(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081076
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0282 20230101AFI20230602BHJP
【FI】
G06Q30/02 480
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021194768
(22)【出願日】2021-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】三橋 正寛
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】、機器のユーザに適したアプリケーションが提案される可能性を高めること。
【解決手段】情報処理装置は、機器のユーザが利用可能な1以上のアプリケーションの集合には含まれないアプリケーションの中から、前記ユーザが属する組織の特徴に基づいて前記ユーザに対して利用を提案する第1のアプリケーションを特定する特定部と、前記第1のアプリケーションに関する情報を含む画面を前記機器に表示させる表示制御部と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器のユーザが利用可能な1以上のアプリケーションの集合には含まれないアプリケーションの中から、前記ユーザが属する組織の特徴に基づいて前記ユーザに対して利用を提案する第1のアプリケーションを特定する特定部と、
前記第1のアプリケーションに関する情報を含む画面を前記機器に表示させる表示制御部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記組織の特徴は、前記組織が属するエリア及び前記組織の規模のいずれか一方又は双方を含む、
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記特定部は、前記集合には含まれないそれぞれのアプリケーションが利用するクラウドサービスごとの利用状況であって、前記ユーザが属する組織と特徴に関して共通性を有する組織群における利用状況に基づいて、前記第1のアプリケーションを特定する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記画面は、更に、ユーザが利用可能な1以上のアプリケーションに関する情報を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項記載の情報処理装置。
【請求項5】
機器と情報処理装置とを含む情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記機器のユーザが利用可能な1以上のアプリケーションの集合には含まれないアプリケーションの中から、前記ユーザが属する組織の特徴に基づいて前記ユーザに対して利用を提案する第1のアプリケーションを特定する特定部と、
前記第1のアプリケーションに関する情報を含む画面を前記機器に表示させる表示制御部と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項6】
機器のユーザが利用可能な1以上のアプリケーションの集合には含まれないアプリケーションの中から、前記ユーザが属する組織の特徴に基づいて前記ユーザに対して利用を提案する第1のアプリケーションを特定する特定手順と、
前記第1のアプリケーションに関する情報を含む画面を前記機器に表示させる表示制御手順と、
をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置をはじめとする各種の機器においてアプリケーションの利用が可能とされている。アプリケーションの開発者又は販売者は、できるだけ多くのアプリケーションをユーザに使って貰いたい。但し、アプリケーションの宣伝を闇雲に機器に表示すると、ユーザに嫌厭されてしまう可能性が有る。
【0003】
従来、機器を販売する販売店ごとに、該機器に利用させるアプリケーションが異なるケースを想定し、機器が適切に利用可能なアプリケーションを紹介するための技術が検討されている(例えば、特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術は、機器の販売店に応じて紹介するアプリケーションを異ならせる技術であるため、同じ販売店によって販売された機器であれば、機器の納入先(すなわち、ユーザ)が異なっても同じアプリケーションが紹介されることになる。
【0005】
しかしながら、ユーザによって適したアプリケーションは異なる可能性が有ると考えられる。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、機器のユーザに適したアプリケーションが提案される可能性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで上記課題を解決するため、情報処理装置は、機器のユーザが利用可能な1以上のアプリケーションの集合には含まれないアプリケーションの中から、前記ユーザが属する組織の特徴に基づいて前記ユーザに対して利用を提案する第1のアプリケーションを特定する特定部と、前記第1のアプリケーションに関する情報を含む画面を前記機器に表示させる表示制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
