(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078037
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01S 5/02325 20210101AFI20230530BHJP
H01S 5/0225 20210101ALI20230530BHJP
【FI】
H01S5/02325
H01S5/0225
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191615
(22)【出願日】2021-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】福永 宗毅
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MA10
5F173MC01
5F173MD23
5F173MD27
5F173MD64
5F173ME02
5F173ME44
5F173ME47
5F173ME88
(57)【要約】
【課題】発光素子と光検出器を備える発光装置の小型化を実現する。
【解決手段】光検出器は、上面視で第1発光素子の出射端面に平行で第1発光素子の外縁の内側を通過する仮想線が第1発光素子の外縁と交わる2点のうち、一方の点である第1点を通り出射端面に垂直な仮想線と、他方の点である第2点を通り出射端面に垂直な仮想線と、が通過するように、基板の上面に配される。第1の配線領域の少なくとも一部が、上面視で出射端面に平行で光検出器の外縁の内側を通過する仮想線が光検出器の外縁と交わる2点のうち、一方の点である第3点を通り前記出射端面に垂直な仮想線と、他方の点である第4点を通り前記出射端面に垂直な仮想線と、の間の第1領域に設けられている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面と、前記上面に設けられる第1配線領域と、を有する基部と、
前記基部の上面に配され、光を出射する出射端面を有する第1発光素子と、
前記基部の上面に配され、前記出射端面から出射された光のうち少なくとも一部の光を受ける受光面と、第2配線領域と、を有する光検出器と、
1または複数の配線と、
を備え、
前記光検出器は、上面視で、前記出射端面に平行で前記第1発光素子の外縁の内側を通過する仮想線が前記第1発光素子の外縁と交わる2点のうち、一方の点である第1点を通り前記出射端面に垂直な仮想線と、他方の点である第2点を通り前記出射端面に垂直な仮想線と、が通過するように、前記基部の上面に配され、
前記第1配線領域の少なくとも一部が、上面視で、前記出射端面に平行で前記光検出器の外縁の内側を通過する仮想線が前記光検出器の外縁と交わる2点のうち、一方の点である第3点を通り前記出射端面に垂直な仮想線と、他方の点である第4点を通り前記出射端面に垂直な仮想線と、の間の第1領域に設けられている発光装置。
【請求項2】
前記第1領域は、上面視で、前記出射端面に垂直で前記第1発光素子の外縁の内側を通過する仮想線が前記第1発光素子の外縁と交わる2点のうち、一方の点を通り前記出射端面に平行な仮想線と、他方の点を通り前記出射端面に平行な仮想線と、の間の領域である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1配線領域には、互いに離隔する複数の配線領域が含まれ、
前記複数の配線領域のそれぞれの少なくとも一部が前記第1領域に設けられている請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記複数の配線領域には、前記出射端面に垂直な方向に離隔して配されている2つの配線領域が含まれる、請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1配線領域は、互いに離隔する複数の配線領域を有し、
当該複数の配線領域には前記出射端面に平行な方向に離隔して配されている2つの配線領域が含まれ、
前記2つの配線領域のうちの一方の配線領域の少なくとも一部が前記第1領域に設けられている、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項6】
前記2つの配線領域のうちの他方の配線領域の少なくとも一部が前記第1領域の外側に設けられている、請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記2つの配線領域のそれぞれの少なくとも一部が、前記第1点を通り上面視で前記出射端面に垂直な仮想線を境に、前記第2点が含まれない領域に設けられている、請求項4乃至6のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記複数の配線領域には、それぞれの少なくとも一部が、前記第2点を通り上面視で前記出射端面に垂直な仮想線を境に、前記第1点が含まれない領域に設けられている、さらに2つの配線領域が含まれる、請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記1または複数の配線には、前記2つの配線領域の一方に接合される第1配線と、他方に接合される第2配線が含まれ、
上面視で前記出射端面を通り前記出射端面に平行な仮想線を境に二分される領域のうち、一方の領域で前記第1配線は前記第1配線領域と接合し、他方の領域で前記第2配線は前記第1配線領域と接合する、請求項4乃至8のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記基部は、前記上面に設けられる第3配線領域をさらに有し、
前記1または複数の配線には、前記第3配線領域に接合される第3配線がさらに含まれ、
前記第1配線及び第2配線は、前記第1配線領域と前記第2配線領域とを電気的に接続し、
前記第3配線は、前記第1発光素子と前記第3配線領域とを電気的に接続し、
前記第3配線領域から前記光検出器までの距離は、第1配線領域から前記光検出器までの距離よりも大きい、請求項9に記載の発光装置。
【請求項11】
前記基部の上面に配され、光を出射する出射端面を有する第2発光素子をさらに備え、
前記光検出器は、前記第1発光素子から出射された光の一部を受光する第1受光領域と、前記第2発光素子から出射された光の一部を受光する第2受光領域と、を有し、
前記第1受光領域は、前記第1点を通り上面視で前記出射端面に垂直な仮想線と、前記第2点を通り上面視で前記出射端面に垂直な仮想線と、が通過するように設けられ、
前記第2受光領域は、上面視で、前記第2発光素子の出射端面に平行で前記第2発光素子の外縁の内側を通過する仮想線が前記第2発光素子の外縁と交わる2点のうち、一方の点を通り前記第2発光素子の出射端面に垂直な仮想線と、他方の点を通り前記第2発光素子の出射端面に垂直な仮想線と、が通過するように設けられ、
前記第2配線領域は、互いに離隔する複数の配線領域を有し、
