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特開2023-78897情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078897
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/07 20060101AFI20230531BHJP
   H04L 51/04 20220101ALI20230531BHJP
【FI】
G06F11/07 193
H04L51/04
G06F11/07 140Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192217
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】樋口 達也
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042GA12
5B042KK17
5B042MA08
5B042MA14
5B042MC24
5B042MC36
(57)【要約】
【課題】機器の異常について利用者が受けている影響に応じた対応を可能とすること。
【解決手段】情報処理装置は、機器において異常が発生している場合に、前記機器の1以上の利用者が当該機器に対応する第1のチャットルームに投稿した、前記異常に関する苦情を示す1以上のメッセージを受信するように構成されているメッセージ受信部と、前記苦情を示すメッセージの数に基づいて、前記異常について前記機器の利用者に対する影響の大きさを示す指標値を算出するように構成されている算出部と、前記指標値に基づくメッセージを前記機器の管理者が利用可能な第2のチャットルームへ投稿するように構成されている第1の投稿部と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器において異常が発生している場合に、前記機器の1以上の利用者が当該機器に対応する第1のチャットルームに投稿した、前記異常に関する苦情を示す1以上のメッセージを受信するように構成されているメッセージ受信部と、
前記苦情を示すメッセージの数に基づいて、前記異常について前記機器の利用者に対する影響の大きさを示す指標値を算出するように構成されている算出部と、
前記指標値に基づくメッセージを前記機器の管理者が利用可能な第2のチャットルームへ投稿するように構成されている第1の投稿部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1のチャットルームは前記機器ごとに対応し、
前記メッセージ受信部は、複数の機器において異常が発生している場合に、それぞれの前記機器の1以上の利用者が当該機器に対応する第1のチャットルームに投稿した、前記異常に関する苦情を示す1以上のメッセージを受信するように構成されており、
前記算出部は、前記複数の機器ごとに、当該機器に対応する前記第1のチャットルームに投稿された苦情を示すメッセージの数に基づいて前記指標値を算出するように構成されており、
前記第1の投稿部は、前記複数の機器それぞれの異常に対する前記指標値に基づく優先順位を示すメッセージを前記複数の機器の管理者が利用可能な前記第2のチャットルームへ投稿するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記メッセージ受信部は、更に、前記苦情を示すメッセージを投稿した利用者によって当該メッセージと同じ前記第1のチャットルームへ投稿される、当該苦情に係る異常に対する緊急度を示すメッセージを受信するように構成されており、
前記算出部は、前記緊急度別の前記苦情を示すメッセージの数に基づいて、前記指標値を算出するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記機器が繰り返し送信する状態情報を受信するように構成されている機器状態受信部と、
正常を示す状態情報が受信されていた機器から異常を示す状態情報が受信された場合に、前記異常を示すメッセージを前記第2のチャットルームへ投稿するように構成されている第2の投稿部と、
を有することを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2の投稿部は、前記異常の対応方法を示すメッセージを当該異常に係る前記機器に対応する前記第1のチャットルームへ投稿するように構成されている、
ことを特徴とする請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2の投稿部は、前記管理者のスケジュール情報に基づいて、前記管理者が前記異常に対応できないと判定される場合には、前記管理者以外の者を前記第2のチャットルームのユーザとして追加するように構成されている、
ことを特徴とする請求項4又は5記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第2の投稿部は、前記異常を示すメッセージを前記第2のチャットルームへ投稿してから一定時間経過しても当該メッセージが閲覧されない場合には、前記管理者以外の者を前記第2のチャットルームのユーザとして追加する、
ことを特徴とする請求項4又は5記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第1の投稿部が投稿したメッセージに応じて前記管理者が前記第2のチャットルームへ投稿するメッセージにおいて指定された異常に対して対応可能な者を判定するように構成されている判定部と、
前記判定部が判定した者を示すメッセージを前記第2のチャットルームへ投稿するように構成されている第3の投稿部と、
を有することを特徴とする請求項1乃至7いずれか一項記載の情報処理装置。
【請求項9】
機器において異常が発生している場合に、前記機器の1以上の利用者が当該機器に対応する第1のチャットルームに投稿した、前記異常に関する苦情を示す1以上のメッセージを受信するメッセージ受信手順と、
前記苦情を示すメッセージの数に基づいて、前記異常について前記機器の利用者に対する影響の大きさを示す指標値を算出する算出手順と、
前記指標値に基づくメッセージを前記機器の管理者が利用可能な第2のチャットルームへ投稿する第1の投稿手順と、
を情報処理装置が実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
機器において異常が発生している場合に、前記機器の1以上の利用者が当該機器に対応する第1のチャットルームに投稿した、前記異常に関する苦情を示す1以上のメッセージを受信するメッセージ受信手順と、
前記苦情を示すメッセージの数に基づいて、前記異常について前記機器の利用者に対する影響の大きさを示す指標値を算出する算出手順と、
前記指標値に基づくメッセージを前記機器の管理者が利用可能な第2のチャットルームへ投稿する第1の投稿手順と、
を情報処理装置に実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークを介して機器の状態を監視して、機器の異常を検知可能なシステムが有る。
【0003】
例えば、障害が発生し得る監視対象から通知された障害又は警告のメッセージに対応する原因、対処方法及び障害解析ルールを予めデータベースに保持しておき、当該データベースを用いて、障害の対処方法等を決定する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、予め固定的に定められたルールに基づく方法では、機器の利用者が実際にどの程度困っているのか(機器の異常によって実際に利用者が受けている影響の大きさ)等を把握することが困難である。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、機器の異常について利用者が受けている影響に応じた対応を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで上記課題を解決するため、情報処理装置は、機器において異常が発生している場合に、前記機器の1以上の利用者が当該機器に対応する第1のチャットルームに投稿した、前記異常に関する苦情を示す1以上のメッセージを受信するように構成されているメッセージ受信部と、前記苦情を示すメッセージの数に基づいて、前記異常について前記機器の利用者に対する影響の大きさを示す指標値を算出するように構成されている算出部と、前記指標値に基づくメッセージを前記機器の管理者が利用可能な第2のチャットルームへ投稿するように構成されている第1の投稿部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
機器の異常について利用者が受けている影響に応じた対応を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施の形態における機器管理システムの構成例を示す図である。
図2】第1の実施の形態における機器管理サーバ10のハードウェア構成例を示す図である。
図3】第1の実施の形態における機器管理サーバ10の機能構成例を示す図である。
図4】管理者の登録処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図5】管理者追加メッセージの一例を示す図である。
図6】従業員情報記憶部121の構成例を示す図である。
図7】第1の実施の形態における機器基本情報記憶部136の構成例を示す図である。
図8】第1の実施の形態における異常発生時の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図9】第1の実施の形態における機器状態ルール記憶部138の構成例を示す図である。
図10】機器状態記憶部137の構成例を示す図である。
図11】異常発生時における管理者用チャットルームでのメッセージのやりとりの一例を示す図である。