機器のユーザに適したアプリケーションが提案される可能性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態における情報処理システム1の構成例を示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態におけるサービス提供システム10のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態における機器20のハードウェア構成例を示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態における機器20及びサービス提供システム10の機能構成例を示す図である。
【
図5】情報処理システム1において実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
【
図6】契約情報記憶部112の構成例を示す図である。
【
図7】パッケージ情報記憶部113の構成例を示す図である。
【
図8】クラウド情報記憶部114の構成例を示す図である。
【
図9】アプリ一覧画面の第1の表示例を示す図である。
【
図10】アプリ利用状況記憶部115の一例を示す図である。
【
図11】アプリ一覧画面の第2の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態における情報処理システム1の構成例を示す図である。
図1が示す情報処理システム1は、サービス提供システム10、機器20及び外部ストレージシステム40等を含む。サービス提供システム10、機器20及び外部ストレージシステム40等は、インターネット等の広域的なネットワークN1を介して通信可能に接続される。
【0011】
サービス提供システム10は、一台以上の情報処理装置で実現され、ネットワークN1を介して、外部ストレージシステム40等の外部サービスと連携した一連の処理により実現される各種のサービスを提供する。
【0012】
なお、サービス提供システム10が連携可能な外部サービスは、外部ストレージシステム40に限られない。サービス提供システム10は、例えば、ASP(Application Service Provider)によって提供されるサービスやWebサービス等のネットワークを介して提供される各種の外部サービスと連携してもよい。
【0013】
機器20は、ユーザが使用する各種の電子機器である。すなわち、機器20は、例えば、MFP(Multifunction Peripheral)等の画像形成装置、PC(パーソナルコンピュータ)、プロジェクタ、電子黒板、デジタルカメラ等である。ユーザは、機器20を用いて、サービス提供システム10が提供する各種のサービスを利用することができる。
【0014】
外部ストレージシステム40は、ネットワークN1を介してクラウドストレージサービス(又はオンラインストレージ)と呼ばれるストレージサービスを提供するコンピュータシステムである。ストレージサービスとは、外部ストレージシステム40のストレージの記憶領域を貸し出すサービスである。
【0015】
なお、外部ストレージシステム40は、複数台の情報処理装置によって実現されるシステムであっても良い。
【0016】
図2は、本発明の実施の形態におけるサービス提供システム10のハードウェア構成例を示す図である。
図2が示すように、サービス提供システム10は、入力装置11と、表示装置12と、外部I/F13と、RAM(Random Access Memory)14とを有する。また、サービス提供システム10は、ROM(Read Only Memory)15と、CPU(Central Processing Unit)16と、通信I/F17と、HDD(Hard Disk Drive)18とを有する。これらの各ハードウェアは、それぞれがバスBで接続されている。
【0017】
入力装置11は、キーボードやマウス、タッチパネル等を含み、ユーザが各操作信号を入力するのに用いられる。表示装置12は、ディスプレイ等を含み、サービス提供システム10による処理結果を表示する。なお、入力装置11及び表示装置12の少なくとも一方は、必要なときにサービス提供システム10に接続して利用する形態であっても良い。通信I/F17は、サービス提供システム10をネットワークN1に接続するインタフェースである。これにより、サービス提供システム10は、通信I/F17を介して通信を行うことができる。
【0018】
HDD18は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。HDD18に格納されるプログラムやデータには、サービス提供システム10全体を制御する基本ソフトウェアであるOS(Operating System)、OS上において各種機能を提供するアプリケーションソフトウェア等がある。
