(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023008167
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】澱粉糊化方法及び連続配管式熱処理装置
(51)【国際特許分類】
A23L 29/212 20160101AFI20230112BHJP
A23L 3/18 20060101ALI20230112BHJP
A47J 27/14 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
A23L29/212
A23L3/18
A47J27/14 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111507
(22)【出願日】2021-07-05
(71)【出願人】
【識別番号】000001421
【氏名又は名称】キユーピー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591112371
【氏名又は名称】キユーピー醸造株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000127237
【氏名又は名称】株式会社イズミフードマシナリ
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 陽平
(72)【発明者】
【氏名】興村 絢子
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 寛太
(72)【発明者】
【氏名】増山 雄亮
【テーマコード(参考)】
4B021
4B025
4B054
【Fターム(参考)】
4B021LA42
4B021LP01
4B021LP07
4B021LT01
4B021LW09
4B021MC10
4B025LB25
4B025LD02
4B025LG28
4B025LP01
4B025LP04
4B025LT09
4B054AA17
4B054AB01
(57)【要約】
【課題】液状食品の安定的な生産を可能としつつ、液状食品に含まれる未糊化の加熱糊化型澱粉を糊化できる澱粉糊化方法及び連続配管式熱処理装置を提供する。
【解決手段】未糊化の加熱糊化型澱粉を含む液状食品の連続配管式熱処理装置1を用いた澱粉糊化方法であって、連続配管式熱処理装置1は、液状食品を加熱する加熱セクション33と、液状食品を加熱及び冷却することなく保持する保持セクション34と、液状食品を冷却する冷却セクション35と、を備え、加熱セクション33では、液状食品が熱媒体と金属管壁面を隔てて接しており、液状食品と熱媒体とが互いに逆方向に流れながら熱交換を行い、加熱セクション33の液状食品出口333bにおける液状食品の温度が75~120℃で、加熱セクション33の熱媒体入口331aにおける熱媒体の温度と、加熱セクション33の液状食品出口333bにおける液状食品の温度と、の温度差が10℃以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
未糊化の加熱糊化型澱粉を含む液状食品の連続配管式熱処理装置を用いた澱粉糊化方法であって、
前記連続配管式熱処理装置は、
前記液状食品を加熱する加熱セクションと、
前記液状食品を加熱及び冷却することなく保持する保持セクションと、
前記液状食品を冷却する冷却セクションと、を備え、
前記加熱セクションでは、前記液状食品が熱媒体と金属管壁面を隔てて接しており、前記液状食品と前記熱媒体とが互いに逆方向に流れながら熱交換を行い、
前記加熱セクションは掻き取り機構を有さず、
前記加熱セクションの液状食品出口における前記液状食品の温度が75~120℃で、
前記加熱セクションの熱媒体入口における前記熱媒体の温度と、前記加熱セクションの液状食品出口における前記液状食品の温度と、の温度差が10℃以下である、澱粉糊化方法。
【請求項2】
液状食品に含まれる未糊化の加熱糊化型澱粉を糊化させる連続配管式熱処理装置であって、
前記液状食品を加熱する加熱セクションと、
前記液状食品を加熱及び冷却することなく保持する保持セクションと、
前記液状食品を冷却する冷却セクションと、を備え、
前記加熱セクションでは、前記液状食品が熱媒体と金属管壁面を隔てて接しており、前記液状食品と前記熱媒体とが互いに逆方向に流れながら熱交換を行い、
前記加熱セクションの液状食品出口における前記液状食品の温度が75~120℃で、
前記加熱セクションの熱媒体入口における前記熱媒体の温度と、前記加熱セクションの液状食品出口における前記液状食品の温度と、の温度差が10℃以下に調節される、連続配管式熱処理装置。
【請求項3】
前記加熱セクションの上流側には、前記液状食品を前記加熱セクションに送り込む第1ポンプが設けられ、
前記加熱セクションの下流側には、前記加熱セクションから前記液状食品を引き出す第2ポンプが設けられる、請求項2に記載の連続配管式熱処理装置。
【請求項4】
前記加熱セクションは、複数の分割加熱セクションに分かれ、
