(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081015
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】基板処理システム及び基板処理システムの調整方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20230602BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194650
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】信田 菜奈子
(72)【発明者】
【氏名】岡 寛樹
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA01
5F131BA15
5F131BA19
5F131BB04
5F131CA32
5F131CA33
5F131CA36
5F131CA43
5F131DA02
5F131DA03
5F131DB52
5F131DB58
5F131DB62
5F131DB76
5F131DD33
5F131DD43
5F131DD76
5F131EA03
5F131EA04
5F131EA25
5F131EB72
5F131FA26
5F131FA32
5F131KA15
5F131KA47
5F131KA72
5F131KB05
5F131KB12
5F131KB32
5F131KB53
5F131KB58
(57)【要約】
【課題】複数の基板を同時に搬送する搬送装置を備える基板処理システムにおいて、基板の位置ずれを補正して搬送する基板処理システム及び基板処理システムの調整方法を提供する。
【解決手段】第1載置部を有する第1処理室と、第2載置部を有する第2処理室と、前記第1載置部及び前記第2載置部に基板を同時に搬送する搬送装置を備える搬送室と、を備える、基板処理システムであって、前記第1載置部及び前記第2載置部を傾ける、基板処理システム。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1載置部を有する第1処理室と、
第2載置部を有する第2処理室と、
前記第1載置部及び前記第2載置部に基板を同時に搬送する搬送装置を備える搬送室と、を備える、基板処理システムであって、
前記第1載置部及び前記第2載置部を傾ける、
基板処理システム。
【請求項2】
前記第1載置部を収容する前記第1処理室のチャンバを傾けて支持する第1チャンバ支持部と、
前記第2載置部を収容する前記第2処理室のチャンバを傾けて支持する第2チャンバ支持部と、を備える、
請求項1に記載の基板処理システム。
【請求項3】
前記第1載置部を収容する前記第1処理室のチャンバに対し、前記第1載置部を傾けて支持する第1支持部と、
前記第2載置部を収容する前記第2処理室のチャンバに対し、前記第2載置部を傾けて支持する第2支持部と、を備える、
請求項1に記載の基板処理システム。
【請求項4】
前記第1載置部と対向して配置される前記第1処理室のシャワーヘッドを傾け、
前記第2載置部と対向して配置される前記第2処理室のシャワーヘッドを傾ける、
請求項3に記載の基板処理システム。
【請求項5】
第1の方向における前記第1載置部の傾きと、前記第1の方向における前記第2載置部の傾きとは、正負の向きが等しい、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の基板処理システム。
【請求項6】
前記第1の方向と直交する第2の方向における前記第1載置部の傾きと、前記第2の方向における前記第2載置部の傾きとは、正負の向きが等しい、
請求項5に記載の基板処理システム。
【請求項7】
前記第1載置部の傾き及び前記第2載置部の傾きは、向き及び傾き角度が等しい、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の基板処理システム。
【請求項8】
前記第1載置部及び前記第2載置部は、前記基板を収容する凹部を有する、
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の基板処理システム。
【請求項9】
傾きを調整可能な第1載置部を有する第1処理室と、傾きを調整可能な第2載置部を有する第2処理室と、前記第1載置部及び前記第2載置部に基板を同時に搬送する搬送装置を備える搬送室と、を備える、基板処理システムの調整方法であって、
一の方向における前記第1載置部の傾き及び前記一の方向における前記第2載置部の傾きの正負の向きを等しくして、前記第1載置部の傾き及び前記第2載置部の傾きを調整する、
基板処理システムの調整方法。
