(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079773
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】電圧源回路
(51)【国際特許分類】
G05F 3/30 20060101AFI20230601BHJP
【FI】
G05F3/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193398
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小金 伴弘
【テーマコード(参考)】
5H420
【Fターム(参考)】
5H420NA12
5H420NA24
5H420NA25
5H420NA35
5H420NB02
5H420NB12
5H420NC02
5H420NC03
5H420NC12
(57)【要約】
【課題】温度変化に対して安定的な電源電圧を出力可能な電圧源回路を提供する。
【解決手段】電圧源回路は、バンドギャップリファレンス回路、基準温度設定回路、及び、バイアス電流供給回路を備える。バンドギャップリファレンス回路は、ベースが互いに接続され、且つ、それぞれのコレクタが接地された第1PNPバイポーラトランジスタ及び第2PNPバイポーラトランジスタを含み、電源電圧を出力する。基準温度設定回路は基準温度を設定する。バイアス電流供給回路は、バンドギャップリファレンス回路の温度と基準温度との比較結果に基づいて、第1PNPバイポーラトランジスタ及び第2PNPバイポーラトランジスタのベースに対してバイアス電流を供給する。バイアス電流の供給は、第1PNPバイポーラトランジスタのエミッタ-ベース間電圧の温度に対する非線形成分を減少するように行われる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースが互いに接続され、且つ、それぞれのコレクタが接地された第1PNPバイポーラトランジスタ及び第2PNPバイポーラトランジスタを含み、前記第1PNPバイポーラトランジスタと前記第2PNPバイポーラトランジスタの正規化エミッタ面積比が、第1PNPバイポーラトランジスタ:第2PNPバイポーラトランジスタ=m:1(mは正の数)に設定され、電源電圧を出力可能なバンドギャップリファレンス回路と、
基準温度を設定するための基準温度設定回路と、
前記バンドギャップリファレンス回路の温度と前記基準温度との比較結果に基づいて、第1PNPバイポーラトランジスタ及び第2PNPバイポーラトランジスタのベースに対してバイアス電流を供給可能なバイアス電流供給回路と
を備え、
前記バイアス電流供給回路は、前記第1PNPバイポーラトランジスタのエミッタ-ベース間電圧の前記温度に対する非線形成分を減少するように前記バイアス電流を供給する、電圧源回路。
【請求項2】
前記バイアス電流供給回路は、前記温度と前記基準温度との温度差が大きくなるに従って前記バイアス電流が高くなるように構成される、請求項1に記載の電圧源回路。
【請求項3】
前記バイアス電流供給回路は、前記温度差に基づいて異なるバイアス電流を生成するための複数のバイアス電流生成回路を含む、請求項2に記載の電圧源回路。
【請求項4】
前記バイアス電流供給回路は、前記温度と基準温度との温度差が閾値以上になった場合に、前記バイアス電流を有効にするための切替回路を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の電圧源回路。
【請求項5】
前記バイアス電流供給回路は、
前記温度が前記基準温度より高い場合に前記バイアス電流を生成するための高温側バイアス電流供給回路と、
前記温度が前記基準温度より低い場合に前記バイアス電流を生成するための低温側バイアス電流供給回路と、
を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の電圧源回路。
【請求項6】
前記基準温度は、前記非線形成分が基準値未満になる温度として設定される、請求項1から5のいずれか一項に記載の電圧源回路。
【請求項7】
前記バイアス電流供給回路は、前記温度と基準温度とを比較するためのコンパレータを含み、
前記コンパレータはヒステリシス特性を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の電圧源回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電圧源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばリニアレギュレータやDCDCコンバータ等の電源ICに搭載される集積回路で用いられるアナログ回路の一種として、基準電圧を負荷に供給するための電圧源回路が知られている(例えば非特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】浅田邦博・永田穣 監訳、P.R.グレイ/P.J.フルスト/S.H.レビス/R.G.メイヤー 共著、「システムLSIのためのアナログ集積回路設計技術(基礎編)(応用編)」培風館、2004年
【非特許文献2】KAREL E. KUIJK, “A precision reference voltage source,” IEEE Journal of Solid-State Circuits, vol. 8, no. 3, pp.222-226, June. 1973.
