(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023080562
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/10 20060101AFI20230602BHJP
【FI】
G01N35/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193980
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】野田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】高田 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】濱崎 孝伸
(72)【発明者】
【氏名】西墻 憲一
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058EA01
2G058FB06
2G058FB07
2G058GA01
2G058GB02
2G058GB06
(57)【要約】
【課題】本発明は、自動分析装置が備える複数の流体制御弁が正常に動作するか否かを、低コストで検出できる自動分析装置を提供する。
【解決手段】本発明による自動分析装置は、流路に設置された複数の流体制御弁と、流路内の圧力を測定する圧力センサ112と、吐出ノズル120、124が吐出した液体の液面位置を検知する液面検知素子103cと、制御部100を備える。流体制御弁の1つ以上は、圧力センサ112と流路で接続された第1の流体制御弁108、110である。流体制御弁の1つ以上は、吐出ノズル120、124と流路で接続された第2の流体制御弁115、118、123である。制御部100は、第1の流体制御弁108、110について、圧力センサ112が測定した圧力値に基づき正常に動作したかを検出し、第2の流体制御弁115、118、123について、液面検知素子103cが検知した液面位置に基づき正常に動作したかを検出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を送液する流路と、
前記流路に設置され、前記流路の開放と遮断を切り替える複数の流体制御弁と、
前記流路内の圧力を測定する圧力センサと、
液体の液面の位置を検知する液面検知素子と、
制御部と、
を備え、
前記流体制御弁のうち1つ以上は、前記圧力センサと前記流路で接続されている第1の流体制御弁であり、
前記流体制御弁のうち1つ以上は、吐出ノズルと前記流路で接続されている第2の流体制御弁であり、
前記液面検知素子は、前記吐出ノズルが吐出した液体の液面の位置を検知し、
前記制御部は、
前記第1の流体制御弁について、前記圧力センサが測定した前記圧力の値に基づいて正常に動作したか否かを検出し、
前記第2の流体制御弁について、前記液面検知素子が検知した前記液面の位置に基づいて正常に動作したか否かを検出する、
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記第1の流体制御弁を2つ以上備え、
前記制御部は、前記第1の流体制御弁のうち、1つの前記流体制御弁を開放した状態で他の1つの前記流体制御弁を開閉させて、前記圧力センサが測定した前記圧力の値を取得し、取得した前記圧力の値に基づいて、前記他の1つの前記流体制御弁が正常に動作したか否かを検出する、
請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記第1の流体制御弁のうち前記他の1つの前記流体制御弁が設置されている前記流路は、前記他の1つの前記流体制御弁を開放したときの流量が予め定めた値より大きい、
請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記他の1つの前記流体制御弁を開いて閉じた後の前記圧力の変化の振幅を基に、前記他の1つの前記流体制御弁が正常に動作したか否かを検出する、
請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記第2の流体制御弁を2つ以上備え、
前記液面検知素子は、前記第2の流体制御弁のうち1つの前記流体制御弁が開閉した後で前記液面の位置を検知し、この後、前記第2の流体制御弁のうち他の1つの前記流体制御弁が開閉した後で前記液面の位置を検知し、
前記制御部は、前記液面検知素子が検知したこれらの前記液面の位置の差に基づいて、前記他の1つの前記流体制御弁が正常に動作したか否かを検出する、
請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記第2の流体制御弁のうち前記1つの前記流体制御弁が開閉して吐出された前記液体と、前記第2の流体制御弁のうち前記他の1つの前記流体制御弁が開閉して吐出された前記液体は、互いに異なる液体であり、
前記液面検知素子は、前記他の1つの前記流体制御弁が開閉した後では、これらの互いに異なる前記液体の混合液の前記液面の位置を検知する、
請求項5に記載の自動分析装置。
【請求項7】
検体と試薬の混合溶液である反応液を分析する検出ユニットを備え、
前記流体制御弁のうち1つ以上は、前記検出ユニットと前記流路で接続されている第3の流体制御弁であり、
前記検出ユニットと前記第3の流体制御弁とを接続する前記流路には、シリンジが接続されており、
前記シリンジは、前記反応液を吸引して前記検出ユニットに送液し、
前記制御部は、前記検出ユニットによる前記反応液の検出結果に基づいて、前記第3の流体制御弁が正常に動作したか否かを検出する、
請求項1に記載の自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体制御弁を備える自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生化学分析装置や免疫分析装置などの自動分析装置は、規定量の検体と試薬を吸引し反応容器内に吐出する分注ユニットと、反応した溶液を分析する検出ユニットを備える。
【0003】
分注ユニットと検出ユニットは、検体や試薬を吸引または吐出するための流路を備える。流路内は、洗浄を行うための液体(洗浄液)や自動分析装置に搭載された試薬(システム試薬)で満たされている。洗浄液やシステム試薬は、専用のタンクまたはボトルから専用のポンプで流路に送液される。
【0004】
自動分析装置は、洗浄液やシステム試薬の送液の開始および停止を制御するために、流路の開放と遮断を切り替える流体制御弁を備える。流体制御弁を使用することで、特定の流路のみに送液を行い、それ以外の流路には送液しないという制御を行うことができる。
【0005】
自動分析装置の信頼性を担保するためには、構成部品の動作が正常に行われていることを確認することが重要である。流体制御弁についても、動作が正常に行われていることを確認することで、自動分析装置の動作と分析結果の信頼性を高めることができる。
【0006】
流体制御弁の動作が正常に行われていることを確認する装置の例は、特許文献1と特許文献2に記載されている。特許文献1に記載されたシステムは、電磁弁と逆止弁の間に圧力センサを備え、圧力センサの出力を閾値と比較してアラーム信号を出力する。特許文献2に記載された流体制御弁は、ウォータハンマ現象により生じる振動を検出する振動センサを備え、閾値以上の振動を検出したときに正常であると判断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010―217147号公報
【特許文献2】特開2018―003912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1と特許文献2に記載された装置などの従来の技術では、圧力センサや振動センサなどの特定のセンサが接続された流路に設置された、特定の流路制御弁だけしか監視できず、自動分析装置に存在する多数の流体制御弁のうち一部の弁のみを監視する。このため、自動分析装置に存在する流体制御弁の多くを監視しようとすると、センサの数を増やす必要があり、監視にかかるコストが増大するという課題がある。