【0019】
なお、サービス提供システム10は、HDD18に代え、記憶媒体としてフラッシュメモリを用いるドライブ装置(例えばソリッドステートドライブ:SSD)を利用するものであっても良い。また、HDD18は、格納しているプログラムやデータを所定のファイルシステム及び/又はDBにより管理している。
【0020】
外部I/F13は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、記録媒体13a等がある。これにより、サービス提供システム10は、外部I/F13を介して記録媒体13aの読み取りや書き込みを行うことができる。記録媒体13aには、フレキシブルディスク、CD、DVD、SDメモリカード、USBメモリ等がある。
【0021】
ROM15は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリである。ROM15には、サービス提供システム10の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、OS設定、及びネットワーク設定等のプログラムやデータが格納されている。RAM14は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリである。
【0022】
CPU16は、ROM15やHDD18等の記憶装置からプログラムやデータをRAM14上に読み出し、処理を実行することで、サービス提供システム10全体の制御や機能を実現する演算装置である。
【0023】
図3は、本発明の実施の形態における機器20のハードウェア構成例を示す図である。
図3は、機器20が画像形成装置である場合の機器20のハードウェア構成例を示す。
【0024】
図3が示すように、機器20は、コントローラ21と、操作パネル22と、外部I/F23と、通信I/F24と、プリンタ25と、スキャナ26とを有する。また、コントローラ21は、CPU31と、RAM32と、ROM33と、NVRAM34と、HDD35とを有する。
【0025】
ROM33は、各種プログラムやデータを格納している不揮発性の半導体メモリである。RAM32は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリである。NVRAM34は、例えば設定情報等を格納している。また、HDD35は、各種プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。
【0026】
CPU31は、ROM33やNVRAM34、HDD35等からプログラムやデータ、設定情報等をRAM32上に読み出し、処理を実行することで、機器20全体の制御や機能を実現する演算装置である。操作パネル22は、ユーザからの入力を受け付ける入力部と、表示を行う表示部とを備えている。外部I/F23は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、記録媒体23a等がある。これにより、機器20は、外部I/F23を介して記録媒体23aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。なお、記録媒体23aには、例えば、ICカード、フレキシブルディスク、CD、DVD、SDメモリカード、USBメモリ等がある。
【0027】
通信I/F24は、機器20をネットワークに接続するインタフェースである。これにより、機器20は、通信I/F24を介して通信を行うことができる。プリンタ25は、印刷データを印刷する印刷装置である。スキャナ26は、原稿を読み取って電子ファイル(画像ファイル)を生成する読取装置である。
【0028】
図4は、本発明の実施の形態における機器20及びサービス提供システム10の機能構成例を示す図である。
【0029】
図4において、機器20は、操作処理部211、表示処理部212及び機器制御部213を有する。これら各部は、機器20又は操作パネル22にインストールされた1以上のプログラムが、CPU31又は操作パネル22のCPUに実行させる処理により実現される。
【0030】
操作処理部211は、操作パネル22に対するユーザによる操作を検知し、当該操作に応じた処理の実行を機器制御部213へ要求する。本実施の形態において、操作処理部211は、アプリケーションの一覧画面(以下、「アプリ一覧画面」という。)の表示指示を検知し、アプリケーションの一覧の取得要求を機器制御部213へ要求する。アプリ一覧画面は、ユーザが利用可能なアプリケーションや、ユーザに利用を提案するアプリケーション等に関する情報を含む画面をいう。
【0031】
表示処理部212は、機器制御部213からの要求に応じ、操作パネル22への画面の表示等を行う。本実施の形態において、表示処理部212は、アプリ一覧画面の表示処理を行う。
【0032】
