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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023078979
(43)【公開日】2023-06-07
(54)【発明の名称】食品素材
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20230531BHJP
   A23L 23/00 20160101ALI20230531BHJP
【FI】
A23L27/00 D
A23L23/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021192341
(22)【出願日】2021-11-26
(71)【出願人】
【識別番号】713011603
【氏名又は名称】ハウス食品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【弁理士】
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【弁理士】
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【弁理士】
【氏名又は名称】大木 信人
(72)【発明者】
【氏名】大村 風音
(72)【発明者】
【氏名】小林 由起
(72)【発明者】
【氏名】濱洲 紘介
【テーマコード(参考)】
4B036
4B047
【Fターム(参考)】
4B036LC01
4B036LE01
4B036LE02
4B036LF03
4B036LF05
4B036LH13
4B036LH21
4B036LH27
4B036LH29
4B036LH32
4B036LH34
4B036LH37
4B036LH38
4B036LK01
4B036LK03
4B036LK04
4B036LP01
4B036LP02
4B036LP17
4B036LP18
4B036LP19
4B047LB02
4B047LB03
4B047LB09
4B047LE01
4B047LE05
4B047LE07
4B047LF08
4B047LG10
4B047LG37
4B047LG39
4B047LG43
4B047LG44
4B047LG46
4B047LG47
4B047LG49
4B047LG50
4B047LG64
4B047LG70
4B047LP02
4B047LP04
4B047LP05
4B047LP15
4B047LP20
(57)【要約】
【課題】本発明は、簡便かつ短時間の工程で、本格的な味わいが感じられる香辛料を含む食品(例えば、スパイスカレー等)を調理することが可能な新たな手段を提供することを目的とする。
【解決手段】シナモン、クローブ、スターアニス、唐辛子、マスタードシード、フェヌグリーク、カレーリーフからなる群から選ばれる香辛料を含む油脂調味料と、クミンシード、コリアンダーシード、ターメリック、キャラウェイ、ナツメグ、メース、セロリシード、ベイリーブス、オールスパイスからなる群から選ばれる香辛料を含む水系調味料と、カルダモン、山椒、花椒、バジル、ディル、パセリ、タラゴン、タイム、ミント、メッチリーフ、ブラックペッパー、ホワイトペーパー、グリーンペッパー、ピンクペッパーからなる群から選ばれる香辛料を含む粉体調味料とを別体として組合せて含んでなる食品素材。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油脂100質量部に対して、0.2質量部以上97質量部以下の原料Aを含む油脂調味料と、
水100質量部に対して、0.3質量部以上92質量部以下の原料Bを含む水系調味料と、
原料Cを含む粉体調味料と、
を別体として組合せて含んでなる食品素材であって、
前記原料Aは、シナモン、クローブ、スターアニス、唐辛子、マスタードシード、フェヌグリーク、カレーリーフからなる群から選ばれる1又は2以上の香辛料を含み、
前記原料Bは、クミンシード、コリアンダーシード、ターメリック、キャラウェイ、ナツメグ、メース、セロリシード、ベイリーブス、オールスパイスからなる群から選ばれる1又は2以上の香辛料を含み、
前記原料Cは、カルダモン、山椒、花椒、バジル、ディル、パセリ、タラゴン、タイム、ミント、メッチリーフ、ブラックペッパー、ホワイトペーパー、グリーンペッパー、ピンクペッパーからなる群から選ばれる1又は2以上の香辛料を含む、食品素材。
【請求項2】
前記原料Aが、前記油脂調味料の調製の過程で加熱価5~60の加熱処理に付されている、請求項1に記載の食品素材。
【請求項3】
前記油脂調味料が、具材と共に炒めるために用いられる、請求項1又は2に記載の食品素材。
【請求項4】
前記水系調味料が、ホットパック充填されたものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の食品素材。
【請求項5】
前記水系調味料が、ペースト状の形態を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の食品素材。
