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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078679
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】偏光板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20230531BHJP
【FI】
G02B5/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021191920
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】川上 武志
【テーマコード(参考)】
2H149
【Fターム(参考)】
2H149AB04
2H149BA02
2H149BA15
2H149BB05
2H149DA02
2H149DA12
2H149EA02
2H149EA22
2H149FA03Z
2H149FA24W
2H149FA68
2H149FD47
(57)【要約】
【課題】配向した重合性液晶化合物の硬化物及び二色性色素を含む偏光子を用いた場合であっても、透過率に優れる偏光板の製造方法を提供する。
【解決手段】偏光板の製造方法は、光学機能層を含む第1フィルム10の表面に活性エネルギー線硬化型接着剤を塗工する工程と、塗布された活性エネルギー線硬化型接着剤を介して、光学機能層を含む第1フィルム10を、偏光子を含む第2フィルム20の表面に対して貼合して積層体30を得る工程と、第1フィルム10と第2フィルム20とを貼合してから2~8秒の間に、積層体30中の接着剤に対して活性エネルギー線の照射を開始して接着剤を硬化する工程と、を備える。偏光子は、配向した重合性液晶化合物の硬化物及び二色性色素を含む。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学機能層を含む第1フィルムの表面に活性エネルギー線硬化型接着剤を塗工する工程と、
塗布された前記活性エネルギー線硬化型接着剤を介して、前記光学機能層を含む第1フィルムを、偏光子を含む第2フィルムの表面に対して貼合して積層体を得る工程と、
前記第1フィルムと前記第2フィルムとを貼合してから2~8秒の間に、前記積層体中の前記接着剤に対して活性エネルギー線の照射を開始して前記活性エネルギー線硬化型接着剤の硬化物層を得る工程と、を備え、
前記偏光子は、配向した重合性液晶化合物の硬化物、及び、二色性色素を含む、偏光板の製造方法。
【請求項2】
前記第2フィルムは、前記第1フィルムと貼合される側の表面から順に、オーバーコート層、及び、前記偏光子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記活性エネルギー線硬化型接着剤は、カチオン重合性化合物、及び、光カチオン重合開始剤を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記活性エネルギー線の照射量は150~800mJ/cmである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1フィルムは、少なくとも1つの位相差板を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記活性エネルギー線は320nmの紫外線を含み、前記第1フィルムの320nmの紫外線の透過率は10%未満であり、前記第2フィルムの320nmの紫外線の透過率は10~99%であり、前記第2フィルムから前記第1フィルムに向かって前記活性エネルギー線を照射する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記活性エネルギー線硬化型接着剤の硬化物層の厚みは0.5~3μmである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記光学機能層を含む第1フィルムの表面に活性エネルギー線硬化型接着剤を塗工する工程の前に、前記第1フィルムの表面に設けられた剥離基材を剥離する工程を更に備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,偏光板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、延伸されたポリビニルアルコールフィルム(延伸PVA)の偏光子を含むフィルムと、位相差板を含むフィルムとを、活性エネルギー線硬化型接着剤を使用して貼合する、偏光板の製造方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-48496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
偏光子として、延伸PVAでなく、配向した重合性液晶化合物の硬化物、及び、二色性色素を含む偏光子を使用することが考えられる。
【0005】
ところが、本発明者らは、このような特定の偏光子を含むフィルムと、位相差板などの光学機能層を含むフィルムとを、活性エネルギー線硬化型樹脂で接着した場合、得られる偏光板の透過率が低下することを見いだした。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、配向した重合性液晶化合物の硬化物、及び、二色性色素を含む偏光子を用いた場合であっても、透過率の低下抑制に優れる偏光板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る偏光板の製造方法は、光学機能層を含む第1フィルムの表面に活性エネルギー線硬化型接着剤を塗工する工程と、
塗布された前記活性エネルギー線硬化型接着剤を介して、前記光学機能層を含む第1フィルムを、偏光子を含む第2フィルムの表面に対して貼合して積層体を得る工程と、
前記第1フィルムと前記第2フィルムとを貼合してから2~8秒の間に、前記積層体中の前記接着剤に対して活性エネルギー線の照射を開始して前記活性エネルギー線硬化型接着剤の硬化物層を得る工程と、を備える。前記偏光子は、配向した重合性液晶化合物の硬化物、及び、二色性色素を含む。
【0008】
この方法において、前記第2フィルムは、前記第1フィルムと貼合される側の表面から順に、オーバーコート層、及び、前記偏光子を含むことができる。
【0009】
前記活性エネルギー線硬化型接着剤は、カチオン重合性化合物、及び、光カチオン重合開始剤を含むことができる。
【0010】
前記活性エネルギー線の照射量(UVA領域(320~390nm)の積算光量)は150~800mJ/cmであることができる。
【0011】
前記第1フィルムは、少なくとも1つの位相差板を含むことができる。
【0012】
上記方法において、前記活性エネルギー線は320nmの紫外線を含み、前記第1フィルムの320nmにおける透過率は10%未満であり、前記第2フィルムの320nmにおける透過率は10~99%であり、及び、前記第2フィルムから前記第1フィルムに向かって前記活性エネルギー線を照射することができる。
【0013】
前記活性エネルギー線硬化型接着剤の硬化物層の厚みは0.5~3μmであることができる。
【0014】
