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特開2023-79786拡張現実制御システム、及び拡張現実制御方法
<図1>
  • 特開-拡張現実制御システム、及び拡張現実制御方法 図1
  • 特開-拡張現実制御システム、及び拡張現実制御方法 図2
  • 特開-拡張現実制御システム、及び拡張現実制御方法 図3
  • 特開-拡張現実制御システム、及び拡張現実制御方法 図4
  • 特開-拡張現実制御システム、及び拡張現実制御方法 図5
  • 特開-拡張現実制御システム、及び拡張現実制御方法 図6
  • 特開-拡張現実制御システム、及び拡張現実制御方法 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023079786
(43)【公開日】2023-06-08
(54)【発明の名称】拡張現実制御システム、及び拡張現実制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20230601BHJP
   G06F 3/0346 20130101ALI20230601BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20230601BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20230601BHJP
   G09G 5/38 20060101ALI20230601BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20230601BHJP
【FI】
G06F3/01 510
G06F3/0346 423
G06T19/00 600
G09G5/00 550C
G09G5/00 530D
G09G5/38 A
G09G5/36 520B
G09G5/00 550B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193421
(22)【出願日】2021-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】392019709
【氏名又は名称】ニデックアドバンステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【氏名又は名称】大西 裕人
(72)【発明者】
【氏名】小埜山 研悟
(72)【発明者】
【氏名】隠岐 博一
【テーマコード(参考)】
5B050
5B087
5C182
5E555
【Fターム(参考)】
5B050BA09
5B050BA13
5B050CA07
5B050DA01
5B050DA10
5B050EA06
5B050EA07
5B050EA08
5B050EA12
5B050EA18
5B050EA19
5B050FA02
5B050FA09
5B087AA09
5B087BC32
5C182AA04
5C182AA22
5C182AB25
5C182AB33
5C182AB34
5C182AB35
5C182BA14
5C182BA56
5C182CB13
5C182CB42
5C182CB44
5C182CB47
5C182CB52
5C182DA65
5E555AA74
5E555BA38
5E555BB38
5E555BC04
5E555BE17
5E555CA42
5E555CB65
5E555CB76
5E555CC26
5E555DA08
5E555DA09
5E555DB53
5E555DC10
5E555DC11
5E555DC19
5E555EA12
5E555EA14
5E555EA22
5E555FA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】拡張現実における安全性を向上させることが容易な拡張現実制御システム及び拡張現実制御方法を提供する。
【解決手段】拡張現実制御システムであるスマートヘルメット1は、ユーザUの頭部に装着され、外界の映像に重ねて所定の拡張画像Gを表示する表示部3と、ユーザUの視線方向を検出する視線検出部4と、視線方向から拡張画像Gを排除するように拡張画像Gの表示を制御する表示制御部13を有する制御部10と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの頭部に装着され、外界の映像に重ねて所定の拡張画像を表示する表示部と、
前記ユーザの視線方向を検出する視線検出部と、