複数の前記分割加熱セクション間には、前記液状食品を攪拌するスタティックミキサーが設けられる、請求項2又は3に記載の連続配管式熱処理装置。
【請求項5】
完成した液状食品を容器に充填する液状食品充填部と、
調合された前記液状食品を貯留するストレージタンクと、
前記ストレージタンクと前記加熱セクションとの間に設けられ、前記ストレージタンクから供給される前記液状食品を一時貯留するバランスタンクと、を備え、
前記バランスタンクには、前記加熱糊化型澱粉の沈殿を抑制する撹拌機が設けられる、請求項2~4のいずれか1項に記載の連続配管式熱処理装置。
【請求項6】
前記加熱セクションの下流側には、前記液状食品の一部を前記液状食品充填部側に供給しながら残余を、または前記液状食品充填部側が停止した場合は全部を、前記加熱セクションの上流側に戻すことが可能な液状食品戻し手段が設けられる、請求項2~5のいずれか1項に記載の連続配管式熱処理装置。
【請求項7】
前記液状食品戻し手段は、前記液状食品の一部を前記液状食品充填部側に供給しながら残余を、または前記液状食品充填部側が停止した場合は全部を、前記ストレージタンク又は前記バランスタンクに選択的に戻すことが可能な戻し先選択手段を備える、請求項6に記載の連続配管式熱処理装置。
【請求項8】
前記液状食品戻し手段は、前記加熱セクションの上流側に戻す前記液状食品を冷却する戻し液状食品冷却手段を備える、請求項6又は7に記載の連続配管式熱処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状食品の澱粉糊化方法及び連続配管式熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
<背景技術の説明>
従来、飲料、調味料などの流動性を有する製品に対して熱処理を施す装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
<特許文献1の説明>
例えば、特許文献1に記載の製品熱処理装置は、製品の加熱処理やその後の冷却処理を連続的に行えるように構成されている。
【0004】
<要望される技術-1>
ところで、液状食品に含まれる未糊化の加熱糊化型澱粉を熱処理で糊化させるにあたり、特許文献1に記載されるような製品熱処理装置を用いることが提案される。しかしながら、未糊化の加熱糊化型澱粉を含む液状食品を特許文献1に記載されるような製品熱処理装置で加熱処理した場合、糊化に伴う粘度の上昇によって流動性が低下し、安定した流速を維持することができなくなって、熱処理に温度むらが生じるなど安定的な生産が難しくなるため、改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
<背景技術の課題>
そこで、本発明の目的は、液状食品の安定的な生産を可能としつつ、液状食品に含まれる未糊化の加熱糊化型澱粉を糊化できる澱粉糊化方法及び連続配管式熱処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
<請求項1の内容>
このような目的を達成するため、本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明は、未糊化の加熱糊化型澱粉を含む液状食品の連続配管式熱処理装置を用いた澱粉糊化方法であって、前記連続配管式熱処理装置は、前記液状食品を加熱する加熱セクションと、前記液状食品を加熱及び冷却することなく保持する保持セクションと、前記液状食品を冷却する冷却セクションと、を備え、前記加熱セクションでは、前記液状食品が熱媒体と金属管壁面を隔てて接しており、前記液状食品と前記熱媒体とが互いに逆方向に流れながら熱交換を行い、前記加熱セクションは掻き取り機構を有さず、前記加熱セクションの液状食品出口における前記液状食品の温度が75~120℃で、前記加熱セクションの熱媒体入口における前記熱媒体の温度と、前記加熱セクションの液状食品出口における前記液状食品の温度と、の温度差が10℃以下である。
【0008】
<請求項2の内容>
(2)本発明は、液状食品に含まれる未糊化の加熱糊化型澱粉を糊化させる連続配管式熱処理装置であって、前記液状食品を加熱する加熱セクションと、前記液状食品を加熱及び冷却することなく保持する保持セクションと、前記液状食品を冷却する冷却セクションと、を備え、前記加熱セクションでは、前記液状食品が熱媒体と金属管壁面を隔てて接しており、前記液状食品と前記熱媒体とが互いに逆方向に流れながら熱交換を行い、前記加熱セクションの液状食品出口における前記液状食品の温度が75~120℃で、前記加熱セクションの熱媒体入口における前記熱媒体の温度と、前記加熱セクションの液状食品出口における前記液状食品の温度と、の温度差が10℃以下に調節される。
【0009】
<請求項3の内容>
(3)本発明は、上記(2)の構成において、前記加熱セクションの上流側には、前記液状食品を前記加熱セクションに送り込む第1ポンプが設けられ、前記加熱セクションの下流側には、前記加熱セクションから前記液状食品を引き出す第2ポンプが設けられる。
【0010】
<請求項4の内容>