上記方法は、前記光学機能層を含む第1フィルムの表面に活性エネルギー線硬化型接着剤を塗工する工程の前に、前記第1フィルムの表面に設けられた剥離基材を剥離する工程を更に備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、配向した重合性液晶化合物の硬化物、及び、二色性色素を含む偏光子を用いた場合であっても、透過率の低下抑制に優れる偏光板の製造方法を提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本実施形態の製造方法の一例を示すフロー図である。
図2図2は第1フィルム10の一例を示す断面図である。
図3図3は第2フィルム20の一例を示す断面図である。
図4図4は本実施形態により得られる積層体(偏光板)の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0018】
本発明の実施形態に係る偏光板の製造方法は、光学機能層を含む第1フィルムの表面に活性エネルギー線硬化型接着剤を塗工する工程と、前記活性エネルギー線硬化型接着剤を介して、前記光学機能層を含む第1フィルムを、偏光子を含む第2フィルムの表面に対して貼合して積層体を得る工程と、前記第1フィルムと前記第2フィルムとを貼合してから2~8秒の間に、前記積層体中の前記活性エネルギー線硬化型接着剤に対して活性エネルギー線の照射を開始して前記活性エネルギー線硬化型接着剤の硬化物層を得る工程と、を備える。
【0019】
図面を参照して、本発明の1実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態の製造方法を示すフロー図である。図2は第1フィルム10の一例を示す断面図、図3は第2フィルム20の一例を示す断面図、図4は得られる積層体(偏光板)の一例を示す断面図である。
【0020】
(第1フィルム)
第1フィルム10は、光学機能層を含む。光学機能層の例は、位相差板である。
第1フィルム10は単層でもよいが、複数層の積層体でもよい。たとえば、第1フィルム10は、複数の位相差板を有していてもよい。位相差板の例は、λ/4板、λ/2板、ポジティブC板等である。各位相差層の厚みは、0.1~10μmであることができる。
【0021】
位相差板は、シクロオレフィンポリマーなどの熱可塑性樹脂の延伸膜を含んでもよく、配向した重合性液晶化合物の硬化物膜を含んでもよい。
【0022】
重合性液晶化合物とは、重合性官能基(好ましくは光重合性官能基)を有する液晶化合物である。光重合性官能基とは、光重合開始剤から発生した活性ラジカルや酸などによって重合反応に関与し得る基のことをいう。光重合性官能基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。
【0023】
重合性液晶化合物の種類は特に限定されず、棒状液晶化合物、円盤状液晶化合物、及びこれらの混合物を用いることができる。液晶化合物の液晶性はサーモトロピック性液晶でもリオトロピック性液晶でもよいが、緻密な膜厚制御が可能な点でサーモトロピック性液晶が好ましい。また、サーモトロピック性液晶における相秩序構造としてはネマチック液晶でもスメクチック液晶でもよい。重合には適宜、光重合開示剤などを使用できる。
【0024】
各位相差板は、波長が大きくなるにつれて面内位相差が小さくなる順波長分散性を有してもよく、波長が大きくなるにつれて面内位相差が大きくなる逆波長分散性を有してもよい。
【0025】
位相差板が、配向した重合性液晶化合物の硬化物膜を含む場合、位相差板は、当該硬化物膜に隣接する配向膜を有することができる。
【0026】
配向膜は、重合性液晶化合物の硬化物層の製造時に重合性液晶化合物を配向させるために用いられる。配向膜に特に限定はなく、PVAなどの樹脂のラビング膜でもよく、光重合性樹脂膜を偏光などで重合した光配向膜でもよい。配向膜の厚みは0.01~5μmとすることができる。
【0027】
重合性液晶化合物の例、及び、重合性液晶化合物の硬化物層に必要に応じて配合される重合開始剤等の副成分、配向膜の材料、及び、これらの製法は公知であり、例えば、特開2017-167517号公報に開示されている。
【0028】
第1フィルムが複数の光学機能層(位相差板等)を有している場合、第1フィルムは複数の光学機能層間にこれらを固定する粘着剤又は接着剤層を含むことができる。粘着剤の例は、アクリル系粘着剤である。接着剤の例は、UV等の活性エネルギー線硬化型接着剤である。粘着剤又は接着剤層の厚みは0.1~10μmとすることができる。
【0029】
第1フィルムは、光学機能層以外に、さらに、活性エネルギー線硬化型接着剤が塗布される面とは反対面に、他の層、例えば、粘着剤層、剥離基材(例えばPET等)等の他の膜を有していることができる。
【0030】
図2に、第1フィルム10の典型例を示す。この第1フィルム10は、後述する工程で活性エネルギー線硬化型接着剤が塗布される側(下側)から順に、逆波長分散型λ/4板12、粘着剤又は接着剤層14、ポジティブC板16、剥離基材18を備えている。
【0031】
なお、後述する活性エネルギー線硬化型接着剤の塗布工程の前に、第1フィルム10における活性エネルギー線硬化型接着剤が塗布される表面に、予め剥離基材が設けられていてもよい。例えば、図1における逆波長分散型λ/4板12の表面が予め剥離基材19で覆われていてもよい。このような場合には、第1フィルム10及び剥離基材19を有する積層体10’からこの剥離基材19を剥離した後、第1フィルム10の表面(例えば逆波長分散型λ/4板12)に活性エネルギー線硬化型接着剤を塗工することができる。これにより、最終的に得られる偏光板において第1フィルム10の接着剤塗布側の表面に傷が発生したり異物が残ったりすることを抑制できる。図1に示すように、剥離した剥離基材は適宜、巻芯に巻き取ってロール9の形態にすることができる。
【0032】
第1フィルム10は、長尺である(例えば、10~5000m)ことができ、図1に示すように、あらかじめ巻芯に巻き取られたロール1の形態であることができる。
【0033】
(第2フィルム)
図1に示す第2フィルム20は、偏光子を含む偏光板である。偏光子は、配向した重合性液晶化合物の硬化物及び二色性色素を含み、重合性液晶化合物の硬化物中において二色性色素が分散及び配向している。
【0034】
重合性液晶化合物については、位相差板の項で説明したものを利用することができる。偏光子に用いる重合性液晶化合物としては、ネマチック液晶化合物よりもスメクチック液晶化合物が好ましく、高次スメクチック液晶化合物がより好ましい。中でも、スメクチックB相、スメクチックD相、スメクチックE相、スメクチックF相、スメクチックG相、スメクチックH相、スメクチックI相、スメクチックJ相、スメクチックK相またはスメクチックL相を形成する高次スメクチック液晶化合物がより好ましく、スメクチックB相、スメクチックF相またはスメクチックI相を形成する高次スメクチック液晶化合物がさらに好ましい。重合には適宜光重合開始剤などを使用することができる。
【0035】
二色性色素とは、分子の長軸方向における吸光度と、短軸方向における吸光度とが異なる性質を有する色素をいう。
【0036】