【0009】
本発明は、自動分析装置が備える複数の流体制御弁が正常に動作するか否かを、低コストで検出できる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による自動分析装置は、液体を送液する流路と、前記流路に設置され、前記流路の開放と遮断を切り替える複数の流体制御弁と、前記流路内の圧力を測定する圧力センサと、液体の液面の位置を検知する液面検知素子と、制御部とを備える。前記流体制御弁のうち1つ以上は、前記圧力センサと前記流路で接続されている第1の流体制御弁である。前記流体制御弁のうち1つ以上は、吐出ノズルと前記流路で接続されている第2の流体制御弁である。前記液面検知素子は、前記吐出ノズルが吐出した液体の液面の位置を検知する。前記制御部は、前記第1の流体制御弁について、前記圧力センサが測定した前記圧力の値に基づいて正常に動作したか否かを検出し、前記第2の流体制御弁について、前記液面検知素子が検知した前記液面の位置に基づいて正常に動作したか否かを検出する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、自動分析装置が備える複数の流体制御弁が正常に動作するか否かを、低コストで検出できる自動分析装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例1による自動分析装置の概略構成図である。
【
図2】電磁弁が正常に動作したことを検出する手順を示すフローチャートである。
【
図3】
図2のS201からS204の処理で取得した圧力値の例を示す図である。
【
図4】電磁弁が正常に動作したことを検出する手順を示すフローチャートである。
【
図5】
図4のS401からS406の処理で取得した圧力値の例を示す図である。
【
図6】電磁弁が正常に動作したことを検出する手順を示すフローチャートである。
【
図7】電磁弁が正常に動作したことを検出する手順を示すフローチャートである。
【
図8】電磁弁が正常に動作したことを検出する手順を示すフローチャートである。
【
図9】電磁弁が正常に動作したことを検出する手順を示すフローチャートである。
【
図10】電磁弁が正常に動作したか否かをどの情報を使用して判断すべきかを決定する方法の例を示すフローチャートである。
【
図11】電磁弁が正常に動作したか否かを判断する手順を行うタイミングを決定する方法の例を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の実施例2による自動分析装置において、電磁弁が正常に動作したことと、ポンプの圧力が正常であることを検出する手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明による自動分析装置は、自動分析装置に予め備え付けられている検知素子を利用することで、自動分析装置が備える複数の流体制御弁が正常に動作するか否かを検出することができる。予め備え付けられている検知素子とは、例えば、流路内の圧力を測定する圧力センサや、液体の液面の位置を検知する液面検知素子である。本発明では、予め備え付けられている検知素子を、動作が正常か否かを判断したい流体制御弁に応じて使用することで、流体制御弁が正常に動作するか否かを検出できる。また、本発明では、流体制御弁の動作を調べるために検知素子を追加で取り付ける必要がないので、低コストで流体制御弁が正常に動作するか否かを検出することができる。
【0014】
以下、本発明の実施例による自動分析装置を、図面を用いて説明する。以下の実施例では、一例として、自動分析装置が、検体と試薬を規定量吸引し反応容器内に吐出する分注ユニットと、検体と試薬の混合溶液(反応液)を分析する検出ユニットとを備える構成について説明する。また、以下の実施例では、流体制御弁が電磁弁で構成されているものとする。
【実施例0015】
図1は、本発明の実施例1による自動分析装置の概略構成図である。本実施例による自動分析装置は、分注ユニット101と、検出ユニット103と、制御部100と、液体を送液するための流路と、この流路に設置された複数の電磁弁(流体制御弁)を備える。制御部100は、自動分析装置の全体を制御する。流体制御弁は、流路の開放と遮断を切り替える。
【0016】
分注ユニット101は、分注ノズル101aと分注アーム101bを備え、分注ノズル101aを使用して検体と試薬を規定量吸引する。分注ユニット101で吸引された検体と試薬は、反応容器102内に吐出されて混和される。以下では、この検体と試薬の混合溶液を反応液と呼ぶ。反応液を収容した反応容器102は、一定時間温度が調節された後に、検出ユニット103に搬送される。
【0017】
検出ユニット103は、反応液吸引ノズル103aと検出素子103bと液面検知素子103cを備え、反応液吸引ノズル103aを使用して、反応容器102内の反応液を吸引する。吸引された反応液は、検出素子103b内に送液される。検出ユニット103は、検出素子103bで反応液を分析し、反応液の分析結果として、例えば吸光度や発光量を検出する。
【0018】
検出素子103bは、反応液の特性を検出して、反応液内の所定の成分量(例えば、反応液に含まれる所定の成分の濃度)を定量する。検出素子103bの具体的な構成例としては、光源と光度計の組み合わせ、および電極と光検出素子の組み合わせなどが挙げられる。光源と光度計を備える検出素子103bは、反応液の特性として吸光度を検出する。電極と光検出素子を備える検出素子103bは、反応液の特性として発光量を検出する。
【0019】
液面検知素子103cは、液体の液面の位置を検知することができ、反応液吸引ノズル103aが反応液などの液体に浸漬したことと液体から離脱したことを検知する。
【0020】
自動分析装置は、洗浄用の洗浄液を収容したタンク104を備える。タンク104に含まれる洗浄液は、純水または界面活性剤入りの溶液などであり、分注ユニット101や検出ユニット103に残った液体が次の分析に持ち越されることを防ぐための洗浄に用いられる。タンク104からの流路は、分岐ブロック107に接続される。タンク104に含まれる洗浄液は、ポンプ106を使用して、分岐ブロック107に送液される。
【0021】
分岐ブロック107より下流側には、分岐ブロック107から分岐する複数の流路がある。これら複数の流路には、流路の開放と遮断を切り替えるための複数の電磁弁108、110、113、115が設置されている。電磁弁108、110、113、115は、それぞれの流路への洗浄液の送液の開始と停止を制御する。
【0022】
分岐ブロック107から電磁弁108に分岐する流路は、分注ノズル洗浄槽109に接続されている。分注ノズル洗浄槽109では、タンク104から送液された洗浄液を吐出することで、分注ノズル101aを洗浄する。この洗浄液は、分注ノズル洗浄槽109から分注ノズル101aの外壁に吐出されて検体または試薬成分を洗い流し、検体または試薬成分が次の分析に持ち越されることを防ぐ。電磁弁108は、分注ノズル洗浄槽109と分岐ブロック107とを接続する流路の開放と遮断を切り替えて、この流路への洗浄液の送液の開始と停止を制御する。
【0023】
分岐ブロック107から電磁弁110に分岐する流路は、分注ノズル101aに接続されている。この流路には、電磁弁110と分注ノズル101aの間に分注用シリンジ111と圧力センサ112が接続されている。分注用シリンジ111は、検体と試薬を規定量吸引し吐出する役割を有する。圧力センサ112は、流路内の圧力を測定し、流路内に詰まりが発生していないことや、検体と試薬の吸引と吐出に異常がないことを調べる役割を有する。検体と試薬の吸引と吐出についての異常の例には、検体が高粘度であることや検体内の繊維素による流路の詰まり、および液体表面の気泡吸引などが挙げられる。
【0024】
分注ノズル101aに接続された流路を洗浄液で満たすことで、分注用シリンジ111の吸引吐出動作への応答性を高めることができる。また、分注ノズル101aの先端から洗浄液を吐出することで、分注ノズル101aの内壁を洗浄することができる。
