(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078550
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】半導体製造装置、半導体製造装置の処理実行方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0484 20220101AFI20230531BHJP
【FI】
G06F3/0484
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191717
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】藤井 洋路
(72)【発明者】
【氏名】国枝 誉
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA12
5E555AA25
5E555AA54
5E555BA01
5E555BA42
5E555BB01
5E555BC06
5E555CA12
5E555CA17
5E555CA22
5E555CA32
5E555CB12
5E555CB33
5E555CB38
5E555CB44
5E555CB58
5E555DB05
5E555DB20
5E555DB41
5E555DC13
5E555DC31
5E555DC37
5E555DD08
5E555FA00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】操作対象とすべき半導体製造装置の取り違いを抑制する半導体製造装置及び半導体製造装置の処理実行方法を提供する。
【解決手段】半導体製造装置は、半導体製造装置の稼働制御に関する所定の処理の実行指示を受け付ける実行指示受付部と、半導体製造装置の識別情報の入力を受け付ける識別情報受付部と、半導体製造装置に予め設定されている半導体製造装置の識別情報と、識別情報受付部が受け付けた半導体製造装置の識別情報とが同じ場合、所定の処理の実行指示に応じて所定の処理を実行する実行部と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造装置に対して前記半導体製造装置の稼働制御に関する所定の処理の実行指示を受け付ける実行指示受付部と、
前記半導体製造装置の識別情報の入力を受け付ける識別情報受付部と、
前記半導体製造装置に予め設定されている前記半導体製造装置の識別情報と、前記識別情報受付部が受け付けた前記半導体製造装置の識別情報とが同じ場合、前記所定の処理の実行指示に応じて前記所定の処理を実行する実行部と、
を有することを特徴とする半導体製造装置。
【請求項2】
作業員の操作に応じて半導体製造装置に対して前記半導体製造装置の稼働制御に関する所定の処理を実行する半導体製造装置であって、
前記半導体製造装置に一定距離以上離れて配置された少なくとも2つ以上の操作受付手段と、
2つの操作受付手段が時間的に重複して操作されたことを検出した場合、半導体製造装置に対して前記所定の処理を実行する実行部と、
を有することを特徴とする半導体製造装置。
【請求項3】
前記2つの操作受付手段が時間的に重複して操作されたことを検出した場合、前記所定の処理の実行指示が受け付け可能になる実行指示受付部と、
前記実行指示受付部が前記所定の処理の実行指示を受け付けた場合、前記実行部が前記所定の処理を実行する、ことを特徴とする請求項2に記載の半導体製造装置。
【請求項4】
前記半導体製造装置に対する前記半導体製造装置の稼働制御に関する前記所定の処理の実行指示を受け付ける実行指示受付部と、
前記実行指示受付部が前記所定の処理の実行指示を受け付け、更に、前記2つの操作受付手段が時間的に重複して操作されたことを検出した場合、前記実行部が前記半導体製造装置に対し前記所定の処理を実行する、ことを特徴とする請求項2に記載の半導体製造装置。
【請求項5】
半導体製造装置に対する前記半導体製造装置の稼働制御に関する所定の処理の実行指示を受け付ける実行指示受付部と、
前記所定の処理の予約情報を記憶する予約情報記憶部と、
前記予約情報記憶部に前記予約情報が保持されている場合、前記所定の処理の実行指示に応じて前記半導体製造装置に対し前記所定の処理を実行する実行部と、
を有することを特徴とする半導体製造装置。
【請求項6】