機器制御部213は、操作処理部211が検知した操作に応じた処理を実行したり、当該処理の実行に応じた画面の表示を表示処理部212へ要求したりする。操作に応じた処理の実行において、機器制御部213は、サービス提供システム10に対して当該処理に関連した処理の実行を要求する。本実施の形態において、機器制御部213は、操作処理部211からのアプリ一覧の取得要求をサービス提供システム10へ送信する。機器制御部213は、当該取得要求に対してサービス提供システム10から送信される、アプリ一覧画面の画面データを受信し、当該画面データに基づくアプリ一覧画面の表示を表示処理部212へ要求する。
【0033】
サービス提供システム10は、情報処理部111を有する。情報処理部111は、サービス提供システム10にインストールされた1以上のプログラムが、CPU16に実行させる処理により実現される。サービス提供システム10は、また、契約情報記憶部112、パッケージ情報記憶部113、クラウド情報記憶部114及びアプリ利用状況記憶部115を利用する。これら各記憶部は、例えば、HDD18、又はサービス提供システム10にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
【0034】
情報処理部111は、機器制御部213から要求された処理を実行し、当該処理の結果を機器制御部213へ送信する。本実施の形態において、情報処理部111は、機器制御部213からのアプリ一覧の取得要求に応じ、機器20のユーザが既に利用可能なパッケージに属するアプリケーション群に加え、当該パッケージには含まれないが当該ユーザに対して提案対象とするアプリケーションをも含むアプリケーションの一覧を生成する。情報処理部111は、当該一覧を表示するアプリ一覧画面の画面データを機器制御部213へ送信することで、アプリ一覧画面を機器20に表示させる。
【0035】
なお、パッケージとは、アプリケーションの販売単位(契約単位)となるアプリケーションの集合をいう。1つのパッケージに1以上のアプリケーションが含まれる(属する)。或るパッケージを購入した(或るパッケージの利用を契約した)テナントに属するユーザは、当該パッケージに属するアプリケーションの集合を利用可能である。テナントとは、サービス提供システム10が提供するサービスの契約主体をいう。例えば、対象ユーザが属する組織(企業等)がテナントの一例である。
【0036】
契約情報記憶部112は、テナントごとに、当該テナントの特徴(属性)を示す情報や当該テナントが利用することを契約している(購入済みである)パッケージを示す情報等を記憶する。
【0037】
パッケージ情報記憶部113は、パッケージごとに、当該パッケージの属性情報や当該パッケージに属するアプリケーション群を示す情報等を記憶する。
【0038】
クラウド情報記憶部114は、いずれかのアプリケーションが利用するクラウドストレージサービスごとに、当該クラウドストレージサービスのシェアを示す情報を記憶する。なお、各クラウドストレージサービスは、いずれかの外部ストレージシステム40によって提供される。
【0039】
アプリ利用状況記憶部115は、各アプリケーションの利用頻度を示す情報を記憶する。
【0040】
以下、情報処理システム1において実行される処理手順について説明する。
図5は、情報処理システム1において実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
【0041】
或るユーザ(以下、「対象ユーザ」という。)がアプリ一覧画面の表示指示を或る機器20(以下、「対象機器20」という。)へ入力すると(S101)、操作処理部211は、アプリ一覧の取得要求を機器制御部213へ送信する(S102)。当該取得要求は、対象ユーザが属するテナントの識別情報(テナントID)等を含む。なお、テナントIDは、例えば、
図5の処理手順の前に行われる対象ユーザのログイン処理において、予め記憶されている、各ユーザとテナントIDとの対応情報に基づいて特定される。なお、対象ユーザが属するテナントを、以下「対象テナント」といい、対象テナントのテナントIDを、以下「対象テナントID」という。
【0042】
続いて、機器制御部213は、当該取得要求をサービス提供システム10の情報処理部111へ送信する(S103)。情報処理部111は、当該取得要求を受信すると、契約情報記憶部112から対象ユーザに対応する(対象ユーザに適用される)契約情報を取得する(S104、S105)。
【0043】
図6は、契約情報記憶部112の構成例を示す図である。
図6が示すように、契約情報記憶部112は、テナントごとに、テナントID、リージョン、パッケージID、販売手段、企業規模及び連絡先情報等を含む契約情報を記憶する。
【0044】