【0025】
分岐ブロック107から電磁弁113に分岐する流路は、検出素子103bに接続されている。電磁弁113と検出素子103bとを接続するこの流路には、検出用シリンジ114が接続されている。検出用シリンジ114は、電磁弁113と検出素子103bの間に設置され、反応液や反応液の分析に使用する試薬(検出用試薬)を吸引して検出ユニット103の検出素子103bに送液する役割を有する。検出素子103bに接続された流路を洗浄液で満たすことで、検出用シリンジ114の動作への応答性を高めることができる。
【0026】
分岐ブロック107から電磁弁115に分岐する流路は、分岐ブロック116に接続されている。
【0027】
自動分析装置は、検出用試薬を収容した検出用試薬ボトル117を備える。検出用試薬ボトル117からの流路は、分岐ブロック116に接続されている。
【0028】
検出用試薬ボトル117と分岐ブロック116とを接続する流路には、電磁弁118が設置されている。電磁弁118は、検出用試薬ボトル117と分岐ブロック116とを接続する流路の開放と遮断を切り替えて、この流路への送液の開始と停止を制御する。
【0029】
分岐ブロック116の下流側には、ポンプ119が設置されている。ポンプ119の下流側には、吐出ノズル120が設置されている。吐出ノズル120は、電磁弁115および電磁弁118と流路で接続されている。
【0030】
電磁弁115と電磁弁118の開閉を制御することで、タンク104内の洗浄液または検出用試薬ボトル117内の検出用試薬がポンプ119に送液される。ポンプ119を使用して、吐出ノズル120は、洗浄液または検出用試薬を試薬カップ121内に吐出することができる。試薬カップ121は、液面検知素子103cが液体の液面の位置を検知できるような容器である。洗浄液は、試薬カップ121の洗浄と検出素子103bの洗浄に使用される。検出用試薬は、検出素子103bの表面を整えるコンディショニングと検出素子103bの洗浄に使用される。
【0031】
検出用シリンジ114は、反応液を反応容器102から反応液吸引ノズル103aで吸引し、吸引した反応液を検出素子103bに送液する。また、検出用シリンジ114は、吐出ノズル120が試薬カップ121内に吐出した洗浄液または検出用試薬を、試薬カップ121から反応液吸引ノズル103aで吸引し、吸引した検出用試薬を検出素子103bに送液する。
【0032】
自動分析装置は、洗浄用の洗浄液を収容したタンク105を備える。タンク105に含まれる洗浄液は、タンク104に含まれる洗浄液と同様の液体である。タンク105からの流路は、吐出ノズル124に接続される。タンク105と吐出ノズル124とを接続する流路には、ポンプ122と電磁弁123が設置されている。すなわち、電磁弁123は、吐出ノズル124と流路で接続されている。タンク105に含まれる洗浄液は、ポンプ122を使用して、電磁弁123を介して吐出ノズル124に送液される。
【0033】
吐出ノズル124は、洗浄槽125に洗浄液を吐出する。洗浄槽125内に挿入されている反応液吸引ノズル103aに吐出ノズル124が洗浄液を吐出することで、反応液吸引ノズル103aの外壁に付着した反応液を洗い流すことができる。
【0034】
本実施例による自動分析装置は、以上に説明したように、流路の開放と遮断を切り替える流体制御弁として、電磁弁110、電磁弁108、電磁弁118、電磁弁115、電磁弁123、および電磁弁113を備える。電磁弁110、電磁弁108、電磁弁118、電磁弁115、および電磁弁113は、圧力センサ112と流路で接続されている。電磁弁118、および電磁弁115は、吐出ノズル120と流路で接続されている。電磁弁123は、吐出ノズル124と流路で接続されている。
【0035】
以下では、本実施例による自動分析装置において、これらの電磁弁が正常に動作するか否かを検出する構成について説明する。なお、以下に説明する
図2から
図9に示すフローチャートの処理は、特に断りのない限り制御部100が実行する。
【0036】
<電磁弁110>
初めに、本実施例による自動分析装置において、電磁弁110が正常に動作したことを検出する構成について説明する。
【0037】
図2は、電磁弁110が正常に動作したことを検出する手順を示すフローチャートである。
図1に示すように、電磁弁110は、分岐ブロック107と分注ノズル101aとを接続する流路に設置されている。電磁弁110と分注ノズル101aとを接続する流路には、電磁弁110と分注ノズル101aの間に圧力センサ112が設置されている。すなわち、電磁弁110が設置されている流路には、圧力センサ112が設置されている。このため、制御部100は、圧力センサ112が測定した圧力値に基づいて、電磁弁110が正常に動作したか否かを検出することができる。
【0038】
S201で、圧力センサ112が測定した圧力値の取得を開始する。
【0039】
S202で、電磁弁110を開く。電磁弁110が開くと、流路への洗浄液の送液が開始される。
【0040】
S203で、電磁弁110を予め定めた一定時間だけ開いた後に、電磁弁110を閉じる。
【0041】
S204で、圧力センサ112が測定した圧力値の取得を終了する。
【0042】
S205で、取得した圧力値から、電磁弁110が正常に動作したか否かを判断する。電磁弁110が正常に動作した場合は、
図2のフローチャートの処理を終了する。
【0043】
S206とS207は、電磁弁110が正常に動作しなかった場合の処理である。S206で、自動分析装置の動作を停止する。S207で、電磁弁110が正常に動作していないことを知らせるアラートを出力する。
【0044】
S205で電磁弁110が正常に動作したか否かを制御部100が判断するときの具体的な判断基準の例を、以下に説明する。
【0045】
図3は、
図2のS201からS204の処理で取得した圧力値の例を示す図である。
図3において、時刻t31は、電磁弁110が開いた時刻であり、時刻t32は、電磁弁110が閉じた時刻である。
【0046】
電磁弁110が開いた時刻t31の直後に、圧力センサ112が測定した圧力値が上昇する。このとき、電磁弁110の開放動作による水撃で圧力脈動が生じる。電磁弁110が閉じた時刻t32の直後に、圧力センサ112が測定した圧力値が下降する。このとき、電磁弁110の閉鎖動作による水撃で圧力脈動が生じる。
【0047】
時刻t32の直後の水撃は、電磁弁110を開く動作と閉じる動作の両方が成功しなければ発生しない。このため、時刻t32の直後の水撃による圧力変化の振幅が、予め定めた一定値以上である場合に、電磁弁110が正常に動作したと判断することができる。
【0048】
このほかにも、時刻t31と時刻t32の間の圧力が、時刻t31以前の圧力および時刻t32以後の圧力よりも高い場合に、電磁弁110が正常に動作したと判断することもできる。また、電磁弁110を閉じたときの圧力値のみで電磁弁110が正常に動作したか否かを判断したり、電磁弁110を閉じた後の圧力値のみで電磁弁110が正常に動作したか否かを判断したりすることもできる。
【0049】
図2に示したフローチャートでは、制御部100は、電磁弁110を開く前から閉じた後までの間の圧力値を取得している。電磁弁110を閉じたとき(S203)の圧力値(圧力値の変化)のみで電磁弁110が正常に動作したか否かを判断できる場合には、S201とS202の手順を入れ替えることができる。すなわち、制御部100は、電磁弁110を開いた後で電磁弁110を閉じる前に(S202とS203の間に)、圧力センサ112が測定した圧力値の取得を開始することができる。
【0050】
また、電磁弁110を閉じた後の圧力値のみで電磁弁110が正常に動作したか否かを判断できる場合には、S201をS203の後の手順にすることができる。すなわち、制御部100は、電磁弁110を閉じた後に、圧力センサ112が測定した圧力値の取得を開始することができる。
【0051】
これらのように、圧力値の取得を開始するタイミングを変更して圧力値を取得する時間を短くすると、圧力データの処理にかかる時間を短縮することができる。
