(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080530
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20230602BHJP
【FI】
G03G15/08 390B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193924
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】千葉 祐介
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 卓也
(72)【発明者】
【氏名】與五澤 一樹
(72)【発明者】
【氏名】組谷 卓
(72)【発明者】
【氏名】橋川 ほたる
【テーマコード(参考)】
2H077
【Fターム(参考)】
2H077AA03
2H077AB02
2H077AB14
2H077AB15
2H077AC02
2H077AD02
2H077AD06
2H077AD13
2H077BA02
2H077BA03
2H077BA08
2H077CA11
2H077EA03
2H077FA23
2H077GA02
2H077GA03
2H077GA13
(57)【要約】
【課題】フィルタの装置内側から装置外側へ空気がスムーズに流れるとともに、フィルタを現像装置から取り外すときにフィルタに捕集されたトナーが飛散する不具合軽減する。
【解決手段】現像装置の装置内と装置外とを連通させる開口部26k1が形成された現像ケース26kが設けられている。また、フィルタ26tを保持するフィルタ保持部材26sが、開口部26k1に設置されている。また、フィルタ26tは、装置内側の単位体積当たりの重量密度が、装置外側の単位体積当たりの重量密度に比べて、低くなるように形成されている。そして、フィルタ保持部材26sは、フィルタ26tを保持した状態で現像ケース26kに対して着脱可能に構成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置内に現像剤が収容されて、像担持体の表面に形成される潜像を現像する現像装置であって、
装置内と装置外とを連通させる開口部が形成された現像ケースと、
前記開口部に設置されて、フィルタを保持するフィルタ保持部材と、
を備え、
前記フィルタは、装置内側の単位体積当たりの重量密度が、装置外側の単位体積当たりの重量密度に比べて、低くなるように形成されて、
前記フィルタ保持部材は、前記フィルタを保持した状態で前記現像ケースに対して着脱可能に構成されたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記フィルタ保持部材は、装置内側に位置するとともに1つ又は複数の貫通穴部が形成された長方体状の底面部と、前記底面部の4辺のうち3辺からそれぞれ装置外側に起立する3つの側壁部と、を具備し、
前記現像ケースは、前記開口部の縁部の一部であるとともに、前記3つの側壁部のうちの1つの側壁部に対向する対向壁部を具備し、
前記フィルタは、前記3つの側壁部と前記対向壁部とに挟まれて圧縮されたことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記像担持体に対向又は接触する現像ローラを備え、
前記フィルタ保持部材は、前記対向壁部を介して前記現像ローラに対向するように配置されたことを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記フィルタ保持部材は、前記底面部の4辺のうち前記3つの側壁部が形成されていない1辺から装置内側に起立する起立壁部を具備したことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記フィルタ保持部材は、前記底面部と前記起立壁部とに装置内側で繋がるリブが形成されたことを特徴とする請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
前記現像ケースは、前記開口部と、前記フィルタ保持部材の前記3つの側壁部と、の隙間を封止するシール部材を具備したことを特徴とする請求項2~請求項5のいずれかに記載の現像装置。
【請求項7】
前記フィルタ保持部材は、前記フィルタが外れないように規制する規制位置と、前記フィルタを外すことが可能になる規制解除位置と、の間を移動可能な規制部材を具備したことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の現像装置。
【請求項8】
装置内に現像剤が収容された閉空間が形成されるように装置内を隔絶するシート状部材が取り外し可能に設置され、
前記シート状部材は、装置内から前記開口部と前記フィルタ保持部材との間を通って装置外に一端側が露呈するように設置されたことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の現像装置。
【請求項9】
前記フィルタ保持部材が前記開口部から装置外に外れるのを制限する制限部材を備えたことを特徴とする請求項1~請求項8のいずれかに記載の現像装置。
【請求項10】
画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるプロセスカートリッジであって、
請求項1~請求項9のいずれかに記載の現像装置と前記像担持体とを一体的に備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項11】
請求項1~請求項9のいずれかに記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2成分現像剤などの現像剤が収容された現像装置と、それを備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置に設置される現像装置において、装置内の内圧上昇によるトナー飛散を防止することを目的として、現像ケースの上部に形成した開口部にフィルタを設置する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
詳しくは、特許文献1における現像装置は、装置内の内圧が上昇しそうになっても、装置内の空気が、フィルタが設置された開口部を介して装置外に排出されるため、内圧上昇が抑止される。そして、そのように装置内の空気が装置外に排出されるときに、装置内で浮遊していたトナーが空気とともに装置外に排出されそうになっても、そのトナーがフィルタによって捕集されるため、装置外へのトナー飛散が抑止される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、フィルタにおける装置内側から装置外側への空気の流れがあまり良くなかった。そのため、現像装置の内圧上昇が効率的に抑止されなかった。
