(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078772
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】徐放性フェロモン製剤
(51)【国際特許分類】
A01N 25/34 20060101AFI20230531BHJP
A01M 1/02 20060101ALI20230531BHJP
A01P 19/00 20060101ALI20230531BHJP
A01N 37/02 20060101ALI20230531BHJP
【FI】
A01N25/34 Z
A01M1/02 B
A01P19/00
A01N37/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192044
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】左口 龍一
【テーマコード(参考)】
2B121
4H011
【Fターム(参考)】
2B121AA11
2B121CC14
2B121EA24
4H011AC07
4H011BB03
4H011BC03
4H011BC19
4H011DH04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】設置が容易で安定的に設置場所に保持される徐放性フェロモン製剤の提供。
【解決手段】各末端2が封止された少なくとも1本のフェロモン物質3を含む高分子製細管又は高分子製細棒から構成される徐放性フェロモン製剤10であって、
(a)前記高分子製細管又は高分子製細棒を弧状に曲げて交差させることにより、正面視において1つの閉じた空間6を形成し、
側面視において交差していない徐放性フェロモン製剤10であって、
(b)前記弧状に曲げて交差させた曲率半径Rが4~17mmであり、
(c)前記弧状に曲げて形成された弧の頂点から、交差点5までの直線距離Dが25~70mmであり、
(d)正面視において、交差点5を開いた場合における離間距離Gを20mmにした場合の反発力が0.5N以上である
徐放性フェロモン製剤10。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各末端が封止された少なくとも1本のフェロモン物質を含む高分子製細管又は高分子製細棒から構成される徐放性フェロモン製剤であって、
(a)前記高分子製細管又は高分子製細棒を弧状に曲げて交差させることにより、正面視において1つの閉じた空間を形成し、
側面視において交差していない徐放性フェロモン製剤であって、
(b)前記弧状に曲げて交差させた曲率半径が4~17mmであり、
(c)前記弧状に曲げて形成された弧の頂点から、交差点までの直線距離が25~70mmであり、
(d)正面視において、交差点を開いた場合における離間距離を20mmにした場合の反発力が0.5N以上である
徐放性フェロモン製剤。
【請求項2】
前記弧状に曲げて形成された弧の角度が100~200度である請求項1に記載の徐放性フェロモン製剤。
【請求項3】
前記高分子製細管及び高分子製細棒が、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート又はこれらの共重合体もしくはブレンドポリマーからなる請求項1又は2に記載の徐放性フェロモン製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、徐放性フェロモン製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
害虫の防除方法の一つとして、害虫の性フェロモン物質を放散させて害虫の交尾行動を阻害することにより、次世代の害虫密度を抑制する交信攪乱方法が実用化されている。交信攪乱による防除では、害虫の性フェロモン物質をこれらの性フェロモン物質が効果を発揮すべき所定の場所に、長期間安定的に設置され、前記性フェロモン物質を極めて徐々に継続的に放散させる徐放性フェロモン製剤の提供が実用上重要な技術的課題となっている。
上記課題のもとに開発されたものとして、高分子製の細管内に性フェロモン物質を充填しその両末端を封印した管状の徐放性フェロモン製剤が提案されている。管状の徐放性フェロモン製剤は長期にわたり安定的に性フェロモンを放散することが示されているが、長期間安定的に設置した場所に保持する方法に課題があった。
この課題を解決する方法として例えば、高分子材料製の細管とこの細管の軸方向に金属線を接合(添設)してなる内部に性フェロモン物質を収納した徐放性フェロモン製剤(特許文献1)や、高分子材料製の細管2本を接合し環状とすることによって、金属線の添設が無くても果樹、樹木等に懸吊できるタイプの徐放性フェロモン製剤(特許文献2)、高分子材料製の細管2本を撚り合わせ両末端を接合し、高分子製細管の復元、反発力を利用してさらに把持強度を向上させた徐放性フェロモン製剤(特許文献3)、高分子細管を屈曲、旋回させて輪を形成した形状の徐放性フェロモン製剤(特許文献4)が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭57-156403号公報
【特許文献2】特開平11-225646号公報
【特許文献3】特開2013-188159号公報
【特許文献4】実開昭62-122801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の徐放性フェロモン製剤は、金属線が添設された構造のものであるため、金属線の賦形性によって設置が可能で安定的に保持される。しかしながら、金属線の使用による製造コスト及び性フェロモン物質の充填コストが高くなること、金属線を捻って固定するために設置にやや時間がかかること、使用後に設置した場所から取り外すのが面倒なこと、果樹、樹木等の剪定作業を行うと金属線が剪定時に剪定用の刃物を損傷する等の欠点があった。
また、特許文献2及び特許文献3の徐放性フェロモン製剤は、金属線が果樹園等に残る問題点は解決されるものの、設置においては、環状の輪に果樹や樹木の枝を通す必要があり、両手を使っての作業もしくは専用の治具等を使っての作業が要求されるため、設置の手間を減らすには至っていない。
さらに、特許文献4の徐放性フェロモン製剤は、細管の交差点は融着若しくは接着又は接触若しくは細管径の3倍以内の隙間を設けるとされているが、融着又は接着の場合は形成される輪を果樹や樹木の枝に通す必要があるため、設置場所が限定される。また、接触又は僅かの隙間を持って形成される場合は、この隙間を通して果樹や樹木の枝に懸吊できるものの、自然における風や農薬散布機械等における風圧等によって落下してしまう問題点があった。
上記事情より、長期間にわたる性フェロモンの放出制御に適し、かつ設置が容易で安定的に設置場所に保持される製造コストの掛からない徐放性フェロモン製剤の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、高分子製細管又は高分子製細棒を所定の形に成形することにより、設置が容易で安定的に設置場所に保持される徐放性フェロモン製剤を得ることができることを見出し、本発明を為すに至った。
