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特開2023-78197研磨パッドおよびこれを用いた半導体素子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078197
(43)【公開日】2023-06-06
(54)【発明の名称】研磨パッドおよびこれを用いた半導体素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/24 20120101AFI20230530BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20230530BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20230530BHJP
【FI】
B24B37/24 C
B24B37/00 H
H01L21/304 622D
H01L21/304 622F
H01L21/304 622X
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032028
(22)【出願日】2023-03-02
(62)【分割の表示】P 2021136421の分割
【原出願日】2021-08-24
(31)【優先権主張番号】10-2020-0106555
(32)【優先日】2020-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0106556
(32)【優先日】2020-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0106557
(32)【優先日】2020-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0106558
(32)【優先日】2020-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】505232852
【氏名又は名称】エスケー エンパルス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK enpulse Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1043,Gyeonggi-daero,Pyeongtaek-si,Gyeonggi-do 17784, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ジョンウク
(72)【発明者】
【氏名】ホ、ヘヨン
(72)【発明者】
【氏名】アン、ジェイン
(72)【発明者】
【氏名】キム、キョンファン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、研磨パッド、その製造方法およびこれを用いた半導体素子の製造方法を提供する。
【解決手段】研磨パッドは、研磨スラリーの種類による研磨面の表面ゼータ電位およびその比を特定範囲に制御することにより、半導体基板の表面上に現れるスクラッチおよび表面欠陥の特性を向上させることができ、研磨率をさらに向上させ得る。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨層を含み、
前記研磨層の研磨面は、組成物の水素イオン濃度(pH)が9.5以上、12以下である第1組成物を用いて研磨する際、前記第1組成物に対して下記式1により導出された研磨面の表面ゼータ電位値である第1表面ゼータ電位(PZ1)を有し、
前記研磨層の研磨面は、組成物の水素イオン濃度(pH)が7.5以上、9.5以下である第3組成物を用いて研磨する際、前記第3組成物に対して下記式1により導出された研磨面の表面ゼータ電位値である第3表面ゼータ電位(PZ3)を有し、
前記第1表面ゼータ電位(PZ1)のうち少なくとも1つと、前記第3表面ゼータ電位(PZ3)のうち少なくとも1つとが下記式3を満足する、研磨パッド:
[式1]
表面ゼータ電位=(-)固定層のゼータ電位+組成物のゼータ電位
[式3]
1≦PZ1/PZ3≦5。
【請求項2】
前記第1組成物に対する固定層のゼータ電位値のIZ1が+5mV~+30mVであり、
前記第3組成物に対する固定層のゼータ電位値のIZ3が-15mV~+10mVである、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項3】
前記第1組成物は、平均粒径が130nm~160nmであるシリカ粒子を含み、ゼータ電位が-50mV~-30mVであり、
前記第3組成物は、平均粒径が130nm~170nmであるセリア粒子を含み、ゼータ電位が-55mV~-35mVである、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項4】
前記研磨層が、ウレタン系プレポリマー、硬化剤、および発泡剤を含む組成物の硬化物を含み、
前記研磨層内の無機物の含有量が5ppm~500ppmである、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項5】
前記ウレタン系プレポリマーが、8重量%~10重量%のイソシアネート末端基含有量(NCO%)を有するか、
前記発泡剤が、5μm~200μmの平均粒径を有する固相発泡剤、気相発泡剤、またはこれらの組み合わせを含むか、
前記硬化剤の含有量が、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準に18重量部~27重量部であるか、
前記研磨層が、数平均径10μm~40μmの気孔を含む多孔質構造である、請求項4に記載の研磨パッド。
【請求項6】
前記第1組成物を用いた前記研磨層の研磨面に対するオキサイド膜の研磨率をOR1とし、
前記第3組成物を用いた前記研磨層の研磨面に対するオキサイド膜の研磨率をOR3とすると、
前記OR1が2750Å/分以上、2955Å/分未満であるか、
前記OR3が2200Å/分以上、2955Å/分以下である、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項7】
研磨層を含む研磨パッドを提供する段階と、
前記研磨層の研磨面に研磨対象の被研磨面が当接するように相対回転させながら前記研磨対象を研磨する段階とを含み、
前記研磨対象は、オキサイド膜を含み、
前記研磨層の研磨面は、組成物の水素イオン濃度(pH)が9.5以上、12以下である第1組成物を用いて研磨する際、前記第1組成物に対して下記式1により導出された研磨面の表面ゼータ電位値である第1表面ゼータ電位(PZ1)を有し、
前記研磨層の研磨面は、組成物の水素イオン濃度(pH)が7.5以上、9.5以下である第3組成物を用いて研磨する際、前記第3組成物に対して下記式1により導出された研磨面の表面ゼータ電位値である第3表面ゼータ電位(PZ3)を有し、
前記第1表面ゼータ電位(PZ1)のうち少なくとも1つと、前記第3表面ゼータ電位(PZ3)のうち少なくとも1つとが下記式3を満足する、半導体素子の製造方法:
[式1]
表面ゼータ電位=(-)固定層のゼータ電位+組成物のゼータ電位
[式3]
1≦PZ1/PZ3≦5。
【請求項8】
前記研磨対象を研磨する段階において、
前記オキサイド膜研磨用スラリーとして、シリカ粒子を含むスラリー及びセリア粒子を含むスラリーのうちのいずれかを供給する段階、又は
前記シリカ粒子を含むスラリー及びセリア粒子を含むスラリーを順次研磨面に供給する段階を更に含む、請求項7に記載の半導体素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨工程に適用されるパッドに関するものであり、このようなパッドを半導体素子の製造方法に適用する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化学機械的平坦化(Chemical Mechanical Planarization、CMP)または化学機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing、CMP)工程は、様々な技術分野において様々な目的により行われ得る。CMP工程は、研磨対象の所定の研磨面を対象に行われ、研磨面の平坦化、凝集された物質の除去、結晶格子損傷の解消、スクラッチおよび汚染源の除去などの目的から行われ得る。
【0003】
半導体工程におけるCMP工程技術の分類は、研磨対象の膜質または研磨後の表面形状に応じて区分し得る。例えば、研磨対象膜質によって、シングルシリコン(single silicon)またはポリシリコン(poly silicon)に分けられ、不純物の種類によって区分される様々な酸化膜またはタングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)などの金属膜CMP工程に分類し得る。そして、研磨後の表面形状に応じて、基板表面の粗さを緩和させる工程、多層回路配線に起因して生じる段差を平坦化する工程、研磨後に回路配線を選択的に形成するための素子分離工程に分類し得る。
【0004】
CMP工程は、半導体素子の製造過程において複数で適用され得る。半導体素子の場合、複数の層を含み、各層ごとに複雑で微細な回路パターンを含む。また、最近の半導体素子は、個々のチップサイズは減りつつ、各層のパターンはより複雑で微細化する方向に進化している。これにより、半導体素子を製造する過程で、回路配線の平坦化目的のみならず、回路配線の分離および配線表面改善の応用などと、CMP工程の目的が拡大されており、その結果、より精巧で信頼性の高いCMP性能が求められている。
【0005】
このようなCMP工程に用いられる研磨パッドは、研磨面を摩擦によって求められるレベルに加工する工程用部品として、研磨後の研磨対象の厚さ均一性、研磨面の平坦度および研磨品質等において、最も重要な要素の1つとみなせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1608901号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、研磨スラリーの種類による研磨パッドの表面ゼータ電位、およびその比を特定範囲に制御することにより、半導体基板の表面上に現れるスクラッチおよびチャッターマークなどの表面欠陥の特性を改善することができ、シリカの種類および研磨対象層の種類に関わることなく、1つの研磨パッドで様々な環境における各工程に連続および不連続の適用が可能でありながら、これらのすべてに対して適切な研磨率を実現し得る研磨パッドおよびその製造方法を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、前記研磨パッドを用いて、適切な研磨率を実現することができ、オキサイド膜およびタングステン膜の研磨対象層のいずれにも有用な半導体素子を製造する方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、研磨層を含み、前記研磨層の研磨面は、組成物の水素イオン濃度(pH)が8以上、12以下である第1組成物を用いて研磨する際、前記第1組成物に対して下記式1により導出された研磨面の表面ゼータ電位値である第1表面ゼータ電位(PZ1)を有し、前記研磨層の研磨面は、組成物の水素イオン濃度(pH)が2以上、6以下である第2組成物を用いて研磨する際、前記第2組成物に対して下記式1により導出された研磨面の表面ゼータ電位値である第2表面ゼータ電位(PZ2)を有し、前記第1表面ゼータ電位(PZ1)のうち少なくとも1つと、前記第2表面ゼータ電位(PZ2)のうち少なくとも1つとが下記式2を満足する、研磨パッドを提供する。
[式1]
表面ゼータ電位=(-)固定層のゼータ電位+組成物のゼータ電位
[式2]
-20≦PZ1/PZ2≦0
【0010】
本発明は、他の実現例において、プレポリマー組成物を調製する段階と、前記プレポリマー組成物、発泡剤および硬化剤を含む研磨層製造用組成物を調製する段階と、前記研磨層製造用組成物を硬化して研磨層を製造する工程とを含み、前記研磨層の研磨面は、組成物の水素イオン濃度(pH)が8以上、12以下である第1組成物を用いて研磨する際、前記第1組成物に対して前記式1により導出された研磨面の表面ゼータ電位値である第1表面ゼータ電位(PZ1)を有し、前記研磨層の研磨面は、組成物の水素イオン濃度(pH)が2以上、6以下である第2組成物を用いて研磨する際、前記第2組成物に対して前記式1により導出された研磨面の表面ゼータ電位値である第2表面ゼータ電位(PZ2)を有し、前記第1表面ゼータ電位(PZ1)のうち少なくとも1つと、前記第2表面ゼータ電位(PZ2)のうち少なくとも1つとが前記式2を満足する、研磨パッドの製造方法を提供する。
【0011】
本発明のまた他の実現例において、研磨層を含む研磨パッドを提供する段階と、前記研磨層の研磨面に研磨対象の被研磨面が当接するように相対回転させながら前記研磨対象を研磨する段階とを含み、前記研磨対象はオキサイド膜、タングステン膜、またはこれらの複合膜を含み、前記研磨層の研磨面は、組成物の水素イオン濃度(pH)が8以上、12以下である第1組成物を用いて研磨する際、前記第1組成物に対して前記式1により導出された研磨面の表面ゼータ電位値である第1表面ゼータ電位(PZ1)を有し、前記研磨層の研磨面は、組成物の水素イオン濃度(pH)が2以上、6以下である第2組成物を用いて研磨する際、前記第2組成物に対して前記式1により導出された研磨面の表面ゼータ電位値である第2表面ゼータ電位(PZ2)を有し、前記第1表面ゼータ電位(PZ1)のうち少なくとも1つと、前記第2表面ゼータ電位(PZ2)のうち少なくとも1つとが前記式2を満足する、半導体素子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