前記予約情報記憶部に前記予約情報が保持されており、かつ、前記予約情報の予約受付日時から、前記実行指示受付部が前記所定の処理の実行指示を受け付けるまでに所定の時間が経過していない場合、前記実行部は、前記半導体製造装置に対し前記所定の処理を実行することを特徴とする請求項5に記載の半導体製造装置。
【請求項7】
前記予約情報記憶部に前記予約情報が保持されており、かつ、前記予約情報に登録されている前記所定の処理の実行可能な日時の範囲に、前記実行指示受付部が前記所定の処理の実行指示を受け付けた場合、前記実行部は、前記半導体製造装置に対し前記所定の処理を実行することを特徴とする請求項5に記載の半導体製造装置。
【請求項8】
前記所定の処理は、前記半導体製造装置の電源オフ、シャットダウン、又は、再起動であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の半導体製造装置。
【請求項9】
半導体製造装置に対する前記半導体製造装置の稼働制御に関する所定の処理の実行指示を受け付ける工程と、
前記半導体製造装置の識別情報の入力を受け付ける工程と、
前記半導体製造装置に予め設定されている前記半導体製造装置の識別情報と、受け付けた前記半導体製造装置の識別情報とが同じ場合、前記所定の処理の実行指示に応じて前記半導体製造装置に対し前記所定の処理を実行する工程と、
を有することを特徴とする半導体製造装置の処理実行方法。
【請求項10】
一定距離以上離れて配置された少なくとも2つ以上の操作受付手段を有し、作業員の操作に応じて半導体製造装置に対し所定の処理を実行する半導体製造装置の処理実行方法であって、
2つの操作受付手段が時間的に重複して操作されたことを検出した場合、前記半導体製造装置に対して前記所定の処理を実行する工程、
を有することを特徴とする半導体製造装置の処理実行方法。
【請求項11】
半導体製造装置に対する前記半導体製造装置の稼働制御に関する所定の処理の実行指示を受け付ける工程と、
予約情報記憶部に予め前記所定の処理の予約情報が保持されている場合、前記所定の処理の実行指示に応じて前記半導体製造装置に対し前記所定の処理を実行する工程と、
を有することを特徴とする半導体製造装置の処理実行方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体製造装置、及び、半導体製造装置の処理実行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、医用診断装置においてシャットダウン操作が行われた場合、シャットダウン操作を継続して行うか否かを表示して操作者の注意を喚起し、装置の誤操作を抑制する技術が開示されている。半導体製造工場内には多くの半導体製造装置が稼働しており、同型機種も多く並んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、操作対象とすべき半導体製造装置の取り違いを抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題に鑑み、本開示は、半導体製造装置に対して前記半導体製造装置の稼働制御に関する所定の処理の実行指示を受け付ける実行指示受付部と、前記半導体製造装置の識別情報の入力を受け付ける識別情報受付部と、前記半導体製造装置に予め設定されている前記半導体製造装置の識別情報と、前記識別情報受付部が受け付けた前記半導体製造装置の識別情報とが同じ場合、前記所定の処理の実行指示に応じて前記所定の処理を実行する実行部と、を有することを特徴とする。
【0006】
また、本開示は、作業員の操作に応じて半導体製造装置に対して前記半導体製造装置の稼働制御に関する所定の処理を実行する半導体製造装置であって、前記半導体製造装置に一定距離以上離れて配置された少なくとも2つ以上の操作受付手段と、2つの操作受付手段が時間的に重複して操作されたことを検出した場合、半導体製造装置に対して前記所定の処理を実行する実行部と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、本開示は、半導体製造装置に対する前記半導体製造装置の稼働制御に関する所定の処理の実行指示を受け付ける実行指示受付部と、前記所定の処理の予約情報を記憶する予約情報記憶部と、前記予約情報記憶部に前記予約情報が保持されている場合、前記所定の処理の実行指示に応じて前記半導体製造装置に対し前記所定の処理を実行する実行部と、 を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