(4)本発明は、上記(2)又は(3)のいずれかの構成において、前記加熱セクションは、複数の分割加熱セクションに分かれ、複数の前記分割加熱セクション間には、前記液状食品を攪拌するスタティックミキサーが設けられる。
【0011】
<請求項5の内容>
(5)本発明は、上記(2)~(4)のいずれかの構成において、完成した液状食品を容器に充填する液状食品充填部と、調合された前記液状食品を貯留するストレージタンクと、前記ストレージタンクと前記加熱セクションとの間に設けられ、前記ストレージタンクから供給される前記液状食品を一時貯留するバランスタンクと、を備え、前記バランスタンクには、前記加熱糊化型澱粉の沈殿を抑制する撹拌機が設けられる。
【0012】
<請求項6の内容>
(6)本発明は、上記(2)~(5)のいずれかの構成において、前記加熱セクションの下流側には、前記液状食品の一部を前記液状食品充填部側に供給しながら残余を、または前記液状食品充填部側が停止した場合は全部を、前記加熱セクションの上流側に戻すことが可能な液状食品戻し手段が設けられる。
【0013】
<請求項7の内容>
(7)本発明は、上記(6)の構成において、前記液状食品戻し手段は、前記液状食品の一部を前記液状食品充填部側に供給しながら残余を、または前記液状食品充填部側が停止した場合は全部を、前記ストレージタンク又は前記バランスタンクに選択的に戻すことが可能な戻し先選択手段を備える。
【0014】
<請求項8の内容>
(8)本発明は、上記(6)又は(7)の構成において、前記液状食品戻し手段は、前記加熱セクションの上流側に戻す前記液状食品を冷却する戻し液状食品冷却手段を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、液状食品の安定的な生産を可能としつつ、液状食品に含まれる未糊化の加熱糊化型澱粉を糊化できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る連続配管式熱処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】加熱セクションの構成を示すブロック図である。
【
図4】加圧手段及び圧力制御部を備えた加熱セクションの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態の説明-1>
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ符号を付している。
【0018】
<連続配管式熱処理装置の構成-1>
図1は、本発明の一実施形態に係る連続配管式熱処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の連続配管式熱処理装置1は、液状食品(例えば、ソース、たれ、ドレッシング、スープ、カレー、シチューなど)に含まれる未糊化の加熱糊化型澱粉を熱処理で糊化させる装置であり、液状食品を調合する液状食品調合部2と、液状食品に含まれる未糊化の加熱糊化型澱粉を熱処理によって糊化させる液状食品熱処理部3と、完成した液状食品を容器に充填する液状食品充填部4と、を備える。
【0019】
<液状食品調合部の構成-1>
液状食品調合部2は、液状食品の原料を溶解する溶解タンク21と、溶解タンク21から供給される原料を攪拌して液状食品を作るファインミキサー22と、ファインミキサー22で作られた液状食品を貯留するストレージタンク23と、を備える。液状食品の原料には、未糊化の加熱糊化型澱粉が含まれる。未糊化の加熱糊化型澱粉は、沈殿しやすいため、沈殿を抑制するために増粘剤を加えてもよい。
【0020】
<液状食品熱処理部の構成-1>
液状食品熱処理部3は、ストレージタンク23から供給される液状食品を一時貯留する第1バランスタンク31と、第1バランスタンク31内の液状食品を下流に送り込む第1ポンプ32と、液状食品を加熱する加熱セクション33と、液状食品を加熱及び冷却することなく保持する保持セクション34と、液状食品を冷却する冷却セクション35と、各セクション33~35内の液状食品を引き出す第2ポンプ36と、熱処理した液状食品を加熱セクション33の上流側に戻すことが可能な液状食品戻し手段37と、を備える。
【0021】
<液状食品熱処理部の構成-2>
第1バランスタンク31は、液状食品を貯留するタンク本体311と、タンク本体311内の液状食品を攪拌する撹拌機312と、を備える。このような第1バランスタンク31によれば、加熱セクション33に供給する液状食品の量を調整しつつ、撹拌機312によって加熱糊化型澱粉の沈殿を防止し、液状食品の糊化成分のばらつきを抑制できる。
【0022】
<液状食品熱処理部の構成-3>
また、加熱セクション33の上流側には、液状食品を加熱セクション33に送り込む第1ポンプ32が設けられ、加熱セクション33の下流側には、加熱セクション33から液状食品を引き出す第2ポンプ36が設けられるので、熱処理による糊化で粘度が上昇した液状食品を確実に流動させることができる。なお、本実施形態では、各セクション33~35内の圧力を0.5MPa以下としている。このようにすると、上限圧力が1.0MPa程度の機器を用いて各セクション33~35を構成できるだけでなく、良好な耐久性が得られる。