前記実現例による研磨パッドは、研磨スラリーの種類による研磨パッドの表面ゼータ電位およびその比を特定範囲に制御することにより、半導体基板の表面上に現れるスクラッチおよびチャッターマークなどの表面欠陥の特性を改善することができ、研磨率をさらに向上させ得る。
【0013】
特に、本発明の実現例による研磨パッドは、前記研磨パッドの表面ゼータ電位を調節して、1つの研磨パッドでオキサイド膜およびタングステン膜を研磨する研磨環境において適切な研磨率を実現し得るとともに、1つの研磨パッドで前記環境のそれぞれの工程に連続および不連続適用が可能である利点を有する。
【0014】
また、本発明の実現例による研磨パッドは、前記研磨パッドの表面ゼータ電位を調節して、1つの研磨パッドでオキサイド膜に対するバルク工程および微細工程などの様々な工程において、スクラッチおよびチャッターマークなどの表面欠陥を最小化しながら、適切な研磨率を実現し得るとともに、1つの研磨パッドで前記環境のそれぞれの工程に連続および不連続適用が可能である利点を有する。
【0015】
また、本発明の実現例による研磨パッドは、前記研磨パッドの表面ゼータ電位を調節して、1つの研磨パッドでシリカスラリーおよびセリアスラリーのいずれに対しても研磨性能を適切な範囲で実現し得るとともに、1つの研磨パッドで前記環境のそれぞれの工程に連続および不連続適用が可能である利点を有する。
【0016】
さらには、本発明の実現例による研磨パッドは、前記研磨パッドの表面ゼータ電位を調節して、1つの研磨パッドで、スラリー環境が酸性および塩基性である場合、またはシリカスラリーおよびセリアスラリーの場合でも、研磨性能を適切な範囲で実現し得るとともに、1つの研磨パッドで前記環境のそれぞれの工程に連続および不連続適用が可能である利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、一実現例による研磨パッドの表面ゼータ電位を説明するための図である。
図2図2は、実施例1の研磨パッドの表面移動による見かけゼータ電位、およびこれにより導出された研磨パッドの表面ゼータ電位などを示すグラフである。
図3図3は、一実現例による研磨パッドの表面ゼータ電位を測定するための装置のうち表面ゼータ電位セルを示す模式図である。
図4図4は、一実現例による半導体素子製造工程の概略的な工程図である。
図5図5は、一実現例によるウェーハ上のスクラッチ形状を示す写真である。
図6図6は、一実現例によるウェーハ上のチャッターマーク形状を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、後述の実施例を参照すると明確になることである。しかし、本発明は、以下で開示する実施例に限定されるものではなく、異なる多様な形態で実現されるものであり、本実施例は単に本発明の開示が完全たるものとなるようにし、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は請求項の範囲によって定義されるのみである。
【0019】
図面において、複数の層および領域を明確に示すために厚さを拡大して示している。そして図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示している。また、明細書全体にわたって同一参照符号は同一構成要素を指す。
【0020】
また、本明細書において、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」または「上部に」あるとするとき、これは他の部分の「真上に」ある場合だけでなく、その間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「真上に」あるとするときは、間に他の部分がないことを意味する。さらに、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」または「下部に」あるとするとき、これは他の部分の「真下に」ある場合だけでなく、その間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「真下に」あるとするときは、間に他の部分がないことを意味する。
【0021】
本発明に係る一実現例において、研磨層を含み、前記研磨層の研磨面は、組成物の水素イオン濃度(pH)が8以上、12以下である第1組成物を用いて研磨する際、前記第1組成物に対して下記式1により導出された研磨面の表面ゼータ電位値である第1表面ゼータ電位(PZ1)を有し、前記研磨層の研磨面は、組成物の水素イオン濃度(pH)が2以上、6以下である第2組成物を用いて研磨する際、前記第2組成物に対して下記式1により導出された研磨面の表面ゼータ電位値である第2表面ゼータ電位(PZ2)を有し、前記第1表面ゼータ電位(PZ1)のうち少なくとも1つと、前記第2表面ゼータ電位(PZ2)のうち少なくとも1つとが下記式2を満足する、研磨パッドを提供する。
[式1]
表面ゼータ電位=(-)固定層のゼータ電位+組成物のゼータ電位
[式2]
-20≦PZ1/PZ2≦0
【0022】
半導体製造工程中の研磨工程は、研磨パッド、研磨スラリーおよび研磨対象膜質などが有機的に連携されてなるものであり、通常、前記研磨パッドと前記研磨対象膜質の接触界面に研磨スラリーが供給されることにより行われる。前記研磨スラリーは、電気的特性を有する成分を含む組成物であり、前記研磨対象膜質は、導体または半導体膜質を含んで良く、前記研磨パッドは所定の化学的組成を有する。また、これらは、半導体製造工程の中で互い物理的に密接に位置する。したがって、これらは、それぞれの材質的な特性と工程中の相対的な位置に起因して、相互電気的な影響を与え合うようになる。
【0023】
前記研磨パッド、研磨スラリーおよび研磨対象膜質の電気的特性において、相互引力および反発力が適正レベルに実現してこそ、スクラッチ(Scratch)およびチャッターマーク(Chatter Mark)などとして現れる研磨対象膜質上の欠陥(Defect)が最小化され、研磨率および平坦度の面で目的とする研磨性能を実現することができる。例えば、前記研磨パッド、研磨スラリーおよび研磨対象膜質間の電気的引力が強すぎると、研磨パッド上で研磨スラリー中の研磨粒子の凝集が起こることとなり、研磨対象膜質の表面上にスクラッチまたはチャッターマークなどの欠陥を発生させ得る。例えば、前記研磨パッド、研磨スラリーおよび研磨対象膜質間の電気的反発力が強すぎると、研磨対象膜質の研磨率が低下して工程の効率性および研磨平坦性の面で問題が発生し得る。したがって、前記研磨パッドと研磨スラリーおよび研磨対象膜質間の電気的特性を適切レベルに調節することが非常に重要な要素である。
【0024】
ゼータ電位(Zeta Potential)とは、一般的に懸濁液に含まれている粒子から現れる物理的特性のことを指す。粒子の周りに存在する液相層には2つの種類がある。イオンが強い境界を成している内部領域(Stem layer:電子層)と、相対的に弱く結合している外部領域(Defuse)である。外部領域は、イオンと粒子が安定して存在する理論的な境界内の領域である。例えば、粒子が動くと、内部領域のイオンは所定の境界内で動く。一方、所定の境界の外に存在するイオンは、粒子と関係なく巨大な分散剤のように独立して運動するようになる。このような境界の電位がゼータ電位である。前記研磨スラリーは、研磨粒子が分散している懸濁液の状態として自己ゼータ電位を有する。
【0025】
前記研磨パッドは、樹脂硬化物であり懸濁液の状態ではないので、一般に定義されるゼータ電位は有しない。一実現例において、前記研磨パッドの研磨性能を表象するための指標として表面ゼータ電位を考案しており、前記研磨パッドの表面ゼータ電位は、所定のゼータ電位を有する懸濁液状態の標準組成物との関係から前記式1で定義され得る。
【0026】
以下、図1を参照して前記研磨パッドの表面ゼータ電位についてより詳細に説明する。
【0027】
図1は、研磨パッドの表面ゼータ電位を説明するための概略図である。図1を参照すると、前記研磨パッド100は研磨層10を含み得る。前記研磨層10は、研磨対象膜質を直接または間接的に接触させて研磨するための研磨面11を含み得る。前記研磨パッド100は、前記研磨層10の単層からなっても良く、前記研磨層10を含む多層構造からなっても良い。図1を参照すると、一実現例による前記研磨パッド100は、前記研磨層10の一面上の接着層30およびクッション層20を含み得るが、これらに限定されるものではない。
【0028】
前記研磨パッド100は、その研磨面11上に自己ゼータ電位を有する所定の標準組成物を供給したとき、固定層110、イオン拡散層120および滑り面(Slipping plane、130)を有することとなる。前記固定層110は、前記標準組成物中の粒子が前記研磨面11に安定して存在して形成された層であり、前記懸濁液から定義される一般的なゼータ電位において、内部領域(Stem layer:電子層)に対応する領域である。前記イオン拡散層120は、前記標準組成物中の粒子が、前記固定層110に比べ前記研磨面11に対して相対的に弱く結合して存在する領域であって、前記研磨面11から所定の距離だけ離間された領域である。前記イオン拡散層120は、前記懸濁液から定義される一般的なゼータ電位において、外部領域(Defuse)に対応する領域である。前記イオン拡散層120と前記固定層110との界面に前記滑り面130が存在するが、これを境界に前記固定層110と前記イオン拡散層120とが区分される。前記滑り面130は、前記懸濁液から定義される一般的なゼータ電位において、所定の境界に対応する部分である。
【0029】
一実現例において、前記式1による研磨パッドの表面ゼータ電位は、前記固定層110のゼータ電位値にマイナス(-)を付けた値と、該当標準組成物の自己ゼータ電位値との合計と定義される。例えば、図1に示すように、前記固定層110の電荷が正(+)の電荷を帯びるとなると、前記固定層110に隣接する研磨面の表面は負(-)の電荷を帯びるとなることが分かる。したがって、前記研磨パッドの表面ゼータ電位を導出することにおいて、前記固定層110のゼータ電位値に(-)を付けた値を適用する。前記固定層110のゼータ電位は、当該標準組成物中の粒子に対して、研磨面からの距離によるゼータ電位の変化をグラフ(graph)に導出した後、そのグラフのY切片の値と定義される。前記粒子のゼータ電位は、電気泳動移動度によって測定される。
【0030】
前記研磨パッドが、前記式1による表面ゼータ電位に関連した所定の条件、すなわち、前記式2による条件を満足すると、前記研磨パッドとこれを適用する工程で用いられる研磨スラリーおよび研磨対象膜質間の相互作用に対して、信頼性のある研磨性能を実現し得る。
【0031】
前記第1組成物と前記第2組成物とは、それぞれの組成物自体の水素イオン濃度(pH)が互いに異なる組成物であって、各組成物に対する研磨面の表面ゼータ電位は互いに異なる値で表れることとなる。前記第1組成物から導出された第1表面ゼータ電位(PZ1)と、前記第2組成物から導出された第2表面ゼータ電位(PZ2)との比が所定の範囲を満足するということは、前記研磨パッドを実際の工程に適用するにおいて、互いに異なる材質の膜質の研磨が同時に優れた性能で行われるようにすると言うことに技術的意義がある。
【0032】
一方、本発明のまた他の一実現例において、前記研磨パッドは研磨層を含み、前記研磨層の研磨面は、組成物の水素イオン濃度(pH)が8以上、12以下である第1組成物を用いて研磨する際、前記第1組成物に対して前記式1により導出された研磨面の表面ゼータ電位値である第1表面ゼータ電位(PZ1)を有し、前記研磨層の研磨面は、組成物の水素イオン濃度(pH)が7.5以上、9.5以下である第3組成物を用いて研磨する際、前記第3組成物に対して前記式1により導出された研磨面の表面ゼータ電位値である第3表面ゼータ電位(PZ3)を有し、前記第1表面ゼータ電位(PZ1)のうち少なくとも1つと、前記第3表面ゼータ電位(PZ3)のうち少なくとも1つとが、下記式3を満足し得る。
[式3]
1≦PZ1/PZ3≦5
【0033】
前記第1組成物と前記第3組成物とは、それぞれの組成物自体の水素イオン濃度(pH)が互いに異なる組成物であって、各組成物に対する研磨面の表面ゼータ電位は、互いに異なる値で表れることとなる。前記第1組成物から導出された第1表面ゼータ電位(PZ1)と、前記第3組成物から導出された第3表面ゼータ電位(PZ3)との比が所定の範囲を満足するということは、前記研磨パッドを実際の工程に適用するにあたって、研磨対象であるオキサイド膜に対するバルク工程および微細工程などの様々な工程において、スクラッチおよびチャッターマークなどの表面欠陥を最小化しながら、研磨が優れた性能で行われることができ、1つの研磨パッドで前記環境のそれぞれの工程に連続および不連続適用が可能である。
【0034】