本発明の一つの態様によれば、各末端が封止された少なくとも1本のフェロモン物質を含む高分子製細管又は高分子製細棒から構成される徐放性フェロモン製剤であって、
(a)前記高分子製細管又は高分子製細棒を弧状に曲げて交差させることにより、正面視において1つの閉じた空間を形成し、
側面視において交差していない徐放性フェロモン製剤であって、
(b)前記弧状に曲げて交差させた曲率半径が4~17mmであり、
(c)前記弧状に曲げて形成された弧の頂点から、交差点までの直線距離が25~70mmであり、
(d)正面視において、交差点を開いた場合における離間距離を20mmにした場合の反発力が0.5N以上である
徐放性フェロモン製剤が提供される。
また、本発明のその他の態様によれば、前記弧状に曲げて形成された弧の角度が100~200度である上記徐放性フェロモン製剤が提供される。
また、本発明のその他の態様によれば、前記高分子製細管及び高分子製細棒が、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート又はこれらの共重合体もしくはブレンドポリマーからなる上記徐放性フェロモン製剤が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば放出制御能力は維持しつつも、容易に果樹や樹木等への設置が可能であって、自然界で起こる強風や農薬散布機等の風圧、振動等によっても落下せずに安定的に設置場所に保持され、信頼できる徐放性が長期間にわたり得られる徐放性フェロモン製剤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1Aは1本の細管からなる本発明の実施例を示す正面断面図であり、
図1Bはその部分拡大図である。
【
図2】
図1の製剤を木の枝に設置する際の設置方法を示す斜視図である。
【
図3】
図3Aはピーマン型の実施例を示す正面図である。
図3Bはトマト型の実施例を示す正面図である。
図3Cは六角形の実施例を示す正面図である。
【
図4】ハート型の詳細を示す正面図であり、
図4Aは曲率半径、
図4Bは弧の角度、
図4Cは弧の頂点から交差点までの直線距離を示す。
【
図5】反発力測定方法を示す斜視図であり、
図5Aは準備状態、
図5Bは外力を付加した状態を示す。
【
図8】異なる断面を有する細棒を示す実施例であり、
図8Aは円柱形細棒、
図8Bは星型細棒、
図8Cは半管状細棒を示す斜視図である。
【
図9】異なる断面を有する細管を示す実施例であり、
図9A、Bは楕円細管、
図9C、Dは方形細管を示す斜視図である。
【
図11】実施例1で使用した曲回加工用治具を示す外観図である。
【
図12】実施例1で得られた徐放性フェロモン製剤を示す外観図である。
【
図13】高分子製細管の押し出し成型状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
まず、本発明の特徴である徐放性フェロモン製剤の形状について説明する。
【0009】
徐放性フェロモン製剤は、少なくとも1本のフェロモン物質を含む高分子製細管又は高分子製細棒を弧状に曲げて交差させることにより、
図1に示されるように、正面視において1つの閉じた空間6を形成したものである。
閉じた空間の形状は、後述にて説明する曲率半径及び直線距離を満たしていれば限定されず、例えば、
図1に示されるハート型や、
図3Aに示されるピーマン型、
図3Bに示されるトマト型、
図3Cに示される六角形等が挙げられる。これらの中でも、曲回頂点が反発力の支点となる形状であり、かつ後述するように弧の角度により適度な曲回部の反発力の強さが得られる観点から、
図1に示されるハート型が好ましい。
【0010】
前記徐放性フェロモン製剤は、側面視において、交差していない徐放性フェロモン製剤である。当該徐放性フェロモン製剤は、
図2に示されるように、交差点5の外側を枝8に押し当てるのみで、交差点5を通過して閉じた空間6の部位で枝8に懸吊される。枝8に吊るされた徐放性フェロモン製剤は、交差点5によって枝8からの落下が防止される。高分子製細管又は高分子製細棒同士は側面視において接触していても良く、又は落下に影響がない程度に側面視において僅かに隙間が空いていても良い。交差点5は交差、融着又は接着させてしまうと、設置及び回収の作業性に劣る。当該徐放性フェロモン製剤は、側面視において交差をさせないことにより、例えば片手での設置及び回収を容易にすることができ、作業効率の向上に寄与する。
【0011】
高分子製細管又は高分子製細棒を弧状に曲げて交差させた曲率半径は、4~17mm、好ましくは6~15mm、より好ましくは6~12.5mmである。前記曲率半径が4mm未満の場合、細管または細棒の曲回加工の際にこれらの弾性変形範囲を超えてしまい細管または細棒が折れてしまう場合があり適切でない。一方、前記曲率半径が17mmを超えた場合、反発力が低下してしまい実用的でない。
ここで、前記曲率半径とは、
図4Aに示されるように、弧状に曲げて形成した弧の半径Rを表す。
【0012】
高分子製細管又は高分子製細棒を弧状に曲げて形成された弧の頂点7から、交差点5までの直線距離Dは、25~70mm、好ましくは25~65mm、より好ましくは25~60mmである。前記直線距離が25mm未満の場合、細管または細棒の全長が100mm以下になってしまい不経済である。前記直線距離が70mmを超えた場合、ある程度の剛性を持つ細管または細棒を使用しても交差点部分5の反発力がえられないため設置安定性に欠ける。
ここで、前記直線距離とは、
図4(c)に示されるように、弧状に曲げた弧の頂点7の内側から交差点5の中心までの距離Dを表す。
【0013】
次に、徐放性フェロモン製剤の反発力について説明する。
本発明では、実際に枝等に設置及び回収することを想定し、正面視において、交差点を開いた場合における離間距離を20mmとした場合の反発力を評価対象とした。徐放性フェロモン製剤の実使用では、圃場の植物体や支柱等に対象害虫の発生直前から発生が終了するまでの長期間にわたり屋外等に設置される。その間の雨、風等の自然現象や農薬散布、摘果、剪定等の機械による農作業等によって徐放性フェロモン製剤は落下してはならない。その為には、前記反発力は、0.5N以上であり、好ましくは0.6N以上である。
以下に、前記反発力の測定方法について説明する。
指標となる反発力の測定は、
図5に示されるように、徐放性フェロモン製剤の曲回加工された一方を金属チャック28で水平に固定し、フォースゲージ(株式会社イマダ:DST-20N)29を用いて、アタッチメントの子鉤31を曲回加工された他方に掛け、側面視において高分子製細管又は高分子製細棒が離れないように交差点の離間距離Gが20mm離れるまでに下方に引く。その際のピーク値を反発力として測定した。
【0014】
