(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023081308
(43)【公開日】2023-06-09
(54)【発明の名称】組成物及び膜
(51)【国際特許分類】
C08L 27/12 20060101AFI20230602BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20230602BHJP
C08L 23/00 20060101ALI20230602BHJP
C08L 71/02 20060101ALI20230602BHJP
C08K 5/00 20060101ALI20230602BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20230602BHJP
【FI】
C08L27/12
C08L101/00
C08L23/00
C08L71/02
C08K5/00
C08J5/18 CER
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178362
(22)【出願日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】P 2021194153
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】千葉 俊輔
【テーマコード(参考)】
4F071
4J002
【Fターム(参考)】
4F071AA20
4F071AA26
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4J002AA01X
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4J002FD316
4J002FD31Y
(57)【要約】 (修正有)
【課題】特別な後加工の必要がなく、平滑な形状であっても、湿雪・乾雪の両方の雪質でともに滑雪性に優れる組成物を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂A、重合体B及び界面活性剤Cを含み、前記重合体Bは式(1)又は式(2)で表される構成単位を有し、前記樹脂Aと前記重合体Bとの合計100質量部に対して、前記樹脂Aの含有量は1~99質量部であり、前記重合体Bの含有量は1~99質量部であり、前記界面活性剤Cの含有量は0.01~25質量部である組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂Aと、重合体Bと、界面活性剤Cと、を含む組成物であって、
前記重合体Bは式(1)又は式(2)で表される構成単位を有し、
前記樹脂Aと前記重合体Bとの合計100質量部に対して、前記樹脂Aの含有量は1~99質量部であり、前記重合体Bの含有量は1~99質量部であり、前記界面活性剤Cの含有量は0.01~25質量部である組成物。
【化1】
式中、R
1~R
3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、又は、アルキル基から選択される。各アルキル基及び各アルコキシ基の内の少なくとも1つの水素原子は、独立にハロゲン原子で置換されていてもよい。
【請求項2】
前記重合体Bは、(1)式で表される構成単位を有し、前記(1)式のR1~R3がいずれもフッ素原子である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂Aは、オレフィン系重合体である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記界面活性剤Cは、非イオン性界面活性剤である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
前記界面活性剤Cの親水基が4個以上の酸素原子を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
前記界面活性剤Cの親水基が1~5個のアミド基を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項7】
前記界面活性剤Cが、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、多価アルコールアルキルエーテルからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項8】
樹脂Mと、界面活性剤Cと、を含む膜であって、下記要件(a)~(c)を満たす膜。
要件(a):前記膜の水平表面に2μLの水を滴下して測定した水接触角が50°以上90°以下である。
要件(b):前記膜の水平表面において拡張収縮法により測定した水の接触角のヒステリシスが30°以上100°以下である。
要件(c):前記膜の水平表面に2μLのヘキサデカンを滴下して測定したヘキサデカン接触角が10°以上130°以下である。
【請求項9】
請求項8に記載の膜を外面の少なくとも一部に有する物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物及び膜に関する。
【背景技術】
【0002】
豪雪地帯では、降雪による住環境部材への冠雪が問題となっている。例えば、冠雪による荷重の増加による構造部材の倒壊や、多量の冠雪が一度に落下することによる人身雪害、道路標識や交通信号機などの道路交通における安全指示板・装置の確認障害、太陽光パネルの発電効率の低下が挙げられる。
【0003】
吉田らの報告(北海道立試験所報告299,13-17(2000))によれば、降雪する雪質には、水分の含有量が多い湿った湿雪と、水分の含有量が少ない乾雪があり、湿雪か乾雪かは降雪する際の環境温度によって定まり、環境温度が、氷点以上では湿雪が降雪しやすく、氷点以下では乾雪が降雪しやすく、降雪する雪質が湿雪であれば、冠雪する材料の表面性質は親水性の方がより落雪(滑雪)しやすく、降雪する雪質が乾雪であれば、冠雪する材料の表面性質は撥水性の方がより落雪(滑雪)しやすいことが記載されている。このように、親水性かつ撥水性という相反する性質が必要となるため、様々な雪質を滑雪させる有効な材料の表面性質の設計の報告が非常に少ない。
【0004】
特許文献1には、フッ化ビニリデン系フッ素樹脂をマトリックス樹脂とし、セラミック系無機骨材と有機ポリマービーズとフッ素樹脂粉末を添加し、金属板上に形成された下塗り塗膜の上に塗布する上塗り塗料とし、耐傷付き性、耐塗膜かじり性、および滑雪性に優れたフッ化ビニリデン系フッ素樹脂塗装金属板が記載されている。
【0005】
特許文献2には、固体表面に、一方向に延びる溝を複数配設して2μm以上4mm以下の間隔で凹凸を形成し、該凹凸の凸部を水接触角で30°以下の親水性にし、凹部を水接触角で90°以上の撥水性にすることを特徴とする易滑雪性固体及びその作製技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-355671号公報