前記第1配線領域に含まれる前記複数の配線領域には、前記第1点を通り上面視で前記出射端面に垂直な仮想線を境に、前記第2点が含まれる領域に設けられる配線領域と、前記第2点が含まれない領域に設けられる配線領域と、が含まれ、
前記第2配線領域が有する前記複数の配線領域には、前記第1点を通り上面視で前記出射端面に垂直な仮想線と、前記第3点を通り上面視で前記出射端面に垂直な仮想線と、の間に設けられる配線領域と、前記第2点を通り上面視で前記出射端面に垂直な仮想線と、前記第4点を通り上面視で前記出射端面に垂直な仮想線と、の間に設けられる配線領域と、が含まれる、請求項3乃8のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項12】
前記第1発光素子及び第2発光素子が配され、前記基部に配されるサブマウントをさらに備え、
上面視で前記第1発光素子の出射端面に平行な方向において、前記サブマウントの長さは、前記光検出器の長さよりも小さく、
上面視で前記第1発光素子の出射端面に垂直な方向において、前記サブマウントの長さは、前記光検出器の長さよりも大きい、請求項11に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体レーザ素子と、光検出素子と、中堅電極が形成された基板と、を有する光ピックアップ装置が開示されている。特許文献1の光ピックアップ装置では、戻り光を検出するための光検出素子が、半導体レーザ素子から出射されるレーザ光の光軸から側方に離れた位置に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光素子と光検出器を備える発光装置の小型化を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の発光装置は、例示的で非限定的な実施形態において、上面と、前記上面に設けられる第1配線領域と、を有する基部と、前記基部の上面に配され、光を出射する出射端面を有する第1発光素子と、前記基部の上面に配され、前記出射端面から出射された光のうち少なくとも一部の光を受ける受光面と、第2配線領域と、を有する光検出器と、1または複数の配線と、を備え、前記光検出器は、上面視で、前記出射端面に平行で前記第1発光素子の外縁の内側を通過する仮想線が前記第1発光素子の外縁と交わる2点のうち、一方の点である第1点を通り前記出射端面に垂直な仮想線と、他方の点である第2点を通り前記出射端面に垂直な仮想線と、が通過するように、前記基部の上面に配され、前記第1配線領域の少なくとも一部が、上面視で、前記出射端面に平行で前記光検出器の外縁の内側を通過する仮想線が前記光検出器の外縁と交わる2点のうち、一方の点である第3点を通り前記出射端面に垂直な仮想線と、他方の点である第4点を通り前記出射端面に垂直な仮想線と、の間の第1領域に設けられている発光装置である。
【発明の効果】
【0006】
本開示による発光装置によれば、発光装置の小型化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る発光装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る発光装置からパッケージのキャップを除いた斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る発光装置からパッケージのキャップを除いた上面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る発光装置からパッケージのキャップを除いた正面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る発光装置における所定の点、仮想線、領域などの説明を補助するための図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る発光装置からパッケージのキャップを除いた斜視図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る発光装置からパッケージのキャップを除いた上面図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る発光装置における所定の点、仮想線、領域などの説明を補助するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書または特許請求の範囲において、三角形、四角形などの多角形は、数学的に厳密な意味の多角形に限定されず、多角形の隅に角丸め、面取り、角取り、丸取り等の加工が施された形状も含むものとする。また、多角形の隅(辺の端)に限らず、辺の中間部分に加工が施された形状も同様に多角形と呼ぶものとする。つまり、多角形をベースに残しつつ、部分的な加工が施された形状は、本明細書および特許請求の範囲で記載される"多角形"に含まれる。
【0009】
多角形に限らず、台形や円形や凹凸など、特定の形状を表す言葉についても同様である。その形状を形成する各辺を扱う場合も同様である。つまり、ある辺において、隅や中間部分に加工が施されていたとしても、"辺"には加工された部分も含まれる。部分的な加工のない"多角形"や"辺"を、加工された形状と区別する場合は"厳密な"を付して、例えば、"厳密な四角形"などと記載するものとする。
【0010】
本明細書または特許請求の範囲において、ある名称によって特定される要素が複数あり、それぞれの要素を区別して表現する場合に、要素のそれぞれの頭に"第1"、"第2"などの序数詞を付記することがある。例えば、請求項では「2個の発光素子が基板上に配されている」と記載されている場合、明細書中において「第1発光素子と第2発光素子とが基板上に配列されている」と記載されることがある。第1"および"第2"の序数詞は、単に2個の発光素子を区別するために使用されている。これらの序数詞の順序に特別の意味はない。同一の序数詞が付された要素名が、明細書と特許請求の範囲との間で、同一の要素を指さない場合がある。例えば、明細書において"第1発光素子"、"第2発光素子"、"第3発光素子"の用語で特定される要素が記載されている場合、特許請求の範囲における"第1発光素子"および"第2発光素子"が、明細書における"第1発光素子"および"第3発光素子"に相当することがある。また、特許請求の範囲に記載された請求項1において、"第1発光素子"の用語が使用され、"第2発光素子"の用語が使用されていない場合、請求項1に係る発明は、1個の発光素子を備えていればよく、その発光素子は、明細書中の"第1発光素子"に限定されず、"第2発光素子"または"第3発光素子"に相当し得る。
【0011】