テナントIDは、テナントの識別情報である。リージョンは、テナントが属する(所在する)地域の識別情報である。本実施の形態では、国を識別する国コードがリージョンの値とされている。パッケージIDは、テナントが購入した(利用契約済みの)パッケージの識別情報である。販売手段は、当該パッケージが直売であるか代売であるのかを示す情報である。直売のパッケージとは、サービス提供システム10を運営する企業が販売しているパッケージをいう。代売のパッケージとは、サービス提供システム10を運営する企業とは異なる販売主体(以下、「代売者」という。)が販売しているパッケージをいう。企業規模は、テナントIDに係るテナントとしての企業の規模を示す情報である。例えば、企業規模の値は、複数の閾値によって従業員数を複数段階の範囲に分類した場合のいずれかの範囲を示す情報である。なお、企業規模は、業績に関する情報(売上高、利益、時価総額等)等に基づいて分類されてもよい。連絡先情報とは、代売のパッケージの場合に、代売者の連絡先を示す情報(例えば、メールアドレス)である。これらの項目のうち、リージョン及び企業規模が、本実施の形態においてテナントの特徴を示す情報である。換言すれば、テナントの特徴の共通性は、リージョン及び企業規模の組み合わせに基づいて判定される。但し、リージョン及び企業規模のいずれか一方に基づいてテナントの特徴が区別されてもよい。また、業種等、他の項目や他の項目との組み合わせによってテナントの特徴が区別されてもよい。
【0045】
ステップS105では、取得要求に含まれるテナントID(対象ユーザが属するテナントのテナントID)を含む契約情報が取得される。したがって、対象ユーザに対応するリージョン(以下、「対象リージョン」という。)、パッケージID(以下、「対象パッケージID」という。)、企業規模(以下、「対象企業規模」という。)等が特定される。
【0046】
続いて、情報処理部111は、取得した契約情報が含む対象パッケージIDに基づいて、対象パッケージIDに係るパッケージ(以下、「契約パッケージ」という。)のパッケージ情報と、上位パッケージのパッケージ情報とをパッケージ情報記憶部113から取得する(S106、S107)。契約パッケージの上位パッケージとは、契約パッケージに対して1以上のアプリケーションが追加されたパッケージをいう。すなわち、上位パッケージは、契約パッケージを包含し、契約パッケージよりも多くのアプリケーションを含むパッケージをいう。
【0047】
図7は、パッケージ情報記憶部113の構成例を示す図である。
図7が示すように、パッケージ情報記憶部113は、パッケージごとに、パッケージID、パッケージ名、グレード及びアプリID一覧を記憶する。パッケージ名は、パッケージの名称である。グレードは、パッケージの上下関係(包含関係)における位置を示す情報である。本実施の形態では、グレードの値が小さい程、上位のパッケージであるとする。したがって、パッケージの包含関係は、グレード1>グレード2>グレード3となる。アプリID一覧は、パッケージが含む(パッケージに属する)アプリケーションの識別情報(以下、「アプリID」という。)の一覧である。当該一覧に含まれるアプリケーションを、以下「契約アプリ」といい、当該一覧を契約アプリ一覧という。
【0048】
ステップS107では、契約パッケージよりもグレードが1つ上のパッケージが上位パッケージとして特定され、契約パッケージのパッケージ情報と、当該上位パッケージのパッケージ情報とが取得される。すなわち、情報処理部111は、パッケージ情報記憶部113を参照して契約パッケージのグレードを特定し、契約パッケージのパッケージ情報と、当該グレードよりも値が1つ小さいグレードを含むパッケージ情報とをパッケージ情報記憶部113から取得する。
【0049】
続いて、情報処理部111は、上位パッケージと契約パッケージとの差分に係るアプリケーション(以下、「差分アプリ」という。)を特定する(S108)。差分アプリは、上位パッケージには含まれるが契約パッケージには含まれないアプリケーションの集合である。したがって、情報処理部111は、上位パッケージのパッケージ情報のアプリID一覧から、契約パッケージのパッケージ情報のアプリID一覧を除去することで差分アプリを特定することができる。
【0050】
続いて、情報処理部111は、差分アプリに係る各アプリケーションが利用するクラウドストレージサービスを特定する(S109)。例えば、アプリIDと、当該アプリIDに係るアプリケーションが利用するクラウドストレージサービスのクラウドサービス名との対応情報が、例えば、HDD18等に記憶されている。したがって、情報処理部111は、当該対応情報に基づいて、該当するクラウドストレージサービスのクラウドサービス名を特定することができる。
【0051】
続いて、情報処理部111は、ステップS109において特定した各クラウドストレージサービスの利用状況を示すシェア情報をクラウド情報記憶部114から取得する(S110、S111)。
【0052】
図8は、クラウド情報記憶部114の構成例を示す図である。
図8が示すように、クラウド情報記憶部114は、クラウドストレージサービスごとに、サービス名、リージョン、企業規模及びアクティブ対象ユーザ数等を記憶する。サービス名は、クラウドストレージサービスの名称である。リージョン、企業規模及びアクティブ対象ユーザ数は、当該リージョン及び当該企業規模に係るテナント群における当該クラウドストレージサービスのアクティブユーザの数(利用者数)を意味する。すなわち、クラウド情報記憶部114は、クラウドサービスごとに、リージョン及び企業規模別の利用状況を示すシェア情報を記憶する。
【0053】