【特許文献2】特開2003-226867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、組成物において、塗装加工や、表面切削などの表面加工や、シボ賦形加工などの特別な後加工の必要がなく、平滑な形状であっても、湿雪・乾雪の両方の雪質でともに滑雪性に優れることが求められる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、塗装加工や、表面切削などの表面加工や、シボ賦形加工などの特別な後加工の必要がなく、平滑な形状であっても、湿雪・乾雪の両方の雪質でともに滑雪性に優れる組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]熱可塑性樹脂Aと、重合体Bと、界面活性剤Cと、を含む組成物であって前記重合体Bは式(1)又は式(2)で表される構成単位を有する。
前記樹脂Aと前記重合体Bとの合計100質量部に対して、前記樹脂Aの含有量は1~99質量部であり、前記重合体Bの含有量は1~99質量部であり、前記界面活性剤Cの含有量は0.01~25質量部である。
【化1】
式中、R
1~R
3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、又は、アルキル基から選択される。各アルキル基及び各アルコキシ基の内の少なくとも1つの水素原子は、独立にハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0010】
[2]前記重合体Bは、(1)式で表される構成単位を有し、前記(1)式のR1~R3がいずれもフッ素原子である、[1]に記載の組成物。
【0011】
[3]前記熱可塑性樹脂Aは、オレフィン系重合体である、[1]又は[2]に記載の組成物。
【0012】
[4]前記界面活性剤Cは、非イオン性界面活性剤である[1]~[3]のいずれか一項に記載の組成物。
【0013】
[5]前記界面活性剤Cの親水基が4個以上の酸素原子を有する[1]~[4]のいずれか一項に記載の組成物。
【0014】
[6]前記界面活性剤Cの親水基が1~5個のアミド基を有する[1]~[5]のいずれか一項に記載の組成物。
【0015】
[7]前記界面活性剤Cが、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、多価アルコールアルキルエーテルからなる群から選択される少なくとも1つである[1]~[6]のいずれか一項に記載の組成物。
【0016】
[8]樹脂Mと、界面活性剤Cと、を含む膜であって、下記要件(a)~(c)を満たす膜。
要件(a):前記膜の水平表面に2μLの水を滴下して測定した水接触角が50°以上90°以下である。
要件(b):前記膜の水平表面において拡張収縮法により測定した水の接触角のヒステリシスが30°以上100°以下である。
要件(c):前記膜の水平表面に2μLのヘキサデカンを滴下して測定したヘキサデカン接触角が10°以上130°以下である。
【0017】
[9]上記の膜を外面の少なくとも一部に有する物品。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、塗装加工や、表面切削などの表面加工や、シボ賦形加工などの特別な後加工の必要がなく、平滑な形状であっても、湿雪・乾雪の両方の雪質でともに滑雪性に優れる膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、膜10の傾斜角度θを説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0021】
本実施形態の組成物は、熱可塑性樹脂Aと、重合体Bと、界面活性剤Cと、を含む組成物であって、
前記樹脂Aと前記重合体Bとの合計100質量部に対して、前記樹脂Aの含有量は1~99質量部であり、前記重合体Bの含有量は1~99質量部であり、前記界面活性剤Cの含有量は0.01~25質量部である。
【0022】
(熱可塑性樹脂A)
熱可塑性樹脂の例は、オレフィン系重合体、スチレン系重合体、メタクリル系樹脂、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、アミド系樹脂、ビニル系重合体である。熱可塑性樹脂Aは、単独樹脂であってもよく、2種以上の樹脂の混合物であってもよい。
【0023】
<オレフィン系重合体>
本発明のオレフィン系重合体とは、炭素原子数2~10のオレフィンに由来する構成単位を51重量%以上含有する重合体である(ただし、オレフィン系重合体の全量を100重量%とする)。炭素原子数2~10のオレフィンとしては、例えば、エチレン、1-プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン等が挙げられ、任意の複数種を含んでいてもよい。
【0024】
また、オレフィン系重合体は、炭素原子数2~10のオレフィン以外の単量体に由来する構成単位を含有していてもよい。この炭素原子数2~10のオレフィン以外の単量体としては、例えば、スチレンなどの芳香族ビニル単量体;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニルなどのビニルエステル化合物;1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)などの共役ジエン;ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネンなどの非共役ジエン;プロピレンが挙げられる。
【0025】
オレフィン系重合体は、他のモノマーに由来する構成単位を、2種以上有していてもよい。
【0026】
オレフィン系重合体は、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、及びブテン系重合体からなる群から選択される少なくとも1つであることができ、これらの内の任意の2種以上の組み合わせであってもよい。
【0027】
エチレン系共重合体とは、エチレンに由来する構造単位を50質量%以上含有する重合体であり、その例は、エチレン単独重合体、エチレン-1-ブテン共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体、エチレン-1-オクテン共重合体、及び、エチレン-1-ブテン-1-ヘキセン共重合体である。エチレン系共重合体は、2以上のエチレン系共重合体の組み合わせであってもよい。
【0028】
プロピレン系共重合体とは、プロピレンに由来する構造単位を50質量%以上含有する重合体であり、その例は、プロピレン単独重合体、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-1-オクテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ヘキセン共重合体、及び、プロピレン-エチレン-1-オクテン共重合体である。プロピレン系共重合体は、2種以上のプロピレン系共重合体の組み合わせであってもよい。オレフィン系重合体がプロピレン系共重合体であることは好適である。
【0029】