二色性色素としては、300~700nmの範囲に吸収極大波長(λMAX)を有するものが好ましい。このような二色性色素としては、例えば、アクリジン色素、オキサジン色素、シアニン色素、ナフタレン色素、アゾ色素およびアントラキノン色素などが挙げられるが、中でもアゾ色素が好ましい。アゾ色素としては、モノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素、テトラキスアゾ色素およびスチルベンアゾ色素などが挙げられ、好ましくはビスアゾ色素およびトリスアゾ色素である。二色性色素は単独でも、組み合わせてもよいが、3種類以上の二色性色素を組み合わせるのが好ましく、3種類以上のアゾ色素を組み合わせるのがより好ましい。3種類以上の二色性色素、特に3種類以上のアゾ色素をみ合わせることにより、可視光全域にわたって偏光特性を制御し易くなる。また、3種類以上の二色性色素を組み合わせる際に、最も長波長に吸収を示す二色性色素を他の2種類の二色性色素よりも多く使用することが本発明の課題を解決する一手段として好ましい。
【0037】
偏光子の厚みは、通常10μm以下であり、好ましくは0.5μm以上8μm以下であり、より好ましくは1μm以上5μm以下である。
【0038】
第2フィルム20は、偏光子に接する配向膜を有することができる。配向膜は、偏光子を製造する際に偏光子の液晶性化合物を配向させるための層である。配向膜の材料に特に限定はなく、PVA等の樹脂のラビング層でもよく、光配向性基を有する重合体層に偏光などを照射して配向させた光配向膜でもよい。配向膜の厚みに限定はないが、配向膜の厚さは、通常10~10000nmの範囲であり、好ましくは10~1000nmの範囲であり、さらに好ましくは50~200nmの範囲である。配向膜と偏光子との積層順に特に限定はない。
【0039】
配向膜、重合性液晶化合物及び二色性色素を含む組成物、及びこの組成物を用いた偏光子の製造方法としては、特開2017-167517号公報、特開2013-37353号公報、特開2013-33249号公報、特開2017-83843号公報、WO2020/122117、WO2020/179864号公報等に記載のものを例示することができる。
【0040】
第2フィルム20は、更に、偏光子又は偏光子及び配向膜の積層体を保護する少なくとも1つの保護膜を有することができる。例えば、第2フィルム20は、偏光子又は偏光子及び配向膜の積層体を間に挟む一対の保護膜を備えることができる。
【0041】
保護膜は、偏光子を保護する層であり、偏光子中の二色性色素の外部への拡散の抑制、外部から偏光子への酸素等の拡散の抑制などの機能を有することができる。保護膜は、ポリビニルアルコール系樹脂の硬化物、活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化物(UV硬化型接着剤で例示するものと同様のものを使用できる)であることができる。2つの保護膜は互いに同一種類の材料でもよく、異なる材料でもよい。
【0042】
各保護膜の厚みに特に限定はないが、例えば、0.1~5μmとすることができる。
【0043】
ポリビニルアルコール系樹脂の硬化物の例は、ポリビニルアルコール系樹脂と架橋剤との硬化物、及び、重合性官能基を有するポリビニルアルコール系樹脂の硬化物である。
【0044】
ポリビニルアルコール系樹脂の例は、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、並びに、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、及び、アミノ基変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール系樹脂である。
【0045】
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85モル%以上100モル%以下程度であり、好ましくは90モル%以上であり、95モル%以上であってもよく、98モル%以上であってもよい。
【0046】
ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、通常1000以上5000以下であり、好ましくは1500以上3000以下であり、2000以下であってもよく、1500以下であってもよい。
【0047】
ポリビニルアルコール系樹脂の未硬化物に占めるポリビニルアルコール系樹脂の含有量は、未硬化物の固形分の質量に対して、好ましくは85質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、100質量%でもよい。
【0048】
架橋剤の例は、アミン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物、水溶性エポキシ樹脂、イソシアネート化合物、多価金属塩である。特に、グリオキザールをはじめとするアルデヒド化合物、メチロールメラミンをはじめとするメチロール化合物、水溶性エポキシ樹脂が好適である。水溶性エポキシ樹脂は、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアルキレンポリアミンとアジピン酸等のジカルボン酸との反応物であるポリアミドポリアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドエポキシ樹脂であることができる。
【0049】
ポリビニルアルコール系樹脂が重合性官能基を有している場合、架橋剤を有さなくても加熱等により硬化物を得ることができる。重合性官能基の例は、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基である。
【0050】
ポリビニルアルコール系樹脂の硬化物は、ポリビニルアルコール系樹脂、及び必要に応じて添加剤等を溶媒に溶解し、基材上に塗布し、乾燥することにより得ることができる。
【0051】
図3は、第2フィルム20の一例を示す断面図である。図3の第2フィルム20は、後述する活性エネルギー線硬化型接着剤と接触する側(上側)から順に、オーバーコート層(第1保護膜)32、偏光子36、配向膜34、及び、ハードコート層(第2保護膜)38を有している。
【0052】
第2フィルム20は、後述する活性エネルギー線硬化型接着剤が塗布される面とは反対の面(図3では下面)に、剥離基材40を備えることができる。剥離基材40の例はPETフィルムなどであり、剥離基材40は単層でも複数層でもよい。
【0053】
なお、後述する活性エネルギー線硬化型接着剤の塗布工程の前に、第2フィルム20における活性エネルギー線硬化型接着剤が塗布される表面に、予め剥離基材が設けられていてもよい。例えば、図3におけるオーバーコート層(第1保護膜)32の表面が予め剥離基材39で覆われていてもよい。このような場合には、第2フィルム20及び剥離基材39を有する積層体20’からこの剥離基材39を剥離した後、第2フィルム20の表面(例えばオーバーコート層(第1保護膜)32)に、活性エネルギー線硬化型接着剤を塗工した第1フィルム10を貼合することができる。これにより、最終的に得られる偏光板において第2フィルム20の接着剤塗布側の表面に傷が発生したり異物が残ったりすることを抑制できる。図1に示すように、剥離した保護膜は適宜、巻芯に巻き取ってロール9の形態とすることができる。
【0054】
(塗工工程)
塗工工程では、光学機能層を含む第1フィルム10の表面に活性エネルギー線硬化型接着剤を塗工する。
【0055】
(活性エネルギー線硬化型接着剤)
活性エネルギー線硬化型接着剤は、活性エネルギー線を照射されることにより、硬化する樹脂である。活性エネルギー線は、例えば、紫外線、可視光、電子線、又はX線であってよい。活性エネルギー線硬化型接着剤は、紫外線硬化型樹脂であってよい。紫外線硬化型樹脂は、無溶剤型の接着剤として調製することができる。
【0056】