また、従来の技術は、メンテナンスなどを目的としてフィルタを現像装置から取り外すときに、フィルタが変形して湾曲した状態になってしまい、フィルタに捕集されたトナーが飛散して周囲を汚してしまうことがあった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、フィルタの装置内側から装置外側へ空気がスムーズに流れるとともに、フィルタを現像装置から取り外すときにフィルタに捕集されたトナーが飛散する不具合が軽減される、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明における現像装置は、装置内に現像剤が収容されて、像担持体の表面に形成される潜像を現像する現像装置であって、装置内と装置外とを連通させる開口部が形成された現像ケースと、前記開口部に設置されて、フィルタを保持するフィルタ保持部材と、を備え、前記フィルタは、装置内側の単位体積当たりの重量密度が、装置外側の単位体積当たりの重量密度に比べて、低くなるように形成されて、前記フィルタ保持部材は、前記フィルタを保持した状態で前記現像ケースに対して着脱可能に構成されたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フィルタの装置内側から装置外側へ空気がスムーズに流れるとともに、フィルタを現像装置から取り外すときにフィルタに捕集されたトナーが飛散する不具合が軽減される、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図4】フィルタがフィルタ保持部材とともに現像装置の開口部に設置された状態を示す、(A)拡大断面図と、(B)拡大上面図と、である。
【
図5】別形態としてのフィルタを示す断面図である。
【
図6】(A)フィルタがフィルタ保持部材とともに現像装置から取り外される状態を示す図と、(B)フィルタがフィルタ保持部材から取り外される状態を示す図と、である。
【
図7】(A)本実施の形態においてフィルタがフィルタ保持部材とともに現像装置から取り外される状態を示す図と、(B)比較例としてフィルタが単独で現像装置から取り外される状態を示す図と、である。
【
図8】工場出荷時における新品の現像装置を示す図である。
【
図9】変形例1としての、工場出荷時における新品の現像装置を示す図である。
【
図10】変形例2としての、フィルタ保持部材がフィルタとともに現像装置の開口部に設置された状態を示す拡大断面図である。
【
図11】変形例3としての、フィルタ保持部材がフィルタとともに現像装置の開口部に設置された状態を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、
図1にて、画像形成装置1における全体の構成・動作について説明する。
本実施の形態における画像形成装置1は、複数のプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKが中間転写ベルト40に対向するように並設されたタンデム型のカラー画像形成装置である。また、複数のプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの感光体ドラム21に対向するように現像装置26(
図2参照)が設置されている。
【0011】
図1において、1は画像形成装置としてのカラー複写機の装置本体、2は原稿を原稿読込部3に搬送する原稿搬送部、3は原稿の画像情報を読み込む原稿読込部、4は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部(露光部)、を示す。
また、20Y、20M、20C、20BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応したプロセスカートリッジ、40は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト、を示す。
また、61は用紙等のシートPが収納される給紙装置、65は中間転写ベルト40上に形成されたトナー像をシートPに転写する2次転写ローラ、66はシートP上の未定着画像を定着する定着装置、を示す。
また、70は複数のプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKに対応した各現像装置26に各色のトナーを補給するためのトナー容器、80はクリーニング装置23(
図2参照)や中間転写ベルトクリーニング装置81で回収された未転写トナーが廃トナーとして回収される廃トナー回収容器、を示す。
【0012】
ここで、
図2をも参照して、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKは、それぞれ、像担持体としての感光体ドラム21、帯電装置22、クリーニング装置23、が一体化されたものである。そして、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKは、寿命に達したときに画像形成装置本体1から取り外されて、新品のものに交換される。
また、各現像装置26は、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの感光体ドラム21にそれぞれ対向するように設置されている。そして、現像装置26は、寿命に達したときに画像形成装置本体1から取り外されて、新品のものに交換される。なお、画像形成装置本体1に対する現像装置26の着脱操作と、画像形成装置本体1に対するプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの着脱操作と、はそれぞれ別々に独立しておこなうことができる。
各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKにおける感光体ドラム21(像担持体)上では、それぞれ、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される。
【0013】
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿は、原稿搬送部2の搬送ローラによって、原稿台から搬送されて、原稿読込部3のコンタクトガラス上に載置される。そして、原稿読込部3で、コンタクトガラス上に載置された原稿の画像情報が光学的に読み取られる。
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部4に送信される。そして、書込み部4からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光L(露光光)が、それぞれ、対応するプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの感光体ドラム21(