操作対象とすべき半導体製造装置の取り違いを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】半導体製造装置と装置群管理システムを有する処理システムの一例の概略構成図である。
【
図2】半導体製造装置の一例のハードウェア構成図である。
【
図3】半導体製造装置が有する一例の機能構成図である(実施例1)。
【
図4】タッチパネルディスプレイに表示される画面の一例の遷移例を示す図である(実施例1)。
【
図5】半導体製造装置がシャットダウンする処理を説明する一例のフローチャート図である(実施例1)。
【
図6】ハードウェアスイッチの一例の配置例を説明する図である(実施例2)。
【
図7】半導体製造装置が有する機能を示す一例の機能構成図である(実施例2)。
【
図8】タッチパネルディスプレイに表示される画面の一例の遷移例を示す図である(実施例2)。
【
図9】半導体製造装置がシャットダウンする処理を説明する一例のフローチャート図である(実施例2)。
【
図10】タッチパネルディスプレイに表示される画面の一例の遷移例を示す図である(実施例2の変形例)。
【
図11】半導体製造装置がシャットダウンする処理を説明する一例のフローチャート図である(実施例2の変形例)。
【
図12】半導体製造装置が有する機能を示す一例の機能構成図である(実施例3)。
【
図13】一例の予約情報を示す図である(実施例3)。
【
図14】タッチパネルディスプレイに表示される画面の一例の遷移例を示す図である(実施例3)。
【
図15】半導体製造装置がシャットダウンする処理を説明する一例のフローチャート図である(実施例3)。
【
図16】一例の予約情報を示す図である(実施例3の変形例)。
【
図17】半導体製造装置がシャットダウンする処理を説明する一例のフローチャート図である(実施例3の変形例)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。本開示を実施するための形態の一例として、半導体製造装置の処理実行方法について図面を参照しながら説明する。
【0011】
〔半導体製造装置の電源オフについて〕
半導体製造装置は24時間、継続的にウエハ等の基板を作成する。このため、ハードウェアやソフトウェアの更新、定期的なメンテナンスなどの作業が必要である場合も、スケジュールにしたがって半導体製造装置がシャットダウンされる。シャットダウンとは、上記の作業が可能な電源状態(例えば電源オフの状態)にすることをいう。作業員は半導体製造装置を直接、操作してシャットダウンする。しかし、半導体製造工場内には多くの半導体製造装置が稼働しており、同型機種も多く並んでいるため、操作対象の半導体製造装置、すなわち作業(シャットダウン)が必要な半導体製造装置の取り違えが発生する要因となることがある。
仮に、シャットダウンすべきでない半導体製造装置を作業員がシャットダウンすると、製造スケジュールの修正が必要になったり、出荷できない基板が生じたりするなど、大きな損失となる場合がある。
【0012】
そこで、本実施形態では、以下の3つの方法で、シャットダウンすべきでない半導体製造装置を作業員がシャットダウンすることを防止する。換言すると、シャットダウンすべき半導体製造装置のみをシャットダウンする。以下、これらを単に、「半導体製造装置の取り違いを抑制する」という。
【0013】
(i) 半導体製造装置が事前に登録された装置名の入力を要求し、事前に登録された装置名が入力された場合に、シャットダウンを実行する。
【0014】
操作者がシャットダウン対象の半導体製造装置であると思い込んでいる場合(実際はシャットダウン対象でない)、シャットダウンする際に確認メッセージを表示するだけでは、半導体製造装置の取り違いに気づくことができなかった。このように、事前に登録された装置名の入力をもとめることで、作業員が取り違うことなくシャットダウン対象の半導体製造装置をシャットダウンできる。
【0015】
(ii) 半導体製造装置の前面と後面にハードウェアスイッチ等の操作受付手段を設け、前面と後面の両方の操作受付手段が押下された場合、シャットダウン操作を受け付ける。なお、前面と後面は、二人以上で操作しなければならない、一定距離以上離れているハードウェアスイッチ等の配置場所の一例である。
【0016】
シャットダウンを二人で確認しながら作業するという運用ルールを設けても、半導体製造装置を操作するのは一人であるため、その運用ルールを強制することができなかった。このように、本開示は、二人でシャットダウン操作する仕組みを設けることで、二人で確認しながら作業する運用ルールを強制できる。
