(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008090
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】特異部検知システム及び特異部検知方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/892 20060101AFI20230112BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230112BHJP
【FI】
G01N21/892 A
G06T7/00 610Z
G06T7/00 350B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111365
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100133064
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 新
(72)【発明者】
【氏名】川畑 諒太
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 麻耶
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝志
【テーマコード(参考)】
2G051
5L096
【Fターム(参考)】
2G051AA32
2G051AA41
2G051AB01
2G051AB02
2G051BA20
2G051CA03
2G051CB01
2G051CB02
2G051DA15
2G051EA16
2G051EA17
2G051EB05
2G051EC01
2G051ED04
5L096CA02
5L096EA35
5L096EA39
5L096FA59
5L096FA64
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】低解像度の撮像画像により特異部の検知精度を向上させる。
【解決手段】特異部検出部11で、被対象物Oの撮像画像I
0から特異部Sが検出される。特異部画像切出部12で、撮像画像I
0から特異部画像I
1が切り出される。被合成画像生成部13で、特異部画像I
1に基づいて、被合成画像I
21,I
22,I
23の大きさに対する被合成画像I
21,I
22,I
23の中の特異部Sの大きさの比率がそれぞれ異なる複数の被合成画像I
21,I
22,I
23が生成される。合成画像生成部14で、複数の被合成画像I
21,I
22,I
23が合成されて合成画像I
3が生成される。撮像画像I
0が低解像度でも、特異部Sの大きさの比率がそれぞれ異なる複数の被合成画像I
21,I
22,I
23から生成された合成画像I
3により多くの情報が含まれる。識別部15で特異部Sの種別が識別される。低解像度の撮像画像I
0により特異部Sの検知精度を向上できる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被対象物を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像された前記被対象物の撮像画像から、任意の特徴を持った特異部を検出する特異部検出部と、
前記特異部検出部で検出された前記特異部が特異部画像に含まれるように、前記撮像画像から任意の大きさの前記特異部画像を切り出す特異部画像切出部と、
前記特異部画像切出部により切り出された前記特異部画像に基づいて、チャンネルが異なる複数の被合成画像として、前記被合成画像の大きさに対する前記被合成画像の中の前記特異部の大きさの比率がそれぞれ異なる複数の前記被合成画像を生成する被合成画像生成部と、
前記被合成画像生成部により生成された複数の前記被合成画像を合成して合成画像を生成する合成画像生成部と、
前記合成画像生成部により生成された前記合成画像に含まれる前記特異部の種別の識別に関する機械学習の結果を蓄積したデータに基づいて前記特異部の種別を識別する識別部と、
を備えた特異部検知システム。
【請求項2】
前記被合成画像生成部は、前記被合成画像の大きさに対する前記被合成画像の中の前記特異部の大きさの比率がそれぞれ異なる複数の前記被合成画像に基づいて、さらにチャンネルが異なる複数の前記被合成画像を生成する、請求項1に記載の特異部検知システム。
【請求項3】
前記被合成画像生成部は、
異なる前記チャンネルのそれぞれについて、前記被合成画像の大きさに対する前記被合成画像の中の前記特異部の大きさの比率がそれぞれ異なる複数の前記被合成画像のそれぞれに重みを乗じつつ前記チャンネルに変換した複数の前記被合成画像を合成して、さらにチャンネルが異なる複数の前記被合成画像を生成する、請求項2に記載の特異部検知システム。
【請求項4】
被対象物を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程で撮像された前記被対象物の撮像画像から、任意の特徴を持った特異部を検出する特異部検出工程と、