活性エネルギー線硬化型接着剤はカチオン重合性化合物を含むことが好ましい。
【0057】
カチオン重合性化合物の硬化物層は、偏光子から外部への二色性色素の拡散を抑制することができる。また、この硬化物層は、第1フィルムの光学機能層が重合性液晶化合物の硬化物である場合には、さらに、光学機能層からの未重合モノマーの偏光子への拡散を抑制することもできる。また、この硬化物層は、耐水性にも優れる。
【0058】
カチオン重合性化合物は、紫外線、可視光、電子線、X線等の活性エネルギー線の照射又は加熱によりカチオン重合反応が進行して硬化する化合物(オリゴマーを含む)を含む。このような化合物の例は、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニル化合物である。これらの重合性化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。当該硬化型樹脂は、重合性化合物としてカチオン重合性化合物に加えてラジカル重合性化合物を含有していてもよい。ラジカル重合性化合物は、例えば光の照射により光ラジカル重合開始剤から発生したラジカル種により重合反応を開始し得る化合物である。
【0059】
接着剤に含まれるカチオン重合性化合物の含有量は、接着剤の総質量100質量部に対して、好ましくは80質量部以上100質量部以下、より好ましくは90質量部以上99.5質量部以下、さらに好ましくは95質量部以上99質量部以下である。カチオン重合性化合物の含有量がこの範囲にあると、耐水性に優れ、二色性色素の偏光子外への拡散防止効果にも優れる。
【0060】
カチオン重合性化合物として環状エーテル構造を有する重合性化合物を含むことが好ましい。環状エーテル構造としては、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環等が挙げられる。中でも、炭素数2~4の環状エーテル構造を有する重合性化合物を含むことが好ましく、オキセタン化合物を含むことがより好ましい。
【0061】
オキセタン化合物は、分子内に1つ以上のオキセタニル基(オキセタン環)を有する化合物であり、脂肪族化合物、脂環式化合物又は芳香族化合物のいずれであってもよい。オキセタニル基を1つ有するオキセタン化合物としては、例えば3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、2-エチルヘキシルオキセタン、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、3-(シクロヘキシルオキシ)メチル-3-エチルオキセタン等が挙げられる。また、2つ以上のオキセタニル基を有するオキセタン化合物としては、例えば1,4-ビス〔{(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ}メチル〕ベンゼン(「キシリレンビスオキセタン」ともいわれる。)、ビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。これらのオキセタン化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。オキセタン化合物は、カチオン重合性化合物の主成分として用いてもよいし、エポキシ化合物と併用してもよい。
【0062】
オキセタン化合物は、分子内に2つ以上のオキセタニル基を有するオキセタン化合物を含むことが好ましい。このようなオキセタン化合物を含むことにより、架橋密度が高く緻密な硬化物を得ることができ、偏光子からの二色性色素の拡散を効果的に抑制し、経時的な光学性能の変化を生じ難い偏光板を得ることができる。
【0063】
オキセタン化合物の含有量は、カチオン重合性化合物の総量100質量部に対して、例えば10質量部以上であってよく、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上、さらに好ましくは45質量部以上、特に好ましくは50質量部以上である。オキセタン化合物の含有量が上記下限値以上であると、耐熱性及び耐湿熱性により優れた第二硬化物層となるため、偏光板の耐水性、耐熱性及び耐湿熱性を効果的に向上させることができる。これにより、経時的な光学性能の変化を生じ難い偏光板を得ることができる。オキセタン化合物の含有量は、カチオン重合性化合物の総量100質量部に対して、好ましくは90質量部以下、より好ましくは85質量部以下、さらに好ましくは80質量部以下である。また、オキセタン化合物の含有量は、上述の下限値と上限値の組み合わせであってもよく、カチオン重合性化合物の総量100質量部に対して、好ましくは30質量部以上90質量部以下、より好ましくは40質量部以上85質量部以下である。オキセタン化合物の含有量は、接着剤の総量100質量部に対して、例えば25質量部以上であり、好ましくは35質量部以上、より好ましくは40質量部以上であり、例えば100質量部以下であってよく、好ましくは90質量部以下、より好ましくは85質量部以下である。
【0064】
接着剤は、重合性化合物として、オキセタン化合物に加えてさらにエポキシ化合物を含むことが好ましい。エポキシ化合物とは、分子内に1個以上、好ましくは2個以上のエポキシ基を有する化合物である。この接着剤は、エポキシ化合物100質量部に対してオキセタン化合物を好ましくは10質量部以上2000質量部以下含み、より好ましくは30質量部以上1000質量部以下含み、さらに好ましくは30質量部以上500質量部含む。
【0065】
エポキシ化合物は、1種のみを単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。エポキシ化合物としては、脂環式エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物、水素化エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物等を挙げることができる。中でも、耐候性、硬化速度及び接着性の観点から、エポキシ化合物は、脂環式エポキシ化合物又は脂肪族エポキシ化合物を含むことが好ましく、脂環式エポキシ化合物を含むことがより好ましい。
【0066】
脂環式エポキシ化合物は、脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に1個以上有する化合物であり、好ましくは脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に2個以上有する。「脂環式環に結合したエポキシ基」とは、下記式(II)で示される構造における橋かけの酸素原子-O-を意味する。下記式(I)中、mは2~5の整数である。
【0067】
【化1】
【0068】
上記式(II)における(CH2m中の1個又は複数個の水素原子を取り除いた形の基が他の化学構造に結合している化合物が、脂環式エポキシ化合物となり得る。(CH2m中の1個又は複数個の水素原子は、メチル基やエチル基のような直鎖状アルキル基で適宜置換されていてもよい。
【0069】
硬化物のガラス転移温度が高くなる観点から、エポキシシクロペンタン構造〔上記式(II)においてm=3のもの〕や、エポキシシクロヘキサン構造〔上記式(II)においてm=4のもの〕を有する脂環式エポキシ化合物が好ましく、下記式(IIA)で表される脂環式ジエポキシ化合物がより好ましい。下記式(IIA)で表される脂環式ジエポキシ化合物含むカチオン重合性化合物の硬化物層は、ガラス転移温度が高くなり、高温における色素の拡散を抑えることができる。