図12】異常が発生した画像形成装置20に対応する利用者用チャットルームでのメッセージのやりとりの一例を示す図である。
図13】利用者によるクレームの投稿に応じて実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図14】利用者による緊急度の投稿に応じて実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図15】管理者によるエラーIDの投稿に応じて実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図16】異常からの復旧に応じて実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図17】第2の実施の形態における機器管理サーバ10の機能構成例を示す図である。
図18】第2の実施の形態におけるテンプレート文の登録処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図19】テンプレート記憶部139の構成例を示す図である。
図20】第2の実施の形態における異常発生時の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図21】第3の実施の形態における異常発生時の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図22】第3の実施の形態における機器状態ルール記憶部138の構成例を示す図である。
図23】第4の実施の形態における機器基本情報記憶部136の構成例を示す図である。
図24】第4の実施の形態における異常発生時の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図25】第5の実施の形態における異常発生時の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、第1の実施の形態における機器管理システムの構成例を示す図である。図1において、1以上の画像形成装置20、1以上の管理者端末30及び1以上の利用者端末40は、インターネット等のネットワークを介して機器管理サーバ10に接続する。
【0010】
各画像形成装置20、各管理者端末30及び各利用者端末40は、同じユーザ環境に属する。ユーザ環境とは、企業等の組織におけるシステム環境をいう。本実施の形態において、1つのユーザ環境は、便宜上、1つの企業に対応することとする。以下、当該企業を「企業X」という。なお、図1では、1つのユーザ環境のみが示されているが、複数のユーザ環境における画像形成装置20が機器管理サーバ10の管理対象とされてよい。
【0011】
画像形成装置20は、機器管理サーバ10によって管理対象とされる機器の一例である。
【0012】
管理者端末30は、企業Xの従業員のうち、画像形成装置20の管理者として選定された1以上の従業員(以下、単に「管理者」という。)が利用する情報処理端末である。例えば、企業Xのシステム部門の者が管理者として選定されてもよい。一人の管理者は一つの管理者端末30を利用する。本実施の形態において、管理者端末30は、管理者が機器管理サーバ10との間でチャットを行うために利用される。管理者と機器管理サーバ10とのチャットは、管理者が利用可能なチャットルーム(以下、「管理者用チャットルーム」という。)を介して行われる。管理者用チャットルームは、画像形成装置20の管理単位ごとに設定される。画像形成装置20の管理単位とは、同一の管理者によって管理される画像形成装置20の集合をいう。本実施の形態では、企業Xにおける全ての画像形成装置20が同じ管理単位に属する(同じ管理者によって管理される)こととする。したがって、管理者用チャットルームは一つである。
【0013】
利用者端末40は、企業Xにおいて画像形成装置20のエンドユーザである従業員(以下、「利用者」という。)が利用する情報処理端末である。一人の利用者は一つの利用者端末40を利用する。利用者端末40は、利用者が機器管理サーバ10との間でチャットを行うために利用される。利用者と機器管理サーバ10とのチャットは、利用者が利用可能なチャットルーム(以下、「利用者用チャットルーム」という。)を介して行われる。利用者用チャットルームは、画像形成装置20ごとに設定される。或る画像形成装置20に対応する利用者用チャットルームは、当該画像形成装置20の利用が予定されている利用者が利用可能である。例えば、部署ごとに画像形成装置20が設置される場合、或る部署に属する複数の従業員が同じ画像形成装置20を利用することが予定される。したがって、この場合、部署ごとに利用者用チャットルームが設定されることになる。
【0014】
なお、例えば、PC(Personal Computer)、タブレット端末、又はスマートフォン等が管理者端末30又は利用者端末40として利用されてもよい。
【0015】
機器管理サーバ10は、画像形成装置20の管理を支援する1以上のコンピュータである。例えば、機器管理サーバ10は、各画像形成装置20の状態を監視し、状態の変化に応じた処理を実行する。具体的には、機器管理サーバ10は、いずれかの画像形成装置20に異常が検出された場合、異常が発生した旨を示すメッセージを管理者用チャットルームに投稿したり、当該異常に関して利用者用チャットルームに投稿される、当該異常に対するクレーム(苦情)を示すメッセージを利用者用チャットルームから受信したりする。
【0016】
図2は、第1の実施の形態における機器管理サーバ10のハードウェア構成例を示す図である。図2の機器管理サーバ10は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置100、補助記憶装置102、メモリ装置103、CPU104、及びインタフェース装置105等を有する。
【0017】
機器管理サーバ10での処理を実現するプログラムは、CD-ROM等の記録媒体101によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体101がドライブ装置100にセットされると、プログラムが記録媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体101より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0018】
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムに従って機器管理サーバ10に係る機能を実行する。インタフェース装置105は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
【0019】
図3は、第1の実施の形態における機器管理サーバ10の機能構成例を示す図である。図3において、機器管理サーバ10は、チャットシステム11、従業員管理クラウド12及び機器管理クラウド13を含む。
【0020】
チャットシステム11は、チャット制御部111を含む。チャット制御部111は、機器管理サーバ10にインストールされた1以上のプログラムが、CPU104に実行させる処理により実現される。チャット制御部111は、管理者用チャットルーム及び利用者用チャットルームとして機能する。チャット制御部111は、これらのチャットルームを介しておこなわれる、機器管理クラウド13、画像形成装置20、管理者端末30及び利用者端末40の間でのチャットのためのメッセージの投稿を受け付けたり、当該メッセージを機器管理クラウド13へ転送したりする。
【0021】
従業員クラウドは、従業員に関する情報を管理する。従業員クラウドは、従業員情報記憶部121及び従業員位置情報記憶部122及びスケジュール情報記憶部123を含む。これらは、例えば、補助記憶装置102、又は機器管理サーバ10にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
【0022】
従業員情報記憶部121は、機器管理システムに関与する全てのユーザ(画像形成装置20管理者、画像形成装置20利用者)の従業員情報を記憶する。
【0023】
従業員位置情報記憶部122は、各従業員の位置情報を記憶する。各従業員の位置情報は、例えば、社給スマートフォンが接続するアクセスポイントから取得する等、公知の方法を用いて取得されればよい。
【0024】
スケジュール情報記憶部123は、各従業員のスケジュール情報を記憶する。スケジュール情報とは、例えば、休暇や業務上の予定(会議、主張等)の期間を示す情報をいう。スケジュール情報は、例えば、公知のソフトウェアを用いて各従業員等によって登録されればよい。
【0025】
機器管理クラウド13は、メッセージ送受信部131、コマンド制御部132、機器状態受信部133、機器状態判定部134及びメッセージ制御部135を含む。これら各部は、機器管理サーバ10にインストールされた1以上のプログラムが、CPU104に実行させる処理により実現される。機器管理サーバ10は、また、機器基本情報記憶部136、機器状態記憶部137及び機器状態ルール記憶部138を含む。これら各記憶部は、例えば、補助記憶装置102、又は機器管理サーバ10にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
【0026】
メッセージ送受信部131は、画像形成装置20から繰り返し受信される、画像形成装置20の状態を示す機器状態情報に基づくメッセージを自動的にチャットシステム11へ投稿する。メッセージ送受信部131は、また、従業員がチャットシステム11へ投稿したメッセージをチャットシステム11から受信する。
【0027】
コマンド制御部132は、メッセージ送受信部131が受信したメッセージに応じた処理を制御する。
【0028】
機器状態受信部133は、各画像形成装置20からくり返し送信される機器状態情報を受信する。
【0029】