【請求項10】
前記一の方向とは異なる他の方向における前記第1載置部の傾き及び前記他の方向における前記第2載置部の傾きの正負の向きを等しくして、前記第1載置部の傾き及び前記第2載置部の傾きを調整する、
請求項9に記載の基板処理システムの調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理システム及び基板処理システムの調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、真空搬送室に設けられた搬送装置で処理室から真空搬送室を介してロードロック室に基板を搬送し、大気搬送室に設けられた搬送装置でロードロック室からロードポートに取り付けられたキャリアに基板を搬送する基板処理システムが知られている。
【0003】
特許文献1には、第1のロボットのエンドエフェクタでウエハを第1の場所から中間位置へ搬送する際に、ウエハとエンドエフェクタとの相対位置を測定し、測定結果に基づいて第2のロボットのエンドエフェクタが中間位置からウエハピックアップする位置を調整し、第2のロボットのエンドエフェクタでウエハを中間位置から第2の位置へ搬送するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、処理室における基板処理中に基板の位置がずれるおそれがある。このため、位置がずれた基板を位置補正してキャリアまで搬送する搬送方法が求められている。
【0006】
本開示の一態様は、複数の基板を同時に搬送する搬送装置を備える基板処理システムにおいて、基板の位置ずれを補正して搬送する基板処理システム及び基板処理システムの調整方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る基板処理システムは、第1載置部を有する第1処理室と、第2載置部を有する第2処理室と、前記第1載置部及び前記第2載置部に基板を同時に搬送する搬送装置を備える搬送室と、を備える、基板処理システムであって、前記第1載置部及び前記第2載置部を傾ける。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、基板の位置ずれを補正して搬送する基板処理システム及び基板処理システムの調整方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る基板処理システムの一例の構成を示す平面図。
【
図6】処理室から他の処理室に搬送する際の処理を示すフローチャートの一例。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
<基板処理システム100>
一実施形態に係る基板処理システム100の全体構成の一例について、
図1を用いて説明する。
図1は、一実施形態に係る基板処理システム100の一例の構成を示す平面図である。
【0012】
図1に示す基板処理システム100は、クラスタ構造(マルチチャンバタイプ)のシステムである。基板処理システム100は、複数の処理室110(110A~110F)、真空搬送室120、ロードロック室130、大気搬送室140、ロードポート150及び制御部200を備えている。
【0013】
処理室110(110A~110F)は、所定の真空雰囲気に減圧され、その内部にてウエハ(基板)Wに所望の処理(エッチング処理、成膜処理、クリーニング処理、アッシング処理等)を施す。処理室110は、真空搬送室120に隣接して配置される。処理室110と真空搬送室120とは、ゲートバルブ119の開閉により連通する。処理室(第1処理室)110Aは、ウエハWを載置する載置部(第1載置部)111を有する。処理室(第2処理室)110Bは、ウエハWを載置する載置部(第2載置部)112を有する。処理室110Aと処理室110Bは、真空搬送室120の1つの側面に並んで配置され処理室110の組を構成する。処理室110の組は、後述する真空搬送装置160によって同時にウエハWが搬送、搬出される。また、処理室110Cは、ウエハWを載置する載置部113を有する。処理室110Dは、ウエハWを載置する載置部114を有する。処理室110Cと処理室110Dは、真空搬送室120の1つの側面に並んで配置され処理室110の組を構成する。処理室110Eは、ウエハWを載置する載置部115を有する。処理室110Fは、ウエハWを載置する載置部116を有する。処理室110Eと処理室110Fは、真空搬送室120の1つの側面に並んで配置され処理室110の組を構成する。なお、処理室110における処理のための各部の動作は、制御部200によって制御される。
【0014】