本発明のまた他の一実現例において、前記研磨パッドは研磨層を含み、前記研磨層の研磨面は、組成物の水素イオン濃度(pH)が8以上、12以下、具体的に9.5超、12以下である第1組成物を用いて研磨する際、前記第1組成物に対して前記式1により導出された研磨面の表面ゼータ電位値である第1表面ゼータ電位(PZ1)を有し、前記研磨層の研磨面は、組成物の水素イオン濃度(pH)が2以上、6以下である第2組成物を用いて研磨する際、前記第2組成物に対して前記式1により導出された研磨面の表面ゼータ電位値である第2表面ゼータ電位(PZ2)を有し、前記研磨層の研磨面は、組成物の水素イオン濃度(pH)が7.5以上、9.5以下である第3組成物を用いて研磨する際、前記第3組成物に対して前記式1により導出された研磨面の表面ゼータ電位値である第3表面ゼータ電位(PZ3)を有し、前記第1表面ゼータ電位(PZ1)のうち少なくとも1つと、前記第2表面ゼータ電位(PZ2)のうち少なくとも1つと、前記第3表面ゼータ電位(PZ3)のうち少なくとも1つとが、下記式4を満足し得る。
[式4]
1.1≦PZ1×PZ2/PZ3≦50
【0035】
前記第1組成物、前記第2組成物および前記第3組成物は、それぞれの組成物自体の水素イオン濃度(pH)が互いに異なる組成物であって、各組成物に対する研磨面の表面ゼータ電位は、互いに異なる値で表れることとなる。前記第1組成物から導出された第1表面ゼータ電位(PZ1)と前記第2組成物から導出された第2表面ゼータ電位(PZ2)との積(PZ1×PZ2)、および前記第3組成物から導出された第3表面ゼータ電位(PZ3)の比(PZ1×PZ2/PZ3、式4)が所定の範囲を満足するということは、前記研磨パッドを実際の工程に適用することにおいて、互いに異なる種類の研磨スラリーを用いた研磨が同時に優れた性能で行われるようにするものである。
【0036】
具体的に、前記式4を満足する研磨パッドは、互いに異なる種類の研磨スラリー、より具体的に、シリカスラリーおよびセリアスラリーを用いた研磨環境において研磨性能に優れた範囲で実現されることができ、スクラッチおよびチャッターマークなどの表面欠陥を最小化することができ、1つの研磨パッドでシリカスラリーおよびセリアスラリーそれぞれの工程に連続または不連続で適用が可能である利点を有する。
【0037】
本発明のまた他の実現例において、前記研磨パッドは研磨層を含み、前記研磨層の研磨面は、組成物の水素イオン濃度(pH)が8以上、12以下、具体的には9.5超、12以下である第1組成物を用いて研磨する際、前記第1組成物に対して前記式1により導出された研磨面の表面ゼータ電位値である第1表面ゼータ電位(PZ1)を有し、前記研磨層の研磨面は、組成物の水素イオン濃度(pH)が2以上、6以下である第2組成物を用いて研磨する際、前記第2組成物に対して前記式1により導出された研磨面の表面ゼータ電位値である第2表面ゼータ電位(PZ2)を有し、前記研磨層の研磨面は、組成物の水素イオン濃度(pH)が7.5以上、9.5以下である第3組成物を用いて研磨する際、前記第3組成物に対して前記式1により導出された研磨面の表面ゼータ電位値である第3表面ゼータ電位(PZ3)を有し、前記第1表面ゼータ電位(PZ1)のうち少なくとも1つと、前記第2表面ゼータ電位(PZ2)のうち少なくとも1つと、前記第3表面ゼータ電位(PZ3)のうち少なくとも1つとが、下記式5を満足し得る。
[式5]
1≦(PZ2-PZ1)/(PZ2-PZ3)≦5
【0038】
前記第2組成物から導出された第2表面ゼータ電位(PZ2)と前記第1組成物から導出された第1表面ゼータ電位(PZ1)との差(PZ2-PZ1)、および前記第2組成物から導出された第2表面ゼータ電位(PZ2)と前記第3組成物から導出された第3表面ゼータ電位(PZ3)との差(PZ2-PZ3)の比((PZ2-PZ1)/(PZ2-PZ3))が所定の範囲を満足するということは、前記研磨パッドを実際の工程に適用することにおいて、互いに異なる研磨スラリーの環境、または互いに異なる種類の研磨スラリーを用いた研磨が、同時に優れた性能で行われ得るようにするものである。
【0039】
具体的に、前記式5の条件を満足する研磨面を有する研磨パッドは、互いに異なる研磨環境、より具体的に、スラリー環境が酸性および塩基性である場合、またはシリカスラリーとセリアスラリーである場合でも、優れた研磨性能を実現することができ、スクラッチおよびチャッターマークなどの表面欠陥を最小化することができ、1つの研磨パッドで前記環境のそれぞれの工程に連続および不連続適用が可能である利点を有する。
【0040】
前記研磨パッドが前記式1による表面ゼータ電位に関する所定の条件、すなわち、前記式2~5のうち1つ以上による条件を満たす場合、前記研磨パッドとこれを適用する工程で用いられる研磨スラリーおよび研磨対象膜質との間の相互作用に対して信頼性のある研磨性能を実現することができる。
【0041】
一実現例において、前記第1組成物の水素イオン濃度(pH)が8~12であり、例えば、9~12、例えば、9.5超、12以下、例えば、9~11、例えば、10~12、例えば、10~11.5、例えば、10.5(±0.5)であり得る。
【0042】
一実現例において、前記第2組成物のpHは2~6であり、例えば、2~5であり、例えば、3~6であり、例えば、3~5であり、例えば、4(±0.5)であり得る。
【0043】
一実現例において、前記第3組成物の水素イオン濃度(pH)は7.5以上、9.5以下であり、例えば、7.8~9.3であり、例えば、7.8~9であり、例えば、8.5(±0.5)であり得る。
【0044】
前記第1組成物および前記第3組成物は塩基性スラリーであり、前記第2組成物は酸性スラリーであり得る。前記第1組成物および前記第3組成物は塩基性スラリーであるが、前記第1組成物はシリカ粒子を含み、前記第3組成物はセリア粒子を含み、これらは互いにpH値が例えば、約0.5~4.5、例えば、約0.5~4、例えば、約1~3.5、例えば、約1~3程度の差を有し得る。
【0045】
一実現例による前記研磨パッドにおいて、前記式1の固定層のゼータ電位は、研磨パッドの研磨層の化学的および物理的特性と標準組成物の種類とにより異なり得る。前記第1組成物を用いて前記研磨パッドの研磨面に対して測定された第1固定層のゼータ電位をIZ1とし、前記第2組成物を用いて前記研磨パッドの研磨面に対して測定された第2固定層のゼータ電位をIZ2とし、前記第3組成物を用いて前記研磨パッドの研磨面に対して測定された第3固定層のゼータ電位をIZ3とすると、前記第1組成物に対する固定層のゼータ電位値であるIZ1が約+5mV~約+30mVであり、前記第2組成物に対する固定層のゼータ電位値であるIZ2が約-5mV~約+15mVであり、前記第3組成物に対する固定層のゼータ電位値であるIZ3が-15mV~+10mVであり得る。
【0046】
具体的に、前記第1固定層のゼータ電位(IZ1)は、約+5mV~約+30mV、例えば、約+8mV~約+28mV、例えば、約+10mV~約+25mV、例えば、約+11mV~約+23mV、例えば、約+15mV~約+25mVであり得る。
【0047】
前記第2固定層のゼータ電位(IZ2)は、約-5mV~約+15mV、例えば、約-2mV~約+12mV、例えば、約-1mV~約8mV、例えば、約-0.7mV~約+6mV、例えば、約-0.7mV~約+4mVであり得る。
【0048】
前記第3固定層のゼータ電位(IZ3)は、約-15mV~約+10mV、例えば、約-10mV~約+8mV、例えば、約-10mV~約+7mV、例えば、約-9mV~約+6mV、例えば、約-8.8mV~約+6mVであり得る。
【0049】
一実現例において、前記第1組成物は、平均粒径が約130nm~約160nmのシリカ粒子を含み、ゼータ電位が-50mV~-30mVであり、前記第2組成物は、平均粒径が約30nm~約50nmのシリカ粒子を含み、ゼータ電位が+10mV~+30mVであり、前記第3組成物は、平均粒径が約130nm~約170nm、具体的に約130nm~約160nmのセリア粒子を含み、ゼータ電位が-55mV~-35mVであり得る。
【0050】
前記第1組成物、前記第2組成物および前記第3組成物のそれぞれのゼータ電位は、その成分およびそれぞれの含有量によって定められ得る。同じ成分を同じ含有量で含む任意の3つの組成物は、相互同じゼータ電位値を有するが、任意の3つの組成物が同じゼータ電位値を有するとして、必ずしも同一成分を同一含有量で含むとは限らない。
【0051】
一実現例において、前記第1組成物はフュームド(fumed)シリカ粒子を含み、前記第2組成物はコロイダル(colloidal)シリカ粒子を含み、前記第3組成物はセリア粒子、例えば湿式セリア粒子を含み得る。
【0052】
それぞれが前述の組成物のゼータ電位値を有しながら、同時にフュームドシリカ粒子を含む第1組成物、コロイダルシリカ粒子を含む第2組成物、セリア粒子を含む第3組成物に対する表面ゼータ電位が、前記式2~5のうち少なくとも1つの条件を満足する研磨面を有する研磨パッドは、互いに異なる種類の研磨スラリーを用いた研磨環境において研磨性能に優れた範囲で実現されることができ、スクラッチおよびチャッターマークなどの表面欠陥を最小化することができ、1つの研磨パッドで前記環境のそれぞれの工程に連続または不連続で適用が可能であり、いずれの膜質に対しても優れた研磨性能を保障する利点を有する。
【0053】
一実現例において、前記フュームドシリカ粒子は、平均粒径が130nm~160nmであり、例えば、140nm~160nmであり、例えば、150(±5)nmであり得る。一実現例において、前記コロイダルシリカ粒子は、平均粒径が30nm~50nmであり、例えば、30nm~45nmであり、例えば、40(±5)nmであり得る。一実現例において、前記セリア粒子は、平均粒径が130nm~170nmであり、例えば、130nm~160nmであり、例えば、140nm~160nmであり、例えば、150(±5)nmであり得る。
【0054】
本発明の実現例によると、前記第1組成物は、組成物自体のゼータ電位が-50mV~-30mVである組成物であり得る。前記第1組成物のゼータ電位は、例えば、-50mV~-35mV、-例えば、-50mV~-40mV、例えば、-48mV~-35mV、例えば、-48mV~-40mV、例えば、-47mV~-35mV、例えば、-47mV~-40mV、例えば、-46mV~-38mV、例えば、-46mV~-40mV、例えば、-45mV~-38mV、例えば、-45mV~-40mV、例えば、-44mV~-38mV、例えば、-44mV~-40mV、例えば、-43mV~-38mV、例えば、-43mV~-40mV、例えば、-42mV~-38mV、例えば、-42mV~-40mV、例えば、-42mV~-41mVであり得る。
【0055】
前記第2組成物のゼータ電位は、組成物自体のゼータ電位が+10mV~+30mVである組成物であり得る。前記第2組成物のゼータ電位は、例えば、+15mV~+30mV、例えば+20mV~+30mV、例えば、+20mV~+28mV、例えば、+20mV~+27mV、例えば、+20mV~+26mV、例えば、+20mV~+25mV、例えば、+20mV~+24mV、例えば、+20mV~+23mV、例えば、+21mV~+23mVであり得る。
【0056】
前記第3組成物のゼータ電位は、組成物自体のゼータ電位が-55mV~-35mVである組成物であり得る。前記第3組成物のゼータ電位は、例えば、-50mV~-35mV、例えば、-50mV~-40mV、例えば、-50mV~-43mV、例えば、-48mV~-43mV、例えば、-47mV~-43mV、例えば、-46mV~-43mV、例えば、-46mV~-44mVであり得る。
【0057】
それぞれが前述の組成物ゼータ電位値を有しながら、同時に前述の平均粒径を有するフュームドシリカ粒子を含む第1組成物と、前述の平均粒径を有するコロイダルシリカ粒子を含む第2組成物とに対する表面ゼータ電位が前記式2の条件を満足する研磨面を有する研磨パッドは、互いに異なる材質の膜質を有する研磨対象、より具体的に、オキサイド(Oxide)膜を有する研磨対象とタングステン(W)膜を有する研磨対象とに対する研磨工程が連続または不連続で行われる際、いずれの膜質に対しても優れた研磨性能を保障する利点を有する。
【0058】
また、それぞれが前述の組成物ゼータ電位値を有しながら、同時に前述の平均粒径を有するフュームドシリカ粒子を含む第1組成物と、前述の平均粒径を有するセリア粒子を含む第3組成物とに対する表面ゼータ電位が前記式3の条件を満足する研磨面を有する研磨パッドは、オキサイド膜を有する研磨対象に対するバルク工程および微細研磨工程が連続または不連続で行われる際、オキサイド膜に対するバルクおよび微細工程のいずれに対しても優れた研磨性能を保障する利点を有する。
【0059】
また、それぞれが前述の組成物ゼータ電位値を有しながら、同時に前述の平均粒径を有するフュームドシリカ粒子を含む第1組成物と、前述の平均粒径を有するコロイダルシリカ粒子を含む第2組成物と、前述の平均粒径を有するセリア粒子を含む第3組成物とに対する表面ゼータ電位が前記式4の条件を満足する研磨面を有する研磨パッドは、シリカスラリーおよびセリアスラリーを用いた各々の研磨工程が連続または不連続で行われる際、オキサイド膜、またはタングステン膜、またはこれらの両方に対して、表面欠陥もなく優れた研磨性能を保障する利点を有する。
【0060】