高分子製細管又は高分子製細棒を弧状に曲げて形成された弧の角度は、良好な反発力を保持する観点から好ましくは100~200度であり、より好ましくは110~180度、更に好ましくは120~170度である。
ここで、前記弧の角度とは、
図4Bに示されるように、弧状に曲げて形成された角度θを表す。
【0015】
次に高分子製細管又は高分子製細棒について説明する。
高分子製細管は、細管の内部にフェロモン物質が充填され、両末端が封止されたものである。
高分子製細管の内径は、製剤1個当たりに必要とするフェロモン物質によって変わってくるが、製剤の成形性又は管内に性フェロモンを充填する観点から、0.2~3mmが好ましく、0.3~2.0mmがより好ましい。細管肉厚は、加工容易性及び良好な反発力を保持する観点から、0.15~1.5mmが好ましく、0.3~0.8mmがより好ましい。細管内径、細管肉厚で構成される細管の外径は、加工容易性及び良好な反発力を保持する観点から、1.5~6mmが好ましい。
【0016】
高分子製細棒は、例えば、後述の高分子材料にフェロモン物質やフェロモン物質を担持させた無機フィラーを練りこんだものであったり、フェロモン物質を前記高分子材料に含浸させたものである。
前記細棒の径は、加工容易性及び良好な反発力を保持する観点から、好ましくは高分子製細管の外径と同じであり、1.5~6.0mmが好ましい。
【0017】
高分子製細管にフェロモン物質を注入する場合の高分子製細管中のフェロモン物質の担持量は、最も一般的な有効長L200mmの場合で、好ましくは50~600mg、更に好ましくは80~500mgである。50mgより担持量が少ないと設置期間中にフェロモン液の放出量が足りなくなり、交信撹乱による害虫の防除効果が低下する場合がある。一方、600mgより担持量が多いと過剰容量となり、害虫の発生時期後もフェロモンが残存し無駄になってしまう場合がある。なお、放出量を制御するためにフェロモン物質を溶媒により希釈して用いる場合も、フェロモン物質の好ましい担持量は、上記範囲である。
高分子製細棒にフェロモン液を練り込む場合の高分子製細棒中のフェロモン物質の含有量は、有効長L200mmの場合で、好ましくは50~600mg、更に好ましくは80~500mgである。また、高分子製細棒中のフェロモン物質の含有割合は、フェロモン物質を含めた高分子製細棒の全体質量に対して、好ましくは2~60質量%、更に好ましくは2~40質量%である。2質量%未満では十分な放出速度を確保することができない場合があり、60質量%を超えると十分な放出制御ができない場合がある。
フェロモン物質は、害虫から抽出して分離した天然フェロモン物質でも良いが、コストや大量入手の容易さ等の点から合成フェロモン物質が好ましい
【0018】
高分子製細管及び高分子製細棒の断面は、特に限定されず、種々の形状とすることができる。
高分子製細管については、例えば、円形や、
図9A、Bの楕円形、
図9C、Dの方形等が挙げられるが、特に、楕円形及び方形の場合には、加工した際の反発力を大きくすることができる観点で有利である。
また、高分子製細棒については、例えば、
図8Aの円形や、
図8Bの星形、
図8Cの中空状の円形等が挙げられる。
【0019】
高分子製細管及び高分子製細棒の長さは、ハート型、ピーマン型、トマト型等の閉じた空間を形成するために、少なくとも100mmの長さは必要であり、設置安定性及び設置及び回収の容易さの観点から、好ましくは100~400mm、より好ましくは150~300mmである。400mmを超える長さの細管、棒状物を加工する場合は弧の頂点から交差点までの直線距離が長くなり過ぎて、設置に手間が掛かかるうえに、必要な反発力が得られなくなるため好ましくない。
【0020】
徐放性フェロモン製剤で用いられる高分子製細管及び高分子製細棒を構成する高分子材料は、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート等又はこれらの共重合体が好ましい。また、これら高分子材料は、1種単独でも2種以上を混合したものであってもよい。
高分子製細管及び高分子製細棒のように比較的外径が小さく、長尺状に成形した場合、果樹や樹木等に懸吊し保持させるためには、反発力が成形品に必要である。ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂を弧状に曲げて加工した製剤は、弾性変形ではなく塑性変形を示すため、樹木等に懸吊する為に交差点部を開くと元の形状に復元することなく、交差点が開いたままになってしまい、不適である。成形品の弾性変形性から上記で挙げた高分子材料が適している。これらの中でも、加工の容易性の観点から、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネートアジペートが特に好ましい。
【0021】
徐放性フェロモン製剤を構成する高分子製細管又は高分子製細棒は、少なくとも1本を必要とするが、例えば、
図7A及びBに示されるように、高分子製細管1を2本又は3本並列に構成したものを用いてもよい。また、
図7Cに示されるように、高分子製細管1が3本積み合わさった構成でもよい。さらに、
図7D及びEに示されるように、高分子製細管1と高分子製細棒11を併設させたものを使用してもよい。また、
図7D及びEのように高分子製細管1と高分子製細棒11とを併設する態様において、徐放性フェロモン製剤1個当たりのフェロモン担持量を節約する場合や細管または細棒1本では反発力が得られない場合の加工性の簡便性の観点から、高分子製細棒としてフェロモン物質を含まないものを高分子製細管と併設したものを用いてもよい。また、フェロモン物質の種類や対象とする害虫の種類によっては、材質、内外径等の寸法が異なる複数の高分子製細管又は高分子製細棒が必要な場合もあるが、その場合には、例えば
図7Fに示されるように、複数の高分子製細管1を撚ったものを加工に使用してもよい。
【0022】
フェロモン物質は、25℃で液状のフェロモン物質、フェロモン液を含有する担持体の他、固体状フェロモン物質も含まれる。