図2参照)の表面に向けて照射される。
【0014】
一方、4つの感光体ドラム21は、それぞれ、
図1、
図2の時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム21の表面は、帯電装置22(帯電ローラ)との対向位置で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム21上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム21の表面は、それぞれの書込み部4によるレーザ光の照射位置に達して、その位置で画像情報に基づいた静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0015】
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目のプロセスカートリッジ20Yの感光体ドラム21の表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム21の回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電装置22にて帯電された後の感光体ドラム21上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
同様に、シアン成分のレーザ光は、紙面左から2番目のプロセスカートリッジ20Cの感光体ドラム21の表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から3番目のプロセスカートリッジ20Mの感光体ドラム21の表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目のプロセスカートリッジ20BKの感光体ドラム21の表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0016】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム21の表面は、それぞれ、現像装置26との対向位置に達する。そして、各現像装置26から感光体ドラム21上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム21上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム21の表面は、それぞれ、中間転写ベルト40との対向位置に達する。ここで、それぞれの対向位置には、中間転写ベルト40の内周面に当接するように1次転写ローラ24が設置されている。そして、1次転写ローラ24の位置で、中間転写ベルト40上に、感光体ドラム21上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程である。)。
【0017】
そして、1次転写工程後の感光体ドラム21の表面は、それぞれ、クリーニング装置23との対向位置に達する。そして、クリーニング装置23で、感光体ドラム21上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。なお、クリーニング装置23で回収された未転写トナーは、不図示の廃トナー搬送経路を通過して、廃トナー回収容器80内に回収される。
その後、感光体ドラム21の表面は、除電装置の位置で残留電位が除電されて、感光体ドラム21における一連の作像プロセスが終了する。
【0018】
他方、感光体ドラム21上の各色の画像が重ねて転写された中間転写ベルト40の表面は、図中の矢印方向に走行して、2次転写ローラ65の位置に達する。そして、2次転写ローラ65の位置で、シートP上に中間転写ベルト40上のフルカラーの画像が2次転写される(2次転写工程である。)。
その後、中間転写ベルト40の表面は、中間転写ベルトクリーニング装置81の位置に達する。そして、中間転写ベルト40上の未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング装置81に回収されて、中間転写ベルト40上の一連の転写プロセスが完了する。
なお、中間転写ベルトクリーニング装置81で回収された未転写トナーは、不図示の廃トナー搬送経路を通過して、廃トナー回収容器80内に回収される。
【0019】
ここで、2次転写ローラ65の位置に搬送されるシートPは、給紙装置61からレジストローラ64等を経由して搬送されるものである。
詳しくは、シートPを収納する給紙装置61から、給紙ローラ62により給送されたシートPが、搬送路を通過した後に、レジストローラ64の位置に導かれる。レジストローラ64の位置に達したシートPは、中間転写ベルト40上のトナー像とタイミングを合わせて、2次転写ローラ65の位置に向けて搬送される。
【0020】
その後、フルカラー画像が転写されたシートPは、定着装置20の位置に導かれる。そして、定着装置20において、定着ローラと加圧ローラとのニップにて、カラー画像がシートP上に定着される。
そして、定着工程後のシートPは、排紙ローラ69によって装置本体1外に出力画像として排出された後に、排紙トレイ5上にスタックされて、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0021】
次に、
図2及び
図3にて、画像形成装置の作像部について詳述する。
なお、画像形成装置本体1に設置される4つの作像部は、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造であるので、プロセスカートリッジや現像装置などの構成部材における符号のアルファベット(Y、M、C、BK)を除して図示する。
【0022】
図2に示すように、プロセスカートリッジ20は、主として、像担持体としての感光体ドラム21と、帯電装置22と、クリーニング装置23と、がケースに一体的に収納されている。
感光体ドラム21は、負帯電性の有機感光体であって、ドラム状導電性支持体上に感光層等を設けたものである。
帯電装置22は、導電性芯金の外周に中抵抗の弾性層を被覆してなる帯電ローラである。そして、この帯電装置22(帯電ローラ)に電源部から所定の電圧が印加されて、これにより対向する感光体ドラム21の表面を一様に帯電する。
クリーニング装置23には、感光体ドラム21に当接するクリーニングブレード25a及びクリーニングローラ25bが設置されている。クリーニングブレード25aは、ウレタンゴム等のゴム材料からなり、感光体ドラム21表面に所定角度かつ所定圧力で当接している。クリーニングローラ25bは、芯金上にブラシ毛が周設されたブラシローラである。