【0023】
<液状食品熱処理部の構成-4>
加熱セクション33及び冷却セクション35は、液状食品と熱媒体とを金属管壁面を隔てて接させる熱交換用配管38を用いて構成される。
図2に示すように、熱交換用配管38は、外配管381と、外配管381内に挿通される複数の内配管382と、外配管381の内周面と内配管382との間に形成される熱媒体流路383と、を備える。熱媒体流路383に熱媒体を流しつつ、複数の内配管382に液状食品を流すことにより、熱媒体と液状食品との間で熱交換が行われ、液状食品が加熱又は冷却される。
【0024】
<液状食品熱処理部の構成-5>
通例、高粘度、粘着性のある内容物を配管内に付着させずに流すために、熱交換用配管38内には掻き取り機構を設けることが多いが、掻き取り機構の分解清掃も必要となり、サニタイズ性が悪くなる。本発明の加熱セクション33及び冷却セクション35の熱交換用配管38は、サニタイズ性の観点から、掻き取り機構を有さないにもかかわらず、安定的に生産できる。
【0025】
<液状食品熱処理部の構成-6>
加熱セクション33は、複数の分割加熱セクション331~333に分割されている。言い換えると、複数の分割加熱セクション331~333は、それぞれ1本の熱交換用配管38を用いて構成され、3本の熱交換用配管38を直列に接続して加熱セクション33が構成されている。
【0026】
<液状食品熱処理部の構成-7>
加熱セクション33の材質としては、SUS304やSUS316等のオーステナイト系ステンレス鋼、二相ステンレス鋼、スーパーステンレス鋼、チタン合金、その他の非磁性金属等を使用することができる。好ましくは、pH5.0以下の液状食品を流動させる場合の耐錆の観点からSUS316、スーパーステンレス鋼、およびチタン合金、より好ましくはSUS312L、UNSN08354のようなスーパーステンレス鋼およびチタン合金を使用することが望ましい。
【0027】
<液状食品熱処理部の構成-8>
複数の分割加熱セクション331~333間、及び加熱セクション33の液状食品出口の下流には、液状食品を攪拌するスタティックミキサー334が設けられる。スタティックミキサー334は、駆動部のない静止型混合器であり、スタティックミキサー334に入った液状食品は、エレメント(図示せず)により順次撹拌される。このような構成によれば、各分割加熱セクション331~333において熱交換に偏りがあったとしても、スタティックミキサー334で攪拌し、温度や糊化のばらつきを抑制できる。
【0028】
<液状食品熱処理部の構成-9>
図3に示すように、各分割加熱セクション331~333は、液状食品入口331a~333a及び液状食品出口331b~333bと、熱媒体入口331c~333c及び熱媒体出口331d~333dと、を備えており、熱媒体入口331c~333cは、液状食品出口331b~333b側の端部に設けられ、熱媒体出口331d~333dは、液状食品入口331a~333a側の端部に設けられる。
【0029】
<液状食品熱処理部の構成-10>
そして、液状食品の流れ方向で最も上流側を第1分割加熱セクション331、液状食品の流れ方向で最も下流側を第3分割加熱セクション333、その中間を第2分割加熱セクション332とすると、第1分割加熱セクション331の液状食品入口331aが加熱セクション33の液状食品入口であり、第1分割加熱セクション331の液状食品出口331bが第2分割加熱セクション332の液状食品入口332aに接続され、第2分割加熱セクション332の液状食品出口332bが第3分割加熱セクション333の液状食品入口333aに接続され、第3分割加熱セクション333の液状食品出口333bが加熱セクション33の液状食品出口となる。
【0030】
<液状食品熱処理部の構成-11>
また、第3分割加熱セクション333の熱媒体入口333cが加熱セクション33の熱媒体入口であり、第3分割加熱セクション333の熱媒体出口333dが第2分割加熱セクション332の熱媒体入口332cに接続され、第2分割加熱セクション332の熱媒体出口332dが第1分割加熱セクション331の熱媒体入口331cに接続され、第1分割加熱セクション331の熱媒体出口331dが加熱セクション33の熱媒体出口となる。
【0031】
<液状食品熱処理部の構成-12>
このような構成によれば、加熱セクション33においては、液状食品と熱媒体とが互いに逆方向に流れながら熱交換を行うので、液状食品と熱媒体との温度差を抑制しつつ、液状食品を効率よく加熱することが可能になる。
【0032】
<液状食品熱処理部の構成-13>
図4に示すように、加熱セクション33は、上流側に加圧手段335と圧力制御部336とを備えてもよい。加圧手段335としては、例えばブロア335a及び除菌フィルタ335bで構成されてもよいし、熱処理された製品を注入する配管であってもよいし、不活化ガス・普通の空気等のボンベ等であってもよい。圧力制御部336としては、制御装置336aと、加圧手段335から第1分割加熱セクション331に至る流路を開閉する開閉弁336bと、少なくとも加熱セクション33の上流側に備えた圧力計336cと、より好ましくはさらに加熱セクション33の下流側に備えた圧力計336dと、からなる。