【0052】
図2に示したフローチャートでは、電磁弁110が正常に動作しなかった場合には、制御部100は、自動分析装置の動作を停止する(S206)という処理を実行する。S206での処理の内容は、電磁弁110が故障した際のリスクを考慮して定めることが望ましい。
【0053】
例えば、電磁弁110の故障により、分注ノズル101aからの漏水などで自動分析装置に重大な影響が生じると考えられる場合には、S206では、分注ノズル101aを分注ノズル洗浄槽109に移動させ、漏水のリスクを低減したうえで自動分析装置の動作を停止することが望ましい。このとき、ポンプ106の動作は、なるべく早いタイミングで停止することが望ましい。また、漏水などの重大な影響が生じないものの、分析に関する分注動作が正常に行えないと考えられる場合には、S206では、以後の分注動作を取りやめ、以前に分注した検体の分析のみを続行する、という処理も可能である。
【0054】
<電磁弁108>
次に、本実施例による自動分析装置において、電磁弁108が正常に動作したことを検出する構成について説明する。
図1に示すように、電磁弁108は、分注ノズル洗浄槽109と分岐ブロック107とを接続する流路に設置されている。
【0055】
電磁弁108が設置されている流路は、電磁弁108を開放したときの流量が予め定めた値より大きい流路である。具体的には、電磁弁108が設置されている流路(分注ノズル洗浄槽109と分岐ブロック107とを接続する流路)は、電磁弁115が設置されている流路(分岐ブロック107と分岐ブロック116とを接続する流路)、および電磁弁113が設置されている流路(分岐ブロック107と検出用シリンジ114とを接続する流路)と比較して、それぞれの流路に設置されている電磁弁108、115、113を開放したときの流量が大きい。
【0056】
電磁弁108が設置されている流路は、圧力センサ112が設置されている流路(分岐ブロック107と分注ノズル101aとを接続し、電磁弁110が設置されている流路)の流量に影響を与える程度に、流量が大きい流路である。電磁弁108が開放されたときの圧力の変化が大きく、電磁弁108の開放による圧力の変化を圧力センサ112が測定しやすい。従って、制御部100は、電磁弁108が正常に動作したか否かを、電磁弁110を開いた状態で電磁弁108を開閉させることで、圧力センサ112が測定した圧力値に基づいて検出することができる。
【0057】
図4は、電磁弁108が正常に動作したことを検出する手順を示すフローチャートである。
【0058】
S401で、圧力センサ112が測定した圧力値の取得を開始する。
【0059】
S402で、電磁弁110を開く。
【0060】
S403で、電磁弁108を開く。電磁弁108が開いたことで、圧力センサ112が設置されている流路(電磁弁110が設置されている流路)の流量が大きく変化する。
【0061】
S404で、電磁弁108を予め定めた一定時間だけ開いた後に、電磁弁108を閉じる。
【0062】
S405で、電磁弁110を予め定めた一定時間だけ開いた後に、電磁弁110を閉じる。
【0063】
S406で、圧力センサ112が測定した圧力値の取得を終了する。
【0064】
S407で、取得した圧力値から、電磁弁108が正常に動作したか否かを判断する。電磁弁108が正常に動作した場合は、
図4のフローチャートの処理を終了する。
【0065】
S408とS409は、電磁弁108が正常に動作しなかった場合の処理である。S408で、自動分析装置の以降の分析動作を停止する。S409で、電磁弁108が正常に動作していないことを知らせるアラートを出力する。
【0066】
S407で、電磁弁108が正常に動作したか否かを制御部100が判断するときの具体的な判断基準の例を、以下に説明する。
【0067】
図5は、
図4のS401からS406の処理で取得した圧力値の例を示す図である。
図5において、時刻t51は、電磁弁110が開いた時刻であり、時刻t52は、電磁弁108が開いた時刻であり、時刻t53は、電磁弁108が閉じた時刻であり、時刻t54は、電磁弁110が閉じた時刻である。
【0068】
電磁弁110が開いた時刻t51の直後に、圧力センサ112が測定した圧力値が上昇する。そして、電磁弁108が開いた時刻t52の直後に、圧力センサ112が測定した圧力値が下降し、電磁弁108の開放動作による水撃で圧力脈動が生じる。そして、電磁弁108が閉じた時刻t53の直後に、圧力センサ112が測定した圧力値が上昇し、電磁弁108の閉鎖動作による水撃で圧力脈動が生じる。そして、電磁弁110が閉じた時刻t54の直後に、圧力センサ112が測定した圧力値が下降する。
【0069】
時刻t53の直後の水撃は、電磁弁108を開く動作と閉じる動作の両方が成功しなければ発生しない。このため、時刻t53の直後の水撃による圧力変化の振幅が、予め定めた一定値以上である場合に、電磁弁108が正常に動作したと判断することができる。
【0070】
このほかにも、時刻t52と時刻t53の間の圧力が、時刻t51と時刻t52の間の圧力および時刻t53と時刻t54の間の圧力よりも低い場合には、電磁弁108を開く動作と閉じる動作の両方が成功しており、電磁弁108が正常に動作したと判断することもできる。
【0071】
図4に示したフローチャートでは、制御部100は、電磁弁110を開く前から閉じた後までの間の圧力値を取得している。電磁弁108を閉じたとき(S404)の圧力値(圧力値の変化)のみで電磁弁108が正常に動作したか否かを判断できる場合には、S401をS403の後の手順にすることができる。すなわち、制御部100は、電磁弁108を開いた後で電磁弁108を閉じる前に(S403とS404の間に)、圧力センサ112が測定した圧力値の取得を開始することができる。
【0072】
また、電磁弁108を閉じた後の圧力値のみで電磁弁108が正常に動作したか否かを判断できる場合には、S401をS404の後の手順にすることができる。すなわち、制御部100は、電磁弁108を閉じた後に、圧力センサ112が測定した圧力値の取得を開始することができる。
【0073】
これらのように、圧力値の取得を開始するタイミングを変更して圧力値を取得する時間を短くすることで、圧力データの処理にかかる時間を短縮することができる。
【0074】
図4に示したフローチャートでは、電磁弁108が正常に動作しなかった場合には、制御部100は、自動分析装置の以降の分注動作を停止する(S408)という処理を実行する。S408での処理の内容は、電磁弁108が故障した際のリスクを考慮して定めることが望ましい。例えば、電磁弁108の故障により漏水などで自動分析装置に重大な影響が生じると考えられる場合には、S408では、速やかに自動分析装置の動作を停止することが望ましい。
【0075】
<電磁弁118>
次に、本実施例による自動分析装置において、電磁弁118が正常に動作したことを検出する構成について説明する。
図1に示すように、電磁弁118は、検出用試薬ボトル117と分岐ブロック116とを接続する流路に設置されている。分岐ブロック116の下流側にある流路には、ポンプ119が設置されており、吐出ノズル120が接続されている。
【0076】
電磁弁118は、電磁弁110や電磁弁108のように圧力センサ112が測定した圧力値に基づいて、正常に動作したか否かを検出することができない。電磁弁118が正常に動作したか否かは、電磁弁118を開閉して、検出用試薬ボトル117内の検出用試薬を吐出ノズル120から試薬カップ121内に吐出し、吐出された検出用試薬の体積を基に検出することができる。試薬カップ121内に吐出された検出用試薬の体積は、試薬カップ121の寸法が既知であるので、液面検知素子103cで検出用試薬の液面の位置を検知することで求めることができる。すなわち、電磁弁118が正常に動作したか否かは、電磁弁118を開閉して試薬カップ121内に吐出された検出用試薬の液面の位置を検知することで検出できる。
【0077】
図6は、電磁弁118が正常に動作したことを検出する手順を示すフローチャートである。
【0078】