前記視線方向から前記拡張画像を排除するように前記拡張画像の表示を制御する表示制御部とを備える拡張現実制御システム。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記視線方向に位置する前記拡張画像の表示位置を移動させることによって、前記視線方向から前記拡張画像を排除する請求項1に記載の拡張現実制御システム。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記視線方向に位置する前記拡張画像を消去することによって、前記視線方向から前記拡張画像を排除する請求項1に記載の拡張現実制御システム。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記拡張画像が前記視線方向に位置した場合、予め設定された設定時間の間、前記拡張画像が前記視線方向に位置する状態を維持した後に前記拡張画像を排除する請求項1~3のいずれか1項に記載の拡張現実制御システム。
【請求項5】
前記表示制御部は、さらに、前記視線方向が、前記表示部の画面における下端近傍に予め設定された基準位置より下側に向いたとき、前記拡張画像を表示する請求項1~4のいずれか1項に記載の拡張現実制御システム。
【請求項6】
ユーザの頭部に装着される表示部に、外界の映像に重ねて所定の拡張画像を表示させる表示工程と、
前記ユーザの視線方向を検出する視線検出工程と、
前記視線方向から前記拡張画像を排除するように前記拡張画像の表示を制御する表示制御工程とを含む拡張現実制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡張現実の表示を制御する拡張現実制御システム、及び拡張現実制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、現実世界に視覚情報を重複表示させる拡張現実(AR:Augmented Reality)技術が広く用いられるようになっている。このような拡張現実技術として、ヘッドマウントディスプレイを装着したユーザの視線を検出し、ユーザの視線が合ったARオブジエク卜(静止画)を、視線が合っている期間のみ拡大して表示する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2021/079407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、拡張現実用の表示デバイスは、外界を見ることができる。そのため、拡張現実用の表示デバイスを、例えばバイクの運転時に用いたり、機械装置の操作時に用いたりすることが考えられる。しかしながら、例えばバイクの運転時や、機械装置の操作時等に、拡張現実で付加されるARオブジエク卜(以下、拡張画像と称する)によって、ユーザの視線の先が遮られると、安全性が低下するおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、拡張現実における安全性を向上させることが容易な拡張現実制御システム、及び拡張現実制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一例に係る拡張現実制御システムは、ユーザの頭部に装着され、外界の映像に重ねて所定の拡張画像を表示する表示部と、前記ユーザの視線方向を検出する視線検出部と、前記視線方向から前記拡張画像を排除するように前記拡張画像の表示を制御する表示制御部とを備える。
【0007】
また、本発明の一例に係る拡張現実制御方法は、ユーザの頭部に装着される表示部に、外界の映像に重ねて所定の拡張画像を表示させる表示工程と、前記ユーザの視線方向を検出する視線検出工程と、前記視線方向から前記拡張画像を排除するように前記拡張画像の表示を制御する表示制御工程とを含む。
【発明の効果】
【0008】
このような構成の拡張現実制御システム、及び拡張現実制御方法は、拡張現実における安全性を向上させることが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る拡張現実制御システムの一例であるスマートヘルメットの外観図である。
図2図1に示すスマートヘルメットの分解斜視図である。
図3図1に示すスマートヘルメットの、主に電気的構成の一例を示すブロック図である。
図4図1に示すスマートヘルメットの動作の一例を示すフローチャートである。
図5】ユーザがフェイスシールド越しに見た前方視界の一例を示す説明図である。
図6】拡張画像が排除された状態の一例を示す説明図である。
図7】視線方向が基準位置より下側であった場合に表示制御部によって表示された拡張画像の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。図1は、本発明の一実施形態に係る拡張現実制御システムの一例であるスマートヘルメットの外観図である。
【0011】