真空搬送室120は、ゲートバルブ119,136を介して、複数の室(処理室110、ロードロック室130)と連結され、所定の真空雰囲気に減圧されている。また、真空搬送室120の内部には、ウエハWを搬送する真空搬送装置160が設けられている。真空搬送装置160は、ウエハWを保持するピック161,162を有している。ピック161は、ウエハWを保持する基板保持部161R,161Lを有し、2枚のウエハWを同時に搬送することができるように構成されている。同様に、ピック162は、ウエハWを保持する基板保持部162R,162Lを有し、2枚のウエハWを同時に搬送することができるように構成されている。真空搬送装置160は、ゲートバルブ119の開閉に応じて、処理室110と真空搬送室120との間でウエハWの搬入及び搬出を行う。また、真空搬送装置160は、ゲートバルブ136の開閉に応じて、ロードロック室130と真空搬送室120との間でウエハWの搬入及び搬出を行う。なお、真空搬送装置160の動作、ゲートバルブ119,136の開閉は、制御部200によって制御される。
【0015】
ここで、真空搬送装置160の一例について、
図2を用いて説明する。
図2は、真空搬送装置160の一例を示す斜視図である。真空搬送装置160は、ピック161,162と、アーム163~166と、ベース167と、を有する。なお、
図2において、ピック161,162は上下2段に重なるように配置されており、ピック161の基板保持部161R,161L(
図1参照)及びピック162の基板保持部162R,162LにそれぞれウエハWを保持した状態を図示している。
【0016】
ピック161、アーム163、アーム165は、第1アームを形成する。アーム165の一端は、ベース167に対して回転自在に接続されている。アーム165の他端とアーム163の一端とは、回転自在に接続されている。アーム163の他端とピック161の基部とは、回転自在に接続されている。ピック161は、ピック161の基部から二又に分岐しており、分岐した一方に基板保持部161R(
図1参照)が設けられ、分岐した他方に基板保持部161L(
図1参照)が設けられている。制御部200は、第1アームの各関節の角度を制御することにより、第1アームを伸縮し、ピック161の位置及び向きを制御することができる。
【0017】
同様に、ピック162、アーム164、アーム166は、第2アームを形成する。アーム166の一端は、ベース167に対して回転自在に接続されている。アーム166の他端とアーム164の一端とは、回転自在に接続されている。アーム164の他端とピック162の基部とは、回転自在に接続されている。ピック162は、ピック162の基部から二又に分岐しており、分岐した一方に基板保持部162Rが設けられ、分岐した他方に基板保持部162Lが設けられている。制御部200は、第2アームの各関節の角度を制御することにより、第2アームを伸縮し、ピック162の位置及び向きを制御することができる。
【0018】
ベース167は、真空搬送室120の床面に設けられる。また、ベース167は、第1アーム及び第2アームを昇降する昇降機構(図示せず)を有する。制御部200は、昇降機構を制御することにより、第1アーム及び第2アームを昇降させることができる。
【0019】
図1に戻り、真空搬送室120は、ピック161,162に保持されたウエハWの位置を検出するセンサ170を有している。センサ170は、例えば、1つのウエハWの搬送経路に対して2つの遮光センサを有し、ゲートバルブ119,136の手前側に設けられている。ピック161の基板保持部161R,161Lに保持されたウエハWを真空搬送室120から処理室110またはロードロック室130へ搬送する際、ピック161に保持されたウエハWがセンサ170を通過する。この際、センサ170は、ウエハWのエッジを検出する。これにより、ピック161上のウエハWの位置(ピック161に対するウエハWの相対位置)を検出することができる。換言すれば、各基板保持部161R,161Lにおける基準となる保持位置に対する各基板保持部161R,161Lに実際に保持されているウエハWの位置のずれ量を検出することができる。同様に、ピック162でウエハWを搬送する際、ウエハWのずれ量を検出することができる。
【0020】
ロードロック室130は、真空搬送室120と大気搬送室140との間に設けられている。ロードロック室130は、ウエハWを載置する載置部131~134を有する。ロードロック室130は、大気雰囲気と真空雰囲気とを切り替えることができるようになっている。ロードロック室130と真空雰囲気の真空搬送室120とは、ゲートバルブ136の開閉により連通する。ロードロック室130と大気雰囲気の大気搬送室140とは、ドアバルブ137の開閉により連通する。なお、ロードロック室130内の真空雰囲気または大気雰囲気の切り替えは、制御部200によって制御される。
【0021】