【0023】
図2、
図3に示すように、現像装置26は、主として、現像剤担持体としての現像ローラ26a、現像ローラ26aに対向する第1搬送スクリュ26b1(第1搬送部材)、仕切部材26eを介して第1搬送スクリュ26b1に対向する第2搬送スクリュ26b2(第2搬送部材)、現像ローラ26aに対向して現像ローラ26a上に担持された現像剤の量を規制するドクターブレード26c(現像剤規制部材)、等で構成される。
なお、本実施の形態における現像装置26には、フィルタ26tやフィルタ保持部材26sが設置されているが、これらについては後で詳しく説明する。
【0024】
現像装置26内には、キャリアとトナーとからなる現像剤(2成分現像剤)が収容されている。
現像ローラ26aは、感光体ドラム21に対して微小なギャップをあけて対向して現像領域を形成するように構成されている。現像ローラ26aは、
図3に示すように、内部に固設されてローラ外周面上に複数の極(磁極)を形成するマグネット26a1と、マグネット26a1の周囲を回転するスリーブ26a2と、で構成される。
【0025】
搬送部材としての搬送スクリュ26b1、26b2は、現像装置26の内部に収容された現像剤を長手方向に搬送して循環経路(
図3にて破線矢印で示す循環経路である。)を形成する。すなわち、第1搬送スクリュ26b1による第1搬送経路B1と、第2搬送スクリュ26b2による第2搬送経路B2と、による現像剤の循環経路が形成されている。
第1搬送経路B1と第2搬送経路B2とは仕切部材26e(壁部)によって隔絶されていて、2つの搬送経路B1、B2の長手方向両端部は互いに連通口26f、26gを介して連通している。具体的に、
図3を参照して、第1搬送経路B1の搬送方向上流側の端部と、第2搬送経路B2の搬送方向下流側の端部と、が第1連通口26fを介して連通している。また、第1搬送経路B1の搬送方向下流側の端部と、第2搬送経路B2の搬送方向上流側の端部と、が第2連通口26gを介して連通している。すなわち、仕切部材26eは、長手方向両端部を除く位置に配設されている。
第1搬送スクリュ26b1(第1搬送経路B1)は現像ローラ26aに対向するように配設され、第2搬送スクリュ26b2(第2搬送経路B2)は仕切部材26eを介して第1搬送スクリュ26b1(第1搬送経路B1)に対向するように配設されている。第1搬送スクリュ26b1は、現像剤を長手方向に搬送しながら、現像ローラ26aに向けて現像剤を供給するとともに、現像ローラ26aから離脱した現像工程後の現像剤を回収する。第2搬送スクリュ26b2は、第1搬送経路B1から搬送された現像工程後の現像剤と、補給口26dから補給されたフレッシュなトナーと、を長手方向に搬送しながら撹拌・混合する。
本実施の形態において、2つの搬送スクリュ26b1、26b2は、水平方向に並設されている。2つの搬送スクリュ26b1、26b2は、いずれも、回転軸にスクリュ部が巻装されたものである。
【0026】
本実施の形態において、現像装置26は、上下に分割可能な2つの現像ケース(現像上ケース26kと現像下ケース26jとである。)が筐体として用いられ、これらによって覆われている。
現像下ケース26jには、現像ローラ26a、第1、第2搬送スクリュ26b1が回転可能に保持され、ドクターブレード26cが保持されている。また、現像上ケース26kは、後述するように開口部26k1にフィルタ26tを保持したフィルタ保持部材26sが設置されている。現像上ケース26kは、現像ローラ26a、第1、第2搬送スクリュ26b1、ドクターブレード26cが設置された状態の現像下ケース26jに対してネジ締結やパッチン止めなどによって着脱可能に設置されている。
【0027】
先に述べた作像プロセスを、現像工程を中心にしてさらに詳しく説明する。
現像ローラ26aは、
図2中の矢印方向に回転している。現像装置26内の現像剤は、
図3に示すように、間に仕切部材26eを介在するように配設された第1搬送スクリュ26b1及び第2搬送スクリュ26b2の矢印方向の回転によって、トナー容器70からトナー補給経路を経て補給口26dから補給されたトナーとともに撹拌混合されながら長手方向に循環する(
図3中の破線矢印方向の循環である。)。
そして、摩擦帯電してキャリアに吸着したトナーは、現像ローラ26a上に形成された剤汲上げ極によって、キャリアとともに現像ローラ26a上に汲み上げられる。現像ローラ26a上に担持された現像剤は、
図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード26cとの対向位置に達する。そして、現像ローラ26a上の現像剤は、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム21との対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム21上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ26a上に残った現像剤はスリーブの回転にともない第1搬送経路B1の上方に達して、この位置で現像ローラ26aから離脱される。ここで、現像領域における電界は、現像用の電源によって現像ローラ26aに印加される所定の電圧(現像バイアス)と、帯電工程と露光工程とによって感光体ドラム21の表面に形成される表面電位(潜像電位)と、によって形成されるものである。
【0028】
なお、トナー容器70内のトナーは、現像装置26内のトナーの消費にともない、トナー補給経路(不図示)を経由して補給口26dから現像装置26内に適宜に補給されるものである。現像装置26内のトナーの消費は、現像装置26内の現像剤のトナー濃度(現像剤中のトナーの割合である。)を磁気的に検知するトナー濃度センサ(不図示)によって検知される。
また、補給口26dは、第2搬送スクリュ26b2の長手方向(
図3の左右方向である。)の一端であって、第2搬送スクリュ26b2(第2搬送経路B2)の上方に設けられている。
【0029】
以下、本実施の形態において特徴的な、現像装置26の構成・動作について詳しく説明する。
図2、
図4等を参照して、本実施の形態における現像装置26は、装置内と装置外とを連通させる開口部26k1に、フィルタ26tを保持したフィルタ保持部材26sが設置されている。
詳しくは、現像装置26の現像ケースとしての現像上ケース26k(筐体)の天井部には、内外に貫通する開口部26k1(通気路)が形成されている。そして、その開口部26k1を塞ぐようにフィルタ26t(及び、フィルタ保持部材26s)が設けられている。フィルタ26tは、粉体としてのトナーを捕集して通気するためのものである。