S601で、試薬カップ121が空になっているか調べる。試薬カップ121が空になっているか否かは、例えば、液面検知素子103cを用いて調べることができる。液面検知素子103cが試薬カップ121内の液体の液面を検知すれば、試薬カップ121が空ではないと判断でき、S602の処理を実施する。液面検知素子103cが試薬カップ121内の液体の液面を検知しなければ、試薬カップ121が空になっていると判断することができ、S603の処理を実施する。
【0079】
S602で、試薬カップ121を空にする。例えば、検出用シリンジ114が反応液吸引ノズル103aで試薬カップ121内の液体を吸引することで、試薬カップ121を空にすることができる。
【0080】
S601とS602の処理を実施するのは、試薬カップ121が空になっていれば、以降の工程で試薬カップ121内に吐出された検出用試薬の体積を正しく測定することができるからである。
【0081】
S603で、電磁弁118を開く。電磁弁118が開くと、検出用試薬ボトル117内の検出用試薬が吐出ノズル120から試薬カップ121内に吐出される。
【0082】
S604で、電磁弁118を予め定めた一定時間だけ開いた後に、電磁弁118を閉じる。S603とS604の処理により、検出用試薬が試薬カップ121内に予め定めた一定の体積だけ吐出される。
【0083】
S605で、液面検知素子103cによって、試薬カップ121内の液体の液面の位置を検知する。この処理によって、試薬カップ121内に吐出された検出用試薬の体積を測定する。
【0084】
S606で、試薬カップ121内の液体の液面の位置から、電磁弁118が正常に動作したか否かを判断する。電磁弁118が正常に動作した場合は、
図6のフローチャートの処理を終了する。
【0085】
S607とS608は、電磁弁118が正常に動作しなかった場合の処理である。S607で、自動分析装置の以降の分析動作を停止する。S608で、電磁弁118が正常に動作していないことを知らせるアラートを出力する。
【0086】
S606で電磁弁118が正常に動作したか否かを制御部100が判断するときの具体的な判断基準の例を、以下に説明する。
【0087】
電磁弁118が正常に動作せず、電磁弁118が開かなかった場合には、試薬カップ121内の液体の液面の位置は、電磁弁118が正常に動作した場合の位置よりも低い。そこで、S605の処理で検知した液面の位置が予め定めた位置よりも低い場合(およびS605の処理で液面検知素子103cが試薬カップ121内の液体の液面を検知しない場合)には、電磁弁118が正常に動作しなかったと判断する、という判断基準を用いることができる。
【0088】
また、電磁弁118が正常に動作せず、電磁弁118が閉じなかった場合には、試薬カップ121内の液体の液面の位置は、電磁弁118が正常に動作した場合の位置よりも高い。そこで、S605の処理で検知した液面の位置が予め定めた位置よりも高い場合には、電磁弁118が正常に動作しなかったと判断する、という判断基準を用いることができる。
【0089】
また、これらの2つの判断基準を組み合わせて、S605の処理で検知した液面の位置が予め定めた範囲内にある場合には、電磁弁118が正常に動作したと判断する、という判断基準を用いることができる。
【0090】
S601とS602の処理は、S603で電磁弁118を開いて試薬カップ121内に吐出された検出用試薬の体積を正しく測定するために実施する処理である。S602の処理で試薬カップ121を空にしなくても、S603の処理の前に試薬カップ121内に存在している液体の体積が分かれば、以降の工程で試薬カップ121内に吐出された検出用試薬の体積を正しく測定することができる。
【0091】
そこで、S601とS602の処理を、液面検知素子103cによって試薬カップ121内の液体の液面の位置を検知するという処理に置き換えることも可能である。電磁弁118を開閉する前後での液面の位置の差を求めることで、試薬カップ121内に吐出された検出用試薬の体積を正しく測定することが可能である。S601とS602の処理を試薬カップ121内の液体の液面の位置を検知するという処理に置き換えた場合には、試薬カップ121の空き容積が不十分であることもあり得る。このため、検知した液面の位置が予め定めた位置よりも上方にある場合には、試薬カップ121内の液体の量を減らすという処理を追加することもできる。
【0092】
<電磁弁115>
次に、本実施例による自動分析装置において、電磁弁115が正常に動作したことを検出する構成について説明する。
図1に示すように、電磁弁115は、分岐ブロック107と分岐ブロック116とを接続する流路に設置されている。分岐ブロック116の下流側にある流路には、ポンプ119が設置されており、吐出ノズル120が接続されている。
【0093】
電磁弁115が設置されている流路は、電磁弁108が設置されている流路と比較して、それぞれの流路に設置されている電磁弁115、108を開放したときの流量が小さい流路である。このため、電磁弁108が正常に動作したことを検出する手順(
図4)のように、圧力センサ112が測定した圧力値に基づいて、電磁弁115が正常に動作したか否かを検出することができない。しかし、電磁弁115が正常に動作したか否かは、電磁弁118と同様に、電磁弁115を開閉して、タンク104内の洗浄液を吐出ノズル120から試薬カップ121内に吐出し、吐出された洗浄液の液面の位置(体積)を液面検知素子103cで検知することで検出できる。
【0094】
図7は、電磁弁115が正常に動作したことを検出する手順を示すフローチャートである。
図7には、一例として、液面検知素子103cが、検出用試薬ボトル117内の検出用試薬に対しては液面の検知が可能であるが、タンク104内の洗浄液に対しては液面の検知が困難である場合について、電磁弁115が正常に動作したことを検出する手順のフローチャートを示す。
【0095】
液面検知素子103cは、静電容量の変化で液面を検知する素子で構成されていると、試薬カップ121内の液体によっては液面の検知が困難な場合がある。具体的には、液体の比誘電率や導電率などの物性値の違いによって、液面の検知の容易さが異なる場合がある。
図7のフローチャートには、タンク104内の洗浄液に対しては液面の検知が困難である液面検知素子103cを用いて、電磁弁115が正常に動作したことを検出する手順を示す。
【0096】
S701で、分岐ブロック116から吐出ノズル120までの流路が検出用試薬で満たされているか否かを調べる。この流路が検出用試薬で満たされていなければ、S702とS703の処理を実施する。この流路が検出用試薬で満たされていれば、S704の処理を実施する。
【0097】
制御部100は、自動分析装置の動作の履歴を基に、分岐ブロック116から吐出ノズル120までの流路が検出用試薬で満たされているか否かを判断する。例えば、電磁弁118を開放して吐出ノズル120から検出用試薬を吐出した後、吐出ノズル120から何も吐出していなければ、分岐ブロック116から吐出ノズル120までの流路が検出用試薬で満たされていると判断する。
【0098】
S702で、電磁弁118を開く。電磁弁118が開くと、検出用試薬ボトル117内の検出用試薬が吐出ノズル120から吐出される。
【0099】
S703で、電磁弁118を予め定めた一定時間だけ開いた後に、電磁弁118を閉じる。S702とS703の処理により、分岐ブロック116から吐出ノズル120までの流路が検出用試薬で満たされている状態になる。
【0100】
S704で、試薬カップ121が空になっているか調べる。試薬カップ121が空でなければ、S705の処理を実施する。試薬カップ121が空であれば、S706の処理を実施する。S704の処理は、
図6のS601の処理と同様にして実施できる。
【0101】
S705で、試薬カップ121を空にする。S705の処理は、
図6のS602の処理と同様にして実施できる。
【0102】
S704とS705の処理を実施するのは、試薬カップ121が空になっていれば、以降の工程で試薬カップ121内に吐出された検出用試薬の体積を正しく測定することができるからである。
【0103】