【0017】
(iii) 後述する装置群管理システムからシャットダウン対象の半導体製造装置を予約しておき、シャットダウンが予約されている半導体製造装置の場合、シャットダウンを実行する。
【0018】
管理者が操作者にシャットダウンを指示する際に、対象の半導体製造装置を誤って伝達する可能性がある。このように、半導体製造装置が、シャットダウンが予約されていることを確認することで、伝達ミスによる取り違いを防止できる。
【0019】
[用語について]
半導体製造装置の稼働制御に関する所定の処理は、半導体製造装置がプロセス制御など本来の動作を行える稼働状態からそうでない状態に変更する処理である。例えば、電源オフにより、少なくとも半導体製造装置がプロセス制御など本来の動作を行えない状態になる。電源オフは、ハードウェアやソフトウェアの更新、定期的なメンテナンス作業などを行える稼働状態にすることでもある。電源オフは、例えば、電源タップから電力が供給されない状態である。本実施形態では、電源オフをシャットダウンという場合がある。
【0020】
本実施形態では、シャットダウンされる半導体製造装置2の取り違いを抑制する方法を説明するが、例えば再起動する半導体製造装置2の取り違いを抑制する場合にも使用できる。再起動とは、装置で動作しているソフトウェアをいったん終了させ、再び起動させることをいう。再起動には、電源オフまで行うものと電源は入ったままソフトウェアのみを終了・起動するものがある。この他、半導体製造装置2の取り違いを抑制する目的として、電源オフを伴う部品交換、メンテナンス、又は移動等はもちろん、起動、任意のボタン操作等を含んでよい。
【0021】
[システム構成例]
図1は、半導体製造装置2と装置群管理システム6を有する処理システム1の概略構成図である。
図1に示すように、本開示の処理システム1は、複数台の半導体製造装置2(
図1では2
1~2n)と、装置群管理システム6と、これらを相互に接続するネットワーク5と、を有する。
【0022】
半導体製造装置2は、例えばクリーンルームに配置され、管理者は別室にある装置群管理システム6を操作して半導体製造装置2を制御する。例えば、装置群管理システム6は、レシピ(プロセス条件と手順を指示する命令)の入力を受け付け、半導体製造装置2にレシピを送信する。作業員は、クリーンルームに入室して、処理される基板の搬送や半導体製造装置2に対するレシピの実行等、各種のボタン操作などの「マシンオペレート」を行う。
【0023】
半導体製造装置2には、プロセスに応じた各種の装置が含まれてよい。例えば、半導体ウエハに薄膜を形成する処理を行う成膜装置、半導体ウエハの表面領域を酸化する酸化処理を行う酸化装置、半導体ウエハの表面領域に不純物を拡散(ドープ)する処理を行う拡散装置、アニール装置、エッチング装置等がある。また、半導体製造装置2は、プラズマを用いて基板を処理する装置であってもよい。このような装置には、Atomic Layer Deposition(ALD)装置、Capacitively Coupled Plasma(CCP)、Inductively Coupled Plasma(ICP)、Radial Line Slot Antenna(RLSA)、Electron Cyclotron Resonance Plasma(ECR)、Helicon Wave Plasma(HWP)等があり、いずれのタイプの装置でも適用可能である。
【0024】
図2は、半導体製造装置2のハードウェア構成図を示す。なお、
図2では、半導体製造プロセスに関する機能を省略した。半導体製造装置2は、ネットワークインターフェース11、システムコントローラ12、データ記憶部13、タッチパネルインターフェース14、タッチパネルディスプレイ15、入出力インターフェース16、及び、少なくとも2つのハードウェアスイッチ17a、17b等を有している。ハードウェアスイッチ17a、17bのうち任意のハードウェアスイッチを指し示す場合、「ハードウェアスイッチ17」という。
【0025】
ネットワークインターフェース11は、イーサネットカード(登録商標)などのNIC(Network Interface Card)である。ネットワークインターフェース11はネットワーク5に接続して、装置群管理システム6との通信を可能にする。
【0026】
システムコントローラ12は、CPU、RAM、ROM等を有するマイクロコントローラ、SoC(System on a Chip)、SiP(System in a Package)などである。システムコントローラ12は、レシピにしたがって、温度、圧力、排気、処理ガスの注入、基板の入れ替えなど、成膜に必要な制御の全体を行う。また、本実施形態では、システムコントローラ12は、シャットダウンに関する制御を行う。