【0033】
<液状食品熱処理部の構成-14>
加圧手段335と圧力制御部336を備えることで、熱処理による糊化で粘度が上昇した液状食品を加熱セクション33から確実に流動させることが可能になる。また、加熱セクション33の下流側に圧力計336dを備えることで、下流側の圧力計336dの値が一定値以下の場合は、加熱セクション33やスタティックミキサー334で生じた圧力損失を加圧手段335を作動させて補い、また逆に、下流側の圧力計336dの値がまた別の一定値以下の場合は、液状食品を引き出す第2ポンプ36を作動させることが可能となり、より安定した流速を維持することができ、熱処理の温度むらを抑止して安定的な生産が可能となる。
【0034】
<液状食品熱処理部の構成-15>
保持セクション34は、加熱セクション33で加熱糊化された液状食品を安定させるためのセクションであり、液状食品の種類毎に設定される所定時間(例えば、120秒間)だけ液状食品を保持する。本実施形態の保持セクション34は、簡易保温機能を備えており、液状食品の温度変化を抑制できる。
【0035】
<液状食品熱処理部の構成-16>
冷却セクション35は、充填に適した温度まで液状食品を冷却する。具体的には、加熱セクション33と同様に、液状食品と熱媒体とを金属管壁面を隔てて接させる熱交換用配管38を用いて構成される。
【0036】
<液状食品熱処理部の構成-17>
液状食品戻し手段37は、液状食品戻し流路371と、第1方向制御弁372と、第2方向制御弁373と、戻し液状食品冷却手段374と、を備える。液状食品戻し流路371は、保持セクション34と冷却セクション35との間の液状食品流路から分岐し、液状食品を加熱セクション33の上流側に戻す。第1方向制御弁372は、液状食品戻し流路371上の上流側に設けられ、液状食品を冷却セクション35に流す状態と、液状食品を加熱セクション33の上流側に戻す状態と、に切換える。第2方向制御弁373は、液状食品戻し流路371上の下流側に設けられ、液状食品をストレージタンク23に戻す状態と、液状食品を第1バランスタンク31に戻す状態と、に切換える。戻し液状食品冷却手段374は、液状食品戻し流路371上に設けられ、戻し液状食品を冷却する。
【0037】
<液状食品熱処理部の構成-18>
このような液状食品戻し手段37によれば、加熱セクション33で加熱された液状食品の一部を液状食品充填部4側に供給しながら、液状食品充填部4で処理しきれない過剰な加熱された液状食品の残余を、または、液状食品充填部4側が停止した場合は、加熱された液状食品の全部を、加熱セクション33の上流に、戻すことができるので、液状食品熱処理部3の下流側で処理が停滞した場合に、液状食品戻し流路371を介して液状食品を循環させることで、加熱セクション33における液状食品の流れを継続させ、液状食品の停滞により生じうる不都合(例えば、膨潤不足、澱粉粒の加熱崩壊、風味劣化、焦げ付きなど)を防止できる。また、加熱された液状食品の一部を液状食品充填部4側に供給しながら、液状食品充填部4で処理しきれない過剰な加熱された液状食品の残余を、または、液状食品充填部4側が停止した場合は、加熱された液状食品の全部を、ストレージタンク23又は第1バランスタンク31に選択的に戻すことができるので、戻し液状食品の量などに応じて適切な戻し先を選択することができる。また、戻し液状食品を冷却する戻し液状食品冷却手段374を備えるので、加熱セクション33の上流側の液状食品温度が戻し液状食品によって大きく変動することを回避できる。
【0038】
<液状食品充填部の構成-1>
液状食品充填部4は、液状食品熱処理部3から供給される液状食品を一時貯留する第2バランスタンク41と、液状食品を容器に充填する充填機42と、第2バランスタンク41内の液状食品を充填機42に送り込む第3ポンプ43と、を備える。
【0039】
<澱粉糊化方法の説明-1>
以上のように構成された連続配管式熱処理装置1を用いて、液状食品に含まれる未糊化の加熱糊化型澱粉を糊化させる場合、加熱セクション33の液状食品出口における液状食品の温度が75~120℃で、加熱セクション33の熱媒体入口における熱媒体の温度と、加熱セクション33の液状食品出口における液状食品の温度と、の温度差が10℃以下に調節される。このようにすると、液状食品の温度差により生じうる不都合(例えば、膨潤不足、澱粉粒の加熱崩壊、風味劣化等)を抑制しつつ、液状食品に含まれる未糊化の加熱糊化型澱粉を糊化できる。また、75~120℃には、加熱糊化型澱粉の糊化に必要な温度範囲(例えば、90~95℃)が含まれるだけでなく、液状食品の殺菌に必要な温度範囲(例えば、75~120℃)も含まれるので、加熱糊化型澱粉の糊化と同時に液状食品の殺菌処理を行うことができる。また、加熱セクション33では、液状食品と熱媒体とが互いに逆方向に流れながら熱交換を行うので、加熱セクション33の全域において液状食品と熱媒体との温度差を抑制できる。
【0040】
<液状食品の説明>