また、それぞれが前述の組成物のゼータ電位値を有しながら、同時にフュームドシリカ粒子を含む第1組成物と、コロイダルシリカ粒子を含む第2組成物と、セリア粒子を含む第3組成物とに対する表面ゼータ電位が前記式5の条件を満足する研磨面を有する研磨パッドは、互いに異なる研磨環境、より具体的に、スラリー環境が酸性および塩基性である場合、またはシリカスラリーとセリアスラリーである場合でも、優れた研磨性能を実現することができ、スクラッチおよびチャッターマークなどの表面欠陥を最小化することができ、1つの研磨パッドで前記環境のそれぞれの工程に連続および不連続適用が可能である利点を有する。
【0061】
前記第1組成物、前記第2組成物および前記第3組成物のゼータ電位は、それぞれに対して前述の前記数値範囲のいずれか1つの固定値を有する。これにより、前記第1組成物、前記第2組成物および前記第3組成物により導出される第1表面ゼータ電位(PZ1)、第2表面ゼータ電位(PZ2)および第3表面ゼータ電位(PZ3)もそれぞれ1つの固定値を有することとなる。
【0062】
前記PZ1は、例えば、-70mV~-45mV、例えば、-70mV~-48mV、例えば、-69mV~-50mV、例えば、-68mV~-50mV、例えば、-67mV~-50mV、例えば、-66mV~-51mV、例えば、-65mV~-51mVであり得る。
【0063】
前記PZ2は、例えば、+10mV~+30mV、例えば、+12mV~+28mV、+14mV~+26mV、+15mV~+26mV、+16mV~+26mV、+16mV~+25mV、または+16mV~+23mVであり得る。
【0064】
前記PZ3は、例えば、-60mV~-30mV、例えば、-58mV~-30mV、例えば、-56mV~-32mV、例えば、-55mV~-32mV、例えば、-55mV~-35mV、例えば、-54mV~-35mV、例えば、-52mV~-35mVであり得る。
【0065】
一実現例による研磨パッドは、少なくとも1つのPZ1値と少なくとも1つのPZ2値が前記式2の条件を満足さえすれば、他の1つのPZ1値と他の1つのPZ2値が前記式2の条件を満足しなくとも、本発明において目的とする利点を実現し得る。すなわち、前記式2の条件は、前記研磨面の第1表面ゼータ電位(PZ1)のうち少なくとも1つの値と、第2表面ゼータ電位(PZ2)のうち少なくとも1つの値との比(PZ1/PZ2)が-20~0の範囲に該当するということであり、前記PZ1/PZ2は、例えば、-10~0、例えば、-5~0、例えば、-4~0、例えば、-3~0であり得る。
【0066】
また他の一実現例による研磨パッドは、少なくとも1つのPZ1値と少なくとも1つのPZ3値とが前記式3の条件を満足さえすれば、他の1つのPZ1値と他の1つのPZ3値とが前記式3の条件を満足しなくとも、本発明において目的とする利点を実現し得る。すなわち、前記式3の条件は、前記研磨面の第1表面ゼータ電位(PZ1)のうち少なくとも1つの値と、第3表面ゼータ電位(PZ3)のうち少なくとも1つの値との比(PZ1/PZ3)が1~5の範囲に該当するということであり、前記PZ1/PZ3は、例えば、1超、5以下、例えば、1超、3以下、例えば、1超、2以下、例えば、1.05~1.8、例えば、1.05~1.5であり得る。
【0067】
また他の一実現例による前記研磨パッドは、前記第1表面ゼータ電位(PZ1)のうち少なくとも1つと、前記第2表面ゼータ電位(PZ2)のうち少なくとも1つと、前記第3表面ゼータ電位(PZ3)のうち少なくとも1つとが前記式4の条件を満足さえすれば、他の1つのPZ1値、他の1つのPZ2値および他の1つのPZ3値のうちのいずれかが前記式4の条件を満足しなくとも、本発明において目的とする利点を実現し得る。すなわち、前記式4の条件は、前記研磨面の第1表面ゼータ電位(PZ1)のうち少なくとも1つの値と第2表面ゼータ電位(PZ2)のうち少なくとも1つの値との積(PZ1×PZ2)、および前記第3表面ゼータ電位(PZ3)のうち少なくとも1つの値の比(PZ1×PZ2/PZ3)が1.1~50の範囲に該当するということであり、前記PZ1×PZ2/PZ3は、例えば、5~50、例えば、10~50、例えば、15~40、例えば、17~35であり得る。
【0068】
前記PZ1×PZ2/PZ3において、PZ1およびPZ2は同系のシリカ粒子(フュームドシリカ粒子またはコロイダルシリカ粒子)を含む組成物(第1組成物または第2組成物)から導出された表面ゼータ電位値に該当し、PZ3はセリア粒子を含む組成物から導出された表面ゼータ電位値に該当するので、前記PZ1×PZ2/PZ3は、シリカ粒子を含む組成物から導出された表面ゼータ電位値とセリア粒子を含む組成物から導出された表面ジェタン電位値との比のことを意味し得る。前記式4を満足する研磨面を有する研磨パッドは、互いに異なる種類の研磨スラリー、より具体的に、シリカスラリーおよびセリアスラリーを用いた研磨環境において研磨性能に優れた範囲で実現されることができ、スクラッチおよびチャッターマークなどの表面欠陥を最小化することができ、1つの研磨パッドでシリカスラリーおよびセリアスラリーそれぞれの工程に連続または不連続的で適用が可能である利点を有する。
【0069】
また他の一実現例による前記研磨パッドは、前記第1表面ゼータ電位(PZ1)のうち少なくとも1つと、前記第2表面ゼータ電位(PZ2)のうち少なくとも1つと、前記第3表面ゼータ電位(PZ3)のうち少なくとも1つとが前記式5の条件を満足さえすれば、他の1つのPZ1値、他の1つのPZ2値および他の1つのPZ3値のうちのいずれかが前記式5の条件を満足しなくとも、本発明において目的とする利点を実現し得る。すなわち、前記式5の条件は、前記研磨面の第2表面ゼータ電位(PZ2)のうち少なくとも1つの値と第1表面ゼータ電位(PZ1)のうち少なくとも1つの値との差(PZ2-PZ1)、および前記研磨面の第2表面ゼータ電位(PZ2)のうち少なくとも1つの値と第3表面ゼータ電位(PZ3)のうち少なくとも1つの値との差(PZ2-PZ3)の比((PZ2-PZ1)/(PZ2-PZ3))が1~5の範囲に該当するということであり、前記(PZ2-PZ1)/(PZ2-PZ3)は、例えば、1超、5以下、例えば、1.02~4、例えば、1.02~3、例えば、1.02~2であり得る。
【0070】
一方、前記研磨面の第2表面ゼータ電位(PZ2)のうち少なくとも1つの値と第1表面ゼータ電位(PZ1)のうち少なくとも1つの値との差(PZ2-PZ1)は50mV~100mVであり得る。前記PZ2-PZ1は、例えば、60mV~100mV、例えば、65mV~100mV、例えば、65mV~95mV、または例えば、65mV~90mVであり得る。
【0071】
前記研磨面の第2表面ゼータ電位(PZ2)のうち少なくとも1つの値と第3表面ゼータ電位(PZ3)のうち少なくとも1つの値との差(PZ2-PZ3)は40mV~80mVであり得る。前記PZ2-PZ3は、例えば、45mV~75mV、例えば、50mV~75mV、例えば、55mV~75mV、または例えば、64mV~75mVであり得る。
【0072】
前記PZ2-PZ1および前記PZ2-PZ3が前記範囲を満足することにより、前記研磨パッドを実際の工程に適用することにおいて、互いに異なる組成物(研磨スラリー)の環境、または互いに異なる種類の組成物を用いた研磨が、同時に優れた性能で実現することができ、オキサイド膜またはタングステン膜上に現れるスクラッチおよびチャッターマークなどの表面欠陥の特性を改善させ得る。
【0073】
一実現例において、前記研磨パッドはその研磨面に対して、前記第1組成物を用いてオキサイド膜を研磨した場合の研磨率(OR1)が2750Å/分以上、2955Å/分未満であり得る。前記OR1は、例えば、2780Å/分以上、2955Å/分未満、例えば、2800Å/分以上、2955Å/分未満、例えば、2850Å/分~2952Å/分、例えば、2890Å/分~2950Å/分、例えば、2900Å/分超、2950Å/分以下、例えば、2920Å/分~2950Å/分であり得る。
【0074】
前記研磨パッドはその研磨面に対して、前記第2組成物を用いてタングステン(W)膜を研磨した場合の研磨率(WR2)が730Å/分以上、850Å/分以下であり得る。前記WR2は、例えば、730Å/分~830Å/分、例えば、770Å/分~820Å/分、例えば、780Å/分~800Å/分、例えば、783Å/分~800Å/分であり得る。
【0075】
前記研磨パッドはその研磨面に対して、前記第3組成物を用いてオキサイド膜を研磨した場合の研磨率(OR3)が2200Å/分以上、2955Å/分以下であり得る。前記OR3は、例えば、2200Å/分~2800Å/分、例えば、2200Å/分~2700Å/分、例えば、2200Å/分~2600Å/分、例えば、2300Å/分~2600Å/分であり得る。
【0076】
一実現例において、前記研磨パッドは、前記WR2に対する前記OR1の比(OR1/WR2)が3.0~4.5、例えば、3.2~4.2、例えば、3.5~4.0、例えば、3.6~3.8、例えば、3.65~3.78であり得る。
【0077】
前記OR1およびWR2は、前記研磨パッドのオキサイド膜とタングステン(W)膜に対する研磨性能の中で、特に研磨速度に対する要素が目的とするレベルで実現されたか否かを判断し得る間接的指標となり得る。前記研磨性能は、研磨速度だけでなく、研磨選択性および構造的欠陥の発生程度など、様々な性能を総合的に考慮して評価され得る。一実現例による前記研磨パッドは、前記OR1およびWR2に関する事項を満足する研磨面を有することにより、適正な研磨速度を実現すると同時に、ディッシング(Dishing)、スクラッチ(Scratch)、チャッターマーク(Chatter Mark)などの構造的欠陥が最小化する利点を実現し得る。
【0078】
また他の一実現例において、前記研磨パッドは、前記OR3に対する前記OR1の比(OR1/OR3)が1.0~1.5、例えば、1.1~1.4、例えば、1.12~1.30、例えば、1.12~1.17、例えば、1.24~1.30であり得る。
【0079】
前記OR1およびOR3は、シリカ研磨スラリーおよび/またはセリア研磨スラリーを用いて、前記研磨パッドのオキサイド膜に対するバルク工程および微細工程の様々な工程において、研磨速度に対する要素が目的とするレベルで実現されたか否かを判断し得る間接的指標となり得る。前記研磨性能は、研磨速度だけでなく、研磨選択性および構造的欠陥の発生程度など、様々な性能を総合的に考慮して評価され得る。一実現例による前記研磨パッドは、前記OR1およびOR3に関する事項を満足する研磨面を有し、適正な研磨速度を実現し得ると同時に、ディッシング、スクラッチ、チャッターマークなどの構造的欠陥が最小化する利点を実現し得る。
【0080】
また他の一実現例において、前記OR3に対する前記OR1とWR2との積の比(OR1×WR2/OR3)が800~1300、例えば、850~1250、例えば、890~1200、例えば、890~1020、または、例えば、930~1020であり得る。
【0081】
前記OR1、WR2およびOR3は、前記研磨パッドのオキサイド膜とタングステン膜に対する研磨性能の中で、特に研磨速度に対する要素が目的とするレベルで実現されたか否かを判断し得る間接的指標となり得る。前記研磨性能は、研磨速度だけでなく、研磨選択性および構造的欠陥の発生程度など、様々な性能を総合的に考慮して評価され得る。一実現例による前記研磨パッドは、前記OR1、WR2およびOR3に関する事項を満足する研磨面を有することにより、適正な研磨速度を実現すると同時に、ディッシング、スクラッチ、チャッターマークなどの構造的欠陥が最小化する利点を実現し得る。
【0082】
また他の一実現例において、さらに、前記WR2とOR3との差(WR2-OR3)に対する前記WR2とOR1との差(WR2-OR1)の比(WR2-OR1/WR2-OR3)は1~2、例えば、1~1.8、例えば、1~1.6、例えば、1~1.5、または、例えば、1.1~1.5であり得る。
【0083】
前記OR1、WR2およびOR3は、前記研磨パッドのオキサイド膜とタングステン膜に対する研磨性能の中で、特に研磨速度に対する要素が目的とするレベルで実現されたか否かを判断し得る間接的指標となり得る。前記研磨性能は、研磨速度だけでなく、研磨選択性および構造的欠陥の発生程度など、様々な性能を総合的に考慮して評価され得る。一実現例による前記研磨パッドは、前記OR1、WR2およびOR3に関する事項を満足する研磨面を有することにより、適正な研磨速度を実現すると同時に、ディッシング、スクラッチ、チャッターマークなどの構造的欠陥が最小化する利点を実現し得る。
【0084】
一実現例において、前記研磨層は、複数の気孔を含む多孔質構造であり得る。具体的に、前記研磨層に含まれている複数の気孔の数平均径は約10μm~約40μm、例えば、約10μm~約35μm、例えば、約12μm~約30μm、例えば、約14μm~約30μm、例えば、約16μm~約30μm、例えば、約14μm~約28μm、例えば、約16μm~約28μmであり得る。前記気孔の数平均径は、複数の気孔径の和を複数の気孔数で除した平均値と定義され得る。
【0085】
一実現例において、前記研磨層は、ウレタン系プレポリマー、硬化剤および発泡剤を含む組成物から形成された硬化物を含む研磨層を含み得る。
前記組成物に含まれる各成分を以下で具体的に説明する。
【0086】
「プレポリマー(prepolymer)」とは、硬化物の製造において、成形しやすいように重合度を中間段階で中止した比較的低い分子量を有する高分子のことを意味する。プレポリマーは、それ自体で、または他の重合性化合物と反応させた後、最終硬化物として成形され得る。