機器状態判定部134は、機器状態受信部133が受信する機器状態情報と、機器状態ルール記憶部138が記憶する、画像形成装置20が正常であるか異常であるかを判定するためのルールとに基づいて、当該機器状態情報の送信元の画像形成装置20が正常であるか異常であるかを判定する。機器状態判定部134は、また、異常が発生している画像形成装置20の利用者によってクレームを示すメッセージが投稿された場合に、機器状態記憶部137を更新する。すなわち、機器状態記憶部137は、画像形成装置20の状態に関する情報を記憶する。機器状態判定部134は、また、機器状態記憶部137が記憶する情報が更新された画像形成装置20について、機器状態ルール記憶部138が記憶する対応優先度評価値の算出ルールに対して当該情報を当てはめることで対応優先度評価値を算出する。対応優先度評価値とは、画像形成装置20の異常に対する対応の優先度を評価するための数値である。
【0030】
メッセージ制御部135は、コマンド制御部132からの要求に応じて、チャットシステム11に投稿するメッセージを生成する。メッセージ制御部135は、また、コマンド制御部132からの要求に応じて、チャットシステム11からのメッセージの意味を解釈し、解釈結果をコマンド制御部132に応答する。
【0031】
機器基本情報記憶部136は、画像形成装置20ごとに、誰が管理者であるのかや当該管理者の属性情報(熟練度、管理責任者か否か等)等を記憶する。
【0032】
以下、機器管理システムにおいて実行される処理手順について説明する。機器管理システムを運用するためには、事前に管理者を機器管理システムへ登録しておく必要がある。そこで、まず、管理者の登録処理について説明する。
【0033】
図4は、管理者の登録処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図4において、左端の管理者(以下、「管理者A」という。)は、予め管理者として登録されている従業員であってもよいし、図4の処理手順において登録対象となる管理者(すなわち、自分自身の登録)であってもよい。
【0034】
ステップS101において、管理者Aが、管理者端末30を利用して、管理者追加メッセージを管理者用チャットルームへ投稿すると、チャット制御部111は、当該管理者追加メッセージ及び当該管理者用チャットルームのルームID(以下、「対象ルームID」という。)をメッセージ送受信部131へ送信する(S102)。
【0035】
図5は、管理者追加メッセージの一例を示す図である。図5には(1)及び(2)の2つの例が示されている。(1)は、「管理責任者」の追加を要求するメッセージであり、(2)は、「管理担当者」の追加を要求するメッセージである。すなわち、管理者は、管理責任者又は管理担当者に分類される。管理責任者は、画像形成装置20の管理に関して責任者としての立場を有する者をいう。管理担当者は、画像形成装置20の管理に対して実際の作業を担当する者をいう。なお、管理責任者及び管理担当者のそれぞれは、複数人であってもよい。また、「管理者」という用語は、管理責任者及び管理担当者の双方を含む。
【0036】
(1)及び(2)のいずれのメッセージも、従業員ID及び熟練度をパラメータとして含む。従業員IDは、管理者として登録される従業員の識別情報である。例えば、メールアドレスが従業員IDとして利用されてもよい。熟練度は、画像形成装置20の管理に関する熟練の度合い(経験の度合い)を示す数値であり、値が大きいほど熟練の度合いが高いことを示す。
【0037】
続いて、メッセージ送受信部131は、受信した管理者追加メッセージ及び対象ルームIDをコマンド制御部132へ送信する(S103)。コマンド制御部132は、当該管理者追加メッセージの解釈をメッセージ制御部135へ要求する(S104)。メッセージ制御部135は、当該管理者追加メッセージの内容を解釈し、解釈結果をコメント制御部へ応答する(S105)。なお、メッセージの解釈方法は、ルールベースでもよいし、機械学習済みのモデルが用いられて行われてもよい。ここでは、管理責任者又は管理担当者の追加を行うこと、追加対象の従業員ID、追加対象の従業員の熟練度等が解釈結果に含まれる。
【0038】
続いて、コマンド制御部132は、ステップS103に対する応答をメッセージ送受信部131へ送信する(S106)。メッセージ送受信部131は、ステップS102に対する応答を行う(S107)。
【0039】
コマンド制御部132は、また、解釈結果に基づいて、管理者追加要求を機器状態判定部134へ送信する(S108)。当該管理者追加要求は、対象ルームID、追加対象の管理者の種別(管理責任者又は管理担当者)、従業員ID及び熟練度をパラメータとして含む。
【0040】
機器状態判定部134は、当該管理者追加要求に応じ、当該管理者追加要求に含まれている従業員IDに係る従業員情報を従業員管理クラウド12の従業員情報記憶部121から検索する(S109、S110)。
【0041】
図6は、従業員情報記憶部121の構成例を示す図である。図6が示すように、従業員情報記憶部121は、企業Xの従業員ごとに、従業員ID、氏名及びチャットユーザID等を含む従業員情報を記憶する。チャットユーザIDは、チャットシステム11に対するアカウントのユーザIDである。
【0042】
該当する従業員情報の検索に失敗した場合、ステップS113へ進む。該当する従業員情報の検索に成功した場合、機器状態判定部134は、管理者の追加に応じた更新を機器基本情報記憶部136に対して行い(S111、S112)、ステップS113へ進む。
【0043】
図7は、第1の実施の形態における機器基本情報記憶部136の構成例を示す図である。図7が示すように、機器基本情報記憶部136は、管理対象の画像形成装置20ごとに、機器ID、管理者リスト及びマニュアルURL等を含む機器基本情報を記憶する。
【0044】
機器IDは、画像形成装置20の識別情報である。例えば、画像形成装置20のシリアル番号が機器IDとして利用されてもよい。管理者リストは、当該画像形成装置20の管理者ごとに、従業員ID、氏名、熟練度及び管理責任者等を含む管理者情報のリストである。ここで、管理責任者の項目は、管理責任者であるか否かを示す項目である。管理責任者である管理者について当該項目の値はtrueであり、管理担当者である管理者について当該項目の値はfalseである。マニュアルURLは、当該画像形成装置20の電子マニュアルのURLである。
【0045】
ステップS111において、機器状態判定部134は、対象ルームIDに対応する管理単位に属する各画像形成装置20の管理者リストに対して、管理者追加要求に係る管理者情報(従業員ID、氏名、熟練度及び管理責任者)を追加する。この際、管理責任者の値は、追加対象の管理者の種別に基づいて特定される。なお、本実施の形態では、便宜上、全ての画像形成装置20が同じ管理単位に属する。したがって、本実施の形態では、全ての画像形成装置20の管理者リストに対して、新たな管理者情報が追加される。
【0046】
ステップS113において、機器状態判定部134は、管理者追加要求に応じた処理の結果(成功又は失敗)をコマンド制御部132に応答する。例えば、従業員IDに対応する従業員情報が検索されなかった場合、当該応答は失敗を示す。
【0047】
続いて、コマンド制御部132は、当該応答に応じたメッセージの生成をメッセージ制御部135に要求する(S114)。メッセージ制御部135は、当該応答が成功を示す場合には、例えば、「管理者の追加に成功しました。」というメッセージを生成する。一方、当応答が失敗を示す場合、メッセージ制御部135は、例えば、「指定された従業員が見つかりませんでした。」というメッセージを生成する。メッセージ制御部135は、生成したメッセージをコマンド制御部132に応答する(S115)。
【0048】
続いて、コマンド制御部132は、対象ルームIDに係るチャットルームへの当該メッセージの投稿をメッセージ送受信部131へ要求する(S116)。メッセージ送受信部131は、当該メッセージを対象ルームIDに対応する管理者用チャットルームへ投稿する(S117)。その結果、管理者Aは、管理者用チャットルームを介して当該メッセージを閲覧することができる(S118)。
【0049】
次に、画像形成装置20における異常の発生の検知、及び異常の発生の検知に応じて実行される処理手順について説明する。
【0050】
図8は、第1の実施の形態における異常発生時の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図8では、便宜上、1台の画像形成装置20(以下、「対象画像形成装置20」という。)に関して説明するが、図8の処理手順は、管理対象の全ての画像形成装置20について並行して実行されうる。
【0051】
対象画像形成装置20は、定期的に自機の状態を示す機器状態情報を機器状態受信部133へ送信する(S201)。ここで、機器状態情報は、画像形成装置20に関する異常の検知に必要な複数のパラメータを含む情報である。例えば、機器状態情報は、紙詰まりの有無、トナーの残量、用紙の残量、各種カウンタの値、部品ごとの故障の有無等を含む情報である。なお、各画像形成装置20は、定期的ではなく、機器状態情報を構成するいずれかのパラメータの値が変化した場合に、機器状態情報を送信してもよい。
【0052】
機器状態受信部133は、機器状態情報を受信すると、当該機器状態情報(以下、「対象機器状態情報」という。)をコマンド制御部132に送信する(S202)。コマンド制御部132は、対象機器状態情報に基づく機器状態の判定要求を機器状態判定部134へ送信する(S203)。当該判定要求は対象機器状態情報を含む。
【0053】
機器状態判定部134は、当該判定要求に応じ、機器状態を判定するためのルール(以下、「機器状態判定ルール」という。)を機器状態ルール記憶部138から取得する(S204、S205)。
【0054】
図9は、第1の実施の形態における機器状態ルール記憶部138の構成例を示す図である。図9が示すように、機器状態ルール記憶部138は、予め登録されたルールごとに、ルールID、ルールタイプ及びルール記述等を記憶する。