本明細書または特許請求の範囲において、特定の方向または位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、およびそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。それらの用語は、参照した図面における相対的な方向または位置をわかり易さのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向または位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品、製造装置等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。
【0012】
図面に示される要素または部材の寸法、寸法比率、形状、配置間隔等は、わかり易さのために誇張されている場合がある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略することがある。
【0013】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。実施形態は、本発明の技術思想が具体化されたものではあるが、本発明を限定するものではない。実施形態の説明で示される数値、形状、材料、ステップ、そのステップの順序などは、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。以下の説明において、同一の名称、符号によって特定される要素は、同一または同種の要素であり、それらの要素について重複した説明を省略することがある。
【0014】
<第1実施形態>
図面を参照して、第1実施形態に係る発光装置100を説明する。
図1から
図5は、発光装置100の例示的な一形態を説明するための図面である。
図1は、本実施形態に係る発光装置100の斜視図である。
図2は、発光装置100からパッケージ10のキャップ16を除いた状態の斜視図である。
図3は、
図2と同様の状態の上面図である。
図4は、
図2と同様の状態の正面図である。
図5は、本実施形態に係る発光装置100における所定の点、仮想線、及び、領域などの説明を補助するための図である。
【0015】
発光装置100は、複数の構成要素を備えている。これら複数の構成要素には、パッケージ10、1または複数の発光素子20、サブマウント30、光学部材40、光検出器50、保護素子60A、温度測定素子60B、および、1または複数の配線70を備える。
【0016】
まず、各構成要素について説明する。
【0017】
(パッケージ10)
パッケージ10は、実装面11Mが含まれる基部11と、実装面11Mを囲う側壁部12と、を有する。基部11の実装面11Mは、他の構成要素が配される領域である。また、パッケージ10は、基板15と、基板15に固定されるキャップ16と、を有する。基板15が基部11を有し、キャップ16が側壁部12を有する。
【0018】
上面視で、基部11及びキャップ16の外形は、いずれも矩形である。これらの外形は、いずれも矩形である必要はなく、四角形以外の多角形、または、一部もしくは全部に曲線、屈曲、または凹凸が含まれる形状であってもよい。
【0019】
基部11は、1以上の上面を有する。基部11が有する1以上の上面には、実装面11Mが含まれる。基部11が有する1以上の上面には、実装面11Mを囲う周辺領域11Pが含まれる。図示される発光装置100の例において、実装面11Mと周辺領域11Pとは同一平面上に位置している。なお、同一平面でなくてもよく、例えば、実装面11Mと周辺領域11Pとが高低差を有する異なる上面に設けられてもよい。
【0020】
周辺領域11Pは、キャップ16が接合される領域である。周辺領域11Pは、上面視で、基部11の外形と実装面11Mの外形との間に設けられる。図示される発光装置100の例では、上面視で実装面11Mの外形が矩形であり、周辺領域11Pは、この矩形の四辺に亘って設けられている。周辺領域11Pの上面には、キャップ16の側面部の下面が接合される。周辺領域11Pには、キャップ16との接合のための金属膜が配され得る。
【0021】
パッケージ10は、透光性を有する領域である透光性領域13を有する。また、パッケージ10は、透光性領域13が含まれる光取出面10Aを有する。この光取出面10Aは、パッケージ10の側壁部12における1または複数の外側面のうちの1面に含まれる。なお、透光性を有するとは、そこに入射する主要な光の透過率が80%以上である性質を意味する。例えば、赤外光を主要な光とする場合、赤外光に対する透過率が80%以上であれば透光性を有するといえる。
【0022】
キャップ16は、その全体が透光性材料で形成されていてもよいし、側面部のみが透光性材料で形成されてもよい。光取出面10Aを含む一部分が第1透光性材料から形成され、その他の部分が第2透光性材料または非透光性材料から形成されてもよい。
【0023】
キャップ16は、上面部と側面部とが一体となって形成され得る。例えば、ガラス、プラスチック、石英などの透光性材料から、成形またはエッチングなどの加工技術を利用して、例えば箱型形状などの所望の形状を有するキャップ16を作製することが可能である。キャップ16は、異なる材料を主材料として別個に形成された上面部(蓋部分)と側面部(枠部分)とを接合して形成してもよい。例えば、上面部は単結晶または多結晶シリコンを主材料とし、側面部はガラスを主材料とすることができる。キャップ16は、例えば、高さが2.5mm以下、上面視で、矩形形状の外形における1辺の長さが8mm以下の寸法を有し得る。また例えば、高さが2mm以下、上面視で、矩形形状の外形における1辺の長さが4mm以下の寸法を有し得る。
【0024】
図示される発光装置100の例において、光取出面10Aは、実装面11Mが拡がる方向に対して垂直である。なお、ここでの垂直は、±5度以内の差を含む。また、光取出面10Aは、基部11の実装面11Mが拡がる方向に対して垂直である必要はなく、傾斜していてもよい。
【0025】
基部11の上面には、複数の配線領域14が設けられる。複数の配線領域14は、基部11の実装面11M上に設けられる。
図3では、全ての配線領域14に符号を付す代わりに、全ての配線領域14に同様のハッチングを施している。複数の配線領域14は、基部11の内部を通り、基部11の下面に設けられた配線領域と電気的に接続され得る。配線領域14に電気的に接続される配線領域は、基部11の下面に限らず、基部11の他の外表面(上面または外側面)に設けることができる。複数の配線領域14は、金属などの導電体から形成され、パターニングされた膜、層、またはビアであり得る。
【0026】
基板15は、セラミックを主材料として形成することができる。基板15に用いられるセラミックの例は、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素などを含む。
【0027】
本実施形態において、基板15は、例えば、複数の金属ビアを内部に有するセラミック基板から形成され得る。基板15は、発熱する構成要素と熱的に接触する部分にセラミックよりも放熱性に優れた材料(熱伝導率の高い材料)を含んでいることが好ましい。そのような材料の例は、銅、アルミニウム、鉄、銅モリブデン、銅タングステン、銅-ダイヤモンド複合材料を含み得る。