前記特異部検出工程で検出された前記特異部が特異部画像に含まれるように、前記撮像画像から任意の大きさの前記特異部画像を切り出す特異部画像切出工程と、
前記特異部画像切出工程により切り出された前記特異部画像に基づいて、チャンネルが異なる複数の被合成画像として、前記被合成画像の大きさに対する前記被合成画像の中の前記特異部の大きさの比率がそれぞれ異なる複数の前記被合成画像を生成する被合成画像生成工程と、
前記被合成画像生成工程により生成された複数の前記被合成画像を合成して合成画像を生成する合成画像生成工程と、
前記合成画像生成工程により生成された前記合成画像に含まれる前記特異部の種別の識別に関する機械学習の結果を蓄積したデータに基づいて前記特異部の種別を識別する識別工程と、
を備えた特異部検知方法。
【請求項5】
前記被合成画像生成工程では、前記被合成画像の大きさに対する前記被合成画像の中の前記特異部の大きさの比率がそれぞれ異なる複数の前記被合成画像に基づいて、さらにチャンネルが異なる複数の前記被合成画像を生成する、請求項4に記載の特異部検知方法。
【請求項6】
前記被合成画像生成工程では、
異なる前記チャンネルのそれぞれについて、前記被合成画像の大きさに対する前記被合成画像の中の前記特異部の大きさの比率がそれぞれ異なる複数の前記被合成画像のそれぞれに重みを乗じつつ前記チャンネルに変換した複数の前記被合成画像を合成して、さらにチャンネルが異なる複数の前記被合成画像を生成する、請求項5に記載の特異部検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特異部検知システム及び特異部検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被対象物の撮像画像に基づいて、欠陥等を含む、他の大部分の領域と異なる特徴を持った部位(以後、特異部)を検知する特異部検知システムが知られている。この種の特異部検知システムは、偏光フィルム及び位相差フィルム等の光学フィルム、並びに電池のセパレータに用いられる積層フィルム等のフィルムの異常を検知する。例えば、特許文献1には、搬送方向にフィルムを搬送し、フィルムの搬送方向に直交する方向に配列された複数のカメラによりフィルムの2次元画像を離散時間ごとに撮像し、撮像した2次元画像に基づいて特異部検知を行う特異部検知システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、欠陥等を含む、他の大部分の領域と異なる特徴を持った部位(以後、特異部)の検知精度を向上させるためには、被対象物を撮像するカメラを高解像度化することが考えられる。しかし、上記のような特異部検知システムでは、複数のカメラが配列されているため、当該カメラは低解像度の光学系が多い。そのため、カメラの高解像度化はコストを増大させる。
【0005】
そこで本発明は、低解像度の撮像画像によっても特異部の検知精度を向上できる特異部検知システム及び特異部検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被対象物を撮像する撮像部と、撮像部で撮像された被対象物の撮像画像から、任意の特徴を持った特異部を検出する特異部検出部と、特異部検出部で検出された特異部が特異部画像に含まれるように、撮像画像から任意の大きさの特異部画像を切り出す特異部画像切出部と、特異部画像切出部により切り出された特異部画像に基づいて、チャンネルが異なる複数の被合成画像として、被合成画像の大きさに対する被合成画像の中の特異部の大きさの比率がそれぞれ異なる複数の被合成画像を生成する被合成画像生成部と、被合成画像生成部により生成された複数の被合成画像を合成して合成画像を生成する合成画像生成部と、合成画像生成部により生成された合成画像に含まれる特異部の種別の識別に関する機械学習の結果を蓄積したデータに基づいて特異部の種別を識別する識別部とを備えた特異部検知システムである。
【0007】
この構成によれば、特異部検出部により、撮像部で撮像された被対象物の撮像画像から任意の特徴を持った特異部が検出される。特異部画像切出部により、特異部検出部で検出された特異部が特異部画像に含まれるように撮像画像から任意の大きさの特異部画像が切り出される。被合成画像生成部により、特異部画像切出部により切り出された特異部画像に基づいて、チャンネルが異なる複数の被合成画像として、被合成画像の大きさに対する被合成画像の中の特異部の大きさの比率がそれぞれ異なる複数の被合成画像が生成される。合成画像生成部により、被合成画像生成部により生成された複数の被合成画像が合成されて合成画像が生成される。これにより、撮像画像が低解像度であっても、被合成画像の中の特異部の大きさの比率がそれぞれ異なる複数の被合成画像から生成された合成画像により多くの情報を含めることができる。したがって、識別部により、合成画像生成部により生成された合成画像に含まれる特異部の種別の識別に関する機械学習の結果を蓄積したデータに基づいて特異部の種別が識別されることにより、低解像度の撮像画像によっても特異部の検知精度を向上できる。
【0008】