ブテン系共重合体とは、1-ブテンに由来する構造単位を50質量%以上含有する重合体であり、その例は、1-ブテン単独重合体、1-ブテン-エチレン共重合体、1-ブテン-プロピレン共重合体、1-ブテン-1-ヘキセン共重合体、1-ブテン-1-オクテン共重合体、1-ブテン-エチレン-プロピレン共重合体、1-ブテン-エチレン-1-ヘキセン共重合体、1-ブテン-エチレン-1-オクテン共重合体、1-ブテン-プロピレン-1-ヘキセン共重合体、及び、1-ブテン-プロピレン-1-オクテン共重合体である。ブテン系共重合体は、2種以上のブテン系共重合体の組み合わせであってもよい。
【0030】
<スチレン系重合体>
スチレン系重合体とは、スチレンもしくはスチレン誘導体に由来する構成単位を51重量%以上含有する重合体である。スチレン誘導体としては、例えば、p-メチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、α-メチルスチレン、p-メトキシスチレンを挙げることができる。スチレン重合体は、スチレンもしくはスチレン誘導体以外の単量体に由来する構成単位を含有していてもよく、例えば、炭素原子数2以上10以下のオレフィン;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニルなどのビニルエステル化合物;1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)などの共役ジエン;ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネンなどの非共役ジエンを挙げることができる。
【0031】
<メタクリル系樹脂>
メタクリル系樹脂とは、メタクリル酸エステルに由来する構成単位を51重量%以上含有する重合体であり、例えば、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸2-エチルヘキシル)等が挙げられる。
【0032】
<アクリル系樹脂>
アクリル系樹脂とは、アクリル酸エステルに由来する構成単位を51重量%以上含有する重合体であり、例えば、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸エチル)、ポリ(アクリル酸ブチル)、ポリ(アクリル酸2-エチルヘキシル)等が挙げられる。
【0033】
<エステル系樹脂>
エステル系樹脂とは、多価カルボン酸と多価アルコールとのエステルに由来する構成単位を51重量%以上含有する重合体であり、例えば、ポリカルボナート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。
【0034】
<アミド系樹脂>
アミド系樹脂とは、アミド結合で繰り返される構成単位を51重量%以上含有する重合体であり、例えば、ポリ(ε-カプロラクタム)、ポリドデカンアミド、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンドデカンアミド)、ポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)、ポリ(m-フェニレンテレフタルアミド)等が挙げられる。
【0035】
<ビニル系重合体>
本発明のビニル系重合体とは、ビニル基をもつ単量体に由来する構成単位を51重量%以上含有する重合体であり、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニリデンなどが挙げられる。
【0036】
(熱可塑性樹脂AのTg)
熱可塑性樹脂Aのガラス転移温度(Tg)は、湿雪における滑雪性の観点から、0℃以上が好ましく、より好ましくは50℃以上、更により好ましくは80℃以上である。ガラス転移温度(Tg)が大きいほど、組成物の湿雪における滑雪性が優れる傾向にある。
【0037】
熱可塑性樹脂Aのガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121に準拠した示差走査熱量計(DSC)測定により求められる値である。
【0038】
(熱可塑性樹脂AのMFR)
熱可塑性樹脂Aの、温度190℃もしくは230℃、及び荷重2.16kgfもしくは荷重3.80kgf(37.3N)の条件で測定されるメルトマスフローレイト(MFR)は0.01g/10分以上であることができ、200g/10分以下であることができる。MFRの上限は、100g/10分、50g/10分、30g/10分であることができる。熱可塑性樹脂Aのメルトマスフローレイトが小さいほど、組成物の成形性が優れる傾向にある。
【0039】
(熱可塑性樹脂AのTm)
上記の熱可塑性樹脂Aの製造方法としては、公知の重合用触媒を用いた公知の重合方法が用いられる。
【0040】
(重合体B)
本発明の重合体Bは、式(1)又は式(2)で表される構成単位を有する重合体である。
【0041】
【化2】
式中、R
1~R
3は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、及び、アルキル基から選択される。ハロゲン原子の例は、F,Cl,Br,Iである。
【0042】
式(1)及び(2)のR1~R3の、アルコキシ基、アルキル基の炭素数は、好ましくは、1以上15以下、より好ましくは1以上10以下、更により好ましくは1以上5以下である。R1~R3のアルキル基及びアルコキシ基は、直鎖でも、分岐状でも、環状でもよいが、直鎖であることが好ましい。R1~R3の各アルキル基及び各アルコキシ基の内の少なくとも1つの水素原子は、独立にフッ素などのハロゲン原子で置換されていてもよい。各アルキル基及び各アルコキシ基の内の全ての水素原子が、フッ素などのハロゲン原子で置換されていることが好適である。
【0043】
重合体Bは、(1)及び/又は(2)式の構成単位を51重量%以上含有する重合体が好ましく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体、パーフルオロアルコキシアルカン(例えば四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体等が挙げられる。
【0044】
加工性の観点から、重合体Bとしてポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、パーフルオロアルコキシアルカンが好ましい。
また、滑雪性の観点から、重合体Bは、(1)式で表される構造単位を有し、R1~R3がいずれもフッ素原子(F)であることが好適である。このような重合体の例は、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、パーフルオロアルコキシアルカンであるが、中でもエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体が好ましい。
【0045】
重合体Bとしてフッ化ビニリデン系重合体を用いる場合は、フッ化ビニリデン単位を含む樹脂であればよく、例えば、フッ化ビニリデン単位のみからなる単独重合体(ポリフッ化ビニリデン)や、フッ化ビニリデン単位を含む共重合体が挙げられる。フッ化ビニリデン系重合体中のフッ化ビニリデン単位の含有量は50質量%以上が好ましく、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。