S706で、電磁弁115を開く。電磁弁115が開くと、タンク104内の洗浄液が吐出ノズル120から試薬カップ121内に吐出される。
【0104】
S707で、電磁弁115を予め定めた一定時間だけ開いた後に、電磁弁115を閉じる。S706とS707の処理により、タンク104内の洗浄液が試薬カップ121内に予め定めた一定体積だけ吐出される。S701からS703の処理により、分岐ブロック116から吐出ノズル120までの流路が検出用試薬で満たされているので、試薬カップ121内では、タンク104内の洗浄液と検出用試薬ボトル117内の検出用試薬が混合される。
【0105】
S708で、液面検知素子103cによって、試薬カップ121内の液体の液面の位置を検知する。液面検知素子103cは、タンク104内の洗浄液に対しては液面の検知が困難である。しかし、液面検知素子103cは、S708の処理では、洗浄液と検出用試薬の混合液の液面の位置を検知するので、試薬カップ121内の液体の液面の位置を検知することができる。
【0106】
S709で、試薬カップ121内の液体の液面の位置から、電磁弁115が正常に動作したか否かを判断する。電磁弁115が正常に動作した場合は、
図7のフローチャートの処理を終了する。
【0107】
S710とS711は、電磁弁115が正常に動作しなかった場合の処理である。S710で、自動分析装置の以降の分析動作を停止する。S711で、電磁弁115が正常に動作していないことを知らせるアラートを出力する。
【0108】
S709で電磁弁115が正常に動作したか否かを判断するときの判断基準は、
図6のS606の処理と同様のものを適用可能である。すなわち、制御部100は、S708の処理で検知した液面の位置が予め定めた位置よりも低い場合には、電磁弁115が正常に動作しなかったと判断することができる。または、制御部100は、S708の処理で検知した液面の位置が予め定めた位置よりも高い場合には、電磁弁115が正常に動作しなかったと判断することができる。または、制御部100は、S708の処理で検知した液面の位置が予め定めた範囲内にある場合には、電磁弁115が正常に動作したと判断することができる。
【0109】
但し、S708の処理では洗浄液と検出用試薬の混合液の液面の位置を検知するので、上記の判断基準に用いる、液面の予め定めた位置と予め定めた範囲は、分岐ブロック116から吐出ノズル120までの流路を満たしている検出用試薬の体積を考慮して定める必要がある。この検出用試薬の体積は、この流路の容積などの自動分析装置の仕様から予め求めることができる。
【0110】
また、
図6の説明で述べたのと同様に、S705の処理で試薬カップ121を空にしなくても、S706の処理の前に試薬カップ121内に存在している液体の体積が分かれば、以降の工程で試薬カップ121内に吐出されたタンク104内の洗浄液の体積を正しく測定することができる。すなわち、
図6のS601とS602の処理について説明したのと同様に、S704とS705の処理を、液面検知素子103cによって試薬カップ121内の液体の液面の位置を検知するという処理に置き換えることも可能である。
【0111】
<電磁弁123>
次に、本実施例による自動分析装置において、電磁弁123が正常に動作したことを検出する構成について説明する。
図1に示すように、電磁弁123は、洗浄液を収容したタンク105と吐出ノズル124とを接続する流路に設置されている。
【0112】
電磁弁123が設置されている流路は、圧力センサ112が設置された流路と接続されていないので、圧力センサ112が測定した圧力値に基づいて、電磁弁123が正常に動作したか否かを検出することができない。しかし、電磁弁123が正常に動作したか否かは、電磁弁118や電磁弁115と同様に、電磁弁123を開閉して、タンク105内の洗浄液を吐出ノズル124で試薬カップ121内に吐出し、吐出された洗浄液の液面の位置(体積)を液面検知素子103cで検知することで検出できる。
【0113】
図8は、電磁弁123が正常に動作したことを検出する手順を示すフローチャートである。
図8には、一例として、
図7と同様に、液面検知素子103cが、静電容量の変化で液面を検知する素子であり、検出用試薬ボトル117内の検出用試薬に対しては液面の検知が可能であるが、タンク105内の洗浄液に対しては液面の検知が困難である場合について、電磁弁123が正常に動作したことを検出する手順のフローチャートを示す。
【0114】
S801で、試薬カップ121が空になっているか調べる。試薬カップ121が空でなければ、S802の処理を実施する。試薬カップ121が空であれば、S803の処理を実施する。S801の処理は、
図6のS601の処理と同様にして実施できる。
【0115】
S802で、試薬カップ121を空にする。S802の処理は、
図6のS602の処理と同様にして実施できる。
【0116】
S801とS802の処理を実施するのは、試薬カップ121が空になっていれば、以降の工程で試薬カップ121内に吐出された検出用試薬の体積を正しく測定することができるからである。
【0117】
S803で、電磁弁118を開く。電磁弁118が開くと、検出用試薬ボトル117内の検出用試薬が吐出ノズル120から試薬カップ121内に吐出される。
【0118】
S804で、電磁弁118を予め定めた一定時間だけ開いた後に、電磁弁118を閉じる。S803とS804の処理により、試薬カップ121内に予め定めた一定体積の検出用試薬が入っている状態になる。
【0119】
S805で、液面検知素子103cによって、試薬カップ121内の液体の液面の位置を検知する。
【0120】
S806で、電磁弁123を開く。電磁弁123が開くと、タンク105内の洗浄液が吐出ノズル124から試薬カップ121内に吐出される。
【0121】
S807で、電磁弁123を予め定めた一定時間だけ開いた後に、電磁弁123を閉じる。S806とS807の処理により、タンク105内の洗浄液が試薬カップ121内に予め定めた一定体積だけ吐出される。S803からS804までとS806からS807までの処理により、試薬カップ121内では、タンク105内の洗浄液と検出用試薬ボトル117内の検出用試薬が混合される。
【0122】
S808で、液面検知素子103cによって、試薬カップ121内の液体の液面の位置を再び検知する。液面検知素子103cは、タンク105内の洗浄液に対しては液面の検知が困難である。しかし、液面検知素子103cは、S808の処理では、洗浄液と検出用試薬の混合液の液面の位置を検知するので、試薬カップ121内の液体の液面の位置を検知することができる。
【0123】
S809で、試薬カップ121内の液体の液面の位置から、電磁弁123が正常に動作したか否かを判断する。電磁弁123が正常に動作した場合は、
図8のフローチャートの処理を終了する。
【0124】
S810とS811は、電磁弁123が正常に動作しなかった場合の処理である。S810で、自動分析装置の以降の分析動作を停止する。S811で、電磁弁123が正常に動作していないことを知らせるアラートを出力する。
【0125】
S809で電磁弁123が正常に動作したか否かを制御部100が判断するときの判断基準として、S805の処理とS808の処理で検知した液面の位置の差が予め定めた範囲内にある場合には、電磁弁123が正常に動作したと判断する、という判断基準を用いることができる。または、これらの液面の位置の差が予め定めた値以下である場合には、電磁弁123が正常に動作しなかったと判断する、という判断基準を用いることができる。または、これらの液面の位置の差が予め定めた値以上である場合には、電磁弁123が正常に動作しなかったと判断する、という判断基準を用いることができる。
【0126】
図8に示したフローチャートでの処理では、試薬カップ121内に吐出されたタンク105内の洗浄液の体積は、S805の処理とS808の処理で検知した液面の位置の差から求めることができる。このため、試薬カップ121内に十分な空き容量があり、S806でタンク105内の洗浄液が試薬カップ121内に吐出されても試薬カップ121から液体(混合液)が溢れない場合には、S801とS802の処理を省略することができる。