この場合、被合成画像生成部は、被合成画像の大きさに対する被合成画像の中の特異部の大きさの比率がそれぞれ異なる複数の被合成画像に基づいて、さらにチャンネルが異なる複数の被合成画像を生成することが好適である。
【0009】
この構成によれば、被合成画像生成部により、被合成画像の大きさに対する被合成画像の中の特異部の大きさの比率がそれぞれ異なる複数の被合成画像に基づいて、さらにチャンネルが異なる複数の被合成画像が生成されるため、合成画像により多くの情報を含めることが容易となる。
【0010】
この場合、被合成画像生成部は、異なるチャンネルのそれぞれについて、被合成画像の大きさに対する被合成画像の中の特異部の大きさの比率がそれぞれ異なる複数の被合成画像のそれぞれに重みを乗じつつチャンネルに変換した複数の被合成画像を合成して、さらにチャンネルが異なる複数の被合成画像を生成することが好適である。
【0011】
この構成によれば、被合成画像生成部により、異なるチャンネルのそれぞれについて、被合成画像の大きさに対する被合成画像の中の特異部の大きさの比率がそれぞれ異なる複数の被合成画像のそれぞれに重みを乗じつつ当該チャンネルに変換した複数の被合成画像を合成して、さらにチャンネルが異なる複数の被合成画像が生成されるため、被合成画像にはさらに多くの情報を含めることができ、このような被合成画像が合成されて合成画像が生成されることにより、合成画像にされに多くの情報を含めることができる。
【0012】
また、本発明は、被対象物を撮像する撮像工程と、撮像工程で撮像された被対象物の撮像画像から、任意の特徴を持った特異部を検出する特異部検出工程と、特異部検出工程で検出された特異部が特異部画像に含まれるように、撮像画像から任意の大きさの特異部画像を切り出す特異部画像切出工程と、特異部画像切出工程により切り出された特異部画像に基づいて、チャンネルが異なる複数の被合成画像として、被合成画像の大きさに対する被合成画像の中の特異部の大きさの比率がそれぞれ異なる複数の被合成画像を生成する被合成画像生成工程と、被合成画像生成工程により生成された複数の被合成画像を合成して合成画像を生成する合成画像生成工程と、合成画像生成工程により生成された合成画像に含まれる特異部の種別の識別に関する機械学習の結果を蓄積したデータに基づいて特異部の種別を識別する識別工程とを備えた特異部検知方法である。
【0013】
この場合、被合成画像生成工程では、被合成画像の大きさに対する被合成画像の中の特異部の大きさの比率がそれぞれ異なる複数の被合成画像に基づいて、さらにチャンネルが異なる複数の被合成画像を生成することが好適である。
【0014】
この場合、被合成画像生成工程では、異なるチャンネルのそれぞれについて、被合成画像の大きさに対する被合成画像の中の特異部の大きさの比率がそれぞれ異なる複数の被合成画像のそれぞれに重みを乗じつつチャンネルに変換した複数の被合成画像を合成して、さらにチャンネルが異なる複数の被合成画像を生成することが好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の特異部検知システム及び特異部検知方法によれば、低解像度の撮像画像によっても特異部の検知精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係る特異部検知システムを示す斜視図である。
【
図2】
図1の画像処理エンジンの機能を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る特異部検知方法を示すフローチャートである。
【
図4】撮像画像、特異部画像、被合成画像及び合成画像の一例を示す図である。
【
図5】撮像画像、特異部画像、被合成画像及び合成画像の他の例を示す図である。
【
図6】畳み込みニューラルネットワークを示す図である。
【
図7】実施形態に係る特異部検知システムによる過剰率と見逃し率の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の特異部検知システム及び特異部検知方法の実施形態について詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の特異部検知システム1は、搬送部2、光源3、撮像部4、画像処理部5、マーカ制御ユニット6及びマーカ7を備えている。本実施形態の特異部検知システム1は、偏光フィルム及び位相差フィルム等の光学フィルム、並びに電池のセパレータに用いられる積層フィルム等のフィルムを被対象物Oとする。本実施形態の特異部検知システム1は、被対象物Oの欠陥を特異部として検出する。被対象物Oに生じる欠陥とは、所望の状態とは異なる状態を指すものであり、例えば、異物、打痕、気泡(成形時に生じる物等)、異物気泡(異物の混入により生じる物等)、傷、クニック(折り目痕等により生じる物等)、及びスジ(厚さの違いにより生じる物等)が挙げられる。
【0018】
搬送部2は、光源3及び撮像部4に対して被対象物Oを図中の矢印の搬送方向に搬送する。搬送部2は、例えば、被対象物Oであるフィルムを搬送する送出ローラと受取ローラを備え、ロータリーエンコーダなどにより搬送距離を計測する。本実施形態では、搬送部2による被対象物Oの搬送速度は、2~100m/分程度に設定される。搬送部2における搬送速度は、画像処理部5によって設定及び制御される。