【0046】
フッ化ビニリデンと共重合可能な他のビニル単量体としては、例えば、フッ化ビニル、四フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、六フッ化プロピレン等のフッ素化されたビニル単量体;スチレン、エチレン、ブタジエン、プロピレン等のビニル単量体が挙げられる。
【0047】
上記の重合体Bの製造方法としては、公知の重合用触媒を用いた公知の重合方法が用いられる。
【0048】
(重合体BのTm)
重合体BのDSCにより求められる融点は、特に限定されるものではないが、加工性の観点から、好ましくは300℃未満であり、より好ましくは280℃未満、更により好ましくは、260℃未満である。
【0049】
重合体BのDSCにより求められる融点(Tm)は、重合体B中に含まれる結晶相の融解温度であり、具体的には、重合体Bを昇温したときに得られるDSC曲線において、最も高温側の吸熱ピークにおけるピークトップ温度である。
【0050】
なお、この融点は、以下の条件で測定する。(i)重合体Bの約10mgを、窒素雰囲気下、220℃で5分間熱処理した後、降温速度10℃/分で50℃まで冷却する。(ii)次いで、50℃において1分間保温した後、50℃から180℃まで昇温速度10℃/分で加熱する。
【0051】
(重合体BのMFR)
重合体Bの、温度230℃、もしくは温度190℃、もしくは297℃、及び荷重2.16kgf又は5.0kgfの条件で測定されるメルトマスフローレイト(MFR)は0.01g/10分以上であることができ、200g/10分以下であることができる。MFRの上限は、100g/10分、50g/10分、30g/10分であることができる。重合体Bのメルトマスフローレイトが小さいほど、組成物の成形性が優れる傾向にある。
【0052】
(重合体BのTg)
【0053】
上記の重合体Bの製造方法としては、公知の重合用触媒を用いた公知の重合方法が用いられる。
【0054】
(界面活性剤C)
界面活性剤Cは、疎水基及び親水基を有する有機化合物である。界面活性剤に特段の限定はない。
【0055】
疎水基の例は、炭素数5以上の炭化水素基である。炭化水素基は、直鎖でも、分岐鎖でも、環状でもよいが、直鎖であることが好適である。炭化水素基の炭素数は10以上があってよく、14以上であってよく、18以上であってよく、22以上であってよく、26以下であってよく、30以下であってよく、34以下であってよい。炭化水素基は、不飽和であっても、飽和であってもよいが、不飽和であることが好適である。不飽和とは、少なくとも1つの2重結合及び/又は3重結合を有することである。
【0056】
親水基は疎水基以外の部分である。親水基の例は、酸素原子及び窒素原子の少なくとも1つを含有する有機基である。
酸素原子を少なくとも1つ含有する親水基の例は、水酸基、エステル結合(-COO-)、エーテル結合(-O-)(ただし、オキシエチレン基などのオキシアルキレン基、ポリオキシエチレン基などのポリオキシアルキレン基、環状エーテル基を含む)、カルボニル基(ケトン基及びアルデヒド基を含む)からなる群から選択される原子団を1又は複数含有する基である。好ましい原子団は、水酸基、エステル結合、及び、エーテル結合である。
【0057】
酸素原子を少なくとも1つ含有する親水基は、酸素原子を4個以上有することが好適であり、5個以上、6個以上、35個以下、或いは、30個以下有することが好適であり、特に、4個以上、15個以下が好ましく、4個以上、12個以下がより好ましい。親水基の酸素数が少なすぎると混錬する際に分散不良を起こしやすいと言う傾向がある。親水基の酸素数が大きくなりすぎると連続押出加工する際に原料供給不良を起こしやすくなる傾向がある。
酸素原子を4個以上有する親水基の例は、ソルビタンなどの多価アルコールの脂肪酸エステルにおける炭化水素基以外の部分の基、ポリオキシエチレンソルビタンなどのポリオキシアルキレン多価アルコールの脂肪酸エステルにおける炭化水素基以外の部分の基である。
【0058】
また、窒素原子の少なくとも1つを含有する親水基は、アミド基を含む有機基であることができる。
親水基がアミド基を有する場合、親水基のアミド基の数は1以上であればよく、5以下であることが好ましく、3以下でもよく、2以下でもよい。窒素が多くなると製造時の取り扱いが困難になるという傾向がある。
【0059】
親水基は、酸素原子及び窒素原子を両方有してもよい。
【0060】
界面活性剤Cの親水基は非イオン性であることが好適である。言い換えると、界面活性剤Cは非イオン性界面活性剤であることが好適である。
【0061】
界面活性剤Cは、多価アルコール脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル;脂肪酸アミド;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル;多価アルコールアルキルエーテルからなる群から選択される少なくとも1つであることができる。
【0062】
(多価アルコール脂肪酸エステル)
多価アルコール脂肪酸エステルとは、多価アルコールと脂肪酸とのエステルである。
【0063】
本明細書において、脂肪酸は、直鎖でも、分岐鎖でも、環状でもよい。脂肪酸は直鎖であることが好適である。
【0064】
脂肪酸は、炭素原子数が6以上であることができ、好ましくは、炭素原子数が8以上であり、より好ましくは、炭素原子数が10以上であり、更により好ましくは、炭素原子数が12以上である。炭素原子数の上限は特にないが、例えば、30以下、26以下であることができる。
【0065】
脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよく、2重結合及び3重結合から選択される不飽和結合を1つ以上有する不飽和脂肪酸であってもよい。不飽和脂肪酸は、2重結合を1つ有してもよく、複数有してもよい。
【0066】
不飽和結合は、トランス型でもシス型でもよい。
【0067】
脂肪酸の例は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、イソセチル酸、イソステアリン酸、アラキジン酸、イソドコサン酸、イソテトラコサン酸等の飽和脂肪酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エルカ酸等の不飽和脂肪酸が挙げられる。
【0068】
本明細書における多価アルコールの例は、ソルビタン、ソルビトール、マンニタン、マンニトール、ショ糖、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトールである。
【0069】
多価アルコール脂肪酸エステルにおけるエステル結合の数は1以上であればよく、複数でもよい。
【0070】
多価アルコール脂肪酸エステルの例は、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、マンニタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルである。
【0071】