【0028】
(発光素子20)
発光素子20は、光を出射する出射端面21を有する。発光素子20の例は、半導体レーザ素子である。発光素子20は、上面視で長方形の外形を有し得る。発光素子20が端面出射型の半導体レーザ素子である場合、上面視で長方形の2つの短辺のうちの一辺と交わる側面が、光の出射端面21である。この例において、発光素子20の上面および下面は、出射端面21よりも面積が大きい。発光素子20は、端面出射型の半導体レーザ素子に限られず、面発光型の半導体レーザ素子、または発光ダイオード(LED)などであってもよい。
【0029】
発光素子20は、少なくとも1つのエミッタを有するシングルエミッタである。なお、発光素子20は、2つ以上のエミッタを有するマルチエミッタであってもよい。発光素子20が複数のエミッタを有する半導体レーザ素子の場合、発光素子20の上面または下面の一方に1つの共通電極を、他方にそれぞれのエミッタに対応する2つの電極を設けることができる。
【0030】
発光素子20の出射端面21から出射される光は、拡がりを有する発散光である。なお、発散光でなくてもよい。発光素子20が半導体レーザ素子の場合、半導体レーザ素子から出射される発散光(レーザ光)は、光出射面と平行な面において楕円形状のファーフィールドパターン(以下、「FFP」という。)を形成する。FFPとは、光出射面から離れた位置における出射光の形状や光強度分布である。
【0031】
FFPの楕円形状の中心を通る光、言い換えると、FFPの光強度分布においてピーク強度の光を、光軸を進む光、と呼ぶものとする。また、光軸を進む光の光路を、その光の光軸、と呼ぶものとする。また、FFPの光強度分布において、ピーク強度値に対して1/e2以上の強度を有する光を、「主要部分」の光と呼ぶものとする。
【0032】
半導体レーザ素子である発光素子20から出射される光のFFPの楕円形状において、楕円の短径方向をFFPの平行方向、長径方向をFFPの垂直方向というものとする。半導体レーザ素子を構成する、活性層を含んだ複数の層は、FFPの垂直方向に積層される。
【0033】
FFPの光強度分布に基づき、光強度分布の半値全幅に相当する角度を、その半導体レーザ素子の光の拡がり角とする。FFPの垂直方向における光の拡がり角を垂直方向の拡がり角、FFPの平行方向における光の拡がり角を平行方向の拡がり角というものとする。
【0034】
発光素子20として、例えば、青色の光を出射する半導体レーザ素子、緑色の光を出射する半導体レーザ素子、または、赤色の光を出射する半導体レーザ素子などを採用することができる。また、これら以外の光を出射する半導体レーザ素子を採用してもよい。
【0035】
ここで、青色の光は、その発光ピーク波長が420nm~494nmの範囲内にある光をいうものとする。緑色の光は、その発光ピーク波長が495nm~570nmの範囲内にある光をいうものとする。赤色の光は、その発光ピーク波長が605nm~750nmの範囲内にある光をいうものとする。
【0036】
青色の光を発する半導体レーザ素子、または、緑色の光を発する半導体レーザ素子として、窒化物半導体を含む半導体レーザ素子が挙げられる。窒化物半導体としては、例えば、GaN、InGaN、およびAlGaNを用いることができる。赤色の光を発する半導体レーザ素子として、InAlGaP系やGaInP系、GaAs系やAlGaAs系の半導体を含むものが挙げられる。
【0037】
(サブマウント30)
サブマウント30は、2つの接合面を有し、直方体の形状で構成される。一方の接合面の反対側に他方の接合面が設けられる。2つの接合面の間の距離が他の対向する2面の間の距離よりも小さい。サブマウント30の形状は直方体に限らなくてよい。サブマウント30は、例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、または炭化ケイ素を用いて形成することができる。接合面には、接合のための金属膜が設けられている。
【0038】
(光学部材40)
光学部材40は、部分反射面41を有する。部分反射面41は、入射した光のうちの一部の光を反射し、残りの光を透過させる。部分反射面41に入射した光は、それぞれ異なる方向に進む2つの光に分けられる。分けられた2つの光には、同じ波長の光が含まれる。光学部材40は、入射した光の同じ波長成分を、所定の割合で2つに分ける。
【0039】
光学部材40によって分けられた2つの光については、例えば、その一方を主な光(メイン光)として利用し、他方をこのメイン光を制御するためのモニタ用の光(モニタ光)として利用することができる。また例えば、2つの光をそれぞれメイン光として利用することもできる。
【0040】
入射した光をメイン光とモニタ光とに分岐する場合、モニタ光の強度は、メイン光の強度よりも小さい。部分反射面41は、例えば、入射した光の80%以上を透過してメイン光として利用し、入射した光の20%以下を反射してモニタ光として利用する。また、モニタ光の強度を、メイン光の強度の5%以上10%以下としてもよい。また例えば、5%程度、またはそれ以下であり得る。
【0041】
部分反射面41の反射率は、入射光の波長に応じて変化し得る。そのため、1つの部分反射面41に、異なる色の光が入射する場合、色によって反射率が異なり得る。なお、すべての色の光に対して反射率を等しくする必要はない。部分反射面41によって反射する対象の光に対して、適当な反射率となるように設計すればよい。
【0042】
部分反射面41は、光学部材40の下面に対して傾斜する。部分反射面41は、光学部材40の下面に対して、例えば40度以上50度以下の傾斜角を成す平面で構成される。図示される発光装置100の例では、部分反射面41は、下面に対して、45度の傾斜角を成す平面で構成されている。
【0043】
光学部材40は、直方体の形状で形成される。なお、光学部材40の形状は、直方体に限定されない。また、光学部材40は、下面に平行な上面を有する。光学部材40を他の部材に固定するための接合面を含むことが好ましい。例えば、光学部材40の下面は接合面として機能し得る。
【0044】
(光検出器50)
光検出器50は、受光面52を有する。光検出器50は、上面、下面、および、1または複数の側面を有する。受光面52は、光検出器50の上面に設けられる。光検出器50の外形は直方体である。なお、直方体とは異なる外形であってもよい。
【0045】
受光面52には、1または複数の受光領域53が設けられる。1または複数の受光領域53のそれぞれは、入射光の強度または光量に応じて電気信号を出力する光電変換素子である。このような光電変換素子の典型例は、フォトダイオードである。
【0046】
光検出器50は、第1受光領域53aと、第2受光領域53bと、を含む、複数の受光領域53を有して構成することができる。また、光検出器50は、第3受光領域53cをさらに含む、複数の受光領域53を有して構成することができる。なお、受光領域53の数は3つに限らなくてよい。