なお、載置部131,132と載置部133,134とは、上下に配置されているが、
図1において、下段の載置部131,132と上段の載置部133,134とを上下方向にずらして模式的に図示している。
【0022】
大気搬送室140は、大気雰囲気となっており、例えば清浄空気のダウンフローが形成されている。また、大気搬送室140の内部には、ウエハWを搬送する大気搬送装置180が設けられている。大気搬送装置180は、ドアバルブ137の開閉に応じて、ロードロック室130と大気搬送室140との間でウエハWの搬入及び搬出を行う。なお、大気搬送装置180の動作、ドアバルブ137の開閉は、制御部200によって制御される。
【0023】
また、大気搬送室140の壁面には、ロードポート150が設けられている。ロードポート150は、ウエハWが収容されたキャリアC又は空のキャリアCが取り付けられる。キャリアCとしては、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)等を用いることができる。
【0024】
大気搬送装置180は、ロードポート150に取り付けられたキャリアCに収容されたウエハWを取り出して、ロードロック室130の載置部131~134に載置することができる。また、大気搬送装置180は、ロードロック室130の載置部131~134に載置されたウエハWを取り出して、ロードポート150に取り付けられたキャリアCに収容することができる。
【0025】
大気搬送装置180は、ウエハWを保持する第1ピック181を有する第1アームと、ウエハWを保持する第2ピック182を有する第2アームと、ベース(図示せず)と、スライド機構(図示せず)と、を備える。また、第1ピック181及び第2ピック182は異なる高さに配置されており、ウエハWを保持した第1ピック181及びウエハWを保持した第2ピック182が上下2段に重なるように配置することができるように構成されている。
【0026】
第1アームは、例えばスカラ型のアームであって、一端がベースに対して回転自在に接続され、他端に第1ピック181を有する。制御部200は、第1アームの各関節の角度を制御することにより、第1アームを伸縮し、第1ピック181の位置及び向きを制御することができる。同様に、第2アームは、例えばスカラ型のアームであって、一端がベースに対して回転自在に接続され、他端に第2ピック182を有する。制御部200は、第2アームの各関節の角度を制御することにより、第2アームを伸縮し、第2ピック182の位置及び向きを制御することができる。
【0027】
ベースは、第1アーム及び第2アームを昇降する昇降機構(図示せず)を有する。制御部200は、昇降機構を制御することにより、第1アーム及び第2アームを昇降させることができる。
【0028】
スライド機構は、ベースをロードポート150の並びに沿って平行に移動自在に構成される。制御部200は、スライド機構を制御することにより、第1アーム、第2アーム及びベースをスライド方向に移動させることができる。
【0029】
制御部200は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びHDD(Hard Disk Drive)を有する。制御部200は、HDDに限らずSSD(Solid State Drive)等の他の記憶領域を有してもよい。HDD、RAM等の記憶領域には、プロセスの手順、プロセスの条件、搬送条件が設定されたレシピが格納されている。
【0030】
CPUは、レシピに従って各処理室110におけるウエハWの処理を制御し、ウエハWの搬送を制御する。HDDやRAMには、各処理室110におけるウエハWの処理やウエハWの搬送を実行するためのプログラムが記憶されてもよい。プログラムは、記憶媒体に格納して提供されてもよいし、ネットワークを通じて外部装置から提供されてもよい。
【0031】
次に、処理室110(110A~110F)の載置部111~116について、
図3から
図5を用いて説明する。
図3は、載置部111の構造を説明する断面図の一例である。
【0032】
載置部111は、上面にウエハWが収容可能な凹部111aを有する。凹部111aは、ウエハWの径よりも大径な円形の底面(載置面)111bと、円周面の側面(係止面)111cと、を有する。ここで、処理室110においてウエハWに処理を施す際、例えばウエハWが熱等により膨張及び収縮することで、底面111bに載置されたウエハWが凹部111a内での位置がずれることがある。なお、凹部111a内に収容されたウエハWがずれた場合であっても、側面111cによってウエハWの移動は制限される。
【0033】