【請求項6】
前記水系調味料における固形成分の分量が50~70質量部である、請求項5に記載の食品素材。
【請求項7】
前記水系調味料の水分活性(Aw)が0.9~0.75である、請求項5又は6に記載の食品素材。
【請求項8】
前記水系調味料が、具材と共に煮るために用いられる、請求項1~7のいずれか1項に記載の食品素材。
【請求項9】
食品素材の製造方法であって、
油脂100質量部に対して、0.2質量部以上97質量部以下の原料Aを合わせて油脂調味料を調製し、得られた油脂調味料を容器に充填する工程であって、
前記原料Aは、シナモン、クローブ、スターアニス、唐辛子、マスタードシード、フェヌグリーク、カレーリーフからなる群から選ばれる1又は2以上の香辛料を含む、工程、
水100質量部に対して、0.3質量部以上92質量部以下の原料Bを合わせて水系調味料を調製し、得られた水系調味料を容器に充填する工程であって、
前記原料Bは、クミンシード、コリアンダーシード、ターメリック、キャラウェイ、ナツメグ、メース、セロリシード、ベイリーブス、オールスパイスからなる群から選ばれる1又は2以上の香辛料を含む、工程、
原料Cを含む粉体調味料を調製し、容器に充填する工程であって、
前記原料Cは、カルダモン、山椒、花椒、バジル、ディル、パセリ、タラゴン、タイム、ミント、メッチリーフ、ブラックペッパー、ホワイトペーパー、グリーンペッパー、ピンクペッパーからなる群から選ばれる1又は2以上の香辛料を含む、工程、
を含む、製造方法。
【請求項10】
前記原料Aが、前記油脂調味料の調製の過程で加熱価5~60の加熱処理に付される、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記水系調味料が、容器にホットパック充填される、請求項9又は10に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香辛料を含む食品の製造に利用される食品素材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
主に、複数種の香辛料と肉や野菜等の具材からなり、従来一般的なルウを使用しないカレーは「スパイスカレー」とも称され、香辛料がもたらす強い香りや刺激、引き立てられた具材の旨味等がダイレクトに感じられ、従来のルウを使用したカレーとは異なる美味しさが感じられるとして、今日人気を博している。
【0003】
しかしながら、スパイスカレーを製造するためには、多い時には数十種類にも及ぶ香辛料を準備・調製し、またそれらをそれぞれに最適な調理条件において用いることを要し、調理作業が煩雑・長期化する場合があり、家庭等においてスパイスカレーを製造することは容易ではなかった。このような課題を解決すべく、香辛料の種類を減らしたり(例えば2,3,4種類等)、調理工程を見直したりする等の工夫がなされているが、このようにして製造されたスパイスカレーにおいては、専門店やレストランで提供されるような本格的な味わいが十分に感じられない場合があった。
【0004】
そのため、当該分野においては依然として、専門店やレストランで提供されるような本格的な味わいが感じられるスパイスカレーを、簡便かつ短時間の調理工程で提供することを可能とする新たな手段が求められていた。
【0005】
特許文献1には、スープカレーを調理するための食品素材が記載されており、当該食品素材が、香辛料、油脂、及び乳化安定材を含む水相素材と、香味油との2つの素材を別体として組合せて含んでなり、水相素材を湯中に溶かし、香味油を加えることで乳化安定材の作用によって、水相素材に含まれる油脂が湯中に微粒状に分散した水相を形成し、その水相の上に香味油が分離して浮くように構成されたスープカレーを調理できたことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4680577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、簡便かつ短時間の工程で、本格的な味わいが感じられる香辛料を含む食品(例えば、スパイスカレー等)を調理することが可能な新たな手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、シナモン、クローブ、スターアニス、唐辛子、マスタードシード、フェヌグリーク、カレーリーフからなる群から選択される香辛料を含む油脂調味料を肉や野菜等の具材と共に炒め、得られた具材をクミンシード、コリアンダーシード、ターメリック、キャラウェイ、ナツメグ、メース、セロリシード、ベイリーブス、オールスパイスからなる群から選択される香辛料を含む水系調味料と一緒に煮た後、カルダモン、山椒、花椒、バジル、ディル、パセリ、タラゴン、タイム、ミント、メッチリーフ、ブラックペッパー、ホワイトペーパー、グリーンペッパー、ピンクペッパーからなる群から選ばれる香辛料を含む粉体調味料と合わせるだけで、本格的な味わいが感じられる香辛料を含む食品が得られることを見出した。
【0009】
本発明は、これらの新規知見に基づくものであり、以下の発明を包含する。