【非特許文献3】Meijer, G.C.Meijer, “Integrated circuits and components for bandgap references and temperature transducers,” TU Delft Repositories, Mar. 1982.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで
図8は参考技術に係る電圧源回路1´の一例である。電圧源回路1´はバンドギャップリファレンス回路を含み、具体的には、コレクタ及びベースがそれぞれ接地された第1PNPバイポーラトランジスタQ
p1p、及び、第2PNPバイポーラトランジスタQ
p2pを備える。電源電圧V
REFpを出力するための出力端子T
outには、第1抵抗R
1pの一端が接続される。出力端子T
outと第2PNPバイポーラトランジスタQ
p2pのエミッタとの間には第2抵抗R
2pが接続される。第1抵抗R
1pの他端と第1PNPバイポーラトランジスタQ
p1pのエミッタとの間には第3抵抗R
3pが接続される。差動増幅回路A
1pは、非反転入力端子が第1抵抗R
1p及び第3抵抗R
3pの間にあるノードに接続され、反転入力端子が第2PNPバイポーラトランジスタQ
p2pのエミッタに接続される。差動増幅器A
1pの出力端子と出力端子T
outとの間には第1容量C
1pが接続される。また差動増幅器A
1pの出力端子にはPMOSトランジスタM
p1pのゲートが接続される。PMOSトランジスタM
p1pのソースは電源V
DDpに接続され、ドレーンは出力端子T
outに接続される。
【0005】
このような回路構成を有する電圧源回路1´においてR
1p=R
2pが成立する場合、出力端子T
outの電源電圧V
REFp、並びに、第1抵抗R
1p及び第2抵抗R
2pに流れるバイアス電流I
R1p及びI
R2pは、次式で表される。
尚、V
EBQp1pは第1PNPバイポーラトランジスタQ
p1pのエミッタ-ベース間電圧であり、qは電荷素量であり、kはボルツマン定数であり、Tは絶対温度であり、V
T(=kT/q)は熱電圧である。
【0006】
ここで非特許文献3によれば、PNPバイポーラトランジスタのエミッタ-ベース間電圧V
EBは、基準温度T
r、移動度μ、移動度μの温度特性を表す指数部n、0[K]におけるバンドギャップ電圧の1次近似挿入値V
g0を用いて、次式で表される。
【0007】
上記(3-1)式において、第1項V
EB0は温度Tに依存しない定数項(約1.2V)であり、第2項λTは温度Tに対して負の傾きλを有する線形項であり、第3項c(T)は温度Tに依存する非線形項である。電圧源回路1´では、上記(1)式の第2項が温度Tに対して正の傾きを有する線形項であるため、当該傾き(正の値)と、上記(3-1)式の第2項λTの傾き(負の値)とが互いに符号が逆で等しい値になるように調整することで、(3-1)式の第2項を打ち消すことができる。このとき、上記(1)式は次式に変形することができる。
【0008】
上記(4)式では、前述のように温度Tに対する線形項を打ち消すことができているが、温度Tに依存する非線形成分c(T)が残っている。そのため電圧源回路1´では、出力端子Toutから出力される電源電圧VREFpは温度Tに対して少なからず非線形的な振る舞いを有し、温度Tに対する平坦性が損なわれている。
【0009】
本開示の少なくとも一実施形態は上述の事情に鑑みなされたものであり、温度変化に対して安定的な電源電圧を出力可能な電圧源回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本開示の少なくとも一態様に係る電圧源回路は、上記課題を解決するために、
ベースが互いに接続され、且つ、それぞれのコレクタが接地された第1PNPバイポーラトランジスタ及び第2PNPバイポーラトランジスタを含み、前記第1PNPバイポーラトランジスタと前記第2PNPバイポーラトランジスタの正規化エミッタ面積比が、第1PNPバイポーラトランジスタ:第2PNPバイポーラトランジスタ=m:1(mは正の数)に設定され、電源電圧を出力可能なバンドギャップリファレンス回路と、
基準温度を設定するための基準温度設定回路と、
前記バンドギャップリファレンス回路の温度と前記基準温度との比較結果に基づいて、第1PNPバイポーラトランジスタ及び第2PNPバイポーラトランジスタのベースに対してバイアス電流を供給可能なバイアス電流供給回路と
を備え、
前記バイアス電流供給回路は、前記第1PNPバイポーラトランジスタのエミッタ-ベース間電圧の前記温度に対する非線形成分を減少するように前記バイアス電流を供給する。
【0011】
上記(1)の態様によれば、温度と基準温度との比較結果に基づいて、第1PNPバイポーラトランジスタ及び第2PNPバイポーラトランジスタの互いに接続されたベースに対してバイアス電流が供給される。バイアス電流は、第1PNPバイポーラトランジスタのエミッタ-ベース間電圧の温度に対する非線形成分を減少するように印加される。これにより、バンドギャップリファレンス回路から出力される電源電圧がバイアス電流によって調整され、温度による影響を抑制できる。