また、載置部111には、底面111bから突没可能な昇降ピン(図示せず)が設けられている。昇降ピンを上昇させることにより、凹部111a内に収容されたウエハWを昇降ピンで持ち上げ、昇降ピンでウエハWを支持することができる。また、ウエハWを支持した昇降ピンを下降させることにより、昇降ピンに支持されたウエハWを凹部111a内に収容し、底面111bに載置することができる。
【0034】
ここで、載置部111の底面111bは、水平(破線参照)に対し、角度θで傾いている。同様に、載置部112~116は、載置部111と同様に傾いている。
【0035】
図4は、載置部111,112の傾き方向を説明する平面図の一例である。ここで、処理室110A及び処理室110Bは、真空搬送室120の1つの側面に並んで配置されており、真空搬送装置160によって同時にウエハWが搬送、搬出される処理室である。
図4の矢印は、載置部111及び載置部112の傾く方向の一例を示す。
【0036】
図4に示すように、処理室110Aの載置部111の傾きL1(白抜き矢印参照)と処理室110Bの載置部112の傾きL2(白抜き矢印参照)は、同じ方向に同じ角度で傾くように構成されている。なお、
図4において、載置部111,112における傾き方向を白抜き矢印の向きで模式的に示し、傾き角度を白抜き矢印の長さで模式的に示す。
【0037】
また、真空搬送室120から処理室110A,110Bにゲートバルブ119を通過する方向を奥行方向(Y方向)として、載置部111における奥行方向の傾きL1Y(実線矢印参照)と、載置部112における奥行方向の傾きL2Y(実線矢印参照)は、同じ向きに傾いている。即ち、奥行方向(Y方向)において、載置部111の傾きL1Yと載置部112の傾きL2Yとは、正負の向きが等しい。また、ゲートバルブ119を通過する方向(奥行方向)と直交する方向を幅方向(X方向)として、載置部111における幅方向の傾きL1X(実線矢印参照)と、載置部112における幅方向の傾きL2X(実線矢印参照)は、同じ向きに傾いている。即ち、幅方向(X方向)において、載置部111の傾きL1Xと載置部112の傾きL2Xとは、正負の向きが等しい。
【0038】
なお、載置部111の傾きL1と載置部112の傾きL2は、奥行方向(Y方向)及び幅方向(X方向)のうち、少なくとも一方の方向(第1の方向)で同じ向きに傾く構成であってもよい。即ち、幅方向(X方向)において載置部111の傾きL1Xと載置部112の傾きL2Xとは正負の向きが等しい、または、奥行方向(Y方向)において載置部111の傾きL1Yと載置部112の傾きL2Yとは正負の向きが等しい構成であってもよい。
【0039】
また、載置部111の傾きL1と載置部112の傾きL2は、奥行方向(Y方向)及び幅方向(X方向)の両方(第1の方向及び第1の方向と直交する第2の方向)で同じ向きに傾く構成であることが好ましい。即ち、幅方向(X方向)において載置部111の傾きL1Xと載置部112の傾きL2Xとは正負の向きが等しく、かつ、奥行方向(Y方向)において載置部111の傾きL1Yと載置部112の傾きL2Yとは正負の向きが等しい構成であることが好ましい。
【0040】
また、載置部111の傾きL1と載置部112の傾きL2は、奥行方向(Y方向)及び幅方向(X方向)で同じ向きに傾き、かつ、傾き角度θが等しい構成がより好ましい。
【0041】
同様に、処理室110Cの載置部113の傾きと処理室110Dの載置部114は、同じ方向に同じ角度で傾くように構成されている。また、処理室110Eの載置部115の傾きと処理室110Fの載置部116は、同じ方向に同じ角度で傾くように構成されている。
【0042】
図5は、載置部111の傾きを説明する側面図の一例である。ここで、処理室110Aは、チャンバ301を備える。チャンバ301内には、載置部111が配置されている。載置部111は、チャンバ301から立設する支持部302によって支持される。チャンバ301は、チャンバ支持部303を介して、床面(図示せず)に設置されている。また、チャンバ301内には、処理ガスを供給するシャワーヘッド304が設けられている。
【0043】
ここで、チャンバ301に対し載置部111を支持する支持部302は、載置部111の傾きを調整する調整機構を有している。
図5(a)に示すように、支持部(第1支持部)302を調整することにより、チャンバ301内の載置部111を傾けて支持する構成であってもよい。また、載置部111と対向するシャワーヘッド304も、載置部111と同様に傾けて支持されていてもよい。これにより、載置部111とシャワーヘッド304との間隔(ギャップ)を均一にすることができる。これにより、シャワーヘッド304から供給される処理ガスを用いてウエハWに施される処理の面内均一性を向上させることができる。同様に、載置部112は、チャンバに対し載置部112を支持する支持部(第2支持部)を調整することにより、チャンバ内の載置部112を傾ける。