[1] 油脂100質量部に対して、0.2質量部以上97質量部以下の原料Aを含む油脂調味料と、
水100質量部に対して、0.3質量部以上92質量部以下の原料Bを含む水系調味料と、
原料Cを含む粉体調味料と、
を別体として組合せて含んでなる食品素材であって、
前記原料Aは、シナモン、クローブ、スターアニス、唐辛子、マスタードシード、フェヌグリーク、カレーリーフからなる群から選ばれる1又は2以上の香辛料を含み、
前記原料Bは、クミンシード、コリアンダーシード、ターメリック、キャラウェイ、ナツメグ、メース、セロリシード、ベイリーブス、オールスパイスからなる群から選ばれる1又は2以上の香辛料を含み、
前記原料Cは、カルダモン、山椒、花椒、バジル、ディル、パセリ、タラゴン、タイム、ミント、メッチリーフ、ブラックペッパー、ホワイトペーパー、グリーンペッパー、ピンクペッパーからなる群から選ばれる1又は2以上の香辛料を含む、食品素材。
[2] 前記原料Aが、前記油脂調味料の調製の過程で加熱価5~60の加熱処理に付されている、[1]の食品素材。
[3] 前記油脂調味料が、具材と共に炒めるために用いられる、[1]又は[2]の食品素材。
[4] 前記水系調味料が、ホットパック充填されたものである、[1]~[3]のいずれかの食品素材。
[5] 前記水系調味料が、ペースト状の形態を有する、[1]~[4]のいずれかの食品素材。
[6] 前記水系調味料における固形成分の分量が50~70質量部である、[5]の食品素材。
[7] 前記水系調味料の水分活性(Aw)が0.9~0.75である、[5]又は[6]の食品素材。
[8] 前記水系調味料が、具材と共に煮るために用いられる、[1]~[7]のいずれかの食品素材。
[9] 食品素材の製造方法であって、
油脂100質量部に対して、0.2質量部以上97質量部以下の原料Aを合わせて油脂調味料を調製し、得られた油脂調味料を容器に充填する工程であって、
前記原料Aは、シナモン、クローブ、スターアニス、唐辛子、マスタードシード、フェヌグリーク、カレーリーフからなる群から選ばれる1又は2以上の香辛料を含む、工程、
水100質量部に対して、0.3質量部以上92質量部以下の原料Bを合わせて水系調味料を調製し、得られた水系調味料を容器に充填する工程であって、
前記原料Bは、クミンシード、コリアンダーシード、ターメリック、キャラウェイ、ナツメグ、メース、セロリシード、ベイリーブス、オールスパイスからなる群から選ばれる1又は2以上の香辛料を含む、工程、
原料Cを含む粉体調味料を調製し、容器に充填する工程であって、
前記原料Cは、カルダモン、山椒、花椒、バジル、ディル、パセリ、タラゴン、タイム、ミント、メッチリーフ、ブラックペッパー、ホワイトペーパー、グリーンペッパー、ピンクペッパーからなる群から選ばれる1又は2以上の香辛料を含む、工程、
を含む、製造方法。
[10] 前記原料Aが、前記油脂調味料の調製の過程で加熱価5~60の加熱処理に付される、[9]の製造方法。
[11] 前記水系調味料が、容器にホットパック充填される、[9]又は[10]の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡便かつ短時間の工程で、本格的な味わいが感じられる香辛料を含む食品を調理することが可能な新たな手段を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は食品の製造に利用される食品素材ならびにその製造方法に関するものであり、当該食品素材は、それぞれが容器に充填収納され、別体として存在する、油脂調味料、水系調味料、及び粉体調味料の組合せを含んでなる。
【0012】
(1)油脂調味料
本発明における「油脂調味料」は、油脂と原料Aとを含んでなる。
【0013】
本発明において「油脂」とは、食用に供される動植物性油脂(食用油とも呼ばれる場合がある)を意味し、液体油脂、固化油脂(例えば、可塑性油脂)、極度硬化油脂等であり、これらの油脂の1種又は2種以上が利用される。
【0014】
本発明において利用可能な油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、綿実油、菜種白絞油、大豆油、コーン油、サフラワー油、ヒマワリ油、オリーブ油、米ぬか油、からし油、落花生油、ゴマ油、米油、ツバキ油、ベニバナ油、アマニ油、シソ油、エゴマ油、茶油、ヤシ油、アボガド油、ククイナッツ油、グレープシード油、ココアバター、ココナッツ油、小麦胚芽油、アーモンド油、月見草油、ひまし油、ヘーゼルナッツ油、マカダミアナッツ油、ローズヒップ油、ブドウ油、カカオ油、ホホバ油等の植物油脂、バター、バターオイル、ラード、ヘット、ショートニング、マーガリン、ギー、牛脂(ビーフオイル)、羊脂、豚脂、及び魚油等の動物油脂、及びこれらの極度硬化油脂(水素添加油脂)、エステル交換油脂等を挙げることができる(これらに限定はされない)。油脂はいずれか単独で用いてもよいし、異なる油脂を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