【0070】
【化2】

式(IIA)中、R及びRは各々独立に水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、アルキル基の炭素数が3以上である場合は脂環式構造を有していてもよい。炭素数1~6のアルキル基は直鎖又は分枝アルキル基であってよく、脂環式構造を有するアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等が挙げられる。
【0071】
式(IIA)中、Xは酸素原子、炭素数1~6のアルカンジイル基又は下記式(IIa)~(IId)のいずれかで示される基を表す。炭素数1~6のアルカンジイル基としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロパン-1,2-ジイル基等が挙げられる。
【0072】
【化3】
【0073】
式(IIA)中のXが、式(IIa)~(IId)のいずれかで示される基である場合、各式におけるY~Yは各々独立に炭素数1~20のアルカンジイル基であり、アルカンジイル基が炭素数3以上である場合は脂環式構造を有していてもよい。a及びbは各々独立に0~20の整数を表す。
【0074】
脂環式エポキシ化合物としては、例えば以下のA~Mの化合物が挙げられる。なお、後の段落に示す化学式A~Mは、それぞれ化合物A~Mに対応するものである。
【0075】
A:3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、
B:3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、
C:エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、
D:ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、
E:ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、
F:ジエチレングリコールビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、 G:エチレングリコールビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、
H:2,3,14,15-ジエポキシ-7,11,18,21-テトラオキサトリスピロ[5.2.2.5.2.2]ヘンイコサン、
I:3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-8,9-エポキシ-1,5-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
J:4-ビニルシクロヘキセンジオキサイド、
K:リモネンジオキサイド、
L:ビス(2,3-エポキシシクロペンチル)エーテル、
M:ジシクロペンタジエンジオキサイド。
【0076】
【化4】
【0077】
【化5】
【0078】
入手が容易であることから、脂環式エポキシ化合物は3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートが好ましい。また、色素の拡散を効果的に抑制できるという観点から、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物が好ましい。脂環式エポキシ化合物は、1種の脂環式エポキシ化合物を単独で用いても、異なる複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0079】
脂環式エポキシ化合物の含有量は、全重合性化合物の総量100質量部に対して、好ましくは1質量部以上80質量部以下、より好ましくは3質量部以上70質量部以下、さらに好ましくは3質量部以上60質量部以下である。脂環式エポキシ化合物の含有量がこの範囲にあるとき、紫外線等の活性エネルギー線の照射による硬化が速やかに進行し、耐熱及び耐湿熱性に優れ、かつ、十分な硬さの硬化物層を形成することができる。
【0080】
脂肪族エポキシ化合物は、脂肪族炭素原子に結合するエポキシ環を分子内に少なくとも1個有する化合物であり、好ましくはエポキシ環を分子内に2個以上有する。脂肪族エポキシ化合物は、例えば脂肪族炭素原子に結合するオキシラン環(3員の環状エーテル)を分子内に少なくとも1個有し、好ましくは2個以上有する。脂肪族エポキシ化合物としては、例えばブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル等の単官能のエポキシ化合物;1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等の2官能のエポキシ化合物;トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等の3官能以上のエポキシ化合物;4-ビニルシクロヘキセンジオキサイド、リモネンジオキサイド等の、脂環式環に直接結合するエポキシ基1個と、脂肪族炭素原子に結合するオキシラン環とを有するエポキシ化合物等がある。
【0081】
粘度が低く、塗布し易い接着剤を得ることができる観点からは、下記式(III)で表される、脂肪族炭素原子に結合するオキシラン環を分子内に2個有する2官能のエポキシ化合物(「脂肪族ジエポキシ化合物」ともいう。)が好ましい。
【0082】
【化6】

〔式(III)中、Zは炭素数1~9のアルキレン基、炭素数3もしくは4のアルキリデン基、2価の脂環式炭化水素基、又は式-C2m-Z-C2n-で示される2価の基を表す。-Z-は、-O-、-CO-O-、-O-CO-、-SO-、-SO-又はCO-を表し、m及びnは各々独立に1以上の整数を表す。ただし、m及びnの合計は9以下である。
【0083】
2価の脂環式炭化水素基は、例えば炭素数4~8の2価の脂環式炭化水素基であってよく、例えば下記式(IIIA)で示される2価の残基等が挙げられる。
【0084】
【化7】
【0085】
式(III)で示される化合物の具体例としては、アルカンジオールのジグリシジルエーテル;繰り返し数4程度までのオリゴアルキレングリコールのジグリシジルエーテル;脂環式ジオールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0086】
式(III)で示される脂肪族ジエポキシ化合物を形成し得るジオール(グリコール)としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、3,5-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール等のアルカンジオール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のオリゴアルキレングリコール;シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール等が挙げられる。
【0087】
粘度が低く、塗布しやすい接着剤を得る観点から、脂肪族エポキシ化合物としては、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルを含むことが好ましい。光学性能を維持できる点では、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルが好ましい。脂肪族エポキシ化合物としては、1種の脂肪族エポキシ化合物を単独で用いても、異なる複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0088】