以下、本発明の液状食品について詳細に説明する。
【0041】
<液状食品のpH>
液状食品のpHは、5.5以下であり、好ましくは5.3以下であり、より好ましくは5.1以下である。液状食品のpHが上記範囲内であれば、酸性液状食品の微生物発生を制御して保存性を高めながら、液状食品の風味のバランスを良好にすることができる。なお、酸性液状食品のpHの値は、1気圧、品温20℃とした時に、pH測定器(株式会社堀場製作所製卓上型pHメータF-72)を用いて測定した値である。
【0042】
<液状食品の加熱糊化型澱粉の説明-1>
澱粉には、加熱糊化型澱粉と冷水膨潤型澱粉があり、本発明では加熱糊化型澱粉を用いる。加熱糊化型澱粉は、水を加えて高温で、より具体的には、例えば70℃程度以上で加熱することで糊化し、吸水して膨潤すると同時に粘性を呈する澱粉である。一方、冷水膨潤型澱粉は、糊化した状態の性質がそのまま維持された澱粉であり、加熱を必要とせず常温(20℃)の水で膨潤し粘性を呈する澱粉である。本発明においては、液状食品に含有する未糊化の加熱糊化型澱粉を効率的に糊化できる澱粉糊化方法及び連続配管式熱処理装置を提供することを目的とする。
【0043】
<液状食品の加熱糊化型澱粉の説明-2>
加熱糊化型澱粉としては、天然澱粉及び加工澱粉が挙げられるが、本発明においては加工澱粉を用いる。天然澱粉としては、例えば、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉等が挙げられる。加工澱粉としては、例えば、これらの天然澱粉を加工したものが挙げられる。より詳細には、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、リン酸化澱粉、リン酸架橋澱粉、酸化澱粉、酢酸澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉等、あるいは湿熱処理澱粉等の加工澱粉が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0044】
<液状食品に含まれる加熱糊化型澱粉の含有量>
液状食品中の加熱糊化型澱粉の含有量は、好ましくは、液状食品全体の0.5質量%以上4.5質量%以下である。液状食品に含まれる加熱糊化型澱粉の含有量の下限は、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは1.5質量%以上である。液状食品に含まれる加熱糊化型澱粉の含有量の上限は、好ましくは4質量%以下であり、より好ましくは3.5質量%以下である。加熱糊化型澱粉の含有量が上記範囲内であれば、効率的糊化で液状食品の製造適性を向上させながら、液状食品の長期保存後の離水や粘度の低下を防止することができる。
【0045】
<熱処理前の液状食品の粘度>
熱処理にかける前の液状食品のロータ指示値で示される粘度の下限は、20℃において100mPa・s以上であることができ、好ましくは200mPa・s以上であり、さらに好ましくは300mPa・s以上である。また熱処理にかける前の液状食品の粘度の上限は、2,000mPa・s以下であることができ、より好ましくは1,500mPa・s以下であり、さらにより好ましくは1,000mPa・s以下である。
またこのとき、熱処理にかける前の液状食品のずり速度と応力とから算出する粘度η(D=30[1/s]における温度上昇時20℃時点)の下限は、39[mPa・s]以上であることができ、好ましくは57 [mPa・s]以上であり、さらに好ましくは75[mPa・s]以上である。また、熱処理にかける前の液状食品のずり速度と応力とから算出する粘度η(D=30[1/s]における温度上昇時20℃時点)の上限は、380[mPa・s]以下であることができ、好ましくは290[mPa・s]以下であり、さらに好ましくは200[mPa・s]以下である。
熱処理にかける前の液状食品の、ロータ指示値で示される粘度が1,000mPa・s程度のとき、ずり速度と応力とから算出する粘度η(D=30[1/s]における温度上昇時20℃時点)が約200[mPa・s]、である。
【0046】
<得られる液状食品の粘度>
熱処理による糊化で得られる液状食品のロータ指示値で示される粘度の下限は、20℃において2,500mPa・s以上であることができ、好ましくは5,000mPa・s以上であり、さらに好ましくは8,000mPa・s以上である。また、熱処理による糊化で得られる液状食品のロータ指示値で示される粘度の上限は、100,000mPa・s以下であることができ、より好ましくは60,000mPa・s以下であり、さらにより好ましくは50,000mPa・s以下である。
またこのとき、熱処理による糊化で得られる液状食品の殺菌後のずり速度と応力とから算出する粘度η(D=30[1/s]における温度低下時40℃時点)の下限は、好ましくは270[mPa・s]以上であることができ、好ましくは400[mPa・s]以上であり、さらに好ましくは540[mPa・s]以上である。また、熱処理による糊化で得られる液状食品の殺菌後のずり速度と応力とから算出する粘度η(D=30[1/s]における温度低下時40℃時点)の上限は、10,800[mPa・s]以下であることができ、好ましくは6,480[mPa・s]以下であり、さらに好ましくは4,000[mPa・s]以下である。