本発明において「原料A」には、シナモン、クローブ、スターアニス、唐辛子、マスタードシード、フェヌグリーク、カレーリーフからなる群から選ばれる1種又は2種以上(例えば、2種、3種、4種、5種、6種、またはそれ以上の種)の香辛料が利用され、所望の風味に応じて適宜選択することができる。これらの香辛料は、油脂と共に加熱することにより、特に際立った良好な香りを放つものが好ましい。これらの香辛料は原型のまま、あるいは適当な寸法又は形状にカットした形態、あるいは、破砕、粉砕、又は摩砕した形態とすることができる。好ましくは、これらの香辛料は破砕、粉砕、又は摩砕して得られた、粉状、粒状等の粉体形態である。
【0016】
なお、本明細書において「香辛料」とは、飲食品の香り、辛味、又は色などを調整するために用いられる調味料を意味し、本発明における香辛料には、従来公知の一般的な手法により製造されたものや、市販品を利用することができる。
【0017】
本発明の「油脂調味料」における油脂と原料Aの配合量は、油脂100質量部に対して、原料Aが0.2質量部以上、例えば、0.5質量部以上、1質量部以上、3質量部以上、5質量部以上、好ましくは8質量部以上、より好ましくは10質量部以上の量で含まれ、その上限は特に限定されるものではないが、例えば、97質量部以下、例えば、90質量部以下、70質量部以下、好ましくは50質量部以下、例えば、40質量部以下、30質量部以下、より好ましくは20質量部以下の量とすることができる。本発明の「油脂調味料」における原料Aの配合量の範囲は前記下限及び上限の数値よりそれぞれ選択される2つの数値を用いて表すことができる。すなわち、本発明の「油脂調味料」における原料Aの配合量は、油脂100質量部に対して、例えば、0.2質量部以上97質量部以下、好ましくは1質量部以上70質量部以下、より好ましくは5質量部以上40質量部以下の範囲より適宜選択される量である。
【0018】
本発明の「油脂調味料」には、上記の油脂及び原料Aに加えて、必要に応じてさらに、食材や飲食品の製造において通常用いられている、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、希釈剤、緩衝剤、懸濁化剤、増粘剤、乳化剤、保存剤、防腐剤、酸化防止剤、着色剤、溶剤、溶解補助剤、等張化剤、矯味矯臭剤、pH調整剤、香料、甘味料、呈味成分、酸味料、原料Aとは異なるその他の香辛料等のその他の成分を配合することができる。これらその他の成分の配合量は、本発明において所望される風味が妨げられない範囲で、適宜選択することができる。
【0019】
本発明の「油脂調味料」は、上記の油脂及び原料A、ならびに必要に応じて上記その他の成分を、それぞれ上記の配合量で、加熱条件下にて混合した後、冷却することによって調製することができる。各成分は全て一緒に加えて混合してもよいし、各成分を別々にもしくは任意の組み合わせで順次加えて(順序は問わない)混合してもよい。成分の混合は、加熱の前、加熱の最中、及び加熱した後の一つ以上にて行うことができる。
【0020】
この油脂調味料の調製の過程における前記加熱による処理(以下、「加熱処理」と記載する)は、原料Aの最高到達品温(本明細書中、単に「達温」と記載する場合がある)が55℃以上、例えば、60℃以上、好ましくは70℃以上、例えば、80℃以上、90℃以上、より好ましくは100℃以上、例えば、110℃以上、120℃以上、130℃以上であり、その上限は特に限定されるものではないが、例えば、150℃以下、好ましくは145℃以下、より好ましくは140℃以下とすることができる。前記加熱処理における、原料Aの達温の範囲は前記下限及び上限の数値よりそれぞれ選択される2つの数値を用いて表すことができ、55℃以上150℃以下、好ましくは70℃以上145℃以下、より好ましくは100℃以上140℃以下、例えば、110℃以上140℃以下の範囲より適宜選択することができる。
【0021】
また、前記油脂調味料の調製の過程において原料Aが付されるこの加熱処理の加熱価は、5以上、好ましくは10以上、例えば、15以上、より好ましくは20以上、例えば、30以上、40以上、50以上であり、その上限は特に限定されるものではないが、例えば、60以下、好ましくは55以下、より好ましくは50以下とすることができる。前記加熱価の範囲は前記下限及び上限の数値よりそれぞれ選択される2つの数値を用いて表すことができ、5以上60以下、好ましくは10以上55以下、より好ましくは20以上50以下の範囲より適宜選択することができる。
【0022】
本発明において、油脂調味料における原料Aが、上記加熱価を有する加熱処理に付されていることによって、油脂調味料を食品の具材と共に炒めるだけで、特に際立った良好な香りを放つことができ、具材に香りや下味を付けることができる。
【0023】
ここで「加熱価」とは、加熱量の大きさを示すパラメータである。加熱処理における加熱温度が高く、加熱時間が長い程、加熱価が大きくなる。具体的には、加熱価は、下記式によって表される値(以下、CV値という)を、加熱時間(分)で積分した値として求められる。
(式):CV値=10((品温-基準温度)/Z値)