【0012】
(2)他の態様では、上記(1)の態様において、
前記バイアス電流供給回路は、前記温度と前記基準温度との温度差が大きくなるに従って前記バイアス電流が高くなるように構成される。
【0013】
上記(2)の態様によれば、温度と基準温度との温度差が大きくなると非線形成分が増加するが、バイアス電流を高く調整することで非線形成分を減少させ、温度による影響を効果的に抑制できる。
【0014】
(3)他の態様では、上記(2)の態様において、
前記バイアス電流供給回路は、前記温度差に基づいて異なるバイアス電流を生成するための複数のバイアス電流生成回路を含む。
【0015】
上記(3)の態様によれば、バイアス電流を供給するためのバイアス電流供給回路が、異なるバイアス電流を生成するための複数のバイアス電流生成回路を含んで構成される。これにより、温度と基準温度との温度差に基づいて各バイアス電流生成回路を動作させることで、第1PNPバイポーラトランジスタのエミッタ-ベース間電圧の温度に対する非線形成分が減少するようなバイアス電流の供給が可能となる。
【0016】
(4)他の態様では、上記(1)から(3)のいずれか一態様において、
前記バイアス電流供給回路は、前記温度と基準温度との温度差が閾値以上になった場合に、前記バイアス電流を有効にするための切替回路を含む。
【0017】
上記(4)の態様によれば、温度と基準温度との温度差が閾値以上になることで非線形成分による影響がある程度大きくなった場合に、切替回路によってバイアス電流が有効にされる。これにより、温度と基準温度との温度差が閾値未満であることで非線形成分による影響が小さい場合にはバイアス電流の供給が不要となり、余分なエネルギー消費を回避できる。
【0018】
(5)他の態様では、上記(1)から(4)のいずれか一態様において、
前記バイアス電流供給回路は、
前記温度が前記基準温度より高い場合に前記バイアス電流を生成するための高温側バイアス電流供給回路と、
前記温度が前記基準温度より低い場合に前記バイアス電流を生成するための低温側バイアス電流供給回路と、
を含む。
【0019】
上記(5)の態様によれば、バイアス電流供給回路は、基準温度に対して温度が高温側にある場合に動作可能な高温側バイアス電流供給回路と、基準温度に対して温度が低温側にある場合に動作可能な低温側バイアス電流供給回路とを含んで構成される。これにより、高温側から低温側に至るまで広い温度範囲において非線形成分による影響を減少させ、安定的な出力が可能な電圧源回路を実現できる。
【0020】
(6)他の態様では、上記(1)から(5)のいずれか一態様において、
前記基準温度は、前記非線形成分が基準値未満になる温度として設定される。
【0021】
上記(6)の態様によれば、非線形成分が基準値以上となった場合にバイアス電流を供給することで、非線形成分による影響を減少させ、安定的な出力が可能となる。
【0022】
(7)他の態様では、上記(1)から(6)のいずれか一態様において、
前記バイアス電流供給回路は、前記温度と基準温度とを比較するためのコンパレータを含み、
前記コンパレータはヒステリシス特性を有する。
【0023】
上記(7)の態様によれば、バイアス電流の供給を比較判断するためのコンパレータにヒステリシス特性が与えられる。これにより、例えば温度が基準温度に近い場合にコンパレータの大小判定結果が繰り返し切り替わるような不安定な挙動を防止し、出力される電源電圧を安定化できる。
【発明の効果】
【0024】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、温度変化に対して安定的な電源電圧を出力可能な電圧源回路を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態に係る電圧源回路を示す回路図である。
【
図2】
図1の電圧源回路が出力する電源電圧の温度特性を示すシミュレーション結果である。
【
図3】
図1のバイアス電流供給回路6に用いられるコンパレータの内部回路の一例である。
【
図4】第2実施形態に係る電圧源回路を示す回路図である。
【
図5】
図4の電圧源回路が出力する電源電圧の温度特性を示すシミュレーション結果である。
【
図6】第3実施形態に係る電圧源回路を示す回路図である。
【
図7】
図6の電圧源回路が出力する電源電圧の温度特性を示すシミュレーション結果である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0027】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係る電圧源回路1Aを示す回路図である。電圧源回路1Aは、バンドギャップリファレンス回路2と、基準温度設定回路4と、バイアス電流供給回路6とを備える。