ソルビタン脂肪酸エステルの例は、ソルビタンモノラウレート(span20)、ソルビタンモノパルミテート(Span40)、ソルビタンモノステアレート(span60)、ソルビタントリステアレート(Span65)、ソルビタンモノオレエート(span80)、ソルビタンセスキオレエート(span83)、ソルビタントリオレエート(Span85)である。そのうちのいくつかの構造式を下記に示す。
【0072】
【0073】
(ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル)
ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルとは、ポリオキシアルキレン化した多価アルコールの脂肪酸エステルである。
【0074】
多価アルコールの例は、ソルビタン、ソルビトール、マンニタン、マンニトール、ショ糖、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトールである。これらのなかでも、ソルビタン、マンニタン、ショ糖、グリセリンが好ましい。
【0075】
オキシアルキレン基の例は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドであり、これらの内の複数種を有していてもよい。
【0076】
ポリオキシアルキレン化した多価アルコールの例は、ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンマンニタン、ポリオキシエチレンショ糖、ポリオキシエチレングリセリン、ポリオキシプロピレンソルビタン、ポリオキシプロピレンマンニタン、ポリオキシプロピレンショ糖、ポリオキシプロピレングリセリン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンソルビタンである。
【0077】
ポリオキシアルキレン化した多価アルコールにおいて、各水酸基をアルキレン化して生じたモノ又はポリオキシアルキレン鎖の数は、1つの分子中で1~6であることができる。多価アルコールの全ての水酸基がモノ又はポリオキシアルキレン化されていることが好適である。ポリオキシアルキレン化した多価アルコールにおいて、1つの分子中の全てのモノ及びポリオキシアルキレン鎖について合計したオキシアルキレン構成単位の数は10~30とすることができる。
【0078】
脂肪酸の例は、上述したものを適宜利用できる。脂肪酸の例は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、イソセチル酸、イソステアリン酸、アラキジン酸、イソドコサン酸、イソテトラコサン酸等の飽和脂肪酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エルカ酸等の不飽和脂肪酸が挙げられる。
【0079】
ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルの具体例としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられ、例えば、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(Tween 20)、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(Tween 60)、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(Tween 80)、:トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(Tween 65)、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(Tween 85)である。その内のいくつかの構造式を下に示す。
【0080】
【0081】
(脂肪酸アミド)
脂肪酸アミドとしては、ラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ステアリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸アミド;オレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド;N-ステアリルエルカ酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-ステアリルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミドなどの置換脂肪酸アミド、メチロールステアリン酸アミドなどのメチロール脂肪酸アミド、メチレン及びエチレンビス脂肪酸アミド;並びに、ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、コカミドジエタノールアミドなどのアルカノールアミドが挙げられる。脂肪酸アミドにおける炭化水素基の炭素数は18以上であることができ、26以下であることができる。
【0082】
(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの例は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルである。ポリオキシエチレンアルキルエーテルは次式であらわされることができる。
【0083】
R21-O-(CH2CH2-O)m-H
〔式中、R21は炭素数8以上22以下の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、mは平均値で1以上100以下の数を示す。〕
【0084】
上式において、R21の炭素数は、好ましくは10以上、より好ましくは12以上であり、また、22以下であって、好ましくは20以下、より好ましくは18以下である。
【0085】
(ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル)
ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルの例は、オクチルフェノールエトキシレート(Triton X-100、X-114等)、ノニルフェノールエトキシレートである。
【0086】
(多価アルコールアルキルエーテル)
多価アルコールアルキルエーテルの例は、オクチルグルコシド、デシルグルコシド、ラウリルグルコシドなどのアルキルグルコシドである。
【0087】
上記の界面活性剤Cの製造方法としては、公知の有機合成法を用いてもよい。
【0088】
<組成物>
本発明の組成物は、熱可塑性樹脂Aと、重合体Bと、界面活性剤Cを含む組成物であって、前記樹脂Aと前記重合体Bとの合計100質量部に対して、前記樹脂Aの含有量は1~99質量部であり、前記重合体Bの含有量は1~99質量部である。組成物において、前記樹脂Aの含有量は10~90質量部であり、前記重合体Bの含有量は10~90質量部であってよく、前記樹脂Aの含有量は10~80質量部であり、前記重合体Bの含有量は20~90質量部であってよく、前記樹脂Aの含有量は10~70質量部であり、前記重合体Bの含有量は30~90質量部であってよく、前記樹脂Aの含有量は20~70質量部であり、前記重合体Bの含有量は30~80質量部であってよい。