なお、本発明においては、基準温度を110℃、Z値を30℃とする。
【0024】
詳細には、加熱価は、加熱処理中、原料A(より詳細には、油脂調味料)の品温を毎分測定することにより、算出することができる。例えば、5分間の加熱処理において、各時間における品温(℃)が、下記表1に示される値であったとする。
【0025】
【表1】
【0026】
この加熱処理の場合、加熱価は、0~5分のCV値の合計値であり、下記式により、0.85と計算される。
(式):0.46+0.22+0.10+0.05+0.02=0.85
【0027】
一実施形態において、油脂調味料は、必要に応じて上記その他の成分の配合又は添加により、粉末、顆粒、フレーク、ペレットの形態としてもよい。これらの形態は、飲食品の製造において一般的に用いられる造粒方法(例えば、圧縮造粒、押し出し造粒、噴霧造粒、転動造粒、流動層造粒、攪拌造粒等)や乾燥方法(例えば、凍結乾燥、加熱乾燥、風乾、噴霧乾燥、ドラム乾燥、熱風乾燥、真空乾燥等)、及びそれらの組合せを用いて製造することができる。
【0028】
得られた油脂調味料は容器に充填される。容器の形態は特に限定されないが、パウチ、缶、瓶、チューブ、ボトル等の形状とすることができる。容器の大きさは特に限定されないが、例えば、0.5~50mL(典型的には0.5mL、1mL、5mL、8mL、10mL、20mL、30mL、40mL又は50mL)の大きさとすることができる。油脂調味料の容器への充填は、任意の手段により行うことができる。
【0029】
(2)水系調味料
本発明における「水系調味料」は、水と原料Bとを含んでなる。
【0030】
本発明において「原料B」には、クミンシード、コリアンダーシード、ターメリック、キャラウェイ、ナツメグ、メース、セロリシード、ベイリーブス、オールスパイスからなる群から選ばれる1種又は2種以上(例えば、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、またはそれ以上の種)の香辛料が利用され、所望の風味に応じて適宜選択することができる。これらの香辛料は、水(又は湯)と共に加熱することにより、特に際立った良好な香りを放つものが好ましい。これらの香辛料は、原型のまま、あるいは適当な寸法又は形状にカットした形態、あるいは、破砕、粉砕、又は摩砕した形態とすることができる。好ましくは、これらの香辛料は破砕、粉砕、又は摩砕して得られた、粉状、粒状等の粉体形態である。
【0031】
本発明の「水系調味料」における水と原料Bの配合量は、水100質量部に対して、原料Bが0.3質量部以上、例えば、1質量部以上、3質量部以上、5質量部以上、7質量部以上、10質量部以上、好ましくは11質量部以上、例えば、15質量部以上、20質量部以上、より好ましくは21質量部以上の量で含まれ、その上限は特に限定されるものではないが、例えば、92質量部以下、例えば、85質量部以下、80質量部以下、75質量部以下、好ましくは72質量部以下、例えば、65質量部以下、60質量部以下、より好ましくは57質量部以下の量とすることができる。本発明の「水系調味料」における原料Bの配合量の範囲は前記下限及び上限の数値よりそれぞれ選択される2つの数値を用いて表すことができる。すなわち、本発明の「水系調味料」における原料Bの配合量は、水100質量部に対して、例えば、0.3質量部以上92質量部以下、好ましくは11質量部以上72質量部以下、より好ましくは21質量部以上57質量部以下の範囲より適宜選択される量である。
【0032】
本発明の「水系調味料」には、水及び上記の原料Bに加えて、必要に応じてさらに、食材や飲食品の製造において通常用いられている、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、希釈剤、緩衝剤、懸濁化剤、増粘剤、乳化剤、保存剤、防腐剤、酸化防止剤、着色剤、溶剤、溶解補助剤、等張化剤、矯味矯臭剤、pH調整剤、香料、甘味料、呈味成分、酸味料、原料Bとは異なるその他の香辛料、水分活性調整剤等のその他の成分を配合することができる。これらその他の成分の配合量は、本発明において所望される風味が妨げられない範囲で、適宜選択することができる。
【0033】
一実施形態において、本発明の「水系調味料」には、上記の水及び原料Bに加えて、グリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、レシチン等(これらに限定はされない)の乳化剤、野菜・果実の繊維質、小麦粉、澱粉、ゼラチン、ガム類、グルテン、ペクチン、デキストリン等(これらに限定はされない)のゲル化剤/増粘剤、ならびに上記の油脂からなる群から選ばれる1種又は2種以上を含めて、ペースト状の形態とすることができる。
【0034】
本発明の「水系調味料」は、水及び上記の原料B、ならびに必要に応じて上記その他の成分を、それぞれ上記の配合量で、加熱条件下にて混合した後、冷却することによって製造することができる。各成分は全て一緒に加えて混合してもよいし、各成分を別々にもしくは任意の組み合わせで順次加えて(順序は問わない)混合してもよい。成分の混合は、加熱の前、加熱の最中、及び加熱した後の一つ以上にて行うことができる。