続いて、情報処理部111は、取得したシェア情報に基づいて、対象リージョン及び対象企業規模において、シェアが最大であるクラウドストレージサービスを特定する(S112)。具体的には、情報処理部111は、「リージョン」が対象リージョンに該当し、「企業規模」が対象企業規模に合致するシェア情報の中で、「アクティブユーザ数」が最大であるシェア情報に係る「サービス名」を特定する。すなわち、対象テナントと特徴に共通性を有するテナント群において「アクティブユーザ数」が最大であるクラウドストレージサービスが特定される。以下、特定されたサービス名に係るクラウドストレージサービスを、「対象ストレージサービス」という。
【0054】
続いて、情報処理部111は、差分アプリの中に、対象ストレージサービスを利用する差分アプリが1以上有れば、当該差分アプリを対象ユーザに対する提案対象(推薦対象又は推奨対象)として特定する(S113)。提案対象として特定されたアプリケーションを、以下「提案アプリ」という。該当する差分アプリが無い場合、提案アプリは特定されない。
【0055】
このように、本実施の形態では、対象テナントと特徴に共通性を有するテナント群の中で最も多く利用されているクラウドストレージサービスを利用するアプリケーションが提案対象として特定される。ここで、企業等の組織が属するエリアや規模と、各組織が利用するクラウドサービス(クラウドストレージサービス)との間には、経験的に相関関係が認められる。例えば、大企業であれば、大企業向けのクラウドサービスが利用される。また、各クラウドサービスのシェアは、エリアに応じて異なる。したがって、対象テナントと特徴に共通性を有するテナント群の中で最も多く利用されているクラウドストレージサービスを利用するアプリケーションが提案対象として特定されることで、対象ユーザにより適したアプリケーションが提案される可能性を高めることができる。
【0056】
続いて、情報処理部111は、各契約アプリを選択肢として含む(選択可能な)アプリ一覧画面の画面データ(以下、「アプリ一覧画面データ」という。)を生成する(S114)。この際、情報処理部111は、1以上の提案アプリが特定されていれば、当該提案アプリも選択肢として含むように(選択可能なように)アプリ一覧画面データを生成する。続いて、情報処理部111は、アプリ一覧画面の表示を対象機器20に実行させるため、生成したアプリ一覧画面データを対象機器20の機器制御部213へ送信する(S115)。
【0057】
対象機器20の機器制御部213は、当該アプリ一覧画面データを受信すると、当該アプリ一覧画面データを表示処理部212へ送信する(S116)。表示処理部212は、当該アプリ一覧画面に基づいて、アプリ一覧画面を対象機器20の操作パネル22へ表示する(S117)。
【0058】
図9は、アプリ一覧画面の第1の表示例を示す図である。
図9が示すように、アプリ一覧画面510は、契約アプリ又は提案アプリごとにボタン511a~511cを含む。
図9の例では、ボタン511a及びボタン511bが契約アプリの実行指示を受け付けるためのボタンである。すなわち、ボタン511a又はボタン511bが対象ユーザによって選択されると、表示処理部212は、選択されたボタンに対応する契約アプリの実行を機器制御部213に要求する。
【0059】
一方、ボタン511cは、提案アプリに対応するボタンである。提案アプリに対応するボタン511cには、吹き出しb1が付与されている。吹き出しb1は、ボタン511cに対応するアプリケーションの利用をユーザに提案(勧誘)するためのメッセージを含む。但し、提案アプリは、対象ユーザが(対象ユーザが属するテナントが)購入していないアプリケーションであるため、対象ユーザが利用することはできない。したがって、対象ユーザがボタン511cを選択すると、例えば、表示処理部212は、当該提案アプリの利用が可能となるように契約を変更させるための情報を表示してもよい。換言すれば、ステップS114において、情報処理部111は、提案アプリに対応するボタンが選択される場合には、斯かる情報が表示されるようにアプリ一覧画面データを生成する。この際、情報処理部111は、提案アプリが属するパッケージの販売手段が直売か代売かによって、表示情報を変えてもよい。具体的には、情報処理部111は、直売のパッケージに属する提案アプリに対応するボタンには、契約の変更用(利用するパッケージの契約変更用)のWebページへのリンクを埋め込む。そうすることで、当該ボタンの選択に応じ、当該Webページが表示されるようになる。一方、情報処理部111は、代売のパッケージに属する提案アプリに対応するボタンに対しては、代売者の連絡先情報を付与する。そうすることで、当該ボタンの選択に応じ、当該連絡先情報が表示されるようになる。このような表示情報により、対象ユーザは、提案アプリを利用可能なパッケージの購入手続きをスムーズに行うことができる。
【0060】
なお、情報処理部111は、契約アプリの中で、対象テナントにおいて利用頻度が低いアプリケーションについても、利用を促すようなメッセージが表示されるようにアプリ一覧画面データを生成してもよい。この場合、情報処理部111は、ステップS114においてアプリ一覧画面データを生成する際に、契約アプリの中で対象テナントにおいて利用頻度が低いアプリケーションをアプリ利用状況記憶部115を参照して特定する。
【0061】