【0055】
ルールIDは、ルールの識別情報である。ルールタイプは、ルールが画像形成装置20の状態を判定するための機器状態判定ルールであるか、対応優先度評価値を計算するためのルール(以下、「対応優先度ルール」という。)であるのかを示す項目である。機器状態判定ルールのルールタイプは「機器状態」であり、対応優先度ルールのルールタイプは「対応優先度」である。なお、対応優先度評価値とは、複数の画像形成装置20において同時期に異常が発生している場合のそれぞれの異常の対応に対する優先度を評価するための値である。ルール記述は、機器状態判定ルールと対応優先度ルールとで内容が異なる。機器状態判定ルールのルール記述は、画像形成装置20が異常であると判定する条件を示す。いずれの機器状態判定ルールのルール記述にも該当しない機器状態情報は、正常な状態を示す。対応優先度ルールのルール記述は、対応優先度評価値の計算式を示す。
【0056】
ステップS204及びS205では、ルールタイプが「機器状態」である機器状態判定ルール群が取得される。
【0057】
続いて、機器状態判定部134は、対象機器状態情報と、取得した機器状態判定ルール群とに基づいて機器状態を判定する(S206)。機器状態の判定とは、画像形成装置20の状態が正常であるか異常であるかを判定し、異常である場合にはエラーID及びエラー内容を判定することをいう。エラーIDとは、異常の識別情報である。エラー内容とは、異常の内容を示す文字列である。
【0058】
具体的には、機器状態判定部134は、対象機器状態情報が全ての機器状態判定ルールのルール記述に該当しない場合には、対象画像形成装置20の状態が正常であると判定する。一方、対象機器状態情報が1以上の機器状態判定ルールのルール記述に該当する場合、機器状態判定部134は、当該1以上の機器状態判定ルールのルールIDの組み合わせに基づいて、エラーID及びエラー内容を判定する。ルールIDの組み合わせに基づくエラーID及びエラー内容の判定は、ルールベースで行われてもよいし、機械学習により学習されたモデルを用いて行われてもよい。
【0059】
続いて、機器状態判定部134は、判定結果に基づいて、機器状態記憶部137を更新する(S207、S208)。
【0060】
図10は、機器状態記憶部137の構成例を示す図である。図10が示すように、機器状態記憶部137は、画像形成装置20ごとに、機器ID、状態、エラー詳細、クレーム状況及び対応優先度評価値等を記憶する。
【0061】
状態は、正常又は異常を示す値である。エラー詳細は、状態が異常である場合に有効な項目であり、エラーID及びエラー内容を含む。クレーム状況は、画像形成装置20の利用者から異常に関するクレームが当該画像形成装置20に対応する利用者用チャットルームに投稿された場合に、当該クレームに関する従業員ID、緊急度及び受信日時が記録される項目である。従業員IDは、クレームを投稿した利用者の従業員IDである。緊急度は、当該利用者にとっての異常に対する対応の緊急度合いである。受信日時は当該クレームが受信された日時である。なお、1台の画像形成装置20に対して複数のクレームが投稿される可能性が有るため、1台の画像形成装置20に対して複数のクレーム状況が登録可能とされている。対応優先度評価値は、状態が異常である場合に当該異常に対する対応優先度評価値が記録される項目である。
【0062】
ステップS207において、機器状態判定部134は、判定結果に基づいて、機器状態記憶部137において対象画像形成装置20に対するレコード(以下、「対象レコード」という。)の状態を更新する。また、判定結果が異常を示す場合、機器状態判定部134は、対象レコードのエラー詳細に対して判定結果が含むエラーID及びエラー内容を記録する。
【0063】
続いて、機器状態判定部134は、対象レコードの更新内容をコマンド制御部132へ応答する(S209)。当該更新内容は、更新前の対象レコードと更新後の対象レコードとを含む。続いて、コマンド制御部132は、機器状態受信部133に対してステップS202に対する応答を送信する(S210)。続いて、機器状態受信部133は、ステップS201に対する応答を対象画像形成装置20に対して送信する(S211)。
【0064】
コマンド制御部132は、また、ステップS209の応答に含まれる対象レコードの更新内容が、対象レコードの状態が正常から異常へ更新されたことを示す場合、ステップS221以降を実行する。
【0065】
ステップS221において、コマンド制御部132は、更新内容に応じたメッセージの生成をメッセージ制御部135に要求する。メッセージ制御部135は、当該更新内容に基づいて、管理者向けのメッセージ(以下、「管理者用メッセージ」という。)と、利用者向けのメッセージ(以下、「利用者用メッセージ」という。)とを生成する。
【0066】
図11は、異常発生時における管理者用チャットルームでのメッセージのやりとりの一例を示す図である。ステップS221では、メッセージm11又はメッセージm12のように、異常(エラー)が発生した画像形成装置20、エラー内容及びエラーIDを管理者に通知するためのメッセージが管理者用メッセージとして生成される。
【0067】
図12は、異常が発生した画像形成装置20に対応する利用者用チャットルームでのメッセージのやりとりの一例を示す図である。ステップS221では、メッセージm21のように、画像形成装置20において異常が発生していることを利用者に通知するためのメッセージが利用者用メッセージとして生成される。
【0068】
続いて、メッセージ制御部135は、生成した管理者用メッセージ及び利用者用メッセージをコマンド制御部132へ応答する(S222)。
【0069】
続いて、コマンド制御部132は、対象画像形成装置20に対応する利用者用チャットルームへの当該利用者用メッセージの投稿をメッセージ送受信部131へ要求する(S223)。メッセージ送受信部131は、当該利用者用メッセージを当該利用者用チャットルームへ投稿する(S224)。対象画像形成装置20を普段利用している従業員は、当該利用者用チャットルームに投稿された当該利用者用メッセージを閲覧することで(S225)、対象画像形成装置20に異常が発生していることを認識することができる。
【0070】
コマンド制御部132は、また、対象画像形成装置20の管理単位に対応する管理者用チャットルームへの管理者用メッセージの投稿をメッセージ送受信部131へ要求する(S226)。メッセージ送受信部131は、当該管理者用メッセージを当該管理者用チャットルームへ投稿する(S227)。各管理者は、当該管理者用チャットルームに投稿された当該管理者用メッセージを閲覧することで(S228)、対象画像形成装置20に異常が発生していること、及び異常の内容等を認識することができる。なお、図11には、メッセージm11及びメッセージm12が管理者用チャットルームに対して続けて投稿された状態が示されている。これは、2台の画像形成装置20において異常が発生した場合における管理者用チャットルームの状態を表現したものである。
【0071】
対象画像形成装置20に異常が発生した場合に、対象画像形成装置20の利用者は、利用者用メッセージの閲覧の有無に拘わらず(利用者用メッセージの投稿の前後に拘わらず)、対象画像形成装置20の異常に対するクレームを対象画像形成装置20に対応する利用者用チャットルームへ投稿することができる。このような投稿が行われた場合には、図13の処理手順が実行される。
【0072】
図13は、利用者によるクレームの投稿に応じて実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
【0073】
ステップS301において、対象画像形成装置20の異常によって影響を受けている(困っている)利用者が、自らの利用者端末40を利用して、当該異常に関するクレームを示すメッセージを対象画像形成装置20に対応する利用者用チャットルームへ投稿すると、チャット制御部111は、当該メッセージ及び当該利用者用チャットルームのルームID(以下、「対象ルームID」という。)をメッセージ送受信部131へ送信する(S302)。ステップS301では、例えば、図12のメッセージm22が投稿される。
【0074】
続いて、メッセージ送受信部131は、当該メッセージ及び対象ルームIDと、当該メッセージの投稿者のチャットユーザIDとをコマンド制御部132へ送信する(S303)。コマンド制御部132は、当該メッセージの解釈をメッセージ制御部135へ要求する(S304)。メッセージ制御部135は、当該メッセージの内容を解釈し、解釈結果をコメント制御部へ応答する(S305)。ここでは、当該メッセージの種別(内容)がクレームであることが解釈結果として応答される。例えば、「困っている」等のキーワードに基づいて、当該メッセージの種別が解釈されてもよい。
【0075】
続いて、コマンド制御部132は、ステップS303に対する応答をメッセージ送受信部131へ送信する(S306)。メッセージ送受信部131は、ステップS302に対する応答を行う(S307)。
【0076】
コマンド制御部132は、また、解釈結果に基づいて、クレームが有ったことの通知を機器状態判定部134へ送信する(S308)。当該通知は、対象ルームID及びクレームの投稿者のチャットユーザIDを含む。機器状態判定部134は、当該通知に応じ、対応優先度ルールを機器状態ルール記憶部138(図9)から取得する(S309、S310)。続いて、機器状態判定部134は、対象ルームIDに対応する対象画像形成装置20に関して機器状態記憶部137に記憶されているクレーム状況を機器状態記憶部137(図10)から取得する(S311、S312)。続いて、機器状態判定部134は、当該対応優先度ルールに、取得したクレーム状況と今回のクレームとを当てはめることで、対象画像形成装置20に対する対応優先度評価値を算出する(S313)。この際、今回のクレームの重要度はこの時点では不明である。各異常に対する重要度は、クレームを投稿した利用者によって入力されるところ、この時点では重要度は入力されていないからである。そこで、機器状態判定部134は、今回のクレームの重要度を、例えば、最も低いCとして対応優先度評価値を算出してもよい。又は、機器状態判定部134は、今回のクレームは無視して対応優先度評価値を算出してもよい。なお、図9の対応優先度ルールが示すように、対応優先度評価値は、緊急度別のクレーム数に基づいて(クレーム数が緊急度に応じた係数によって重み付けされて)算出される。ここで、利用者への影響が大きい異常ほど、クレーム数は多くなり緊急度は高くなると考えられる。したがって、対応優先度評価値は、異常について画像形成装置20の利用者に対する影響の大きさを示す指標値であるといえる。