【0047】
複数の受光領域53は、所定の間隔をあけて並べて配される。ここで、複数の受光領域53が並ぶ方向を「第1方向」と呼ぶものとする。また、上面視で、第1方向に垂直な方向を「第2方向」と呼ぶものとする。さらに、第1の方向及び第2の方向に垂直な方向を「第3方向」と呼ぶものとする。図における1Dは「第1方向」の例示であり、2Dは「第2方向」の例示であり、3Dは「第3方向」の例示である。
【0048】
受光面52は、矩形の外形を有する。また、受光面52は、第2方向の長さよりも、第1方向の長さの方が大きい。なお、光検出器50の受光面の第1方向の長さは、第2方向の長さと同じか、あるいは、第2方向の長さより小さくてもよい。
【0049】
複数の受光領域53は、間隔をあけて並ぶ。つまり、上面視で、それぞれの受光領域53は離れており、重ならない。なお、間隔は一定でなくてもよい。また、複数の受光領域53は、互いに近接して並ぶ。
【0050】
各受光領域53は、受光面52において、矩形の外形を有している。受光領域53の形状は、矩形に限らず、受光面52に入射する光の形状に応じて適宜設計され得る。図示される光検出器50の例では、各受光領域53は長方形の外形を有している。矩形を構成する四辺のうちの二辺(長方形の場合は短辺)は、第1方向と平行である。ここでの平行は、±5度以内の差を含む。
【0051】
光検出器50は、1または複数の配線領域54を有する。1または複数の配線領域54は、光検出器50の上面に設けられる。なお、光検出器50の上面以外の面に設けられていてよい。各配線領域54は受光領域53と電気的に接続される。
【0052】
図示される光検出器50の例では、複数の配線領域54によって、受光面52に配された全ての受光領域53との電気的な接続が実現される。具体的に、4つの配線領域54のうちの3つは、互いに重複せずに、3つの受光領域53のいずれかのアノード電極である。残りの1つは、3つの受光領域53に共通するカソード電極である。
【0053】
(保護素子60A)
保護素子60Aは、特定の素子(例えば発光素子20)に過剰な電流が流れて破壊されてしまうことを防ぐための回路要素である。保護素子60Aの典型例は、ツェナーダイオードなどの定電圧ダイオードである。ツェナーダイオードとしては、Siダイオードを採用できる。
【0054】
(温度測定素子60B)
温度測定素子60Bは、周辺の温度を測定するための温度センサとして利用される素子である。温度測定素子60Bとしては、例えば、サーミスタを用いることができる。
【0055】
(配線70)
配線70は、両端を接合部とする線状の形状を有する導電体から構成される。言い換えると、配線70は、線状部分の両端に、他の構成要素と接合する接合部を有する。配線70は、例えば、金属のワイヤである。金属の例は、金、アルミニウム、銀、銅などを含む。
【0056】
(発光装置100)
次に、発光装置100について説明する。
【0057】
以下に説明する発光装置の100の例において、1または複数の発光素子20は端面出射型の半導体レーザ素子である。また、複数の配線70は、発光素子20に電気的に接続される1または複数の配線71、および、光検出器50に電気的に接続される1または複数の配線72を含む。図示される発光装置100において、配線72a,72b,72c,72dはそれぞれ、光検出器50に電気的に接続される配線72である。
【0058】
発光装置100において、1または複数の発光素子20は、実装面11Mに配される。1または複数の発光素子20は、側壁部12に囲まれる。各発光素子20は、サブマウント30を介して実装面11Mに配される。なお、1のサブマウント30に複数の発光素子20が配されてよい。また、1または複数の発光素子20は、サブマウント30を介さずに直接に実装面11Mに配されてもよい。
【0059】
1または複数の発光素子20には、第1発光素子20a及び第2発光素子20bが含まれ得る。またさらに、1または複数の発光素子20には、第3発光素子20cが含まれ得る。上面視で、第1発光素子20aは、第2発光素子20bと第3発光素子20cに挟まれて配置される。
【0060】
第1発光素子20aから出射される光は、第2発光素子20bから出射される光とは異なるピーク波長を有する。第3発光素子20cから出射される光は、第1発光素子20aから出射される光及び第2発光素子20bから出射される光とは異なるピーク波長を有する。
【0061】
例えば、第1発光素子20aは緑色の光を放射する半導体レーザ素子である。また、第2発光素子20bは赤色の光を放射する半導体レーザ素子である。また、第3発光素子20cは青色の光を放射する半導体レーザ素子である。なお、各発光素子20が発する光の色は、これに限らず、また、可視光に限られない。
【0062】
第1発光素子20aと第2発光素子20bは、上面視で、第1方向に並べて配置される。第1発光素子20aの出射端面21aと、第2発光素子20bの出射端面21bが互いに平行になるように並べて配置される。出射端面21aと出射端面21bは同じ方向を向く。なお、出射端面21aと出射端面21bは、平行でなくてもよく、同じ方向を向かなくてもよい。
【0063】
第1発光素子20aと第3発光素子20cは、上面視で、第1方向に並べて配置される。第1発光素子20aの出射端面21aと、第3発光素子20cの出射端面21cが互いに平行になるように並べて配置される。出射端面21aと出射端面21cは同じ方向を向く。なお、出射端面21aと出射端面21cは、平行でなくてもよく、同じ方向を向かなくてもよい。
【0064】
1または複数の発光素子20は、出射端面21から光取出面10Aの方向に向かって光を出射する。1または複数の発光素子20は発散光を出射する。出射端面21から出射される光軸を進む光は、実装面11Mと平行に進む。
【0065】
発光装置100において、サブマウント30は、実装面11Mに配される。サブマウント30は、一方の接合面で発光素子20と接合する。また、反対側の他方の接合面で実装面11Mに接合する。なお、発光装置100は、複数のサブマウント30を有していてもよい。
【0066】
発光装置100において、光検出器50は、実装面11Mに配される。光検出器50は、側壁部12に囲まれる。光検出器50は、上面視で、光取出面10Aと発光素子20との間に配される。光検出器50は、受光面52が上を向くように配される。図示される発光装置100の例では、受光面52は、実装面11Mと平行である。ここでの平行は±5度以内の差を含む。
【0067】
基部11の上面に設けられる複数の配線領域14には、発光素子20と電気的に接続される配線領域14と、光検出器50と電気的に接続される配線領域14とが含まれる。
図3に示される配線領域14a1,14b1,14c1,14d1は、光検出器50と電気的に接続される配線領域14である。以下では、光検出器50と電気的に接続される1または複数の配線領域14をまとめて、第1配線領域と呼ぶ。発光装置100には、互いに離隔する複数の配線領域14を有する第1配線領域が設けられるといえる。