【0028】
バンドギャップリファレンス回路2は、出力端子Toutから電源電圧VREFを出力するための回路であり、正規化エミッタ面積比がm:1に設定された第1PNPバイポーラトランジスタQp1及び第2PNPバイポーラトランジスタQp2を含む。第1PNPバイポーラトランジスタQp1及び第2PNPバイポーラトランジスタQp2は、ベースが互いに接続され、且つ、それぞれのコレクタが接地される。
【0029】
電源電圧VREFを出力するための出力端子Toutには、第1抵抗R1の一端が接続される。出力端子Toutと第2PNPバイポーラトランジスタQp2のエミッタとの間には第2抵抗R2が接続される。第1抵抗R1の他端と第1PNPバイポーラトランジスタQp1のエミッタとの間には第3抵抗R3が接続される。差動増幅回路A1は、非反転入力端子が第1抵抗R1及び第3抵抗R3の間にあるノードに接続され、反転入力端子が第2PNPバイポーラトランジスタQp2のエミッタに接続される。差動増幅器A1の出力端子と出力端子Toutとの間には第1容量C1が接続される。また差動増幅器A1の出力端子にはPMOSトランジスタMp1のゲートが接続される。PMOSトランジスタMp1のソースは電源VDDに接続され、ドレーンは出力端子Toutに接続される。
【0030】
基準温度設定回路4は基準温度T
REFを設定するための回路である。基準温度T
REFは、電圧源回路1Aの温度T(例えば電圧源回路1Aが曝される外気等の雰囲気の温度)に対して基準となる温度設定値である。基準温度設定回路4は、このような基準温度T
REFに対応する基準電圧V
TEMを生成するように構成される。
図1では、基準温度設定回路4の一構成例として、ソースが電源電圧V
DDに接続され、ゲートが第1PMOSトランジスタM
p1のゲートに接続され、ドレーンが第3PNPバイポーラトランジスタQ
p3のエミッタに接続された第2PMOSトランジスタM
p2と、ベース及びコレクタが接地され、基準温度に対応する基準温度電圧をドレーンから供給する第3PNPバイポーラトランジスタQ
p3とを備える。
【0031】
バイアス電流供給回路6は、バンドギャップリファレンス回路2を構成する第1PNPバイポーラトランジスタQ
p1及び第2PNPバイポーラトランジスタQ
p2のベースに対してバイアス電流を供給するための回路である。バイアス電流供給回路6によるバイアス電流の供給は、
図8を参照して前述した電圧源回路1´(本実施形態のバンドギャップリファレンス回路2と同様の構成を有する電圧源回路)で出力される電源電圧V
REFpの非線形成分c(T)を減少するように行われる(上記(4)式を参照)。これにより、電圧源回路1Aでは、バンドギャップリファレンス回路2から出力される電源電圧V
REFにおいて非線形成分c(T)が低減され、温度Tに対して安定な出力が得られる。
【0032】
典型的に、非線形成分c(T)は、電圧源回路1Aの温度Tが基準温度TREFから離れるに従って大きくなる傾向にある。そのため、バイアス電流供給回路6は、温度Tと基準温度TREFとの温度差が大きくなるに従ってバイアス電流が高くなるように構成されてもよい。これにより、温度Tと基準温度TREFとの温度差に基づいて非線形成分c(T)をより的確に減少させ、電源電圧VREFの温度Tに対する平坦性を高めることができる。
【0033】
図1では、このようなバイアス電流供給回路6の一構成例が示されている。この例では、バイアス電流供給回路6は、温度Tと基準温度T
REFとの温度差が閾値以上になった場合に、バイアス電流を有効にするための切替回路8を含む。切替回路8は、温度Tと基準温度T
REFとの温度差が閾値以上になることで非線形成分c(T)による影響がある程度大きくなった場合に、バイアス電流を有効にするように構成される。
【0034】
具体的には、切替回路8は、ソースが電源電圧VDDに接続され、ゲートが第1PMOSトランジスタMp1のゲートに接続された第3PMOSトランジスタMp3と、第1NMOSトランジスタMn1のドレーンに一端が接続され、他端が接地された第4抵抗R4と、第3PMOSトランジスタMp3のドレーンに一端が接続され、他端が接地された第5抵抗R5と、第2PMOSトランジスタMp2のドレーンに接続された正入力端子と、第3PMOSトランジスタMp3のドレーンに接続された負入力端子とを有する第1コンパレータComp1と、ゲートが第1コンパレータComp1の出力端子に接続され、ソースが接地され、ドレーンが第1PNPバイポーラトランジスタQp1のベースに接続された第1NMOSトランジスタMn1と、を備える。
【0035】
このような構成を有する切替回路8では、温度Tと基準温度TREFとの温度差が閾値未満である場合には、第1コンパレータComp1によって第1NMOSトランジスタMn1がオンされることで、第1PNPバイポーラトランジスタQp1及び第2PNPバイポーラトランジスタQp2のベースが接地され、バイアス電流が供給されない(すなわちバイアス電流が無効となる)。一方、温度Tと基準温度TREFとの温度差が閾値以上である場合には、第1コンパレータComp1によって第1NMOSトランジスタMn1がオフされることで、第1PNPバイポーラトランジスタQp1及び第2PNPバイポーラトランジスタQp2のベースには、接地点との間にある第4抵抗R4に対応するバイアス電流が供給される(すなわちバイアス電流が有効となる)。