【0044】
また、チャンバ301を支持するチャンバ支持部303は、チャンバ301の傾きを調整する調整機構を有している。
図5(b)に示すように、チャンバ支持部(第1チャンバ支持部)303を調整することにより、チャンバ301内の載置部111を傾けて支持する構成であってもよい。同様に、載置部112は、チャンバを支持するチャンバ支持部(第2チャンバ支持部)を調整することにより、チャンバ内の載置部112を傾ける。
【0045】
なお、処理室110Aの載置部111を例に説明したが、処理室110B~110Fについても同様であり、重複する説明を省略する。
【0046】
このように、傾きを調整可能な載置部111を有する処理室110Aと、傾きを調整可能な載置部112を有する処理室110Bと、を備える、基板処理システム100において、基板処理システム100を設置する際、一の方向(奥行方向または幅方向)における載置部111の傾き及び一の方向における載置部112の傾きの正負の向きを等しくして、載置部111の傾き及び載置部112の傾きを調整する。また、基板処理システム100を設置する際、一の方向とは異なる他の方向(幅方向または奥行方向)における載置部111の傾き及び他の方向における載置部112の傾きの正負の向きを等しくして、載置部111の傾き及び載置部112の傾きを調整する。
【0047】
次に、ウエハWを搬送する処理について
図6を用いて説明する。
図6は、処理室110A,110Bから他の処理室110C,110Dに搬送する際の処理を示すフローチャートの一例である。ここでは、処理室110A及び処理室110BにウエハWをそれぞれ搬送し、処理室110A及び処理室110BでウエハWに処理を施した後、処理室110C及び処理室110DにウエハWをそれぞれ搬送する場合を例に説明する。
【0048】
ステップS101において、制御部200は、真空搬送装置160を制御して、処理室110Aの載置部(第1載置部)111及び処理室110Bの載置部(第2載置部)112にウエハWをそれぞれ搬送する。具体的には、ピック161の基板保持部161R,161Lには、それぞれウエハWが保持されている。制御部200は、処理室110A,110Bのゲートバルブ119を開け、真空搬送装置160を制御して、ウエハWを保持した基板保持部161Rを処理室110A内に挿入するとともに、ウエハWを保持した基板保持部161Lを処理室110B内に挿入する。次に、制御部200は、載置部111,112の昇降ピン(図示せず)を上昇させることで、ウエハWが昇降ピンに受け渡される。次に、制御部200は、ピック161を処理室110A,110Bから退避させ、処理室110A,110Bのゲートバルブ119を閉じる。次に、制御部200は、載置部111,112の昇降ピンを下降させることにより、載置部111,112にウエハWが載置される。
【0049】
ステップS102において、制御部200は、処理室110A,110Bを制御して、ウエハWに処理を施す。例えば、制御部200は、シャワーヘッド304からチャンバ301内に処理ガスを供給することにより、ウエハWに所望の処理(成膜処理、エッチング処理等)を施す。この基板処理において、載置部111,112に載置されたウエハWの位置がずれることがある。
【0050】
ステップS103において、制御部200は、真空搬送装置160を制御して、処理室110A及び処理室110Bから処理済の2枚のウエハWを搬出する。具体的には、制御部200は、載置部111,112の昇降ピン(図示せず)を上昇させることで、ウエハWは昇降ピンに支持される。次に、制御部200は、処理室110A,110Bのゲートバルブ119を開け、真空搬送装置160を制御して、基板保持部161Rを処理室110Aに挿入するとともに、基板保持部161Lを処理室110Bに挿入する。次に、制御部200は、載置部111,112の昇降ピンを下降させることで、ウエハWは基板保持部161R及び基板保持部161Lに受け渡される。次に、制御部200は、真空搬送装置160を制御して、ピック161の基板保持部161R,161Lを処理室110A,110Bから退避させ、処理室110A,110Bのゲートバルブ119を閉じる。これにより、処理室110A及び処理室110BからウエハWが搬出される。
【0051】
ステップS104において、制御部200は、ピック161に対する2枚のウエハWの相対的な位置を検出する。具体的には、制御部200は、処理室110C,110Dのゲートバルブ119を開け、真空搬送装置160を制御して、ウエハWを保持した基板保持部161Rを処理室110C内に挿入するとともに、ウエハWを保持した基板保持部161Lを処理室110D内に挿入する。この際、ウエハWが処理室110C,110Dのゲートバルブ119に隣接して設けられたセンサ170を通過する。センサ170は、ウエハWのエッジを検出する。これにより、制御部200は、センサ170によるエッジの検出と、真空搬送装置160の制御によるピック161の位置情報に基づいて、ピック161に対するウエハWの相対位置、換言すれば、基板保持部161Rの基準となる保持位置と実際に保持されるウエハWとのずれ量を検出し、基板保持部161Lの基準となる保持位置と実際に保持されるウエハWとのずれ量を検出する。