【0019】
光源3は、被対象物Oに光を照射する。光源3は、被対象物Oであるフィルムの搬送方向に対する幅方向に平行な線状な光を照射するように配置されている。光源3としては、メタルハライドランプ、ハロゲン伝送ライト、蛍光灯など、被対象物Oであるフィルムの組成および性質に影響を与えない光を照射するものであれば、特に限定されない。
【0020】
撮像部4は、被対象物Oを撮像する。撮像部4は、光源3から被対象物Oに照射されて被対象物Oを透過又は反射した光による2次元画像を一時的又は所定の離散時間ごとに撮像する。撮像部4は、被対象物Oであるフィルムの幅方向に配列された複数の光学部材と光電変換素子とを有している。光学部材は、光学レンズ、シャッター等から構成され、被対象物Oであるフィルムを透過した光を光電変換素子の表面に結像させる。光電変換素子は、2次元画像を撮像するCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(ComplementaryMetal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子で構成されるエリアセンサである。
【0021】
画像処理部5は、撮像部4により撮像された2次元画像の画像データを処理する。画像処理部5は、例えば、画像処理ソフトウェアがインストールされたPC(パーソナルコンピュータ)、画像処理回路が記述されたFPGA(Field Programmable Gate Array)を搭載する画像キャプチャボード等を適用することができる。
【0022】
マーカ制御ユニット6は、画像処理部5からの指令信号に基づいて、マーカ7の動作を制御する。マーカ7は、マーカ制御ユニット6からの指令信号に基づいて、画像処理部5により検知された特異部の種別に対応したマークMを被対象物Oであるフィルムに塗布する。
【0023】
以下、画像処理部5の詳細について説明する。
図2に示されるように、画像処理部5は、特異部検出部11、特異部画像切出部12、被合成画像生成部13、合成画像生成部14及び識別部15を有する。特異部検出部11は、撮像部4で撮像された被対象物Oの撮像画像から、任意の特徴を持った特異部を検出する。
【0024】
上述したように、特異部とは、被対象物において、欠陥等を含む、他の大部分の領域と異なる特徴を持った部位を意味する。後述するように、特異部検出部11は、撮像画像から、例えば、輝度、色、大きさ及び形状からなる群より選ばれる少なくとも一つの特徴を持った特異部を検出する。輝度としては、明るさ、ヒストグラム、輝度勾配、鮮鋭度等が含まれ、色としては、波長やスペクトル、色度、色差等が含まれ、大きさとしては、幅、高さ、サイズ、面積、体積等が含まれ、形状としては、フェレ径、アスペクト比、エッジの形や方向、モーメント、真円度、複雑度等が含まれる。輝度、色、大きさ及び形状以外にも、特異部検出部11は、予め人為的に定められた任意の特徴を持った特異部を検出することができる。つまり、特異部検出部11は、機械学習がまだなされていない未学習の段階において、人為的に定められたルールベースの手法により特異部を検出する。
【0025】
特異部画像切出部12は、特異部検出部11で検出された特異部が特異部画像に含まれるように、撮像画像から任意の大きさの特異部画像を切り出す。特異部が特異部画像に含まれるとは、例えば、特異部の中心と特異部画像の中心とが一致する場合の他に、特異部のいずれかの部位と特異部画像の中心とが重なっている場合を含む。また、上記任意の大きさは、特異部を含んでおり、高速に識別可能な大きさであればよく、特異部の全体を含んでいる大きさの他に、特異部の一部を含む大きさを含む。特異部画像の形状は、正方形又は長方形に限定されず、円形、多角形等の任意の形状にすることができる。
【0026】
被合成画像生成部13は、特異部画像切出部12により切り出された特異部画像に基づいて、チャンネルが異なる複数の被合成画像として、被合成画像の大きさに対する被合成画像の中の特異部の大きさの比率(拡大率又は縮小率)がそれぞれ異なる複数の被合成画像を生成する。チャンネルとは、任意の情報を保存可能なグレースケール画像を意味する。
【0027】
チャンネルが異なるとは、例えば、被合成画像の大きさに対する被合成画像の中の特異部の大きさの比率のチャンネルが異なる場合の他に、被合成画像の色のチャンネルが異なる場合、被合成画像の回転角度のチャンネルが異なる場合及び被合成画像の何らかの変換の条件のチャンネルが異なる場合等が含まれる。本実施形態では、チャンネルが異なる複数の被合成画像として、被合成画像生成部13は、被合成画像の大きさに対する被合成画像の中の特異部の大きさの比率のチャンネルがそれぞれ異なる複数の被合成画像に加えて、色のチャンネルが異なる複数の被合成画像を生成する。被合成画像生成部13の動作の詳細については、後述する。
【0028】