図1に示すスマートヘルメット1は、ヘルメット本体2と、フェイスシールド31とを備えている。スマートヘルメット1は、拡張現実制御システムの一例に相当する。図1では、ユーザUが、スマートヘルメット1をかぶった状態を示している。フェイスシールド31は、透過型ディスプレイであり、フェイスシールド31の内面に、投影装置32によって、拡張現実で付加される拡張画像Gが表示される。
【0012】
なお、拡張現実制御システムは、スマートヘルメットに限らない。拡張現実制御システムは、いわゆるヘッドマウントディスプレイであってもよく、眼鏡型のいわゆるスマートグラスであってもよい。
【0013】
図2は、図1に示すスマートヘルメット1の分解斜視図である。ヘルメット本体2の前縁内側には、ユーザUの目に向かって内向きに赤外線光を照射する赤外光源41と、ユーザUの目を撮像する赤外線カメラ42とが取り付けられている。
【0014】
図3は、図1に示すスマートヘルメット1の、主に電気的構成の一例を示すブロック図である。図3に示すスマートヘルメット1は、表示部3、視線検出部4、通信部5、及び制御部10を備えている。
【0015】
表示部3は、フェイスシールド31と、投影装置32とを備えた透過型ディスプレイである。フェイスシールド31は、ハーフミラーとされており、スマートヘルメット1を装着したユーザUが、フェイスシールド31を透過して外界を視認可能とされている。
【0016】
投影装置32は、制御部10から出力されたデータに応じた拡張画像Gを、フェイスシールド31の内面に投影する。これにより、ユーザUの目の網膜上で、フェイスシールド31を透過して視認した外界の映像と、投影装置32によって投影された拡張画像Gとが重ね合わされるようになっている。フェイスシールド31は、表示部3の画面の一例に相当する。
【0017】
なお、表示部は、透過型ディスプレイに限らない。拡張現実制御システムは、外界を撮像するカメラを備え、カメラで撮像された外界の映像と、拡張画像Gとを合成した画像を、非透過型ディスプレイで構成された表示部で表示する構成であってもよい。
【0018】
視線検出部4は、ユーザの視線方向を検出する。具体的には、視線検出部4は、赤外光源41と、赤外線カメラ42とを備えている。赤外光源41は、制御部10からの制御信号に応じて赤外線光をユーザUの目に照射する。赤外線カメラ42は、赤外線光が照射されたユーザUの目の赤外線画像を、ユーザUの視線方向を示す情報として制御部10へ出力する。
【0019】
通信部5は、例えばWiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の無線通信回路である。通信部5は、例えばカーナビゲーションシステムシステム、スマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等の情報処理装置と無線通信を行うことによって、表示部3に表示される拡張画像Gに関するデータを受信する。通信部5は、受信したデータを制御部10へ出力する。なお、通信部5は、無線通信回路に限られず、有線通信回路であってもよい。また、スマートヘルメット1は、通信部5を備えていなくてもよい。
【0020】
制御部10は、例えば所定の演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置、及びこれらの周辺回路等を用いて構成されている。制御部10は、例えば上述の記憶装置に予め記憶されたプログラムを実行することによって、拡張画像表示処理部11、視線検出処理部12、及び表示制御部13として機能する。
【0021】
拡張画像表示処理部11は、例えば通信部5によって受信されたデータに基づいて、表示部3に拡張画像Gを表示させる。図1に記載の拡張画像Gは、カーナビゲーションシステムから受信された行先情報をフェイスシールド31に表示する例を示している。
【0022】
視線検出処理部12は、視線検出部4の赤外線カメラ42によって撮像されたユーザUの目の赤外線画像に基づいて、ユーザUの視線方向を検出する。
【0023】
表示制御部13は、視線検出処理部12によって検出された視線方向から、拡張画像表示処理部11によって表示された拡張画像Gを排除するように、拡張画像Gの表示を制御する。拡張画像表示処理部11と、表示制御部13とは、互いに独立して動作するようになっており、拡張画像表示処理部11による拡張画像Gの表示を、表示制御部13が修正可能とされている。
【0024】
なお、制御部10は、スマートヘルメット1等の仮想現実表示装置に内蔵される例に限らない。例えば制御部10は、表示部3及び視線検出部4を含む仮想現実表示装置の外部に別体に構成され、有線通信又は無線通信を介して制御部10が、表示部3及び視線検出部4と接続される構成であってもよい。
【0025】
次に、上述のように構成されたスマートヘルメット1の動作について説明する。図4は、図1に示すスマートヘルメット1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0026】