【0089】
本発明の組成物は、前記樹脂Aと前記重合体Bとの合計100質量部に対して、界面活性剤Cは、0.01~25質量部である。組成物において、界面活性剤Cの含有量は0.01~20質量部であることが好適であり、界面活性剤Cの含有量は0.01~15質量部であることがより好適であり、界面活性剤Cの含有量は0.01~10質量部であることが更により好適であり、界面活性剤Cの含有量は0.1質量部以上でもよく、0.5質量部以上でもよく、1.0質量部以上でもよい。また、界面活性剤Cの含有量は10質量部以下でもよく、5質量部以下でもよく、1.0質量部以下でもよい。
【0090】
(ガラス転移温度のピーク数)
本発明の組成物のガラス転移温度のピーク数は、好ましくは単峰である。言い換えると、熱可塑性樹脂Aと重合体Bとは、完全相溶であることが好ましい。
【0091】
組成物は、必要に応じて、熱可塑性樹脂A、重合体B、及び、界面活性剤C以外に添加剤を含んでもよい。添加剤としては、安定剤、防菌剤、防黴剤、分散剤、可塑剤、難燃剤、粘着付与剤、着色剤、金属粉末、無機繊維、有機繊維、複合繊維、無機ウィスカー、充填剤が挙げられ、前記安定剤としては、例えば、滑剤、老化防止剤、熱安定剤、耐光剤、耐候剤、金属不活性剤、紫外線吸収剤、光安定剤、銅害防止剤が挙げられる。耐光剤としては、ヒンダードアミン系耐光剤が挙げられ、着色剤としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック及び有機顔料が挙げられ、金属粉末としては、フェライトが挙げられ、無機繊維としては、ガラス繊維、金属繊維が挙げられ、有機繊維としては、炭素繊維、アラミド繊維が挙げられ、無機ウィスカーとしては、チタン酸カリウムウィスカーが挙げられ、充填剤としては、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク、アスベスト、マイカ、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、ハイドロタルサイト、カオリン、けい藻土、グラファイト、軽石、エボ粉、コットンフロック、コルク粉、硫酸バリウム、フッ素樹脂、セルロースパウダー、木粉が挙げられる。添加剤は、1種のみ含んでもよく、2種以上含んでもよい。添加剤は、熱可塑性樹脂Aの分散相に含まれていてよく、重合体Bの分散相に含まれていてもよく、熱可塑性樹脂Aと重合体Bが別の分散相を形成していてもよい。
【0092】
本発明に係る組成物の製造方法としては、熱可塑性樹脂Aと重合体Bと界面活性剤Cとを溶融混練する方法、熱可塑性樹脂Aと重合体Bと界面活性剤Cとの存在下、熱可塑性樹脂Aと重合体Bを構成する各種モノマー成分を重合する方法が挙げられる。加工性の観点から、好ましくは熱可塑性樹脂Aと重合体Bと界面活性剤Cとを溶融混練する方法である。
【0093】
上記に記載の溶融混練は、公知の装置を用いて公知の方法により行うことができる。例えば、熱可塑性樹脂Aと重合体Bと界面活性剤Cを、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、タンブルミキサー等の混合装置を用いて混合した後、更に溶融混練する方法や、定量供給機を用いて、一定の割合で、熱可塑性樹脂Aと重合体Bと界面活性剤Cと、必要に応じて各種添加剤とをそれぞれ連続的に供給して混合物を得た後、該混合物を単軸又は二軸以上の押出機、バンバリーミキサー、ロール式混練機等を用いて溶融混練する方法が挙げられる。
【0094】
上記の溶融混練の温度は、好ましくは80℃以上であり、より好ましくは、100℃~300℃であり、より好ましくは、120℃~280℃であり、さらに好ましくは、140℃~260℃である。
【0095】
(作用)
本組成物を成形した膜の表面では、低温条件および高温条件の両方において滑雪性を高くすることができる。
この理由は不明であるが、本実施形態に係る組成物によれば、当該組成物の成形体の表面における水接触角を低くしつつ、水接触角のヒステリシスを高くし、かつ、油接触角を高くすることができるためと考えられる。その理由の一例としては、熱可塑性樹脂Aに加えてフッ素系重合体Bを含むので、組成物の加熱成形により成形体の表面において界面活性剤の親水基が外側を向くように配置されやすいことが考えられる。
【0096】
材料表面の水接触角が低いと、雪と材料表面との間に水膜が形成されやすくなり、湿雪の滑雪性が高くなる。
材料表面の水接触角のヒステリシスが高いと、雪と材料表面との間の水膜が流れやすくなり、湿雪の滑雪性がより高くなる。
材料表面の油接触角が高いと、雪と材料表面の界面強度が低下するため乾雪の滑雪性が上昇する。
【0097】
(膜)
本発明の一実施形態に係る膜は、樹脂Mと、界面活性剤Cとを含む膜であって、下記要件(a)~(c)を満たす。
要件(a):前記膜の水平表面(水平面に対して0°の傾斜角度θに静置:
図1参照)に2μLの水を滴下して測定した水接触角が50°以上90°以下である。
要件(b):前記膜の水平表面において拡張収縮法により測定した水の接触角のヒステリシスが30°以上100°以下である。
要件(c):前記膜の水平表面に2μLのヘキサデカンを滴下して測定したヘキサデカン接触角が10°以上130°以下である。
【0098】
<樹脂M>
樹脂Mは、表面において、上述の要件(a)~(c)を満たすものであれば、特に限定されない。樹脂Mは、上記の組成物における熱可塑性樹脂A及び重合体Bの混合物であってよい。
【0099】
要件(a):膜の表面の水接触角
膜の表面の水接触角は、膜の水平表面に2μLの水を滴下して測定される。測定方法としては、θ/2法を用いる。水接触角は50°以上であり、60°以上であることができ、る。水接触角は90°以下であり、80°以下であることができる。下限は特に無いが、10°以上であってよい。本明細書において接触角の測定は23℃でおこなう。接触角の測定は、JIS R 3257:1999にしたがって行う。
【0100】
要件(b):膜の表面の水接触角のヒステリシス
水接触角のヒステリシスは、膜の水平表面において拡張/収縮法(動的接触角測定)により測定できる。具体的には、膜の水平表面において水液滴の体積を増加させる際の前進接触角と、水液滴の体積を減少させる際の後退接触角とを測定し、以下の式により求めることができる。
接触角のヒステリシス(°)=前進接触角(°)-後退接触角(°) …(W3)
水接触角のヒステリシスは、30°以上であり、35°以上、40°以上であることができる。水接触角のヒステリシスは、100°以下であり、90°以下、80°以下、70°以下、60°以下であることができる。
【0101】
要件(c):ヘキサデカン接触角
膜の表面のヘキサデカン接触角は、膜の水平表面に2μLのヘキサデカンを滴下して測定される。測定方法としては、θ/2法を用いる。ヘキサデカン接触角は10°以上であり、20°以上、30°以上であることができる。ヘキサデカン接触角は130°以下であり、120°以下、110°以下、100°以下であることができる。接触角の測定は、JIS R 3257:1999にしたがって行う。
【0102】
<膜の厚み>