本発明で用いるフェロモン物質の具体例としては、例えばピンクボールワーム(ワタアカミムシ)の性フェロモン物質であるZ,Z-7,11-ヘキサデカジエニルアセテート及びZ,E-7,11-ヘキサデカジエニルアセテート、オリエンタルフルーツモス(ナシヒメシンクイ)の性フェロモン物質であるZ-8-ドデセニルアセテート、ピーチツイッグボーラー(モモキバガ)の性フェロモン物質であるE-5-デセニルアセテート、グレープベリーモス(ホソヒメハマキ)の性フェロモン物質であるZ-9-ドデセニルアセテート、ヨーロピアングレープヴァインモス(ブドウホソハマキ)の性フェロモン物質であるE,Z-7,9-ドデカジエニルアセテート、ライトブラウンアップルモス(リンゴウスチャイロハマキ)の性フェロモン物質であるE-11-テトラデセニルアセテート、コドリングモス(コドリンガ)の性フェロモン物質であるE,E-8,10-ドデカジエノール、リーフローラー(ハマキガ)の性フェロモン物質であるZ-11-テトラデセニルアセテート、ピーチツリーボーラー(コスカシバ)の性フェロモン物質であるZ,Z-3,13-オクタデカジエニルアセテート及びE,Z-3,13-オクタデセニルアセテート、アメリカンボールワーム(オオタバコガ)の性フェロモン物質であるZ-11-ヘキサデセナール、オリエンタルタバコバッドワーム(タバコガ)の性フェロモン物質であるZ-9-ヘキサデセナール、ソイビーンポッドボーラー(マメシンクイガ)の性フェロモン物質であるE,E-8,10-ドデカジエニルアセテート、ダイアモンドバックモス(コナガ)の性フェロモン物質であるZ-11-ヘキサデセニルアセテート及びZ-11-ヘキサデセナール、キャベッジアーミーワーム(ヨトウガ)の性フェロモン物質であるZ-11-ヘキサデセニルアセテート、Z-11-ヘキサデセノール及びn-ヘキサデシルアセテート、ビートアーミーワーム(シロイチモジヨトウ)の性フェロモン物質であるZ、E-9,12-テトラデカジエニルアセテート及びZ-9-テトラデセノール、コモンカットワーム(ハスモンヨトウ)の性フェロモン物質であるZ,E-9,11-テトラデカジエニルアセテート及びZ,E-9,12-テトラデカジエニルアセテート、フォールアーミーアームの性フェロモン物質であるZ-9-テトラデセニルアセテート、トマトピンワームの性フェロモン物質であるE-4-トリデセニルアセテート、ライスステムボーラー(ニカメイガ)の性フェロモン物質であるZ-11-ヘキサデセナール及びZ-13-オクタデセナール、コーヒーリーフマイナーの性フェロモン物質である5,9-ジメチルペンタデカン及び5,9-ジメチルヘキサデカン、ピーチリーフマイナー(モモハモグリガ)の性フェロモン物質である14-メチル-1-オクタデセン、ピーチフルーツモス(モモシンクイガ)の性フェロモン物質であるZ-7-イコセン-11-オン、ジプシーモス(マイマイガ)の性フェロモン物質である7,8-エポキシ-2-メチルオクタデカン、パインプロセッショナリーモスの性フェロモン物質であるZ-13-ヘキサデセン-11-イニルアセテート、ケブカアカチャコガネの性フェロモン物質である2-ブタノール、イエローウィッシュエロンゲイトチェイファー(ナガチャコガネ)の性フェロモン物質であるZ-7,15-ヘキサデカジエン-4-オリド、シュガーケインワイヤーワーム(オキナワカンシャクシコメツキ)の性フェロモン物質であるn-ドデシルアセテート、シュガーケインワイヤーワーム(サキシマカンシャクシコメツキ)の性フェロモン物質であるE-9,11-ドデカジエニルブチレート及びE-9,11-ドデカジエニルヘキサネート、カプレアスチェイファー(ドウガネブイブイ)の性フェロモン物質である(R)-Z-5-(オクト-1-エニル)-オキサシクロペンタン-2-オン、ライスリーフバグ(アカヒゲヒソミドリカスミカメ)の性フェロモン物質であるヘキシルヘキサノエート、E-2-ヘキセニルヘキサノエート及びオクチルブチレート、ソルガムプラントバグ(アカスジカスミカメ)の性フェロモン物質であるヘキシルブチレート、E-2-ヘキセニルブチレート及びE-4-オキソ-2-ヘキセナール、ホワイトピーチスケール(クワシロカイガラムシ)の性フェロモン物質である6R-Z-3,9-ジメチル-6-イソプロペニル-3,9-デカジエニルプロピオネート及び6R-Z-3,9-ジメチル-6-イソプロペニル-3,9-デカジエノール、バインミリーバグ(ブドウコナカイガラムシ)の性フェロモン物質であるS-5-メチル-2-(1-プロペン-2-イル)-4-ヘキセニル3-メチル-2-ブテノエート、ハウスフライ(イエバエ)の性フェロモン物質であるZ-9-トリコセン、ジャーマンコックローチ(チャバネゴキブリ)の性フェロモン物質であるジェンティシルキノンイソバレレート、オリーブフライの性フェロモン物質であるオレアン等が挙げられる。
【0023】
その他、本発明で用いられるフェロモン物質は、スピロアセタール、脂肪族直鎖状アルデヒド、飽和又は二重結合を一つ又は二つ以上有する脂肪族直鎖状アセテート、脂肪族直鎖状アルコール、脂肪族直鎖状ケトン、脂肪族炭化水素、カルボン酸等が挙げられる。
【0024】
スピロアセタールの具体例としては、1,6-ジオキサスピロ[4.5]デカン、2-エチル-1,6-ジオキサスピロ[4.4]ノナン、3-ヒドロキシ-1,7-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、4-ヒドロキシ-1,7-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、7-メチル-1,6-ジオキサスピロ[4.5]デカン、2-メチル-1,6-ジオキサスピロ[4.5]デカン、1,7-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,7-ジメチル-1,6-ジオキサスピロ[4.4]ノナン、2,4,8-トリメチル-1,7-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2-メチル-1,7-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,7-ジオキサスピロ[5.6]ドデカン、2,8-ジメチル-1,7-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,2,8-トリメチル-1,7-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2-エチル-1,7-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2-メチル-1,7-ジオキサスピロ[5.6]ドデカン、2-エチル-7-メチル-1,6-ジオキサスピロ[5.6]デカン、7-エチル-2-メチル-1,6-ジオキサスピロ[5.6]デカン、2,7-ジエチル-1,6-ジオキサスピロ[4.4]ノナン、2,7-ジメチル-1,6-ジオキサスピロ[4.6]ウンデカン、2-メチル-7-プロピル-1,6-ジオキサスピロ[4.4]ノナン、3-ヒドロキシ-2,8-ジメチル-1,7-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2-プロピル-1,7-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2-エチル-8-メチル-1,7-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、8-エチル-2-メチル-1,7-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,7-ジエチル-1,6-ジオキサスピロ[4.5]デカン、2,7-ジプロピル-1,6-ジオキサスピロ[4.4]ノナン、7-ブチル-2-メチル-1,6-ジオキサスピロ[4.5]デカン、8-メチル-2-プロピル-1,7-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2-プロピル-8-メチル-1,7-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン等が挙げられる。