【0077】
続いて、機器状態判定部134は、機器状態記憶部137において対象画像形成装置20に対応するレコード(以下、「対象レコード」という。)のクレーム状況及び対応優先度評価値を更新する(S314)。具体的には、機器状態判定部134は、対象レコードのクレーム状況の列に対して新たな行(サブレコード)を追加し、当該サブレコードの従業員ID及び受信日時に、今回のクレーム投稿者の従業員ID及び現在日時を登録する。なお、当該従業員IDは、当該投稿者のチャットユーザIDに基づいて、従業員情報記憶部121(図6)から取得可能である。機器状態判定部134は、また、対象レコードの対応優先度評価値の列に、ステップS313において算出した対応優先度評価値を登録(上書き)する。
【0078】
続いて、機器状態判定部134は、状態が異常であるレコードのエラーID及び対応優先度評価値を機器状態記憶部137から取得する(S315)。続いて、機器状態判定部134は、ステップS308の通知に対する応答をコマンド制御部132へ送信する(S316)。当該応答は、対応優先度評価値の降順に整列されたエラーIDのリストを含む。
【0079】
コマンド制御部132は、クレームの発生及び当該応答に応じたメッセージの生成をメッセージ制御部135に要求する(S317)。メッセージ制御部135は、コマンド制御部132からの要求に応じ、エラーIDのリストに基づく管理者用メッセージと、クレームに対する利用者用メッセージとを生成する。管理者用メッセージとしては、例えば、図11のメッセージm13のように、エラーIDが対応優先度評価値の降順に整列されたメッセージが生成される。利用者用メッセージとしては、図12のメッセージm23のように、クレームを受け付けた旨を示すと共に緊急度を利用者に問うメッセージが生成される。
【0080】
続いて、メッセージ制御部135は、生成した管理者用メッセージ及び利用者用メッセージをコマンド制御部132へ応答する(S318)。
【0081】
続いて、コマンド制御部132は、対象画像形成装置20に対応する利用者用チャットルームへの当該利用者用メッセージの投稿をメッセージ送受信部131へ要求する(S319)。メッセージ送受信部131は、当該利用者用メッセージを当該利用者用チャットルームへ投稿する(S320)。クレームを投稿した従業員は、当該利用者用チャットルームに投稿された当該利用者用メッセージ(図12のメッセージm23)を閲覧することで(S321)、自らのクレームが受け付けられたこと、及び緊急度を応答すべきことを認識することができる。
【0082】
コマンド制御部132は、また、対象画像形成装置20の管理単位に対応する管理者用チャットルームへの管理者用メッセージの投稿をメッセージ送受信部131へ要求する(S322)。メッセージ送受信部131は、当該管理者用メッセージを当該管理者用チャットルームへ投稿する(S323)。各管理者は、当該管理者用チャットルームに投稿された当該管理者用メッセージ(図11のメッセージm13)を閲覧することで(S324)、現在発生している各異常の優先度を認識することができる。
【0083】
ステップS322において利用者用チャットルームに投稿されたメッセージを閲覧した利用者が当該メッセージに応じて緊急度を示すメッセージを投稿した場合には、図14の処理手順が実行される。
【0084】
図14は、利用者による緊急度の投稿に応じて実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
【0085】
緊急度を問い合わせる利用者用メッセージ(図12のメッセージm23)を閲覧した利用者が、緊急度を示すメッセージを対象画像形成装置20に対応する利用者用チャットルームへ投稿すると(S401)、チャット制御部111は、当該メッセージ及び当該利用者用チャットルームのルームID(以下、「対象ルームID」という。)及び当該メッセージの投稿者のチャットユーザIDをメッセージ送受信部131へ送信する(S402)。ステップS401では、例えば、図12のメッセージm24が投稿される。
【0086】
続いて、メッセージ送受信部131は、当該メッセージ、対象ルームID及び当該チャットユーザIDをコマンド制御部132へ送信する(S403)。コマンド制御部132は、当該メッセージの解釈をメッセージ制御部135へ要求する(S404)。メッセージ制御部135は、当該メッセージの内容を解釈し、解釈結果をコメント制御部へ応答する(S405)。ここでは、当該メッセージが緊急度を示すことが解釈され、当該緊急度(図12のメッセージm24の例では「B」)が解釈結果として応答される。
【0087】
続いて、コマンド制御部132は、ステップS403に対する応答をメッセージ送受信部131へ送信する(S406)。メッセージ送受信部131は、ステップS402に対する応答を行う(S407)。
【0088】
コマンド制御部132は、また、解釈結果に基づいて、緊急度を示す通知を機器状態判定部134へ送信する(S408)。当該通知は、対象ルームID及び緊急度の投稿者のチャットユーザIDを含む。機器状態判定部134は、当該通知に応じ、図13のステップS309~S316と同様の処理手順を実行して(S409~S416)、対応優先度評価値の降順に整列されたエラーIDのリストを含む応答をコマンド制御部132へ送信する。すなわち、図13において利用者によって投稿されたクレームに対して当該利用者によって投稿された緊急度に基づいて、当該クレームに係る異常の対応優先度評価値が更新される。その結果、ステップS416におけるエラーIDのリストの並び順(優先度の順番(優先順位))は、最新の状況に更新される。したがって、ステップS416におけるエラーIDのリストの並び順(優先度の順番)は、ステップS316におけるエラーIDのリストの並び順と異なる可能性がある。
【0089】
コマンド制御部132は、緊急度の投稿(指定)及び更新後のエラーIDのリスト(優先度の順番)に応じたメッセージの生成をメッセージ制御部135に要求する(S417)。メッセージ制御部135は、コマンド制御部132からの要求に応じ、当該エラーIDのリストに基づく管理者用メッセージと、緊急度の投稿に対する利用者用メッセージとを生成する。管理者用メッセージとしては、例えば、図11のメッセージm13のように、エラーIDが対応優先度評価値の降順に整列されたメッセージが再び生成される。利用者用メッセージとしては、図12のメッセージm25のように、緊急度の要望を受け付けた旨を示すメッセージが生成される。
【0090】
続いて、メッセージ制御部135は、生成した管理者用メッセージ及び利用者用メッセージをコマンド制御部132へ応答する(S418)。
【0091】
続いて、コマンド制御部132は、対象ルームIDに対応する利用者用チャットルームへの当該利用者用メッセージの投稿をメッセージ送受信部131へ要求する(S419)。メッセージ送受信部131は、当該利用者用メッセージを当該利用者用チャットルームへ投稿する(S420)。緊急度を投稿した従業員は、当該利用者用チャットルームに投稿された当該利用者用メッセージ(図12のメッセージm23)を閲覧することで(S421)、緊急度の指定が受け付けられたことを認識することができる。
【0092】
コマンド制御部132は、また、対象画像形成装置20の管理単位に対応する管理者用チャットルームへの管理者用メッセージの投稿をメッセージ送受信部131へ要求する(S422)。メッセージ送受信部131は、当該管理者用メッセージを当該管理者用チャットルームへ投稿する(S423)。各管理者は、当該管理者用チャットルームに投稿された当該管理者用メッセージ(図11のメッセージm13)を閲覧することで(S424)、現在発生している異常の最新の優先度を認識することができる。すなわち、図11では、優先度の順番を示すメッセージ(メッセージm13)が1つしか示されていないが、優先度の順番を示すメッセージは、利用者のクレームの投稿及び緊急度の投稿に応じて刻々と更新される。すなわち、クレームの数が相対的に多く、緊急度が相対的に高い画像形成装置20に関する異常ほど優先度が高くなる。このことは、利用者に対して大きな影響を与えている異常ほど優先度が高くなることを意味する。利用者に大きな影響を与えている異常ほど、当該異常に対するクレームが相対的に多く投稿され、当該異常に対する緊急度が相対的に高く指定されると考えられるからである。
【0093】
図13のステップS324又は図14のステップS424において異常の優先度の順番を閲覧した管理者は、管理者用チャットルームに対して対応すべき異常を示すエラーIDを投稿する。斯かる投稿に応じて、図15の処理手順が実行される。
【0094】
図15は、管理者によるエラーIDの投稿に応じて実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
【0095】
優先度の順番を示す管理者用メッセージ(図11のメッセージm13)を閲覧した管理者が、対応する異常のエラーIDを示すメッセージを管理者用チャットルームへ投稿すると(S501)、チャット制御部111は、当該メッセージ及び当該管理者用チャットルームのルームID(以下、「対象ルームID」という。)をメッセージ送受信部131へ送信する(S502)。ステップS501では、例えば、図11のメッセージm24が投稿される。
【0096】