【0052】
ステップS105において、制御部200は、ピック161の受渡位置を補正して、処理室110Cの載置部(第3載置部)113及び処理室110Dの載置部(第4載置部)114にウエハWをそれぞれ搬送する。具体的には、制御部200は、ステップS104で検出したピック161に対する2枚のウエハWの相対的な位置に基づいて、載置部113,114に載置されるウエハWのずれ量の平均が最小となるようにピック161の受渡位置を補正する。そして、制御部200は、真空搬送装置160を制御して、ピック161を補正した受渡位置に移動させる。次に、制御部200は、載置部113,114の昇降ピン(図示せず)を上昇させることで、ウエハWが昇降ピンに受け渡される。次に、制御部200は、ピック161を処理室110C,110Dから退避させ、処理室110C,110Dのゲートバルブ119を閉じる。次に、制御部200は、載置部113,114の昇降ピンを下降させることにより、載置部113,114にウエハWが載置される。
【0053】
次に、参考例と対比しつつ、本実施形態に係る搬送処理の一例について説明する。
図7は、本実施形態に係る搬送処理の一例を示す図である。
図8は、参考例に係る搬送処理の一例である。
図7及び
図8において、(a)はステップS102の処理後の載置部111,112上のウエハW1,W2の位置ずれを示すグラフである。(b)は、ステップS103においてピック161が載置部111,112からウエハW1,W2を受け取る際の模式図である。(c)は、ステップS105においてピック161が載置部113,114にウエハW1,W2を受け渡す際の模式図である。なお、
図7(b)、
図7(c)、
図8(b)、
図8(c)において、ウエハW1,W2を太線で図示して明示している。
【0054】
ここで、参考例に係る基板処理システム100において、載置部111,112は略水平に配置されている。その他の構成は、本実施形態に係る基板処理システム100と同様であり重複する説明を省略する。
【0055】
参考例に係る基板処理システム100において、ウエハWに処理を施すことによりウエハWの位置がずれることがある。ここで、
図8(a)及び
図8(b)に示すように、載置部111のウエハW1と載置部112のウエハW2が対称にずれた場合、
図8(c)に示すように、載置部113,114にウエハW1,W2を受け渡すピック161の受渡位置を補正しても、載置部113に載置されるウエハW1のずれ量及び載置部114に載置されるウエハW2のずれ量を補正しきれない。
【0056】
これに対し、本実施形態に係る基板処理システム100は、
図4に示すように、載置部111,112が同じ方向に傾いている。このため、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、載置部111のウエハW1と載置部112のウエハW2が同じ方向に向かってずれが生じる。これにより、
図7(c)に示すように、載置部113,114にウエハW1,W2を受け渡すピック161の受渡位置を補正することで、好適に載置部113に載置されるウエハW1のずれ量及び載置部114に載置されるウエハW2のずれ量を補正することができる。
【0057】
このように、本実施形態に係る基板処理システム100は、載置部111,112を同じ方向に傾けることにより、ウエハWがずれる方向に規則性を持たせることができる。これにより、載置部111,112から受け取ったウエハWを載置部113,114に受け渡す際、ピック161の受渡位置の補正によって好適に載置部113,114に載置するウエハWの位置を調整することができる。
【0058】
以上、基板処理システム100について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【符号の説明】
【0059】
100 基板処理システム
110,110A~110F 処理室
111~116 載置部
120 真空搬送室
130 ロードロック室
140 大気搬送室
150 ロードポート
160 真空搬送装置
161,162 ピック
161R,161L,162R,162L 基板保持部
170 センサ
180 大気搬送装置
200 制御部
301 チャンバ
302 支持部
303 チャンバ支持部
304 シャワーヘッド
W ウエハ