膜の厚みに限定はないが、例えば、1μm以上であることができる。上限も特にないが150mmであることができる。
【0103】
(膜の製造方法)
本実施形態の膜は、上記の組成物を溶融して成形することで得ることができる。成形方法の例は、押出成形、圧縮成形、射出成形である。押出成形法としては、例えば、Tダイ成形法もしくは、インフレーション成形法による単層押出成形法や、Tダイ成形法もしくは、インフレーション成形法による単層押出成形法による多層押出成形法、紡糸押出法が挙げられる。多層押出成形法としてはフィードブロック方式やマルチマニホールド方式などの公知の方法が挙げられる。射出成形法としては、例えば、一般的な射出成形法、射出発泡成形法、超臨界射出発泡成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、ガスアシスト射出成形法、サンドイッチ成形法、サンドイッチ発泡成形法、インサート・アウトサート成形法等が挙げられる。
【0104】
成形方法として、滑雪性の観点から、好ましいのは押出成形、圧縮成形である。
【0105】
(膜を用いた物品の態様)
本発明の膜は、単独で使用してもよく、または、他の樹脂部材、金属部材、紙、皮革等と張り合わせを行い、多層の物品としてもよい。
【0106】
本発明の膜の表面には、表面処理を施してもよい。表面処理の方法としては、エンボス処理、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾン処理等の方法が挙げられる。
【0107】
本発明の膜の具体例としては、透明系光学用途部材、繊維材、農業資材、外構部材、家具及び室内装飾部材、家部材、玩具部材、園芸部材、自動車部材、包装材が挙げられる。透明系光学部材として、太陽光パネル用部材、レンズ部材などが挙げられ、繊維材として、例えば、衣料用ファブリック部材、インテリア用ファブリック部材、産業用繊維部材などが挙げられ、農業資材として、マルチ用フィルム部材、ハウス部材、ネット部材が挙げられ、外構部材として、例えば、カーポート部材、フェンス部材、門扉部材、門柱部材、ポスト部材、サイクルポート部材、デッキ部材、サンルーム部材、屋根部材、テラス部材、手すり部材、シェード部材、オーニング部材などが挙げられ、家具及び室内装飾部材として、例えば、ソファ部材、テーブル部材、チェア部材、ベッド部材、タンス部材、キャブネット部材、ドレッサー部材などが挙げられ、家電部材として、例えば、時計用部材、携帯電話部材、白物家電部材、などが挙げられ、玩具部材として、例えば、プラモデル部材、ジオラマ部材、ビデオゲーム本体部材などが挙げられ、園芸部材として、例えば、プランター部材、花瓶部材、植木鉢用部材などが挙げられ、自動車部材として、例えば、バンパー材、インパネ材などが挙げられ、包装材としては、例えば、食品用包装材、繊維用包装材、雑貨用包装材などが挙げられる。さらに、その他の用途としては、例えば、モニター用部材、オフィスオートメーション(OA)用機器部材、医療用部材、排水パン、トイレタリー部材、ボトル、コンテナー、除雪用品部材、各種建築用部材などが挙げられる。
【0108】
(作用)
本実施形態に係る膜の表面は、表面における水接触角を低くしつつ、水接触角のヒステリシスを高くし、さらに、油接触角もある程度以上となっている。そのため、低温条件および高温条件の両方において滑雪性を高くすることができる。
【実施例0109】
以下、本発明について実施例及び比較例を用いて説明する。実施例及び比較例で使用した熱可塑性樹脂Aと重合体Bと添加剤Cを下記に示す。
【0110】
(1)熱可塑性樹脂A
(A-1)ポリメタクリル酸メチル
(商品名)スミペックス LG(住友化学製)
MFR(230℃ 3.80kgf(37.3N)):10.0g/10分
【0111】
(A-2)プロピレン単独重合体
MFR(230℃、2.16kgf(21.2N)):0.5g/10分
【0112】
(2)重合体B
(B-1)ポリフッ化ビニリデン
(商品名)クレハKFポリマー#1300(クレハ製)
MFR(230℃ 2.16kgf(21.2N)):0.2g/10分
【0113】
(B-2)エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)
(商品名)Fluon LM-ETFE AH3000L(AGC製)
MFR(297℃ 5.0kgf(49.0N)):6.5g/10分
【0114】
(3)添加剤C
(C-1)ソルビタントリオレイン酸エステル
(商品名)Span85(=Sorbitan Trioleate)(東京化成工業製)
(CAS RN)26266-58-0
(疎水基の炭素原子数):17
(疎水基の不飽和度):1
(親水基の酸素原子の合計値):8
【0115】
(C-2)ソルビタンモノオレイン酸エステル
(商品名)Span80(=Sorbitan Monooleate)(東京化成工業製)
(CAS RN)1338-43-8
(疎水基の炭素原子数):17
(疎水基の不飽和度):1
(親水基の酸素原子の合計値):6
【0116】
(C-3)ポリオキシエチレン-ソルビタントリオレイン酸エステル
(商品名)Tween85(=Polyoxyethylene Sorbitan Trioleate)
(CAS RN)9005-70-3
(疎水基の炭素原子数):17
(疎水基の不飽和度):1
(親水基の酸素原子の合計値):28
【0117】
(C-4)ポリオキシエチレン-ソルビタンモノオレイン酸エステル
(商品名)Tween80(=Polyoxyethylene Sorbitan Monooleate)
(CAS RN)9005-65-6
(疎水基の炭素原子数):17
(疎水基の不飽和度):1
(親水基の酸素原子の合計値):27
【0118】
(C-5)エルカ酸アミド
(商品名)ニュートロン-S(日本精化製)
(CAS RN)112-84-5
(疎水基の炭素原子数):21
(疎水基の不飽和度):1
(親水基のアミド基数):1
【0119】
(C-6)シリコーン
(商品名)GENIOPLAST PP50S12(旭化成製)
(CAS RN)7440-21-3
【0120】
(膜)
(膜-1)ポリプロピレン単体シート
(水接触角):98.7°
(水接触角のヒステリシス):26.6°
(ヘキサデカン接触角):12.6°
【0121】
(膜-2)ポリカーボネート単体シート
(商品名)ポリカエース
(水接触角):87.7°
(水接触角のヒステリシス):42.6°
(ヘキサデカン接触角):9.6°
【0122】
(膜-3)撥水性ポリエチレン
(商品名)トーヤルロータス(東洋アルミ製)
(水接触角):154.2°
(水接触角のヒステリシス):0.4°
(ヘキサデカン接触角):0°
【0123】
(膜-4)撥水性・撥油性ポリエチレン
(商品名)トーヤル ウルトラロータス
(水接触角):142.9°
(水接触角のヒステリシス)22.4°
(ヘキサデカン接触角):129°
【0124】
各熱可塑性樹脂、各重合体、各成分、組成物の物性は下記に示した方法に従って測定した。
【0125】
(1)メルトマスフローレイト(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210-2014に規定された方法に従って測定した。測定温度は230℃又は297℃、荷重は2.16kgf又は3.80kgf、又は5.00kgfとした。