【0068】
光検出器50は、上面視で、出射端面21aに平行で第1発光素子20aの外縁の内側を通過する仮想線L1が第1発光素子20aの外縁と交わる2点のうち、一方の点p1aを通り出射端面21aに垂直な仮想線L11が通過するように、基板15の上面に配されている。また、光検出器50は、上面視で、他方の点p2aを通り出射端面21aに垂直な仮想線L12と、が通過するように、基板15の上面に配されている。
【0069】
また、第1配線領域の少なくとも一部が、上面視で、出射端面21aに平行で光検出器50の外縁の内側を通過する仮想線L2が光検出器50の外縁と交わる2点のうち、一方の点p3を通り出射端面21に垂直な仮想線L13と、他方の点p4を通り出射端面21に垂直な仮想線L14と、の間の領域A1に設けられている。これにより、発光装置100を第1方向1Dに小型化することができる。
【0070】
光検出器50は、上面視で、出射端面21b又は/及び出射端面21cに平行でそれぞれ第2発光素子20b又は/及び第3発光素子20cの外縁の内側を通過する仮想線L1が第2発光素子20b又は/及び第3発光素子20cの外縁と交わる2点のうち、一方の点である点p1b又は/及び点p1cを通り出射端面21b又は/及びcに垂直な仮想線L21又は/及びL31が通過するように、基板15の上面に配されている。また、光検出器50は、上面視で、他方の点である点p2b又は/及び点p2cを通り出射端面21b又は/及び出射端面21cに垂直な仮想線L22又は/及びL32と、が通過するように、基板15の上面に配されている。
【0071】
光検出器50は、上面視で、出射端面21aに平行でサブマウント30の外縁の内側を通過する仮想線L1がサブマウント30の外縁と交わる2点のうち、一方の点p1dを通り出射端面21aに垂直な仮想線L41が通過するように、基板15の上面に配されている。また、光検出器50は、上面視で、他方の点p2dを通り出射端面21aに垂直な仮想線L42と、が通過するように、基板15の上面に配されている。
【0072】
第1配線領域に含まれる複数の配線領域14のそれぞれの少なくとも一部が領域A1に設けられる。図示される発光装置100では、配線領域14a1,14b1,14c1,14d1のそれぞれの少なくとも一部が領域A1に設けられている。
【0073】
第1配線領域に含まれる複数の配線領域14には、上面視で、仮想線L11を境に、点p2aが含まれる領域に設けられる配線領域14と、点p2aが含まれない領域に設けられる配線領域14と、が含まれる。このように複数の配線領域14をこれら2つの領域に分散して配置することで、基部11の上面のスペースを有効活用し、発光装置100の小型化に寄与することができる。
【0074】
第1配線領域には、それぞれの少なくとも一部が、仮想線L11を境に、点p2aが含まれない領域に設けられる2つの配線領域14が含まれる。図示される発光装置100では、配線領域14a1及び配線領域14b1が、これら2つの配線領域14に該当する。また、これら2つの配線領域14の全部が、仮想線L11を境に、点p2aが含まれない領域に設けられる。
【0075】
また、第1配線領域には、それぞれの少なくとも一部が、仮想線L12を境に、点p1aが含まれない領域に設けられる2つの配線領域14が含まれる。図示される発光装置100では、配線領域14c1及び配線領域14d1が、これら2つの配線領域14に該当する。また、これら2つの配線領域14の全部が、仮想線L12を境に、点p1aが含まれない領域に設けられる。
【0076】
上面視で、仮想線L11を境に点p2aが含まれない領域に第2発光素子20bが配され、仮想線L12を境に点p1aが含まれない領域に第3発光素子20cが配される。第2発光素子20bは、仮想線L12を境に点p1aが含まれない領域に設けられる配線領域14よりも、仮想線L11を境に点p2aが含まれない領域に設けられる配線領域14に近い位置に配される。第3発光素子20cは、仮想線L11を境に点p2aが含まれない領域に設けられる配線領域14よりも、仮想線L12を境に点p1aが含まれない領域に設けられる配線領域14に近い位置に配される。
【0077】
第1配線領域に含まれる複数の配線領域14には、出射端面21に垂直な方向に離隔して配されている2つの配線領域14が含まれる。この2つの配線領域14は、出射端面21に垂直な方向に並べて配置される。これら2つの配線領域14のそれぞれの少なくとも一部が、領域A1に設けられる。図示される発光装置100では、配線領域14a1と配線領域14b1が、これら2つの配線領域14に該当する。また、配線領域14c1と配線領域14d1についても、これら2つの配線領域14に該当する。配線領域14a1と配線領域14b1の2つの配線領域14、及び、配線領域14c1と配線領域14d1の2つの配線領域14のいずれも、2つの配線領域14のそれぞれが、部分的に領域A1に設けられている。
【0078】
領域A1は、仮想線L13と仮想線L14との間、かつ、上面視で、出射端面21aに垂直で第1発光素子20aの外縁の内側を通過する仮想線L10が第1発光素子20aの外縁と交わる2点のうち、一方の点p5を通り出射端面21aに平行な仮想線L3と、他方の点p6を通り出射端面21aに平行な仮想線L4と、の間の領域としてもよい(
図5参照)。この場合も、上述の第1配線領域についての説明は該当する。
【0079】
第1配線領域は、光検出器50の配線領域54と電気的に接続する。
図3に示される配線領域54a,54b,54c,54dはそれぞれ、第1配線領域と電気的に接続される配線領域54である。以下では、第1配線領域と電気的に接続される1または複数の配線領域54をまとめて、第2配線領域と呼ぶ。光検出器50は、互いに離隔する複数の配線領域54を有する第2配線領域を有するといえる。
【0080】
第2配線領域が有する複数の配線領域54には、仮想線L11と仮想線L13との間に設けられる配線領域54と、仮想線L12と仮想線L14との間に設けられる配線領域54と、が含まれる。
【0081】
仮想線L11と仮想線L13との間に設けられる配線領域54は、仮想線L21と仮想線L13との間に設けられ得る。また、この配線領域54は、仮想線L41と仮想線L13との間に設けられ得る。また、この配線領域54と電気的に接続する配線領域14を、仮想線L13は通過する。この配線領域14の方が、この配線領域54よりも第1方向1Dに延びる。
【0082】
仮想線L12と仮想線L14との間に設けられる配線領域54は、仮想線L32と仮想線L14との間に設けられ得る。また、この配線領域54は、仮想線L42と仮想線L14との間に設けられ得る。また、この配線領域54と電気的に接続する配線領域14を、仮想線L14は通過する。この配線領域14の方が、この配線領域54よりも第1方向1Dに延びる。
【0083】