換言すると、現像装置26の内部から外部に向けて空気を送出するための開口部26k(通気路)が、現像上ケース26kに形成されている。そして、その開口部26kを取付け部として、フィルタ26t(及び、フィルタ保持部材26s)が設置されている。このフィルタ26tは、トナーTやキャリアCの粒径よりも小さなメッシュからなり、空気のみが通過できるように形成されている。本実施の形態では、開口部26k1は略矩形に開口しており、フィルタ26t(単体の状態のものである。)は略長方体状に形成されている。
なお、本実施の形態において、フィルタ26tは、フィルタ保持部材26sに着脱可能に保持されているが、これについては後で詳しく説明する。
【0030】
ここで、
図2を参照して、現像領域の下流側における現像ローラ26aと現像上ケース26kとのギャップH(ケーシングギャップ)は、0.6~1.0mmの範囲内になるように設定されている。
ケーシングギャップHが0.6mmより小さくなってしまうと、現像ローラ26aに担持された現像工程後の現像剤が、現像ローラ26aと現像上ケース26kとのギャップHにスムーズに搬送されずに、そこから溢れて現像装置26の外部に漏出してしまいやすくなる。
これに対して、ケーシングギャップHが1.0mmより大きくなってしまうと、現像ローラ26aに担持された現像剤が現像上ケース26kの内周面に摺接しにくくなって、ポンプ作用による現像装置26の内部に向けての吸込み気流が形成されにくくなり、現像装置26からのトナー飛散(現像領域の周囲へのトナー飛散である。)が生じやすくなってしまう。
ケーシングギャップHを適正な範囲に維持することで、現像剤の漏出やトナー飛散を軽減することができる。
さらに、上述したケーシングギャップHにおける吸込み気流によって、現像装置26の内圧は高まる傾向にあり、内圧が高まってしまうと現像装置26の隙間からトナー飛散が生じてしまうことになる。これに対して、本実施の形態では、フィルタ26tが設置された開口部26k1が設けられているため、トナーを捕集して外部への飛散を防止しながら通気のみをおこなって、現像装置26の内圧の上昇を抑えている。すなわち、現像装置26の内圧の上昇によるトナー飛散を防止している。
【0031】
ここで、本実施の形態において、フィルタ26tは、装置内側(
図2、
図4(A)の下方である。)の単位体積当たりの重量密度が、装置外側(
図4(A)の上方である。)の単位体積当たりの重量密度に比べて、低くなるように形成されている。
すなわち、フィルタ26tは、単位体積当たりの重量密度が、均一ではなくて、通気方向(装置内から装置外に空気が流れる方向であって、連通方向である。)に重量密度が低い部分と高い部分とが形成されている。さらに換言すると、フィルタ26tは、単位体積当たりの重量密度の勾配を有している。
なお、フィルタ26tの重量密度の勾配を有した状態は、開口部26k1に設置されていない単体の状態(外力が作用しない単体の状態)であっても、開口部26k1に設置された状態であっても、変わらない。
【0032】
さらに具体的に、本実施の形態において、フィルタ26tは、開口部26kに設置されていない単体の状態で、単位体積当たりの重量密度が低い低密度部26t2が一端側に形成されて、単位体積当たりの重量密度が高い高密度部26t1が他端側に形成された2層構造体である。
すなわち、フィルタ26tにおいて、一端側(通気方向上流側)の低密度部26t2は、目が粗くて比較的ふわふわした状態で、他端側(通気方向下流側)の高密度部26t1は、目が詰まった状態になっている。したがって、本実施の形態におけるフィルタ26tは、低密度部26t2のトナー捕集力に比べて高密度部26t1のトナー捕集力が高くなる。
【0033】
このように、通気方向(連通方向)の上流側から下流側にかけて重量密度が高くなるようにフィルタ26tを形成することで、現像装置26の内部から外部に向けてのスムーズな空気の流れが形成されやすくなる。そのため、現像装置26の内圧上昇が効率的に抑止されることになるとともに、フィルタ26tの全体的なトナー捕集性を高めることができて、さらにフィルタ26tの目詰まりが生じにくくなる。
【0034】
なお、本実施の形態では、フィルタ26tとして、高密度部26t1と低密度部26t2とからなる2層構造のものを用いた。
これに対して、
図5(A)に示すように、フィルタ26tとして、単位体積当たりの重量密度が一端側(装置内側)から他端側(装置外側)に向けて
図5(A)の矢印方向に漸増するように形成された単層構造のものを用いることもできる。このようなフィルタ26tは、通気方向(排気方向)に沿って、単位体積当たりの重量密度が徐々に高くなるように形成されたものとなる。具体的に、
図5(A)に示すフィルタ26tは、一端側の目が粗くて比較的ふわふわした状態で、他端側に向かうにつれて目が詰まった状態になる。
また、
図5(B)に示すように、フィルタ26tとして、単位体積当たりの重量密度が一端側(装置内側)から他端側(装置外側)に向けて増加するように形成された3層以上の複数構造のものを用いることもできる。このようなフィルタ26tは、通気方向(排気方向)に沿って、単位体積当たりの重量密度が徐々に高くなるように複数の層が形成されたものとなる。具体的に、
図5(B)に示すフィルタ26tは、一端側の目が粗くて比較的ふわふわした状態で、他端側に向かうほど目が詰まった層が積層された状態になる。
【0035】
ここで、
図4等に示すように、本実施の形態における現像装置26には、フィルタ26tを保持するフィルタ保持部材26sが、現像上ケース26k(現像ケース)の開口部26k1に設置されている。
そして、
図6(A)、
図7(A)等を参照して、本実施の形態において、フィルタ保持部材26sは、フィルタ26tを保持した状態で現像上ケース26k(現像ケース)に対して着脱可能に構成されている。
すなわち、フィルタ26tは、
図7(B)に示すように現像上ケース26kに対して単体で着脱されるのではなくて、
図6(A)、
図7(A)に示すようにフィルタ保持部材26sと一体となって白矢印方向に取り外されたり、その逆方向に装着されたりすることになる。
【0036】
詳しくは、
図4に示すように、フィルタ保持部材26sは、底面部26s1と3つの側壁部26s2~26s4とからなる、1つの側壁部と天井部とが欠けた略箱状部材であって、樹脂材料で形成されている。
フィルタ保持部材26sは、
図4(A)に示すように長手方向に直交する断面でみたときに略L字状であって、
図4(B)に示すように上方からみたときに略コの字状の側壁部26s2~26s4が形成されている。
【0037】
フィルタ保持部材26sの底面部26s1は、装置内側(
図4(A)の下方である。)に位置していて、長方体状(矩形板状)に形成されている。底面部26s1には、装置内からフィルタ26tへの通気をおこなうための複数の貫通穴部26s10が形成されている。なお、底面部26s1は、フィルタ26tを保持することができて、装置内からフィルタ26tへの通気もおこなうことができるものであれば良く、その貫通穴部26s10は1つであっても良い。