【0025】
脂肪族直鎖状アルデヒドは、好ましくは炭素数10~18を有する。炭素数10~18の脂肪族直鎖状アルデヒドとしては、具体的には、Z-5-デセナール、10-ウンデセナール、n-ドデカナール、Z-9-ドデセナール、E5Z10-ドデカジエナール、E8E10-ドデカジエナール、n-テトラデカナール、Z7-テトラデセナ-ル、Z9-テトラデセナール、Z11-テトラデセナール、Z9E11-テトラデカジエナール、Z9Z11-テトラデカジエナール、Z9E12-テトラデカジエナール、Z9E11,13-テトラデカトリエノール、Z10-ペンタデセナール、E9Z11-ペンタデカジエナール、n-ヘキサデカナール、Z7-ヘキサデセナール、E6Z11-ヘキサデカジエナール、E4Z6-ヘキサデカジエナール、E4E6Z11-ヘキサデカトリエナール、E10E12E14-ヘキサデカトリエナール、n-オクタデカナール、Z9-オクタデセナール、E14-オクタデセナール、E2Z13-オクタデカジエナ-ル、Z3Z13-オクタデカジエナール、Z9Z12-オクタデカジエナ-ル、Z9Z12Z15-オクタデカトリエナール等が挙げられる。
【0026】
飽和又は二重結合を一つ又は二つ以上有する脂肪族直鎖状アセテートは、好ましくは炭素数12~20を有する。
飽和又は二重結合を一つ有する炭素数12~20の脂肪族直鎖状アセテートとしては、具体的には、例えばデシルアセテート、Z3-デセニルアセテート、Z4-デセニルアセテート、ウンデシルアセテート、Z7-ウンデセニルアセテート、Z8-ウンデセニルアセテート、E9-ウンデセニルアセテート、ドデシルアセテート、E7-ドデセニルアセテート、Z7-ドデセニルアセテート、E8-ドデセニルアセテート、E9-ドデセニルアセテート、11-ドデセニルアセテート、10-メチルドデセニルアセテート、トリデシルアセテート、Z4-トリデセニルアセテート、E6-トリデセニルアセテート、E8-トリデセニルアセテート、Z8-トリデセニルアセテート、テトラデシルアセテート、Z7-テトラデセニルアセテート、E8-テトラデセニルアセテート、Z8-テトラデセニルアセテート、E9-テトラデセニルアセテート、Z9-テトラデセニルアセテート、E10-テトラデセニルアセテート、Z10-テトラデセニルアセテート、E12-テトラデセニルアセテート、Z12-テトラデセニルアセテート、12-メチルテトラデセニルアセテート、ペンタデシルアセテート、Z8-ペンタデセニルアセテート、E9-ペンタデセニルアセテート、ヘキサデシルアセテート、Z3-ヘキサデセニルアセテート、Z5-ヘキサデセニルアセテート、E6-ヘキサデセニルアセテート、Z7-ヘキサデセニルアセテート、Z9-ヘキサデセニルアセテート、Z10-ヘキサデセニルアセテート、Z12-ヘキサデセニルアセテート、ヘプタデシルアセテート、Z11-ヘプタデセニルアセテート、オクタデシルアセテート、E2-オクタデセニルアセテート、Z11-オクタデセニルアセテート、E13-オクタデセニルアセテート等が挙げられる。
【0027】
二重結合を二つ以上有する炭素数12~20の脂肪族直鎖状アセテートとしては、具体的には、例えば共役ジエン及び/又は1,4-ペンタジエン系のアセテート化合物が好ましい。具体的には、Z3E5-デカジエニルアセテート、Z3E5-ドデカジエニルアセテート、E3Z5-ドデカジエニルアセテート、Z5E7-ドデカジエニルアセテート、E5Z7-ドデカジエニルアセテート、Z9Z9-ドデカジエニルアセテート、Z8Z10-ドデカジエニルアセテート、9,11-ドデカジエニルアセテート、E4Z7-トリデカジエニルアセテート、11-メチル-Z9,12-トリデカジニルアセテート、E3E5-テトラデカジエニルアセテート、E8E10-テトラデカジエニルアセテート、Z10Z12-テトラデカジエニルアセテート、Z10E12-テトラデカジエニルアセテート、E10Z12-テトラデカジエニルアセテート、E10E12-テトラデカジエニルアセテート、E11,13-テトラデカジエニルアセテート、Z8Z10-ペンタデカジエニルアセテート、Z8E10-ぺンタデカジエニルアセテート、Z8Z10-ヘキサデカジエニルアセテート、Z10E12-ヘキサデカジエニルアセテート、Z11Z13-ヘキサデカジエニルアセテート、Z11E13-ヘキサデカジエニルアセテート、E11Z13-ヘキサデカジエニルアセテート及びZ11E14-ヘキサデカジエニルアセテート等が例示される。
【0028】
脂肪族直鎖状アルコールは、好ましくは炭素数7~20を有する。炭素数7~20の脂肪族直鎖状アルコールとしては、具体的には、例えば飽和脂肪族直鎖状アルコール又は二重結合を一つ又は二つ以上有する脂肪族直鎖状アルコールが好ましい。具体的には、n-ヘプタノール、Z4-ヘプテノール、Z6-ノネノール、Z6,8-ノナジエノール、E6,8-ノナジエノール、n-デカノール、Z5-デセノール、E5-デセノール、n-ウンデカノール、ウンデセノール、11-クロロ-E8E10-ウンデカジエノール、n-ドデカノール、Z5-ドデセノール、Z7-ドデセノール、E7-ドデセノール、Z8-ドデセノール、E8-ドデセノール、Z9-ドデセノール、E9-ドデセノール、E10-ドデセノール、11-ドデセノール、Z5E7-ドデカジエノール、E5Z7-ドデカジエノール、E5E7-ドデカジエノール、Z7Z9-ドデカジエノール、Z7E9-ドデカジエノール、E7Z9-ドデカジエノール、8,9-ジフロロ-E8E10-ドデカジエノール、10,11-ジフロ-E8E10一ドデカジエノール、8,9,10,11-テトラフルオロ-E8E10-ドデカジエノール、Z9,11-ドデカジエノール、E9,11-ドデカジエノール、n-トリデカノール、n-テトラデカノール、Z5-テトラデセノール、E5-テトラデセノール、Z7-テトラデセノール、Z8-テトラデセノール、Z11-テトラデセノール、E11-テトラデセノール、Z9Z11-テトラデカジエノール、Z9E11-テトラデカジエノール、Z9Z12-テトラデカジエノール、Z9E12-テトラデカジエノール、Z10Z12-テトラデカジエノール、E10E12-テトラデカジエノール、n-ペンタデカノール、6,10,14-トリメチル-2-ペンタデカノール、n-ヘキサデカノール、Z9-ヘキサデセノール、Z11-ヘキサデセノール、E11-ヘキサデセノール、Z7Z11-ヘキサデカジエノール、Z7E11-ヘキサデカジエノール、E10Z12-ヘキサデカジエノール、E10E12-ヘキサデカジエノール、Z11Z13-ヘキサデカジエノール、Z11E13-ヘキサデカジエノール、E11Z13-ヘキサデカジエノール、E11Z13-ヘキサデカジエノール、Z13-ヘキサデセン-11-エン-オール、E4Z6Z10-ヘキサデカトリエノール、E4E6Z10-ヘキサデカトリエノール、n-オクタデカノール、Z13-オクタデセノール、E2Z13-オクタデカジエノール、Z3Z13-オクタデカジエノール、E3Z13-オクタデカジエノール及びn-エイコサノール等が挙げられる。