合成画像生成部14は、被合成画像生成部13により生成された複数の被合成画像を合成して合成画像を生成する。合成画像生成部14は、識別部15による機械学習の対象となる合成画像を生成する。合成画像生成部14の動作の詳細については、後述する。
【0029】
識別部15は、合成画像生成部14により生成された合成画像に含まれる特異部の種別の識別に関する機械学習の結果を蓄積したデータに基づいて特異部の種別を識別する。識別部15は、合成画像に含まれる特異部の種別の識別に関する畳み込みニューラルネットワークの結果を蓄積したデータに基づいて特異部の種別を識別する。なお、機械学習の結果を蓄積したデータに基づいて特異部の種別を識別可能であれば、畳み込みニューラルネットワーク以外のニューラルネットワークやその他の手法を用いることも可能である。
【0030】
以下、本実施形態の特異部検知システムによる特異部検知方法について説明する。
図1、
図3及び
図4に示されるように、特異部検知システム1の撮像部4により、被対象物Oを撮像する撮像工程が行われる(S1)。撮像工程では、例えば、
図4に示されるように、光学フィルム、積層フィルム等のフィルムである被対象物Oの撮像画像I
0が撮像される。
【0031】
図1、
図3及び
図4に示されるように、特異部検知システム1の特異部検出部11により、撮像工程で撮像された被対象物Oの撮像画像I
0から、任意の特徴を持った特異部Sを検出する特異部検出工程が行われる(S2)。
図4の例では、フィルムである被対象物Oの撮像画像I
0において、台形状の特異部Sが検出される。特異部検出工程では、特異部検知システム1の特異部検出部11により、撮像画像I
0から、輝度、色、大きさ及び形状のいずれかの特徴を持った特異部Sが検出される。特異部検出部11は、例えば、撮像画像I
0の中で輝度及び大きさが所定の閾値を超える画素の集合を特異部Sとして検出することができる。
【0032】
図1、
図3及び
図4に示されるように、特異部検知システム1の特異部画像切出部12により、特異部検出工程で検出された特異部Sが特異部画像I
1に含まれるように、撮像画像I
0から任意の大きさの特異部画像I
1を切り出す特異部画像切出工程が行われる(S3)。なお、
図4の例では、特異部Sの中心と特異部画像I
1の中心とが一致しているが、上述したように、特異部Sのいずれかの部位と特異部画像I
1の中心とが重なっていればよい。本実施形態では、特異部画像I
1の大きさは、例えば、64×64ピクセル(pixel)である。
【0033】
図1、
図3及び
図4に示されるように、特異部検知システム1の被合成画像生成部13により、特異部画像切出工程により切り出された特異部画像I
1に基づいて、チャンネルが異なる複数の被合成画像として、被合成画像I
21,I
22,I
23の大きさに対する被合成画像I
21,I
22,I
23の中の特異部Sの大きさの比率がそれぞれ異なる複数の被合成画像I
21,I
22,I
23を生成する被合成画像生成工程が行われる(S4)。複数の被合成画像I
21,I
22,I
23には、処理されていない特異部画像I
1が含まれていてもよく、含まれていなくてもよい。
【0034】
図4の例では、被合成画像I
21は、処理されていない特異部画像I
1である。被合成画像I
22は、特異部Sが中心に位置するように特異部画像I
1を32×32ピクセルにトリミングした画像を64×64ピクセルにリサイズしたものである。つまり、被合成画像I
22は、特異部Sが中心に位置するように特異部画像I
1を拡大率200%で拡大した画像である。被合成画像I
23は、特異部Sが中心に位置するように特異部画像I
1を16×16ピクセルにトリミングした画像を64×64ピクセルにリサイズしたものである。つまり、被合成画像I
23は、特異部Sが中心に位置するように特異部画像I
1を拡大率400%で拡大した画像である。
【0035】
チャンネルが異なる複数の被合成画像として、特異部画像I1に対して、2つの被合成画像が生成されてもよく、4つ以上の被合成画像が生成されてもよい。また、特異部画像I1に対して、縮小された被合成画像が生成されてもよい。
【0036】
被合成画像生成工程では、被合成画像生成部13は、被合成画像I
21,I
22,I
23の大きさに対する被合成画像I
21,I
22,I
23の中の特異部Sの大きさの比率がそれぞれ異なる複数の被合成画像I
21,I
22,I
23に基づいて、さらにチャンネルが異なる複数の被合成画像を生成する。具体的には、例えば、被合成画像生成工程では、被合成画像I
21,I
22,I
23に基づいて、異なるチャンネルとして、さらに色のチャンネルが異なる複数の被合成画像I
B,I
R,I
Gが生成される。
図4の例では、被合成画像I
Bは、被合成画像
21のRGBカラーモデルにおけるB(青)を強調した画像であり、被合成画像I
Rは、被合成画像
22のRGBカラーモデルにおけるR(赤)を強調した画像であり、被合成画像I
Gは、被合成画像
23のRGBカラーモデルにおけるG(緑)を強調した画像である。
【0037】
なお、
図4の例では、被合成画像I
B,I
R,I