フィルタ保持部材26sの3つの側壁部26s2~26s4は、底面部26s1の4辺のうち3辺からそれぞれ装置外側(
図4(A)の上方である。)に起立している。
一方、
図4、
図6(A)等を参照して、現像上ケース26k(現像ケース)には、フィルタ保持部材26sの3つの側壁部26s2~26s4のうちの1つの側壁部26s2(長手方向に延びる側壁部である。)に対向する対向壁部26k10が形成されている。この対向壁部26k10は、開口部26k1の縁部の一部として機能している。なお、フィルタ保持部材26sは、この対向壁部26k10を介して現像ローラ26aに対向するように配置されている。
【0038】
そして、フィルタ26tは、フィルタ保持部材26sの3つの側壁部26s2~26s4と、現像上ケース26kの対向壁部26k10(開口部26k1の縁部の一部)とに挟まれて圧縮されることになる。
すなわち、開口部26k1に設置されたフィルタ26tは、3つの側壁部26s2~26s4や対向壁部26k10によって四方(連通方向に対して交差する方向であって、
図4(A)の黒矢印を参照)から圧縮される。さらに換言すると、フィルタ26tは、単体の状態から圧縮された状態で開口部26k1に設置されることになる。
これにより、フィルタ26tの側方から現像装置26内の空気(排出対象体)がトナー(捕集対象体)とともに漏出してしまう不具合が軽減される(空気のみが排出される)。したがって、先に説明したフィルタ26tの機能が充分に発揮されて、現像装置26の外部にトナー(捕集対象体)が飛散しまう不具合などが軽減される。
【0039】
ここで、
図4等を参照して、現像上ケース26k(現像ケース)には、開口部26k1と、フィルタ保持部材26sの3つの側壁部26s2~26s4と、の隙間を封止するシール部材26wが設置されている。
詳しくは、シール部材26wは、発泡ポリウレタンなどの弾性材料からなり、
図4(B)に示すように上方からみると略コの字状の部材であって、現像上ケース26kの開口部26k1に両面テープを介して貼着されている。
このようにシール部材26wを設けることで、フィルタ保持部材26sと開口部26k1との隙間から現像装置26内の空気(排出対象体)がトナー(捕集対象体)とともに漏出してしまう不具合が軽減される。したがって、先に説明したフィルタ26tの機能が充分に発揮されて、現像装置26の外部にトナー(捕集対象体)が飛散しまう不具合などが軽減される。
【0040】
なお、対向壁部26k10とフィルタ26tとは密着しているため、その部分から空気がトナーとともに漏出してしまうことはない。
また、短手方向に延びる側壁部26s3、26s4の端面と、対向壁部26k10と、の隙間は、シール部材26wの端部が扁平して入り込むため、その部分から空気がトナーとともに漏出してしまう不具合も生じにくい。ただし、短手方向に延びる側壁部26s3、26s4の端面と、対向壁部26k10と、の隙間を積極的に封止するシール材(シール部材26wの一部であっても良い。)を設けることもできる。
【0041】
このように、本実施の形態における現像装置26は、フィルタ保持部材26sが、フィルタ26tを保持した状態で現像上ケース26kに対して着脱可能に構成されている。これにより、メンテナンスなどを目的としてフィルタ26tを現像装置26から取り外すときに、フィルタ26tに捕集されたトナーTが飛散する不具合が軽減されることになる。
詳しくは、
図7(B)に比較例として示すように、フィルタ26tが単体で現像装置26から取り外される場合、長手方向に長いフィルタ26tが変形して湾曲した状態になってしまい、フィルタ26tに捕集されたトナーTが押し出されるように飛散して周囲を汚してしまうことになる。
これに対して、本実施の形態では、フィルタ26tがフィルタ保持部材26sに保持されて変形しない状態で現像装置26から取り外されるため、フィルタ26tに捕集されたトナーTが飛散して周囲を汚してしまう不具合が軽減されることになる。
特に、本実施の形態におけるフィルタ26tは、先に説明したように重量密度の勾配がありトナー捕集性が高められているため、本発明の構成が有用になる。
【0042】
なお、本実施の形態において、フィルタ保持部材26sは、4つの側壁部が設けられたものではなく、1つの側壁部が欠けて3つの側壁部26s2~26s4が設けられたものであるが、底面部26s1の面積はフィルタ26tを充分に保持し得る大きさである。そのため、フィルタ保持部材26sとともにフィルタ26tを現像装置26に対して着脱するときに、フィルタ保持部材26sからフィルタ26tが誤って脱落する不具合は生じにくい。
【0043】
また、
図6(B)に示すように、本実施の形態において、フィルタ26tは、フィルタ保持部材26sに対して着脱可能(交換可能)に構成されている。そのため、フィルタ26tの交換や清掃などのメンテナンスを容易におこなうことが可能になる。
具体的に、
図6(B)に示すように、現像装置26から取り外した状態のフィルタ保持部材26sに対してフィルタ26tが着脱されることになる。
このとき、フィルタ保持部材26sは、上述したように1つの側壁部が欠けているため、現像装置26から取り外した状態のフィルタ保持部材26sに対してフィルタ26tを着脱する作業を容易におこなうことができる。
【0044】
ここで、
図4(B)に示すように、フィルタ保持部材26sには、フィルタ26tが外れないように規制する規制位置(
図4(B)に示す位置である。)と、フィルタ26tを外すことが可能になる規制解除位置と、の間を移動可能な規制部材としての回転式止め具26rが設けられている。
詳しくは、回転式止め具26r(規制部材)は、長手方向両端の2つの側壁部26s3、26s4の上面に、それぞれ、支軸26r1を中心に回動可能に設置されている。そして、回転式止め具26rが
図4(B)に示す位置(規制位置)に回動した状態になると、フィルタ26tが回転式止め具26rに当接して、フィルタ保持部材26sからのフィルタ26tの脱落が規制される。これに対して、回転式止め具26rが
図4(B)に示す規制位置から支軸を中心に時計方向(又は反時計方向)に90度以上回動した状態になると(規制解除位置に移動すると)、フィルタ26tが回転式止め具26rに当接することなく、フィルタ保持部材26sからのフィルタ26tの取り出しが可能になる。
このような構成により、現像装置26の稼働中にフィルタ保持部材26sからフィルタ26tが外れてしまう不具合を防止できるとともに、先に
図6(B)を用いて説明したフィルタ保持部材26sからのフィルタ26tの取り外しも可能になる。
【0045】
また、
図4(B)、