続いて、メッセージ送受信部131は、当該メッセージ及び対象ルームIDをコマンド制御部132へ送信する(S503)。コマンド制御部132は、当該メッセージの解釈をメッセージ制御部135へ要求する(S504)。メッセージ制御部135は、当該メッセージの内容を解釈し、解釈結果をコメント制御部へ応答する(S505)。ここでは、当該メッセージが対応対象のエラーID(以下、「対象エラーID」という。)を示すことが解釈され、対象エラーIDに係る異常に対応すべきことが解釈結果として応答される。
【0097】
続いて、コマンド制御部132は、ステップS503に対する応答をメッセージ送受信部131へ送信する(S506)。メッセージ送受信部131は、ステップS502に対する応答を行う(S507)。
【0098】
コマンド制御部132は、また、解釈結果に基づいて、対象エラーIDに係る異常に対応可能な従業員(保守担当者)の照会要求を機器状態判定部134へ送信する(S508)。当該照会要求は、対象エラーIDを含む。
【0099】
機器状態判定部134は、対象エラーIDに係る異常が発生している画像形成装置20(以下、「対象画像形成装置20」という。)の管理者リストを機器基本情報記憶部136(図7)から取得する(S507、S508)。なお、対象エラーIDに係る対象画像形成装置20は、機器状態記憶部137(図10)において対象エラーIDに対応付けられている機器IDに係る画像形成装置20である。したがって、ここで取得される管理者リストは、当該機器IDに対応付けられている管理者リストである。
【0100】
続いて、機器状態判定部134は、取得された管理者リストが含む各従業員IDに係る従業員(対象画像形成装置20の各管理者)の位置情報及びスケジュール情報を従業員管理クラウド12から取得する(S509、S510)。当該従業員の位置情報は、従業員位置情報記憶部122から取得される。当該従業員のスケジュール情報は、スケジュール情報記憶部123から取得される。
【0101】
続いて、機器状態判定部134は、対象画像形成装置20の各管理者について取得された位置情報及びスケジュール情報に基づいて、対応可能な従業員を判定する(S511)。例えば、機器状態判定部134は、位置情報が対象画像形成装置20から所定範囲内であり、現時点から所定時間内において予定が登録されていない従業員を対応可能な従業員として判定する。該当する従業員が複数存在する場合、これらの従業員の中で熟練度が最高である従業員が対応可能な管理者として判定されてもよい。
【0102】
続いて、機器状態判定部134は、対応可能と判定された従業員(以下、「対象従業員」という。)の従業員情報と、判定理由(当該従業員を選択した理由)を示す情報とを含む応答をコマンド制御部132へ送信する(S512)。
【0103】
続いて、コマンド制御部132は、機器状態判定部134からの応答に応じたメッセージの生成をメッセージ制御部135に要求する(S513)。メッセージ制御部135は、コマンド制御部132からの要求に応じ、例えば、図11のメッセージm15のように、対象従業員及び判定理由を示すメッセージを管理者用メッセージとして生成する。メッセージ制御部135は、生成した管理者用メッセージをコマンド制御部132へ応答する(S514)。
【0104】
続いて、コマンド制御部132は、管理者用チャットルームへの管理者用メッセージの投稿をメッセージ送受信部131へ要求する(S515)。メッセージ送受信部131は、当該管理者用メッセージを当該管理者用チャットルームへ投稿する(S516)。各管理者は、当該管理者用チャットルームに投稿された当該管理者用メッセージ(図11のメッセージm15)を閲覧することで(S517)、対象画像形成装置20の異常に対応可能な従業員を現地担当者として認識することができる。
【0105】
そこで、管理者は、例えば、当該現地担当者に対して連絡をとり、対象画像形成装置20の異常に対する対応を現地担当者へ依頼する。現地担当者は、依頼に応じ、対象画像形成装置20について復旧作業を行う。なお、管理者から現地担当者への連絡には、管理者用チャットルームが利用されてもよい。復旧作業により異常が解消した場合、図16の処理手順が実行される。
【0106】
図16は、異常からの復旧に応じて実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図16のステップS601~S611は、処理手順としては図8のステップS201~S211と同じである。但し、ここでは、図8における対象画像形成装置20が異常から復旧した場合を想定している。したがって、ステップS606において、対象画像形成装置20の状態は正常であると判定される。そこで、機器状態判定部134は、機器状態記憶部137において対象画像形成装置20に対応するレコード(以下、「対象レコード」という。)の状態を異常から正常へ更新し、対象レコードのエラー詳細及びクレーム状況を削除するとともに、対象レコードの対応優先度評価値を0にする(S607、S608)。
【0107】
続いて、機器状態判定部134は、対象レコードの更新内容をコマンド制御部132へ応答する(S609)。当該更新内容は、更新前の対象レコードと更新後の対象レコードとを含む。続いて、コマンド制御部132は、機器状態受信部133に対してステップS602に対する応答を送信する(S610)。続いて、機器状態受信部133は、ステップS601に対する応答を対象画像形成装置20に対して送信する(S611)。
【0108】
コマンド制御部132は、また、ステップS609の応答に含まれる対象レコードの更新内容が、対象レコードの状態が異常から正常へ更新されたことを示す場合、ステップS621以降を実行する。なお、異常の発生から復旧作業の間においても、対象画像形成装置20から機器状態情報が定期的に送信される可能性があるが、その場合は、N回目の機器状態情報が異常を示し、N+1回目の機器状態が異常を示すことになるため、図8のステップS221以降や、図16のステップS621以降は実行されない。
【0109】
ステップS621において、コマンド制御部132は、更新内容に応じたメッセージの生成をメッセージ制御部135に要求する。メッセージ制御部135は、当該更新内容に基づいて、管理者向けのメッセージ(以下、「管理者用メッセージ」という。)と、利用者向けのメッセージ(以下、「利用者用メッセージ」という。)とを生成する。
【0110】
ここでは、異常から正常への変化であるため、図11のメッセージm16のように、更新前の対象レコードが含むエラーIDに係る異常に対する復旧作業が完了した旨と、復旧作業の内容とを示すメッセージが管理者用メッセージとして生成される。また、図12のメッセージm26のように、異常から復旧した旨と、復旧作業の内容とを示すメッセージが利用者用メッセージとして生成される。なお、復旧作業の内容は、異常状態の際の機器状態情報と、正常状態への復帰後の機器状態情報との差分に基づいて特定されてもよい。
【0111】
続いて、メッセージ制御部135は、生成した管理者用メッセージ及び利用者用メッセージをコマンド制御部132へ応答する(S622)。
【0112】
続いて、コマンド制御部132は、対象画像形成装置20に対応する利用者用チャットルームへの当該利用者用メッセージの投稿をメッセージ送受信部131へ要求する(S623)。メッセージ送受信部131は、当該利用者用メッセージを当該利用者用チャットルームへ投稿する(S624)。対象画像形成装置20を普段利用している従業員は、当該利用者用チャットルームに投稿された当該利用者用メッセージを閲覧することで(S625)、対象画像形成装置20が異常から復旧したことを認識することができる。
【0113】
コマンド制御部132は、また、対象画像形成装置20の管理単位に対応する管理者用チャットルームへの管理者用メッセージの投稿をメッセージ送受信部131へ要求する(S626)。メッセージ送受信部131は、当該管理者用メッセージを当該管理者用チャットルームへ投稿する(S627)。各管理者は、当該管理者用チャットルームに投稿された当該管理者用メッセージを閲覧することで(S628)、対象画像形成装置20の復旧作業が完了したことを認識することができる。
【0114】
上述したように、第1の実施の形態によれば、異常が発生している画像形成装置20に対応する利用者用チャットルームに対して利用者のクレームを示すメッセージが投稿され、当該クレームの数が影響する優先度に基づくメッセージが管理者用チャットルームへ投稿される。その結果、管理者は、当該異常に対する利用者のクレームの大きさ(すなわち、利用者が受けている影響の大きさ)を知ることができる。したがって、機器の異常について利用者が受けている影響に応じた対応を可能とすることができる。
【0115】
また、管理者は、機器管理サーバ10とのチャットによる対話形式で異常に対する対応を行うことができるため、異常に対して柔軟な対応を可能とすることができる。
【0116】
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では第1の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及されない点については、第1の実施の形態と同様でもよい。
【0117】
図17は、第2の実施の形態における機器管理サーバ10の機能構成例を示す図である。図17中、図3と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0118】
図17において、機器管理クラウド13は、テンプレート記憶部139を更に含む。テンプレート記憶部139は、例えば、補助記憶装置102、又は機器管理サーバ10にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
【0119】
テンプレート記憶部139は、画像形成装置20に発生する異常の中で、外部サービスが原因である可能性が高い異常について、外部(社外)への問い合わせのためのテンプレート文(雛形又は定型文)を記憶する。当該テンプレート文は、図8のステップS224において投稿されるメッセージに含められ、例えば、管理者が、外部への問い合わせのメール等の作成に利用される。例えば、当該テンプレートが当該メール等に引用(コピー&ペースト等)される。