Gは、それぞれB、R及びGのチャンネルであるが、それぞれR、G及びB等の任意のチャンネルが割り当てられてもよい。また、後述する合成画像I
3において、拡大率又は縮小率が異なる特異部Sのそれぞれが認識可能であれば、被合成画像生成工程では、RGBカラーモデルのR、G及びB以外のチャンネルの単数又は複数の被合成画像が生成されてもよい。また、合成画像I
3において、拡大率又は縮小率が異なる特異部Sのそれぞれが認識可能であれば、被合成画像生成工程では、チャンネルが異なる複数の被合成画像として、色以外の要素が異なる複数の被合成画像が生成されてもよい。
【0038】
図1、
図3及び
図4に示されるように、特異部検知システム1の合成画像生成部14により、被合成画像生成工程により生成された複数の被合成画像I
B,I
R,I
Gを合成して合成画像I
3を生成する合成画像生成工程が行われる(S5)。
【0039】
図4の例では、合成画像I
3は、64×64ピクセルの画像である。合成画像I
3において、最も小さい拡大率100%の特異部Sの部位は、B、R及びGのチャンネルを有する。合成画像I
3において、2番目の大きさの拡大率200%の特異部Sの部位から拡大率100%の特異部Sの部位を除いた部位は、R及びGのチャンネルを有する。合成画像I
3において、最も大きい拡大率400%の特異部Sの部位から拡大率200%の特異部Sの部位を除いた部位は、Gのチャンネルを有する。以上のようにして、拡大率又は縮小率が異なる特異部Sのそれぞれが認識可能である合成画像I
3が生成される。
【0040】
また、
図5に示されるように、被合成画像生成工程では、被合成画像生成部13は、異なるチャンネルのそれぞれについて、被合成画像I
21,I
22,I
23…I
2nの大きさに対する被合成画像I
21,I
22,I
23…I
2nの中の特異部Sの大きさの比率がそれぞれ異なる複数の被合成画像I
21,I
22,I
23…I
2nのそれぞれに重みW
21B,W
21R,W
21G,W
22B,W
22R,W
22G…W
2nB,W
2nR,W
2nGを乗じつつ当該チャンネルに変換した複数の被合成画像を合成して、さらにチャンネルが異なる複数の被合成画像I
B,I
R,I
Gを生成してもよい。
【0041】
具体的には、例えば、被合成画像生成工程では、被合成画像生成部13は、異なるチャンネルとして、異なるB、R及びGのチャンネルのそれぞれについて、被合成画像I21,I22,I23…I2nの大きさに対する被合成画像I21,I22,I23…I2nの中の特異部Sの大きさの比率がそれぞれ異なる複数の被合成画像I21,I22,I23…I2nのそれぞれにB、R及びGの色の重みW21B,W21R,W21G,W22B,W22R,W22G…W2nB,W2nR,W2nGを乗じ、色の重みW21B,W21R,W21G,W22B,W22R,W22G…W2nB,W2nR,W2nGを乗じた複数の被合成画像I21,I22,I23…I2nを合成して、チャンネルが異なる複数の被合成画像IB,IR,IGを生成してもよい。
【0042】
この場合、例えば、被合成画像生成部13は、Bのチャンネルについて、被合成画像I21,I22,I23…I2nのそれぞれをRGBカラーモデルにおけるBのみで表現した画像のそれぞれに互いに異なる任意の重みW21B,W22B…W2nBを乗じる。重みW21B,W22B…W2nBは、被合成画像I21,I22,I23…I2nのそれぞれをRGBカラーモデルにおけるBのみで表現した画像のそれぞれに対する当該Bの輝度の割合を意味する。被合成画像生成部13は、Bのチャンネルについて、被合成画像I21,I22,I23…I2nのそれぞれをRGBカラーモデルにおけるBのみで表現した画像のそれぞれに任意の重みW21B,W22B…W2nBを乗じた画像を合成して、被合成画像IBを生成する。被合成画像IBは、被合成画像IBの大きさに対する被合成画像IBの中の大きさの比率が異なる特異部Sのそれぞれが、互いに異なるBのチャンネルの輝度で表現された画像である。
【0043】
同様に、例えば、被合成画像生成部13は、Rのチャンネルについて、被合成画像I21,I22,I23…I2nのそれぞれをRGBカラーモデルにおけるRのみで表現した画像のそれぞれに互いに異なる任意の重みW21R,W22R…W2nRを乗じる。重みW21R,W22R…W2nRは、被合成画像I21,I22,I23…I2nのそれぞれをRGBカラーモデルにおけるRのみで表現した画像のそれぞれに対する当該Rの輝度の割合を意味する。被合成画像生成部13は、Rの色について、被合成画像I21,I22,I23…I2nのそれぞれをRGBカラーモデルにおけるRのみで表現した画像のそれぞれに任意の重みW21R,W22R…W2nRを乗じた画像を合成して、被合成画像IRを生成する。被合成画像IRは、被合成画像IRの大きさに対する被合成画像IRの中の大きさの比率が異なる特異部Sのそれぞれが、互いに異なるRのチャンネルの輝度で表現された画像である。
【0044】