接着剤が脂肪族エポキシ化合物を含む場合、脂肪族エポキシ化合物の含有量は、接着剤に含まれる全重合性化合物の総量100質量部に対して、例えば1質量部以上90質量部以下であってよく、好ましくは1質量部以上40質量部以下、より好ましくは3質量部以上30質量部以下、さらに好ましくは5質量部以上20質量部以下、特に好ましくは7質量部以上15質量部以下である。脂肪族エポキシ化合物の含有量がこの範囲にあるとき、粘度が低く、塗布しやすいカチオン重合性組成物とすることができる。
【0089】
芳香族エポキシ化合物は、分子内に芳香族環とエポキシ基とを有する化合物である。その具体例は、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジグリシジルエーテル等のビスフェノール型エポキシ化合物又はそのオリゴマー;フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型のエポキシ樹脂;2,2’,4,4’-テトラヒドロキシジフェニルメタンのグリシジルエーテル、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノンのグリシジルエーテル等の多官能型のエポキシ化合物;エポキシ化ポリビニルフェノール等の多官能型のエポキシ樹脂を含む。
【0090】
接着剤の低粘度化の観点から、芳香族エポキシ化合物は、フェノール類のグリシジルエーテル、アルコール性水酸基を2つ以上有する芳香族化合物のグリシジルエーテル化物、多価フェノール類のグリシジルエーテル化物、安息香酸類のグリシジルエステル、多塩基酸類のグリシジルエステル、スチレンオキシド又はジビニルベンゼンのエポキシ化物の群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。カチオン重合性組成物の硬化性を向上させることから、芳香族エポキシ化合物としては、エポキシ当量が80~500であるものが好ましい。芳香族エポキシ化合物として、1種の芳香族エポキシ化合物を単独で用いても、異なる複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0091】
芳香族エポキシ化合物としては、市販品を用いることができ、例えばデナコールEX-121、デナコールEX-141、デナコールEX-142、デナコールEX-145、デナコールEX-146、デナコールEX-147、デナコールEX-201、デナコールEX-203、デナコールEX-711、デナコールEX-721、オンコートEX-1020、オンコートEX-1030、オンコートEX-1040、オンコートEX-1050、オンコートEX-1051、オンコートEX-1010、オンコートEX-1011、オンコート1012(以上、ナガセケムテックス社製);オグソールPG-100、オグソールEG-200、オグソールEG-210、オグソールEG-250(以上、大阪ガスケミカル社製);HP4032、HP4032D、HP4700(以上、DIC社製);ESN-475V(新日鉄住金化学社製);エピコートYX8800、jER828EL(三菱化学社製);マープルーフG-0105SA、マープルーフG-0130SP(日油社製);エピクロンN-665、エピクロンHP-7200(以上、DIC社製);EOCN-1020、EOCN-102S、EOCN-103S、EOCN-104S、XD-1000、NC-3000、EPPN-501H、EPPN-501HY、EPPN-502H、NC-7000L(以上、日本化薬社製);アデカグリシロールED-501、アデカグリシロールED-502、アデカグリシロールED-509、アデカグリシロールED-529、アデカレジンEP-4000、アデカレジンEP-4005、アデカレジンEP-4100、アデカレジンEP-4901(以上、ADEKA社製);TECHMORE VG-3101L、EPOX-MKR710、EPOX-MKR151(以上、プリンテック社製)等が挙げられる。
【0092】
接着剤が芳香族エポキシ化合物を含む場合、接着剤が疎水性の樹脂となり、これにより得られる硬化物層も疎水性となる。このため、高温高湿下において外部からの水分の侵入を防ぎ、偏光子に含まれる二色性色素の移動を効果的に抑制することができる。
【0093】
芳香族エポキシ化合物の含有量は、接着剤に含まれる全重合性化合物の総量100質量部に対して、好ましくは1質量部以上70質量部以下であり、より好ましくは5質量部以上60質量部以下であり、さらに好ましくは7質量部以上55質量部以下であり、特に好ましくは10質量部以上50質量部以下である。芳香族エポキシ化合物の含有量がこの範囲にあるとき、硬化物層の疎水性を向上でき、高温高湿条件での偏光子外への二色性色素の拡散をより効果的に抑制することができる。
【0094】
水素化エポキシ化合物は、脂環式環を有するポリオールのグリシジルエーテルであり、芳香族ポリオールを触媒の存在下、加圧下で芳香環に選択的に水素化反応を行うことにより得られる核水添ポリヒドロキシ化合物をグリシジルエーテル化したものであることができる。芳香族ポリオールの具体例は、例えばビスフェノールA、ビスフェールF、ビスフェノールS等のビスフェノール型化合物;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ヒドロキシベンズアルデヒドフェノールノボラック樹脂等のノボラック型樹脂;テトラヒドロキシジフェニルメタン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ポリビニルフェノール等の多官能型の化合物を含む。芳香族ポリオールの芳香環に水素化反応を行って得られる脂環式ポリオールにエピクロロヒドリンを反応させることにより、グリシジルエーテルとすることができる。水素化エポキシ化合物の中でも好ましいものとして、水素化されたビスフェノールAのジグリシジルエーテルが挙げられる。
【0095】
接着剤は、上記以外の他の硬化性化合物をさらに含むことができる。他の硬化性化合物は、その具体例は、ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルトエステル化合物のような上記以外の他のカチオン重合性化合物である。
【0096】
(光カチオン重合開始剤)
接着剤がカチオン重合性化合物を含む場合、接着剤は活性エネルギー線の照射により重合を開始させるための光カチオン重合開始剤をさらに含有することが好ましい。
【0097】
光カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線又は電子線のような活性エネルギー線の照射によって、カチオン種又はルイス酸を発生し、カチオン重合性化合物の重合反応を開始させるものである。光カチオン重合開始剤は、光で触媒的に作用するため、重合性化合物に混合しても保存安定性や作業性に優れる。活性エネルギー線の照射によりカチオン種又はルイス酸を生じる化合物として、例えば芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、鉄-アレーン錯体等を挙げることができる。
【0098】
芳香族ヨードニウム塩は、ジアリールヨードニウムカチオンを有する化合物であり、当該カチオンとして、典型的にはジフェニルヨードニウムカチオンを挙げることができる。