【0120】
まず、テンプレート記憶部139へのテンプレート文の登録処理について説明する。図18は、第2の実施の形態におけるテンプレート文の登録処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
【0121】
ステップS701において、管理者が、管理者端末30を利用して、テンプレ追加メッセージを管理者用チャットルームへ投稿すると、チャット制御部111は、当該テンプレ追加メッセージ及び当該管理者用チャットルームのルームID(以下、「対象ルームID」という。)をメッセージ送受信部131へ送信する(S702)。テンプレ追加メッセージとは、テンプレートの追加を要求するメッセージであり、例えば、エラーID及びテンプレート文を所定の形式で含む。
【0122】
続いて、メッセージ送受信部131は、当該テンプレ追加メッセージをコマンド制御部132へ送信する(S703)。コマンド制御部132は、当該テンプレ追加メッセージの解釈をメッセージ制御部135へ要求する(S704)。メッセージ制御部135は、当該テンプレ追加メッセージの内容を解釈し、解釈結果をコメント制御部へ応答する(S705)。ここでは、テンプレートの追加を行うこと、追加対象のエラーID及びテンプレート文等が解釈結果に含まれる。
【0123】
続いて、コマンド制御部132は、ステップS703に対する応答をメッセージ送受信部131へ送信する(S706)。メッセージ送受信部131は、ステップS702に対する応答を行う(S707)。
【0124】
コマンド制御部132は、また、解釈結果に基づいて、テンプレートの追加要求を機器状態判定部134へ送信する(S708)。当該追加要求は、エラーID及びテンプレート文をパラメータとして含む。機器状態判定部134は、当該追加要求に応じ、当該追加要求が含むエラーID及びテンプレートの組をテンプレート記憶部139へ保存する(S709、S710)。
【0125】
図19は、テンプレート記憶部139の構成例を示す図である。図19が示すように、テンプレート記憶部139は、エラーIDに対応付けてテンプレート文を記憶する。
【0126】
続いて、機器状態判定部134は、テンプレートの追加が完了して旨の応答をコマンド制御部132へ送信する(S711)。
【0127】
続いて、コマンド制御部132は、当該応答に応じたメッセージの生成をメッセージ制御部135に要求する(S712)。メッセージ制御部135は、例えば、「テンプレの登録に成功しました。」というメッセージを生成し、当該メッセージをコマンド制御部132に応答する(S713)。
【0128】
続いて、コマンド制御部132は、対象ルームIDに対応する管理者用チャットルームへの当該メッセージの投稿をメッセージ送受信部131へ要求する(S714)。メッセージ送受信部131は、当該メッセージを当該管理者用チャットルームへ投稿する(S715)。管理者は、管理者用チャットルームを介して当該メッセージを閲覧することで(S716)、テンプレート文の登録の成功を認識することができる。
【0129】
次に、このように登録されたテンプレート文が利用される場面において実行される処理手順について説明する。テンプレート文は、画像形成装置20に異常が発生したことを管理者へ通知するためのメッセージに含められる。したがって、第2の実施の形態では、図8の処理手順が図20に示されるように変更される。
【0130】
図20は、第2の実施の形態における異常発生時の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図20中、図8と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は省略する。図20では、ステップS222とステップS223との間に、ステップS231~S234が追加される。
【0131】
ステップS231において、コマンド制御部132は、対象画像形成装置20において発生している異常に係るエラーID(以下、「対象エラーID」という。)に対応するテンプレート文の取得要求をメッセージ制御部135へ送信する。当該取得要求は、対象エラーIDを含む。
【0132】
メッセージ制御部135は、当該取得要求に応じ、対象エラーIDに対応するテンプレート文をテンプレート記憶部139から取得し(S232、S233)、取得結果をコマンド制御部132へ応答する(S234)。なお、コマンド制御部132は、対象エラーIDに係る異常が外部サービスに依存する可能性の有無を判定せずに、ステップS231を実行する。したがって、対象エラーIDに対応するテンプレート文は必ずしも登録されているとは限らない。したがって、該当するテンプレート文が有る場合には当該テンプレート文が取得結果に含まれるが、該当するテンプレート文が無い場合には、当該取得結果にはテンプレート文は含まれない。
【0133】
当該取得結果にテンプレート文が含まれる場合、コマンド制御部132は、ステップS226の実行後に、ステップS241を実行する。
【0134】
ステップS241において、コマンド制御部132は、対象画像形成装置20の管理単位に対応する管理者用チャットルームへのテンプレート文を含むメッセージの投稿をメッセージ送受信部131へ要求する。メッセージ送受信部131は、当該メッセージを当該管理者用チャットルームへ投稿する(S242)。各管理者は、当該管理者用チャットルームに投稿された当該メッセージを閲覧することで(S243)、対象画像形成装置20に発生している異常に関して外部へ問い合わせる際のテンプレート文を確認することができる。その結果、当該問い合わせを円滑化することができる。
【0135】
次に、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では第1の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及されない点については、第1の実施の形態と同様でもよい。
【0136】
第3の実施の形態では、画像形成装置20の異常に対する対応方法を利用者に通知することで、利用者による対応を促進させる例について説明する。この場合、図8の処理手順が、図21に示されるように変更される。
【0137】
図21は、第3の実施の形態における異常発生時の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図21中、図8と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は省略する。図21では、ステップS222とステップS223との間に、ステップS251~S256が追加される。
【0138】
ステップS251において、コマンド制御部132は、対象画像形成装置20において発生している異常に係るエラーID(以下、「対象エラーID」という。)を指定して、現場の利用者による当該異常に対する対応の可否を機器状態判定部134に照会する。機器状態判定部134は、当該照会に応じ、機器状態ルール記憶部138から対象エラーIDに対応する機器状態判定ルールを取得する(S252、S253)。
【0139】
図22は、第3の実施の形態における機器状態ルール記憶部138の構成例を示す図である。図22が示す機器状態ルール記憶部138は、更に、エラーIDに対応付けて現場対応可否を記憶する。現場対応可否とは、現場において利用者による対応の可否の可能性を示す情報であり、TRUE又はFALSEの値が登録される。TRUEは、利用者による対応が可能であること(又はその可能性が高いこと)を示す。FALSEは、利用者による対応が不可能であること(又はその可能性が高いこと)を示す。
【0140】
機器状態判定部134は、対象エラーIDに係る異常を検知するためのルールIDに対応する現場対応可否がTRUEはであれば、現場による対応が可能であることを示す応答(以下、単に「対応可」という。)を、当該現場対応可否がFALSEであれば、現場による対応が不可能であることを示す応答をコマンド制御部132へ送信する(S254)。
【0141】
機器状態判定部134からの応答が対応可である場合、コマンド制御部132は、対応可に応じたメッセージの生成をメッセージ制御部135に要求する(S255)。メッセージ制御部135は、対応可に基づいて、対応方法を利用者に示すメッセージ(以下、「対応方法メッセージ」という。)を生成し、生成した対応方法メッセージをコマンド制御部132へ応答する(S256)。例えば、「こちらの手順で復旧できる可能性が有ります。<URL>」といったメッセージが対応方法メッセージとして生成される。ここで、<URL>は、例えば、機器基本情報記憶部136において対象画像形成装置20の機器IDに対応付けられているマニュアルURLに対して、エラーIDがオプション情報として付与されたURLである。この場合、画像形成装置20の電子マニュアルは、エラーIDに基づいて、当該エラーIDに係る異常に対応するページを特定可能なように構成されていればよい。
【0142】
対応方法メッセージが生成された場合(すなわち、対応可の場合)、コマンド制御部132は、更に、ステップS261を実行する。
【0143】
ステップS261において、対象画像形成装置20に対応する利用者用チャットルームへの当該対応方法メッセージの投稿をメッセージ送受信部131へ要求する(S262)。メッセージ送受信部131は、当該対応方法メッセージを当該利用者用チャットルームへ投稿する(S223)。対象画像形成装置20を普段利用している従業員は、当該利用者用チャットルームに投稿された当該対応方法メッセージを閲覧することで(S225)、対象画像形成装置20に発生している異常の対応方法を知ることができ、当該異常に対する対応を自分で試みることができる。
【0144】
なお、第3の実施の形態は、第2の実施に形態と組み合わされてもよい。