【0036】
このようにバイアス電流供給回路6は切替回路8を備えることで、温度Tと基準温度TREFとの温度差が閾値以上になった場合に、電源電圧VREFにおける非線形成分c(T)の影響を低減するようにバイアス電流が有効となる。一方で、温度Tと基準温度TREFとの温度差が閾値未満である場合には、バイアス電流を無効にすることで、余分なエネルギー消費を回避できる。
【0037】
またバイアス電流供給回路6は、温度差に基づいて異なるバイアス電流を生成するための複数のバイアス電流生成回路10を含んでもよい。バイアス電流供給回路6が有するバイアス電流生成回路10の数は任意でよく、
図1では、複数のバイアス電流生成回路10のうち、第1バイアス電流生成回路10A、及び、第2バイアス電流生成回路10Bが代表的に示されている。
【0038】
第1バイアス電流生成回路10Aは、ソースが電源電圧VDDに接続され、ゲートが第1PMOSトランジスタMp1のゲートに接続された第4PMOSトランジスタMp4と、第4PMOSトランジスタMp4のドレーンに一端が接続され、他端が接地された第6抵抗R6と、第4PMOSトランジスタMp4のドレーンに接続された正入力端子と、第2PMOSトランジスタMp2のドレーンに接続された負入力端子とを有する第2コンパレータComp2と、ゲートが第2コンパレータComp2の出力端子に接続され、ソースが第1PNPバイポーラトランジスタQp1のベースに接続される第2NMOSトランジスタMn2と、ソースが電源電圧VDDに接続され、ゲートが第1PMOSトランジスタMp1のゲートに接続され、ドレーンが第2NMOSトランジスタMn2のドレーンに接続された第5PMOSトランジスタMp5と、を備える。
【0039】
第2バイアス電流生成回路10Bは、ソースが電源電圧VDDに接続され、ゲートが第1PMOSトランジスタMp1のゲートに接続された第6PMOSトランジスタMp6と、第6PMOSトランジスタMp6のドレーンに一端が接続され、他端が接地された第7抵抗R7と、第6PMOSトランジスタMp6のドレーンに接続された正入力端子と、第2PMOSトランジスタMp2のドレーンに接続された負入力端子とを有する第3コンパレータComp3と、ゲートが第3コンパレータComp3の出力端子に接続され、ソースが第1PNPバイポーラトランジスタQp1のベースに接続される第3NMOSトランジスタMn3と、ソースが電源電圧VDDに接続され、ゲートが第1PMOSトランジスタMp1のゲートに接続され、ドレーンが第3NMOSトランジスタMn3のドレーンに接続された第7PMOSトランジスタMp7と、を備える。
【0040】
このようにバイアス電流供給回路6が備える複数のバイアス電流生成回路10はそれぞれ同等の構成を有しており、各回路では、コンパレータにおいて基準温度設定回路4で設定された基準温度TREFに対応する基準電圧VTEMとの比較結果に基づいて、バイアス電流の供給が行われる。ここで複数のバイアス電流生成回路10は、それぞれにおいてバイアス電流の供給動作が行われる温度閾値が異なるように構成される。尚、このような閾値を設定するための構成は、各バイアス電流生成回路10を構成する前述の各素子を調整することで実現される。
【0041】
本実施形態では、電圧源回路1Aの温度Tが基準温度TREFを超えて上昇した場合に、第1バイアス電流生成回路10Aから順にバイアス電流の供給が行われるように構成される。具体的に説明すると、電圧源回路1Aの温度Tが第1バイアス電流生成回路10Aの閾値T1以上になると、第1バイアス電流生成回路10Aでは、第2コンパレータComp2の出力がHighとなり、第2NMOSトランジスタMn2がオンされる。すると、第5PMOSトランジスタMp5を介して電源電圧VDDからのバイアス電流が、第1PNPバイポーラトランジスタQp1及び第2PNPバイポーラトランジスタQp2のベースに供給されることで、非線形成分c(T)が抑制される。
【0042】
電圧源回路1Aの温度Tが更に上昇して第2バイアス電流生成回路10Bの閾値T2(>T1)以上になると、第2バイアス電流生成回路10Bでは、第3コンパレータComp3の出力がHighとなり、第3NMOSトランジスタMn3がオンされる。すると、第7PMOSトランジスタMp7を介して電源電圧VDDからのバイアス電流が、第1PNPバイポーラトランジスタQp1及び第2PNPバイポーラトランジスタQp2のベースに供給されることで、非線形成分c(T)が抑制される。
【0043】
更に詳しく説明すると、
図1の構成では、第1PMOSトランジスタM
p1、第2PMOSトランジスタM
p2、第3PMOSトランジスタM