まず、視線検出処理部12は、ユーザUの目の赤外線画像に基づいて、ユーザUの視線方向を検出する(ステップS1)。目の画像から視線方向を検出する方法としては、種々の公知技術を用いることができ、例えば瞳孔の画像とプルキンエ像とに基づいて視線方向を検出する方法を用いることができる。
【0027】
次に、表示制御部13は、視線検出処理部12により検出された視線方向に、拡張画像表示処理部11によって表示された拡張画像Gが有るか否かを確認する(ステップS2)。視線方向に拡張画像Gが有った場合(ステップS2でYES)、表示制御部13は、設定時間ts経過後に、視線方向から拡張画像Gを排除する(ステップS3)。
【0028】
図5は、ユーザUがフェイスシールド31越しに見た前方視界の一例を示す説明図である。ユーザUからは、フェイスシールド31越しに、前方に延びる道が見えている。図5に示す例では、拡張画像表示処理部11によって、カーナビゲーションシステムの行先表示「112km南」が拡張画像Gとしてフェイスシールド31に表示されている。図5では、十字の視線マークMによって、ユーザUの視線方向を示している。
【0029】
図5に示す例では、拡張画像Gと視線マークMとが重なっており、視線方向に拡張画像Gが表示されている。このような場合、表示制御部13は、視線方向に拡張画像Gがあるので、ステップS2でYESとして、設定時間ts経過後に視線方向から拡張画像Gを排除する(ステップS3)。
【0030】
図6は、拡張画像Gが排除された状態の一例を示す説明図である。図6では、視線マークMと重ならない位置に拡張画像Gが移動させられることによって、視線方向から拡張画像Gが排除される例を示している。
【0031】
表示制御部13は、図6に示すように、拡張画像Gを移動することによって排除してもよく、拡張画像Gを消去することによって排除してもよい。
【0032】
設定時間tsとしては、ユーザUが情報を視認するのに必要最低限の時間、例えば1秒程度が予め設定されている。これにより、拡張画像Gで示される情報をユーザUが認識した直後に拡張画像Gが排除されるので、ユーザUの前方視界が長時間、拡張画像Gによって遮られることがない。その結果、拡張現実における安全性が向上する。
【0033】
また、例えば悪意のアプリケーションプログラムが、拡張画像GによってユーザUの視界を遮る挙動を試みた場合であっても、表示制御部13によって拡張画像Gが排除される。その結果、拡張現実における安全性が向上する。
【0034】
なお、表示制御部13は、必ずしも設定時間ts経過後に視線方向から拡張画像Gを排除する例に限られず、設定時間tsを待つことなく即座に拡張画像Gを排除してもよい。
【0035】
視線方向に拡張画像Gが無かった場合(ステップS2でNO)、表示制御部13は、ステップS3を実行することなく処理をステップS4へ移行する。
【0036】
ステップS4において、表示制御部13は、ユーザUの視線方向が基準位置Dより下側か否かを確認する(ステップS4)。視線方向が基準位置Dより下側でない場合(ステップS4でNO)、再びステップS1~S4を繰り返す。一方、視線方向が基準位置Dより下側であった場合(ステップS4でYES)、表示制御部13は、拡張画像Gを表示し(ステップS5)、再びステップS1以降の処理を繰り返す。
【0037】
図7は、視線方向が基準位置Dより下側であった場合に表示制御部13によって表示された拡張画像Gの一例を示す説明図である。図7では、拡張画像Gの一例として、速度計の走行速度を示している。
【0038】
図7では、基準位置Dを破線で示している。基準位置Dは、表示部3の画面であるフェイスシールド31の下端近傍に設定されている。例えば、基準位置Dは、表示部3の画面における上下方向の幅に対し、下から1/10以下の位置に設けられることが好ましい。
【0039】
このように、視線方向が基準位置Dより下側であった場合に拡張画像Gを表示することによって、ユーザUが所望のタイミングで拡張画像Gによる情報を得ることが可能となる。
【0040】
なお、表示制御部13は、ステップS4,S5を実行せず、ステップS1~3を繰り返してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 スマートヘルメット(拡張現実制御システム)
2 ヘルメット本体
3 表示部
4 視線検出部
5 通信部
10 制御部
11 拡張画像表示処理部
12 視線検出処理部
13 表示制御部
31 フェイスシールド(画面)
32 投影装置
41 赤外光源
42 赤外線カメラ
D 基準位置
G 拡張画像
M 視線マーク
U ユーザ
ts 設定時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7