【0035】
この水系調味料の調製における前記加熱処理は、原料Bの達温が80℃以上、好ましくは85℃以上、より好ましくは90℃以上、例えば、95℃以上であり、その上限は特に限定されるものではないが、例えば、99℃以下、好ましくは98℃以下、より好ましくは97℃以下とすることができる。前記加熱処理における、原料Bの達温の範囲は前記下限及び上限の数値よりそれぞれ選択される2つの数値を用いて表すことができ、80℃以上99℃以下、好ましくは85℃以上99℃以下、より好ましくは90℃以上98℃以下、例えば、95℃以上97℃以下の範囲より適宜選択することができる。
【0036】
この水系調味料の調製における前記加熱処理は、原料Bが加熱価0.1以上、好ましくは1以上、例えば、1.5以上、より好ましくは3以上、例えば、10以上、15以上、20以上で処理されたものであり、その上限は特に限定されるものではないが、例えば、30以下、好ましくは25以下、より好ましくは15以下で処理されたものすることができる。前記加熱価の範囲は前記下限及び上限の数値よりそれぞれ選択される2つの数値を用いて表すことができ、0.1以上30以下、好ましくは1以上25以下、より好ましくは3以上15以下の範囲より適宜選択することができる。
【0037】
得られた水系調味料は容器に充填される。容器の形態は特に限定されないが、パウチ、缶、瓶、チューブ、ボトル等の形状とすることができる。容器の大きさは特に限定されないが、例えば、3~300g(典型的には3g、10g、20g、27g、30g、50g、100g、150g、200g、250g又は300g)の大きさとすることができる。
【0038】
水系調味料の容器への充填は、ホットパック(熱間充填)法により行うことができる。この場合、充填時の水系調味料の品温は、80℃以上、好ましくは85℃以上、より好ましくは90℃以上であり、その上限は特に限定されるものではないが、例えば、100℃未満、好ましくは90℃以下、より好ましくは85℃以下とすることができる。前記充填時における、原料Bの品温の範囲は前記下限及び上限の数値よりそれぞれ選択される2つの数値を用いて表すことができ、80℃以上100℃未満、好ましくは80℃以上90℃以下、例えば、80℃以85℃以下となる範囲で行うことが好ましい。
【0039】
本発明において、水系調味料における原料Bが、上記調製及び充填における加熱処理に付されていることによって、水系調味料を食品の具材と共に水(又は湯)に加えて加熱する(より詳細には、短時間煮立たせる(又は一煮立ちさせる))だけで、厚みのある風味を有する、ソース又はスープのベースを得ることができる。
【0040】
一実施形態において、水系調味料がペースト状の形態を有する場合、容器にホットパック充填された水系調味料中の固形成分の分量は、水系調味料全体を100質量部とした場合に、15~90質量部、好ましくは30~80質量部、より好ましくは50~70質量部程度とすることができる。当該水系調味料中の固形成分の分量が上記範囲よりも高いと流動性が乏しくなる場合があり、ホットパック充填適性が低下する場合がある。ただし、このホットパック充填適性の低下は、水系調味料中にゼラチン等のゲル化剤/増粘剤を配合することにより改善できる場合がある。
【0041】
また、水系調味料がペースト状の形態を有する場合、容器にホットパック充填された水系調味料の水分活性(Aw)を0.9~0.75、好ましくは0.88~0.78とすることができる。当該水系調味料の水分活性値を上記範囲とすることによって、微生物の生育や酸化、褐変、色素の分解等の品質変化を阻害/抑制し、保存性を高めることができ好ましい。この水系調味料の水分活性は、水系調味料中に、塩類(食塩等)、糖類(砂糖、乳糖、マルトース等)、糖アルコール類、アミノ酸、タンパク質類、澱粉類、核酸関連物質、有機酸類、アルコール類、プロピレングリコース、グリセリン等の水分活性調整剤を配合することにより調整できる場合がある。
【0042】
あるいは、別の実施形態において、上記加熱処理に付されて得られた水系調味料は、必要に応じて上記その他の成分の配合又は添加により、粉末、顆粒、フレーク、ペレットの形態としてもよい。これらの形態は、飲食品の製造において一般的に用いられる造粒方法(例えば、圧縮造粒、押し出し造粒、噴霧造粒、転動造粒、流動層造粒、攪拌造粒等)や乾燥方法(例えば、凍結乾燥、加熱乾燥、風乾、噴霧乾燥、ドラム乾燥、熱風乾燥、真空乾燥等)、及びそれらの組合せを用いて製造することができる。
【0043】
(3)粉体調味料
本発明における「粉体調味料」は、原料Cを含んでなる。
【0044】
本発明において「原料C」には、カルダモン、山椒、花椒、バジル、ディル、パセリ、タラゴン、タイム、ミント、メッチリーフ、ブラックペッパー、ホワイトペーパー、グリーンペッパー、ピンクペッパーからなる群から選ばれる1種又は2種以上(例えば、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、13種、またはそれ以上の種)の香辛料が利用され、所望の風味に応じて適宜選択することができる。これらの香辛料は、原型のまま、あるいは適当な寸法又は形状にカットした形態、あるいは、破砕、粉砕、又は摩砕した形態とすることができる。好ましくは、これらの香辛料は破砕、粉砕、又は摩砕して得られた、粉状、粒状等の粉体形態である。