図7(A)等を参照して、本実施の形態における現像装置26には、フィルタ保持部材26sが開口部26k1から装置外に外れるのを制限する制限部材としてのネジ90が設けられている。
詳しくは、フィルタ保持部材26sには、長手方向両端の2つの側壁部26s3、26s4の上部に、長手方向外側に突出する突出部(ネジ用穴が形成されている。)が形成されている。一方、現像上ケース26kには、側壁部26s3、26s4の突出部が載置される部分に、雌ネジ部が形成されている。そして、現像上ケース26kの雌ネジ部に、突出部(ネジ用穴)を介してネジ90が螺合されることで、フィルタ保持部材26sが現像上ケース26kに固定されることになる。そして、フィルタ26tとともにフィルタ保持部材26sを現像装置26(現像上ケース26k)から取り出すときには、
図7(A)に示すようにネジ90の螺合が解除されることになる。
なお、本実施の形態では、ネジ締結によってフィルタ保持部材26sを現像上ケース26kに固定したが、現像上ケース26kに対するフィルタ保持部材26sの固定方法はこれに限定されることなく、例えば、パッチン止めなどによって固定することもできる。
【0046】
ここで、
図8を参照して、本実施の形態における現像装置26には、画像形成装置本体1において使用が開始されるまで現像装置26の内部に収容された現像剤G(工場出荷時に予め詰め込まれたプリセット現像剤である。)が外部に漏出しないように、現像装置内に現像剤Gが収容された閉空間が形成されるように装置内を隔絶するシート状部材26xが取り外し可能に設置されている。
そして、このシート状部材26xは、装置内から開口部26k1とフィルタ保持部材26sとの間(開口部26k1に貼着されたシール部材26wと、側壁部26s2と、の間である。)を通って装置外に一端側が露呈するように設置されている。
そして、ユーザーの元で、画像形成装置本体1において現像装置26の使用が開始されるときに、現像装置外に露呈したシート状部材26xの部分が把持され、現像装置26の内部からシート状部材26xが引き抜かれることになる。
【0047】
詳しくは、シート状部材26xは、厚さが0.1~0.5mm程度のOHPシート、マイラーなどの透明の樹脂材料からなり、引き抜き方向(
図8の白矢印方向である。)に延びるように略矩形状に形成されている。シート状部材26xは、現像装置26の内部を隔絶できるように内部における幅方向の範囲に合わせて幅方向の長さが設定されていて、現像装置26の内部を隔絶するとともに、装置外に露呈する部分が充分長く設定されている。
【0048】
そして、新品の現像装置26(リサイクル品も含む。)は、
図8に示すようにシート状部材26xが設置された状態で工場から出荷されることになる。すなわち、工場において、組み立てが完成した状態の現像装置26の内部(第1、第2搬送経路B1、B2である。)に現像剤Gが充填された後に、その現像剤Gが漏出しないようにシート状部材26xが第1搬送経路B1と現像ローラ26aとの間を遮断するように設置される。
具体的に、
図8を参照して、本実施の形態において、シート状部材26xは、現像装置26の内部において、ドクターブレード26cの先端と、開口部26k1の左側縁部と、の間を長手方向の全域にわたって覆うように形成されている。そして、ドクターブレード26c側のシート状部材26xの一方の端部の近傍が現像装置26(本実施の形態では、ドクターブレード26cの先端部である。)に比較的軽い力で接着(又は、熱溶着)されて、シート状部材26xの他方の端部の近傍がフィルタ保持部材26sと開口部26k1(シール部材26w)との間に挟まれて、シート状部材26xに張力(テンション)が与えられている。これにより、現像剤Gが現像ローラ26aの側に漏れ出さないようにしている。
【0049】
このように、本実施の形態では、シート状部材26xの一端側を装置外に露呈させるための開口を専用に形成するのではなくて、フィルタ26t用の開口部26k1を共用している。そのため、装置の構成がシンプルなものになる。
また、その開口部26k1は、比較的大きなものであるため、製造時に現像装置26にシート状部材26xを簡単に設置することができる。
また、シート状部材26xは、現像ケース26kの開口部26k1において閉空間を形成したい側の縁部(
図8の左側縁部である。)に、シール部材26wを介して接触している。そのため、現像装置26内に形成される閉空間の密閉性を高めることができる。
また、現像装置26の使用開始時においてシート状部材26xを引き抜くときに、シール部材26wに摺接することになるため、シート状部材26xに付着したトナーが清掃されることになる。そのため、シート状部材26xの引き抜き作業をおこなうユーザーの手が汚れにくくなる。
【0050】
<変形例1>
図9に示すように、変形例1における新品の現像装置26にも、
図8の現像装置と同様に、プリセット用の現像剤Gを収容する閉空間を形成するためのシート状部材26xが設置されている。
ここで、変形例1における現像装置26には、現像上ケース23kの上面に、巻取り軸26pが回転可能に設置されている。そして、この巻取り軸26pを回転させることでシート状部材26xを巻取り軸26pの外周に巻き取ることができるように、巻取り軸26pにシート状部材26xの端部(装置外に露呈した部分である。)が接着等によって固定されている。
このように構成された現像装置26は、
図9に示すようにシート状部材26xによって内部に収容された現像剤Gが密閉して封入された状態のまま、画像形成装置本体1に装着されることになる。そのような態様としては、(1)新品の画像形成装置本体1に対して新品の現像装置26が装着された状態で出荷される場合と、(2)ユーザーのもとで既に使用されている画像形成装置本体1に対して新品(交換用)の現像装置26が装着される場合と、がある。
そして、上述したいずれの場合にも、新品の現像装置26の画像形成装置1での使用(現像工程)が開始される前に、巻取り軸26pが駆動機構(不図示)によって回転されることによって、密閉・封止状態のシート状部材26xが巻取り軸26pに巻き取られることになる。すなわち、
図9に示すように、密閉・封止状態のシート状部材26xが設置された現像装置26が画像形成装置本体1に装着された状態で、画像形成動作(現像工程)が開始される前に、巻取り軸26pを回転駆動させることで、シート状部材26xを白矢印方向に移動させて巻取り軸26pにて巻き取って、
図2に示すような状態で通常の画像形成プロセス(現像工程)をおこなうことになる。
そして、変形例1においても、フィルタ保持部材26sは、フィルタ26tを保持した状態で現像ケース26kに対して着脱可能に構成されている。そのため、フィルタ26tの装置内側から装置外側へ空気がスムーズに流れるとともに、フィルタ26tを現像装置26から取り外すときにフィルタ26tに捕集されたトナーTが飛散する不具合が軽減されることになる。