基部11の上面に設けられる複数の配線領域14のうち、発光素子20と電気的に接続される1または複数の配線領域14をまとめて、第3配線領域と呼ぶものとする。発光装置100には、互いに離隔する複数の配線領域14を有する第3配線領域が設けられるといえる。
【0084】
第3配線領域から光検出器50までの距離は、第1配線領域から光検出器50までの距離よりも大きい。第3配線領域は、上面視で、出射端面21を通り、出射端面21に平行な仮想線L3を境に、光検出器50が含まれない領域に設けられ、かつ、光検出器50が含まれる領域には設けられない。
【0085】
第1配線領域に含まれる配線領域14と、第3配線領域に含まれる配線領域14は、第2方向2Dに並んで配置される。第1配線領域の第2方向の長さは、第3配線領域の第2方向の長さよりも小さい。並んで配置されるこれら2つの配線領域14のうち、第1配線領域に含まれる配線領域14の第1方向の長さは、第3配線領域に含まれる配線領域14の第1方向の長さ以下となる。
【0086】
発光装置100において、第3配線領域上に、保護素子60Aが配置される。保護素子60Aは、発光素子20を保護するために備わっている。第1発光素子20aを保護する保護素子60Aが、第1発光素子20aと電気的に接続する2つの配線領域14に跨って配置される。第2発光素子20bを保護する保護素子60Aが、第2発光素子20bと電気的に接続する2つの配線領域14に跨って配置される。第3発光素子20cを保護する保護素子60Aが、第3発光素子20cと電気的に接続する2つの配線領域14に跨って配置される。
【0087】
第1配線領域に含まれる配線領域14の第2方向の長さは、第3配線領域に含まれる配線領域14の第2方向の長さよりも小さい。保護素子60Aなどの構成要素が配置される第3配線領域の配線領域14よりも第1配線領域に含まれる配線領域14の第2方向の長さを小さくすることで、発光装置100の小型化に寄与できる。
【0088】
基部11の上面に設けられる複数の配線領域14のうち、温度測定素子60Bと電気的に接続される1または複数の配線領域14をまとめて、第4配線領域と呼ぶものとする。発光装置100には、互いに離隔する複数の配線領域14を有する第4配線領域が設けられるといえる。
【0089】
第4配線領域から光検出器50までの距離は、第1配線領域から光検出器50までの距離よりも大きい。第4配線領域は、上面視で、出射端面21を通り、出射端面21に平行な仮想線L3を境に、光検出器50が含まれない領域に設けられ、かつ、光検出器50が含まれる領域には設けられない。
【0090】
発光装置100において、配線71は、発光素子20と第3配線領域とを電気的に接続する。配線71は、第3配線領域に接合される。配線72は、第1配線領域と第2配線領域とに接合される。1本の配線72が、第1配線領域に含まれる複数の配線領域14のうちの1つと、第2配線領域に含まれる複数の配線領域14のうちの1つに接合される。発光装置100は、第1配線領域に含まれる配線領域14の数と同数の配線72を備える。なお、発光装置100は、それ以上の数の配線72を備えることもできる。
【0091】
発光装置100において、2つの配線領域14a1,14b1の一方に配線72aが接合され、他方に配線72bが接合される。上面視で、仮想線L3を境に二分される領域のうち、一方の領域で配線72aは第1配線領域と接合し、他方の領域で配線72bは第1配線領域と接合する。これら2つの配線領域14のうち光検出器50により近い方の配線領域14a1と接合する配線72aは、2つの配線領域54a,54bのうち第1配線領域により遠い方の配線領域54aと接合する。
【0092】
発光装置100において、2つの配線領域14c1,14d1の一方に配線72cが接合され、他方に配線72dが接合される。上面視で、仮想線L3を境に二分される領域のうち、一方の領域で配線72cは第1配線領域と接合し、他方の領域で配線72dは第1配線領域と接合する。これら2つの配線領域14のうち光検出器50により近い方の配線領域14c1と接合する配線72cは、2つの配線領域54c,54dのうち第1配線領域により遠い方の配線領域54cと接合する。
【0093】
配線72aが配線領域54aに接合される位置と、配線72bが配線領域54bに接合される位置の、第1方向1Dに係る距離は、配線72aが配線領域14a1に接合される位置と、配線72bが配線領域14b1に接合される位置の、第1方向1Dに係る距離よりも小さい。これにより、小さな第1配線領域で電気的な接続を図ることができ、発光装置100の小型化に寄与することができる。
【0094】
発光装置100において、光学部材40が光検出器50の上方に配置される。光学部材40は、光検出器50の上面に配される。光学部材40は、光検出器50に接合される。光学部材40の下面と光検出器50の受光面52とが対向するように光学部材40が実装される。
【0095】
光学部材40は、上面視で、仮想線L11と仮想線L12とが通過する位置に配置される。光学部材40は、上面視で、仮想線L21と仮想線L22とが通過する位置に配置される。光学部材40は、上面視で、仮想線L31と仮想線L32とが通過する位置に配置される。光学部材40は、上面視で、仮想線L41と仮想線L42とが通過する位置に配置される。光学部材40は、上面視で、第2配線領域に含まれる2つの配線領域54の間に配置される。
【0096】
上面視で、出射端面21aに垂直な仮想線であって、光学部材40を通過するいかなる仮想線も、第1配線領域に含まれる配線領域14を通過しない。このように光学部材40を配置することで、第2配線領域と第1配線領域を近付けることができ、発光装置100の小型化に寄与することができる。
【0097】
光学部材40には、1または複数の発光素子20から出射された光が入射する。光学部材40には、1または複数の発光素子20から出射された光のうちの主要部分の光が入射する。1または複数の発光素子20から出射された発散光が光学部材40に入射する。
【0098】
光学部材40は、入射した発散光のうち一部の光を反射し、残りの光を透過させる。光学部材40の部分反射面41により、入射した光は、透過光と反射光とに分けられる。透過光は光取出面10Aから出射され、反射光は光検出器50の受光面52に照射される。光学部材40によって分岐された透過光及び反射光のうち、透過光をメイン光として利用し、反射光をモニタ光として利用することができる。
【0099】
光検出器50の受光面52は、発光素子20の出射端面から出射された光のうち少なくとも一部の光を受ける。なお、光検出器50は、光学部材40によって光学制御された光を受ける代わりに、光学部材40を介さずに発光素子20から出射された光の一部を受けてもよい。
【0100】
光検出器50の第1受光領域53aは、第1発光素子20aから出射された光の一部を受光する。上面視で、第1受光領域53aは、仮想線L11と仮想線L12とが通過するように設けられる。光検出器50において、第1発光素子20aから出射された主要部分の光を受けるのは第1受光領域53aのみである。