【0127】
<電磁弁113>
次に、本実施例による自動分析装置において、電磁弁113が正常に動作したことを検出する構成について説明する。
図1に示すように、電磁弁113は、分岐ブロック107と検出ユニット103とを接続する流路に設置されている。電磁弁113と検出ユニット103との間には、検出用シリンジ114が設置されている。
【0128】
電磁弁113が設置されている流路は、電磁弁108が設置されている流路と比較して、それぞれの流路に設置されている電磁弁113、108を開放したときの流量が小さい流路である。このため、電磁弁108が正常に動作したことを検出する手順(
図4)のように、圧力センサ112が測定した圧力値に基づいて、電磁弁113が正常に動作したか否かを検出することができない。しかし、電磁弁113が設置されている流路は、検出ユニット103に接続されているため、電磁弁113が正常に動作したか否かは、検出ユニット103での反応液の検出結果に基づいて検出できる。
【0129】
図9は、電磁弁113が正常に動作したことを検出する手順を示すフローチャートである。
【0130】
S901で、電磁弁113を開く。これにより、タンク104内の洗浄液を送液して流路内を洗浄する。
【0131】
S902で、電磁弁113を予め定めた一定時間だけ開いた後に、電磁弁113を閉じる。検出用シリンジ114は、電磁弁113が閉じたのちに、反応液吸引ノズル103aで反応容器102から反応液を吸引し、吸引した反応液を検出ユニット103に送液する。
【0132】
S903で、検出ユニット103で反応液を検出する。検出ユニット103は、検出用シリンジ114から反応液が送液されてきた場合には、この反応液を検出することができる。
【0133】
S904で、検出ユニット103での反応液の検出結果から、電磁弁113が正常に動作したか否かを判断する。検出ユニット103は、検出用シリンジ114から送液されてきた反応液を検出できてこの反応液を分析できた場合には、電磁弁113が正常に動作したと判断することができる。電磁弁113が正常に動作した場合は、
図9のフローチャートの処理を終了する。
【0134】
S905とS906は、電磁弁113が正常に動作しなかった場合の処理である。S905で、自動分析装置の以降の分注動作を停止する。S906で、電磁弁113が正常に動作していないことを知らせるアラートを出力する。
【0135】
S904で電磁弁113が正常に動作したか否かを制御部100が判断するときの、具体的な判断基準の例を以下に説明する。S901とS902で電磁弁113を開閉したときに、電磁弁113が正常に動作せず仕様通りに閉じなかった場合には、検出用シリンジ114は、反応容器102から反応液を吸引し、検出ユニット103に反応液を送液することができない。この場合には、検出ユニット103は、検出用シリンジ114から送液されてきた反応液を検出できなかったり、この反応液の分析を十分に行えなかったりする。また、S901とS902で電磁弁113を開閉したときに、電磁弁113が正常に動作せず仕様通りに開かなかった場合には、タンク104内の洗浄液を送液して流路内を洗浄する工程(S901とS902で実施)が不十分となる。この場合には、検出ユニット103での反応液の分析を十分に行えなくなる。
【0136】
そこで、S904では、S903において検出ユニット103が反応液を検出した結果に基づいて、電磁弁113が正常に動作したか否かを制御部100が判断する。例えば、S903で検出ユニット103が反応液を測定して得られた測定値(例えば、吸光度や発光量)が、予め定めた範囲内である場合には、電磁弁113が正常に動作したと判断する、という判断基準を用いることができる。または、この測定値が予め定めた値以下である場合には、電磁弁113が正常に動作しなかったと判断する、という判断基準を用いることができる。または、この測定値が予め定めた値以上である場合には、電磁弁113が正常に動作しなかったと判断する、という判断基準を用いることができる。
【0137】
以上説明したように、本実施例による自動分析装置では、電磁弁110、電磁弁108、電磁弁118、電磁弁115、電磁弁123、および電磁弁113に対して互いに異なる手順を使用して、これらの電磁弁が正常に動作するか否かを判断する。電磁弁の動作が正常か否かの判断に使用すべき情報は、それぞれの電磁弁で互いに異なる。以下では、動作が正常か否かを判断したい電磁弁に対し、どの情報を使用して判断すべきかを決定する方法の例を説明する。
【0138】
図10は、電磁弁が正常に動作したか否かをどの情報を使用して判断すべきかを決定する方法の例を示すフローチャートである。
図10に示すフローチャートの手順は、自動分析装置を設計する設計者が実行する。設計者は、
図10に示すフローチャートを用いて、動作が正常か否かを判断したい電磁弁に対し、どの情報を使用して判断すべきかを決定する。以下では、動作が正常か否かを判断したい電磁弁を「対象電磁弁」と呼ぶ。
【0139】
S1001で、対象電磁弁の下流に検出ユニット103が接続されているか否かを調べる。対象電磁弁の下流に検出ユニット103が接続されている場合は、S1002の手順を実行する。接続されていない場合は、S1003の手順を実行する。
【0140】
S1002では、検出ユニット103での反応液の検出結果に基づいて、対象電磁弁が正常に動作したか否かを判断すると決定する。本実施例では、電磁弁113のみが、下流に検出ユニット103が接続されている電磁弁である。すなわち、対象電磁弁が電磁弁113である場合には、設計者は、検出ユニット103での反応液の検出結果に基づいて判断する(
図9)と決定する。
【0141】
下流に検出ユニット103が接続されている電磁弁は、検出ユニット103での反応液の検出結果から、動作が正常か否かを判断できる場合が多い。また、対象電磁弁を開閉した後に検出ユニット103で検出するという処理(
図9のS901からS903に対応する処理)が、通常の分析動作に含まれていることが多いため、下流に検出ユニット103が接続されている電磁弁は、通常の分析動作内で正常に動作したか否かを判断することができる。
【0142】
S1003で、対象電磁弁が設置されている流路に圧力センサ112が設置されているか否かを調べる。対象電磁弁が設置されている流路で、対象電磁弁の上流または下流に圧力センサ112が設置されている場合は、S1004の手順を実行する。設置されていない場合は、S1005の手順を実行する。
【0143】
S1004では、圧力センサ112が測定した圧力値に基づいて、対象電磁弁が正常に動作したか否かを判断すると決定する。本実施例では、電磁弁110のみが、電磁弁110が設置されている流路に圧力センサ112が設置されている電磁弁である。すなわち、対象電磁弁が電磁弁110である場合には、設計者は、圧力センサ112が測定した圧力値に基づいて判断する(
図2)と決定する。
【0144】
S1005で、対象電磁弁と圧力センサ112を接続する流路があるか否かを調べる。対象電磁弁と圧力センサ112を接続する流路がある場合は、S1006の手順を実行する。接続する流路がない場合は、S1007の手順を実行する。本実施例では電磁弁108、電磁弁115、および電磁弁118が、圧力センサ112と接続する流路と接続されている電磁弁である。
【0145】
S1006で、対象電磁弁を開放すると、予め定めた規定量以上の流量の液体が対象電磁弁に流れるか否かを調べる。対象電磁弁を開放すると、この規定量以上の流量の液体が対象電磁弁に流れる場合は、対象電磁弁が設置されている流路は、対象電磁弁を開放したときの流量が大きい流路であると判断し、S1004の手順を実行する。S1004では、上述したように、圧力センサ112が測定した圧力値に基づいて、対象電磁弁が正常に動作したか否かを判断すると決定する。本実施例では、電磁弁108のみが、電磁弁108を開放すると規定量以上の流量の液体が流れる電磁弁である。すなわち、対象電磁弁が電磁弁108である場合には、設計者は、圧力センサ112が測定した圧力値に基づいて判断する(