【0051】
<変形例2>
図10に示すように、変形例2における現像装置26において、フィルタ保持部材26sは、底面部26s1の4辺のうち3つの側壁部26s2~26s4が形成されていない1辺(対向壁部26k10に対向する1辺である。)から装置内側(
図10の下方である。)に起立する起立壁部26s5が設けられている。
すなわち、
図10に示すように、フィルタ保持部材26sは、長手方向に直交する断面でみたときに、クランク状(略S字状)に形成されている。
このように起立壁部26s5を設けることで、フィルタ保持部材26sが長手方向に反ってしまう不具合を軽減することができる。そのため、フィルタ26tが真直ぐな状態でフィルタ保持部材26sに保持されて、フィルタ26tが正常に機能することになる。
ここで、
図10に示すように、変形例2における現像装置26は、フィルタ保持部材26sが開口部26k1から装置外に外れるのを制限する制限部材として、ネジ90の代わりに、フィルタ保持部材26sをフィルタ26tごと上方から押さえる押え部材26z(通気用の穴部が形成されている。)が、現像上ケース26kに対してパッチン止めなどによって着脱可能に設置されている。
また、
図10に示すように、変形例2における現像装置26は、現像上ケース26kの対向壁部26k10が、フィルタ保持部材26sやフィルタ26tの上面よりも充分に高い位置(上方)まで延びるように形成されている。
そして、変形例2においても、フィルタ保持部材26sは、フィルタ26tを保持した状態で現像ケース26kに対して着脱可能に構成されている。そのため、フィルタ26tの装置内側から装置外側へ空気がスムーズに流れるとともに、フィルタ26tを現像装置26から取り外すときにフィルタ26tに捕集されたトナーTが飛散する不具合が軽減されることになる。
【0052】
<変形例3>
図11に示すように、変形例3におけるフィルタ保持部材26sも、変形例2のものと同様に、底面部26s1の4辺のうち3つの側壁部26s2~26s4が形成されていない1辺から装置内側に起立する起立壁部26s5が設けられている。
そして、
図11に示すように、変形例3におけるフィルタ保持部材26sは、底面部26s1と起立壁部26s5とに装置内側で繋がる1つ又は複数のリブ26s6が形成されている。
このようにリブ26s6を設けることで、フィルタ保持部材26sが長手方向に反ってしまう不具合がさらに軽減されることになる。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態における現像装置26は、装置内に現像剤が収容されて、感光体ドラム21(像担持体)の表面に形成される潜像を現像する現像装置であって、装置内と装置外とを連通させる開口部26k1が形成された現像ケース26kが設けられている。また、フィルタ26tを保持するフィルタ保持部材26sが、開口部26k1に設置されている。また、フィルタ26tは、装置内側の単位体積当たりの重量密度が、装置外側の単位体積当たりの重量密度に比べて、低くなるように形成されている。そして、フィルタ保持部材26sは、フィルタ26tを保持した状態で現像ケース26kに対して着脱可能に構成されている。
これにより、フィルタ26tの装置内側から装置外側へ空気がスムーズに流れるとともに、フィルタ26tを現像装置26から取り外すときにフィルタ26tに捕集されたトナーTが飛散する不具合が軽減される。
【0054】
なお、本実施の形態では、現像装置26をプロセスカートリッジ20の構成部材とせずに、画像形成装置本体1に対して単独で着脱できるユニットとした。これに対して、現像装置26をプロセスカートリッジ20の構成部材の1つとして、画像形成装置本体1に対してプロセスカートリッジとして一体的に着脱されるように構成することもできる。
そして、このような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
なお、本願において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電装置と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像装置と、像担持体上をクリーニングするクリーニング装置と、のうち少なくとも1つと、像担持体と、が一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されたユニットと定義する。
【0055】
また、本実施の形態では、2つの搬送スクリュ26b1、26b2(搬送部材)が水平方向に並設されていて、ドクターブレード26cが現像ローラ26aの下方に配置された現像装置26に対して、本発明を適用した。しかし、本発明が適用される現像装置の構成はこれに限定されることなく、例えば、3つ以上の搬送部材が水平方向に並設された現像装置や、複数の搬送部材が上下方向に並設されている現像装置や、ドクターブレードが現像ローラの上方に配置された現像装置に対しても、本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤を用いた現像装置26に対して、本発明を適用した。これに対して、トナー(外添剤等も含む。)のみからなる1成分現像剤を用いた現像装置に対しても、本発明を適用することができる。その場合、現像装置において、現像ローラを感光体ドラム(像担持体)に接触するように構成することができる。
そして、それらのような場合にも、本実施の形態のものとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0056】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態の中で示唆した以外にも、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0057】
1 画像形成装置(画像形成装置本体)、
20、20Y、20M、20C、20BK プロセスカートリッジ、
21 感光体ドラム(像担持体)、
26 現像装置、
26a 現像ローラ(現像剤担持体)、
26j 現像下ケース、
26k 現像上ケース(現像ケース)、
26k1 開口部(通気路)、
26k10 対向壁部(縁部)、
26s フィルタ保持部材、
26s1 底面部、
26s2~26s4 側壁部、
26s5 起立壁部、
26s6 リブ、
26s10 貫通穴部、
26t フィルタ、
26t1 高密度部、 26t2 低密度部、
26r 回転式止め具(規制部材)、
26w シール部材、
26x シート状部材、
26z 押え部材(制限部材)、
90 ネジ(制限部材)、
T トナー。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】