【0027】
タッチパネルインターフェース14はタッチパネルディスプレイ15からの信号を、押下された座標や画面上のどのボタンが押下されたのか等に変換してシステムコントローラ12に通知する。タッチパネルとは、液晶パネルのような表示装置とタッチパッドのような位置入力装置を組み合わせた電子部品であり、画面上の表示を押すことで機器を操作する入力装置である。
【0028】
入出力インターフェース16は、ハードウェアスイッチ17の状態(オン、オフ)を信号に変換してシステムコントローラ12に通知する。ハードウェアスイッチ17は、一例として、作業員の押下でオン、手を離すと付勢力によりオフになる、モーメンタリスイッチである。
【0029】
データ記憶部13は、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)、ROMなどの記憶装置であり、各種のデータを保持している。データ記憶部13は、好ましくは不揮発性メモリであるが、揮発性でもよい。
【実施例0030】
本実施例では、「(i) 半導体製造装置が、事前に登録された装置名の入力を要求し、事前に登録された装置名が入力された場合に、シャットダウンを実行する。」電源オフ方法を説明する。
【0031】
[機能について]
図3は、本実施例の半導体製造装置2が有する機能を示す機能構成図の一例である。半導体製造装置2は、実行指示受付部21、識別情報受付部22、識別情報判断部23、実行部24、及び、装置名記憶部25を有している。半導体製造装置2が有するこれら各機能部は、半導体製造装置2にインストールされた1以上のプログラムに含まれる命令を
図2に示したシステムコントローラ12が実行することで実現される機能又は手段である。
【0032】
実行指示受付部21は、後述するシャットダウン実行画面をタッチパネルディスプレイ15に表示し、作業員によるシャットダウンの実行指示を受け付ける。シャットダウン実行画面はタッチパネルでないディスプレイに表示されてもよい。
【0033】
識別情報受付部22は、後述する装置名入力画面をタッチパネルディスプレイ15に表示し、作業員による装置名の入力を受け付ける。装置名入力画面はタッチパネルでないディスプレイに表示されてもよい。
【0034】
識別情報判断部23は、装置名記憶部25に記憶されている装置名と、識別情報受付部22が受け付けた装置名が一致するか否かを判断する。このため、装置名記憶部25は、予め半導体製造装置2に個別の装置名が保存されている。装置名は、作業員が入力しやすい文字や数字の組み合わせであるが、装置名は識別情報の役割を持っている。したがって、装置名は半導体製造装置2を識別又は特定できる識別情報であればよい。しかし、必ずしも一意でなくてよく、グループに属するいくつかの半導体製造装置2に同じ識別情報が付与されてよい。
【0035】
装置名の保存方法を説明する。例えば、作業員が半導体製造装置2を直接、操作して装置名を入力する方法がある。あるいは、装置群管理システム6は半導体製造装置2と通信しているので、半導体製造装置2から送信された型番やシリアル番号などを表示させ、管理者が装置名を入力してもよい。あるいは、管理者の操作に応じて、装置群管理システム6が各半導体製造装置2に重複しない装置名(番号やアルファベットの組み合わせなど)を割り当ててもよい。半導体製造装置2は自機の装置名をタッチパネルディスプレイ15に表示できる。また、装置群管理システム6は、型番やシリアル番号など半導体製造装置2を識別できる情報と共に、半導体製造装置2から送信された装置名を表示できる。したがって、管理者及び作業員はシャットダウンすべき半導体製造装置2の装置名を把握できる。
【0036】
実行部24は、半導体製造装置2のシャットダウンを行う。例えば、実行部24は、ヒーターの温度、圧力、ガスの注入状態、基板の搬送状態等が、シャットダウン可能な状態か否かを確認する。これらが可能な状態であれば、実行部24は、RAMからSDDへのデータの待避、ファイルのクローズなどを行い、OSの処理を終了し、最終的に半導体製造装置2の電源を遮断する。
【0037】
[画面の遷移例]
次に、
図4を参照して、タッチパネルディスプレイ15に表示される画面の遷移例を説明する。
図4は、シャットダウン時にタッチパネルディスプレイ15に表示される画面の遷移例を示す図である。
【0038】