【0087】
一実現例において、前記ウレタン系プレポリマーは、イソシアネート化合物とポリオールとを反応させて調製され得る。
【0088】
前記ウレタン系プレポリマーの調製に用いられるイソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを使用し得る。
【0089】
前記イソシアネート化合物は、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-toluene diisocyanate、2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-toluene diisocyanate、2,6-TDI)、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(naphthalene-1,5-diisocyanate)、パラ-フェニレンジイソシアネート(p-phenylene diisocyanate)、トリジンジイソシアネート(tolidine diisocyanate)、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'-diphenyl methane diisocyanate)、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(dicyclohexylmethane diisocyanate)、イソホロンジイソシアネート(isophorone diisocyanate)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含み得る。
【0090】
前記ポリオールは、分子あたりのヒドロキシ基(-OH)を少なくとも2以上含む化合物として、例えば、ポリエーテル系ポリオール(polyether polyol)、ポリエステル系ポリオール(polyester polyol)、ポリカーボネート系ポリオール(polycarbonate polyol)、アクリル系ポリオール(acryl polyol)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含み得る。
【0091】
前記ポリオールは、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含み得る。
【0092】
前記ポリオールは、約100g/mol~約3000g/molの重量平均分子量(Mw)を有し得る。前記ポリオールは、例えば、約100g/mol~約3000g/mol、例えば、約100g/mol~約2000g/mol、例えば、約100g/mol~約1800g/molの重量平均分子量(Mw)を有し得る。
【0093】
一実現例において、前記ポリオールは、重量平均分子量(Mw)が約100g/mol以上、約300g/mol未満の低分子量ポリオールと、重量平均分子量(Mw)が約300g/mol以上、約1800g/mol以下の高分子量ポリオールとを含み得る。
【0094】
前記ウレタン系プレポリマーは、約500g/mol~約3000g/molの重量平均分子量(Mw)を有し得る。前記ウレタン系プレポリマーは、例えば、約1000g/mol~約2000g/mol、例えば、約1000g/mol~約1500g/molの重量平均分子量(Mw)を有し得る。
【0095】
一実現例において、前記ウレタン系プレポリマーを調製するためのイソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネート化合物を含み、前記芳香族ジイソシアネート化合物は、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)と2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)とを含み得る。前記ウレタン系プレポリマーを調製するためのポリオール化合物は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)とジエチレングリコール(DEG)とを含み得る。
【0096】
他の実現例において、前記ウレタン系プレポリマーを調製するためのイソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネート化合物と脂環式ジイソシアネート化合物とを含み、例えば、前記芳香族ジイソシアネート化合物は、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)と2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)とを含み、前記脂環式ジイソシアネート化合物は、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)を含み得る。前記ウレタン系プレポリマーを調製するためのポリオール化合物は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)とジエチレングリコール(DEG)とを含み得る。
【0097】
前記ウレタン系プレポリマーは、イソシアネート末端基の含有量(NCO%)が約5重量%~約11重量%、例えば、約5重量%~約10重量%、例えば、約5重量%~約8重量%、例えば、約8重量%~約10重量%であり得る。
【0098】
前記ウレタン系プレポリマーのイソシアネート末端基の含有量(NCO%)は、前記ウレタン系プレポリマーを調製するためのイソシアネート化合物およびポリオール化合物の種類および含有量、前記ウレタン系プレポリマーを調製する工程の温度、圧力、時間などの工程条件および前記ウレタン系プレポリマーの調製に用いられる添加剤の種類および含有量などを総合的に調節して設計され得る。
【0099】
前記ウレタン系プレポリマーのイソシアネート末端基の含有量(NCO%)が前述の範囲を満足すると、後続で前記ウレタン系プレポリマーと硬化剤とを反応する際の反応速度、反応時間、および最終的な硬化構造などが、最終研磨パッドの用途および使用目的に応じた研磨性能に有利な方向で調節され得る。
【0100】
一実現例において、前記ウレタン系プレポリマーのイソシアネート末端基の含有量(NCO%)が、約8重量%~約10重量%、例えば、約8重量%~約9.4重量%であり得る。前記NCO%が前記範囲未満であると、前記研磨パッド内の化学的硬化構造に基づく電気的特性として、前記第1表面ゼータ電位、前記第2表面ゼータ電位、および前記第3表面ゼータ電位が、研磨率および平坦度の面で目的とする研磨性能を実現できなくなるおそれがあり、切削率の過度の増加等により研磨パッドの寿命が減少する問題があり得る。一方、前記NCO%が前記範囲を超えると、半導体基板のスクラッチおよびチャッターマークなどの表面欠陥が増加し得る。
【0101】
前記硬化剤は、前記ウレタン系プレポリマーと化学的に反応して、前記研磨層内の最終的な硬化構造を形成するための化合物として、例えば、アミン化合物またはアルコール化合物を含み得る。具体的に、前記硬化剤は、芳香族アミン、脂肪族アミン、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含み得る。
【0102】
例えば、前記硬化剤は、4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)(4,4'-methylenebis(2-chloroaniline);MOCA)、ジエチルトルエンジアミン(diethyltoluenediamine;DETDA)、ジアミノジフェニルメタン(diaminodiphenylmethane)、ジメチルチオトルエンジアミン(dimethyl thio-toluene diamine;DMTDA)、プロパンジオールビスp-アミノベンゾエート(propanediol bis p-aminobenzoate)、メチレンビス-メチルアントラニル酸(Methylene bis-methylanthranilate)、ジアミノジフェニルスルホン(diaminodiphenylsulfone)、m-キシリレンジアミン(m-xylylenediamine)、イソホロンジアミン(isophoronediamine)、エチレンジアミン(ethylenediamine)、ジエチレントリアミン(diethylenetriamine)、トリエチレンテトラアミン(triethylenetetramine)、ポリプロピレンジアミン(polypropylenediamine)、ポリプロピレントリアミン(polypropylenetriamine)、ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)メタン(bis(4-amino-3-chlorophenyl)methane)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含み得る。
【0103】
前記硬化剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準に、約18重量部~約27重量部、例えば、約19重量部~約26重量部、例えば、約20重量部~約26重量部であり得る。前記硬化剤の含有量が前記範囲を満足すると、目的とする研磨パッドの表面ゼータ電位の比を実現するのにさらに有利であり得る。
【0104】
一実現例において、前記硬化剤は、4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)またはジメチルチオトルエンジアミンを含んでよく、前記硬化剤を前記ウレタン系プレポリマー100重量部に対して約21重量部~約26重量部で含み得る。これにより、前記研磨層中のウレタン硬化構造が前記ウレタン系プレポリマーと前記硬化剤の反応による化学的特徴に基づいた電気的特性を示すことができ、このような電気的特性が、前記研磨パッドにより実現しようとする研磨性能を目的の範囲で実現するのに有利であり得る。
【0105】
前記発泡剤は、前記研磨層内の気孔構造を形成するための成分として固相発泡剤、気相発泡剤、液相発泡剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含み得る。一実現例において、前記発泡剤は、固相発泡剤、気相発泡剤、またはこれらの組み合わせを含み得る。
【0106】
前記固相発泡剤の平均粒径は約5μm~約200μm、例えば、約20μm~約50μm、例えば、約21μm~約50μm、例えば、約25μm~約45μmであり得る。前記固相発泡剤の平均粒径は、前記固相発泡剤が、後述するところによる熱膨張された(expanded)粒子の場合、熱膨張された粒子自体の平均粒径のことを意味し、前記固相発泡剤が、後述するところによる未膨張(unexpanded)の粒子の場合、熱または圧力によって膨張された後の粒子の平均粒径のことを意味し得る。
【0107】
前記固相発泡剤は膨張性粒子を含み得る。前記膨張性粒子は、熱または圧力などによって膨張が可能な特性を有する粒子であって、前記研磨層を製造する過程で加えられる熱または圧力などによって最終研磨層内における大きさが定められ得る。前記膨張性粒子は、熱膨張された(expanded)粒子、未膨張(unexpanded)の粒子、またはこれらの組み合わせを含み得る。前記熱膨張された粒子は熱によって事前に膨張された粒子であって、前記研磨層の製造過程で加えられる熱または圧力によるサイズ変化が小さいかほとんどない粒子のことを意味する。前記未膨張の粒子は事前に膨張されていない粒子であって、前記研磨層の製造過程で加えられる熱または圧力によって膨張して最終的なサイズが定められる粒子のことを意味する。
【0108】
前記膨張性粒子は、樹脂材質の外皮と、前記外皮により封入された内部に存在する膨張誘発成分とを含み得る。
【0109】
例えば、前記外皮は熱可塑性樹脂を含んで良く、前記熱可塑性樹脂は、塩化ビニリデン系共重合体、アクリロニトリル系共重合体、メタクリロニトリル系共重合体、およびアクリル系共重合体からなる群より選択された1種以上であり得る。
【0110】
前記膨張誘発成分は、炭化水素化合物、クロロフルオロ化合物、テトラアルキルシラン化合物、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含み得る。
【0111】
具体的に、前記炭化水素化合物は、エタン(ethane)、エチレン(ethylene)、プロパン(propane)、プロペン(propene)、n-ブタン(n-butane)、イソブタン(isobutene)、n-ブテン(butene)、イソブテン(isobutene)、n-ペンタン(n-pentane)、イソペンタン(isopentane)、ネオペンタン(neopentane)、n-ヘキサン(n-hexane)、ヘプタン(heptane)、石油エーテル(petroleum ether)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含み得る。
【0112】