芳香族スルホニウム塩は、トリアリールスルホニウムカチオンを有する化合物であり、当該カチオンとして、典型的にはトリフェニルスルホニウムカチオン、4,4’-ビス(ジフェニルスルホニオ)ジフェニルスルフィドカチオン等を挙げることができる。芳香族ジアゾニウム塩は、ジアゾニウムカチオンを有する化合物であり、当該カチオンとして、典型的にはベンゼンジアゾニウムカチオンを挙げることができる。鉄-アレーン錯体は、典型的にはシクロペンタジエニル鉄(II)アレーンカチオン錯塩である。
【0099】
上記カチオンは、アニオン(陰イオン)と対になって光カチオン重合開始剤を構成する。光カチオン重合開始剤を構成するアニオンとしては、特殊リン系アニオン[(Rf)PF6-n、ヘキサフルオロホスフェートアニオンPF 、ヘキサフルオロアンチモネートアニオンSbF 、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネートアニオンSbF(OH)、ヘキサフルオロアーセネートアニオンAsF 、テトラフルオロボレートアニオンBF 、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンB(C 等が挙げられる。中でも、重合性化合物の硬化性及び得られる硬化物層の安全性の観点から、光カチオン重合開始剤が特殊リン系アニオン[(Rf)PF6-n、ヘキサフルオロホスフェートアニオンPF であることが好ましい。
【0100】
光カチオン重合開始剤は、1種を単独で用いても、異なる複数種を組み合わせて用いてもよい。中でも、芳香族スルホニウム塩は、300nm付近の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから硬化性に優れ、良好な機械的強度や接着強度を有する硬化物をもたらすことができるため好ましい。
【0101】
接着剤における重合開始剤の含有量は、重合性化合物100質量部に対して、通常、0.5質量部以上10質量部以下であり、好ましくは6質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。重合開始剤の含有量がこの範囲内であるとき、重合性化合物を十分に硬化させることができ、得られる硬化物から構成される硬化物層に高い機械的強度及び接着強度を与えることができる。
【0102】
接着剤は、必要に応じて硬化性組成物に一般的に用いられる添加剤を含むことができる。そのような添加剤としては、例えばイオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、重合促進剤(ポリオール等)、増感剤、増感助剤、光安定剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤、レベリング剤、シランカップリング剤、色素、帯電防止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0103】
増感剤としては、例えば光増感剤が挙げられる。光増感剤は、光カチオン重合開始剤が示す極大吸収波長よりも長い波長に極大吸収を示し、光カチオン重合開始剤による重合開始反応を促進させる化合物である。また、光増感助剤は、光増感剤の作用を一層促進させる化合物である。光増感剤、光増感助剤を配合することにより、偏光板がUV透過性の低いフィルムを含む場合においても、所望の性能を有する硬化層を形成することができる。
【0104】
光増感剤は、例えば380nmよりも長い波長の光に極大吸収を示す化合物であることが好ましい。かかる光増感剤としては、以下に記載のアントラセン系化合物等が挙げられる。
【0105】
9,10-ジメトキシアントラセン、
9,10-ジエトキシアントラセン、
9,10-ジプロポキシアントラセン、
9,10-ジイソプロポキシアントラセン、
9,10-ジブトキシアントラセン、
9,10-ジペンチルオキシアントラセン、
9,10-ジヘキシルオキシアントラセン、
9,10-ビス(2-メトキシエトキシ)アントラセン、
9,10-ビス(2-エトキシエトキシ)アントラセン、
9,10-ビス(2-ブトキシエトキシ)アントラセン、
9,10-ビス(3-ブトキシプロポキシ)アントラセン、
2-メチル-又は2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、
2-メチル-又は2-エチル-9,10-ジエトキシアントラセン、
2-メチル-又は2-エチル-9,10-ジプロポキシアントラセン、
2-メチル-又は2-エチル-9,10-ジイソプロポキシアントラセン、
2-メチル-又は2-エチル-9,10-ジブトキシアントラセン、
2-メチル-又は2-エチル-9,10-ジペンチルオキシアントラセン、
2-メチル-又は2-エチル-9,10-ジヘキシルオキシアントラセン。
【0106】
レベリング剤は、硬化性組成物の流動性を調整し、該組成物を塗布して得られる塗膜をより平坦にする機能を有する添加剤であり、例えばシランカップリング剤等のシリコーン系、ポリアクリレート系及びパーフルオロアルキル系のレベリング剤が挙げられる。レベリング剤として市販品を用いてもよい。
【0107】
レベリング剤の含有量は、重合性化合物100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上5質量部以下であり、より好ましくは0.05質量部以上3質量部以下である。
レベリング剤の含有量が、この範囲内であるとき、第二硬化物層がより平滑となる傾向にある。
【0108】
図1に示すように、上記のような活性エネルギー線硬化型接着剤を、第1フィルム10の表面に塗工する。具体的には、ロール1から第1フィルム10を引き出し、ガイドロール2Aでガイドされた第1フィルム10の表面に活性エネルギー線硬化型接着剤を連続的に塗工装置3で塗工する。塗工装置3の例は、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーターである。
【0109】
硬化後の硬化物層の厚みは、好ましくは0.1~5μm、より好ましくは0.5~3μmであり、このような厚みとなるように接着剤の塗布量を調節することが好適である。硬化物層の厚みがこの範囲内であるとき、偏光子からの二色性色素の拡散防止機能をさらに発揮し得るとともに、偏光板の薄型化が可能となる。
【0110】
(貼合工程)
接着剤が塗布された第1フィルム10を、ガイドロール2Bを介して、一対の貼合ロール5間に導く。また、ロール4から引き出した第2フィルム20を、ガイドロール2Cを介して一対の貼合ロール5間に導く。
【0111】
一対の貼合ロール5の両表面から押圧されることで、第1フィルム10と第2フィルム20とが活性エネルギー線硬化型接着剤を介して貼合され、第1フィルム10、活性エネルギー線硬化型接着剤層、及び第2フィルム20をこの順に有する積層体30が形成される。
【0112】
具体的には、図2の第1フィルム10の下面と、図3の(a)及び(b)の第2フィルム20の上面とが、活性エネルギー線硬化型接着剤層により貼合される。この状態では、活性エネルギー線硬化型接着剤は未硬化である。
【0113】
(硬化工程)
貼合ロール5で第1フィルム10と前記第2フィルムとを貼合してから2~8秒の間に、積層体30中の活性エネルギー線硬化型接着剤層に対して活性エネルギー線の照射を開始する。照射の開始は、貼合から2~4.5秒の間に行うことが好ましい。貼合から2~8秒の間に行うのは照射の開始であり、貼合から2~8秒の間に硬化を完了させる必要は無い。したがって、貼合から8秒以降も活性エネルギー線を照射し続けてもよい。