図10は、アプリ利用状況記憶部115の一例を示す図である。
図10が示すように、アプリ利用状況記憶部115は、各テナントの契約アプリごとに、パッケージID、テナントID、アプリID及び利用回数等を記憶する。
【0062】
パッケージIDは、契約アプリが属するパッケージのパッケージIDである。テナントIDは、契約アプリの利用回数のカウント対象であるテナントのテナントIDである。アプリIDは、当該契約アプリのアプリIDである。利用回数は、テナントIDに係るテナントにおける当該契約アプリの利用回数である。
【0063】
例えば、情報処理部111は、アプリ利用状況記憶部115が記憶するレコード群のうち、テナントIDが対象テナントIDに一致し、アプリIDが契約アプリのアプリIDに一致するレコードの中で、利用回数が閾値以下であるレコードに対応する契約アプリを、利用促進の対象として特定する。当該閾値は、0であってもよいし、0より大きい値であってもよい。情報処理部111は、利用促進の対象として特定した契約アプリに関して利用を促進するためのメッセージが表示されるようにアプリ一覧画面データを生成する。その結果、ステップS117では、例えば、
図11に示すようなアプリ一覧画面が表示されるようになる。
【0064】
図11は、アプリ一覧画面の第2の表示例を示す図である。
図11中、
図9と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
図11は、ボタン511bが、利用頻度が低い契約アプリに対応するボタンである例を示す。この場合、ボタン511bに対して吹き出しb2が表示される。吹き出しb2は、対象ユーザに対して当該契約アプリの利用を促すメッセージを含む。
【0065】
なお、ボタン511bが選択された場合、表示処理部212は、ボタン511bに対応する契約アプリの実行要求を機器制御部213へ要求する。すなわち、契約アプリは対象ユーザが利用可能なアプリケーションであるため契約の変更等は必要ではない。したがって、利用頻度の低い契約アプリに対応するボタンが選択された場合であっても、利用頻度が低くない契約アプリに対応するボタンが選択された場合と同様の制御が行われる。
【0066】
上述したように、本実施の形態によれば、機器20のユーザが属する組織(テナント)の特徴(国情報,企業規模等)に基づいて、ユーザが利用可能なパッケージには含まれないアプリケーションの中からユーザに対して利用を提案するアプリケーションが特定される。ここで、組織の特徴に応じて、利便性の高いアプリケーションは異なると考えられる。したがって、機器20のユーザに適したアプリケーションが提案される可能性を高めることができる。
【0067】
また、本実施の形態では、ユーザが利用対象とするアプリケーションを選択するためのアプリ一覧画面の表示時に提案アプリが表示される。そうすることで、ユーザにとって煩わしくないタイミングであって、かつ、ユーザに注目されやすいタイミングで、アプリケーションの提案を行うことができる。但し、他のタイミングにおいて提案アプリを示す情報(例えば、ポップアップ画面等)が表示されるようにしてもよい。
【0068】
なお、機器20は、通信機能を備えた装置であれば、画像形成装置に限られない。機器20は、例えば、PJ(Projector:プロジェクタ)、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPCまたはデスクトップPC等であってもよい。
【0069】
また、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0070】
また、本実施の形態に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。
【0071】
ある実施形態では、サービス提供システム10は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。同様に、機器20は、互いに通信するように構成された複数のコンピューティングデバイスを含むことができる。
【0072】
なお、本実施の形態において、サービス提供システム10は、情報処理装置の一例である。情報処理部111は、特定部及び表示制御部の一例である。
【0073】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0074】
10 サービス提供システム
11 入力装置
12 表示装置
13 外部I/F
14 RAM
15 ROM
16 CPU
17 通信I/F
18 HDD
20 機器
21 コントローラ
22 操作パネル
23 外部I/F
24 通信I/F
25 プリンタ
26 スキャナ
31 CPU
32 RAM
33 ROM
34 NVRAM
35 HDD
40 外部ストレージシステム
111 情報処理部
112 契約情報記憶部
113 パッケージ情報記憶部
114 クラウド情報記憶部
115 アプリ利用状況記憶部
211 操作処理部
212 表示処理部
213 機器制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】