【0045】
原料Cに含まれる香辛料は、破砕、粉砕、又は摩砕することにより、特に際立った良好な香りを放つものが好ましい。これによって、本発明において、粉体調味料における原料Cが、上記粉体形態を有することによって、調理の仕上げに粉体調味料を加えてなじませるだけで、香り立ちのよい風味を有する食品を得ることができる。
【0046】
本発明の「粉体調味料」には、上記の原料Cに加えて、必要に応じてさらに、食材や飲食品の製造において通常用いられている、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、希釈剤、緩衝剤、懸濁化剤、増粘剤、乳化剤、保存剤、防腐剤、酸化防止剤、着色剤、溶剤、溶解補助剤、等張化剤、矯味矯臭剤、pH調整剤、香料、甘味料、呈味成分、酸味料、原料Cとは異なるその他の香辛料等のその他の成分を配合することができる。これらその他の成分の配合量は、本発明において所望される風味が妨げられない範囲で、適宜選択することができる。
【0047】
一実施形態において、本発明の「粉体調味料」は、必要に応じて上記その他の成分より選択される1種又は2種以上を含めて、粉末、顆粒、フレーク、ペレット等の形態としてもよい。これらの形態は、飲食品の製造において一般的に用いられる造粒方法(例えば、圧縮造粒、押し出し造粒、噴霧造粒、転動造粒、流動層造粒、攪拌造粒等)や乾燥方法(例えば、凍結乾燥、加熱乾燥、風乾、噴霧乾燥、ドラム乾燥、熱風乾燥、真空乾燥等)、及びそれらの組合せを用いて製造することができる。
【0048】
得られた粉体調味料は容器に充填される。容器の形態は特に限定されないが、パウチ、缶、瓶、チューブ、ボトル等の形状とすることができる。容器の大きさは特に限定されないが、例えば、0.5~20g(典型的には0.5g、1g、1.6g、2g、5g、10g、15g又は20g)の大きさとすることができる。粉体調味料の容器への充填は、任意の手段により行うことができる。
【0049】
(4)食品素材
本発明の食品素材は、上述の各々容器に充填収納された、油脂調味料、水系調味料、及び粉体調味料を、セットとして一緒に外相容器や、調理用の使い捨て容器等に入れた形態で提供することができる。また、本発明の食品素材は油脂調味料、水系調味料、及び粉体調味料の他に、具材あるいは具材と喫食用の水とを充填収納したレトルト食品をさらに含んでもよい。
【0050】
本発明の食品素材は、上記の原料A、原料B、及び原料Cの香辛料を含んでなる食品(より詳細には、スープやソース、例えば、スパイスカレーソース)を製造するために用いることができる。
【0051】
本発明の食品素材を用いて目的とする食品を製造する場合、調理方法は当該目的とする食品の一般的な調理方法に準じて行うことが可能であるが、前記油脂調味料、水系調味料、及び粉体調味料は、それぞれ異なるタイミングで用いられ、これにより香辛料の風味が際立つ食品を簡便かつ短時間の手法により得ることができる。
【0052】
前記油脂調味料は、食品の具材(例えば、牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉、魚肉等の肉類、野菜類等)と共に炒めるために用いられる。前記油脂調味料は具材と共に炒めて加熱することにより、具材に香りや下味を付けることができ、ならびに/あるいは、具材の臭みをマスキングすることができる。
【0053】
前記水系調味料は、食品の具材と共に煮るために用いられる。前記水系調味料は具材(特に、前記油脂調味料と共に炒めた具材)と共に水(又は湯)中で加熱する(好ましくは短時間煮立たせる又は一煮立ちさせる)ことにより、厚みのある風味を有する食品のベースを得ることができる。
【0054】
前記粉体調味料は、調理の終盤の工程で食品の具材と合わせて、調理を仕上げるために用いられる。前記粉体調味料は具材(特に、前記水系調味料と共に加熱して得られた食品ベース)に加えてなじませることにより、香り立ちのよい風味を付与した食品を得ることができる。
【0055】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例0056】
I.実施例1
1.食品素材の製造
(1)油脂調味料の製造
下記表2の配合に従って、酸化防止剤を加えて130℃達温に加熱した油脂に、クローブ粉末、シナモン粉末、スターアニス粉末、唐辛子粉末、ガーリック粉末、ブラックペッパー粉末、ジンジャー粉末を加えて120℃達温にて混合し、その後110℃まで冷却してろ過した。次いで、調味料を加えて混合し、一食分の10gを合成樹脂フィルム製袋状容器に充填して収納し、油脂調味料を調製した。
【0057】
【表2】
【0058】
(2)ペースト状の水系調味料の製造