前記クロロフルオロ化合物は、トリクロロフルオロメタン(trichlorofluoromethane、CClF)、ジクロロジフルオロメタン(dichlorodifluoromethane、CCl)、クロロトリフルオロメタン(chlorotrifluoromethane、CClF)、テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene、CClF-CClF)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含み得る。
【0113】
前記テトラアルキルシラン化合物は、テトラメチルシラン(tetramethylsilane)、トリメチルエチルシラン(trimethylethylsilane)、トリメチルイソプロピルシラン(trimethylisopropylsilane)、トリメチル-n-プロピルシラン(trimethyl-n-propylsilane)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含み得る。
【0114】
前記固相発泡剤は、必要に応じて無機成分処理粒子を含み得る。例えば、前記固相発泡剤は、無機成分処理された膨張性粒子を含み得る。一実現例において、前記固相発泡剤は、シリカ(SiO)粒子処理された膨張性粒子を含み得る。前記固相発泡剤の無機成分処理は、複数の粒子間凝集を防止し得る。前記無機成分処理された固相発泡剤は、無機成分処理されていない固相発泡剤とは発泡剤表面の化学的、電気的および/または物理的特性が異なり得る。
【0115】
前記固相発泡剤の含有量は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準に、約0.5重量部~約10重量部、例えば、約1重量部~約3重量部、例えば、約1.3重量部~約2.7重量部、例えば、約1.3重量部~約2.6重量部であり得る。
【0116】
前記研磨層の目的とする気孔構造および物性に応じて前記固相発泡剤の種類および含有量を設計し得る。
【0117】
前記気相発泡剤は不活性ガスを含み得る。前記気相発泡剤は、前記ウレタン系プレポリマーと前記硬化剤とが反応する過程で投入され、気孔形成要素として使用され得る。
【0118】
前記不活性ガスは、前記ウレタン系プレポリマーと前記硬化剤間の反応に関与しないガスであれば、種類は特に限定されない。例えば、前記不活性ガスは、窒素ガス(N)、アルゴンガス(Ar)、ヘリウムガス(He)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含み得る。具体的に、前記不活性ガスは、窒素ガス(N)またはアルゴンガス(Ar)を含み得る。
【0119】
前記研磨層の目的とする気孔構造および物性に応じて前記気相発泡剤の種類および含有量を設計し得る。
一実現例において、前記発泡剤は固相発泡剤を含み得る。例えば、前記発泡剤は、固相発泡剤のみからなり得る。
【0120】
前記固相発泡剤は膨張性粒子を含み、前記膨張性粒子は熱膨張された粒子を含み得る。例えば、前記固相発泡剤は、熱膨張された粒子のみからなり得る。前記未膨張の粒子を含まず、熱膨張された粒子のみからなると、気孔構造の可変性は低下するが、事前予測の可能性が高くなり、前記研磨層の全領域にわたって均質の気孔特性を実現するのに有利であり得る。
【0121】
一実現例において、前記熱膨張された粒子は、約5μm~約200μmの平均粒径を有する粒子であり得る。前記熱膨張された粒子の平均粒径は約5μm~約100μm、例えば、約10μm~約80μm、例えば、約20μm~約70μm、例えば、約20μm~約50μm、例えば、約30μm~約70μm、例えば、約25μm~45μm、例えば、約40μm~約70μm、例えば、約40μm~約60μmであり得る。前記平均粒径は、前記熱膨張された粒子のD50と定義される。
【0122】
一実現例において、前記熱膨張された粒子の密度は、約30kg/m~約80kg/m、例えば、約35kg/m~約80kg/m、例えば、約35kg/m~約75kg/m、例えば、約38kg/m~約72kg/m、例えば、約40kg/m~約75kg/m、例えば、約40kg/m~約72kg/mであり得る。
【0123】
一実現例において、前記固相発泡剤は、無機成分処理されていない膨張性粒子を含み得る。具体的に、前記固相発泡剤は、無機成分処理されていない膨張性粒子からなり得る。前記固相発泡剤として無機成分処理されていない膨張性粒子を使用することにより、前記固相発泡剤表面の化学的、電気的特性が、目的とする表面ゼータ電位特性を実現するのに有利であり得る。
【0124】
一実現例において、前記発泡剤は気相発泡剤を含み得る。例えば、前記発泡剤は、固相発泡剤および気相発泡剤を含み得る。前記固相発泡剤に関する事項は、前述の通りである。
【0125】
前記気相発泡剤は窒素ガスを含み得る。
【0126】
前記気相発泡剤は、前記ウレタン系プレポリマー、前記固相発泡剤および前記硬化剤が混合される過程の中で、所定の注入ラインを介して注入され得る。前記気相発泡剤の注入速度は、約0.8L/min~約2.0L/min、例えば、約0.8L/min~約1.8L/min、例えば、約0.8L/min~約1.7L/min、例えば、約1.0L/min~約2.0L/min、例えば、約1.0L/min~約1.8L/min、例えば、約1.0L/min~約1.7L/minであり得る。
【0127】
前記研磨層を製造するための組成物は、界面活性剤、反応速度調整剤などのその他の添加剤をさらに含み得る。前記「界面活性剤」、「反応速度調整剤」などの名称は、当該物質の主な役割に基づいて任意に指す名称であり、それぞれの当該物質が必ずしもその名称による役割に限った機能のみを行うわけではない。
【0128】
前記界面活性剤は、気孔の凝集または重なりなどの現象を防止する役割をする物質であれば特に制限されない。例えば、前記界面活性剤はシリコーン系界面活性剤を含み得る。
【0129】
前記界面活性剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準に、約0.2重量部~約2重量部の含有量で使用され得る。具体的に、前記界面活性剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準に約0.2重量部~約1.9重量部、例えば、約0.2重量部~約1.8重量部、例えば、約0.2重量部~約1.7重量部、例えば、約0.2重量部~約1.6重量部、例えば、約0.2重量部~約1.5重量部、例えば、約0.5重量部~1.5重量部の含有量で含まれ得る。前記範囲内の含有量で界面活性剤を含むと、気相発泡剤由来の気孔がモールド内で安定して形成および維持され得る。
【0130】
前記反応速度調整剤は、反応促進または反応遅延の役割をするものであって、目的に応じて反応促進剤、反応抑制剤、またはそのいずれも使用し得る。前記反応速度調整剤は反応促進剤を含み得る。例えば、前記反応促進剤は、3級アミン系化合物および有機金属系化合物からなる群より選択された1種以上の反応促進剤であり得る。
【0131】
具体的に、前記反応速度調整剤は、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルブタンジアミン、2-メチル-トリエチレンジアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、1,4-ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン、ビス(2-メチルアミノエチル)エーテル、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N,N,N,N''-ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ベンジルジメチルアミン、N-エチルモルホリン、N,N-ジメチルアミノエチルモルホリン、N、N-ジメチルシクロヘキシルアミン、2-メチル-2-アザノルボルナン、ジブチルスズジラウレート、スタナスオクトエート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジアセテート、ジブチルスズマレート、ジブチルスズジ-2-エチルヘキサノエート、およびジブチルスズジメルカプチドからなる群より選択された1種以上を含み得る。具体的に、前記反応速度調整剤は、ベンジルジメチルアミン、N、N-ジメチルシクロヘキシルアミン、およびトリエチルアミンからなる群より選択された1種以上を含み得る。
【0132】
前記反応速度調整剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準に、約0.05重量部~約2重量部の量で使用され得る。具体的に、前記反応速度調整剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準に、約0.05重量部~約1.8重量部、例えば、約0.05重量部~約1.7重量部、例えば、約0.05重量部~約1.6重量部、例えば、約0.1重量部~約1.5重量部、例えば、約0.1重量部~約0.3重量部、例えば、約0.2重量部~約1.8重量部、例えば、約0.2重量部~約1.7重量部、例えば、約0.2重量部~約1.6重量部、例えば、約0.2重量部~約1.5重量部、例えば、約0.5重量部~約1重量部の量で使用され得る。前記反応速度調整剤が前述の含有量の範囲で用いられると、プレポリマー組成物の硬化反応速度を適切に調節して、所望のサイズの気孔および硬度を有する研磨層を形成し得る。
【0133】
一実現例において、前記研磨層内の無機物の含有量が約5ppm~約500ppmであり得る。
【0134】
前記無機物は、例えばケイ素(Si)元素、リン(P)元素、およびカルシウム(Ca)元素からなる群より選択された1種以上の元素を含み得る。
【0135】
前記無機物は、さまざまなソース(source)によって由来し得る。例えば、前記無機物は発泡剤などの前記研磨層の製造過程で用いられる各種添加剤に由来したものであり得る。この際、前記無機物のソースとなる添加剤は、例えば、発泡剤、界面活性剤、反応速度調整剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含み得る。
【0136】
前記研磨層内の無機物の含有量は、発泡剤またはその他の添加剤のいずれか1つのみを単独で用い、その種類および含有量を調節することにより適切な範囲で設計されても良く、発泡剤およびその他の添加剤を同時に用い、その種類および含有量を調節することにより適切な範囲に設計されても良い。
【0137】
前記研磨層内の無機物の含有量は、約5ppm~約500ppm、例えば、約5ppm~約400ppm、例えば、約8ppm~約300ppm、例えば、約220ppm~約400ppm、例えば、約5ppm~約180ppmであり得る。この際、前記研磨層内の無機物の含有量は、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectrometer)分析によって測定されたものであり得る。
【0138】
前記研磨層内の無機物の含有量は、前記研磨パッドの表面ゼータ電位に重要な影響を与えることができ、前記無機物の含有量が前記範囲を満足すると、目的とする研磨パッドの表面ゼータ電位、具体的に研磨スラリーの種類による研磨パッドの表面ゼータ電位の比を所定の範囲に実現し得る。もし、前記無機物の含有量が研磨層内で約500ppmを超えると、研磨層の組成が変わり、研磨パッドの表面ゼータ電位が変わることがあり、そうすると、半導体素子の製造過程において、前記研磨層と研磨スラリーとの間の電気的相関性が半導体基板のスクラッチおよびチャッターマークなどの表面欠陥を著しく増加させる方向に変わり得る。
【0139】
以下、前記研磨パッドを製造する方法を詳細に説明する。
【0140】
本発明による他の実現例において、プレポリマー組成物を調製する段階と、前記プレポリマー組成物、発泡剤および硬化剤を含む研磨層製造用組成物を調製する段階と、前記研磨層製造用組成物を硬化して研磨層を製造する段階とを含む研磨パッドの製造方法を提供し得る。
【0141】
前記プレポリマー組成物を調製する段階は、ジイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させてウレタン系プレポリマーを調製する工程であり得る。前記ジイソシアネート化合物および前記ポリオール化合物に関する事項は、前記研磨パッドについて前述した通りである。
【0142】
前記プレポリマー組成物のイソシアネート基(NCO基)の含有量は、約5重量%~約15重量%、例えば、約5重量%~約8重量%、例えば、約5重量%~約7重量%、例えば、約8重量%~約15重量%、例えば、約8重量%~約14重量%、例えば、約8重量%~約12重量%、例えば、8重量%~約10重量%であり得る。
【0143】
前記プレポリマー組成物のイソシアネート基含有量は、前記ウレタン系プレポリマーの末端イソシアネート基、前記ジイソシアネート化合物のうち反応していない未反応イソシアネート基等に由来し得る。
【0144】
前記プレポリマー組成物の粘度は、約80℃にて約100cps~約1000cpsであり、例えば、約200cps~約800cpsであり、例えば、約200cps~約600cpsであり、例えば、約200cps~約550cpsであり、例えば、約300cps~約500cpsであり得る。
【0145】
前記発泡剤が固相発泡剤または気相発泡剤を含み得る。
【0146】
前記発泡剤が固相発泡剤を含む場合、前記研磨層製造用組成物を調製する段階は、前記プレポリマー組成物と前記固相発泡剤とを混合して第1予備組成物を調製する段階と、前記第1予備組成物と硬化剤とを混合して第2予備組成物を調製する段階とを含み得る。