【0145】
次に、第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態では第1の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及されない点については、第1の実施の形態と同様でもよい。
【0146】
第4の実施の形態では、画像形成装置20の異常発生時に、休暇中や会議中などの理由で管理者が対応できない場合に、管理者を代行可能な従業員に管理者を代行させる例について説明する。
【0147】
第4の実施の形態では、画像形成装置20ごとに、管理者を代行可能な従業員を特定するための情報が、予め機器基本情報記憶部136の管理者リストに登録される。
【0148】
図23は、第4の実施の形態における機器基本情報記憶部136の構成例を示す図である。図23が示すように、第4の実施の形態では、管理者リストを構成する管理者情報が、更に、管理者代行を含む。管理者代行とは、管理者の代行の可否を示す項目であり、true又はfalseが設定される。trueは、管理者を代行可能な従業員(以下、「管理代行者」という。)であることを示す。falseは、そもそも管理者であることを示す。すなわち、第4の実施の形態において、管理責任者及び管理者代行の値の組み合わせの意味は以下の通りである。
管理責任者=true,管理者代行=false:管理責任者
管理責任者=false,管理者代行=false:管理担当者
管理責任者=false,管理者代行=true:管理代行者
【0149】
なお、管理者用チャットルームへ常時アクセス可能な従業員は、上記のうち、管理責任者及び管理担当者(すなわち、管理者)である。
【0150】
第4の実施の形態では、更に、図8の処理手順が図24に示されるように変更される。
【0151】
図24は、第4の実施の形態における異常発生時の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図24中、図8と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は省略する。図24では、ステップS222とステップS223との間に、ステップS271~S273が追加される。
【0152】
ステップS271及びS272において、コマンド制御部132は、対象画像形成装置20の管理者リストに含まれている各管理者情報に係る各従業員のスケジュール情報をスケジュール情報記憶部123から取得する。例えば、当日のスケジュール情報が取得されればよい。
【0153】
続いて、コマンド制御部132は、取得されたスケジュール情報に基づいて、対象画像形成装置20の異常に関して、各管理者及び各管理代行者による対応の可否を判定する(S273)。具体的には、コマンド制御部132は、各管理者及び各管理代行者について、現時点から所定時間内(復旧に要される見込み時間)の期間における予定の登録の有無を判定する。コマンド制御部132は、当該期間において予定が登録されていない者については対応可能であると判定し、当該期間において予定が登録されている者については対応不可能であると判定する。
【0154】
対応可能な管理者が一人以上存在する場合、図8において説明したように、ステップS226~S228が実行される。
【0155】
対応可能な管理者が一人も存在しない場合、コマンド制御部132は、対応可能な管理代行者のチャットユーザIDを指定して、対象画像形成装置20が属する管理単位に対応する管理者用チャットルームに対するユーザの追加をメッセージ送受信部131へ要求する(S281)。なお、当該管理代行者のチャットユーザIDは、従業員情報記憶部121(図6)を参照することで、当該管理代行者の従業員IDに基づいて特定可能である。続いて、メッセージ送受信部131は、当該管理者用チャットルームに対して当該チャットユーザIDを追加する(S282)。その結果、当該管理代行者が当該管理者用チャットルームへ招待される。
【0156】
続いて、ステップS283~S285において、ステップS226~S228と同様の処理手順が実行される。その結果、管理代行者に対して、対象画像形成装置20の異常が通知され、管理代行者によって、異常に対する対応が代行される。
【0157】
なお、第4の実施の形態においてもステップS223~S225は実行されるが、図24においては、便宜上、これらのステップは省略されている。
【0158】
次に、第5の実施の形態について説明する。第5の実施の形態では第1の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及されない点については、第1の実施の形態と同様でもよい。
【0159】
第5の実施の形態では、図8のステップS227において管理者用チャットルームへ投稿されるメッセージ(エラーメッセージ)について、管理者の閲覧の有無が確認され、管理者によって閲覧していない場合には、当該メッセージが管理代行者へ通知される例について説明する。なお、第5の実施の形態において、機器基本情報記憶部136の構成は、第4の実施の形態の図23において説明した通りである。
【0160】
上記のような管理代行者への通知を可能とするために、図5の実施の形態では、図8の処理手順が図25に示されるように変更される。
【0161】
図25は、第5の実施の形態における異常発生時の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
【0162】
図25において、コマンド制御部132は、対象画像形成装置20の管理単位に対応する管理者用チャットルームへの管理者用メッセージの投稿をメッセージ送受信部131へ要求すると(S226)、一定時間待機する(S291)。なお、メッセージ送受信部131は、当該管理者用メッセージに対して当該管理者用メッセージを投稿するが(S227)、図25では、いずれの管理者によっても当該管理者用メッセージが閲覧されていない状況を説明するため、ステップS228は実行されない。
【0163】
一定時間待機後(一定時間経過後)、コマンド制御部132は、ステップS227において投稿された管理者用メッセージの状況を示す情報(以下、「メッセージ状況情報」という。)をメッセージ送受信部131から取得する(S292、S293)。メッセージ状況情報は、管理者による閲覧の有無を示唆する情報であり、例えば、管理者の既読の有無、"いいね"等の反応の有無等を示す情報である。
【0164】
コマンド制御部132は、メッセージ状況情報に基づいて、管理者によって管理者用メッセージが閲覧されていないと判定した場合、図14において説明したステップS281~S285を実行する。その結果、管理代行者に対して当該管理者用メッセージが通知される。
【0165】
なお、第5の実施の形態においてもステップS223~S225は実行されるが、図25においては、便宜上、これらのステップは省略されている。
【0166】
なお、画像形成装置20以外の機器に関して上記各実施の形態が適用されてもよい。例えば、PJ(Projector:プロジェクタ)、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPCまたはデスクトップPC等に対して上記各実施の形態が適用されてもよい。
【0167】
また、実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。
【0168】
ある実施形態では、機器管理サーバ10は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。同様に、画像形成装置20は、互いに通信するように構成された複数のコンピューティングデバイスを含むことができる。
【0169】
また、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0170】
なお、上記各実施の形態において、機器管理サーバ10は、情報処理装置の一例である。利用者用チャットルームは、第1のチャットルームの一例である。管理者用チャットルームは、第2のチャットルームの一例である。メッセージ送受信部131は、メッセージ受信部、第1の投稿部、第2の投稿部及び第3の投稿部の一例である。機器状態判定部134は、算出部及び判定部の一例である。
【0171】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0172】
10 機器管理サーバ
11 チャットシステム
12 従業員管理クラウド
13 機器管理クラウド
20 画像形成装置
30 管理者端末
40 利用者端末
100 ドライブ装置
101 記録媒体
102 補助記憶装置
103 メモリ装置
104 CPU
105 インタフェース装置
111 チャット制御部
121 従業員情報記憶部
122 従業員位置情報記憶部
123 スケジュール情報記憶部
131 メッセージ送受信部
132 コマンド制御部
133 機器状態受信部
134 機器状態判定部
135 メッセージ制御部
136 機器基本情報記憶部
137 機器状態記憶部
138 機器状態ルール記憶部
139 テンプレート記憶部
B バス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0173】
【特許文献1】特開2002-152207号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
図12
図13
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図15
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図19
図20
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図22
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