図4(a)は、シャットダウン実行画面100の一例である。シャットダウン実行画面100は、シャットダウンの実行指示を受け付ける画面である。シャットダウン実行画面100は、「シャットダウンする場合は、はいボタンを押下して下さい」というメッセージ101と、はいボタン102と、いいえボタン103と、を有している。ユーザーがはいボタン102を押下すると、半導体製造装置2は、シャットダウンの実行指示を受け付け、シャットダウン実行画面100は、
図4(b)の装置名入力画面110に遷移する。
【0039】
図4(b)は装置名入力画面110の一例である。装置名入力画面110は、「装置名を入力して、照合ボタンを押下して下さい」というメッセージ111と、装置名入力欄112と、照合ボタン113と、キャンセルボタン114と、を有する。
・装置名入力欄112は、作業員がシャットダウンする半導体製造装置2の装置名を入力する欄である。
・照合ボタン113は、装置名記憶部25に記憶されている装置名と、装置名入力欄112に入力された装置名が一致するか否かの照合を作業員が半導体製造装置2に要求するボタンである。一致した場合、シャットダウンが実行される。
・キャンセルボタン114は、シャットダウン実行画面100に戻るためのボタンである。
【0040】
図4(c)はソフトウェアキーボード115が表示された装置名入力画面110の一例である。ソフトウェアキーボード115は、作業員が装置名入力欄112にタッチすると表示される。作業員はソフトウェアキーボード115を操作して、指示されている半導体製造装置2の装置名を入力できる。
【0041】
[シャットダウンの処理手順]
図5は、半導体製造装置2がシャットダウンする処理を説明するフローチャート図である。作業員がシャットダウン実行画面100を表示した状態として説明する。
【0042】
まず、実行指示受付部21が、シャットダウンの実行指示を受け付けたか否かを判断する(S11)。すなわち、
図4(a)のシャットダウン実行画面100ではいボタン102が押下されたか否かを判断する。
【0043】
ステップS11の判断がYesの場合、識別情報受付部22が装置名入力画面110をタッチパネルディスプレイ15に表示する。作業員は装置名入力欄112にタッチして、ソフトウェアキーボード115を表示させる(S12)。作業員はソフトウェアキーボード115を操作して、管理者から口頭やメール、紙等で指示されている半導体製造装置2の装置名を入力する。入力が終わると、作業員は閉じるボタン116でソフトウェアキーボード115を閉じ、照合ボタン113を押下する。
【0044】
照合ボタン113の押下により、識別情報判断部23は、装置名記憶部25に記憶されている装置名を取得し、装置名入力欄112に入力された装置名と一致するか否かを判断する(S13)。
【0045】
ステップS13の判断がYesの場合、実行指示に応じて実行部24が半導体製造装置2のシャットダウンの実行を開始する(S14)。
【0046】
ステップS13の判断がNoの場合、識別情報受付部22はエラーメッセージをタッチパネルディスプレイ15に表示する(S15)。エラーメッセージは例えば「装置名が一致しません」などでよい。
【0047】
この場合、作業員はエラーメッセージを消去させ(自動的に消去してもよい)、再度、ソフトウェアキーボード115を操作して、指示されている半導体製造装置2の装置名を入力できる。識別情報受付部22は、N回、照合ボタン113が押下されても装置名が一致しない場合、一定時間、装置名入力画面110の表示を禁止してもよい。こうすることで、本開示の電源オフ方法は、半導体製造装置2の取り違いを抑制しやすくなる。
【0048】
[主な効果]
操作者がシャットダウン対象の半導体製造装置2であると思い込んでいる場合(実際はシャットダウン対象でない)、シャットダウンする際に確認メッセージを表示するだけでは、装置の取り違いに気づくことができなかった。本実施例によれば、シャットダウンの実行前に、半導体製造装置2が、事前に登録された装置名の入力をもとめることで、本開示は、シャットダウン対象の半導体製造装置2の取り違いを抑制できる。
本実施例では、「(ii) 半導体製造装置の前面と後面にハードウェアスイッチ等の操作受付手段を設け、前面と後面の両方の操作受付手段が押下された場合、シャットダウン操作を受け付ける。」電源オフ方法を説明する。