【0147】
前記第1予備組成物の粘度は約80℃にて、約1000cps~約2000cpsであり、例えば、約1000cps~約1800cpsであり、例えば、約1000cps~約1600cpsであり、例えば、約1000cps~約1500cpsであり得る。
【0148】
前記発泡剤が気相発泡剤を含む場合、前記研磨層製造用組成物を調製する段階は、前記プレポリマー組成物と前記硬化剤とを含む第3予備組成物を調製する段階と、前記第3予備組成物に前記気相発泡剤を注入して第4予備組成物を調製する段階とを含み得る。
【0149】
一実現例において、前記第3予備組成物は固相発泡剤をさらに含み得る。
【0150】
一実現例において、前記研磨層を製造する工程は、第1温度で予熱されたモールドを準備する段階と、前記予熱されたモールドに前記研磨層製造用組成物を注入して硬化させる段階と、硬化された前記研磨層製造用組成物を、前記予熱温度よりも高い第2温度条件下で後硬化する段階とを含み得る。
【0151】
一実現例において、前記第1温度と前記第2温度との温度差は約10℃~約40℃であり、例えば、約10℃~約35℃であり、例えば、約15℃~約35℃であり得る。
【0152】
一実現例において、前記第1温度は約60℃~約100℃、例えば、約65℃~約95℃、例えば、約70℃~約90℃であり得る。
【0153】
一実現例において、前記第2温度は約100℃~約130℃であり、例えば、約100℃~125℃であり、例えば、約100℃~約120℃であり得る。
【0154】
前記研磨層製造用組成物を前記第1温度下で硬化させる段階は、約5分~約60分、例えば、約5分~約40分、例えば、約5分~約30分、例えば、約5分~約25分間行われ得る。
【0155】
前記第1温度下で硬化された研磨層製造用組成物を前記第2温度下で後硬化する段階は約5時間~約30時間、例えば、約5時間~約25時間、例えば、約10時間~約30時間、例えば、約10時間~約25時間、例えば、約12時間~約24時間、例えば、約15時間~約24時間行われ得る。
【0156】
前記研磨パッドの製造方法は、前記研磨層の少なくとも一面を加工する段階を含み得る。
【0157】
前記研磨層の少なくとも一面を加工する段階は、前記研磨層の少なくとも一面上に溝(groove)を形成する段階(1)と、前記研磨層の少なくとも一面を旋削(line turning)加工する段階(2)と、前記研磨層の少なくとも一面を粗面化する段階(3)とのうち少なくとも1つの段階を含み得る。
【0158】
前記段階(1)において、前記溝は、前記研磨層の中心から所定の間隔で離隔形成される同心円状の溝と、前記研磨層の中心から前記研磨層のエッジ(edge)まで連続連結される放射状の溝のうち少なくとも1つを含み得る。
【0159】
前記段階(2)において、前記旋削(line turning)加工は、切削工具を用いて前記研磨層を所定の厚さの分を削り取る方法により行われ得る。
【0160】
前記段階(3)において、前記粗面化は、前記研磨層の表面を研削ローラー(Sanding roller)で加工する方法により行われ得る。
【0161】
前記研磨パッドの製造方法は、前記研磨層の研磨面の裏面上にクッション層を積層する段階をさらに含み得る。
【0162】
前記研磨層と前記クッション層とは、熱溶着接着剤を介して積層され得る。
【0163】
前記研磨層の研磨面の裏面上に前記熱溶着接着剤を塗布し、前記クッション層の前記研磨層と当接する表面上に前記熱溶着接着剤を塗布し、それぞれの熱溶着接着剤が塗布された面が当接するように前記研磨層と前記クッション層とを積層した後、加圧ローラーを用いて2つの層を融着させ得る。
【0164】
前記クッション層は、前記研磨層を支持しながら、前記研磨層に加えられる外部からの衝撃を吸収し分散させる役割をすることにより、前記研磨パッドを適用した研磨工程中の研磨対象に対する損傷および欠陥の発生を最小化することができる。
【0165】
前記クッション層は不織布またはスエードを含み得るが、これに限定されるものではない。
【0166】
一実現例において、前記クッション層は樹脂含浸不織布であり得る。前記不織布は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含む繊維不織布であり得る。
【0167】
前記不織布に含浸された樹脂は、ポリウレタン樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン-ブタジエン共重合樹脂、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン共重合樹脂、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、シリコーンゴム樹脂、ポリエステル系エラストマー樹脂、ポリアミド系エラストマー樹脂、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1つを含み得る。
【0168】
本発明によるまた他の実現例において、研磨層を含む研磨パッドを提供する段階と、前記研磨層の研磨面に研磨対象の被研磨面が当接するように相対回転させながら前記研磨対象を研磨する段階とを含み、前記研磨対象はオキサイド膜、タングステン膜、またはこれらの複合膜を含み、前記研磨層の研磨面は、組成物の水素イオン濃度(pH)が8以上、12以下である第1組成物を用いて研磨する際、前記第1組成物に対して下記式1により導出された研磨面の表面ゼータ電位値である第1表面ゼータ電位(PZ1)を有し、前記研磨層の研磨面は、組成物の水素イオン濃度(pH)が2以上、6以下である第2組成物を用いて研磨する際、前記第2組成物に対して下記式1により導出された研磨面の表面ゼータ電位値である第2表面ゼータ電位(PZ2)を有し、前記第1表面ゼータ電位(PZ1)のうち少なくとも1つと前記第2表面ゼータ電位(PZ2)のうち少なくとも1つとが下記式2を満足する、半導体素子の製造方法を提供する。
【0169】
[式1]
表面ゼータ電位=(-)固定層のゼータ電位+組成物のゼータ電位
[式2]
-20≦PZ1/PZ2≦0
図4は、一実現例による半導体素子の製造工程の概略的な工程を示したものである。図4を参照すると、前記一実現例による研磨パッド410を定盤420上に装着した後、研磨対象である半導体基板430を前記研磨パッド410上に配置する。この際、前記半導体基板430の被研磨面は、前記研磨パッド410の研磨面に直接接触される。研磨のために、前記研磨パッド上にノズル440を介して研磨スラリー450が噴射され得る。前記ノズル440を介して供給される研磨スラリー450の流量は、約10cm/分~約1000cm/分の範囲内で目的に応じて選択され、例えば、約50cm/分~約500cm/分であり得るが、これに限定されるものではない。
【0170】
その後、前記半導体基板430と前記研磨パッド410とは互いに相対回転して、前記半導体基板430の表面が研磨され得る。この際、前記半導体基板430の回転方向および前記研磨パッド410の回転方向は同一方向でも良く、反対方向でも良い。前記半導体基板430と前記研磨パッド410との回転速度は、それぞれ約10rpm~約500rpmの範囲で目的に応じて選択され、例えば、約30rpm~約200rpmであり得るが、これに限定されるものではない。
【0171】
前記半導体基板430は、研磨ヘッド460に装着された状態で前記研磨パッド410の研磨面に所定の荷重で加圧され当接するようにした後、その表面が研磨され得る。前記研磨ヘッド460によって前記半導体基板430の表面が前記研磨パッド410の研磨面に当接するように加えられる荷重は、約1gf/cm~約1000gf/cmの範囲で目的に応じて選択され、例えば、約10gf/cm~約800gf/cmであり得るが、これに限定されるものではない。
【0172】
一実現例において、研磨対象である前記半導体基板430は、オキサイド膜、タングステン膜、またはこれらの複合膜を含み得る。具体的に、前記半導体基板430は、オキサイド膜を含むか、タングステン膜を含むか、またはオキサイド膜とタングステン膜との複合膜を含み得る。前記オキサイド膜とタングステン膜との複合膜は、前記オキサイド膜の一面上に前記タングステン膜が積層された多層膜でもあり、一層内にオキサイド領域とタングステン領域とが混合した単層膜でもあり得る。前記研磨対象がこのような膜質特性を有しながら、同時に前記研磨パッドが前記式2による所定の電気的特性を有することにより、前記半導体素子の製造方法によって製造された半導体素子は、優れた平坦性および回路特性を有し得る。
【0173】
一実現例において、前記半導体素子の製造方法は、前記研磨対象を研磨させる段階において、前記オキサイド膜研磨用スラリーおよび前記タングステン膜研磨用スラリーのいずれかを供給する段階、または前記オキサイド膜研磨用スラリーおよび前記タングステン膜研磨用スラリーを順次研磨面に供給する段階をさらに含み得る。
【0174】
例えば、前記研磨対象である半導体基板がオキサイド膜を含む場合、前記半導体素子の製造方法は、前記オキサイド膜研磨用スラリーを供給する段階を含み得る。前記半導体基板がタングステン膜を含む場合、前記半導体素子の製造方法は、前記タングステン膜研磨用スラリーを供給する段階を含み得る。前記半導体基板がオキサイド膜とタングステン膜との複合膜を含む場合、前記半導体素子の製造方法は、前記オキサイド膜研磨用スラリーおよび前記タングステン膜研磨用スラリーを順次研磨面に供給する段階を含み得る。この際、工程に応じて前記オキサイド膜研磨用スラリーを先に供給した後、前記タングステン膜研磨用スラリーを後で供給しても良く、前記タングステン膜研磨用スラリーを先に供給した後、前記オキサイド膜研磨用スラリーを後で供給しても良い。
【0175】
一実現例において、前記半導体素子の製造方法は、前記研磨対象を研磨させる段階において、前記オキサイド膜研磨用スラリーを供給する段階をさらに含み得る。例えば、前記半導体素子の製造方法は、前記研磨対象を研磨させる段階において、オキサイド膜研磨用スラリーとしてシリカ粒子を含むスラリー(シリカスラリー)およびセリア粒子を含むスラリー(セリアスラリー)のいずれかを供給する段階、または前記シリカ粒子を含むスラリーおよびセリア粒子を含むスラリーを順次研磨面に供給する段階をさらに含み得る。
【0176】
例えば、前記研磨対象である半導体基板がオキサイド膜を含み、前記オキサイド膜研磨用スラリーとして、シリカ粒子を含むスラリーを供給する段階を含み得る。または、前記オキサイド膜研磨用スラリーとして、セリア粒子を含むスラリーを供給する段階を含み得る。または、前記オキサイド膜研磨用スラリーとして、シリカ粒子を含むスラリーおよびセリア粒子を含むスラリーを順次研磨面に供給する段階を含み得る。この際、工程に応じて、シリカ粒子を含むスラリーを先に供給した後、前記セリア粒子を含むスラリーを後で供給しても良く、前記セリア粒子を含むスラリーを先に供給した後、前記シリカ粒子を含むスラリーを後供給しても良い。
【0177】
一実現例において、前記半導体素子の製造方法は、前記研磨パッド410の研磨面を研磨に適した状態で維持させるために、前記半導体基板430の研磨と同時にコンディショナー470により前記研磨パッド410の研磨面を加工する段階をさらに含み得る。
【0178】
前記一実現例による研磨パッドは、その研磨層の研磨面が所定の表面ゼータ電位特性を有することにより、シリカスラリーおよびセリアスラリーを用いたいずれの研磨環境に対しても研磨率が適切な範囲で実現可能であり、スクラッチおよびチャッターマークなどの表面欠陥を最小化するのみならず、1つの研磨パッドで前記環境のそれぞれの工程に連続および不連続適用が可能なので、それにより前記研磨パッドを用いて優れた品質の半導体素子を効率的に製造することができる。
【0179】
(実施例)
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。以下の実施例は本発明を例示するものであるのみ、本発明の範囲はこれらに限定されない。
【0180】
(実施例1)
[1-1:ウレタン系プレポリマーの調製]
2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、およびジエチレングリコールグリコール(DEG)を4口フラスコに投入し、80℃にて3時間反応させて、NCO基の含有量が9.1重量%であるウレタン系プレポリマーを調製した。
【0181】
[1-2:装置の構成]
モールド(Mold)に直接または間接的に連結されたウレタン系プレポリマータンク、硬化剤タンクおよび不活性ガス注入ラインが備えられている装置を用意した。前記ウレタン系プレポリマータンクに前記調製済みのウレタン系プレポリマーおよび固相発泡剤(Expancel(登録商標)551 DE 40 d42、AkzoNobel社、平均粒径:40μm)を投入し混合した。前記固相発泡剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部に対して2.2重量部使用された。前記硬化剤タンクに4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)(4,4'-methylenebis(2-chloroaniline)、MOCA)を充填した。
【0182】
[1-3:研磨層の製造]