p3、第4PMOSトランジスタM
p4、第5PMOSトランジスタM
p5、第6PMOSトランジスタM
p6、及び、第7PMOSトランジスタM
p7のソース及びゲートがそれぞれ共通に接続されることで、7つのPMOSトランジスタを用いたカレントミラー回路が構成されている。これは、7つのPMOSトランジスタのバイアス電流が上記(2)式のI
PTATの実数倍になることを意味している。
【0044】
また第1PNPバイポーラトランジスタQ
p1、第2PNPバイポーラトランジスタQ
p2、及び、第3PNPバイポーラトランジスタQ
p3の正規化エミッタ面積比をm:1:1(mは1より大きい正の実数)とするとともに、第1PMOSトランジスタM
p1、第2PMOSトランジスタM
p2、第3PMOSトランジスタM
p3、第4PMOSトランジスタM
p4、第6PMOSトランジスタM
p6のゲート幅W/ゲート長Lの形状比を2:1:n
3:n
4:n
6(n
3、n
4、n
6はそれぞれ0より大きい正の実数)とすると、第3PNPバイポーラトランジスタQ
p3のエミッタ-ベース間電圧V
EBQp3を用いて、第2PMOSトランジスタM
p2のドレーンと第3PNPバイポーラトランジスタQ
p3のエミッタとの間のノード電圧(基準温度設定回路4で設定される基準温度T
REFに対応する電圧)V
TEM、第5抵抗R
5の電位V
5、第6抵抗R
6の電位V
6、及び、第7抵抗R
7の電位V
7は、それぞれ以下のように表される。
【0045】
第1PMOSトランジスタM
p1及び第2PMOSトランジスタM
p2の形状比が2:1であり、第2PNPバイポーラトランジスタQ
p2及び第3PNPバイポーラトランジスタQ
p3の正規化エミッタ面積比が1:1であり、且つ、参考技術(
図8を参照)と同様にR
1=R
2とすると、第2PNPバイポーラトランジスタQ
p2と第3PNPバイポーラトランジスタQ
p3に流れるバイアス電流は等しくなるので、発生するエミッタ-ベース間電圧が等しくなる。つまり、前述の(3-1)~(3-6)式と同じになる。
【0046】
そして(5-1)~(5-4)式、及び、(3-1)~(3-6)式から、VTEMは温度Tの増加に対して減少し、第5抵抗R5の電位V5、第6抵抗R6の電位V6、第7抵抗R7の電位V7は温度Tの増加に対して増加する性質を有すると言える。また第1コンパレータComp1の2つの入力端子にはVTEM及びV5がそれぞれ入力され、第2コンパレータComp2の2つの入力端子にはVTEM及びV6がそれぞれ入力され、第3コンパレータComp3の2つの入力端子にはVTEM及びV7がそれぞれ入力されるため、これら3つのコンパレータの出力は温度Tに応じたものとなる。
【0047】
例えばVTEM>V5である場合、第1コンパレータComp1はHigh(Highに対応する電圧は電気的に電源電圧VDDと等しい)となり、第1NMOSトランジスタMn1がオン状態となり、第2PNPバイポーラトランジスタQp2のベースが接地される。この場合、切替回路8はバイアス電流を無効とする。
【0048】
一方でVTEM<V5である場合、第1コンパレータComp1の出力はLow(Lowに対応する電圧は電気的に接地点に等しい)となり、第1NMOSトランジスタMn1がオフ状態となり、第2PNPバイポーラトランジスタQp2のベースには、第4抵抗R4と第2NMOSトランジスタMn2のソースと第3NMOSトランジスタMn3のソースが接続された状態となる。このとき、n3R5>n4R6>n6R7としておくことで、第1NMOSトランジスタMn1はオフ状態、第2NMOSトランジスタMn2はオフ状態、第3NMOSトランジスタMn3はオフ状態となり、第2PNPバイポーラトランジスタQp2のベースには第4抵抗R4のみが接続されている状態となる。これにより切替回路8はバイアス電流を有効とし、バイアス電流が第1PNPバイポーラトランジスタQp1及び第2PNPバイポーラトランジスタQp2のベースに供給されることとなる。
【0049】
このとき
図8を参照して前述した電圧源回路1´と比べて、第2PNPバイポーラトランジスタQ
p2のベースがGNDであったのが、第4抵抗R
4がGNDとの間に挿入された形となるので、第4抵抗R
4には第1PNPバイポーラトランジスタQ
p1と第2PNPバイポーラトランジスタQ
p2のベース電流が流れる。このとき第4抵抗R
4に発生す
される。
これにより出力端子T
outから出力される電源電圧V
REFは、第2PNPバイポーラトランジスタQ
p2のベースがGNDにショートされていた時に対して、(6)式で表わされる電圧だけ増加することになる。
【0050】
そしてV
TEM<V
6となると、第2コンパレータComp2の出力はHighとなり、第2NMOSトランジスタM
n2はオン状態となる。このとき第5PMOSトランジスタM
p5のドレーン電流が第4抵抗R
4に流れる。第2PMOSトランジスタM
p2及び第5PMOSトランジスタMp
5の形状比を1:n
5とすると、第4抵抗R