同様に、例えば、被合成画像生成部13は、Gのチャンネルについて、被合成画像I21,I22,I23…I2nのそれぞれをRGBカラーモデルにおけるGのみで表現した画像のそれぞれに互いに異なる任意の重みW21G,W22G…W2nGを乗じる。重みW21G,W22G…W2nGは、被合成画像I21,I22,I23…I2nのそれぞれをRGBカラーモデルにおけるGのみで表現した画像のそれぞれに対する当該Gの輝度の割合を意味する。被合成画像生成部13は、Gのチャンネルについて、被合成画像I21,I22,I23…I2nのそれぞれをRGBカラーモデルにおけるGのみで表現した画像のそれぞれに任意の重みW21G,W22G…W2nGを乗じた画像を合成して、被合成画像IGを生成する。被合成画像IGは、被合成画像IGの大きさに対する被合成画像IGの中の大きさの比率が異なる特異部Sのそれぞれが、互いに異なるGのチャンネルの輝度で表現された画像である。
【0045】
この場合も、
図1、
図3及び
図5に示されるように、特異部検知システム1の合成画像生成部14により、被合成画像生成工程により生成された複数の被合成画像I
B,I
R,I
Gを合成して合成画像I
3を生成する合成画像生成工程が行われる(S5)。なお、合成画像I
3において、拡大率又は縮小率が異なる特異部Sのそれぞれが認識可能であれば、被合成画像生成工程では、被合成画像生成部13は、色以外の回転角度及び何らかの変換の条件等が異なるチャンネルのそれぞれについて、被合成画像I
21,I
22,I
23…I
2nの大きさに対する被合成画像I
21,I
22,I
23…I
2nの中の特異部Sの大きさの比率がそれぞれ異なる複数の被合成画像I
21,I
22,I
23…I
2nのそれぞれに重みを乗じつつ当該チャンネルに変換した複数の被合成画像を合成して、さらにチャンネルが異なる複数の被合成画像を生成してもよい。
【0046】
図1及び
図3に示されるように、特異部検知システム1の識別部15により、合成画像生成工程により生成された合成画像I
3に含まれる特異部Sの種別の識別に関する機械学習の結果を蓄積したデータに基づいて特異部Sの種別を識別する識別工程が行われる(S6)。機械学習は、例えば、畳み込みニューラルネットワークが行われる。
【0047】
図6に示すように、畳み込みニューラルネットワーク100は、入力層110、隠れ層120及び出力層130を備えている。入力層110には、特異部検知システム1の合成画像生成部14により、合成画像生成工程で生成された合成画像I
3が入力される。隠れ層120は、重みフィルタFによる画像処理が行われる畳み込み層121,123と、畳み込み層121,123から出力された二次元配列を縦横に小さくして有効な値を残す処理を行うプーリング層122と、各層の重み係数Nが更新される全結合層124とを有する。出力層130では、機械学習による特異部Sの種別の識別結果が出力される。畳み込みニューラルネットワーク100では、出力された識別結果と正解値との誤差を逆方向Dに逆伝播することによって各層の重みが学習される。
【0048】
例えば、識別部15に予め複数の合成画像I3を特異部Sの種別の識別の正解とともに入力して学習させておくことにより、新たに入力された合成画像I3に含まれる特異部Sが特定の欠陥の種別であるかどうかが順次識別され、識別結果が順次出力される。順次出力された識別結果と正解との誤差は逆方向Dに逆伝播され、各層の重み係数Nが順次更新され、データとして蓄積される。各相の重みが順次更新された状態で、さらに新たに入力された合成画像I3に含まれる特異部Sが特定の欠陥の種別であるかどうかが順次識別され、識別結果が順次出力され、順次出力された識別結果と正解との誤差に基づいて各層の重み係数Nが順次更新され、データとして蓄積されることが繰り返されることにより、識別結果と正解との誤差が小さくなり、欠陥の種別の識別の精度が向上する。
【0049】
本実施形態によれば、特異部検出部11により、撮像部4で撮像された被対象物Oの撮像画像I0から任意の特徴を持った特異部Sが検出される。特異部画像切出部12により、特異部検出部11で検出された特異部Sが特異部画像I1に含まれるように撮像画像I0から任意の大きさの特異部画像I1が切り出される。
【0050】
被合成画像生成部13により、特異部画像切出部12により切り出された特異部画像I1に基づいて、チャンネルが異なる複数の被合成画像として、被合成画像I21,I22,I23の大きさに対する被合成画像I21,I22,I23の中の特異部Sの大きさの比率がそれぞれ異なる複数の被合成画像I21,I22,I23が生成される。合成画像生成部14により、被合成画像生成部13により生成された複数の被合成画像I21,I22,I23が合成されて合成画像I3が生成される。
【0051】
これにより、撮像画像I0が低解像度であっても、被合成画像I21,I22,I23の中の特異部Sの大きさの比率がそれぞれ異なる複数の被合成画像I21,I22,I23から生成された合成画像I3により多くの情報を含めることができる。例えば、特異部Sに含まれる欠陥には、拡大されない方が検知し易くなるもの及び拡大された方が検知し易くなるものが存在する。したがって、識別部15により、合成画像生成部14により生成された合成画像I3に含まれる特異部Sの種別の識別に関する機械学習の結果を蓄積したデータに基づいて特異部Sの種別が識別されることにより、低解像度の撮像画像I0によっても特異部Sの検知精度を向上できる。