【0029】
脂肪族直鎖状ケトンは、好ましくは炭素数10~20を有する。炭素数10~20の脂肪族直鎖状ケトンとしては、具体的には、例えばヘプタデカン-2-オン、Z12-ノナデセン-9-オン、Z6Z9-ノナデカジエン-3-オン、Z7-ノナデセン-11-オン、Z7-エイコセン-11-オン、Z6-ヘネイコセン-11-オン、Z6-ヘネイコセン-9-オン、Z6E8-ヘネイコサジエン-11-オン、Z6E9-ヘネイコサジエン-11-オン、Z6Z9-ヘネイコサジエン-11-オン、Z7-トリコセン-11-オン等が挙げられる。
【0030】
脂肪族炭化水素は、好ましくは炭素数10~20を有する。炭素数10~20の脂肪族炭化水素としては、具体的には、例えば1E11-ペンタデカジエン、1Z11-ペンタデカジエン、5,9-ジメチルペンタデカン、2-メチルヘキサデカン、3,13-ジメチルヘキサデカン、5,9-ジメチルヘキサデカン、n-ヘプタデカン、2-メチルヘプタデカン、2,5-ジメチルヘプタデカン、5-メチルヘプタデカン、5,11-ジメチルヘプタデカン、7-メチルヘプタデカン、7,11-ジメチルヘプタデカン、Z3Z6Z9-ヘプタデカトリエン、Z6Z9-ヘプタデカジエン、Z7-オクタデセン、10,14-ジメチル-1-オクタデセン、5,9-ジチルオクタデカン、2-メチルオクタデカン、14-メチルオクタデカン、Z3Z6Z9-オクタデカトリエン、n-ノナデカン、2-メチルノナデカン、9-メチルノナデカン、Z3Z6Z9Z11-ノナデカテトラエン、1E3Z6Z9-ノナデカテトラエン、Z3Z6Z9-ノナデカトリエン、Z6Z9-ノナデカジエン、Z9-ノナデセン、n-エイコサン、Z9-エイコセン、Z3Z6-エイコサジエン、Z3Z6Z9-エイコサトリエン、1Z3Z6Z9-エイコサテトラエン、1Z3Z6Z9-ヘネイコサテトラエン、n-ヘネイコサン、Z3Z6-ヘネイコサジエン、Z6Z9-ヘネイコサジエン、Z6Z9,20-ヘネイコサトリエン、Z3Z6Z9-ヘネイコサトリエン、Z6-13-メチルヘネイコセン、Z9-ヘネイコセン、n-ドコサエン、Z3Z6Z9-ドコサトリエン、Z6Z9-ドコサジエン、n-トリコセン、Z3Z6Z9-トリコサトリエン、Z6Z9-トリコサジエン、n-テトラコサン、n-ペンタコサン、Z3Z6Z9-ペンタコサトリエン、n-ヘキサコサン、n-ヘプタコサン、n-オクタコサン、n-ノナコサン等が挙げられる。
【0031】
カルボン酸は、カルボキシル基を有する化合物であれば特に限定されないが、好ましくは炭素数10~20を有する。炭素数10~20のカルボン酸として、具体的には、例えば炭素骨格中に複数のメチル基を有するものや、二重結合を有するもの等が挙げられる。具体的には、3,5-ジメチルドデカン酸、Z-5-ウンデセン酸、E-5-ウンデセン酸、(E,Z)-3,5-テトラデカジエン酸等が挙げられる。
【0032】
必要に応じてフェロモン物質に、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を添加してもよい。
酸化防止剤としては、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ハイドロキノン、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、ビタミンE等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2-(2'-ヒドロキシ-3'-tert-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(HBMCBT)、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン等が挙げられる。
【0033】
次に、本発明の徐放性フェロモン製剤の製造方法について説明する。
まず、フェロモン物質が封入された高分子製細管又はフェロモン物質が練り込まれた高分子製細棒を用意する。高分子製細管は、高分子材料を管状に押し出し成形するとともにフェロモン物質を注入して該フェロモン物質を封入することにより得られる。例えば、
図13に示すように、フェロモン液Aを充填した無限長の高分子製細管を連続的に押し出し成形する。フィーダ83内の溶融させた高分子材料Bをダイ84から管状に押し出して高分子細管材85を成形し、その際該ダイのマンドレル81に設けられた有芯孔82を通して該高分製子細管材85内に合成性フェロモン液を連続的に注入して充填し、リールに巻き取る。また、高分子製細棒は高分子材料にフェロモン液又はフェロモン液を含有する不活性物質等の担持体を混ぜ撹拌し、棒状に押し出し成形することにより得られる。例えば、溶融させた高分子材料にフェロモン液又はフェロモン液を含有する担持体を分散させ、ダイから棒状に押し出して高分子細棒材を成形し、リールに巻き取る。
【0034】
上記担持体としては、使用する高分子材料の融点以上の温度において、フェロモンにより溶液もしくは懸濁液を生ずるような性質を持つ高分子材料又は無機質系もしくは有機質系充填剤であればどのようなものも特に限定されることなく用いることができる。
担持体に用いる高分子材料としては、例えばポリ-ε-カプロラクトン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸エステル、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン等が挙げられる。
担持体に用いる充填剤としては、無機質系又は有機質系のものであればどのような物でも良く特に限定されるものではないが、鉄粉等の金属粉、ケイ酸、ケイ酸塩、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏、スレート粉末、マイカ、カオリン、クレー、タルク、アスベスト、グラファイト、カーボンブラック、セメント等の無機質充填剤や、リンター、木粉等の有機質充填剤を例示することができる。これら充填剤は、種類や粒子の大きさ、形状によりフェロモンの保持能力が異なるため、吸油量が好ましくは15ml以上のもの、更に好ましくは30ml以上のものを用いる。吸油量が大きい程フェロモンの保持能力は大きく、フェロモンの混合分散が容易になるためである。なお、吸油量とは、JIS K5105-1965に規定される試験法に基づくもので、充填剤100gに対し練り合せうる油の量である。
【0035】
このような担持体は、フェロモン物質と担持体の合計量を100質量%とすると、好ましくは2~50質量%、更に好ましくは5~40重量%の範囲内で使用することができる。2質量%未満ではフェロモンを保持するのに不十分な場合があり、50質量%を超えるとフェロモンの放出制御ができなくなり長期間に渡る放出を確保できない場合がある。これら担持体は、それぞれ単独で用いても良いが、複数のものを混合して用いても良い。さらに、製造を容易にするために、高分子材料系のものと充填剤系のものを混合して用いることがより望ましい。