下記表3の配合に従って、原材料を97℃達温に加熱して混合してペースト状のものとし、一食分の30gを合成樹脂フィルム製袋状容器に、品温82℃以上にてホットパック充填して収納し、品温60℃以下まで冷却してペースト状の水系調味料を得た。ペースト状の水系調味料の固形成分の分量は約60%で、Awは約0.85であった。ペースト状の水系調味料は、一般的なホットパック充填用の充填機を用いて、良好に充填できた。
【0059】
【表3】
【0060】
(3)粉体調味料の製造
下記表4の配合に従って、原材料を混合して、一食分の1.6gを合成樹脂フィルム製袋状容器に充填して収納し、粉体調味料を得た。
【0061】
【表4】
【0062】
上記で得られた油脂調味料、ペースト状の水系調味料、及び粉体調味料を組み合せて外箱に入れて食品素材製品とした。
【0063】
2.食品素材を用いたスパイスカレーソースの製造
食品素材を喫食する際は、野菜、肉、魚介類等の具材と共に油脂調味料を炒めた後、水(約110g)とペースト状の水系調味料とを加えて一煮立ちさせ、これに粉体調味料を加えて混ぜ、スパイスカレーソースを製造した。
【0064】
得られたスパイスカレーソースの味わいは、食べ始めは粉体調味料に由来する香り立ちの良い、爽やかな、軽やかで甘い香辛料の良好な香りが感じられ、中盤から後半にかけては、水系調味料に由来する香辛料の風味が具材の旨味と重なって、キレがあり厚みのある良好な味わいが感じられ、ラストは油脂調味料に由来する香辛料の風味により臭みがマスキングされた具材の美味しさが、ソースとの良好な一体感を伴って余韻に感じられた。
【0065】
II.比較例:食品素材の製造とそれを用いたスパイスカレーソース(比較例A,B)の製造
上記表2の配合10gに、さらに上記表4の配合1.6gを加えたものを、上記実施例1の油脂調味料の製造方法と同様に調製した油脂調味料(比較例A1)を得た。
【0066】
また、上記表3の配合30gに、さらに上記表4の配合1.6gを加えたものを、上記水系調味料の製造方法と同様に調製した水系調味料(比較例B1)を得た。
【0067】
上記実施例1の「食品素材を用いたスパイスカレーソースの製造」において、油脂調味料に代えて油脂調味料(比較例A1)を用いて、また粉体調味料を使用しなかったこと以外は、同様に調製したスパイスカレーソース(比較例A)、水系調味料に代えて水系調味料(比較例B1)を用いて、また粉体調味料を使用しなかったこと以外は、同様に調製したスパイスカレーソース(比較例B)を得た。
【0068】
得られたスパイスカレーソース(比較例A)及びスパイスカレーソース(比較例B)の味わいは実施例1のスパイスカレーソースに比べて、カルダモンの軽やかな香りが失われ、本格的な味わいや食べ進めたくなる「やみつき感」のある美味しさを得ることが出来なかった。
【0069】
III.比較例:食品素材(比較例)の製造とそれを用いたスパイスカレーソースの製造(比較例C)
下記表5の配合に従って、上記実施例1の油脂調味料の製造方法と同様に調製した油脂調味料(比較例C1)を得た。また、下記表6の配合に従って、上記実施例1の水系調味料の製造方法と同様に調製した水系調味料(比較例C2)を得た。さらに、下記表7の配合に従って、上記実施例1の粉体調味料の製造方法と同様に調製した粉体調味料(比較例C3)を得た。
【0070】
【表5】
【0071】
【表6】
【0072】
【表7】
【0073】
この油脂調味料(比較例C1)、水系調味料(比較例C2)、粉体調味料(比較例C3)を用いたスパイスカレーソース(比較例C)を、上記実施例1の「食品素材を用いたスパイスカレーソースの製造」と同様に製造した。
得られたスパイスカレーソースの味わいは実施例1に比べて、スパイスの香りが失われ、本格的な味わいや食べ進めたくなる「やみつき感」のある美味しさを得ることが出来なかった。
【0074】
IV.比較例:食品素材(比較例)の製造とそれを用いたスパイスカレーソースの製造(比較例D)
下記表8の配合に従って、上記実施例1の油脂調味料の製造方法と同様に調製した油脂調味料(比較例D1)を得た。また、下記表9の配合に従って、上記実施例1の水系調味料の製造方法と同様に調製した水系調味料(比較例D2)を得た。さらに、下記表10の配合に従って、上記実施例1の粉体調味料の製造方法と同様に調製した粉体調味料(比較例D3)を得た。
【0075】
【表8】
【0076】
【表9】
【0077】
【表10】
【0078】
この油脂調味料(比較例D1)、水系調味料(比較例D2)、粉体調味料(比較例D3)を用いたスパイスカレーソース(比較例D)を、上記実施例1の「食品素材を用いたスパイスカレーソースの製造」と同様に製造した。
得られたスパイスカレーソース(比較例D)の味わいは実施例1のスパイスカレーソースに比べて、スパイスの香りが失われ、本格的な味わいや食べ進めたくなる「やみつき感」のある美味しさを得ることが出来なかった。
【0079】
本発明によれば、所定の組合せの香辛料より調製して得られた、油脂調味料、水系調味料、粉体調味料を順次、具材と加熱及び/又は合わせるだけで、外食のような本格的な味わい、食べ進めたくなる「やみつき感」のある美味しさを有するスパイスカレーソースを、簡便かつ短時間の調理方法で得られることが確認された。