【0052】
また、本実施形態によれば、被合成画像生成部13により、被合成画像の大きさに対する被合成画像I21,I22,I23の中の特異部Sの大きさの比率がそれぞれ異なる複数の被合成画像I21,I22,I23に基づいて、さらにチャンネルが異なる複数の被合成画像IB,IR,IGが生成されるため、合成画像I3により多くの情報を含めることが容易となる。
【0053】
また、本実施形態によれば、被合成画像生成部13により、異なるチャンネルのそれぞれについて、被合成画像I21,I22,I23…I2nの大きさに対する被合成画像I21,I22,I23…I2nの中の特異部Sの大きさの比率がそれぞれ異なる複数の被合成画像I21,I22,I23…I2nのそれぞれに重みW21B,W21R,W21G,W22B,W22R,W22G…W2nB,W2nR,W2nGを乗じつつ当該チャンネルに変換した複数の被合成画像を合成して、さらにチャンネルが異なる複数の被合成画像IB,IR,IGが生成されるため、被合成画像IB,IR,IGにはさらに多くの情報を含めることができ、このような被合成画像IB,IR,IGが合成されて合成画像I3が生成されることにより、合成画像I3にされに多くの情報を含めることができる。
【0054】
以下、本実施形態の実験例について説明する。上記本実施形態の特異部検知システム1及び従来のシステムにより、フィルムの特異部Sに含まれるフィルムの欠陥を検知した。
図7に、実施形態に係る特異部検知システム1及び従来のシステムによる過剰率と見逃し率の関係を示す。なお、
図7において、過剰率とは良品を不良品として判定する割合であり、見逃し率は不良品を良品判定する割合であり、両者はトレードオフの関係にある。
図7に示されるように、本実施形態の特異部検知システム1による欠陥の検知の結果は、従来のシステムによるフィルムの欠陥の検知の結果よりも、同じ見逃し率に比べて過剰率が低いことが判る。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。例えば、本実施形態の特異部検知システム1及び特異部検知方法は、油水分離槽の分液界面を検知し、分液界面の特異部に含まれる異常を認識する場合にも適用できる。また、本実施形態の特異部検知システム1及び特異部検知方法は、煙突の発煙を検知し、発煙の特異部に含まれる異常を認識する場合にも適用できる。
【0056】
また、本実施形態の特異部検知システム1及び特異部検知方法は、生産ラインにおいて、容器に充填された液体の充填量検査に適用することができる。本実施形態の特異部検知システム1及び特異部検知方法により、画像内の各画素の輝度値を特徴空間へ射影したベクトルを特徴として、容器内のどの位置まで液体が到達しているかを検知することができる。
【0057】
また、本実施形態の特異部検知システム1及び特異部検知方法は、生産ラインにおいて、ガラス製品等の割れやキズ等の外観検査に適用することができる。ガラス製品に照明を当てて撮影すると、撮影画像内の一部に異常が有る場合には輝度が他の部位よりも高くなることを利用して特異部に含まれる欠陥を検出することができる。すなわち、本実施形態では、背景差分により得られる輝度値の差を特徴として、ガラス製品の特異部に含まれる異常を認識することができる。
【0058】
また、本実施形態の特異部検知システム1及び特異部検知方法は、工場における異常者の立ち入り及び異常な行動の管理にも適用することができる。また、本実施形態の特異部検知システム1及び特異部検知方法は、撮像部4を有人航空機、無人航空機及びドローン等に搭載し、撮像部4と特異部検出部11とを無線通信により接続して、撮像部4が搭載されたドローン等を工場内で飛行させて、工場内の設備の画像を撮影することにより、画像内の輝度値を特徴として工場設備の異常状態を検知することができ、工場設備の点検等を遠隔で行うことができる。
【0059】
さらに、本実施形態の特異部検知システム1及び特異部検知方法は、撮像部4を有人航空機、無人航空機及びドローン等に搭載し、撮像部4と特異部検出部11とを無線通信により接続して、撮像部4が搭載されたドローン等を農場の上空で飛行させて撮影することにより、画像内の輝度値を特徴として広域における農作物等の欠陥を検知することができる。
【符号の説明】
【0060】
1…特異部検知システム、2…搬送部、3…光源、4…撮像部、5…画像処理部、6…マーカ制御ユニット、7…マーカ、11…特異部検出部、12…特異部画像切出部、13…被合成画像生成部、14…合成画像生成部、15…識別部、100…畳み込みニューラルネットワーク、110…入力層、120…隠れ層、121,123…畳み込み層、122…プーリング層、124…全結合層、130…出力層、I0…撮像画像、I1…特異部画像、I21,I22,I23,I2n,IB,IR,IG…被合成画像、W21B,W21R,W21G,W22B,W22R,W22G,W2nB,W2nR,W2nG…重み、I3…合成画像、O…被対象物、M…マーク、S…特異部、F…重みフィルタ、N…重み係数、D…逆方向。