それぞれの投入ラインを介して、ミキシングヘッドに前記ウレタン系プレポリマー、前記固相発泡剤および前記硬化剤を所定の速度で投入しながら混合した。前記硬化剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部に対して25重量部投入した。前記ミキシングヘッドの回転速度は約5000rpmとした。前記ウレタン系プレポリマー、前記固相発泡剤、および前記硬化剤を含む混合組成物が前記ミキシングヘッドにて混合された後、縦1000mm、横1000mm、高さ3mmのモールドに注入した。前記モールドの温度は約80(±5)℃に調節された。前記混合組成物が前記モールド内で固相化して研磨層用シートとして製造された。前記シートを約110(±5)℃にて約18時間の後硬化することにより研磨層を製造した。
【0183】
[1-4:研磨パッドの製造]
前記研磨層の一面を切削工具により旋削し、チップを用いて溝加工(grooving)する過程を経て平均厚さ2mmで製造した。ポリエステル繊維不織布にポリウレタン樹脂が含浸されたクッション層を設け、前記クッション層の一面と前記研磨層の溝形成面の裏面にそれぞれ熱溶着接着剤を塗布した。前記クッション層および前記研磨層をそれぞれの熱融着接着剤が塗布された面が当接するように積層し、加圧ローラーを用いて約140(±5)℃の温度および2kgf/cmの圧力条件で加圧積層して研磨パッドを製造した。
【0184】
(実施例2)
下記表1のように、発泡剤として固相発泡剤(Expancel 461 DE 20 d70、AkzoNobel社、平均粒径:20μm)を用いており、これにより研磨層内気孔の数平均径を調節したことを除いては、実施例1と同様の方法により研磨パッドを製造した。
【0185】
(実施例3)
下記表1のように、発泡剤として固相発泡剤(Expancel 551 DE 40 d42、AkzoNobel社、平均粒径:40μm)を使用しており、前記ウレタン系プレポリマー、前記固相発泡剤、および前記硬化剤を含む混合組成物が前記ミキシングヘッドで混合される際、別途の投入ラインを介して気相発泡剤(窒素ガス(N))を混合して使用した。前記固相発泡剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部に対して1.5重量部を使用した。一方、界面活性剤としてシリコーン界面活性剤(B8462、Evonik社)を前記混合組成物の製造の際に添加した。これにより、研磨層内気孔の数平均径および無機物含有量を調節したことを除いては、実施例1と同様の方法により研磨パッドを製造した。
【0186】
(実施例4)
下記表1のように、発泡剤として固相発泡剤を使用せず、気相発泡剤である窒素ガス(N)のみを使用しており、前記ウレタン系プレポリマーおよび前記硬化剤を含む混合組成物を調製する際に界面活性剤を添加した。下記表1のように界面活性剤の含有量、研磨層内気孔の数平均径および無機物の含有量を調節したことを除いては、実施例1と同様の方法により研磨パッドを製造した。
【0187】
(実施例5)
下記表1のように、硬化剤としてジメチルチオトルエンジアミン(dimethyl thio-toluene diamine、DMTDA)を使用し、研磨層内気孔の数平均径および研磨層内の無機物(Si)の含有量を調節したことを除いては、実施例3と同様の方法により研磨パッドを製造した。
【0188】
(比較例1)
下記表1のように、固相発泡剤(Expancel 461 DET 40 d25、AkzoNobel社、平均粒径:40μm)の種類を変更し、研磨層内気孔の数平均径および無機物の含有量を調節したことを除いては、実施例3と同様の方法により研磨パッドを製造した。
【0189】
(比較例2)
下記表1のように、硬化剤としてジメチルチオトルエンジアミン(dimethyl thio-toluene diamine、DMTDA)を使用し、研磨層内気孔の数平均径および無機物の含有量を調節したことを除いては、比較例1と同様の方法により研磨パッドを製造した。
【0190】
前記研磨層の具体的な成分および特性を下記表1にまとめた。
下記表1における重量部は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準にした値である。
【0191】
【表1】
【0192】
(評価)
(実験例1:研磨スラリーの調製)
下記表2のように、第1研磨スラリー、第2研磨スラリーおよび第3研磨スラリーを調製した。
【0193】
【表2】
【0194】
(実験例2:研磨パッドの物性測定)
[2-1:研磨パッドの表面ゼータ電位測定]
実施例および比較例の研磨パッドの表面ゼータ電位(surface zeta potential)は、ゼータ電位測定装置であるZETASIZER(登録商標) Nano-ZS90(Malvern社)を用いて測定した。
【0195】
前記ゼータ電位測定装置は、Dipセルタイプで、バレルの端に電極があり(その間に試験片が付着)、アバランシェ・フォトダイオード(APD)検出システムを含む。
【0196】
具体的に、図3は、表面ゼータ電位セルを示した模式図を示したものである。図3を参照して、実施例および比較例で得られた研磨パッド試料(4mm×5mm、20mm)を両面テープでサンプルホルダー310に付着し、キュベット(cuvette)330に第1研磨スラリー、第2研磨スラリー、または第3研磨スラリー2mlを、表2に記載の希釈濃度に希釈して入れ、Ag/AgCl可逆電極320を利用して電気泳動移動度を測定した。測定された電気泳動移動度は、サンプル表面からの距離の関数で変化し、下記式1をもって研磨パッドの表面ゼータ電位を求めた。
[式1]
表面ゼータ電位=(-)固定層のゼータ電位+組成物のゼータ電位
【0197】
前記式1において、固定層110のゼータ電位は、図1のイオン拡散層120を測定して外挿したものである。
【0198】
図2は、実施例1の研磨パッドにおける研磨面の表面移動(surface displacement)に対する見かけゼータ電位(apparent zeta potential)を測定したグラフである。具体的に、実施例1の研磨パッドの研磨面を、追跡子(tracer)の研磨スラリーのゼータ電位が-41.3mVである第1研磨スラリーを用いて、表面移動に対する見かけゼータ電位を測定し、これに対する平均値および回帰直線(regression fit)のグラフを示している。ゼータ電位が-41.3mVである第1研磨スラリーに対して前記式1により導出された表面ゼータ電位値である第1表面ゼータ電位(PZ1)は-60.5mVと測定された。この際、固定層ゼータ電位は19.2mV、表面等価移動度(surface equivalent mobility)の値は-4.744(μmcm/Vs)、表面ゼータ電位不確実(surface zeta potential uncertainty)の値は4.31(mV)、表面等価移動度不確実(surface equivalent mobility uncertainty)の値は0.3377(μmcm/Vs)であった。
【0199】
このような方法により、研磨スラリーの種類に応じて測定された実施例および比較例のそれぞれの研磨パッドの表面ゼータ電位を下記表3に示した。
【0200】
[2-2:タングステンおよびオキサイドの研磨率測定]
<タングステン(W)膜に対する研磨率>
CMP研磨装置を用いて、CVD工程によりタングステン(W)膜が形成された直径300mmのシリコンウェーハを設置した。その後、前記研磨パッドを付けた定盤上にシリコンウェーハのタングステン膜を下向きにしてセットした。その後、研磨荷重が2.8psiになるように調整し、研磨パッド上に第2研磨スラリー(コロイダルシリカスラリー)を190ml/分の速度で投入しながら定盤を115rpmで30秒間回転させてタングステン膜を研磨した。研磨後、シリコンウェーハをキャリアから外し、回転式脱水機(spin dryer)に装着して精製水(DIW)で洗浄した後、空気で15秒間乾燥した。乾燥したシリコンウェーハを、接触式面抵抗測定装置(4探針プローブ)を用いて研磨前後の厚さの差を測定した。その後、下記数学式1を用いて研磨率を計算した。
[数1]
研磨率(Å/分)=研磨前後の厚さの差(Å)/研磨時間(分)
【0201】
<オキサイド(O)膜の研磨率>
また、同じ装置を用いて、タングステン膜が形成されたシリコンウェーハの代わりに、TEOS-プラズマCVD工程により酸化ケイ素(SiO)膜が形成された直径300mmのシリコンウェーハを設置した。その後、前記研磨パッドを付けた定盤上にシリコンウェーハの酸化ケイ素膜を下向きにしてセットした。その後、研磨荷重が1.4psiになるように調整し、研磨パッド上に第1研磨スラリー(フュームドシリカスラリー)または第3研磨スラリー(セリアスラリー)を190ml/分の速度で投入しながら、定盤を115rpmで60秒間回転させて酸化ケイ素膜を研磨した。研磨後、シリコンウェーハをキャリアから外し、回転式脱水機に装着して精製水(DIW)で洗浄した後、空気で15秒間乾燥した。乾燥したシリコンウェーハを、分光干渉式ウェーハ厚み計(SI-F80R、Keyence社)を用いて研磨前後の厚さの差を測定した。その後、前記数学式1を用いて研磨率を計算した。
【0202】
[2-3:スクラッチおよびチャッターマークなどの表面欠陥数測定]
実施例および比較例の研磨パッドを用いて前記実験例2-2と同様の手順でCMP工程を行った後、欠陥検査装置(AIT XP+、KLA Tencor社)を用いて、研磨後ウェーハ表面上に現れるスクラッチおよびチャッターマークなどの表面欠陥の数を測定した(条件:threshold 150、die filter threshold 280)。
【0203】
前記スクラッチは、実質的に連続線形のひっかき傷のことを意味するものであり、一例として、図5に示すような形状の欠陥を指す。
【0204】
一方、前記チャッターマークは、実質的に不連続的な線形のひっかき傷のことを意味するものであり、一例として、図6に示すような形状の欠陥を指す。
前記実験例の結果を下記表3にまとめた。
【0205】
【表3】
【0206】
前記表3から分かるように、本発明において目的とする表面ゼータ電位を満足すると、研磨率並びにスクラッチおよびチャッターマークなどの表面欠陥の減少効果が比較例1および2の研磨パッドを使用した場合に比べて著しく優れていることを確認した。
【0207】
具体的に見てみると、研磨率に関して、実施例1~5の研磨パッドの場合、第1研磨スラリーを用いた研磨パッドのオキサイド膜に対する研磨率(OR1)は2894Å/分~2950Å/分であり、第2研磨スラリーを用いた研磨パッドのタングステン膜に対する研磨率(WR2)が780Å/分~800Å/分であり、第3研磨スラリーを用いた研磨パッドのオキサイド膜に対する研磨率(OR3)は2256Å/分~2583Å/分であって、研磨対象の膜質によるスラリーの種類に応じて、それぞれがいずれも適切な研磨率を実現することができた。
【0208】
また、スクラッチおよびチャッターマークなどの表面欠陥に関しては、実施例1~5の研磨パッドを用いた場合、ウェーハ表面に現れたスクラッチおよびチャッターマークなどの表面欠陥がいずれも5個未満であったが、比較例1および2の研磨パッドを用いた場合は、ウェーハ表面に現れたスクラッチおよびチャッターマークなどの表面欠陥が、実施例の研磨パッドを用いた場合に比べて多くは9倍以上と、著しく増加することを確認した。
【0209】
前述の事項を考慮すると、前記実施例による研磨パッドは、研磨スラリーの種類による研磨面の表面ゼータ電位とこれらの比率とを特定範囲に制御することにより、タングステン膜質およびオキサイド膜質の両方に対する優れた研磨性能を実現することができ、半導体基板の表面上に現れるスクラッチおよびチャッターマークなどの表面欠陥を減少させるのに卓越な効果を示すことが分かった。すなわち、前記研磨パッドは、1つの研磨パッドでオキサイド膜質およびタングステン膜質のいずれに対しても適切な研磨性能を実現することにより、異なる材質の研磨対象による様々な研磨環境に対して連続および不連続工程の適用が可能である利点を有し得る。
【0210】
また、前記実施例による研磨パッドは、オキサイド膜に対する優れた研磨性能を実現することができ、具体的にオキサイド膜に対するバルク工程および微細工程において、連続および不連続工程の適用が可能であり、いずれも優れた研磨性能を保障することにより、多工程の面で大きな利点を有し得る。
【0211】
また、前記実施例による研磨パッドは、シリカスラリーおよびセリアスラリーを用いた研磨環境のいずれにおいても優れた研磨性能を実現することができ、異なるスラリーの種類による多様な研磨環境に対して連続および不連続工程の適用が可能である利点を有し得る。
【0212】
さらには、前記実施例による研磨パッドは、1つのパッドでスラリー環境が酸性および塩基性である場合、またはシリカスラリーおよびセリアスラリーを用いた研磨環境のいずれにおいても優れた研磨性能を実現することができる。
【符号の説明】
【0213】
100、410:研磨パッド
10:研磨層
11:研磨面
20:クッション層
30:接着層
110:固定層
120:イオン拡散層
130:滑り面(slipping plane)
310:サンプルホルダー
320:電極
330:キュベット(cuvette)
420:定盤
430:半導体基板
440:ノズル
450:研磨スラリー
460:研磨ヘッド
470:コンディショナー
図1
図2
図3
図4
図5
図6