【0114】
図1において、一対の貼合ロール5で2つのフィルムを貼合する場合、一対のロール間の軸5C同士を結ぶ線を2つのフィルムが通過した位置L0を貼合の開始位置とする。また、貼合後に搬送される積層体30に対して活性エネルギー線源6から活性エネルギー線が照射される位置(照射の中心位置)をL1とする。さらに、位置L0と位置L1との間のフィルムの搬送方向に沿った距離をWとする。
【0115】
このような構成の場合、2つのフィルムを貼合してから活性エネルギー線の照射が開始されるまでの時間Tは、フィルムの搬送速度をV[m/s]、及び、位置L0と位置L1との間の距離W[m]とに基づいて、W/V[s]により求められる。したがって、距離Wが固定されている場合、搬送速度Vを変更することにより、W/Vすなわち貼合してから照射開始までの時間Tを調節できる。なお、距離Wを変更してW/Vを調整することも可能である。
【0116】
図1の活性エネルギー線源6の後ろに別の活性エネルギー線源を設けて、例えば、貼合から8秒以降に追加の照射をして、硬化度を高くすることができる。
【0117】
貼合工程での、貼合ロール上での積層体30の搬送速度は、1~50m/minとすることができる。
【0118】
活性エネルギー線源6による活性エネルギー線の照射量(UVA領域(320~390nm)の積算光量)は150~800mJ/cmとすることができ、350~600mJ/cmとすることが好適である。
【0119】
活性エネルギー線は、第1フィルム10側から照射してもよいし、第2フィルム20側から照射してもよいし、両側から照射してもよい。
【0120】
第1フィルムがUV吸収能を有する部材の場合、第1フィルム10の紫外線領域における透過率が低くなる。例えば、第1フィルム10の320nmにおける透過率は10%未満であり、かつ、第2フィルム20の320nmにおける透過率が10~99%である場合、第2フィルム20から第1フィルム10に向かって活性エネルギー線を照射することが好適である。
【0121】
なお、貼合された積層体30が繰り出される一対の貼合ロール5の間に向けて活性エネルギー線を照射する態様は、貼合してから2秒未満に、積層体中の接着剤に対して活性エネルギー線の照射を開始するため、本発明の実施形態から除外される。
【0122】
図2の第1フィルム10と図3の第2フィルムとを貼合した場合の積層体(偏光板)の例を図4に示す。第1フィルム10と第2フィルムとが、活性エネルギー線硬化型接着剤の硬化物層50で接着されている。
【0123】
(作用機序)
第1フィルム10と第2フィルム20とを貼合してから2秒未満で積層体30に対して活性エネルギー線の照射を開始すると、貼合ロール5で押圧された際に生じるフィルムの変形が、積層体30をカールさせることがある。
【0124】
また、貼合してから8秒超経過してから活性エネルギー線の照射を開始すると、積層体の透過率が低下する。この理由の詳細は明らかでは無いが、未硬化の活性エネルギー線硬化型接着剤と、配向した重合性液晶化合物の硬化物及び二色性色素を含む偏光子を有する第2フィルムとが長時間接触すると、活性エネルギー線硬化型接着剤中の重合性化合物(モノマー)等の影響により二色性色素が偏光子から接着剤層へ拡散してしまうことが一因と考えられる。
【0125】
本発明は上記実施形態に限定されず、様々な変形態様が可能である。例えば、第1フィルムや第2のフィルムの積層構成は図示された以外にも種々の態様を取ることができるし、積層に用いる装置も図1に限定されず、例えば、長尺でなく枚葉のフィルムの貼合及び硬化の倍にも適用できる。
【実施例0126】
図1に示す装置において、第1フィルム10と第2フィルム20とを、活性エネルギー線硬化型接着剤で貼合し、活性エネルギー線を照射して硬化させた。
第1フィルムの層構成(図2):接着剤塗布側から順に、逆波長分散型λ/4板12/接着剤層14/ポジティブC板16/剥離基材18
第2フィルムの層構成(図3):接着剤接触側から順に、オーバーコート層32/偏光子36/配向膜34/ハードコート層38/剥離基材40
第1フィルムは、波長320nmの紫外線の透過率が0%であり、第2フィルムは、波長320nmの紫外線の透過率が15.4%であった。
【0127】
偏光子は、以下に示す二色性色素及び重合性液晶化合物を含む組成物の硬化物とした。偏光子の製法および配向膜の材料及び製法は特開2020-003824号公報の実施例1と同様とした。
[重合性液晶化合物]
【化8】

[二色性色素]
【化9】

〔他の成分〕
重合開始剤;
2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン
(イルガキュア369;BASFジャパン(株)製) 6部
レベリング剤;
ポリアクリレート化合物(BYK-361N;BYK-Chemie社製)
1.2部
溶剤;o-キシレン 250部
【0128】
オーバーコート層としてポリビニルアルコール系樹脂の硬化物を、ハードコート層として活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化物を用いた。
【0129】
活性エネルギー線硬化型接着剤
下記に示すカチオン硬化性成分1~4及びカチオン重合開始剤を混合した。得られた混合物に、下記に示すカチオン重合開始剤及び増感剤をさらに混合した。得られた溶液を脱泡して、接着剤を得た。なお、下記の配合量は固形分量に基づく。
・カチオン硬化性成分1(7部):3',4'-エポキシシクロヘキシルメチル3',4'-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(株式会社ダイセル製、CEL2021P)
・カチオン硬化性成分2(40部):フルオレン型エポキシ樹脂(大阪ガスケミカル株式会社製、OGSOLEG-200)
・カチオン硬化性成分3(33部):ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス株式会社製EX-211L)
・カチオン硬化性成分4(20部):3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン(東亞合成株式会社、OXT-221)
・カチオン重合開始剤(2.25部(固形分量)):商品名:CPI-100(サンアプロ株式会社製)の50%プロピレンカーボネート溶液
・増感剤(2部):1,4-ジエトキシナフタレン
【0130】
貼合条件
接着剤膜厚:1.3μm
UV照度 @UVA(320~390nm):400mJ/cm
貼合位置からUV照射位置までの距離W:1.5m
実施例1~5および比較例1~2にて、フィルムの搬送速度Vを変化させることで、貼合してからUV照射を開始するまでの時間Tを変化させた。
【0131】
(評価)
透過率測定装置:紫外可視分光光度計「UV-2450」(島津製作所製)
貼合により得られた積層体の520nmの透過率を測定した。
【0132】
【表1】
【0133】
実施例によれば、透過率の高い偏光板が得られることが確認された。
【符号の説明】
【0134】
10…第1フィルム、12…λ/4板(光学機能層、位相差板)、16…ポジティブC板(光学機能層、位相差板)、19…剥離基材、20…第2フィルム、30…積層体、32…オーバーコート層、36…偏光子、50…硬化物層。

図1
図2
図3
図4