【0036】
次に、高分子製細管又は高分子製細棒を所定への形に加工する方法について説明する。
加工方法は、特に制限されないが、例えば、
図10A、
図10Bで示されるプレートの適所に複数の突起を設けた固定治具20を用い、すでに両末端が封止された高分子製細管又は高分子製細棒を固定する。
図10Cの概略図に示すように、この固定治具20をベルトコンベアー23で連続的に運搬し、一定の時間を掛けての温水槽21を通過し、続いて冷却水槽22に一定時間通過した後、治具から高分子製細管又は高分子製細棒が外れ、風乾される装置24で風乾することにより大量生産が可能である。温水槽21の水の温度は、使用する高分子材料にもよるが、70~90℃が好ましい。また、冷却水槽22の水の温度は、使用する高分子材料によるが、5~25℃が好ましい。
別の加工方法として、熱電対を利用して加工を行う、ヒートガンやヒートボックスを用いて加工する方法等もある。
例えば、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート製の細管又は細棒の場合は、両末端を封止した細管又は細棒を所望の形状に曲回し、80℃(融点は110℃)に加熱し、形状を維持したまま冷却することで形状付与が可能である。
【実施例0037】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0038】
[実施例1]
押出し成形機(ダイ温度130℃)を用いて内径1.40mm、壁厚0.40mm、外径2.20mmの細管が2本並列に並んだポリブチレンサクシネート(三菱ケミカル:BioPBS FZ91PB)製の長尺細管を製造した。
この長尺細管を20mに切断し、ナシヒメシンクイの性フェロモンである(Z)-8-ドデセニルアセテートに、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(酸化防止剤)を1質量%及び2-(5-クロロ-2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-p-クレゾール(紫外線吸収剤)を1質量%添加した溶液に該長尺細管の片端末を差し込み、反対の末端からポンプで吸引することにより細管内に性フェロモン溶液を充填した。
性フェロモンが充填されている20mの長尺細管を20cm間隔で超音波シール(振幅28μm、圧力117.6kPa、シール時間1.2秒)した後、シール部をカッターで切断することにより、全長200mmの高分子製細管の徐放性フェロモン製剤を1000本作製した。
得られた徐放性フェロモン製剤を、
図11に示す、位置が可動の6個のローラーで高分子製細管を曲回し、プレートに固定して80℃の温水に15秒浸漬した後、20℃の水槽に入れることによって
図12に示す徐放性フェロモン製剤を得た。得られた徐放性フェロモン製剤は、正面視において1つの閉じた空間を有し、側面視において交差していなかった。また、得られた徐放性フェロモン製剤の閉じた部分の弧の曲率半径は9.0mm、弧の角度は160°でかつ弧の頂点から交差点までの直線距離は55mmであった。この徐放性フェロモン製剤を
図5による方法で反発力を測定したところ、0.508Nであった。この徐放性フェロモン製剤は、弧状に曲げて形成された弧の部分を指で掴み、両封止末端の間の交差点に木の枝を当てるだけで弧の部分と両末端で形成した閉じた空間部に枝が入りこみ、一旦閉じた空間部に木の枝が入ると両封止末端が重なることにより木の枝から外れなかった。
【0039】
[実施例2]
押出し成形機(ダイ温度130℃)を用いて内径1.07mm、壁厚0.40mm、外径1.87mmの細管が2本並列に並んだポリブチレンサクシネート(三菱ケミカル:BioPBS FZ91PB)とポリブチレンサクシネートアジペート(三菱ケミカル:BioPBS FD92PB)を質量基準で80:20の比率で混合した樹脂製の長尺細管を製造した。
この長尺細管を100mに切断し、ヨーロピアングレープヴァインモスの性フェロモンである(E,Z)-7,9-ドデカジエアセテートに、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(酸化防止剤)を2質量%及び2-(5-クロロ-2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-p-クレゾール(紫外線吸収剤)を2質量%添加した溶液に該長尺細管の片端末を浸けて、反対の末端からポンプで吸引することにより細管内に性フェロモン溶液を充填した。
性フェロモンが充填されている100mの長尺細管を200mm間隔で超音波シール(振幅28μm、圧力117.6kPa、シール時間1.0秒)した後、シール部をカッターで切断することにより、全長200mmの高分子製細管製の徐放性フェロモン製剤を5000本作製した。
得られた徐放性フェロモン製剤を実施例1と同様にして成形した。成形後の徐放性フェロモン製剤は、正面視において1つの閉じた空間を有し、側面視において交差していなかった。また、得られた徐放性フェロモン製剤の閉じた部分の弧の曲率半径は9.0mm、弧の角度は160°でかつ弧の頂点から交差点までの直線距離は55mmであった。この得られた徐放性フェロモン製剤を
図5による方法で反発力を測定したところ、1.105Nであった。この徐放性フェロモン製剤は、弧状に曲げて形成された弧の部分を指で掴み、両封止末端の間の交差点に木の枝を当てるだけで弧の部分と両末端で形成した閉じた空間部に枝が入りこみ、さらには、一旦弧の部分と両末端で形成した閉じた空間部に木の枝が入ると、両封止末端が重なることにより木の枝から簡単に外れなかった。
【0040】
[比較例1]
押出し成形機(ダイ温度130℃)を用いて内径0.58mm、壁厚0.30mm、外径1.18mmの細管が2本並列に並んだポリブチレンサクシネート(三菱ケミカル:BioPBS FZ91PB)とポリブチレンサクシネートアジペート(三菱ケミカル:BioPBS FD92PB)を質量基準で80:20の比率で混合した樹脂製の長尺細管を製造した。
この長尺細管を100mに切断し、ヨーロピアングレープヴァインモスの性フェロモンである(E,Z)-7,9-ドデカジエアセテートに、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(酸化防止剤)を2質量%及び2-(5-クロロ-2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-p-クレゾール(紫外線吸収剤)を2質量%添加した溶液に該長尺細管の片端末を浸けて、反対の末端からポンプで吸引することにより細管内に性フェロモン溶液を充填した。
性フェロモンが充填されている100mの長尺細管を200mm間隔で超音波シール(振幅28μm、圧力98.0kPa、シール時間0.8秒)した後、シール部をカッターで切断することにより、全長200mmの高分子製細管製の徐放性フェロモン製剤を5000本作製した。