図4)と決定する。
【0146】
S1003で、設置されている流路に圧力センサ112が設置されているとされた対象電磁弁(電磁弁110)と、S1006で、開放すると規定量以上の流量の液体が流れるとされた対象電磁弁(電磁弁108)は、圧力センサ112が測定した圧力値から、正常に動作したか否かを判断できる場合が多い。圧力センサ112の測定値を使用する判断は、1秒以下の短い時間で実施可能である。このため、時間効率を考えても、圧力センサ112の測定値を用いて正常に動作したか否かを判断できる電磁弁は、圧力センサ112の測定値を用いて判断することが望ましい。
【0147】
S1007で、対象電磁弁の下流に、吐出ノズル120、124が設置されており、液面を検知可能な容器(試薬カップ121)が配置されているか否かを調べる。対象電磁弁の下流に、液面を検知可能な容器が配置されている場合は、S1008の手順を実行する。
【0148】
S1008で、液面検知素子103cの検知結果に基づいて、対象電磁弁が正常に動作したか否かを判断すると決定する。液面検知素子103cは、吐出ノズル120、124から試薬カップ121に吐出された液体の液面の位置を検知する。本実施例では、電磁弁115、電磁弁118、および電磁弁123が、下流に、吐出ノズル120、124が設置されており、試薬カップ121が配置されている電磁弁である。すなわち、対象電磁弁が電磁弁115、電磁弁118、および電磁弁123である場合には、設計者は、液面検知素子103cの検知結果(試薬カップ121に吐出された液体の液面の位置)に基づいて判断する(
図7、6、8)と決定する。
【0149】
下流に、吐出ノズル120、124が設置されており、試薬カップ121が配置されている電磁弁は、液面検知素子103cの検知結果から正常に動作したか否かを判断できる場合が多い。
【0150】
図10に示すフローチャートは、電磁弁が正常に動作したか否かの判断にどの情報を使用するかを決定する方法の一例を示している。電磁弁が正常に動作したか否かの判断に使用する情報は、
図10に示すフローチャートで決定されるものに限らない。例えば、自動分析装置が、振動センサやカメラなどの他の検知素子を備える場合には、このような検知素子を活用することもできる。また、ある検知素子で判断しようとした場合にスループットロスなどの悪影響があると考えられる場合には、別の検知素子を活用することが望ましい。さらには、ある電磁弁に対して、開かない異常と閉じない異常とを別の検知素子で検出する、という構成も有効である。
【0151】
図10のフローチャートに示した例のように、電磁弁が正常に動作したか否かを判断する手順は、電磁弁によって異なる。それぞれの手順をどのタイミングで行うかは、判断する手順にかかる時間と電磁弁が故障した際のリスクの両者を考慮して決定することが望ましい。以下では、電磁弁が正常に動作したか否かを判断する手順を行うタイミングを決定する方法の例を説明する。
【0152】
図11は、電磁弁が正常に動作したか否かを判断する手順を行うタイミングを決定する方法の例を示すフローチャートである。
図11に示すフローチャートの手順は、自動分析装置を設計する設計者が実行する。設計者は、
図11に示すフローチャートを用いて、対象電磁弁に対し、どのタイミングで正常に動作したか否かを判断すべきかを決定する。
【0153】
S1101で、対象電磁弁が正常に動作したか否かを判断するための機構動作が、自動分析装置の分析手順に含まれているか否かを調べる。この機構動作が自動分析装置の分析手順に含まれている場合は、S1102の手順を実行する。含まれていない場合は、S1103の手順を実行する。
【0154】
上記の機構動作とは、モーターの回転や電磁弁の開閉など、自動分析装置の構成要素の一部が空間的に移動する動作のことであり、例えば、
図2から
図9のフローチャートにおける電磁弁の開閉動作、液面の検知動作、および反応液の検出動作が含まれる。本実施例では、電磁弁110と電磁弁113が、正常に動作したか否かを判断するための機構動作が、自動分析装置の分析手順に含まれている電磁弁である。
【0155】
S1102では、自動分析装置の分析動作中に、毎回の分析動作において、対象電磁弁が正常に動作したか否かを判断する。S1102の手順は、通常の分析動作に対して追加の必要がない手順である。具体的には、本実施例では、
図2のS201からS204までの処理、および
図9のS901からS903の処理は、通常の分析動作に含まれている動作であるため、対象電磁弁が正常に動作したか否かを判断するために追加の機構動作を必要としない手順である。このため、これらの手順では、通常の分析動作以外に時間を費やすことなく、対象電磁弁が正常に動作したか判断することができる。
【0156】
S1103では、対象電磁弁の故障により自動分析装置に重大なリスクが生じるか否かを調べる。重大なリスクの例には、電磁弁の故障による漏水など、安全にかかわるリスクを含めることができる。重大なリスクが生じる場合は、S1104の手順を実行する。重大なリスクが生じない場合は、S1105の手順を実行する。
【0157】
S1104では、対象電磁弁の故障により自動分析装置に重大なリスクが生じるので、自動分析装置の分析動作中に定期的に対象電磁弁が正常に動作したか否かを判断する。定期的に判断するとは、毎回の機構動作において判断するのではなく、予め定めた時期ごとに判断することである。本実施例では、故障により重大なリスクが生じる電磁弁はない。
【0158】
S1105では、対象電磁弁の故障により自動分析装置に重大なリスクが生じないので、自動分析装置による分析の開始時または終了時に、対象電磁弁が正常に動作したか否かを判断する。本実施例では、故障により重大なリスクが生じない電磁弁は、電磁弁108、電磁弁115、電磁弁118、および電磁弁123である。
【0159】
S1103の分岐手順により、故障により生じるリスクが大きい電磁弁は、正常に動作したか否かを高い頻度で調べ(S1104)、故障により生じるリスクが小さい電磁弁は、正常に動作したか否かを低い頻度で調べる(S1105)ことができる。このため、本実施例による自動分析装置は、分析のスループットを落とさずに効果的に、電磁弁が正常に動作するか否かを検出でき、信頼性を高めることができる。
【0160】
以上説明したように、本実施例による自動分析装置は、備える複数の電磁弁の全てについて、追加の検知素子を取り付けることなく低コストで、正常に動作するか否かを検出することができる。このため、本実施例による自動分析装置は、信頼性を高めることができる。
本発明の実施例2による自動分析装置について説明する。以下の説明では、実施例2による自動分析装置において、実施例1による自動分析装置と共通の構成については説明を省略する。
実施例1では、自動分析装置が備える複数の電磁弁が、正常に動作するか否かを検出する構成について説明した。電磁弁の動作が正常か否かを検出するときには、これとともに、ポンプの圧力が正常であるか否かを検出することもできる。
ただし、ポンプ122が一定以上の圧力であれば正常であると判断できる場合には、上記の液面の位置の差が予め定めた値以上である場合には、ポンプ122の圧力が正常であると判断する、という判断基準を用いることができる。または、ポンプ122が一定以下の圧力であれば正常であると判断できる場合には、上記の液面の位置の差が予め定めた値以下である場合には、ポンプ122の圧力が正常であると判断する、という判断基準を用いることができる。
本実施例による自動分析装置は、追加の検知素子を取り付けることなく低コストで、電磁弁が正常に動作するか否かとポンプの圧力が正常であるか否かを検出することができ、信頼性を高めることができる。
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記の実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備える態様に限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、削除したり、他の構成を追加・置換したりすることが可能である。