用され得るものである。例えば、特許請求の範囲に、実施形態により開示された発光装置の構成要素の一部が記載されていなかった場合、その一部の構成要素については、代替、省略、形状の変形、材料の変更などの当業者による設計の自由度を認め、その上で特許請求の範囲に記載された発明が適用されることを特定するものである。
【産業上の利用可能性】
【0146】
実施形態に係る発光装置は、ヘッドマウントディスプレイ、プロジェクタ、照明、ディスプレイ等に使用することができる。
【符号の説明】
【0147】
10 パッケージ
12 側壁部
13 透光性領域
14 配線領域
15 上部
16 第1キャップ
18a 第1実装領域
18b 第2実装領域
20 発光素子
20a 第1発光素子
20b 第2発光素子
20c 第3発光素子
22a 第1の光
22b 第2の光
22c 第3の光
30 サブマウント
30M 上面
40A 光学部材
40B 光学部材
40C 光学部材
41 領域
41a 第1領域
41b 第2領域
41c 第3領域
42 接合面
43 上面
44 下面
45 接合部
50 光検出器
52 受光面
53 受光領域
53a 第1受光領域
53b 第2受光領域
53c 第3受光領域
54 配線パターン
56 拡張領域
56a 第1拡張領域
56b 第2拡張領域
60A 保護素子
60B 温度測定素子
70 配線
80 レンズ部材
90 ビームコンバイナ
111 内側面
111a 第1内側面
111b 第1内側面
111c 第2内側面
111d 第2内側面
113 下面
113a 第1下面
113b 第2下面
121a 貫通孔
121b 貫通孔
120 第2キャップ
130 蓋部材
200、300、400、500 発光装置
600 ヘッドマウントディスプレイ
650 テンプル
660 導波路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11