【0101】
光検出器50の第2受光領域53bは、第2発光素子20bから出射された光の一部を受光する。上面視で、第2受光領域53bは、仮想線L21と仮想線L22とが通過するように設けられる。光検出器50において、第2発光素子20bから出射された主要部分の光を受けるのは第2受光領域53bのみである。
【0102】
光検出器50の第3受光領域53cは、第3発光素子20cから出射された光の一部を受光する。上面視で、第3受光領域53cは、仮想線L31と仮想線L32とが通過するように設けられる。光検出器50において、第3発光素子20cから出射された主要部分の光を受けるのは第3受光領域53cのみである。
【0103】
上面視で第1発光素子20aの出射端面21aに平行な方向において、サブマウント30の長さは、光検出器50の長さよりも小さい。また、上面視で第1発光素子20aの出射端面21aに垂直な方向において、サブマウント30の長さは、光検出器50の長さよりも大きい。このような形状の光検出器50を備えることで、小型の発光装置100を実現することができる。なお、第1発光素子20aの出射端面21aに平行な方向は、第1方向1Dと同じ方向となり得る。
【0104】
受光面52は発光素子20の光の出射点よりも低い位置に設けられる。このような配置関係により、部分反射面41の直下に受光領域53を設けることができ、発光装置100の第2方向2Dの大きさを抑えることができる。
【0105】
上面視で、光検出器50の第1方向1Dの長さは、サブマウント30の第1方向1Dの長さよりも大きい。上面視で、光検出器50の第1方向1Dの長さとサブマウント30の第1方向1Dの長さとの差は、サブマウント30の第1方向1Dの長さよりも小さい。このような関係を満たすことで、サブマウント30に対する光検出器50の相対的なサイズ比が大きくなることを抑えることができ、発光装置100の小型化に寄与し得る。
【0106】
上面視で、1または複数の受光領域53は、第2方向2Dに平行な2つの直線であって、かつ、それぞれがサブマウント30の第1方向1Dの両端を通る2つの直線に挟まれた領域内に配置される。また、上面視で、1または複数の配線領域54は、この2つの直線に挟まれた領域の外側に配置される。このような関係を満たすことで、発光装置100の第1方向の大きさを抑えることができる。
【0107】
発光装置100において、1または複数の発光素子20は、パッケージ10内部における封止された閉空間に配される。基板15とキャップ16とを所定の雰囲気下で接合することにより、パッケージ10の内部に気密封止された閉空間が作り出される。発光素子20が配される空間を気密封止することにより、集塵による品質劣化を抑制することができる。
【0108】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る発光装置200を説明する。
図6は、第2実施形態に係る発光装置からパッケージのキャップを除いた斜視図である。
図7は、第2実施形態に係る発光装置からパッケージのキャップを除いた上面図である。
図8は、第2実施形態に係る発光装置における所定の点、仮想線、領域などの説明を補助するための図である。
【0109】
第2実施形態の発光装置200は、第1配線領域の設け方が異なる点を除き、第1実施形態の発光装置100と同じである。よって、発光装置200については、第1配線領域の設け方を除く他の説明は、第1実施形態で説明した通りである。また、第1実施形態の説明の中で、第1配線領域が関係する説明のうち、
図7及び
図8と整合しない内容以外は、第2実施形態においても該当する。
図7に示される配線領域14a1,14b1,14c1,14d1は、発光装置200の第1配線領域に含まれる配線領域14である。
【0110】
発光装置200では、第1配線領域に含まれる複数の配線領域14には、出射端面21に平行な方向に離隔して配されている2つの配線領域14が含まれる。この2つの配線領域14は、出射端面21に平行な方向に並べて配置される。これら2つの配線領域14のうちの一方の配線領域14の少なくとも一部が領域A1に設けられる。また、これら2つの配線領域14のうちの他方の配線領域14の少なくとも一部が領域A1の外側に設けられている。図示される発光装置200では、配線領域14a2と配線領域14b2が、これら2つの配線領域14に該当する。また、配線領域14c2と配線領域14d2についても、これら2つの配線領域14に該当する。配線領域14a2と配線領域14b2の2つの配線領域14、及び、配線領域14c2と配線領域14d2の2つの配線領域14のいずれも、2つの配線領域14のうちの一方の配線領域14の全部が、仮想線L13と仮想線L14の間に設けられている。
【0111】
発光装置200では、第1配線領域に含まれる配線領域14の第2方向の長さは、第3配線領域に含まれる配線領域14の第2方向の長さよりも大きい。一方で、第1配線領域に含まれる配線領域14の第1方向の長さは、第3配線領域に含まれる配線領域14の第1方向の長さよりも小さい。このように第1配線領域に含まれる配線領域14と第3配線領域に含まれる配線領域14とを配置しても、発光装置200の小型化に寄与できる。
【0112】
以上、本発明に係る実施形態を説明してきたが、本発明に係る発光装置は、実施形態の発光装置に厳密に限定されるものではない。つまり、本発明は、実施形態により開示された発光装置の外形や構造に限定されなければ実現できないものではない。例えば、保護素子を有しない発光装置であってもよい。また、全ての構成要素を必要十分に備えることを必須とせずに適用され得るものである。例えば、特許請求の範囲に、実施形態により開示された発光装置の構成要素の一部が記載されていなかった場合、その一部の構成要素については、代替、省略、形状の変形、材料の変更などの当業者による設計の自由度を認め、その上で特許請求の範囲に記載された発明が適用されることを特定するものである。
【産業上の利用可能性】
【0113】
各実施形態に係る発光装置は、ヘッドマウントディスプレイ、プロジェクタ、照明、ディスプレイ等に使用することができる。
【符号の説明】
【0114】
10パッケージ
10A 光取出面
11 基部
11M 実装面
11P 周辺領域
12 側壁部
13 透光性領域
14 配線領域
14a1、14b1、14c1、14d1、14a2、14b2、14c2、14d2 第1配線領域
15 基板
16 キャップ
20 発光素子
20a 第1発光素子
20b 第2発光素子
20c 第3発光素子
21、21a、21b、21c 出射端面
30 サブマウント
40 光学部材
41 部分反射面
50 光検出器
52 受光面
53 受光領域
53a 第1受光領域
53b 第2受光領域
53c 第3受光領域
54 配線領域
54a、54b、54c、54d 第2配線領域
60A 保護素子
60B 温度測定素子
70 配線
71 配線
72、72a、72b、72c、72d 配線
100、200 発光装置