熱処理による糊化で得られる液状食品の、ロータ指示値で示される粘度が5,000mPa・s程度のとき、ずり速度と応力とから算出する粘度η(D=30[1/s]における温度低下時40℃時点)が約540[mPa・s]、である。
【0047】
<ロータ指示値で示される粘度の測定>
液状食品のロータ指示値で示される粘度の測定は、BL形粘度計を使用し、品温20℃、回転数6rpmの条件で、粘度が1,000mPa・s未満の場合:ロータNo.1、1,000mPa・s以上5,000mPa・s未満の場合:ロータNo.2、5,000mPa・s以上20,000mPa・s未満の場合:ロータNo.3、20,000mPa・s以上100,000mPa・s未満の場合:ロータNo.4を使用し、測定開始後3分後の示度により算出した値である。また、粘度が100,000mPa・s以上の場合はBH形粘度計を使用し、品温20℃、回転数2rpmの条件で、粘度が500,000mPa・s未満の場合:ロータNo.6、500,000mPa・s以上の場合:ロータNo.7を使用し、測定開始後3分後の示度により計算した値である。
【0048】
<ずり速度と応力とから算出する粘度ηの測定>
熱処理にかける前の液状食品のずり速度と応力とから算出する粘度η(D=30[1/s]における温度上昇時20℃時点)、および熱処理による糊化で得られる液状食品のずり速度と応力とから算出する粘度η(D=30[1/s]における温度低下時40℃時点)は、恒温槽と、コーンロータなどを備えた応力の計測が可能な粘度計と、データ解析ソフトとを用いた一般的な手法で測定できる。
具体的には、東機産業株式会社製R型粘度計RE215R形などを用いて、熱処理にかける前の液状食品においては、恒温槽による温度上昇時20℃時点のずり速度と応力とから算出する粘度ηを測定し、また熱処理による糊化で得られる液状食品においては、糊化・膨潤後、恒温槽による温度低下時40℃時点のずり速度と応力とから算出する粘度ηを測定した。
【0049】
<加熱セクションの熱媒体流路の、熱媒体流速と液状食品の流速>
加熱セクションの熱媒体流路の熱媒体流速は、速いと熱媒体の温度が高いまま維持され好ましいが、逆に遅いと液状食品や外気に吸熱され熱媒体の温度低下が発生し膨潤不足が生じる。また、加熱セクションの熱媒体流路の液状食品の流速は、速いと熱媒体と接する時間が短くなり十分に加熱されず膨潤不足が生じ、逆に遅いと金属配管内に長時間液状食品が留まり熱媒体と接する時間が長くなり液状食品の風味劣化や焦げ付きを生じることとなる。
加熱セクションの熱媒体流路の熱媒体流速と、加熱セクションの熱媒体流路の液状食品の流速が液状食品に与える影響は反比例の関係となることから、加熱セクションの熱媒体流路の熱媒体流速/加熱セクションの熱媒体流路の液状食品の流速は9.5以上であれば液状食品の膨潤不足、風味劣化、焦げ付きといった不都合を抑制することができる。
【0050】
<液状食品の塩分量>
液状食品の塩分量は、液状食品全体の0.5質量%以上であり、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは3質量%以上である。液状食品の塩分量が上記範囲内であれば液状食品の風味のバランスを良好にすることができる。
【0051】
<液状食品の食塩分量の測定>
液状食品の食塩(NaCl)分量は、既存の公定法を用いて測定できる。例えば、他の塩化物の混入が少ないと既知である食品については、電位差滴定法、モール法等を用いて測定した塩化物イオン量から食塩相当量を算出することで測定することができる。また例えば、他のナトリウム塩の混入が少ないと既知である食品については、イオン電極法、原子吸光法等を用いて測定したナトリウム量から食塩相当量を算出することで測定することができる。
【0052】
<液状食品のたんぱく質量>
液状食品のたんぱく質量は、具材を除いた液状食品全体の2.0質量%以下である。上記範囲よりたんぱく質量の割合が大きくなると、加熱セクション33における液状食品の焦げ付きが発生する虞がある。
【0053】
<液状食品のたんぱく質量の測定>
液状食品のたんぱく質量の測定は、既存の公定法を用いて測定できる。例えば、「栄養表示基準における栄養成分等の分析方法等について」(平成11年4月26日衛新第13号)に開示されている、一般にケルダール法と呼ばれる窒素の定量方法に基づいて簡便に行うことができる。本発明における蛋白質とは、高分子化合物に加え、アミノ酸、ペプチド等を含む。なお、液状食品に具材が混じっている場合は、5メッシュ(目開き3.033mm)のふるいにかけて自然流下したものを用いるものとする。
【実施例0054】
以下では、
図5に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
【0055】
<評価方法>
図5に示す表において、各種記号の意味は以下の通りである。