また、2つのハードウェアスイッチ17a,17bのうち、1つはタッチパネルディスプレイ15の近くに配置されていると好ましい。一人の作業員がタッチパネルディスプレイ15を閲覧しながら、ハードウェアスイッチ17を押下できる。更に、一人の作業員がタッチパネルディスプレイ15への操作と、ハードウェアスイッチ17の押下を同時に行うこともできる。
また、2つのハードウェアスイッチ17a,17bの両方が、タッチパネルディスプレイ15に表示されるソフトキーであってもよい。この場合、例えば、半導体製造装置2の後面にタッチパネルディスプレイ15が設けられる。あるいは、2つのハードウェアスイッチ17a,17bの一方がハードウェアスイッチ17で、他方が、タッチパネルディスプレイ15に表示されるソフトキーであってもよい。この場合、例えば、半導体製造装置2の後面にハードウェアスイッチ17が配置される。
また、2つのハードウェアスイッチ17a,17bの少なくとも一方は、作業員の操作又は存在を検出できる機能を有していればよく、ディスプレイを伴わない単なるタッチセンサや超音波センサなどでもよい。また、2つのハードウェアスイッチ17a,17bの少なくとも一方が、ICカードリーダーでもよい。この場合、作業員がICカードをかざすので、作業した作業員の記録を残すことができる。ハードウェアスイッチ17、ソフトキー、タッチセンサ、超音波センサ、ICカードリーダーは操作受付手段の一例である。
シャットダウン操作開始部31は、後述するシャットダウン開始画面をタッチパネルディスプレイ15に表示し、作業員の操作に応じて、シャットダウン操作の開始を受け付ける。
第一操作検出部32はハードウェアスイッチ17aの押下を検出し、第二操作検出部33はハードウェアスイッチ17bの押下を検出する。第一操作検出部32はハードウェアスイッチ17aの押下を検出している間、継続して(又は繰り返し)オン信号を操作判断部34に出力する。第二操作検出部33はハードウェアスイッチ17bの押下を検出している間、継続して(又は繰り返し)オン信号を操作判断部34に出力する。
操作判断部34は、第一操作検出部32と第二操作検出部33が時間的に重複してオン信号を出力したか否かを判断する。つまり、操作判断部34は、2つのハードウェアスイッチ17がどちらも押下された状態となったか否かを判断する。
実行指示受付部35は、操作判断部34が、第一操作検出部32と第二操作検出部33が時間的に重複してオン信号を出力したと判断すると、シャットダウン実行画面を表示する。したがって、本実施例の実行指示受付部35は、2つのハードウェアスイッチ17がどちらも押下された状態となった場合に、シャットダウンの実行指示を受け付けることができる。
2つのハードウェアスイッチ17a,17bがどちらも押下された状態となった場合、ハードウェアスイッチ押下促進画面130は、シャットダウン実行画面140に遷移する。
シャットダウン実行画面140は、2つのハードウェアスイッチ17a,17bがどちらも押下された状態とならないと表示されないので、一人の作業員による半導体製造装置2の取り違いを抑制できる。
なお、2つのハードウェアスイッチ17a,17bがどちらも押下された状態の間だけ、シャットダウン実行画面140が表示されてもよい。シャットダウンは二人で確認しながら作業するという運用ルールをより強制的に実現できる。
ステップS22の判断がNoの場合、ハードウェアスイッチ押下促進画面130が表示されたままとなるが、操作判断部34が一定時間の経過後にエラーメッセージを表示し(S25)、メイン画面(不図示)やシャットダウン開始画面120に戻るとよい。エラーメッセージは例えば「2つのハードウェアスイッチ17が押下されませんでした」等である。
ステップS23の判断がNoの場合、実行部36はエラーメッセージをタッチパネルディスプレイ15に表示する(S25)。まず、いいえボタン143が押下された場合、メイン画面やシャットダウン開始画面120に戻るとよい。はいボタン142もいいえボタン143も押下されない場合、シャットダウン実行画面140が表示されたままとなるが、操作判断部34は一定時間の経過後にエラーメッセージを表示し、メイン画面やシャットダウン開始画面120に戻る。エラーメッセージは「シャットダウンが実行されませんでした」等である。
ステップS32の判断がNoの場合、実行部36はエラーメッセージをタッチパネルディスプレイ15に表示する(S34)。ステップS32の判断がNoの場合、ハードウェアスイッチ押下促進画面130が表示されたままとなるが、一定時間の経過後にエラーメッセージを表示し、メイン画面やシャットダウン実行画面140に戻るとよい。例えば、エラーメッセージは、「2つのハードウェアスイッチ17が押下されませんでした」である。