4に発生する電圧は、以下のV
4-2へと変化する。
【0051】
そしてV
TEM<V
7となると、第3コンパレータComp3の出力はHighとなり第3NMOSトランジスタM
n3はオン状態となる。このとき第7PMOSトランジスタM
p7のドレーン電流が第4抵抗R
4に流れる。第2PMOSトランジスタM
p2及び第7PMOSトランジスタM
p7の形状比を1:n
7とすると、第4抵抗R
4に発生する電圧は以下のV
4-3へと変化する。
【0052】
図2は
図1の電圧源回路1Aが出力する電源電圧V
REFの温度特性を示すシミュレーション結果である。
図2では、第2コンパレータComp2の温度変化点を50℃、第3コンパレータComp3の温度変化点を80℃に設定した場合において、比較例(
図8を参照)とともに示されている。
【0053】
図2に示すように、電圧源回路1Aの電源電圧V
REFは、電圧源回路1Aの温度Tが上昇するに従って、温度Tが切替回路8の動作閾値温度に対応する温度T0(9℃)、第1バイアス電流生成回路10Aの動作閾値温度に対応する温度T1(50℃)、第2バイアス電流生成回路10Bの動作閾値温度に対応する温度T2(80℃)になったタイミングで増加している。これは、温度T0,T1,T2においてバイアス電流が第1PNPバイポーラトランジスタQ
p1及び第2PNPバイポーラトランジスタQ
p2のベースにバイアス電流が供給されることにより、非線形成分c(T)が好適に打ち消されることで、比較例に比べて電源電圧V
REFの温度Tに対する平坦性が向上していることを示している(具体的には、比較例では温度Tに対して約9.2mVの変化が生じているのに対して、本実施形態では約3.1mVに減少しており、平坦性の向上が確認された)。
【0054】
このようにバイアス電流供給回路6は、電圧源回路1Aの温度Tが上昇するに従って、異なる閾値T1、T2、・・・を有する複数のバイアス電流生成回路10A、10B、・・・が順次動作することで、非線形成分c(T)を減少するためのバイアス電流を供給する。これにより、温度Tと基準温度TREFとの温度差が大きくなるに従って(すなわち、温度Tが高くなるに従って)増加する非線形成分c(T)に対応するように、供給されるバイアス電流も増加させることで、非線形成分c(T)を効果的に打ち消し、電源電圧VREFを温度に対して平坦化できる。
【0055】
尚、バイアス電流供給回路6に含まれるコンパレータ(前述のコンパレータComp1、Comp2、Comp3、・・・)として、ヒステリシス特性を有するヒステリシスコンパレータを用いてもよい。
図3は
図1のバイアス電流供給回路6にヒステリシスコンパレータを用いる際の内部回路の一例である。
【0056】
図3に示すヒステリシスコンパレータの内部回路では、4つのNMOSトランジスタMc3、Mc5、Mc6、Mc4のW/L比を1:n:n:1とすることで、ヒステリシス特性を与えることができる。ヒステリシスコンパレータで構成しても平坦性は、
図2を参照して前述したシミュレーション結果とほぼ同様である。これにより、各コンパレータ(前述のコンパレータComp1、Comp2、Comp3、・・・)の出力がHigh/Lowにチャタリングすることが防止され、安定的で平坦性が改善された電圧源回路1Aを実現できる。
【0057】
(第2実施形態)
図4は第2実施形態に係る電圧源回路1Bを示す回路図であり、
図5は
図4の電圧源回路1Bが出力する電源電圧V
REFの温度特性を示すシミュレーション結果である。電圧源回路1Bでは、前述の第1実施形態に係る電圧源回路1Aとバイアス電流供給回路6の構成を除いて共通回路を有する。電圧源回路1Bのバイアス電流供給回路6は、複数のバイアス電流生成回路10A、10B、・・・を有する点で共通するが、これらの複数のバイアス電流生成回路10A、10B、・・・が有する各コンパレータ(第1コンパレータComp1、第2コンパレータComp2、・・・)の2つの入力端子が、電圧源回路1Aと比べて反転している点で異なる。
【0058】
これにより電圧源回路1Bのバイアス電流供給回路6では、電圧源回路1の温度Tが下降するに従って、異なる閾値T1´、T2´、・・・を有する複数のバイアス電流生成回路10A、10B、・・・が順次動作することで、非線形成分c(T)を減少するためのバイアス電流を供給する。これにより、温度Tと基準温度TREFとの温度差が大きくなるに従って(すなわち、温度Tが低くなるに従って)増加する非線形成分c(T)に対応するように、供給されるバイアス電流も増加させることで、非線形成分c(T)を効果的に打ち消し、電源電圧VREFを温度に対して平坦化できる。
【0059】
図5に示すように、電圧源回路1Bの電源電圧V
REFは、電圧源回路1の温度Tが下降するに従って、温度Tが切替回路8の動作閾値温度に対応する温度T0´、第1バイアス電流生成回路10Aの動作閾値温度に対応する温度T1´、第2バイアス電流生成回路10Bの動作閾値温度に対応する温度T2´になったタイミングで増加している。これは、温度T0´,T1´,T2´においてバイアス電流が第1PNPバイポーラトランジスタQ