〇:加熱後の液状食品が、膨潤不足、澱粉粒の加熱崩壊、風味劣化、焦げ付きなどといった不都合なく未糊化の加熱糊化型澱粉を糊化できている状態
×:加熱後の液状食品に、膨潤不足、澱粉粒の加熱崩壊といった不都合があり未糊化の加熱糊化型澱粉が十分に糊化できていない、もしくは、未糊化の加熱糊化型澱粉を糊化できたが風味劣化、焦げ付きなどといった不都合がある状態
【0056】
本願発明者は、各種実施例について評価し、その結果は、
図5に示すとおりである。また、比較例についても評価し、その結果は、
図5に示すとおりである。
【0057】
<実施形態の効果-1>
以上、説明した実施形態の効果について述べる。
実施形態の澱粉糊化方法は、未糊化の加熱糊化型澱粉を含む液状食品の連続配管式熱処理装置1を用いた澱粉糊化方法であって、連続配管式熱処理装置1は、液状食品を加熱する加熱セクション33と、液状食品を加熱及び冷却することなく保持する保持セクション34と、液状食品を冷却する冷却セクション35と、を備え、加熱セクション33では、液状食品が熱媒体と金属管壁面を隔てて接しており、液状食品と熱媒体とが互いに逆方向に流れながら熱交換を行い、加熱セクション33の液状食品出口における液状食品の温度が75~120℃で、加熱セクション33の熱媒体入口における熱媒体の温度と、加熱セクション33の液状食品出口における液状食品の温度と、の温度差が10℃以下であるため、液状食品の温度差により生じうる不都合を抑制しつつ、液状食品に含まれる未糊化の加熱糊化型澱粉を糊化できる(実施例1~12)。逆に、加熱セクション33の熱媒体入口における熱媒体の温度と、加熱セクション33の液状食品出口における液状食品の温度と、の温度差が10℃以上の場合には澱粉粒の加熱崩壊により未糊化の加熱糊化型澱粉を十分に糊化することができなかった(比較例1~2)。また、加熱セクションの熱媒体流路の熱媒体流速/加熱セクションの熱媒体流路の液状食品の流速が、9.5未満では、熱媒体の熱エネルギーを液状食品全体に十分伝えることができず、液状食品や外気に吸熱され熱媒体の温度低下が発生し液状食品が膨潤不足となったり、液状食品の局所的な過熱で液状食品の風味劣化が生じる部分が発生したりし、未糊化の加熱糊化型澱粉が十分に糊化できていない状態の中に、一部過剰に澱粉糊化された焦げの状態が発生した(比較例3)。
【0058】
<実施形態の効果-2>
また、加熱セクション33の上流側には、液状食品を加熱セクション33に送り込む第1ポンプ32が設けられ、加熱セクション32、保持セクション34及び冷却セクション35の下流側には、加熱セクション33、保持セクション34及び冷却セクション35から液状食品を引き出す第2ポンプ36が設けられるので、熱処理による糊化で粘度が上昇した液状食品を確実に流動させることができる。
【0059】
<実施形態の効果-3>
また、加熱セクション33は、複数の分割加熱セクション331~333に分かれ、複数の分割加熱セクション331~333間には、液状食品を攪拌するスタティックミキサー334が設けられるので、各分割加熱セクション331~333において熱交換に偏りがあったとしても、スタティックミキサー334で攪拌し、温度や糊化のばらつきを抑制できる。
【0060】
<実施形態の効果-4>
また、調合された液状食品を貯留するストレージタンク23と、ストレージタンク23と加熱セクション33との間に設けられ、ストレージタンク23から供給される液状食品を一時貯留する第1バランスタンク31と、を備え、第1バランスタンク31には、加熱糊化型澱粉の沈殿を抑制する撹拌機312が設けられるので、加熱セクション33に供給する液状食品の量を調整しつつ、撹拌機312によって加熱糊化型澱粉の沈殿を防止し、液状食品の糊化成分のばらつきを抑制できる。
【0061】
<実施形態の効果-5>
また、加熱セクション33の下流側には、液状食品を加熱セクション33の上流側に戻すことが可能な液状食品戻し手段37が設けられるので、液状食品熱処理部3の下流側で処理が停滞した場合に、液状食品戻し流路371を介して液状食品を循環させることで、加熱セクション33における液状食品の流れを継続させ、液状食品の停滞により生じうる不都合を防止できる。
【0062】
<実施形態の効果-6>
また、液状食品戻し手段37は、液状食品をストレージタンク23又は第1バランスタンク31に選択的に戻すことが可能な第2方向制御弁373を備えるので、戻し液状食品の量などに応じて適切な戻し先を選択することができる。
【0063】
<実施形態の効果-7>
また、液状食品戻し手段37は、加熱セクション33の上流側に戻す液状食品を冷却する戻し液状食品冷却手段374を備えるので、加熱セクション33の上流側の液状食品温度が戻し液状食品によって大きく変動することを回避できる。
【0064】
以上、実施形態、及び実施例を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態、及び実施例に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態、及び実施例に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。