得られた徐放性フェロモン製剤の閉じた部分の弧の曲率半径は9.0mm、弧の角度は160°でかつ弧の頂点から交差点までの直線距離は55mmであった。この得られた徐放性フェロモン製剤を
図5による方法で反発力を測定したところ、0.308Nであった。この徐放性フェロモン製剤を実施例1と同様の方法で徐放性フェロモン製剤を得た。出来上がり形状は実施例2と相似の徐放性フェロモン製剤が得られる。この徐放性フェロモン製剤は、弧状に曲げて形成された弧の部分を指で掴み、両封止末端の間の交差点に木の枝を当てると弧の部分に枝が入るが、曲回部分の反発力が小さく風圧、枝の振動で枝から外れて落下してしまった。
【0041】
<作業時間>
[実施例3]
実施例1で得られた徐放性フェロモン製剤の設置の作業性を検討する為に、リンゴ園で設置作業を行った。リンゴの樹が6m間隔で植栽されている10アールのリンゴ園でリンゴの樹1本当りに徐放性フェロモン製剤を3本設置する作業を行った(99本/10アールの設置)。片手で設置が可能であり、1人で99本設置するのに要した時間は50分であり、ポリエチレン製の環状製剤に比較して作業時間の短縮が可能であった。
【0042】
[比較例2]
押出し成形機(ダイ温度130℃)を用いて内径1.40mm、壁厚0.40mm、外径2.20mmの細管が2本並列に並んだポリブチレンサクシネート(三菱ケミカル:BioPBS FZ91PB)製の長尺細管を製造した。
この長尺細管を20mに切断し、ナシヒメシンクイの性フェロモンである(Z)-8-ドデセニルアセテートに、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(酸化防止剤)を1質量%、2-(5-クロロ-2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-p-クレゾール(紫外線吸収剤)を1質量%添加した溶液に該長尺細管の片端末を浸けて、反対の末端からポンプで吸引することにより細管内に性フェロモン溶液を充填した。
性フェロモンが充填されている20mの長尺細管を200mm間隔で超音波シール(振幅28μm、圧力117.6kPa、シール時間1.2秒)した後、シール部をカッターで切断することにより、全長200mmの高分子製細管製の徐放性フェロモン製剤を1000本作製した。
上記得られた徐放性フェロモン製剤を実施例3と同様にリンゴの樹が6m間隔で植栽されている10アールのリンゴ園でリンゴの樹1本当りに3本設置する作業を行った(99本/10アールの設置)。当該製剤は、環状の製剤を広げて枝に通す作業が必要であり、1人で99本設置するのに要した時間は70分であった。
【0043】
<落下率測定>
まず、ポリブチレンサクシネートアジペート(三菱ケミカル:BioPBS FD92PB)のペレット97質量部と、ナシヒメシンクイの性フェロモンである(Z)-8-ドデセニルアセテートに、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(酸化防止剤)を1質量%及び2-(5-クロロ-2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-p-クレゾール(紫外線吸収剤)を1質量%添加した溶液3質量部をV型撹拌機でペレットがブロッキング(ペレット同士がくっついて塊になる現象)が確認されなくなるまで混合し、Φ4.1の円形の穴のダイから(ダイ温度130℃)高分子を押出した後、水槽(第一水槽:長さ2メートル、温度60℃、第2水槽:長さ5m、温度15℃)を通すことによって冷却固化され円柱状の細棒を成型した。この細棒を一定速度で巻き上げることにより、性フェロモンが含浸された長尺状の高分子製の細棒成形物を作製した。巻上げる速度を一定に設定して、押出し成型機の押出しスクリューの回転数を調整することにより、円柱の直径(外径)を任意に変えることができる。巻上げる速度を60m毎分一定として、Φ50mmのスクリューの押出し機で回転数12.8RPMとした場合、外径1.0mmの長尺状のフェロモン含有の細棒が得られた。同様に60m毎分、スクリュー回転数26.8RPMとした場合は外径1.5mmとなった。47.4RPMの場合は外径2.0mmとなった。さらには、ダイの円形の穴の径をΦ6に変更し、40m毎分、スクリュー速度52.2RPMで成型して外径2.5mmの棒状成型物を得た。さらにダイの穴径はΦ6、巻き上げの速度を30m毎分、スクリュー回転数54.0RPMで成型して外径3.0mmの棒状成形物を得た。さらにダイの穴径はΦ6、巻き上げの速度を18m毎分、スクリュー回転数57.5RPMで成型して外径5.0mmの棒状成形物を得た。
次に、押出し成形機(ダイ温度130℃)を用いて、ポリブチレンサクシネートアジペート(三菱ケミカル:BioPBS FD92PB)製の表1に記載の高分子製細管(1本)及び高分子製細管(2本並列)の長尺細棒及び長尺細管を作製した。
この長尺細管をそれぞれ20mに切断し、1本の高分子製細管については当該1本に、2本並列の高分子製細管については両細管の片端末に、ナシヒメシンクイの性フェロモンである(Z)-8-ドデセニルアセテートに2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(酸化防止剤)を1質量%及び2-(5-クロロ-2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-p-クレゾール(紫外線吸収剤)を1質量%添加した溶液に差し込み、反対の末端からポンプで吸引することにより細管内に性フェロモン溶液を充填した。
性フェロモンが充填されている20mの長尺細管を20cm間隔で超音波シール(振幅28ミクロン、圧力117.6kPa、シール時間1.2秒)した後、シール部をカッターで切断することにより、全長200mmの高分子製細管製の徐放性フェロモン製剤をそれぞれ100本作製した。
得られた高分子製細棒及び高分子製細管の徐放性フェロモン製剤をそれぞれ実施例1と同様にして成形した。成形後の徐放性フェロモン製剤は、正面視において1つの閉じた空間を有し、側面視において交差していなかった。また、得られた徐放性フェロモン製剤の閉じた部分の弧の曲率半径は9.0mm、弧の角度は160°でかつ弧の頂点から交差点までの直線距離は55mmであった。
図5による方法で測定した徐放性フェロモン製剤の反発力を表1に示す。
次に、太さ2mm、長さ15mmの突起物を5cm間隔で設けた直径15mmの長さ400mmの固定された丸木材にこれら成形後の徐放性フェロモン製剤5本を突起物間に設置した。懸吊された徐放性フェロモン製剤に25m/秒の風速下60秒暴露後、落下する徐放性フェロモン製剤の数を数えて落下率とした。その結果を表1および
図6に示す。この結果から上で述べた測定方法の反発力で0.5N以上の徐放性フェロモン製剤は落下率が0.2以下(5本中1本落下もしくは落下無し)であり、設置安定性に優れることが分かった。
【0044】