【0126】
(2)水接触角(単位:°)
膜の水平表面の接触角は、協和界面科学社製DM-501を用いて、θ/2法にて、成形体に対する純水の接触角を測定した。液滴量は2μLとした。
【0127】
(3)動的水接触角及び水接触角のヒステリシス
協和界面科学社製DM-501及び純水を用いて、拡張収縮法により膜の水平表面における前進接触角(°)と後退接触角(°)を測定し、下記式(W3)よりヒステリシスを求めた。
【0128】
動的水接触角(°)=前進接触角(°)-後退接触角(°) …(W3)
【0129】
(5)ヘキサデカン接触角
膜の水平表面のヘキサデカン接触角は、2μLのヘキサデカン液を滴下して、θ/2法にて測定した。
【0130】
(6)湿雪における滑雪性(mm/秒)
エタノールで事前に脱脂しかつ、水平面となす角θ(
図1参照)が19°となるように傾斜して静置した150mm
2角とした膜の表面に、環境温度15℃で、中部コーポレーション社製キューブ氷用かき氷機HC-77Bを用いて、270gの人工雪を、205mm位置の高さから15秒間降雪し、30mmの標線間を冠雪した人工雪が落下するのに要する時間を計測した。
湿雪における滑雪は、湿雪が冠雪する条件で発生する落雪現象であり、試験片上で冠雪が落雪する速度が高いほど、湿雪における滑雪性に優れる。
【0131】
(7)乾雪における滑雪性(°)
エタノールで事前に脱脂し、かつ、水平面となす角θ(
図1参照)が0°となるように水平に静置した150mm
2角とした膜の表面に、環境温度-5℃で、中部コーポレーション社製キューブ氷用かき氷機HC-77Bを用いて製造し、メッシュサイズ5.6mm/1.66mmを通過する人工雪を250g降雪し、徐々に試験片の水平面となす角θを0から90°まで変更し、落雪が開始された角θを角度計で計測した。
乾雪における滑雪は、乾雪が冠雪する条件で発生する落雪現象であり、試験片上の冠雪が落雪する角度が低いほど、乾雪における滑雪に優れる。
なお、「滑雪せず」とは、試験片の水平面となす角θを90°にしても雪が滑り落ちない状態を示す。
【0132】
(実施例α1)
20質量部の熱可塑性樹脂(A-1)と、80質量部の重合体(B-1)、0.1質量部の添加剤(C-1)を均一に混合し、内径15mmの二軸混練機(テクノベル社製KZW15-45MG、内径:15mm、L/D=45)にて設定温度:210℃、スクリュー回転数500rpmで加熱溶融混練し、組成物を得た。前記組成物を、新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用い、温度210℃で5分間樹脂を予熱した後、温度210℃・圧力10MPa・5分間の条件で加圧し、幅150mm、長さ150mm、厚み2mmの形状に賦形された成形体としての膜を得た。得られた膜の湿雪における滑雪と乾雪における滑雪を評価した。
【0133】
(実施例α2)
添加剤(C-1)に代えて、0.1質量部の添加剤(C-2)とした以外は実施例α1と同様にした。
【0134】
(実施例α3)
添加剤(C-1)に代えて、0.1質量部の添加剤(C-3)とした以外は実施例α1と同様にした。
【0135】
(実施例α4)
添加剤(C-1)に代えて、0.1質量部の添加剤(C-4)とした以外は実施例α1と同様にした。
【0136】
(実施例α5)
添加剤(C-1)に代えて、1質量部の添加剤(C-5)とした以外は実施例α1と同様にした。
【0137】
(実施例α6)
添加剤(C-1)に代えて、5質量部の添加剤(C-5)とした以外は実施例α1と同様にした。
【0138】
(実施例α7)
添加剤(C-1)に代えて、10質量部の添加剤(C-5)とした以外は実施例α1と同様にした。
【0139】
(実施例α8)
50質量部の熱可塑性樹脂(A-1)と、50質量部の重合体(B-1)、5質量部の添加剤(C-5)とした以外は実施例α1と同様にした。
【0140】
(実施例α9)
80質量部の熱可塑性樹脂(A-1)と、20質量部の重合体(B-1)、1質量部の添加剤(C-5)とした以外は実施例α1と同様にした。
【0141】
(実施例α10)
80質量部の熱可塑性樹脂(A-1)と、20質量部の重合体(B-1)、5質量部の添加剤(C-5)とした以外は実施例α1と同様にした。
【0142】
(実施例α11)
20質量部の熱可塑性樹脂(A-1)に代えて、80質量部の熱可塑性樹脂(A-2)と、80質量部の重合体(B-1)に代えて、20質量部の重合体(B-3)と、0.1質量部の添加剤(C-1)に代えて、5.0質量部の添加剤(C-5)とした以外は実施例α1と同様にした。
【0143】
(実施例α12))
20質量部の熱可塑性樹脂(A-1)に代えて、55質量部の熱可塑性樹脂(A-2)と、80質量部の重合体(B-1)に代えて、45質量部の重合体(B-3)と、0.1質量部の添加剤(C-1)に代えて、5.0質量部の添加剤(C-5)とした以外は実施例α1と同様にした。
【0144】
(比較例α1)
100質量部の熱可塑性樹脂(A-1)と、5質量部の添加剤(C-5)とした以外は実施例α1と同様にした。
【0145】
(比較例α2)
100質量部の重合体(B-1)と、5質量部の添加剤(C-5)とした以外は実施例α1と同様にした。
【0146】
(比較例α3)
20質量部の熱可塑性樹脂(A-1)と、80質量部の重合体(B-1)、5質量部の添加剤(C-6)とした以外は実施例α1と同様にした。
【0147】
(比較例α4)
20質量部の熱可塑性樹脂(A-1)と、80質量部の重合体(B-1)、30質量部の添加剤(C-5)とした以外は実施例α1と同様にした。
条件及び結果を表1に示す。
【0148】
【0149】
所定の組成比の組成物により、乾雪及び湿雪の両方の滑雪性に優れる膜が得られることが確認された。
【0150】
(実施例β11)
20質量部の熱可塑性樹脂(A-1)と、80質量部の重合体(B-1)と、10質量部の添加剤(C-5)を均一に混合し、内径15mmの二軸混練機(テクノベル社製KZW15-45MG、内径:15mm、L/D=45)にて設定温度:210℃、スクリュー回転数500rpmで加熱溶融混練し、組成物を得た。前記組成物を、新藤金属工業所圧縮成形機(P-37)を用い、温度210℃で5分間樹脂を予熱した後、温度210℃・圧力10MPa・5分間の条件で加圧し、幅150mm、長さ150mm、厚み2mmの形状に賦形された膜を得た。膜の水接触角は72.5°、水接触角のヒステリシスは47.7°、ヘキサデカン接触角は31.1°であった。湿雪における滑雪と乾雪における滑雪を評価した。
【0151】
(比較例β5)
膜-1の湿雪における滑雪と乾雪における滑雪を評価した。
【0152】
(比較例β6)
膜-2の湿雪における滑雪と乾雪における滑雪を評価した。
【0153】
(比較例β7)
膜-3の湿雪における滑雪と乾雪における滑雪を評価した。
【0154】
(比較例β8)
膜-4の湿雪における滑雪と乾雪における滑雪を評価した。
【0155】
条件及び結果を表2に示す。
【0156】
【0157】
特定の水接触角、水接触角のヒステリシス、及び、油接触角を満たす膜は、乾雪及び湿雪の両方において、滑雪性に優れることが確認された。