p1及び第2PNPバイポーラトランジスタQ
p2のベースにバイアス電流が供給されることにより、非線形成分c(T)が好適に打ち消されることで、比較例に比べて電源電圧V
REFの温度Tに対する平坦性が向上していることを示している。
【0060】
(第3実施形態)
図6は第3実施形態に係る電圧源回路1Cの回路図であり、
図7は
図6の電圧源回路1Cの電源電圧V
REFの温度特性を示すシミュレーション結果である。電圧源回路1Cでは、バイアス電流供給回路6が、前述の第1実施形態に係る電圧源回路1Aにおけるバイアス電流供給回路6の回路構成(高温側バイアス電流供給回路6-1)と、前述の第2実施形態に係る電圧源回路1Bにおけるバイアス電流供給回路6の回路構成(低温側バイアス電流供給回路6-2)とを含んで構成される。
尚、
図6では前述の各実施形態との対応関係をわかりやすく示すために、高温側バイアス電流供給回路6-1及び低温側バイアス電流供給回路6-2において互いに対応する構成素子に共通の符号を付しているが、素子に関する各種パラメータは独立的に調整されてもよい。
【0061】
高温側バイアス電流供給回路6-1は、第1実施形態に係る電圧源回路1Aのバイアス電流供給回路6と同様に、電圧源回路1の温度Tが上昇するに従って、異なる閾値T1、T2、・・・を有する複数のバイアス電流生成回路10A、10B、・・・が順次動作することで、非線形成分c(T)を減少するためのバイアス電流を供給する。これにより、温度Tと基準温度TREFとの温度差が大きくなるに従って(すなわち、温度Tが高くなるに従って)増加する非線形成分c(T)に対応するように、供給されるバイアス電流も増加させることで、非線形成分c(T)を効果的に打ち消し、電源電圧VREFを温度に対して平坦化できる。
【0062】
一方の低温側バイアス電流供給回路6-2は、第2実施形態に係る電圧源回路1Bのバイアス電流供給回路6と同様に、電圧源回路1の温度Tが下降するに従って、異なる閾値T1´、T2´、・・・を有する複数のバイアス電流生成回路10A、10B、・・・が順次動作することで、非線形成分c(T)を減少するためのバイアス電流を供給する。これにより、温度Tと基準温度TREFとの温度差が大きくなるに従って(すなわち、温度Tが低くなるに従って)増加する非線形成分c(T)に対応するように、供給されるバイアス電流も増加させることで、非線形成分c(T)を効果的に打ち消し、電源電圧VREFを温度に対して平坦化できる。
【0063】
図7に示すように、電圧源回路1Cの電源電圧V
REFは、基準温度(例えば常温)より高温側では、電圧源回路1の温度Tが上昇するに従って、温度Tが高温側バイアス電流供給回路6-1における切替回路8の動作閾値温度に対応する温度T0、高温側バイアス電流供給回路6-1における第1バイアス電流生成回路10Aの動作閾値温度に対応する温度T1、高温側バイアス電流供給回路6-1における第2バイアス電流生成回路10Bの動作閾値温度に対応する温度T2になったタイミングで増加している。これは、温度T0,T1,T2においてバイアス電流が第1PNPバイポーラトランジスタQ
p1及び第2PNPバイポーラトランジスタQ
p2のベースにバイアス電流が供給されることにより、非線形成分c(T)が好適に打ち消されることで、比較例に比べて高温側における電源電圧V
REFの温度Tに対する平坦性が向上していることを示している。
【0064】
一方で基準温度(例えば常温)より低温側では、電圧源回路1の温度Tが下降するに従って、温度Tが低温側バイアス電流供給回路6-2における切替回路8の動作閾値温度に対応する温度T0´、低温側バイアス電流供給回路6-2における第1バイアス電流生成回路10Aの動作閾値温度に対応する温度T1´、低温側バイアス電流供給回路6-2における第2バイアス電流生成回路10Bの動作閾値温度に対応する温度T2´になったタイミングで増加している。これは、温度T0´,T1´,T2´においてバイアス電流が第1PNPバイポーラトランジスタQp1及び第2PNPバイポーラトランジスタQp2のベースにバイアス電流が供給されることにより、非線形成分c(T)が好適に打ち消されることで、比較例に比べて低温側における電源電圧VREFの温度Tに対する平坦性が向上していることを示している。
【0065】
このように第3実施形態に係る電圧源回路1Cでは、バイアス電流供給回路6として、高温側バイアス電流供給回路6-1と、低温側バイアス電流供給回路6-2とを含むことにより、高温側から低温側に至るまで広い温度範囲において非線形成分c(T)による影響を減少させ、温度Tに対する電源電圧VREFの平坦性を向上できる。
【符号の説明】
【0066】
1(1A、1B、1C) 電圧源回路
2 バンドギャップリファレンス回路
4 基準温度設定回路
6 バイアス電流供給回路
8 切替回路
10 バイアス電流生成回路
10A 第1バイアス電流生成回路
10B 第2バイアス電流生成回路